パピとママ映画のblog

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妻への家路 ★★★★

2015年04月23日 | た行の映画
『紅いコーリャン』『秋菊(しゅうぎく)の物語』などのチャン・イーモウ監督とコン・リーが再びタッグを組み、文化大革命後の中国を舞台に夫婦の切ない愛を描くドラマ。20年ぶりに解放された夫が、夫を待ちすぎて記憶障害となった妻に自分を思い出してもらおうと奮闘する様子を映す。ひたすら夫を待つ妻をコン・リーが、妻に寄り添う夫を『HERO』『インファナル・アフェアIII 終極無間』などのチェン・ダオミンが演じる。いちずな夫婦の姿が感動的。
あらすじ:1977年の中国。文化大革命が終結し、20年ぶりに自由の身となったルー・イエンシー(チェン・ダオミン)。ところが自宅に戻ると、妻のフォン・ワンイー(コン・リー)は夫を長年待ち続けた疲れが原因で記憶障害となり、イエンシーを他人だと認識してしまう。イエンシーは向かいの家で生活を始め、収容所で書き続けてきたワンイーへの膨大な量の手紙を読み、駅に夫を迎えに行くワンイーにも付き添い……。

<感想>長い時を超えて出会った男女の愛の行方。文化大革命によって引き裂かれた夫婦の深かまる愛の物語り。1950年代の中国で共産党に逆らう右派分子として捕られていた知識階級の夫(大学教授)が、文化大革命が終結した1977年に解放されるのだが、妻にとっては20年間も待ち続けた最愛の夫。

感動の再会であるはずなのだが、長年の緊張と苦労が強いられた妻は、心因性記憶障害を発症していて、夫の顔を認識できなくなってしまっていた。

誰がどう説明しても、目の前に現れた男を夫だとは認めない。夫婦の一人娘も、3歳の時に別れ記憶にもない父親のせいで、所属していた舞踊学校の舞台の主役を降ろされてしまった恨みもあり、一度、強制労働所から脱走までして帰ってきた父親を密告したことで、駅の陸橋で妻は、夫が捕まり労働所へ戻されるのを見つける。

のことで、母親との関係にしこりを残したまま、娘は舞踊学校を辞めて紡績工場の寮に住み込んでいる。
何の罪もない一人の男が、時代に翻弄された悲劇なのだが、その傷跡はあまりにも深く家族に影を落としている。病院と老人ホームで実際に生活をして研究したという、コン・リー演じる妻の演技にはとにかく圧倒されます。

上手に年齢を重ねた演技派の女優になってましたね。毎月の5日には、手製のプラカードを持って、何年も駅に夫を迎えに行く規則正しい切実さ。鏡の前で身支度をする姿には白髪が見え始めても、可愛らしい乙女のままである。

しかし、永遠に夫と再会することはないのだ。何故なら夫は、ずっと迎えの家で彼女を見守り続けているのだから。知人の「方さん」夫がいない間に共産党員の男が、妻にいいよって悪さをしたらしいのだ。その「方さん」と間違えたり、夫の手紙を読む親切な近所の人、荷物を運んでくれる隣人として存在しているのです。
その夫を演じるチェン・ダオミンの深い愛の演技には胸を打たれました。妻の記憶を取り戻そうと、アルバムの写真を見ても、自分の写真は全部切り取られている。それは、娘の丹丹が自分がバレエで主役になれないのは、全部父親のせいだと思い込み、アルバムから父親の写真を抹消してしまう。自分には父親はいないと、そのことで母親と喧嘩をしてしまい、気まずくなって疎遠になる。

それに、思いでの古いピアノを調律して、弾くシーンではもしかしてこのピアノの旋律で妻は思い出してくれるに違いないと。そして、手紙を通してのみ、思いが妻に届くと気づいてからは、夫は手紙を書きはじめ木箱に入れて、さも今届いたように妻に運んで来る。
その手紙の多いことといったら、中でも夫の解放通知を読むと涙を流して喜び、翌朝には駅へ夫を迎えに行くのだ。夫婦の長かった別離の期間が走馬灯のように過ぎり、二人は再び出会うことが出来たのだと思わせる確かな感動がありました。
これは以前観た、「君に読む物語」(05)の中の、老人ホームで老人デュークが、アルツハイマーの老女アリーに本を読み聞かせている。それは、40年代にさかのぼる令嬢アリーと貧しい青年ノアの身分違いの恋の物語。ライアン・ゴスリング&レイチェル・マッカダムズのフレッシュな演技は必見ですから。
その他にもありましたね、妻がアルツハイマーになり、そんな妻に夫が恋人としてまたプロポーズする物語も。
それにしても、病気の妻を甲斐甲斐しく見守り続ける究極の愛に、本当に感動しました。永遠の愛はあるんだなと、思わせてくれる素敵な映画でした。
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