パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

渇き。★★★

2014年06月29日 | アクション映画ーカ行
第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した深町秋生の小説「果てしなき渇き」を、『告白』などの中島哲也が実写化したサスペンスミステリー。謎の失踪(しっそう)を遂げた娘の行方を追う元刑事の父親が、いつしか思いも寄らなかった事態に引きずり込まれていく姿を活写する。名優・役所広司を筆頭に、『悪人』などの妻夫木聡、『ゆれる』などのオダギリジョーら、実力派が大挙して出演。中島監督ならではの鮮烈なタッチに加え、ヒロインに抜てきされた新人・小松菜奈の存在感にも注目。

<感想>原作は、言ってみれば韓国犯罪映画によくあるような、じめっとした陰惨な空気でした。映画の中での父親は、「元刑事のロクデナシ親父」藤島は、暴力でしか人と関われない人間であり、傍若無人で仕事にかまけ、たまに帰宅した時には、ひどく酔っぱらっていて、後で思えば震えがくるほど飛んでもないことを自覚なしでやってしまう。
原作では2つの時間軸(3年前/現在)のストーリーが同時並行で進み、複雑に絡み合う。あまりに緻密な構成に映像化不可能とされたが、監督はカットバック手法を駆使して、過去と現在が交差する小説の世界観を見事に再現していた。

物語は、妻の不倫に激怒して「事件(不倫相手の中年ハゲズラ男と車に乗っていた妻を、自分の車をぶつけて車から引きず出し、半身不随になるまで暴力を振るった)」を起こし、警察は退職。そんな彼のもとへ別居中の妻から「娘がいなくなった」と電話が入る。しかし、それを探す彼が遭遇することになるのは、美しい娘・加奈子の別の顔であった。

加奈子の部屋に残されたカバンには、覚醒剤と注射器が入っていた。中学までは優等生だった娘は、高校進学後に不良たちと接触するようになっていて、ドラッグの売買に手を染め売春行為までやっており、優等生だとばかり思って居た娘はカイブツだったという衝撃的な内容。娘の行方を調べ始めた藤島は、行く先々で警察や裏社会の圧力を感じることに。娘はどうやら単なる被害者ではないらしい。藤島は満身創痍状態で捜索を続ける。
次第に明らかになっていく加奈子の素顔。藤島はボロボロの身体に覚醒剤を打ちながら、不眠不休で娘の痕跡を追う。裏社会の雇ったヒットマンとの対決が迫る。白い麻のスーツが赤黒い血に染まり、ロン毛の髪の毛と髭は伸びほうだい。

キャッチコピーは、「愛する娘はバケモノでした。」藤島が娘を探して暴れ回る過程が、加奈子に憧れる少年、虐められていたところに奇妙に手を伸ばされたことによって、決定的に加奈子を慕うようになる同級生の少年(それによって彼は事件の渦中に巻き込まれていく)の体験と交錯する形で描かれていく。

しかし、この作品でバケモノなのは。藤島の娘加奈子ばかりではない。ロクデナシの元刑事、主人公の藤島も、何か知っているらしい加奈子の同級生の女二人(橋本愛と二階堂ふみ)も、藤島の元部下の刑事、妻夫木聡も、藤島に殺しを依頼するヤクザも、加奈子の担任の中谷美紀も、そして虐められっ子の少年も、パンフレットの言葉ではないが「どいつもこいつも狂いすぎ!」

屋上駐車場での刑事オダギリジョーとの戦いは、拳銃をバンバン撃つし、挙句に藤島にレイプされた妻までも殺してしまうし、車をぶつけオダギリジョーを跳ね飛ばす。それに後から来た妻夫木も跳ね飛ばす役所広司。結果、ラストにあの高校の担任の中谷美紀先生が出て来て、彼女の娘が加奈子の手で変態オヤジの餌食になったというわけ。藤島が問い詰めると、加奈子を殺して埋めたと白状する。ラストの雪で真白い大地を、中谷と娘の遺体を掘り起こすシーンで終わるのだが、果たして娘は殺されてそこに埋まっているのだろうか。

途中で、娘を探す父親が何度も殴られ蹴られ、気を失い目覚めたら普通は委縮すると思うのだけれど、娘を探し出し「ブッ殺す」という思いが藤島を駆り立てていくんですよ。どうやら、娘の加奈子は飛んでもないことをしでかしたというわけ。少年少女、幼い子供までもをラブホテルで、飲み物に薬を入れ飲ませて、金持ち中年変態オヤジたちに売春させ、その現場を写真で撮り、客たちに送りつけて脅し金を巻き上げる魂胆だったらしい。

加奈子のバックには、はやりハゲ親父が付いており、殺しの仕事は藤島の部下だった刑事オダギリジョーが、借金のために働いていたのだ。
たとえ犯罪を犯したとしても、そのいきさつや動機を鑑みれば少しでも同情できるような人間が、見事に、ただの一人も出てこない。いや、一人だけいるとすれば、決定的に加奈子の行方を知っている最後の一人だけかもしれない。

この映画を見て、つくづく過剰なレイプシーンや暴力や殺人が、本当に苦手になってしまった。もちろん、普段は猟奇殺人や、ホラーなどで血や暴力や殺人も見てはいるけれど、とんでもなく残酷な話に見えても、物語の底の方には、どこか理解できる部分というか、哀しみが隠されているような気がした。ですが、この作品の主人公藤島には、1ミリも共感できなかった。というか、それが監督の狙いなのだろうが。
主人公藤島の役所広司の演技は、もうベテランの域を超えておりハマリ役でした。それに娘の加奈子役には、オーディションで選ばれた小松菜奈の演技も良かった。二階堂ふみ、橋本愛と注目の若手女優がそろいぶみ。

前に観た「私の男」でもそうだったが、家族愛と性愛の区別がつかない父親と、愛情と憎しみとの区別がつかない男。どちらがましかと言えば、まだ「私の男」の方が、父と娘の血縁が大きな意味を持つ二つの作品に共通するモラルとは何か?・・・、あるとすれば、「娘との性交の代償は、殺人」
登場人物は、誰もが感情移入されることを拒むかのような歪んだキャラクターばかりだった。夢も希望もない現代社会で、生きることを余儀なくされた少女たちの怒りと絶望感に言葉を失ってしまう。
現実には見えないところにたくさんの暴力(ひったくりや、車の暴走事故、レイプ等)が隠れているのだろうし、私たちはそういう時代の中で生き延びなければならない。それにしても、人が簡単に死にすぎる。そんな中で生き延びることを描く作品にモラルはあるのか。
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トランセンデンス ★★★.5

2014年06月28日 | アクション映画ータ行
『ダークナイト』シリーズなどのクリストファー・ノーラン監督が製作総指揮を務めるSFサスペンス。亡き科学者の意識がアップロードされた人工知能が進化を果たし、人類や世界を混乱に陥れていく。メガホンを取るのは、『インセプション』『マネーボール』などの撮影を手掛けてきたウォーリー・フィスター。ジョニー・デップ、モーガン・フリーマンら、実力派スターが顔をそろえる。電脳化が進む現代に警鐘を鳴らす物語と鮮烈なビジュアルに息をのむ。

<感想>映画界ではすでに「神レベル」の地位を不動にするスター、ジョニー・デップが文字通り「神」のような存在に進化を遂げるこの新作。彼が演じるのは科学者の頭脳が、最新鋭のコンピュータにインストールされるという斬新で奇抜なストーリーである。

ウィルの妻エヴリンには、レベッカ・ホールが、夫婦のよき友人マックスには、ポール・ベタニーと、そして、AI研究の先駆者であるジョセフには、モーガン・フリーマン、FBI捜査官のブキャナンに、キリアン・マーフィという顔ぶれである。

物語は、資金集めのための講演会の檀上で、反テクノロジーを叫ぶ過激派グループRIFTに銃撃される科学者ウィル。傷は浅かったが、銃弾に塗られていた放射能物質によって彼の身体は蝕まれており、余命4~5収監と診断される。

ウィルを失いたくない妻のエヴリンは、研究中の“PINN”を基に、ウィルの頭脳をコンピュータにインストールしようと決意。それは成功し、彼女は死後もサイバー空間で生きるウィルとコンタクトをとり続ける。
コンピュータ内でウィルの頭脳が再生。喜ぶエヴリンだが、ネットを通して世界中のサイトにアクセス可能になったウィルは、もはや人間の心をなくしていた。しかし、不治の病も完治させるなど、ウィルは「神」のような存在になる。その暴走を止めるには、エヴリンもテロリスト集団に協力し、コンピュータを全停止するしかないのだ。

2年後、ウィルの意識は砂漠の地下施設でハイテク治療を行い、その技術はもはや神の領域。ジョセフらは事態を危険視してエヴリンに警告するが、もはやだれもウィルを止められない。
もしコンピュータがが自らの意志を持ったら、不正アクセスやハッキングなどネット上での犯罪もやりたい放題。超大国も簡単につぶれてしまうわけで、人類は太刀打ちできない存在に。
現在の進化を考えると、2040年代には、1台のパソコンが全人類の脳の計算力に追いつくとか、・・・。将棋やチェスでもすでにコンピュータが人間に勝っているので、本作のAIは現実的になるかもです。

AI(人工知能)のウィルが善人のままなのか、それとも悪人になったのか。あるいは穏やかなのか過激なのか、その辺を曖昧にしているので、それは妻のエヴリンが、夫を愛するばかりにその頭脳だけでも残そうとするのが、この映画の発端であり、ウィルは新しい力を得てやがては人間の生命をも操る巨大な知的存在となる。その姿はかつて自身が夢見た理想の未来とは大きく違っていた。

