パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ANNAアナ★★★★

2020年06月25日 | アクション映画ーア行

          

「ニキータ」「レオン」「LUCY ルーシー」など、戦うヒロインを主人公にした作品を数多く手がけてきたリュック・ベッソン監督がロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルスを主演に迎えてメガホンを取ったアクション。アナ役のルスのほか、オスカー女優のヘレン・ミレン、「ワイルド・スピード」シリーズのルーク・エバンス、「ダークナイト」のキリアン・マーフィらが脇を固める。

あらすじ:1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。

<感想>「ニキータ」のリュック・ベッソン監督が、“十八番”とも言えるジャンルで、新作「ANNA アナ」(6月5日公開)は、スーパーヒロインが戦い、躍動するアクションエンタテインメントである。だが、ベッソンの十八番であるがゆえに、自身の過去作品物語をごった煮したようなスパイスにエロスを一振り、終盤ではヤケクソ気味などんでん返しを尺が満ちるまでしつこく繰り返していて、マシュー・ボォーンあたりでは、まだまだ負けないわというベテランの気質を唸らせながらも、微妙にやぼったくなってしまっているのは否めない。

やりすぎなアクションシーンもまたベッソン印であり、ここまでくると殆どセルフパロディなのだが、だからつまらないというわけでもなく、二番煎じとはいえ清々しさを獲得したかのような楽しい娯楽映画になっていた。

しかしながら、実際に本編を鑑賞すれば、アクションファンには「ベッソンの良いところが全部出ている!」と恍惚の表情を浮かべるに違いないだろう。好きな要素、全部のせており、洗練されたルックスとアクションの“美”に、骨の髄まで痺れさせてくれる。

物語の舞台は1990年代のソ連。諜報機関KGBによって造り上げられた殺し屋アナが、国家に仇なす人物を次々と消し去っていく。しかし、アメリカのCIAによる巧妙な罠にはめられ、アナは驚がくの取引きを迫られる。それは、「KGBを監視する“二重スパイ”として活動しながら、長官を暗殺せよ」というものだった。

これまでベッソン監督は、繰り返し“戦うヒロイン”を、迫力たっぷりに描き出してきたが、女優の素質を見抜くその目はまさに一流であり、「レオン(1994)」ではナタリー・ポートマン(出演当時13歳!)、そして「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチを発掘しており、彼女たちはその後一躍スターダムを駆け上がっていった。

本作では、主演にロシア出身の超新星モデルを抜擢。主演は新星サッシャ・ルス、ロシアの妖精が豪快アクションを披露する。
16歳でランウェイデビューを果たした、ロシア出身のモデルであり、「ヴァレリアン千の惑星の救世主」では脇役で出演して、その存在感がベッソン監督の目に止まったというわけ。“妖精”と呼ぶにふさわしい美貌で、表はファッションモデル、裏は暗殺者という“2つの顔を持つ”アナ役を、魅力たっぷりに体現してくれる。

一方で、約1年間にわたりマーシャルアーツの特訓を積むなど、役作りでは長期間の準備に身を捧げており、その成果はスクリーンに如実に現れているので説くとご覧あれ。
サッシャ・ルスのハッとするほどの輝かしい美貌を見せたかと思えば、数秒後、血しぶきを浴びながら銃を構える。そのギャップが狂おしいのだ。

共演にはヘレン・ミレンら、独自の世界を切り開く演技派がそろい、ニューヒロインと得も言われぬ化学反応を引き起こしている。とかく、ヒロインによるアクションの質が非常に良い。アナがわずか5分で40人の男を屠ったり、割れた皿を武器に華麗に舞うさまなど、見どころ満載だ。

それにだ、なんといってもバイタリティなヘレン・ミレン伯母さん、「クィーン」などのアカデミー賞女優ヘレン・ミレンは、本作ではアナを鍛えるKGBの上司オルガ役に。タバコをスパスパと吸いながら、強烈なロシア語訛りの毒舌で無理難題をふっかけるなど、その立ち居振る舞いはまさに“パワハラ上司”である。しかし、悪戦苦闘しながらも食らいついてくるアナに対し、職務を越えた感情が芽生え始めてきて、当初は罵りまくっていたのに、段々とデレてくる過程がなんとも微笑ましい。

