パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

シュガー・ラッシュ:オンライン★★★・5

2018年12月31日 | アクション映画ーサ行

アーケード・ゲームの世界を舞台にしたディズニーの大ヒット・アニメ「シュガー・ラッシュ」の続編。天才レーサーのヴァネロペと心優しい悪役ラルフの親友コンビが、アーケード・ゲームの世界を飛び出し、インターネットの世界で繰り広げる大冒険を描く。声の出演はジョン・C・ライリー、サラ・シルヴァーマン、ガル・ガドット。監督は「シュガー・ラッシュ」「ズートピア」のリッチ・ムーアと、その2作では原案・脚本を担当していたフィル・ジョンストン。

あらすじ:アーケード・ゲームの世界に暮らす大親友のゲーム・キャラクター、ヴァネロペとラルフ。レースゲーム“シュガー・ラッシュ”の天才レーサーにして好奇心旺盛なヴァネロペに対し、心優しいラルフはいつも変わらぬ日常に幸せを感じていた。ところがある日、“シュガー・ラッシュ”のハンドルが壊れてしまい廃棄処分の危機に。そこでヴァネロペは、何でもあるというインターネットの世界で新しいハンドルを手に入れようと、ラルフと一緒にインターネットの世界へと飛び込んでいく。すると目の前に広がる見たこともないカラフルで巨大な世界にヴァネロペが大興奮する一方、ラルフはすっかり圧倒され戸惑うばかり。そんな中、オークションサイトで無事にハンドルを見つけたヴァネロペとラルフだったが…。

<感想>「ズートピア」を手掛けた監督が贈る6年ぶりのシリーズ最新作。大親友のラルフとヴァネロペが、アナログ・ゲームを飛び出して、刺激的なネット世界に入り込む。2人はちからを合わせて、世界を救うことができるのか。

アーケー・ドゲームの天才レーサー、ヴァネロペがインターネットの未知で不安な世界に魅力を感じ始め、保守的なゲーム世界の悪役キャラクター、ラルフを慌てさせる物語の構成はよく出来ていると思う。

新たな大冒険の舞台となるのは、インターネットの「中の世界」で、ひとつの巨大な「街」のようなコンセプトで描かれていた。ポップアップ広告や検索エンジンなどを擬人化したユーモラスな、新キャラがわんさか歩いているかと思えば、YouTubeやGoogleなどお馴染みのネットサービスが、アトラクション的に3D建築化されているデザインも楽しいですね。

実際のコンピューターの中身は「0と1」の数字が延々と並んでいる退屈な世界のはずだけど、それをここまでポップな遊び場にしてしまうのが2019年のディズニー・マジックなんですね。

ネットワークネットワークを視覚化するアイデア。ディズニー・キャラクターの夢のコラボと、遊び心たっぷりの小ネタも満載。日本語吹き替え版にて鑑賞。カラフルでネオンチックな街並みは、NYと東京を意識して作られていた。 

アイアンマンや「スター・ウォーズ」のストーム・トルーパー、ダンボの他、マーベルキャラクターのグルートも。ディズニーさん、ここまでやっちゃうの。今年急死したアメコミ界のレジェンドの姿も見られますよ。

壊れたハンドルはネット通販?・・・「シュガー・ラッシュ」のピンクのハンドルが故障したことにより、ゲーム内に大量の難民キャラが発生してしまう。ゲーム機が廃棄処分になる前に、ネット・オークション“ebay”に出品されていたハンドルを、誰よりも速く落札しようと、ヴァネロペとラルフは奮闘するわけ。ここでも知識のないラルフがオークションサイトで失敗し、ウィルスに感染するというパターン。

彼らはオンラインゲームでの盗難に失敗し、でもゲームのレーサーから動画サイトの運営者を紹介されて、ラルフは身体を張った面白動画を次々とアップして、お金を調達するわけ。

インターネット世界の舞台がマンハッタンから東京までも、模倣して華麗で、ディズニーキャラクターも続々と登場するのも夢があって良かった。

そして、あのプリンセスたちが大集合。ヴァネロペがディズニー・プリンセスの楽屋に迷い込み。彼女たちの私服をカジュアルにアレンジしてあげて意気投合する。「アナと雪の女王」の姉妹や、ラプンツェル、アリエル、ジャスミンらプリンセス14人が勢揃いします。

彼女たちがどんな活躍を見せるのかにも期待してね。吹き替え版で観たので、お姫様たちの声優さんたちも全部本物で登場してましたよ。

凄腕レーサーのヴァネロペは、「シュガーレース」のマンネリ化したレースにちょっと飽き気味でした。ネットの裏で見つけた、オンラインゲームの何でもありな超過激な「スローターレース」の、新たな夢を見つけたスリルに大興奮するヴァネロペ。

一方、新しいことが受け入れられず、ハンドルを手に入れ平穏な生活に戻りたいラルフ。ネット世界に入ったことで、距離が出来てしまった2人が辿り着いた答えとは。2人のこころの距離はどんどんと開いてゆき、彼らは無事にアーケード・ゲームに戻れるのか?続きは劇場でご覧くださいね。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・249  アクション・アドベンチャーランキング

 

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Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~★★★

2018年12月31日 | アクション映画ーマ行

英国の文豪チャールズ・ディケンズを主人公に、不朽の名作『クリスマス・キャロル』の誕生秘話をファンタジックなタッチで描いた伝記ドラマ。主演は「美女と野獣」のダン・スティーヴンス。共演にクリストファー・プラマー、ジョナサン・プライス。監督はTVドラマを中心に活躍するバハラット・ナルルーリ。

あらすじ:1843年、ロンドン。かつてはヒット作を連発していたチャールズ・ディケンズも今やすっかり落ち目となり、経済的にも苦境に陥っていた。次回作での起死回生を目論むディケンズは、アイルランド人のメイド、タラが子どもたちに語って聞かせるクリスマスの物語をヒントに新作の構想を練り始める。そして偶然出会った老人の“くだらん”という言葉にインスピレーションを得て、偏屈でケチな老実業家という主人公のイメージが固まっていく。出版までの期限が迫る中、主人公の名前を考えていた彼が“スクルージ”とひらめいた時、目の前に主人公の老人が現われる。次第に筆が進み始めるディケンズだったが…。

<感想>こちらは英文学作家のチャールズ・ディケンズがいかにして「クリスマス・キャロル」という名作を誕生させたかという物語です。若くしてベストセラー作家となったディケンズだが、1843年、ロンドンに暮らす31歳当時は、概に落ち目になっていたという。

3作品は当たらず、家族を抱え生活は苦しくなっていくばかりなのに、出版社には原稿料の前金も出し渋られるという切迫状況。次作での起死回生を目論むものの、日程はギリギリで自費出版するしかない。資金繰りがどうにかなったとして、肝心の作品は?・・・と構想を練る作家の頭の中の覗けるが本作の面白いところ。

ご存知のように「クリスマス・キャロル」は守銭奴の男3人の亡霊が現れ生き方を変えさせる話であるのだが、人生を知り尽くした大作家ディケンズが、下々の庶民に苦言を呈した指南書であるような気がしていたのだが、本作を観るとどうも違うらしい。

彼自身が長年胸に巣食うトラウマと戦い、必死に救いを求めていた結果だったことがわかる。金にだらしなくトラブルメーカーだった父親。極貧の少年期に靴墨工場で働き家族を支えなければならなかった過去。

彼にとってこの新作を執筆することは、自分の人生と向き合うことであり、当時暗いイメージだったクリスマスを、明るい光を灯す日に変える役割を担っていたのだった。

小説と同じようにディケンズの周りには3人の亡霊が現れる。亡霊といってもおどろおどろしいものではなくて、コミカルで作家に助言を与える友人のような存在なのだ。

創造する者の試行錯誤の象徴だが、生みの苦しさと興奮を視覚化したものに見えて、とても楽しいのだ。またクリストファー・プラマー演じる守銭奴スクルージの重々しいけれども何処か滑稽なキャラクターや、プラマーが画面に登場する度に、画面に躍動感が生まれてきて作品に深みが生まれているのも、その1つと言って良いのかも知れない。若々しくアクティブなディケンズを見せてくれたダン・スティーブンスも素晴らしかったですね。

2018年劇場鑑賞作品・・・248  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アリー/ スター誕生★★★★

2018年12月29日 | アクション映画ーア行

これまでにも何度もリメイクされてきた1937年の名作「スタア誕生」を原作に、世界的歌姫レディー・ガガが映画初主演を果たし、相手役を務める「世界にひとつのプレイブック」「アメリカン・スナイパー」のブラッドリー・クーパーが記念すべき監督デビューを飾った感動の音楽ドラマ。歌手を夢見る一人の女性が、国民的人気ミュージシャンに見出されたのをきっかけに、瞬く間にスターダムへと駆け上がっていくさまと、その中で皮肉な運命が交差していく2人の間に芽生えた愛と葛藤の行方を、レディー・ガガの圧巻のパフォーマンスとともに描き出す。

あらすじ:ウェイトレスとして働きながらも歌手を夢見るアリーだったが、なかなか芽が出ず自信を失いかけていた。そんな時、場末のバーで歌っていたアリーの前に、世界的ロックスターのジャクソンが現われる。彼はアリーの歌声に惚れ込み、彼女を自身のコンサートに招待する。そして、いきなり大観衆が見つめるステージにアリーを呼び込み、一緒にデュエットを披露し、観客からの喝采を浴びる。これをきっかけにアリーは一気にスターへの階段を駆け上がっていくとともに、ジャクソンとも深い愛情で結ばれていくのだったが…。

