パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ドラキュラZERO ★★★★★

2014年10月31日 | アクション映画ータ行
『ワイルド・スピード EURO MISSION』などのルーク・エヴァンスが主演を務め、オスマン帝国の侵略から自国を死守するため悪に変じた君主の戦いを描くアクション。ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」のモデルとなった15世紀の実在の君主をモチーフに、愛ゆえに強大な悪と化す男の数奇な運命に迫る。主人公の妻を、『アンチヴァイラル』などのサラ・ガドンが好演。悲しくも美しいヒーロー伝説に圧倒される。
あらすじ:トランシルバニア君主ヴラド・ドラキュラ(ルーク・エヴァンス)が統治する国は栄え、人々は平和に暮らしていた。だがある日、ヨーロッパ攻略を狙うオスマン帝国が、彼の息子を含む1,000人の少年の徴兵を要求してくる。愛する妻(サラ・ガドン)や息子と国を守るため、ヴラドは大国相手に反旗を翻し、古代より伝わる絶対的な闇の力と契約を交わす。

<感想>ドラキュラ伝説の新たな幕を開くアクション・エンターテイメントが誕生!今や知らぬ者のいないホラーの帝王“ドラキュラ”そのモデルとなった15世紀のトランシルバニアに実在した君主ヴラド三世の真の姿、そして祖国と家族を愛する男がいかにして吸血鬼となったかを描く本作。
確かにドラキュラは、生き血をすするためなら容赦なく人を殺すという”悪”のイメージが浸透しているが、今作ではモデルとなったヴラド三世の史実に基づき、妻子を守り民衆のために戦った”英雄”としてのドラキュラが描かれている。ドラキュラの名の由来は「竜公(父ラウド2世)の息子=ドラクレア公」の英語読み。

ですが、劇中では同様に、罪を犯した者や倒した敵を野に串刺しにして、生きたまま数日間放置するという拷問を用いて、オスマン帝国軍を震えあがらせたのだ。しかし、それは強さではひるまない異端者や敵に対して恐怖を用いて威嚇するという戦略の一つだったのですね。
主人公ヴラドを演じるのは、「ホビット 竜に奪われた王国」でも領主の末裔バルドを演じたルーク・エヴァンス。以前の映画で、ドラキュラを演じた俳優さんは、みなイケメンで細身の男優さんばかり。今回もルーク・エヴァンスで申し分なくカッコ良かったです。

幼い頃に、オスマン帝国に人質として捉えられ、無敵の兵士として成長を遂げる。帰国後は、よき領主として民から慕われているが、オスマン軍と戦うため闇の力と契約を交わす。それは、断崖絶壁をよじ登り、山奥の洞窟にいる魔物と契約を結び、闇の力を手に入れる。それは五感は研ぎ澄まされ、肉体は驚くほど俊敏かつ強靭に変貌し、帝国の先遣部隊を一人で撃破するが、人間の血への渇望が芽生える。それは、魔物の血を飲みドラキュラに変身した身体。3日間人間の血を飲まなければ人間として、超人的な力が備わるというもの。

本作の主人公ヴラド・ドラキュラは、高い戦闘能力だけではなく、優れたリーダーシップと人望溢れる有能な指導者として描かれている。時には非情な判断も必要という、現代にも通じる理想的な指導者像は、カリスマ経営者と共通するところもあるようだ。
肉体を使った華麗なアクションもあると思えば、コウモリなど闇の使徒を自在に操り、オスマン帝国軍を蹴散らすドラキュラのパワーを視覚化するのが、時代の最先端をゆくCMディレクターから今作が長篇映画デビューとなる、監督のゲイリー・ショアの力によるもの。
特にコウモリの群れへ変身や自らも宙を飛び、闇夜も見渡す瞳を持つ。どんな傷を負っても一瞬で治癒できるのだ。だが、日光を浴びると皮膚がただれ崩壊してしまうし、銀にも弱く、銀で出来た刀では太刀打ちできないのだ。

残忍な皇帝、トルコ系君主メフメト2世には、ドミニク・クーパーが扮して、世界征服の野望を抱く無慈悲な皇帝を好演している。息子を人質にしてヴラドを呼び寄せ一騎打ちするも、天井から吊るした袋には銀貨がたくさん入っていて、銀の刀でその袋を破って雨のように降らせ、床には銀貨が敷き詰められており、ドラキュラとしての力が出し切れない。あわやという寸前に吸血鬼として本領発揮という、メフメトの首を噛み切り生き血を吸うのはお見事と言いたい。
ですが、生き血を吸いたくて3日間も我慢ができずにいたヴラドは、妻のミレナを救いきれなくて、崖下へ転落したミレナが亡くなる寸前に、彼女は自分の首を差し出し生き血を吸いなさいとヴラドに言うのですね。これで、ヴンパイアとして生きていくしかありません。