アナを好きになる男優たちに、ルーク・エバンス&キリアン・マーフィが好演 アナの魅力にメロメロになっている。「ワイルド・スピード」シリーズではミレンと親子役を演じているルーク・エバンスは、本作ではKGBエージェントのアレクセイ(肉体派)に扮する。アナをKGBにスカウトし、オルガとともに育成する一方で、二人は深い渓谷に身を投じるような恋に落ちていく。

さらに「ダンケルク」などのキリアン・マーフィが、アナに二重スパイの使命を課し、次第に恋愛感情も抱いていくCIAエージェントのレナード(頭脳派)に扮している。アナはKGBとCIAだけでなく、アレクセイとレナードの間でも揺れ動いていく。

それに、驚いたのが「T-34」のあの人も出演。しかもこんな役にと、脇役も必見ですよ。目を向けるべきは、メインキャストだけではない! 特筆すべきは、アナのかつての恋人役を担うアレクサンドル・ペトロフだ。ペトロフは映画ファンの間で話題を呼んだ「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」に主演していた俳優。そんな彼が、本作では「そうくるか?」という驚きの展開を見せている。

さらに、パリのモデル事務所でアナと絆を深めるモード役、レラ・アボヴァが印象深いですね。目が覚めるようなショートカットに、透き通るような瞳が見るものを魅了する。まるでレズビアンのような仲になってゆくのだ。
ベッソン監督作品では、暗殺、KGB、CIA… アクションファンの大好物がてんこ盛り。アナはKGBに所属しながら、CIAのスパイとしてKGBの動向を探る。昼はモデルとしてフラッシュを浴び、夜は暗殺者として闇にまぎれる。そしてKGB長官からもたらされる暗殺命令を忠実にこなしながら、その長官の暗殺をCIAから命じられる……。

アクションファンには溜まらないほどの要素がふんだんに盛り込まれているのもいい。肉弾戦の興奮、人間ドラマ、展開のスリルが有機的に連鎖し、陶酔の映画体験をもたらしてくれる。もう一つの特徴は、ストーリーテリングが直線的ではない、という点である。映画は1985年のモスクワからスタートするが、次のシークエンスでは1990年のパリへ。その後も時系列をシャッフルし、舞台と時代を目まぐるしく移動。伏線の展開と回収を交互に繰り返しながら物語は進んでいく。

アナはなぜ、KGBに身を置くのか? 彼女が求めるものは手に入るのか? 観客の予定調和をぶち壊し、信じていたものがひっくり返るサプライズが連続。さらに「TAXi」シリーズなどで見せるベッソン監督独特のユーモアがスパイスのように効いており面白い。
その結果、鑑賞中、心はアップダウンを繰り返し、一瞬たりとも飽きがこないのだ。1990年、ソ連の諜報機関KGBによってつくり上げられた殺し屋アナ。美しきファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を次々と消し去ること。一流の暗殺者となったアナだったが、アメリカのCIAの巧妙な罠にはめられ、捜査官レナードから驚愕の取引を迫られる。

アナを演じたサッシャ・ルスが、武装した男たちと戦うレストランでのシーンでは、アクションを彼女にレクチャーした、「ボーン・アイデンティティー」でマット・デイモンに、「96時間」シリーズではリーアム・ニーソンをファイターに仕立て上げたアラン・フィグラルツなのだ。本作のスタント&ファイト・コレオグラファーを務めているフィグラルツは、アナのターゲットとなる敵ボス役でレストランのシーンにも登場しており、“師弟同士”のバトルも見どころの一つとなっている。

アナ役のルスは、約1年間も役作りと体力作りに励んだそう。想像以上に熾烈を極めたシーンの連続に、スタントを使えばいいと提案されたこともあったが、「戦い方を知らなければ、アナにはなれない。だから全力を尽くした」と体当たりで挑戦。生半可ではない覚悟と入念な準備により、5分で40人を倒すリアルかつ壮絶なファイティングシーンを完遂した。

大勢の敵を撃ち倒していく見せ場では、悪漢が次々に倒れてゆき、強い女の姿を見せたり、自立する生き方に目覚めさせるテーマは現代的に思えるが、根本的に女性の若さや美貌に魅せられていく”オッサンたちの視線”があるのが描写の端々からわかるのもいい。