<感想>これまで3度も映画になった「スター誕生」の物語が、最高のコンビで新生した。類まれな歌の才能を見出され、スターへの道が開けるヒロインに、レディー・ガガが、映画初出演。

独りの女性の劇的な変化を、映画初出演とは思えない繊細かつ大胆な演技で表現して見せた。そして愛した女性の才能を育てるも、自らはスターの地位を失う男にブラッドリー・クーパー。

本作は彼が初監督を務めたことでも話題になった。さらには、全編を彩る名曲の数々では、レディー・ガガの圧巻のパフォーマンスはもちろんのこと、ブラッドリー・クーパーの歌唱力にもおどろかされた。2人の出会いから、幸福な愛の日々、新たなスターが誕生する瞬間、そして切実な運命まで、濃密なラブストーリーとして王道の感動を届ける作品でもあります。

主人公のアリーは、歌手を夢見る女性。昼間はウェイトレス。夜はバーで歌う生活を続ける女性。バーを訪れたジャクソンに才能を認められ、スターへの階段を駆け上がる。ジャクソンを深く愛するようになり、彼と結婚。

世界的なシンガーのジャクソンは、巨大コンサート会場を満員にするほどの人気ミュージシャン。愛するアリーが有名になっていく一方で、かつての輝きを失い、アルコールとドラッグに溺れて身を滅ぼしてゆく。

全編にわたって、ガガのパフォーマンスは圧巻の一言であります。バーのカウンターも自在に使って歌い踊る姿で魅了するジャクソンとの出会いの曲「ラ・ヴィ・アン・ローズ」から、切々と歌うバラード「アイル・ネヴァー・ラヴ・アゲイン」まで、名場面のオンパレード。

最初に主演とされていたのは、「ドリームガールズ」でも歌声を披露していた女性シンガー、ビヨンセ。だが彼女の出産で撮影が中断。その後、ギャラの問題などで彼女が降坂して、レディー・ガガ様の主演に。

監督・主演のブラッドリー・クーパーが、ギター演奏にも挑戦。元々。音楽好きだったクーパーは、ライブのシーンでも代役なしで自演。自身のボーカル・コーチだけでなく、ガガ様のコーチからも発声指導を受けて、本格的な歌唱法をマスター。ギターは、彼が敬愛するニール・ヤングを手本にして練習を重ねたそうです。

当初はクリント・イーストウッド監督の予定だったが、彼の降坂後に、クーパーが監督の座に就く。「アメリカン・スナイパー」の監督と主演として親交を深めていた彼が、巨匠の精神を受け継いだということになる。

物語は新たな視点で2人の家族にも焦点を当てている。2人の出会いとその後の運命など基本は1976年版と同じ。しかしアリーと父親、その悪友たちとの関係や、ジャクソンの父親の墓がある土地を、彼の兄が勝手に売り払うというエピソードは本作のオリジナルである。作り込まれた人間ドラマが感動を盛り上げていく。

ジャクソンのライブシーンは、ウィリー・ネルソンらが出演した音楽祭のステージを4分間だけ借りて撮影。観客もこのサプライズに熱狂したそうです。他にも、シュライン・オーディトリアムなど伝統のあるホールを使い、臨場感満点のライブ映像が完成した。

劇中でガガ様とクーパーが歌ったほとんどのナンバーは、彼ら自身が作詞作曲を手掛けており、そのどれもが耳に残る名曲揃い。34曲を収録したサントラは、米ブルボードのアルバム・チャートで3週にわたって、1位になるなど世界的な大ヒットを記録中です。

それに、この映画そのものが「失うことについての物語」として描がかれていること。美しくて残酷で悲しい、胸に迫る作品。特にラストシーンでは、ヒロインが悲しみを乗り越えて、自分自身として前を向く決意を見せる彼女が、亡き夫のジャクソンに捧げる追悼ライブ公演で、アリーが歌った歌が素晴らしいです。

2018年劇場鑑賞作品・・・247  アクション・アドベンチャーランキング

 

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生きてるだけで、愛。★★★

2018年12月29日 | アクション映画ーア行

人気劇作家兼小説家の本谷有希子の同名小説を「水の声を聞く」の趣里と「あゝ、荒野」の菅田将暉の主演で映画化した恋愛ドラマ。自意識が空回りしてエキセントリックな言動を繰り返すヒロインと、すべてを諦め何事も受け流すだけの男の不器用な愛の行方を描く。共演は仲里依紗。監督はCMやミュージックビデオを中心に活躍し、本作が長編劇映画デビューとなる「太陽の塔」の関根光才。

あらすじ:津奈木と同棲して3年になる寧子だったが、鬱のせいで過眠症になり、家事もせずに引きこもり状態が続いていた。一方、週刊誌の編集部で働く津奈木も仕事にやり甲斐を感じることもなく、夢を早々に諦め淡々と日々を送るだけ。寧子が感情のままに理不尽な態度を取っても静かにやり過ごすばかり。それがさらに寧子を苛立たせてしまう。そんなある日、寧子の前に津奈木の元カノ安堂が現われる。津奈木に未練いっぱいの安堂は2人を別れさせようと、寧子の社会復帰に向けて世話を焼くのだったが…。

<感想>ほんの一瞬だけでも、分かり合えたら。「勝手にふるえてろ」で非常に印象的な演技をした趣里の初主演映画である。躁鬱の人があんなに走れるのかどうかは分からないが、「私はわたしから離れられない」と言う台詞にある通り、病気により自分を持て余している様の在り方は、非常に切なく、見ていて気の毒になった。

これはやはり趣里の映画であった。走る時のあのアキレス腱、あの裸体、趣里の演じる寧子に魅せられてしまった。部屋から抜け出せないヒロインには、“やりたいこと”がない。そして、部屋の外では、”やりたいこと“をやれないでいる。人世における選択技が彼女に無いことは、スーパーの場面や弁当を選ぶ場面がメタファーになっている。

趣里は言葉の区切りとか、苛立ちを表現するのにテンポとリズムでそれを表現してみせていた。赤い衣を纏った激情の女と、不器用な物書きの男という二人が、まるで「ベティ・ブルー」の男女関係を想起させるのも良かった。

相手役津奈木を演じる菅田将暉くんは、素顔は古風な文学青年、だが現実は「悪名高い雑誌」と記されているゴシップ誌の編集部に勤め、不本意な仕事を黙々と従事していた。

だが、映画の中では彼なりの意思と意見を与えている。システムに抑圧された羊のような覇気のなさには、爆発寸前の衝動が蠢いている。そんな津奈木にとって、いちいち社会のコードを破ってしまう寧子には、本人の困難とは別に規格外で自由な面白い生き物として、時に詩的な輝きを持って映っているのだ。

津奈木が寧子を好きになった理由が解りやすいのだ。そして津奈木の心情は、必然的に関根光才監督と多くの部分でシンクロしているように思われる。

津奈木は、躁と鬱の狭間で揺れながら“生きているだけで疲れる”人生を送っている寧子の同棲中の恋人。自身の不安定さ、生きづらさを持て余す寧子の怒りを日々ぶつけられるも、それをほぼ無言で受け止め決して深入りしないのが津奈木なのだ。

そんな津奈木の内にあるものは、寧子の視点から語られることはあまりはっきりとはしなかった。しかし、あのクライマックスでの屋上のシーンで、普通だったら寒さでパフォーマンスなんて出来ないくらい厳寒の中で、趣里ちゃんの尋常じゃない集中ぶりに目を見張ってしまう。趣里はすべての服を脱ぎ捨て裸になるのだ。

ここで寧子が津奈木に対して文字通り剥き出しのまま、本当に剥き出しの想いをぶちまけ、それに対して津奈木も初めて心の内を言葉にする。鬱の同棲相手と付き合って行く内に、かつて見たことのないほどの鬱になる菅田将暉くんであるが、何故にその相手の寧子を見捨てないのか。愛というよりむしろ彼は彼女が躁鬱の躁のサイクルになるのを待っているのであった。

あたしがあんたと繋がってたと思える瞬間、五千分の一秒を共有する重要なシーン。超自己中の他力本願女ともいえる寧子、躁鬱を抱えているのだが、このヒロインには他人まで鬱を移しかねない鬱陶しいパワーがあり、しかもブレないのだ。傷つきやすいくせに他者の痛みには鈍感なこの女を、映画はイイコ、イイコするように撮っているが、観ていて感動するようなイイコではなかった。何だか腹が立つ。

元カノ役の仲里依紗は、社会適応しながらエキセントリックな怪電波を放つお姉さんで、寧子の類似性が津奈木の恋愛傾向を端的に示している。

その他にも、田中哲司や西田尚美など、達者な演奏者たちが、各々のパートを固める盤石のバンド的編成。全体の語りはいわゆる新人監督の長編劇映画デビュー作と思えぬほど安定していた。

 

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マイ・サンシャイン★★・5

2018年12月26日 | アクション映画ーマ行

長編デビュー作「裸足の季節」でアカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど世界的に高い評価を受けたトルコの新鋭デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督が、ハル・ベリーとダニエル・クレイグを主演に迎えて初の英語作品に挑んだサスペンス・ドラマ。

