パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

GONIN サーガ ★★★★

2015年09月30日 | アクション映画ーカ行
『花と蛇』シリーズや、『甘い鞭』などの鬼才・石井隆監督が放つ、人気アクション『GONIN』シリーズの第3弾。ある5人組が起こした暴力団からの現金強奪事件の19年後を舞台に、その事件に深い因縁を持つ者たちが新たな戦いを繰り広げていく。テレビドラマ「ごちそうさん」などの東出昌大、『黄金を抱いて翔べ』などの桐谷健太をはじめ、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信らが集結。濃密なストーリー展開に加え、鮮烈なバイオレンス描写も必見。
あらすじ:1995年。多額の借金を抱えた万代をはじめとする5人組が、指定暴力団五誠会系大越組を襲撃して現金強奪に成功する。だが、大越組がヒットマンを放ったことにより事件は激化。関与する者たちは命を落とし、大越組も解散した。2014年。五誠会は3代目・誠司(安藤政信)に引き入れられて勢力を拡大。そんな中、大越組幹部を父に持つ久松(東出昌大)と大輔(桐谷健太)、五誠会に囲われている麻美(土屋アンナ)、19年前の事件を調査しているルポライターの森澤(柄本佑)が出会ったことにより……。

strong><感想>どしゃ降りの雨の中、“仇討ち”をするために大越組を襲撃し、ヒットマンのビートたけしの凶弾に倒れた元刑事の氷頭こと、根津甚八が闘病生活の中、病院のベッドで植物人間として出演しているのだ。死んだと思われていた氷頭が眠り続けているとは。演技にはなってませんが、それでも、植物人間として生きている氷頭という人間を、かすかに意識を取り戻したシーンもあり、俳優としての最期の作品となるかもしれないのを、必至で演技しているシーンには感心しました。

『GONIN』シリーズの第3弾となってましたが、前の作品も観ていないので、つまらないかと思ったのですが、あにはからんや丁寧な前述の大事なシーンを見せてくれ、本木雅弘さんに鶴見さん、それに佐藤浩市さん、ヒットマンのビートたけしさん等が登場して、みんな若かった。

そして、「サーガ」は子供たちの世代から4人が集められる。つまり19年前の襲撃事件で死んだ大越組の若頭・久松(鶴見辰吾)と組長大越(永島敏行)の息子勇人(東出昌大)と大輔(桐谷健太)に元アイドル・麻美(土屋アンナ)と、そしてそこへ駆け付けて殺された刑事森澤の息子(柄本佑)が、復讐の鬼となりむこうみずな、若気の至りともいうべきか、仇討ちの計画をするのである。

その前に、大越組の闇金業者を襲撃した4人は、なんと4億という金を強奪して、そこでは警官の服を着て本物は森澤の柄本佑だけ。まんまと強奪に成功するも、大輔はいつものように大越組の三代目の用心棒として引っ付いているのだ。

今回の見所は、なんていっても“敵討ち”のシーンでしょう。それが今は廃墟となっているディスコ「バーズ」が舞台で、地下の暗い中に4人が潜り込む。

しかし、拳銃で撃ちあいする時や、殴り合いをする時には必ずといってドシャ降りの雨が降るのだ。それに、今回のヒットマンには、竹中直人が酸素ボンベを引きずりながらの怪演ですから。竹中明神の殺し屋は、ハエが大嫌いで、クラブの地下室へ隠れて敵討ちの時期を狙っている4人、その中で柄本佑が撃たれて重傷を負いながらも地下室で3人と襲撃のチャンスを待っている。

そして、三代目の誠司(安藤政信)の結婚披露パーティが行われている「バーズ」上の、スクリーンの後ろへ出た4人が、襲撃のチャンスを狙う。しかし、柄本佑さんは青白い顔していかにも死体のような感じで、ハエがブンブン飛んでいるし。

ダンスパーティが行われて、ワルツを踊る新郎新婦。そこに大越組一代目のテリー伊藤が現れて、この人結構演技が上手いのにあっぱれといいたい。

ラストでは、竹中明神の殺し屋が、愛人の生首をぶら下げて現れるのだ。この時の出番にもカスタネットの音が響いて、今にも死にそうな殺し屋の竹中が現れる。愛人は元アイドル・麻美(土屋アンナ)の部屋で、敢え無く冷蔵庫の扉で、麻美に連打され、拳銃で撃たれ死んでしまうのだ。女同士のバトルも凄い。
しかし、三代目の誠司(安藤政信)は、防弾チョッキを着こんで命が助かるという寸法。これも、後でDVDをレンタルして見直ししますが、『GONIN』のラストで大越が着けていた防弾チョッキだという。ですが、ここでは死んでもらいますからね。
ここでも、スプリンクラーの水がドシャ降りの大雨のごとくに降り注ぐのであります。何気に「ちあきなおみの紅の花」の歌が流れるのは、父親たちの襲撃事件と今回の襲撃にも同じ歌が流れてくるのだ。
とにかくも、ヤクザの復讐の連鎖は止められないのだろう。惨たらしい銃撃戦の後には、スッキリすることなんて何もありませんからね。それでも、親切にこの映画を観ていない人の為に、解るようにと配慮されて『GONIN』の前の映像を映し出しているので良かったと思います。
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人生スイッチ ★★★★

2015年09月29日 | アクション映画ーサ行
『トーク・トゥ・ハー』などのスペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが製作を担当し、ひょんなことから窮地に立たされる男女6人の姿を描くコメディー。あることがきっかけで不運に見舞われる、ごく平凡な人々の姿をブラックユーモアを交えて活写する。『瞳の奥の秘密』などのリカルド・ダリンらが出演。まるで悪い冗談のように続く災難と、衝撃のラストに思わずうなる。
あらすじ:飛行機の乗客たちは、不思議なことに全員に共通点があり……(『おかえし』)。偶然にも自分が働く店を訪れた親の敵に遭遇した女性に、調理担当が料理に毒を入れることを提案する。さすがに毒はと戸惑うが……(『おもてなし』)。ドライバーは走る車もほとんどない道路で、追い越しを邪魔するボロ車を抜き去るが……(『エンスト』)。

<感想>この映画は怒りと復讐がテーマの、ラテンの血が騒ぐ6本の短編が並び、日本人にも思い当たる感情の部分があって面白く笑えました。原題は「野生の物語」なんですが、冒頭でのアフリカの野生動物が映し出されているのが、ようするに人間も野生動物のように、キレたら動物キチガイそのもので理性なんて働かないという、そういうタイトルのようです。
日ごろは理性や世間体から耐えるしかない理不尽にたいして、ところが一度キレて牙を剥いたらどうなるのか?・・・という実験映画でもあります。

確かに第1話「しかえし」は、飛行機の中でここでは犯人が姿を見せず、観客が当事者だったらという恐怖を醸し出すのだが、乗っている客が全員その犯人らしき「パステルナーク」という共通の友人と関係がある設定で、全員がそのパステルナークという人間に恨まれている。結局はその飛行機がそいつに乗っ取られて、最後が犯人の両親の家へ飛行機が墜落するという、かなりの驚きと、後の挿話への期待をもたらしているようです。

中でも「エンスト」は「激突」のパロディ風な物語で、田舎道でノロノロ走っている車を追い越して「Fuck you!」ってやったら、その後にくるまがパンクをして路肩でタイヤ交換をしていたら、そいつがやってきて、嫌がらせを受ける。それが車のボンネットに乗り、○○こに小便を引っかけて、その後は鉄パイプみたいなのでフロントガラスを叩き割るという嫌がらせだ。人間怒ると本当に怖いですよね。その後は、やられた紳士も頭に血が登って、その男のオンボロ車を川へ落とす。車の中から這い上がって来た男が、今度はまたもや車に火を付けて、運転席にいた紳士は、シートベルトが外れなくてモタモタして、そこへそのオヤジが来て川の中へ二人でドボン。車は炎上して、運転席には、真っ黒焦げの二人がなんと抱き合っているような姿勢で死んでいた。だから、消防隊員や警察の人たちは、ゲイの人間が喧嘩をして川へ突っ込んだと勘違いしてしまう。

「ヒーローになるために」娘の誕生日にケーキを買って、早く家へ帰ろうとするも、店の路上に停めた車がレッカー車に持って行かれる。駐車違反切符を切られて、レッカー車代金にそこへ止める駐車代金と、とんでもない金が吹っ飛ぶのだ。それが、運が悪く、さっさと家へ帰ればいいものを、またもやレッカー車で車を持って行かれて、その日の夕方には何度もそういうことが起こるのだ。人間は一度は仕方がないと諦めて支払うも、何度もとなると嫌がらせかと思ってぶち切れてしまう。
「愚息」の話も面白かったが、交通事故を起こして、妊婦を轢き殺してしまいお腹の赤ん坊も死んでしまった。すぐにでも、息子は警察へ自首するべきで、轢逃げで家へ帰って来て両親に泣きつく息子。親も親で、息子を刑務所へ入れたくないと、庭師の男を犯人に仕立てて、弁護士と検事で、お金で話を進めるバカ親。観ていて、イライラとしてしまう。結局は、庭師も金が欲しいので、犯人として逮捕されるも、殺された夫が家の前で待ち伏せていて、その偽の庭師を刺し殺してしまうというオチ。

