パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ファミリー・ツリー  ★★★★

2012年05月27日 | アクション映画ーハ行
アレクサンダー・ペイン監督が「サイドウェイ」以来7年ぶりにメガホンを取り、第84回アカデミー賞脚色賞を受賞した人間ドラマ。妻が意識不明の状態になった男が、初めて知る家族の絆の意味を描く感動編。

あらすじ:この世の楽園といわれるハワイのオアフ島に住む弁護士のマットだが、今の彼の状況は快適な楽園生活とはかけ離れていた。妻のエリザベスが、パワーボートのレース中に事故に遭い、意識不明の昏睡状態に陥ってしまったのだ。
妻が目覚めればその時こそ、理想の夫、父親になると心に誓うマット。だが、その道のりは険しい。十歳の次女スコッティは、母親がそんな事態になったショックで、不安定な行動をとるようになり、どう扱っていいものかマットは頭を抱えるしかない。

さらに、マットが抱える大きな問題は、彼の一族ひいては島に関わるものだった。
カメハメハ大王の子孫である一族は、カウアイ島に先祖から受け継いだ広大な原野を所有し、その永久拘束を禁じる法律に基づいて、売却を考えていたのだが、一大リゾート地になれば大自然が失われると反対する親族もいるし、金持ちになれると賛成する者も多い。マットはその調停と最終決断を任されていたのだ。
悩むマットは、エリザベスに会わせるためにハワイ島の全寮制高校に通う長女アレックスを迎えに行くが、彼女は最後に会った時に母親と激しい喧嘩をしていたために、動揺を隠せない。
なぜ喧嘩をしたのかと問うマットに、アレックスは「ママが浮気をしていたところを見たの」妻の不義を始めて娘に聞かされ、それを知りつつ黙っていた親友夫婦を問い正すマット。激怒しながらも、その浮気相手の男に妻の現状を伝えようとする。

<感想>ハワイの神秘的な風景と、ゆったりとした音楽が物語を叙情的に彩る。
ハワイの生活はパラダイスだろうと想像するけれど、確かに傍目には毎日が楽しそうに見える。けれども、考えて見ればどこに住もうが、住めば都とも言うし、隣の芝生は青いと羨ましくも思う。
だが、どこに住んでいても毎日が楽しいことはないのだ。そこには楽しいことも、悲しいことも、苦しいことも嬉しいことだってあるからだ。

物語は、南の楽園ハワイを舞台に、人生の重大な局面に立たされた仕事人間が、ないがしろにしてきた家族と向き合っていく姿を描いている。ジョージ・クルーニの普通の父親っぷりがユーモラスでいい。
ハワイに住んでいる人間にとって、必ずしもパラダイスってわけじゃない、と言うマットの独白に始まり、とんちんかんな父娘の関係まで、仕事熱心で自分としては何もかも適切にやってきたと思い込んでいるマット。
いい調子で進んできたのに、なんだ、病床の妻の浮気相手探しの話がメインになってしまっているのが惜しい。ちょっとがっかりしたのは確かですよ、そんなことして何になるの、と思ったりもしたが。

マットが娘2人と、アレックスの彼シドも一緒に、エリザベスの浮気相手を追いかける様子は滑稽ですから。当事者でない者から見ると、何もそこまでしなくてもと。
昏睡状態の妻が浮気をしていて、離婚まで考えていたらしいなんて、それを確かめようもない。果たして本当のところは何があったのか、真剣に妻の行動をなぞるように、マットを先頭に子供たちもそうすることで、死にかけている妻、母親の存在を確かなものにしているように思えて来た。
一家のショッキングでドラマチックな出来事に、浮気相手の居場所を突き止めて、妻の容態を知らせようと行くのだが、その男にも家庭があり子供もいる。一瞬ためらうが、意を決して家へ乗り込むマット。殴り合いになるのかと思ったのだが。
当然その男の家庭も、突然の来訪者によってかき乱され、揺れ動き夫婦関係も上手くゆかなくなる。利口な奥さんがエリザベスの病床へやってくる。

死にゆく人を囲む家族は、それぞれ揺れながら、お互いぶつかりあいながらも、泣いたり笑ったりして、最後に行く着くところはそれしかない。そこに生まれるのは、当然大きな赦しですよね。たとえどんなことがあっても、最後には家族に感謝するしかないのだから。
家族の一人が、確実に死を目前にしている時、遺される家族は大きく揺れながらも、ピンチを乗り越えて、それぞれバラバラだった家族の絆を取り戻し一つになっていく。
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ロボット   ★★★★

2012年05月26日 | アクション映画ーラ行
今年の東京国際映画祭にも出品された2010年のインド、ボリウッドの大ヒット映画「ラジニカーントのロボット」を観賞。制作費37億円世界興収100億円!主演は「ムトゥ踊るマハラジャ」のラジニカーント。超高性能ロボットを発明する博士とロボット、チッティの一人二役。ヒロインは「ジーンズ 世界は2人のために」ハリウッドの「ピンクパンサー2」などにも出演しているスター、アイシュワリヤー・ラーイ。

あらすじ:近未来のインド。発明家で、ロボット工学博士バシー(ラジニカーント)は、恋人のサナ(ラジニカーント)と会う時間を削るほど研究に没頭し、ついに驚異のパワーを持つロボットを完成させた。バシーと瓜二つの容姿を持つロボットは “チッティ”(ラジニカーントが二役)と名付けられ、人口知能開発局A-RDで披露される。
多くの委員が絶賛する中、ボラ教授だけは善悪の判断のできないロボットは危険だと批判する。そこで、バシーはチッティに感情をインプット。感情を持ったチッティは怒り、喜び、そしてサナを愛する感情を持ち、バシーとサナの結婚が決まると喪失状態になる。
そんなチッティはロボットとしての機能が発揮できず、バシーによって破壊され廃棄場へ捨てられる。そこへある人物がチッティの残骸を回収しに来たのは、ボラ教授だった。
ボラ教授はチッティの体に戦闘用のプログラムを入れ込み、凶悪な心を持つ新型チッティを創り上げた。悪の感情に支配されたチッティは、バシーとサナの結婚式場へ行き、サナを誘拐する。

追いかけてくる警官を次々と撃ち殺し、A-RDの建物を占拠。そして自身のレプリカを大量生産し、分身たちにサナを監視させる。誰もチッティに対抗できず絶対絶命の中、バシーは分身ロボットに変装し建物内に潜入。果たしてバシーが考えた作戦とは?・・・今、究極のミッションが開始される。
<感想>歌って踊っているだけのインド映画時代は終わった。ハリウッドもびっくりのインドの底力を感じさせる歌あり、アクションあり、ラブロマンスありのSF進化バージョン。インド映画とは、愛と笑いの総合エンターテイメイントである。どんなジャンルの作品にも歌と踊りのミュージカル・シーンが満載なのだ、

上映時間も3時間超えが当たり前。もちろんインドという国には、いろんな社会的な問題もあるけど、そういうことはここではとりあえず問題ではないのだ。
大事なのは、厳しい現実を軽々と越えて行く、圧倒的な非日常性のパワーなのだ。
本作は、そんなインド映画の最新型を思う存分楽しみたい。という人に最適の1作。

主演は90年代後半に「ムトゥ 踊るマハラジャ」で日本でも一世を風靡し、今なおインド映画界のスーパースターとして君臨しつづけるラジニカーント。
のほほんとしたSFコメディふうに幕を開ける物語は、途中から博士とロボット、なんとラジニ兄貴、もう60歳のはずだけど一人二役で、スクリーン狭しと歌い踊る。恋人役のアイシュワリヤーも30歳だけど、しおらしく女子大生役を演じて、ラジニ作品に、年齢は関係ありません。

とにかくラジニの踊りはココが凄い。ラジニ兄貴のルックスは非イケメンだが、その分演技とダンスがめちゃ上手い。若い頃は大工、荷物運び、バスの車掌を務めるなど下積み生活が長かったこともあり、体力とサービス精神がハンパないのだ。
面白ければノープロブレムというインド気質と「ターミネーター」を手掛けたハリウッドのCG工房レガシー・エフェクツの技術が合体して、驚異のラスト40分を生み出した、チッティが増量されて合体!ラストでは「トランスフォーマー」も顔負けの大きい球体から大蛇の形に、トランスフォームして、スーパー超合金アクションが大炸裂する。インド人もびっくりですから。