あらすじ:様々な事情で両親と暮らせない子どもたちを育てているホストマザーを主人公に、1992年に起きた歴史的なLA暴動に巻き込まれた主人公とその子どもたちの運命を描き出す。

<感想>1992年のロサンゼルス暴動を背景に、家族と一緒に暮らせない子供を引き取って育てているホストマザーの一家と、その隣人を描く社会派ドラマ。主演は、「キングスマン・ゴールデン・サークル」のハル・ベリーと、「007 スペクター」のダニエル・クレイグ。年長の子供たちには、ラマー・ジョンソン、カーラン・ウォーカー、レーチェル・アヒルソンが扮してストーリーを牽引している。

まずハル・ベリーの自分が産んだ子供でもないのに、たくさんの幼い乳幼児から15,6歳になるまでの子供たちを育てているのに驚く。しかし、ミリーのように新しい家族の形を模索する、民衆がいることがアメリカの救いなのだろう。確かにお金は一人あたり政府からいくらか貰っているのだろうが、経済的はともかくとして、大きくなると問題児が増えて気苦労が絶えないのだ。

もう一人、隣人というか,2階に住んでいる独身のオビーを、ダニエル・クレイグが演じており、なにも彼でなくても良かったのになんて思ってしまった。

この作品の原題が「KINGS」という映画の題名からして、92年のLA暴動のきっかけとなった、ロドニー・キングを意識し、人種や貧困の問題が深刻化する現題では、さらに多くのキングがいることを意味していると受け止めていいと思う。けれども少女から女性になる季節を、瑞々しく描いた監督デビュー作の「裸足の季節」とは勝手が違ったようですね。

子供たちはともかくとして、主人公のミリーと隣人オビーについては、脚本での掘り下げ方が浅かったようだ。と言うのも、この2人は、嫌いではないようで、ミリーはオビーを愛しているように見えた。だから、この二人はよく警察に捕まり、電灯に両腕を手錠で縛られて身動きが出来ない状態が何度もある。いちゃいちゃとしているようにも見て取れた。コメディのような、このような恋愛劇はいらないと思うのだが。

小さな子供たちが表で遊ぶのに対して、夕ご飯の時間になっても家に戻らない子供たち、その子供たちを叱りとばして、家の中へ入れないミリー。暫くして心配になり、外へ子供たちを探しに行くも、何処にもいないのだ。そのころ子供たちは、ミリーに叱られて、腹をすかしては、近所のスーパーへ万引きに入り、お菓子やら食べ物、飲み物を盗んでしまうのだ。そのような鼬ごっこみたいな行動が多いが、これは貧しいからだろうか、それとも、仕方なくそうするしか生きられないからなのかも。

ある日、ミリーは母親が逮捕された少年ウィリアムを保護するも、さらに家族の面倒を見ている年長者のジェシーが淡い恋心を抱いている高校の同級生ニコールにも、救いの手を差し伸べて一緒に住むようになる。とにかく家の中は狭いのに、ギュウギュウ詰め状態であり、小さい乳幼児はともかくとして、5,6歳の子供たちが手に負えないのだ。

1992年、前年に起きたロドニー・キング事件とラターシャ・ハーリンズ射殺事件への判決がでるが、ラターシャにいたっては、万引きのような仕草を見せる彼女も悪いのだ。店の主人は、ついオレンジジュース1本だが、ポケットの中へ入れたのを見ていたので、お金を払わないと思い、つい銃に手をつけて、射殺してしまう。

あまりにも突然のことで、何しろ、万引きが日常茶飯事なのだから、きっとスーパーの主人は目を白黒して疑ってしまうのだ。裁判での判決が、あまりにも不公平な判決に、LAのサウスセントラルでは暴動が勃発した。スーパーやお店から無断で品物を盗んで喜んでいるやつら。奇声を上げて、まるでキチガイのようでもあった。

ミリーたちの家族というか、子供たちもその暴動に巻き込まれていく。ウィリアムと、ジェシー、それに、女の子のニコールが車を強奪して暴動から逃げようとするも、ウィリアムがニコールとセックスをしているのを見つけたジェシーが、嫉妬して、ウィリアムを地面に落ちているガラスの破片で腹を刺してしまう、それが大出血で、苦しむウィリアムを病院へと運ぼうとするも、救急車を呼んでも黒人と聞くと救急車は来てくれないのだ。それで、ウィリアムは命を落としてしまう。

最後がコメディのような、ミリーとオビーが電柱に手錠で縛られて身動きが出来ない状態。その横では、警官たちと暴動した人たちが拳銃で撃ちあいするし、とても危ないし、流れ弾に当たったら、死にぞこないだろうに。

 

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斬、★★★

2018年12月23日 | アクション映画ーサ行

「鉄男」「野火」の塚本晋也監督が初の時代劇に挑んだ作品。江戸末期を舞台に、人を斬ることに疑問を持つようになってしまった若い浪人の葛藤を通して、暴力の本質に鋭く迫っていく。主演は「愛の渦」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の池松壮亮、共演に蒼井優、中村達也、前田隆成。また塚本監督もメインキャラクターの一人として出演し、迫力の殺陣を披露している。

あらすじ:開国か否かで大きく揺れる江戸時代末期。若い侍・杢之進は喰うために藩を離れ、農村で農家の手伝いをして糊口を凌いでいた。武士としての本分を果たしたいと思いながらも、隣人のゆうやその弟・市助らと穏やかな日々を送る杢之進。そんなある日、剣の達人である澤村が村にやって来る。仲間を集めて京都の動乱への参戦を目論む澤村に腕を見込まれ、一緒に行こうと誘われる杢之進だったが…。

<感想>池松壮亮くんの演じた本作品は、時代劇でもあり、戦争ものでもあり、現代劇でもある。都築杢之進を演じた池松壮亮くんは、浪人で農家の手伝いをしていて、日々の食事を賄われているのだ。250年続いた徳川幕府には大きな変化が訪れており、倒幕か佐幕か、都築杢之進のいる山間部もまた、いやおうなくその波に飲み込まれていく。

浪人や百姓の身分から京に上って、一旗揚げようと目論む青年たちの姿には、浪人澤村次郎左衛門が田舎に来て、倒幕のため、京都の動乱への参戦を持ち掛けるためであり、時代的な背景はあまりはっきりとは描いていないのだ。

 冒頭でのまだ戦乱の匂いがしない穏やかな田園風景に、蒼井優演じる農民の娘が、弟の一助を「ごはんよ」と呼ぶ声が普段の、のんびりとした日々のことのように聞こえた。

この映画の監督である塚本晋也監督が、今回も脚本・制作・撮影に、浪人澤村次郎左衛門という役者としても出演しているのだ。「沈黙 サイレンス」(17)で、モキチの役をした素晴らしい役者でもあります。もっとも驚いたのは監督・制作・脚本・撮影・出演の「野火」(15)で、戦地の中で幽霊のように彷徨う田村を演じた、塚本晋也監督の渾身の演技には驚いた。

この映画の中でも、やはり塚本晋也監督が扮している浪人の澤村次郎左衛門という人物が、池松壮亮演じる都築杢之進と出会い、青年のボクトツとした性格と戦い方における凄まじさに惚れて、京へ一緒に向かおうと誘うのだ。

だから、始終、杢之進の傍に付ききりで彼を絶対に京へ連れて行こうと熱心に問うのだが、本人は木刀での試合には飛び切り立派な侍としての刀の殺陣を見せつけるのだが、本心は良く分からないのだ。

蒼井優ちゃんが、田舎の百姓の娘で、弟が杢之進に剣術の稽古をしてもらい、侍のように京け上がって活躍したいと願っているのを知っている。だが、村の百姓の男たちよりもかっこいいからなのか、若い浪人の杢之進にも惚れているのがよくわかる。

だが、確かにその内面では複雑であり、シーンごとに感情をむき出しにして、杢之進と唇を重ねるシーンでは、ゆうは杢之進の指を噛んで首を絞めるという不思議な行動をとる。それと、浪人集団に強姦されるシーンでも、泥にまみれてエロイが、杢之進が私を助けてくれると信じている女心もいじらしい。

そして、杢之進は刀を手にして、研磨を積むも「果たしてそれで本当に人を殺めることができるのか」と苦悩する。

だから、村に無頼の浪人集団に襲われるシーンでは、村の人たちや娘たちに乱暴を働く男たち。復讐をしてくれと頼まれるも、それに対しても、その荒くれものたちを、木の切れっぱしで倒してしまうのだ。情けないやら、観ていて歯がゆくなってくる。

浪人集団に立ち向かう百姓の一助が、暴行され大けがを負う。そこで、あてにしていた杢之進がさっぱり動かないので、澤村次郎左衛門が一人で斬って斬りまくり殺してしまい、村の英雄になってしまう。だが、すぐさま浪人集団は他にも大勢いたので、舞い戻ってくる。さぁ、どうするのか杢之進は、自分も働かなければみんな殺されてしまう。