それでも、ヴラドが何万もの敵の大軍を相手に繰り広げるアクションの数々は爽快そのもの。それに、華麗な竜の甲冑に身を包んだドラキュラの肉弾バトルも見ものですぞ!巨万の軍勢がぶつかり合う最新のVFXならではの、派手なアクションが満載で圧倒されます。
ルーク・エヴァンスが闇の力に蝕まれながらも、強大な敵に立ち向かう哀しみを潜めたダークヒーローを好演しているのも最高ですが、ちょいと見せる筋肉美に見惚れてしまいました。ラストがまた斬新で、現代に登場するヴラド・ドラキュラのスーツ姿もまた素敵ですね。これは続篇あるのかもしれませんね。
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フランシス・ハ ★★★

2014年10月30日 | アクション映画ーハ行
『イカとクジラ』などで知られるノア・バームバックが監督を務め、自身のホームグラウンドであるニューヨークを舞台にモノクロの映像で描く一風変わった人間ドラマ。不器用な主人公が、彼女を取り巻く個性的な友人たちを巻き込みながら自分探しをする日々を生き生きと映し出す。『ローマでアモーレ』などのグレタ・ガーウィグがヒロインを好演。時に失敗しながらも、軽やかかつ前向きに生きる主人公の姿が鮮烈に残る。
あらすじ:バレエカンパニーの研究生で27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、大学在籍時の親友ソフィー(ミッキー・サムナー)とニューヨークのブルックリンで共同生活をしていた。ある日、彼女は恋人に一緒に暮らそうと誘われるが断り、その後別れることに。ところがソフィーがアパートの契約更新を行わず、引っ越しすると言ったことで……。

<感想>最近モノクロ映画が多い。安上がりだからだろう。内容は、ニューヨークに暮らすフランシスとソフィーの女同士の友情と恋愛の物語り。シナリオは監督とプライベートでもパートナー同士のグレタ・ガーウィグ。
テンポがいいし、頭がいい。それにハートがいい、愛おしい。アメリカ・インディーズ映画の底力爆発である。ふと、各国でインディーズ映画界は、ミューズを中心に回るなぁと、グレタ・ガーウィグを見ながら、香港を、フィリピンを、マレーシアを、インドネシアを想う。

主人公のフランシスを演じるグレタ・ガーウィグの、なんてブリリアントなんだと!・・・ボウイの「モダン・ラブ」とともにブルックリンを駆け抜けるフランシスの冒険、86分すべてが可笑しくてチャーミングで愛おしく感じる。

ボウイの曲が光り、数々の「ボウイの音楽素敵映画」を脳内再生するのだ。そして、ジョルジュ・ドリューの「突然炎のごとく」のトリュフォーとのタッグ。ゴダールやベルトルッチ、他多くの監督の名作とのタッグ。それら二十世紀の数々の映画のどれとも違う躍動。その場でとっさに働く知恵とニュアンスに富んだ会話の数々は、英会話の教材にしたいくらいだ。
都会美は哀愁だということが実感できて、映画を見た後、いろいろ語り合える作品です。ウディ・アレン「マンハッタン」や、ジム・ジャームッシュ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の系譜に連なるものだが、彼らの映画ほど笑えないのは、不況時代の若者たちだからだろう。

ソフィーが東京はつまらないと言うが、結局は恋人の仕事の都合で東京へと行ってしまう。ですが、ニューヨークは金のことばかり気にしないと生きていけない街なのだ。日常でも、フランシスのクリスマスのダンスの出演交渉が立ち話で契約されたまま解除されたり、契約書もサインなしに。ルームシェアのアパートの家賃もなりゆき任せ。
フランシスも挫折の連続で切ないが、それでも短期間とはいえ、憧れのパリには行ってみるという根性を示す。でも、クレジットの支払いが大変だぁね。

フランシスの愛らしさや、謙虚でゆるい生活感覚や友情、恋愛感覚。バレエカンパニーのオーナーに、ダンサーとして将来性がないと言われ、事務職なら空きがあるから働かないといわれる。しかし、まだ自分はダンサーとしてやれると信じている。しばし悲惨で不幸なのだが切実さはないかのごとき。
フランシスとソフィー、恋人でもなくただの友人でもない二人の関係性の豊かさに、もっと驚いていいだろう。結末の一場面で彼女たちが、視線を交換する喜ばしい時間に、ずっと浸っていたい気分になる。こんなふうに親友と呼べる友達が一人ぐらいは絶対に欲しい。だからなのか、絶妙に女心をくすぐり、観客を予想外の世界へと連れていってくれる。
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コラテラル ★★★

