パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ガッチャマン ★★

2013年09月30日 | アクション映画ーカ行
1972年にタツノコプロが生んだSFヒーローアクションアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」を実写化。謎の侵略者により、わずか17日間で地球の半分が壊滅した21世紀初頭。人類は絶滅を回避するため、「石」と呼ばれる不思議な結晶体に望みを託す。「石」の力を引き出せる「適合者」として集められた若者たちは、特殊な訓練を強制され、やがて「石」を操る忍者「ガッチャマン」として侵略者との過酷な戦いに身を投じていく。松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽、濱田龍臣、鈴木亮平が5人のガッチャマンに扮する。監督は「ごくせん」「カイジ」の佐藤東弥。VFXを「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの白組が担当。短編アニメ「劇場版 おはよう忍者隊ガッチャマン」(約3分)が同時上映。

<感想>1970年代に人気があったテレビアニメシリーズを、旬の若手俳優を起用して実写化する企画が悪いとは思えないのだが。しかしだ、人類を絶滅の危機に追いやる侵略者のギャラクターの正体や「石」の力を引き出すことが出来るガッチャマンの超能力が説明不足で、途中からついていけなくなってしまう。
全世界の半分がギャラクターに支配された2030年代の街並みとして、平然と映し出される、2013年まんまの新宿御苑辺り。おいおい、それはないだろうに、壮絶な既視感と脱力感でダブルパンチをくらったようだ。

それに、カークランド博士を名乗る光石研など、全篇に渡って見る者を小馬鹿にしたような描写や、設定、展開が続くのにはガッカリ。
ハリウッドのヒーローものとは比べものにならないバジェットではあるが、アニメ再放送に触れ、タツノコプロのころのかつて中島哲也がSMAPを起用して撮ったガッチャマンCMは、ほんの数秒だったが、さらにイイ線いっていたと思う。

脇役ではあるが「HK 変態仮面」で頑張っていた鈴木亮平が手堅くていい感じ。そして、剛力彩芽のハマりっぷりには、輝いて見えた。

俳優もキャラもそれなりにカッコイイのに、正義の闘いというよりも、何故か仲間同士の内輪もめに見えてしまうのが残念でならない。巨大なタイヤの兵器などは迫力あるのに、CGやVFXがもったいない気がした。
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ニューヨーク、恋人たちの2日間 ★★.5

2013年09月29日 | な行の映画
女優のみならず多彩に活躍するジュリー・デルピーがメガホンを取ったロマンチックコメディー『パリ、恋人たちの2日間』の続編。ニューヨークで新しい恋人と暮らすヒロインのもとに、フランスから彼女の家族がやって来たことで巻き起こるトラブル続きの2日間を描く。新恋人役には『リーサル・ウェポン4』などで有名な人気コメディアンのクリス・ロックがふんするほか、ジュリーの実父アルベール・デルピー、前作に続きダニエル・ブリュールらが共演する。
<感想>ジュリー・デルピー自身が主演も務める長編監督の第4作にして、初監督となった「パリ、恋人たちの2日間」の続編です。27日で終わりというので、つい観てしまった。

物語は、デルピー演じるNY在住の写真家マリオンは、前作の恋人ジャック(アダム・ゴールドバーグ)と別れ、産まれた息子を引き取りシングルマザーになっている。一作ごとに街を替えて男女のリアルな姿を継続的に描く、という映画の形は、何だかウディ・アレンっぽさへと寄っているようだ。それはデルピーがNY大学の映画・脚本科で学んだことも想起される。
それは、映画術と人間力を両方感じるからなのだ。例えば冒頭からまもなく、メガネをかけたジュリー・デルピーが半泣き気味で愚痴をまくし立てる。「私はもうすぐ38歳、デブだし性格も最悪。しかも子持ちで失禁症なの。」と、まるでウディ・アレンの口調を真似するダイアン・キートンといった風情だが、と同時に日本のアラフォー女芸人みたいな、自虐系の下ネタトークに見える。でも笑ってしまった。

その意味でも彼女は下ネタ大好き!・・・という衝撃の事実は、ファンとしては嬉しいようなそんな気持ちにさせる。今回は新しい恋人役として「恋愛だけじゃダメかしら?」「9デイズ」のクリス・ロックが演じて、本作で演じるラジオDJのミンガスは、基本クールなニューヨーカーで、過激なマシンガントークが売りのロックなのに、やけにおとなしいのだ。
だから、“おしゃべりクソ野郎”な饒舌を炸裂させるのは、ジュリー演じるマリオン、そしてフランスから押しかけてきた彼女の身内の、お騒がせなパリジャン&パリジェンヌの方なのである。
本作では英語とフランス語が入り乱れつつ、野蛮で牧歌的なパリ組の“田舎者ぶり”が強調されていく。象徴的なのは、妹のローズ役のアレクシア・ランドーの恋人で、マリオンの元カレでもあるマニュ(アレックス・ナオン/共同脚本も兼任)だろう。

彼は初対面のミンガスに向かって「ソルト&ペッパーは好きか?」と訊ねる。80年代に流行った三人組の女性ラップグループなのだが(私も知らなんだ)、古すぎてミンガスにはピンとこない。「つうは、ソルトンペッパーと呼ぶんだ」と粋がるマニュだが、ミンガスは一瞬絶句しつつも「ヒットしたのは20年前だ」と反撃。
さらに、マニュは宿泊させてもらっているアパートに、売人を呼んでマリファナを買い、ローズとエレベーターで分け合うなど、もうやりたい放題。ダメ押しとしてパリ組御一行様に、ミンガスは彼の信奏するオバマ大統領を大事な場面でコケにされ、ついに限界突破!そりゃキレるの無理ないよ。

MCを務めるラジオ番組で「昔はフランス人と言えば、ゴダール、ルノワール、シュルレアリスト、でも今は電動歯ブラシで変態セックスする連中だ」と絶叫する。
そしてもう一つは、家族。これは自身の少女時代をモデルにした「スカイラブ」もしかり、おそらくデルピーの最も大切なモチーフだろう。今回も彼女の作品でお馴染みとなりつつあるファニーな実父、アルベール・デルピーが登場。

ミンガスから「サイコ・ビッチ(イカレ女)」と言われるマリオン/デルピーだが、自由奔放でクレイジーな父親の姿に、ここに私のルーツがあるの、と誇らしげ風なのも最高。このフランス人たちに囲まれると、黒人DJ夫が一番まともに見える可笑しさ。
これだけダレ場なしで、2日間の珍騒動を語りつつ、終盤には某アーティスト(ヴィンセント・ギャロ)がカメオ出演するというオマケまで付いている。それに、マリオンとそのパートナーの間に赤ちゃんが出来てました、よかったね。おめでとう」という呆気に取られるオチに驚かされる。
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シャニダールの花  ★★★

2013年09月28日 | さ行の映画
『その夜の侍』や『新しい靴を買わなくちゃ』などの話題作への出演が続く綾野剛と『東京オアシス』の黒木華が主演を務めた異色ファンタジー。女性の皮膚に植物が芽吹き、美しい花を咲かせるという不思議な現象にまつわるドラマを描く。『五条霊戦記//GOJOE』などの鬼才、石井岳龍が監督を務め、『映画 鈴木先生』の刈谷友衣子や『ほしのふるまち』の山下リオらが共演を果たす。幻想的な物語と登場人物たちの移ろう心模様に引き込まれる。
あらすじ:レアなケースだが女性の肌に植物の芽が出現し、この世のものとは思えないきれいな花が開花するという奇妙な現象が起きていた。満開時の花びらの持つ特殊な成分に目を留めた製薬会社は、探し出した花の提供者を「シャニダール」という特別な施設に集める。そこで働く研究者の大瀧(綾野剛)と新人の響子(黒木華)は、提供者たちのケアにあたる。
<感想>本作では、選ばれた若い女性の胸に何故か植物が寄生し、命を奪う危険で美しい花を咲かせる。咲く花をめぐる話をつづり、幻想性を強く放つが、奇抜でシュールな設定の野心作だが、月下美人だけが花ではなく、女性の個性に応じた華麗な花や毒々しい花がなければ、メタファーとしての具体的な説得力に欠けると思う。

だが、超現実性な花の妖しい美しさが目を奪う。殆どが月下美人である。上の写真は家の月下美人です。サボテンに咲く花で、美しさよりも毒々しい感じがする妖しい花。夜の月の光で咲き、昼には萎んでしまう1日だけの花。サボテンの葉肉は薬用にも使えるそうです。
花は画期的な新薬の開発に繋がるとともに、女性の命に係わる場合もあるという。しかし、いくら1億円の報酬がもらえるとはいえ、妖しい美しさは、その生と死の両面性の発想であろう。中には、蕾のまま朽ち果てる場合もある。
だから、映画の半ばで一人の女性が、他の女性の胸の花を素手で取り去ってしまうという騒動もある。花を取られた女性たちは、何とか生きて蕾を植え付けられたのだろうか。摘み取った彼女は、心臓発作で死んだという知らせだけ。もしかして、殺されたのかも?・・・そんな胡散臭い研究所のような気がした。