ワンシーンが長過ぎて、特にアクションシーンでは「いつ終わるの?」というほど長い。悪漢に拉致されたサナを救うべく列車の壁を走る!耐火性にすぐれ火事場へ飛び込む勇敢さ、アクション指導は「マトリックス」のウエン・ウービンだそうで、武装警官に包囲されても「マトリックス」ばりの機関銃さばきで撃退する。
おまけに音楽の担当は「スラムドッグ$ミリオネア」で国際的にも注目され、あのミック・ジャガーからもコラボ相手に指名されたたA・R・ラフマーン。欧米風R&Bポップとインドの伝統的なリズム感が、一体になって襲いかかってくるミュージカル・シーンは、理性では理解不能だけどだんだんと快感になってきちゃうところが、やっぱりなんか凄いと思える。
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キラー・エリート ★★★★

2012年05月25日 | アクション映画ーカ行
英国特殊部隊員を暗殺せよ!不可能任務に挑む殺し屋と彼をつけ狙う謎の男
有名な冒険家であり元SAS(英国特殊部隊)の一員だったラヌルフ・ファインズの、ノンフィクション小説をもとにしたサスペンス・アクション。最も危険で困難な任務を課せられた殺し屋たちの攻防を描く。出演は「ブリッツ」のジェーソン・ステイサム、「マチェーテ」のロバート・デ・ニーロ。「」クライヴ・オーウェンほか、監督はゲーリー・マッケンドリー。

あらすじ:1980年、有る任務で目撃者の幼い子供をどうしても殺せなかった殺し屋のダニー(ジェイソン・ステイサム)は、己の限界を感じこの家業から足を洗うことに。
それから1年後、恋人と二人で静かに暮らしていたダニーのもとへ、一枚の写真が届く。そこには、殺し屋の師匠でもあるハンター(デ・ニーロ)が人質となっている姿が。送り主はオーマンの酋長シーク・アムル。彼はイギリスから反乱分子と見なされ、3人の息子をSASに殺害されたのだ。

その復讐のために雇われたハンターだが、標的がSASと知り逃亡を図り捕えられたのだ。ハンターを救うため、仕方なく任務を引き受けるダニー。
だが、相手は世界最強といわれる特殊部隊員たちだ。覚悟を決めたダニーは、かつてチームを組んでいた兵士デイヴィス(ドミニク・バーセル)と、コンピューターの天才マイヤー(エーデン・ヤング)を招集し、暗殺作戦に着手する。
そんな彼らの動きを探る不気味な影。“フェザー・メン”と呼ばれる謎の組織から密命を受けた元SAS隊員スパイク(オーウェン)だ。そうとは知らず、ダニーはターゲットの一人がオマーンに駐留していることを突き止め、激闘の末に殺害に成功。
さが、それによりダニーらの動きは敵に察知され、スパイクの魔の手が彼らに忍び寄る。殺しのプロ同士の死闘。果たして最後に生き残るのは?・・・。

<感想>いつ見てもスカットする凄技のアクションには、まったくといってハズレなしの鉄板俳優、ジェイソン・ステイサム主演の実録スパイアクション。凄腕の殺し屋がSASと死闘を繰り広げるという、日本のアニメ「ゴルゴ13」のデューク東郷ばりのぶっ飛びストリーだが、なんとこれが実話ベースにしたものだというから驚きである。

生まれついての殺し屋/キラー・エリートのプロフェッショナルな仕事ぶり、元SASのメンバーによって作られた秘密組織“フェザー・メン“の暗躍、殺し屋の師匠を演じたロバート・デ・ニーロお緩急自在な演技ぶり、とどれをとっても男心を鷲掴みする見所ばかり。
中でも「ボーン・アイデンティティ」で寡黙な殺し屋を演じたクライヴ・オーウェン、敵役が素晴らしすぎたせいなのかどうなのか、その後も「シン・シティ」ではガンマン、「インサイド・マン」では銀行強盗と、銃を持つ職業なら何でもござれ、いい奴でも悪い奴でも、だいたい政府のエージェントか悪の組織所蔵。本作でのオーウェンは、元SASの隊員として敵対、男臭さでもジェイソンに負けてはいない。

もう一人寡黙な殺し屋と言えば、この人ジェイソン・ステイサム。見事にいつも同じ顔で同じように銃を撃ち、同じように車を運転し、同じように女を抱いている男ジェイソン。素早い速さでビルからビルへと飛び移り、改築工事のビルから落ちる様にドキリ、中でもステイサムが、椅子に縛り付けられたままでのスタントシーンは、圧巻で見る価値あり。
そんなオーウェンとステイサムが、いつものように、同じように安定感バリバリで出演しているのが本作品。ポスターではどっちもレイバン系サングラスに銃。
アクション、ストーリー、キャラクターの3大要素ががっちり噛み合った一級品に仕上がっている。それにしても、最後に悪人から奪ったスーツケースの大金を、捨ててしまえというステイサムに、今の世の中金次第、少しは貰っておこうとポケットに札束をしまうデ・ニーロおじさんも素敵でしたよ。
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恋と愛の測り方  ★★★★

2012年05月24日 | か行の映画
ニューヨークを舞台に、4人の男女の想いが交差する一夜を描く、「ジャケット」の脚本家、マッシー・タジェディンの初監督作。出演は「ロンドン・ブルバード LAST BODYGUARD」のキーラ・ナイトレイ、「アバター」のサム・ワーシントン、「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」のギョーム・カネ、「アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」のエヴァ・メンデス。
あらすじ:ファッション雑誌のライター、ジョアンナ(キーラ・ナイトレイ)と、建築関係の会社に勤める夫マイケル(サム・ワーシントン)は結婚3年目。アッパーニューヨークのマンションで、誰もが憧れるような充実した毎日を送っている。そんなある日、マイケルの仕事関係のパーティーに招かれたジョアンナは、そこで夫の新しい同僚、ローラ(エヴァ・メンデス)を紹介される。

ジョアンナは、夫とローラの間に漂う恋の予感にひと目で気が付くが、帰宅後、その疑いをマイケルはキッパリと否定する。だがひと月前のLA出張も、明日から一泊のフィラデルフィア出張も、ローラが一緒だと知ったジョアンナは、感情を抑えることができない。
翌朝、マイケルを送り出して、いつものカフェにコーヒーを買いに行くジョアンナ。呼び止める声に振り向くと、パリにいるはずのジョアンナのかつての恋人、作家のアレックス(ギョーム・カネ)がいた。新作の出版の打ち合わせのために、やって来たのだと言う。アレックスに誘われて出版社の社長とのディナーに向かう車の中で、ジョアンナはマイケルからの着信を無視してしまう。
無事に商談を終えたマイケルは、つながらない電話を気にかけながらも「飲みたい」と言うローラに付き合う。

ニューヨークでは、犬の散歩を頼まれて立ち寄ったマイケルの友人のアパートで、アレックスが「どうして書かないのか」とジョアンナを問い詰めていた。彼は本を一冊出したきりの彼女の才能を惜しんでいたのだ。話は別れた理由にまでさかのぼり、やがて二人はどちらもまだ愛していることに気付く……。
フィラデルフィアでは、誰もいないホテルのプールで、ローラがマイケルへの想いを打ち明ける。そんな彼女の横顔は、美しく濡れていた……。夜が深まるにつれ4人の想いは、激しくも切なく交差していく。夜明けまであと数時間。果たして絡まった恋と愛の行き着く先は……。(作品資料より)

<感想>アメリカニューヨーク、結婚3年目にして夫が浮気しているかも?・・・と思い始めた妻。そんな時、夫の出張中に元彼が彼女の前に現れ、彼に誘われた妻はどうする?・・・。
原題は「ある晩の夜」ということで、ある夫婦の一晩の物語で、テーマは浮気です。
愛し合っているはずの夫婦が、ある晩それぞれ別の相手と一夜を過ごすことになる。激しく、そし切なく揺れる彼らの想いの行方は?・・・。
場面は転換するが、登場人物はキーラ。ナイトレイとサム・ワーシントンが夫婦の役を。それにサム・ワーシントンの同僚で浮気相手となるのが、エヴァ・メンデス。そして夫の留守に浮気をする妻の相手が、ギョーム・カネの4人。

