パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

エターナル★★・5

2018年02月27日 | アクション映画ーア行

韓国を代表する国際派スター、イ・ビョンホンが、これが長編デビューとなる新人監督イ・ジュヨンの才能を高く評価して主演した異色のラブ・ストーリー。ある日突然、すべてを失った男がある秘密を抱えて辿る切ない運命を描く。共演はコン・ヒョジン、アン・ソヒ。

あらすじ:証券会社の支店長カン・ジェフンは、英語教育のために息子と妻スジンをオーストラリアに留学させていた。しかしある日、会社が不良債権を抱えて破綻してしまう。収入はおろか、地位も信用も一瞬にして失い、打ちひしがれるジェフン。失意の中で妻子のことを思い、彼らが暮らすシドニーへと向かうのだったが…。

<感想>久々のイ・ビョンホンのラブストーリー作品。以前は結構好きな部類に入る俳優さんでしたが、最近は結婚してからアクションも派手に動かないし、昔のラブストーリーでは色っぽい顔をしていたと思う。ちょっとは期待をして鑑賞したものの、冒頭から、証券マンのジェフンの会社が、不良債権を抱えて破綻してしまうショッキングな場面から始まる。

土下座をして顧客に謝る姿、これから自分はどうしたらいいのか、戸惑いながらも、息子の教育のために妻と一緒にオーストラリアに留学させていた。その費用も送金できなくなるし、自分はオーストラリアへ行って何か転職に就くかなんて予想も出来ない。

憔悴の男カン・ジェフンをイ・ビョンホンが演じているのだが、仕事も忙しく食事も適当で夜も睡眠不足というアクシデントが続き、その夜は、お寿司を注文して配達させて一人で2つぐらい食べるも、疲労こんぱいに精神状態も普通じゃなく、医者から貰った睡眠薬を多量に飲み机の上で寝てしまったみたいだ。イ監督によれば「実は、そのシーンの当日か前日か翌日がジェフンの誕生日という設定で、お寿司は、誕生日に食べるはずのものだったんです」とのこと。息子からのバースデーカードを見ながら寿司をつまむジェフン。

そこからが突然、夢の中なのか、一人で家族のいるオーストラリアへと飛行機で向かうジェフンの姿が。自宅のPCでシドニーで妻子が住む家の住所をグーグルアースで検索すると、家の中に入ろうとする妻子の姿が映って見えた。今直ぐに会いたい!

そこへ、荷物も持たずに飛行機で会いに行くのだが、この辺から違和感がありありで、タクシーで家まで行くも玄関のベルを押さずに、家の周りをグルグル回っている。そこへ、妻と息子に、オーストラリア人の男が娘と一緒に帰って来る。それは、和気あいあいで妻も笑顔で楽しそうに見えた。自分が一生懸命に韓国で働いて仕送りしているのに、妻は男とまるで家族のように仲良く笑って楽しそうなのを見て、彼には嫉妬心も芽生える。

毎日のように家族のもとを訪れたジェフンが目撃したのは、現地の男性と寄り添う妻の姿。普通なら堂々と玄関から入り、妻の不貞を解明してもよかろうに。

そして、空港の近くで会うワーホリで働く、若い女ヒッチハイカーの女子学生のアン・ソヒが困っているのを見て、つい力になってあげる。お金も渡すし、友達の家まで付いていくし、その友達はどうやらそういう学生の女の子を騙して、金を吸い上げる専門の悪い男たち。この女の子もオーストラリアのカン・ジェフンの家まで来るのだが、家で飼っている子犬が懐いてるのだ。この女子学生には「新感染 ファイナル・エクスプレス」の女優アン・ソヒが扮している。

夫なのにどうして家の中へ入らないのかに不審感が募る。隣のお婆さんがいう、どうして家の周りをうろつくのかと、まるで泥棒みたいだともいう。そのお婆さんもとっくに亡くなっていた近所のお婆さんなのだ。

泊まるのが、オーストラリアで知り合った韓国の女の子と一緒に安宿へ泊まり込むカン・ジェフン。それからは、毎日のように、妻と息子のいる家へと通うのだが、決して家の中には入らないのだ。息子が病気で、近所に住んでいる男が来て病院へと連れて行く。その病院へも一緒について行き、父親のカン・ジェフンが息子に声をかけて話をする。子供の傍にいるのを見て、まさか息子まで死んでしまうのかと心配した。

ラスト近くで明かされる真実に唖然とする。妻も韓国へ一時帰国を考えていたのだが、現地でオーケストラのバイオリン弾きのオーディションを受けたいと願っている。ということは、将来のことも考えて、オーストラリアが好きになり、息子と共に現地で暮らすことを考えていたのだ。

あのヒッチハイクの女の子も、実はお金をだまし取られ、そのトラブルから殺されて庭に埋められていた。だから、カン・ジェフンもすでに韓国で亡くなっており、飼い犬も死んでおり、死んでしまったもの同士が仲良く出会って天国へと。

奥さんが韓国の夫へ電話しても出ない、不思議に思い管理人さんに頼んで玄関の扉を開けてもらい、中にいる主人のことを知らせてくれと頼む。もうすでに亡くなって1週間くらい経っていたのだろう。

大切なものは、失ってから初めて気づく……亡くなってしまってから、悔いと後悔が残るジェフンに対して、オーストラリアまで飛んでいき妻と息子の生活を見せて上げたのは、神様の配慮なのかもしれませんね。

 2018年劇場鑑賞作品・・・36アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29617710


空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎★★★

2018年02月25日 | アクション映画ーカ行

空海を主人公にした夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を実写化した歴史ドラマ。7世紀の中国を舞台に、遣唐使として同国を訪れた若き日の空海が不可解な権力者連続死亡事件の真相を追う。メガホンを取るのは、『さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)』などの名匠チェン・カイコー。『ヒミズ』などの染谷将太が空海を、『黄金時代』などのホアン・シュアンが彼と一緒に事件に挑む詩人・白楽天を演じる。日中の俳優陣の顔合わせに加え、湖北省襄陽市に建てられた唐の都のセットにも注目。

あらすじ:7世紀、唐の時代の中国。若き日の空海(染谷将太)は、遣唐使として日本から唐へ向かう。密教の全てを会得しようという決意に燃える中、ひょんなことから詩人の白楽天(ホアン・シュアン)と出会う。交流を重ねていく一方、権力者が連続して命を落とす不可解な事件が唐の都で起きていた。その真相に迫ろうとする空海と白楽天だが、二人の前に歴史が生み出した巨大な謎が立ちはだかる。

<感想>弘法大師としても知られる真言宗の開祖・空海が、遣唐使として中国に渡った若き日の姿を描く日中合作の歴史スペクタクル大作。ですが、パンフを見て空海の伝記ものと勘違いしてしまう。僧侶と詩人という不思議な取り合わせの青年が唐王朝の歴史に隠された謎に立ち向かう絢爛豪華な歴史ファンタジーとなってた。

それが実は、楊貴妃と「長安の化け猫騒動」のナゾ解きでした。空海の染谷将太は、中国語を猛特訓してセリフは中国語で演じていたのに、吹き替え版しかなかったのが残念でした。染谷将太の若き空海は、超人的な部分とお茶目な部分がバランスよく演じていて、相棒の白楽天のホアン・シュアンもイケメンな青年であり、この映画の中での空海は必ずしも自ら望んで唐に来たわけでもないし、まだ無名の僧侶に過ぎない。白楽天も決して有名な詩人ではないのだ。

2人の若者が謎解きを通して、人生で最も大事なことを見つけていくという。日中の若手俳優が演じる僧侶と詩人のバディが生き生きとしていて可愛らしい。特に染谷将太が頭の毛を剃って可愛らしいく、空海の超人的な部分とお茶目な部分をバランスよく演じていたと思います。

名匠チェン・カイコー監督が、6年がかりで建築した長安の広大なセットに度肝を抜かれ、エキゾチックな中国の長安や妓楼など、シルク・ド・ソレイユばりの現代風な宴に、楊貴妃の空中ブランコなど。そして金ぴか、真っ赤な贅を凝らした衣装や美術などと絢爛豪華に目が疲れた。

やはり全篇、CGやVFXを使ったファンタジー要素の強い映像になっていて、娯楽性の強い作品になっていた。

この映画の中で描かれている玄宗皇帝と楊貴妃の関係も、人間には裏と表や裏切りがあるのが普通であると考え、白龍たち少年だけがそれを罪悪だと訴え、国のために楊貴妃を殺さなければならなくなり、楊貴妃には首に針を打ち、薬で眠らせて死んだように見せかけるというはずだった。

それが、石棺の中に入れられ埋葬された楊貴妃、皇帝が妖術使いに頼み、楊貴妃を後で生き返らせるという話はなかったということに。生きて石棺の中で苦しみ、息絶えてしまう。

それに兄弟のように育てられた幻術使いの2人の青年、白龍と丹龍。彼らは空中を飛翔し自在に変身する幻術を教えられた。この2人が楊貴妃が落としたかんざしを手にしたことがきっかけとなり、天下の美女と言葉を交わし、生涯の情熱を楊貴妃のために捧げようと誓う。白龍が黒猫に乗り移り、丹龍は別の道を選ぶ。2人が楊貴妃の死後を付き添って見守っているという物語でもある。途中で、スイカ売りの幻術使いが出て来るが、もしかして彼は丹龍だったのではないのか?謎が残る。

