パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ブリジット・ジョーンズの日記、ダメな私の最後のモテ期★★★・5

2016年10月31日 | アクション映画ーハ行
恋に仕事に奮闘するアラサー独身女性の日常を描き大ヒットした『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ第3弾。前作から十数年を経てアラフォーになったヒロインが、既婚者の元恋人と、新たに出会ったIT企業の裕福なイケメン社長との間で揺れ動く。前2作に続きブリジットをレニー・ゼルウィガー、マークをコリン・ファースが演じるほか、テレビドラマ「グレイズ・アナトミー」シリーズなどのパトリック・デンプシーが新たに登場。1作目を手掛けたシャロン・マグアイア監督がメガホンを取る。

<感想>アラサー女子の熱狂的な支持を受けた大ヒット・ロマコメの12年ぶりの続編。主演はもちろんレニー・ゼルウィガーしかいない。

でも、いつの間にか美容整形してたのね。その変わりように驚き桃の木山椒の木ってこと。私には、昔のはにかんだような、可愛いレニーちゃんの方が好きなのに。どうみても、50過ぎのおばさん顔だよね。劇中でも顔の皺が気になるし、愛嬌がないのがダメ。

そして、もちろん弁護士のマーク役にコリン・ファースが続投して、今回新たにブリジットの恋人候補となったのが実業家役で「バレンタインデー」のパトリック・デンプシーが参加した。監督には第一作目のシャロン・マグアイアが復帰して、産婦人科医で「二ツ星の料理人」のエマ・トンプソンが共演とともに、共同脚本でも参加している。
独りぼっちで43歳の誕生日を迎えるブリジット。十年ほど前にはマークと上手くいっていたのに、何が起こったのだろうか。実はマークは他に女性と結婚をし、もう一人の付き合っていたダニエル(ヒュー・グラント)は飛行機事故で亡くなっていたのだ。

今やTVのニュース番組の敏腕プロデューサーとして仕事は順調だが、いまだ独身、恋人なしのブリジットなのだった。ダニエルのお葬式では夫人を伴ったマークと再会するも、気まずい雰囲気なのだ。

そんなブリジットを気遣った30代の職場の女性ミランダの誘いで、野外ロック・フェスに出掛けるのだが、到着早々に泥の中へコケてしまう。真っ白なセーターに白いパンツのレニーちゃん、それなりにイケていたのに、泥んこのブリジットに手を差し伸べてくれたのが、セクシーな二枚目のジャック、パトリック・デンプシー。

その夜に、泥酔した彼女が間違って他人のテントに入るもそこはジャックが寝ていた。彼の魅力に誘われて思わずブリジットはベッドインしてしまう。二週間後に、旧友の赤ちゃんの洗礼式で、名付け親として来たマークと再会する。妻とは別居中で離婚協議の最中だと打ち明けるマーク。彼はブリジットが恋しかったと語り、良い雰囲気になった二人はついつい体を重ねてしまうのであった。

それから数か月経ち、なんとブリジットの妊娠が発覚する。産婦人科のドクター、エマ・トンプソンの診断でお腹の子供は男の子だという。使用期限切れのコンドームのせいだ。いったいどちらの子供なのか?・・・悩むブリジットは、実はアメリカ人セレブ実業家だったジャックを、自分の番組に出演させて彼のDNA(メイク係が髪の毛をむしりとる)をゲットする。ジャックに妊娠の事実を告げるのだが、もう一人父親候補者がいることは言えなかった。

そして、マークにも妊娠したことを告げるが、彼は大喜びする。思いあまったブリジットは二人をレストランへ呼び出し、真相を告げる。ショックを受けながらも、男たちは「大切なのか赤ちゃんだから」と大人の対応をするも、二人はその日からまだ見ぬ赤ちゃんのパパとして張り合い始めるのであった。

そんな男性陣の姿を見ながら、心が揺れるブリジット。果たして彼女は今度こそ幸せな結婚生活に入れるのだろうか。いやはや、シリーズもこれで最後だろうと。不器用すぎるブリジットというか鈍くさいのよね。43歳にもなって結婚って、縁遠いからって二人の男と寝てしまい、挙句に妊娠してしまうという想定外の喜びもある。
パニックになって当然のピンチ的状況なわけだが、何しろ相手は自分の赤ちゃん。この期に及んでモラトリアムな自分探しをしているヒマはないはず。エゴマニアックな恋愛主義も後回しにして守るべきものがハッキリした本作の彼女は、以前同様にチャーミングで、そして以前よりもかなり艶めかしくて美しい。

腹をくくって現実と向き合った彼女が、父親候補の男たちと共に、やっと大人になっていく、まさにフィナーレと呼ぶに相応しい本作になっている。父親候補の二人が、嫌だといったらシングルマザーでもいいと決心をして生むことにする。そんな彼女を美中年の最盛期にあるコリン・ファースと、ワイルド系の髭デンプシーが競って愛するとは、なんたる妄想と願望の展開なんだろうか。
そうです、現実と向き合ったブリジットは、同時に最後まで夢をみせてくれる、2010年代のアラフォーのための、シンデレラー・ストーリーであり続けているのが、最高なんですよね。もちろん、子連れの結婚式もありますからね、お相手が誰かって?、劇場で観てね。
エンディングの後に、クリスマスに息子と親子3人で手編みのトナカイ模様のセーターを着て写真に納まっているのが良かった。これで、ブリジットのファンとしては安心ですからね。

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デスノート Light up the NEW world ★★★

2016年10月30日 | アクション映画ータ行
東出昌大、池松壮亮、菅田将暉が共演し、大ヒット作『DEATH NOTE デスノート』シリーズの10年後の世界に迫る続編。夜神月とLの死から10年後の情報社会を舞台に、捜査官と探偵、サイバーテロリストによる争いを最新のVFX技術を駆使して映し出す。監督を務めるのは、『GANTZ』『図書館戦争』シリーズなどの佐藤信介。前シリーズの遺伝子を受け継ぎつつさらに進化した、デスノートをめぐるバトルが楽しめる。
あらすじ:デスノートの力で多数の凶悪犯を破滅させた夜神月と、彼を追い詰めた天才Lの伝説のバトルから10年の歳月が経過。またしても死神がデスノートを下界にまき散らしたため、世界中が混乱していた。夜神総一郎が設立したデスノート対策本部は健在で、キラ事件を熟知する三島(東出昌大)をはじめとする特別チームが事態を注視しており……。

<感想>前作から10年後、「デスノート」シリーズの続編、というよりも完全に新作である。冒頭でロシアの僻地で、空からデスノートが落ちて来て、それを拾ったのが医者で、これから余命幾ばくもない老人を訪問して、モルヒネか何かを注射する。老人の患者は「死なせてくれ」と医者に頼むのだが、尊厳死は違法であり困った医者は、拾ったノートに老人の名前を書き込む。すると、その老人が心臓麻痺で亡くなってしまうというシーンが。全世界に「デスノート」はばら撒かれたのか?

そして、渋谷の雑踏で突然バタバタと人が倒れ、「通り魔?」と声が上がる。パニックになった通行人ガスクランブル交差点になだれ込むと、さらなる犠牲者が続発する。車同士が衝突して爆発炎上し、渋谷が一瞬にして狂乱状態に陥る。

という出だしで、またかと思った。今回の続編では、警視庁デスノート対策本部のエース・三島に東出昌大くんが、そしてLの遺伝子を持つ正統な後継者である名探偵の竜崎に池松壮亮くんが、そしてキラを崇拝する狂気の天才サイバーテロリスト・紫苑に菅田将暉くんによって、新たに地上にもたらされた6冊のデスノートを巡るバトルが描かれる。

この渋谷のシーンでは、その「デスノート」の所有者の一人で、顔を見ただけでその人の名前が分かる“死神の目”を持つ青井さくら(川栄李奈)が、雑踏に紛れながら「デスノート」に次々と名前を書き込み大量殺人を行う場面なのだ。これは、罪もない人々を殺すとんでもないことであり、「デスノート」の正義感や意義を担っていない。

その中で存在感を放っているのが俳優陣であり、特に三島役の東出昌大先頭に、Lの池松が以前の竜崎とは違い黒づくめの服装で登場し、ひよっとこのお面も黒に銀色のプラスチックのような変な感じであり、前回のLより印象が薄い感じがしてならない。キラを崇拝する紫苑役の菅田は良かったです。
今、最も旬なキャストが競演し、緊迫な演技合戦を繰り広げます。監督には「GANTZ」「図書館戦争」シリーズ、「アイアムアヒーロー」の佐藤信介。

「人間界に同時に存在していいデスノートは6冊まで!」__原作に存在しながらも使われなかったルールを基にオリジナル・ストーリーが展開する。前作とどう繋がるのか、前作にも登場した海砂(ミサ)は、10年前と今回も事件を繋ぐ重要なキャラクター。

それにデスノートを所有する者に現れる、りんごが大好きな死神のリュークは、死神大王に「キラの後継者」を捜すように命じられ再び地上に降臨する。

デスノートに触れる者は、みな死神のリュークが見えるのだ。

それに、Lの竜崎の前にはマスカットが好きなアーマが出てくるし、そして鋼鉄のロボットのような鎧を着た死神も出てくる。

3体の死神、特に真っ白な天使のような死神、優雅なたたずまいが特徴の女性の死神のアーマが最高。
デスノートを巡る熾烈な争奪戦が幕を開けるのだが、警視庁デスノート対策本部のエース・三島が、夜神月のデスノートを保管しており、残りのデスノート5冊を自分の手に取り戻したいのだ。

月が“救世主キラ”として犯罪者を裁き続けたのに、今回では、デスノートによる無差別殺人が起こり、罪のない人間がバタバタと死んでいくのを見て、警察が三島を対策本部から排除するのだ。警察では出来ないこともあるのに、頭脳戦というよりはノートを取り返すためのアクション争奪戦の方が多いと思いました。
新生キラは果たして誰なのか?・・・クライマックスに分かるキラの存在。私には、まさかあの人がというよりも、やっぱりね、何だか変だったもの。という感じでした。

そして月の息子がいるという、その息子がバカ者でデスノートに手当たり次第に名前を書き込むので殺してしまったという話も。それに、松山ケンイチが演じてた名探偵のLの存在感と、演技が余りにも上手かった印象が残っていて、今回の竜崎に扮した池松壮亮くんは、顔変化が得意なのかイマイチな出来具合のLでしたね。
良かったのが、キラを崇拝する紫苑の菅田将暉くんかな、真っ白い服装で、デスノートを手にしたいために体当たりで挑んでいく。一度はデスノートを手にするも、警察の乱射による拳銃で死んでしまうのが惜しいよね。