結婚3年目の夫婦の微妙な関係を、キーラとサムが絶妙に演じているし、その相手役を演じるエヴァとギョームも完ぺきに演じていて、一組の夫婦がどうなってしまうのか?・・・最後までハラハラしてしまう。
まるで舞台劇のような印象の92分なんですが、お洒落なマンションに住み、ホームパーティ三昧といったニューヨーカーの優雅な暮らしも垣間見え、物語意外の部分も興味深いですね。
サムのマッチョな体に、エヴァとのプールでの絡みからこれはと、なんとなく想像していたら、雰囲気からしてやっぱりねと思ってしまった。だからといって、サムとキーラの夫婦関係にヒビが入るわけではない。
夫の留守の間に、元彼のギョームとデートするキーラの美しいことといったら、女は恋している時が一番輝いて見えるというから、帰ってきた夫が妻の顔を見て、床に転がっている外出用のハイヒールを見過ごすわけがない。
心の浮気と体の浮気、悪いのはどっち?・・・許せるのはどっちなの。自分だったらどうしていた。さすがに上質のラブストーリーの展開、女性監督ならではの、男と女の描き方が丁寧で、女性側から観てこれなら許せると思わせる、繊細な感情が心にしみ込んでいくような余韻が残って素晴らしい。
観終わった後に、テーマについて語りあいたくなるような作品ですね。
2012年劇場鑑賞作品・・・42    映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング        
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幸せの教室    ★★★

2012年05月23日 | さ行の映画
「フォレスト・ガンプ 一期一会」などで2度のアカデミー賞主演男優賞に輝くトム・ハンクスが、製作、監督、脚本、主演を務めたハートフル・ストーリー。失業した中年男性が、再就職のために通い始めた学校で情熱を失った女性教師と出会い、互いに希望を見出してゆく。共演は「食べて、祈って、恋をして」のジュリア・ロバーツ。

あらすじ:大卒ではないという理由で、長年勤めていたスーパーをリストラされてしまったラリー・クラウン(トム・ハンクス)。再就職のアテもなく落ち込んでいたが、心機一転、再就職のためのスキルを身につけようと、短期大学に入学する。そこで出会ったのは、スピーチの授業を担当する教師メルセデス・テイノー(ジュリア・ロバーツ)。いつも仏頂面で、酒に酔って暴言を吐くメルセデスは、結婚生活の破綻からアルコールに走り、教師としての情熱も、日々の喜びさえも見失っていた。初めてのキャンパスで年齢も境遇も違う様々な人々と出会うことで世界を広げ、かつてない充実した日々を送り始めるラリー。メルセデスは、そんなラリーとの出会いを通して、再び自分と向き合い始める。果たして2人はこの教室で、幸せな未来を見つけることが出来るのか……?

<感想>このご時世、いつなにが起こるかわからない。勤務先の大型スーパーで優秀な社員として働いていたにもかかわらず、大学を出ていない彼にはこれ以上出世の望みはないという理由で、突然解雇される。逆境を好機に変えるラリーの人生の極意とは、もちろん彼だって落ち込む。でも「だったら学歴を持とう」と迷いなく大学に入学する。その行動力がスゴイ。年を重ねると思いきった一歩が困難だったりするが、それを踏み出したラリーが経験する、様々な出来事が楽しい。
この主人公ラリーのように、アメリカでは社会に出たあとでも様々な理由や年齢で大学に戻り、資格を取って人生の再スタートを切る人が珍しくない。原則として入学試験のないコミュニティ・カレッジで取れる資格もあるし、その後正規の大学へ編入することも可能である。

にしてもやはり、リストラは誰にとっても辛い体験である。この人が言うことなら絶対信じたくなる。名優トム・ハンクスが監督と主演務め、そして、ほかに誰がいてもまず目がいく、華のあるジュリア・ロバーツ。このアカデミー賞2大スターの豪華共演作なんだもの、親子ほど年の離れた学生たちの中に、平気で飛び込んでいくラリー。その素直すぎる姿勢から「友情に年齢は関係ない」と教えられる。
年齢問わず個性豊かな人々との交流、それにラリーが若者と交流する手段がスクーター。トム・ハンクスはそのスクーターにこだわり、撮影に使われたものはヴィンテージものなので注目を。大学でラリーは、若くセンス抜群のタリアと知り合い、彼女を通して風水やファッションへの目覚め、まさに“生きている”って感じ。逆に全てをリセットする機会を得たラリーが羨ましくなるほどだ。
ハートウォーミングな物語とピュアなキャラは、まさにトムが得意とする世界。

一方、ラリーが受講するスピーチクラスの美人教師、メルセデスは、結婚生活が破綻しかけているせいで、いつも不機嫌。だが、おトボケのようで意外に真実を突いてくるラリーや、クラスの仲間との交流を通し、メルセデスもまた自分に自信を取り戻していく。
「こんなハズじゃなかった」と人生の崖っぷちに立つ二人の物語は、実はそんなことが今、誰にでも起こり得るからこそ、私たちの心にもストレートに響くのですね。
ラリーが受ける経済学のマツタニ教授に「スター・トレック」でお馴染みだった日系人俳優ジョージ・タケイが出演。実は大人にこそ経済学やスピーチの授業は必要な内容なんです。強い意思さえあれば、勉強を始めるのに遅すぎることはないってこと。
そして彼らが心機一転、恐れず一歩踏み出すことで新たな出会い、そして幸せを見つけていく姿が、観る者に希望と勇気を与えてくれる。
全体としては失業者が決して希望を失わない作りにしながらも、あえてエンターテイメント性を少し控えめにしているのがいいし、そうすることで、嘘くささがなくなり作品として失業者に、真の意味での希望を与えてくれると思う。
全編に漂う、トム・ハンクス監督らしい明るく前向きなムードが、本作の魅力。70年代~80年代の音楽も効果的に使われ、ラリーの再出発ドラマをさわやかに受け止めてしまう。
2012年劇場鑑賞作品・・・41   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング 
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善き人    ★★★

2012年05月22日 | アクション映画ーヤ行
一冊の著書により親友を失いヒトラーに加担してしまった一人の男の物語。
現代の“GOOD”、日本語のタイトルを「善き人」という映画は、無台劇の映画化。
監督:ヴィンセント・アモリン
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ジェイソン・アイザックス、
   ジョディ・ウィテカー、スティーヴン・マッキントッシュ、
   マーク・ストロング、ジェマ・ジョーンズ、アナスタシア・ヒル
20世紀ベスト舞台劇100本の1本に選ばれたというこの作品の舞台は、ナチスが合法的な選挙で政権を掌握したベルリンである。

あらすじ:大学教授ジョンは、病身の母親の世話をし、少々エキセントリックな妻と子供たちのために、献身的に家事をこなす“善き人”すぎるのではないかというくらいだ。
そんなジョンの書いた小説がヒトラーの目にとまったことから、彼の人生は大きく動き始める。
ヒトラーが気にいったというジョンの書いた小説というのが、愛ゆえに難病の妻を死に至らしめる男の物語。小説はフィクションだから、この物語を美談だと受け取る読者がいても構わないと思う。しかし、ヒトラーには狙いがあったのですね。
それは理由さえあれば人の生きる権利を奪ってもかまわない、という考え方を正当化しようというものだったのです。ジョンは自分の小説がどんなことに利用されようとしているのか、書いた自分が政府の側に立つことで、どんな運命が待ち構えているのか、薄々想像しながら補う余裕なんてなかった。

むしろ政権のお気に入りになったことで、入党を決意したのだから。それまでの自分の生活を清算しようと考えるわけですね。母親を故郷へ連れ帰る。妻子と別居。元教え子のアンと再婚、・・・それはまるで“善き人”だった自分との決別をしたのです。
しかし、ジョンは手のひらを返したように“悪い人”になったわけではないといったら嘘になります。主人公のとった行動は決して共感できることではないと思います。時代の波にほんの少し上手く乗ってみただけだった。ユダヤ人の友人モーリスに誘われれば、約束を守って彼の家を訪ねることもした。