一助と両親を殺されたゆうは、「仇をとって、あなたがやって下さい」と頼む。今度ばかりは杢之進が助けてくれると信じていたのに、非暴力主義者というのか、真剣勝負というか、刀で人を殺すということが出来ない杢之進は臆病者なのかも。しかし、実際にはやはり人を殺すという行為に迷いながら、自分も身体を相手に切られて傷を負ってしまう。

ゆうが、その乱暴男たちにレイプされるのを見ても、助けようともしない。澤村次郎左衛門一人ではどうにもならないし、「なぜ、人は人を斬るのか!」、悩む浪人杢之進は、自我を奮い立たせようと刀を見つめて自慰行為をするというシーンもある。実際には見せてはいないが、あれはきっとそうだと思う。

「誰かを殺せば、また誰かが仕返しに来る」そんなことの繰り返しではないのかと、問いかけるのだ。確かに復讐の連鎖は、止まることはないのだが。こんな時代にそんなこと言っても、やらなければ殺されるだろうに。

澤村次郎左衛門が人を刀で殺した死体が転がり、鮮血と肉片が飛び散っているグロイシーン。何をしている杢之進よ、目には目だろうが、自分も斬られているのに、それでは無駄死にだろうが、せい一杯戦って死ぬのならば男として立派だと思うのだが。

魂を抜かれたような杢之進は、幽霊のような身体で澤村に言う言葉が「私も人を斬れるようになりたい」と叫ぶ。そして、森の中へと消えてゆく杢之進の後ろ姿は、非暴力主義者である続けることの困難さを突き付けているようだった。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・244  アクション・アドベンチャーランキング

 

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テルマ★★★

2018年12月23日 | アクション映画ータ行

「オスロ、8月31日」「母の残像」のヨアキム・トリアー監督が、敬虔な家庭に育った少女のイノセントで危険な能力が戦慄の悪夢を引き起こしていくさまを詩的かつ幻想的に描いたサイコ・ダーク・ファンタジー。主演は一躍ノルウェー期待の若手女優となったアイリ・ハーボー。共演にカヤ・ウィルキンズ、ヘンリク・ラファエルソン、エレン・ドリト・ピーターセン。

あらすじ:信心深く厳格な両親のもとで育ったテルマは大学生になったのを機に、地元の田舎町を出てオスロでひとり暮らしを始める。ある日、大学で勉強していたテルマは、突然激しい発作に襲われる。その時、外では鳥たちがガラスに激突する異変が起きていた。病院で検査したものの、原因は分からず不安が募るテルマ。そんな中、同級生のアンニャと親しくなり、生まれて初めての刺激的な体験を重ねていくテルマだったが…。

<感想>ノルウェーからの本作は、北欧の新たなる才能、監督のヨアキム・トリアーは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「メランコリア」の世界的な鬼才ラース・フオン・トリアーの甥っ子であります。15年の家族劇「母の残像」に続いて取り組んだ本作では、SFホラー的な新境地に挑み、確かな演出力を印象づけていた。アカデミー賞外国語映画賞のノルウェー代表作品に選出され、今後の国際的な活躍が期待される北欧の俊英でもある。

都会の大学に通うために田舎の実家を離れて、一人暮らしを始めた少女テルマを主人公にした、ミステリアスなドラマ。生活環境の変化や、同級生の女の子への恋を経験し、内に秘められた超自然的なパワーに目覚めていく、テルマの不安や混乱を描いている。

幼少期のテルマと父親が凍った湖の上を歩き、雪に覆われた森の中で鹿と出くわすオープニングから始まり、美しい映像に引き込まれる。さらには、大学キャンパスの上空を飛ぶ鳥の群が、突然荒れ狂うように落下して、窓ガラスに突撃する。図書館で勉強中のテルマが発作を起こす場面など、超常現象の描写もじつにユニークかつスリリングであります。

テルマと同級生のラブシーンも含め、始終、観る者の胸を“ざわめかせる“作品でもある。というこの映画を、ドキドキハラハラしながら、つまり完全に巻き込まれた状態で最後まで目が離せませんでした。

少女から大人へと変わりゆく微妙な年頃を生きるヒロインの成長物語に、超能力というモチーフを絡めた映像の世界は、不穏な緊迫感が張り詰める一方で、繊細にして瑞々しい情緒が息づいている。

あれっと気が付いた。ストーリーを形成する要素を描きだすと、「思春期」「恋愛」「宗教」「背徳」「家族」「遺伝」「幼少時」「常人ならざる力」と、こんなあんばいになるのだ。

そして、それらを描くにあたって、「水」「鳥」「風」、、、もっとあるけれども、そのようなモチーフが多々使われている。これはちょっと、定番すぎるでしょうに。いくらなんでも、ホラーでさんざん使われてきた要素をギュと集めたような、もはや「ホラーあるある」みたいな感じがした。

それがどこまで伝えてどこから伝えないのか」という押し引きのセンスが微妙なせいだと思います。

やがて、本当の自分を探し求めるテルマが、信心深い両親と向き合うクライマックスでは、衝撃的な展開が見られます。つまり自己に備わっているSF的な超常現象が現れるのも。つまり「X-MEN」的な超能力者ということも。

幼い頃に、弟が生まれて、両親はその赤ん坊を可愛がるのを見て嫉妬を覚え、家の前の湖の中へ沈めてしまう。その前にも、泣きやまない弟をソファの下に潜り込ませたり、いらないもの扱いをする姉のテルマ。それはまるで魔女か悪魔のようでもある。

青春、SF,ホラーといったジャンルの要素が入り混じりながらも、独創的な神秘と戦慄に満ちる映画体験は是非劇場でご覧ください。

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かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-★★★

2018年12月20日 | アクション映画ーカ行

地域密着の地方鉄道をめぐって繰り広げられる人々の心温まる物語を描く“RAILWAYS”シリーズの第3弾。鹿児島県と熊本県を結ぶ“肥薩おれんじ鉄道”を舞台に、愛する人を失った血のつながらない3人の家族の再出発を描く。主演は有村架純と國村隼、共演に桜庭ななみ、板尾創路、青木崇高。監督は「キトキト!」「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の吉田康弘。

あらすじ:夫の修平とその連れ子の駿也と東京で幸せな日々を送っていた晶。しかし夫が急死し、悲しみに暮れる駿也を抱え途方に暮れる。やがて晶は駿也を連れて鹿児島に一人で暮らす義父・節夫を訪ねる。鉄道の運転士として仕事一筋で、家族を顧みずに生きてきた節夫は、戸惑いつつも亡き息子の妻と孫を受け入れ、3人のぎこちない共同生活が始まる。そんな節夫との生活の中で、いつしか亡き修平の子どもの頃の夢であり、電車好きの駿也のためもと、運転士を目指すと決意する晶だったが…。

<感想>“RAILWAYS”シリーズの第3弾。このシリーズ、思いがけないローカル線が舞台になるのが何よりもうれしいですね。前作も鑑賞ずみで、とても良かったので今回も鑑賞。主人公のシングルマザー役の有村架純さんと、鹿児島の実家で暮らす義父の國村隼さんの演技に、今更ながらにベストマッチであったことが良かったですね。

もう一度つくれますか?いちど失くした家族。というナレーションに、結婚した相手が突然の死で、途方に暮れる晶。経済的な理由もあり、自分の産んだ子供でもないのに、一生懸命にその息子のために彼の実家へ戻り、息子の大好きな鉄道の運転士になるという物語。

知らない土地で、愛する亡くなった夫の家族と共に生きる決心をする女性の生き方は、観ていて素晴らしい。新しい仕事を探すうち、義父が務める肥薩おれんじ鉄道の採用試験を受けることになる。晴れて運転士候補生となり、晶は懸命に研修に打ち込むのだが、ある日のこと、線路に立ち往生している鹿を発見するも、ブレーキが間に合わずにその鹿を轢いてしまう。鹿が苦しんでいる姿を見て、パニックになり身動きが取れなくてブルブルと震える晶。そのことで、自信をなくすのだが、みんながいい人たちばかりで、そのことにあまり触れずに応援してくれる有難い大人たちだ。

しかし、有村架純さんが、電車の運転士という新たな役に挑戦して、肥薩おれんじ鉄道での運転士としての、作業を覚えるのは難しかったと言うのだが、それも難なくやり遂げている。

晶は、自分の運転する電車に息子の駿也を乗せ、喜ぶ顔が見たかったのでは、というか、母親としての意地があったと捉えている。ですが、學校では「半成人式」というイヴェントがあり、生徒たちに作文を書かせている。

だが、息子の駿也はまだ父親の死を受け入れることができておらず、學校の作文では、母親は自分が産まれて直ぐに亡くなったこと。しかし、父親が死んでいることは作文には書かずに、義母の晶や祖父のことにも触れてはいない。一緒に暮らしているのに、何だか、息子のために母親として一生懸命になっている晶に対して、息子が未だに「お母さん」とは呼んではいないし、晶を母親として認めていないようにも見えたのが哀しいですよね。

「母親」になろうとする晶の想いが、子供の想いとずれるところなども、感情の流れが自然に描かれていた。そんな晶の迷いを寡黙に受け止める義父の目が優しかった。

今回は「肥薩おれんじ鉄道」、絶景観光や食堂列車など、攻めの姿勢が見られる路線でもある。叙情性豊かな演出で、鉄道と私の大好きな有村架純ちゃんを輝かせている。未亡人の運転士となって働かざるを得なくなる有村の柔らかな雰囲気が悲壮感をかき消して、運転する姿は寓話的な魅力も醸し出していた。