どうオチをつけるのかが見えないのが、「おもてなし」レストランで働いている中年女の店へ、昔嫌がらせをされた男が入って来た。その男のオーダーの食事に猫いらずを混ぜて殺してしまおうというもの。猫いらずとは殺鼠剤のことで、なぜあのヤクザ男にはきかなかったのかが不思議で、後から来た息子はゲーゲーと吐いてしまう。つまり息子はバス酔いなんでしょう。結局は殺鼠剤は料理に入れてなかったのでは。料理人のおばちゃんの勢いが、いかんせん自分のことのように凄すぎな話でした。。

最後の6話が面白い。「ハッピーウェディング」はベタだけど面白かった。結婚式に花婿の浮気相手が来ていて、それに気づいた花嫁が怒り狂って式をメチャクチャにするお話。これって、実話でもある話なんだけど、ラテン系の花嫁の怒りが半端じゃないのよ。

式場から屋上へ出て、そこでコックと出会い腹いせにその男とセックスをして、花婿の浮気相手と踊ったりして、ぐるぐる回って手を放し、ガラスに激突させて大怪我させるという。じつは、花婿よりも花嫁の方が悪党だったんですね。ののしりあっていた二人が、いつの間にかダンスをして抱き合いセックスをし始めるという。過激な二人でした。
貧富の格差、公務員の杓子定規な応対、いずれも耐えている者にとっては、いつブチ切れるかが見せ場だけれど、演出のタイミングがいいので、快感を生み面白い。それに、ブラック・ユーモアが過激なので、唖然としながらもここまでやるのかと笑ってしまった。
各短編の幕引き方もサンタオラヤの音楽とマッチしていて上手く、こういう試みはいいんじゃないの。
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アントマン ★★★★

2015年09月28日 | アクション映画ーア行
マーベルコミックスの人気キャラクターを主人公にしたアクション。体長1.5センチになれる特殊スーツを着用した男が、正義の味方アントマンとなって悪に挑む。メガホンを取るのは、『チアーズ!』などのペイトン・リード。『ウォールフラワー』などのポール・ラッド、名優マイケル・ダグラス、『ホビット』シリーズなどのエヴァンジェリン・リリーらが出演している。小さな体を生かしながら、強大な悪を倒していくアントマンの姿は痛快。
<感想>マーベルのヒーローの中でも、アントマンは最も異色で、史上最少のヒーローは意外にも無敵パワーなのだ。何てったて、身長が1.5㎝なのだから。小さいからって見くびってはいけない。人間には入り込めない隙間のミッションをこなし、弾丸のスピードで飛行する。さらにはアリたちを使った大作戦など、ありとあらゆる戦術に度肝を抜かれるのだ。さえない中年男が、アントマンのスーツを着てヒーローへ変貌するドラマは、他のマーベル作品とは比較にならないほどの共感度の高さなのであります。

スコットは、バイトもクビになり結局は、再び犯罪に手を貸すことに。やる気はあるけれど、身体がついていけない中年のヒーローの悩ましい部分。盗みに入ったきっかけで、ヒーローへの道を与えられるとは、設定は皮肉だけれども運命の急展開にワクワク感が倍増されのは確実ですから。スネに傷を持つ主人公が戦う展開こそ、共感度満点のヒーローの条件である。

それに、たまにしか会えない娘キャシーの誕生パーティにいくのですが、元妻に追い出されてしまう。仲間のルイスから犯罪に誘われた彼は、金庫を狙って豪邸に入り、冷凍技術で金庫のドアを破り中へ入ると、そこには段ボール箱の中にアントマンのスーツが入っていた。
その屋敷のオーナーは、ハンク・ビムで、40年前に身体を小さくするビム粒子を開発した科学者である。初代のアントマンであるハンク・ピムには、マイケル・ダグラスが演じており、貫録十分な博士の役を余裕で演じているのがいい。その現場であっさりと逮捕されてしまうスコット。留置所で落ち込むスコットの目の前には、ヘルメットとスーツ。それらを身に付けた彼は、全身が小さくなり留置所からの脱走に成功する。

やる気はあるけれど、身体がついていけない中年のヒーローの悩ましい部分。本作の主人公も自慢できる能力は、塀を乗り越えるのが得意ってことくらい。猛特訓でヒーローを目指す過程が涙ぐましいのだ。
ドアの鍵穴を抜けたり、ジュータンの編み目をかき分けたりと、「蟻」の目線で描かれるアクションは超奇抜であり新鮮。おもちゃの電車トーマスも、アントマンの目線では巨大化して走ってくるのだから。
しかし、アントマンの能力によって、巨大化したおもちゃや蟻が暴走するシーンには、思わず笑ってしまう。それに、スコットの犯罪仲間、3バカトリオの脱力的ムードなど、妙に笑える要素が多いのも魅力の一つですね。

アントマンをポール・ラッドが演じており、それは肉体をわずか1.5センチに縮小できる特殊なスーツをまとい、スーツを着用した彼は、ヒーローとして活躍するために過酷なトレーニングを重ねていくが……。
ハンクの娘のホープは、父親の研究を受け継ぎ肉体能力も優れているので、本当は自分がアントマンになりたいのだ。しかし、父親が許さない。しぶしぶスコットを特訓することに。そして、訓練の後に、正義の味方アントマンになるというものだった。
最初の任務が、アベンジャーズ基地への潜入で、簡単に潜入できるはずだったが、ファルコンに発見されてしまう。その後、無事に基地へと潜入し、ある機器を回収するという目的を果たす。

そして映画の最終ミッションは、ピム博士の弟子が開発したもう一つのスーツの悪用(兵器利用)を防ぐべく研究所へと潜入する。それには、蟻の兵隊が必要で、蟻と仲良くなり蟻軍団をコントロールする訓練を積む。
地下水道から研究所の排水溝へと蟻の兵隊によって侵入がラクチンにでき、しかし、弟子のダレン・クロスが、ピム粒子を復元し、自分も1.5センチに縮小できる特殊なイエロージャケットのスーツをまとい、スコットと対決するのである。

主人公が蟻のサイズに縮小して、超科学スーツを着用した際、巨大お風呂から水滴が大水のごとく押し寄せて弾き飛ばされ、排水溝や建具の隙間を潜り、部屋の空間を流されまくり。巨大なネズミや等身大の蟻に驚愕する映像に驚く。

特殊スーツの縮小人間ゆえのワンダーな視界の映像効果を見せてくれる。それと、アントマンが蟻軍団を電磁波装置を使って、見事に戦闘態勢に突入するのだ。その童話的な世界観をスーパーヒーローのそれに融和させようというのだから、相変わらずマーベル映画は野心的である。

蟻の背中に乗って飛ぶ姿が決めのポーズのアントマンは本当にかっこいいのだ。
痛快な要素も満点なので、新たなヒーロー映画としては興奮でき、期待できるはずですから。アントマンは「アベンジャーズ3」次回作にも登場予定で、お馴染みのあのキャラの登場や、思わぬ物語のつながりも見逃さぬように!
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ソニー ★★★.5

2015年09月27日 | DVD作品ーさ行
巨匠コッポラの甥としても有名な俳優ニコラス・ケイジが、ついに初メガホンを取ったのが本作。『ソニー』は15年も前に俳優としてアプローチしたこともある、思い入れの深い作品だったとか。時代設定を彼が青春時代を過ごした80年代初頭に、舞台も彼が大好きな街ニューオリンズに変更。室内シーンはそのほとんどを彼の自宅で撮影、とニコラス・ケイジのパーソナルな映画に仕上がった。もちろん彼もチョイ役で出演! お見逃しなく。
あらすじ:1981年。ニューオリンズの歓楽街に、軍を除隊したソニー(ジェームズ・フランコ)が帰ってきた。娼館を営む母親ジュエル(ブレンダ・ブレッシン)のもと、少年時代から男娼として完璧な教育を受けてきたソニーは、その類い稀な容貌と才能で街の伝説になっていた。
以前の生活を望んでいたジュエルは早速彼に仕事復帰を促すが、ソニーはこの世界から足を洗い、普通の人生を手に入れようと決意していた。新しい生活をスタートさせるため、軍隊の友人を頼って家を出るソニー。

しかしそこで堅気の人間たちの乱れた生活を目にした彼は幻滅し、また元の生活へと舞い戻ってしまう。そんな中でソニーは、ジュエルのもとで働く新入り娼婦キャロル(ミーナ・スヴァーリ)と心を通わせる。だが、現状に甘んじているソニーに対し、キャロルは荒んだ境遇からの脱出を願う気持ちが強くなる。
キャロルは一緒に旅立とうと誘い掛けるが、ソニーがどうしても踏み切れないため、プロポーズされた冴えない中年の客との結婚を選択する。孤独に打ち拉がれるソニーに追い打ちをかけるように、年上の友人ヘンリー(ハリー・ディーン・スタントン)が事故死。しかもジュエルから、彼がソニーの父親であるという驚愕の事実を知らされた。そして、いよいよキャロルが町を出て行く時がくる。ソニーは彼女が乗った車を追いかけようかどうか葛藤したまま、家の前のドアから動けないのだった。