そうそう、藤原竜也が夜神月として、今でも受容価値があるようでTVの録画で頻繁に出てくるので、10年前の藤原竜也と変わりなく良かったですよ。松山ケンイチのLは、出番が少なかったですね。
死神たちがデスノートを人間界に落とすことによって、ドラマが生まれる。その前提によって世界観を崩さずに新たな物語が生まれるという感じ。「一人の死は悲しみだが、大勢の死は統計にすぎない」という竜崎の言葉に怒りを抑えきれない三島。自分の信じた正義を貫くという三島の神髄は崩れることはなかったのだが。
しかし、デスノート6冊をすべてを回収して、デスノートを封印しようとする三島。どうしても取り戻さなければという三島の願いは、ラストに向かって警察の銃撃戦で崩れてしまいそうになるシーンもある。さすがに銃には勝てない、デスノート。続編ありきですね。
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グッバイ、サマー ★★★・5

2016年10月29日 | アクション映画ーカ行
「エターナル・サンシャイン」「僕らのミライへ逆回転」のミシェル・ゴンドリー監督が自身の少年時代の体験をもとに撮り上げた自伝的青春ストーリー。家でも学校でも悩める日々を送る14歳の少年が、風変わりな転校生と友情を育み、自動車を自作して大冒険に繰り出す甘酸っぱくもほろ苦いひと夏の青春を綴る。主演はオーディションで選ばれた新人のアンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ。共演にオドレイ・トトゥ。
あらすじ:中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれてバカにされているダニエル。憧れのローラには相手にされず、家でも過干渉な母や暴力的な兄への不満は募るばかり。そんなある日、自分で改造した自転車を乗り回し、ガソリンの匂いを漂わせている変わり者の少年テオが転校してくる。クラスに馴染めない2人は思いがけず意気投合し、親友に。2人は夏休みにこの街を抜け出そうとある計画を立てると、さっそくスクラップでログハウス型の車を自作し、大冒険と旅立つのだったが…。

<感想>子供でもない大人でもない、14歳の春休みに、“動くログハウス”で旅に出る2人の少年を描く青春ロードムービー。一種のファンタジー映画ですよね。こういうのって、つまりはリアリズムではないということ。ここに描かれた少年たちは現在にも過去にも、どこにも存在していない。ただ監督の脳内世界だけに棲んでいるのだから。だって、パソコンやiphoneが出てくるし、だからって、一概に悪いわけでもない。フィクションなんだもの。

出演はいずれもオーディションで選んだアンジュ・ダルジャンのダニエルと、テオフィル・バケの変わり者の転校生テオの2人。その他にはダニエルの母親にオドレイ・トトゥが演じている。

ダニエルは絵が得意で、女の裸も自分で描くし、授業中もイラストに夢中で密かに溢れる才能を発揮している。そこへ、転校生のテオがやってきて、自分で改造したチャリに乗り登校する。マイペースなテオとダニエルは周囲から浮いた存在であり、二人は意気投合し親友になる。

そして計画を立てるのだが、スクラップを集めて“夢の車”を作り、それで旅をしようというもの。公道を走る許可は取れそうになかったが、ダニエルの発案で外見が小屋のようなアイデアで、超シビれるデザインであり、警察の眼をごまかすことに成功。

二人のひと夏の冒険は、トラブル続きで変な奴に絡まれたり、ダニエルが髪の毛を切りたいと床屋を探して、日本人の風俗嬢のいる変な大人の店に入り、落ち武者のように髪の毛をバリカンで剃り上げられ、お金をぼったくりされたり、仕方なくホームセンターで、売り物なのにこっそりとバリカンで坊主頭にそり上げるなんて、それもかっこいいからね。
それに、小学生の絵画コンテストに年齢を偽り飛び入り参加して、優勝は逃したが2等賞になり、帰りの飛行機のチケットが賞品だったとは。絵画コンクールに出ている間に、道端に置いた“動くログハウス”が燃やされてしまい、帰りはどうするの?・・・と、二人は途中で喧嘩したり、それでも旅が終わるころにはテオに影響されたダニエルが、ほんのちょっぴり成長する。

ロマンチックで芸術家肌のダニエルと、兄貴分のメカおたくのテオ。世間を軽蔑しながらも世間に同調できない不安、年頃のセックス事情への不安と憧れ、家族や学校への疎ましさ、二人とも男同士の「リトル・ロマンス」のようにも取れる。
動く自動車は、家族や学校のしがらみから逃れ好きなところへ行けるアジール。こんな車を夢見る少年って、いないと思う。ラストで黒焦げになって谷底へ落ちる車は、幼年期との決別のようだ。

この旅で二人は、周囲にいる人たちの気持ちを思いやるようになり、自分の殻を打ち破るのだ。ですが、帰ってみると家族は心配しており、葬式に間に合ったからいいものの、テオの母親は亡くなってしまう。だから、テオはまたもや転校せざるを得なくなってしまう。
二人は、折角親友になれたのに。甘酸っぱくもビターであり、ファンタスティックな味わいはまさにミシェル・ゴンドリー監督だからかなぁ。

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インフェルノ ★★★

2016年10月29日 | アクション映画ーア行
人気作家ダン・ブラウンのベストセラー小説を映画化した『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの第3弾。主演のトム・ハンクス、監督のロン・ハワードが続投し、これまで数々の歴史や名画の謎を解明してきた宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授が、詩人ダンテの「神曲」の「地獄篇」に絡んだ世界を揺るがす陰謀に挑む。ラングドンと共に謎を追う医師を『博士と彼女のセオリー』などのフェリシティ・ジョーンズが演じるほか、『ジュラシック・ワールド』のオマール・シーとイルファン・カーンらが共演。
あらすじ:記憶喪失状態でフィレンツェの病院で目覚めたロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は何者かに命を狙われるも、医師のシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)の手引きで事なきを得る。やがて二人は、人口増加を危惧する生化学者バートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)が人類の半数を滅ぼすウイルス拡散をたくらんでいることを知る。彼らは邪悪な陰謀を阻止すべく、ゾブリストがダンテの叙事詩「神曲」の「地獄篇」に隠した謎の解明に挑むが……。

<感想>ダン・ブラウン原作の“ロバート・ラングドン”シリーズは、前回のダ・ヴィンチ・コード』(2006)も天使と悪魔』2009)も小説のダイジェスと呼ぶべき映画だった。今回も、そのスタンスは変わらない。ボストンにいたはずのラングドン教授をトム・ハンクス(60歳)が今回も演じていて、目覚めたのは何故かイタリアのフィレンツエ。そんな彼が見る幻覚がショック描写として何度も映し出される。ダンテ「神曲」の一章“地獄篇”のビジュアル化は、疫病と炎のスペクタクル。カットとしてはどれも一瞬だが、一瞬だからこそ戦慄させられる。これはロン・ハワードの演出の妙でもあります。

それからのラングドン教授と若く聡明な女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズ)との逃亡劇が始まる。暗殺者からの追跡をかわしてシエナのアパートへ行き、スーツに着替えるとポケットに円筒が入っていた。その中身には一枚の画像が映し出され、それは詩人ダンテの“地獄篇”を基に画家ボッティチェルリが描いた「地獄の見取り図」であった。

ラングドンの行方を追う者たちは、WHO(世界保健機構)だった。彼らは膨らむ一方の世界的人口過剰を問題視し、地球の将来を守るという理由であるウィルスを生み出した生科学者バートランド・ゾブリスト(ベン・フォスター)を追跡していたのだが、数日前に彼は自殺をしてしまった。それに、医師のシエナ・ブルックスとゾブリストは恋人同士だった。ですが、亡くなる前に彼女には、そのウィルスの在りかを教えていなかった。だから、ラングドン教授を利用して、そのウイルスの在りかを一緒に探そうというわけ。

折角のベン・フォスター出演なのに、余りにも早い亡くなり方にがっかりでした。

しかし、ウイルスは何処かに隠されたまま、24時間後に拡散されることが分かっていた。これを食い止めようとするWHO(世界保健機構)のリーダーシンスキー(シセ・バベット)は、ウイルスのありかを示すゾブリストのメッセージ解読のためにラングドン教授の知識を借りようとしていたのだ。

ダンテの地獄篇の見取り図に隠された秘密のメッセージが意味するものとは?
その謎を解き明かしたラングドンは、古都フィレンツェの名所の数々をシエナと駆け巡りながら、全人類の存亡に関わるような恐るべきウイルスを生み出した、狂気の天才ゾブリストの仕組んだ巨大な陰謀の正体に迫っていく。そこには、ラングドンの予想もしなかった真実が次々と待ち受けているのであった。

見どころは、地獄篇を図像化したボッティチェッリの「地獄の見取り図」や、ダンテのデスマスクの裏に記された暗号を手がかりに、フィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールと舞台は世界各地へと移行していく。

ヴェッキオ宮を目指すラングドンとシエナが、追ってから逃走する時に通るフィレンツェ最古の橋、ヴェッキオ橋の上にあるヴァザール回廊という通路を走っている。

そして、ラングドンとシエナがヴェッキオ宮殿に向かう途中で、追ってから隠れるシーンに登場する、フィレンツェ市内の中心部にあるビッティ宮付属の庭とされるボーボリ庭園。

ここからヴェッキオ橋に繋がる“秘密の通路”をラングドンは知っていたのだ。

そして、ベネチアのサン・マルコ大聖堂へ列車で向かう。ここにある4頭の巨大な馬の銅像“サン・マルコの馬”に謎が隠されている。

そこからイスタンブールへと。アヤ・ソフィア博物館の中へ。かつてはモスクとして使用されていたこともあるが、起源は東ローマ帝国時代の正統派キリスト教の大聖堂である。これもビザンチン建築の最高傑作といわれるが、この近くに地下宮殿の大貯水槽がある。これまでにも「007危機一髪(ロシアより愛をこめて)」などで登場したところでもある。
「二つ星の料理人」のオマール・シーが悪役で出ていた。

この地下宮殿の大貯水槽の中では、クラシックのコンサートが行われており、水の色は真っ赤に染められ、その貯水槽の中の何処に“人類の半数を滅ぼすウイルス”が沈められて隠されている。早く探して見つけなければ、そこで、シエナが爆弾のスイッチを押して大爆発が起こり、ラングドンは貯水槽の中へ落ちてしまい、ウィルスの袋を見つけてWHO(世界保健機構)の箱へと入れる。