それにしても、なぜ女性の胸だけに花が咲くのか。咲くというよりもまるで子供を産むというような、花が華麗に咲きそれを切除する手術のシーンでは、切除した後にその女性が息絶える。きっと、蕾を胸に植え付けるということは、花の根っこが体の血管や肉体の細胞まで浸食してゆき、その花を切除するということは、心臓が止まるということなのか。しかし、元気に退院する女性もいるとか、その切除された花は、どんな患者の薬品になるのかは物語では明らかにされていない。

製薬会社の研究室のゲストハウスで、植物学者の綾野剛が隔離された女性の胸の蕾を育て、新任のアシスタントの黒木華が彼女らの心身をケアする役割。綾野剛が演じる大瀧は、胸に謎の花の蕾を宿した女性たちを収容し、その花を開花させ提供してもらうことを目的とした施設に勤める植物学者。胸の花は蓋のついた丸いケースで保護されている。「僕はただ、花を見守るだけの役目ですけど」と観察サポートし、「よかった」「え、そうかな」と囁くような声で花たちに寄り添っていく。それは、花や母体の状態に微妙に左右され、そのことが静かにはかなくどこか不穏なこの施設ばかりか、作品そのものトーンを決定づけているようにも見えた。

大瀧の方は提供者の女性をいわゆる恋愛の対象としては見ていないのだが、彼の優柔不断とすれすれのどっちつかずで、この曖昧な状態を楽しんでいるような罪の深さを印象づける。だから伊藤歩が哀しく演じる奇跡の花の検体、ユリエの恋は、片思いにのめり込む女の妄想のとめどなさが、観客に他人事でなく迫ってくる。
興味深いことに、蕾を持つ女性はみんな何か心を病んでいる。女性にだけ花が咲くわけは、そのあたりの全体にうかがえる。

花が象徴するように、この映画では、全てが暗喩的で、その謎めく様がサスペンスを生み、想像をそそり、妖しい魅力を結晶させるのである。そんな中、明確な出来事として、主人公男女のラブストーリーが描き出されてゆく。
黒木華の胸にも蕾が見つかった時、恋人の綾野剛が切除を提案するのに対して、彼女は花を咲かせてみせると言う。明らかに彼女は越境したのであり、地面に妖しく美しい花がびっしりと咲いている荒野の夢は、その表徴に他ならない。そしてその夢に生きる彼女と再会した綾野も、そこへ越境してゆく。

綾野剛と黒木華のテンションを抑えた演技もいいが、所長役の古舘寛治の、彼のいかがわしい存在感がいい。若い綾野と黒木のメロドラマに比重を置きすぎて、花をめぐるミステリーやその侵食によって世界が変わっていく恐怖みたいなものが、何とも薄っぺらに感じてしまった。
都市に出現し始める花もチラホラと咲いている程度で、人類一丸となって摘み取ってしまえば阻止できそうに思えた。一種のSFのような特殊な設定で、世間から隔離された非日常の世界。二人のラブストーリーも悪くはないが、製薬会社や女性たちの家族関係は疑問だらけなので、細部のリアリティを積み重ねて大きな嘘をつくのが映画だとすれば、細部にもっと工夫が欲しいところだ。

ラストの荒野の夢は異様な色合いで描かれ、不気味さを放って怖いが、暗い例えに満ちた物語の果てにそのように浮かび上がる愛は、もっと不気味に美しい。荒野の夢のシーンは、いわば映画の中の別世界であり、映画に登場する人物がそこへ越境するとは、映画だからこその表現なのだろう。それでも、こじんまりした感じで終わってしまっているのが残念に思えてならない。
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そして父になる ★★★★

2013年09月27日 | さ行の映画
『誰も知らない』などの是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ。順調で幸せな人生を送ってきたものの、運命的な出来事をきっかけに苦悩し成長する主人公を、大河ドラマ「龍馬伝」や『ガリレオ』シリーズの福山雅治が演じる。共演は、尾野真千子や真木よう子をはじめ、リリー・フランキー、樹木希林、夏八木勲ら個性派が集結。予期しない巡り合わせに家族が何を思い、選択するのか注目。

<感想>“新生児取り違え事件“を題材に、6歳になった子供たちを交換することになった2組の夫婦の葛藤を丁寧に描き出している。スピルバーグが審査員長を務めた今年のカンヌ映画祭コンペ部門で見事に審査員賞を受賞しての凱旋公開である。

映画の内容は、未熟な家族と、未熟な男の物語である。大手建設会社に勤め、都内の高層マンションに妻と子と暮らす野々宮良多は、6年間育てた息子が実は病院で取り違えられており、別の夫婦の血を引いていることを知る。自分のような向上心がなく、おっとりとした息子に不満を抱いていた父は、やっぱりそういうことか、とつぶやく。
住む土地柄も経済状況も生活も対照的な、息子を取り違えられた二つの家族は交流を重ね、そして良多は子供を交換するという結論を出す。

他の是枝裕和監督作品の多くと同じように、成長した主人公の清々しい表情も、わかりやすい答えも結末もありません。すべての登場人物ばかりか、演じている役者たち、監督すらもまだ答えを探しているような、だから観客たちもこれからどうなるのか、微妙な終わり方なのだ。パーソナルでありながら、この普遍的な葛藤に引き込み入れて、その一部にしてしまっているような。
2時間の作品は終わっても、物語はずっと続いていくわけで、ラストも家族は未熟なままだし、良多は父親としてのスタート地点に立ったに過ぎないのだから。その瞬間は決して晴れやかではなく、むしろ彼は人生でもっとも戸惑い、混乱しているように見えた。

父である自分はここから始まるのだから。涙をこらえ声を詰まらせ、我が子に無様に向き合う主人公。我が家に実の子を迎え入れても、その血の繋がっている子供に、自分をパパと呼べと言うのに、子供は「何で、何でなの」と、まだ子供たちは、ただお泊りに来ているだけだと思っている。理解するには時間がいる。
6年間育てた子供慶多は、両親の過剰な期待を受け止めて、ピアノとか自分には向いてないと分かっていることにも一生懸命に努力する。それなのに父親である良多は、「やっぱり、あっちと交換するか」なんて、母親にとっては怒りが湧いてくる発言をする。もっと、母親は自分の意見を言うべき。慶多に二人でどこか遠くに行こうという母親、だが結局生活のためなのかそのまま慶多を手放す。

子供心に、大好きな父親に環境の違う家へお泊りに行かされ、慣れない生活ながらも、本当の父親は優しく器用で一緒にお風呂にも入ってくれるしで、次第に居こごちが良くなってくる慶多なのだが。やっぱり、まだ6年間育ててくれたパパの方が好きなのだ。観ていて、痛いほどに子供の気持ちが伝わって来て辛い思いがする。

それに対して、良多の実の子供・琉晴は、血が繋がっているとはいえ馴染まず、さっさと自分の家へ帰ってしまう。迎えに行く良多に、迎えに来てくれたと喜んで出ていく慶多なのだが、良多パパは実の子どもの名前を呼ぶ。これは、子供にとって理解しがたい仕打ちであり、6年間父親だったと言い訳する父に、慶多は言葉にならない。それにはつい涙がこぼれて仕方がなかった。
実に素晴らしく、子供たち2人の演技に泣かされます。そして、この物語に巻き込まれて、自分もその家族の一員になったような思いで幸せを噛みしめました。
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ウォーム・ボディーズ ★★★

2013年09月26日 | アクション映画ーア行
アイザック・マリオンの小説「ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語」を実写化した、異色のゾンビ作。ゾンビと人類が対峙(たいじ)する近未来を舞台に、人間の女性に心惹(ひ)かれてしまったゾンビ青年の恋の行方を追い掛けていく。主人公の恋するゾンビを、『シングルマン』『ジャックと天空の巨人』のニコラス・ホルトが好演する。メガホンを取るのは、『50/50 フィフティ・フィフティ』で注目を浴びたジョナサン・レヴィン。奇想天外な設定とコミカルな展開もさることながら、随所にちりばめられたゴア描写も見応えあり。
あらすじ:ゾンビと人類が戦いを繰り広げる近未来。ゾンビのR(ニコラス・ホルト)は、仲間と一緒に食糧である生きた人間を探しに街へと繰り出す。人間の一団と激闘する中、彼は自分にショットガンを向けた美少女ジュリー(テリーサ・パーマー)に心を奪われてしまう。ほかのゾンビに襲われる彼女を救い出し、自分たちの居住区へと連れ帰るR。彼の好意をかたくなにはねつけていたジュリーだったが、徐々にその純粋さと優しさに気付き出す。ついに思いを寄せ合うようになった二人は、ゾンビと人類の壁を打ち壊そうとするが……。

<感想>太陽を浴びても死なないヴァンパイアが、普通の人間の女の子に恋をする有名な「トワイライト」シリーズの著者ステファニー・メイヤーが絶賛したというアイザック・マリオンの同名小説が原作で、よくあるゾンビ映画とは少し違う。
完全にゾンビになる前の未完成のゾンビのようで、不気味にヨタヨタと歩くが、少しは人間らしい気持ちを持っている。死か生か、結果は半々の病魔に侵された青年が主人公で、ゾンビ仲間を信頼する気持ちもあるし、可愛い女の子を見れば好きになって恋もする。
何と言えばいいのか、主人公のゾンビはただ動き回って人間を喰らう死体ではなくて、人間らしさをいくらか残しているのだ。顔色は悪いし、腐敗臭はするし、ご馳走といえば人間だし。その上死後硬直のせいで体の動きが鈍く言葉も上手く喋れないとマイナス要因だらけ。

