パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

家族のはなし★★★・5

2020年05月11日 | アクション映画ーカ行

           

リンゴ農園を営む両親とその息子の姿を描いた鉄拳の同名パラパラ漫画を、岡田将生主演で映画化。拓也の両親役で時任三郎と財前直見、地元の同級生・明日香役で成海璃子が共演。鉄拳がアートディレクターとして参加。

あらすじ:とある挫折によって自身の進む道を失ってしまった拓也は、親元を離れて東京で暮らしている。大学に通いながらもバンド活動に熱が入る拓也は、次第にプロを目指すようになる。さまざまな挫折を経験しながら、家族の温かさを改めて感じながら成長していく拓也を岡田が演じている。

<感想>鉄拳のパラパラ漫画が脚本であり、本作でも鉄拳のパラパラ漫画がたくさん出てくるのだ。前に鑑賞したMUSEの曲をBGMに使って話題になった「振り子」も良かったが、この作品も最後には泣けてくるのだった。

両親役を時任三郎と財前直見さんが演じており、さすがの演技で圧倒されます。それに地元の同級生・明日香役で成海璃子さんが、断然に上手いので、主人公の拓也を演じている岡田くんよりも秀でいた。

こんなにも、同級生とはいえ、親身になって拓也のことを思って車で送り迎えとか、大学を退学してバンドをやっている拓也にアドバイスをするし、両親のことをもっと大事にすること、親の仕送りで東京で大学にいけて、それもバンドにはまって退学とは、観ているこちら側も怒ってしまう。

そのバンドも、自分はギターを弾いて少し歌うだけであり、殆どがリードボーカルの男がこのバンドを引っ張っているのだ。その彼がバンドを解散すると言い出し、拓也はそんなことは考えていなかったので、慌てるのだ。バカみたいな拓也の鈍感さ、それに幼馴染の明日香が、拓也のことを好きなのに、そんな彼女に甘えてしまっている彼が許せない。

実家のリンゴ農園だって、台風の被害をうけて落ちたリンゴをジュースにして販売するなど、いろいろと考えている。下宿に毎年贈ってくるリンゴを、腐らして捨てる拓也には呆れてしまった。明日香に実家の経済的な苦労を言われても反発したり、実家のリンゴ農園を継げと父親に言われるのが苦痛であり、自分は東京でいっぱしのミュージッシャンになった気でいる。

そのことが、最後に帰った実家で、母親が押し入れのお菓子を持って行ってと言われ、箱に入った菓子をそのまま袋に入れてバスに乗る。途中でバスが急ブレーキをかけた瞬間に、お菓子の入った袋が床に落ちて、箱の中に入っていた息子の活躍した新聞の切り抜き、高校時代の活躍とか、大学へ入って音楽に目覚めてバンドをやっていることも地元の新聞にのり、切り抜いてい大事にしまって置いたのだ。

母親の優しさと無口な父親、そして息子への愛情と、実家のリンゴ農園を継いでほしいとは言えずにいる母親の想いも。それに、父親にしても息子が幼いころに言った言葉「リンゴは一度落ちても終わりじゃない」と、高校時代に怪我をして陸上を止めてしまった時にも、リンゴは万病に効く特効薬だとも言っていたのに。昔にも台風の被害とかあって、乗り越えてきたことを忘れている拓也。

反抗期っていっても、大学生になって親の仕送りに甘えているのが許せない。しかし、終わりころになって、やっと拓也が両親の思いやりに気づく。それに幼馴染の明日香の心をもてあそんでいるのも、いい加減に気づけよと言いたかった。明日香は他に恋人がいると言っていたが、違うと思うよ。

卒業した高校の鈴木先生とか、バンドのボーカルの子とドラムをたたいている子が、一度は断った拓也の高校創立40周年記念に、来てくれる友情とかも良かった。

観終わった後に、親の大切さを思い出して、心がすごく温まって、うるうるしてしまった。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・40  アクション・アドベンチャーランキング

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パーフェクト・センス★★★

2020年05月07日 | アクション映画ーハ行

                    

 

2011年のサンダンス映画祭に出品され、その斬新な映像世界が注目を集めた作品だ。主演は楽観主義者のシェフを演じるイギリスが誇るトップスター、ユアン・マクレガーと、心を閉ざした科学者役のエヴァ・グリーンが見せる繊細な演技は注目に値する。監督は、『猟人日記』でもユアンを主演に迎えたデヴィッド・マッケンジー。世界終焉をモチーフにした壮大な設定と、共感を呼ぶラヴ・ストーリーを融合させた構成が、絶妙なコントラストを醸している。

