パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

テッド2 ★★★

2015年08月31日 | アクション映画ータ行
少年の願いが叶い、命を宿したテディベアのテッドと親友のジョンが巻き起こす騒動を描いた、大ヒットコメディーのシリーズ第2弾。結婚して子供が欲しいと願うものの、それをかなえるには人間であることを証明しなくてはいけなくなったテッドたちが奔走する。前作に引き続いて、セス・マクファーレンが監督と脚本、テッドの声を務め、マーク・ウォールバーグがジョン役で再登場。『マンマ・ミーア!』などのアマンダ・セイフライド、オスカー俳優のモーガン・フリーマンらが共演する。下ネタを織り交ぜたギャグの数々に笑いがこみ上げる。

<感想>続編絶対やると思っていた。前作から3年もかかったのは、テッドの声を務めた監督・脚本・制作のセス・マクファーレンが、「いかに続篇を駄作にしないか」に悩んでいたからだという。それでも、映画「荒野はつらいよ~アリゾナから愛をこめて」にも監督・主演していたりしていたから忙しかったのでしょうね。だから、今回では宇宙で冒険したり強大な敵と戦ったりしていなくて、地に足のついたしょうもないお話がまた続いています。だからって、内容がちょっとマンネリ気味で、たいした変化もなく途中は寝むくなりましたね。

仕事場で知り合った恋人タミ・リン(ジェシカ・バース)と結婚することになり、神父にはあの「フラッシュ・ゴードン」のサム・ジョーンズが。テッドはボインの美人にモテモテなんですね、お相手が派手目のジェシカ・バースとは。

して、結婚生活も1年が過ぎると些細なことで喧嘩になり、早くも離婚の危機を迎えていた。親友ジョンに相談するも夫婦仲を改善するために子供を持つことを決断。理想の精子ドナーを求めて、アメリカンフットボーラーのトム・ブレイディーの家に忍び込み、彼の精子をもらおうと試みるも見つかってしまい逃走するハメに。

最終的には養子縁組を試みるも、州政府はテッドを人間ではなくモノである“所有物”であると認定され、親権がないと通知される始末。テッドは子供を持つことはおろか、結婚さえ無効と判断されたわけ。

それに追い打ちをかけるようにバイトもクビになってしまう。
親友のテッドをモノ扱いされて怒り心頭のジョンは、テッドの市民権を勝ち取るために訴訟を起こすことを決意する。そして、若くて美人の新米弁護士サマンサ(「ファインド・アウト」アマンダ・セイフライド)のもとへ相談に。そして、彼女とジョンの協力を得ながら、法廷に立って自分は人間だと証明しようとするテッドだったが……。

ジョンとサマンサに芽生える新たな恋の予感がするのもご愛嬌。でも、サマンサはマリファナ大好き女と問題を抱えているが、テッドに20分だけと約束して挑戦した車の運転では、たばこを吸いながらノリノリでドライブを楽しんだり、タバコを落として事故を起こして畑の中へ突っ込み、小さな小屋の上へとジャンプするシーンが笑えた。どうすんのこれって!後部座席の二人はマリファナ吸って眠っているし。

さて、いよいよテッドの裁判からスタート、サマンサが陪審員たちに古くは、黒人の奴隷制度、公民権運動から、昨今の同性婚をめぐる動きまで、被差別マイノリティーが平等を獲得してきた歴史に、明示的に重ね合わせて熱い思いをぶつけるのですが、相手は百戦錬磨のベテラン弁護士で、テッドはあえなく敗訴してしまうのです。
こうなったら、最強の弁護士に控訴を依頼するしかないと、ニューヨークを目指します。人権問題を扱う伝説の弁護士ミーアン(モーガン・フリーマン)に最後の希望を託すのです。
果たして“ぬいぐるみに人権はあるのか“、自らが所有物ではなく人間であることを証明するため、政府を相手にした裁判に挑む法廷劇になっているのだ。

なにげに音楽シーンがセンスフルで、テッドが歌って踊るオープニングクレジットの群舞に見惚れてしまい、中盤ではコスプレイヤーたちが大勢集うコミコン会場など。もち、「スターウォーズ」のダースベーダーとかミュータント・タートルズ、スーパーマンはジョナ・ヒルか。
ですが、その裏では、かつてのテッド誘拐を企てていたドニー(ジョンヴァンニ・リビシー)の危ない計画が進行していくのです。そこで、ドニーにまたもや誘拐されそうになるテッドが隠れたのは、たくさんのテディベアのぬいぐるみの中。ですが、すぐに探されてしまう。間一髪のところでジョンに助け舟を、来てくれたジョンに救われるも、巨大な展示物がジョンの上に落ちて来て意識不明になる。この時、もしかして、ジョンが死んだら、テッドが自分の命をジョンに分けて、生き返らせるのではなんて思ってしまったよ。

もちろん、マーク・ウォールバーグ演じる主人公ジョンとテッドの下ネタ満載に毒舌ぶりは今回も切れ味抜群ですから、それに無知な設定のアマンダを、二人が「ロード・オブ・ザ・リング」の“ゴラム”呼ばわりする笑いの要素も豊富で痛快です。そういえば、テッドがアルバイトしている店に、リーアムニーソンが出ていたね。シリーズ化して第3弾も作るきかもね。
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ガンズ&ゴールド★★★.5

2015年08月29日 | DVD作品ーか行
『スター・ウォーズ』シリーズなどのユアン・マクレガーが伝説の強盗にふんし、緊張感あふれる心理戦と壮絶なバトルを展開するクライムアクション。刑務所で出会った切れ者の強盗と青年が金塊を強奪し、裏社会を支配するロシアンマフィアとの攻防を繰り広げる。共演は、『マレフィセント』などのブレントン・スウェイツと『アンナ・カレーニナ』などのアリシア・ヴィキャンデル。監督は、本作で長編デビューを飾るジュリアス・エイヴァリー。大胆かつ冷酷な本格的悪役に挑むユアンの熱演に注目。監督は、これが長編デビューとなるオーストラリアの新鋭ジュリアス・エイヴァリー。

<感想>ユアン・マクレガーがミステリアスなキレ者の強盗犯を演じるオーストラリア製のクライム・アクション。共演が「マレフィセント」のイケメン王子を演じたブレントン・スウェイツ。

ースラトリア、パースの刑務所で屈強の男にレイプされそうになったところを長期服役中の牢名主的なブレンダン(ユアン・マクレガー)に助けられ、犯罪をチェスにたとえて語る彼に頭の良さを見込まれ、裏社会で生き抜くノウハウを教わる。半年後、先に出所したJRは、獄中での恩義から頼まれた組織のボス、サム(ジャセック・コーマン)に接触。ブレンダンと二人の仲間を脱獄させることに成功する。

JRは組織で働く女性ターシャ(アリシア・ヴィキャンデル)とも恋に落ち、ブレンダン一味による金鉱の精錬所から、5億ドルの金塊を強奪する計画にも参加するが、ボスが金塊を独り占めを画策して命を狙われ、JRとブレンダンとの師弟関係にもヒビが入って行く。

裏の世界に生きる中年男が、若い相棒と一緒に金で大儲けしようと企むのだが、金塊強盗がチェスの勝負に喩えて語られるのだが、それを支える映画の文体には軋みが生じているようにみえた。
舞台はオーストラリアとなっているが、英語圏ならどこでも通用しそうなお話でもある。そこが、英語映画の便利なところでもあり、特殊さといったものを出しにくいところでもあります。

中年のユアンが、若いブレントンを教育するという、オールドファンにとっては、あの反抗する若者ユアン・マクレガーもついに教える側に回ったのか、と結構いささかの感慨を覚えた。
何を描いて、何を隠すのか、基本的には若いブレントン・スウェイツの視点で進むのだが、彼自身の描写にも省略されているところがあるようで、彼を指導するユアン・マクレガーに、大ボスであるジャセック・コーマン、彼の恋人になるアリシアとの四つ巴の騙し合いが、観客との知能戦までは至らなかった。とりわけ、チェック・メイトの応酬には甘さが残るのだ。

「トレインスポッティング」で出世しただけの意地すら感じる尖ったキャラクターだが、世代交代よろしく若手のブレントンに手綱を受け渡した後半部分は、急にベタベタとした一から人生をやり直したい劇になっていた。
この手のドラマに必ず現れる、計画を台無しにする女の存在は、明らかに怪しいにもかかわらず、どうして男たちが自ら罠に飛び込んでしまうのかが、永遠の謎でもあります。
緊張感あふれる脱獄や、金鉱の精錬所を襲撃する強奪作戦、カーチェイスに銃撃戦とテンポが良くて、金塊をめぐる組織や師弟をめぐる頭脳戦も見どころの一つです。欲深い悪党たちの裏切りがさらなる裏切りを呼び、スリリングな争奪戦を繰り広げるのが最高でした。
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シュガーマン 奇跡に愛された男★★★