特にあり得ないほどの超絶なアクションシーンでは、強さで生きる女性に比べると、KGBもCIAも男性には物足りなさも感じる。ラストの対決シーンが面白くて、目が離せません。気になったのが、上の写真を見ると、「ソルト」のアンジーに似ているよね。断然アンジーの勝ちだけどね。

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シェイクスピアの庭★★★・5

2020年06月16日 | アクション映画ーサ行

           

「ヘンリー五世」「から騒ぎ」「ハムレット」と、シェイクスピア作品を数多く手がけてきたケネス・ブラナーが、シェイクスピアの人生最後の3年間を描いた監督・主演作。シェイクスピア役をブラナーが演じるほか、オスカー女優のジュディ・デンチ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランら豪華なキャストが顔をそろえる。

あらすじ:1613年6月、「ヘンリー八世」上演中のグローブ座が大火災により焼失した。断筆したウィリアム・シェイクスピアはロンドンを去り、家族が暮らす故郷のストラットフォード・アポン・エイボンへと戻った。20年以上の間、ほとんど顔を合わせることのなかった主人の戸津伝の帰還に、妻と娘たちは戸惑いを隠せなかった。8つ年上の妻アン(ジュディ・デンチ)と未婚の次女ジュディス(キャスリン・ワイルダー)、町医者に嫁いだ長女スザンナ(リディア・ウィルソン)は、驚きと戸惑いを隠せずにいた。そんな家族をよそに、シェイクスピアは17年前に幼くしてこの世を去った最愛の息子ハムネットの死に取り付かれ、一人息子を悼むために、庭を造ることを思い立つ。

<感想>コロナ騒ぎで映画館が閉館していたので、しばらくぶりに劇場へ行き映画鑑賞となった。以前から観たいと思っていたケネス・ブラナー監督の「シェイクスピアの庭」。何故に、シェイクスピアは断筆したのだろうか、最愛の息子の死、家族との確執、父親であり夫であった偉大なる天才作家の知られざる最期の日々。没後400年以上を経て、今もなお愛され続ける幾多の名作を世に送り出した、英国の偉大なる劇作家であり詩人でもあるウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)。

彼の戯曲は現在でも世界各国で上演され、作品や功績は広く知られてはいるが、その生涯はベールに包まれている。芸術家として輝かしい栄光と遺産を築き上げたシェイクスピアは、一体どのような人生を送ったのだろうか?・・・断筆したシェイクスピアがロンドンを去り、故郷のストラット・アポン・エイボンフォードで過ごした人生最期の3年間を、ついに映画化。人間シェイクスピアを描いた心揺さぶる感動作がケネス・ブラナー監督の手によって映画化された。

もちろん、監督・シェイクスピア役には、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身で、10代のころからシェイクスピアに魅入られてきたケネス・ブラナーであります。才能にあふれたシェイクスピアが何故49歳の若さで引退したのだろうか。というケネス・ブラナーの抱いた疑問から本作は生まれたわけですね。

今まで「恋に落ちたシェイクスピア」で米アカデミー賞助演女優賞に輝き、映画、演劇、TVドラマなどでゴールデングローブ賞やトニー賞など、60以上の受賞歴をもつ名優イアン・マッケランが、シェイクスピアの「ソネット集」の美青年のモデルとなったサウサンプトン伯爵に扮して、デイム(ジュディ・デンチ)とサーの称号を持つ英国演劇界のレジェンド二人が、圧倒的な存在感で脇を固める。衣装デザインは「ある公爵夫人の生涯」で、米アカデミー賞を獲得したマイケル・オコナーが。音楽は「ハムレット」「いつか晴れた日に」で米アカデミー賞候補となったパトリック・ドイル。名だたる才能が集結して、シェイクスピアの晩年を描く、初めての映画を完成させた。

シェイクスピアは、ロンドンで執筆活動に勤しんでいた長い間、その中で生じた家族との溝は中々埋まらなかったのだ。気づかなかった家族の秘めた思いや、受け入れ難い事実が徐々に露わになっていく。妻にしても、夫が突然帰って来ても、寝床を一緒にすることを嫌い客人用の寝室をすすめるのだ。長女夫婦には子供が授からなかったこともあり、父親の遺産相続のことが気がかりで、次女にしては、まだ結婚相手さえ決まらず、町の遊び人の男と仲良くなり、父親に見せつけるように結婚を決める。

