パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

美しい星 ★★★★

2017年05月31日 | アクション映画ーア行
三島由紀夫が1962年に発表した核時代の人類滅亡の不安を捉えた小説を、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督が大胆に翻案して映画化。突如自分たちは地球人ではなく宇宙人だと信じ込んだ平凡な一家が、美しい星・地球を救おうと大暴走するさまが展開する。世界救済の使命に燃える火星人として覚醒した主人公はリリー・フランキー、水星人として目覚めた長男を亀梨和也、金星人として目覚めた長女を橋本愛、地球人のままの妻を中嶋朋子が演じる。
あらすじ:予報が当たらないと話題の気象予報士・重一郎(リリー・フランキー)は、さほど不満もなく日々適当に過ごしていた。ある日、空飛ぶ円盤と遭遇した彼は、自分は火星人で人類を救う使命があると突然覚醒する。一方、息子の一雄(亀梨和也)は水星人、娘の暁子(橋本愛)は金星人として目覚め、それぞれの方法で世界を救おうと使命感に燃えるが、妻の伊余子(中嶋朋子)だけは覚醒せず地球人のままで……。

<感想>原作は読まずに鑑賞したが、実にへんてこりんな映画だった。キライではないが、リリー・フランキーさん、亀梨和也くんに橋本愛ちゃん、中島朋子が演じたメインとなる大杉家の4人のキャスティングが良かった。とりわけ、リリーさん扮する主人公、火星人へと覚醒する重一郎をハズレばかりのテレビ気象予報士にしたのは正解でした。

考えてみればお天気キャスターって、ある意味、予言者の末裔みたいなものですよね。天の気を掌握して予報するという。浮気をして帰り道に突然天から光るものを見て失神して、朝には田んぼに車が落ちていた時から、使命に目覚めた重一郎は、生放送中に突然、地球温暖化の深刻さについて熱弁をふるい「地球人のみなさん、まだ間に合います」と叫び、カメラに向かって両手を上に突き出し広げて、素っ頓狂な火星人ポーズをキメるところなんて最高ですから。

そして、橋本愛ちゃん扮する長女の暁子は、美人で綺麗なのに自分はコンプレックスを抱いていて、路上ライブをしていた男、武宮に誘われて、金沢へ行き、誰もいない冬の海の砂浜に立つ。何故に暁子は、簡単にシンガーソング・ライターに惹かれたのだろうか?「金星」というタイトルのCDを買って、彼の元へと駆けつける。

ここで演じる橋本愛ちゃんも、また奇怪な“金星人のポーズ”を取るのだが、沖の上空に2つの光る物体が現れるんですよね。これって、もしかしてUFOなの?・・・。それに、処女懐妊だなんて、武宮に睡眠薬でも飲まされてレイプでもされたのよね、きっと。
そして、長男の亀梨和也君扮する一雄は水星人として覚醒し、バイトをやめて保守系政治家のカバン持ちになる。

一人地球人の母親、中島朋子は「美しい水」という奇跡のマルチ商法に引っかかる始末。家には100ケースの水が届けられる。だが、毎日暑い日が続いて地球温暖化が、地球を痛めつける。人類は滅びるのか、番組をジャックして訴える重一郎は、人気者になるが、問題は彼のメッセージを誰も真面目に受け取らないこと。

保守系政治家の懐刀の佐々木蔵之介、彼も実は宇宙人であり、「人類が滅びても時間が経てば化石になる」と皮肉を飛ばすし、追い詰められる重一郎は、地球を、人類を救うことはできるのか、空飛ぶ円盤はやってくるのか?・・・。
覚醒した大杉家は暴走して、重一郎は例の“火星人のポーズ”が巷の人気を集めるが、次第に主張と行動がヒートアップし、妻の伊余子は水ビジネスにハマって抜け出せなくなっていくしで。長女の暁子はといえば、「美の基準をただす」という金星人の使命を果たすために、大学のミスコンに出馬すると宣言。

そして長男の一雄は、謎めいた議員秘書・黒木に接近していく。黒木役が不気味な佐々木蔵之介の、印象的な感じが、宇宙人なのだろうがすこぶるいい。
山場となるのが、テレビ局のスタジオでの重一郎と黒木の対峙であります。さらには、一雄も交えての対話シーン。「究極的に人間は救うべき存在なのか」について、“宇宙人”同士が大論争をぶちかますのだ。
黒木扮する佐々木蔵之介が言うには、人間が存在しないことが一番地球に優しいのだ、とか。人間がいない環境こそが「美しい星」を作る、と主張するのだが、・・・。その黒木に反論できる人間は多分いないはずなんですね。でも、彼の理屈を押し通すと、映画ができなくなると思うから。

ラストが私的には良かったですね。父親の重一郎が衰弱していき、末期がんだと知った家族は、病院から連れ出して父親を火星へ帰してやろうとします。車で走っていくところは、きっと福島の原爆被災地だと感じました。夜になり車を降りて歩くのだが、そこへ大きな牛が現れる。その牛の背中に乗って重一郎が円盤のところまでたどり着くわけ。牛は神様の使いなのかもしれない。

真っ白い宇宙船の船内も良かったし、重一郎が家族との別れをしようと円盤の窓から下界を見ると、小さくなった大杉家の家族に別れをと思ったのだろう。下界にはまだ地球人の自分がいたのが見える。リリーさんの“火星人”のキメポーズも良かったし、長男一雄の亀梨くんも将来政治家になると決心したのに。暁子は妊娠していても、大学のミスコンにウェディングドレスを着て、これも本当に美しかった。
これは、原作からの大胆な脚色に賛否が分かれるかもしれないが、まずは、三島由紀夫の書いた「美しい星」も読まなくては。

2017年劇場鑑賞作品・・・123映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (11)

フリー・ファイヤー★★★

2017年05月30日 | アクション映画ーハ行

名匠マーティン・スコセッシ監督が製作総指揮に名を連ねたアクション。拳銃の密売取引をしようとする2組のギャングが、あるトラブルを契機に壮絶な銃撃戦を繰り広げる。監督は『ハイ・ライズ』などのベン・ウィートリー。『ルーム』などのブリー・ラーソン、『第9地区』などのシャールト・コプリー、『プルートで朝食を』などのキリアン・マーフィ、『ローン・レンジャー』などのアーミー・ハマーらが結集する。
あらすじ:拳銃の密売取引をしようと、2組のギャングが場末の倉庫にやって来る。張り詰めた空気の中で取引を進める彼らだったが、思いも寄らないトラブルが起こってしまう。それを機に交渉はこじれ、銃撃戦が発生し……。

<感想>製作総指揮にマーティン・スコセッシが関与していると言うので期待したが、全篇を通して何とも気勢の上がらない出来であり、がっかりした。1978年のボストン。銃の闇取引のため、場末の倉庫に二組のギャングがやってくる。注文した機種と実物が違っていたという不手際はあったものの、取引は無事に終わりそうな気配だった。ところが前日に身内のトラブルで殴り合いをした若者2人が双方にいて、その
2人の恨み辛みが取引の場で爆発する。一方が発砲したことから、居合わせた全員を巻き込んだ銃撃戦が始まるのだ。

場所は、廃墟ビルの中、傘の倉庫内だけでドンパチが始まるのだが、冒頭にて、「いくら撃っても、急所に当たらなければ、人は即死しない」などと書いてある。だから、みんなどこかしら撃たれていても死なないのだ。

やみくもに銃撃戦を交えるも、撃たれた人は這いつくばって移動するし、砂埃で全身真っ白になりながら、誰が敵なのか味方なのかが見ていてあまり分からないのだ。声を掛け合いながら、生きているかとか、拳銃の弾丸が無くなると取に行くのに、芋虫状態で歩伏全身するのだが、足が撃たれる。

そんな銃撃戦ばかり見ていても、飽きて来るのだ。何か面白いことでもしないと、ところが、途中で挿入される大量のガスボンベに火が付き、大爆発が発生してギャングたちが四方八方に吹き飛ぶシーンの映像に驚く。

そこで、シャルト・コプリーが本当に炎に包まれるシーンがあり、火傷を負うのだが元気なのだ。もう一つは、サム・ライリー演じるスティーヴォがトラックにひかれるシーンだ。それがちっともダラダラ銃撃戦の中に活かされていないのだ。だって、誰も死なないのだから。

確かに火傷は負っているが、死ぬほどではなく元気なのだ。拳銃はたくさんあるので困らない。そこへスナイパーが2人やって来て命中する腕前。誰が、どちらが雇った殺し屋なのか、どちらにも撃ってくるので、判別がつかない。

ブリー・ラーソンやアーミー・ハマー、キリアン・マーフィ、シャルト・コプリー、ジャック・レイナー、マイケル・スマイリーといった出演陣もむさ苦しくてパッとせず、わずかに印象に残ったのがコプリー扮するギャングの間でも「国際的なクズ」と呼ばれる武器商人ヴァーノンを演じて、エキセントリックな演技を披露。というか、段ボールを撃たれた腕に張り付けて、誇りで感染症を起こさないためだと言うのだ。