2015年08月29日 | DVD作品ーさ行
1970年代にアメリカでデビューした後、アパルトヘイト下の南アフリカで支持された伝説的ミュージシャン、ロドリゲスの数奇な運命を追ったドキュメンタリー。アメリカでは商業的な成功を収められず消え去るも、南アフリカではザ・ローリング・ストーンズなどの著名ミュージシャンをしのぐほど彼の音楽が支持され続ける理由や、ロドリゲスのその後に迫る。音楽の持つ共鳴力に心打たれる奇跡の実話は、サンダンス映画祭ほか世界中の映画祭で上映されるや大絶賛された。
あらすじ:デトロイトの場末のバーで歌を披露しているところを著名な音楽プロデューサーに見いだされたロドリゲスは、1970年代にデビューアルバムを発表するも商業的には失敗し、音楽シーンから姿を消す。しかし彼の楽曲は海を越えて南アフリカへ渡り、反アパルトヘイト運動を続けていた若者たちの絶大な支持を得て革命のシンボルとなっていく。

<感想>物語の中心となるのは、70年代初めに2枚のアルバムを発表したロドリゲス。本国アメリカではほとんど無名だったシンガー・ソングライターのロドリゲスが、彼の歌は何故か、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の南アフリカで、ビートルズを超えるほどのカリスマ的な人気を集め、大ヒットになって凄い人気だったという。
その後、ロドリゲスは音楽業界を去り、消息不明と思われていたのだが、彼はステージ上で拳銃自殺したという噂が流れていた。90年代にインターネットが世界をつなぎ始めると、思わぬところから現在の居場所が判明して、・・・。
実はデトロイトで日雇い労働をしながら生活をしていたそうで、彼のファンが南アフリカに呼びコンサートを開いたそうです。

長編ドキュメンタリー作品で、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を取ったそうで、いささか淡泊な作りではあるが、なるほどと思わせるだけの面白さはある。
南アフリカの英雄、アメリカ本国では無名と言う、情報化世界での奇跡的な物語でもあります。これがデビュー作となるマリク・ベンジェール監督は、撮りおろしのインタビューやライブの映像を中心に、彼の名曲がたどった不思議な運命を、まるで極上のミステリー小説のように描いているのだ。

南アフリカは喜望峰の嘘のような美しい海の青さから始まるのですが、南アフリカだけで大ヒットして、市民運動を後押ししたという伝説のアメリカの、名盤を作った若きシンガー・ソングライターの正体を探るという、展開もまた嘘みたいで、関係者インタビューも胡散臭いこと甚だしい。金の話になるとブチ切れる金満プロデューサーなどが出てくる。

ただし、結論から先に言うと、突っ込みが足りないというのか、掘り起しドキュメンタリーに不可欠のしつこさに乏しい気がした。普通なら結末のさわりを見せてフラッシュ・バックの構成になると思うのだが、あくまで作者は伝説のミュージシャンを探すという直線的な語りを選択しているのだ。
結果を知っていながら、主役の登場を引き延ばす、ヤラセ感が強く漂ってくるが、後半部分であの感動的な記録映像を目の辺りにすると、そうしたかった気持ちはよく分かります。
しかし、本人は出ているし、肉親たちも出ているわりには、映像ドキュメンタリーとしての厚みと重量感がないのだ。なんかもったいないという気がした。
彼の歌は、当時はボブ・ディランと比較されたそうだけど、労働者階級のリアルな感情を織り込んだ歌詞は、ディランよりもっと直接的で、だからこそ、70年代の南アフリカで生きる人々の心に深く突き刺さったのだろう。
観終わった後に、ちなみに印税はロドリゲス本人に入るというので、サントラCDを買いに直行したくなること間違いなしの1作です。
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フレンチアルプスで起きたこと★★★.5

2015年08月28日 | アクション映画ーハ行
お披露目となった2014年のカンヌ国際映画祭で評判を呼び、その年の全米賞レースを席巻するなど世界的に話題を集めた北欧発のシニカル・コメディ。アルプスの高級リゾートにバカンスにやって来たスウェーデン人一家を主人公に、父親のとっさの行動が引き金となって家族の絆に思いがけない亀裂が生じていくさまとその顛末を、辛辣な眼差しで赤裸々かつユーモラスに描き出す。監督はスウェーデンの俊英、リューベン・オストルンド。
あらすじ:フレンチアルプスの高級リゾートにスキー・バカンスにやって来たスウェーデンの一家4人。いつも仕事で忙しい父親のトマスは、ここぞとばかりに家族サービスに精を出す。ところが2日目、テラスレストランで昼食をとっていた一家を不測の事態が襲う。スキー場が起こした人工雪崩が、予想を超えた規模に成長しながらテラスへ向かってきたのだ。幸い大事には至らなかったが、その時トマスは、妻と2人の子どもを置き去りにして、自分だけで逃げ出してしまったのだ。何事もなかったかのように、その場を取り繕うトマスだったが、妻のエバはおろか子どもたちの目もごまかすことはできなかった。以来、家族の中には不穏な空気が漂い、楽しいはずのバカンスが一転して息詰まる修羅場の様相を見せ始め、次第に追い詰められていくトマスだったが…。

<感想>父親はこうでなきゃいけない、夫婦はこうであるべきだといった観念を、雪崩が見事に粉砕していくのだ。雪崩が起きた時、家族を捨てて一目散に逃げた夫を許せない妻は、夫婦間の不協和音を感じとって、グズつきまくる子供たちの引っ張りも手伝って、イライラとモヤモヤがじんわりと重く迫ってくるのだ。
夫は、雪崩はスロープ整備の人工的に起こした爆破であり、まさか、それがレストランで食事をしていた目の前まで雪崩が落ちてくるとは想定外のことだったらしい。それは、アルプスでスキーを楽しむセレブ家族の中に監督が投げ込んだ一発の爆弾だと思う。
何故、こんな時にと、間の悪さが次々と積み重なり、それはまるで雪崩のごとく主人公一家を呑みこむだけでなく、たまたま居合わせただけの知人や、さらには赤の他人までをもなぎ倒して行く。

観客は、誰にも感情移入しないで一家の心理的葛藤を客観的に眺めているだけ。まさに、これが監督の狙いなのだろう。幸せな家族を襲う危険な雪崩、それが一番家族を守らなければならない父親が、一番先に家族を置いて逃げてしまうのだから。映画的ではない卑怯なテーマでユニークであり、刺激的な作品に仕上がっているようだ。
当人たちにとっては、身の破滅の瀬戸際だが、傍から見たら哀しくも滑稽に映る。だけど、同時に激しく身につまされるのだ。もし、自分の家族に、夫が自分たちを放り出して自分だけ助かりたいと逃げ出すことは、やっぱり理解できないし、許せないことです。

夫は、引き返して来て、苦笑いをして子供たちが恐怖に怯えて泣いているのを見て、火に油を注ぐような言い訳をして「逃げた」ことを認めようとしない態度がムカツク。これは一大事だと気づくき、直ぐに謝って、子供たちを抱きしめるなり、奥さんにも謝り赦しを乞うとか、この夫はそれをしない。

それでもある程度は、「分かる分かる」、「こういうことってよくある」とクスクスできる範囲に収めてくれた監督の配慮に感謝し、手腕に感嘆した。それに、夜の爆発音とロープウェイのゴンドラのきしむ音、電動歯ブラシの音、不協和音の音響が、雪崩と夫婦の絆が壊れていくような感じで良かった。

友人たちが3日後に来て、一部始終を話す妻の憤慨たるや、男同士は納得づくで、こういうケースはまれにあることだと頷く。それに、ゲレンデでビールを飲み休憩している時に若い可愛い子ちゃんが声を掛けて来るのだ、二人の男はニヤニヤして、それが、人違いだったことが判る。部屋へ帰れば、妻はまだ怒っているし、女性は許すことが出来ないし、子供たちは夫婦喧嘩をしているのを見て、離婚するのではとヒヤヒヤもんだ。嘘泣きをして妻の赦しを乞う夫のしらじらしさに激怒してしまう観客。

だが、やっぱり後悔したのか、後で泣きながら詫びを入れる夫に、子供たちも許すのだ。家族の絆とは、やはり父親が一番しっかりしなければいけないことで、次の日には、その修復をするために家族サービスをして、ゴンドラで上まで行き一緒に滑る。
しかし、母親が行方不明になる。子供二人を置いて吹雪の中探しに行く夫、そして見つけてママをお姫様抱っこして戻ってくる。これって妻の偽遭難でしょう、妻は機嫌を直し、子供たちも家族が元どうりになったことを確認するのだ。