その箱の中で袋が破れてウイルス菌が繁殖し始める。その箱を巡って謎の男がラングドンを襲うし、絶対絶命の中WHOの人たちが助けに来てくれる。
これは意外だった、原作では間に合わなくて、ウィルスが全世界へ散らばるという終わり方であったのに。何はともあれ、ラングドン教授とWHOの彼女が、元恋人同士だったということも分かって、二人がまだ愛し合っていることも無きにしもあらずってことか。結構面白かったが、いつものごとく、あちらこちらと観光名所を振り回されて、謎解きの連続であり、最後には決着がつくと言う流れには飽きてしまった。
さてこの映画の大きなテーマである人口過剰という問題については、本作で登場する天才生化学者バートランド・ゾブリストが提唱する、極めて深刻な“人口過剰問題”。大まかだが、西暦元年ころの世界人口は推定2億人ほど。ダンテが生きた14世紀ごろでも4~5億人ほどで、20世紀初頭で15億人ほどだったといわれるが、ここからわずか100年の今世紀初頭にはいきなり60億人となっている。現在まで十数年でさらに10億人増え、ゾブリストはこのままでは、ダンテの地獄篇が現実となる近未来がやってくると説く。そこで彼が考えたのが、ウイルスを使って人口を今の半分ほどに減らそうという恐るべき策略だったのだが、・・・。それよりも、地球温暖化による大地震、ゲリラ豪雨やテロによる暴徒化、内戦も人口過剰を減らしていく殺戮ではなかろうか?・・・。

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金メダル男 ★★★・5

2016年10月27日 | アクション映画ーカ行
「ピーナッツ」「ボクたちの交換日記」に続いてこれが監督3作目となる人気芸人の内村光良が、2011年に上演された一人舞台『東京オリンピック生まれの男』を原案に、監督のみならず原作・脚本・主演を務めたコメディ。子どもの頃からどんなことでもいいから一等賞を目指す主人公の波瀾万丈の人生を描く。内村とともにW主演で若き日の主人公を演じるのはHey! Say! JUMPの知念侑李。共演は木村多江、ムロツヨシ、土屋太鳳、平泉成、宮崎美子、笑福亭鶴瓶。
あらすじ:東京オリンピックの年に長野県塩尻市に生まれた秋田泉一は、小学生の時に運動会の徒競走で一等賞に輝いたことがきっかけで、以来あらゆるジャンルで一等賞を獲りまくり、“塩尻の金メダル男”と呼ばれるようになる。ところが中学に入ると異性のことが気になり、すっかり一等賞が獲れなくなってしまう。高校で巻き返しを図るもなかなか上手くいかない。しかしそれは、金メダルにとりつかれた秋田泉一が繰り広げる波瀾万丈の七転び八起き人生のはじまりに過ぎなかった。

<感想>内村光良が原作・脚本・監督・主演の4役を務めて挑む内村ワールド全開のコメディ映画。アラユルジャンルで1等賞になることを目指す男、泉一を主人公に、七転び八起きしながらもチャレンジを諦めない全力な生きざまを、温かい笑いと共に描いている。知念君は内村とW出演で、若き日の泉一を演じている。絶大の信頼を寄せられての初出演です。

中学校と高校生活の中で、何にでも1番にトライする主人公の泉一を演じている知念くん。一番の見どころは水泳部で1度も呼吸するために顔を上げない無呼吸水泳のわざには驚きでした。ですが、女性が入ってきて、水着の泳ぎ方を見たいとつい、呼吸するために顔を何度も上げてしまい、最後には溺れる始末になる。それに、剣道部でも、籠手しか狙わずに失敗するし、高校に入ってもバスケ部では戦力外でみんなの輪に混ざれずに、それからは、家でゴロゴロとTV三昧の生活です。

そのTVの中でアイドルの北条頼子が歌う「私のサンクチュアリ」を聞き、自分一人で中庭で1人だけの部活「表現部」を作る。そこでは、文化祭で披露した「坂本龍馬 その生と死」という題目で、一人芝居というか、飛んだり跳ねたりとガンバッテ演じて全校生から拍手喝さいを得ました。

それで、入部者がたくさん来て、第二期黄金時代の幕開けとなり、みんなでドタバタ劇団のような感じで、まさに気分は吉田松陰で、そこへまた横井さんという綺麗な女子が入部して、2人で白鳥の求愛ダンスのように創作ダンスを練習し、結局は横井さんから嫌われてしまい退部されてしまう。この横井さんには土屋太鳳さんが扮してました。そこへ部員の一人から3年生だから引退をせよと言われ、自分が始めた部活なのに辞めざるを得なくなったのだ。

1983年、東京へ着くも、鶴瓶さんの寿司屋でバイトしたり、仮装大会に出場していちごのショート・ケーキの被り物をしたり、ウルトラクイズ大会へ出たり、ジャニーズのオーディションに落ちたり、1986年日本はバブルの景気の真っただ中、ぼったくりバーに誘われて店に入り、ヤクザの男に財布ごと全財産を取られて、そして公園のベンチで寝てしまい、朝になると元気な声がして、「劇団 和洋折衷」に入る。そこでは、高校生の時に一人部活「表現部」でダンスやら何でもしていたので、重宝されてフランケンシュタインの扮装をしたり、しかしそれも長続きせずに劇団は解散になる。
また一人になってしまった主人公が、今度は世界へ旅しようと中国から自転車でベトナム、ミャンマー、そして自転車を盗まれてしまう。イタリアではピザの大食い競争へ出て、インドではカレーの大食い大会で水に当たり断念するも、バイクでタイへ行き交通事故で入院する。
2003年、38歳になりボートで太平洋横断の旅に出て、嵐に遭い無人島へ漂着する。そこで7か月の間、巨大なハゲタカに襲われ剣道の籠手で攻めまくり打ち負かす。今までの経験をいかんなく発揮して、一人で火起こし、魚獲り、家を作り、貝殻で楽器を作り、水を濾過する発明も、だが、髭が伸び放題で原始人のようだ。すると、大型船が地平線に見えるではないか。大声大会で優勝した「お父さん、ここにいるよ」で、船に聞こえたらしく無事帰ってくる。
それからが、無人島生活、平成のロビンソー・クルーソーと言われて有名になってしまう。凱旋講演をして回り、TVにも出演して有名になる泉一。金メダル男もメッキが剥げてしまい、だんだんと出番がなくなる。彼のマネージャーをしていたのが、泉一が惚れて勇気を貰った「私のサンクチュアリ」の北条頼子だった。彼女には木村多江さんが演じており、初めはメガネをかけて地味な感じでしたが、居酒屋で酔っぱらう姿が最高。

そして北条頼子と結婚して2人で漫才コンビ「東京アイランド」を組むもダメ、それに、究一という息子が生まれる。泉一も父親と同じくデパートで働き、広告の垂れ幕のアクロバティック・スタントで一躍ヒーローになるも、着地に失敗して足を骨折、これもいつの間にか客に忘れ去られてしまう。
2012年48歳、写真のプリントを初めて、写真を撮りまくる。その中の年老いた自分の両親が、横断歩道を渡る姿を撮った写真が、ホトコンテストで1等賞を取り有名になり個展まで開くのだ。プロカメラマンとして認められた泉一ですが、それで終わりではない。2020年の東京オリンピックへ出るのだと、ゴルフを始める泉一。諦めない心、秋田泉一52歳。

とにかく、内村ワールドの世界感が凄いに尽きる。若い時の知念くんとウッチャンが良く似ていると思ったし、何でも全力投球でダッシュしちゃうし、この人は、何かを目指している最中が一番生き生きしているんですから。自分で納得がいくまで好きなことがやれる泉一は、やっぱり素敵ですよね。
なんてったって、出演陣の豪華版なことときたら、両親には宮崎美子と平泉成が扮しており、その他にも先生に大泉洋一、校長に竹中直人、寿司屋の店主に笑福亭鶴瓶、長澤まさみ、ムロツヨシ、高嶋政宏、田中直樹、温水洋一など、他にも多数有名な俳優さんが出演しています。ウッチャンの顔の広さか、人望かな、とにかく凄いに尽きる。

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エル・クラン ★★★

2016年10月26日 | アクション映画ーア行
アルゼンチンで起こった事件を映画化し、第72回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた犯罪ドラマ。平和な街で多発する富裕層だけを狙った高額の身代金誘拐事件をきっかけに、ある裕福な一家に隠された秘密が描かれる。近所から慕われるプッチオ家の主を、『瞳の奥の秘密』などのギレルモ・フランセーヤが怪演。スペインの鬼才ペドロ・アルモドバルが製作を務め、『セブン・デイズ・イン・ハバナ』などのパブロ・トラペロがメガホンを取る。
あらすじ:1983年のアルゼンチン、裕福なプッチオ一家は近所の評判もよく、幸せに生活していた。ある日、二男が通う学校の生徒が誘拐され消息を絶つ。それ以来、一家の周辺で金持ちだけがターゲットにされる身代金誘拐事件が続発し、近所の住民たちは不安を募らせる。一方、いつも通りの生活を送るプッチオ家では、父アルキメデス(ギレルモ・フランセーヤ)が鍵のかけられた部屋に食事を運ぶと……。誘拐事件に街がざわつく中、プッチオ家ではいつもと変わらない穏やかな時間が流れていくのだったが…。

<感想>この映画は軍政から民主制に移行する途上の80年代。アルゼンチンで実際に起こった一連の誘拐、監禁事件を取材しています。それでいて、監督のパブロ・トラペロは父親のアルキメデス・プッチオ率いる犯罪一家を批判することなく、彼らの日常を乾いたタッチで描くことに徹しているのだ。

ある日、長男のアレハンドロは、友人と車にいるところをいきなり何者かに拉致される。ところが犯人は、驚くことに自分の父親だった。友人を拘束した父は、母親の作った料理を2階の監禁室へと運ぶ。

その後のあらすじ;誘拐事件に街が騒然とする中、プッチオ家はいつもと変わらぬ生活をしていた。やがて、アルキメデスは人質の家族から多額の身代金を受け取ったが、人質は家へ戻ることはなかった。つまり、父親がその人質を銃殺して埋めてしまったから。その後も一家は、仕事(誘拐、監禁)を続けるが、彼らを疑う者は誰もいなかった。だが、息子のアレハンドロに恋人モニカができて、“仕事”から抜け出すと言い出した時、家族の歯車が狂い始める。

面白いのはこの一家が、独裁政権時代に甘い汁を吸ったエリート官僚一家であり、民主派のアルフォンシン政権誕生によって失脚した点である。彼らは裕福な暮らしを維持するために、誘拐身代金を必要としたが、同時にかれらのビジネスは、民主制権下の社会不安を煽るため、旧政権の大物から庇護を受けていたことが匂わされるのだが。