<感想>ニコラス・ケイジの初監督作。これが意外な拾い物だった。イーサン・ホークやジョージ・クルーニーのように思い入れにハマることなく、アメリカ南部の異境性とそこに住む「男娼」の疎外感を描いている。
15年前、自らがオファーされたというソニー役には、「スパイダーマン」、「127時間」のジェームズ・ブランコを起用しているが、体も鍛えていいし、中でもソニー役の演技が光っています。
ニューオリンズの歓楽街に娼婦の息子として生まれたソニーは、セックスのプロではあっても愛は知らない。似た境遇の若い娼婦と出会い、過去を断ち切ろうとするが、世間の目や母親との関係が重くのしかかる。
南部独特の閉塞性、「かわいい坊や」と溺愛する母親の呪縛、不意に爆発する暴力、・・・。リンチの「ワイルド・アット・ハート」のごくわずかな部分が随所にちらつくのもニコラスならではなのだろう。
脇を固めるブレンダ・ブレシン、ハリー・ディーン・スタントンらの超熟成チーズのような演技も含めて親密な手作り感のある作品です。それに場面場面で流れるクラシックがとてもいい味を出していますね。残念なのはニコちゃん、監督に徹して出なくても良かったのに、どうしても自分をアピールしたかったのでしょうね。
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冬の嵐 ★★★

2015年09月27日 | DVD作品ーな行、は行
謀殺事件にまきこまれた女優の恐怖を描いたサスペンス。製作はジョン・ブルームガーデンとマーク・シュミューガー、監督は「フォー・フレンズ<4つの青春>」のアーサー・ペン、脚本はマーク・シュミューガーとマーク・マローン、撮影はジャン・ウェインク、美術はビル・ブロディ、音楽はリチャード・エインホーンが担当。出演はメアリー・スティーンバージェンが3役に挑み、他にロディ・マクドウォール、ヤン・ロービッシュ、ウィリアム・ラス、マーク・マーロンなど。
あらすじ:ニューヨーク郊外のとあるステーション。吹雪の中、1人の女性(メアリー・スティーンバージェン)が駅のコインロッカーから大金のつまったカバンを取った。彼女は誰かと待ち合わせらしい公園で車を止める。相手が現われずしびれをきらした彼女は電話ボックスに入り、誰かと連絡をとり、車に戻った。と、その時、バックシートから男の手が彼女の首に伸びた。数秒後、女の息は絶え、男は女を殺した証拠として、彼女の左手薬指を切断した--。
ケイティ・マクガバン(スティーンバーゲン3役)はニューヨークに住む売れない女優。“代役女優希望"という募集広告を見た彼女は、早速、オーディション会場に出かけた。審査員はマーレー(ロディ・マクドウォール)という男。彼はケイティをひと目見て大金で採用を決定。彼の説明によると有望な女優が撮影の途中で降りてしまった、という。
ケイティは映画の内容も知らぬまま、この仕事に反対する夫ロブ(ウィリアム・ラス)をアパートに残し、映画プロデューサーの屋敷に向かった。屋敷では車椅子に乗ったジョゼフ・ルイス博士(ヤン・ロービッシュ)が出迎えた。
ケイティは無事に着いたことを夫に知らせようと電話をとったが、猛吹雪のため不通になっていた。ケイティは髪を切り、メイクアップしてカメラ・テストを受けた。渡された台本は<殺人もの>だった。その夜、マーレーはカメラ・テストのビデオをとある豪邸の戸口に投げ込んだ。そのビデオを見た女主人イヴリン(スティーンバーゲン3役)は驚きの声をもらした。
一方、ケイティは一向に撮影現場に行こうとしない2人の男に不審を抱き、極寒の中を脱出しようとするが失敗、睡眠薬を飲ませられた。翌日、ケイティは手に激しい痛みを感じながら目が覚めた。手には包帯がまかれていた。恐る恐る包帯をとったケイティは絶叫とともにベッドに崩れ落ちた。(作品資料より)

<感想>「俺たちに明日はない」の名匠アーサー・ペンが手掛けたサスペンス・スリラー。まるでヒッチ・コック映画のような作品なのですが、前にも見た時には面白いし、良く出来た脚本だと思いましたね。
映画のオーディションに応募した女優が、カメラテストのためプロデューサーの豪邸に招かれる。しかし彼女が選ばれた本当の理由は、殺害されたうり二つの女性に成りすまし、犯罪に加担するためだったのです。オアスカー女優のメアリー・スティーンバージェンが、なんと騙される女優のケイティと殺されたジュリーに、その姉のイヴリンの三役を演じ分けるという。一見地味な女優さんですが、見事に演じ分けてそれが良かったと思いますね。
この女優さん、最近では「ラスト・ベガス」でマイケル・ダグラスとロバート・デ・ニーロの2人のお爺さんが同時に惚れられるクラブのシンガー役を演じてました。ケイティの夫のカメラマンが、足を骨折して仕事してないし、ケイティの弟も同居して家賃も滞納している。新聞を見てどんな仕事でも引き受けてしまうのだが、実はという、犯人の二人が面接した中で彼女がそっくりだったことで、利用するわけ。
その夫も、ケイティが屋根裏で電話を見つけて彼に電話するも信じてくれない。しかたなく警察に電話。しかし、警察がきても屋根裏に隠したジュリーの死体を動かして見つからず仕舞い。

ケイティが屋敷を抜け出し、雪の林の中を彷徨い歩き続けるのですが、連れ戻され睡眠薬を飲まされ、ジュリーと同じ薬指を切り落とされる。これは痛いし、姉のイヴリンから金を取ったら、きっと自分は殺されてしまうと思ってしまいますよね。
それに姉のイヴリンもジュリーが邪魔なわけで、彼女を殺そうとするのですが、反対にイヴリンを殺してしまうんです。このシーンはあまり明確に映してません。ですが、姉のイヴリンの死体をリビングのソファの中に隠したのを見つけられるハラハラするシーンがあります。
車椅子の博士は心臓が悪く、動悸が早くなるとそれに連動して自動ピアノが鳴りだす仕掛けがしてあるのが現代ふうでしたね。それが始めにピアノ演奏を見た時には、自動ピアノなんて粋だなぁ、なんてのんきに見ていました。
このピアノが、あの姉を殺してイヴリンに成り済ましたケイティが、帰ろうとする時にあの、手の指の包帯を見つけてしまい気が付くんですよ。その時にこの自動ピアノが鳴りだして、博士の心臓の鼓動が激しくなるわけ。小細工が上手いですよね。
最後の車椅子のルイス博士が、ケイティを追って屋根裏まで上がってくるところ、屋根裏には熊のワナがあったので、きっとそれを仕掛けるだろうと思ってました。やっぱりそうでした。
この作品は最近までDVDはなかったのですが、「TSUTAYA発掘良品」のサイト「デリンジャー」と並んでありました。結構面白かったし、サスペンス好きな方にお薦めです。
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ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール★★★

2015年09月26日 | アクション映画ーカ行
人気バンド、Belle and Sebastianのスチュアート・マードックが、2009年に放ったソロアルバムを自ら監督・脚本を務めて映画化したミュージカル。拒食症により入院中の少女が、ひょんなことから出会った男女と音楽活動に乗り出し、恋や友情の素晴らしさをかみ締める。『ポンペイ』などのエミリー・ブラウニング、『ウィークエンドはパリで』などのオリー・アレクサンデル、『殺しのナンバー』などのハンナ・マリーらが共演。思春期の痛みと輝きに迫った物語に加え、ポップでファッショナブルな語り口にも注目。
あらすじ:スコットランド、グラスゴー。拒食症の治療で入院しながら、たった一人でピアノに向かっては作曲に没頭するイヴ(エミリー・ブラウニング)は、街へと飛び出してライブハウスに行く。参加しようと入ったライブ会場で、理想の音楽を追求するアコースティックギターを手にしたジェームズ(オリー・アレクサンデル)と知り合う。やがて彼にキャシー(ハンナ・マリー)という少女を紹介され、三人で音楽活動に乗り出していく。こうして音楽と青春と友情を謳歌(おうか)するイヴだったが……。

<感想>スコットランドの都市と自然を背景としたこの青春映画は、素晴らしくやわらかで優しい感覚に満ちていて観客を包み込んでしまう。ヒロインのイヴは心療内科に入院中、母親ぐらいの女医が話すには、「人生は三つの層からなるミラミッドみたいなもの。一番大きな底辺には食べ物や睡眠がある。真ん中の層には友達やお金が、そしてもっと小さい上の層には貴方が夢中になっている音楽などの芸術。下の層に支えられながら上に行かないと墜落してしまうわ」と、中々的を得ているのだ。