とはいえ、めでたしめでたしの後で、意地悪いラストを用意するあたり、やっぱり油断できないオチが待っていた。
それが、帰りのバスの中のことなんですが、運転手のドライバーテクニックが酷くて、山のカーブを曲がる度にゴッツンコとぶつかり、バックしては切り返してまた壁にぶつかるというデンジャーな運転手だったのです。
妻のエバは、先頭に立ってこんな危ない運転手ではと、皆をバスから降りるように説得するのです。バスの危険を思ってのことで、リーダーシップを取りたい人っているんですよ。でも、みんなバスから降りて、寒い下り坂を歩いて降りる乗客たちを見て、気の毒にと思いましたね。何かバツの悪そうな妻の不機嫌な顔。これで映画は終わりなんですが、何か物足りなさを感じました。
もしかして、帰りのバスに雪崩が降りかかり、せっかく仲直りした家族たちを乗せたバスが雪崩の下敷きにでもなるのかと思ってしまった。
2015年劇場鑑賞作品・・・170映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

モンキー・マジック 孫悟空誕生 ★★.5

2015年08月27日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
『イップ・マン』シリーズや『孫文の義士団』などのアクションスター、ドニー・イェンが孫悟空にふんし、孫悟空が五行山に幽閉されるまでを描くアクション。天界から落ちたかけらから生まれた孫悟空が術などをマスターするも、天界と魔界の争いに利用され、戦うさまをファンタジックかつパワフルに映し出す。共演は、チョウ・ユンファやアーロン・クォックら。監督は『軍鶏 Shamo』などのソイ・チェン。ドニー・イェンのダイナミックなアクションに目がくぎ付けになる。
あらすじ:天界と魔界の争いにより天界が破壊され、天界を補修したときに落ちたかけらに命が宿り、下界の人間界で猿(ドニー・イェン)として誕生。猿は天界の須菩提祖師に孫悟空と名付けられ、術などを覚えていく。一方、天界の玉帝(チョウ・ユンファ)に敗れた魔界の牛魔王(アーロン・クォック)は、悟空のパワーを悪用し天界をつぶそうとたくらみ……。

<感想>東北では先週の土曜日22日からミニシアターで上映しております。しかし、「TSUTAYA」でもうレンタルしているので借りて来て観ました。
ドニーが孫悟空に扮して、悟空が五行山に幽閉されまでを描いたCG満載のファンタジー・アクション。

天界の須菩提祖師に孫悟空と名付けられ、72の術などを覚えていくのだが、彼は飛び抜けて覚えが早くて、他の弟子よりも優れているようだ。虎に化けて襲い掛かり、女にも化けるという七変化の極意。どうしても蘇りの術を学びたくて天界へ行きたい。

海の底へ出かけて、大タコと戦い海の竜宮王に褒美をもらう。それが赤い金色の鎧、兜である。その他にも武器をたくさんと、見つけたのが1本の太い如意棒だ。その如意棒を引き抜いたらお前に上げると言われ、見事引っこ抜いてしまう。その如意棒を小さくして耳の中へと隠し、だが、それによって、地上では大津波が起きて大惨事に見舞われる。

そのころ、天界との争いに敗れた魔界の牛魔王は、玉帝の娘共々追いやられたものの、再び打倒天界に燃え、先の大戦で天界を立て直した時に生を授かった孫悟空(ドニー・イェン)を利用して南大門打破を試みる…。
牛魔王は南大門を守っている番人で、金の鎧に身を包み偉そうにしている男を味方に付けて悟空を連れて天界へと向かう。南大門を守っている番人が使者を送り、悟空と戦わせる。それが火を操り強いの何の、悟空は如意棒を駆使して伸びたり縮んだりとワイヤーアクションとCG満載のファンタジー。

天界では玉帝に気に入られ、馬の番を命じられ歓び勇んで馬を天界に放してしまう。挙句に天界の上級の仙人しか食べられない、不老長寿の桃を食べてしまうし、始めは、騙されていたことに気づかずに天界で大暴れするものだから、宮殿は壊れ崩れ落ち大参事になってしまう。。とにかくやりたい放題の悟空なのだが、牛魔王が攻めて来ると玉帝を守り戦う悟空。
とにかくも、前に観た西遊記 はじまりのはじまり」(14)が意外と面白かったのに、こちらは、主人公孫悟空がドニー・イェンということもあり、彼に着ぐるみを着せて特殊メイクで暴れさせており、森の中でもパンダやフクロウ、白ギツネなど、着ぐるみを着ての学芸会。他の天界の玉帝役のチョウ・ユンファにしても、威厳があってそれは良かったのですが、もったいない役回りで目立ってはいましたがアクションもそれほどでもなかった。
魔界の牛魔王役のアーロン・クォックが、それなりに怖くていい感じでした。それにしても、CGが多くて観ていて子供騙しのような映像に展開と、大人には少し飽きてしまうかと思われます。
まだ、孫悟空として下界で天竺へ三蔵法師のお供をする前のことなので、それなりに興味のある方にはよいかと。
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インヒアレント・ヴァイス★★★

2015年08月26日 | DVD作品ーあ行
『ザ・マスター』のポール・トーマス・アンダーソン監督とホアキン・フェニックスが再度タッグを組み、アメリカの覆面作家トマス・ピンチョンの探偵小説を映画化。マリファナ中毒の私立探偵が元恋人の依頼を受けたことからさまざまな陰謀に翻弄(ほんろう)される様子を、舞台となった1970年代のポップカルチャー描写を織り交ぜて描く。共演にはジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロら豪華な俳優陣が集結している。
あらすじ:1970年代初頭のロサンゼルス。ビーチを拠点に活動するマリファナ中毒のヒッピー探偵ドック(ホアキン・フェニックス)を、以前付き合っていた女性が訪ねてくる。彼女の依頼を受け調査を進めるドックだったが、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていき……。

<感想>これまでにベルリン、カンヌ、ベネチアの世界三大映画祭の監督賞の栄冠に輝いた俊英ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作。巨大な陰謀に巻き込まれるヒッピー探偵の姿を描いている。主演のホアキン・フェニックスはじめとし、刑事のジョシュ・ブローリン、元恋人のシャスタにキャサリン・ウォーターストン、弁護士のベニチオ・デル・トロ、おとり捜査中のサックス奏者にオーウェン・ウィルソン、検事補にはリース・ウィザースプーン他、豪華出演。
映像化不可能というキャッチフレーズは定番化し過ぎて、殆ど形ばかりのものになってしまっているのが、まさしく奇跡の映画化になっているのだ。
というのも、原作者のトマス・ピンチョンはこれまで、自身の小説を映画化することを一度も許してこなかったからだ。

物語が、ラブ&ピース、セックス&ドラッグが満ち溢れていた1970年の西海岸。大きなモミアゲにもしゃもしゃ頭、サンダル履きの私立探偵ドッグのもとに、元恋人のシャスタが現れたところから始まる。彼女は今、不動産王の愛人になっているが、彼も自分も身の危険にさらされているというのだ。

その言葉どうりに、不動産王ウルフマンの用心棒が殺され、ウルフマンとシャスタも行方不明に。捜査に当たるのは、ドッグと旧知の仲のLA市警の刑事ビッグフット。ドッグも、恋人の地方検事補ペニーや弁護士サンチョの力を借りて調査を開始する。
とはいいながら、毎日マリファナを吸いまくって薄らボンヤリしているところへ、幼い娘を抱えた若妻から、死んだ夫コーイ(オーウェン・ウィルソン)が生きているらしいという妙な話が。

さらには、知り合いのマッサージ嬢からは「黄金の牙」というかなりヤバそうな密輸船のネタも。どうやら警察も大富豪もギャングも手を出せない、とてつもなく巨大な力が働いているようだ。調査を始めたドッグは、様々な陰謀に巻き込まれていく。
ドッグは、「黄金の牙」が経営している歯科医院や精神病院に潜入して、真実に迫っていくのだが。けれども、彼が本当に求めるのは、シャスタの行方と自由な生き方だけ。果たしてきままなヒッピー探偵の願いは叶うのか?・・・。

あらすじはあるものの、時代は70年代。そして、主人公はマリファナやりまくりのヒッピー探偵。ゆえにずっとこのままラリっている状態で、どこからが現実でどこまでが妄想かは神のみぞ知るっていうわけ。
観ているうちに、実は依頼人のシャスタも幻だったりして、・・・という不可思議な気分になってくるのだ。ミステリー風でもあり豪華な出演者たちが繰り広げる群像劇ともいえる。
監督がこれまで、「マグノリア」に「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などの怪作を生み出してきたポール・トーマス・アンダーソンだけに、この映像を理屈ではなく身体ごと受け止めて、若き天才が生み出した気難しくて倦怠感のある中毒性のある世界に浸ってしまおうではないか。
しかしだ、ドラッグに溺れている主人公の頭の中を覗いているような、幻覚症状のような、物語がよく判らないのが欠点だと思う。 

