パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

海賊じいちゃんの贈りもの★★★

2015年12月31日 | アクション映画ーカ行
さまざまな問題を抱えた家族が思わぬピンチに直面し、ドタバタを繰り広げるハートフルコメディー。メガホンを取るのは、本国イギリスで数々のドラマに携ってきたアンディ・ハミルトンとガイ・ジェンキン。破局寸前の夫婦に『ゴーン・ガール』などのロザムンド・パイクと、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』などのデヴィッド・テナントがふんするほか、親族に翻弄(ほんろう)される一家のおじいちゃんをベテラン俳優ビリー・コノリーが演じる。
あらすじ:おじいちゃん(ビリー・コノリー)の誕生日を祝福すべく、マクラウド一家の面々はスコットランドの自宅に集結する。しかし別居中で破局が秒読みのダグ(デヴィッド・テナント)とアビー(ロザムンド・パイク)夫妻、精神状態が不安定な伯母などいずれも問題を抱え、和やかな一家団らんとは言い難いものだった。そんな中、アビーの子供たちが引き起こした行動をきっかけに、一家はとんでもないピンチを迎え……。

<感想>おじいちゃんの誕生日を祝うためにスコットランドへやってきた一家が大騒動を起こすファミリー・コメディです。主人公はおじいちゃんのビリー・コノリーで、ロン毛の白髪で素敵なおじいいちゃん。それに、弟の嫁にあの「ゴーン・ガール」で有名になったロザムンド・パイクが、その子供たち3人には、9歳の長女ロッティはしっかりもので、いつもメモ帳に記帳している。それに長男の6才のミッキーは、海賊オーディンに憧れている情報通であるし、末っ子の4歳のジェスは、石集めが趣味で、それに失神するまで息を止めるのだ。

そんな子供たちと、実は別居中で破局寸前の夫婦がじいちゃんの75歳の誕生日を祝うために、ロンドンからスコットランドへはるばると車を飛ばす。

じいちゃんの家へ長男のギャビンは成功者らしく豪邸で、男の子がいて小心者でバイオリンに熱を上げている。妻は年齢的に更年期症状が現れているような、買い物先で、夫の愛人らしき女と大喧嘩をして物の投げ合いをするなど、精神状態が不安定なのだ。長男は、成功者として弟夫婦を見下し威張っているのだ。

孫たちはおじいちゃんが大好きで、パーティ準備に忙しい大人たちを置いて、近くには海岸へと車で孫たちを乗せてドライブに。始めはのんびりと雄大景色を眺めて楽しい時間を過ごすのだが、じいちゃんを砂の中へ埋めてしまい孫たちがじいちゃんが息をしてないことに驚く。ですが、初めのは孫たちをびっくりさせるためのお芝居だったのだが、次にはやっぱり病気の癌が良くなくてそのまま息を引き取ってしまう。

驚いた孫たちは、大人たちへ知らせようと姉のロッティが歩いて家まで知らせにいくも、家では大忙しで自分の両親は喧嘩の真っ最中なのだ。仕方なくそのままじいちゃんのところへ戻り、3人の孫たちでどうしようか悩んでしまう。
じいちゃんは「先祖はヴァイキング」だったと言っていたし「ヴァイキング式に戦士として船に乗せ、火をつけて海に流して欲しい」と言うことで、長男がイカダを作り、その上へ爺ちゃんを寝かせて火を付け燃やしてバイキング方式の葬式をするのである。

これでいいのか、大人たちには理解不能だろうに。警察に連絡し、じいちゃんの捜索をすることに。それに、子供たちだけでそんな重大なことをしでかすことが問題だと、児童福祉員の女が訪ねて来るわ、3人の孫たちの教育がなってないし、親が子供をないがしろにしているということで、児童施設へ入れるという大変な事態になってくる。
盛大な誕生パーティに押し寄せてくる近所のひとたちと友人。それが、とんだことになりお葬式に早変わりとは。じいちゃんの葬式は、イギリス式の土葬?・・・棺の立派なので盛大にバグパイプの奏者とか来て行うのだろう。だが、じいちゃんの遺体が見つからなくて、警察の捜索の難行している。

爺ちゃんにしてみれば、海へ孫たちを連れてドライブするのが楽しみであり、そこで自分の命が息絶えても満足だったと思うよ。孫たちのアイディアで簡素にイカダで火葬をして、海へと流してもらうのが良かったのかもしれない。
3人の子供たちの両親も、離婚をやめてまた家族なかよく暮らすことになり、良かった、良かった。
これって、「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式のようなコメディたっちのお葬式映画で、湿っぽくならずに明るく送ってあげようという日本では考えられないですよ。
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FOUJITA ★★★

2015年12月30日 | アクション映画ーハ行
第43回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した『死の棘』などの小栗康平監督による伝記ドラマ。フランスを中心に活動してきた著名な画家・藤田嗣治を主人公に、彼の生きた激動の時代を描く。プロデューサーは、ヒット作『アメリ』に携ったクローディー・オサール。主演を務めるのはオダギリジョーと中谷美紀、さらに『最後のマイ・ウェイ』などのアナ・ジラルドら日本とフランスの実力派キャストが集結する。
1920年代パリ、日本人画家・フジタ(オダギリジョー)が描く裸婦像は「乳白色の肌」と称賛され、彼は時の人となった。一躍エコール・ド・パリの人気者となったフジタは、雪のように白い肌を持つリシュー・バドゥー(アナ・ジラルド)と出会い、自らユキと名付け彼女と共に暮らし始める。やがて第2次世界大戦が始まり、フジタは日本に帰国し戦争画を描くようになるが……。

<感想>1920年代パリで熱狂的な人気を集め、戦時中は日本軍に戦争絵画への強力を強制された波乱の画家である藤田嗣治。凝りに凝った映像に、ロケーションで1920年代のパリを再現するのは、本当に大変なことだったと思います。セピア色に沈んだ画調に、思わず目を奪われます。

彼の絵画は美術展があると必ず見に行き、本物を見ております。実に繊細なタッチで女性の裸婦を描かれ、まるで日本画かとおもうような筆のタッチで描いているように感じました。
特に裸婦と猫を描いた絵は、猫の毛並1本1本が繊細に描かれており感服した記憶があります。毛筆の細い筆で描いた線は、黒墨で描いているような、それに乳白色の肌の色は、芸子さんのおしろいを使用したということを聞いたことがあります。

根っからの自由人であり、美への殉教者であった藤田の半生を、映画は純度の高いエッセンスの域にまで凝縮して映し出しているようでした。

1920年代のフランスでの「裸婦」の時代と1940年代の帰国してからの「戦争」の時代の落差でもあります。冒頭のフランスでの貧しい暮らしの中で、自分の絵が売れ始めて、暮らしもらくになり夜の酒場に呑みに歩く藤田。フーフー(お調子者)の愛称で呼ばれ、画家として評価を得る一方で、大恐慌前のパリでの狂騒ぶりが描かれていた。

藤田を演じたオダギリジョーの流暢なフランス語、静かに話す言葉に芸術家らしい飄々とした品格。とてもフジタ画伯に良く似ているので、キャスティングとしては良かった。
藤田は当時の最先端であったわけで、カッコ付けてやって行くんだという状態が良く滲み出ていた。とにかく美術映画を観ることは、嫌いな人には退屈極まりなく、観客を眠らせる時間が流れる。

おかっぱ頭の自画像に、演じたオダギリジョーが確かにそっくりであり、パリを舞台にした前半は、モデルのキキや妻のユキとの華やかでビザールな「乳白色」の日々が描かれる。
そして、戦争画の時代へと変わる帰国後は、力作である「アッツ島玉砕」をモチーフにひたすら重苦しく、鉛色のスクリーンで暗く恐ろしく見えた。

ともかく、映画の全編を通して、暗く陰気くさくて、確かに1920年代のパリはまだ電気も付いてなく、ガス灯かランプの時代。帰国後の日本での故郷青森でも、農家ということもあり薄暗く暗いスクリーンに、目が霞んでくるのだ。

それでも、日本での妻役の中谷美紀の艶やかな着物姿に、夫である藤田は何故に妻の着物姿を描かなかったのだろう。
ですが、小栗康平監督の作品は一度も観賞したことがないので、この監督の見せる引きに引いた目線とか、パリから帰国後の日本の故郷を描く説明もない転調も。だから、もう少し藤田嗣治という人物と、絵画に寄って欲しい気がしました。ただ、ラストのフランスの教会の壁画が、とても素晴らしくて見入ってしましました。