最初から最後まで、ひとつの場所で物語が繰り広げられる銃撃戦であり、簡単には死なないって前置きにイラつくし、中盤の中弛み感がダラダラと続いて残念。

ラストで紅一点のオスカー女優ブリー・ラーソンが、金の入ったカバンを持って外へと逃げるも、パトカーが来てジ・エンドだ。と言う終わり方は良かったけど、ストーリーがそんなに面白いわけでもなく、銃撃戦に迫力があるわけでもないから、ちょっと途中で飽きたかな。それでも、劇中で場違いに流れるジョン・デンヴァーの歌声が良かったりして。

2017年劇場鑑賞作品・・・122映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

トラックバック (9)

家族はつらいよ2★★★★・5

2017年05月29日 | アクション映画ーカ行
名匠・山田洋次監督が豪華キャストのアンサンブルで贈る痛快人情喜劇の第2弾。人と人との絆がますます希薄になる世知辛い世の中とは対照的に、良くも悪くもますます濃密な三世代同居の大家族“平田家”に巻き起こる新たな大騒動の行方をコミカルに綴る。出演は平田家の面々に橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優。共演に小林稔侍、風吹ジュン、劇団ひとり、笑福亭鶴瓶。
あらすじ:家族全員を巻き込んだ平田周造(橋爪功)と妻・富子(吉行和子)との離婚騒動から数年。マイカーでのドライブを趣味にしていた周造だが、車に傷が目立つようになったことから長男・幸之助(西村雅彦)は運転免許証を返上させようと動く。だが、それを知った周造は意固地になって運転を続ける。ある日、行きつけの居酒屋のおかみ・かよ(風吹ジュン)を乗せてドライブをしていた周造は、故郷広島の同級生・丸田吟平(小林稔侍)と偶然再会。周造は四十数年ぶりに一緒に酒を飲み、丸田を自宅に泊めるが……。

<感想>2013年の「東京家族」からの出演者8人のアンサンブルが素晴らしくて、今回も平田家8人によるすったもんだの大騒動が展開するのですが、その中でも橋爪功扮する父親の周造の運転免許返上の顛末や、偶然に再会した旧友の小林稔侍扮する、丸太吟平を通して、前回では熟年離婚がテーマでしたが、今回は年寄りの無縁社会の現状が描かれていきます。

かつての「男はつらいよ」の寅さんを中心にしたコメディ劇を楽しみに観ていたので、山田洋次監督の手腕による喜劇を楽しみに待っていた。実に出演者のみなさん、息がぴったりと合っていて、コメディたっちの家族劇になっていて、やはり大黒柱のお父さん、平田周造が中心に物語が展開されているようです。

朝から町内のラジオ体操に行くと、おめかしをして張り切っていく父親。実は、大好きな小料理屋のママ、風吹ジュンがお目当てなのだ。だから、妻が外国旅行へ行くと言うのに、浮気の虫が出て、かよちゃんを誘ってドライブに、それで高齢者ドライバーの周造が、ダンプカーに衝突してしまい、怖い運転手が降りて来て、かよちゃんがお金を払って示談にしてくれたからいいものを、まったく反省していない周造。

前作の母親の吉行和子が言っていた「お父さんが私のストレスなの」というキャッチフレーズも良かった。前作で熟年離婚を考えた妻の吉行和子さんは、友達とオーロラを見に北欧旅行へ行ってしまい、残念ながら吉行和子さんの姿は少な目でしたが他の家族は健在ですから。

橋爪功扮する一家の長である周造が見るからに嫌われ者で、やたら態度がでかくて自己チュー、お嫁さんにも皮肉たっぷりな態度をするし、現実に問題になっている高齢者のドライバーによる事故のことなど。

子供たちが父親の車の運転を心配して、大丈夫だろうか、人身事故を起こさないだろうか、事故になれば自分だけではすまない、他人を巻き込んでしまうのだ。家族としては心配になるのが当然のことですが、当人にしてみれば車がなければ生活ができないという現状がある。こういう悩みはどこにでもあるといっていい。

それに、友人、丸太の突然死のことでも、小料理屋のかよちゃんとドライブをしている時に、偶然に見つけた同級生の丸太。炎天下の中で、警備員の仕事をしている高齢者の丸太。家族はいないみたいで、一人でボロアパートに住んでいる。高校時代の美人だった女子高生と結婚して娘をもうけて、仕事に失敗して離婚と、周造を見つけてバツの悪い顔をしていたっけ。小林稔侍さんの円熟味ある演技に拍手です。

生活保護も受けないで、73歳で働く友人を見て、彼はもしかして独居老人なのかと。自分は退職した後は年金暮らしで、生活も長男夫婦と孫たちで一戸建てに住んで優雅な暮らしをしている。だから、少人数でも高校の同窓会をしてやろうと、計画して、二次会は周造の彼女の営業している小料理屋へと。そこで、彼が大好きだったギンナンをフライパンで炒って食べさせる。大喜びの丸太の顔を見て、深酒をして家まで連れて帰り泊めてしまう。

次の朝、いつもの家族会議だと長女夫婦、次男夫婦の子供たちが集まるも、2階に泊まっていた父親の友人の丸太が死んでいる。

大騒ぎになり、やれ救急車、警察だと、丸太は家族とは別れて引き取ってくれる親戚もいないのだ。しかし、よくよく考えてみれば、丸太は幸せ者で、夜に嬉しそうに友達の家に泊まって、フカフカのベッドに寝れると喜んでいた。だから、自分のボロアパートで、せんべい布団の上で孤独死なんてことがなくて幸せだったろうに。

それに、友人の周造も根は善い人だし、火葬場にも友達の向井を連れてくるし、子供たちも来てくれた。みんなに礼をいう周造の気持ちは、子供たちの温かい心が本当に身に染みて嬉しかったと思うよ。
一番笑ったのは、驚いたというか、火葬場に遅刻して来たお父さんが、丸太の好きなギンナンを2袋いっぱいにして持ってきて、棺の顔の周りに敷き詰めて挙げる。それが、棺の中のギンナンが火の中で破裂をして、パンパンと音がしてみんなを驚かせる。火葬場の管理人の男に、鶴瓶師匠が顔を見せているのもご愛敬だ。

橋爪功さんの頑固ぶりをメインにして、騒動が起こるだけにかなり保守的だが、子供たち夫婦が集まってワイワイ、ガヤガヤのアンサンブルの演技が見事で、全員の息があっていて、さすがの山田洋次ワールド全開でした。
2017年劇場鑑賞作品・・・121映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (7)

ちょっと今から仕事やめてくる★★★・5

2017年05月28日 | アクション映画ータ行
「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出監督が、北川恵海の同名ベストセラーを映画化。ブラック企業で心身共に疲弊した新米サラリーマンが、謎めいた男との出会いを通して立ち直り、人生を見つめ直していく姿を描く。主演は「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の福士蒼汰と「夏美のホタル」の工藤阿須加。共演に黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎。
あらすじ:ブラック企業で働く青山隆は上司のパワハラに苦しめられ、極度の疲労から危うく駅のホームで電車にはねられそうになる。そのとき彼を救ったのは幼なじみだというヤマモトだった。しかし青山はどうしてもヤマモトのことを思い出せない。それでも、陽気なヤマモトと過ごすうちに本来の明るさを取り戻し、仕事でも成果をあげるようになる青山だったが…。

<感想>人は何のために、誰のために働くのか?・・・初めは脚本だけでもと考えていたそうで、ですが、かつて2人の親友を自殺で亡くしたという成島出監督が、「今、まさに主人公の青山のような状況に置かれている人たちを救いたい」ということで、メガホンを取ることを決意したそうです。主人公青山の“生きる”ことへのポジティヴなメッセージが込められている渾身の映画であります。

かなり題材がヘビーであり、主人公青山を演じた工藤阿須加の暗く陰気で、地味なネクタイの青山を、自然体な演技で熱演。それに、青山を勇気ずけて希望を持たせてやるヤマモトには、現在、旬の男である福士蒼汰が演じていて、それも関西弁を勉強したようで上手かったです。どちらもとても真面目に演じていた。

本当に今時の作品で、大学を卒業しても就職が決まらずに、やっとのことで就職をした会社の営業マンの青山。暴君さながらの上司には営業成績が悪いと毎朝怒鳴られ、毎日残業手当も付かないのに、遅くまで仕事をして、パワハラと長時間労働の毎日に、自分を見失っていく。

青山は、仕事で疲れ切ってアパートへ寝るだけに帰るような生活が続き、会社の帰りに疲れが出てフラフラとホームで線路に落ちそうになるところを、同級生と名乗るヤマモトに助けられる。その後、強引に居酒屋へ誘われて、悩みがあるなら聞いてやるよと、酒を呑む。
そんなことが、数日続き、営業マンならネクタイも明るくハデな方がいいと、いつも笑顔で挨拶からと教えられ、本来の明るさを取り戻していき、初めての大口契約も取れるようになるのだが。

その幼馴染のヤマモトは、派手なアロハシャツを着て、風来坊のような感じで、後を付けると働いていないのか、夕暮れになると霊園行きのバスに乗って帰っていく。バスの終点はお墓がたくさんあるところ。もしかして、ヤマモトは幽霊なのかもしれないと思ってしまう。ネットや友達に電話をして彼のことを聞いてみると、3年前に自殺していたことを知る。