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7500 ★★

2015年08月25日 | DVD作品ーな行、は行
『呪怨』シリーズなどで知られる清水崇監督のハリウッド作第3弾となるパニックホラー。ロサンゼルスから東京へ向かう飛行機の乗員乗客たちが、上空で超常現象に見舞われる様子を描く。テレビドラマ「トゥルーブラッド」シリーズなどのライアン・クワンテン、『バタフライ・エフェクト』などのエイミー・スマートらが出演。力を加えていないのにつぶれるペットボトルなど、地上から遠く離れた密室状態の機内で発生する異変の数々に背筋が凍る。
あらすじ:5月12日、ロサンゼルス発東京行きのヴィスタ・パシフィック7500便が飛び立つ。機内では、友人と旅行をするブラッド(ライアン・クワンテン)とピア(エイミー・スマート)夫妻、神経質な女と気弱な夫、人形師など、乗客それぞれが思い思いの時間を過ごす中、突然激しい乱気流が巻き起こる。ほどなくして奇怪な出来事が次々と起こり始め、機内はパニックに陥り……。

<感想>日本のホラー作品を多く手掛けている監督、清水崇のハリウッド進出第3弾である。内容は、ジャンボ・ジェット機内で起こった怪奇現象を描いている。知っている俳優さんがいないし、この映画は7月25日に東京で公開されたばかりだというのに、もう「TSUTAYA」でレンタル開始していた。
ヨーロッパ旅行だと片道12時間は飛行機の中で過ごさなければいけない。私は、殆ど映画を観賞して時間を過ごしてしまう。しかし、私にもこういった乱気流に巻き込まれて、飛行機がジェットコスターのように上下が真っ逆さまになり、酸素マスクが落ちてきたり、上部の荷物が落ちてきたり、とにかく頭に手を置いてうずくまって祈るばかりでしたね。

物語でも、乱気流に巻き込まれパニックを起こす乗客たち、しかし一人の中年の男が呼吸困難の発作を起こして急死するというショキングな出来事が起こりました。機内には不穏な空気が漂い、とにかく落ち着いてと、飛行機も平常に戻ったことだし。このシーンが問題の伏線だったのですね。
しかし、「呪怨」シリーズによる恐怖を演出した監督ですもの、手腕を発揮して飛行機という逃げ場のないワンシチュエーションの中、機内に充満する呪の恐ろしい正体をスモークを焚いてジワジワと感じさせていくのです。

高度1万フィート上空を飛ぶ機内で怪現象が続発していく。中年男性の死体を2階の客席へと移して、2階の客席の人たちは下の階へと移る。下の階の若い男が、死体の男がしている高級腕時計ローレックスをしているのを見て、2階の遺体のある場所へと行き、遺体から腕時計を盗みます。そして、スマホで動画を撮りユーチューブへ乗せる。するとその男性が、急に動きだし若者もその遺体が動き出したことに気づいて驚き、死体と共にその若者も消えてしまう。

客室乗務員の女2人は、機長の死体を探せという指示で貨物室まで探しに行く、機長と不倫中の女。そこで、見たものは恐ろしい幽霊だったのでしょう。驚く顔しか映していませんから。
それに、機長室では管制塔とのやり取りで、奇妙なノイズが聞こえて来て連絡が取れないのだ。

たくさんの上客が乗っているのに、ここで移るのは、新婚カップルの二人と、全身タトゥーのヘビメタの女にチャラい若い男。そして、離婚したカップルがそのことを隠して友人と旅行を楽しむ人たち。その離婚したことを隠していた夫の方が、救命士だということで大いに役に立つのである。

2度目の乱気流に巻き込まれたときには、またかと酸素マスクが間に合わない乗客もいる。乗客の中には、窓の外にミグ戦闘機が飛んでいると言ったり、トイレで妊娠検査薬で妊娠を調べていた女が倒れて死んでしまう。
そして、上段の手荷物入れに人間が吸い込まれていくし、機内のゴミ箱を見ると、あの死神の人形が捨てられていて、白い手が伸びて来て傍にいる人間を引きずり込もうとするのだ。あの亡くなった中年男性の荷物の中を調べると、死神人形が入っていた。

それが、伏線のように機内の中には霧のようなスモークが立ち込めて、酸素マスクをしなくてもいいのだろうかと心配してしまう。そして、ラスト近くには、機内のTVが映し出されて、ジャンボ・ジェット7500便が乱気流に巻き込まれて連絡が取れず、現在は燃料があるうちは、高度1万フィート上空を自動操縦で飛び続けて、燃料が失くなりしだい太平洋に墜落するという放送をしていた。
政府軍による戦闘機で、ヴィスタ・パシフィック航空の7500便を確認して、中の上客が全員動かなく死んでいるという報告をする。つまりは、あの1回目の乱気流で全員死亡という結果で、その後の展開のお話は、死にたくない人間の怨念とでもいうか、あの“死神人形“との関連が、まだまだこの世に未練があるという魂が、あの世にいけないということから生まれた物語なのでしょう。それにしてもパッセンジャーズとか、DVD鑑賞してアップしてないゴースト・フライト407便の方が面白かったです。
2015年DVD鑑賞作品・・・45映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

パージ ★★.5

2015年08月24日 | アクション映画ーハ行
『6才のボクが、大人になるまで。』などのイーサン・ホークが主演を務めたサスペンス。年に1度だけ殺人をはじめとする全ての犯罪が許されるという政策が施行される中、決死のサバイバルを繰り広げる一家の姿を追い掛けていく。監督は、『交渉人』などの脚本を手掛けてきたジェームズ・デモナコ。『300 <スリーハンドレッド>』シリーズなどのレナ・ヘディ、テレビドラマ「ブラザーズ&シスターズ」シリーズなどのマックス・バークホルダーらが共演。息詰まる展開はもちろん、むごたらしいバイオレンス描写にも圧倒される。
あらすじ:1年に1晩だけ犯罪を合法とするパージ法。その施行により犯罪率も失業率も劇的に改善し、アメリカはかつてない平和な時代を迎えていた。セキュリティ・システムを販売する会社のセールスマン、ジェームズ・サンディンは、売り上げも好調で、妻メアリーと2人の子どもと幸せな日々を送っていた。そんな中、今年も“パージ”の日を迎える。それでもサンディン家には、ジェームズ自慢の堅牢な防犯システムが備わっており、なんの心配も必要ないはずだった。ところが、息子のチャーリーが、家の前で助けを求める見知らぬ男性を家の中に入れてしまう。やがて男性を標的にしていた暴徒たちが玄関前に現われ、男性を引き渡すようジェームズに迫ってくるのだったが…。

<感想>2013年の作品だったのですね。ホラー映画というより近未来型人間狩りバイオレンスだと思う。それでも、まるでホラー映画のように演出されている部分があるので、怖いもの苦手な人にはダメでしょう。
近未来のアメリカ政府。膨れ上がる犯罪と失業率を抑えるために、定めた制度。それが、1年に1度、夜の7時から12時間だけ「殺人、強盗、放火、レイプなど、普段やりたくてうずうずしている犯罪は何をしてもOKよ!」という。
こんな制度が施行されるわけないと思いつつ、アメリカならさもありなんと思わせるところもある。その目的に社会的弱者の間引きがあると判ると、さらに妙なリアリティが漂ってくるのだ。

2020年、パージがすっかり定着したその年に、イーサン・ホーク演じる主人公は、対パージ用の家の周りの警備システムの販売で、大儲けした営業マン。毎年、パージの夜は警備システムによって要塞化した自宅の中で、家族と共に豪華な夕食をして、優雅な朝を待つのが恒例だった。

ここは、高級住宅地だから、警備システムさえ頑丈であれば、家の中までは入り込まないと安心していた。夜の12時間というタイムリミット。娘は高校生だと思うが、恋人の男をベッドに誘い込み、2人でイチャイチャしている。パパとママはそんなことは知らないし、それに弟が防犯カメラ越しに、玄関で助けを求める黒人男を家の中へと入れてしまう。
勝手に要塞を解除してしまう馬鹿な息子のために、父親が絶対に外からは侵入出来ないような家の警備装置だったのに。そして、娘の男を見つけて拳銃の引き金を引き殺してしまう父親。それに激怒する娘が、怒って自分の部屋に閉じこもる。これがやっかいな始まりだった。
なにかと足を引っ張る娘の存在も、ワンシチュエーション・スリラーとしての面白みを引き立たせてぐいぐいと引き込まれてしまう。それがきっかっけで、家の防犯設備も崩れていき、家族の絆も壊れていく。あのジョディ・フォスターのパニック・ルーム」(02)を思い出してしまった。