その男には臨月間近の女性がいて、もうすぐにでも子供が生まれそうな気配。次女はすぐにでも結婚式を挙げたいと父親に言うのだ。男の子を産み、父親の財産を狙おうという算段。まだ父親は40代なのに、子供たちは父親の財産を目当てにしている。毎日のように、庭作りのために雑草を取り、あれこれと庭の草花を植える計画に没頭する。

とにかく、この時代の灯りはローソク1本だけで、本当に暗い部屋の中での食事。それでも自宅はそれなりに大きい屋敷であり、家に帰らなくても、家族たちの生活費とかは仕送りしてきたわけで、大きな住む家と、調度品の豪華さとか、確かに庭には草花が咲いてはいなかった。妻のアンが、あまり庭に草花を植える趣味がなかったのだろう。庭の奥には、最愛の息子が亡くなった池があり、門から屋敷までは、かなり遠いのだ。

庭作りをしながら、今まで家族と疎遠になっていた自分を変えていこうと努力する。妻の誘いで教会に通ったり、隣近所との付き合いとか、いろいろと気遣いをしているシェイクシピアの努力がうかがえるのだった。この時代は、女は字が書けない、読めないという女性の教育がなっていない。男性は金のある家の子供は、学校へいくのに、女性が学校へ行くという風習がなかったのだろう。妻のアンが字が書けないということで、結婚届も出していない。次女の結婚式で、夫のシェイクスピアが妻に自分の名前をサインして、入籍をするという嬉しい計画があったのが良かった。

次女も強引に遊び人の男と結婚をし、直ぐに妊娠がわかり大喜びのシェイクスピアの家族たち。次女の夫の前の女は、出産で子供とともに難産で死んでしまう。なんだか、都合よく話が進んでいき、娘たちも父親のご機嫌をとり、遺産相続のこともスムーズにいきそう。亡き息子のための庭も、金があるのだから業者に頼めばすぐにでもできるのだろうに、自分で庭を造ろうと奮闘する父親の姿がある。娘たちのためにもと、遺言書を作成するシェイクスピア。あまりにも短い生涯に、心が痛む。

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それだけが、僕の世界★★★★

2020年06月12日 | アクション映画ーサ行

                   

イ・ビョンホン主演で、落ちぶれた元プロボクサーの兄と天才的なピアノの腕を持つサバン症候群の弟が織り成す兄弟の絆を描いたヒューマンドラマ。イ・ビョンホンが、寡黙で粗暴だが人情に厚い兄ジョハを演じた。弟ジンテ役は「太陽を撃て」のパク・ジョンミン。「王の涙 イ・サンの決断」の脚本家チェ・ソンヒョンが、自ら執筆した脚本でメガホンをとり、初監督を務めた。「国際市場で逢いましょう」の監督ユン・ジェギュンが製作を担当。

あらすじ:ボクサーとしてかつてはアジアチャンピオンにまで上り詰めたが、40歳を過ぎたいまは落ちぶれ、その日暮らしをしているジョハ。幼い頃から両親と離れ、孤独の中で拳を頼りに生きてきたジョハだったが、ある日、17年ぶりに別れた母と再会。サバン症候群の弟ジンテの存在を初めて知る。天才的なピアノの腕を持つジンテがコンテストに出られるよう、面倒を見てやってほしいと母から頼まれたジョハは、弟の面倒を見始めるのだが……。

<感想>WOWOWにて。イ・ビョンホン演じるところのやさぐれボクサーが大変よかった。それに弟の、サバン症候群のジンテを演じたパク・ジョンミンの素晴らしい演技に拍手を送りたい。母親のベテラン女優ユン・ヨジョンの素晴らしさ。自然な演技が実に名演技で、自分が余命いくばくかの癌で釜山に働きに行くと嘘をつき、入院をしている。全体的に無理のない老巧な演技力に脱帽です。何と言っても本作は、この三人のアンサンブルが見事に絡み合い、完成度の高い作品に仕上がっっているのがよかった。

ジンテがピアノの演奏をスマホで聞き、それを確実に記憶して演奏するという、サバン症候群という難病の演技。金持ちの女性ピアニストが、交通事故で足を無くし、腕も指もその時の後遺症でピアノを弾けなくなったというジレンマとの闘い。それを、自分の演奏をスマホで聞き、自分の演奏を忠実に確実に弾きこなすというジンテに、今までピアノに手も触れなかったのが、自分も弾きたいという衝動にかられて、ジンテと一緒に連弾をするシーンも良かった。