それに、会社の上司の吉田鋼太郎の虐めがすごい。とにかく、毎朝、会社へ行く度に人前で罵倒されて、挙句にお前は給料泥棒なのかと怒鳴り散らして、土下座を強いる。これでは会社へ行くのが嫌になってしまう。

中には、毎月のように、営業成績トップの女子社員の黒木華が、最近ネクタイも明るくていい感じだと言ってくれ、唯一会社の中では声をかけて優しく接してくれる。ところが、実は、彼女は青山が初めて大口の契約を取ってきたのを妬み、発注書のデーターを改ざんして、青山の契約を自分のものにしてしまうという。本当は嫌な感じの女だったのだ。

実際にこんな仕打ちを受けている人は大勢いるのだろうし。心が荒んで、やる気が出てこない、会社なんて辞めてしまおうと思っている人も多いはず。だが、働かないと、衣食住に困ってしまう。未来だって、結婚なんて夢のまた夢で、このまま独身で、生きていくための最小限のお金だけ稼いでと、思う人もいるだろう。ですが、ここでヤマモトが「希望を持って」と、何度も救いの言葉を伝えます。

でも、青山には両親が田舎で農家をしており、段ボール箱に野菜とか果物をたくさん送ってくれる優しい母親がいる。森口瑤子の母親が似合っていて良かった。心が荒んでいる息子へ、電話をかけて勇気づけてくれるし、散らかし放題の部屋を綺麗に片づけて、住みよい部屋にすればと思ったのだが。
主人公の青山が、会社の屋上から飛び降り自殺を図ろうとするところへ、ヤマモトが来て、またもや助けてくれるのだ。青山を生かしてくれる、何故に、その答えが、後半の部分で明かされます。

小池栄子が扮する孤児院院長から、ヤマモトが双子であったことなど、ヤマモトの秘密を聞かされ場面のカットバックが、ちょっと説明過多な気もしたが、青山に親切にしてくれたヤマモトは、幽霊ではなかったってことと、実は、バヌアツという南国の島で、子供たちに勉強を教えているのだった。
バヌアツとは、ポートビラ, シェファ州, にありリゾート地でもある。ラストのコブクロの歌で「心」がとても心に残り、まさか、泣けるとは思わなかったです。

2017年劇場鑑賞作品・・・120映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (14)

光をくれた人 ★★★★

2017年05月27日 | アクション映画ーハ行
「ブルーバレンタイン」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のデレク・シアンフランス監督がマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィカンダーを主演に迎え、M・L・ステッドマンのベストセラー小説『海を照らす光』を映画化した感動ドラマ。小さな孤島で灯台守をする夫婦が、島に偶然流れ着いた赤ん坊によって絶望から救われていくさまと、彼らを待ち受ける悲痛な運命の行方を綴る。共演はレイチェル・ワイズ。

あらすじ:1918年、オーストラリア。第一次世界大戦の過酷な戦場から帰還したトム・シェアボーン。心に深い傷を負った彼は、絶海に浮かぶ無人の孤島、ヤヌス島の灯台守となる。3ヵ月後、正式採用の契約を結ぶために町に戻った彼は、地元の名士の娘イザベルに一目惚れし、ほどなく2人は結婚する。孤独で不便な孤島での結婚生活だったが、愛する2人にとっては何者にも邪魔されない幸せな日々だった。ところがイザベルは2度の流産という悲劇に見舞われ、深い悲しみに沈んでしまう。そんな時、1人の男の死体と泣き叫ぶ女の子の赤ちゃんを乗せたボートが島に流れ着く。町に報告しようとするトムを必死で説得し、赤ちゃんを自分たちの子として育てることにしたイザベルだったが…。

<感想>マイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィカンダーのラブストーリー。物語としては、観客を泣かせることに特化したメロドラマでもあるが、映像の美しさは時として灯台守の話だけに、穏やかな海もあれば、荒々しい嵐の日もある。

二人の抑制の効いた、複雑なニュアンスに富んだ演技、特にアリシアの表情によって、魅力的な歪みを表現して見せるほど素晴らしい。女優だったら絶対にやりがいのある役柄だろうし、演技力も効果的に見せられる美味しい役どころである。

そして、トムのマイケル・ファスベンダーの苦悩の表情、子供が2度の流産に見舞われ、嘆き悲しむ妻を見て愛しているだけに自分の力ではどうにもならないことを知る。そこへ、天からの贈り物のように、海から小船に乗って流れ着いた赤ん坊。

父親と思われる男の遺体が傍に横たわっており、本当だったら、本土に報告しなければならないものを、妻の喜ぶ顔と知らせないで自分たちの子供として育てようとトムを説得するイザベル。妻に懇願され、トムもその言葉につい魔がさしてしまい、名前をルーシーと名付けて、そのまま自分たちの娘として育て始める。

父親と思しき男の死体を、島の丘に埋め、トムはどうしても心の中に「罪」という悔いが残る。本土の警察に知れたら大事になるのに、内密にして自分たちの子供として役場に届けを出し、洗礼も受ける。
イザベルの両親も、孫の誕生に大喜びで、暫くは幸せな暮らしが続く。妻のイザベルも、2度の流産でふさぎ込んでいたが、突然の贈り物に手放すきはないのだ。届を出せば、きっと赤ん坊は施設へ送られることだろうと考え、イザベルの心情のことを思ってのことでもあり、だが、いつまでも幸せが続くとは限らない。

ルーシーの洗礼の日に、教会の裏にあるお墓の前で、嘆き悲しむ一人の女性を見つける夫のトム。墓石には、海で遭難して亡くなった夫と娘の名前が記されていた。トムは、その女性が娘の本当の母親、ハナ(レイチェル・ワイズ)だと感じ取る。ハナへ手紙をしたためて、赤ん坊のことを知らせるのだった。

それから4年後に、ルーシーを連れて本土へ行った時に、イザベルが抱いている娘を見て、もしかして自分の子供ではないかと疑うのだが、それに、トムがまたもや、赤ん坊と一緒に船にあったフクロウのガラガラを小包で送るのだった。それを見たハナは、自分の子供が生きていることを核心して、警察へ捜索願いを出す。ハナの父親は、街一番の金持ちであり、高額の懸賞金を付けて孫を探すのだ。

その事実をトムはイザベルを説得して、本当の母親へ娘のルーシーを返そうと相談するも、嫌だと物凄い剣幕でトムをののしり、大騒ぎになってしまう。そこへ、警察がやってきて、娘のルーシーを連れていってしまう。

それに、夫のトムは、ハナのドイツ人の夫を殺した罪で逮捕されてしまう。ハナの夫の遺体を掘り、確実にトムが殺したことになってしまうのだ。イザベルは、何の罪にも問われず逮捕されない。
娘のルーシーは、4歳の年頃で育ての母親であるイザベルを恋しがり、産みの母親であるハナに懐かないのだ。そして、ルーシーが家出をして、島のある灯台へと一人で浜辺を歩き、夜になって砂浜で発見された。

産みの母親であるハナも、自分に懐かない娘に対して、どうすればいいのか、ドイツ人の夫が生前に自分が罵倒されても、人を許す心があれば自分も救われるという考えの人だった。ハナは、そのことを想いながら、トムのこともイザベルのことも許してあげようとする。
イザベルも、結局は最愛の娘・ルーシーを取り上げられてしまい、罪にはならなかったものの、トムがもしかして死刑になるかもしれないと聞き、移送される時に真実を話すのであった。
小舟で流されて来た時に、トムのいう通りに本土へ連絡していれば、実母のハナの手にその赤ん坊は無事引き渡されたと思うのだが、運命とは皮肉なもので、傷心の妻のためにすべてを自分が、全部の罪を背負ったトムの心情が痛いほどに解るから、なおの事、最後には泣けてくる。
それでも、娘のルーシーが孫にあたる息子を抱いて、トムのところへやって来るところで終わるのが、憎い構成ですよね。
2017年劇場鑑賞作品・・・119映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (9)

おとなの事情 ★★★・5

2017年05月26日 | アクション映画ーア行
イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞と脚本賞の2冠に輝いた大人のブラック・コメディ。幼なじみの3組の夫婦と一人の独身男性が集ったディナーを舞台に、それぞれのスマホに掛かってきた電話やメッセージを共有し合うというゲームを始めたことから、思いがけない秘密が次々と露呈していく悲喜劇の人間模様をスリリングに綴る。出演は「ベニスで恋して」のジュゼッペ・バッティストン、「夏をゆく人々」のアルバ・ロルヴァケル、「天使が消えた街」のヴァレリオ・マスタンドレア、「カプチーノはお熱いうちに」のカシア・スムートニアックほか。監督は本作が日本初紹介のパオロ・ジェノヴェーゼ。
あらすじ:ある月食の夜、幼なじみの男4人とそのパートナーが集まり、食事会を開くことに。しかし一人だけバツイチのペッペは、連れてくるはずの婚約者が来られなくなり、結局7人でテーブルを囲み、美味しい食事と会話を楽しむ。そんな中、一人があるゲームを提案する。それは、秘密なんてないという彼らの信頼度を確認するため、今からそれぞれのスマホに届いたメールや電話は全員に公開すること、というもの。行きがかり上、誰も異議を唱えることもできず、不安を抱えながらも、それを悟られないよう平静を装いゲームを始める一同だったが…。