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クリード チャンプを継ぐ男★★★★

2015年12月28日 | アクション映画ーカ行
シルヴェスター・スタローンが演じた『ロッキー』シリーズのロッキーが、ライバルのアポロ・クリードの息子と再びボクシングの世界に身を投じるさまを活写した話題作。アポロの息子アドニスが、トレーナーとなったロッキーのもとでボクサーとして成長する姿を見つめる。メガホンを取るのは、『フルートベール駅で』で注目を浴びたライアン・クーグラー。スタローンと『フルートベール駅で』などのマイケル・B・ジョーダンが、師弟となるロッキーとアドニスにふんする。熱いドラマはもちろん、ボクシングシーンも必見。
あらすじ:アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)の父親は世界的に有名なボクシングのヘビー級チャンピオンだったアポロ・クリードだが、彼が生まれる前に死んでしまったため、父のことを何も知らない。それでも、明らかにアドニスにはボクシングの才能が受け継がれていた。アドニスは、父がタフな無名のボクサー、ロッキー・バルボアと死闘を繰り広げた伝説の戦いの地フィラデルフィアへ向かう。フィラデルフィアに着いたアドニスは、ロッキー(シルヴェスター・スタローン)を捜し出し、トレーナーになるよう頼む。。ロッキーは、ボクシングからは完全に手を引いたと断るが、かつての宿敵で、のちに親友となったアポロと同じ強さと決意をアドニスの中に見出し、トレーナーを引き受ける。若いボクサーを鍛え始めるロッキーを味方につけたアドニスは、タイトル戦への切符を手に入れるが……。

<感想>「ロッキー」シリーズの最強の宿敵といえば、もちろんアポロ・クリードである。第1作で世界ヘビー級チャンピオンとして登場したアポロは、その後の「ロッキー」シリーズ3では、ロッキーの良き友人となるが、シリーズ4でソ連の殺人マシーンドラゴ(ドルフ・ラングレン)にリング上でボコボコに倒され、そのまま還らぬ人となった。

本作ではそんなアポロに、実は息子がいたという設定で幕を開ける。9年ぶりの新作であり、事実上の「ロッキー7」になっていると思う。冒頭の少年院に入っている愛人の子供アドニスを、アポロの妻が迎えに行き白亜の豪邸で愛情を注いで育てる。

それが過去作とは違っていて、物語の原案者がシルヴェスター・スタローンではないこと。今回の映画では「フルートベール駅で」(13年)で注目を集めた監督ライアン・クーグラーの持ち込み企画であり、いろんな意味で原点回帰の1作になっている。まぁ、過去作の「ロッキー」シリーズを見ていない人でも楽しめる映画になっている。

亡きアポロの血を受け継ぐ新人ボクサーを演じるのは、「ファンタスティック・フォー」、「フルートベール駅で」などのマイケル・B・ジョーダン。スターローンはトレーナー役で脇役に徹しているのだが、いい感じに枯れた演技にはホロリと胸に迫ってくるものがある。ロッキーは愛妻エイドリアンが眠る墓地を訪れ、隣には親友ポーリー(バート・ヤング)のお墓もある。いつものことだけれど、お墓の前に椅子を置き妻に話しかけるロッキーの姿に、愛妻家だったことを思わせる。
見所は、なんていっても臨場感と迫力溢れる試合の場面が素晴らしい。最終ランドまでリング上に立ち続けることを誓い、ここでは、生前のアポロの試合の映像が多く使われ、息子役のマイケル・B・ジョーダンの筋肉美とボクシングのワンラウンドを戦い続けるシーンには、手汗ものですから。

しかし、そんなに生易しくチャンピオン王者に勝てるはずもなく、それでも最終ラウンドまで左目が潰れても立ちあがり戦うガッツは、ロッキーと同じく不屈の精神の賜物です。
アメリカンドリームを実現したロッキーの物語が、ボクシング映画ではないことを見せるのは、試合の勝ち負けよりも主人公の愛と勇気と不屈の精神力であります。何度も打ちのめされても立ちあがるロッキーのファイトは、ボクシングに関心のないものまで胸を熱くさせてくれる。

そんなロッキーの身体にも癌という病が蝕み始め、化学療法の抗がん剤投与を拒み続け、余命宣告を受けるロッキーの姿に涙がでます。ボクサーとして強靭な身体を持っていても、老いには勝てないロッキー。

主人公の恋人、ビアンカ(テッサ・トンプソン)がネオソウル系のシンガーという設定だったり、ラッパーのミーク・ミルが新曲を提供してたりと、ファンには嬉しい「ロッキー」のフィラデルフィア繋がりにも感心しました。

ラストのロッキー・ザ・ファイナルでもうこれで最後だと感慨深く思って観た、ロッキー・ステップの階段のある美術館へ2人で行き、上まで行って眺める景色にも興奮冷めやらぬという感じがします。もちろん、両手でガッツポーズをしたロッキー像も当然のように登場し、ロッキーの部屋には水槽でカメを飼っている風景も映されます。老人と若者の生き方を両立させた、力強い作品になっています。
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奇跡の2000マイル★★★

2015年12月27日 | DVD作品ーか行
 1977年に、たった一人でオーストラリア西部の砂漠を横断する2000マイル(約3000キロ)の大冒険を成し遂げた女性ロビン・デヴィッドソンの回顧録を「アリス・イン・ワンダーランド」「イノセント・ガーデン」のミア・ワシコウスカ主演で映画化した感動のアドベンチャー・ドラマ。共演は「フランシス・ハ」のアダム・ドライバー。監督は「ペインテッド・ヴェール ある貴婦人の過ち」「ストーン」のジョン・カラン。
あらすじ:オーストラリア中央部の町アリス・スプリングス。人生に煮詰まり、居場所を失った24歳の女性ロビン・デヴィッドソンがこの地にやって来る。目的は、ここから西に広がる広大な砂漠地帯を、たった一人で踏破するという過酷な冒険の旅を始めるため。そのために、まずは牧場でラクダの調教を学ぶロビン。そして8ヵ月後、ナショナル・ジオグラフィック誌との契約を取り付け、ようやく準備を整えた彼女は、4頭のラクダと愛犬を引き連れ、荒涼とした大地へとその一歩を踏み出していくが…。

<感想>埃にまみれ日焼けも厭わず歩き続ける姿に、思わずグット引き寄せられます。何故に過酷な試練を自分にするのか、人生に悲観して死にに行くためなのか。だったら、何もラクダ4頭と犬を連れて旅をしなくても、簡単に自殺する方法があるのになんて思ってしまった。

ですが、この作品は実話で1970年代にオーストラリアの砂漠地帯を、たった一人で徒歩で踏破したロビン・デヴィッドソン、24歳の実話を基に製作されたものです。
ナチュラルでありながら、何処かミステリアスな魅力を持つミア・ワシコウスカ主演のロード・ムービー。風景が雄大で素朴なオーストラリアの大地の景色が実に美しい。だが、水や毎晩の野宿など、若い女性には危険がつきものだし、自分探しというのも何だかなぁ~という、飽きっぽい性格の私の印象です。

1日あたり32キロペースで歩き、7か月も費やされたという過酷な旅路。荷物を運ぶためのラクダ4頭を手に入れるために、ラクダの牧場で働きながら調教を勉強して、そんな行程からして勇ましいが、決して強いわけではない普通の女の子が、一大奮起したような印象で痛々しく感じたのだが、そうでもないのだ。

結構、性格が男勝りで強いようだ。セリフも少なく、ただ黙々と歩くのみ。景色といえば、荒涼とした砂漠のみで、雨が降らなく、喉も体もカピカピに乾いて干からびてしまいそう。若い女性のやることではないと思う。髪の毛だって、砂埃で真っ白で、シラミが湧いていそうで、風呂も入らないから体も汚いしきっと臭いのだろう。

しかし、食料や水の不足、女性だけでは入れない聖地、そこは、アボリニ原住民が案内してくれた。だが、発情した野生のラクダが突進してくるところでは、銃をかまえて撃つしかない。襲われるからだ。それに、報道カメラマンや、観光客が「ラクダ女」といいながら珍しがり声をかけてくるのだ。困難が次々に起こり彼女を襲うも、何故に彼女はその旅を選らんだのだろうか。