ゴーストタウン化した砂漠の小さな町の外れに位置する工場を研究室に改造。砂漠には無数のソーラーパネルを設置し、“電子ウィル”を動かすためのエネルギー源にする。このようなコンピュータを動かすとき、実際にエネルギーの消費がハンパじゃないというから。この辺の描写は限りなくリアルです。コンピュータの機器が並んだ研究所内部の人工的かつ無機質なデザインは、そこに“電子ウィル”と暮らすエヴリンの孤独を際立たせとても効果的でした。

しかし、このドラマの核となっているのは、ウィルとエヴリンのラブストーリーでもあるのですね。2人の夫婦愛がドラマとエモーションを支えているわけで、彼女がモラルを超えて夫に次なる生を与えてしまうのも、彼を失いたくないという強い想いがあったからこそ。サイバー内で生きるウィルが成長し、より生前の自分に近づこうとするのも、エヴリンを愛するがため。2人の夫婦の絆と愛情が強ったからこそ起きた事件なのですね。
近い未来、現実に起こりそうなリアリティを備えたうえ、いつか機械が人類を超越するとき、人間はデーター化できるのだろうか、そこに人格はあるのか。
緊迫アクションと感動も盛り込んだ野心作であり、さらには夫婦愛なども織り交ぜており、女性にも受け入れやすいSFサスペンスとなっています。
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薔薇色のブー子 ★.5

2014年06月27日 | は行の映画
少女漫画のような出会いを夢見る女子大生が理想の男性と知り合ったのを機に自分を変えようと張り切るも、次々とトラブルに遭遇するドタバタコメディー。AKB48 32ndシングル選抜総選挙で1位となったHKT48の指原莉乃と、『HK/変態仮面』などの福田雄一監督が再びタッグを組む。ユースケ・サンタマリア、福田作品の常連ムロツヨシ、『コドモ警察』でも福田監督と組んだ鈴木福らが共演。落とし穴や池に落ちてずぶぬれになり、さらには車にひかれるなど指原のコメディエンヌぶりが楽しめる。
あらあすじ:常に文句を言っているためブー子というあだ名で呼ばれる大学生の幸子(指原莉乃)は、少女漫画のような出会いが訪れてほしいという願望を抱いていた。しかし憧れのキャンパスライフとはほど遠く、一人で少女漫画を読む日々。そんなある日、自称ジョニー・デップ似のスパロウさんとツイッターで知り合いになった幸子は自分を変えるべく一念発起するが、さまざまな災難が彼女に降り掛かり……。

<感想>HKT48の指原莉乃と『コドモ警察』の福田監督がタッグを組んだおバカコメディです。バカバカしいことで笑わせるというのは、実にかなり難しいと思います。
最近は、それを自覚しない、ただのおバカ映画が多いが、この映画の作り手は、そのあたりは良く心得ているようですね。

まずは、主人公の魅力のなさに驚いてしまった。いくらHKT48の指原莉乃の女優志向がゼロだとしても、それを踏まえた活かし方があるとはず。ましてや。それができる手腕も関係性もあるはずの福田監督なのに。「もらとりあむタマ子」の前田敦子は、それなりに素質というものも多少はあるのだろうが、演技もそれなりに良かったのに。しかし、「闇金ウシジマ」の大島優子は、演技ヘタ。

それなのに、なのにである。ムロツヨシ、マギーらの気心知れた俳優陣はそれなりに、ツボを押された演技を見せるのだが、ヒロイン指原莉乃のセリフは、それなりにこなしているんだけど、顔の表情というか喜怒哀楽の作り方がモーレツにヘタで、もっと演技を勉強しろと言いたい。

一度だけならそっぷを向かれるかもしれないバカバカしいことも、繰り返せば笑いがとれる、ということを。だからヒロインは、デパートへ行けば、そのつどくす玉が割れ、“おめでとうございます”の声に囲まれ、店長の不気味な踊りに対面する羽目になるわけ。落とし穴に落ちるのも同様だが、不発弾も少なくない。
いくらアルファベット軍団のイロモノ担当と言っても、下痢便の音を高らかに響かせて、トイレしてくれるのはこの子だけでしょう。
福田さん、監督冥利に尽きるなぁ。ただし、繰り返しのギャグが多いのにバリエーションに芸がないので、二度目にはもう飽きてしまう。笑えたのは、微妙にマスオさん似の俳優が、「アナゴ君に電話しなくちゃ」というくらいかな。

こういう小ネタがもっとなくては、義理のお父さんのバイト掛け持ちネタで持ったが、お母さんは見せ場がなくて、可愛そうに感じた。でも、何でこの映画観たのか、今更ながら後悔しきり、他にもっと観るべき作品あったのになぁ、お金もったいことしてしまった。
全編を覆う白々しさを含めて「指原莉乃」の魅力だからということで、納得できるファンがいるのなら、それはそれでいいのかもしれませんね。しかし、DVDでいいかもよ。
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レイルウエイ 運命の旅路 ★★★★

2014年06月26日 | アクション映画ーラ行
コリン・ファース、二コール・キッドマン、真田広之らの共演で、第2次世界大戦時、日本軍の捕虜となり、鉄道建設に狩り出された英国兵士と日本人通訳らの実話を映画化したヒューマンドラマ。
鉄道好きで平凡な人生を送るはずだった英国軍兵士のエリックは、シンガポール陥落時に日本軍に捕らえられ、タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道の建設現場で過酷な労働を強いられる。
それから約50年後、当時の記憶に苦しめられながらも、愛する妻と平穏な日々を送っていたエリックは、鉄道の建設現場にいた日本人通訳の永瀬が、戦争体験を伝えるためいまもタイに暮らしていることを知る。永瀬の存在が心の奥の傷をよみがえらせ、動揺するエリックだったが、意を決して永瀬に会うためタイへと向かう。原作は1995年「エスクワイア」誌ノンフィクション賞を受賞したエリック・ローマクスの自叙伝「泰緬鉄道 癒される時を求めて」。

<感想>第2次世界大戦時に、タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道の建設に従事し、実際に捕虜として日本軍の拷問を受けた英国軍兵士のエリック・ローマクスの自伝「レイルウェイ・マン」の映画化である。豪華な出演者が繰り広げる、真に迫る演技には引き込まれること請け合いです。
主人公が妻となる女性と出会い、結婚生活が始まる穏やかな風景、愛は深くとも、若い苛烈さとは異なる静謐な大人のドラマになっている。よって、その対比となる戦争体験の悲惨な再現が、より痛みをもって迫ってくる。

現在と記憶を行き来する間に、コリン・ファースのおとなしい佇まいに、徐々に得体の知れない軋みが生じて来て、狂気を帯びていく眼差しの巧さ。そして、妻役の二コール・キッドマン、夫の心のトラウマを労わるように、静かで穏やかな演技にも注目です。

トラウマを抱えた、つまり有無を言わさず過去の傷跡のメッセンジャーになり、またその運命を甘受した人物を演じることで、コリン・ファースと真田広之の存在感には、否応のない強靭さがみなぎる。
日本軍と英国との通訳となり、しかも一緒に拷問に加わる永瀬の若さが、あの頃の日本軍は絶対に戦争には負けないという意地とプライドが傲り高ぶり、英国軍の捕虜たちが戦争の侵攻状態を知るためにラジオを作ったことで、敵のスパイと判断され辛い拷問を受けることに。

ラジオのニュースで日本軍が負けたことを言うと、そんなデタラメなことをと殴られる始末。この話は、初めて知り、いかに戦争というものが人間を悪魔のような心にし、敵対する国の人間を動物のように、奴隷のように扱う様子に苛立ちと嫌悪感をおぼえました。

二人がついに直接対面するクライマックスに至るプロセスには、厳かな緊張感がみなぎり、宗教儀式のような崇高さすら感じられた。ただし、余りにも愚かな行為と取られる拷問場面そのものを、どう描くかについては考えさせられました。

本作の肝であるエリックと永瀬が、どのように心を通わせていったかを描く描写が絶対的に足りていない。エリックがある決断に至る過程もかなりはしょっている。だからだろう、陰惨な戦争の果てに、国の違いで敵対した二人の男が現代になって和解に至るのは、絵的に地味なのは否めない。それは実話に忠実な映画の弱みなのだろうから。

それでも人間として、エリックがここで自殺をした親友のためにも、永瀬を殺して何の得になるのだろう。それに、自分が今まで悪夢を見たトラウマを消すことが出来るのか、人間の心にはいつまでも根にもち復讐という念に駆られて、相手を殺してもその後には、必ず悔いが残るというもの。すなわち、人間には「赦す」という勇気が、これからも生き抜いていくためには必要なのではないかと。

「戦場のかける橋」などで良く知られた太平洋戦争秘話をより史実に近い形で映画化されている極めて真摯な作品でもある。去年公開された「セデック・パレ」に続く、近代日本暗黒史の一つだが、その犯罪に近い野蛮な行為の痛みと哀しみが、小説のごとく現代に至るまで被害者加害者双方に、苦しみを与え続けているところが切ないですね。

近代日本が行ってきたアジアへの蛮行の銘記を、自虐史観と決めつける人たちは、これをどう見るのか。やはりここでも、事実無根と強弁するのだろうか。
ちなみに、本作で登場する永瀬隆は実在の人物で、泰緬鉄道の建設での捕虜虐待の事実を知って英軍の基地捜索隊に志願し、後にタイへの慰霊とボランティア活動で、英国政府から特別感謝状を授与しているそうです。
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8月の家族たち ★★★