主人公が官僚時代にどういう役割を担っていたのか。そこを描いていないのも残念だし、父親に対する息子の存在が、独裁政権下の官僚と重なって見えたけど、恋人ができて誘拐犯から足を洗ったのに、弟がデブになって戻ってきて、父親の誘拐を手伝うことになるも、失敗してしまうのがおち。単なる犯罪スリラーとするには裏があり過ぎるのが興味深いですよね。

この事件で一番重要に感じられたのは、その事件をモチーフにして家庭内での父と子の関係を描くことにある。食前に祈りを捧げる場面が象徴的ですが、劇中ではプッチオ家の食卓が繰り返し、まるで儀式のように描かれている。それはまるで、父の支配下でみんなが家族を“演じられされている”ようにも見えるのだが。

外からみたらこの一家が身代金目的で、誘拐、監禁を行っているなんてとても思えませんからね。モンスター父親は映画でよく描かれますが、この父親はワースト級ですから。家族を見捨てる父と、保身ゆえ家族を犯罪組織にしていく父とどっちが酷いだろう。本人はむしろ愛と思っているようだが、特にプッチオ父親と長男の絆の宿命は鮮烈であり、最後まで尾を引いてしまうのだ。

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バースデーカード★★★・5

2016年10月25日 | アクション映画ーハ行
若くして他界した母が娘のために書きためたバースデーカードを誕生日のたびに受け取るヒロインの成長を見つめたヒューマン・ドラマ。主演は橋本愛、共演に宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア。監督は「キトキト!」「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の吉田康弘。
あらすじ:泣き虫で引っ込み思案な紀子は、10歳の時に最愛の母を病気で亡くす。亡くなる前、母は紀子が20歳になるまで、毎年誕生日に手紙を送ると約束してくれた。11歳の誕生日、約束通り母からのバースデーカードが届いた。以来、毎年届く母からのバースデーカードは、成長していく紀子を励まし勇気づけてくれるのだったが…。

<感想>亡き母親からの手紙を通してさまざまな経験を積み、成長する女性の姿を綴った“母と娘”の物語。デビュー作の「キトキト!」は観ていませんが、吉田康弘監督がこの作品では、実直で優しさにあふれたオリジナル・スト-リーを創出。確かに王道であり、題材的によくある感動系というジャンルに埋もれてしまい、本当に泣ける作品であります。

17歳の誕生日には、母の手紙に「自分の故郷である小豆島へ行き、中学校のタイムカプセルを掘り起こしてきてくれ」と言うもので、仕方なく出かける紀子。でも、母親の生まれ故郷へ初めて行ったわけで、母親の同級生や親友、それに修学旅行の秘密など、ピンクレディが大好きで友達と振り付けして歌っていたというのも。この時には、まだ反抗期ではなかったのに。何故に修学旅行をボイコットしてまで、ピンクレディのコンサートに行きたかったのか?・・・気丈な母親の素顔が垣間見えてくる。母親のタイムカプセルの中身は、そのピンクレディのラストコンサートのパンフレットとチケットの半券だった。

その中でも、19歳の誕生日には、手紙を見ないと言う紀子。いつも手紙にはああしろ、こうしろと命令調に書かれていて、紀子はその通りに行動していたのだ。それが、19歳の誕生日に爆発する。もうお母さんの手紙に振り回されるのは嫌だと。父親が怒る「お母さんの謝れ、謝るんだ」ときつい言い方。

娘にしてみれば、今ここにいない母親に、どうしてあれこれ指図されなければいけないのかと反抗する。遅い反抗期である。それでも、手紙には、母親も「何故に手紙を書かなければならないのか、19歳の紀子には会えないのに」とさめざめと泣く。なだめる父親。だから、19歳の手紙には、お父さんと初めて喧嘩をして、結局手紙は書けなかった。という内容でした。成長する娘と息子の姿を観ることは出来ないが、せめて、誕生日に渡す手紙とプレゼントを。これは母親からの愛情だよね。

母親が最後に、家族とピクニックへ行きたいと願い、一緒に車で行き、カレーライスを作って食べた思い出がある。やはり、家族で何処かへ揃って行くことは大事だと思います。
それに、高校生の夏休みに、同じクラスの男子を好きになるも話しかけられない。それが、町内の夏祭りに近所のおばさんに浴衣を着せられて祭り会場へ行くと、タコ焼き屋にその男の子が働いていた。照れくさいも、一緒に花火を見て、初キスもと思ったらそれはまだ早かったのね。母からの手紙には、男のと初キスをする時は、口の口臭はダメ、歯を良く磨いてと、血が出るくらい磨く紀子。妄想で、純くんと初キスをしようとする瞬間に、歯には青のりが付いていて、歯茎から血が出ていたという最悪な結果に。
それでも、その男性と大学生になってから出逢い、バイクに乗ってデートをして、ラーメン屋で働いている彼と恋仲になってしまう。そのことを、父親に話す時も、中々言えずに微笑ましい場面もあります。

亡くなった母親から毎年に誕生日に手紙が届く。それは、父親が母親の生前に子供たちの誕生日に手紙を書いてくれと頼んだからなのだ。娘の成人も花嫁姿も見届けられなかった母親が残した精いっぱいの想いが、会えなくても、話せなくても、母と娘は常に二人三脚で成長してきた。しかし、やがて娘が母から巣立つその日、20歳の誕生日が近づいて来る。
紀子という名前は「21世紀に確かに、こういう人間が存在した」という意味を込めて父親がつけたもの。子供の頃の紀子は引っ込み思案の泣き虫で、クラス対抗クイズ大会ではうまく答えられなかった。というのも、クラスの女の子たちの虐めに遭い、答えたら後でどうなるか覚えてなさい。と強い口調でクラスの女の子に言われ、クイズが始まるとそれを思い出し、何も答えられずに下を向いていたのだ。

ですが、そんな紀子を励ましてくれるのは「パネルクイズ・アタック25」が大好きな母親で、一緒にTVを見てはクイズに答えていた。だが、母親は病に倒れ、亡くなってしまう。成長した紀子が、引き出しに入っていた「パネルクイズ・アタック25」の応募ハガキ。そして紀子が出場に応募する。このシーンも、母親が出たかったと言っていたが、実のところは、娘の紀子を出させたかったに違いない。結局は優勝しなかったけれど。
ヒロインの紀子(17歳から25歳迄)を演じた橋本愛と、母親の宮崎あおいの他に、父親にユースケ・サンタマリアが、弟役には須賀健太、恋人役の中村蒼らの淀みない好演が爽やかな印象を残している。実在の視聴者参加型番組「パネルクイズ・アタック25」に、紀子が出場する終盤の展開も楽しい。

そして、紀子の結婚式の日、弟は大学進学を止めて、日本一周自転車旅行へ旅だってしまい、どうにか連絡が付いて式に間に合った。この晴れ姿を母親に見せたかった。しかし、母親もこの日の為にと、亡くなる前に花嫁ドレスのケープを、せっせと作っていたのですね。
“何よりも家族を大切に思う母親の願い”を描き出していて、それに娘を思う母親の愛情がもの凄く感じられて、それが「アタック25」に出場した紀子が100%のボルテージで喜ぶ表情には、天国のお母さんも喜んでいるに違いないと。

でもね、純と結婚して二人でラーメン屋を営む生活、そして紀子に子供が生まれて、母親だってきっと紀子の孫が生まれるのを分かっていたはず、だから孫のために毛糸で靴下とか編んでプレゼントすれば尚のこと涙が零れてくるでしょうに。しかし、最後にはハッピーエンドになる素敵な物語です。
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ジェーン ★★★

2016年10月24日 | アクション映画ーサ行

『ブラック・スワン』や『マイティ・ソー』シリーズなどのナタリー・ポートマンが、製作と主演を務めたウエスタン。ニューメキシコを舞台に、夫を傷つけた悪漢に戦いを挑む女性とその手助けをする元恋人の姿を描く。メガホンを取るのは、『ウォーリアー』などのギャヴィン・オコナー。『スター・ウォーズ』シリーズなどのユアン・マクレガー、『ウォーリアー』にも出演したジョエル・エドガートンらが共演している。ナタリーが見せるガンアクションに注目。
あらすじ:ニューメキシコで夫のハム(ノア・エメリッヒ)と娘の三人で平穏な日々を過ごしていたジェーン(ナタリー・ポートマン)だったが、ハムが悪名をとどろかせているビショップ一家を率いるジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)に撃たれてしまう。重傷を負って苦しむ夫と娘を守る決意をしたジェーンは、以前付き合っていた南北戦争の英雄でもあるダン(ジョエル・エドガートン)に助けを請う。久々の対面を果たしたのを機に過去を思い返す二人。そして、ビショップ一家との対決が近づいていた。

<感想>久しぶりのナタリー・ポートマン主演の作品、それも汚れ役ときてる。彼女にはとてもハマリ役だと思う。「I’ll be back」と言い、必ず君のもとに帰ってくるから待っていて。映画や小説の中でこの手のセリフを男が女に置いて去る時には、悪い予感がするものだ。十中八九、男は戻ってこないから。たったこの一言で“待つ女”をセッティングできることは確かである。待たされるのは女だけではなく、観客も同様であります。期待と不安を詰め込まれた観客は、たちまち女となり替わり、先延ばしされた約束を待つことに付き合わされるのだ。

その結果が苦いものであれ、甘いものであれ「I’ll be back」の効果は物語を躍動させるほどに劇的になっている。戦前のジェーンは恋人のダンが南北戦争に徴兵されたために、“待つ女”になってしまう。それにダンの子供を妊娠していたのだから。
まさにこれが「ジェーン」という長いドラマの起点となる。今度は夫のハムにジェーンが、「I’ll be back」と言って家を出て行く。“待つ女”から“待たせる女”へと立場を逆転させるのだ。ところがジェーンは、わりとあっさりと帰ってくる。

ダンの「I’ll be back」に比べれば、ジェーンのそれはさりげなく、身構えた観客に対して呆気ないほど。その後も、夫のサムは戻って来なくていい、自分を見殺しにして逃げろと言うも、瀕死の夫のもとにジェーンは意地でも残るのだ。
つまり、ジェーンは自分が待たされたようには、男を待たせることをしないと決めた女なのだ。

女性が自立する物語ですが、単なる男女の反転ではない。戦時にあたって銃後の守りについた彼女が、戦後になって銃を手に取り武装する。あらたに彼女が何を戦い始めたかと言えば、夫と子供を守ること。ジェーンは家族が一番に大事なのだ。

生活保守の武装自衛戦が始まるわけだが、敵は戦中戦後の混乱を利用して女たちを半ば誘拐する形で売春街の経営に乗り出した反社会的勢力である。しだいに観客に明らかにされるように、ジェーンはその売春宿で働かされた上に決定的な喪失感をもたらされた過去を持つ。それはダンの娘を拉致されて殺されたということ。