 

 

あらすじ:人類がかつて経験したことのないその異変は、何の前触れもなく世界中を揺るがした。“SOS”と名付けられた原因不明の感染病が爆発的に拡散、あらゆる人々の臭覚を奪い去ってしまう。その勢いは衰えることなく、感染者たちの味覚や聴覚をも失わせ、人類は存亡の危機に陥っていく……。シェフのマイケル(ユアン・マクレガー)と科学者スーザン(エヴァ・グリーン)は、そんな極限状況のさなかにめぐり合い、奇しくも謎の病に冒されたまさにその瞬間、恋に落ちた。ひとつ、またひとつと五感を喪失し、世界が終わりを迎えようとしたとき、ふたりはいったい何を求め、何を感じ取るのだろうか……。(作品資料より)

 

 

<感想>この物語は、人々が味覚や嗅覚など感覚を失う伝染病が広まる、非日常的な世界を描いている。恋は人を盲目にするというけど、主人公たちは恋に落ちていく過程で、本当に感覚を失っていくのだから。五感を失う奇病が広まり、終末に向かう世界で出会った男女のラブストーリーですね。

 

謎の感染症で目が見えなくなり、人々を極限の状態を描いている「ブラインドネス」がありましたね。あのように人々が手に手を取り合いながら、避難所を探して歩き、そこで起きる支配者的人間の存在が描かれていましたが、本作品の中ではそのような展開はありません。ただ主人公の2人を通して、男と女が愛を確しかめ合い、離れていても最後には2人が抱き合って、愛し合い幸せを感じるという終わり方です。
特定の感情が現れた後、五感を一つづつ失いながら、愛し合う2人の姿を詩的な映像で綴って行き、人生の根源的な意味を問いかけていきます。

 

 

主人公にはユアン・マクレガーが、シェフのマイケルを演じ、彼女の感染症学者の役には、エヴァ・グリーンが。ユアンの叔父さんで俳優のデニス・ローソンが、ユアンの勤めるレストランのボス役で出演しています。

 

 

そしてシェフのマイケルは、人々が嗅覚や味覚を失うと困るんですね。失業してしまう。それでも、味を辛くしたり甘くしたり、盛り付けを色とりどりに鮮やかにして、見た目の豪華さを見せつけます。
しかし、その内店には客も途絶えて閉店となり、避難した人達の食糧を作るマイケルたち。

 

絶望感と飢えに怯え、油を飲み口紅までむさぼる人々、嗅覚の次に味覚を失い、その次は憎悪を爆発させて、怒りだし暴れて、ついに聴覚と声まで出なくなる。そんな人々が町に溢れだし、そして町は荒廃していく。

 

 

主人公の二人は、過去の恋愛で深く傷ついた経験があり、恋に落ちることを恐れている。互いに恋に落ちていくのを認めようとしないのだが、・・・徐々に研ぎ澄まされいく触覚などで愛を確かめ合う2人。
味覚も嗅覚もなく、シェービングクリームや石鹸を食べる2人だが、そのうちに、憎悪の症状が出たマイケルが、スーザンに悪態をつき追いだし、2人は決別。だが、視覚を失う前、2人はある感情に満たされる。

 

 

この作品の大きなテーマの一つは、感覚の喪失ですが、どちらかというと、感覚を失うというよりも、感覚だけじゃなく、人間性、人生、楽観性、消極性、友情や愛情など、さまざまな要素を私たちに見なおさせる機会を与えていると思うんですね。
最後は画面が暗くなり、観客にゆだねるようなそんな感じがした。人類の終末と取るか、終末でも傍に愛する人がいて、抱き合いながら終末を迎える。見る観客によっては、受ける印象の違う映画になっているでしょう。(「パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セ・ラ」より引用)

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・40  アクション・アドベンチャーランキング

 

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新型コロナウイルス感染に類似していた映画「コンテイジョン」