なのに、男子ゾンビが人間の女の子を好きになるという、ゾンビ映画の青春篇。好きになると心臓がドキドキと鼓動し、気持ちが高まると体温が少し上昇して、このままその状態が続けば生き返られるって?・・・。そんな分け無いのに。
何だか新鮮で、主人公の男の子の名前がRで、女の子はジュリーっていうのは、もう、「ロミオとジュリエット」のような純愛ものですよね。
謎のウイルスの発生で街にはゾンビが溢れ、自分たちの居住区に立て籠もって戦時体制で暮らす普通の人間と、ゾンビになってあまり時間が経ってないらしいゾンビで思考能力もあり言葉も少し話せる。
そのゾンビが行き着くところまでいってしまうと、つまり飢えに耐えられず自分の肉体を喰った凶悪なゾンビ集団、ガイコツがいるという設定。人間が拳銃で撃っても直ぐには死なない、っていうか不死身状態。頭を撃つのがいい。それに、ゾンビ・ガイコツの素早いのなんの、走るのが速いのだ。
でも普通は、凶悪なガイコツがゾンビの設定だから、怖いばかりで愛想のないヤツラしか登場しない。ゾンビと名乗りを挙げてはいないが、最近では「ワールド・ウォーZ」や、「バイオハザード」に出て来るウイルス感染者もゾンビ仲間だから。愛想も愛嬌もなくて怖いばかりで感じが悪いったらない。

もっと悪いのが「ウォーキング・デッド」の歩き廻る死体、ウォーカー。これもゾンビでしかも狂暴。それに引き替え「ウォ-ム・ボディーズ」の主人公Rや親友のM「エンド・オブ・ザ・ワールド」に出ていたロブ・コードリーは生前の名前は忘れても、感情はかすかにある新型ゾンビで女性に好かれる“心”を持っているのが特徴。Rとジュリーが手を繋いでいるのを見て、いいなぁって顔をする。
Rと名乗ってはいるが、本当の名前は思い出せないし、家も家族も自分が何をしていたのかさえ忘れてしまった。Rが何の略なのか考えるのも観ている時の楽しみの一つになる。Rを演じているのが、『シングルマン』『ジャックと天空の巨人』の美青年ニコラス・ホルトなのだ。顔や手に白粉を塗って、目にはクマドリをしてゾンビメイクも様になっています。

ヒロインの彼女の名前がジュリーで、一人で人間の居住区へ帰ってしまい、Rが彼女を追い掛けて家まで行くシーンで、彼女が何度かバルコニーが出て来ては、強面の彼女の父親のマルコヴィッチが邪魔をする。と言えばかの有名な悲恋のカップルがモデルの、「ロミオとジュリエット」で、Rって名前にジュリーが付けたのだ。
何度かRに危ないところを救われたジュリーは、彼に対して感謝の気持ちがあっても初めは怖くて怯えていて、どこまで信じていいのか分からない状態だった。彼はジュリーの元彼ペリーを襲ってその脳みそを食べ、彼がしていたかっこいい腕時計をしていた。それでも、Rの居住している飛行機の中へ連れて行き、レコードをかけて彼女を慰め食料も調達してくれる。そして、彼女とドライブまでするのだ。でも、Rは運転を忘れてしまったようで、まるでダメ。
ゾンビが人間の脳を食べると、その人の記憶が追体験できるわけ。体だけ食べるとゾンビ化してしまうらしい。だからRの脳にはペリーの記憶が残って、ジュリーに恋をしてしまうのは当然のようだ。でも、ジュリーは親切にしてくれ、自分を他のゾンビやガイコツから守ってくれるRが頼りなのだ。
ここで、人間居住区には高い防護塀が巡らされており、門の前には武装した兵隊が守っている。ジュリーの父親グリジオ大佐が、軍を組織してゾンビ退治の先頭に立つわけだから、ゾンビの危険は重々承知で、それに妻をゾンビに殺された彼は娘を守ろうと躍起となっている。だが、彼にはまだ人間の近くにいるゾンビと、ガイコツと呼ばれる殺人鬼のような狂暴なゾンビがいて、相手かまわず襲い掛かってくることなど知る由もない。だから、ゾンビは当然のごとく危険だと、娘がゾンビと親しくするなんて許せないし、娘もその気持ちは知っている。

というような青春映画とゾンビものを合体させた本作は、ホラー+ラブコメの要素を持ち、不気味に造形されたCGガイコツを使って恐怖を煽りながら、そこは青春ラブロマンスものだから、ジュリーの元彼ペリーも登場させて、ジュリーが元彼を考えるうちにRの良さも見えてくるという、でも恋人がゾンビってなんてことありうるのか?・・・。で、ラストでは、CGガイコツが人間の居住区に襲ってくるというシーン。どうなるのかって、それは「ラブロマンス・ゾンビ映画」だから、二人が手を繋いで歩いたり、キスをする二人にRの胸の鼓動がドキドキと動いて、ゾンビが元の人間に戻るってことなのね。
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怪盗グルーのミニオン危機一発 ★★★.5

2013年09月24日 | アクション映画ーカ行
黄色い不思議な生物が話題となり、大ヒットを記録した3Dアニメ『怪盗グルーの月泥棒 3D』の続編。今は平和に暮らす主人公グルーが、誘拐されたミニオンたちの救出にあたる勇姿を描き出す。監督のピアー・コフィンとクリス・ルノーをはじめ、グルーの声優スティーヴ・カレルらが続投。キュートなキャラクター、ミニオンたちが大活躍する軽快な物語に夢中になる。
あらすじ:皮肉屋の怪盗グルーは心を入れ替え、バナナが大好きなミニオンたちに支えられながらマイホームパパになろうと努力していた。ある日、彼は世界トップクラスの超極秘組織「反悪人同盟」に引き抜かれ、相棒のルーシーと共に捜査にあたることになる。そんな折り、彼の家から無敵のチームであるミニオンたちが何者かにさらわれてしまう。
<感想>14日の先行上映で鑑賞しました。3D吹き替え版で観ましたが、2Dでも良かったような。前作の「怪盗グルーの月泥棒3D」は、TVで再放送していたので、何だか私には「怪盗グルーの月泥棒3D」の方が断然面白かった。だからなのか、今作を見る前に前作を見る事をお勧めします。

どうしてかって、孤児の3姉妹を養子にしたいきさつとか、グルーが泥棒稼業をしていたとか、地下工場には小さなミニオンたちがそれはたくさんいるのも、もちネファリオ博士の存在感も理解できます。グルーが本作では、とてもいいお父さんをしているのも、前作で良く判りますよ。
今作では、グルーが泥棒稼業から足を洗い世界レベルで悪と戦う超極秘組織「反悪人同盟」の捜査官として活動していたってことは、まるで「007」のジェームズ・ボンドみたいだ。
それに、何だかお嫁さん探しをしているような設定なのだ。だが、グルーには女性に対してトラウマが有るような。幼いころに、女の子に触ろうものなら、「グルー菌がつく」と子供たちから虐められていたことが、女性嫌いになっていたわけ。

前作ではお母さんも出ていたし、孫が3人も出来て嬉しそうだった。でも、今作では出てこない。小うるさい近所のオバサンたちが、グルーのお嫁さん候補を見つけてくるのだが、お嫁さんの相手に相応しいのが、グルーの相棒、エージェントのルーシ・ワイルド。彼女が乗っている車は、水陸両用で、潜水艇になったりおまけに空を飛ぶのには驚いた。

これはもう、「007」シリーズの秘密兵器にそっくりである。その他にエネルギーを放射する銃(スタンガンみたいな)も、グルーと撃ちあいしてどうするのよ。
今回の敵役は、怪盗エル・マッチョ。彼の男性美を強調した胸元全開のコスチュームには、ラテン系のノリであまり好きな容姿ではない。それに前作のベクターほどの存在感はないのでガッカリ。イケメンの息子がいたけど、養子なのかは分かりません。エル・マッチョの屋敷も豪華ですが、ベクターの屋敷とは比べ物にならない。

もちろん、引き取った孤児の3姉妹たちも大活躍で、そしてミニオンたちが怪盗エル・マッチョに誘拐されてしまう。ミニオンの危機、悪党に薬品を浴びせられて紫色に染まったミニオンたち。これは兵器としてミニオンを使用するために開発したので、紫色になったミニオンたちは狂暴になり戦士として敵の傭兵になる。

グルーとルーシは、他の無事なミニオンたちと一緒に、彼らを助けようと奮闘し、黄色のミニオンにするように、ネファリオ博士が中和剤・ゼリー状の液体を開発し、それをミニオンにかけて元の黄色に戻すという。