玄宗皇帝が楊貴妃を溺愛したあまり「安史の乱」を引き起こしたとされることから、「傾国の美女」ともいわれる。確かに皇帝の寵愛を受けて、とても幸せだったと思いますが、同時に気の毒な女性とも言えます。 

というのも、「一つの王朝の栄枯盛衰を、一人の女性が左右するわけがない」と考えるからであり、楊貴妃が、皇帝の寵愛を一身に受けて、とても大事にされたのに、国が滅びかけると、その罪をたった一人で背負わされてしまったのですから、何だか楊貴妃に同情してしまう。楊貴妃と言えば、“世界三大の美女“と言われるだけあって、楊貴妃役のチャン・ロンロンが本当に美しくて、これでは男たちが放っておかないですよ。

その中でも楊貴妃に恋していたのは、皇帝だけではなく、日本からきた阿倍仲麻呂の阿部寛が、楊貴妃に見とれて愛を囁くのに近づくシーンもある。それに、側近の李白といい、おデブの安禄山までもが楊貴妃の虜になってしまうのだから。

仲麻呂の妻に松坂慶子が扮していたが、ほんのちょっとの出番。

序盤は、楊貴妃と玄宗皇帝に飼われていた黒猫・妖術を使う黒猫に引っ掻き回されます。どうやら楊貴妃の死に関して、恨みある人たちを祟ってたらしいですね。空海はそこでは名探偵であり、彼の鋭敏な頭脳と、達観した世界観のもとに、それまで語ることができなかった歴史の真実が解き明かされていくというのが、この作品の仕組みでもある。

幻術使いが虎や鶴に変身し宙を舞うなど、エキゾチックでファンタスティックであり、魔術的な幻惑の魅力に満ちた作品であり、最後まで夢を見ているようなそんな幻覚も感じました。

 2018年劇場鑑賞作品・・・35アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29613186


レディ・ガイ★★

2018年02月23日 | アクション映画ーラ行

「ストリート・オブ・ファイヤー」「48時間」などで知られるウォルター・ヒル監督が、性転換手術で男から女にさせられた殺し屋の戦いを描くアクション映画。「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが主人公フランク役を演じるほか、フランクを女に変えた女性医師役で「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが出演。

あらすじ:銃撃戦によって意識を失った凄腕の殺し屋フランク・キッチンは、見知らぬベッドの上で目が覚める。全身に巻かれた包帯を取り去り、鏡を見たフランクは、自分の姿がまぎれもない女に変貌していたことに驚愕する。フランクは正体不明の女性医師によって性転換手術を強行されており、しかも、それが医師のフランクへの復讐を意味しているという。大切なものを奪われたフランクもまた、自身の姿を男から女に変えた者への復讐を開始する。

<感想>プロの殺し屋フランク・キッチンという男に、あの「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが2役を演じている。さすがに男役作りは、口髭をつけて、もみあげとかで、歩き方なども男っぽくして、でもすぐにミシェル・ロドリゲスだということがバレてしまう。

アクション編では、殺し屋フランクが拳銃であっと言う間に数人を撃ち殺してしまう、女性になっても同じく、あっという間に殺してしまうので、アクションといっていいのか、カンフーとか屋根づたいに走る飛ぶ、悪党を投げ飛ばすとか殴る蹴るとかなんてアクションはありませんから。

殺し屋フランクの時に、女性医師役のシガニー・ウィーバーが、彼女の遊び人の弟を殺したという復讐心から、フランクを彼女の整形技術でもって、全身を男性から女性に変えてしまったというわけ。

つまりは最近ゲイの男が性転換手術で、下半身も切って女性器を作り、胸もシリコンをいれて膨らませる。そして、顔も女性らしく整形するのが見られるので、何とも思わなかった。

ただし、フランクは激怒してどうして女に整形をしたのかと、下半身まで取ってしまい、女性器を作るなんてと怒り心頭なのだ。自分が望んでいない女の身体で生きなければならない“生き地獄”を味わわせるという過酷な復讐。

自分をこんな体に改造したシガニー女医に、復讐の鬼と化したフランクは女アサシンとなる。でも、自分の身体をカガミに写して驚くシーンでは、スッポンポンでナイスバディを披露してくれました。

しかし、その体でホテルで養生していると、そこへ殺し屋がやってくるという。それに、男のフランクの時に、バーで売春婦をホテルまで連れて来て意気投合して、その女性が電話番号を教えてくれた。

フランクは手術した後で、彼女に電話をするも、「驚くなよ、性転換手術をされてしまった」と電話をする。すると、彼女は受け入れてくれ、女の部屋に匿ってくれた。だが、その彼女も実は看護婦であり、女性医師役のシガニー・ウィーバーの回し者だったというのだ。これは後で知ることになり、彼女も殺されてしまうので、遠くへ逃がしてやることに。

その前に、シガニー・ウィーバーが精神病院に隔離されているところから始まる。シガニーの担当医師であるDr.ガレンは、TV番組で見た「名探偵モンク」シリーズのトニー・シャルーブが演じてました。

マフィアのボス、オネスト・ジョンにはアンソニー・ラパリアが扮していて、その子分の中にデブ男がいるも、フランクの手にかかるとすぐに死んでしまう。シガニー整形女医と平行して進むフランクの復讐劇です。

フランクが闘犬で傷ついた犬のポンチョを引き取り、可愛がるところは自分も傷つき一匹オオカミであり、寂しくてポンチョと仲良く生きようをする。

シャーリー・セロンの「アトミック・ブロンド」で、キレキレのアクションと比較すると、なんだか拍子抜けしてしまった。そんなにアクションに期待するとがっかりしますから。

ラストでは、憎きシガニー整形外科医への復讐には、またもや精神病院へ逆戻りになっており、シガニー女医が手術するにも両手の指が無いってことになっているのもニヤリとし、今度はそこから出られないという展開になるほどと。

フランクは、自分の身体を元どおりに手術することを頼むのですが、一度性転換手術をしたものは、元通りにはならないということで、あきらめて女として生きる覚悟をします。

2018年劇場鑑賞作品・・・34アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29608445

 


羊の木★★★

2018年02月21日 | アクション映画ーハ行

山上たつひこといがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞(マンガ部門)に輝いた問題作を、アレンジを加え実写映画化。殺人歴のある元受刑者の移住を受け入れた町を舞台に、移住者の素性を知らされていない町の人々の日常がゆがんでいくさまを描く。『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督がメガホンを取る。お人よしな市役所職員を錦戸亮、彼の同級生を木村文乃が演じるほか、元受刑者役で北村一輝、優香、松田龍平らが出演する。

あらすじ:刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる。市役所職員の月末一(錦戸亮)は彼らの受け入れ担当を命じられるが、移住者たちの過去を住民たちに知られてはならないという決まりがあった。やがて、全員に殺人歴がある犯罪者を受け入れた町と人々の日常に、少しずつ狂いが生じていき……。

<感想>過去に殺人を犯した6人もの元受刑者たちがやって来る。静かに、しかし確実に何かが狂い始める小さな町。6人の元殺人犯たちは、顔見知りのいない新天地で更生を果たすことができるのか?__。飾らない魅力で演じきる市役所職員の錦戸亮は、前に『県庁おもてなし課』(2013)でも頑張って公務員を演じていたが、今作でも同じくお人好しな公務員を演じさせたら、なるほどと思うほどのハマリ役の錦戸亮くん。

作品はサスペンスの要素が大きく、画面に緊張感があります。シリアスな社会的テーマを内に秘めながら、月末や、文、宮腰らの恋と友情の物語としてストーリーは進んでいく。

前科がある6名を受け入れた魚深市。杉山勝志(北村一輝)は釣船業者として働きながら、今後10年間魚深市に住まなければいけないことに不満を抱えています。スタイル抜群で危うい色香を漂わせる太田理江子・優香は、介護士として働き、その介護施設に通っていた月末の父・亮介と知り合います。2人はすぐに惹かれあいキスキスの連続で、ブチューと激しいキスに驚かされます。ですが、理江子の過去には夫とセックスをしている最中に首を絞めるよう頼まれ、勢い余って夫を絞め殺してしまったという過去があります。

極端に無口で地味な栗本清美・市川実日子は、清掃員として淡々と仕事をこなし、死んだ生き物を庭に埋めて1人静かに暮らしている。彼女の過去は、夫が酒乱でDV癖のあった夫を、寝ているところを襲い、殺人を犯した罪がある。

 常にびくびくとしている福元宏喜・水澤紳吾は雇われた床屋のオーナー雨森・中村有志からその腕を認められていましたが、過去にナイフで上司の首を切って人を殺していたため、そのことがトラウマとなっているようです。

寡黙で従順だが顔に大きな傷跡がある元ヤクザの大野克美・田中泯は、組織から足を洗いクリーニング屋でうだつの上がらない日々を送っています。クリーニング店の主人には安藤玉恵が、上手い。威圧的でチャラついた態度を取る杉山・北村一輝が扮していて、何か起こらなければいいがと不安になって来る。

唯一天真爛漫な宮腰の松田龍平は、仕事ぶりは真面目であり、月末の心を和ませてくれる。次第に二人の間に友情めいたものが生まれ始め、月末のバンドの練習に参加するなど新しい趣味を見つけていました。

そんな折、かつて月末が想いを寄せていた同級生でバンド仲間だった文・木村文乃が都会から帰郷して、またバンドに入る。この文ちゃんのエレキギターには煩くって、ただガンガンとギターかき鳴らしているだけ。宮腰が文に恋をして、それに気づいた月末が失恋するというような。

そして、魚深市のお祭り“のろろ”さまが開催され、男たちが準備におわれるのだが、「のろろ祭り」とは海から来た悪霊のようなもので、その日は強風が吹き旗が倒れそうになったり、海が荒れて波が打ち寄せたりと、荒々しい嫌な感じになっていく。

この祭りではのろろの言い伝えがあり、生贄として岬から2人が荒海に身を投げるという、断崖の下は岩だらけで落ちたら、1人は助かり1人は助からないという言い伝えがある。高台に祀ってある「のろろ」様は何か不気味な顔をしたものに見えた。

宮腰が北村一輝が演じている杉山を車で轢き殺し、その後に断崖から宮腰と月末が飛び降りることを宣言するのだ。本当に飛び込むとは、死の恐怖はなかったのか?