2014年06月25日 | は行の映画
メリル・ストリープが病を患うも個性的な母親を演じ、一筋縄ではいかない家族の姿がつづられたヒューマンドラマ。 ピュリツァー賞とトニー賞を受賞した傑作舞台を基に、一家の主の失踪(しっそう)を機に数年ぶりに再会した家族が本音を明かし、秘密がつまびらかになる様子を通し、さまざまな問題を抱える家族のあり方を描く。長女役のジュリア・ロバーツをはじめ、ユアン・マクレガーやクリス・クーパーほか豪華キャストが集結。『カンパニー・メン』などのジョン・ウェルズが監督を務める。秘密を隠し持つ家族を熱演する名優たちの演技合戦に息をのむ。
あらすじ:オクラホマの片田舎に住む母親バイオレット(メリル・ストリープ)と、父親がこつぜんと姿を消したことで集まった3姉妹。一癖ある母バイオレットは病を患い、長女のバーバラ(ジュリア・ロバーツ)は夫(ユアン・マクレガー)の浮気と娘(アビゲイル・ブレスリン)の反抗期に悩んでいた。一方、次女アイヴィー(ジュリアンヌ・ニコルソン)はひそかな恋に胸を躍らせており、三女カレン(ジュリエット・ルイス)は家族の危機に婚約者を伴い帰宅した。

<感想>今週で上映が終わると言うので観てきました。いやはや、父親の葬儀に集まった娘たち家族なのだが、母親のメリル・ストリープがまくし立てる口汚さに閉口し、それにもまして長女のジュリア・ロバーツが母親ゆずりの気質で口汚く罵り合う女たちの、むきだしの敵意に呆れ返る。

やがてはバトルが勃発するのだが、そこに居合わせた男たちは、それらに口添えするとか加勢するとかは一切なしで、女たち、つまりは母親と娘たちの昂奮した口喧嘩である。言いたいことをはっきりと言う性格は、母親ゆずりで仕方がないにしても、ここまで大の大人が言いたいことをずばり言ってしまえば、いくら肉親でも心が傷つくのは当たり前で、誰もホロウすることなく皆家を出て行ってしまって、一人ぼっちになってしまうのがオチですね。

舞台は、オクラホマの片田舎。広大な平原に建つ家である家族のエグい秘密が明かされる。父親が突然失踪を機に、久しぶりに顔を揃えたウェストン家の女たち。昼も夜も分からないほど薄暗い場所に取り残された薬物中毒の母親の元へ、3人の娘と実の妹が駆け付ける。大学教員と結婚し、コロラド州に移住したちょうじょのバーバラとその家族。実は別居中で、夫と14歳にして麻薬に手を出しつつある娘のジーン。

それに、結婚もせず地元にいたために、体よく両親の世話を押し付けられた次女のアイビー、フロリダで自由奔放に暮らす三女のカレンと、見るからに胡散臭い婚約者の男。
母親バイオレットの妹マティには、38年連れ添った愛すべき夫と、ある事情からマティを苛正せ続けるヘタレな息子がいる。というようないわくありげな人物が一堂に会し、再会を喜んだのもつかの間、薬でますます磨きがかかった母親バイオレットの口汚く罵り合う攻撃に、ついに長女バーバラの堪忍袋の緒が切れた。

「真実を言うことが正しい」とばかりに、誰もが触れない話題に鼻息荒く踏み込んで、家族の本音を暴いていく。しかし、同じ家族とはいえ、異なる条件で生活する大人たちにとって真実とは何か?・・・母親に黙殺された、役立たずの末娘カレンは、婚約者を連れてやってきたのだが、その男も麻薬中毒のようで、長女の娘ジーンにマルファナを吸わせる。あわやというところをメイドのインディアン娘に救われる。
作中で印象的に鏡が使われていることに気付かされる。末娘のカレンがよく鏡に自分の姿を映すのだ。終盤には、夫と娘にも、次女アイビーにも去られて、置いてけぼりをくらったバーバラが、玄関わきの大きな鏡に映る自分自身を見つめぞっとする場面。夫とは別居中で、夫が若い女と浮気をしたことが原因で、夫婦の中は冷え切っていた。年を取った女にとって、鏡に映る自分の姿とは、目を背けたくなる代物なのだ。

そして、驚くなかれ母親バイオレットの妹マティは、陽気でデブの叔母さんだけではない、実はバイオレットの夫と関係を持ち妊娠、息子のカンバーバッチは従弟ではなく、愛し合っているアイビーとは本当の姉と弟だったことが判る。母親のバイオレットはそのことを知っていたのに、夫を責めることもなく今まできたのだ。実の娘に「お前たちは結婚できない」と暴露するシーンでは、真実を聞かされたアイビーが可愛そうでした。

それにしても、本音を吐き出す人間の表情とは、なんとバカらしいのだろう。母親を反面教師に、正しくありたいと努めてきたバーバラも、大人たちの異様な雰囲気に呑まれることなく、マイペースを貫いた娘のジーンも、彼女たちのふてぶてしさは、滑稽なほどよく似ているのだ。
やがて悪態の限りを尽くし、静まり返った家に一人取り残されたバイオレット、無口だが優しい性格のジョナ。バイオレットは毛嫌いしていたメイドの名前を呼んでみる。血の繋がりのない彼女の存在をようやく認めたバイオレット。少し認知症も出ているようだし、これからは彼女と一緒に暮らせばいい。
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ラストミッション ★★★★

2014年06月24日 | アクション映画ーラ行
『ターミネーター4』などのマックGが監督を務め、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』などのケヴィン・コスナーを主演に迎えたアクション。病に倒れた腕利きCIAエージェントが、パリを舞台に極悪非道なテロリストとの最後の戦いに挑む姿を活写する。脚本を担当するのは、数多くのヒット作に携ってきたリュック・ベッソンら。ケヴィンのいぶし銀の熱演が光る主人公の姿に心打たれる。
あらすじ:余命わずかだと言い渡されたCIAエージェントイーサン(ケヴィン・コスナー)は、残された人生を家族と共に過ごすためパリへと向かう。長い間家庭をおろそかにしてきた彼は、難しい年頃の娘ゾーイ(ヘイリー・スタインフェルド)との仲もぎくしゃくしていた。そんな折、CIAエージェントのヴィヴィ(アンバー・ハード)が、イーサンに最後のミッションのオファーをしに来るが……。

<感想>最近パットしなかったケヴィン・コスナー復活のアクション映画。脚本がリュック・ベッソンというので、またもや「96時間」のような子供が人質に捕られてか、なんて思って見たら飛んでもなくコメディたっちで笑いもあり、アクションたっぷりの映画でした。何せ、主人公のCIAエージェント・イーサンが余命3ヶ月と医者に告知され、今まで疎遠だった妻と娘に会いたくてパリへと。それに、舞台がパリなので、コンコルド広場や、エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、セーヌ川の河川敷など、まるでパリ観光しているみたいで良かった。

風邪が長引いて咳が止まらず、病院へ行ったら悪性の腫瘍がありクリスマスまでは命がもたないのだ。早速、仕事も止めて妻の元へと病気のことも話して娘と仲直りをしたいと言う。
ところが、CIAはイーサンを放っておかなかった。エージェントのヴィヴィをイーサンのところへ殺しの依頼が来る。断ると、その余命3ヶ月の病気を治す未承認の抗がん剤を投与してくれるというのだ。有無を言わさず、車の中でイーサンの腕に抗がん剤の注射をするヴィヴィ。この薬の副作用がめまいに痺れと、終いには気絶してしまう。でも、娘とクリスマスを祝いたいと思ったイーサンは、殺しの仕事を引き受ける。
元妻は、イーサンが娘の面倒を見てくれるのをいいことに、仕事でロンドンへ行くと言うし、その間に娘と楽しい時間を過ごしたいと考えていたのだが、高校生の娘には彼氏がいて、父親としては心配することばかり。クラブへ行った娘を探しに行くのだが、娘は危なく男たちの餌食になってしまうところだった。

娘の誕生日の日にも仕事先で、公衆電話からバースデーソングをしわがれ声で歌うし、その途端に敵に狙われ銃撃戦、ホテルの上階には爆弾が爆発と大変なことに。
そして、自分のパリのアパートへ帰って見れば、不法侵入家族(アラブの難民)が勝手に占拠して、その家族の娘が妊娠していて後少しで子供が生まれそうだという。じゃ仕方ない、子供が生まれるまでここにいることを承諾する。しかし、男の子がいてすっかりイーサンに懐き、クローゼットの中は武器倉庫になっており、トイレは度々拷問部屋として使っているので、教育上よろしくない。
情報源のタクシー会社の社長は、イーサンにかなり酷い目に拷問されるも、彼の家には双子の娘がいて、年頃の娘の扱い方を教えてもらう。
敵の会計係はイタリア人で、いつものようにアパートのトイレで拷問していると、娘から電話でパスタのソース作りを聞かれ、その会計係を電話口に出して、おふくろ自伝のレシピを教えてもらう。
イーサンの病気も一進一退で、薬の効き目が薄れると目まいや痺れが起き、敵を目の前にしてだらしなく倒れ込んでしまうのだ。一番危なかったのは、スキンヘットの男が、イーサンの拳銃の弾を足に受けてその為に足を引きずりながら歩く。その男が復讐とばかりに、地下鉄のホームまで追いつめたイーサンだったが、いつもの発作が起きてめまいがするわ全身が痺れるはで、地下鉄のホームでイーサンの頭を突きだし、後少しで電車が入ってくるところで、あのヴィヴィが出現するという。