それでも、プールのような水カメがあり泳いで気持ちよさよう、それに、最後の方で海に出て砂浜をラクダを引いて、海に入るところなどもご褒美といっていいだろう。
子供時代に、母親が自殺をして父親が叔母さんの家へ彼女を預ける。成長して、彼女は人生に変化を求め、オーストラリアのアリス・スプリングスにやってきたわけ。時を経て今、映画となり世界中で注目を浴びる彼女の生きざま。

しかし、旅をして得たものは、虚しさと孤独。だが、途中でナショナル・ジオグラフィック誌の写真家と知り合い、男女の中になり、原住民の優しさに触れて、動物との触れ合いも含めて、自分自身との戦いと生きざまが見つからない不安など。
それは情報化社会の中で現代人が覚える希薄感と、驚くほどリンクしているのだ。ネットで世界と簡単に繋がる恩恵を受けつつも、自己そのものの価値が見つからない不安。経験も力もない女が一人で、唯一信じられたのは、自分の足でただ進み歩くことだった。その確かさが、人間としての成長のみならず、大いなる奇跡を生み出す力となったわけだから。得たものは尊いのだ。
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カプチーノはお熱いうちに★★★.5

2015年12月26日 | アクション映画ーカ行
『あしたのパスタはアルデンテ』などのフェルザン・オズペテク監督がメガホンを取り、南イタリアの風光明媚(めいび)な街レッチェを舞台に描くヒューマンドラマ。運命の出会いを果たした恋人たちの13年にわたる波乱の日々を活写する。ヒロインを『パリより愛をこめて』などのカシア・スムートニアックが演じ、相手役をテレビシリーズなどに出演してきたフランチェスコ・アルカが好演。人々の何げない日常を丁寧に切り取った物語が観る者の心に響く。
あらすじ:雨が降りしきるバス停で、カフェに勤務するエレナ(カシア・スムートニアック)はアントニオ(フランチェスコ・アルカ)と出会う。彼は同僚のシルヴィア(カロリーナ・クレシェンティーニ)の恋人だった上に、性格も全く違うにもかかわらず二人は恋に落ちる。13年後、親友と一緒に始めたカフェが軌道に乗り、子供にも恵まれた彼らを悲劇が襲う。

<感想>アドリア海を臨む南イタリアの美しい街、レッチェ。冒頭の土砂降りの雨が降りしきる中、足元しか映さないシーンがやたらと長い。雨宿りの人もいるバス停が大入り満員状態で、そこへよそ者のアントニオが入り込み、太った中年オバサンも加わりぎゅうぎゅうづめの状態で、口喧嘩が起こる。

タイトルバックの原題が「Allacciate le cinture」で、邦題の付け方にのっけから驚き、宣伝ヴィジュアルから想像されるものとは、まるで違うものが始まることを予想してしまう。
確かに終幕の主人公の展開での、女医がカフェでカプチーノを頼んだ女子学生だったこと。その女性が主人公の主治医となり、なるほど「カプチーノはお熱いうちに」という邦題の付け方に、そのような結び付きを目論んでのことかと。

主人公のエレナは聡明な美人で、働いているオーナーの息子ジョルジョと付き合っているのだが、相手のアントニオは、スペイン系の眉毛の濃い、体も筋肉むきむき型のイケメンなのだが、バンデラスを太目にしたような顔つきで、粗野で無教養な野獣のようなギラギラとした男の恋愛と結婚、物語はその13年間のラブロマンスなのだ。

男女が理屈なしに惹かれあっていく過程を、描く視線の演出が素晴らしく、技巧的に見えながらも登場人物がみな人間臭いのもいい。中でも、カフェの同僚で親友のゲイ、ファビオが好印象で、病院でも隣の癌患者が間違って、エレナに優しく接するのを見てゲイのファビオを旦那と間違えるのが微笑ましい。
その癌患者の女性との交流も、エレナの心の支えとなり、夫のアントニオの浮気も許してやり、されど、病院の患者のベッドでセックスをするのはどうかと思うね。やっぱり粗野で無教養で野獣な男アントニオ。

母親と居候の叔母さんの姉妹げんかに、アントニオとの結婚、子供が二人生まれて店もファビオと共同経営して順調にいっている。そんな時に、彼女が乳癌になり手術ができなくて、抗がん剤投与で治療という過酷な現実が待っていた。

主人公の癌闘病生活に、めそめそとした感じもなくもないが、ホクホクできる家族ドラマというわけでもない。それらの要素をすべて盛り込まれた「モザイク模様の人生」を描いた作品とでもいおうか。涙あり笑いあり、イタリア映画らしいイタリア映画になっています。監督のフェルザン・オズペテクはトルコ出身だが、性的、民族的マイノリティに対する視点は優しく厳しいようだ。
とにかく魅了されるのが、時と時のつなぎ方。ヒロインが13年間にわたって抱いてきた歓喜、苦悩、不安といった感情や感覚を、幻想的に走馬灯のように表現している最後。若き日々のフラッシュバックの映像で、幸せな生活を送ったという人生を閉じるような終りも感じ良かった。
イタリアならではの明るさと優しさに満ちた、ヒューマン・ラブストーリーで、人生は一度きり、カプチーノも、命もお熱いうちに。大事なのは、今を大切に生きること。
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リピーテッド ★★★

2015年12月25日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
SJ・ワトソンのベストセラー小説を実写化したミステリー。前日の記憶を保持できない障害のある女性が、一本の電話を受け取ったのを機に思いも寄らない事態に引きずり込まれていく。製作に『グラディエーター』などのリドリー・スコット。主演に『めぐりあう時間たち』などのニコール・キッドマン、『英国王のスピーチ』などのコリン・ファース、共演に『ビトレイヤー』などのマーク・ストロングと豪華な顔ぶれが結集。謎が謎を呼ぶ先読み不可能な展開に加え、彼らが織り成す濃密なストーリー展開に息をのむ。
あらすじ:目覚めると前日までの記憶が全てリセットされてしまう特殊な障害があるものの、献身的な夫(コリン・ファース)に支えられ日々を送っているクリスティーン(ニコール・キッドマン)。ある日、医師だという人物から電話がかかってくる。それを受けたクリスティーンは、夫に黙って彼のもとで診察を受けていると聞かされ、数週間前から自分が毎日の出来事を映像で記録していることも教えられる。その映像を捜し出して再生する彼女だったが、そこには信じられない光景が収められていた。

<感想>この映画は地方では上映されなかった。それでもさっそくDVDレンタルが始まったので観賞。ニコール・キッドマンもコリン・ファースも大好きな俳優さんなので、どんな作品なのかと思っていたら、前に観たフェイシズというミラ・ジョボビッチ主演の映画と良く似ています。
それにしても二重人格のような鬼気迫るコリン・ファースの演技はいいですね。目が覚めると隣に男が寝ている。夫のベンだという男が、殺人者ではないかという疑惑を持つ妻の恐怖、妻には記憶障害があるのだ。

それに、もう一人主治医のナッシュと名乗る男、マーク・ストロングからの毎朝の電話。夫のベンは事故に遭ったのだというのだが、主治医は襲われて頭を殴られ記憶障害になったという。一緒に車に乗せられて、自分が瀕死の重傷で倒れていた場所へ連れて行かれる。どちらの言葉を信じるか、やはり献身的な医者の方が真実だろう。

ヒロインのニコール・キッドマンはさすがに説得力のある演技をしているが、どうやら、自分は浮気をしていて、夫とは離婚したらしい。それに、10年前に男の子を出産している。それをベンに問いただすと、8歳で髄膜炎で亡くなったというのだ。これも嘘で、最後に明かされるのだが、このラストシーンにもホロリとさせられる。実は生きていて、離婚した夫が引き取り育てていたのだ。

クリスティーンの、起きたらすぐさま疑心暗鬼なシチェーションの繰り返しにゾットするが、いったいここからどうなるのか、とようやくドキドキし始めた途端、自分自身に対する印象がおぞましい方向へと変わっていく。その果てに暴かれる真相には確かにぞっとさせますが、大急ぎでサスペンス状態を解消してしまうのはどうかと思った。
しかし、ラストの献身的な夫ベンだと思っていたコリン・ファースが、実は愛人の男で、ホテルでクリスティーンに襲い掛かる場面では、よくアイロンを見つけたと感心してしまった。ラストで写真の、夫のベンとは余り似ていない俳優さん、コリン・ファースに二役させた方が良かったのに。