だが、摂食障害も併発しているイヴにとっては、食べることと眠ることが生きるという意思表示だから、出来ない時にはどうしてもできないのだ。彼女は、今生きることも死ぬことも何一つできずにいる。音楽を聞くことと小さな声で歌うことしか。

しかし、芸術とはこういう人のためにこそ存在しているものだ。音楽も映画も小説も無数のイヴたちに届けるために作られているのだから。退院して知らない街に引っ越してアルバイトを始める。趣味の合う仲間を見つけて「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」というバンドを組む。
歌が好きでバンドを組みたいと願う性格と状況の違う二人の女性をめぐるドラマはゆるやかなもので、何よりも音楽がさきにある映画だということは出だしから分かっている。3人組がトムソーヤきどりで、カヤックで川下りする場面は美しい。
このバンド仲間の男女の話が凄く素晴らしくいいのだ。青年ジェームズが、内向的な面を象徴するように飛び込み台で、一人しゃがむシーンの美しさ。変わり者のキャシーが、イヴの歌詞どうりに「カンガールがボクシングをするように踊って見せる」姿の途方もない愛らしさといったらない。
かれらにとって、バンドは大人になる段階の前で、若者に限定された短時間のみ共同生活をすることだったと思うのだが。

ヒロインのイヴは心身を病んでいるが、音楽や友情をとおして少しづつ大人になっていく。妄想と憧れいっぱいの音楽女子が、外界に旅立つまで」のほろ苦い青春映画。ポップなのにディープなところにも触れてくるのだ。
イヴの芸術的な才能が開花するとともに、輝かしかった人間関係も青春というジェットコスターに揺られて変化していく。やがてイヴは町を出てロンドンの音楽大学へ進学しようと決意する。もとから心療内科の女医に提案されていた進路を、ようやく心から受け入れることができたのだ。
そこで、ジェームズは驚く。大学の先生よりも君の方に才能があるのに、と。ですが、イヴは自分には導き手になる大人が必要だというのだ。イヴを囲む環境は、一見とても恵まれていたけれど、神たるものがいなかったのだとわかるのだ。歌手になるということではなく、自分の足で歩いていつかは大人になるために、イヴは旅立っていくのだ。
嵐のように旅立って行ったイヴが去り、小さな田舎に残されたジェームズのモノローグで終わるところもまたいいのである。
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ヒロイン失格 ★★★

2015年09月25日 | アクション映画ーハ行
ベストセラーを記録している幸田もも子のコミックを実写化した青春ラブコメディー。思いを寄せる相手にとって自分こそがふさわしいと考える自信過剰な少女が、さまざまな騒動を巻き起こす。メガホンを取るのは、『貞子3D』シリーズなどの英勉。ヒロインに『女子ーズ』などの桐谷美玲がふんし、彼女と三角関係になってしまう少年たちを『L・DK』などの山崎賢人、『娚の一生』などの坂口健太郎が快演する。ときめきあふれる物語はもちろん、変顔や丸刈り姿まで繰り出す桐谷のコメディエンヌぶりも必見。
あらすじ:幼なじみの寺坂利太(山崎賢人)のことが好きで、自分は彼にとってのヒロインだと信じて疑わない松崎はとり(桐谷美玲)。しかし、クラスの中でも最もイケていない女子・安達未帆が彼に告白して付き合うことになってしまう。激しいショックを受けて落ち込むものの、略奪愛もいとわない勢いで利太へ猛アタックをするはとり。そんな中、容姿端麗で成績優秀、さらにスポーツ万能という、学校で女子からの一番人気を誇る弘光廣祐(坂口健太郎)に興味を持たれ、思いも寄らなかった三角関係が始まってしまう。

<感想>コミックを実写化したロマンチック・コメディだ。この手の漫画は全然読んでないので観るかどうしようか迷った挙句、時間が空いていたので観賞することに。で、主人公のヒロインを演じた桐谷美玲ちゃんは、どう見たって変顔したって美人は美人なのだ。ですが、頭の軽そうなヒロインで、ただただ一筋に彼を追いかける及第点の恋愛映画ですね。

幼い頃からの同級生である寺坂利太を恋人と思い込んでいた松崎はとり。一筋に彼を思っている彼女は可哀相ではなくて、ハトリを好きだと可愛い女だと思ってくれる男子がいたら、それこそ喜んでいいのではないか。それもイケメンの坂口健太郎扮する弘光廣祐なのだから。
しかし、色白で草食系の坂口健太郎の優男には参ってしまう。壁ドンならぬはとりに近づいてキスを迫るのだから。もしかして、大好きだった寺坂利太とはまだファーストキスもしてなかったりして。これはヤバイぞよ。

はとりも学校中の人気者のイケメン弘光くんに愛を告白されて迷ってしまうんです。自分を振って四角い顔のメガネっ子の安達とルンルンしちゃって、やっぱり、自信過剰のヒロインとしては負けてはいられないのだ。
急に二人の間に割って入った女を、寺坂利太は素直でいい子だといい、はとりとの関係を終わらせてしまうとは、何とも情けない結果になってしまった。普通なら、こんな男をさっぱりと忘れて、せっかく近づいてきたイケメンの弘光くんと恋人になればいいのにね、なんて観ているおばさんは勝手に解釈してしまう。他にも学食のおじさんが、竹内力で恋愛相談にのるというのだから、そして、学校内で喧嘩があるとすっ飛んでくるし、いい意味での出番ですから。

だって、スキー場でのハプニングで、ホテルの売店のおばさんが、出て行った利太のお母さんで、再婚をして子供が3人もいるなんてね。そのことを、はとりは、利太に分からないようにと頑張るのだけど、結局はバレてしまう。でも、利太が大人に成長して、母親の生活を理解してあげるって凄いですから。

ところが、この作品のヒロインのはとりは、やっぱり幼馴染の寺坂利太を忘れられないし諦めきれないのよね。蔭からこっそりと安達と利太の二人の関係を覗いては、ヤキモチ焼いてイライラして、ひたすらに幼馴染に恋心を捧げ続けるヒロインの健気さは、観ていていじらしくなってしまう。

クライマックの花火大会の夜、浴衣姿の3人が鉢合わせとは。そこへ、急に利太の彼女の安達未帆が、旅先から帰って来るのだ。男って優柔不断でずるいよね、これだけはとりが利太のこと好きなのに分かってくれない。それに、安達もそれなりにしたたかさがあって、そんなに清純じゃないのよ。利太には、はとりがいるって知っていたのに、奪い取るのだから、女って結構えげつないよ。

桐谷美鈴が顔面筋肉を酷使しながら大熱演しているのが受ける。グサグサと全身に刺さる矢、固まって石となりガラガラと砕け散る身体。唐突につるつるに丸められる坊主頭にはびっくり。妄想かこれは。マンガのギャグをそのまま可視化していくのだ。貴重なまでに正しい漫画の映像化になっている作品だと思う。
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ブラック・シー ★★★

2015年09月24日 | アクション映画ーハ行
ナチスドイツの潜水艦に眠るといわれる金塊引き揚げに挑む12人の男たちの野望を描く海洋サスペンス。一獲千金を夢見るくせ者ぞろいの男たちが乗り込んだ海底の潜水艦を舞台に、緊迫感あふれるドラマが展開。監督は、『ラストキング・オブ・スコットランド』などのケヴィン・マクドナルド。人気俳優ジュード・ロウをはじめ、『ゴーン・ガール』などのスクート・マクネイリー、『アニマル・キングダム』などのベン・メンデルソーンらが出演する。

<感想>ジュード・ロウ主演というので観賞。ミニシアターで上映してましたが、観客がすくないせいか1週間で打ち切りでした。内容は、海底に眠る黄金を潜水艦で引き揚げようとする男たちを描く海洋サスペンスものです。
元英海軍の軍人で、サルベージ会社勤務だったロビンソンことジュード・ロウは、11年続けた海難救助専門家仕事を、突然クビになってしまい妻子も去っていった。しかし、路頭に迷っていたロビンソンは、かつての仕事仲間からある情報を得る。それは第2次大戦時に莫大な金塊を積載したドイツ軍のUボートがグルジア沖の深海にいまだ眠っているというものだった。

ロビンソンはその話に乗り、老朽化したロシア製のディーゼル潜水艦を入手し、ロシア人とイギリス人の荒くれ男12人という急ごしらえのメンバーで金塊探しへと向かう。しかし、潜水艦という密室で、男たちの金塊をめぐる醜い争いが勃発する。
集まったのは、ロビンソンとアメリカ人ダニエルズ(スクート・マクネイリー)を含め12名。イギリスとロシアの混成部隊である。Uボートが沈んでいるのは黒海のグルジアに近い海底で、海上ではロシア海軍が頻繁に行き交っているのだ。
ロビンソンたちは見つからないように、何とかUボートの沈没地点に辿り着き、潜水士のフレイザー(ベン・メンデルソーン)らの活動で、Uボートを見つけ潜水艦の中へと入り金塊を見つける。潜水士の中には、若い18歳のイギリス人もいる。
ですが、この冒険の資金を提供してくれた人物に渡す金塊以外は、みんなで山分けしようとロビンソンが言ったことから、仲間割れが始まってしまう。果たして最後に金塊を手にするのは誰なのか?・・・。