2014年10月29日 | DVD作品ーか行
冷徹なプロの殺し屋と、彼に巻き込まれたタクシー運転手が共に過ごす一夜を描いたサスペンス・アクション。監督・製作は「アリ」のマイケル・マン。脚本はオーストラリア映画『ジョーイ』(未)のスチュアート・ビーティー。撮影は「イン・ザ・カット」のディオン・ビーブと、「ソードフィッシュ」のポール・キャメロン。音楽は「ヴィレッジ」のジェームズ・ニュートン・ハワード。出演は「ラスト サムライ」のトム・クルーズ、「アリ」のジェイミー・フォックス、「アリ」や「マトリックス」シリーズのジェイダ・ピンケット=スミス、「イン・ザ・カット」のマーク・ラファロほか。
あらすじ:マックス(ジェイミー・フォックス)は、ロサンゼルスのタクシー運転手として、ごく平凡な日々を送ってきた。だが今夜、アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)という女性検事を客に乗せ、心のふれあいを感じたところから、彼の運命は変化し始める。

次にマックスのタクシーを拾ったのは、ヴィンセント(トム・クルーズ)というプロの殺し屋。彼は麻薬取引に関わる組織からの依頼で、今夜5人の証人を殺害する任務を授かっていた。ヴィンセントに脅されて、一晩のドライバー役となるマックス。やがて麻薬捜査官のファニング(マーク・ラファロ)が捜査に動き出す。
ヴィンセントは計画を一つずつ冷徹に完了させていくが、マックスは次第に、彼に抵抗を示す勇気を手にしていく。ヴィンセントの大事な殺人の指令書を、ハイウェイに投げ捨てるマックス。あわてるヴィンセントだったが、マックスをコントロールし、再び殺害者のデータを手に入れる。
そしてとあるクラブ内で、ファニングはあと一歩のところまでヴィンセントを追い詰めるが、結局彼の銃の犠牲になってしまった。いよいよ最後の標的のもとへ向かうヴィンセント。それはあの女性検事アニーだった。マックスは携帯電話でアニーに危険を知らせ、2人でヴィンセントから逃げる。まもなく電車の中で撃ち合いとなるが、マックスの銃弾がヴィンセントの体を撃ち抜く。そしてヴィンセントは席に座って、静かに息絶えるのだった。(作品資料より)

<感想>トム・クルーズが銀髪の悪役に挑んだ話題作。善良だが現実逃避癖のあるタクシードライバーのマックスと、現実的で冷血で、頭の切れる殺し屋のヴィンセント。2種類の男が出会い、反目する。
だが、たとえそれが短時間でも、2人は行動を共にすることによって、少しずつ互いを理解してしまう。事件は次々に起き、誰にもそれを止めることはできない。
しかし、それまで自ら行動を起こしてはこなかった、平凡で善良な男が動き始める時、覆いかぶさっていた現実は、とうとう変わるのだ。

男同士の、憎悪とも連帯ともとれる2人の微妙な空気感を、ロサンゼルスの夜の、冷たい光に漂わせる映像。単純な物語だけに人物造形がすべてのカギを握るが、マックスに扮したジェイミー・フォックスの熱演は、素晴らしいの一言につきる。
マックスの体のなかに眠っている善なる感情が、次第に目覚めていき、ついに行動を起こすまでの彼の変化を、ジェイミーは観客に見える形にしていく様がいい。前半の、自信なさそうなマックスの目が、徐々に怒りに満ちて来る様。ジェイミーの化け方には、想像力を掻き立てる細やかさがあるのが印象的。

だが、本作のウリの一つとなったトム・クルーズの悪役への初挑戦は、成功しているとは言い難いですね。髪の毛を銀髪に染めたり、スーツに身を包んだ殺し屋姿は、薄墨のような色合いの夜の街に映えていいのだが、ネオンの明かりが彼の上に悲しげによぎる瞬間には、さすがに色気が漂う。だからなのか、どうしても冷徹さが足りないのだ。
2人の男には、孤独であることと、生きている世界が厭になっているという共通点がある。
マックスにはその匂いが本当らしく立ちのぼるのに、ヴィンセントのそれは、どういうわけか実感できないし感じられない。
頭で考えると面白いのに、何故かスリルを体感できないのが微妙。トム・クルーズ一人のせいではあるまいが、彼の演技のリアリティに疑問を感じてしまうのが惜しいですよね。
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キリング・フィールズ 失踪地帯 ★★★