また、本作のテーマでもある家族のカタチにも、晶たちはバラバラだけれど、本人たちが家族と思ったらそれが家族だと。いろんな形の家族があることを、この映画の中で伝えていると思いますね。

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来る★★★

2018年12月18日 | アクション映画ーカ行

「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き。」の中島哲也監督が、岡田准一を主演に迎え、「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡らが顔をそろえる。

あらすじ:恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は危険な目に遭うのを恐れ、オカルトライターの野崎(岡田准一)に相談して、霊媒師の血を引くキャバクラ嬢の真琴を紹介してもらう。

田原の身辺を調査すると、田原家は想像を絶するあるものに取り憑かれていることが分かった。一方、事態を知った田原の友人の、民俗学者、津田(青木崇高)によると、そのあるものとは、田原が生まれた故郷に古くから伝わる化け物ではないかと推測された。次々と田原家では惨事が相次ぎ、死者も出る中、得体の知れぬ強大な力を感じたキャバクラ嬢の真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。

<感想>この映画は小説『ぼぎわんが、来る』を映画化したものです。“ぼぎわん”というのは、はるか昔から日本に存在した人を連れ去る“何か”であり、それを戦国時代に日本にやってきた宣教師が“ブギーマン”という名前を与え、それが訛ったものとなっています。原作小説は読んでいません。

しかし、実際には得体のしれない存在・怪物の名前です。映画はそれの正体についてはあまり深堀りしません。“ぼぎわん”でも“ブギーマン”でもない映画オリジナルの“それ”が少女とリンクする形で登場します。

まず、主人公の田原秀樹に妻夫木聡が扮しており、その妻には黒木華が扮して、そこに娘が生まれて、“知紗”という名前をつけます。その子供が実は、田原秀樹が実家の裏の山の中で、子供の頃に遊んでいた女の子が赤い運動靴を片方残して消えてしまう事件が起きます。人さらいというか、この村に言い伝わる「ぼぎわん」の仕業という説もあります。

その「ぼぎわん」という化け物が、田原家に生まれた女の子“知紗”に狙いをつけて化け物が現れるという、まるでお伽噺の世界のようなことが、現代でも起きるなんてことはあり得ないのですが、それがやってきて起きるのですね。

実際には、姿も現れなくて仰々しく恐ろしい風と音、いかにも化け物が来たよと言わんばかりの状態に陥れられます。それに、化け物が現れてと言っても、目には見えないので、急に人間の肩腕をもぎ取ってしまうのも何だかなぁ?、鮮血が飛び散る、ドバッと、それに毛虫がうようよと、これはダメだった。苦手の部類です。

普通のアパートに、その化け物が来るということは、考えられないことなのに、しかし、幼い娘の“知紗”にはその化け物の気配が感じるわけで、両親にそのことを伝えるのです。信じていいのか、しかし娘が怖がっているし、やっぱり本当なのかと思い、霊媒師に頼みお祓いをしてもらうことになります。

頼んだのが、田原の友人である民俗学者・津田、それからオカルト専門のライターである野崎に渡って、田原の故郷の民間伝承に由来する、「ぼぎわん」なるもののことを言い、お祓いでもした方がいいと。その民俗学者・津田には、青木崇高が扮しており、見せ場は最後の方で田原の妻である黒木華が鬱状態になり津田と不倫の中になってしまうのには驚いた。

「来る」が祟りや怨念のような心霊的なものなのか、超常現象なのかは分からないが、いずれにしても人智を超えた何かであることに人は恐怖し、信じていた者を信じられなくなっていく。その心が崩壊していく様こそが、何よりも恐ろしく映るのがこの映画の特徴でもある。

ホラーと言うよりも人間の心の闇を表しているような、完璧な夫、イクメンを目指す秀樹は、いかにも自分が子育てをしているようにブログにアップするのですが、実際には何もやっていません。

妻であり母でもある加奈は、育児ノイローゼのような、夫に対しての不満とか、自分が思っていたこととはズレが生じて、やがて家庭は崩壊していきます。

夫の田原秀樹・妻夫木聡が、始めはそんな化け物退治をすることを信じていなかったので、実際に出くわして娘を守ろうと必死に戦う姿にも驚き、あっという間に下半身が無くなっているのに気が付いた。

妻の黒木さんは、夫との関係と子育てへのストレスを抱える弱い女であり、子供が泣きだして怖がるのに対し、それに立ち向かうこともなく、夫が亡くなってからは、パートで働くも経済状態も良くなくて疲れ果ててしまい、心が寂しくなり、男と不倫をして自暴自棄になってしまう。

それに、キャバ嬢の真琴・小松菜奈さんは、弱音を吐くということはないのですが、悪霊を退治する力はないので、自分もその悪霊に染まっていくような弱い感じがした。それでも最後まで幼い“知紗”を守ろうとする優しさが生きる力を与えたのですね。

その姉の琴子、霊媒師を演じた松たか子さん、圧倒的に異様な空気をまとい、顔に傷があり巫女さんの衣装を着て現れると、それだけで迫力がありましたね。それに、物凄い力量で霊媒師を演じており、必死に戦うのだが、力が尽きてしまうという。人間には敵わないものがあることを映像で表現しているのも良かった。

霊媒師の中で、異様な顔をした柴田理恵さんが物凄く怖いイメージが強く、これではその化け物に勝つのでは、なんて思ってしまったのに。

うさんくさいオカルトライター業をしている野崎の岡田准一さん、ちょっとオカルトホラー作品には似つかわしくなく、汚れ役というかどこからともなくやってくる化け物に、立ち向かうのはいいのですが、いつもの力を発揮できなくて、あまりヒーローにはなれなかったのが残念です。

何だか、よく解らない化け物映画というよりも、相当に複雑で怪奇なことを撮っているのだなぁと、韓国の「哭声/コクソン」に偶然に構成が似ているようでもあります。

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グリンチ★★★・5

2018年12月16日 | アクション映画ーカ行

Dr.スースの名作絵本を「ミニオンズ」「SING/シング」のイルミネーションがアニメ映画化したファミリー・ファンタジー。人の幸せが大嫌いなひねくれ者のグリンチが、村中からクリスマスをなくしてしまおうとして繰り広げる大騒動の行方をユーモラスかつハートウォーミングに綴る。声の出演はグリンチ役にベネディクト・カンバーバッチ。また日本語吹替版では大泉洋が担当。監督は「ペット」のヤーロウ・チェイニーと、これまでは主にケヴィン・スミス作品のプロデューサーとして活躍し、本作が長編監督デビューとなるスコット・モシャー。

<感想>「ミニオン」でおなじみのアニメスタジオ、イルミネーションの待望の新作は、一度目にしたら忘れられない強烈なキャラが主人公。全身グリーンの毛むくじゃらで、へそまがりな性格。そんなグリンチが大騒動を巻き起こす物語。原作はクリスマスの風物詩とも称される、世界中で人気を誇っている絵本。とにかく人々を困らせたいグリンチが考え付いたのは、なんと“クリスマス盗んでしまう”という突拍子もない作戦だった。

本作の舞台はクリスマスが大好きな人たちが住む「フーの村」。そんな村のはずれの洞窟で忠実な愛犬マックスと孤独に暮らすグリンチは、他人の幸せが大嫌いなひねくれ者。目覚めのコーヒーから、クセのある食生活、そしてファッションにもこだわるなど、グリンチの日常が超ユニークに描かれている。そして表情や行動が、やたら可愛すぎる愛犬のマックスとのコンビも絶妙であります。

だから、フー村の人々が幸せな気分に包まれるクリスマスが近づくと、いつにも増して不機嫌になってしまう。そんなとき、フー村からクリスマスをなくしたしまえばいいんだと気づく。

それにグリンチがクリスマスに仕掛ける作戦には、数々のマニアックな発明品が駆使されたりして、ワクワク感も半端じゃないのだ。まず真っ赤なソリにたくさん荷物が詰めるように工夫したり、トナカイを探しに森へ行くも、たくさんいるのにヘマをして逃げられてしまい、残った最後の太ったトナカイ1匹を連れて帰ることに。次の日に、ソリを引っ張るトナカイがいないのだ。実は奥さんと子供がいて、家へ帰ってしまう。

しかたなく、さっそくサンタに変装するグリンチと、トナカイに扮したマックスを従えって、小さなワンコじゃソリは引っ張れない。ところがエンジンンが付いているらしく、マックスでもソリを引っ張られた。村の人たちが寝静まるのを待って、夜中にソリを走らせて、村中からプレゼントばかりか、ツリーやクリスマスに関するあらゆるものを盗み始めるグリンチだったが…。

村へソリに乗って行くと、そこでグリンチはピュアな少女シンディ・ルーと出会う。グリンチはシンディの家で、ついビスケットを食べてしまう。すると、寝ていたシンディが起きて来てサンタクロースを見つける。まさか、グリンチがサンタに化けているとは知らずに、グリンチサンタがシンディに尋ねる、君はクリスマスのプレゼントには、何が欲しいのかと。

しかし彼女は何もいらないと言う。彼女の願いは母親を楽にしてあげることだった。シングルマザーの母親は、双子の弟の世話や、スーパーへ働きに行って、帰ってからは家事や洗濯、弟たちの世話など目まぐるしい日々を過ごしている。だから、ママに楽になって欲しいのだ。