金塊に目がくらみ、哀れすぎて泣けてくるしで、人間の愚かさを描いた作品です。ボロの潜水艦で熟練の機関士や潜水士たち、まさに、黒い海の中の不可能に近い挑戦で、仲間同士の喧嘩でたくさんの人の命奪った物語。

中でもいい話が、若いトビーと言う青年にボビー・スコフィールドを、ロビンソンが可愛がっていて、トビーに子供が生まれるという話を聞き、途中で潜水艦の中で喧嘩が始まり溺れて死ぬが、ロビンソンが蘇生をして生き返らせる。
もう何度も絶望的な場面があります。イギリス人とロシア人の乗組員との喧嘩が始まると、その仲裁にはいるのがロビンソンである。
ところが、オンボロ潜水艦だから故障しまくりで、金塊の分け前で喧嘩をし、まだその金塊を見つけてもいないのに。クズの乗組員ばかりで、当てにならないし、ですがボロ潜水艦の中がよく出来ているのに感心しました。

途中の展開で、これは絶対に最後は、この潜水艦が壊れて動かなくなるに違いないと確信した。それに、勝手に金塊を自分たちで分けようとするも、この資金を出してくれた会社側の男、ダニエルズが言うには、金塊を無事見つけて引き揚げ、持って帰ったら全部社長のものになるというのだ。自分をクビにしたあの社長が。
命を賭けた海の底での仕事に、逃げ場が無く狭い空間である密室の潜水艦映画らしさが、観ている側にも息苦しさが伝わってくる。しかし、男たちは金塊欲しさに集まったわけで、もし成功して上陸したら夢が叶うと。
ラストが、やっぱり潜水艦がぶっ壊れてしまい、助かったのがロビンソンと若い青年のトビーにもう一人の乗組員が、そこで脱出潜水服が3着しかないことを知る。だが、内側からしか脱出のボタンを押せないのだ。ロビンソンが2人を脱出させて、最後に自分の潜水服に金塊を縛って海面に浮かせるのだ。何という計らいで、2人は無事に陸に上がったのだろうか、それは映像としては映さない。
久しぶりのジュード・ロウを観て、中年太りで頭が剥げたなぁと、昔のイケメン俳優の面影がなく、つくづく年輪を感じました。
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ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声★★★

2015年09月24日 | アクション映画ーハ行
名門少年合唱団に入団した問題児が、厳格なベテラン指導者の導きにより歌う喜びを見いだし、成長していく人間ドラマ。監督は、『レッド・バイオリン』などのフランソワ・ジラール。天性の美声を持つ少年役には、本作が初の長編映画出演となるギャレット・ウェアリング、その才能を開花させる合唱団団長を名優ダスティン・ホフマンが熱演。さらにオスカー女優キャシー・ベイツ、エミー賞受賞経験のあるエディ・イザードら実力派が脇を固める。
あらすじ:12歳のステット(ギャレット・ウェアリング)は、学校でトラブルばかり起こす問題児。生活に追われ酒に溺れる母親と暮らしている。ステットが通う学校の校長スティール(デブラ・ウィンガー)は彼の歌の才能を見抜き、国立少年合唱団のオーディションを受けるように勧めるが、ステットは未来への希望を見いだすことが出来ず、心を閉ざしている。そんな折、突然の事故で母親が亡くなり、初めて会った父親(ジョシュ・ルーカス)からも面倒をみることを拒否されたステットは、著名だが厳格なカーヴェル(ダスティン・ホフマン)が指導する全米一の国立少年合唱団の付属学校に転校することに。
楽譜も読めず同級生たちからいじめられるステットだったが、やがてカーヴェルの指導により、歌うことの素晴らしさや楽しさに気が付いていく。
<感想>ボーイ・ソプラノと言うとウィーン少年合唱団を思い出すが、こちらはアメリカの国立少年合唱団の映画なのだ。私は、この作品を観て、初めてその存在を知った。12歳~16歳の微妙な成長期の少年たちが選ばれて、その歌声の才能を磨き成長する古典的な物語を手堅く描いているのがいい。
たぐい稀なる幼い才能の原石が、人格破綻者の鬼教官J・K・シモンズによって完璧なまでに打ちのめされような映画「セッション」のような映画ではありませんから。
つまり取り立てて新しいテーマではないが、ダスティン・ホフマンを始め、見事な演技陣を配し、声変り直前の少年の精神と肉体の危うさを示している。

クリスマスに家に帰れない寄宿舎生活の孤独に、不遇な環境で育った主人公、問題児であるステットが一人教室や音楽室で、歌の練習をする雪の降る寒々として風景がよくマッチしている。ステットは、確かにいい声をしているが、楽譜も読めないのでCDを聞きながら歌を覚えるのだ。

そんな彼を虐めるのは、こういう作品ではよくあることで、誰もがソプラノ歌手でソロを歌いたいし、選ばれたいのだ。しかし、高音が出ないとダメで、それも1オクターブ高いキーで歌う練習をするステット。
少年合唱団が日本ツアーで大好評という、エピソードが本作にも出て来るのだが、天使のようなルックスに、歌声、ライバルばかりの寄宿舎での厳しいボーイズ・ライフと、まさに多くの日本女性のハートを鷲づかみにするツボが満載であります。

校長にはキャシー・ベイツが扮しており、ダスティン・ホフマン演じる合唱団団長カーヴェルを信じていて、アメリカに誇る少年合唱団を引率する素晴らしい教育者でもある。中には、カーヴェルが見出したステットを気に入らない先生もいる。

それに、ステットを虐めるソロパートの生徒との喧嘩で、学校を退学しなければならないところを、カーヴェルがステットの美声を使いたいと練習をさせる。
丁度ソロパートの少年が風邪で声が出ないこともあり、ステットに白羽の矢が。カーヴェルが少年に自分の人生を語るシーンに、誰にでもチャンスはあると、しかしそのチャンスを台無しにはするなと言い聞かせるのだ。

だが、その風邪で寝込んでいたはずの少年が、実はステットを陥れるためにわざと仮病を使ったのだ。ステットがソロを歌おうとして歌詞の書いてある楽譜を見ると無いのですから。酷いことをするもんです、でもステットは暗記をしていたのですね。見事に最後まで謳い上げてくれました。

少年たちが皆とても感じがいいし、特に主人公のステットを演じる新人ギャレット・ウェアリングの、生意気さとか、賢さ、演技力は見ものです。歌声は吹き替えだとしても、発生時の緊張感や、歌い上げる表情とか、悦に入った微笑みがリアルで最高。

これは疑いのない王道の12歳の少年の映画であり、変声期とともにやがて失われてしまう特別な季節の、約束された儚さをもとに、父親が認知をしてくれて、その後の少年の人生を描いたものでもあります。
それに、全編流れるクリスマスの名曲の数々が最高で、つい聞き惚れてしまうこと間違いありませんから。
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ミス・ギャングスター ★★★.5

2015年09月23日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
並み居るハリウッド大作を押し切り韓国では120万人以上を動員した大ヒットコメディ。主演の強烈なおばあちゃんたちを演じるのは、「私の名前はキム・サムスン」のナ・ムニ、「バリでの出来事」のキム・スミ、「ソル薬局の息子たち」のキム・ヘオクという韓国ドラマ界のベテランたち。
あらすじ:ジョンジャ、ヨンヒ、シンジャの仲良しおばあちゃん三人組は、ひとつの大きな目標に向かってがんばっていた。それは三人でのハワイ旅行。手段はどうであれ、長い年月を費やしてやっと目標金額にたどり着いたのだが、旅行費用を振り込み中、銀行強盗にお金を奪われてしまう。銀行は補償は無いという。怒りに燃えたおばあちゃんたちは、自らの手でお金を取り戻そうとする。その手段は、何と銀行強盗だった!(作品資料より)

<感想>だいぶ前に観たのだけれど、凄いよね韓国のお婆ちゃんたちは、まるで大阪のおばちゃんみたいな、迫力あるわ(苦笑)まぁ、元気でいいけれど、ここまでやらなくてもねぇ~。これは犯罪ですよ。万引きした物を道端で売り、そのお金でハワイへ行きたいという3人のお婆ちゃんたちのお話。
3人でスーパーへ別々に入り、監視カメラをスカーフで隠し、連係プレーで次々と品物を大きなバックに詰め込み、それは見事に店の品物をゲット。一人がレジでいちゃもん付けて時間稼ぎ、その間に2人は見事に万引きの品物を外へ持ち出す。頭脳犯といえば良く聞こえるが、それって犯罪ですから。笑えませんよね。
それが、せっかくそこまでして貯めたハワイ旅行の資金を、始めは旅行会社へそのお金を持ちこんだのですが、日本では旅行代理店でも入金は可能ですが、韓国では銀行振り込みしてくれと言うのだ。