だから、ジェーンの戦いは私的な動機に支えられているが、戦闘を開始するにあたりジェーンは拳銃の撃ち方を習うがどうにも酷い腕前であった。ところが拳銃を猟銃に持ち替えた途端、ジェーンは優秀なヒットマンに様変わりする。彼女曰く、生きるために獣を狩りしなければならない。夫や子供のために自分で獣を仕留めてきたから。
それは、床下の貯蔵庫の保存食で火炎瓶を作り、猟銃で敵をぶっ殺すのだ。どうして、恋人のダンを待っていなかったのかというと、戦時中の女は弱いものであり男に誘拐され、売春婦として働かされる。売春宿にいる時に、今のサムに見受けをしてもらい、現在の小屋に住んでいる。夫の仕事はどうやら賞金稼ぎのよう。そういう夫にも2000ドルの賞金が掛かっている。

敵は、その売春宿を経営していたビショップのユアン・マクレガーであり、昔の恋人ダンに金を払って助っ人を頼むも断られる。仕方なく、町へ行き大量の弾薬を購入。その時に運悪くビショップの子分に見つかり、絶体絶命のピンチに立たされる。その場を救ったのが、銃を手にしたダンである。

困っているジェーンを助けようと、家まで一緒に来て、襲撃に備えてビショップたちが現れるまで、家の庭にワナを仕掛けて、家の床下に夫のサムを隠して準備をする。
それから、2人は過去のことを語り初め、ビショップに拉致され売春宿で働かされていたことを。ハムに助け出されたことも。

夜になり、ついにビショップたちが襲ってきた。珍しく悪役のビショップを演じたユアン・マクレガー、顔が童顔なので髭ズラで決めているが、それでも私にはいい男にしか見えなかった。敵は10数人であり、家は蜂の素状態に穴が開き、夫も重体で今にも死にそうだ。それに、ジェーンも腹を撃たれており、最悪な状態に。それでも、敵を倒して、裏の崖まで馬で逃げようと頑張る2人。ダンには、「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートンが扮しており、最後まで諦めないというジェーンの心情が伝わってくる。

それは、友人に預けたハムとの娘と、ビショップに殺されたと思っていたダンの娘を連れ戻して一緒に暮らすことを。ラストでジェーンがビショップを追い詰めて殺すところ、命乞いするビショップがダンの娘がまだ生きているということを知らされる。それに、5000ドルの賞金がかかているビショップを、ジェーンが殺して金に換えるという、彼女が一流の賞金稼ぎになったと言うことも分かる。
ナタリー・ポートマンが、主演と共に自らの制作会社でプロデュースも担当しており、女優だけでなく製作者としても彼女が活発な活動を続けていることが分かる。

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スター・トレック BEYOND ★★★・5

2016年10月22日 | アクション映画ーサ行
往年の大ヒット・ドラマ・シリーズを「M:i:III」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のJ・J・エイブラムス監督がリブートしたSFアドベンチャー大作のシリーズ第3弾。深宇宙へ向けて航行を続けていたエンタープライズ号が惑星連邦を否定する新たな敵と遭遇、連邦の理念を守るべく過酷な戦いに身を投じるカークたちクルーの運命を描く。出演はクリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナらレギュラー・メンバーに加え、新たにイドリス・エルバ、ソフィア・ブテラが参加。監督は前2作のJ・J・エイブラムスに代わり、「ワイルド・スピード EURO MISSION」のジャスティン・リンが務める。また本作は、長年スポック役としてファンに愛され、2015年に惜しまれつつこの世を去ったレナード・ニモイと、本作にもチェコフ役で出演し、全米公開直前に事故で急死したアントン・イェルチンの2人に捧げられている。
あらすじ:5年におよぶ宇宙探査へと旅立ったエンタープライズ号。それから3年あまりが経ち、ジェームス・T・カークの中には艦長という役目に対する迷いが生じていた。一方、副艦長のスポックもまた別の理由から迷いを抱えていた。そんな中、宇宙基地ヨークタウンに寄航したエンタープライズ号一行は、そこで未知の宇宙船に乗る女性から仲間の救助を求めるメッセージを受け取り、すぐさま救出へと向かう。しかしそれは巧妙な罠で、エンタープライズ号はクラールという異星人からの襲撃を受け不時着を余儀なくされ、クルーたちもバラバラになってしまうのだったが…。

<感想>第1作目、J・J・エイブラムスの「スター・トレック」、第2作目「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(13)に続く第3作目では、J・J・エイブラムス監督からバトンを受け取った「ワイルド・スピード EURO MISSION」のジャスティン・リンが、得意のテンポのいいアクション&ユーモアで新たな「スター・トレック」を見せてくれる。スコッティ役のサイモン・ペックが脚本も兼務し、スポック&マッコイのやり取りなどコミカルな面も強化している。

人生のターニング・ポイントを迎えたクルーたちが、救助の要請を受け未知の惑星に向かう途中でいきなり敵の猛襲に遭い、エンタープライズ号は大破し墜落。不時着した船内に最後まで残ったカークとチェコフは、脱出ポットで船を離れ連絡の取れないクルー救助に動き出す。だが深く考えずに行動するカークと彼に振り回されるチェコフは、ジェイラの罠にかかり動けなくなってしまう。

ジェームズ・T・カークにはクリス・パインが、彼は船長の後任にスポックに託すつもりでいた。母星を失ったスポックは、ウフーラとの関係を続けるべきか悩んでいる。チェコフにはアントン・イェルチンが、惜しまれるのは今回事故で急逝してしまったことだが、遺作となった本作が、彼が今までになく活躍することが、ファンにとってはせめてもの慰めになってくれることでしょう。

不時着したマッコイが観たものは、腹部に大けがを負ったスポックの姿。自分を置いていくべきと主張するスポックに、仲間を見捨てられないというマッコイ。「このトンガリ耳」と悪態をつきながらも友を助け、追ってから逃れる。治療の道具はなく、命の危険が迫るスポックを救うために一刻も早く仲間と再会したいマッコイなのだが。マッコイにはカール・アーバンが、感情に走りがちな船医。口喧嘩が絶えない。スポックには、ザッカリー・クイント。バルカン人と地球人のハーフで論理的な思考を是とし、融通がきかない。しかし、スポックは仲間を守るために、ケガを押して敵に立ち向かう。エンタープライズ号の船内に襲撃を手引きする者がいた。ヨークタウンに敵の戦闘機軍が現れる。

脱出ポットを出るなり敵に襲われたスコッティを助けたのは、100年前にこの惑星に墜落した連邦の宇宙船、U・S・S・フランクリン号に隠れ住んでいるジェイラだった。最初は話が噛みあわなかったが、互いが技術者だと判ると意気投合し、2人で壊れたフランクリン号の転送装置を修理して、囚われたクルーの救出に挑む。スコットには、サイモン・ペッグが、陽気な機関主任で、無茶な要求ばかりするカークにいつも文句を言いながらも、完璧にこなす。ジェイラには、ソフィア・ブテラが。宇宙行きを夢見る墜落した星の女性。トリッキーなワナを作るのが得意で、分身術も駆使する。

墜落した星で、スールーやウフーラなど大半のクルーは、エンタープライズ号を襲った敵に拉致されていた。敵のリーダーのクラール(イドリス・エルバ)は、カークが持つ古代の武器を狙っていたのだ。ウフーラたちは、クラールが強大な力を秘めたその武器を使い惑星連邦への復讐と、ヨークタウンへの攻撃を企んでいることを知る。ウフーラには、ゾーイ・ソルダナが、常に冷静沈着な通信士官で、さまざまな惑星言語に堪能。スポックとの恋は曲がり角に?。スールーにはジョン・チュウが、確かな腕を持つ勇敢な主任パイロットであり、基地惑星のヨークタウンに、最愛の一人娘がいる。

クルー救出のためにカークは、フランクリン号にあったヴィンテージのバイクで派手に暴れて敵の気を引き、その間にクルーを転送させる作戦を決行。スピーディなバイクアクションとタイム・リミットのスリル感が融合した名シーンになっていた。

宇宙空間で無数の敵機の攻撃によりワープ推進部が2つとも破壊され、ついには円盤部だけとなり、見知らぬ星に墜落。劇場版ではしばしば災難に遭うエアンタープライズ号だが、中でも今回は最大規模に破壊されてしまい修復不可能になる。墜落までの銃撃戦では、外壁が壊れ人間が宇宙に吸いだされるまでを1カットで活写。墜落後は斜めになった船内で、古代武器をめぐるカークらと敵のチェイス・バトルが繰り広げられる。

小型戦闘機同士のバトルでは、前2作になかったもので、決戦の地ヨークタウンで負傷中のスポックに付き合わされて敵戦闘機を操縦するはめになるのがマッコイだ。笑いも交えたアクションシーンにも高感触です。
もちろん大掛かりなアクションシーンもたくさんあるし、デザインもスケールアップしているけれど、元々のTVシリーズ(宇宙大作戦)の面白さはこれだったのかと、想い出させられて個人的には嬉しかった。お馴染みのキャラクターたちが魅力を発揮して、ユーモアが全編に漲っているのも最高。

それに、ろくな兵器もなし(ラジオから大音量で流す古いハードロックとか)で、宇宙に於いても空手ふうの武術格闘技とか、バイクアクションでケリを付けるとか、敵の大編隊に立ち向かうところのアイデアは面白かったです。
それに、元新体操フランス代表で「キングスマン」では、義足の殺し屋に扮したソフィア・ブテラが、仇敵との肉弾戦でハイキックなど、しなやかな動きを披露してくれる。

クライマックスでは、無重力状態でカークと敵のクラールが一対一でガチの殴り合いをするシーンもあります。それにしても、ヨークタウンの美しいこと、透明なガラスの球体の中に、ビル群が立ち並びそれは見事なCGでした。これまでのスタトレと比べると、・・・みたいなことをウダウダ考える暇など与えぬ、猛スピード感がゲーム感覚のようにも取れる。


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お父さんと伊藤さん ★★★

2016年10月21日 | アクション映画ーア行
心のおもむくままに過ごす30代の女性と20歳上の恋人、彼女の父親の共同生活を、上野樹里、リリー・フランキー、藤竜也らの共演でユーモラスに描くドラマ。書店でアルバイトをする女性と給食センターでアルバイトをする男性が暮らすボロアパートに、息子の家から追いやられた父親が転がり込み、三人で生活する姿を映す。第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の小説を基に、『百万円と苦虫女』『四十九日のレシピ』などのタナダユキが監督を務める。絶妙な掛け合いを繰り広げる、個性的な役者陣の演技が見どころ。
あらすじ:書店でアルバイトをしている34歳の彩(上野樹里)は、給食センターでアルバイトをする20歳上のバツイチ男・伊藤さん(リリー・フランキー)と交際中。ある日、彼らが一緒に住むアパートを、息子の家を追われてしまった彩の父(藤竜也)が訪れる。父親は伊藤さんの存在に驚きながらも、「この家に住む」と言い……。