事件の展開をヒロインの潜在意識下のフラッシュバックに頼っているのも弱い。フラッシュバックに映し出されるホテルらしき長い通路、それに男が殴りかかってくる映像。そしてデジカメの粗い粒子のなかで慄くニコール・キッドマンの顔。原作は英米で大ベストセラーだそうですが、ミステリーとしてはもう少し犯人の動機を丁寧に描くことが必要だと思った。
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orange−オレンジ− ★★★

2015年12月24日 | アクション映画ーア行
高野苺のコミックを基に、未来からの手紙によって運命を変えようと奮闘するヒロインの姿をファンタジックかつ爽やかに描く青春群像劇。手紙により10年後の自分が後悔していることを知った女子高生が、大切な人を救おうと行動する姿を映す。NHKの連続テレビ小説「まれ」の土屋太鳳と山崎賢人がヒロインと相手役で再共演。『君に届け』やテレビドラマ「鈴木先生」などに携ってきた橋本光二郎が、長編映画で初のメガホンを取る。土屋と山崎のほかにも、『マジックナイト』などの竜星涼や『神さまの言うとおり』などの山崎紘菜らが出演。
あらすじ:高校2年生の高宮菜穂(土屋太鳳)に、10年後の自分から手紙が届く。そこには、26歳になったときに後悔していることが数多くあること、転校生の翔(山崎賢人)を好きになるが、彼が1年後に死んでしまうことがつづられていた。当初はイタズラだと思った菜穂だったが、手紙に書かれていることが現実に起こり始める。菜穂は後悔しないため、そして翔を救うために行動を起こす。

<感想>始めは高校生の菜穂が、新学期で桜を見て遅刻しそうになることから始まる。舞台が松本市で有名な桜の名所があるところ。とても綺麗な桜のトンネルに主人公と同じく私も桜を見てから学校へ行くと思った。主人公の高宮菜穂を演じた土屋太鳳の喋り方が、たどたどしいのに違和感があり、可愛いからいいのかと。それと問題の翔少年の山崎賢人くんは、上手いと思いました。

6人の高校生たちの愛とか友情とかの、間延びした薄っぺらさは何だか観なかったことにしたいほど。だから、未来を変えるというよりは、要するに現在をより良いものにするという、コンセプトには納得しました。
未来からの手紙が、何時の間にか自分のカバンの中に入っていたということから始まるのだが、これって、通学用のカバンの中ってSFとしては片手落ちのようが気がした。家の庭の木の下からタイムカプセルみたいに出てくるのが普通だろうに。

それに、主人公が手紙を全部すぐに読まないで、少しずつ出し惜しみして読んでいくところなんか、いかにも高校生らしく、未来から来た手紙が手元にあるのに、それもこれから起きることが事細かに書いてあるのに。一気に読まないのも映画としての構成なのだろう。
心情を説明するモノローグの多用といい、原作がコミックなんだから成立しても実写では一考の余地があったはずだろう。現在と過去が交錯するのですが、過去を変えても平行世界で異なる未来が広がるのはいいとしてもだ、どうやって過去に手紙が届いたのかが曖昧過ぎるのだ。

どうやって手紙を過去へ送るのかが、何の納得できる説明もないままに、それでもラストで明かされる過去への手紙を書く主人公の菜穂と、結婚したのだろう赤ちゃんを抱いている須和弘人の二人が、10年後にはこの世にいない翔への後悔の念のために書いたのであろう過去への手紙を、缶の中へ入れて土に埋めるシーンが見られる。
等身大の青春映画ならぬ、おままごとのような、原作の少女漫画は見た事ないが、簡単に人を死なせて、それを未来からの手紙で主人公と友人たちで、何とか防ごうとするのにも無神経すぎる。

過去に起きた友人の事故死を、未来からの手紙で知り、それをくい止めようと懸命になる主人公なのだが、日記を書いていたようなので、それが引出の中から出て来て先生のいう、世界はパラレルワールドになっているということを聞き、可能性を考えてもいいと思うようになる。

手紙によって少しずつ変わっていく高校生の時代に、手紙の中の翔の人生が彼女たちの友情で変わって行き、寂しそうな翔がサッカー部に入ったり、リレーでアンカーとして優勝したり、文化祭のプールでの花火を見る二人も、本当は実現していないことだったりして。だから1年後に事故死というのは防げないことで。

過ぎ去った過去は変えられないが、未来は自分しだいでいくらでも変えられるのだ。それでも思いだして、翔の誕生日の日に5人で実家へ行く友情とでもいうか、最後の夕焼けのオレンジ色の空に、過去のことはどうにもならない、悔やんでも仕方のないことで、これからの未来をどう生きるかが人生だろうと思う5人がいた。
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ヴィヴィアン・マイヤーを探して★★★.5

2015年12月23日 | アクション映画ーア行
第87回アカデミー賞にノミネートされたドキュメンタリー。15万点以上もの優れた作品を撮りながらも、1枚も発表せずに亡くなった女性ヴィヴィアン・マイヤーの秘密と彼女が歩んだ軌跡や、知られざる素顔を追っていく。ヴィヴィアンが遺(のこ)したネガをオークションで手に入れたジョン・マルーフと、テレビドキュメンタリーなどの製作を手掛けてきたチャーリー・シスケルが監督を務める。
あらすじ:シカゴに暮らすジョン・マルーフは、すでに故人であるヴィヴィアン・マイヤーという女性が撮影した写真のネガをオークションで落札する。大量のネガから厳選した作品を自身のブログに掲載すると、その独特のセンスに対してすさまじい反響が押し寄せる。それを機にヴィヴィアンへの興味をかきたてられたジョンは、彼女の調査を始めることに。なぜ、乳母だった彼女がカメラに興味を持ったのか? なぜ、15万点以上もの作品を死ぬまで発表しなかったのか? さまざまな謎の答えを探し求めていくが……。

<感想>家政婦が日々撮り続けていたストリート写真。誰に見せることも無く、独自の視点で世界を記録した15万枚以上にもおよぶ写真が、彼女の死後まもなく、若い歴史研究家によって偶然発見された。それが、本作の監督ジョン・マルーフなのだ。
2007年の冬、シカゴのとあるオークションハウスで、倉庫代を払えなくなった雑貨類の競売が行われた。その中には古い写真のネガフィルムがぎっしりと入ったトランクがあり、ジョン・マルーフという青年が380ドルで競り落とした。それがヴィヴィアン・マイヤーという誰も名前が知らなかった写真家が、いきなり大ブレイクするきっかけになるのだ。

トランクの中のネガをスキャンしてみると、街の情景を撮影した素晴らしい写真群が姿をあらわしたわけ。マルーフは写真を選らんでブログにアップする。その反響は凄まじいものだった。
あちこちから絶賛の声が寄せられ、写真展が開催され、写真集が次々に刊行された。むろん生前は不遇で、死後に評価が高まった写真家はたくさんいる。ですが、マイヤーの場合はかなり極端な例と言える。

彼女は独学で写真を撮り始め、2009年に亡くなるまで、まったく写真を発表したことがないのだ。監督は女性のルーツを探り、ニューヨークからフランスの田舎までの足跡をたどる。彼女が各地の人々を捉えた白黒写真のなんという美しさ、彼らは生きて語りかけるのであります。
1951年頃からニューヨークで住み込みの乳母の仕事を始め、56年にシカゴに移っておなじ仕事を続ける。52年に高級カメラ、ローライフレックスを買ったことから写真撮影にのめり込んでいく。以後、コンスタントに撮影を続け、90年代までその総数は15万カット以上に達していた。
マイヤーの写真を見て驚かされるのは、その力強さと精度の高さであります。獲物を狙う豹のように被写体に近づき、大胆に、だがきめ細やかに注意を働かせて画面に収めていくのだ。写真家としての才能は言うまでもないが、驚くべきことは被写体の選択の幅の広さだろう。

その好奇心の対象は自分自身に向けられ、マイヤーは自分の姿を撮影しているのだ。鏡を見つけて、自分を映してシャッターを切っている。身長が180㎝の長身で、髪の毛は短く切り、独特のファションセンスの持ち主でもあった。