大人しい顔した松田龍平の宮腰は、何故に刑務所に入ってのか。それは街ですれ違った男に喧嘩を吹っ掛けられて、相手を殺してしまったというのだ。判決は過剰防衛っで1年半の刑務所暮らし。だが、その他にも、宮腰は、未成年の時に人を殺して、少年院送りになるという過去があり、それは実刑判決を下されたそうです。柔和な顔した男ほど、短気で切れたら何をするか分からない。

2人が断崖から海へ飛び降りた時に、のろろ様の首が取れて落下して海の中の宮腰を直撃するのですから。ともすれば重くなりかねないドラマに、「のろろ」さまという祀りものが、恐ろしさを生み出しているようにみえた。

元殺人犯たちそれぞれのエピソードも、終盤で事件を起こす2人以外は地に足が着いていて、特に田中泯と水澤紳吾の話が良かった。

2018年劇場鑑賞作品・・・33アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

 トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29603883


花筐/ HANAGATAMI★★★★

2018年02月20日 | アクション映画ーハ行

『彼女が結婚しない理由』『SADA 戯作・阿部定の生涯』などの大林宣彦監督が、『HOUSE ハウス』より前に書き上げていた脚本を映画化。戦時下を生きた佐賀・唐津の若者たちを描く。主演は『その日のまえに』などで大林監督作品に出演している窪塚俊介。主人公が憧れる美少年に満島真之介、病を患うヒロインに矢作穂香がふんするほか、門脇麦、常盤貴子、武田鉄矢、片岡鶴太郎、高嶋政宏らが顔をそろえる。

あらすじ:1941年春、叔母(常盤貴子)が生活している佐賀・唐津に移り住んだ17歳の俊彦(窪塚俊介)は新学期を迎え、美少年の鵜飼(満島真之介)やお調子者の阿蘇(柄本時生)らと勇気を試す冒険に熱中していた。肺病に苦しむ従妹の美那(矢作穂香)に恋する一方、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)とも仲がいい。そんな彼らに、いつしか戦争の影が忍び寄り……。

<感想>今年に入ってやっと東北でもミニシアターにて上映された。期待して鑑賞したが、檀一雄の短編小説を原作にした「花筐/ HANAGATAMI」は、もともと1977年、大林宜彦監督が商業映画監督デビュー第一作として構想し、脚本まで完成していた映画だったが、様々な理由で実現しなかった。原作本は読んでいません。

第二次大戦中の若い青年たちの恋物語とでも言うのでしょうか、主人公の榊山俊彦には、兄である俳優・窪塚洋介の弟の窪塚俊介が、ただ一人戦争を生き抜いて最後まで演じていた。

友人のアポロ神のように雄々しく美しい鵜飼には、満島真之介が扮していて、女性たちの憧れの男となっている。そして虚無僧のような吉良には、長塚圭史が、お調子者の阿蘇には柄本時生といった青年たちが演じていた。

女子群には佐賀県唐津に暮らす俊彦の叔母には、常盤貴子が演じて妖艶で美しい。そこに住んでいる肺病を患う従妹の美那には矢作穂香。そして女友達のあきねに山崎紘菜や、千歳の門脇麦といった“不良”なる青春を謳歌している。みんな17歳の高校生役だというのに、そんなに気になりません。

物語は1941年の春から、毎年11月に行われる“唐津くんち”を描いており、1941年12月8日の真珠湾攻撃までの約8か月間の出来事を物語っている。

ここで展開するのは、一見若い男女7人による能天気な青春群像劇でもある。人のいい俊彦の他、行動派の鵜飼や、斜めに構えた吉良、にコメディリリーフの阿蘇。そして女性群の肺を病む美少女の美那、明朗活発なあきねに引っ込み思案の千歳の門脇麦が。彼らの中の誰かと誰かがくっついたり離れたり、若者特有の過剰な自意識がふくれあがったり萎んだりして。

ここでは、悲惨な戦闘や空襲の描写がほとんどない。しかし、その代わり、軍人のカッコをした案山子など、段々畑に勇ましい姿で立てかけられている。戦争の影が具体的に、あるいは象徴的に画面の中に見え隠れしているのだ。

序盤で、肺病を病む美那が、庭の井戸、水汲み場で激しく喀血をするシーン、圭子が屋敷から駆けつけて来て、いきなり唇に自分の口を押し付けて血を吸い出そうとする。いつの間にか互いの顔は、上下逆さまの位置になり、それは妖しいキスにもにて観る者をドキリとさせるのだ。

若者たちは漠然とした切迫感を抱えながらも、だからといって戦争に反対するわけではない。「日本の男たちは、みんな戦争にいって殺されるのだ」との諦めたような刹那てきに生きている。

いつしか戦争の渦に飲み込まれてゆく。学友の一人である美少年の鵜飼が、「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」とキッパリと言い切るのも良かった。

やはり戦争に青春を捧げざるを得なかった昔の若者たちの無念を、はっきりとわれら観客に伝えたかったのだろう。そして多くの若者たちの青春がまた、無残にも消耗品になりかねないような事態が刻々と進行している現在に向かっても、__。

主人公である俊彦がどう生き抜いてきたのか、戦中戦後のあの時代を、あと10~20年もすれば戦争を知っている人も誰もいなくなっていると思う。つまりは、その時代背景や知識を総ざらいできるということを考えると、まんざらでもない。

余命数か月と宣告を受けた重い病気を患っているにもかかわらず、大林監督の意気込みを感じられる映画にであい、敗戦というこの国の大きな転換期、戦後のすごい生活苦を体験している人たちや、戦争がどんなに恐ろしいものか、それを警告し発信つづけなくてはいけないと。

映画を観ているとそれがひしひしと感じて来て、この作品の中には大林監督の思想がある。その思想の根底には、第二次大戦中を知っている世代の特有なものがあるようだ。

 2018年劇場鑑賞作品・・・32アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29601417


グレイテスト・ショーマン★★★★

2018年02月18日 | アクション映画ーカ行

「レ・ミゼラブル」「LOGAN/ローガン」のヒュー・ジャックマンが「ラ・ラ・ランド」でアカデミー歌曲賞を受賞した作詞作曲家チームとタッグを組んで贈る感動のミュージカル・エンタテインメント。誰も観たことのない画期的なショーを生み出した伝説の興行師P・T・バーナムの波瀾万丈のサクセス・ストーリーを華麗な歌と踊りで描き出す。共演は「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」のザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ。監督はVFXアーティストで本作が長編デビューとなるマイケル・グレイシー。

あらすじ:19世紀半ばのアメリカ。貧しい少年時代を過ごしたP・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)は、幼なじみのお嬢様チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)との身分違いの恋を実らせ結婚する。そして愛する家族のために成功を追い求め、挑戦と失敗を繰り返した末、ついに前代未聞のショーをつくりあげ、大衆の心を掴むことに成功する。しかし、そのあまりにも型破りなショーに上流階級の人々は眉をひそめるばかり。そこで英国で成功を収めた上流階級出身の若き興行師フィリップを口説き、パートナーとして迎えるバーナムだったが…。

<感想>IMAXで鑑賞。ヒュー・ジャックマンのミュージカル映画では、「レ・ミゼラブル」以来かも。ヒュー・ジャックマンと言うと「X-MEN」シリーズのウルヴァリンのイメージが強いと思う。ですが、もともとは舞台で知られていて、トニー賞も受賞しているミュージカルスターなんですね。

そういえば2009年のアカデミー賞授賞式の司会をしていて、歌って踊るショーマン姿にびっくりした記憶があります。実はこの映画は、その時のヒュー・ジャックマンのパフォーマンスにヒントを得て企画がスタートしたものだそうですよ。

彼が演じたP・T・バーナムは実在の人物であり、芝居や音楽が上流階級のためのものだった時代に、一般大衆向けの娯楽を作り出した男。今でいう、サーカスやラスベガスでのショーの原点を作り上げた伝説の興行師なんですね。そこに架空の人物であるフィリップやアンの物語を加えて映画化したもの。

ミュージカルナンバーは9曲あるんだけれど、どれも楽曲の質が高いのだ。作曲したのは、あの「ラ・ラ・ランド」で、第89回アカデミー賞歌曲賞を受賞した、コンビのベンジ・パセックとジャスティン・ポールが音楽を担当している。