やっぱり一番の目玉はバナナが大好きな黄色いミニオンたち。今回も笑わせてくれ、「Y.M.C.A.」の大合唱に驚き、インディアン、道路工事人、ポリスマンと、ヴィレッジ・ピープルそっくりのコスプレ姿も楽しいし、歌も何を言っているのかよく聞き取れないが、とにかくちょこちょこと出て来て面白い。

4人で歌うエンドロールの歌が、オケツ~う!って(違うか?そう聞こえたぞ)合唱しているのに、一つ目がピーピーと吹く紙ロールが可愛くて、可愛くて、それだけでも楽しくなってしまいます。で、オマケの点数ですから。
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凶悪 ★★★.5

2013年09月23日 | アクション映画ーカ行
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
<感想>実際に起きた事件を映画化する、それは映画の王道であり、犯罪を題材にした作品は日々多く量産されている。元ヤクザの死刑因から送られてきた衝撃的な手紙。告発される相手は不動産ブローカーで“先生”と呼ばれる人物と、その周りで起こる不可解な事件。ある日こつ然と消えた多くの人々。そして、真実を暴くため、自らの家庭を顧みず奔走する雑誌記者。

あまりにも出来すぎている、問答無用に面白いと感じながらも、一方ではあまりにも出来すぎているな、と原作を読んでそう思った。一人の雑誌記者がまるで刑事のように過去の事件を調べあげる。警察が殺人とは見抜けなかったいくつかの事件について警察に知らせ、または雑誌に発表してセンセーションを越した。それにより警察が動き“先生”と呼ばれる男のかかわる事件の一部だけが立件でき、やっと終身刑にすることができた。
犯人が捕まる。事実をそのまま脚本にすると、記者の藤井がヒーローになり、こんな事件がありましたで終わってしまう。この誰も救われない、凄惨な事件を単なるヒーロー物として描いていないところがいい。

確かに事件は“先生”の逮捕という形で一件落着したかのように見える。しかし、実際にはなにも解決していない。現実にはこんなにも簡単に次々と人を殺し、警察には知られずにいるという事実があり得ることが衝撃的であり、それに主犯である二人の殺人者の、正に人を殺すやり方に驚いてしまう。それはいつも見慣れた映画やTVのそれの比ではないからだ。
映像の中には、「冷たい熱帯魚」のように、人間の身体をバラバラに切断して焼却炉で焼き灰にしてしまう。もう一つは、酒を飲ませて殴る蹴るで殺し遺体を雑木林に捨てる。または生きたまま埋めてしまう。最後は、両手を縛って橋の欄干に立たせて、川に落ちて死なせる。もっとたくさんあるのだろうが、とにかく人間を殺すことが楽しくて仕方がないとでもいうような、笑いながら人を殺す暴力描写が続き、その手の映画が苦手な人は目を背けるかもしれない。
しかし、本当に危ないのはその後である。主人公と共に私たちは、現実に起きた凶悪事件の全真相を知り一歩づつ近づいていく。まるでフィクションの暴力映画のようにダイジェストにしたものであることに気付かされていく。

この映画の中での、死刑因の告発者と先生は実に悪いヤツとして描けている。憐れなところや恰好いいところは微塵もない。特に映画の中では、告発する死刑因を演じるピエール瀧と、告発される“先生”を演じるリリー・フランキーが、憎々しくて同情の余地のない嫌なヤツになっている。本当に観ていて憂鬱になる。
そんな気持ちになるのも、彼らによって酷い殺され方をする被害者たちがいずれも、ただ無知だったり老いぼれて判断力のない弱者だったりして、なまじ土地家屋などの資産があるだけで、二人の悪党どもに騙され、殺される。共感や理解のしようがない、残忍な暴力と利己主義と欲。本当にこの世は闇だという気分になる。憂鬱きわまりないのだ。

この映画の暗い現実が、告発者の依頼を引き受けて“先生”の知られざる殺人の数々を調べていくうち、真の悪人を告発するという正義のために、家庭も顧みずにのめり込んで行き調査を続け、離婚寸前まで追い込まれていく雑誌記者。
しかし、それ以上に藤井が認知症の母親の面倒を、妻に押し付けているのが許せなかった。家庭を崩壊させてまで、何故のめり込んだのか、そう問い詰めるような物語に設定することで、無残の事実の出来事を、人間の業の深さについての問いに飛躍させているように感じた。
映画での、記者のヒーロー化として描いているのと、彼が殺人者たちと最後に法廷で対決する下りは、脚色による創作であり、記者があたかもこの殺人者たちに魅せられたかのように、調査にのめり込んでいったのは何故かという問題も観客に投げかけてくる。
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エリジウム ★★★★

2013年09月22日 | アクション映画ーア行
『第9地区』が第82回アカデミー賞作品賞などにノミネートされた新鋭ニール・ブロムカンプ監督が、マット・デイモンを主演に迎えたSFアクション。22世紀、富裕層だけが居住を許されるスペースコロニー“エリジウム”を舞台に、虐げられた地球の住人の反撃をハードに描く。マットのほか、ジョディ・フォスターや『第9地区』『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のシャールト・コプリーが出演。ブロムカンプ監督の斬新なアイデアや演出に期待。
<感想>永遠の命が約束された理想郷・エリジウムに暮らす富裕層と、貧困と犯罪が蔓延する荒れ果てた地球で生きる貧困層。この二極化された2154年の世界を舞台にした「エリジウム」は、「第9地区」で注目を集めたニール・ブロムカンプ監督によるSFアクションである。

人類の理想郷のエリジウムのビジュアルも想像を絶する美しさに驚く。それに対比する貧しいものが暮らすスラム化したロサンゼルスの景観だ。地平線まで続く粗末なバラックや崩れかけたビル群に、蜂の巣状態で人々が密集し、人工過剰で荒廃し、貧困と犯罪が蔓延。人々は高性能ロボットに監視されながら暮らし、病気になってもまともに治療をうけられない。
主人公は、工場の事故で大量の照射戦を浴び、余命5日を宣告された地球の住人マックス。生きるか、死ぬかの瀬戸際に立たされた彼は、永遠の命を手に入れるためにエリジウム行きを決意する。

しかし、不法入国を厳しく管理するエリジウムに侵入するのは至難の業。密航用の宇宙船に乗せてもらう代わりに、彼はある富裕層の人物、アーマダイン社の社長のデーターを盗み出す仕事を任されるのだが、・・・。

マックスは闇商人のスパイダーのもとを訪れ、エクソ・スーツを装着する手術を受ける。それは、人間が攻撃型ロボットと対等に戦う力を得ることができる特殊な装置。装着するには骨にねじ切って直付するし、神経と結合させる。頭にも電極をねじ込むから痛そう。まるで、大リーグボール養成ギブスふうのコンパクトな作りなのだ。

パワーアップしたマックスは、見た目はまんまの生身状態。ドロイドとの肉弾戦は、エクソ・スーツの馬力にマックス本人の肉体が追いつかず、腕がへし折れるんじゃないかとハラハラして、妙なスリル感を覚える。
運よくエリジウムから地球へ戻って来たアーマダイン社の社長のヘリを襲撃し、護衛のロボットをやっつける。真っ赤なボディのロボットだが、本格戦闘には弱い。社長の頭とマックスの頭の脳にダウンロードするシステムもちゃっちい。こんなんで、エリジウムの全権システムを奪還できるとは思ってもいなかった。

それには、裏切り者のデラコート長官、ジョディ・フォスター演じるエリジウムの安全を守る防衛長官で、地球の住民を監視し、不法入国者を徹底的に排除する。その任務はロボット軍隊だが、みたところ数が少ないし、戦闘能力があまりない。
そして、地球に住む民間協力局の覆面エージェントであるクルーガー。あの「第9地区」で一躍有名になったヴィカスが、狂暴な傭兵に変身して、ホームレスのようなボロキレをまとい、敵とみれば刀で斬りまくるは、宇宙船を迎撃する長距離ロケットランチャーを撃つはで、ハデにやってくれます。演じるのは、シャールと・コプリー。この男の難点は、女とみれば下半身がうずきだし、マックスの幼馴染である女医フレイを拉致してしまう。

児童養護施設で育ち、幼き日に「あなたは特別な存在」とシスターから言われながらも、犯罪にまみれた生活を送ってきたマックスが、ようやく真面目に働き出したと思ったら、不慮の事故。何とも運の悪い男だが、手を伸ばせば届きそうなのに、たどり着けないエリジウムの存在。そもそもマックスがエリジウム行きを決意したのは、自分が余命わずかとなったからで、いわば自分自身のためだけに戦ってきた彼が、自分も気づかぬうちに世界を変える戦いに巻き込まれ、ヒーロー然とした男に成長していく姿が観る者の胸を打つ。

さらには、残酷な選択を迫られるマックスがたどる運命は、切なすぎて、SFアクションにもかかわらず、最後は救世主となって死んでいくマックスに涙を誘います。
マックスを演じたマット・デイモンは、「ボーン」シリーズからさらに飛躍させたキレのいいアクションを披露。超人的なヒーローではなく、痛みも弱さもある人間味あふれるマックスはハマリ役で、幼馴染の女性フレイ(アリス・プラガ)との、後一歩踏み出せない関係も、物語の絶妙なエッセンスになっている。彼女には白血病の娘がいてエリジウムでの医療ポットで治したいと願っている。