<感想>これは大変に面白かったです。他人の不幸は蜜の味と申しますが、自分は携帯電話も未だにガラ系であり、友達の電話やメールもそれなりに機能しているので問題ありません。だからって分けではないのですが、お国柄とでも言うのでしょか、フランス人とかイタリア人のご夫婦は、戸籍も入れずに子供を産んで育てているご夫婦が多いようですよね。

それでも最近の日本人もフランスやイタリアに引けを取らないくらいに、浮気とか不倫とかでマスコミを賑わわせている議員さんや、歌手、に俳優、コメディアンなど、つまり有名人ですね。一般の方でも、妻に飽きると傍に若い女がいれば手を付けるという殿方もいるようで、これは何処の国でも殿方の体質というか治らないようであります。

完全に室内劇であり、友達夫婦が集まってパーティをするんですが、主催者の夫婦には、年頃の17歳の娘がいて、男友達と今夜はデートだっていうんです。父親としても心配で、コンドームをそっと渡してあげたり気配りするし、母親の方は、何とか男女の関係にならないようにと心配する。

そうして、やって来た2組の夫婦に恋人が都合が悪いといって一人で来たおでぶちゃんの男性。主催者の奥さんが、どういうわけか、いたずらにケータイをテーブルの上に出して、メールや電話が鳴ったら「電話にはスピーカーに切り替えて話すこと」と、みんなに聞かせるというルールを設定し、提案をします。

中には、ちょっと気マズイ展開になったという殿方も出てきたりして、でも、何も問題ないなんて人はいないんですね。誰しもが秘密を抱えていて、夫は妻に内緒で会社の女の子と不倫関係になっていたり、妻もケータイで知り合ったセックス・フレンドと会話のお楽しみをしていたり、中には、男同士で恋愛しておりゲイだということをカミングアウトを公表したり。
ところが、男が友達のスマホとそっくりなのを良いことに、取り換えて置くのだ。それで、かかって来た電話は、デブちゃんの電話で、女性からなのね。これは浮気をしていた夫が取り換えたのだ。やれやれ、デブちゃんも隅におけないわね、なんて笑い話ですめばいいものを。

しかし、デブちゃんんお電話には男の恋人からの電話なの、つまり交換したスマホで、それを聞いた奥さんが、自分の夫がゲイでホモセクシャルだと疑われ今まで知らなくて、物凄い剣幕になり離婚だと言い出すしまつ。
デブちゃんは、この機会に自分がゲイで恋人は男性であることをみんなに知らせておこうと思っていた矢先だった。しかし、友達全員が、普段はゲイに偏見などないと言っていたのに、身近にそんな人がいたら嫌だと露骨に罵倒してしまったり、ゲイに対してあからさまに嫌なムードになり、ゲイのことをなじり出すのだ。ゲイのどこが悪いのか、デブちゃんはしよんぼりして帰ると言い出す。

それに、倦怠期の夫婦の妻が、SNSで知り合った男とテレホンセックスをしていることもバレてしまう。怒った亭主に、ここ半年夫婦生活なんてしてないとバラスし、その亭主は他の女と浮気をしているしで。

新婚さんの夫婦は、子供が欲しいという妻に、夫は外で浮気をしていて、その女から妊娠したという電話をもらう。みんなの前で赤っ恥をかき、妻は自分が子供ができないのに、浮気相手が妊娠しているとはと怒る。
やがて携帯電話を巡っててんやわんや。くれぐれも自分には秘密なんてないと言ってはいけませんという教訓劇です。せっかくのパーティも険悪ムードでお開きになる。それでも、主催者の夫婦は、娘が何事もなく、12時まえに帰ってきて一安心。それに、倦怠期の夫婦は、仲良く元通りになるし、デブちゃんのゲイは、かかって来た恋人の進めで、車を止めて痩せるための体操をするのに、何だかいい感じでした。

それぞれの家に帰っていく友達夫婦、そこまでに張り巡らされた伏線が一つづつ意味をなしていく細かいカットで結ぶラストが見事です。あの、新婚で夫が浮気をしていて、妊娠を伝えた女性からの電話は、いくらなんでも一番キツイよね。妻が、テーブルに結婚指輪を外して帰るところが意味深でした。
日本人の夫婦や恋人同士でも、集まればこんなゲームは止めておいたほうがいいですね。笑いごとで済まされませんから。それでも、サスペンスふるな演出は冴えわたっており、明らかにされる秘密も、グサグサと胸に刺さるものばかりで、ラストまで持っていかれてしまった。何もかもが知っているつもりの親友同士でも、結局のところは秘密を抱え込んだものばかり。大人の友人関係の人間模様の面白さが、絶妙の作品でした。
2017年劇場鑑賞作品・・・118映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (3)

5月の新緑と温泉に~游泉 志だてへ★★★★★

2017年05月25日 | ほっこりゆったり温泉倶楽部
3月に秋保温泉へ行った時に、次は6月の娘の誕生日には何処がいいかしらね。岩手県の志戸平温泉かしら、なんて言ってましたが、やっぱり久しぶりに岩手県の花巻市にある、志戸平温泉系列の游泉 志だて へ行ってきました。

初めは志戸平温泉と言ってましたが、娘が是非にネットで評判のお薦めのお宿で、いつも行っている志戸平温泉じゃなくて、その系列のお隣に建っている全室かけ流し露天風呂付のお部屋いいと言うのですから。まぁ、いつも世話になっている娘の言うことを聞いて、老後も世話になるのだからと。

この日は朝から小雨がパラつき肌寒い日でしたが、送迎バスが来ていて、仙台駅PM13:15発=15:30ころ到着しました。結構バスの中は混んでいて、さすがに人気の温泉なのだと感心、どちらかというと年配の女性の団体客が多いということで、皆さんは本館の志戸平温泉のお客さんだったようです。

お隣ということで、別館の游泉 志だてへとバスで到着しました。
時間が早く着いたので、早速、お風呂へと大風呂に露天風呂と、二つ入りましたよ。

1階湯処「喜久の湯」は〈ナトリウム‐硫酸塩、塩化物泉〉、すべてのお部屋についている客室露天風呂「たけの湯」は〈単純温泉‐弱アルカリ性低張性温泉〉。異なるふたつの泉質をお愉しみいただけるということ。

温泉大好きな私なので、毎月でもいいくらい何処か温泉旅行したい気分ですね。温泉には、誰も入っていなくて、娘と二人で貸し切り状態。

お風呂の後は、休憩所でジュースを飲みマッサージチェアで、モミモミしてと、かなりご機嫌な気分!
向こうに見えるお風呂は、豊沢川のせせらぎを眺めながらのんびり足湯です。これもリラックスできるのですが、どうせなら全身浴を長く入りたい。

お部屋には、客室全てに露天風呂付き。別にシャワールームも備えています。お部屋の広さ35平方メートルはシティホテルのジュニアスイートクラスのサイズです。

それに、べランダからは、山の緑が奇麗で空気も爽やか、新緑の景色が眺められとっても癒されます。





夕食は個室ダイニングにて。オープンキッチンのカウンターで調理した、アツアツが食べられます。旬の山海の素材を焼きたて、揚げたてで。食卓は個室に分かれているので、気兼ねなく食事を楽しむことができるのが最高ですね。
それに部屋のお風呂には、夜中の3時ころに目が覚めたので入浴タイムです。
その後は、部屋にも全身マッサージチェアが付いていたので、とってもラクチン。


どういう訳か、夜中の3時に部屋風呂へ入ったら、その後眠れなくて、5時過ぎに1階にある大風呂へと。昨日の大風呂よりも、ちょっと広めの露天風呂でしたね。昨日のと取り換えたのですよ。朝も早いので、やっぱり私一人で、貸し切りでした。早起きは三文の徳と言いますが、帰りのバスの中で寝てしまえばいいか(;^_^A
朝食も夕食と同じく個室にて、たくさん旬の物をいただきました。


実は隣りの「ホテル志戸平」とは連絡通路でつながっているんですね。ホテル志戸平館内の温泉にも入れるし、お土産店にも、居酒屋やカラオケもご利用できるので便利ですよね。さすがに今回は遠慮しましたが、ゆっくりと2泊くらいなら、行ってもいいですね。

ここ志戸平温泉は源泉が3つあり豊富な湯量がこんこんと湧きでております。
泉質は、ナトリウム硫酸塩、塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)73,2度。
その効能は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進など。その他には、切り傷、やけど、慢性皮膚炎、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症、とそれは万病に効く温泉なんですね。
志戸平温泉の方もいいけれど、お隣の游泉 志だては、28室しかないので、お忍びで来る方が多いらしく、殆どのお客さんは車で来るとのこと。でもね、車運転するのは、私だけなので、折角、のんびり癒し旅行なので、無料送迎バスで来る方が楽ちんですよね。
2017年温泉旅行・・・3映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