だから、家の周りにワラワラと男女が集まってくるあたり、積み重ねてきた恨み妬みヤッカミを晴らそうと襲い掛かるいい歳をしたご近所さんたち。このお隣さんたちは、この家が警備システムで儲けていることに腹を立てており、このパージの日に日頃の恨みを晴らそうと、玄関の扉を開ける道具、チェーンを縛ってトラックで引っ張り防火扉を破壊するのだ。

拳銃はもちろん、両手にナタや斧、ショットガンまで持ち撃ちまくるのだ。玄関や窓ガラスを破って押し入ってくるご近所さんたち。黒人を引き渡せと言っていたが、日ごろのウップンを晴らすためなのだ。豪邸の中は無惨に破壊されてしまい、近所の女たちが白いワンピースを着ているのも異様に恐ろしい。何故かと言うと、血しぶきで真っ赤に染められている白いワンピース。

父親のイーサンが、ご近所さんの若者に刺されて死んでしまうし、奥さんはなんとか子供2人を守りたいと頑張るも、返って家の中へ入れてしまった黒人男に助けられてしまう。皮肉な結果になってしまった。
増悪を浄化(パージ)し、犯罪を減らし、体制維持に有効だという近未来の制度パージ。外敵から家族を守るという小味な映画だが、残念ながらせっかくの設定が十分に生かされていないように思いました。
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分★★★

2015年08月23日 | アクション映画ーア行
ロサンゼルス映画批評家協会賞やイギリスのインディペンデント映画賞などで称賛された異色のサスペンス。思わぬ状況に追いやられる中、高速道路を車で走る男の胸中に漂う不安や焦燥を見つめる。監督と製作総指揮に『ハミングバード』などのスティーヴン・ナイトと『つぐない』などのジョー・ライト、主演は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディ。先の読めない展開に加え、車内を舞台にしたトムの一人芝居だけで物語が進む特異なスタイルが斬新。
あらすじ:超高層ビルの工事を手掛け、翌日に重要な作業に控えている大手建設会社のエリート社員アイヴァン(トム・ハーディ)。妻と息子たちの待つ家に帰ろうと愛車のBMWに乗り込むと、1本の電話がかかってくる。それを機に、彼は自宅ではなくロンドン方面の高速道路に車を走らせていく。電話で部下に翌日の作業を一方的に押し付け、妻に自宅に戻れなくなった原因を告げるアイヴァン。一刻でも早くロンドンに向かおうとする中、困惑する部下、解雇を宣告する上司、憤怒する妻からの電話を受け取る。

<感想>スクリーンに映る登場人物は、全編を通してハイウェイを走行する車のドライバーだけという一人芝居劇の主人公トム・ハーディ。シンプルな構成で、男が夜のハイウェイを車を運転しながら数人と電話で話す会話劇なのだが。
つまらないかというと、前編、86分ということもあり結構スリリングでのめり込んでいきます。

電話の会話の展開が、ロンドンへ出張した時の、たった1回の浮気で中年の女が妊娠してしまい、この日が出産だという電話が入る。途中でその浮気女との回想シーンとかは一切なしで、ロンドンへ向かう車内というワンシチュエーションだけというもの。
どうみても、この男は歩が悪い。奥さんに電話でこの浮気の事を話、子供が出来たことを話、これから出産に立ち会うということにも、妻としては腹ただしく許せないことだ。
妻子に向けた愛情の会話、「俺が悪い、愛している、許してくれ」なんて電話で言われても簡単には許せないのが当たり前だ。一時の過ちを償いたいと願う男の責任、頼りない部下をやる気を起こさせる管理職の側面など、刻一刻と変わるトム・ハーディの表情から目が離せない。

それに、明日の朝には大事な建築の仕事も控えている。それを、人に頼んでロンドンまでいくのだから、上司に電話をしたら即刻クビだと宣言される。そういう自分勝手なことで、家庭や仕事を棒にふってしまう男っているんですよね。とにかくひっきりなしに電話がかかってくる数人からの電話は彼を切迫させ、人生最大の決断を下すまで追いつめるのだ。
このシンプルすぎる状況で何をどう見せるかは、綿密に計算された脚本や編集の技も重要だが、何を置いても俳優の腕によるところが大きいようだ。
この内容に不満はないが、浮気相手と何度も逢ってそういう妊娠ということになったのなら、事前に対処できたのでは?・・・どういうわけか、1年前の浮気の代償が家庭崩壊と会社の解雇宣言とは、男ってよくよく動物的に出来ているのね。自業自得だから、同情の余地もなく誰も恨むわけにはいくまい。
夜のハイウェイで見えるのはフロントガラスに反射する美しい光と、平凡な男がリアルタイムで進行する86分は長くて短い。ラストのゴールの終り方もいい。男の今後の展開は、果たして破滅なのか希望なのかは観客に任せているのだ。
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エヴァリー ★★★

2015年08月22日 | DVD作品ーあ行
生き残る方法はただ1つ。殺って、殺って、殺りまくれ!
『デスペラード』のサルマ・ハエック主演最新作! 『LUCY/ルーシー』『コロンビアーナ』を超える新世代アクション・ヒロインが登場! ヒロイン版『ザ・レイド』とも言うべき、女性アクション映画の限界値を振り切る過激なヴァイオレンスの嵐!ヤクザ軍団との死闘を描くエンドレス・ハイテンション・アクション!
アクション監督は野口彰宏! ド迫力のアクションシーンの数々は、『少林少女』や『パワーレンジャー』シリーズなどで日米を股にかけ活躍するアクション監督・野口彰宏が手がけており、全米最大のジャンル映画祭「ファンタスティック・フェスト」でも喝采を浴びるなど、全世界の映画祭を席巻中!
監督は、ジョー・リンチ『クライモリ デッド・エンド 』

あらすじ:愛人であるヤクザの組長を裏切り、警察の情報屋となったコールガール、エヴァリー。裏切りを知った組長は彼女を抹殺するべく、町中の殺し屋たち、そして手下のヤクザ軍団を彼女の元へ送りこむ。
死を覚悟するエヴァリー。しかし愛する娘の命が脅かされている事を知った時、たった1人でヤクザ相手に戦争を仕掛けることを決意する。
そして大量の重火器と自らの肉体だけを 武器に、壮絶な死闘が幕を開けるのであった……

<感想>未公開作品で、あのロバート・ロドリゲス監督の大ヒット作『デスペラード』でお馴染みの実力派女優サルマ・ハエックが、日本人俳優相手に復讐のアクションヒロインに変身。
本作では、ヤクザの組長Taiko(渡辺裕之)の恋人で娼婦(しょうふ)のエヴァリー(サルマ・ハエック)が、警察に通じていたばかりに、そのことがバレてしまいクリスマスに組を裏切ったことで、組長は懸賞金をかけて組員と街の凶暴な悪党たちに彼女を襲わせるが、一筋縄ではいかない彼女は彼らと壮絶な死闘を繰り広げるというアクションドラマ。
ヤクザの組長、渡辺裕之の他に、イギリスで活躍する『KANO 1931海の向こうの甲子園』の伊川東吾、映画『47RONIN』の藤本政志などの日本人俳優が出演している。

マンションの1室で、娼婦のエヴァリーが、ヤクザの組員たちから制裁を受ける「キル・ビル」ばりの壮絶バトルが繰り広げられます。全編にわたって下着姿のサルマ・ハエックの奮闘ぶり、マシンガンにショットガンを豪快にブッ放すばかりか、娼婦仲間で紫色のカツラのババァまでもが二丁拳銃でエヴァリーを狙って襲ってくるのだ。とにかくサルマ・ハエックが日本刀による殺陣もビシット決めて最強のヒロインを演じている。

何故、彼女はこの部屋から一刻も早く逃げないのかというと、このマンションが日本のヤクザの所有物で、建物の中にヤクザの組組織関係者がゴロゴロといる要塞マンションなのだ。おまけにヤクザは地元警察を抱き込んでいるし、そんなわけでエヴァリーの部屋に次々とヤクザを送り込んでくる完全武装の殺し屋たちなのだ。
マンションの1室で、組長の放った刺客たちを次々と倒してしまうサルマ・ハエック。元組長の愛人であり、今は戦闘経験ゼロのただのおばさんであるエヴァリー。部屋の中にはヤクザの死体がゴロゴロと、それを風呂場やクローゼットに押し込む。
それが、魔の手は母親や娘までに伸び、エヴァリーは肉親を守るために刺客たちと激闘を繰り広げるバイオレンスアクシヨンです。