<感想>とってもホンワカとした気持にさせる物語でした。私の父は60代で胃癌でなくなってしまったので、こういう父親を引き取って暮らすことなんてなかったので、もしこういう生活があったとしたらと、考えてしまいました。それに、一緒に暮らしているのが20歳も年上のバツイチの伊藤さんという、少しオジサンが入っている男。20歳も年上の男の人に惹かれるのは、彼女にファザコンがあるのかもしれないと思った。

ですが、この作品の彼女は34歳で結婚も考える年頃なのに、何となく一緒に暮らすようになり、喧嘩もしないで毎日がのほほんと過ごせるし、飄々とした人柄だから。過去にどんな暮らしをしてきたのかよく分からない謎めいたところがあるが、およそギラついたところがないのがいい。仕事は小学校の「給食のおじさん」だと自分でいう。

というのも、20歳も年上の男だと、生活のノウハウも知っていて、女の好みにも合わせて、朝飯を作って先に仕事へ行くし、洗濯、掃除とか何でもするし、それに彼女の神経にさわることなんて言わないし、嫌いになるようなこともしない。
何しろ、小さな庭で野菜つくりをするのが趣味。花ではなくて、ナスやきゅうりにトマトを作っているのが面白い。リリー・フランキーさんがこの伊藤さんをゆったりと演じていて、映画全体に温かみを与えてるのがいい。

そこへ、兄のところへいた父親がやって来て一緒に暮らすことになるのだが、どうも兄嫁とうまくゆかなくなり転がり込んできたのだ。父親には藤竜也さんが扮しており、小学校の教師をしていたらしく、口やかましく何かと細かく注意をするのがたまにキズである。年寄りだから、晩飯のおかずがトンカツという、脂っこいものは苦手なのだが、それでも出された中濃ソースに文句をつけて、トンカツには“ウースターソース”だと妙なところにこだわる。それに、柿を食べようとすると、柿なんてものは、買ってくるのもじゃない。近所の柿の木から取って食べるもんだと言うのだ。
本屋のバイトをしている娘に、「正社員じゃないのかな、再就職しようとおもわないのかな」と小うるさく言うし、ビールをよく飲む娘に「みっともないんじゃないかな」とか、余りキツク言う言葉には聞こえないのだが。それでも娘には鬱陶しい存在なのだ。

このお父さんが、実は万引きの常習犯で警察のやっかにになる。引き取りに行くも、お兄さんは知っていたらしく、そのことをどうして妹に言わなかったのだろう。家に居候する時に小さな段ボールを大事そうに抱えてきた。その中には何が入っているのだろう。「きっとお母さんからのラブレターだよ」「いや、貯金通帳か金目のものかもしれない」なんて兄妹で詮索する。

その段ボールの中身を知る時がくるのだが、それは父親が万引きをして警察に捕まり、その後に娘の家にいずらくなり家出をしてしまう。何処へいったのかと、伊藤さんが知人に頼んで調べてもらうと、父親の実家へ帰っていたのだ。父親にしてみれば、子供たちに疎んじられて行くべきところは、実家なのだ。そこは兄貴が亡くなり空き家になっていた。

子供のころによく父親に連れられて、遊びにきた思い出のある田舎の古い家。庭の真ん中に大きな柿の木があった。懐かしい古びた我が家で、余生を暮らしたいと思ったのだろうが、老人一人をここに置いておくわけにはいかない。兄妹で相談しても、どちらが引き取って面倒を見るかと迷ってしまう二人。
次の日は、ゲリラ豪雨で大荒れの天気、庭の柿の木にカミナリが落ちて燃えてしまう。それに燃えた木の枝が折れて、古い民家まで飛び火してしまい、お父さんの実家は丸焼けになってしまった。
その時に、父親が大事な段ボール箱を探しているのを見つけるも、箱が破れて中から大量の“ティースプーン”が飛び出すのだ。何故に大事にしまって置いて、これが、万引きをしたスプーンだとは思いもよらなかった。

そうこうするうちに、父親は自分で有料の老人ホームを見つけて来て、退職金と田舎の家を売った金で老人ホームへ入ることを決めてきたと言うのだ。子供たちに残す金を、全部老人ホームへ入る資金にしてしまったことを詫びる父親。まさに、これからの老人たちは子供の世話にならずに、自分で終の棲家を探すことなのだ。
元気なうちに、ボケないうちに、自分の最後の住処を見つけるということは、何か自分にも当てはまるような、そんな気もしないではない。考えさせられる思いであった。

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永い言い訳 ★★★・5

2016年10月20日 | アクション映画ーナ行
「ディア・ドクター」「夢売るふたり」の西川美和監督が、直木賞候補ともなった自身の同名ベストセラーを映画化したヒューマン・ドラマ。妻が不慮の事故で亡くなったにもかかわらず悲しむことができなかった主人公が、同じく事故で妻を亡くした男性とその子どもたちと出会い、彼らとの思いがけない交流を通じて改めて妻への愛と向き合い、人生を見つめ直していくまでの揺れる心の軌跡を、ユーモアをちりばめつつ、切なくも温かなタッチで綴る。主演は「おくりびと」の本木雅弘、共演にミュージシャンの竹原ピストル。
あらすじ:人気小説家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)の妻で美容院を経営している夏子(深津絵里)は、バスの事故によりこの世を去ってしまう。しかし夫婦には愛情はなく、幸夫は悲しむことができない。そんなある日、幸夫は夏子の親友で旅行中の事故で共に命を落としたゆき(堀内敬子)の夫・大宮陽一(竹原ピストル)に会う。その後幸夫は、大宮の家に通い、幼い子供たちの面倒を見ることになる。

<感想>西川美和監督の最初に観た「ゆれる」(06)は衝撃的でした。次の「「夢売るふたり」(12)「ディア・ドクター」はそれなりにと、本作ではこいう男は本当にいると思うわけで、何だか身近に感じて観てしまった。主人公の衣笠幸夫に本木雅弘が演じていて、彼の「おくりびと」は厳かで秀悦でした。それに、宮沢りえとのお茶のCMもいい。最近では「日本のいちばん長い日」での昭和天皇・現人神の役である。そういえば、是枝監督の「そして父になる」と類似しているかもしれない。

今回、そんな本木雅弘が演じるのが、どこにでもいる普通の男で夫である。タイトルからして「永い言い訳」であり、しかも長いではなく“永遠の永い”も、主人公の幸夫の人生そのものを示しているのだ。それに幸夫はどの男でも持っているような自意識過剰、当惑、混乱、自虐、と人間の危うさが満載だし、さらには、結果としてこの主人公は自力では変わっていけずに、周囲の人間たちの関わりによって、わずかに差した光のようなものに気づかされていくという、その辺の情けないリアル感が中々到達しない感じも、そんな自分の素に近い人間を演じる本木雅弘の本人と被って見えた。

冷たい言い方をすれば、男の人って、夫婦生活が長すぎると妻に対して愛情とかは持っていないらしく、この映画の夫みたいな人が多いからだと思う。この映画の中での幸夫は、妻が美容院を経営しているせいか、生活面でもおんぶに抱っこで、髪結いの亭主気取りである。だから、妻が友達と旅行へ行くのにも、それをいいことに、愛人を家に入れて情事にふけるのだ。その愛人のこともすでに妻はお見通しなのに。
だからなのか、妻が亡くなり葬式にも涙することなくあっさりとした感じがする。死んだ妻にいくらか未練はあったのだろうか、二人だけの懐かしい思い出に耽るシーンはない。だから、本木雅弘が演技とはいえ、十分にいけ好かない嫌な男を演じていた。

子供のいない幸夫は、事故で亡くなった妻の友人夫婦の2人の子供の世話を引き受けることになるのだが、それが実に面倒見のいいお父さんになっていた。本当だったら、夏子との間に1人ぐらい子供がいても良かったのに。きっと幸夫にとっては、妻の夏子に対する贖罪だったに違いない。

本当に一生懸命に子供たちの世話をする幸夫には感心させられました。幼い娘の灯にしても、エビ・カニアレルギーということも知らない。普通ならファミレスでいいのに、自分がいつも言っているお高い、フレンチ・レストランに大宮家族を連れて行き、娘がアレルギー症状を起こして大変なことになる。

2人の子供たちの世話を買って出る幸夫は、今までにない生活と一変してか、頑張るのだ。それに、息子の勉強のことも、塾通いを止めるように父親から言われてしょんぼりしていると、幸夫が「俺が応援するから高校だって、大学だって行け」と息子と父親に言う。これは、自分よがりで、よく他人の家庭環境も考えていないのだ。確かに、息子は父親の職業をバカにしていて、自分は高校にも大学にも行きたいのだから。

しかし、このことは自分の家の家族のことではないし、父親がトラックの運転手という職業なので、夜勤もあり金銭面でも無理ということも。この家族にあまり深入りしない方がいいと思った。ですが、幸夫は誰かに必要とされる喜びを知り、至極ご満悦に浸っているふうもあるのだ。
ですが、案の定、初めは子供たちも喜んで幸夫を迎え入れた。それが、だんだんと親切なオジサンから、当たり前のような慣れになってくるのだ。家の掃除に洗濯に買い物と炊事。自転車で娘を保育園へ連れて行き、息子も塾通いにバスで行き、帰りはバス停まで迎えに行く幸夫。

しかし、良いこともある。みんなで海水浴へ行った時、こういう行事なんて無かった幸夫には、物凄く幸せな気分になり、優越感に浸るのだが、子供は正直で父親のところへと抱き着いて行くのだ。幸夫と夏子は2人で海水浴なんて行ったことがない。その浜辺に妻の夏子が子供たちと立っている幻覚を見る幸夫。

それに、いつまでも2人の子供の面倒だって見れるわけではない。それが、娘の保育園の関係で、吃音の女性(山田真歩)が大宮に好意を持ち、家まで来てこれからは灯ちゃんを家で面倒を見ると言い出す。それに対して、「今までしてきた俺の立場は」とか、嫉妬なのか喧嘩をしてそれっきり大宮の家には行っていない。