夜に生きる★★★・8

2017年05月23日 | アクション映画ーヤ行
警察一家の父親とその息子たちを巡る激動の一大サーガを綴った人気ミステリー作家デニス・ルヘインの傑作三部作の一編を「ザ・タウン」「アルゴ」のベン・アフレック監督・主演で映画化した犯罪ドラマ。禁酒法時代を舞台に、警察一家に生まれながら裏社会でのし上がっていく一人の若者の愛と野望の行方を描く。共演はエル・ファニング、ブレンダン・グリーソン、クリス・メッシーナ、ゾーイ・サルダナ、シエナ・ミラー、クリス・クーパー。
あらすじ:禁酒法時代のボストン。警察幹部トーマス・コフリンの三男として生まれたジョーは、厳格な父に反発して家を飛び出し、不良仲間とチンピラ稼業に明け暮れていた。そんなある日、賭博場を襲撃したジョーは、そこでアイルランド系ギャングのボス、ホワイトの愛人エマと出会い恋に落ちる。しかしホワイトの罠にはまって刑務所送りとなってしまう。危険な獄中生活で裏社会での生きる術を身につけていったジョーは、父トーマスの尽力でわずか3年で出所すると、ホワイトと敵対するイタリアン・マフィアの傘下に入り、ホワイトが牛耳るフロリダ州タンパへと乗り込んでいくのだったが…。

<感想>原作はデニス・ルヘインが書き続けているボストンを舞台にした連作の一つで、一本筋の通ったギャングの一代記であり、制作総指揮にも名前を連ねているデニス・ルヘイン。その渋めの原作を、監督・脚本家としてのベン・アフレック監督が職人技ぶりが遺憾なく発揮され、冴えわたる映画でした。

ギャング稼業の非情な世界を彩るアクション、1920年代~30年代のアメリカのクラシカルな色味や、街並みの撮り方には品があり、テンポの良さと演出のメリハリで見せ場の多い作品に仕上げている。

往年のアメリカ映画で、ハンフリー・ボガードほかが演じてきたギャング像を、ベン・アフレックは敬意を込めて演じているようだ。観ていて痺れるほどに素晴らしかった。ノワール映画のヒーローに宛てたラブレターのようで嬉しくなってしまう。

特筆すべきは役者のアップ多用だろう。顔面の力で活劇を見せられるのは、やはり俳優出身の監督ならではの実力なのか。そして、聖女とも魔女ともつかないエル・ファニングが印象的だが、夢を持ってハリウッドへ女優志望で行ったのだが、ヤク中になり体も心もボロボロになり、帰ってきたけれど、カルト宗教に入ってしまうという。ファニングの賭博反対運動により、ジョーは痛手を受けて折角作った賭博をして大儲けしようとしたホテルが台無しになってしまうも、その後に彼女は自殺をしてしまう。これは彼女のルックスを逆手に取ったキャスティングが上手くいったようだ。エル・ファニング、彼女の特異質な芝居も必見であります。

それに、シェナ・ミラーの娼婦の役には、フマムファタールぶりも新鮮で良かった。

ですが、この映画を真に支えているのは、エル・ファニングの父親を演じているクリス・クーパーをはじめとする、ベテラン俳優であるおじ様たちの、脇役陣のお蔭だろう。
監督・脚本・主演作の連続で、ポスト・イーストウッド監督の地位を確実に手に収めたような、まさに今が旬といった作品でもある。

2017年劇場鑑賞作品・・・117映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (8)

ブルーハーツが聴こえる★★★★

2017年05月23日 | アクション映画ーハ行
「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」などの名曲を生み、1995年に解散した伝説のバンド、THE BLUE HEARTS 結成30周年を記念したオムニバスドラマ。6人の監督がそれぞれ愛着のある THE BLUE HEARTS の楽曲への思いを映像化し、自在に物語を紡ぐ。尾野真千子、市原隼人、斎藤工らキャストに加え、飯塚健、井口昇、清水崇といった監督が勢ぞろいする。
あらすじ:アンティークショプで働く一希は、一緒に生活して3年になる恋人の浮気現場に遭遇し……(『ハンマー(48億のブルース)』)。遠い未来、刑務所惑星に向かう囚人護送船が流星群に見舞われる(『人にやさしく』)。脚本家の大輔は夢中で自分の高校時代の思い出を書いている最中、トイレから昔にタイムスリップし……(『ラブレター』)。

<感想>ブルーハーツの歌をテーマにして、6人の監督が撮った短篇を束にした映画である。「ハンマー(48億のブルース)」、「人にやさしく」「ラブレター」「少年の詩」「ジョウネツノバラ」「1001のバイオリン」の全6作品。どれもこれもが、素晴らしい出来でオムニバスに感激した。

さすがに、出来に若干凸凹はあるものの、短篇ゆえにアラが気にならないのだ。確かに長編でダラダラと観ていると、短くて済むのに無駄に長くしている映画が多すぎるし、それに、絶対に一つで済むのに、前篇、後篇と分けて二つにして撮っている映画も多いのだ。
逆に彼らのコアなファンには、物語が飛躍しすぎて馴染めないかもしれない。だって、メンバーが出演するわけじゃないし、歌詞の意図的な曲解もあるからね。中でもお気に入りは、
井口昇監督の「ラブレター」時間旅行ものは、彼の中でも最高傑作ではないかと思う。暑苦しい映画への情熱をイケメンに醜悪の男を演じさせて成立させ、唯一映画になっている。

映画好きならではの妄想ファンタジーが炸裂して、舞香ちゃんのシザーハンドがとってもいい。眠れる美女、しかもヌーディだし、水原希子篇とか、超バブリーな「懐かしいCM」が愉快な優香篇とか、一本ごと細部に企画のこだわりが見て取れるのだ。

そして、笑いが空転する飯塚健監督の「ハンマー(48億のブルース)」尾野真千子出演、亜流の和製SFのような下山天監督の「人にやさしく」には、市原隼人、高橋メアリジュン他。

それに、清水崇監督の「少年の詩」、には内川蓮生君、少年の衝動が設定以上に弾けないとか、細部に何気ない工夫があって感心したり、使用曲とは無縁に、映像技巧に走る工藤伸一監督の「ジョウネツノバラ」とか、

問題を提起しても描くべき、中心の空っぽぶりが際立っている李相日監督の「1001のバイオリンは、彼の福島への思いが素直に胸に響いて良かった。出演は豊川悦司、小池栄子、石井杏奈他。オムニバスで160分というのは、どうにかならなかったのだろうか!これこそ、2回に分けてもっと長く観たかったのもある。

「ハンマー」

話は三年同棲していた彼氏の浮気している瞬間を後藤一希(尾野真千子)が発見するんだけど、彼氏に面と向かって何も言えない状態のモヤモヤした感じでスタート。それでも職場の先輩である久保(角田)やJKコンビのアドバイスがきっかけで一希は自分自身に決着をつける…。
「人にやさしく」

SF。宇宙船の中で繰り広げられるアクション作品。刑務所惑星を目指す囚人護送船が流星群に襲われて……市原隼人が”ヒューマノイド”というロボット役。
助かるには宇宙船の外にある部品を取りにいかなければならない。しかし、宇宙服が船内にはない!市原隼人が、「宇宙服なんていらない」と言うのだが、果てさて。
「ラブレター」

池野大輔(斎藤工)と小松純太(要潤)が、過去に戻って死んでしまった初恋の相手吉田彩乃(山本舞香)を助けに行くという、タイムトラベルもの。設定は定番でありながらも、全体的に雑な感じがした。
「少年の詩」

舞台は1987年、鍵っ子少年が主人公。特筆すべきはその時代の空気感を表現するディテールの細かさ。当時のポスターやCMが作中で垣間見える。
「ジョウネツノバラ」

映像の中で一切、セリフが出てきません。大切な人を失いつつも、それにすがり続ける男の感情を、演技や光の表現に音と風景などで感じ取っていくもの。
「1001のバイオリン」

福島原発の元作業員、秋山達也(豊川悦司)と家族の話。秋山一家は震災が原因で福島を離れ東京に移り住んでいる。家族は徐々に東京生活にも慣れつつあるけど達也は……。
2017年劇場鑑賞作品・・・116映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (1)

はらはらなのか。★★・5

2017年05月22日 | アクション映画ーハ行
「いいにおいのする映画」の酒井麻衣監督が子役出身の原菜乃華を主演に迎えて贈る商業映画デビュー作。原菜乃華が実際に主演した舞台『まっ透明なAsoべんきょ~』をモチーフに、ヒロインの女優としての成長物語をファンタジックに描き出す。共演は松井玲奈。
あらすじ:今は亡き母に憧れ、自分も一人前の女優になりたいと夢見ながらもなかなか芽が出ない子役、原ナノカ。ある日、父の都合で田舎に引っ越したナノカは、かつて母が出演した舞台の再演のチラシを見て、絶対に主役をやりたいとオーディションに挑む。そしてついに主役を勝ち取り、本番に向けて劇団のメンバーたちとの稽古に励むナノカだったが…。