2020年05月05日 | アクション映画ーサ行

最近世間を騒がせている新型コロナウィルス、2011年の映画で上映された「パーフェクトセンス」も作品とよく類似しているような、皆さんもブログに投稿していました。

2012年5月12日に投稿していた映画「パーフェクトセンス」と、2011年11月14日の映画「コンテイジョン」がありました。

「コンテイジョン」=blog.livedoor.jp/papikosachimama/archives/51882519.html

「インフォーマント!」のスティーブン・ソダーバーグ監督によるパニックサスペンス。謎のウィルス感染によって世界中の人々が命を落としてゆく中、それに立ち向かう人々の姿を描く。出演は「インセプション」のマリオン・コティヤール、「アジャストメント」のマット・デイモン、「プレデターズ」のローレンス・フィッシュバーン。
あらすじ:ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)は香港出張の帰り、夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅に向かわず、シカゴで元恋人と密会する。だが、ベスは咳と熱を発症しており、同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていた。その事件に疑惑を抱いたフリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、政府が伝染病を隠しているのではないかとブログで指摘する。

さらに帰国から2日後、ベスが死亡し、続けてベスの連れ子クラークも命を落とす。報告を受けた世界保健機構(=WHO)のドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)たちが、続いてアトランタの疾病予防センター(=CDC)が調査に乗り出す。エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)の指示でミネソタに派遣されたドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は、感染が疑われる人々の隔離を実施。
カリフォルニア大学の医師が、コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスであることを解明したが、現時点では治療法もワクチンもない。WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。ワクチン開発に全力が注がれるものの、ウィルスは変異し、恐るべき速度で感染拡大してゆく。

折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているとの噂が広まったことから、中国衛生部のスン・フェンが故郷の村人のワクチンとの引き換えとして、オランテスを拉致。任務途中で感染するミアーズ。恋人に極秘情報を漏らしてしまうチーヴァー。娘を家に閉じ込めるミッチ。それぞれが愛する者を守ろうとする中、アランは政府が有効な治療薬を隠していると主張。恐怖はウィルスよりも早く感染し、パニックを起こした人々によって、各地で暴動が勃発する。それぞれが選んだ決断は……?そして明かされるウィルスの発生地点とは?(作品資料より)

<感想>毎年のようにニュースになるウイルスの話題が、超リアルに映画化された。これって昨年、新型インフルエンザ(豚のウィルス)で大騒ぎして世界各国に飛び火して、ワクチンも中々製造されず、隔離病棟でひたすら待つ患者とか、年寄りと子供がかかりやすいということで、ワクチンが出回っても優先順位で私らにはワクチンが注射されるのは何時のことかとイライラした。
感染したら、たちまち死に至る新種のウイルス。最初の患者が出てから数日で、世界中に死者が急増していく。スティーブン・ソダバーグ監督が、旅行中に飛行機に乗って思ったこと。そう言えば旅行中に体調を崩す人が多いことを。それで公共の場における人間の無防備さを掘り下げてみようということからこのアイデアが生まれたそうです。

未知の伝染病の世界的流行=パンデミックの恐怖を、ウイルス感染者やその家族、医療関係者など、国籍も立場も違う人々のドラマを掘り下げながら展開していきます。何気ない握手や同じバスに乗り合わせるなど、ささいな接触で致死性のウイルスが世界中に拡大していく内容はリアリティ充分です。

そんな事態の中で、東京のバスの中で発症した男性の映像を、自身のブログにアップしたのを皮切りに単独取材を続け、一躍世間の注目を浴びるアランに、ジュード・ロウが扮している。このアランもこの事態を利用して金儲けを企み、「レンギョウを煎じて飲めば感染しない」なんて嘘の情報を流し、裏で特効薬に関する情報をネタに投資家と接触。ジュード・ロウが街中をビニールの袋を被ったような姿で映る。
ようやく開発された試薬も抽選されるなど、世界的危機が起こる中、人気ブログの危険な文章がウイルス以上に広がり、さらには恐ろしいパニックにと。街中はコンビニ、薬局、銀行など全てが破壊され、人間の恐ろしい様が描かれる。

マリオン・コティヤール演じる世界保健機関ドクターが、ウィルスの起源を特定しようと香港へ行くも、彼女は誘拐される。犯人の目的は彼女を人質にして、欧米を中心に研究が進むワクチンを手に入れることだった。中国の僻地へ連れて行かれるもワクチンと引き換えに助けられるが、渡したワクチンは偽物だったとは。