2014年10月29日 | DVD作品ーか行
テキサスに実在する最も危険な失踪地帯を描く本格派クライム・サスペンス。「キック・アス」の強烈なキャラクターから「モールス」の狂気をはらんだ少女役まで、多彩な表情を魅せるクロエ・グレース・モレッツと、「アバター」「タイタンの戦い」など活躍の続くサム・ワーシントンの主演。監督は「ヒート」「インサイダー」「コラテラル」のマイケル・マン監督の実の娘でもある女性監督のアミ・カナーン・マン。
あらすじ:有能だった亡き父と同じ殺人課の刑事として日々捜査に明け暮れるマイクは 血の気が多く、周囲とトラブルを起こしてばかり。ニューヨークから転属してきたブライアンは、 そんなマイクの頼れる相棒であり、よき理解者だった。 二人は住宅街で起きた少女の殺人事件を捜査中だったが、手がかりすらつかめていなかった。 しかし新たに少女が犠牲になる事件が次々に発生する。地道な捜査を続け、有力な容疑者が浮かび上がった矢先、ブライアンが気にかけ面倒を見ていた心に傷を持つ少女、 リトル・アンが失踪してしまう。

<感想>『インサイダー』や『ヒート』など、骨太の傑作で知られるマイケル・マン監督が制作、実娘のアミ・カナーン・マンが監督を務めた本格サスペンス。この映画も実在するテキサス州テキサスシティの犯罪多発危険地帯を舞台にしている。
この作品で注目されるのは、サム・ワーシントンが刑事役に、そして人気絶頂の若手女優クロエ・グレース・モレッツが出演しているというメリットだ。撮影時13歳のクロエちゃんのビビッドな肉体美、特に車の助手席で組まれ投げ出された太腿がまぶしいのだが、まだまだ幼さが残っている。
ですが、よくよく見て見れば、サム・ワーシントン刑事は主人公ではなく事件の解決に奮闘する熱血刑事というわけでもない。あんなにいろんな映画に出演して主役を演じていたのに、最近はとんとご無沙汰である。

この作品の主人公はNYから転属してきた殺人課の刑事ブライアンで、ジェフリー・ディーン・モーガンが渋い演技で頑張っている。
キリング・フィールドと呼ばれる湿地地帯、そこで少女の死体があがる。事件を担当しているマイクとブライアン刑事。気にかけている少女アンの家庭では、母親が売春行為で生活費を稼いでいる。だからいつも男の出入りが激しく、娘のアンは家の中には入れない。アンの母親も親として情けない生活をしているのを自覚してないところが哀しい。
少女にしてみれば、母親の男客が来れば家の外でぼんやりしているか、とぼとぼ歩いて街まで行くか、その途中で若者がアンに誘いをかける。どうみても環境がいいとは思えないし、警察だって私生活までは介入できないのだ。

そんなある日、アンの姿が見えなくなる。もしかして町の刺青男たちかとか、アンの兄貴も疑っているが、証拠が掴めないので逮捕できない。老刑事のブライアンがもしかしてキリング・フィールドにアンの死体があるのでは、と勘繰る。それがドンぴしゃで、アンは両手両足を縛られて、湿地帯に転がっていたが死んではいない。ところが、まだ犯人はそこにいたのだ。犯人に撃たれるブライアン。
やっとマイクが助けに湿地帯を捜索して見つける。犯人は意外な人物というより、手近なところにいた、アンの兄とその友達だったのだ。やはり捜査の基本は、足で何軒も聞き込み調査をして、その努力が報われるのですね。

何かしら、うす気味悪い土地で仕方なく暮らしている女たち。もっと自分たちの生活を立て直すとか、働く場所とかないのか?・・・こんな場所にいつまでも住んでいては、娘も母親と同じ運命を辿るだろうに。サスペンス・ミステリーというより、この実在の土地柄の事情が何とも嫌な雰囲気で、女子供が犠牲になるのはいた仕方ないという。警察のゆるい捜査ではどうにもならず、見ていてイライラ感が拭えない。
へい、乗っていかない? 道を尋ねてきた、見るからに危険なタトゥー野郎が車から声をかける。逆方向にも関わらず、だ。この時のアン(クロエ・モレッツ)の中指の立て方に惚れ惚れだ。最初から彼女は車にも男にもシカト状態だが、この男の誘いに歩きながら横向きに中指を立てサクッと流す。これをアップでフォローしたキャメラもすばやい。
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小野寺の弟・小野寺の姉 ★★★.5

2014年10月28日 | あ行の映画
テレビドラマ「実験刑事トトリ」シリーズや『アフロ田中』などに携った脚本家・西田征史が、初監督に挑んで放つコメディードラマ。一軒家に暮らす恋愛に消極的な弟とパワフルな姉が、誤って配達された手紙をめぐってそれぞれの恋と人生が懸かった騒動を巻き起こしていく。2013年に上演された舞台版でも主演を務めた、数々の出演作を誇る片桐はいりとテレビドラマ「S -最後の警官-」などの向井理が主人公の姉弟を快演。彼らの息の合った姉弟ぶりもさることながら、涙と笑いが絶妙に配分された人情味満点の物語も見どころ。
あらすじ:両親を早くに亡くしてから、離れることなく2人で一つ屋根の下で暮らしている、40歳のより子(片桐はいり)と33歳の進(向井理)の小野寺姉弟。過去の失恋がトラウマとなって恋愛に臆病になってしまった進、こだわりが人一倍ある上に生命力が異常に強いより子と、クセのある姉弟だったがほどよい距離を保ちながら共同生活を送っていた。そんな中、彼らのもとに一通の郵便が誤配達されてくる。その手紙をきっかけに、姉弟の恋と人生が思わぬ方向へと転がりだしていく。