組長Taikoを演じる渡辺裕之。渋くてカッコイイし、体も筋肉美で悪役とはもったいない使い方である。だから、この組長役は見た目では悪魔のようだが、彼はとってもチャーミングで観客も共感できる要素を持っているのだ。それに典型的なヤクザの組長ではなく、ある意味セクシーさというか、変態的な要素も漂わせている。
もう一人、爺さんが出て来て、それは、サディストなのか、ハゲ・デブ男を檻の中に閉じ込めて拷問でもするかのように、その男を痛めつける。そして、サルマ・ハエックもその拷問の檻の中へ入れられてしまう。歌舞伎の衣装を着た男が4人現れて、硫酸とかガソリンに青酸カリを目薬代わりに目に入れるというのだ。運よく母親が部屋を訪ねて来て、その液体を口の中へ押し込む。早く吐き出して口を洗い流さないと胃袋がただれて死んでしまうよ。

しかし、エヴァリーが反撃をして、その爺さんの口の中へ硫酸を呑ませるのだ。爺さんの腹が焼けただれて内臓の腸が飛び出すグロさがたまらない。
組長渡辺の最期は、切腹、ハラキリでした。日本人が見てヤクザ映画とはまた違って、どこかハリウッド的なスタイルになっているようだ。面白かったのが、エヴァリーに送られてきたプレゼントの箱の中身が、彼女が警察の男に内通していたその男の生首だった。それを、娘が開けたくてたまらないのをエヴァリーが止める場面が笑えた。
B級映画の要素が満載で、エヴァリーにやられる組員の死に方が面白い作品に仕上がっているし、サルマ・ハエックが、襲い掛かる暗殺者たちをたった一人で倒し、パワフルな立ち回りから目が離せませんでした。
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ラブ&ピース ★★★

2015年08月21日 | アクション映画ーラ行
国際的に評価される鬼才・園子温監督が特撮に初挑戦した異色作。かつてロックミュージシャンという夢を抱いていたものの現在はさえないサラリーマンが、1匹のミドリガメと出会ったことから始まる奇想天外な物語を描く。主演は『地獄でなぜ悪い』に続き園監督とタッグを組む長谷川博己、彼が恋心を抱く職場の同僚役には、テレビドラマ「時効警察」以来の園組となる麻生久美子。物語の鍵を握る謎の老人役でベテラン西田敏行が出演するほか、渋川清彦、松田美由紀ら多彩な顔ぶれが勢ぞろいする。
あらすじ:ロックミュージシャンになる夢を諦めて以来パッとしない毎日を送るサラリーマン鈴木良一(長谷川博己)は、職場の同僚・寺島裕子(麻生久美子)が気になっているものの話し掛けることができない。ある日、1匹のミドリガメと運命的に出会いピカドンと名付けるが、同僚に笑われてトイレに流してしまう。すぐに後悔する鈴木だったが、ピカドンは下水道を通って地下に住む謎の老人(西田敏行)のもとにたどり着き……。

<感想>園子温監督の作品は殆ど観賞していますが、『冷たい熱帯魚」「新宿スワン」や「TOKYO TRIBE」、「リアル鬼ごっこ」など、今までは彼の野蛮なエネルギーが爆発しているような近年の作品に圧倒され続けてきました。その躍動感なるものが凄まじく感じられずにはいられなかった。ですが、それで終わりではなかったようですね。
本作では、痛みと愛が混じり合う、若い時分の苦々しい物語のようなファンタジーに出来上がっています。確かに、西田敏行演じる老人を捨てられたペットや人形たちが取り囲む地下下水道の描写は、園子温版の「トイ・ストーリー」ともいうべき空想世界かもしれないが、そこに横たわる狂気たるや、締めていた正気のネジが、知らず知らずに緩められ脱力してゆく恐怖に身震いした。

まさか、西田のおっちゃんが、魔法使いか、神様か、サンタクロースかもなんてことなのよね。子供たちは、親に買ってもらった玩具や人形、動物などを、飽きてしまうと平気で捨ててしまう。そんな廃棄された人形や玩具や動物たちの世界には正直ホットしました。すでに、存分に明示された意味などより、単純に、そこに集められているものたちの形や動きにホットさせられた。

人生、潮目が変われば大きく動く。そんな奇蹟と愛の微妙なあんばいを豪華キャストで撮れるのも成功した今の監督ならではだろう。
うだつの上がらない駄目サラリーマンに扮した長谷川博己の、振り切れた演技にまず笑い、主人公が会社で廃棄物扱いされる冒頭部分などもしつこいし、美しさを封印して挑んだ麻生久美子のあか抜けないメガネ女っぷりに驚く。

主人公が目指していた物は、ロックミュージシャンとして華々しくデビューをして、将来は日本スタジアムでコンサートをすることが夢だった。その夢がミドリカメによって叶えられ、有頂天になりペットのミドリカメ“ピカドン”のことを忘れてしまうなんて。
そんな主人公の奮闘ぶりを語るために、彼が選んだ手段の一つが何と特撮なのである。このCG全盛時代に昭和な怪獣ガメラを手作りするとは、泣けるサプライズとしか思えない。

しかも、その怪獣ガメラの名前、“ピカドン”は、ネーミングの暗黒さに反して、姿も声も性格も愛らしく、日本が捨て去った時代の哀愁さえ覚えるのだ。もしかして、本当の主人公はこのミドリガメでは、そう思ってもいいと感じた。それくらいインパクトがあった。
2020年の東京オリンピックという華々しい未来を、ただ見守っていたらいいものか、使い捨てられたものは、今はどうなっているのだろうか。大事なものを見落としてやいないか、そう私たちに投げ掛けてくる。度肝をぬぐ超展開の中に隠された、確かなメッセージを受け取って欲しい。
エンドタイトルに流れるRCサクセションの「スローバラード」の歌が抜群にいいのに、何故か「ラブ&ピース」という声が耳に残っているのは、繰り返ししつこいくらい長谷川博己が歌っているので、その強みなのか?・・・。そのしつこさが強みでもあり、臭みでもある。
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グローリー/明日への行進 ★★★★

2015年08月20日 | アクション映画ーカ行
アメリカ公民権運動が盛り上がりを見せる中、アラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件を題材に描く感動作。ノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・Jr.のリーダーシップでデモに集まった人々が警官の投入によって鎮圧されたのをきっかけに、世論が大きく動いていくさまを描く。俳優のブラッド・ピットや人気トーク番組で有名なオプラ・ウィンフリーらが製作を担当。史実を基に描かれる、激動の近代史に心動かされる。
あらすじ:1965年3月7日、マーティン・ルーサー・キング・Jr.の呼び掛けにより集まった、黒人の有権者登録妨害に抗議するおよそ600名がアラバマ州セルマを出発。だが、デモ行進がいくらも進まないうちに、白人知事は警官隊を動員して彼らを暴力で制圧する。その映像が「血の日曜日」としてアメリカ中に流れたことにより抗議デモはさらに激しさを増し、やがて世界を動かすことになる。

<感想>キング牧師を主人公にした長編映画がこれまでなかったのだとすれば、それだけでもこの映画の誕生はすごいことかもしれない。非暴力を掲げるキング牧師の戦い方は、本当に地味で映画の進み方も始終淡々としている。
キング牧師の生涯を追うのではなく、セルマでの行進にフォーカスを定めた作劇も見事であった。ここで描かれるのはキング牧師とその家族と仲間たちの行動なのだが、その根拠となっているのがなんとFBIによる盗聴や追跡などの監視記録というから驚く。それでも、非暴力、無抵抗主義のキング牧師の巧みな演説とリーダーとしての苦悩をくっきりと浮かび上がらせているのもいい。

何よりも、主演のキング牧師を演じたデヴィッド・オイェロウォのスピーチが本物のように聞こえるほどの迫力で、キングの演説にある生気と気品を確かに今に伝えてくれていると感じましたね。カリスマ性溢れる演技力によるところ極めて大きく、権利の関係で、一文一文を類語に置き換えたと聞きますが、それでも噛みしめたい名文だと思います。
そして、圧巻が終幕で描かれる「セルマの大行進」なのだ。歴史の一コマの再現だけに、都合3度にわたる25,000人の行進は圧倒的な迫力で、観客もそのデモ行進の一員として参加しているかのような気持ちになる。

アラバマ州のセルマから州都モンゴメリーまでの約80キロに及ぶ抗議のデモ大行進で、これを指揮したのがキング牧師である。特に、初めのセルマのエドマンド・ベタス橋でのアラバマ州警察と民兵隊が、彼らに暴力を持って抑え込もうとする、こん棒による殴る蹴るの暴行と拳銃の乱射には本当に驚いた。それでも、2度目のキング牧師が先頭にたち行進するも、一時撤退の勇気の描写はお見事でした。その中には、白人たちも行進に参加して来て、白人の参加者が同じ白人に襲われて死亡するという悲惨なことにも。