それにこの作品には豪華なキャストが大勢出演しているんです。マット・デイモンは妻と息子が感染して死んだのに、自分は免疫があるのか何ともないのだ。一度は隔離されるも、娘を守るため必死になる。それに米国疫病予防センターのローレンス・フィッシュバーンの指示で、感染者の多い地区へケイト・ウィンスレットを派遣するも、感染して死んでしまう。
勇気ある女性、厳重に管理されたラボで、ウイルスの分析とワクチン開発に全力を注いでいたジェニファー・イーリー。臨床実験も経ていない新薬を自分に注射してテスト。彼女には一刻も早く治療法を見つけたい個人的な理由があった。それは医者であった父親がウイルス感染患者だったから。

もうリアルすぎる描写で観客も静まりかえるし、発病や死の瞬間とか一番最初に感染して死んだグウィネス・パルトロウの頭部を切開するシーンなんて、ショッキングな映像を見せられて口あんぐりですから。
最後に感染源を明かされるシーンでは、細菌で汚染された手を洗わないで握手するとか、バーのグラスやバスの吊革など感染源もやたら強調されるので、観ていることからも身近な恐怖として迫って来る。風邪をひいている人が隣にいれば移ることもあるわけで、本作がとても恐ろしいのは、フィクションで有る一方そうした現実の可能性や、現実の科学に基づいているからでしょう。数日前から風邪をひいていたので、マスクをしての鑑賞。そういえば後ろの方で咳をしていた人が。外出して帰ったら手荒い、うがいをしましょう。(ブログ、「パピコと一緒にケ・セ・ラ・セラ」より転写)

 確かによくよく読んでみれば、新型コロナウィルスと類似している点が多々あります。こんな恐ろしいウィルス菌が、はじめは中国の武漢で実験のために開発したウィルスを、人間に感染させて、どのように世界に感染するかというような、そんな話を小耳にしました

確かに最初は中国の武漢が発線源であり、武漢には中国のウィルス医薬品の研究所もあります。中国は一切関係ないと言ってますが、本当にそうなんでしょうか。

日本中はおろか、世界中に広がり、ともかくいつまで続くであろうか、新型コロナウィルスの感染を防ぐためとはいえ、家の中に閉じ込められた生活は息苦しく、たまには外へ散歩にでも行きたいと思うのですが、朝早く(5時半くらいから6時半)に散歩に出かけると、結構早起きをして散歩に来ている人たちが多いのに驚きました。

夜もそうですね、薄暗くなってから車で近くのスーパーへ車を止めて置き、スーパーの辺りを歩いてまわり、その後に買い物をして帰るという日を1週間に3日くらいもうけました。これも本当はダメなのでしょうね。もちろんマスクをして、家へ帰ってからは、玄関で上着を脱ぎ外でほこりを払って、家の中へ入って手をよく洗い、口の中を嗽いして顔もあらって、やっとリビングへと家族のみんなと顔を合わせるという。

しかし、リビングでも、食卓でもテーブルでは、横に一列1メートル隙間を開けて並んで食事をするか、順番に時間差で食べるか、リビングでのTVを一緒に鑑賞とか、会話とかは最近は少なくなりましたね。

しかし、日本人はそういうことがあると、政府による予防法とか、外出禁止令、などで休業や店じまいをしたり、働く人々がこれからどうやって生活をしていけばいいのかなど。早くに新型コロナウィルスの新薬が発明されて、夏までには終息するようにと願うばかりです。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・39 アクション・アドベンチャーランキング

 

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風の電話★★★・5

2020年05月05日 | アクション映画ーカ行

「ライオンは今夜死ぬ」の諏訪敦彦監督が、震災で家族を失った少女の再生の旅を描いた人間ドラマ。今は亡き大切な人と思いを繋ぐ電話として、岩手県大槌町に実在する「風の電話」をモチーフに映画化した。主人公ハルを「少女邂逅」のモトーラ世理奈、森尾を西島秀俊が演じる。第70回ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門に出品され、スペシャル・メンション(国際審査員特別賞)を贈られた。

あらすじ:8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう。豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす公平や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田ら様々な人たちとの交流を通し、ハルは次第に光を取り戻していく。道中で出会った福島の元原発作業員・森尾とともに旅を続けるハルは、「もう一度、話したい」という強い思いに導かれ、故郷にある「風の電話」にたどり着く。