そこで3人揃って銀行に持って行ったところ、そこへ運悪く銀行強盗が入って来て、せっかく貯めたお金を強奪されてしまった。8年もかかって貯めた旅行資金、諦められないし、銀行の窓口でその現金837万500ウオンを差し出していたところへ、銀行強盗が入って来たわけで、普通はそのお金は銀行が弁償してくれるはず。ところが、窓口の女がまだ手続きの確認のハンコを押してなかったので、ダメだ保障出来ないと言うのだ。こんなことってあるの?・・・。
それで、仕方なく自分たち3人で銀行強盗をしようと思いつき、実行するわけなんですが、お婆ちゃんの銀行強盗なんて聞いたことないしね、これが韓国版お婆ちゃんのドタバタ喜劇で、犯人の中の男の一人が手首に刺青していたのを見たと言うのだ。それからまた3人でスーパーで万引きしようと行くのだが、そこで銀行強盗の仲間、手首に刺青男を発見。

その男を捕まえるのに、3人のお婆ちゃんの過激なこと、一人が仮病を使って急に倒れ込み、その刺青男に人口呼吸してくれと頼むのだが、後ろからその男の頭を殴るという乱暴な(苦笑)そして、その男の部屋まで行き、「銀行強盗したでしょう」と尋問する。ところが刺青はシールで、違う男だったの。しかしやっぱり本当の銀行強盗だったのだ。
それからが、3人のお婆ちゃんは、その男を拷問しようとするのですが、もうお金は使ってしまい仲間が残りは全部持って行ったというのだ。じゃあ、3人で銀行強盗でもしようかと言うと、お婆ちゃん3人ではダメだといいそれから特訓だ。ピストルで射撃の練習。男の急所の股間蹴り、誰も婆ちゃん強盗だなんて信じないからと、実行開始だ。

銀行へ行き、一人が水を飲んで倒れ、そこへ2人が来て「返してよ820万ウオン」と窓口へピストル突きつける。人質に自分たちがどうして銀行強盗に至ったか、いきさつを事細かに話て同情をかう。その場面もいかにも韓国らしさが出て、人質たちの同情を得てバックに金を入れてバイクに3人乗りで逃げるお婆ちゃんたち。
見事なコーナリングと運転も上手い婆ちゃんだけど、パトカーと衝突だ。
それでもこりずに3人は走って逃げる。そして年寄りばかりの会場へ逃げ込み紛れ込むも、一人づつ調べられこれはヤバイと、「年寄りを舐めるな」と大乱闘。その隙を見て逃げる3人。
揚げ句に歌手を人質にとり、車で空港まで突っ走るも、空港には警察が張り込んでいる。そこでまたもやドタバタ劇を繰り返して、ハワイツァーの集団を見つける。

最後には3人の中の一人が余命幾ばくもない癌にかかっており、ハワイにいる息子に逢いたいと願いを叶えてあげたいと、2人のお婆ちゃんが罰を受けるので一人だけは見逃して下さいと。
人情もののように涙がホロリの最後には、いつもの韓国映画になっていました。すっかり3人のお婆ちゃんたちのペースにハマって見てしまった。
でも、やっぱり捕まってしまった3人のお婆ちゃんたち。刑務所の中、外は雪だ。やはり癌の一人は亡くなって、湖にそのお婆ちゃんの遺灰を撒く2人。結局ハワイゆきはダメになったみたい。でも、その後の元気な2人のお婆ちゃんには圧倒されまくりですから。
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サイの季節 ★★★

2015年09月22日 | アクション映画ーサ行
『ペルシャ猫を誰も知らない』の撮影後、国外で亡命生活を送るイラン人の監督バフマン・ゴバディによる衝撃の社会派ドラマ。実在するクルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールをモデルに、イスラム革命によって引き裂かれた夫婦の苦難の道のりを描く。『灼熱の肌』などのイタリアを代表する女優モニカ・ベルッチが出演。30年という長い年月を前に立ちすくむ夫婦の悲劇に絶句する。
あらすじ:混乱のさなかにあったイスラム革命中、詩人サヘル(ビーローズ・ヴォソーギ)はいわれなき罪で投獄され、30年後にようやく釈放される。彼の妻ミナ(モニカ・ベルッチ)はサヘルの釈放を切望していたが、夫はすでに刑務所内で死んだという悪意あるうそを信じ込まされていた。ようやく出所した後、サヘルは必死に妻ミナの行方を捜すが……。

<感想>イスラム革命で運命を狂わされた男女の奇数な人生を、映画のためにイランを亡命したバフマン・ゴバディ監督が手掛ける渾身作であります。政治的なテーマが語られる一方で、かなりラヴストーリーの色合いが濃いです。しかも、イタリアの女優のモニカ・ベルッチが、ヒロインで出演とあればなお濃厚であります。

それにしても、モニカ・ベルッチの美しさが際立っていて、熟すとますます美しいのか。若い時代から老けメイクも味があるのだ。映像を見ていて目に焼き付くのが、熟年のモニカの裸体であり、深く神秘的な黒とブルーであり、その内に潜む生の情熱に痺れる。

いわれなき罪で投獄された夫のサヘルと共に、妻のミナも獄中にいる。面会を拒否されて、それでも、黒い布を頭から被せられて夫の元へと刑務所らしき中でつかの間の逢瀬でも、裸で抱き合い、直ぐに引き離されて、次に抱き合ったのは夫ではなく運転手の男アクバルであった。強制的に離婚をさせられて、獄中で運転手の子供を妊娠し、双子の女の子を出産して、夫のサヘルが死んだと言われ、無理やり運転手のアクバルと結婚する。どうやら、この運転手のアクバルの策略で、反逆罪としてサヘル夫婦は投獄されたらしいのだ。

30年後に出所したサヘルは、妻を探していく内に、双子の娘を助けるのだ。その娘は、妻と運転手の間に出来た双子の娘であり、売春婦をしているようだ。ミナは、運転手のアクバルの元から離婚をして亡命しようと計画する。
沈黙をはらむ風景は、現実か追憶なのかそれとも幻想か。それが次々と提示されていくのである。冒頭の横たわる巨木のシーン、根をまるで凧の足のように広げている巨木の前で、二人の男の運命的な別れ道が描写され、それがすべての革命による権力者の、位置の逆転の出発点だったと見ているうちに気が付いてくるのだ。

語らない主人公サヘルの顔の大写しと、彼の心の中のような脱色した映像が圧倒的であった。妻の行方を追う途中で、車の中に馬の首が出てきたり、その馬の目は妻のミナの瞳のように見える。獄中では、柱に縛り付けられたサヘルに、そこに降り注ぐ大粒の雨かと思ったら、それはなんと小さな亀。亀が雨のように降ってくるではないか。カメが降ってくる夢を見たりという映像も。このシーンは何を意味するのだろう?
一番気持ちが悪かったのが、男たちが背中へ蒜を這わせて悪い血を吸わせている映像が酷かった。

30年の歳月が肝となる物語を、配役も無理なく、ダイナミックに描いているのだが、これは、沈黙をめぐる作品ともいえる。もっとも苦しみ多き人であろう主人公の詩人サヘルの台詞は極力抑えられているし、映像も色彩を削ってしまい渋いのである。
ラストでは、タトゥーを彫る女がミナで、死んだと思っていたサヘルが自分の背中にタトゥーを彫ってもらう。それはサヘルの詩であり「国境に生きる者だけが新たな祖国を作る」という、未来を指す言葉。

ビルの廃墟での因縁の男の対決だ。年老いても、運転手への恨み怨念がこもっており、2人の男は車で海の中へと沈んでゆく。まるでサイの肌を思わせるような塩湖で、妻のミナと逢うサヘルの姿が映し出される。
これは、イラン国外へとバフマン・ゴバディ監督が、亡命先のトルコで完成されたこのフィルムは、いわばゴバディ監督にとっての「ノスタルジア」でもあります。この映画のすべてが、郷里への想いに衝かれて泣き出しそうに震えているように感じた。触れることのできないものへ向けて、そして詩はつむがれて肌に刻まれていくのである。
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アンフェア the end ★★★

2015年09月21日 | アクション映画ーア行
秦建日子のベストセラー小説を基にした、人気テレビドラマの劇場版第3弾にしてシリーズ完結編。国家の陰で暗躍する一団に関する機密を手にした警視庁捜査一課の女性刑事・雪平が、壮絶な戦いに身を投じていく。前作『アンフェア the answer』に引き続き、佐藤嗣麻子が監督を担当。篠原涼子、阿部サダヲ、加藤雅也をはじめとするレギュラーメンバーが結集。これまでの事件でちりばめられていた謎が収束する展開に加え、『クローバー』などの永山絢斗とEXILEのAKIRAのシリーズ参戦も見どころ。
あらすじ:警察病院占拠事件やネイルガン連続殺人事件を経て、国家を動かす謎の権力組織に関するデータを手中にした雪平夏見(篠原涼子)。組織と闘うすべを模索する中、ある転落死の現場で10年前に起きた推理小説事件の遺留品と同じしおりに奇妙なメッセージが記されて置かれているのに気付く。やがて、転落死体がネイルガン連続殺人事件の首謀者だった村上克明検事(山田孝之)であること、推理小説事件の犯人たちを結び付けたサイトが復活していることが判明。不穏な空気に包まれる雪平の前に、ある協力者が現れる。