この1965年のキング牧師の行進を軸に、彼の成し遂げたことを再現する映画には、当時の白黒ニュース映像も使われています。不幸にも後に暗殺される彼を中心に、1963年のバーミングハムの教会爆破事件から、少女たちの死をスペクタルのように見せる冒頭のあとでの場面には、強い抵抗を覚えましたが、それで評価が下がることはなかった。
状況を説明していく過程に演出として少しぎこちなさを感じるけれど、クライマックスの行進に向かってじわじわと思り上がる感動は圧巻でした。

製作総指揮も務めた黒人女性監督エヴァ・デュヴァネイの、信念と姿勢は、キング牧師の改革の静かな迫力と重なるところがあると思います。
そして、ジョンソン大統領とアラバマ州知事のウォレスにとっても、大勢の黒人たちの行進は、たとえそれが非暴力、沈黙のなかでおこなわれたとしても、そのやりとりなどを見ていると、対立を含むあらゆることに明白さが要求されるアメリカという国の仕組みが良く分かります。

中でも、アラバマ州知事のウォレスを演じたティム・ロス。本当に嫌味なヤツなのだ。黒人を差別するのはもちろんのこと、どこまで史実なのかは知りませんが、彼の大事な選挙民であるはずの白人の人たちにさえも「白いゴミ」と言い捨てるくらい嫌なヤツなのだ。というか、演技が上手いんですね。

ジョンソン大統領を演じるのはトム・ウィルキンソン。ケネディ大統領の後釜的なイメージが少しいい方にとれた。ウォレスを抑え込もうとするも、キング牧師と話し合いを続け、結果的にジョンソン時代に人権問題は大きく変化し展開していくのだから。
アメリカの黒人への差別と偏見については、ここへ来てまた表面化してきた感じがある昨今、誠に時と宣言を得た企画といっていいでしょう。アメリカの奴隷制度はリンカーンの奴隷解放宣言で終わったわけだはないことは、重々に周知の事実だが、それから約100年後の1964年にようやく公民権法が成立し、翌年の1965年に黒人の投票権法を認めさせた事実を忘れるわけにはいかない。しかも、その権利を手にするのにどれだけの犠牲が払われたのかも。
ラストに、橋での大行進が映し出され、コモン&ジョン・レジェンドによる主題歌「Glory」が流れる演出には、感動のあまり涙まで流れ落ちてしようがなかった。
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ジェサベル★★★

2015年08月19日 | DVD作品ーさ行
『ソウ』シリーズなどのケヴィン・グルタート、『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどの製作に携ってきたジェイソン・ブラムがタッグを組んで放つホラー。この世を去った母が残した不吉な予言が次々と実現するという、奇怪な現象に見舞われる女性の姿を追い掛けていく。『プリデスティネーション』などのセーラ・スヌーク、『13の選択』などのマーク・ウェバーらが出演。人気ホラーシリーズを支えてきた製作陣によって生み出される、渾身(こんしん)の恐怖描写に背筋が凍る。
あらすじ:事故によって、愛する夫と身ごもっていた子供が亡くなってしまったジェサベル(セーラ・スヌーク)。絶望に打ちひしがれる中、彼女は父が暮らしている家へと戻る。亡き母が自分のためにと残していたビデオテープを見つけ、それを再生しては母娘の懐かしくて楽しい思い出に浸っていたジェサベル。しかし、ビデオ内で母が予言していた不吉な出来事が実際に起こるようになる。次第に恐怖に駆られていく彼女だったが、その原因として過去のある事件が浮かび上がってきて……。

<感想>舞台となる南ルイジアナの、湖畔地帯にある一軒家という設定からして、いかにもなホラー映画らしいですよね。沼に淀んだ水面、住人たちのいわくありげな視線とか、ゴミ捨て場みたいな祭壇。供えられた動物の死骸など、飛び出してくる要素は悪くはないのだが、湿度と臭気がなんとも言えませんね。
米南部系のホラーは、それらが恐怖や不安とガッチリと結びついてくるだけに、少しばかり残念な気もした。

「リング」かしらと思わせるビデオテープの登場を発端に、「何がジェーンに起こったか?」みたいな身動きが出来ない状況に置かれた、ヒロインの受難が始まるのだが、途中からホラーというよりは謎解きな展開になって来ている。
登場人物が、明らかに話を進めるためだけに取らされている行動も、いくつかあって首をひねるのだけど、ルイジアナの風土を取り込んだその意味では、「ジェーン~」というよりも「ふるえて眠れ」の画面の空気が面白い。

蛇口から黒い水が出るのも「仄暗い水の底から」を思い出させます。母親の部屋で事故の後の身体を休めている娘は、実は養女で、同じ名前で「ジェサベル」と書いてある箱を発見し、内心喜ぶ娘。亡き母が残してくれたビデオテープだと思っていたら、それは大きな間違いでした。車椅子で身動きが取れないのが、怖さをいっそう引き立ててくれます。

彼女は毎夜のごとく悪夢を見てウナされ、その中に死人のような少女や焼けただれた男が登場します。このシーンはグロテスクで、怖かったです。亡き母親のビデオテープを燃やそうとした父は、ジェサベルの目の前で焼死。
そこへ、高校の同級生で元カレのプレストン登場して、プレストンは結婚しているが、まだジェサベルを愛しているのだ。心強い味方が現れて、2人で真相を探っていくうちに、あの暗い湖の沼地帯へと舟を進めていくのです。

そして、ジェサベルにたたみかけるような恐怖が襲い掛かるのです。
主人公をめぐる黒人たちとの関係は、その立場が逆である場合は、アメリカの歴史のなかではあり得なかったし、今でもそうだろうという気がします。

とはいえ、粒子の粗いビデオテープに残された美しき亡き母親の姿にゾッとくるし、「ジェサベル」という名前のヒロインが感じていた母親からの愛情がまったくの思い違いだったという展開には、無惨で悲しすぎる。

母親が、黒人の牧師モーセと不倫をして身籠った赤ん坊を、怒り狂った夫が殺して湖沼地帯に埋めたお墓が物悲しく、宗教上の呪い恨みから養女として貰われてきたヒロインが辿る運命が、気の毒でならない。
突っ込みどころはあるにはあるが、ホラーとしての怖がらせ度が満点なので最後まで観られました。主人公のジェサベルを演じた「プリデスティネーション」のセーラ・スヌークの幸の薄い演技も良かったです。
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アナベル 死霊館の人形 ★★★

2015年08月19日 | DVD作品ーあ行
実在の心霊研究家夫妻が体験した不吉な出来事を描いた大ヒットホラー『死霊館』のスピンオフ。同作に登場した人形アナベルを手に入れた夫婦が遭遇する壮絶な恐怖と、呪いのアナベル人形誕生の秘密を描く。『死霊館』で監督を務めたジェームズ・ワンが製作に回り、同作で撮影を担当したジョン・R・レオネッティがメガホンを取る。テレビドラマ「THE TUDORS ~背徳の王冠~」シリーズなどのアナベル・ウォーリス、『パッション・フィッシュ』などのアルフレ・ウッダードらが出演。
あらすじ:出産が近いミア(アナベル・ウォーリス)は、真っ白なウエディングドレスを着た美しいビンテージ人形を夫ジョン(ウォード・ホートン)からプレゼントされる。ある夜、二人はカルト集団の男女の襲撃を受け辛くも命は取り留めるが、人形に恐ろしい呪いがかけられてしまう。 やがて、待望の子供が生まれ二人は新生活をスタートさせるが、人形をめぐり次々と不可解な現象が起こり……。

<感想>恐怖の人形アナベルはコネチカット州にあるウォーレン夫妻のオカルト博物館に秘蔵されている。これは以前「死霊館」を見て、そこに置いてあったガラスケースの中の人形がこの物語なのだ。これは「死霊館」のスピンオフ的作品と言っても良い。
アナベルは悪魔の呪われた人形だった。
1969年、アメリカ、カリフォルニア州。チャールズ・マンソンに率いられたカルト教団が引き起こした連続殺人で世間を騒然とさせた。そんな中で、身重の妻へのプレゼントとしてアンティークショップから買われてきた古びた人形。その人形には悪魔教団の恐るべき呪がかけられていた。この世に悪魔を召喚すべく、血が流された結果、アナベルは恐ろしい魔力が宿ったというわけ。生まれた赤子を狙って、悪魔のよりしろと化したアナベル人形は、若妻ミアにその魔の手を伸ばすのである。
怪奇現象に悩まされた若夫婦が引っ越してきたのが、大きなマンションで、その地下には「ローズマリーの赤ちゃん」に登場する同様の洗濯スペースと金網のゴミ捨て場の物置がそっくりである。