モーリスは、ナチのお偉いさんになったジョンに、国外脱出のためパリへの切符を手に入れてくれるように頼むのだが、ジョンは彼の頼みを聞き入れることができずに、自分を守ることを考えたのでしょうね。大事な親友を失くすことを知っていながら、断ってしまい、後で悔やんでも気が付いたときには絶望的なことになっている。
やがて“水晶の夜“、パリ駐在のドイツ人書記官がユダヤ人に殺されたことから、ドイツ本国でユダヤ人の商店やシナゴーグが襲撃され、多くのユダヤ人が逮捕され、連行されてしまう事件が起きる。
ジョンは、モーリスを探して街へ出るが、見つけられずそれっきりモーリスは行方が分からなくなってしまう。

第二次世界大戦が始まり、ジョンは親衛部隊の幹部に昇進していた。連行されたユダヤ人の膨大な記録文書があることを知ったジョンは、モーリスの消息を調べて収容所の一つに行きつくのである。そこでジョンが目にしたのは、あまりにもたくさんの「モーリス」たちだったのです。
歴史上まれにみる虐殺。組織的、計画的に殺されたのはユダヤ人、文化人、ゲイ、政治活動家、そして精神的身体障害者たち。彼らの生きる権利はなぜ奪われたのか?・・・彼らの生きる権利を奪う理由はあったのか。理由があったとしても、それは万人に納得のできるものだったのか。

どの時代のどこに生まれたら、もしも自分がジョンだったら、ナチスに逆らってでも行動できるだろうかと自問自答してしまう。いつもナチス政権下のヨーロッパの映画を見る度思い浮かべてしまう。自分がユダヤ人だったら、自分がドイツ人だったら。彼らはみな“悪い人”ではなかったはず。そんな人達が見過ごした、あるいは見て見ぬふりをした、その結果がホロコーストだったのですね。
クライマックスで見せるジョンが、ユダヤ人収容所へやってきてその悲惨な光景に打ちのめされるシーン。ヴィゴ・モーテンセンの顔色が変わる瞬間をカメラが捉える。一筋の涙が頬を伝う。見ている我々も自然に涙が流れて、胸が締め付けられる。
いつ見てもナチス時代のドイツを描いた作品に、心をかき乱され涙でしか現わすことができないもどかしさに、自分がこの平和な時代に生まれたことを感謝すると同時に、あの時起きたことは、もしかしてまた起こりうるのだという思いに襲われ、考え過ぎかもしれないが心臓が縮む思いがした。
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宇宙兄弟   ★★★★

2012年05月09日 | アクション映画ーア行
2011年の講談社マンガ賞と小学館漫画賞を同年にW受賞した小山宙哉のベストセラー・コミックを実写映画化。小山宙哉による同名コミックを「ひゃくはち」の森義隆監督が映画化。幼い頃に宇宙飛行士になる約束を交わした兄弟が、異なった人生を歩みながらも互いに宇宙を目指す姿を描く。出演は「荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE」の小栗旬、「アントキノイノチ」の岡田将生、「幸運の壺 Good Fortune」の麻生久美子、「ロボジー」の濱田岳、「ライアーゲーム 再生」の新井浩文。主題歌はイギリスのロックバンド、コールドプレイが担当。

あらすじ:西暦2025年。幼い頃に兄弟で交わした「二人で宇宙飛行士になる」という約束通り、弟・ヒビト(岡田将生)は宇宙飛行士となったが、兄・ムッタ(小栗旬)は、会社をクビになり無職となってしまう。大きく異なった運命を歩んでいた二人の兄弟。
そんなある日、ヒビトからの1本の電話をきっかけに、ムッタは再び宇宙を目指し始める。一念発起をして宇宙飛行士選抜試験を受けるムッタだが、予想以上の難問題が待ち構える。夢を追い続けたヒビトと、夢を思い出したムッタ。いま、二人の壮大な夢が動き出した……。(作品資料より)

<感想>原作マンガも見たし、日テレのアニメも毎週日曜日見ています。でもまだ原作もテレビも終わってません。ですが、前から見たいと思っていたので感慨もひとしお。兄貴の六太にチリパーマの小栗旬、弟の日々人には岡田将生と、配役については文句のつけようがありませんです。ワンコのアポロも子供役の男の子も中々良かったですよ。
今どき、月まで行く人たちの物語なんて、夢があるなぁと思い、男兄弟でこんなに仲良く自分たちの将来の夢を実現する物語に感動します。宇宙飛行士になるってことは、そう簡単には出来ないことで努力と忍耐力、それに行動力。試験を受ける前に、まず幾つかの資格が必要で、それに加えてスポーツ選手と同じくらいのトレーニングを積んで体を鍛えなくてはならない。宇宙飛行士になるためには、全てを持っていなくちゃいけないということ。これは凄いですよね。最初の宇宙飛行士は、戦闘機のパイロットから選ばれたわけで、あらゆることに耐えうる肉体を持っていなければならない。

リアルすぎる月面シーン、東宝スタジオに御殿場などから運んできた何百トンもの砂を敷き詰めて、月面を再現。そのリアルさはJAXAの研究者のお墨付きだというから、日々人が重い宇宙服を着て、軽やかにワイヤーアクションを演じているところは初挑戦ながら良かったですね。月面シーンを演じながら感じたことは、たった一つのミスが命取りに繋がってしまう。常に死を意識しながら作業するという、宇宙飛行士の精神力の強さです。
本当だったら、日々人が日本人初の月面歩行者になったのに、それが探査機で月面を移動中に同乗者が運転を誤り、クレーターに落下し地球との通信が途絶えてしまう。
宇宙服も破れ-60度の月面で、もう絶望かと思う場面で、足に怪我をしているにもかかわらず、仲間を背負い歩くシーンにもうダメかと思った。マンガですから奇跡って起きるんですね。

それに原作でもハラハラさせられた、兄のムッタがライバルと過ごす閉鎖環境ボックスシーンは、一見の価値がありますよ。クランクイン直後にこの撮影が行われたという小栗さん、アドリブと長回しが多用されているシーンで、共演者たちと関係性が作れないまま緊張して挑んだそうです。
NASAケネディ宇宙センターでのロケも実現して、人類の宇宙ロケットに対する熱い想いが込められた、オープニングタイトルがカッコいいですね。ラストも兄弟で月面に着陸して、歩いて日の丸を立てるシーンには胸が熱くなりましたね。
小栗旬&岡田将生の若手コンビでの実写化。宇宙飛行士に選ばれるまでの、肉体的、精神的に過酷な試練を描きながらも、離れて暮らしていても心の底で繋がっている兄弟の絆、子供のころの夢の大切さをドド~ンと描いています。
2012年劇場鑑賞作品・・・39 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング 

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人生はビギナーズ    ★★★

2012年05月08日 | さ行の映画
「サムサッカー」のマイク・ミルズ監督が、自身と父との体験を基に映画化。自分の気持ちに正直に生きた父と、彼の影響を受けながら自らの生き方を模索する息子の姿を描く。出演は「ゴーストライター」のユアン・マクレガー、「プリースト」のクリストファー・プラマー、「黄色い星の子供たち」のメラニー・ロラン、「ノンストップ・ガール」のゴラン・ヴィシュニック。