その楽曲の中でも、ゴールデングローブ賞の主題歌賞に輝いた「ディス・イズ・ミー」が素晴らしい。これは上流階級には受け入れてもらえない一座のパフォーマーたちが、それでも前を向いて生きて行こうとと誓うナンバー。メインボーカルのキアラ・セトルの熱唱が心に残りました。

そして、映画のオープニングとエンディングを飾り、出演者たちが歌い踊る華やかな曲。パンチの効いたビートとメロディ。力強い歌詞がワクワク感を盛り上げている「ザ・グレイテスト・ショー」。

それに、歌姫ジェニー・リンドがステージで絶唱する曲。「ネヴァー・イナフ」歌はローレン・オルテッドによる吹き替えなんだけれども、表情だけでバーナムへの想いを表現したレベッカ・ファーガソンの演技が見ものでした。

それから、バーの中を舞台に、バーナムとフィリップのまるで決闘の様なやり取りを描く曲「ジ・アザー・サイド」二人の背後にいるバーテンダーの使い方など、振り付けの妙が味わえますから。

ザック・エフロンが演じたフィリップと、ゼンディヤ演じる空中ブランコ乗りのアンが、立場の差を超えて愛し合おうとするデュエット曲「リライト・ザ・スターズ」

他人と違うことで差別を受け、才能を発揮できない人々にも生きる場所があるっていうことなんですね。バーナムは決して人道主義者ではなく、単に“誰も見たことがないものを見せる”という興行師的な発想から、ショーの出演者を選んだにすぎない。だから彼の不用意な言動が彼らを傷つけることもある。

それでも失意のどん底にあるバーナムを励ましてくれたのも、彼に勇気を与えてもらった一座の面々だった。というあたりが感動的なんですね。

監督を務めたマイケル・グレイシーはMV監督出身、ということもあって、歌唱シーンの仕掛けは面白いし、高度な振り付けも楽しめる。豪華絢爛な映像に酔いしえるエンタメ作品でもあります。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・31アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29586761

 


リバーズ・エッジ★★★・5

2018年02月17日 | アクション映画ーラ行

1993年~94年に雑誌『CUTiE』に連載された岡崎京子の伝説的名作コミックを「世界の中心で、愛をさけぶ」「ナラタージュ」の行定勲監督、「私の男」「SCOOP!」の二階堂ふみ主演で映画化した青春ストーリー。河原に放置された死体という秘密を共有する若者たちの欲望と焦燥を鮮烈に描き出す。出演者に若草ハルナ:二階堂ふみ、山田一郎:吉沢亮、田島カンナ:森川葵、観音崎:上杉柊平、吉川こずえ:SUMIRE、小山ルミ:土居志央梨。

あらすじ:女子高生の若草ハルナは、元恋人の観音崎にいじめられている同級生・山田一郎を助けたことをきっかけに、一郎からある秘密を打ち明けられる。それは河原に放置された人間の死体の存在だった。ハルナの後輩で過食しては吐く行為を繰り返すモデルの吉川こずえも、この死体を愛していた。一方通行の好意を一郎に寄せる田島カンナ、父親の分からない子どもを妊娠する小山ルミら、それぞれの事情を抱えた少年少女たちの不器用でストレートな物語が進行していく。

<感想>原作の漫画は読んでないです。90年代というと、スマートフォンという便利なものないし、行定勲監督が言うには「原作は1994年当時、東京のクリエイターたちに多大な影響を与えた漫画です。そして翌年、日本では関西大震災(阪神・淡路大震災)が起こり、さらにオウム真理教の地下鉄サリン事件が起こり、カオス、変革の時期を迎えます。これはその前夜に少年少女たちがどんなことを感じていたかを描いたものです」と時代背景を説明している。

舞台の背景は、上流からの汚水が吹き溜まりのように停滞し、潮風と川の異臭が交わり合う工業地帯と隣接する高校に通っている高校生たちの物語。

主人公はハルナで、ちょっと大人びた二階堂ふみちゃんが演じている。もちろん制服何て着てないから、年齢的にも女子高生というか20歳くらいの女の子っていう感じがする。

そのハルナの彼氏である観音崎の凄まじい虐めの対象になっている山田に、ちょっと可愛い目の吉沢亮さんが扮している。虐められ裸にされてロッカーに入れられているのを助けたハルナが、山田を助けたことで仲良くなる。

その観音崎には、上杉柊平が扮していて、普通の茶毛のヤンキー兄ちゃんって感じかな。いつも山田を目の敵にしては虐めて、裸にして放置するのだ。

その山田がハルナにある秘密を打ち明ける。それは学校の目の前にある雑草に覆われた河川敷の中に白骨化した死体を見つけたことだった。山田が去年見つけた時には、まだ肉が付いていたというから、山田くんって変態かもしれない。

そして、山田くんは同性愛者であり、クラスの田島カンナと付き合っているのはカモフラージュのため。カンナには森川葵が扮していて、山田くんは、本当は1学年上のサッカー部の男の先輩が好きなのだそうだ。

その秘密を、山田はモデルとして活躍するこずえにも見せていて、二人だけの秘密の宝物にしていたというのだった。それで、ハルナにも見せて共有することを許すというのだ。どうして、警察に知らせないのだろう。モデルのこずえには、Charaと浅野忠信の娘で「装苑」専属モデルのSUMIREが演じてる。

彼らは、表と裏の顔を使い分けているようだ。昼間の山田は観音崎から理不尽な暴力を受け続けており、拒絶も抵抗もしないで誰にも言ってないのだ。だが、夜の山田は、大人の男に身を任せてお金を取り、ゲイでもあることをハルナに話す。

こずえは、著名なモデルだが、摂食障害で人知れず食べては吐くことを繰り返している。それにレズビアンらしく、ハルナに恋しているみたいだ。

それに、ハルナの親友のルミは、隠れて観音崎とセックスを重ねており、その他にも援助交際で金を稼いでいるのだ。唯一、裏表のないのは、河原の骸骨だけだ。ハルナが山田と付き合っていることを知ったカンナが、ヤキモチを焼いてハルナの家に放火する。そして、自分も黒焦げになって自殺をしたようだ。

観音崎と始終セックスをしているルミは、ハルナに嫉妬みたいなジョークを言うも、自分は誰の子供か知らない子供を妊娠する。観音崎に責任を負わせようと、妊娠を告白するも、彼から「本当に俺の子供か」と疑われる始末。

その後が怖いのだ。観音崎が河原でルミの首を絞めて殺してしまったらしい。慌てた彼は大田に相談するも、穴を掘り深く埋めてしまえばしいと。しかし、その後に気が付いたルミが、よろよろと家へ帰れば、姉が妹に男がたくさんいるのに嫉妬をして、それに妊娠までしたことを、ルミの日記を見て知り喧嘩になり、ルミの身体をカッターで切り刻むのだ。結局はそれで、ルミは流産をしてしまい入院をする。

高校生といっても、彼らは学校へ行っているだけで勉強なんてしていないし、絵のタッチは軽く明るいが、起きている出来事は暗くて、高校はまるで監獄のようでもあります。出口の見えない重い閉塞感がただよっている。

二階堂ふみちゃんと土居志央梨さんは、惜しげもなくフルヌードで体当たりのベッドシーンもあり。吉沢亮も中年オヤジ相手の売春もする役で、裸になりますから。

まったくもって、90年代の高校生たちは、こうも淫らで軽薄なのか。だからセックスのシーンは観る者をいこごち悪くさせるほど生々しいし、ドラッグやタバコを良く吸うのにも呆れるし、暴力は痛々しく感じる。この映画の中には、大人たちはまるで出てこない。まだ未成年だからといって、こうも残酷なことを容赦なく起こることに於いても、全てにおいて衝撃的な作品であります。

思い出してみれば、80年代が舞台の能年玲奈主演のホットロードがあったことを。

2018年劇場鑑賞作品・・・30アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29574694


今夜、ロマンス劇場で★★★★

2018年02月15日 | アクション映画ーカ行

現実世界に飛び出したモノクロ映画のヒロインと映画監督を夢見る青年の切なくもファンタジックな恋の行方を綾瀬はるかと坂口健太郎の主演で綴るロマンティック・ストーリー。共演に本田翼、北村一輝、中尾明慶、柄本明、加藤剛。監督は「のだめカンタービレ 最終楽章」「テルマエ・ロマエ」の武内英樹。

あらすじ:映画会社で助監督として働く真面目な青年・牧野健司。映画監督を夢見る彼は、馴染みの映画館“ロマンス劇場”に通い詰め、そこで見つけた古いモノクロ映画を夜ごと鑑賞しては、劇中のお姫様・美雪への恋心を募らせていく。そんなある日、美雪がいきなりスクリーンから飛び出してきた。突然の奇跡に混乱しつつも、成り行きから憧れの美雪と奇妙な同居生活を送ることとなった健司。お姫様である美雪のワガママに振り回されながらも、色のない世界しか知らなかった彼女にカラフルな現実世界を案内していく。そしていつしか互いに距離を縮めていく健司と美雪だったが…。

<感想>綾瀬はるかと坂口健太郎が魅力的なカップルを演じる、ロマンチックなラブストーリー。映画愛にあふれている。「ローマの休日」や「カイロの紫のバラ」など、様々な名画のエッセンスが溶け込んでいて、映画監督志望の青年である健司の目の前に突然、憧れの古いモノクロ映画のヒロイン、美雪が白黒のままで登場するのですね。