このアンバー・ハードは、あまり出番もなくアクションも無しで、イーサンが危ないというここぞという場面で現れるオイシイ役どころ。もう少し活躍を見せて欲しかったですね。

イーサンは、娘のゾーイと次第に打ち解けて行き、プレゼントに紫の自転車を送ったものの、子供の頃自転車の乗り方教えて貰ってないとすねる。可哀相に、普通は小学校の時に、補助輪つけたりして、公園なんかで乗り方練習した記憶がある。ゾーイに自転車の乗り方を伝授するイーサンパパ、それもパリのモンマルトル広場のサクレ・クール寺院の前で練習するなんて。特訓の成果があり自転車に乗れるようになる娘。

娘の彼氏も長身でハンサムな男、プロムへ行くというのでパパもスーツを着てめかして行くと、そこに敵がいるではないか。ここでも、イーサンの華麗なアクションが観られます。ラストも気が利いてて面白い。クリスマスを祝うイーサンと家族が海辺の別荘へと、そこへ赤い箱の贈り物が届き、開けてみるとあの、未承認の抗がん剤の注射でした。何となく続編匂わしているような気がした。
見事にアクション俳優に返り咲いたケヴィン・コスナー。もう若くはない、しかしメル・ギブソンのようにとは言わないが、せめて「エクスペンダブルズ」とか「RED/レッド」とかにも出て欲しい。
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超高速!参勤交代 ★★★★

2014年06月23日 | アクション映画ータ行
通常でも8日かかる参勤交代を5日で行うよう幕府から無理難題を押し付けられた小藩が、奇想天外な作戦の数々でピンチを切り抜けようとする時代劇。第37回城戸賞の入選作を、『鴨川ホルモー』などの本木克英監督が映画化した。資金も人数もない中、藩と領民を守るため奮闘する藩主には佐々木蔵之介、ヒロインを深田恭子が演じる。共演には伊原剛志、西村雅彦、陣内孝則ら実力派がそろう。
あらすじ:8代将軍・徳川吉宗の治世下、東北の小藩・湯長谷藩は幕府から突然、通常でも8日かかり、さらに莫大(ばくだい)な費用を要する参勤交代をわずか5日で行うよう命じられる。それは藩にある金山を狙う老中・松平信祝(陣内孝則)の謀略で、弱小貧乏藩には無茶苦茶な話だった。藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)は困惑しつつも、知恵を絞って参勤交代を完遂させようと作戦を練る。

<感想>弱小貧乏藩、知恵と勇気でお上の難題に立ち向かう!・・・優れたオリジナル脚本を表彰する城戸賞で高評価を得たシナリオを、佐々木蔵之介の主演で映画化した歴史エンターテインメント。この時代にもあったであろう老中からの虐めのような、無理難題を押し付けられた地方の小さな藩が、奇策と工夫と団結力で乗り越えるさまを描いている。実に面白く滑稽で、しかし、真面目に対処しないと、小さな藩は御取り潰しになるというのだ。
何だか見ていて、舞台の東北、福島県いわきですよね、大震災に原発事故と地元から立ち退きを命じられ今まさに、お上に立てつくこともままならない事情にあるという、身につまされました。しかし、実にこの藩の殿様や家来たち、農民たちも清清しくていいのだ。
やっと参勤交代を終えてやれやれと、みんな休息をとっているところへ、再度の参勤が命じられる。それは、老中松平信祝の嫌がらせであり、百も承知だが断れないのだ。金も人も時間もない湯長谷藩は、殿様の内藤政醇と家老の相馬は早速、策を練るのだが、・・・。見栄と権力を象徴するようなバカバカしい儀式の大名行列には50人は必要だし、急な事態で半数も揃わない。

徳川幕府にとっては、江戸に妻や子供を住まわせて、地方には殿様と家来が帰るという。幕府が大名の力を削ぐために作った参勤交代という制度には、文句を言う藩主がいなかったのだろう。つまり、徳川幕府300年という戦のない安楽の歴史が刻まれるのだ。
家老の相馬に扮している西村雅彦さん、芸達者だけに家老の役柄にぴったりで、頭も切れるし笑いのコツを知っているかのように面白いのだ。コメディ映画のように、江戸までの距離を5日で行くにはと、下の道をかき集めた農民たちの大名行列に、自分たちは道案内として忍びの男を頼み、山越えをして何とか間に合わせようと計画する。

忍びの者には、伊原剛志さんが演じていて、田舎侍は実に甘いと旅の途中でとんずらするつもりだったが、殿様が懐中の紋入りの小刀をくれて「ありがとう」と礼をするのだ。それに、支払も古銭ばかりで使えない。

とにかく、老中松平信祝が仕向けた追っ手の忍びの者や、殺し屋たちが飛んでもなく襲ってきてアワヤという窮地も、忍びの伊原さんが救ってくれたり、とにかく家来たちの剣の腕や弓矢、それに猿までもが達者なので、襲ってくる敵もなんのそのですから。

殿さまは一人馬で宿場に訪れるも、指名手配書きが出回っており、宿の飯盛り女を呼ぶも、疲れをとるために足腰を揉んでもらう。その飯盛り女に深田恭子が扮して、何とここで二人は恋人関係になってしまうとは。

お尋ね者にされた殿様は、飯盛り女のお咲きと逃げ出す。それが、殿様強いのなんのと剣豪ですから。追手の忍びやら殺し屋なんか、バッタバッタと切り刻み、5日の時刻まで江戸へと急ぐのです。
途中助けられるのは、同じ小藩の位の上の藩で、以前飢饉で米や野菜などを援助したことがあるので、家老の相馬が途中検問を通らなければならないところを、行列を貸してもらうことに。それに、わざと大人数に見せるために、行ってはぐるりと回って引き返す計画にも、思わず笑いが込み上げます。それと、江戸から帰って来た大名行列にぶつかり、それを横切ることは出来ないのだ。機転が利く家老の相馬が、ふんどし姿の飛脚になってエッフォエッフォと行列を通り過ぎるのには、してやったり。そういう、決まり事も知らなかった。

何とか時刻に間に合うというか、鐘を弓矢で射って音を出すという仕組み。これで間に合って、御取り潰しがまぬがれて安堵するも、将軍吉宗に藩主・佐々木蔵之介が言う言葉も中々良かった。「山からは金は出てこない」と。将軍様、禄高を上げて下さいまし。実に面白く、腹を抱えて笑うシーンもあり、東北弁も良かった。
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300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~★★★.5

2014年06月22日 | アクション映画ーサ行
フランク・ミラーのグラフィックノベルを実写化したヒットアクション『300 <スリーハンドレッド>』の続編。前作で命を散らしたスパルタのレオニダス王に代わってペルシャ軍に挑む、アテナイのテミストクレス将軍と彼が率いる兵士たちの激闘を活写する。メガホンを取るのは、『賢く生きる恋のレシピ』のノーム・ムーロ。『L.A. ギャング ストーリー』などのサリヴァン・ステイプルトン、『パーフェクト・センス』などのエヴァ・グリーンらが出演。壮絶な肉弾戦はもちろん、戦う男たちの絆をめぐるドラマにも注目。

<感想>わずか300人のスパルタ軍VS100万人のペルシャ帝国の死闘を描き、07年に大ヒットした歴史アクション巨編「300 <スリーハンドレッド>」。かなりハードで見ごたえがあり、そのビジュアルの良さ、アクションシーンの格好良さに痺れ、映像もモノクロに真っ赤な血の色が印象的でした。

スパルタの兵士たちの台詞がこれでもかというくらいに恰好良かった。やたらもったいぶったスローモーション映像や、いかにも劇画チックなセリフ、「これが、スパルタだぁ~」的な、一時期パロディのネタにされまくっていたけれど、逆に言えばそれだけ多くの人々に愛されたことの証明でもあるのだろう。当時としては完全にやられたと思いましたね。

物語は、スパルタのレオニダス王が精鋭300人で100万人のペルシア軍と戦っていたころ、ペルシア帝国はギリシアにさらなる侵攻を開始する。彼の遺志を継ぐようにしてアテナイのテミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)は、パン屋、陶工、詩人といった一般市民から成るギリシャ連合軍を率いて、その3倍の数のペルシャ帝国に立ち向かっていく。
ギリシアへの増悪を燃やすペルシア海軍の女傑アルテミシアが、勇敢で知的なテミストクレス将軍を味方に付けようと直接交渉してくる。だが、交渉は決裂し、ギリシャの壊滅を目論むペルシア帝国軍と、援軍を持つギリシア連合軍は、荒れ狂う大海原で最終決戦を迎える。

本作はあれから7年ぶりに登場した続編。監督はCM界で活躍してきたノーム・ムーロを抜擢し、「海」がメインの戦場となるほど、新機軸もいろいろと容易されているようだ。正直、1作目を超えるビジュアル的な衝撃はないのだけれど、前作の監督だったザック・スナイダーがハードルを上げ過ぎてしまった面もあるので、仕方がないと言ってしまえばそうだろう。
やはり本作の見どころは、前作同様に戦士たちの肉体美でしょう。キャストは食事と激しい運動で筋トレに努力して見事なプロポーションですから。二刀流の立ち回りで見せるエヴァ・グリーンの迫真の演技もトレーニングの賜物ですね。それに、前作と大きく違うのは、戦いの舞台が荒涼とした大地からエーゲ海に変わっていること。兵力では敵に勝ち目がないギリシア軍が、洋上でどう戦うのか?、その知恵と戦術に注目。
両国の違いを衣装や、美術で表現し、すべてが質素なギリシアに対して、ペルシアは艦隊も不気味な重油を積んだ鋼鉄のタンカーであり、背中に重油のタンクを背負い、海を泳いでギリシア軍の船へと迫ってくる。重油を積んだタンカーからは、ドクドクとホースで重油が海へ流され、それに火を放つと瞬く間に炎の海と化し、船は燃えて沈み兵士たちも海へ飛び込むも炎に包まれることになる。これによりギリシア軍は壊滅的な打撃を受ける。