大宮だって、亡くなった妻の”留守電”を大事そうに寂しくなると聞き直すのだ。愛していた妻を忘れるわけにはいかない。だからすぐに結果を出すわけでもなく、そのまま2人の子供を抱えてトラックの運転手を続けるわけで、息子は塾に行くどころか、妹の世話と家の洗濯、炊事と小学生なのに大変なことになっていた。それに、父親が交通事故を起こして入院ということに。これをきっかけに、幸夫は大急ぎ駆けつけて、前みたいに家族の世話に大忙しである。
最後には、悪いことばかりではなかった。この映画のタイトルの「永い言い訳」という小説を書き文学賞を受賞するのだ。妻に対しての長い言い訳を書いた小説のようだ。大宮家の家族と共に、幸夫も成長して、妻が残した携帯のメッセージ「もう愛してない ひとかけらも」の文字に、何故か涙が込み上げてくる私だったのだが。

編集担当者岸本には、最近良く出ている池松壮亮の「奥さん亡くなってから、ちゃんと泣きましたか?」と言われて、お前に何が分かると憤慨する幸夫。
妻の深津絵里さんは、冒頭の短いシーンだけでしたが、幸夫の浮気も十分に知っていて許していた。それに甘えていた幸夫。さすがに演技の巧い女優さんだと感心させられました。愛人の黒木華さんもベッドシーンが異様にエロかったし。この大宮家の家族と暮らして、幸夫が妻にしたことへの償いをして成長したようにも取れた。

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HiGH&LOW THE RED RAIN ★★★

2016年10月19日 | アクション映画ーハ行
EXILE TRIBE による、ドラマやライブなどをメディアミックスプロジェクトとして仕掛ける企画の映画第2弾となるアクション。他を圧倒する強大な力で街を支配していた「ムゲン」と互角に渡り合った雨宮兄弟と、彼らの兄の謎を描く。雨宮3兄弟を演じるのは斎藤工、TAKAHIRO、登坂広臣。監督は『極道兵器』『珍遊記』などの山口雄大。彼らの固い絆と、ド迫力のアクションシーンが見どころ。
あらすじ:かつてSWORD地区を支配していたチーム「ムゲン」にも劣らない強さを誇った雨宮兄弟。その雅貴(TAKAHIRO)と広斗(登坂広臣)は、1年前に行方知れずになった兄の尊龍(斎藤工)を捜していた。両親の命日に、尊龍の行方を知っているという人物が現れる。尊龍失踪の背後にはある目的を遂行しようとする人間たちがいて、さらに3兄弟の過去に隠された秘密も関係していた。

<感想>青春群像劇として多数のグループが入れ乱れていた前作の映画までの流れとは一線を画し、今回の「THE RED RAIN」と、雨宮三兄弟が主役の映画となっていますが、謎に包まれていた雨宮兄弟の背景を主人公として掘り下げていく映画でもあります。

その真ん中に立っているのがTAKAHIRO扮する雅貴であり、ぶっきらぼうの弟、登坂広臣扮する広斗や弱いものを守るために、我を忘れて本気で闘う男として魅力がダイレクトに投影されている。登坂広臣扮する広斗は、父親の再婚相手が連れてきた少年であり、初めは長男の尊龍と雅貴に懐かずに独りぼっちで行動していたが、両親が首つり自殺をしてから3人は力を合わせて生きてきた。

「THE MOVIE」では、女性から見て少年ぽい可愛さが感じられるも、そういう雅貴の愛すべきキャラクター性が抜群に発揮されているシーンでは、無名街での女性をかっこよく助けた後、バイクがレッカーされてしまうシーンなど、特に面白かったです。

今回は、特に長男、雨宮尊龍(タケル)に斎藤工を迎え、最強の三兄弟が実現して、斎藤工は先輩俳優として、立ち居振る舞いだったりとか、スイッチが入ると目の色を変えて役に徹するところなど、長男としての演技の幅を見せてくれました。フィリッピンロケでの撮影の中、高速道路を貸し切ってのバイクチェイスが凄かった。これは日本では撮るのとはまったく違う画が撮れていると思う。

タイトルの通りに、「THE RED RAIN」の中では、TAKAHIROの雅貴は雨のなかずぶ濡れで立ちすくみ、登坂広臣(三代目J Soul Brothers)の広斗と長男の斎藤工の尊龍は、女性をきつく抱きしめており、3人の切なげな表情から熱演ぶりが伝わってきます。

幼い頃に両親を亡くした三兄弟の絆は固く、尊龍は弟たちに「拳は、大事なもんを守るために使え」と言い聞かせていた。

しかし一年前、尊龍はふたりの前から突如姿を消してしまう。実は、両親の死に不信感を持ち、地上げ屋と何か関係があると睨んだ尊龍は、九龍グループに潜入しており、白いスーツのヤクザ九龍グループの上園、演じているのが石黒賢であり昔よりかなり貫禄が付いている。

それから弟たちは兄の行方を探し続けていた。 ふたたび巡ってきた両親の命日。尊龍が現れることを期待して、雅貴と広斗は家族の墓を訪れるのだが、そこに現れたのは兄の行方の手がかりを持つ謎の少女・成瀬愛華(吉本実憂)だった。

彼女は、九龍グループの弁護士をしていた父親の娘であり、上園会の秘密情報が入ったUSBを持っていることから上園に殺されて、長男の尊龍に助けられたのだ。

カジノの建設予定地をSWORD地区に定め、上園会と秘密裏に手を結びカジノ推進法案を可決するため画策をはかる男、政治家の篠原には長谷川初範が。カジノ計画を阻む有力者のリストを上園に渡す。それが彼女が持っていたUSBに入っていたのだ。

雨宮三兄弟は、上園会の運び屋の仕事をしていたが、上園会と秘密裏に進めているカジノ計画実現の為、尊龍が上園会へと潜入開始する。両親の敵討ちのために、3兄弟が力を合わせて復讐を誓うのだ。
結局は、上園に潜入捜査のことがバレてしまい、長男の尊龍が銃撃されて死亡してしまう。それを見届けた2人は、両親の復讐とばかりに上園を倒すべく乗り込むのだが、・・・。USBは上園の手に渡るも、ファイルを開けると自然に削除されていくという。それを見て、九龍の妻が「とっとと、ガキ束ねて来んかい」と啖呵を切る女に、飯島直子がちょこっと演じていた。九龍の親分黒崎には、岩城滉一が着流し姿で凄みがあります。

USBをPCで開くのに、岩ちゃんの組織で凄腕ハッカーの女がいるというので解読させるのに、ちょこっと岩ちゃんが出てきます。
そしてラストは、生き残った雅貴と広斗がアイスを食べながら、ソーダ味とグレープ味を仲良く交換をしながら舐めあい、USBは一番信用のおける人に頼んだ、・・・と言うことで、琥珀(AKIRA)の登場となる。ということは、続編ありですね。

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淵に立つ ★★★

2016年10月18日 | アクション映画ーハ行
ほとりの朔子などの深田晃司監督と、『私の男』などの浅野忠信がタッグを組んだ衝撃のヒューマンドラマ。ごく平凡な夫婦の前に突然ある男が現れたことにより、平穏だった日常に不協和音が響き始める様子を描き出す。『かぐらめ』などの筒井真理子と『下衆の愛』などの古舘寛治が夫婦を熱演。不可解で深淵なテーマに切り込んだストーリーに心揺さぶられる。
あらすじ:鈴岡家は郊外で小さな金属加工工場を営み、夫の利雄(古舘寛治)と妻の章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)は穏やかに暮らしていた。ある日、利雄の古い知り合いで、最近出所したばかりの草太郎(浅野忠信)がやってくる。利雄は妻に何の相談もなく彼に職を与え、自宅の空室を提供する。

<感想>静かに暮らすどこにでもいるような夫婦。そこへある日ふらりと、謎めいた男が一家を訪れる。主人の旧友である男は、殺人を犯して刑務所から出てきたばかり。何故に夫のところへ尋ねて来たのか、妻は訳が分からないまま日にちが過ぎてゆく。

それでも、八坂は真っ白いワイシャツを着て、作業衣も真っ白で家業を手伝い、彼の無口で清潔な性格が妻の章江には好感が持てた。それに、娘の蛍に懐いてオルガンを教えるところも、章江には好印象を与える。
八坂が刑務所に入った理由は、殺人罪だが夫も共犯だったということを知らされ唖然とする妻。それでも、娘のオルガンの発表会のために、真っ赤なドレスを自分で裁縫して夜なべをして作った。それを嬉しそうに八坂に見せにいく妻の章江。

そして、みんなで川遊びに出掛けるのだが、そこでも夫と娘が昼寝をしている間に、抜け出して隠れてキスをする2人。まるで恋人みたいに。周りには真っ赤な花が咲いていた。帰ってから、4人で川の字になり寝そべって写真を撮るのだが、これもまるで家族のように映る。

一緒に寝起きして、朝ごはんを食べ夕ご飯を食べる同じ家の中で、自然と家族に溶け込んでいく八坂。しかし、だんだんと判ってくる八坂の本性というか、女の隙を狙って唇を奪い、体をも奪って来る。妻にしてみれば、夫婦生活が無いも同然だったに違いない仲で、夫の友人という男らしい八坂に好意を持ち始めていただけに、つい魔がさしたようでもある。
後半からは、オルガンの発表会に来ていく真っ赤なドレスを、近所の友達に見せびらかしにいくと出ていく娘。そして、夫もたばこを買いに出かけた後、八坂は真っ赤なTシャツを着て、台所にいる妻の章江を襲う。まるで野獣のように。寸でのところで、章江が八坂を押し倒して拒絶する。八坂が家を出ていくのだが、娘の蛍が帰ってこない。夫に近所まで探しに行かせると、公園で娘が頭を打ち倒れていた。それを境に八坂も姿を消すのだ。

その8年後は、興信所を使って八坂を探すも見つからず、知り合いのツテで若い山上孝司という男が、金属加工工場を手伝う。その孝司が、18歳になり全身麻痺となった娘の蛍に興味を持つ。

その若い山上孝司の素性を知り、あの八坂の息子だったとは。夫と友達の八坂が犯した昔の罪が、八坂だけが一人で罪を被って刑務所へ入り、夫は家業を継いで結婚もして、子供までもうけて幸せに暮らしていることに、八坂は腹が立ったらしいいのだ。
しかし、この映画の中でも真っ赤な色が人間の欲情を表していて、八坂の来ている真っ赤なTシャツに川遊びでの真っ赤な花。それに、仕返しのつもりなのか、幸せな家族に水を刺すように、真っ赤なドレスを着た娘に悪戯でもしたかのようにもとれる。最後の妻と娘が川に飛び込むシーンでも、八坂が真っ赤なTシャツを着て立っていた。
因果応報、ここでも昔の自分の罪が、後で返ってくるということなのか。だが、自分だけなら仕方がないのかもしれないが、二人の子供にも罰のように返ってくるのはどうかと思う。妻の章江も夫に対しての腹いせなのか、女としての欲情なのか知らないが、ラストが余りにも悲惨で子供たちが可愛そうである。