<感想>黒いロングヘアーに黒のロングコート、ヒールの音を響かせて事件現場に現れる捜査一課のヒロイン、篠原涼子演じる雪平夏見のハードボイルド・サスペンスの劇場版第3弾。父親を殺した犯人を見つけるために刑事になったヒロイン・雪平は本懐をとげられるのか?・・・。TVも含めてずっと応援していただけにこれで終わりとは寂しい気がする。
篠原涼子演じる雪平夏見に対してのキャラが売りの人気TVドラマが、映画になって、彼女の高びしゃな態度と物の言い方といい、ロングヘアーにロングコートの出で立ち、コートの裾で証拠物件を飛ばさないか、彼女の髪の毛が現場に落ちないか、いつもの死体現場での寝ころびのポーズとか、プロとしての未熟な匂いがするなんてことが気になると、この映画は楽しめない。

でも、そろそろ事件の結末をはっきりしないと、権力側の裏切り合戦、世間のことなど知ったことじゃないって。冒頭から全裸のシャワーを浴びる篠原涼子のサービス映像が、ラストにも拝めるようになっている。この作品での、誰が裏切り者で、誰が見方なのかをはっきりさせないと辻褄が合わないのだ。
先日観賞した「S」は日本という国家に対してそれなりに信頼を置いていたのですが、こちらの闇の組織は、警察と検察と裁判所がよってたかって善人を食い物にしている、という設定の一種の妄想で出来ており、その被害者が例えば永山絢斗のお父さんであり。篠原が今回は彼の復讐劇に加担するわけ。
ですが、永山は別に瑛太の関係者と言う設定ではない。ですが、俳優としては瑛太の弟である永山絢斗が演じているので、”裏切り者”ではないのか?・・・何となく関係がありそうな気がしてならない。それはラストで判明しますから。

闇というがこれほど分かりやすい闇はないと思う。雪平の味方に見えた人間は、だいたい“実は敵だった”という作りだから。
刑事の山路を演じる寺島進が撃たれるも、胸に入れていたライターのお蔭で命が助かるし、薫ちゃんこと加藤雅也と佐藤浩市は殺されるなぁと思っていたら、やはりその通りになってしまった。特捜部長(吉田鋼太郎)に追い立てられる阿部サダヲは最後まで生き残っていたね。
今回は、津島(永山絢斗)を犯人に仕立て上げて、雪平に津島を庇わせるという進行で、敵には検察の武部(AKIRA)が命令しながら雪平を追い詰めていく。
雪平が持っている機密データーのUSBメモリはどうなるのかなど、シリーズファンには気になる謎にある終止符が打たれます。

取調室には、マンションから検事が転落した事件の重要参考人・津島・永山絢斗と、彼を問い詰める捜査一課長の阿部サダヲが。彼らの様子を監督室で見つめるのは、山路の寺島進と三上の加藤雅也。そこへ雪平が入って来て、津島が雪平にしか何も話さないと言い張ったために、雪平が尋問することに。
永山が自分を信じてくれと雪平に懇願し、2人でここから脱出するよう仕組む雪平の頭の良さがいい。

津島も検察の中の黒い闇を調べてデーターを持っており、そのデーターを世間に知らしめようとするのだが、日本では無理なことで、海外に逃亡して発表しようとするわけ。人にいい雪平が、自分の持っている極秘のデーターのUSBメモリを、永山に託してしまうのだ。いつもの雪平の台詞、「バカか、お前は」の台詞を津島に吐くが、それは雪平お前だろうにと、言いたい。

そして、二人で某国エレドニア(ウルグァイ)大使館へ逃げるまでのカーチェイス、それに大使館でのバトルでは、高層階にあるのでエレベーターで移動するも、それを検察の武部が邪魔をする。非常階段で登るのだが、津島が途中で検察に撃たれて怪我をしてしまい雪平が背負うことになるとは。か弱い女が男を背負って階段を上るシーンにはもうダメかと思った。やっとのことで、大使館に入るのだが、そこで津島が裏切り者だと分かり発砲してくる。そこで雪平も撃たれて、雪平を守ると言っていた一条が津島を射殺するのだ。一条も撃たれて死亡、またしても、信じていた者の裏切りに絶望感が漂う。

その後は、雪平が亡命して日本の闇を犯罪スキャンダル、ポスト紙に持ち込みメディアで発表する。エンドロールにて、今までの「アンフェア」シリーズの映像が映し出され、懐かしく思えて雪平と一条の許されぬ愛と、夫の佐藤に扮した香川さんも雪平を本当は愛していたのだと。豪華キャストたちに囲まれての映像が懐かしく思えました。
アンフェア The answer2015年劇場鑑賞作品・・・187映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド★★★

2015年09月20日 | アクション映画ーサ行
諫山創のコミックを基に人間を食う大型巨人と人類のバトルを圧倒的迫力で描いたアクションの後編。対巨人のために結成された調査兵団の一員となった主人公エレンの絶体絶命の戦いや、突如現れた黒髪の巨人の謎などが活写される。『巨神兵東京に現わる』などの樋口真嗣がメガホンを取り、三浦春馬や長谷川博己、水原希子、本郷奏多らが出演。インパクト抜群の巨人のビジュアルやハードな戦闘シーンのほか、オリジナルのキャラクターと設定が後半の物語に及ぼす影響や物語の行方も見どころ。
あらすじ:100年以上ぶりに現れた超大型巨人に多くの人間が捕食され、生き残ったエレン(三浦春馬)は調査兵団の一員として外壁修復作戦を決行。しかし巨人に襲われてしまい、アルミン(本郷奏多)をかばったエレンは巨人に飲み込まれてしまう。
その直後、黒髪の巨人が出現し、ほかの巨人たちを攻撃するという謎の行動を見せる。人類の存続を懸けて彼らは巨人たちと戦い続けるが……。
注意:全部ネタバレで書いております。これから観賞の方にはご了承願います。

<感想>100年もの間、巨人から身を守るために壁の中での生活を余儀なくされている人間たち。そんな毎日に窮屈さえ覚えたエレンが、外の世界が見たいという思いから調査兵団に入り、巨人と対峙する姿を描いた前編。
前作での実写での巨人による大殺戮を、全面に押し出した特撮映像には本当に鳥肌もんで驚いた。ですが、今回は巨人映像を見慣れたせいか、あまりグロさは感じられなかった。
それに、無意味に人間が死に急ぎ、巨人化する人間の謎が解けてしまう下りにはがっかりでした。やはり、謎の提出で気をもたせる前編に比べると世界観自体が小さくなった印象です。

やっぱり、この2部作は一気に観たかったですよね。そもそも巨人はなぜ誕生したのか、人類最強の男であるシキシマの目的は何なのか?・・・。それに、前篇の最後で登場した黒髪の巨人の謎とは。その種明かしが猛スピードで展開していくのであります。

れでも、大きな違いはあれだけ臆病ものとして描かれていた主人公のエレンは、天国の奴隷よりも地獄の自由を選ぶといって、壁の外へ出ようと始まったわけだが、果たして地獄には自由などあるのか?・・・。自分の特殊な能力に気づいた途端、「心臓を捧げる」覚悟で巨人に挑む勇敢な姿だろう。
そして、立ち向かうことから目を背けなかったエレンに触発され、人間を囲っているのはただの壁なのか、恐れるべきは巨人なのか、怯えることしか出来なかった人間たちは、真実を突き止めるべく道を選ぶのだ。

今作では更にパワーアップした超巨人が、まさかの國村隼さん扮するクバルだったとは。その表情やアクションは感動級の迫力であり、この巨人の存在感だけであらゆる謎やカラクリなどどうでもいいと思った。
それに、シキシマがエレンの兄だとは思っても見なかったことで、エレンの父親が巨人の研究者であり、人間が巨人になる注射を発明して兄のシキシマに実験注射をする。その父親の博士がまさかのツヨポンとは、もったいない出番でした。でも、シキシマの巨人とエレン巨人の兄弟対決は見応えありましたね。

主人公のエレンは天国の奴隷よりも地獄の自由を選ぶといって、壁の外へ出ようと始まったわけだが、果たして地獄には自由などあるのか?・・・。
戦う前に、真っ白な異空間の部屋で「この世の果てまで」がジュークボックスから流れる場面で、兄弟がシャンペンを飲みながら話すという「この世の果て」とは外の壁という細部も効いているし、真の敵は壁の外じゃなくて壁そのもの、あるいは内部にいるということが分かる。