あらすじ:38歳独身のアートディレクター、オリヴァー(ユアン・マクレガー)は、ある日突然、父・ハル(クリストファー・プラマー)から「私はゲイだ」とカミングアウトされる。それは44年連れ添った母がこの世を去り、癌を宣告された父にとって、これからは本当の意味で人生を楽しみたいという告白であった。
元々は厳格で古いタイプの人間だったハルだが、そのカミングアウトをきっかけに若々しいファッションに身を包み、パーティやエクササイズに精を出し、若い恋人まで作って新たな人生を謳歌。
一方、オリヴァーの友達は仕事と犬。元々の臆病な性格故か、父のカミングアウトに戸惑いを隠せない。父と母の間に愛はあったのか。二人の間に生れ育った“僕”とは。そんな様々な過去に戸惑うオリヴァーとは裏腹に、父の生き方はとても潔かった。父の振りまく愛に、周囲の人は素直に心を開き、また父も素直にその愛を受け入れた。
身体は癌に冒され、確実に最期の日は近づいていたが、決して心は衰えることなく、今までのどんな時よりも前を向いて生きようとしていた。そんな父と語り合った母のこと、恋人のこと、人生のこと……。オリヴァーはこの語らいの中で、父もまた親や母との距離において多くの葛藤を抱えながら生きていたことを知り、改めて自分自身の生き方を見つめ直していく。
だがそんな時に訪れた、父との永遠の別れ。再び自分の殻に閉じこもってしまったオリヴァーを心配した仲間は、あるホームパーティにオリヴァーを無理やりに連れ出し、彼はそこで風変わりな女性・アナ(メラニー・ロラン)と出会う。人と距離を置きながら生きてきたアナは、父を亡くしたオリヴァーの喪失感を優しく癒し、オリヴァーはアナの優しさに心を委ねていく。
まるで初恋の時のような強さでお互い惹かれ合っていく似た者同士の二人。幸せな日々が続いていたが、アナがオリヴァーの家で暮らし始めた頃から、何かが今まで通りにいかなくなり、またしてもオリヴァーは一人になることを選んでしまう。昔のように愛犬アーサーと取り残されたオリヴァーだったが、父の最期の“教え”が彼の背中を強く推すのだった……。(作品資料より)

<感想>もしも自分の父親から突然「実はゲイだったんだ」と告白されたらどうする?・・・嘘みたいな話だけど、これはマイク・ミルズ監督の実体験の映画化なんです。45年間連れ添った妻に先立たれ、75歳にして「同性愛者として残りの人生を楽しみたい」と告白する父親は、マイク監督の亡父がモデル。父親が亡くなった5ヶ月後に本作の脚本を書き上げている。
父親が昔のことを話すシーンで、13歳のころから、自分の性志向に目覚めたと言う。成り行きで高校生の時に、母親からプロポーズされ結婚をしてしまったという。この時代だとゲイでも、結婚をして子供が生まれ普通に生活をしていたのですね。
でも、その内夫婦仲が冷え切っていたというから、同性愛者が家庭を持つということは悲劇でもあるわけです。結果的に妻が亡くなった後に、カミングアウトして若いマッチョな恋人と余生を楽しみ始めるのですから。

息子のオリヴァーには、ユアン・マクレガーが扮して、38歳のアートディレクター。気が優しくてナイーブな性格で独身。子供の頃に両親の夫婦仲が冷たく感じられたことから、人を愛することに憶病になっている。
そんな奥手の主人公が悩みを相談するのは、飼い犬のアーサー。人間の言葉は喋れないが、ちゃんと目と仕草で、時には字幕で答えてくれるのだ。
死を間際にしながら新しいことにチャレンジする父親の姿に励まされ、息子のオリヴァーも自分の殻を棄てて生きることに取り組む。父が他界した後、ふさぎがちだったオリヴァーは、パーティでフランス人のアナと出会う。二人は意気投合し、一緒に暮らすことになるのだが、何故か上手く行かない。またしてもオリヴァーは一人になることを選んでしまう。

この二人のシーンでも咽頭炎で喋れないと言うアナに、筆談を用いたりして、隣にいるのに、わざと電話を使って話したり、それにアーサーの言葉も字幕の台詞で表現する演出の仕方は、監督の昔の仕事の影響なのかもしれませんね。

この役でアカデミー賞の助演男優賞を勝ち取った、ベテラン俳優クリストファー・プラマー。難しい役をさらりとこなす名優で、いつもは会社の重役とか貫録のある役柄が多いのだが、本作でのゲイの役柄では薄紫色のセーターに首にはマフラーを巻き、実に若々しいく感じられた。ゲイといっても言葉使いは、オカマ言葉ではなく自然な男の声である。残された人生を、ゲイをエンジョイしている姿が微笑ましく感じられた。
人生に迷える息子役のユアン・マクレガーも、引っ込み思案で内向的な役回りを、自然に演じているので感じがいいですよね。その彼女役のメラニー・ロランも、いつもながら奇麗で魅力的です。この映画の共演で恋に落ちたというお二人さん、ご縁があったのですね。

そして、忘れてならないのが、愛犬のアーサーを演じたコスモの名演技である。「アーティスト」に出ていた、ワンコと同じ犬種であるジャック・ラッセル・テリア。コスモの心の声が字幕で答えてくれる、絶妙な愛の手がいいですよね。
父親が偽りの人生を改め、言葉ではなく前向きに生きる姿を、息子に見せることで、遺言代わりにする下りが胸に染み入る。泣かせに走らない、抑えの効いた演出が効果的で良かった。
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おとなのけんか  ★★★★

2012年05月07日 | アクション映画ーア行

ヤスミナ・レザの舞台劇を原作に、二組の夫婦4人の室内劇を「ゴーストライター」のロマン・ポランスキー監督が映画化。出演は「幸せの1ページ」のジョディ・フォスター、「コンテイジョン」のケイト・ウィンスレット、「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のクリストフ・ヴァルツ、「ダレン・シャン」のジョン・C・ライリー。

あらすじ:ニューヨーク、ブルックリン。ザッカリー・カウワンがイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという11歳の子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることに。リベラルな知識層であるロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー/ジョディ・フォスター)は、カウワン夫妻(クリストフ・ヴァルツ/ケイト・ウィンスレット)を家に招くが、冷静に平和的に始まったはずの話し合いは、次第に強烈なテンションで不協和音を響かせる。やがてお互いの本性がむき出しになっていき、夫婦間の問題までもが露わになっていくのだった……。(作品資料より)
<感想>だいぶ前に見たのだが、遅くなってしまった。この作品はトニー賞を受賞した舞台劇をロマン・ポランスキーが映画化した、コミカルな会話劇。アパートの1室を舞台に、夫婦2組による“四つどもえ”の舌戦を演じて見せている。ロングストリート夫妻には、ジョン・C・ライリーとジョディ・フォスターが、カウワン夫妻にはクリストフ・ヴァルツとケイト・ウィンスレットが扮して、4人の名演技が見所です。特にケイト・ウィンスレットが、食べたものを嘔吐する場面が凄い。観ていてこちらまで具合が悪くなってしまう。

物語は、常識だった大人たちが、抑えていた不満をぶちまけ、誰かれかまわず当たり散らす様を、スピーディなセリフ回しで展開させ、最後まで飽きさせません。確かに被害者の息子の親であるロングストリート夫妻も、初めは穏便に済まそうと、子供の怪我(前歯が折れた)の病院の費用だけを請求したように思われました。
だが、よかれと思って出したお手製のケーキをカウワン夫妻が食べたことで、妻のケイト・ウィンスレットが急に気持ちが悪いと、トイレに行けばいいのにその場に吐いてしまう。テンヤワンヤで掃除するも匂いが充満し、香水をふるわ大事にしていたロングストリート奥さんの美術本フジタの画集)を汚してしまう。

その仕返しかどうか分からないが、ペネロペがナンシーのバックをぶちまけてしまうのはスカっとした。
そもそもの原因は、カウワンの夫であるアランが、話し合いの最中でも仕事の電話をやめない。そのことに、ぶち切れた妻のナンシーが、神経を高ぶらせてしまい気持ち悪くなって嘔吐したのだ。あとで、ナンシーが水の中へわざと落とすのが痛快。その後片付けをして、帰る気配があったのに、また戻って来てよせばいいのに、ロングストリートの夫が取って置きのウィスキーを出すから始末におけなくなる。

これも、ロングストリートの妻のペネロペが、「平凡が一番」と決めつける夫マイケルへの、日頃の不満が爆発し、酒が入ったことで口論は激化し、夫同士、妻同士、男VS女の修羅場になってしまう。
案の定、ああだ、こうだと言い争いになり、お互いに言いたい放題。子供の喧嘩のことなどそっちのけで、ペットの処遇から世界平和まで、議題は果てしなく広がるのです。酒を飲み始めると人間は、今まで我慢して思っていたことを、口に出してしまうから余計に喧嘩がひどくなってしまう。初めはナンシーが、テーブルの上にある黄色いチューリップを褒めたのに、帰りにはチューリップを花瓶から出し手でちぎってぶちまける激しさにはびっくりです。
舞台とはまた違ってカメラの存在を意識させるように、その一部始終を見せつける演出の手法で、登場人物4人それぞれの本音を覗きこんでいるように思え面白い。
それに、冒頭の公園での子供たちの喧嘩を見せ、最後のエンディングでは、子供たちが公園で仲良く遊んでいる姿を見せる終わり方も印象的でよかったと思う。
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ポテチ    ★★★