監督は膨大な量のネガなどを時間をかけて収集。それらは、世界写真芸術史を飾るほどの作品と評価されていくのだ。これは人間とそのアートについて、観る者を深い想像と思索の旅へといざなう素晴らしい記録映画だと思う。
写真家に負けずこの映画も作者も相当な偏執狂とみた。ヴィヴィアンを知る誰もが昨日のことのように彼女を語り、遺された写真が次つぎに息づいてゆくその官能は、まるで写真の可能性そのものに触れるようでもある。
とにかく、ヴィヴィアン・マイヤーという人の存在も作品も、20世紀の日道を抱え込んでいるようで、危険な魅力がいっぱいです。彼女の怪物級の才能をしぶとく世の中に還元する監督も凄いと思う。
時空を超えた縁の不思議を感じさせると共に、アートが人類に与える価値を改めて考えさせてくれる。
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ヒトラー暗殺、13分の誤算★★★★

2015年12月22日 | アクション映画ーハ行

「ヒトラー ~最期の12日間~」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督が、1939年11月8日にミュンヘンで起きたヒトラー暗殺未遂事件の知られざる真実の物語に迫るドラマ。主演は「白いリボン」のクリスティアン・フリーデル、共演にカタリーナ・シュットラー、ブルクハルト・クラウスナー。
あらすじ:1939年11月8日、ドイツ。ミュンヘンのビアホールでは、ヒトラーによる毎年恒例のミュンヘン一揆記念演説が行われていた。やがて悪天候のため、ヒトラーは予定より早く演説を切り上げ退席する。その13分後、会場に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、8人の犠牲者を出す。実行犯として逮捕されたのは、ゲオルク・エルザーという36歳の平凡な家具職人だった。ヒトラーは、エルザーの背後に何らかの大がかりな組織があると確信し、秘密警察ゲシュタに徹底した捜査を指示する。ところが、どんなに過酷な取り調べにも、単独犯との主張を曲げないエルザーだったが…。

<感想>この作品は、知られざるヒトラー暗殺未遂事件を取りあげつつも、1930年代のドイツの時代感をリアルに描写していると思われる。邦題が回りくどい題名になっているが、要はヒトラーを暗殺するために仕掛けた時限爆弾が、ヒトラーが演説を切り上げて立ち去った後の13分後に、爆発したために暗殺は未遂に終わってしまったという歴史上の事件を物語っているのだ。

これは、ナチスに対する白バラ通信などの反体制運動は映画にもなったが、1939年11月8日に、ドイツ・ミュンヘンで起きたこの暗殺未遂事件は、ドイツ国内でもほとんど知られていないというのだ。その意味でこれは知られざる歴史の一コマとしても十分に観る価値に値する映画と言えるのではないか。
自分もまったく知らずに観たので、先の「ヒトラー ~最期の12日間~」はDVDで見たのですが、それよりも数段に面白い作品であり、もしも、これが実現していたら、「もし13分の誤算がなかったら」と、きっと 時代は変わっていただろうか…。42回もの暗殺計画があったにも関わらず、暗殺されなかった独裁者ヒトラーの行動が世界に齎したあの悲劇もなかったであろう。

一介の家具職人のゲオルク・エルザーが、ヒトラーの演説する会場にあらかじめ一人で爆弾を仕掛ける冒頭から始まって、彼が逮捕され拷問を受け、さらには戦後まで生き延びるという歴史的事実が淡々と語られるのです。
セリフは全編ドイツ語で統一されているのもいいですね。ドイツ映画だから当然と言えばそうなんですが、これがハリウッド映画だと英語でまくしたてられるから白けてしまう。

さらには、この映画が優れているのは、爆弾を仕掛けた家具職人エルザーが過ごした当時のドイツの地方の村の様子が実に生き生きと描かれていることです。音楽に秀でて友人との交流も絶やさないごく普通の青年の日常を描いていてこれほど真に迫ってくる映画は初めてではないだろうか。

組織に属さない孤高の暗殺者が何故に生まれたのか、何故単独で行動に移せたのかが描かれている。拷問を伴う厳しい取り調べで、浮かび上がるエルザーの過去とは、平穏な村での暮らし、人妻と関係をしてしまうような怠満で政治とも無縁な日々を過ごしてきたのに。
表面的にはヒトラー暗殺未遂事件を取りあげながら、同時にファシズムが台頭してきた1930年代のドイツの村の時代相や空気感をリアルに映し出しているのも印象的でした。
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アメリカン・ドリーマー 理想の代償★★★★

2015年12月21日 | アクション映画ーア行
『マージン・コール』『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』などのJ・C・チャンダーが放つ社会派ドラマ。1980年代初頭のニューヨークを舞台に、オイルビジネスに参入した実業家夫妻が、何者かの策略によって窮地に立たされる姿を追う。主人公夫妻にふんする『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』などのオスカー・アイザック、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインらが出演。さまざまな思惑が交錯する石油ビジネスの実態に加え、全編を貫く緊迫感あふれるタッチにも圧倒される。
あらすじ:1981年のニューヨーク。モラルを無視したつぶし合いが平然と行われている石油業界に乗り込み、公明正大なビジネスを経営理念に掲げた会社を夫婦で立ち上げたアベル(オスカー・アイザック)とアナ(ジェシカ・チャステイン)。全財産を投げ打って事業拡大に必要な土地の購入に取り掛かるが、それを待っていたかのようにオイルの強奪、脱税の嫌疑といった思わぬ問題が降り掛かってくる。アベルたちの悪評が広がり、銀行の融資も絶たれ、アナとの仲も揺らぎだす。

<感想>急成長の時代から停滞期に突入し、統計史上もっとも犯罪が多かった1981年のニューヨークを舞台に、アメリカンドリームをかなえようとした実直な移民の青年実業家の光と影を描く社会派ドラマ。主人公のアベルには「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に抜擢されたオスカー・アイザックが、その妻には「インターステラー」のジェシカ・チャステインが演じて、アルマーニで身を固めた彼女が最高ですから。

そればかりではない、妻のジェシカ・チャステインの存在の重みである。夫のアベルに想いをぶつける台詞に「あなたは、自分の勤勉と幸運と魅力だけで、ここまで来たと思っているわけ?どうなの」お金の管理は妻のアナなので、ギャングの娘ということもあり、会社の金を二重帳簿でピンハネしていて、それを別の銀行に預けていたのだ。最後に、金策に走る夫に。冷ややかに「お金はあるわよ」と、会社の金をごまかしていた妻の悪知恵が役にたつことになるとは。

それに、銃を嫌う夫だが、家に強盗が入り、その強盗が拳銃を玄関の茂みに置いて行った。妻は拳銃をいつの間にか所有して、ある夜、夫婦で車で帰って来る時に、鹿を轢いてしまいまだ生きている鹿に、夫は車のスパナを取り殴ろうとするも、妻は拳銃で一思いに殺してしまうやり方。

オイル会社社長として脇目もふらず働いてきた真面目な男アベル。事業拡大のためにユダヤ人の土地の購入するため、全財産を払うのだが、残金は30日以内に支払わなければならない。でないと、その金は返ってこないし、土地もパーになるのだ。
オープニングでこのセリフなので、きっとこの主人公は災難に見舞われて悪戦苦闘するだろうなぁと予想できる。

そして、アベルの会社のトラックが襲われてオイルが盗まれる事件が起こる。運転手の男も大怪我をして、営業に廻してくれと言うのだが、ケガが良くなるとまた運転手でという、そしてまたもや襲撃事件が起きて、トラックを襲われた運転手は拳銃を発砲して逃走してしまう。警察は運転手を指名手配する。

そこへ、ローレンス検事がアベルの会社を企業犯罪の疑惑を抱き、徹底的に調べ上げているのだ。脱税と詐欺で告訴するとアベルに告げ、家までやって来るのだ。妻は、二重帳簿がバレないようにと、床下へダンボール箱を隠させるのだ。
そんなことがあり、銀行は金の融資を断ってくる。30日以内にユダヤ人に残金を支払わないと、全財産をつぎ込んだのにダメになってしまう。それに、どづいうわけか、トラックのオイル強盗がアベルの会社だけ頻繁に起きるのも不思議だ。誰か、裏で操っている人間がいると疑うのだが。