妻の章江役の筒井真理子さん、前半部分と後半では長い髪を切り、撮影の3週間で13キロ体重を増減してぽっちゃり姿で登場している。それに、18歳になった娘の蛍を演じた篠川桃音さんは、難しい障がい者の役を演じて良かったです。もちろん、八坂草太郎の浅野忠信さんは、インパクトのある冒頓として男から野獣のような男に変わる演技も。
それでも、全編を通して夫の利雄役を演じた古舘寛治さんの、無口で卑怯な男を演じて何事も反省してないような。タイトルの「淵に立つ」というのは、もしかして妻と娘ではなく、夫だったのではなかったのか。ラストの出来事に、一番に自分が死ななければならなかったはずなのに、家族が壊れてしまい、八坂の息子までもが巻き添えをくってしまったような感じに、観ていて苛立ちを覚えてしまいました。

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何者 ★★★

2016年10月17日 | アクション映画ーナ行
人気作家・朝井リョウの第148回直木賞受賞作を「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「愛の渦」の三浦大輔監督が、実力派若手俳優の豪華共演で映画化した青春ストーリー。SNSが大きな役割を果たす現代の就活事情を背景に、情報交換のために集まった5人の若者たちが互いに励まし合いながらも、過酷な就活競争の中で嫉妬や焦燥に振り回されていく悲痛で赤裸々な人間模様をリアルなタッチで描き出す。出演は佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之。

あらすじ:大学の演劇サークルに情熱を注ぎ、周囲を冷静に観察・分析する拓人。拓人のルームメイトで、バンド活動をしている天真爛漫な光太郎。その元カノで拓人が秘かに思いを寄せ続ける真面目女子の瑞月。瑞月の友人で、偶然にも拓人たちの部屋の上に住んでいた意識高い系女子の理香とその同棲相手で画一的な就活に否定的な隆良。彼らは、ひょんなことから理香の部屋を“就活対策本部”と名付け、情報交換のために定期的に集まるようになる。大学院生のサワ先輩に見守られ、それぞれに内定を勝ち取ろうと悪戦苦闘する5人だったが…。

<感想>「桐島、部活やめるってよ」の、朝井リョウの2013年直木賞受賞作を、三浦大輔監督が脚本・監督したもので、5人の大学生たちがシビアな就職活動を通して変化していくSNS世代の、大学生たちの心情と人間模様を描いた青春群像劇である。主役級の若手俳優をずらりと揃えたキャストは、演劇サークルの脚本書きとして活動している拓人役に佐藤健が扮して、冷静な観察者として仲間の行動にツッコミを入れるのが何ともリアルであります。
就活大学生の群像劇と見せかけつつも、実は、演劇を諦めた台本作家・拓人と彼の元相棒、烏丸ギンジ(演出家で活動を続行中)の葛藤がキーのようにもとれた。相棒は顔も現れないが、それよりも逆に、彼が拓人のオルターエゴであることを明示する。

これは拓人が、ツイッターやSNSを駆使して“本音と建て前の使い分け”にあり、別のアカウントを作り本音を言い、自分の中にいろんな自分を気軽に作り出せることに恐怖を感じるし、二階堂ふみに指摘され落ち込むところも。本当に思っていることならば、同じアカウントで言えばいいのにと思うのだが、そういう自分の悪いところを直視できないという弱さがある。本心では編集の仕事に就きたいと思っているので、出版社を多数受けているも全部不採用の通知が来るのにがっかり。

光太郎の元カノの瑞月に有村架純が扮しており、彼女が自分たちのアパートの上の階に住んでいることを知り、瑞月のことを好きな拓人は喜んで仲良くなってしまう。だが、瑞月はまだ光太郎のことが好きなのだ。ボランティア、OB、OGの訪問。様々な切り札を駆使しつつも就活はうまくいかないことが多々あるのだ。

その他に、二階堂ふみ演じる帰国子女で意識が高い系の女子の空回りっぷりとか、その恋人で同棲している岡田将生、彼は芸術家気取り屋で、内心の焦りを見せたくない空想クリエイターでもある。

その他に、菅田将暉のバンドのボーカルの光太郎に扮して、茶髪から黒髪に短く変身して就活を始める清々しさもいい。それに大学院生のサワ先輩の山田孝之。

彼らはそれぞれにSNSに想いや悩みを綴るも、そこに書かれているのは果たして現実なのか、本音なのか。そこで初めて他人の生活を見られるようになり、他人が自分よりも幸せそうだったり、充実していることに対して嫉妬したり、これはそのまま舞台劇としてのせられるのだ。というよりも、これは監督の専門職だから舞台の趣向が映画の中に侵入する構成がトリッキーに見えた。

初めは若さゆえか、同じ部屋で仲良く就活の話をするようなそぶりも見せるが、だんだんと一人づつ内定が決まり焦っていく自分は孤独を覚える。
だからなのか、お互い腹の探り合いをしているかのような、嫉妬や嫌悪感が露わになっていく。それは、若さゆえの痛さであり、現代的でありながらも普遍的な人間の感情が描かれているようです。
私は、1番希望の大企業の内定が決まったのに、父親の反対を受けて断念して仕方なく2番手の商社に就職した。だが、やっぱり自分には向いてないと辞めてしまった。それからが大変だったことは、今にして思えばいい経験であったと思う。まぁ、その当時では、女子は最終就職は結婚ということで、付き合っていた彼と結婚してしまったのだから。

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彼岸島 デラックス ★★

2016年10月16日 | アクション映画ーハ行
松本光司の人気コミックを基に、白石隼也、鈴木亮平らの共演で映像化したテレビドラマの劇場版。吸血鬼の伝説がある“彼岸島”を舞台に、島に兄を捜しに行く弟と仲間たちが化け物との壮絶な戦いを繰り広げる。ドラマ版より白石と鈴木、遠藤雄弥、阿部翔平らが続投、「師匠」の声を担当する石橋蓮司のほか桜井美南、森岡龍らが新キャストとして加わる。監督は『猫侍』シリーズなどの渡辺武。巨体の師匠の丸太さばきや怪物たちとの迫力満点のバトルが見どころ。

あらすじ:生還した者は皆無といわれる“彼岸島”。吸血鬼伝説が残るこの島で禁断の封印が解かれ、吸血鬼や邪鬼(おに)と呼ばれる巨大で異様な化け物が出現し、島民は危機的状況を迎えていた。そんな島に明(白石隼也)は、行方がわからなくなった兄の篤(鈴木亮平)を捜すために、仲間たちと向かう。明たちはレジスタンスと一緒に化け物とバトルを繰り広げ……。

<感想>漫画もTVドラマも観ていませんが、気になって鑑賞。しかし、「GANTZ:O」の後に鑑賞したので、妖怪や巨大な化け物がチンプ見えて仕方がなかった。タイトルがデラックスとなっているためか、たくさんの妖怪や巨大怪獣がわんさかと出て来るシーンが多すぎです。

そして、洞窟の旧日本軍の跡地、そこから、炭鉱へとトロッコで妖怪と対峙して逃げ惑うのが、まるで「インディジョーンズ」ばりの面白さに驚く。トロッコを追いかけてくる妖怪。巨大怪獣の中で、私的には、頭だけ純和風八の字眉の巨大な顔のおばさん、足いっぱいでムカデ型、真っ白い化け化粧したオバサン顔が付いている巨大ムカデが面白かった。

主人公の弟の明に白石隼也が、兄貴の篤には鈴木亮平が扮して、兄弟なのに兄貴が吸血鬼となってしまい、島に潜んでいた吸血鬼の親玉の雅(みやび)に、栗原類が扮して化粧をして女装しているようで、妖艶で美しかったです。

見どころはというと、日本特有の妖怪、クリーチャーのデザインにも、日本的要素をプラスしており、吸血鬼も帝国陸軍の人体実験経由になっており、衣装は大正ロマン風であります。

やはり妖怪や巨大モンスターと対決するシーンでは、日本製ヒーロー特撮風味が加わっており、主人公の明が「仮面ライダーウィザード」の白石隼也ということもあり、武器は刀でバッタバッタと斬り倒していき、あとは格闘技で見せるという。

それに、時代劇の農民をプラスして、農民たちの武器も和風に刀、槍、弓など。そして原作コミック通りの能面の師匠が丸太で勝負という、それらが渾然一体となって、ド派手なVFXアクション絵巻になっているのだ。

それにしても、次から次へと妖怪やら巨大モンスターが現れて、明が必死に刀で退治をして、村では弱いものが吸血鬼に噛まれてしまうという展開。だんだんと同じような展開なので、飽きてきて眠くなるのだ。
もう少し、物語にメリハリをつけて、巨大モンスターは一番最後に出すとかしないと、またかぁと、ダレてきますから。恐ろしくも、珍しくもなく笑える。

ただし、兄貴の鈴木亮平が吸血鬼となって変貌していき、弟の白石隼也と対峙する場面では、兄弟のどちらかが死ぬとなると悲しくなる。兄貴だって吸血鬼になりたくてなったわけじゃないのに。壮絶なる吸血鬼の兄貴を倒す明のリアクションが良かった。

ですが、親分の吸血鬼・雅の栗原類は美しく、CGとアクションを組み合わせた、本当に邪鬼がそこに存在しているようなリアルさというか、ワイヤーアクションで飛ぶ自由自在の不死鳥の如くに永遠なのだろう。

あり得ないのが、島の能面の師匠が丸太で勝負という場面では、丸太が最強の武器だとかたくなに信じて戦っているのに、丸太は折れちゃうし絶対に戦えない状態になるのがあり得ないと思った。
ラストが人間たちが吸血鬼や妖怪に囲まれているし、これじゃあ人間たちは全滅であり、明も吸血鬼の親玉、雅と戦って助からないとくる。残念ながら、実写版の続編に期待するしかない。

ちなみに、「彼岸島」とは、森と海しかない離島という設定であったが、話が進むに連れて炭鉱、樹海や砂丘など様々な地形・建造物が次々登場しており相当に広く変化に富んだ島になっている。元々彼岸島は海底火山で隆起して出来た火山島で、地熱により気温がほぼ変わらず、そのため彼岸花が一年を通して咲いている。因みに、寒気で大雪が降ることもある。そして島の周りは火山で出来た岩礁に囲まれており、港のある海域以外の船での出入りは困難である。

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