それでも、前作でのあの300人のスパルタ軍の、勇敢なる戦いぶりには当然及ばないのだ。前作でのスパルタ兵の筋肉美とパンツにあの赤いマントの色が、スクリーンに映えて印象的でした。それなのに、今回は何故か青のマントですからね。しかし、アクションシーンに関しては完全に前作を上回ってると思います。CGのクオリティも凄いし、若干やり過ぎのようで、最後の方はアニメのように見えました。グロさも前作よりエグいですし、でもストーリー自体は前作を超えていない。

それよりもキャストが、前作のレオニダスのジェラルド・バトラーに比べると、今回のサリヴァン・ステイプルトンは、カリスマ性も異常性も足りない気がする。何故かというと、最強のスパルタ兵という設定が良かったので、それにキャストが乗り移っていた気がした。

その代りに本作では、ペルシャ王クセルクセスの過去が明らかになる。何故神王になり、ギリシア征服に燃えるのかが判明する。王子時代は人間らしい一面を持っていたが、父王がマラトンの戦いで勇者テミストクレスの弓で重症を負わせられ、侵攻を退けた。そこへ、ギリシアへの私的な復讐に燃えるアルテミシアが一計を案じて、王の息の根を止めて王子のクセルクセスを神王に祭り上げ、より強大な軍を作り上げた。

ですが、今回は飛んでもない秘密兵器がある。その兵器とはフランス人女優のエヴァ・グリーンである。彼女が演じるキャラは、少女時代にギリシャ人に集団レイプされ奴隷となるも、復讐の鬼と化した残忍な女戦士アルテミシアに生まれ変わる。物語のポジション的には悪役ですが、あまりにも鬼気迫るキレっぷりなので、途中からはずっと彼女のことを応援してしまったくらいだ。荒れ狂う嵐の中、アルテミシアを味方にしようと誘惑をする場面、船上でのフルヌードになってのSEXシーンとかもあって、これがまたいろんな意味ですごすぎ。色っぽいというよりは、魔女のような狂った女にしか見えませんでした。

戦いの舞台は荒涼とした大地から、生き物のように激しくうねりを上げる大海。本作が描くのは、ペルシャ戦争最大のクライマックスともいわれる、“サミラス海戦”である。勇者テミストクレス将軍が指揮をとるギリシャ連合軍と、凶悪な女戦士アルテミシア率いる、兵士3倍のペルシャ海軍が大激戦。
前作同様に鍛え抜かれた肉体美と、スケールの大きなド迫力のアクションシーン、パワーアップした最先端の映像でより立体的で見応えがありました。
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300 <スリーハンドレッド>
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ニード・フォー・スピード ★★★★

2014年06月21日 | アクション映画ーナ行
世界的な人気レーシングカーゲームを原案にしたカーアクション。天才レーサーが自分を裏切り陥れたかつての相棒に復讐(ふくしゅう)すべく、危険な公道レースに挑む。『ネイビーシールズ』などのスコット・ウォーが監督を務め、フォード・マスタングやランボルギーニなど世界のスーパーカーが多数登場し迫力のレースシーンが展開。テレビドラマ「ブレイキング・バッド」シリーズなどのアーロン・ポールを筆頭に、『17歳の肖像』などのドミニク・クーパーらが共演する。
<感想>日本では1994年に発売されたゲームソフトで、日本でのタイトルは「オーバードライブン」が原作。「ワイルドスピード」が面白かったので、自分ではレーシングカーや、高級外車なんて手が届かないので映画の中で楽しむのにはゴキゲンな映画でした。

でも、気になったのは公道でのカーレースですね。改造したフォード・マスタングのシルバーに青色の線が入ってカッコいい。それに時速370キロの体感が出来るとあっては、ハラハラもんです。何しろ公道ですから普通車も走っていることで、そこをするするとヌッて、驚いた車が急ブレーキ踏んで横転やらスピンして、出動したパトカーも横転して気の毒ですよ。それでも、結末に、「絶対に真似はしないで下さい」の断り書きがあったので、まぁ、素人にはあのドライビング・テクニックは無理だけどね。

それでも、次々と登場する超一流メーカーのランボルギーニ、マクラーレン、ブガッティといったドリームカーが飛び出してきます。交通法を度外視したスーパーカー同士のレースとクラッシュには、ドキドキさせられます。中でも、冒頭のレースでトビーが乗り込み、ポルシェやBMWを蹴散らして見せる、グラン・トリノ1969、紺色の車体が一番好きですね。
最後にお断りのメッセージが、全部スタントマンが運転し、監督も親子二代でスタントマンとして活躍したというスコット・ウォー監督。CGなしでの撮影に挑んでいるのだ。

物語は、性悪ドライバーのディーノが持ち込んできた、マスタングを改造して、金持ちに売りつけようというもの。破産寸前のトビーは仕方なく引き受ける。
改造マスタングは無事に感性し、高額で売買されたのだが、ディーノが「レースに買ったら、俺の分まで報酬を支払う」というのだ。

うまい話にはキオツケロってね、金持ちボンボンのディーノが、自分の車スェーデン生まれの超絶スピードカー、ケーニグセグ・アゲーラRを3台提供し、公道を最高速度440キロも出せると言われる車で勝負する。これには、ディーノが悪知恵を計画していて、金欲しさに乗ったトビーが悪いのだ。

赤、黄色、白と3台のケーニグセグ・アゲーラRが飛び出す。赤にはディーノが乗り、黄色には弟分のピートが乗り、白にはトビーが乗った。公道レースの危険は承知のとおり。先頭をきるトビーの後ろにピートの黄色が見えた。一番後ろのディーノが黄色い車にぶつける。スピンして崖下に堕ちていくピートの車。酷いのがそれからである。3台で競争していたのに、ぶつけた張本人ディーノがシラバックれて自分はそこにはいなかった。2台でレースをしていたと、罪をトビーになすりつけ、トビーは刑務所へ。

仮出所したトビーは、ディーノが出る公道レースでの復讐を誓うのだが、今いる場所がNY、から大陸横断して西海岸のレース開催地まで。トビーとカー・ブローカーの仲介人ジュリア(イモージェン・ブーツ)と改造車のマスタングで飛ばす飛ばす。
ところが、途中でディーノの仲間の邪魔が入ったり、警察のヘリやパトカーに追われて、50メートルジャンプや、ヘリで釣り上げてもらったり、挙句にはトラックに追突されて大破してしまう。どうする、ここまで来て、レースは明日なのに。セスナや軍隊のヘリまで操縦する黒人俳優さんは、誰なの?・・・上空からカーナビしてくれるので助かるけど。

それが、上手い具合になんとかなるんですよ。トビーの元カノがピートの姉で、ディーノの恋人に転向した。だが、ディーノの弟への仕打ちを知り、あの時ディーノが乗っていた赤いケーニグセグ・アゲーラRを探し当てる。その車があれば、トビーの汚名も晴れて、レースに勝てば賞金も入りピートへのはなむけにもなる。
というわけで、これは期待してなかったのに、驚くほどのかっこいい車とスピード体感に、ドラマ性もあり面白かったです。とにかくトビー役のアーロン・ポールは、キューピー顔であまりパットしないが、ゴール付近でクラッシュしたランボルギーに乗っているディーノを助ける場面に、男気がいいのに感心しました。
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ザ・ホスト 美しき侵略者 ★★.5

2014年06月20日 | アクション映画ーサ行
『トワイライト』シリーズの原作者ステファニー・メイヤーのベストセラー小説を基にしたSFアクション。人間の意識と体を乗っ取る知的生命体ソウルに侵略され、人類が絶体絶命のピンチにひんした近未来が描かれる。日本でもヒットを記録した『TIME/タイム』などのアンドリュー・ニコルが監督を務め、ソウルに寄生されながら人間の魂も宿したヒロインの苦悩を、『つぐない』などのシアーシャ・ローナンが体現する。『ラブリーボーン』などのジェイク・アベル、『赤ずきん』などのマックス・アイアンズ、実力派ダイアン・クルーガーらが共演。
あらすじ:近未来、地球に知的生命体ソウルが襲来。彼らは人間に寄生して宿主の意識を奪い、一方逃げ延びた人類は反撃のタイミングを計りつつ潜伏していた。その中の一人であるメラニー(シアーシャ・ローナン)もソウルの餌食になってしまうが、消えるはずの意識が消えず一つの体に人類とソウルの二つの魂が宿ってしまう。

<感想>作者は「トワイライト」のステファニー・メイヤー。戦争も飢餓もない近未来の地球。人類の大半が地球外知的生命体“ソウル”に肉体と意識を乗っ取られた世界を舞台に、両方の魂を宿した少女の葛藤と、彼女がもたらす変革を描いている。
SF映画なんですが、舞台が地球のグランドキャニオンらしく、砂漠と化した地球とありますが、岩山の洞窟の中で生き残った人間が、太陽光をガラスの反射板で取りこんで、麦や野菜を作り暮らしているわけ。洞窟の地下水を飲み水にしてね。