なんてロマンチックなんでしょう。大好きな映画の中へ入り込んで見たいなんて思っている私には、お伽噺のような、妄想のような物語に憧れてしまいます。シロクロの映画の中から飛び出して来たお姫様は、お転婆でツンケンとしていて、「今日からおまえは、わたしのしもべだ」と、口の悪いズケズケと喋るトンでも女性だったのです。美雪と言って、綾瀬はるかにぴったりのハマリ役でしたね。

彼は、現実世界の“色”を教え初め、次第に二人は恋に落ちてしまうんですね。ところが、美雪は人間の温もりに触れるとこの世界から消えてしまうというのだ。健司は美雪と手をつなぐどころか、抱き合い、キスも出来ないのだ。それで考案したのが、ガラス越しでのキスなんですよ。触れたいけれど触れられない、とてもピュアな美しいシーンであり何とも歯がゆい感じがするんですね。

二人でデートする場所が、紫色の藤棚があるとても素敵な公園とか、虹、蛍、一緒に見る映画とか、かき氷を食べるシーンもあります。

氷に赤や、黄色、青といった着色した甘いシロップをかけて食べるかき氷は、二人にとっても甘い思い出となるでしょう。

昭和35年を中心とした物語は、映画製作全盛期の映画会社・京映を舞台にしており、映画製作の裏側が随所に入るのも良かった。京映撮影所での人気スターである俊藤龍之介に、顔の濃い北村一輝が扮していて、いろんな役を演じるシーンも面白い。

それに、健司を好きになる映画会社の社長令嬢に、本田翼が扮していて健司に恋心を抱くのだが、健司は美雪一筋なのでフラれてしまう。古い映画館の主に柄本明が扮していて、「実は俺にもそのような経験がある」なんて言って、応援してくれます。

驚いたのが、健司が年を重ねて行くのに、美雪は全然年を取らないわけで、いつまでも出会った時と同じ若くて美しいままなんですね。それは、健司が約束を守って、美雪には絶対に触れなかったからなんです。

それでも、人間は老人になり死が近づくわけで、年老いた健司の役には加藤剛さんが扮していて、違和感がありません。病院で闘病生活をしている健司のところへ、毎日のようにお見舞いに来る若い美雪の姿があるんですね。看護婦さんには、「お孫さんですか、それとも親戚の姪っ子さん」とか思われている。

ラストはとても切ないくて、でも仕方がないことで、健司が死を目前にした時に、美雪と健司は初めて手を握り抱き合うのですね。消えてしまうことは、当然知っていたのに、しかし、健司の死を見届けてから美雪のことを想うと、こうするしかなかったのでしょう。

それでも、この作品は思いがけないサプライズが用意してあった。それは、天国へ召された健司が若い姿になり、彼の前には白黒映画の世界へと、そこは美雪のいる映画の中の世界でありました。

ラストのエンディングの曲、シェネル「奇跡」が作品によく合っていて、最後は泣けてしょうがなかった。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・29アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29560130


ゴーギャン タヒチ、楽園への旅★★

2018年02月14日 | アクション映画ーカ行

異国情緒あふれる画風で知られる19世紀を代表する後期印象派の画家、ポール・ゴーギャンのタヒチ滞在時代を描く伝記ドラマ。妻子と別れタヒチへ渡った彼が、現地で恋に落ちた女性をモデルに創作する日々が描かれる。『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』などのヴァンサン・カッセル、『画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密』などのマリック・ジディらが出演。テレビシリーズや短編などを手掛けてきたエドワール・ドゥリュックが監督を務める。

あらすじ:趣味で絵を描いていた株式仲買人のゴーギャンは、1882年にパリで株価が大暴落したのを機に画家を本業にするが、生活は貧しくなり妻子と別れてしまう。その後タヒチへ渡ったゴーギャンはその土地に魅了され、現地で出会った美しい女性テフラと結婚し、彼女をモデルにしたさまざまな作品を生み出す。しかし資金が底をつき、生活は破綻し……。

<感想>本作のベースとなる、画家ゴーギャンのタヒチ滞在記『ノア・ノア』を基にした伝記映画。よく美術館で目にするゴーギャンのタヒチの絵画。そこに出て来る女性が、若いテフラであり、彼の絵のモデルとして現地人の娘がよく似ている女性なので関心しました。

ゴーギャンを演じたヴァンサン・カッセルも、画家らしくゴーギャンそっくりの出で立ちであり、彼がパリの暮らしに行き詰って、タヒチへと渡り、そのタヒチでの暮らしを事細かに描いている。

ですが、お気楽なパラダイス的描写はありません。いい年をして短絡的に考え、タヒチなら生活するのに金がかからないなどと楽観的だし、タヒチへ行ったら働かないでのんびりと絵でも描いて暮らせると思っていたのだろう。

どこへ行っても、生活のためには働いて金を稼ぐのが当たり前。港の荷役をして、老人なのに過酷な仕事だと思う。そして、漁船に乗り魚を釣る仕事もするのだが、すぐに飽きてしまう。

若い女が出来て妻にするが、絵のモデルにもなるし、都合がいいとばかり考えて、しかし食べさせていかなければならないのに、毎日食べるものさえない始末なのだ。南国のタヒチは、汚れなき楽園でもあり、理想の住処でもある。しかし芸術家にとって夢であると同時に罠ともなりうるだろう。

それが、主人公ゴーギャンの第2の夢であり、罠は現地人の若い妻との関係性である。彼は妻を愛でて、後に家の中へ閉じ込める。それは男のエゴとも言える。老人が若い妻をめとり、食べさせる金を稼がなければ生活が出来ない。

芸術家のゴーギャンに、絵を描く暇はないのだ。それでも金の足しにと、麻の袋を木の板に張り付けて、白いペンキを塗り、タヒチのヤシの樹や、シダの葉を描き、そこにテフラの裸体を描く。

それに、その辺にある木に彫りものを施して、木彫りの人形らしき物を市場に売りに行くが、誰も目にとめないガラクタのようなもの。

絵も油絵なので、高価な絵の具を買わなければならず、その金もパリから手紙と一緒に少額だが送られてくる。その金は、パリに住んでいる別れたといっているが、妻からの手紙で、子供たちの様子などが書かれているのだ。

女は働きにはいかないで、一日中部屋に閉じこもっている。というのも、ゴーギャンが嫉妬ぶかくて、若い妻に悪い虫がついてはこまると、家に鍵をかけて出かけるのだ。

そんなことをしても、隣の若い男が妻のテフラにちょっかいを出し、テフラも若い男の方が爺さんよりもいいに決まっている。その内、若い2人は関係を持ち、ゴーギャンにも知られることになる。そして若い男女は駆け落ちをする。

ゴーギャンその人を美化して描かぬどころか、彼の人間の弱さを観察しているような、画家としてのゴーギャンの芸術家らしさは観ていてよくわかるのだが、それよりも若い妻のために働かなければならない苦労が、その生活の苦しさがよく描かれているようだ。

2018年劇場鑑賞作品・・・28アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29557453 


デトロイト★★★・5

2018年02月13日 | アクション映画ータ行

キャスリン・ビグロー監督が「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」に続いて再び脚本にマーク・ボールを迎え、1967年の“デトロイト暴動”のさなかに起きた衝撃の事件を映画化し、今なお続く銃社会の恐怖と根深い人種対立の闇を浮き彫りにした戦慄の実録サスペンス。黒人宿泊客で賑わうモールを舞台に、いたずらの発砲騒ぎがきっかけで、警察官に拘束された黒人宿泊客たちを待ち受ける理不尽な悲劇の一部始終を圧倒的な臨場感で描き出す。主演は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のジョン・ボイエガと「メイズ・ランナー」のウィル・ポールター、共演にアルジー・スミス、ジョン・クラシンスキー、アンソニー・マッキー。

あらすじ:1967年7月、デトロイト。黒人たちによる暴動が激化し、鎮圧に乗り出した軍や地元警察との衝突で街はまるで戦場と化していた。そんな中、運悪く暴動に巻き込まれ身動きできなくなった人気バンド“ザ・ドラマティックス”のメンバー、ラリーが宿泊していたアルジェ・モーテルで銃声が鳴り響く。それは黒人宿泊客の一人がレース用の空砲をふざけて鳴らしたものだった。しかし、それを狙撃手による発砲と思い込んだ大勢の警察官がモーテルになだれ込んでくる。やがて、偶然居合わせただけの若者たちが、白人警官のおぞましい尋問の餌食となっていくのだったが…。

<感想>1967年の夏、デトロイトの暴動のさなかに起きた、あるモーテルでの悲劇的な実話が、史実に映像化されたフィクションである。外出禁止令のためモーテルの中で若者たちがパーティを楽しんでいる最中、無邪気に発砲されたオモチャのピストル(スターターピストル)の音により、警察が突入する。その場にいた若者たち、多数は黒人たちが尋問を受け、と言うよりも暴行して、やがてはそれがエスカレートし、白人警官による“死のゲーム”が3人の黒人の青年を殺す惨劇へと至る。

映画は冒頭、アメリカ黒人の歴史をダイジェストで伝えるアニメーションで幕を開けた後、デトロイトの暴動に話が移るや、あっという間に観客をその渦中に引きずり込む。モーテルに警官たちが侵入してからは、ホラー映画よりも恐ろしいリアルな恐怖を目の当たりにする。