クリーンなビジネスを信条とするアベルも結局は、ユダヤ人の土地の残金を妻の隠し口座から出して自分も悪の仲間入りになるアベル。運転手がやって来て、アベルに拳銃を向ける。撃つのかどうか、いや運転手は自分の頭を撃ち、その弾がタンクに命中し穴が空いてしまう。死んだ運転手の傍に行き、抱き抱えるのかと思えば、タンクの穴をハンカチで塞ぐアベルに、「あんたもアクドイよ、かなり」と思ってしまった。
原題が「もっとも暴力的な1年」というタイトルよりも、風景が荒んだ都市の産業地帯の路と壁、汚れた雪と白い息、低く射す冬の光の色合い。イーストリバーを挟んで向こうに見えるマンハッタンの摩天楼も等身大で、けっして威張っては見えないのだ。
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サマリア  ★★★

2015年12月21日 | DVD作品ーさ行
援助交際を繰り返す2人の少女と、片方の少女の父親の葛藤を描いたドラマ。監督・脚本・編集・美術は「春夏秋冬そして春」のキム・ギドク。撮影はこれが本格的デビューとなるソン・サンジェ。音楽は「春夏秋冬そして春」のパク・ジウン。出演は「純愛中毒」のイ・オル、「狐怪談」のクァク・チミン、新人のハン・ヨルムほか。第54回(2004年)ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞。
あらすじ:ヨジン(クァク・チミン)は、刑事をしている父のヨンギ(イ・オル)と2人暮らしの女子高生。彼女の親友である同級生チェヨン(ハン・ヨルム)は、卒業旅行の旅費を稼ぐために援助交際をしている。ヨジンはそれを嫌いながらも、チェヨンが心配で見張り役として行動を共にする。
そんな矢先、ホテルに警察の取り締まりがあり、逃げようとしたチェヨンは窓から転落死してしまう。それ以来、ヨジンはチェヨンの罪滅ぼしとして、彼女の援助交際の客に会い、彼らに金を返す作業を開始する。
しかしある日、殺人現場に仕事でやってきたヨンギが、向かいのホテルにヨジンが男といるのを目撃。ヨンギは衝撃を受けつつ娘の後を追い、ヨジンが何をしているかを知る。苦悩しながらも何も言えないヨンギは、娘の行動を監視し続け、娘を買った男たちへの制裁を始める。
そしてその行為は次第にエスカレートし、ついにヨンギは殺人を犯す。そのあと、ヨンギは妻の墓参りに行こうと、ヨジンと共にドライブに出掛ける。2人は墓参りを終えたあと、田舎の民家に一泊。そして翌朝、ヨンギは車の試運転をヨジンに提案する。ヨジンは初めての運転に喜ぶが、その間にヨンギは自ら通報し、迎えにきた警察の車に乗り込む。ヨジンは覚えたての運転で、逮捕された父の乗った車を追い掛けるが、ヨジンの車はぬかるみにタイヤを取られて動けなくなってしまうのだった。(作品資料より)

<感想>2人の少女、そして父に降りかかる悲劇、キム・ギドクならではの世界観が暴力的描写も極力影を潜められ、人間と自然の調和を模索するかのような境地に達したのかと思う驚きもあったが。と同時に、あまりにも生真面目すぎたきらいがあり、それがどこか物足りなさを感じさせもしていた。

まるで恋人同士ではないかと思うくらい仲の良い女子高生の、ヨジンとチェヨン。憧れのヨーロッパ旅行のために、2人はこつこつと金を貯める。だが、それは自らの体を使い、男を相手にする売春婦。警察の目を恐れ、見張り役となるチェジン。
良識ある世間からみたら「援助交際」という言葉で、片付けられてしまう行為を続ける2人のピュアな姿を、監督のギドクはまるでかつての大林宣彦映画のようなタッチで見せる。
自分は男たちを仏教徒に変えていくインドの伝説上の娼婦なのだと、屈託のない笑顔で語るチェヨン。だが、無垢なままの彼女と現実社会との折り合いがつかなくなった瞬間、2人の少女に悲劇は起こる。
ヨジンの父親を演じるイ・オルが、娘への深い愛情から人生を破滅させるほどの狂気に走る過程が物語の後半の中心となる。妻を早くに亡くし、男手一つで必死に育てて来た娘の、もう一つの姿を偶然目撃したことから、それまで自身の生きる目標だった理性や論理感をかなぐり捨てる彼。ギドクがこれまで演出してきた人間のもつ内面的な怒りが、見事に描かれる。

親友チェヨンの贖罪に報いようと奔走する娘ヨジンとのすれ違いが、ますます彼を苦悩に追い込み、その苦悩は援助交際の客である男たちにも連鎖する。彼らをただの悪い男と位置づけずに、孤独な人間の弱さの象徴としているのが、いかにもギドクらしい。
湖やボートといった、これまでの作品にもしばしば登場させている小道具も随所に盛り込まれ、辛辣なユーモアとともにギドクの特異な世界観を成り立たせている。
絶望の淵にまで立たされた人間にも、ほのかな希望の光が見出せるのが印象的。それがラストシーンで、我が子の成長を見守らんとする親鳥が、すがりつくひな鳥を突き放して、一人で飛び立たそうとするかのような描写の中に、人生はいくらでもやり直せると、力強くまっとうすべきだという、作り手の確かなメッセージが伝わってくるのが分かるのもいい。
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フレディVSジェイソン ★★★

2015年12月20日 | DVD作品ーな行、は行
無残に焼け爛れた顔と鋭い爪を持ち、夢を悪夢に変える殺人鬼、フレディ・クルーガー。クリスタルレイクで溺れ死に、恐ろしい形相とともに甦ったジェイソン・ボーヒーズ。この2人の殺人鬼は、『殺しても死なない』最強の怪物として長くハリウッド映画界に君臨してきた。交わるはずのない、異なる2つの傑作ホラーが1つになったら…? そんな、夢のような悪夢のような企画が実現し、いよいよフレディとジェイソンがスクリーンで対面、対決を果たす。
あらすじ:フレディとジェイソン、なぜ彼らは闘わなければならなかったのか? 殺人鬼フレディ (ロバート・イングランド)。本名はフレディ・クルーガー。身長170cm 、体重73kg。ナイフ爪と「変身能力」を武器に、これまでに30人もの人間を殺してきたモンスター。
彼の最初に起こした事件は、1984年。オハイオ州にある小さな街スプリングウッドで、過去に児童たちが何者かに誘拐され、猟奇的に惨殺される事件が次々と起こっていた。容疑者は幼少期に同級生から受けた虐めがトラウマとなり、さらに継父よりドメスティック・バイオレンスを受けて、精神に異常をきたしていたエルム通り在住のフレディ・クルーガー。
警察に捕まった後の裁判で彼は無罪を勝ち取るが、遺族である親たちは不服の構えを見せ、遂にはフレディをボイラー室で焼き殺してしまう。彼の怨念は復讐のために眠る者を悪夢へと導き、夢の中で連続殺人を再び繰り広げ、子供たちの魂を奪うのだった…。

殺人鬼フレディ が人々の夢に侵入し、復讐のための殺戮を繰り返した惨劇からすでに10年の月日が経つ。現在、エルム街にあるフレディ の古い屋敷に住んでいる家族は、夢見ることを避け、再び復活する隙を与えないでいた。そして、40歳以下の住民たちは、ほとんど彼の存在を知らなくなっている。
これは、自分を伝説的存在と思い込んでいる自己中心的なサイコパス(異常人格者)にとっては、まさに拷問であった。そんな中、フレディはもう一人の殺人鬼ジェイソンの存在を知る。