さらには、格差社会を背景に、社会的テーマとSFアクション、感動のドラマまでを融合させたブロムカンプ監督のこだわりが全編にあふれている。
それなりに、本作は、今のハリウッド大作映画の水準で考えると、充分よくできた映画だと思う。マット・デイモンが体を張ったアクション・シーンの迫力は、前作にもなかった見どころだし、SF的な発想の中にも面白いアイデアがたくさんあった。特にやっぱりロボット/メカ関係が。今後に期待出来そう。

15年に公開が決まっているブロムカンプ監督の作品「Chappie」は、アマチュア時代に撮った短編を基にしていて、「ロボコップ」と「E.T.」を足して2で割ったような作品だというのだ。物語の舞台は再び南アフリカとなり、コプリーに加え、南アフリカ出身のヒップホップ集団、ダイ・アントワードのニンジャ&ヨランディの二人も地元のギャング役で出演。
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夏の終り ★★★

2013年09月20日 | な行の映画
作家の瀬戸内寂聴が出家前の瀬戸内晴美時代に発表した小説で、自身の経験をもとに年上の男と年下の男との三角関係に苦悩する女性の姿を描いた「夏の終り」を、鬼才・熊切和嘉監督が映画化。妻子ある年上の作家・慎吾と長年一緒に暮らしている知子。慎吾は妻と知子との間を行き来していたが、知子自身はその生活に満足していた。しかし、そんなある日、かつて知子が夫や子どもを捨てて駆け落ちした青年・涼太が姿を現したことから、知子の生活は微妙に狂い始める。知子は慎吾との生活を続けながらも、再び涼太と関係をもってしまい……。主人公・知子役に満島ひかり。慎吾役はベテランの小林薫、涼太役に注目の若手・綾野剛が扮する。
<感想>決して器用な女優とは言えない満島ひかりの、彼女の女優としての輝かしいキュートな女を全開のメロドラマになっていた。原作の知子は30代後半という設定からすると、他の女優さんなら、例えば寺島しのぶさんとか、鈴木京香さん、そうそう、「さよなら渓谷」の真木よう子さんなんかが演じたら違った女性像に仕上がってたかもしれないですね。
決して彼女の演技が嫌いというわけではないのですが、まだ若いので。
主人公の知子は、後先のことよりも、いまや感情や欲望に流されて生きる不器用な女。しかも、このヒロイン、基本は受け身で、妻子ある作家と8年間も暮らしながら、「何もかもダメなのよ、何とかしてよ」と、元カレの涼太に泣きつくのだ。
冒頭での夫と娘と一緒に、地方から東京へ移住しようというシーンで、突然「私、好きな男がいるの」と、今の結婚生活から逃げ出す奔放な女、女の性・業を表しているようだ。

だからなのか、女性映画たらしめるヒロインの周りの男たちの、存在感が薄く、「ノン子36歳(家事手伝い)」(08)の熊切和嘉監督と満島ひかりが組んでいるのに、エロティックなシーンも描かれず、その匂いもしないのが不満である。喜怒哀楽を器用に繰り出す満島ひかりに、彼女だけがこの時代を生きているように見えてしまう。コロッケや、ビスケットを手早く選り分けて、口元に運ぶ動作、受話器を持つ時の手の使い方など、そして、桃の果汁をしたたり落ちながら頬ばる彼女の美味しそうに食べる仕草など。手に代表される彼女の動きが映画の中で目に焼き付き、これは女性映画なのだと。

慎吾を演じた小林薫は、情けない感じの男を演じているように見え、台詞も少なくただ「うん」とか「ううん」の返事ぐらいのうやむやの反応を示す、凄くずるいのに憎めない人を演じていたと思う。愛人の家で、雑巾がけをする廊下の狭さや、玄関口から小説を書く机のある部屋、ロケセットの限界を見て、昭和の家の間口を狭さを感じた。
知子と慎吾の奥さんが電話で話すシーンがあって、奥さんの気配しか感じられず、どうしても奥さんの顔が見たくて自宅まで着物で正装して出かけたのに、留守で家の中へ入り綺麗に掃除されており、座敷にはミシンがあり本妻の存在感だけがずっしりと知子の心に重くのしかかる。そこはゾクゾクするシーンでした。この物語の中の男は、みんな女々しく見えた。

そして、年下の青年・涼太の部屋へずぶ濡れになりながら会いにいく知子。そんな彼女を愛する男、涼太も同じく二人の男の間を掛け持ちする知子を受け入れ、はっきりとしない優柔不断な男を演じている綾野剛も優男である。
出家以降、偉そうにお説教をする瀬戸内寂聴が苦手な私としては、その若き日を描いたこの映画の原作も読んではいないが苦手である。だが、満島ひかりが演じたことで、昭和の女という時代性が際立っているようで、そこが面白いと思った。
だが、映画は語り口が斬新で、映画は進歩するというから、平気で時間を前後逆転させたり、人物の背後だけストップモーションにしたりと。でも知子の気持ちで繋いでいるので混乱はしない。
それが最も効果的なのが、ラストのシチュエーションで、二つの歴史時間の小田原駅前が一緒に出て来るシーン。美術も凝ってますよね。
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許されざる者 ★★★★

2013年09月20日 | アクション映画ーヤ行
クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、「フラガール」「悪人」の李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイク。江戸幕府崩壊後の明治初期、北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男が、再び戦いに身を投じていく姿を描く。幕府の命の下、幾多の志士を斬りまくり、恐れられた釜田十兵衛は、幕府崩壊後いつしか姿を消し、人里離れた場所で静かに暮らしていた。やがて月日は流れ、妻に先立たれた十兵衛は、貧困の末に再び刀を手にすることになる。主人公・十兵衛役で渡辺謙が主演し、柄本明、佐藤浩市らが共演。

<感想>さすがにオスカー受賞作のリメイク版となるだけあって、クリント・イーストウッド版オリジナルに、最大限の敬意を払った日本版だといっていい。
優れた物語は、時と場所を超えて何度でも生まれ変わる。映画でもそれは同じである。隠遁した元人殺しのアウトローが、家族を養うためにかつての仲間とともに、娼婦の顔を切り刻んだ悪党を殺して賞金を稼ごうとする。というストーリーはオリジナルを忠実になぞっており、19世紀後半のアメリカ西部から、同時代の日本、明治初期の北海道へと舞台を移し、イーストウッドが演じた主人公の元ガンマンは旧幕府軍の元剣士、渡辺謙に、ジーン・ハックマンが演じた悪徳保安官は、独裁者たる警察署長の佐藤浩市へとそれぞれ移し替えられ、他のキャラクターもオリジナルとほぼ同じ役割を担う者として物語に登場する。

十兵衛の旧幕府軍時代の友人馬場金吾を柄本明が飄々と演じつつ、アイヌと和人の混血青年の沢田五郎を柳楽優弥という軟弱者という賞金稼ぎの3人。そして女郎の小池栄子を始め、顔を切られたなつめを演じた忽那汐里の真に迫った演技がすこぶるよかった。

内容は明治13年の北海道。幼い二人の子供を抱え、畑を耕しながら貧しく暮らす十兵衛の元を、かつての戦友である金吾が訪れる。話のよると女郎の顔を切り刻んだ2人の男に懸けられた賞金が目的だ。幕末には見境なく殺生をし、“人斬り十兵衛”と恐れられたが、逃げ落ちた蝦夷で妻となる女と出会い、刃傷沙汰からは足を洗っていた。だがその妻も今は亡く、子供のため金吾に協力することに。
道中、五郎と名乗る拳銃使いの若者が加わり、三人は賞金首を目指す。だが、町では警察署長の大石が絶対的な権力を振るい、銃剣を持ち込んだものに厳しい制裁を与えていた。

女郎の顔を切った兄弟に懸賞金が掛けられたことを知り、早速町には賞金稼ぎの男たちが入り込んできた。1番乗りのリチャード・ハリスが演じたイギリスから来た賞金稼ぎ役には、国村隼さんが成金親父のような格好で現れ、署長の佐藤浩市が銃剣を持ち込んだ罰として、殴る蹴るのリンチを加え厳しい制裁を与えていた。
だから、1度目の3人も町へ着いたときには、十兵衛も刀を没収されボコボコに殴られ蹴られて追い出された。3人の内、金吾が脱落して2人で懸賞金のかかった兄弟を仕留めようとする。その場面は、弟は十兵衛が金吾の鉄砲で撃ち殺し、兄の方は、朝にトイレに入っているところを五郎が押し入って殺す。

そして、十兵衛が友人金吾を拷問死させた恨みを晴らすべく、クライマックスでの酒場での大石との決闘シーン。十兵衛は妻との約束で人斬りはしないと誓っていたので、刀を土の下に埋め込んでいた。その為、刀は刃がボロボロとなり使い物にならない。その刀を笑いものにされようと、大石に向かって金吾の仇だと錆びついたボロ刀を腹に差し込む。その気合たるや、十兵衛も深手を負いながらも、その場に居合わせた人たちも鉄砲や刀で切り刻み、最後は酒場に火の手があがり、雪降る北海道の夜を明々と照らす凄まじさには、美しいというよりも虚しさが残る。
物語の本筋はかなり原典に忠実に作られており、ゆえにそれで終始するのであれば、リメイクの意義はあまりなくなるのだが、五郎と顔を切られた女郎のなつめという、二人の若者の設定と描写を大きくすることでオリジナリティがだいぶ味付けされていたと感じた。