2012年05月06日 | は行の映画
「ゴールデンスランバー」など、伊坂幸太郎作品の映画化で定評のある中村義洋監督が、伊坂の中編小説を原作に、別々の人生を歩んできたプロ野球選手と平凡な青年が辿る数奇な運命を描く。出演は、中村作品の常連で「ゴールデンスランバー」の濱田岳、「極道めし」の木村文乃、「ALWAYS 三丁目の夕日’64」の大森南朋。


あらすじ:今村(濱田岳)と若葉(木村文乃)の出会いはビルの屋上だった。そのきっかけとなったのは、一本の電話。2人が出会う少し前、ビルの屋上から飛び降り自殺をしようとしていた若葉は、死ぬ前に恋人に電話をかけた。ところが、留守電に吹き込まれたメッセージを聞いていたのは、彼女の恋人の家に空き巣で入っていた今村とそのボス。
“これから死ぬ”という彼女を放っておくことができず、今村は“キリンに乗っていくから!”と、わけのわからない言葉を発して、若葉のいるビルへ向かったのだ。これによって自殺を思い止まった彼女は、今村と同棲を始める。

ある日、今村の空き巣の仕事を見てみたいと同行する若葉。忍び込んだマンションの一室は、プロ野球選手の尾崎の部屋だったが、今村は野球漫画を読んだり、ソファでくつろいだり、何かを盗む様子は全くない。若葉が金目のものを見つけて帰ろうと促してもなかなか動かない。
と、そこへ電話のベルが鳴り、家主の尾崎に助けを求めるメッセージが。若葉と出会ったときと似ている、と今回も放っておけなくなった今村は、メッセージを残した女の元へ向かう。尾崎の代理で助けに向かった今村と若葉だったが、そこには思わぬ出来事が待っていた……。
意外な事実を知って腹を立てた今村と若葉は、帰り道にポテトチップスを買い、車の中で食べる。その時の若葉の“コンソメ食べたい気分だったけど、塩味もいいもんだね。間違ってもらって、かえって良かったかも”という何気ない言葉に、泣きじゃくる今村。
なぜ、彼は泣いたのか?そもそも、なぜ、今村は尾崎に執着するのか?すべての理由は26年前、2人の赤ん坊が生まれたあの日に遡り……。若葉は、今村が憧れる兄貴分の黒澤(大森南朋)からある事実を聞かされる。(作品資料より)

<感想>こちら仙台では4月7日より先行上映。見ようかどうしようかと迷ったが、見てしまった。物語は、同じ生年月日に生まれた空き巣狙いと、プロ野球選手の運命を、独特のユーモアを交えて描いています。68分という短い時間なので、あっと言う間に終わってしまったという感じがした。
伊坂×中村作品というと、お馴染みの濱田岳が母親思いの熱血青年を演じ、泥棒の兄貴分である大森南朋も出演という、それに濱田岳の母親には石田えりが、濱田岳の彼女に木村文乃が演じている。そうそう、泥棒仲間にもう一人おじさんがいたわね。空き巣仲間のボス的存在なんだけど、あまり出番がありませんが中村監督自身だったのですね。後で調べて分かったんだけど、映画監督って結構自分の作品に出たがるのよね。
面白いかというとそうでもない。見る人によってニュアンスが違ってくると思う。私には面白いとか、感動したとかそんな印象はなかった。
物語的には、前にも使われているだろうと言う、赤ん坊取り違え事件が内容の核心として重要な部分である。ただし、主人公の仕事が空き巣ということだけはちょっと変わってるのかな。

とんでもない仕事で、主人公自体は親にも言えない仕事で、その泥棒を通じて知り合った兄貴分がこれまたいつも何を考えているのか分からない演技で、メリハリのないヌボ~とした表情の大森南朋。
まぁ、主人公の今村が空き巣に入ったのが、自分が大ファンの野球選手の尾崎のアパート。その部屋で電話が鳴り、その電話を取ってしまい、またもや前に空き巣に入って電話を取り、人助けをしてしまったこともあり、電話の女性に会いに行くのです。
その女は援助交際相手が、ストーカーのように付きまとって困っているということ。だが調べて見ると、ストーカーはその女の美人局で、客を取っている女の部屋へ行き脅して金を巻き上げる男だったのだ。
まぁ、そんな展開もあるのだが、肝心なのは野球選手の尾崎と主人公が同じ生年月日ということで、今村が口癖にいう母親の言葉を思い出し「同じ日に生まれて、あちらは有名なホームランをかっ飛ばす野球選手で、お前はと嘆く」、それで大森南朋に生まれた産院を調べてもらうと、なんとそこには赤ん坊取り違え事件が有ったという事実が判明する。
濱田岳と大森南朋の絶妙な間合いのセリフとリズム感、伊坂×中村のコンビだからできる独自の世界観に引き込まれます。
そんなこと今さら知っても、母親は自分を愛してくれるし、尾崎の方だって自分がまさか、今村の母親が本当の産みの母だってことなど、事実を証明しても今さら関係ないと言えば嘘になるけどね。

ほじくってもいい事ないし、本人たちが今の生活を満足して幸せに暮らしているなら、それでいいじゃないの。それで、今村が落ち込んでいる出番のない野球選手の尾崎を、代打でもいいから出場させるように奮闘するのですね。これは笑った。
それと、タイトルの「ポテチ」のこと。これは車の中で今村と若葉がポテチを食べながら、塩味とコンソメ味でもめるシーン。若葉が間違えて手渡したんだけど、今村が泣きながら言う言葉「間違えてもらって良かったよ」と、これは自分と尾崎選手が産院で赤ちゃん取り違え事件があったことを示しているんですね。
見所となる一番とも言えるラストシーン、野球場で尾崎がホームランを打つ瞬間、今村が叫ぶ「ホームランを打ってみろ!ここだぞ~」と、スタンドの奥で手を大きく振りながら応援するシーンでは、皆が球場のエキストラのみなさんと一体化した気分になれます。そのホームランは、球場の外へと球が飛んで行き、もう一人の空き巣のボス(中村監督)の手に収まります。これは奇跡といっていいでしょうね。
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僕等がいた 後篇    ★★★

2012年05月04日 | は行の映画
『源氏物語 千年の謎』の生田斗真と『婚前特急』『ロボジー』の吉高由里子を主演に迎え、人気漫画を前後編で映画化した純愛物語の後編。今回は舞台を北海道から東京に移し、高校時代に恋に落ちた運命の相手を心から求めつつもなかなか成就しない恋の行方を追い掛ける。前編同様高岡蒼佑や本仮屋ユイカが共演するほか、『猿ロック THE MOVIE』の比嘉愛未が新メンバーとして参加。生涯たった一人の宿命の恋人を思い続けるピュアな愛が胸を打つ。

あらすじ:高校2年生の冬、矢野(生田斗真)は家庭の事情で釧路から東京に転校するが、彼と七美(吉高由里子)は再会を誓い合う。それから数年後、就職活動に明け暮れる七美をそばで支えてくれたのは矢野の親友である竹内(高岡蒼佑)だった。最初は遠距離恋愛を続けていた二人だが、ある日突然矢野はぷっつりと消息を絶ち、音信不通のまま月日だけが流れていった。(作品資料より)

<感想>前編を見てから日にちが経ってないので、後編が待ち遠しいくらいでした。矢野と七美の関係はどうなるんだろう?・・・と、あの別れの駅のホームで泣きながら見送った七美のことを思うと、後編ではこの二人絶対に結ばれて欲しいと願いましたね。
七美のことを大好きな竹内の気持ちも分かるけど、男の人を始めて好きになった七美の初恋を成就させて上げて欲しいと願うばかりです。女性のかた、ハンカチを持って鑑賞して下さい、絶対に泣けますから。
作品の前半は、二人がメールで互いの好きな気持ちを感じとることができましたが、矢野の東京での生活に、とんでもないアクシデントが発生するんですね。母親が仕事を首になり生活費を息子がバイトを掛け持ちして工面するしんどさ。親子喧嘩が始まり、母親が神経的におかしくなり、飛び降り自殺。