壁の修復に向けた不発弾移送と並走して複数の人間が亡くなり、一番にはピエール滝のソウダがエレンを庇おうと射殺されて死んでしまうとは。伏線回収もあまり意味がないし、緻密な演出が求められます。どこにカメラを向けて撮るかも難しいですよね。

銃器マニアの石原さとみは、今回もノリノリでパワーアップ。ハンジが手持ち対戦車ミサイル砲をぶっ放す。どうせなら他の連中も彼女を見習って欲しいですよね。そして、ミカサよりも腹ぺこ母親の桜庭ななみが弓矢で大活躍。

最後の終り方が高さ50メートルの外壁の上に立ったエレンとミカサが目にしたものは、東京湾と東京タワーの瓦礫と化した世界。巨人と化した人間は、まるで人間が体内に入って操作する「エヴァンゲリヲン」のような、この終わり方でいいのだろうか、実際には、現代人は奴隷的に生きるのがせいぜいだし。アニメではまだまだ続くのだが、この間観た「メイズ・ランナー」の方が面白かった。
下手くそな演出と、役者の力量に左右される芝居が中心にきては、終盤の特撮絡みの場面以外は、つまらなかった。まぁ、それでも圧倒的な人間と巨人との、超接近戦が臨場感があって良かったし、ラストの外の世界を見せた意欲は効果大ですね。フィクションというだけでは片づけられない、人間の生々しい心情が垣間見えた感じがしました。
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ボヴァリー夫人とパン屋★★★★

2015年09月18日 | アクション映画ーハ行
フランス文学の古典「ボヴァリー夫人」をモチーフにした、絵本作家ポージー・シモンによるグラフィックノベルを『美しい絵の崩壊』,「ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・フォンテーヌ監督が映画化。
フランス西部ノルマンディーの小さな村で稼業のパン屋を継ぎながら平凡な毎日を送るマルタン。彼の唯一の楽しみは文学。中でも「ボヴァリー夫人」は繰り返し読み続けている彼の愛読書だ。ある日、彼の向かいにイギリス人夫妻、ジェマとチャーリー・ボヴァリーが引っ越してきた。この偶然に驚いたマルタンは、小説のように奔放な現実のボヴァリー夫人=ジェマから目が離せなくなってしまう。夫の目を盗み、若い青年と情事を重ねるジェマの姿に、マルタンは小説と現実を重ねあわせて妄想をふくらませ、思わぬ行動に出るのだった。主演のマルタンに「屋根裏部屋のマリアたち」『危険なプロット』のファブリス・ルキーニ、ジェマ・ボヴァリーに「アンコール!!」『ランナーランナー』のジェマ・アータートン。

<感想>ノルマンディーのこんな小さな村に住んでみたいという風景と、その土地でパン屋をしている親父のファブリス・ルキーニが魅力的でコメディふうにできており面白かったです。
これはそうとうにエロいのだ。現代のボヴァリー夫人を演じるのが英国女性で、彼女が「ボヴァリー夫人」を読んでいないという企みは完璧でもあり、監督のアンヌ・フォンテーヌがト書きの要素を完璧に視覚化しているのだ。

主人公のファブリス・ルキーニが色気を失わず、初老の男の妄想的視点を体現しているのだが、パンをこねる手と愛撫する手の相似の描写が上手い。背中からお尻まで、体の線が衣裳の下から感じられる動作のジェマの演技も憎い演出。
田舎で繰り広げられる官能の風、ジェマが蜂に刺されたと言う場面で、パン屋の親父が刺されたジェマの艶めかしい背中を吸い上げるシーンに笑いが止まらなかった。それに、ルーアン大聖堂の内部が登場して効果的に使っているのがいい。

愛読書の「ボヴァリー夫人」ことジェマは、最期まで自我を確立できなかった女性として描かれているのが惜しまれる。ヒロインのジェマは、自覚があるにせよ、ないにせよ服装も髪形も言動も隙だらけで、本能的に男に甘えることを知っていて、夫や元カレ、年下の若いイケメンの不倫相手など、パン屋の主人とあらゆる男を頼りまくって生きている女である。

それはそれで賢い生き方とも言えるが、身の丈に合わない夢さえ見なければ平穏な人生を送れたのに。というか、この作品の中では、あの「ボヴァリー夫人」をラブコメにしてしまうとは驚きです。俳優はいずれも適役で笑わせるのですが、当然ヒロインのジェマ・アータートン以下で、誰にも感情移入はできないのだ。それでも、不倫相手のイケメン青年のニール・シュナイダーとの情事には、見ていて綺麗に撮っているのでさすがに女性監督だと思った。

最後のシーンなどは、夫と離婚してロンドンへ帰るという決意をするジェマに、パン屋がお別れの焼きたてのパンを届ける。それを玄関の前に置き立ち去るのだが、そこへ、元カレがやってきて復縁を迫る。
目の前にある焼きたてのパンをちぎっては食べるジェマなのだが、喉にパンが詰ってしまい苦しむのである。元カレが背中を叩いてもダメ、それではと後ろからお腹を持ちあげて苦しむジェマの腰のあたりに自分の身体を押し付ける。その光景は、さも後ろからセックスをしているようにも見え、そこへ夫が駆け付けて、元カレを殴る蹴るの乱暴。ですが、肝心のジェマは、喉にパンが詰って窒息死するという。悲しい結果になってしまう。

最後もいい、お隣に引っ越してきた女性が、今度はロシア人の女だという。それも「アンナ・カレニーナ」の小説にぴったりの女性だと仄めかすのである。即、行ってみると確かに若い美人の女性ではあったが、フランス人だというのだ。パン屋の息子が父親をからかう場面に、この息子も父親似の妄想家に違いない。あっけにとられてしまう笑いなのだけれども、パン屋の親父の妄想癖に、小説の「ボヴァリー夫人」に没頭してしまい、原典を思うとフランス人の意地悪さを感じてしまうジェマの最期が哀れであった。。
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野火 ★★★.5

2015年09月17日 | アクション映画ーナ行
1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。
日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。共演にリリー・フランキー、俳優デビュー作の「バレット・バレエ」以来の塚本監督作品への参加となるドラマーの中村達也。

<感想>舞台は第二次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。敗戦色濃い中で、田村一等兵に扮した塚本晋也は、結核を患い野戦病院へ行こうとしていた。窪んだ目だけ爛々と密林を彷徨い、遂に禁忌を冒す幽鬼のごとき兵士たちに、南方戦線で野垂れ死にした多くは、戦死ではなく餓死と病死だった史実を思い知らされる。

大岡昇平の原作世界を、見るも悍ましくスプラッタ・ホラーふうに解釈して、映像化した塚本監督自身が演じている田村一等兵の主観で、進行していくのである。そして、主観だからこそ、人間の肉体への冒涜、戦争、及び人間という生きものに対するおぞましい恐怖がダイレクトに伝わってくる映画でもある。

野戦病院では、手足が無いものや、頭が吹っ飛び、内臓が破裂している兵隊などがたくさん寝ていた。だから、肺に穴が空いている兵隊が「穴が空いているくらいで病人づらするな」と怒られるのは、そういう意味でも理にかなっている。片足が折れているのだろうリリー・フランキー扮する伍長は、タバコがあれば生き長らえると豪語し、確かに死にぎわの一服は天国へでも逝くような感じなのだろう。

米軍機の襲撃には、日本軍は手も足もでずにただただ隠れて逃げるのみ。それに、密林を越えてハロンポンまで必死になって歩くのも、日本へ生きて帰る希望を捨てないために。それも虚しく、闇夜に紛れて丘を越えればすぐそこだという言葉に迷わされて、米軍の戦車が砲撃してくるのをまざまざと見せつけるのだ。
戦場での吹き飛んだ顔、手足、滴り落ちる内臓からはムンとする匂いが漂ってくるようだ。飢餓のために爆風で削がれた自分の肩の肉を口に入れ、いつ終わるともしれない果てしない戦争を徹底したスプラッターで戦場を描くことで、リメイクではなく市川崑監督との差異が際立ち、前半で回避された人肉食に踏み込むことも可能になっていた。
何もここまでと疑問の声もあるようだが、戦争を知らないまま70年が過ぎ、想像力が欠如した現代に戦争を描くには、こうするしかないのだ。「お前も絶対に俺を喰うはずだ」という劇中の台詞を、あり得ないと言えなくなる狂気と飢餓の世界がこの映画の中には存在する。

ただし、戦場から帰還後に、日常に戻ってのラストの描写が曖昧なのが残念。始まりは、オリジナルと一緒らしいが、現代という歴史時間に主人公を接合させようとするラストに、暗い人間のおぞましい理性を見た気がした。人肉を食べなかった田村の何かに対する呪縛とは?・・・。ここだけ演出が観念的な気がした。
名作のリメイクというのは、割の合わない仕事だが健闘している作品といっていい。映画の半分は自然描写に費やしており、鮮やかな色彩が島の緑を映えさせ、自然の中での凄惨な戦争を描き、自然と人を均等化させた塚本映画の一つの到達を見た。
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