パピとママ映画のblog

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エイプリルフールズ  ★★

2015年04月16日 | アクション映画ーア行
大ヒットとなったテレビドラマ「リーガルハイ」シリーズの製作陣と豪華キャスト陣が集結した群像コメディー。うそをつくことが冗談で済まされるエイプリルフールを舞台に、人々が軽い気持ちで放った小さなうそが大きな騒動を引き起こしていく。監督と脚本は「リーガルハイ」などの石川淳一と古沢良太。戸田恵梨香、松坂桃李、岡田将生、小池栄子、古田新太、里見浩太朗らが出演。個性的なキャラクターにふんした彼らの怪演に加え、二転三転する先読み不可能な展開にも引き込まれる。
あらすじ:人に対して恐怖心を抱いてしまう清掃員のあゆみ(戸田恵梨香)は、一晩だけ関係を結んだ外科医の亘(松坂桃李)に対して、身ごもっていると打ち明ける。ところが亘は、エイプリルフールだからとあゆみの言葉に耳を貸さなかった。居ても立ってもいられなくなったあゆみは、亘がいるイタリアンレストランに向かう。一方の亘は、きれいなキャビンアテンダントの麗子(菜々緒)とランチを楽しんでいて……。
<感想>ウソをつくことが許される4月1日のエイプリルフールを題材にした群像劇スタイルのライトコメディです。昔は流行ったことがあるけれど、今時、エイプリルフールといって嘘をついてもいい日なんて古いですから。それに、そんなことで嘘をついても、馬鹿にされるだけで自分の頭がオカシイと笑われるだけです。
しかしですよ、この映画では総勢27名のメインキャストが、嘘と本音の狭間で右往左往するドタバタぶりが見ものなんですね。

戸田恵梨香が対人恐怖症の妊婦を、松坂桃李がSEX依存症の偽外科医に、その恋人らしき美人の菜々緒、ロイヤル夫妻の里美浩太郎と冨司純子、ファミレスの店長に古田新太、

占い婆ぁのリリイさんとイっちゃっている刑事の高島政信、不器用な誘拐犯のヤクザの寺島進に、

いつも2人でつるんでいる大学生の松田に窪田正孝と梅田の矢野聖人、ところが4月1日だから少し嘘をついて驚かしてやれと「実は俺、お前のことずっと前から好きだったんだ」と告白する。ところが、相手はゲイだったので、彼の告白に嬉しくてベッドインをすることになるとは、これいかに笑えないぞ。
引きこもりの中学生が宇宙人と思い込んでUFOが迎えにくると信じ込む。これが、本当に宇宙船が迎えに来るとは、嘘だからでしょうね。本当にちょい役で出演の岡田将生、小池栄子。

それに、イタリアンレストランのオーナーシェフに小澤征悦、冒頭の42年ぶりに海で遭難したまま行方不明になっていた男が、インドネシアで見つかったという感動のニュースの男に生瀬さんと母親のご対面など。
とにかく「鈴木先生」「寄生獣」など、情報量の多い原作をまとめあげる能力が高く評価されているドラマの売れっ子脚本家の古沢良太が、嘘というお題で長めのショートコントをいくつも盛り合わせた映画である。

映画という嘘の中でさらに嘘をつくのは難しい。思わせぶりな人々と、奇妙な出来事は確かに華やいではいるが、嘘を信じ込ませる演出と脚本がなければうとましくなるだけ。
ただ観た眼はドーンとボリュームがありそうですが、実際はプラスチック製の幕の内弁当で、とてもじゃないが箸にも棒にも引っかからない。
そもそも嘘だからこそ細部にリアリティが不可欠なのに、細部がまた安っぽい嘘で、映画を、観客を侮っているとしか思えませんね。

誘拐犯のヤクザは、どうして普通の少女を狙ったのか、それは自分の娘であり、生まれてから父親らしいこともしないで、自分がもうすぐヤクザの仕事で死ぬかもしれないと。だから、せめてその前に娘に逢いたい、ですが、その少女は家は貧乏で身代金なんか払えないから、自分を売春婦にでも売り飛ばしてくれというのだ。父親にしてみれば、そういう仕事がどんなに大変で残酷かを見せつけるように連れまわす。それが、遊園地なんかにも連れて行き、馴染みのラーメン屋にも連れて行くのですから。最後は、家の前で少女を降ろして、育ての父親、滝藤賢一が泣きながら迎えに出るというパターン。

伏線と人物関係が見事に回収しつくされても、それだけでは感動はしません。ですが、冨司純子の癌で余命いくばくもない日にちを、夫の里見浩太郎がまるで皇族のような気品で過ごす日々と、船で余り上手くない歌を披露するのには感動しました。

もう、とてもじゃないが、どの話にも後から言い訳がましい台詞でつじつまを合わせをしていては、盛り上がるわけがないのだ。複数の挿話を同時に捌けないならば時間を提示するなり、時制を動かすなりすべきだったのでは?・・・。
レストランでの主人公とおぼしき戸田恵梨香が、お腹の子供の父親に対して責任を取れと、拳銃をぶっ放して挙句の果てに陣痛が起きて、生命の危険よりもその場のノリと感動が優先される出産シーンのクライマックス。

はしゃいだ演出も俳優陣の浮き立ったキャラ作りも、芸能人のかくし芸大会のようで、楽屋で観ているような、これはよくよく考えて映画を作らなければ悲惨な結果になるだけだと思った。
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