邪悪なだけじゃないグリンチの心を温かくしてくれるシンディの言葉に、つい、少女の願いを叶えて上げたいと心を入れ替えるところなど。クリスマスの当日には、村の人々は楽しみにしていたツリーの飾りやプレゼントなど、全部盗まれてしまったのだが、みんなで手と繋いで歌を歌いクリスマスを祝うのだった。

そこへ、大きな荷物を積んだグリンチのソリがやってきて、村中の人達へクリスマスのプレゼントを返して回るグリンチ。村の人たちの心の広さと優しさに感動して、グリンチは、シンディの家にディナーに誘われた。

嬉しいな、初めてのお誘いに大喜びのグリンチが、すっかり心を入れ替えてやってくる。シンディの家には、友達や近所の人たちも大勢集まって賑やかで楽しいクリスマスになった。

それで、グリンチは自分のお得意の発明品を、シンディの母親にプレゼントしたのが、パンケーキを焼くマシーンに、ミルクを温めてカップに注ぐマシーン。それに食器洗い機に乾燥機。などなど、たくさんのプレゼントをして、ママの仕事が楽になるようにしてくれたんですね。

ですが、カラフルに飾られた村の風景や、プレゼントが積まれたツリーなど、クリスマスのキラキラとしたと鮮やかな映像が、全編に詰め込められているのが良かった。

吹き替え版で観たので、ひねくれ者のグリンチの吹き替えを演じたのは大泉洋さんで、グリンチ役がドハマリで、アドリブなんてあったような面白さ。

米・ニューヨークのアリス・タリー・ホールで開催された、日本語吹き替え版で主人公・グリンチの声優を務める大泉洋、少女シンディ・ルー役の横溝菜帆が出席。本国版でグリンチの声優を務め、「SHERLOCK シャーロック」「ドクター・ストレンジ」などで知られるベネディクト・カンバーバッチと初対面を果たしたそうです。

 

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アンクル・ドリュー★★★

2018年12月12日 | アクション映画ーア行

NBAの現役スター選手カイリー・アーヴィングがペプシのどっきりCMとして老けメイクで演じて話題を集めたお爺ちゃんキャラクター“アンクル・ドリュー”を主人公にした痛快スポーツ・コメディ。ストリート・バスケの弱小チームの助っ人を頼まれた元スター選手たちの活躍をコミカルに描く。共演はリルレル・ハウリー、ティファニー・ハディッシュ、ニック・クロール。またシャキール・オニール、レジー・ミラーはじめNBAのレジェンドたちがチームメイト役を熱演。監督は「ドラムライン」「Mr.3000」のチャールズ・ストーン三世。

あらすじ:マイケル・ジョーダンに憧れるも夢破れて、今はストリートバスケ・チームのしがないコーチをしている青年ダックス。大会を目前に主力選手をライバルチームに引き抜かれて途方に暮れていた。そんな時、かつては名選手だったご老人アンクル・ドリューと出会い、若者を手玉に取る華麗なプレーを目の当たりにして、彼に助っ人を頼むことに。こうして2人はアンクル・ドリューのかつての仲間たちに声を掛け、大会での優勝を目指し、伝説のドリーム・チームを復活させるのだったが…。

<感想>現役NBAスター選手のカイリー・アーヴィングが特殊メイクでバスケの達人お爺ちゃん“アンクル・ドリュー”に扮して、神様プレーを披露してくれて、動画サイトの総再生回数が1億回を突破するなど爆発的な 人気を獲得したペプシのプロモーション用ドッキリCMを、映画化したもの。

バスケレジェンドとハリウッドスターがドリームチーム結成!爺さん、半端ないってさ。夢をあきらめてしまったバスケ青年が、ドリュー率いる爺さんドリームチームとともに、大会優勝に挑む。

これまでにない斬新な切り口で話題をさらってきた人気ジャンル“変わり種コメディ”に、「アンクル・ドリュー」(11月9日公開)というSNSで話題の作品が登場! アンクル・ドリューをCMと同じく現役NBAスター選手のカイリー・アーヴィングが演じており、チームメイトとして、シャキール・オニール、クリス・ウェバー、レジー・ミラーはじめ、NBAのレジェンド選手たちがチームメイト役を熱演。

バスケの聖地、ハーレム。NBA選手を夢見ていた青年ダックスこと、リルレル・ハウリーは、大事な試合中のミスがトラウマとなり、夢を諦めてしまった。今は、スニーカー・ショップでバイトをしながら、自身の運営するストリートバスケチームに,大会優勝の夢を託していたのだが、ある日、トラウマの元凶となった宿敵にチームを横取りされてしまう。

失意のダックスが出会ったのは、一人のお爺さん。じつは彼はバスケの聖地ラッカー・パークを「俺の庭」と言ってのける伝説のバスケットボール選手、アンクル・ドリューだった。爺さんになろうとも、場所を制する者こそがゲームを制する軽快なストーリー展開に、アメリカンドリーム定番のベタな結末に、少し物足りなさを感じてしまった。

しかしだ、その神業プレーに魅了されたダックスは、彼とともに再び大会優勝の夢を追いかけることを決意し、彼やそのかつてのバスケ仲間たちと、“爺さんドリームチーム”を結成するわけ。

あの「アベンジャーズ」で特殊メイクを担当しているチームが、老けメイクを担当。現役のNBA選手に“老けメイク”を施し、老人役をやらせた超面白作品なのだ。

一発ネタと言っていいCMを、どうやってドラマにするのか?・・・ストーンらが選んだのは、ニューヨークのハーレムに実在する公園ラッカー・パークで毎年行われるストリート・バスケットの優勝賞金が10万ドルという設定が、さすがにアメリカらしい。そのトーナメント選手権に、往年の名プレイヤーたちが老骨に鞭を打って挑むスポ根コメディとして仕上がっていた。

完成度が高すぎて、正直本物のジイさんたちにしか見えないし、だが試合になるとひょう変するヨボヨボの爺さんたちに、このギャップが最高に気持ちがいいよね。

“NBA選手”と“老人”、誰も思いつかなかった設定が最高に笑えるのはもちろんだが、この映画の神髄はそこだけではないのだ。もっと多くの、実は深イイ要素が多数ちりばめられていたのだった。笑えるだけじゃない本作の、“本当の魅力”とは一体何なの?

アービングの演技は無茶苦茶に素晴らしくて、本当の爺さんそのものにしか見えないのだから。ドリューのチームメイトに扮している仲間も全員、元NBAプレイヤーであり、それぞれが得意とするプレイを楽しそうに再現してくれるのだから。

その中でもシャキール・オニールが最高だった。アービングに引っ張られたのか、意外なほど味わい深い演技を披露して泣かせてくれるのだ。

そんなアスリート老人軍団をコーチとして率いる羽目になるのが、物語の語りべでもある「ゲット・アウト」(17)で主人公の親友を演じていたコメディアンの、リルレル・ハウリーである。ボヤキとリアクション、そして「ゲット・アウト」に言及する楽屋オチなど、バリエーション豊かな芸でストーリーを盛り上げてくれるのだ。

それに、彼を冷淡に捨てる元カノに扮したティファニー・ハディッシュや、ライバルチームの白人コーチを怪演するニック・クロールなど、現アメリカンコメディの実力派の好サポートもあり、スリーポイント級の作品になっている。

2018年劇場鑑賞作品・・・239  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ヘレディタリー/継承★★★・8

2018年12月11日 | アクション映画ーハ行

サンダンス映画祭で絶賛され、低予算ながら全米でスマッシュ・ヒットを記録した衝撃のホラー・サスペンス。グラハム家を支配してきた祖母の他界をきっかけに、忌まわしき“何か”を受け継いでしまった家族を待ち受ける戦慄の運命を、緻密な脚本と俳優陣の迫真の演技で描き出していく。主演はトニ・コレット、共演にガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウド。監督は本作が長編デビューとなるアリ・アスター。

らすじ:グラハム家の祖母エレンが亡くなり、娘のアニーは夫のスティーブに支えられ無事に葬儀を終える。夫婦には高校生の息子ピーターと13歳の娘チャーリーがいたが、チャーリーは次第に異常な行動をとり始める。そんなある日、ピーターがパーティに行くことになり、アニーはチャーリーも連れていくことを条件にこれを許可するのだったが…。

<感想>祖母の亡くなった家庭で、残された家族を襲う死よりも残酷な運命を描き、注目の映画スタジオ“A24”の史上最高の全米オープニング興行収入を記録したホラー映画。監督・脚本は本作が長編映画デビューとなる新人のアリ・アスター。すべてのシーンがラストの恐怖への伏線となる緻密な構成が、2018年のサンダンス映画祭などで高評価を受けた。

主演は「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットが、グラハム家の母親であり、ドールハウスやミニチュアを制作するアーチストで、作品展が迫っている。

そのアニーが、こっそり参加していた遺族カウンセリングで、亡くなった母であるエレンが解離性同一性障害を発症していたという問題や、父が統合失調症だったこと、兄の被害妄想的な自殺、そして自身も重度の夢遊病に悩まされ、子どもさえも危険にさらした過去を抱え、自分の家族がなんらかの先天性遺伝による“負”を背負っているという不安を持っています。