<感想>十七歳の少女が広島から岩手まで旅をする物語。一人旅だが、途中で、さまざまな出会いがあるので、少女の孤独感が離れたり戻ったりしてジグザムに進んでいく。悲しみがそれを真っすぐに貫いている。少女が目指すのは、故郷の岩手県大槌町で、9歳の時にあの東日本大震災で、父母と弟が津波に奪われた。岩手県大槌町には、電話線の繋がってない“風の電話”がある。天国に繋がっているというこの電話には、毎日多くの人々が訪れている。そんな“風の電話”をモチーフにした映画。

演じているのは、モトーラ世理奈であり、いつも無表情で顔のアップはごく少なくて、後ろ姿や、長い髪がかぶさる横顔の場合が多いのだ。にもかかわらず、というよりは少女の心情を切々と訴えてくるの。

少女は大震災の後、広島県の呉の伯母に引き取られていたが、その唯一の肉親が病に倒れた。病院へ行った帰り道、土砂崩れの跡地である、工事現場へ迷い込み、ふらふらと歩くうちに涙ぐんでしまった少女は、お父さん、お母さんと叫んで泣き崩れてうずくまってしまった。瓦礫の荒れ地が9歳の時の衝撃を蘇らせたのであろう。

手持ちカメラで撮られたその長回しの場面の後、ロングショットになり路上に倒れた少女を、軽のトラックで通りかかった三浦友和が少女を助け起こすのだった。そして少女を家に連れて帰り食事を与えるのだった。彼は老母と二人暮らしで、老母が問わず語りに原爆の被災体験を話すのが印象深かった。

少女はその後、岩手県の大槌町へ一人旅に踏み出す。ヒッチハイクで拾ってくれた妊婦さんとその弟と、レストランで食事をして夜の駅前で、若い男3人に拉致されかけたところを、今度は車に乗った西島秀俊に助けられ、彼の人探しに同行する。

尋ね人は福島原発事故の時、ボランティアに来ていたクルド人なのだ。その人は難民として収容されたままだとわかる。西島が車を発進させて、助手席のハルにクルド人の少女の写真を見せる。渡されたそのクルド人の家族写真を凝視する彼の表情が、微妙に哀しく揺れる。津波で亡くなったのかと思い彼が問うも、まだ見つかってないという少女の応え。

2人は福島で被災し廃屋となった彼の家へ寄った後、彼と親しい西田敏行を訪れて食卓を囲む。放射能差別が話題となり、少女は西島が元原発の職員で、妻と娘を津波で亡くしたことを知る。土砂崩れ、原爆体験、クルド難民、廃屋、風評被害、元原発職員の被災。

広島から岩手への少女の旅に。それらが点々と連なって描かれることで、東日本大震災という主題が浮かび上がってくるのであります。原爆とクルド難民、いわば時空を異にする二つの存在が、主題の現在性をより豊かに立体化しているようにみえた。

タイトルの「風の電話」の素晴らしさではなく、重要なのは点々たる連なりの立体化であり、主演のモトーラがめったに感情を表にあらわさないが、二度、激しく泣き叫ぶシーンがある。冒頭での土砂崩れの跡地のくだりと、終盤の大槌町へ着き、基礎だけが残った自宅跡地を歩き回り、「ただいま」と帰ってきたんだよとつぶやくうちに、感情がさく裂シーンであります。地面に倒れた彼女が、前者では三浦友和が、後者では西島秀俊が抱え起こすシーンなのだ。

この映画の中ではよく食事シーンが出てくる。少女の心を食べ物で鎮めようとするわけで、他にも食べるシーンが多く出てくるのだ。彼女が満面の笑みを浮かべるのが、レストランで山本未来の大きな丸いお腹を触るときであり、女たちは抱擁する。少女の閉ざした心を、風の電話で天国の父母へ繋がって語り掛けるシーンにも、胸がキュンと締め付けられた。

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・38  アクション・アドベンチャーランキング

 

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コンプリシティ 優しい共犯 ★★★・3

2020年05月02日 | アクション映画ーカ行

短編「SIGNATURE」が第70回ロカルノ国際映画祭などで高い評価を受けた近浦啓監督の長編デビュー作。チェン・リャン役を「孔雀 我が家の風景」の中国人俳優ルー・ユーライ、弘役を藤竜也がそれぞれ演じる。2018年・第19回東京フィルメックスのコンペティション部門で観客賞を受賞。