ピグロー監督はこれまでもこうした鬼気迫るドキュ・ドラマの手法を用いてきたが、本作でも何台ものカメラを用いて畳みかけるような展開の中で悪夢のような光景を見せてくれる。

最初のうちは腐敗的に暴動を捉えていくのかと思っていると、途中からは場所も時間も限定され、殆ど耐え難くなるほどの緊張感が画面を満たすのだ。

「これは人間のすることではない。こんなことが決して起こらないようにするために、戦わなければならない」と言う監督。確かに映画は強烈に映し出し、暴力を描くことは暴力そのものだ、という批判が上がるのも理解できなくはない。でも、もっと大切なのは、あの事件の真相をより多くの人に知ってもらうことだというのだ。

だが、本当に「デトロイト」が素晴らしいのは、暴動の夜の“その夜”を描く部分である。そこには正義が果たされるカタルシスも、救済の癒しも存在しないからだ。その後に白人警官たちが黒人を射殺したことで、裁判に掛けられるも、全員無罪となる。

「それでも夜は明ける」「グローリー明日への行進」「ドリーム」など黒人差別をテーマにした優れた作品が現在もつくられ続けている。中でもホラー/コメディ/ファンタジーとジャンルを越境することで人種差別の真実を描く「ゲット・アウト」そして、「カラーパープル」が白人からだけでなく黒人男性からも差別される黒人女性の立場を描いていたように、黒人であること、二重の差別の対象となる要素を持った主人公を描いた「ムーンライト」などは、特に収穫といえよう。

ラストで提示されるのは、正義と救済への祈りなのである。祈りの歌声が、過去のことだから、外国のことだからと、心に響かなくなるのが理想なのかもしれません。ですが、まだまだ、私たちの心に響き揺さぶるのであります。

 2018年劇場鑑賞作品・・・27アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29553726


マンハント★★★・3

2018年02月12日 | アクション映画ーマ行

「男たちの挽歌」「レッドクリフ」のジョン・ウー監督が西村寿行原作、高倉健主演の日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクしたサスペンス・アクション大作。無実の罪を着せられ逃亡を余儀なくされた弁護士と、彼を追う孤高の刑事が辿る壮絶な運命を迫力のアクション満載に描き出す。主演は「戦場のレクイエム」のチャン・ハンユーと「そして父になる」の福山雅治。共演にチー・ウェイ、ハ・ジウォン、國村隼。

あらすじ:酒井社長率いる天神製薬の顧問弁護士ドゥ・チウがある朝目覚めると、ベッドに社長秘書・希子の死体が横たわっていた。何者かの罠と気づき、その場から逃亡を図るドゥ・チウ。大阪府警の敏腕刑事・矢村は、新人の部下・里香を従え、独自の捜査でドゥ・チウの行方を追っていく。しかし捜査を進めるうちに、次第にドゥ・チウ犯人説への違和感を募らせていく矢村だったが…。

<感想>高倉健主演で1976年に映画化された西村寿行の小説「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクしたものであり、中国の鬼才ジョン・ウー監督が再映画化したもの。今作のテーマは“友情”に焦点を当てており、どちらかというと、「狼/男たちの挽歌・最終章」に近い物語だそうです。

そして、チャン・ハンユーが、異邦人でありながらも有能さを買われて、天神製薬の顧問弁護士のドゥに。殺人のぬれぎぬを着せられ、慣れない異国で必死に逃亡する。

大阪府警のやり手の刑部矢村には、福山雅治が扮しており、ぶっきらぼうで人付き合いは悪いが、正義感は強いときてる。妻子と死別をした過去を隠して仕事に尽力を尽くす。

遠波真由美にチー・ウェイが扮して、女手一つで牧場を経営。天神製薬に勤務していた婚約者を殺された過去を持ち、弁護士ドゥに協力をして過去の事件の真相に迫る。

それに、天神製薬の社長に雇われている凄腕の女殺し屋であるレイン。ハ・ジウォンが扮しており、かつて弁護士のドゥと偶然会ったことがあり、彼の優しさに心惹かれている。

目立ったのが、大阪に拠点を置く天神製薬の社長に国村隼が、今回は多めに出番があり、その息子に池内博之が悪の貫禄充分。

そして、ジョン・ウー監督の愛娘アンジェルス・ウーが、冒頭での居酒屋で、女殺し屋の1人を演じているのですが、ポッチャリの方ですから。

もう一人の殺し屋がハ・ジウォンで、それでも2人揃って見た目からは想像できないほど機敏で、驚きました。

冒頭での居酒屋アクションでまず、度肝を抜かれ、バックミュージックに「君よ憤怒の河を渉れ」のテーマ曲が流れ、日本映画に対するリスペクトが入っていると言う監督。

それから、繁華街でのカーチェイスや爆破シーンはないけれども、大阪の堂島川での水上バイク・チェイスシーン、ここでの見せ場はチャン・ハンユーが逃げるのに、福山雅治がバイクに飛び乗るシーンとか、刑事の福山が全弾撃ち尽くした後に、敵の銃を奪い取り、手錠でドゥと福山が繋がれたままに、福山が右手に、ドゥが左手で2人・二挺拳銃をやったりするシーンとか。本来の主役である二人が、いつの間にか友情をはぐくんだのか、さっぱり印象に残ってない始末。

いかにもフィルム・ノワール的な無実の罪で逃げ続ける弁護士ドゥは、いつも薄汚いパーカー姿でお気の毒といっていいのか、一方の刑事福山は、スーツ姿でバッチリ決めポーズで吹っ切れたように銃を撃ちまくるし。

「男たちの挽歌」や「レッドクリフ」などで世界を熱狂させるジョン・ウー監督のトレードマークと言うべき描写はここでも健在であります。と言えば、必ず出て来る二挺拳銃のガンファイトに、平和の象徴である白い鳩が舞うシーンはもちろん、主演俳優の横っ飛びとか、そしてスローモーションなど、やっぱり見慣れているシーンが満載であり、銃撃戦の中で日本刀で振り回すシーンの見せ場もありますから。

71歳の倉田保昭の存在感、60~70年代の香港映画に出ていた彼も、監督のご贔屓で、短い出番ながらアクションも抜群でした。

何よりも、すべてのアクションシーンが、登場人物の心情に裏打ちされている点は見逃せません。結婚式場やヒロインの屋敷に暗殺者があらわれる場面場面で、無関係の人たちが巻き込まれていく血みどろな世界観の容赦なさも健在。

良かったのが、鳩小屋に車が突っ込むシーンで、倒れ込む福山雅治の目の前を、鳩がかすめるように横切る。反射的に福山がそちらへと顔を向けて間一髪で、石に頭を強打せずにすむ印象的なシーンに驚きました。セルフオマージュなのか、こうした監督の思い入れや遊び心をうかがわせる仕掛けに気づいてニヤリとさせられる。

若気のいたりにも思える話の盛り方、どこかノスタルジックな活劇調のテイストもあり、ジョン・ウーの一番変わらない芯の部分なのに違いない。物語の大枠をふまえつつ、新しい要素をがふんだんに盛り込まれて、問答無用のジョン・ウー映画に仕上がっていた。

 2018年劇場鑑賞作品・・・26アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29550705


ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~★★★★

2018年02月10日 | アクション映画ーヤ行

ダイアン・アッカーマンのベストセラー・ノンフィクション『ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語』を「ゼロ・ダーク・サーティ」「クリムゾン・ピーク」のジェシカ・チャステイン主演で映画化した感動ドラマ。ナチス占領下のポーランドで300人ものユダヤ人の命を救った動物園の園長夫婦の信念と勇気を描く。共演はヨハン・ヘルデンベルグ、ダニエル・ブリュール。監督は「クジラの島の少女」「スタンドアップ」のニキ・カーロ。

あらすじ:1939年、ポーランドのワルシャワ。夫のヤンとともにヨーロッパ最大規模のワルシャワ動物園を運営するアントニーナ。すべての動物たちに深い愛情を注ぎ、献身的に世話をしていた。そんな中、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発、動物園の存続が危うくなる。そこへヒトラー直属の動物学者ヘックが現われ、“希少動物を救いたい”と申し出る。一方でユダヤ人は次々とゲットー(ユダヤ人強制居住区)に連行され、見かねたヤンは、動物園に彼らを匿おうと考える。自分たちの命さえも危険に晒す夫の提案をためらうことなく受け入れ、全力でサポートしていくアントニーナだったが…。

<感想>ユダヤ人300名を動物園に匿い、その命を救った勇気ある女性の感動の実話。ナチスを題材にした様々な作品が公開される中、また新たな感動作出来上がった。例えば「シンドラーのリスト」や「杉原千畝」のような勇気溢れる行動で、ホロコーストからユダヤ人を救った人物の物語は、これまでもたくさん映画化されてきたが、本作のように、女性の視点から描いた作品はなかったのではないか。

本作では、第二次大戦中のワルシャワ動物園でナチスに追われたユダヤ人を30人も救った、驚くべき事実を記したノンフィクションを、ジェシカ・チャステイン演じる主人公アントニーナの感動秘話が描かれている。

時には、狡猾なナチスの将校に相手に駆け引きを繰り広げ、聖なる場所を守り抜く凛々しいアントニーナ。知恵と勇気と愛を武器に闘った一人の女性の生き方が胸を打つエモーショナルな一作である。