殺人鬼ジェイソン(ケン・カージンガー)。本名はジェイソン・ボーヒーズ。身長192cm、体重114kg。殺した合計人数は127人。1947年6月13日の金曜日、ニュージャージー州にあるクリスタルレイクという湖で、キャンプ場の監視員が目を配らせなかったせいでジェイソン少年が水死してしまう事件が発生。
遺族であるパメラ夫人は逆恨みを理由にキャンプ場へ来た若者たちを血祭りに上げるが、生き残った者に鉈で首を跳ねられ息を引き取る。実は水死したはずの息子ジェイソンは顔が変形した姿で生きていて、今度は母親の復讐とばかりにクリスタルレイクへ訪れる者にあらゆる凶器を使い、キャンプ場を血に染めていく…。
現実世界に存在するこの殺人鬼は、フレディ が地獄から這い出て、再びエルム街を恐怖に染めるための窓口としてはまさに格好の存在だった。
ジェイソンを操るのが簡単だと知ったフレディ は彼の夢に忍び込み、恐怖の伝説に新たな命が吹き込むはずだった。しかし、残忍な殺戮を止めないジェイソンはやすやすとフレディの手を離れてしまう。そしてジェイソンによって、街が恐怖一色に染まった真っ只中、夢の世界と残酷な現実世界が交錯する“最恐の闘い”が繰り広げられる……。(作品資料より)
<感想>構想10年。ホラー映画界の両雄、「エルム街の悪夢」のフレディと「13日の金曜日」のジェイソン。殺人鬼のガチンコ対決は、サービス精神たっぷりで面白い。スプラッター・ホラーの有名キャラであり、ポップカルチャーのイコンにまで昇華したこの二人を共演させるなんて聞くと、お決まりの台詞だが、「ハリウッドは、相当ネタに困っているのか?」とも勘繰りたくもなる。
実際そうなのかもしれない。だが、結果的にはこの企画、傑作とまではいかないが、ハイレベルな成功を収めているのだ。何しろスプラッター・ホラーの醍醐味をたっぷりと味わえるのだから。

78年の「ハロウィン」から84年の「エルム街の悪夢」までのスプラッター・ホラーのオーソドックスな手法、・・・セックスやドラッグや酒にふける不道徳な少年少女から順番に殺されていくのだが、しっかりと踏襲され、もちろん残酷、鮮血の大サービス。
フレディ、ジェイソンのキャラも尊重され、ブラックな笑いも効いている。
主人公フレディ にはおなじみロバート・イングランド。TVシリーズ「V」のころは、優しく気弱な風貌だったが、その後の長きに渡るホラー役者人生の甲斐があり、冒頭に素顔で出てくるものの、実にいやらしく不気味である。対するジェイソンには、新鋭ケン・カージンガー。
さらに過去のクライマックスシーンや、ジェイソンのママも登場し、ファンには嬉しい気の効かせよう。そんな回顧レトロな面がある一方で、今や大流行のワイヤー・アクションなど、最新テクを駆使して、2人の対決をスピーディに、かつダイナミックに展開する。
それぞれ第一作目の恐怖度、衝撃度には至っていないが、最後まで飽きさせない出来栄えとなっていた。
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スター・ウォーズ/フォースの覚醒★★★★★

2015年12月19日 | アクション映画ーサ行
2005年の「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」で新3部作が完結してから10年ぶりに製作・公開されるSF映画の金字塔「スター・ウォーズ」のシリーズ7作目。オリジナル3部作の最終章「ジェダイの帰還」から約30年後を舞台に描かれると言われる、新たな3部作の第1章。テレビシリーズ「LOST」や「スター・トレック」シリーズなどで知られるヒットメーカーのJ・J・エイブラムス監督がメガホンをとり、脚本にはオリジナル3部作の「ジェダイの帰還」「帝国の逆襲」も手がけたローレンス・カスダンも参加。音楽はおなじみのジョン・ウィリアムズ。無名から大抜てきされた新ヒロイン、レイ役のデイジー・リドリーのほか、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、ドーナル・グリーソンといった新キャストに加え、マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャーらオリジナル3部作のメインキャストも登場する。

<感想>待っていた甲斐があった。ジョン・ウィリアムズの荘厳なテーマ曲が流れ始めると、「遠い昔、遥か彼方の銀河系で~」も健在で、思わず30年前にタイムスリップしたような気分になりワクワク感が半端ないのだ。
今回の主役は、レイにポー・ダメロン、フィンの3人と言ってよさそうだが、彼らのうち誰かがフォースを覚醒し、そして誰が覚醒させるかで、第3部作の方向性が見えてくるのだ。この3人の関係が、ルークやレイア姫、ハン・ソロとシンクロするのは言うまでもありません。

  注意:ネタバレですので、ご注意ください。
物語は:エピソード6の後、エンドアの戦いから30年後。ダース・ベイダーの死によって指揮系統が乱れた帝国軍だが、新たな共和国軍が残党を一掃しようと、30年間、両軍の戦いは続いた前提のもとで、レイア将軍やポー・ダメロンは共和国軍とも違うレジスタンス(反乱軍)として立ち上がる。

そんな状況下、帝国政府の残党の中でも右翼的な軍事組織ファースト・オーダーが台頭してくる。そしてダークサイドのフォースも強くなりつつあることを感じたレイア将軍は、最後のジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーの助けを求めるのだが、ルークは雲隠れをして何処にいるのか分からない。
そこでレイア将軍は彼を探す手掛かりを入手するため古き友人のいるジャクーの集落へと秘蔵っ子のパイロット、ポー・ダメロンを送り込むのだ。
やや、複雑な勢力図にフォースがどう絡むのかに注目したい。

一番に気になっていたのは、最大の悪役と言われているのがダース・ベイダーを思わせる風貌のカイロ・レン。演じているのはアダム・ドライバーだが、十字型のライトセーバーを振り回してフォースを使い敵をなぎ倒す。しかし、仮面を取るとその風貌はちょっとがっかりした。好みもあるだろがイケメンではないからだ。それに、彼がハン・ソロと○○姫の子供だというから驚いた。親子の対面を果たすも、息子はダークサイドに入ってしまっていた。

それに、男性陣のジョン・ボイエガ演じるフィンは、ストームトレーバーの脱走兵であり、ライトセーバーを構えているのは、彼もフォースの持ち主なのだろうが、しかし、そのフォースはまだ出していない。悪役のカイロ・レンと森の中でライトセーバーで戦うシーンがあるが、カイロはすでにフォースの達人であり自由にフォースを操っているのだが、方やフィンはフォースのことも良く知らないし使えないので、負けてしまう。もう一人共和国のレジスタンスとして活躍するポー・ダメロンがいる。

だが、今回は女戦士のレイが出て来て、フィンが倒れている傍からライトセーバーを拾い上げてカイロと戦うのだ。彼女はジャクーに住み廃品を拾っては売っている女で、コロコロと転がるBB-8を助けるし、もしかして、悪党のカイロ・レンとは双子の兄妹なのかもしれない。
しかし、もう一つ、最後にレイが探し当てて出会うルーク・スカイウォーカー、かなり老けていて見る影もないマーク・ハミルの娘ではという説もある。

そして、シルバーのストーム・トルバーでハックス将軍の指示でファースト・オーダーをまとめているのが、キャプテン・ファズマ(グェンドリン・クリスティ)女性キャラだが、身長2メートル以上ありその威圧感は半端ないのだ。

そうそう、お馴染みのハン・ソロとチューバッカも出演して、ミレニアム・ファルコン号を操縦し、レイにBB-8やフィンを乗せて跳び立つ姿には感激しかない。

そして、R2-D2とC-3POも一瞬だけだが、その存在が確認できるので、シリーズファンのテンションも上がる。特にR2-D2は炎に包まれた戦いの場にいるので、ドラマチックな運命に巻き込まれる模様だ。時間の都合で2Dで観たので、3Dでもう1回観賞予定です。
「SW」シリーズは、今作に続いて17年に「LOOPER/ルーパー」のライアン・ジョンソンが脚本を書き監督も務める「エピソードⅧ」が公開されるので、今から楽しみです。