それに、突然矢野の目の前に現れる有里(本仮屋ユイカ)。彼女の矢野が好きで独り占めしたいと思い、ストーカーのような強引さに負ける矢野。それに有里の母親が倒れて、矢野の優しさから益々有里から離れなくなり同棲してしまう。矢野にとんでもなく不幸が降りかかってきて、お先真っ暗な表情の生田斗真の演技も良かった。
七美が彼からのメールが途絶え、それでも東京で二人は再会し、矢野が高橋を最期のデートで東京案内をするシーンでは、何となく今後の二人の結末が見えてきて泣けてしまった。

有里と矢野のことを竹内から知らされる。そして竹内からのプロポーズ、その時の竹内の言葉が最高なんです。「高橋が抱えきれない荷物は俺が引き受ける。だから、大丈夫だ」揺れる心の七美だが、彼女には矢野とのあの「約束」を真実のことと受け止め、竹内のポロポーズを断りいつまでも矢野が自分のところへ帰ってくれることを信じます。
普通であれば、こういった遠距離恋愛で連絡がとれなくなり、彼のアパートへ訪ねて行って、そこに女(有里)が居た場合は、裏切られた思いの方が強く心に残り、彼を許すことなく諦めてしまうでしょうね。でも七美は、忘れられないし、信じて待っていることを選んだのですね。

これは見ていて辛かった、特に今回も悪人のような冷たい表情の有里の役、本仮屋ユイカの演技が上手いので、どちらかと言うと天真爛漫な七美役の吉高由里子が、好きな人に裏切られたと思いたくない切ない感情を、押し殺している演技の方に拍手を送りたいですね。
それと、会社の同僚で、偶然矢野の転校先の同級生だった千見寺亜希子に、仕事先で矢野が姓を変えて働いているのを見つけたと、教えられる。この亜希子も実は矢野のことが好きで、付き合ってくれと彼女から言うも、友達でいてくれと言われ、秘かに矢野のことをずっと思い続けていたのですね。
まさか、最後に竹内と結婚することになるとは、想像もしていなかったので、でもこのような展開は良かったですね。それに、ラストで故郷の釧路で、同級生の結婚式に出るため帰った七美が、きっと矢野が来ることを思いながら、あの母校へ行き彼と再会出来たと言う結末。

そこには「私は今でもあなたを愛しています」という七美の矢野に対しての真実のメッセージが込められていて、彼の心に届かないってことはありませんよね。逢えないってことと、逢えなくてもいつか二人は必ず再会して、心の中の想いをぶちまけてしまえば、きっと許し合えるはず。ハッピーエンドの結末に満足です。
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ももへの手紙   ★★★

2012年05月03日 | ま行の映画
父から遺された一通の手紙を胸に、瀬戸内海の島へと移り住んだ少女の不思議な日々を描くアニメーション。監督は「人狼 JIN-ROH」の沖浦啓之。声の出演は「いま、会いにゆきます」の美山加恋、「女たちは二度遊ぶ」の優香、「はやぶさ HAYABUSA」の西田敏行、「マジック・ツリーハウス」の山寺宏一。主題歌をサザンオールスターズの原由子が担当する。

あらすじ:“ももへ”とだけ書かれた手紙を遺し、11歳の宮浦もも(声:美山加恋)の父は天国に旅立ってしまった。「ほんとうはなんて書きたかったの?」と心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、その想いを抱えたまま、母いく子(声:優香)と瀬戸内の汐島に移り住む。
慣れない生活に戸惑うももだったが、ある日、不思議な妖怪“見守り組”のイワ(声:西田敏行)、カワ(声:山寺宏一)、マメ(声:チョー)と出会う。食いしん坊でわがまま、しかし愛嬌たっぷりの彼らには、実は大切な使命があった……。
そんな中、いく子はもものために明るく振舞いながら過ごしていたが、ちょっとのすれ違いからももとケンカをしてしまい、さらにいく子は病に倒れてしまう。母が自分のために無理をしていたこと、母の想いに気づいたももは、“大切な想いを伝える”奇跡を起こしていく……。(作品資料より)

<感想>クオリティの高さで世界的に知られている日本のアニメーション。その筆頭格であるプロダクションI.Gが製作した本作。舞台は広島県呉市、大崎下島をモデルにした汐島。段々になったみかん畑や古い民家など、日本の原風景とも言える美しい風景が郷愁を誘います。
繊細なタッチで描かれる瀬戸内海の景色と、リアルな表情や動きにこだわったキャラクター描写により、心温まる物語がダイレクトに伝わって来て素晴らしい出来だと思います。
島での慣れない生活に戸惑い、父親との別れを受け入れられずにいるももと、語らずとも娘を思いやる母のいく子。親と子それぞれの気持ちが丁寧に描かれていて、家族の愛と絆という普遍的なテーマが身近に感じますね。
父親が亡くなり、母親の故郷である汐島にやってきたもも。母は朝から仕事の研修に行き、夏休みのももはダラダラとして家の手伝いもしない。どうしてこの島へ来たのかそれも不満で、東京へ帰りたいと母親に文句を言う。少しわがままな娘に育ったようだ。まぁ、小学六年生というから仕方ないか。
この作品は「ももへの手紙」というタイトルどおり、父親が遺した書きかけの手紙が重要なファクターとなります。屋根裏部屋にあった江戸時代の絵本、黄表紙から飛び出してきたイワとカワにマメの3人の妖怪。食いしん坊で、畑を荒らし農作物を盗む彼らに振り回されながらも、ももは笑顔を取り戻して行きます。

すいかやみかん、トマトなど盗んでは食べる大食いな妖怪たち。畑にいるイノシシ親子のウリボウを盗んで、猪の母親に追いかけられるシーンに笑いが、でもトロッコを壊したり、畑を荒らして作物を盗むのは、物語として行き過ぎでは、と思いました。
愉快なのが、ももたちの様子をソラに送ろうとする、イワたちの儀式的なダンスのシーン。ももが一緒に踊ることで心も和み、それがとってもユニークなんです。
実は、ももといく子を見守る役目を負っていた妖怪たちは、誤ってももの父への手紙を、ある目的のために使ってしまうのです。頭にきたももは、さらに母のいく子とも亡き父とのことで大喧嘩。それが原因で、家を飛び出したもも。娘のことを心配して探す母親。いく子は持病である喘息の発作を起こし大変なことになるのです。島には病院はあるのですが、医師が出かけてていない。そんな時に大きな台風が襲ってきて、ももは本土まで医師を呼びに台風の中、まだ完成していない大橋を渡ろうとする。

台風の中、ももと郵便やさんがバイクで本土へとつづく大橋を渡るシーンでは、妖怪たちが大集合して、雨風を防ぐ役割をしてトンネルを作って、ももと郵便やさんの二人を無事通してあげるのですね。それはまるで「となりのトトロ」のネコバスのように思った。まさかパクリではないでしょうね。何となくこの妖怪たちもジブリのアニメに出ているのと似ているような、そんな感じがしないでもない。

それに、父親が書き残した手紙、天国から届いた手紙には、「がんばったな、お母さんをよろしくたのむぞ。いつも見ている。父より」と、確かに文字が描かれ、大切な思いを伝えたいという、願いが起こす奇跡とも言うのでしょうかね。見る者の心を温かく包みこんでくれます。
ラストで勇気をしぼって、橋の上から海へ飛び込むももの姿がありました。これで、ももは島の子供たちと仲良くなれそうですね。
しかし、残念なのはやはり妖怪というファンタジー的要素が、父親を亡くしたももの成長と、母親との絆の物語を壊しているようにも取れました。
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HOME 愛しの座敷わらし ★★★.5