<感想>実写版「怪物くん」の脚本家である西田征史が、監督に初挑戦したコメディドラマ。不器用な姉弟の暮らしを温かな視点でつづり、舞台化もされた自身の小説を映画化したもの。舞台版に続いての姉弟となる向井理と片桐はいりが、息の合った演技を見せています。
幼い頃に両親を亡くし、姉のより子が弟の面倒を見ながら、姉弟が仲良く暮らしている微笑ましいコメディふうの物語。とにかく姉の片桐はいりさんのインパクトが強すぎて、数十年オカッパ頭を貫き、風水にこだわり気の強いより子さん。四角い顔だけじゃなくて、仕草とか笑える部分が多すぎて、始終ニコニコしながら画面を見ていました。

姉も結婚を諦めたわけではないのですが、弟を自転車の後ろへ乗せていたところ、弟がふざけて姉の目をふさいだところ、自転車が激突して姉の前歯が折れてしまった。どうみてもブサイクな顔の姉、引け目を感じているのだと思っていたら、天真爛漫の陽気な性格だった。
いつでもどこからみても仲がよさそうだが、“姉と弟”という互いのポジションを意識して、気を使っている印象もそこはかとなく漂っているのだ。安定しているようで、実はちょっとタイトロープのような距離感。二人の関係は、郵便受けに入っていた1通の誤配達の手紙をキッカケにゆっくりと変化していくのです。

でも、二人は姉弟であると同時に、どこか母と息子のような関係でもあって。そんなことからも、より互いを気遣い思いやりつつ、時に不器用な行動を取ってしまうのが、この二人なのです。

どういうわけか、町内の眼鏡屋さんへ勤めているより子さんにも春が訪れたと思っていたら、ななんと、業者のイケメン浅野(及川光博)さんがより子さんに近づいてくる。ひょうきんなところが二人とも息が合っていて、とても仲が好さそうだったのにね。まさか、お向かいの洋品店の若い女性にお熱だったとは、より子さんが勘違いをしてしまって、可愛そうにまた失恋してしまった。

弟はと、以前に恋をした彼女(麻生久美子)とは、姉のことで問題になり「私を取るの、お姉さんが大事なの」なんて言われて、別れてしまった苦い経験がある。ところが、調香師をしている進くん、上司の大森南朋のむちゃぶりで、「ありがとうの香り」を依頼されて困っている。公園の生垣をくんくん匂いを嗅いでいると、美人の山本美月が犬を連れて散歩に来ていて、なんかいい感じになっていく二人。山本美月演じる女性は、あの郵便ぶつ誤配達で届けにいった人で、絵本の押し絵を描いている。弟の恋も、相手に伝えるタイミングが遅れてしまい、彼女は外国へ押し絵の勉強に行くことを決意する。

この二人の姉弟の空気とはどんなものを指すのだろう。互いに恋人の気配もない、三十路を過ぎた中年の姉弟が、生まれ育った実家を出ないまま二人で暮らしている。
端からみれば少々気の毒なようにもうつるこの関係はしかし、本人たちからすれば子供のころからの延長線上であり、互いにいて当然の存在なのだ。だが、そんな中にもそこはかと漂う“近しい間柄だこその微妙なあれこれ”。
きょうだいの空気とは、そういう言葉にしがたき繊細なものの混在を指すのであり、それを漂わせているのがこの映画だと思うのですね。

姉は姉の、弟は弟の人生を歩んではいるのですが、心の底では「相手よりも先に幸せを掴んではいけない」という負い目を感じており、優しさが空回りしてついつい事態がややこしくしてしまうのです。
その関係性と、微妙な押し引きによる距離感のドラマが、本作の魅力なんですね。そう、“ありがとうの香り“とは、有難い匂い、朝ご飯の炊きたての匂いとか、テーブルに飾ってある薔薇や百合の花の香りとか、玄関を入った時の我が家の匂いとか、人によっては違うんと思うんですね。だから、その香りを作るというのは難しいのかもしれませんね。ちなみに、私の”ありがとうの香り”は、娘がお風呂掃除をしてくれ、必ず毎日違うバスクリーンを入れてくれるので、お風呂に入ると本当に素直に”ありがとう”といいたくなる匂いです。
弟の進くんが、家のタタミの下に1000札を並べて貯金している。そのお札を姉の誕生日プレゼントにと、好きな物でも買ってと、タタミの匂いがする1000札の匂いも、姉にしてみれば“ありがとうの匂い”なのかもしれませんね。
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ヘラクレス ★★★★