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帰らない日々 ★★★.5

2015年12月18日 | DVD作品ーか行
ひき逃げ事故で男の子が亡くなった。加害者と被害者は、奇妙な縁でつながっていた。「帰らない日々」は、事故を機に狂っていく二家族の人生を描く。監督は、「ホテル・ルワンダ」のテリー・ジョージ。
あらすじ:9月の暖かい夜。公園で開かれたリサイタルでチェロを演奏する10歳のジョシュ。大学教授の父、イーサン・ラーナーは誇らしげに見つめている。横には妻・グレース、兄を尊敬する妹・エマがいる。どこにでもいる幸せな家族だ。
並行してカメラは野球観戦に熱狂する親子、ドワイト・アルノーと幼い息子のルーカスを映し出す。ドワイトにとって、その日は離婚後別れて暮らすルーカスと会える唯一の日だった。そこへ水を差すかのような、前妻からの携帯電話。「早く帰ってくるように」と急かされる。
それぞれの家族は、帰宅のため車で動き出す。ラーナー家の車内では「公園で捕まえた蛍を逃がしてあげなさい」と、母が子供たちに告げる。立ち寄ったガソリンスタンドで、蛍を逃がすジョシュ。ところが、対向車のライトに目がくらんだドワイトの車に、ジョシュははねられてしまう。ジョシュに駆け寄るイーサン。逃げ去るドワイトの車。車内で眠っていて、ダッシュボードに目をぶつけて痛がるルーカスに、ドワイトは「丸太に乗り上げた」と取り繕う。
そのころ、現場ではジョシュが亡くなり、ラーナー一家が途方にくれていた。ドワイトはけがしたルーカスを前妻の元に返し、車を車庫に隠して証拠を隠滅する。事故は目撃証言もなく、警察の捜査も暗礁に乗り上げた。
イーサンは町の小さな弁護士事務所に調査を依頼する。あろうことか、担当者はドワイトだった。(作品資料より)

<感想>だいぶ前に見たDVD。主人公大学教授のイーサン・ラーナーにはホアキン・フェニックスと妻のグレースにはジェニファー・コネリー。8歳になる娘エマにはエル・ファニングちゃんが、事故をおこした弁護士のドワイト・アルノーにはマーク・ラファロ、それに離婚した妻ルースにミラ・ソルヴィノと、出演者が凄いんですねそれで借りて来たわけで。

このひき逃げ事故で崩壊する被害者家族と、事故を起こし破滅にむかう加害者の弁護士。二つの家族の姿を対比させて描いているのがいいですね。しかし、いくらなんでも被害者が頼んだ弁護士が加害者とは、・・・これは人間として自分が事故を起こして人を轢いてしまったら、すぐさま被害者を救急病院へ運ぶとか考えるのが普通でしょうに。
この加害者である弁護士が、その時離婚していた息子を乗せての事故で、息子にも本当のことを見せて事故の対処をする父親の姿を見せるべきなのに、逃げてしまうんですよ。
事故にあった車をガレージに隠して、それと加害者である弁護士のところへ依頼をしに来るわけなんですが、きたら断るとか、断っても弁護士たるもの時間が過ぎても自首するとかね。これはいけませんよ。

被害者家族の崩壊は、母親のグレースが息子の荷物を捨てて忘れようとするが、父親のイーサンはネットで交通事故の被害者が悩みを語り合うウェブサイトに依存していくんですね。
息子の死を受け入れられない父親と、現実的にこれからの家族の生活を維持しようとする母親。そんな間で娘のエマが夫婦の再生の役割をするのがいいですね。
日本でも夜の暗闇でのひき逃げ事故はたくさんあります。それに目撃者がいないとか、防犯カメラが設置してなかったとか、警察も事件に力を入れて捜査しようとしない。

警察のやりかたに不満を持ち、泣き寝入りをしたくない父親が、弁護士調査を依頼する。それが、まさかのひき逃げ犯人だったとは、この時は気付くわけありませんよね。
父親役のホアキン・フェニックスと、ひき逃げ犯人のマーク・ラファロの演技が上手いですね。特に犯人への怒りを憎しみに変えて復讐の鬼となる演技は怖いほど上手い。それに妻を演じたジェニファー・コネリーの息子を亡くして追い詰めらていき、感情を爆発させる場面が光っていいですね。
娘役のエル・ファニングちゃん、お姉さんのダコダちゃんとは違って寂しい感じのする面影。前に観た「SOMFWHRE」でも寂しそうな娘役を演じてたが、その作品ではいくらか成長したようなエルちゃんでしたね。
そうそう、弁護士の別れた妻にミラ・ソルヴィノが、暫くぶりに見たが、奇麗だけどう~んインパクト薄い。
でも、こんな形で家族が崩壊してくのは実際起きうることで、弁護士のドワイトが息子のルーカスに残したビデオレターについもらい泣きです。なんでもっと早くに対処していれば、父親としての威厳もなしだわよ。
ラストの事故現場で再現する様は、何故もっと自分のことばかり考えないで、車から降りて地面に怪我をしている子供を助けてあげなかったのか、心の揺れ動く葛藤と感情を画面をとおして分り素晴らしい作品です。
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裁かれるは善人のみ ★★★.5

2015年12月17日 | アクション映画ーサ行

第67回カンヌ国際映画祭脚本賞、第72回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞を受賞した、ヒューマンドラマ。権力を振りかざして横暴な土地買収を進める市長に立ち向かう、ある自動車修理工場経営者の男の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』などのアンドレイ・ズビャギンツェフ。『マネー・ピラミッド 札束帝国の興亡』などのアレクセイ・セレブリャコフや『エレナの惑い』などのエレナ・リャドワらが出演する。濃密な人間模様と荒涼としたビジュアルの融合に圧倒される。
あらすじ:ロシア北部の小さな町で、自動車修理工場を経営しているコーリャ。住み慣れた家で、妻リリア、先妻との息子ロマと生活していたが、市長のヴァディムが彼の土地を買収しようとする。権力を武器に自分の土地を容赦なく奪おうとするヴァディムに激しい怒りを覚えたコーリャは、モスクワから友人の弁護士ディーマを呼んで市長の悪事を暴露して徹底抗戦に挑む。やがて両者の攻防は激化し、思わぬ事態を引き起こす。

<感想>祖父の代から受け継いだ土地や家屋を略奪されようとしている、自動車修理工のコーリャによる、資本主義の市長へのドン・キホーテめいた抗を軸に、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の最新作は展開される。
それが、コーリャと弁護士の会話や、コーリャ側の訴えをあっさりと棄却する女性裁判官による早口の判決など、どうみても市長が裏から手を差し伸べて指図をしているようなのが分かる。
コーリャの弁護士が、市長の過去の悪事を曝露すると脅すも、市長の差し金でチンピラたちを使い弁護士を殴り痛めつけ、命が惜しければモスクワへ早く帰れと脅すのだ。
悪役である太った市長が画面上で、来年の選挙に早くも不安を募らせるのだが、市長の部屋の壁にはプーチンの写真が飾られており、市長と背後の権力者が二重写しになるなどこだわりも見られる。

弁護士とコーリャの美人の妻の関係は、ホテルへ彼女が出向いて男女の関係になってしまう。その後も、続いているような、コーリャの警官友達の誕生日の河原での射撃でも、2人はこそこそと夫に隠れて逢い、抱き合い、それに感づいたコーリャが弁護士と妻を殴ってしまう。
とんでもないことで、主人公の土地の権利を主張する訴訟を起こすために呼んだ弁護士と、まさか自分の愛する妻がそんな関係になろうとは思っても見ないことで。

主人公の親父は根は善人なのだが、かなり頭が悪い上に酒飲みで品がなく、そんな風情が物語の進み方に拍車がかってくる。それでも惹きつけるのが、妻役のエレナ・リャドワの憂いのある美しさであろう。

彼女が何故浮気をしたのか、何となく女なら解る気もする。最後が、妻は自殺なのだが、夫のコーリャが妻殺しで捕まり、15年の刑に服すという。それに、ショベルカーの衝撃なコーリャの自宅を破壊する場面で終わる。

残された先妻の息子ロマが、後妻のリリアに懐かなく乱暴な口をきき、学校へも登校拒否。それに、悪ガキと廃墟で遊んでいるのだ。年頃の男子は、手が付けられない。父親がもっと間に入って家族を作ろうと努力しないと。妻のリリアは子供が欲しいと願っているのだが。

宗教的哲学的なテーマを含んだ、人間ドラマを迫力あるサスペンスタッチで描いている。名の知られていない俳優たちが、それぞれ適役を好演している。映像は美しく、海岸に打ち寄せられた巨大な怪獣の遺体のイメージは強烈で、これはクジラの骨なのか、作品のテーマを雄弁に物語っているかのごとくである。

不法な立ち退きを迫る市長の悪どさに抵抗する主人公一家。そればかりでなく、家族の中に波風が立ち不穏な空気に陥る展開は、まことに不条理きわまりない。まさに、邦題にぴったりの物語であり、過酷な世の摂理をまざまざと見せつける内容に胸が締め付けられそうになるのだ。
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