<感想>25歳という若さの酒井麻衣監督のデビュー作は観ていませんが、ちょうど時間が開いたので鑑賞した。女子小学生向けファッション雑誌「キラピチ」の専属モデルやテレビ番組「おはスタ」の「おはガール」などで活躍する原菜乃華が、本人役の原ナノカで映画初主演しているのだが、舌ったらずの喋り方で、演技の方がちょっと下手くそで、もうちょっと勉強してもらいたいですね。

物語が、女優志望の中学生の妄想のような展開。自分の部屋に、自分とそっくりの自分が出て来て、妄想ですからねいいのですが、その妄想の彼女を友達にして対話するが、それがいかにもな可愛いファンタジーというよりも、薄暗くて幽霊のように見えた。

主人公の暮らしが、そんな風だからまったくつかみどころがなく、アングラふうなタッチもあり、目指している母親の劇団へは一応は入れるも、アングラ劇団の団長と喫茶店のオーナーのリナは、昔恋人だったということで、女優さんだったのですね。ナノカの母親の時に子役をしていたそうです。

主人公は子役から女優へのステップアップを目指す女の子であって、ライバルたちより美少女(それなりにね)で芸歴も長いはずなのに、なかなかオーディションに受からず焦りを感じていた。そんなある日、亡き母親が出演していた舞台が再演されると知った彼女は、主役の座を勝ち取るべくオーディションに挑む。ということなんですが、父親が反対しているのに家出までしてそのオーディションに応募する。
父親には川瀬陽太さんが、ナノカを導く喫茶店店主に松井玲奈、ナノカが憧れる生徒会長に吉田凜音。監督・脚本は「いいにおいのする映画」の酒井麻衣。

家出したのはいいが、変なおっさんに連れられて風俗で働かされなくて良かった。物語が、上手く彼女を拾ってくれる喫茶店のオーナーのリナ、松井玲奈が演じていて演技が上手い。その喫茶店に寝泊まりして、その喫茶店もバイトでオーデションへと。ですが、見事に落選でした。

学校はどうしたのか、行っているんですね。喫茶店のリナさんが、父親に連絡をして、学校へも行けるようになる。劇団へ入れたのも、リナの口利きがあったからなのですね。その学校生活の中でも、歌の道へ進みたいという吉田凜音扮する凜ちゃんがいて、彼女の歌はお世辞でなく上手いと思った。将来は、ミュージカルスターにでもなるのでは。

序盤の映像は、確かに監督の意図とする、ファンタジーでミュージカルでもあるが、賑やかで素晴らしくて、チャラン・ポ・ランタンの楽曲に引っ張られているようだった。

後半は、ドラマに徹していて、アングラ劇団のお披露目があり、その主役にノナカが選ばれて、ノナカの母親役に喫茶店のリナが出演することが決まり、虚実のような境界線が明確になり現実となる。ですが、願わくばもう少し世界を壊しにかかっても良かったように思う。
若い女子監督の趣味のレベルのような、アイドルものという作り手の野心が、メガ盛りだくさんでありました。

2017年劇場鑑賞作品・・・115映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

サクラダリセット 後篇★★★

2017年05月21日 | アクション映画ーサ行

超能力者が集う街・咲良田を舞台に、“記憶保持”能力を持つ少年・浅井ケイと“リセット”能力を持つ少女・春埼美空の活躍を描く河野裕の人気ライトノベル・シリーズを「神様のカルテ」「先生と迷い猫」の深川栄洋監督で実写映画化したSF青春ミステリー。本作は前後編の後編。主演は「ちはやふる」の野村周平と「ストロボ・エッジ」の黒島結菜。共演に平祐奈、健太郎、玉城ティナ、恒松祐里、及川光博。
あらすじ:特殊な能力を持つ人々が半数を占める街、咲良田。2年前にリセットの影響で死んだ同級生・相麻菫を取り戻すために街中の様々な能力を組み合わせ、ついに相麻菫の再生に成功した浅井ケイと春埼美空。しかしそれを境に、平穏だった咲良田のいたるところで“能力の暴発事件”が発生する。そのため管理局の対策室室長・浦地正宗は街から能力を消滅させるべく“一掃計画”を断行するのだったが…。

<感想>きっと前篇を観ていない人は後篇も観ないだろう。特殊な能力を持つ人々が半数を占める街、咲良田。なんて聞くと、ハリウッドの「X-MEN」のようなものだと思いがちだろうが、そうでなくて超能力者の高校生が、タイムスリップする物語みたいな感じがした。
リセットとか記憶操作とか、能力コピーといった、その特殊能力自体が映画になりにくいストーリーを、一生懸命に映画にしようとしているのにも興味が惹かれる。

最初っから、問題になっている平祐奈扮する同級生・相麻菫の溺死の真相が明らかにされる。本当は自殺だったのではないかと。前篇での加賀まりこが演じた魔女。後篇に出て来るのは “二代目魔女”と称する相麻菫である。それが、トリックと密接に関わっているので、観客はつじつまが合っているのか、今一つ納得しないままカタルシスを得ることになるのだが。

時間を “リセット”する能力を持つ少女・春埼美空の活躍と、記憶保持”能力を持つ少年・浅井ケイとの活躍が描かれており、後篇でも2人の活躍で同級生・相麻菫を蘇らせるのだ。それは、2年も前に時空が戻るわけで、何だか現在の2人は、高校3年生になっているのが、高校1年に逆戻るってことなのか。
主人公を巡る美少女2人、相麻菫の平祐奈と春埼美空の黒島結菜の二人の確執も陰険じゃないのがいい。

後篇では、超能力者と管理局の局長として新たに出て来る及川光博との抗争が鍵で、及川ミッチーがその悪玉側のボスという設定。青春SFミステリー仕立てなのだが、タイムトラベルものが好きな私には、大いに満足でした。

後篇での最大の魅力は、やっぱり悪玉側のボス、及川ミッチーであり、この俳優さんの存在感が圧倒的にスクリーン映えしており、この人さえいれば困難な実写化映画もなんとかしてしまうという。

だから、主人公の“記憶保持”能力を持つ少年・浅井ケイを演じている野村周平くんたちと、対決する際でも、ナメてかからず、この徹底した虚構の世界かんを信じ切って演じてくれるので、少し魅力に欠けるロケセットすらも苦にならない。

ですが、前篇ではもの珍しさで鑑賞したが、後篇は、その弱点がもろに出て惹かれるところが無いのだ。物語だけは一応、前篇を引き継いで繋がっていくのだが、画面の中では同じようなことの繰り返しで、前篇を知らないとつまらなく思えるのではないかと。

管理局の悪玉親分の及川ミッチーが、サクラダの街にいる超能力者たちを、全員その能力を使えなくしてしまおうと、能力を消滅させるべく“一掃計画”を実行するのだが、野村周平くんだけはそのサクラダの街にいなかったのか、削除されていなくて、ラストで及川ミッチーと野村周平くんの対決が見どころと言っていいでしょうね。
それでも、冒頭で親切に前篇のあらすじを映してくれるのは、ありがたいですよね。それでも、前篇、後篇と2つに話を絞らなくとも一本にした方が良かったかと思いましたね。
2017年劇場鑑賞作品・・・114映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

トラックバック (6)

たたら侍 ★★・5

2017年05月20日 | アクション映画ータ行
「劇団EXILE」の青柳翔が「渾身 KON-SHIN」の錦織良成監督と再タッグを組んだ本格時代劇。EXILE HIROが映画初プロデュースを手がけ、戦国時代の奥出雲の村で伝統の継承を背負った青年が、様々な葛藤を経て真の武士へと成長していく姿を描き出す。共演は「EXILE」「三代目J Soul Brothers」の小林直己、EXILE AKIRA、津川雅彦、早乙女太一ら。
あらすじ:出雲の山奥にあるたたら村では、1000年錆びないといわれる幻の鋼の製造が受け継がれてきた。少年・伍介は村で唯一たたら技術を継承する村下(むらげ)の長男として、秘伝の製鉄技術「たたら吹き」を守る宿命を背負わされていた。しかしある時、村が鋼を狙う山賊たちに襲撃されてしまう。数年後、立派な青年へと成長した伍介は、強くなって村を守るため、幼なじみの新平と共に武術の鍛錬に明け暮れていた。そこへ、秘伝の技術に目をつけた商人がやって来て、村を強くしたいという伍介たちの思いを利用して製鉄技術を我が物にしようとする。そして伍介は、村を出て侍になることを決意するが……。

<感想>EXILEの名前に釣られて観てきました。物語としては、出雲の山奥にある秘伝の製鉄技術「たたら吹き」を守るために、村人たちが戦うという。
“たたら吹き”を取り仕切る村下(むらげ)の息子、伍介に扮している青柳翔くん、そんなにイケメンでもなく、ただ錦織良成監督が「渾身 KON-SHIN」に出演してお気に入りになったのが、またもや主人公を演じることになる。

年寄りたちは、村の伝統の「たたら吹き」守るのに必死であり、そこへ都から来た、村に鋼を求めて訪れた商人の惣兵衛(笹野)と津川さんから、諸国の大名が鉄砲の数を競う中、農民でも侍になれる時代がきたことを知らされた伍介は、「村を出て侍になりたい」と村の掟に背いて旅に出る。