だからなのか、亡くなった祖母をミニチュアの部屋においたり、はたまた悲惨な“事故”によって死亡した娘のチャーリーの、凄惨な現場をなぜかミニチュアで再現したり。序盤では病院を作っていたらしい話も。つまり、全部が現実と関係のあるものです。家庭で起こる奇妙な出来事は、亡くなった母の生前の行為に関係があるのではと疑っている。

アニーの夫で、心理療法士のスティーブンにはガブリエル・バーンが扮しており、グラハム家を襲う奇怪な出来事から家族を守ろうとするのだが。

そして、家族の息子ピーター役にアレックス・ウルフが、グラハム家の高校生の息子であり、修復不可能な悲劇を引き起こし、その後も奇妙な体験に次々と襲われる。

妹のチャーリーに、舞台出身で10歳の時にトニー賞を受けたミリー・シャピロが扮しており、亡くなった祖母が溺愛しており、人付き合いが苦手で特別支援クラスに通っている。

最近、近親者を亡くした主婦のジョーンには、アン・ダウトが扮していて、物語のキーとなる役で出演している。

ハリウッドのジャンル映画かと思って観ていると、新人監督アリ・アスターの、ホラーの語り口は調子が違うようだ。美術デザインはデリケートに出来ているのだけれど、カメラの位置が不安定で落ち着かないのだ。

それは、崩壊していく家族の気持ちを表現するのにはマッチしているので、不幸な家族を描く私小説の映画化だと考えた方がいいのかもしれない。

監督自身が、自分の一家の出来事を、ホラー仕立てたと言っているのだから、その狙いが作品内容を分裂させて、混乱を招いたのかもしれませんね。

家族を襲った悲劇を再現したミニチュアとドール・ハウス、街で擦れ違ったら思わず振り返ってしまいそうな娘役のミリー・シャピロの、独特すぎる風貌に目を背けたくなる。

屋敷の中で怪奇現象が続発するホラー映画かと思えば、家族の心理のもつれを覗き込むかのような、これまたサイコスリラーの趣きでもあった。

どの画面にも異様な吸引力があり、奥行きを強調した構図の魅力を生かすべく、シネスコではなくて、ビスタの画面を選択しているのも良かったと思う。

映画の雰囲気構成に貢献している音楽を担当したのは、アバンギャルドなサックス奏者のコリン・ステットソンで、監督は制作の始まる2年前に、彼に音楽を依頼したという。だからなのか、何だか虫唾の走る音楽と、重苦しい感じや、恐ろしい感じが良く出ていると思う。ストーリーうんぬんの前に、そちらに震えてしまうタイプのホラーでもある。

終盤の展開をどう見るかで評価が別れそうだが、何が事実か分からなくなっていく中盤の展開が面白くて、ドールハウスのイメージが強調されるのも、エンドロールにあの曲が流れるのも、たぶんそういうことなのだろう。

雰囲気だけと言ってしまえばそれまでだが、嫌~な感じは観終わった後もしばらくは抜けない。だが、最も刺さったのは、ある事件を契機に壊れて行く家族の姿だったりするのも恐ろしい。離れられない、家族のしがらみが辛くて怖い。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・238  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ポリス・ストーリー/REBORN★★★・8

2018年12月08日 | アクション映画ーハ行

1985年に製作された「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の流れを汲む、ジャッキー・チェン主演のアクション映画。主人公リンを演じるジャッキー・チェンは製作総指揮を担当。台湾から「人魚姫」のショウ・ルオ、歌手・欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の姪オーヤン・ナナ、中国から本作がデビュー作となるエリカ・シアホウが参加するほか、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のカラン・マルベイ、「エイリアン コヴェナント」のテス・ハウブリックなど、国際色豊かなキャストが顔をそろえる。

あらすじ:2007年の香港。危篤状態にあった幼い娘を病院に残し、自分の任務ではなかった証人警護作戦の現場へと駆り出された国際捜査官リンは、人工遺伝子に絡む陰謀に巻き込まれ、瀕死の重傷を負う。13年の時が流れた2020年のシドニー。事件を題材にした小説を出版したリンの周囲に、黒ずくめの犯罪組織や謎のハッカーなど、当時の事件に因縁のある人間たちが次々と姿を現し……。

<感想>「アクション引退宣言」はどこに行ったの? いや、そもそも ジャッキー・チェンは、“生涯現役”に違いないと思います! 我らがヒーロー、ジャッキー・チェンが、超・挑戦的な一作を引っ提げてスクリーンに帰ってきた。その名も、「ポリス・ストーリー REBORN」(11月23日公開)

製作総指揮と主演を務めたシリーズ10作目。人工遺伝子に絡む陰謀に巻き込まれ、瀕死の重傷を負った国際捜査官リンのジャッキー・チェンが復活した。最愛の娘を守るため、因縁ある謎の組織に挑む。

大スクリーンにふさわしいアクション&スペクタクルもメガ盛りです。ジャッキーは、オーストラリアのシドニーにあるオペラハウス屋上で、年齢を感じさせぬアクションを彷彿させる“滑り落ち”を披露したかと思えば、中国雑技団もビックリの“エアリアル”にも挑戦。10分以上にもわたる銃撃戦は本物の銃と弾丸と火薬をふんだんに使用し、大量の中スライディングしつつの狙撃で魅了。ありえない臨場感の爆発シーンもあり、衝撃と興奮が止まりませんからね。

リンに扮するジャッキーは、捜査のために死んだことになっていたり、ある時は覆面男に、ある時は学食のおじさんにと多彩に七変化をしています。娘のナンシーは、心臓疾患で幼くして死にかけていたが、改造人間の技術で生き返ることができた。しかし、その手術の副作用で記憶を失っている。寄宿舎で暮らす娘のナンシーに、ジャッキーは父と名乗らず、清掃員や移動販売員に偽装するなどして、常に陰から見守り続けている。

ですが、とうとうアンドレー一味に娘の居場所がバレてしまい、アンドレイは自分の身体を完全体にするために、ナンシーの血液が必要なのだ。最愛の娘を父親として全身全霊カンフーで守ることができるのは無上の喜びだと思っている。

そして、ジャッキーが国際捜査官役で、あの「英雄故事」も流れる(しかも新録で!)と来たら、ファンであれば震えを抑えられないだろう。この映画には、まさに“ツボを心得た”演出が多数用意されている。

ジャッキーが危険なスタントに自ら挑戦し、ガンアクションもカーアクションもキレッキレ。シリアスな部分とコミカルな部分がダブルで詰まった、超ぜいたくな1本に仕上がっています。

スタントは彼だけでなくサリーナ役のブリジット・リンも別荘の屋上から下のプールにジャンプさせられたりと、ジャッキーは10メートルの高さからジャンプしたものの、着地点にマットが無くて、背骨と首を打ち、目と腕を負傷して病院へ運ばれたこともあったそうで。人間に車が激突するシーンでは、足を折ったり、頭をけがするスタントマンが続出したそうです。

マリリン・マンソンのような風貌の女、テス・ハウブリック。物凄く強い女だ。それに、自転車、机と椅子など手近にあるものを使って敵に対抗するという場面では、ジャッキーの定番と言えるが本作では二階建てのバスの窓に傘を引っ掛けて登るというユニークな場面もある。ですが、普通の傘では柄がスポンと抜けるので、金属製の柄を使用したそうです。

改造人間のアンドレイ、顔が白塗りのカラン・マルウェイ。何度殺しても死なないような、恐ろしい敵なのだ。

クライマックスのデパートでのアクション場面では、実に見ごたえのある、中でも地上3階から地下1階まで約30メートルあるクリスマスの、イルミネーション・ボールを一気に滑り落ちる場面が秀逸であります。

そして、九龍半島の繁華街にある永安百貨店で撮影されたが、営業時間外の夜間にしか撮影できず、一発勝負で成功させたそうですから。

ジャッキーがこれまでに演じてきた、さまざまな刑事役や捜査官の戦いや、生きざまを踏まえながら、物語はジャッキー映画史上空前の未来志向で、想像以上のサプライズと興奮をたたみかけてくる。ハードなアクションとスタントはもちろんのこと、ジャッキー映画としては極めて珍しいVFXの見せ場までを、予想不可能な展開のコラボでサービス満点。

ジャッキーの特徴ともいうべき生身の肉体を駆使したアクション、スピード感溢れるテンポの良さに加えて、ラブコメディ・タッチを織り込んで軽快な作品に仕上げてあった。

この挑戦をスクリーンで観て楽しまないなんて。これぞまさしく“ポリス・ストーリー”のネクストステージ。次はジャッキーが何をしてくれるのか、続編もありきなので期待してご覧ください。いつものNG集が、エンドロールと共に映し出されて笑わせてくれます。

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運命は踊る★★★★

2018年12月05日 | アクション映画ーア行

「レバノン」のサミュエル・マオズ監督が、息子の戦死という誤報に翻弄されたある家族がたどる不条理な運命を描き、ヴェネチア国際映画祭で審査員グランプリに輝いたミステリー・ドラマ。主演は「オオカミは嘘をつく」のリオル・アシュケナージと「ジェリーフィッシュ」のサラ・アドラー。