2014年10月27日 | アクション映画ーハ行
ギリシャ神話に登場する半神ヘラクレスを主人公にしたアクションアドベンチャー。全能神ゼウスと人間の間に生まれたヘラクレスが、さまざまな戦いを経て英雄へとなる姿を追う。監督は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』などのブレット・ラトナー。『オーバードライヴ』などのドゥエイン・ジョンソンが主演を務め、その脇を『スノーピアサー』などのジョン・ハート、『恋におちたシェイクスピア』などのジョセフ・ファインズら実力派が固める。次々と現れるクリーチャーや、それらを倒すドゥエインの肉体美に圧倒される。

<感想>ギリシャ神話の英雄として知られるヘラクレスを、題材に、地上最強と謳われた彼が仲間に支えられながら、真の英雄になるまでを描いたアクション・スペクタル。ザ・ロック様ことドゥエイン・ジョンソンが、「ワイルド・スピード」シリーズをはじめ、数々の作品でアクションスターの地位を確固たるものとしている彼。最初に彼を見た映画は「スコーピオン・キング」でサソリに変身する悪役だった。

レスラー時代に鍛えた肉体を維持しているジョンソン。このマッチョボディがアクション映画では大きくモノを言うのだ。
今回のヘラクレスを演じる彼の屈強な肉体は、ジムで鍛えたくらいの俳優では太刀打ちできない迫力である。肉弾戦の重量感に、さらに鍛え上げて主演に挑んだジョンソンの、岩のような身体があってこそリアリティがあるもの。

最高峰ゼウスと人間の母親との間に生まれたヘラクレス。神話では、ゼウスの妻の女神ヘラによって狂わされたヘラクレスが、幼い息子を殺し、妻は自殺。その罪を償うために12の難業を行ったとされる。本作では、何者かに襲われたヘラクレスが気が付くと、妻子が死んでいたという設定。

それから、ヘラクレスは底なし沼のヒュドラや巨大な獅子を倒し、黄金の角を持つ雌鹿や獰猛な大イノシシを生け捕りにするなど、12の難業を成し遂げたとギリシャ神話で語られている。本作では、それが事実か否はは明らかにされず、あくまで伝説として甥のイオラオス(リース・リッチー)の口から語られるのだ。

かつてのアテネ王に仕えていたヘラクレスは、妻と子の悲惨な死を機に傭兵となり、今は金の為に仲間と戦地を転々としていた。そんな彼に、トラキアの国王が、反乱軍との内戦を収束させる仕事を依頼する。ザ・ロック様に服従を誓う傭兵たち。ナイフ投げの達人、獣に育てられたハードコア戦士のテュデウス(アクセル・ヘニー)言葉は話せないが心根は優しい戦士。

凄腕の女の名手アタランテ(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)彼女の弓は天下一品で、こんな美女が一人戦士の中にいるなんて驚く。預言者で槍の使い手のアムビアラオス(イアン・マクシェーン)、自分の死期の預言は当たらないが、予知能力がある。そして戦略家でヘラクレスの右腕のアウトリュコス(ルーファス・シーウェル)。

トラキア国王の王女ユージニアが迎えに来て、邪悪な戦士レーソスが率いる反乱軍から自国を救って欲しいと頼まれる。美人には弱いので、なんかその気になるヘラクレス。金も体重分支払うというし。

やっぱ、見どころは未熟なトラキア軍を率いて進軍を開始するも、相手は半身半馬のケンタロウスに率いられている反乱軍。妖術で人の心も操るというレーソスとの度重なる戦いで兵力を失うトラキア軍。ヘラクレスは、残っていた農民たちを鍛えて、敵を迎え撃つのだが、奇襲に遭い王の命も危ぶまれるほどの危機に。ヘラクレスの仲間たちの反撃で何とか敵を追い返せたものの、トラキア軍の兵力は半減していた。

苦戦を反省したヘラクレスが、トラキアの王コテュス、ジョン・ハートが演じているが、中々したたかな爺さん。農民兵の多いトラキア軍を根本から鍛え直すのだが、厳しい訓練にくじけそうになる兵士たち。だが、そこで甥のイオラオスが、ヘラクレスがいかに強いかを弁舌され奮起するのだ。ですが、どこから立派な刀を通さぬ鎧や盾を新調したのか、理解に苦しむがそれで自分の身を守るのなら仕方ないか。

生まれ変わったトラキア軍は、再戦に向けて進軍を開始。ですが、反乱軍はトラキア軍の3倍の軍勢で勝ち目はないのだ。ですが、そんなことではひるまないヘラクレスが、反乱軍の先鋒をパンチ一発でブッ飛ばすや、彼は武器と言えば棍棒一つですから。俺様につづけと仲間たちの活躍も見事で、それにトラキア兵たちの陣形を崩さない鉄壁のような盾軍たちの守りによって、反乱軍をついに打ち負かす。いや、驚いたのは山の上にケンタロウスがたくさん見えたのだが、それはただの騎馬兵たちだったのだ。