しかし、そこには厳しい現実だけが待っていた。本当は、農民として権力に屈せず技術を伝承する事なのに、伍介が都へと出向いて、笹野さんの口利きで、持っていた「たたら吹き」の鋼で刀(刀鍛冶に中村嘉葎雄)を作って貰ったのに、斬り合いのシーンではヘタレ具合が目立ち、刀と刀がぶつかったときに、さすがの「たたら吹き」の鋼で作っただけはある刀なので、折れることもなく伍介の命が助かるということに。

戦場での戦いのシーンや、盗賊や悪人たちとの斬り合いの殺陣のシーンはありますが、血がドバ~と出るわけでもなく、静かな斬り合いシーンで迫力がありません。
故郷で帰りを待つ伍介の許嫁に、石井杏奈さんが扮していて、伍介の母親に宮崎美子が、神社の予知能力があるお婆に、奈良岡朋子さんが、それに、村人の中には、高橋長英、甲本雅裕、でんでん、佐野史郎、豊原功補、山本圭、他豪華な俳優陣でありました。

時代背景は戦国時代。織田信長が本能寺の変で殺される頃らしく、織田信長の命令で、「たたら吹き」の鋼で鉄砲を作るように指図されたらしい。

津川さんが、村人たちに襲って来る織田軍勢に対して、砦を作るように指図をして、村を守るといって、「たたら吹き」の鋼で鉄砲をたくさん作らせて、村人たちの心を掴んでしまう。

そこへ命からがら帰って来た伍介が、AKIRA扮する尼子真之介に頼み、織田軍勢の襲来に手を貸してもらうことになる。
全般的にテンポが遅くて、騙された村人たちの先がどうなるのか、読めるだけに面白味が欠けて残念です。

それでも、冬の雪降る厳寒のころに、鋼を作る工程での「たたら吹き」のシーンや、出雲の神楽踊りシーンなど、石井杏奈の舞いが美しかった。
そんな日本の古い伝統みたいなものが評価されて、モントリオール国際映画祭で、「最優秀芸術賞」を受賞したのでしょう。

エンドロールの出雲の景色が壮観でしたね。それにATSUSHI君が歌う「天音」が、心に優しく響いて癒してくれます。
2017年劇場鑑賞作品・・・113映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
トラックバック (5)

メッセージ ★★★★

2017年05月19日 | アクション映画ーマ行

テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ボーダーライン』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ザ・マスター』などのエイミー・アダムス、『アベンジャーズ』シリーズなどのジェレミー・レナー、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのフォレスト・ウィテカーらが結集する。
あらすじ:巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。

<感想>宇宙から来た“彼ら”が残した人類への大切なメッセージ。未知の概念で成り立つ言語に触れる。未来で結婚をして出産をし離婚と、娘を病気で失った女性学者ルイーズの苦悩と、心の移ろいを描く。こだわりの詰まった未体験の美しい世界観を観た。

初めてSFに取り組んだドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、信頼するスタッフとともに、“かつて見たことのない”ビジュアルの創造に挑戦した。小惑星を参考にした奇妙な卵型の宇宙船。あえて霧の中で一部だけを見せるエイリアンの容貌。斬新なアイデアから生まれた抽象的な言語が、美しくもミステリアスな世界観を構築するのだ。

まずは、主人公の言語学者ルイーズ、政府や軍の関係者ではなく、一般の言語学者であるルイーズという主人公の魅力は、ルイーズは直感が冴えていて、自分の考えをはっきりと口にすることを恐れない女性である。

言語に情熱を燃やす彼女は、エイリアンの出現に興奮を隠せなくて、彼らが人類とコミュニケーションを取りたいと思っていることにも心が躍ってしまうのだ。自分の恐怖心に打ち勝ち、正しいことを成し遂げようとする彼女の気持ちが素晴らしいと思いました。演じているエイミー・アダムスのすっぴんメイクと素肌の美しさに、それと自然体の演技にも拍手したい。そして、もう一人の物理学者のイアンに扮したジェレミー・レナー。

地球上の12か所に飛来した宇宙からの飛行物体。宇宙からの訪問者の目的は友好なのか?・・・それとも侵略か?。待つべきか、または攻撃するべきかで世界は大きく揺れ動く中で、女性言語学者のルイーズは、アメリカ政府から人類の存亡を左右する困難なミッションを委ねられる。物理学者のイアンと共に、言語解明をするルイーズは、米軍大佐のフォレスト・ウィテカーたちからの、強いプレッシャーをかけられる。

初めに宇宙船の彼らとの接触を試みる。宇宙船内は無重力であったが、スクリーンのような壁で地球外生命体と対面したルイーズは、懸命にコミュニケーションの手段を模索して、やがて、「ヘプタポッド」と名付けた彼らが提示してきたもの、丸い図形のような表意文字の解析に成功し、複雑な図形を読み解き、粘り強く解読を続けた彼女は、衝撃的な事実に近づこうとしていた。

“ヘプタポッド”(7本脚のタコだった)が地球に来た目的を突き止めるように軍に急かされるルイーズ。しかし、彼らからあるメッセージをめぐり、米政府は警戒を強めるように指示する。そして、その言葉の意味が不明のままに対話のセッションは中止されてしまう。宇宙
船のトンネル内で爆発が起こり、ルイーズとイアンが吹き飛ばされてしまう。それに、エイリアンにもケガ人がでたようだ。
しかし、ルイーズは意を決して一人で宇宙船の中へと向かった。いつもは防護服を着て、身動きが鈍くて上手く話せない。それで、ルイーズが防護服を脱いで、彼らと接触する。

彼らの時間の概念が人類とは異なることを発見し、自らの予知能力で未来で“娘”の記憶に関する衝撃的な真実を知ることになる。
だが、しびれを切らした中国政府が宇宙船への攻撃を決定し、彼女は重大な決断を迫られるのだ。

未来でルイーズは、中国の将軍に感謝されて、その未来予知が見えるルイーズが、急いでケータイ電話で中国の将軍に電話をして、爆撃を中止をするようにと。これが上手くいって、宇宙船はワープするかのように、霧の中へと消えて行きました。
「未来が分かっていたとしても、あなたは自分の選択を変えない?」と、ルイーズがイアンに質問するシーンがあります。異星人との会話に成功した達成感と、そこから生まれた愛と、その先に待つ悲しい未来。大きな見せ場がラストに仕込まれていました。見る者の心を打ち、そして考えさせられます。歯ごたえのあるドラマが展開し、哲学的な探究を包み込みつつも、コミュニケーションの重要性という現代的なテーマでもあります。

注:ここからは、映画.comより
「解説1」異星人が飛来した目的は結局何だったのか?
これは、ルイーズが異星人との「会話」を通じて解明しています。彼らの星は3000年後に、何らかの危機を迎えるらしい。その時に、地球人の力を借りるための「仕込み」にやって来たのです。宇宙を高速で移動する方法など、彼らの持つ「武器」を人類に提供する見返りに、自分たちの将来の危機を救って欲しいというディールをしにやって来たんですね。

「解説2」異星人の住む星はどんな星?地球とは違う、そしてルイーズが見ている未来?過去?これもルイーズが解明しています。すなわち、地球は「リニアな世界」、この映画の異星人の星は「ノンリニアな世界」であると。つまり、異星人の星には「時間」が流れていない。分かりやすく例えると、NHKなら、朝6時から「ラジオ体操」6時30分から「朝のニュース」といった具合に番組は時間とともに進行していきます。これが「リニアな世界」。しかしNHKオンデマンドなら「ラジオ体操」も「朝のニュース」も好きな時間にみることが可能・これが「ノンリニアな世界」です。
異星人たちは、そんな「時間の流れない星」に住んでいます。ここが、この映画の最重要ポイントでしょう。この概念は、実は映画の冒頭で、ルイーズのモノローグの中で語られています。「もしも、この世に時間の流れがなかったら」と言う感じで。
「解説3」異星人の文字を解読している間に、「ルイーズに起こったこと」は何だったのか?・・・これについては、映画の原作「あなたの人生の物語」にあたった方が解りやすいでしょう。以下引用。
異星人と会話した後の、新たな記憶は、それぞれが数年単位の期間に相当する巨大ブロック群がばらばらと所定した場所に落ちてきたようなもので、順序だって到来したとか連続的に到着したとかではないものの、それらは直ぐに50年におよぶ期間の記憶を形成した。中略、コステロやアボットとの面談の最中に始まって、わたしの死をももって終わる。(引用終わり)
ルイーズは、異星人とのセッションをこなすうちに、自分が死ぬまでの人生の記憶が頭の中に入ったのです。
「解説4」最後に知る衝撃、押し寄せる感動__ラスト・メッセージの意味とは?ルイーズは、異星人とのセッションを通じて、その後の自分の人生に起こることを記憶とし得ました。イアンとの結婚、娘を出産すること、イアンと離婚すること、娘が若くして亡くなること。そして、そんな辛い「未来」が待つと分かっていても、イアンとの結婚に踏み切るのか?彼女は悩みながらも決断します。