兄貴のイ・ビョンホンは、母親に捨てられた記憶がこびりつき、今でも憎み許すことができない。暴力亭主の父親が、刑務所に入っているのを面会するイ・ビョンホン。いつまでたっても、反省していないロクデナシの父親に、親子の縁を切ると熱弁をふるう息子。

母親の願いはジンテをピアノコンクールに出すことで、イ・ビョンホンは、弟のピアノの演奏を公演で聞き、人々が大勢集まりジンテの演奏に聞きほれ、お金を置いていくのに目をつけて、ジンテにピアノを弾かせてお金を稼がせるのだ。それと、街角でのチラシ配りも。

それでも、ジンテのピアノ演奏を兄貴として認めて、コンクールに出るように取り計らう。だが、コンクールといっても、お金持ちの子供が音楽学校に通い、その中から上手い人を選出するという。審査員たちの、裏でのやりとりを見て、もの凄く巧くピアノを演奏するジンテを、審査の対象外とするのだ。そのことに対して、金持ち娘が、母親にお願いして何とかジンテを優勝させるように懇願するのだが、願いは聞き入れられなかった。母親は、コンクール主催の会長。

兄のイ・ビョンホンが、車に撥ねられるのだが、その車を運転していたのが、金持ちのお嬢さんで、有名なピアニストだった。それで、コンクールで優勝できなかったジンテを、どうしても、個人でリサイタルをしてくれるように頼む兄貴の姿があった。自分は、コンクールの優勝金を当てにして、カナダのボクシングジムへ入ることを考えていたのに。それは、余命幾ばくかの母親にジンテのリサイタルを見せるためなのだ。

しかし、イ・ビョンホンが母親の病気を知り、心を入れ替えて弟の将来の世話をみることと、母親の病院の支払いも全部自分が支払って、葬式まで上げてやるという、親孝行な息子になっていたのが、この作品の良さだろう。

物語は、韓国の金持ちとの貧富の差を感じながらも、血の繋がりとそれに憎しみあっていても親子の絆、ショパンのピアノ曲の演奏にそれらを全て超越してゆくところが見事でありました。

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洗骨★★★・5

2020年06月10日 | アクション映画ーサ行

             

「ガレッジセール」のゴリの監督・主演で、数々の映画祭で好評を博した2016年製作の短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、ゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手がけた長編作品。父・信綱役を奥田瑛二、長男・剛役を筒井道隆、長女・優子役を水崎綾女がそれぞれ演じ、筒井真理子、大島蓉子、坂本あきら、鈴木Q太郎らが脇を固める。

あらすじ:沖縄の離島・粟国島に残る風習「洗骨」をテーマに、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描いていく。新城家の長男・剛が母・恵美子の「洗骨」のために故郷の粟国島に帰ってきた。母がいなくなった実家にひとりで暮らす父の信綱の生活は、妻の死をきっかけに荒れ果てていた。さらに、長女の優子も名古屋から帰ってくるが、優子の変化に家族一同驚きを隠せない。久しぶりに顔を合わせ、一見バラバラになったかにも思えた新城家の人びと。数日後には亡くなった恵美子の骨を洗う大事な洗骨の儀式が迫っていた。

<感想>wowowにて鑑賞。沖縄の葬式やその後のシキタリと風習を知り驚きました。今でも土葬や風葬をしているところがあるということも。家族だからこういう風習の葬式を執り行うのだと思いましたね。東北の山奥でもいまだに土葬で行っているところがあるみたいです。昨今、子供たちが両親のお墓に入りたくないとか、墓離れとしていて、終いお墓をする子供たちが増えているそうです。

物語は、沖縄のある家族のお話であり、妻が亡くなり家に取り残された父親のお話と、その家の長男と長女の話である。もちろん葬式前半は、父親があまりのんびりとしていて、長男が葬式を執り行うわけで、父親が借金を作り、その支払いを全部長男が肩代わりして支払ったという。そのことで、始終父親を怒鳴り散らして、文句ばかりいう長男。東京の長男夫婦の妻や子供は来ていなかった。後で分かるのだが、離婚をしたという。