主人公のメラニー役のシアーシャ・ローナンは、かなり大人びて綺麗だし、「ビザンチウム」でも綺麗でしたが、今回は、キスをするシーンが結構あるので、中々上手いといいうかラブシーンも素敵でした。大人の女に成長しました。

彼女が捕まってしまい、首から銀色の触手のような形態を挿入され“ソウル”に寄生されてしまう。ですが、体内に残るメラニーの強い意識が、ワンダと名乗る寄生されたシアーシャが、表に出て来るのですが、心の中でのメラニーとの葛藤シーンがあまり巧くないように見えた。時々、メラニーがいなくなるというか、存在しないようなのが変なのだ。一つの体にメラニーと“ソウル”のワンダと、二つの魂が宿ってしまう。

体内に残るメラニーの強い意識に動かされたワンダが、監視者シーカー(ダイアン・クルーガー)の目を盗んで、監禁されていた部屋から脱出。それから車を奪って砂漠へと逃走するも、事故で車が大破してしまう。それから砂漠をトボトボと歩き、水がないので脱水状態で気を失う。

救ってくれたのが、洞窟で生活をする人間の反逆者たち。メラニーの叔父であるウィリアム・ハートが主導者のような感じがした。そこには、メラニーの元恋人のマックス・アイアンズと弟のジェイミーもいた。それに、ワンダの方に好意を持つイアン役のキェーク・エーベルが。

とにかく地球外知的生命体に乗っ取られた人間の方が多いという設定で、銀色の触手のような形態で宇宙を彷徨い、他の生物に寄生。性質は理性的で、秩序ある世界の構築を望む平和主義者である。ですが、女監視者シーカーはワンダの意識内の葛藤を察知し、執拗に追跡する。
ソウルの男たちや女性たちは白いスーツ姿で働き、女性としては、監視者シーカーのダイアン・クルーガーが白いパンツスーツ。他の男たちは、人間を捉えては“ソウル”を注入して意識を乗っ取るというやり方なのだが、彼女は、拳銃で人間を殺しまたは、味方の男たちも拳銃で撃ち殺すのだ。かなり性格が独裁者的で支配力がある。こういう馬鹿な女は、最後に首から“ソウル”を抜かれて元の人間に戻るという仕掛けがある。

銀色の未来カーにヘリコプター、バイクと、ソウル集団の緊迫した追跡サスペンスが展開する。といっても人類対エイリアンに乗っ取られた人間との戦いは、それほどに残酷なシーンはありません。

どちらかというと、身体は一つで、二つの魂を持つシアーシャが、二人の男と恋仲になりラブシーンの展開の方がメーンですね。ややっこしいですが、一つのボディの中に二人の人格がありまして、頭の中で二人が会話するシーンが多いです。それが、どっちの人格がしゃべっているのか混乱してしまう。

つまりは、映画の中では観客を混乱させる原因を作ってしまったわけ。ただし、唯一判りやすいのは、“ソウル”に身体を乗っ取られた人間の目の瞳孔が、シルバーに光り輝く事ですね。「光る眼」ほど怖くありませんから。
洞窟の畑で麦を刈り取る作業中に、弟が足に鎌で切ってケガをしてしまう。傷口からバイ菌が入り、高熱にウナされる弟。助けるには、“ソウル”の病院へ潜入して、未来の治癒の薬を盗んでくること。メラニーが自分の手首を切り、額も切り病院へと、エイリアンの傷薬はスプレーのみ。それを盗んで急いで弟の元へと、直ぐにスプレーするとあっという間に傷口が綺麗になるって、嘘みたいですから。その時に、触手を入れる銀色のケースも盗んできます。

最後には、シアーシャが死ぬ覚悟で手術して、メラニーとワンダの二人の女性が誕生するということになるのには驚きですから。それに、手術で分離した“ソウル”のワンダ役には、「ポンペイ」でヒロインを演じたエミリー・ブラウニングが扮しているそうです。どっちかというと、二人とも髪形や服装を変えてシアーシャが演じればよかったのにね。
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春を背負って ★★★

2014年06月19日 | は行の映画
日本映画界を代表する名カメラマンであり初監督作『劔岳 点の記』が絶賛された木村大作による人間ドラマ。笹本稜平の小説を原作に、これまでの生活を捨て亡き父が遺(のこ)した山小屋を継いだ青年と、それぞれに居場所を求め小屋に集う人々との交流や家族の絆を描く。山での暮らしや父を知る人々と接するうちに成長していく主人公を、松山ケンイチが熱演。共演には蒼井優、小林薫、豊川悦司ら実力派がそろう。立山連峰で長期ロケを行い山々の光景を映し出した映像は圧巻。
あらすじ:立山連峰で暮らしてきた長嶺亨(松山ケンイチ)は、山小屋を経営する厳しい父・勇夫(小林薫)に反発し都会で暮らしていたが、父が亡くなったため帰郷する。そこで気丈に振る舞う母やその姿を見つめる山の仲間、遭難寸前で父に救われ今は山小屋で働く高澤愛(蒼井優)らと接するうち、組織の歯車として働く今の生活を捨て山小屋を継ぐと決める。

<感想>木村大作監督の『劔岳 点の記』は未見ですのでレンタルして鑑賞します。それで、2作目となるのも立山最高峰の大汝山(3150m)での撮影と山頂付近にある山小屋大汝休憩所を、菫小屋と見立ててロケをしている。
物語もさることながら、日本映画界を代表する名キャメラマンである監督なので、何と言っても四季の移り変わりの立山最高峰の、大汝山の美しい風景美であろう。冬の厳しい雪景色と室堂の雪の壁(これは黒部ダム旅行に行ったときに、室堂の雪の壁を見学しました)春には花が咲き、新緑が綺麗。それに秋になると朱色のナナカマドだと思うのですが、山一面に紅葉してそれは見事です。時おり顔を見せる雷鳥も夏毛には茶色で、冬には真っ白になる保護色でこれも名物ですね。

始めに、父親と子供の頃に登る大汝山。まだ雪深く春には遠い。一歩一歩と足を踏みしめて登る幼い亨と父親の勇夫。山小屋に着くと小屋の中は冷凍庫のように凍り付いており、父親にしてみれば好きな山登りと救助も兼ねて山小屋を営むのだろう。それは、目にも輝く朝日のご来光とか、雲海の流れ、夏の間は、山小屋で暮らす父親に対して息子の亨にしてみれば、山に対する感動とかは無いのだろう。

都会で株のトレーダーとして、スーツ姿で働く息子の元に父親の急死の知らせが来る。葬式の後に山小屋をどうするのか聞かれる息子だが、答えがすぐには出てこないのだ。母親にしてみれば無理に山小屋を継ぐことは無いというのだ。檀ふみさんの母親は、優しさに満ちたそんな演技でした。それでも、亡くなった父親と一緒に働いていた山男の吾郎さんと、愛ちゃんにしてみれば、そのまま父親の意志を継いで息子にやって欲しいのだ。

願いが通じたのか、吾郎さんと段ボールに入った食料を菫小屋まで背負って登る二人。ただの山登りとは違って、肩にかかる重量たるや、それに頂上近くには絶壁のような岩山がそびえており、ロッククライミングのような角度を荷物を背負って登る苦労は大変なことですね。

山男の悟朗さんには、豊川悦司さんが演じていて、エベレスト登山の時に頂上まで登れず、そこへ白い鶴が飛んできて軽々と頂上を超えていったという話をする。そして、山岳救助隊の吉田栄作さん、久しぶりに観ました。

亨も山小屋生活に慣れてきて、山小屋に個室を作ろうと計画するも、学生さんの滑落事故とか、悟朗さんが脳溢血で倒れ、3時間以内に病院へ運ばないと後遺症もしくは死の恐れもあるというのだ。

クライマックスの松山が豊川を背負って下山するシーンでは、雪の山を見事に松山が、豊川を背負って歩いているのに驚く。

それに、愛ちゃんを演じる蒼井優の明るい性格に癒され、最後にはプロポーズをするシーンもあり、ほんわかムードで良かった。山を愛する人たち、山岳救助隊のことは、小栗旬さん演じる「岳」で、大変な仕事だと感じて、「山を甘く見てはいけない、山を舐めるなよ」って、自分だけ一人で気楽に山登りしていると思ったら大間違いですから。
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岳―ガク

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私の男 ★★★

2014年06月18日 | アクション映画ーワ行
直木賞作家・桜庭一樹によるベストセラー小説を、『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督が映画化。流氷に閉ざされた北海道と東京を舞台に、孤児となった少女と彼女を引き取ることになった男の禁断の関係を描き出す。互いに秘密を抱え寄り添うように生きる父と娘には、浅野忠信と二階堂ふみがふんするほか、高良健吾、藤竜也らが共演。時代の移り変わりに合わせてフィルムとデジタルを駆使し、北海道の雄大な自然を捉えた映像にため息が出る。

<感想>原作読みました。主人公の花に二階堂ふみという役柄は体当たりで演じているようで、高校生の制服も似合うし、父親の浅野忠信とのセックスだって動に行ったものでした。ですので、R15指定ということで、二階堂ふみの下着姿はもちろん、激しく絡み合いそのシーンでは血の雨が降るという濃厚なラブシーンです。

子供時代の子役の女の子も、奥尻島の震災で津波を経験し、両親と妹を亡くして孤児となった。そこへ、親戚の叔父さんという腐野淳悟が引き取るというのだ。10歳の子供にとっては、地獄を見たような津波の海の中でもがき苦しみ、自力で這い上がって避難所で母親の遺体を見て、自分は生き残ってこれからどうなるのだろうと、不安になる。そこへ若い青年が親戚だと言って自分を引き取ってくれる。それまで涙一つ溢さなかった花が、紋別までの車の中で堪えていた悲しみを声を上げて泣くシーン。もう絶対に一人ではないという安心が眠りを誘う。