2017年劇場鑑賞作品・・・112映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

トラックバック (39)

破裏拳ポリマー ★★★・5

2017年05月18日 | アクション映画ーハ行

タツノコプロ創立55周年記念作品として往年の人気TVアニメを「麒麟の翼 ~劇場版・新参者~」の溝端淳平主演で実写映画化した格闘ヒーロー・アクション。正義のために立ち上がった元ストリートファイターの探偵が、特殊装甲スーツを身にまとい、最強ヒーローとなって悪に立ち向かう姿を描く。共演は山田裕貴、原幹恵、柳ゆり菜、神保悟志、長谷川初範。監督は「仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム」「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」の坂本浩一。

あらすじ:過激化する組織犯罪に対抗するため、警視庁と防衛省は特殊装甲スーツ“ポリマースーツ”の開発を極秘に進めるが、その強大すぎる力に畏怖の念を抱いた警視総監によって中止される。数年後、新たに就任した警視総監によって、ポリマースーツの開発が再開されるが、テスト版スーツ3体が盗まれ、犯罪に悪用されてしまう。そこで刑事部長の土岐田は、最強拳法“破裏拳”の唯一の継承者で元ストリートファイターの探偵・鎧武士に捜査への協力を要請するのだったが…。

<感想>大ヒットアニメの『タイムボカン』や『科学忍者隊ガッチャマン』を輩出したタツノコプロ55周年を記念して製作された本作は、1970年代にテレビ放送された同タイトルの人気ヒーローアニメの実写化作品です。
破裏拳ポリマーをまったくもって知らなかったので、「仮面ライダー」を見る気分で観賞。
フィジカル・ヒーローを演じるのは溝端淳平くん。溝端淳平くんの初のアクションヒーロー役は、トレーニングで作り上げた肉体に、顔立ちがどこか昭和感の漂っていて、この作品にぴったりとハマっていました。”ポリマースーツ”が、まるで「アイアンマン}のようないで立ちのスーツなのでかっこよかったです。

異国の地でストリートファイトで生計を立てていた鎧武士(よろいたけし)。彼は最強の拳法”破裏拳流”の奥義を身に着けている唯一の継承者なのだ。日本では探偵事務所を営んでおり、浮気調査をしながら当事者を見つけてはカツアゲ行為を繰り返すという、さえない日常を送っていた。

ある日のこと、警察側からスカウトされ、刑事部長から盗まれた3体の特殊装甲ポリマースーツを取り返すミッションを与えられるが、封印されていた特別仕様のポリマースーツが、鎧武士に用意されていた。このスーツは、鎧武士の声にしか反応せず、開発には秘密が隠されていた。
ポリマースーツを装着していた悪党たちとの戦いを繰り広げていくうちに、武士は正義に覚醒し、自分に課せられた大きな宿命にきづくのだ。そして、殺された親友や恩師の復讐を胸に秘め、強大な敵に立ち向かうのであった。

オリジナルアニメは観ていませんが、「この世に悪がある限り…」のキメ台詞とともに、どこか昭和の時代感を残しつつ、未来を感じさせる作品の世界観も魅力的であり、往年のファンも、初めて観る世代も楽しませたいという製作陣の熱意が伝わってきます。それに、鎧の相棒を演じる山田裕貴もこれまでにない役柄を好演している。

まず、その“破裏拳”なる技を持つ、スーツヒーローを知ったのですが、わざわざ特殊装甲スーツなどで変身しなくても、溝端淳平が演じている主人公、素手で充分強いのに、なんて思ってしまったのだが。ポリマーの戦闘スタイルはジークンドーそのもので、ファイティング・ポーズも横向きなことから、相手の蹴り脚を瞬時に自分の足先でストッピングさせる演出をクローズアップで見せているのも良かった。

ジャッキー・チェンの「カンフー拳」もので刷り込まれたファンの私には、それに勝るものはあり得なく、ある世代の男子の必殺技スキには、かなわないが、本作はそれを踏まえた上で、そこに安住せず、技が改良されて変化したステップを、長年会っていなかったかつてのライバルが、知るのは何故?・・・みたいな、武術ミステリネタをも入れてきており楽しかったです。

変身することで更にパワーアップするわけなんですが、そのアクションも基本は、地に足をつけたまま、しかも物語の運び方がいささか古くさいコメディ仕立てであり、この辺の手造り感は親しみが湧かなくもない。とは言え、観客のアクション鑑賞眼は肥えてきているも、本作の志向もまた良かった。「タツノコプロ」ファンには嬉しい作品ですよね。

原幹恵演じる本作でのオリジナルキャラクターの、メタリックブルーのポリマースーツを身にまとって、その名も「ポリマーアルテミス」と、そのセクシーな姿は、男子を悩殺させちゃうかもしれませんね。
2017年劇場鑑賞作品・・・111映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

トラックバック (6)

逆行 ★★★★

2017年05月17日 | アクション映画ーカ行
東南アジアのラオスを舞台に、ふとした弾みで殺人者として追われる身となってしまったアメリカ人医師の、決死の逃亡劇を描いたサスペンス。主演はドナルド・サザーランドの息子の一人、ロッシフ・サザーランド。監督は、これが長編デビューのジェイミー・M・ダグ。
あらすじ:ラオスでNGOの医療活動に従事する誠実なアメリカ人青年のジョン。激務が続き、久々の休暇をもらって一人リゾート地で疲れを癒す。夜、バーで飲んだ帰り道、地元女性に暴行を働く外国人観光客ともみ合いになり、過って撲殺してしまう。その後、一度は地元警察に逮捕されるも、隙をみて脱走すると、アメリカへ帰国するべく過酷な逃避行を繰り広げるジョンだったが…。

<感想>原題が「リバー」で、確かにメコン川が流れているラオスが舞台なのだが、邦題の「逆行」の付け方が上手いと思った。物語は、真面目なアメリカ青年ジョンが、ラオスの地で偶然に殺人を犯したしまうところから、俄然、走る、走る、逃げる逃げるの、逃亡劇であります。

仕事がNGOの医療活動に従事する医師なので、初めに患者の足を切断する手術シーンに驚き、荒っぽい性質なのかが見えて来て、どこか不穏になってくる。毎日忙しく働くジョンが、久々の休みでリゾート地へ遊びに行くのですが、確かに異国の美しい風景とか混沌とした路地裏、言葉も文化も違う海外で感じる楽しさもある反面に、不安と恐ろしさがあると思う。

ですが主人公ジョンの、やや過剰なまでの正義感が裏目に出て、酒場で若い大学生と思われる外国人が、若い地元の女に乱暴するのを見て、よせばいいのに、つい殴る蹴るの暴力事件になりその後に、またもや川岸でその若者が酔っぱらっていて、傍には女が倒れていた。
つい、レイプをしたんだろうと思い、その若者を殴る蹴るし、泥水の中へ顔を付け込んで、気づくと若者は死んでいた。その後に、女を起こすと寝ているだけで元気になる。それからは、その若者の死体を河に流して宿へと帰る。

しかし、次の朝目が覚めると、財布がないし、金も無い。それに、川でオーストラリア人の学生で、議員の父親がいることが分かり、犯人がジョンと分かって指名手配されてしまう。
一応、部屋には荷物の中にパスポートとお金が入っており、ラオスで医者と働いていたことを知っているおじさんに救われる。ラオスへと逃げる手助けをしてくれるのだ。車を乗り継ぎ、どこをどう走っているのか分からない。
それからが、宿代も支払わずに、逃げる、逃げる、の連続で、巻き込まれ型サスペンスだが、手持ちカメラで主人公に延々と密着することで、疑似ドキュメント路線を狙っているのだろう。

逃亡劇のハラハラ感はリアルで素晴らしいのだが、こういう映画は、ラストの落とし所をどうするかが決め手となる。もちろん、アメリカ大使館へと助けを求めるも、弁護士を付けて本人がどのような事態になったのかが問題なのだ。
殺人犯となれば、死刑になることは確実であり、何故に自首をしないのかと思えば、都合の悪いことから逃げ続ける姿にはイラっとするが、ジョンが恐怖感にかられてとにかくここから脱出したいと、そればかり考えている。

遊んだリゾート地から、自分が働いていたラオスへ一旦帰りたいと思ったのだろう。メコン川をラオスに向かって船をチャーターするも、降ろされてしまう。その男が、メコン川を泳いで渡れば向こう岸はラオスだと教えてくれるので、川を泳ぎ切るとすぐに張り込んでいた警察に捕まる。

アメリカ大使館と弁護士の配慮で、犯人としてあのレイプされた女が新犯人となって逮捕される。ジョンはアメリカへ強制送還のような手続きで帰されるのだ。

それを空港へいく途中のTVで観て、ジョンは自分は何をしているのかと、正義感が強いだけに、正当防衛とはいえ、自分の罪をあの女性になすりつけてしまうとは。それからが、ジョンの取った態度が「逆行」するんですね。邦題の付けた意味がすごく判って、納得のいく上手い幕切れで終わります。

2017年劇場鑑賞作品・・・110映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/