しかし、そんな日本版「許されざる者」には一つだけ決定的にオリジナルとな異なるものが存在する。それは作品の根底に横たわる「瞔罪」というテーマなのだ。西部劇のならず者に徹底したろくでなしのリアリティを与えていったイーストウッド版のドライな感触に対して、武士道や敗者の誇りといった日本独特の美学をバックグラウンドに持つ本作は、どこかウェットで、魂の救済を求める切なさが宿っているようにも見えた。
もちろん誰が、「許されざる者」なのかという問いが、イーストウッド版でも不変の最大のテーマであるのには変わりがないが、・・・。
雄大なロケーションや、原野に創り上げたオープンセットの町も見事で、名作のリメイクという難度の高いチャレンジとしては合格だと思う。オリジナルの持つスピリッとを継承しつつ、うまく邦画に変換できたと言えるでしょう。
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21オーバー 最初の二日酔い ★★

2013年09月19日 | DVD作品ーた行
『ハングオーバー』シリーズ第1作の脚本を担当したジョン・ルーカスとスコット・ムーアがメガホンを取ったコメディー。21歳の誕生日を祝って酒を飲んだ医大生とその友人たちが、泥酔して大騒動を巻き起こす。『ラビット・ホール』のマイルズ・テラー、『トワイライト』シリーズのジャスティン・チョンらが出演。畳み掛ける笑いの応酬に加え、友情の尊さを見つめたドラマ部分にも魅了される。
あらすじ:スタンフォード大学の医学生であるジェフ(ジャスティン・チョン)は、将来を左右する大切な面談を翌日に控えていた。そんなとき、高校時代の悪友ミラー(マイルズ・テラー)とケーシー(スカイラー・アスティン)が21歳の誕生日という人生の門出を祝いに押し掛けてくる。
とりあえずビールを軽く一杯ということに。もちろん、一杯だけという酒が本当に一杯で終わったためしなど、人類の歴史上一度も無く、3人の祝杯はどんどんとエスカレートし始め、ジェフは完全に泥酔してしまう。
それでも、店を変えながら飲み続ける3人は、いくつものパーティーに紛れ込み、問題を起こし、その混沌はすでに制御不能に陥っていた!!
行く先々でトラブルを起こしまくり、夜も更け、気付くと見知らぬ場所に。面談の時間が迫る中、無事ジェフを家に送り届けることが出来るのか?

<感想>飲み会でついつい飲んでしまい、気が付けば午前3時だった。あるいは、さっさと切り上げるつもりが、もう1軒だけと言われ断りきれずに、逆に何だか楽しくなっちゃって、完全に開き直り朝まで飲んでしまった。なんて経験あなたにはありませんか?・・・大人になれば誰しもそういう経験はあるでしょうに(反省)次の日、二日酔いになった人しか分からないでしょうね。
そんな状況が嫌というほど描かれるこの映画、アメリカでは21歳になるまで飲酒が許されないので、こういうタイトルが付いた分け。日本と1年違うんだ。
で、主人公は高校の親友だったミラー(彼は大学を退学して働いている)とケイシー(真面目に大学を卒業できそうで、ウォール街に就職も決まっている)。対照的な2人だが高校時代の友情は不滅で、かつての親友ジェフ・チャンの21歳の誕生日を祝ってやろうと久々に再会するわけ。

部屋まで押しかけてきた2人に喜ぶジェフだが、タイミングが悪いことに翌朝早くから超大切な医学部の面接があるという。それも父親同伴で、・・・怖そうなお父さん)でもせっかく成人したんだし、友人の誘いは断れない。1杯のつもりが、これが間違いの始まりなのはいうまでもなく、女子大生をナンパして3人は泥酔状態に。その女の彼氏がヤバかった。
特にジェフが真っ先に潰れて、誘った二人は、「そういやこいつは、明日が早いって言ってなかったか?」と、彼を家まで送り届けとする。だが、二人はバカなのかジェフの住所を知らなかった。どうするって、それから展開するドタバタ騒動、実はジェフの家の前を何度も行ったり来たりしていたのに、酔っているしバカだから気付かない。彼の家の前にはピエロの格好した老人が酔っぱらって踊っていたのが目印なのに。朝方まで同じ場所で踊っていた。

そして、二日酔い状態のジェフを家へ送ろうとするミラーとケーシーだが、ジェフの住所を調べるのにはとポケットを探ると、拳銃が入っているではないか。一体何が彼に起きているのか?・・・昔の彼が住んでいた寮まで行くと、実は彼が留年寸前で寮を追い出され、何度も自殺を図ろうとしていたことを知り……。
何だか、ジョン・ルーカスとスコット・ムーアのコンビ、その初監督作となるのに、またもやバカ3人が宵の口から飲み始めて、朝方まで右往左往する、その行く先々でみんな酒を飲んで騒いでいるという空気感が、どうにも同じような展開の話で面白みがないのだ。

最後はどうなるのって、二人が家を探し当てて、シャワーを浴びさせスーツを着せてと、そこへ運悪くあの彼女の男がやってきて、そこへジェフの父親も迎えに来てと、てんやわんやの大騒ぎで、ジェフは父親に正直に告白するんですね。医者にはなりたくないって。
が、しかしである、そんな中で酔いつぶれたジェフ、おバカな二人はずっと彼が優等生だと思ってきたが、どうやらいろいろ問題があるらしいと。尚且つ自分たちも将来に対する不安のようなものをボンヤリ感じていたわけで。
成人したら真面目に生きなければならないのかという焦燥感と、もう学生時代のようなバカは出来ないのかなんてね。
それに、夜が明けて朝が来てしまうというサスペンスが交錯してそれなりにコメディになっているのは否めない。泥酔状態のジェフの演技が破天荒で、特に同級生のボスに裸にされ、股間にクマのぬいぐるみを被せられてしまう。酔っているので、意気揚々と裸で元気ハツラツでうっぷん晴らしのような、そんな感じでもある。
臨場感を増す意味では、お酒を飲みながら見る事をお勧めします。酔っぱらってしまえば、怖いもんなしってね。でも深酒は禁物ですぞ。
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ムービー43 ★

2013年09月18日 | アクション映画ーマ行
『メリーに首ったけ』のピーター・ファレリー監督の提案により、ハリウッドの大物スター豪華共演が実現したお下劣コメディー。『トレジャー・ハンターズ』のスティーヴン・ブリルをはじめ多彩なメンバーがメガホンを取り、衝撃の物語を紡ぎ出す。オスカー女優のハル・ベリーやケイト・ウィンスレットらが捨て身の熱演を披露。若手からベテランまでオールスター総出の、ナンセンスで悪のり満載の内容にあっけにとられる。
あらすじ:脚本家のチャーリー(デニス・クエイド)は、ハリウッドの大物プロデューサー(グレッグ・キニア)のオフィスに乗り込み、自分の映画企画を何とか売り込もうとしていた。彼がうれしそうにまくしたてる驚きの内容に、経験豊富なプロデューサーは……。一方、ベス(ケイト・ウィンスレット)は、友人の勧めでミスターH(ヒュー・ジャックマン)とのデートに出掛ける。
<感想>絶賛する気満々で観初めたのだが、いかんせんこの手の映画は、私のもっとも苦手とする映画だった。不愉快な下品さが耐えられません。道徳的な規準から遠く離れてひたすら嫌悪感を煽ってしまっている。
もう下品で下劣でくだらない。でも笑えるしキャメロン・ディアスが奇跡のように可愛い「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟が大好きな方には一見の価値ありですぞ。ゆえにこれも「全米ドン引き」「酷評の嵐」という前評判を知りつつ観たのですが、本当にそうでした(-_-;)
プロデューサーのところに売り込みに来た脚本化が次々と企画を披露、その内容は、・・・という構成で、ファレリーはじめ10人の監督が短編を撮っているのだが、いずれにしても下品で、下劣で、くだらないことのみを目的に掲げ、丁寧に、しっかりと、しかもやたらと豪華なキャストで作られている。

出ているのは、ハル・ベリー、ユマ・サーマン。ヒュー・ジャックマン、リチャード・ギア、ケイト・ウィンスレット、ナオミ・ワッツ等々。で、ネタはというと、ここに書くのをためらうほど恥ずかしい言葉で、○○タマ、ウ○チ、セックス、生理、などで、欧米のコメディ映画で「なんでこんなにウ○チとかゲロとか好きなのかなぁ」しかも、どうしてそのまま映すのだろう?・・・とぐったりするタイプのものでありますが、まさにそのどうしようもない恥ずべき内容の結晶である。