ですが、勝利の宴会の席で、ヘラクレスは何か腑に落ちない様子。やがて、暴君コテュス王の策略が明るみになり、騙されたことに気付く。そこには、アテネの王がいて、実はヘラクレスが妻子を殺したと言われていたのが、ワナに嵌められたということ。
仲間は俺らは金を貰って雇われた傭兵たち、金さえ払ってもらえばここを去ろうと言う。だが、ヘラクレスは、貧乏な農民たちの生活や、蔑まれる人たちのことを思うと怒りが収まらない。王宮へと乗り込むも、自分が鍛えた兵士に捕えられて牢獄へ入れられてしまう。

そこで発揮する神の子ヘラクレスが、火事場の馬鹿力みたいに、繋がれた鎖も引きちぎるなど、その鋼鉄のような肉体から繰り出す豪快なアクションは圧巻です。階段の火油を倒し、宮殿にそびえる女神ヘラ像を慢心の力で倒す。これは、いくらCGでもドゥエイン・ジョンソンの、桁違いのパワフルさを感じさせる肉体美があってこそのヘラクレスなのですね。
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イコライザー ★★★.5

2014年10月26日 | アクション映画ーア行
どんな裏仕事も19秒で完遂する元CIA工作員にデンゼル・ワシントン、娼婦(しょうふ)の少女にクロエ・グレース・モレッツがふんしたアクション。ホームセンターの従業員として働く元工作員が10代の娼婦(しょうふ)と出会ったことをきっかけに、警察が関われない不正を始末する仕事請負人となる姿を追う。監督は、『トレーニング デイ』、『エンド・オブ・ホワイトハウス』などのアントワーン・フークア。演技派デンゼルのクールなアクションと、クロエの娼婦(しょうふ)役への挑戦が見どころ。
あらすじ:ホームセンターに勤務するマッコール(デンゼル・ワシントン)は、かつてCIAで名をなせた工作員であったが引退し、ひっそりと生活していた。深夜のカフェで知り合った、少女の娼婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)が、ロシアンマフィアにひどい扱いを受けているのを知ったことから、マッコールは自分にしかできない仕事をすることを決意。それは、警察が手出しできない不正を瞬く間に解決へと導くことだった。
以来、正義感に目覚めたマッコールは、善良な市民を標的にした悪党を完全に抹消する“仕事人”として暗躍するようになる。
だが、彼の完璧な仕事ぶりに目をとめたロシアン・マフィアの刺客がマッコールに襲い掛かってくる。

<感想>原案が1980年代に人気を博し、日本でも深夜帯に放送されたTVシリーズ「ザ・シークレット・ハンター」。昼と夜の顔を持つ元CIAの男が警察が介入できない悪事を解決するという。均衡をもたらす者“イコライザー”として、弱者を虐げる悪を容赦なく抹殺する元CIA工作員の活躍を描いている。
注:イコライザーとは、一般的には音質を平均化させる音響機器を指すことが多く、本来の意味は“均一化(イコライズ)させるもの”。ですが、本作の場合は、はびこる悪を抹消して、社会を平穏化し、人々を安心させる人物、という意味で使われているそうです。

いつものデンゼルとは違って、ギラツカせる眼光にこれはヤバイものを見たと思った。御年59歳になるというのに、俊敏な身体能力を駆使して、相手の急所を狙う肉弾戦から、銃など武器の巧みな使い方まで、ハードなアクションの殆どを自らこなしたそうです。もうすぐ還暦とは思えない肉体のキレに驚くばかりですよね。
主人公のマッコールは、昼間はホームセンターで真面目に働き、夜は眠れないのか基本的には、近所のカフェで読書する地味な印象の男である。しかし、警察の手も及ばない悪の存在を知れば、そいつらを始末する孤高の“仕事人”に変貌する。お金は取らない無料報酬だ。
イコライザーのここが凄い!・・・瞬時に状況を判断して、相手の動きを先回りして予測する。だから、最適な対抗策を一瞬のうちに考え行動に移す。相手が複数でも、あらゆるパターンをシミレーションして何でも武器にしてしまう。それに、切り傷なんかは、蜂蜜を沸かして塗ってしまえば直ぐに治る。これって本当なのかなぁ~、試してみようっと。

だから、敢えて銃やナイフなどの武器をいっさい携帯していない。戦いの場では、敵の所持品や、周囲にある日用品を利用して戦う。これは証拠を残さないため。場合によってはグラス、灰皿、花瓶、フォーク、カナヅチやハンマー、ワインの栓抜き、電気ドリルにバーナーなどの職場の商品を利用する。ここでも、よく使われる電子レンジにスプレー缶を入れて爆発させるのもお手の物。

刃向うものには容赦しないが、無抵抗の者にはチャンスを与えるのが、マッコール流なのだ。ショ場代をせしめている悪徳刑事には、返金を迫り、それが実行されれば見逃すことも。“正しいことをしろ”が仕事上の信念なのだ。
ロシアン・マフィアのアジトでは、複数のギャングに囲まれるが、慌てず騒がず状況を把握し、腕時計のストップウォッチを“オン”にして、俊敏に立ち回り敵を全滅させるまでの所要時間は、わずか19秒という、まさに必殺!!