親戚の前では、沖縄に帰って来て家を継ぐわけでもなく、どうやら家を売ってお金にしたいという感じがした。葬儀の食事は、料理屋から取り寄せるわけでもなく、おばさんや娘たちで慎ましく、ささやかな食卓のお膳を並べる。近所の男が、葬式の後でその法要の食事をおみやげに持って挨拶をしている。それが、まだまだ残り物を欲しいとねだるずうずうしさに呆れかえった。まぁ、香典を包んできたのだから、お返しのお茶とかで済ませればいいものを。

それに、母親の棺桶に入れる時に、膝を折り曲げて沖縄の着物を着せ、髪を結いあげて化粧もして、それは綺麗な母親の死に顔でした。普通なら葬儀屋が執り行う白い着物で、あの世への装束を着させて、寝かせて棺の中へ入れ、花をたくさん手向けて三途の川の渡せ賃をして10円玉をもたせて、火葬した後に、骨を拾いあげるときにその10円玉を身内で分ける。その後に、告別式や法要、納骨、49日、1周忌や3回忌、7回忌とか、遺族は亡くなった者への送り式を執り行う。

沖縄の風葬というのは、4年間、海の穴倉へ棺桶を野ざらしにして骨だけになるのを待つ。4年後に、家族や身内の親せきたちで、海へ歩いて行き、砂浜にその棺桶を出して、中からシャレコウベとなった頭蓋骨を大事そうに抱きかかえる父親。そして、遺体の全部の骨を出して、持って行ったタライにて、木桶の中で真水で骨を丁寧に洗い清める。頭蓋骨が茶色になっていて、きちんと頭のカタチになっていたのが凄かった。まだ魂がそこにあるような、怖いとか、そういう感じはしなかった。

その時に、4年ぶりに帰ってきた娘のお腹が臨月で、誰の子供を孕んだのかと親戚や近所の人たちが噂をする。どこも同じだ、きちんと婿殿を連れてきて挨拶をしていないので、娘は好きな人の子供を産みたかったというばかり。父親も長男もおろおろして怒っている。父親の姉というおばさんが、姪っ子のお腹をみて、「いいさ、授かりものだもの、ここで産めばいいさ」と優しく声をかけるのだ。田舎は善き人たちばかり。

そんな時に、東京から娘のお腹の父親という男が訪ねて来る。美容師の店長だという大柄なゆったりとした、笑顔の素敵な男。父親に娘との結婚の承諾を得て、赤ん坊の父親も一緒に洗骨の儀式をするのだ。

それが、ちょうど臨月なので、海へ母親の洗骨をしにみんなでぞろぞろと行く。母親の骨を出して、綺麗に洗い清めている時に、その娘が産気づき大慌ての人たち。でも、何度も子供が授かったおばさん。産婆ではないが、テキパキとみんなに号令をかけて、娘のお産の支度をさせて、自分はぎっくり腰になってしまい、横に寝ながら指図をする。

それが、死に行く人の風習をして見送り、若い娘が新たな赤ん坊を生むという。なんともドタバタ騒ぎのような感じでもあったが、みんなでお産の手伝いをして、無事に赤ん坊が生まれたのを見届けるのには、安堵とともに笑顔が自然に浮かぶのも良かった。亡くなった母親も、娘のお産に巡りあって、孫の顔を見て嬉しかろうに。

そして、洗骨も無事に終わり、赤ん坊の出産も無事に生まれて、やれやれと思っている時に、海の浜辺近くに魚がたくさん来ているというので、みんなで網を広げてカタクチイワシのような小魚がたくさん獲れたのも、演技がいいのだった。めまぐるしい騒動続きで、哀しい葬式も明るく笑って見送るのに、これでいいのだと思った。

なんともこの物語は、ゴリさんが脚本に監督だというから、驚いた。コンビニのおばさんがリアルで、沖縄の女という感じがして良かった。父親の奥田瑛二さんが渋くて味があっていい。酒ばかり飲んで、頭に怪我をしたのにはびっくりした。娘が美容師なので、兄貴と父親の頭を短くさっぱりと切ってやるのも良かったです。それにもまして、まずは沖縄の青い海が美しくて、それだけでも心が洗われます。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・41  アクション・アドベンチャーランキング