何を血迷ったのか、全員がフルスイングでキャリアを棒に振る熱演をぶちかましているのに驚くと同時に呆れてしまった。特に「喉元に玉袋をぶら下げたセレブ」を飄々と演じるウルヴァリンのヒュー様、「インポッシブル」で見せた役者魂を再び叩きつけるナオミ・ワッツの近親相姦ギャグ、特殊メイクの巨乳を揺らしながら戦慄の人体改造デートに挑むハル・ベリーらの勇姿には、思わず爆笑しながらも、彼女の醜悪な容貌と肢体で出ていることに嫌悪感をもよおし、それが狙いと言われればそれまで。本当は無視して黙殺すべきなのだろう。

「テッド」のセス・マクファーレン、「サタデー・ナイト・ライブ」の看板役者のジェイソン・サダイキスたちも、米国コメディ界のスターたちの登場も見逃せません。スーパーヒーロー同士の合コンという超くだらない設定では、なんか中途半端なコスプレしているのは、左からユマ・サーマン、ジャスティン・ロング、ジェイソン・サダイキスの面々。

だが、なによりもそのゲンナリするシロモノを観て、自分が笑ってしまったということなんですね。つい、声まで上げて笑ってしまった。あと、クロエ・グレース・モレッツが出ていて、秋に公開されるリメイク版「キャリー」が楽しみだなぁと思ったりしました。この映画では、やはり気の毒な役でしたが。

大小合わせて14編に及ぶエピソードは、いずれも下品この上ないしろもので、短編としての質は意外に高い。「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」式の詰め込み方ではなく、アメリカン・パロディのような感じ。でも出演者がみんなびっくりするくらいにノリノリだから、そこに波長を合わせられればそこそこに楽しく観られるのでは。
共同監督には「スーパー!」のジェームズ・ガンをはじめ、グリフィン・ダン・ジェームズ・ダフィ、女優のエリザベス・バンクスといった才人たちが参加している。ファレリー兄の狙いはただ一つ、ナンセンス・コメディの復権だと思う。
「俺たちはもっと心底下らなくて、何一つ人生の足しにならないコメディが観たいんだ」そんな魂の叫びを6年がかりで叩きつけた結果、本国アメリカでは興行・批評ともに惨敗。こんな浮世離れしたハリウッドの現実がみえ、更には世界の映画の多様さを考えてみたりもする。虚しさが残ってどうしようもない。アホな映画を完成させた人々の勇気と根気を讃えようと思ったが、「R指定」のコメディを作った子供が喜びそうなレベルに、無性に悲しみが募るばかり。
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31年目の夫婦げんか ★★★

2013年09月17日 | さ行の映画
結婚31年目に夫婦の絆を取り戻そうと奮闘する夫婦を、オスカー受賞のメリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが演じるヒューマンドラマ。カップルセラピーに振り回されながらも、結婚生活を振り返り、未来のための答えを見つけ出すまでの夫婦の姿を描く。『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケルがメガホンを取り、夫婦に性生活などを指南するセラピスト役で、『40歳の童貞男』などのスティーヴ・カレルが共演。夫婦だからこその迷いを見事に演じる名優の演技に引き込まれる。
あらすじ:変わり映えのない毎日を送る結婚31年目の夫婦、ケイ(メリル・ストリープ)とアーノルド(トミー・リー・ジョーンズ)。これまでの夫婦の生活を改めたいと考えていたケイは、フェルド医師(スティーヴ・カレル)のカップル集中カウンセリングを知り、夫に知らせずに予約を入れる。セラピー参加に反対していた夫を連れ、二人はメーン州のフェルドのもとを訪れた。そして、カウンセリングがスタートしたものの……。

<感想>メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが倦怠期の夫婦の危機と再生を演じると聞くと、この顔合わせが見どころかなって、思って見たら、もうね、これだけで「いい映画」要素が満載ですよ。芸達者な役者と身につまされるテーマ。しかもコメディタッチだから、いかにもなハッピーエンドも気にならない。
全米でセックスを語るブーム継続中?・・・と戸惑いがあった「ムービー43」と一緒に鑑賞した。こちらはファンタジーで、全然趣旨が違うんですけれどね。

結婚31年目を迎えた夫婦生活の沈滞を、打破しようとするのは妻であって、仕事を持っている夫ではないのはよく分かる。だが、専門医のカウンセリング(スティーヴ・カレル)に依存するというところが、いかにもアメリカ的なのだ。そして、結局のところ、二人のベテラン俳優の演技をもってしても明確な答えは出てこない。
でもね、夫婦の問題というよりも、あけすけに言ってしまえば性の問題を巡って繰り広げられるバトルを、間合いや目線を使いこなして演じる大物俳優二人のなんと楽しそうなことよ。

おまけにセックスシーンまで演じてしまうのだから、まさかこんな大物たちが出てくれるだなんて脚本家もさぞ驚いたでしょうに。
ソファに座る二人の距離の取り方など、要所を押さえた演出には、ラストシークエンスに至るまで、快調でユーモラスがあっていい感じである。
そいう意味では楽しい映画だったし、誰かが観るといっても止めはしない。軽い気持ちで観るのならいいんじゃないの。しかし、あくまでもファンタジーなので、ということを忘れて観てしまうと、ちょっぴり罪作りな作品にもなり得るようだ。
夫婦関係に問題を抱えた中高年カップルは、私の周りにもたくさんいて、こんな処方箋でどうこうなるとは思えないからだ。日本ではこういったカウンセリングは、夫婦では受けにいかないようだ。現実的には二人で話あって考えるか、一方的に別居か離婚を言い渡し、二人の関係は終わってしまう。

結婚生活31年もすれば、セックスレスで冷え切った夫婦なんてのはごまんといる。だからって夫婦がセックスをすればラブラブになれるなんて、そんなのあり得ないと思う。本当は愛し合っているのにセックスレスのせいで愛の表現方法を見失っていたなんて、そんな単純なことならバイアグラでも飲んでればってことになる。

だから、実にこの内容はファンタジーなんですね。お伽噺に過ぎない話を笑って観て、妻が描いた夢物語のような、また二人で結婚式をして誓いの言葉をいい、結婚記念日には外食をしてプレゼントも惜しまない。そして、どちらかがお墓に入るまで一緒に仲良く過ごしましょう、という夢物語。

子供も巣立って2人戻った夫婦が「別れるか、再び新婚を取り戻すか」に直面する熟年夫婦クライシス映画でもあります。安心感も保証付きの、「母の眠り」で感じた主婦を演じるときのメリルの巧さに今回も遭遇した。結婚前の二人で観て「会話の続く夫婦」になれるかを密かに検証するのにも最適かもです。
2013年劇場鑑賞作品・・・274   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
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欲望のバージニア ★★★.5

2013年09月16日 | アクション映画ーヤ行
シャイア・ラブーフ、トム・ハーディ、ジェシカ・チャステインら豪華キャストが共演し、アメリカ禁酒法時代に実際にあった復讐劇を映画化。1931年、バージニア州。密造酒ビジネスで名を馳せたボンディランド3兄弟の次男フォレストは、シカゴから来た女性マギーに心を奪われ、三男ジャックは牧師の娘バーサに恋をしたことから、兄弟の力関係に変化が起こり始める。一方、新しく着任した特別補佐官レイクスは高額の賄賂を要求するが、兄弟はこれを拒否。するとレイクスは、脅迫や暴力によって兄弟の愛する女性や仲間たちに危害を加えていく。その他のキャストにジェイソン・クラーク、ミア・ワシコウスカ、ゲイリー・オールドマン、ガイ・ピアースら。監督は「ザ・ロード」のジョン・ヒルコート。

<感想>オーストラリア生まれのジョン・ヒルコート監督の作品では、「ザ・ロード」(10)を観た。ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化した、終末を迎えた人類の物語だったが、中々ヒューマンたっちでシリアスな映画でした。今作では、脚本と音楽はやはりオーストラリア生まれで、作曲家であり作家、脚本家、俳優と多彩な面を持つニック・ケイヴが担当している。
映画の舞台は題名にもある通り、アメリカ東部の州バージニアである。時代は禁酒法時代。禁酒法時代を描いた映画は、シカゴが舞台のケヴィン・コスナー主演の「アンタッチャブル」(87)が有名だが、バージニアというのが新鮮だ。この映画でのバージニアアはひどく田舎のように描かれているが、アメリカ合衆国の首都ワシントンの一部はバージニア州に含まれている。ちなみにバージニア州の州都はリッチモンドである。

映画は実際にあった話で、3人の兄弟を中心に展開していく。三人の職業はブートレッガー(密造酒製造者)である。この呼び名は、密造酒を入れたスキットルをブーツに隠したことから出てきたらしい。映画の中でも明かされる。
三人の兄弟の長男ハワード・ボンデュラントは、「俺たちは死なない」という信念を持ち、野獣のごとき怪力の持ち主だ。次男のフォレストも同様である。末っ子のジャックは二人の兄ほどの力はないが、友人のクリケットと新しい蒸留酒を開発し、そろそろ自分でも商売を始めようとしている。長男ハワードにはジェイソン・クラークが、次男のフォレストにはトム・ハーディ、末っ子ジャックにはシャイア・ラブーフと、三兄弟を演じている。

野望は大きいが小心もののジャックは、堅物の牧師の娘(ミア・ワシコウスカ)に一目惚れしているが、まったく相手にされない。もう一人都会からやってきた、ジェシカ・チャステインが三兄弟の店を手伝うことに。そして、次男のフォレストに恋をしてしまう。