そして、紋別編では主演の二階堂ふみが18歳になるのを待って撮影されたという、近親相姦の濡れ場である。花にしてみれば、腐野淳悟は自分の親であると共に恋人でもあるのだ。初めての男で、誰にも渡したくない自分だけの男。海上保安官の仕事をしている腐野淳悟の社宅で、花は養女として育てられ、二人の関係は禁断の近親相姦なのですね。

つまり、腐野淳悟が両親に死に別れて中学3年生の時に孤児となり、花の家へ半年間、居候している内に花の母親と肉体関係となり、妊娠して花を産むことに。その後は、腐野淳悟は遠縁でもある大塩の世話で高校生となり海上保安官になる。しかし、その間も友人に頼んで自分の娘の写真を撮って送ってもらっていたのだ。つまりは、16歳で父親になった淳悟は、娘の成長を楽しみにしていたということ。

高校生役の二階堂ふみは制服が似合っていて、紋別の生活が本当に楽しくて仕方がないという感じに映っている。花が自分の方から性に目覚めて、父親であることを知っても、自分から身体を求めるのだから、幼児性虐待とはまた違った展開なのだ。つまりは、女性の方が性に目覚めて、父親にセックスを求めるわけ。

父親の淳悟も初めは戸惑ったものの、娘を愛するあまりに体の関係を持ってしまったのだろう。それに、花を引き取る前に淳悟の恋人だった小町とは、結婚するつもりだったのに、花が邪魔をしては小町にヤキモチを焼かせて、でも、モデル出身の河井青葉と浅野忠信の激しいベッドシーンは見応えあります。娘と毎日のように肉体関係を持つようになると自然に小町とは縁遠くなる。
花も小町のことは知っていて、絶対に自分の父親=男は渡さないとばかりに、誕生日のプレゼントのダイヤのピアスを見せびらかす。高校生とは思えない花の身体つきと、魔性の女の匂いが身体から充満しているように見えた。その近親相姦がついに、孤児となった幼い花のことを心配していた遠縁でもある大塩(藤竜也)の爺さんの目に入ってしまう。

腐野淳悟が仕事で家を空けた時に、花にそのことを「獣のすることだ」と「今なら間に合う、早く家を出て親戚の家へ」と説教する。花には絶対に淳悟が必要であり、世間の目なんて関係ない。近親相姦だってどうでもいいのだ。大塩の爺さんを流氷の上に乗せて沖まで流してしまう。結局は死んで見つかったのだが。そのことを淳悟に話すと「そうか分かった」というばかり。大塩の爺さんに面倒を見て貰っていた警察官の田岡は、爺さんの死を不信に思っている。
淳悟は、花を連れて東京に引っ越して、タクシーの運転手として働き、花を短大まで教育し、花は企業の受付係として働く。そこへ、北海道から刑事の田岡がやって来て、淳悟に花のメガネを渡して、彼女が大塩の爺さんを殺した犯人だと言う。それからは、口封じに田岡を殺すしかないとばかりに、首に包丁で刺し殺す。花が帰って来て、それを見て「お父さんも人殺しね」と呟く。

それでも、花は仕事先で金持ちのぼんぼんの高良健吾と仲良くなるのですね。少ししか出番がなく、別に彼でなくとも良かったのにね。酔った花を家までタクシーで送り届け、ゴミ屋敷のような花の家。家の中は薄暗く、布団が積み上げられている。原作では、殺した田岡をビニール袋に包んで押入れに隠したとありましたが、映画ではどう始末したのか描かれてません。
物語は、原作だと冒頭で花が結婚することになり、たった一人の親戚として養父の腐野淳悟に出席して欲しいと、花嫁姿の花が時間が迫るなか淳悟の来るのを待っている。そして、時制を遡るかたちで綴っていく原作とは違った構成で展開していきます。
それにしてもラストの3年間、花は何処でどんな暮らしをしていたのかが描かれていない。家を出た花が、綺麗に化粧をしてドレスを着て、結婚相手と言う男を連れて、美しく変身した娘と逢う。父親である腐野淳悟がみすぼらしくも一応礼服を着て、足元はサンダル履きという格好で駆けつける。そして、テーブルに座ると花は微笑むように淳悟を見つめ、テーブルの下では足のつま先が淳悟の股間を触っているのだ。
だが、夫となる男は高良健吾ではなかった。まだまだ彼女は、結婚しても父親ではなく男として淳悟を求めているのである。この映画は、二階堂ふみの迫真の演技で見せているような、下手をすればエログロにも見えてしまう濃厚な濡れ場シーンを、大胆にも演じてアダルト路線へ転向かとも取れる演技は、ご立派としか言えない。
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チョコレートドーナツ ★★★★★

2014年06月16日 | た行の映画
1970年代アメリカの実話を基に、母親に見捨てられたダウン症の少年と一緒に暮らすため、司法や周囲の偏見と闘うゲイカップルの姿を描いた人間ドラマ。ゲイであるがゆえに法の壁に阻まれる苦悩を、テレビドラマ「グッド・ワイフ」シリーズなどアラン・カミングと、『LOOPER/ルーパー』などのギャレット・ディラハントが熱演する。メガホンを取るのは、『17歳のカルテ』などのトラヴィス・ファイン。血のつながりはなくとも、少年を守るため奔走する主人公たちの無償の愛が胸を打つ。
あらすじ:1979年カリフォルニア、歌手を目指しているショーダンサーのルディ(アラン・カミング)と弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)はゲイカップル。 母親に見捨てられたダウン症の少年マルコ(アイザック・レイヴァ)と出会った二人は彼を保護し、一緒に暮らすうちに家族のような愛情が芽生えていく。 しかし、ルディとポールがゲイカップルだということで法律と世間の偏見に阻まれ、マルコと引き離されてしまう。

<感想>ゲイのカップルと、ダウン症の少年による疑似家族の深い愛情を、実話を基に描いているドラマである。これは前から絶対に観たいと思っていました。やっと東北にも上映できて嬉しいです。
泣ける映画だとは聞いてましたが、本当にダウン症のマルコ少年が可愛そうで、あんなふうにマルコが亡くなるなんて思ってもいなかったので、可愛そうで涙が止まらなかった。1970年代末のアメリカで実際にあったお話を下敷きにしているそうだが、なかなか感動的なドラマになってました。

この物語を成立させるためには、1979年まで遡らねばならなかったのですね。偏見に満ちた時代で、ゲイのカップルがダウン症の子供を引き取り育てるという、特殊な話を普遍的な愛として描こうとしているようなのだが、・・・。
そこへの違和感を語るのは難しいのだが、ホームムーヴィーの絵に描いたような幸せの情景の、裏側にあったかもしれない日常の生活。少なくとも、1年間は三人の同居生活が続いたわけだから、マルコの誕生日のケーキのローソク消しに、きっと初めての海だったろうと想像する海辺でのフィルム、自分のためのおもちゃが並んだ棚を前に、物も言えず立ち尽くすマルコ。自分の部屋をもらって本当に嬉しそうで、寝るときにはおやすみの物語を聞きながら、それはマルコ少年が魔法使いだというお話でした。

薬物所持で捕まった母親の元から、ルディとポールのゲイカップルの部屋に引き取られた彼は、生まれて初めて自分の居場所を与えられた歓びに涙することしかできなかった。その肩を優しく抱き寄せ、ポールに目配せをするルディとの背中のツーショットの何という温かさ。
控えめに揺れながら見守る手持ちカメラは、いつ失われるかも分からない三人の生活の危ういさを捉えている。

この時代のゲイに対する偏見と誤解に、強く抗議した作品に違いないと思います。しかし、その奥には、子供を育てることとはどういうことなのか、人を愛するとはどういうことなのかということを、時代を超越した普遍的なテーマがひっそりと横たわっているようです。

俳優でもあるトラヴィス・ファインの脚本、演出は見事だし、歌うショーダンサーのアラン・カミングがまた素晴らしいし、ダウン症のマルコを演じたアイザック・レイヴァも良かった。
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ノア 約束の舟 ★★★.5

2014年06月15日 | アクション映画ーナ行
旧約聖書の創世記に記された「ノアの箱舟」の物語を実写化した大作。大洪水による世界滅亡を知らされた男ノアとその家族が、ある重大な使命を全うしようと巨大な箱舟の建造に乗り出していく。メガホンを取るのは、『ブラック・スワン』などの鬼才ダーレン・アロノフスキー。ノアにふんするラッセル・クロウを筆頭に、ジェニファー・コネリー、アンソニー・ホプキンスら、実力派スターが共演する。壮大な物語はもちろん、大洪水の描写にも息をのんでしまう。

<感想>日本人の多くにとって、旧約聖書は馴染みが薄いというのが本音ですよね。以前の映画で「十戒」や「天地創造」を観たことがある人たちには、そのビジョンやビジュアルが印象に残って、イメージが定着していると思います。
この映画では、従来の宗教的な映画と違って、神様を偶像として登場させていません。つまり、旧約聖書では主なる神は“世界”つまりあらゆるものを創った存在で、我々はその“世界”の内に存在するものの一つなんです。