それに、冒頭では狂気の悪魔崇拝カルトメンバーによる凶行が登場して、カルト自体の影はその後なりを潜めてしまう。「チャイルド・プレイ」のチャッキー人形ほど怖くは有りません。アンティーク・ドールということもあり、ボロイ人形で、こんなの気持ち悪がって手放しても、また誰かが買い取るという不思議な人形なのだ。
さて、この映画の主人公の名前がミア、さらに妊娠中の彼女がお隣のカルト教団に激烈バカたちに襲われるという。そんな「ローズマリーの赤ちゃん」へのオマージュに、まずは驚いてしまう。母性が生む強さや危うさをスリルへと転化するタッチも巧妙で、長回しを活かして不穏と不安を増長させていく恐怖描写もいい感じになっています。身重な身体で一生懸命に人形の恐怖と戦うミア、もしかして、流産でもしたらとヒヤヒヤするシーンもあります。でも、無事に生まれて良かったです。

ちなみにアナベルの顔面は、決して可愛いという代物ではなく、汚いし目が大きくて口がデカイので、いくらアンティーク人形でも私はいらないですから。ホラー性は低めですが、突然物が飛び出して来たり、勝手にミシンが動いたり、大音量のレコードが鳴り響いたりといったホラー映画特有の脅し方。
特に、乳母車で赤ん坊を乗せて、通りに乳母車が暴走して行くシーンでは、トラックが来て乳母車を撥ねてしまう。そんな、まさかと驚いてしまう。ですが、母親は予感がしたのでしょうね、赤ん坊を抱いて歩道に立ってましたから。

それに、Jホラー的な「いつの間にかそこにいる」という演出がまとを得た形で使い分けられる。最初の惨劇を見せる時の窓の使い方を始めとして、風の吹かせ方、照明の当て方、構図の取り方など、大事な場面ごとにきちんと工夫が見られ、クライマックスの実直なサスペンス演出も、ヒロインがシンプルにブロンド美人なのもいい塩梅ですから。でも、主人公を演じた女優の名前がアナベル・ウォーリスとは。
ミアが散歩中に本屋の前で立ち止まり、その本やの店主であるアフリカ系のアメリカ人女性エブリンに助けられる結末を見て、我が子を車の事故で亡くしてしまった黒人女性が、罪の意識に苛まれて心にいつも悔いが残っている。だから、ミアが、我が子を悪魔の餌食になるのを阻止するために、自ら窓の傍へ行き自殺をしようと試みるのを止めて、自分が犠牲になるという構図がよかったですね。ですが、神父さん、悪魔祓いできるのって、本当に思ってしまった。
そういえば、私の家にも古いドイツのオルゴール人形があるが、壊れかけて娘がゴミに捨てるところを拾い上げ、わたしの部屋に現在飾って置いてあります。
映画のように悪魔の呪いとかはありませんが、当分私が生きている間は大事に保存しておきます。捨てる時には、お寺とかでお祓いをしてから、1年に1回神社でそういった物を焼く行事があるので、そこにお願いしようかと思っております。
死霊館
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オープン・グレイヴ 感染 ★★

2015年08月18日 | DVD作品ーあ行
フェイク・ドキュメンタリー衝撃作『アポロ18』で注目されたゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ監督が、『第9地区』『エリジウム』『マレフィセント』の超個性派俳優、シャールト・コプリーを主演に迎え、『メメント』『アイデンティティ-』等、名作の宝庫と言える<記憶喪失スリラー>と、『28日後…。』『コンテイジョン』等ジャンル映画ファン必見の<終末世界感染パニック>を融合した。
感染者を凶暴化させるウィルスが蔓延する世界を舞台に、記憶を失った6人の男女の運命を描いたスリラー。
あらすじ:死体だらけの穴の中で目覚めた男は記憶をなくしており、自分の名前すらわからない。謎のアジア人女性が投げ入れたロープで穴から脱出した男は、近くに建物があるのを発見する。そこには先ほどのアジア人女性と3人の男、1人の女がいたが、彼らも一様に記憶を失っていた。アジア人女性だけは唯一、何かを知っているようだが、英語を話せずコミュニケーションをとることができない。やがて、森の中にある小さな小屋にたどり着いた彼らは、そこでウィルスに感染した中年女性を発見。謎が深まっていく中、6人は互いへの警戒心を募らせていく。

<感想>撮影監督のホセ・ダビ・モンテーロはこのストーリーの醸し出す独特の世界観を表現するため、近年主流のデジタルではなく敢えて35mmフィルムでの撮影を選択。前編をハンガリーロケで製作し、本作のキーである<死体の穴=オープン・グレイヴ>となる死火山の火口と、その麓にある軍の病院施設の廃墟群というロケーションから、荒廃した週末世界が生み出されたという。

主人公が記憶がない上に目覚めると死体だらけの穴の中という、これは記憶喪失スリラー×終末世界感染パニック映画になっている。
1人の女性、ジョシー・ホーが穴から出してくれるが、言葉が通じないというか、女は英語が話せないという聾唖者のようなのだ。ですが、女性には記憶が残っており何かを知っているようだった。
森の一軒家で、記憶を失くした人々が一堂に会すると言う設定は、流行のシチュエーション・スリラーとかループものでお馴染みですよね。そのお約束を踏まえた上で、次第に見ている側が予想しない方向へと展開していく。

ブラピ主演の「ワールド・ウォー Z」と同じようなシチュエーション・スリラーとは大違いで、実に単純でつまらない内容でした。どうしてシャールト・コプリーおっさんが、記憶を失くして森の中をうろうろしているのかが、問題でしたね。
仕掛けられた監視カメラ、家の周りの木に縛りつけられた遺体。カレンダーのある日にちに付けられた×印と〇印が、その〇印が18日だけに付けられていた。どんな意味があるのか?・だれも知らない。
映画の中盤あたりで本作の世界観が見えてくるのだが、つまり、主人公のシャールトおじさんが、感染者を普通の人間に戻すワクチンを研究して、そのワクチンを政府にデーターとして報告していたということ。それに、主人公の妻、息子なども一緒にここへ来て、感染者のワクチンを作るべく奔走していた。だが、そのワクチンも完全なものではなく、記憶が全部失くなってしまうという非常に惜しいワクチンなのだ。
森の中の家には食糧と水、薬品も揃っているし、暫くここを動かない方がいいのでは、なんて思ったのだが、皆はそれぞれ、家の外へ出て何かを調べ始める。それに、感染者たちが凶暴化してこの家の周りにうろうろと襲ってくる。

外には納屋があり、そこにはゾンビのような狂った女がいて、アジア女が食料を運んでいた。それに、皆が森の中を散策するうちに車を見つけて、ガソリンもないのに動かし車を走らせて行く内、大きな建物を見つけ、その中に少年が住んでいることが判る。そこは、病院だったらしく多くのベッドが並んでおり、少年は人間たちを恐れており近づかない。実はこの少年の母親も感染者で、お婆さんが車で助けに来てくれるのだが、最後はみんな感染してしまう。

一人の男が、有刺鉄線に裸で助けを呼ぶ男を発見して、救助に向かうもその男は感染者であり、助けてくれる男の首を有刺鉄線で巻いて殺してしまう。その他にも、森の中で暮らしている感染者ゾンビたちが、襲ってくるシーンも怖いですよ。
どうやら、何らかのウイルスに感染した人間たちの、隔離された墓場のようにも取れた。ここは、離れ小島で、感染者しか住んでいない。主人公は、そのウイルスのワクチンを見つけて、感染者に注射して元どうりの人間に戻す医者。

その唯一の免疫を持っているのが、アジア女のジョシー・ホー。だから凶暴化したゾンビのような感染者に噛まれたら、そのワクチン注射をすれば助かるというのだが、問題があって、記憶がすべてなくなるという代物とは。

しかし、キチガイになるよりはいいと、ゾンビに咬まれるとワクチンを打つが、その度にあの墓場のような巨大な穴に放り込まれてしまう。目が覚めて気が付けば、自分が誰なのかも記憶がないのだ。

この繰り返しを何回かするも、1カ月の18日にヘリで政府軍が来て、感染者の血液を採集したケースを渡す。渡せば確かにいいのですが、記憶がとん挫しているので、ヘリが来ても解らなく、救助のヘリだと思ってしまう。
しかし、マスクを被り黒い服を着た政府軍も、この島に隔離した感染者たちを全員抹殺しようとしていることが最後に分かるのです。
主人公のシャールト・コプリー家族は、隔離島へ派遣されて、ワクチンを発明し注射をして何とか数多くの人間をまともにしようと努力していた。ですが、そのワクチンが記憶を失くすという障害があり、何とも悲惨な結果に終わるのも仕方のないことだろう。最後も、たった一人生き残ったシャールト・コプリーおっさんが、墓場である穴の中で目が覚める。また始めっからやりなおしってこと。
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