バージニア州でもフランクリンなどという田舎はともかく、都会では狂犬と恐れられているフロイド・バーナーが顔を利かせていた。フロイドには、ゲイリー・オールドマンが扮して、中々渋い演技を見せている。

そんなところに新任の取締り官レイクスがやってくる。彼は兄弟に高額の賄賂を要求するが、次男のフォレストはそれをつっぱねる。そのことがレイクスの残忍な人格に火をつけることになるわけ。実在の人物をモデルとしたこのレイクスは、映画ではおめかしの潔癖症で、サディストのゲイとして脚色されている。
このレイクスを演じているのがガイ・ピアースで、彼の好演がこの映画を盛り上げている。「俺様は偉いんだ。カッペどもめが」と、これがあのガイ・ピアースかといった役作りを見せて熱演。ところが、足の悪い無垢なクリケットがレイクスにレイプ・殺害されてしまう。若い青年クリケットを演じているのは「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」でゴズリングの息子ジェイソンを演じたデイン・デハーン。

禁酒運動は、きつい労働の気晴らしでアル中になる夫たちに音を上げた妻たちが、牧師とともに組織化し、それは女性の権利獲得運動にまで発展し、この禁酒運動が行き過ぎた結果、1920~33年まで、禁酒法が法制化されたのである。
禁酒法は善意から出た運動が極端化するアメリカの傾向の典型だが、一方では貧しい南部の密造産業を活性化させた。その割り前を支払わない業者は、見せしめにリンチを受ける。この映画では、熱したタールをかけられ皮膚呼吸を奪われ殺された男が、その死体に羽毛をまぶされボンデュラント兄弟のポーチに放置される。

むろん黒人に対しては差別的で、映画の中でもその片鱗は描かれる。ところが自由黒人たちもまたフランクリン群へ逃れてきた歴史がある。映画の中で教会の儀式で、水に素足を浸して拭う「洗足式」という儀式が描かれている。調べてみると、この宗派では全身を水に浸す「浸礼」が罪の浄化法で、これは奴隷制廃止を徹底する北部の流儀から見れば欺瞞なのだ。ジャックが好きな牧師の娘に、汚れた足を洗われるのを拒むのは、それだけ彼が罪を犯したのを恐れているからだと思う。

クライマックスで、レイクスを殺しに行く長男ハワードと次男のフォレスト。拳銃で撃たれるフォレスト、そこへ遅れてやってきたジャック。激戦の末にクリケットの仇を撃つジャックだが、彼もレイクスに足を撃たれていた。最後は、いくら「俺たちは死なない」が口癖だったとはいえ、三兄弟が幸せに暮らしている風景が映し出されるのには驚いた。もう完全にフォレストは死んだと思っていたから。
禁酒法時代の密造ウィスキーは、極端な反権力と貧困、このダブルバインドから滴り落ちたエキスなのだろう。
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ウルヴァリン:SAMURAI ★★★★

2013年09月15日 | アクション映画ーア行
「X-MEN」シリーズの人気キャラクターでヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリンを主人公とした「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009)の続編。カナダで隠遁生活を送っていたウルヴァリンは、ある因縁で結ばれた大物実業家・矢志田に請われて日本を訪れる。しかし、重病を患っていた矢志田はほどなくして死去。ウルヴァリンは矢志田の孫娘マリコと恋に落ちるが、何者かの陰謀により不死身の治癒能力を失うというかつてない状況に追い込まれる。日本が主な舞台となり、本格的な日本ロケも敢行された。マリコ役のTAO、ウルヴァリンを日本へと導くユキオ役の福島リラ、矢志田の息子シンゲンを演じる真田広之ら、日本人キャストも多数出演。監督は「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」「ナイト&デイ」のジェームズ・マンゴールド。

<感想>「X-MEN」ファミリーの中でもダントツの一番人気キャラで、野性的なモミアゲ姿がいつでも凛々しいウルヴァリンのヒュー・ジャックマン。フランクミラーによる原作の中でも、ファンに最も人気の高いこの物語の最大の見どころは、舞台が日本であるということ。まったく見知らぬ土地で、ウルヴァリンは、どんな怪我からも回復できる治癒能力がウルヴァリンの特徴であり、不死身の身体を持ちながら生きる意味を失う。という究極の矛盾を抱えその存在意義を問われるのである。そのウルヴァリンが限りある命になってしまうという設定である。
冒頭での1945年の長崎の場面、日本軍の捕虜になっていたローガン、マンホール状の独房に押し込まれていたが、そこへ米軍の爆撃機が飛来する。8月9日午前11時のことだった。原子爆弾が投下されたのだが、その時、矢志田という日本兵を助ける。その矢志田がウルヴァリンの不死身の身体に興味を抱くわけで、そのウルヴァリンの身体の中にある不老不死の正体を自分の身体に取り入れようというのだから、とんでもない話である。

今回の映画は何だか悲痛だ。死んでも死なないミュータントもいろいろあって、今回のウルヴァリンは死にそうである。夜な夜なかつて愛したジーン・グレイが夢枕に立って恨み言を言ってくるし、ファムケ・ヤンセンのランジェリー姿が色っぽいし、つまり本作は、「ファイナル・ディシジョン」から続く話のようですね。

ウルヴァリンの仲間となる剣の達人ユキオ。演じる福島リラさんはトップモデルで、菊池凜子もウカウカしていられないほど演技も英語も上手い。ウルヴァリンが、矢志田の孫娘マリコと恋に落ちるマリコ役にはモデル出身のTAO。確かに背は高いが演技はイマイチ。

そして、今回登場する悪役ヴァイパーにスヴェトラーナ・コドチェンコワが。ミュータントのヘビ女で長い舌から出る特殊な液で相手を氷結させる。矢志田が不死身の身体になりたいばかりに、アメリカから呼び寄せたドクター・グリーン。彼女の策略で、ウルヴァリンの不老不死の能力が失われて行く。
自分が誰とも違うと感じているし、何も信じていない。だけど最終的には学んでより強い戦いができるようになる。しかもそれは、他のミュータントのように新たなスーパーパワーを授かるからではなく、よりサムライ的な戦術を学ぶから。自分の心をコントロールする術を知り、規律を身につける。自分の心がコントロールできると言うことは、どんな武器を手にするよりも、偉大なる武器であるということを知るわけ。

アクションの見せ場は、手負いのヒーローが芝の増上寺の葬儀シーンをはじめ、夜の新宿やラブホテルに泊まったり、秋葉原のパチンコ屋を経て、上野駅に至るまで追いすがる敵(ヤクザ)を切り刻みながら疾走するバイオレンス。しかし、高田馬場と秋葉原が隣町になっている設定が腑に落ちないが、ヤクザとウルヴァリンが走る新幹線の上で、猛スピードで迫ってくる障害物を一瞬で避け、展開される迫力満点のバトル・シーンには驚いてしまう。さらには、広島県福山市「崖の上のポニョ」のモデルになった鞘の浦や、愛媛県今治市では、のどかな海辺でロケするなど日本人にはお馴染みの風景が多数出てきます。

そして、まってましたとばかりに剣の達人である真田広之とウルヴァリンとのタイマン勝負。シンゲンの日本刀とウルヴァリンの爪が激しくぶつかり合う。真田広之さんの殺陣の腕前は当然のごとくで、池にすっころぶ細かいスタントまで、いちいち身体能力の高さをアピールしてくれます。さすがにベテラン同士の一騎打ちになってました。

そして雪山の麓の村では、家々の屋根で忍者たちが待ち構えており、ワイヤーが繰り出され、ウルヴァリンは蜘蛛の巣の餌食状態になってしまう。
後半で登場する、原作の日本パートで最大の敵となるシルバー・サムライがクライマックスで登場。その巨大なシルエットには、「パシフィック・リム」のロボットのイェーガーを思い出してしまった。決して、パワードスーツのような働きはせず、ただそのロボットの中に入って永遠の命を手に入れた矢志田の爺様なのだ。だが、ウルヴァリンの不老不死の力が宿っているので、どうしたらこのロボットを倒せるのかがお楽しみというところだ。

とにかく見どころは満載なのだが、ミュータント(ヘビ女だけ)も殆ど登場せず、日本というミステリアスな場所が舞台となったこの物語において、何より感動させられるのは、やはりジャックマンがこの13年間でいかにしてハリウッド・スターになり得たのかを、その肉体で、演技力で、実力で、輝きで、まざまざと見せつけてくれることである。
今回は芯の通った「武士道」路線にシフトしていて、やっぱり孤高のウルヴァリン様には、このくらいのストイックに引き締まった話の方がお似合いだと思う。ですから前回での「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(09)の続編とは言えないですよね。
昭和のお家騒動サスペンスっぽい雰囲気を始め、とにかくいろんな意味でスーパーヒーロー映画らしくない。本当にスーパーヒーロー映画なのに、正直「X-MEN」はもう飽きたという人には、絶対お薦めのリフレッシュな1作になっています。エンドロール後に、重要人物が登場するのでお見逃しのなきよう。
2014年公開「X―MEN:デイズ・オブ・フューチャー・パスト」
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