この物語は、聖書の創世記の中でも初期に起こっている出来事で、神の予言で大洪水が起こるシーンに、聖書に記されている通りに箱舟の大きさ高さ13m、幅約22m、長さ約133mと実際に実物大のセットを建造したというから、さすがにダーレン・アロノフスキー監督の手腕とこだわりに驚きます。普通だったら一部をセットで作り、CGIで処理するのが最近の傾向なのに。ロング・アイランドのオイスター湾にあるブランティング・フィールズ・アーボリータム州立公園で5か月に渡って組み立てられ、実物の3分の1に当たる約52m分の箱舟が作り上げられたというのだ。

それに何よりも、神の啓示を受け、憑りつかれたように巨大な箱舟を建造するノアには、ラッセル・クロウが扮して少々デブっていて貫録ついて、いかにも頑固親父的な役柄にぴったりでした。箱舟が出来上がり大嵐が来て、大勢の人間が押し寄せてくるシーンでは、まるで「グラディエーター」のような迫力がありましたね。

物語は、アダムとイヴの時代から十世代後。アダムの三番目の息子セトの子孫であるノアが、幼い頃に父と弟を殺したカインの末裔トバル・カイン(レイ・ウィンストン)に殺されたが、何とかその場を逃れ妻のナーマ(ジェニファー・コネリー)と3人の息子、長男セム(ダグラス・ブース)次男ハム(ローガン・ラーマン)、三男のヤフェトと平穏な暮らしをしていた。だが、ある夜、眠りの中で造物主のお告げを目にする。悪行に染まった人類を滅ぼすため、世界は洪水に見舞われるというのだ。人間以外の生物を救うという自らの使命に目覚めたノアは、相談のために祖父メトシェラ(アンソニー・ホプキンス)のいる山に向かう。
途中で、腹に傷を負った少女イラ(エマ・ワトソン)を救い、祖父の元に着いたノアたちは、祖父からエデンの園の種を渡される。その種を蒔くとたちまち樹木が生え揃い森になる。ノアはその木材を材料に箱舟の建造に取りかかる。手伝うのは「番人」と呼ばれる堕天使たちも、始めはノアを敵視していたがやがてはノアを手伝ってくれるようになる。

いやはやさすがにデカイ建造物に驚き、始めに鳥たちがツガイでたくさん飛んできて、次は動物たちもかってにツガイで乗り込んでくるのだ。大嫌いな爬虫類の蛇までもがにょろにょろ来るのにびっくり。
それに、カインが率いる悪人どもが箱舟を狙って襲ってくるのを防御する「番人」たち。岩でできた巨大ロボットのようだ。ノアのために神が創ったのだろう。彼らは最後は光となって還っていくわけで、唯一神様の使いとして現れる存在なんですね。

それにしても、ノアの息子たち3人である。長男セムには子供の産めないイラという女がいるのだが、祖父のホプキンスがイラの腹を触って奇跡をおこし子供が産める体にしてくれたのだ。次男のハムは自分で女を見つけようと森の中へ行き、気に入った女を見つけるも帰り道で動物の罠に足を取られてしまう。助けようともがくもダメで、父親のノアに懇願するも洪水が押し寄せてくる前触れで、神のお告げには動物たちツガイを箱舟に乗せて救えという啓示を必死に守り、次男の女を助けることはなかった。これが後で、箱舟に押し入ったカインを見つけた次男が、父親に報告せずに裏切ることになる。

そして、長男にも至難が起こる。それはイラのお腹の子供が男の子ならいいと。女の子なら、その場で殺してしまうという残酷な父親なのだ。要するに新たな世界には、人類は存在するべきではないという造物主の意志だからというのだ。
それが、生まれてきたのは、双子の女の子で母親になったイラは、どうしても殺すというなら双子を抱いて心中しようと箱舟の上で決心したようなそぶり。母親の慈悲と長男セムの願いがノアに聞き届いたのか、双子の女の子は死なずにすんだのだ。あぁ、ノアも愛に満ちているんだと感情移入させるところが甘いと言えばそうですよね。

そして、神から選ばれた人間であるノアでさえ使命に縛られるあまり壊れていく。雨が降りやまぬ箱舟の中で、酒を飲んで裸で寝ているとは。洪水の中で閉ざされて薄暗い箱舟で、騙し合い憎み合う家族の姿は、ただただ重苦しく見える。次男のハムが腹いせにカインの言うことを聞き、獣を殺してノアをおびき寄せる。人間に備わっている邪心みたいな悪い部分を含めて人間だから、そこに感情移入して観る映画なのかもしれません。二人の取っ組み合いは、やはりノアに勝算ありということなのか。
一番の見どころは、記録破りの大洪水のシーンですね。通常の雨のシーンの3倍の雨を降らせて視覚化した豪雨と大洪水のシーンは飛んでもなく迫力ありました。箱舟の中に入った動物たちや鳥などは、薬草で眠らせられていました。そして、7日間の大雨が止み、鳥が新緑の芽がついた枝を加えてきた。新大陸が見え虹が綺麗です。ですが、新しい世界が訪れても彼らは迷い続けるのだ。

堕落した人間を地上から消し去るという神の宣告を受けたノアだったが、果たして人類に未来はあるのか?・・・滅びに向かうというのがノアの神からの啓示だったはず。新しい命に対してはノアは手を下せなかったわけで、神に背く行為とも言えます。けれども、そもそも神の意志というのは、ノアが勝手に思ったことなわけで、神の意志に関係なくそこに至ったということ。
それにしても人類が栄える日が来るのかは謎のままで終わる。美しい映像やアクションにも息を呑むが、創世記の壮大なストーリーの中で描かれる人間の生々しい姿こそが、心を揺さぶり続ける。
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ザ・デット /ナチスと女暗殺者 ★★★

2014年06月14日 | DVD作品ーさ行
元ナチスの戦犯捜索に人生を賭けた“モサド"の数奇な運命をスリリングに描いた珠玉のスパイ・サスペンス&スリラー!
あらすじ:1965年、第二次世界大戦後中に強制収容所で残酷な人体実験を行っていたナチス戦犯のライナー医師を拘束するという極秘ミッションの為、イスラエルのモサド諜報員、ラヘル、ズヴィ、エフドの3人が東ベルリンに送り込まれた。
彼らによってライナーは捕まるが、拘束中に逃亡を図られてしまう。
しかし、3人は拘束中に脱出を図った戦犯を射殺したと発表、祖国イスラエルに帰国し英雄視されていた。
それから30年後。死んだはずの医師が、ウクライナで生きているという小さな地方新聞の記事を目にする。慌てた3人の元諜報員は、実は偽りであった“報告"を工作しようと再び動き出す―。(作品資料より)

<感想>モサド工作員の30年間の苦闘を描いた劇場未公開作品。この映画は2012年8月にDVD発売している「ペイド・バック」のオリジナル版である。それでも、「ペイド・バック」の方が出演者が、ヘレン・ミレンにサム・ワーシントンの他ジェシカ・チャステインに、キアラン・ハインズ、マートン・ソーカスなど有名な俳優が出演しており、やはりリメイクの方が数段見応え十分だと思いました。
意外や間髪入れずにオリジナル版がリリースされることになって鑑賞。だが、無名の俳優が出演しているイスラエル映画が、こうやって見られるだけでも有難いことですよね。

やはりリメイクと同じで、産婦人科医として潜伏していたナチスの戦犯ライナーを捕えるため、ベルリンに到着。しかし、ライナーのところへ女スパイのラヘルが不妊治療のため来院して、ライナーを眠らせて心臓発作と偽り、救急車に乗ったズヴィ、エフドの男スパイが自分たちのアパートへ拉致する。
すぐにでもイスラエルへ連行しようとするも、中々手筈が上手く行かずに日にちが過ぎていく。イライラした2人の男は喧嘩をして出ていくし、一人取り残されたラヘルに、ライナーが襲い掛かり顔の頬に切り傷を負わせて逃走してしまう。ところが、3人は口裏を合わせて、ライナーを射殺したと嘘の報告をし、英雄としてイスラヘルへ帰る。
そして30年後、初老となったラヘルの元に、ライナーが生きているという知らせが届き、3人だけの秘密を守り抜くために、最後のミッションに向かうラヘル。
これはさすがにハリウッドで、2012年に「ペイド・バック」としてリメイクされるだけのことはある。アクションもサスペンスもパワーアップされているリメイク版に比べると、どうしても地味な仕上がりになっているが、そのシンプルさがかえって構成の巧みさを浮かび上がらせていると思う。

ショッキングなオープニングを用意しつつ、序盤で種明かしをしてから謎解きに入ったリメイクも味わいがあったのだが、本作を予備知識なしで先に観ていたら、かなり印象は変わっていたに違いない。ただ、それを差し引いても手堅い演出によってエンタテインメントの水準を軽くクリアしているのは驚きだ。
それとリメイク版のルックは、きちんと本作ものを受け継いでいたことも分かり、役者に目を向けると、リメイク版の主人公の若き頃に扮したジェシカ・チャスティンと30年後の主人公ヘレン・ミレンの2人のキャスティングが役にぴったりで良かった気がした。

だが、こちらオリジナル版の主人公である2人のラヘルも中々で、作戦を遂行する産婦人科での診察や、2人のスパイの男と恋仲にになり関係を持つシーンで、全裸になるネタ・ガーティの熱演も評価したい。それに、様々な経験を感じさせながらも、概に現役を退いているギラ・アルマゴールおばさんの存在感。いずれも本作の大きな魅力となってます。リメイク版ではヘレン・ミレンが演じている。
「ペイド・バック」を未見な方で、本作のオリジナルに興味をもった方は、是非このオリジナルから見て欲しいですね。物語は同じだが、細かい描写が変更されています。それを見比べるのもいいでしょう。
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