監督を務めたのは、ニュージランド出身のニキ・カーロ。「クジラの島の少女」が数々の映画祭で高い評価を受け、ヒロインのパイケア・アピラナが演じたケイシャ・キャッスル=ヒューズはアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。カーロ監督は「ワルシャワのゲットーや動物園についてのリサーチを重ねて、リアルな映画を目指した」と語っています。

これまでも男性社会の中で負けずに戦う女性像を演じてきたジェシカ・チャステインは、本作で初めてフェミニンな演技にも挑戦している。「女神の見えざる手」でも素晴らしかった彼女の演技が、まったく違う役柄を演じた今回も素晴らしかった。圧倒的な支配に怯えながらも、善き人間であり続けようとする女性を、初めて見る表情とセリフ回しの彼女が見事に体現しているのだ。

アントニーナは、戦う力強い人物というありがちなヒーロー像としては描かれてはいない。彼女は動物を愛し、子供たちを愛し、戦時中でも可能な限り女性らしい服を着ようする。冒頭でのパーティで、母親象の前で、小象の鼻がねじれて中に詰まっている物を取り出し、息を吹き返すシーンに感動した。

彼女の唯一の武器は愛なのだ。戦わないことで戦ってみせる。嫌悪や対立に満ちた世界に愛を返そうとする。愛で本当に命を救ったという事実が、嫌悪に満ちているかのように思える。常軌を逸した事態が文字どうり女性の視点で描かれており、いくらでも扇動的にできる題材を丁寧に、かつ上品に扱っているのがとても良かった。

夫の変化に説得力があるのもさることながら、教養と礼節ある紳士だったドイツ人動物学者の、演じるダニエル・ブリュールが権力を手にした途端に変貌する恐ろしさ。珍奇な動物をベルリンに運ぼうとし、すでに絶滅した動物の復活を図り、その牛の交配をするためにアントニーナの手を借りる。そして、夫婦の中へと割り込んで来る。

自分たちの危険を顧みずにユダヤ人を救う主人公夫妻の行動には、ストレートに感動します。ただし、ゲットーからユダヤ人を連れ出すシーンの数々は、どれも緊迫感が足らず、夫婦愛と親子愛に迫った部分や、ワルシャワ蜂起の描写もこれといって密度が高いわけでもなく、なんだか散漫な仕上がりになっている。そんな中でも驚いたのが、ゲットーの門前で記念撮影するカップルの姿。こうした下劣な連中ガ、ナチスのような存在をのさばらせた訳でもあり、そのあたりを無視しないで描いたのも良かった。

緊迫した時代を舞台にしながらも、戦闘シーンは最小限にしか描かず、愛や希望や思いやりで物語を貫こうとしているところがまず新鮮であります。今のこの世界に投げかけるメッセージは、あまりにも強烈であります。

 2018年劇場鑑賞作品・・・25アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29543881


ローズの秘密の頁(ぺージ)★★★★

2018年02月07日 | アクション映画ーラ行

英国とアイルランドの文学を対象としたコスタ賞で「BOOK OF THE YEAR」に輝いた、セバスチャン・バリーの小説を原作としたヒューマンドラマ。精神科病院におよそ40年も収容されていた女性の過去が明かされる。メガホンを取るのは『マイ・レフトフット』『父の祈りを』などのジム・シェリダン。『ドラゴン・タトゥーの女』などのルーニー・マーラ、『ジュリエットからの手紙』などのヴァネッサ・レッドグレーヴ、『きみがぼくを見つけた日』などのエリック・バナらが出演している。

あらすじ:アイルランド西部。精神科医のスティーヴン・グリーン(エリック・バナ)は、取り壊されることになった聖マラキ病院の患者たちが転院するのに伴い、彼らの再診を行う。そこで自分が生んだ赤ん坊を殺したとして、約40年収容されているローズ・F・クリア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)を診ることになる。自身の姓はマクナルティだと訴え、殺害を否認し続ける彼女にほかの精神障害とは異質のものを感じたグリーンは、彼女が聖書の中に日記を書いていたことを知り……。

<感想>第二次大戦時、恋、悲劇に赤ん坊殺しの罪で40年もの間、精神病院に収容されていた老女。自らの罪を否認する彼女が明かす衝撃の真実とは__。老年のローズをイギリスを代表する大女優バネッサ・レッドグレーブが演じるほか、若き日のローズを「キャロル」のルーニー・マーラが演じている。

その他にもエリック・バナ、テオ・ジェームズ、「トランスフォーマー」のジャック・レイナーらが脇を固めている。

時代が悪いと言えばそうなりますが、第二次戦争時に、田舎に叔母を頼り引っ越して来たのだが、とにかくヒロインのローズは美しい女性で、村人の男たちは騒ぎ立て、男たちの視線が焼き付くくらいに見つめられ、声を掛けられ、ダンスに誘われ、それは他の村の女性とは、比べ物にならないくらいに一段と美しいので、男たちも放っておかないのだ。

保守的な風習が根付くこの村では、そんなローズがスキャンダラスな注目を集めることになってしまう。何も罪も犯してないのに、若くて美しいというそれだけで。

それに村に赴任して来た若いゴーント神父にも目を付けられ、世話になっている叔母は、困ってしまい村はずれの鳥小屋みたいな廃墟にローズを住まわせる。そこにも、村の若い男たちが誘いにきたり、挙句にゴーント神父まで車で来る始末。

そこへ、ある時、航空機が墜落し、落下傘が木に宙刷りになり助けると、あの村の若者マイケルだった。アイルランド人だが、イギリス空軍に志願したマイケル。運よくローズの廃墟の小屋近くに墜落したのだが、怪我をしており、飛行機が墜落したことで、村人たちが捜索にくるも、ローズが助けて小屋に連れて行き、介護して助かる。

二人は惹かれ合い、情熱的な恋に落ち、教会で二人だけで結婚式を挙げる。そこへ村の実力者のゴーント神父らによって、無残にも仲を引き裂かれてしまう。バイクで逃げるマイケルは、どうやら銃殺されたようだ。

その後のローズは、またしても悲劇が遅い、教会で働かされるも妊娠していることがわかり、生まれた子供はアメリカかイギリスに、里子に出されてしまうということが分かる。

その後、ローズはお腹を大きくして働き、隙を見て逃げ出し海を泳いで逃げようとするも、追ってきた神父や村人たちにボートで追いかけられ、岩場に隠れて出産するも、へその緒を切るのを、赤ん坊を石で殴り殺していると見られてしまう。そして、赤ん坊は海へと。ローズは見つかり子殺しとして精神病院へ入れられてしまう。それから40年間もの間、精神病院の中で暮らす毎日。

ローズの回想劇が、余りにも酷くて、可哀そうになり涙が出てしょうがなかった。戦争当時の女性は、それでなくとも、兵士に乱暴されて妊娠したりするもの。好きな男の子供を妊娠して産み、自分で育てることなど無理な時代だから。

若き日のローズ、ルーニー・マーラーが余りにも美しくて、過酷な時代に翻弄されてしまい、それにしても牢獄のような精神病院に入れられたのは、あのローズを好きになってしまったゴーント神父なのだ。ローズのお腹の子供の父親は、ゴーント神父だと噂が流れるも、誰しもが、マイケルが父親だとは気づかなかったのだ。

ローズが40年間の間、一冊の聖書に自らの人生を書き綴った日記。その中のマイケルの肖像画や、父親に教わったピアノの旋律が美しく響き、ローズが愛した海辺の景色も素敵でした。

確かに、精神科医のグリーン医師が現れた時は、もしかしてローズの息子なのではと思ってしまったのだが、やはりそれが真実だと分かるまでがじれったかった。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・24アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29510618


不能犯★★

2018年02月05日 | アクション映画ーハ行

同名の人気コミックスを松坂桃李と沢尻エリカの主演で実写映画化したサスペンス・スリラー。常識では実現不可能な方法で殺人を実行するため決して犯行が立証されることのない男“不能犯”と、彼を追う女性刑事のスリリングな攻防の行方を描く。共演は新田真剣佑、間宮祥太朗。監督は「シロメ」「貞子vs伽椰子」の白石晃士。

あらすじ:とある電話ボックスに、殺してほしい理由と連絡先を書いた紙を貼ると、その願いが叶うという都市伝説がSNSで広まっていた。その願いは黒スーツの男“宇相吹正”によって本当に実現されていた。しかもマインドコントロールを駆使して行われるその犯行は、物証がないため自殺や事故として処理されていた。警察は宇相吹の存在に注目し、ようやく取り調べを行うも、マインドコントロールによってベテラン刑事さえもが手玉に取られてしまうのだった。そんな中、唯一マインドコントロールの効かない多田友子刑事が、凶行を繰り返す宇相吹に立ち向かっていくのだったが…。

<感想>絶対に捕まらない!、恐ろしくも美しいダーク・ヒーロー降臨。自分では果たせない復讐心や、殺意を請け負い、対象者をマインド・コントロ-ルする。そして、幻覚を見せて、殺す。謎多き“殺人者”と女刑事の対決を描いた人気漫画を、松坂桃李主演で実写化したもの。