2012年05月03日 | は行の映画
「相棒」シリーズの和泉聖治監督と水谷豊主演による家族の再生物語。東京から岩手の古民家へ引っ越してきた一家が、その家に宿る座敷わらしに導かれ、家族の絆を取り戻していく姿を描く。共演は「最後の忠臣蔵」の安田成美、「映画 怪物くん」の濱田龍臣、「アバター」の橋本愛、「デンデラ」の草笛光子。原作は萩原浩の小説『愛しの座敷わらし』。

あらすじ:父・晃一(水谷豊)の転勤で、東京から岩手の田舎町へと引っ越してきた高橋一家。晃一がよかれと思って選んだ新しい住まいは、なんと築200年を数える古民家だった。
東京での暮らしに馴れていた妻の史子(安田成美)は、突然の田舎暮らしに不安と不満でいっぱい。老人ばかりの近所付き合いにも乗り切れないでいた。中学2年の長女・梓美(橋本愛)にも古民家はただのボロ家にしか見えず、転校先の学校生活を考えると心が落ち着かない。転校前の学園生活でも人間関係で悩んでばかりだったからだ。
また、同居する晃一の母親・澄代(草笛光子)は田舎住まいには支障を語らないものの、最近、認知症の症状が始まりつつある様子。唯一、古民家への転居を楽しんでいる小学4年の長男・智也(濱田龍臣)は、治りかけている喘息の持病を今も史子にひどく心配され、サッカーをやりたくてもやれずにいる。
五者五様、どこかぎくしゃくしている一家をやんわりとまとめたい晃一だったが、家族の不平不満をなかなかうまく解消することはできず、異動先の支社でも馴れない営業職に悪戦苦闘の毎日だった。(作品資料より)

<感想>どこか郷愁をかんじさせる、のどかな自然に囲まれた岩手県の田舎町。山の緑や田んぼのあぜ道、このあぜ道で自転車で田んぼに突っ込むお母さん。泥だらけになり、それでも笑顔を絶やさず、一家をまとめる優しいお母さんに安田成美さんがぴったりです。それにお父さんの水谷豊さんも、地方の支社に左遷になり苦労が絶えないのに、いつも明るいお父さん役もハマっている。
本作の家族のように、都会での便利さに慣れた人々には、田舎暮らしは苦労の連続ですね。薪で焚くお風呂に、ポットン便所、築200年の古民家ならではの苦労ですが、田舎独特の親密なご近所付き合いなどは、都会では体験できないもの。ご近所さんに飯島直子さんが出てましたね。それとお母さんの東京の友人で高島礼子さんが、ほんの少しの出番でした。

こんな田舎では時間がゆっくりと流れていき、それに“座敷わらし”が出てきて、東京ではバラバラになりかけていた家族が、絆を深めて行く幸せも運んでくれる。
見る人みんなが、登場人物の誰かに共感したり、自分の家族と投影させたりと、思いっきり感情移入できるハートウォーミングな作品です。
信じる心の優しい人にしか見えないという“座敷わらし”のろくちゃん。岩手県を中心に、旧家に現れると古くから言い伝えられている家の守り神。おかっぱ頭の着物を着た子供で、時には悪戯もする。お母さんが掃除機をかけていると、コンセントがいつの間にか抜かれていたり、お姉ちゃんの手鏡に写ったり、息子の智也くんと遊んだりする。
そして、お父さんがわざわざ選んだ古民家ぐらしは、初めは家族に不評でしたが、住んでみれば、囲炉裏を囲んで家族が語らうシーンは印象的です。

お父さんの仕事も、慣れない営業と自転車で駅まで行き、電車に乗り継ぐという遠距離通勤。毎日疲れているのに、温厚な性格で手強い営業先にもめげずに通い詰め、地道な苦労が実って自分が開発した「豆腐プリン、ワサビ味」の、大口の注文をゲットする。
会社の意地悪な部長に梅沢富美男さん、社長には宇津井健さんが、学校の先生の長嶋一茂さんとその他にも豪華な共演者が勢ぞろいしてました。
お姉ちゃんも、東京の学校では虐めに遭っていたのだが、田舎に来てからは学校の友達と仲良くなり、弟も喘息の持病も空気がいいせいか良くなって、好きなサッカーも出来るようになる。ところが、おばあちゃんが次第に認知症が酷くなるも、座敷わらしの存在でお婆ちゃんも元気になるという。ベテランの草笛光子さんが好演です。

古民家の守り神だった“座敷わらし”のろくちゃんが、高橋家の家族と一緒に東京へ戻るという、最後がとても素晴らしい終わり方でよかったです。
とにかく緑が美しい自然の風景が和みますね。まるで東北地方へ電車で、旅行へ行った気分になります。
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捜査官X ★★★★

2012年05月02日 | アクション映画ーサ行
「恋する惑星」や「レッドクリフ」二部作の金城武が、金田一耕助を彷彿をさせるスゴ腕捜査官として難事件に挑む異色のミステリー・アクション。監督は「ウォーロード/男たちの誓い」などでも金城と名コンビをみせたピーター・チャン。

あらすじ:ある山奥の村で、両替商を襲った二人組が、強盗の最中に絶命。捜査官のシュウは、強盗の一人が指名手配中の凶悪犯と突き止める。鍵を握るのは、現場に居合わせた地元製紙工場の職人ジンシー。なぜ丸腰の彼が、武器を持ち、武術に長けたならず者たちと渡り合えたのか?・・・捜査官のシュウは、実直な働き者で善き夫、善き父親と評判のジンシーの素性に疑問を持つようになる。
ジンシーはこの村に来る前に前科があったことが判明する。普段は物静かなジンシーに不気味さを覚えたシュウは、身の危険を感じる。

<感想>今回の金城武演じる天才捜査官のコミカルタッチな謎解きを描いた前半のパートと、アクション俳優ドニー・イェンの超バトルが繰り広げられる後半のパートで構成されている。今回の金城は麦わら帽子に丸メガネというトボけた風貌だ。そうくるとまるで難事件を解決する金田一耕助みたいな感じがしたが、またそれとは一味違うガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」みたいな、そちらの方に近いシュウになっている。

現場に残されたわずかな物証も見逃さず、小さなヒントから恐るべき想像力と膨大な知識を駆使して、事件の謎をダイナミックに解析していく。
遺体を詳細に調べ、急所が鋭く突かれていたことを確認。シンジーは凄腕の仕事人に違いないと推理する。見所はシュウの“脳内捜査”。捜査官シュウは、頭の中で事件を再現して真相を知る。もの凄い妄想力だが頭の中で展開する捜査を、ハイスピードカメラとCGでド派手に視覚化。

さらには、明かされていくジンシーの衝撃的な素性と波紋が、静と動を自在に行き来し、シュウの脳内捜査とカンフー・アクションの融合がクライマックスへ向けて怒涛のごとく展開して行く。
後半部分で村へ暗殺者集団が襲来するも、ヤツラの狙いがジンシーと分かると、シュウがジンシーに、鍼を用いて死を偽証するなど大胆な行動にでる。暗殺者集団の中にジンシーの兄がいて、弟ジンシーの死を嘆いてその場を立ち去る気配がなく、時間切れとなりジンシーの心臓を打ち甦生させるという荒技を披露するシュウ。

その他には、クライマックスで香港映画の伝説のアクションスター、ジミー・ウォングが13年ぶりに登場し、現役最強のドニーの前でも、貫録の存在感を放っているのがいい。そのジミー・ウォングが暗殺者集団のボスで、ジンシーの父親なのだ。息子が堅気になって足を洗いたいと知り、ジンシーの息子を連れて行くこととなり、その息子ジンシーが片腕となり、ジミー・ウォングとの壮絶なカンフー戦いに、シュウも床下から参戦。

ここからネタバレです
得意の鍼をジミー・ウォングの足裏に刺すも叶わず、その時外では大雨に稲妻が走り、床のクギを踏んだジミー・ウォングに落雷が落ちるという壮絶さには、拍手喝采もんです。このカンフーの戦いを見るだけでも儲けもんですから。
ドニー・イェンの格闘シーンに、金城武のコミカルな演技が加わることで、新感覚の刑事ものに、本格ミステリーが絡み、カンフー映画でしかなしえない肉弾戦の迫力も見どころの一つ。ミステリーとクンフーアクションが楽しめる、一粒で二度美味しいアクション映画好きには必見です!
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