パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

マジック・イン・ムーンライト ★★★.5

2015年04月20日 | アクション映画ーマ行
1920年代の南フランスを舞台に、不思議な能力を持つ女性占い師と、そのトリックを暴こうとするマジシャンの恋の駆け引きを描いたロマンチックコメディー。『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の名作を手掛けてきた名匠ウディ・アレンがメガホンを取り、対照的な男女の恋模様を、ウイットに富んだ軽妙な語り口でつづる。 主演は、オスカー俳優コリン・ファースと『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのエマ・ストーン。
あらすじ:1928年、魔法や超能力など信じない皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、ある大富豪をとりこにしているアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。南フランスの富豪宅を訪ねるも占い師ソフィー(エマ・ストーン)が発揮する驚異的な透視能力にただただ驚かされ、それまでの人生観を覆される羽目に。その上、かれんな容姿で明るく活発な彼女に魅了されてしまい……。

<感想>今年80歳を迎える名匠ウディ・アレン監督の最新作は、南仏が舞台のロマンチック・コメディ。40年以上に渡り、ほぼ年に1本のペースで新作を発表しているコンスタントな仕事ぶりには驚かされます。出来不出来に多少のバラつきはあっても、大きなハズレがない。

今回もぐっと若返って舞台も華やかな南フランス、コート・ダジュールで一つのロマンスが繰り広げられていく。その上、アレンが素朴なインスピレーションを発揮する、20世紀前半を背景にした時代もの。場所も、時代も、現実の呪縛から解き放たれた身軽さで、さらには恋に身悶える主人公のスタンリー(コリン・ファース)を、異国の美男俳優に任せて、みずみずしくロマンスを綴り上げるのです。
アレン監督は子供のころから手品が大好きで、研究を重ねて家族や友人に披露していたという。その興味は大人になっても失われることなく、彼のこれまでの作品の中にも、マジシャンが登場していたり、「タロットカード殺人事件」(06)では、アレン監督自身が三流のマジシャンをコミカルに演じている。

まぁ、それでもマジシャン地震を主人公にした映画を今までは作ってないので、今回のコリン・ファースが演じるスタンリーは、物事の不思議にはすべてトリックが潜むと信じているわけで、皮肉屋のスタンリーは、ここ最近のアレン映画のキャラクターとしては珍しいほど、アレン監督自身のようにも思われるのだ。観客をいかに完璧にイリュージョンの世界へと導くか、知恵と技を駆使する点では、映画監督とマジシャンはよく似ていると思う。

素直になれない二人の関係に変化が訪れます。ソフィに恋したスタンリーが、見る見るうちに明るくなっていったように、きっとマジシャンという人種は人一倍夢見る心地よさを欲しているからこそ、トリックを使ってまで夢を生み出そうとするのだろう。

ラストで、スタンリーがソフィにプロポーズをする場面で、やっと友人が種明かしをするのですが、観客でさえあのソフィの交霊会の裏にトリックがあると見破っていたのに、まるで彼女の超能力を信じるかのように、自分の家族や身内の秘密をソフィに次々と言い当てられ、スタンリーがウェイ・リン・スーだと見破られ、彼女の力を信じはじめる。

ソフィは、大富豪の御曹司からプロポーズをされ、それを受けてしまうソフィ。それに、腹の内を探り合ううちに、互いを意識はじめるスタンリーとソフィ。果たして、スタンリーとソフィの恋の行方はどうなるのか?・・・。
この映画のラストシーンでは、エンタテイナーとして多くの観客を沸して騙してきた一流のマジシャン、スタンリーの心中がさらけ出されるこの物語は、ウェルメイトドなフィクションであると同時に、映画監督ウディ・アレンがその手の内を、胸の内を明かしてみせた貴重なエッセーのような趣も漂っているようですね。
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