あらすじ:ある日、ミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子のヨナタンが戦死したとの知らせが届く。ダフナは気絶するほどショックを受け、気丈なミハエルも役人の対応にいら立ちを募らせていく。そんな中、やがて戦死したのは同姓同名の別人だったと訂正の知らせが届く。ダフネがほっと胸をなでおろすのとは対照的に、ミハエルは軍への不信感から激高し、息子をすぐに呼び戻すよう要求する。一方ヨナタンは、戦場の緊迫感からは程遠い閑散とした検問所で、仲間の兵士たちと一見おだやかな時間を過ごしていたのだったが…。

<感想>夫婦のもとに新たな知らせが届く。息子の戦死の報が誤りであったと。遠く離れたそれぞれの場所で、誤報をきっかけに3人の想いや過去、生と死が交錯していく物語。何やらギリシャ悲劇を彷彿とさせる格式張ったタイトルだが、原題に込められている哲学的な意味合いとは?・・・原題は「FOXTROT」(フォックスロット)は、1910年代に、アメリカで流行した社交ダンスのスタイルのひとつ。

銃を持った兵士がフォックスロットを踊るシーンもあり、軽やかなリズムでありながら不穏なムードも漂っている。どれだけステップを踏んで移動したとしても、もとの場所に戻ってくるダンスからは、運命に翻弄される人間の悲しみが浮かび上がって来る。

父親役のリオル・アシュケナージが披露するステップから「運命」という重い響きが伝わって来る。

本作が長篇2作目となるイスラエルのサミュエル・マオズ監督が、自身の日常的な体験をベースにして、人生の不条理を描きだしたもの。説明的なセリフではなく、観る者をぬかるみに引きずり込むような示唆的な映像で語られます。

中身はイスラエルを舞台にした正統派の人間喜劇であり、というよりもミステリー仕立ての人間の運命撃といったらいいかも。

そこで描かれるのは、いきなり正面から斬り込んで来るような鋭利な現代の寓話であり、より具体的にいえば、イスラエル兵が駐屯する検問所の事件であり、そこに詰める息子の生死に一喜一憂する父母ら、残された家族の崩壊撃であり、何より依然として戦争状態にあるイスラエルの厳しい現実であります。

物語の発端は息子の訃報。さらに続けて悲しむ家族のもとに届く残酷な誤報。検問所での事件を経て、息子と父母ら家族の運命が二転三転する。ミステリー撃というには残酷だが、人間の運命はどう転ぶかわからないのだ。果たして息子の運命やいかに、・・・。

息子の戦死をめぐる両親の感情的なドラマが語られる第1部から一転して、当の戦場でのぬるい光景が描かれる第2部では、その退屈さがいい仕事をしているようだった。被害者が他人だったら関係ないという、幸運の裏に宿る利己的な側面が生生しかった。

だが、国境の検問所に置かれる宿舎であるコンテナは、日に日に傾いて沈んでいく。食事も缶詰を温めて食べているだけ。心の拠り所は、雑誌や音楽など。それに、肝心の息子を返してくれと頼み、息子が迎えの車に乗り運転する兵士が、前からくるラクダに気を取られてハンドル操作を誤り、道の下へと転がり落ちて死んでしまうのだった。

生きていた息子が、運命なのか、帰りの車で死んでしまうなんてことが起きるとは。本作で重要なのは物語ではなく、ブラックな笑いで政治や社会を皮肉る寓意的な仕掛けなのだ。

下手をするとメロドラマへの道を転げ落ちてしまうところを、サミュエル・マオズ監督は、父母ら家族と息子の内面を丁寧に掘り下げて、運命に翻弄される一家族の崩壊過程を厳しい目で見つめるのである。

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アンダー・ザ・シルバーレイク★★★

2018年12月04日 | アクション映画ーア行

前作「イット・フォローズ」で世界的に注目を集めた俊英デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が「沈黙 -サイレンス-」「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ガーフィールドを主演に迎えて贈るネオノワール・ミステリー。セレブやアーティストが暮らすロサンジェルスの“シルバーレイク”を舞台に、突然消えた美女の行方を追うオタク青年が、次々と現われる謎に挑んでいく中で、次第に街の背後にうごめく得体の知れない陰謀が浮かび上がってくるさまを、スタイリッシュかつ幻想的な筆致で描き出す。共演にライリー・キーオ、トファー・グレイス。

あらすじ:夢を抱いてシルバーレイクへとやって来たはずのオタク青年サム。仕事もなく、ついには家賃の滞納でアパートを追い出されようとしていた。そんな時、隣に越してきた美女サラに一目惚れするサム。どうにかデートの約束を取り付けるが、翌日訪ねてみるとサラの姿はなく、部屋はもぬけの殻。壁に奇妙な記号が書かれていることに気づいたサムは、彼女の失踪と関係あるに違いないと確信し、自らサラを探し出すべく謎の解明に乗り出すのだったが…。

<感想>この街は、何かに操られている。ロサンジェルスの北側に連なるビル、ヴァレーの一つである。元はネイティヴ・アメリカンの居留地で、ロスの郊外の荒涼なる土地であった。特に21世紀に入ってからは、若者のファッション・タウンとして知られるようになった。ミッチェル監督はそのようなニュー・タウン・シーンを捉えている。

米ハリウッド近くの“芸術の街”シルバーレイクを舞台に、オタク青年が美女の失踪事件を追う物語だ。本作は、セレブやアーティストたちが暮らすシルバーレイクを舞台に、消えた美女を探すうちに、街の裏側に潜む陰謀を解明することになるオタク青年サム(ガーフィールド)の暴走と迷走を描いた物語。

全編を通して最も明確に映し出されているのが、名匠アルフレッド・ヒッチコック作品へのオマージュ。サムが自分の前から姿を消した美女を追い求める姿は「めまい」を彷彿とさせ、アパートの別の部屋を双眼鏡で覗くサムの姿は「裏窓」を想起させる。劇中には印象的なシーンでヒッチコックの墓までもが登場し、ミッチェル監督のヒッチコックへの畏怖の念を強く感じさせる。

また、サムが思いを寄せる謎の美女サラ(ライリー・キーオ)がアパートのプールで泳ぐ場面は「Something's Got to Give(原題)」でのマリリン・モンローのシーンが再現されており、サラの部屋には「百万長者と結婚する方法」に出演したモンロー、ローレン・バコール、ベティー・グレイブルらのフィギュアが立ち並ぶ。

この映画の主人公が見ている「LAウィークリー」誌には、<イエスとドラキュラの花嫁>というバンドが紹介され、またLA東部復活、滅んでなかった?、と言う見出しがある。

ロサンジェルスはダウンタウンのある東部から西のハリウッドの方へと伸びて行くが、東部は寂れだしていた。シルバーレイクは東部であり、西のビバリーヒルズなどに比べて沈んでいたが、このところ東部復活が見られるらしい。

主人公サムは同人誌的コミックスの「アンダー・ザ・シルバーレイク」を見る。そこには、1978年に見つかった古い映画フィルムの話が出て来る。そして<フクロウのキス>というカルト集団が出て来る。フクロウのマスクをした魔女が夜に忍び込み、眠っている人を殺すのだ。

マンソン・ファミリーの娘たちは、知らない家に忍び込み、何かを動かして去り、まるで見えない妖精がうごめいているかのようにする、遊びをやっていたと言うのだ。その見えない妖精遊びは殺人にまで至ってしまう。この映画の<フクロウのキス>というカルト集団も、娘たちによる妖精ごっこなのだ。

この映画に散りばめられているカルトごっこ、陰謀論、パラノイア、マインド・コントロールなどが、1970年代のリバイバルであることも注目しなければならない。

主人公サムが暗号解読に引き込まれ、消えた美女を追って、死の教団の秘密に巻き込まれてゆく。古いものと新しいもの、東と西、極端な両極がいきなり接触している。幻想と現実の境界がなくなったカリフォルニア文化ではすべてがあり得るように見える。

彼はホームレスの王に救出されて、地下の穴からロスの街に出て来る。そしてけろりとして、日常に戻るラストは、あまりにもあっけなく思えるのだが、カリフォルニアのお伽噺、LAのアラビアンナイトを語ろうとするロバート・ミッチェル監督の仕掛けを楽しむことにしょう。

ひ弱さと闇を抱えたオタク的な主人公のサムを演じたのは、アンドリュー・ガーフィールド。「アメイジング・スパイダーマン」シリーズで脚光を浴び、その後も戦争映画の「ハクソー・リッジ」、長崎県にやって来た宣教師を演じた「沈黙―サイレンスー」など、チャレンジングな役柄に取り組み続けている。

本作では、夢を諦め切れない青年に扮して、繊細なニュアンスを伝える演技力を生かしながら、これまでとはまた違うダークな一面も見せている。

そして、お相手には「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のライリー・キーオが、姿を消すサラを演じている。サムと共に異世界への扉を一つ一つ開けて行くような、妖しき悪夢的なムードに浸れるサスペンス。人世の停滞を誰かの策略のせいにするのは、もうお終い。そんな青春の終わりも感じさせる作品でもあります。

ニルヴァーナなどの音楽シーンのスターたち、ヒッチコック映画のポスター、映画ファンにはお馴染みのロケーション等々。画面を隙間なく埋め尽くすそれから多くの作品や、人物が思い浮かび、謎解きと一緒に楽しめる反面、過食症気味にもなるようだ。

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