さすがに主人公の“宇相吹正”(ウソブキタダシ)なる殺人鬼は、人の心を操り、腐敗した世の中に、独自の正義を突き付ける“宇相吹正”を演じたのは、まさに松坂桃李にもってこいの役回りで、彼の手口は視線によるマインド・コントロール。相手の目を凝視して真っ赤に充血した目で相手を見つめる。すると、相手はスズメバチに刺された、毒をもられた、ナイフで刺された、と思い込みショック死してしまうのだ。

夫の依頼で殺された町内会会長の島森(小林稔侍)は、覗き魔じゃなくて、たまたま妻が麻薬を吸っているところを目撃してしまう。そのことを旦那に教えようとするも、妻は夫の留守に麻薬友達を誘い、部屋で乱交パーティをしていたのだ。その現場を目撃した夫は、怒り狂い、妻を殺してしまう。

この結果が勝手に思い込んだ結末であり、依頼人がきちんと相手に歩み寄らなかったことで独りよがりに思い込んだ結果だったことを知る。

もう一つ姉妹の殺しの依頼の二人には、親が離婚をして、父親に引き取られ借金まみれの風俗嬢で妹の木村優が、母親に引き取られた姉の理沙が幸せに暮らし、医者との結婚も決まっているのを嫉妬して殺すように依頼する。

この二人は、お互いに意地をはって逢いに行かなかった。もう少し早くに歩み寄っていれば、姉妹同士で仲良くできたのかもしれませんね。それは、姉を殺すようにと願いが叶った妹の元に、姉から結婚式の招待状と今までのことを詫びた手紙が届けられ、姉の本当の気持ちを知った妹は、自分がしでかしてしまったことに激しく後悔するのです。

この映画の脇役がそうそうたる顔ぶれであり、多田の相棒で新人の百々瀬麻雄の新田真剣佑。そして、間宮祥太朗が少年院あがりの元ワル・川端タケルに扮して、仕事は板前であり、連続爆弾魔でもある。ターゲットの町内会会長の島森の小林稔侍、多田刑事の上司の夜目美冬の矢田亜希子。ベテラン鑑識官・河津村宏役に安田顕が。

「愚かだね、人間は」と不気味にニヤリと笑う時の口の開き方や奇妙な動きは、松坂が自分で考えたものだそうです。もちろん、報酬はゼロですから。ただ働きっていうこと。何処に住んでいるのか、何を食べているのかなんてことは誰にも判りません。

セクシーでクールであり、人間っぽい感じがしない松坂桃李。衣装も靴も爬虫類の皮膚のようなイメージで、人間らしい無駄な動きもない。病死や自殺、事故死に見せかけて、実際には立証が不可能なため、罪に問うことはできない“不能犯”__。そんな犯行を操り返す男と、彼がただ一人操れない女刑事の多田友子との戦いが面白い。

法が裁けない彼に、沢尻エリカ扮する多田友子がどう立ち向かうのかが見どころですよね。刑事である多田は、宇相吹の犯行がただの邪悪な行為ではないことに薄々気づいていく、彼とは表裏一体の存在なんだと思っている。

だから、宇相吹は何度も刑事多田にワナを仕掛け、やがて彼女の中の正義と悪の境界が揺らぎ始めるのだ。

宇相吹も多田もそれぞれ自分のルールを曲げずに生きてきた。そんな違うルールを持った二人の激突が、どんな結末を迎えるのか。ワクワクしながら見ていたのだが、・・・。実は人間の心理を巧みに利用して、人殺しを依頼されれば実行に移すのですが、そのやり方がエグイし、グロテスクな描写もあり目を覆いたくなることもあります。

彼をくい止めるには、多田友子が宇相吹を殺すしかないのだ。しかし、宇相吹正も本気で多田友子を殺しにかかる。それでは堂々巡りで終わりがない。「愚かだね、人間は」と笑われるだろう。そしてまた、電話ボックスに殺しの依頼が貼られている。

2018年劇場鑑賞作品・・・23アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL

http://koronnmama.exblog.jp/tb/29473019


スリー・ビルボード★★★★

2018年02月04日 | アクション映画ーサ行

「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンドが娘を殺された母親の怒りと悲しみを体現して絶賛された衝撃のサスペンス・ドラマ。アメリカの田舎町を舞台に、主人公がいつまでも犯人を捕まえられない警察に怒りの看板広告を掲げたことをきっかけに、町の住人それぞれが抱える怒りや葛藤が剥き出しになっていくさまを、ダークなユーモアを織り交ぜつつ、予測不能のストーリー展開でスリリングに描き出す。共演はウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル。監督は「ヒットマンズ・レクイエム」「セブン・サイコパス」のマーティン・マクドナー。

あらすじ:アメリカ、ミズーリ州の田舎町エビング。ある日、道路脇に立つ3枚の立て看板に、地元警察への辛辣な抗議メッセージが出現する。それは、娘を殺されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が、7ヵ月たっても一向に進展しない捜査に業を煮やして掲げたものだった。名指しされた署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)は困惑しながらも冷静に理解を得ようとする一方、部下のディクソン(サム・ロックウェル)巡査はミルドレッドへの怒りを露わにする。さらに署長を敬愛する町の人々も広告に憤慨し、掲載を取り止めるようミルドレッドに忠告するのだったが…。

<感想>アメリカの平穏な田舎町に、悲劇の母親が掲げた3枚の看板広告。そこに書かれていたのは、娘を何者かに殺された母親から犯人を見つけられない警察署長への、痛烈なメッセージだった・・・。一見すると、悲劇に見舞われた母親が怠慢な警察に立ち向かう物語に思えるのだが、現実の世の中と動揺にそう単純なものではない。舞台である田舎町の住人たちが、ままならない現実を目の当たりにして葛藤したり、対立したりする姿を通じて、喜怒哀楽すべての感情が呼び覚まされる群像劇に仕上がっている。

時にやるせなく、時には激しく、時におかしくて展開の予想がまったくできないのだ。人生の苦みが詰まった傑作だけに、アカデミー賞の中心となることは間違いなさそうだ。ミルドレッドの掲げた批判広告を見て、警察署長のウィロビーは彼女の家を訪問するのだが、努力していると自負する彼は、捜査状況を丁寧に説明し看板を下ろすように説得するのだが、納得しない彼女に追い返されてしまうのだった。

これだけ聞くと、この肝っ玉母さんが、最終的には犯人を見つけて、ささやかな達成感を得るドラマを想像するだろうが、そこをゴールとしていないのが本作の醍醐味。

ミルドレッドの衣装はずっと青いつなぎだ。そのブルーカラーの作業衣姿で、彼女は常に怒り、暴力さえ厭わない。物言いは裏も表もなくストレートで、主張キャラクターそのものになっている。こんな女がこれまで映画で描かれることがあっただろうか。いつもなら、父親が娘の仇を取るのが普通だから。

強い女なら露出度の高い衣服を着て戦闘するか、若しくは知的な中年女になって嫌われでもしなければエンターテインメント的に許されないと思っていた。

そしてまもなくして、警察署長のウィロビーが膵臓癌の末期と分かり、悲観にくれて自宅で拳銃自殺をしてしまう。署長のウディ・ハレルソンの二重三重構造キャラの壮絶さといったら、あまりにも見事で息を飲んでしまった。

その後、広告看板を誰かに燃やされてしまうという事件が勃発し、息子と必死になって消化するも丸焦げになってしまった。きっと警察署長を守る人たちだろう。それに対して、彼女は火炎瓶を警察署に投げて火事騒ぎを起こすのだ。しかし、警察署の中には、部下のディクソンが手紙を取りに来ていて大やけどを負ってしまう。

そして広告の看板は、張るポスターが残っており、またその看板に新しく張り替えてくれた。しかし、誰がいったい看板に火を付けたのだろう。それがまさかの、元亭主だったとは、呆れてモノが言えない。

娘が殺される前の日に、父親に電話があり厳しい母親から父親の所へ移ってきたいというのだ。19歳の若い女と一緒に暮らしている父親は、断ってしまったのだ。娘の暴行シーンとか、その後に燃やされて真っ黒焦げの遺体は見せないが、娘は反抗期のようであり、厳しい母親に叱り飛ばされていた。

個人的に好きな作品で「月に囚われた男」(09)のサム・ロックウェルが今回、最高のゲス野郎を演じ切ってくれていて、最後には、本当に嬉しく愛おしさでいっぱいになってしまった。火事の中で署長からの手紙を読むシーンや、オレンジジュースの場面は思い出すたびに泣けてしまう。人間の本質は簡単に理解できるものではないし、変わっていくことも出来るという希望をしっかりと呈示しているのも良かった。

それでも、物語は悲しみに直面してはいるが、ユーモアを持って絶望と向き合い、葛藤しているというようだ。殺伐としたミズリー州の空気と四面楚歌のヒロイン、愚かな人間同士が傷つけ合い赦し合う物語。

ラストで、真犯人と思うよそ者が町に来て、酒場で9年まえの話をしているのを聞いたディクソンが、その男のDNAを取りたくて喧嘩をしかけて殴られてしまう。そのDNAを警察へ持っていき、鑑識で調べてもらうと、その男はどうやら傭兵のような仕事をしておりその時期には外国へ行っていたと言うのだ。

だが、どうしても腑に落ちないディクソンはミルドレッドを誘って、真犯人と思しき人物を追いかけて行くところで終わるのも良かったですね。

2018年劇場鑑賞作品・・・22アクション・アドベンチャーランキング

 映画に夢中

トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL   http://koronnmama.exblog.jp/tb/29465469