あらすじ:中国人青年チェン・リャンは技能実習生として日本にやって来た。中国の家族たちの期待を背負って来日したものの、劣悪な職場環境から逃げ出してしまい、チェン・リャンは不法滞在者となってしまう。そんな彼は他人になりすまし、そば屋で働き口を見つける。そば屋の主人・弘は良好でない息子との関係もあり、心に孤独を抱えていた。口数が少なく不器用で、厳しくも温かい弘の人柄に父を重ねるチェン・リャン。彼の嘘に気づくことなく、次第に情を深めていく弘。2人はまるで親子のような関係を築いていくが、チェン・リャンに警察の手が迫っていた。

<感想>新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言を受け、日本中のほぼすべての映画館が営業を休止しています。自宅でのTV鑑賞をはじめ、映画やコンテンツを楽しむ需要自体は根強くあるものの、“映画館という場”は窮地に立たされてます。
コロナ禍の終息後、劇場が営業を再開したらばすぐにでも映画館へと足を運ぶのが楽しみです。

劇場再開、それは5月の下旬か、6月に入ってからなのかはわかりませんが、世界的な規模での新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言なので、これは自分たちの身体に関わることなので、何とも言えませんが、いつまで続くのかは政府の方たちの意思にお任せするしかありません。

物語は近浦監督の長編デビュー作であり、第70回ロカルノ国際映画祭、第42回トロント国際映画祭短編部門で上映された「SIGNATURE」に続く物語で、家族の期待を背負い、日本企業に技能実習生としてやってきた中国人青年チェン・リャンが主人公。劣悪な労働環境に絶望して研修先から失踪し、不法滞在者となったチェンは、借金返済のためにリウという他人になりすまして山形の小さなそば屋で働き始める。そこでそば職人の弘(藤竜也)と出会い、人生に一筋の光を見出していくというストーリーであります。

劣悪な職場から逃げて不法滞在者となり、東北の蕎麦屋に流れ着く。まさに現在的な題材であり、しかも日中合作で意欲的な作品と言えるでしょう。青年は蕎麦屋の住み込み店員になったものの、蕎麦については何も知らなかった。出前の配達の仕事をおどおどとこなす合間に、店主の藤竜也が蕎麦を作る姿をひたすら見つめているわけ。

中国人俳優ルー・ユーライと藤竜也。いつも不安げな青年と、鮮やかな手さばきで蕎麦を打つ寡黙な老店主。この組み合わせが絶妙であり、店主は何も青年に聞かずに受け入れてはいるが、何時、両人の意思疎通が本格化して、別の名前の偽造パスポートを持つ青年の身元がバレるのかが、サスペンスが高まってゆくのが見どころである。

 

それと、店主と自分の息子の不和、青年の淡い恋、刑事の出没など、いろんな出来事が配置されているのだ。藤竜也の捏ね上げた蕎麦を切ってゆくシーンが秀逸であり、黙々と手を動かすだけだが、トントントンと小気味のいい音が耳に聞こえてくるのだ。

蕎麦屋での日々が続く中で、青年が中国を出発するまでのシーンが点々と挿入され、彼がどんな境遇のもとで日本へ来たのかを描きだしていて、中国での猥雑な街の模様とか、厳しい祖母と優しい母親の姿が、生々しく浮き立って浮き立って見えた。食べ物を作るアクションや、祖国に残した肉親の情愛。この二つの要素が渾然なって深い感銘をもたらしていた。

本作でそば職人を演じた藤は、そば処として知られるロケ地・山形県大石田町の職人から指導を受けたといい、朝3時に起き撮影前に卒業記念の意味を込めて、職人さんやご近所50人前のそばを打ったと思い出を語った。

ルー・ユーライが演じるチェン・リャン(=リュウ)と、彼に根気強く蕎麦打ちを伝授する弘の関係が軸となる。たとえば、リュウが弘に向かって初めて「お父さん」と呼びかけたときの、藤竜也が背中だけで表現する感情。あるいは、リュウの問題を知った後、複雑な思いを秘めながら我が息子のように受け入れようとする表情とか。頑固さと包容力が共存する弘と、誠実で危うげなリュウが心を寄せ合う、儚い夢のような時間が永遠に続けばいいのに、と思わずにはいられなかった。
それと、あの有名なテレサ・テンの名曲「時の流れに身をまかせ」が、劇中で流れてくるのが印象に残りました。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・37  アクション・アドベンチャーランキング

 

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