それに、「キック・アス」の美少女、クロエ・グレース・モレッツが、マッコールの眠れる正義感を呼び覚ますきっかけとなる。ロシアから歌手を夢見て渡米して来た。ところが、ロシアン・マフィアに拘束され、売春婦として働いている。ここでは娼婦役を演じているクロエちゃん。撮影当時は16歳だったそうで、肌を露出させ、あどけない顔立ちに濃いメイクを施した痛々しい姿に、どんな役にもチャレンジ精神が見えて応援したくなります。

ロシアン・マフィアのアジトである高級クラブに、乗り込んだマッコールが彼らを一瞬のうちに叩きのめす。その事実を知ったロシアン・マフィアの元締めは、かつてない敵がいると警戒し、ロシアから手下を派遣する。その中に、残忍かつ冷酷な元KGBのテディがいた。

娼婦の女を虐めて、マッコールの存在に気付いたテディが、あらゆる手段を用いて徐々に追い詰めて来る。ホームセンターでの戦いは、マッコールにとっては好都合の場所。自分の庭みたいな、その辺にある道具を使ってのアクションは、ジャッキーやジェイソン・ステイサムのようなキレのあるアクションで満足しました。
ですが、巧みにかわすマッコールの腕に、テディは本性を表して襲い掛かる。しかし、ホームグランドなので、テディを仕留めるには大丈夫でした。彼らがタンクローリーで石油を売買していると聞き、そのタンクローリーを次々と爆破させる凄まじさ。
それから、ロシアへ向かい、元締めの爺さんの屋敷へと侵入する。

相手もびっくりですよね。まさかここまで来るとは思ってもみなかったのでは。だから、「金か、金ならいくらでも払ってやる」とほざく元締めに、平和のために死んでもらうとばかりに、シャワーを浴びていたところだったので、洗面所の水を出しっぱなしにして、感電死という必殺の仕方。
これまでにない、ハードアクションの数々に呆気にとられ、孤高の鮮やかなアクションに、観ているこちらはスクリーンに釘付け状態でした。たしか、「トレーニング デイ」で、悪徳警官役で反省の余地なしの悪に染まり過ぎで、オスカーを受賞しているデンゼル。一匹オオカミという設定も、強迫性障害という要素を加え、多面的なキャラを演じているのも頷けます。
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エリア0<ゼロ>★

2014年10月24日 | DVD作品ーあ行
宇宙人が人間を誘拐!狙われた一家の逃走劇
TVドラマ「X-ファイル」でも取り上げられた超常現象が題材のSFホラー。UFOのような怪光の目撃情報が実際に相次ぐ、アメリカ・ノースカロライナ州、ブラウン山。 エリア51より前に“彼ら"が降り立った場所があった――。
その山にキャンプに訪れて怪光を目撃した一家が、翌日、宇宙人による誘拐の危機にさらされる。自閉症の次男が回すビデオカメラで撮影されたという「フェイクドキュメンタリー」の手法をとることにより、リアリティを演出している。臨場感に満ちた映像が、恐怖を極限にまで盛り上げる。
監督:マッティ・ベッカーマン 『エクスペリメント』 脚本:ロバート・ルイス
出演:キャサリン・ジギスムント 『クローザー』、コーリー・アイド 「CSI:マイアミ9」
<感想>山に気楽に家族でキャンプに出掛けたはいいが、夜のテントが明るく照らされ、外へ出てみるとUFOのような3つの閃光が見える。その時は、のんきに騒いでいたが、車のカ―ナビの指示に従って山の中を進むのだが、どうやら道に迷ってしまったようだ。一家は霧深い山奥に迷い込んでしまう。ガソリンは無くなり、携帯電話は繋らなくなり、死んだカラスが空から大量に落下してくる怪奇現象が恐ろしい。これから起きる惨劇の不吉な前兆なのか?・・。
トンネルがあり、中へ進むと車がたくさん乗り捨てられている。みんなは、車から降りて叫ぶのだが、奇怪な鳴き声のような音がして、そこへ現れるエイリアン、クリーチャーだ。嘘だろう!もろ、着ぐるみ着ているような宇宙人。

父親はエイリアンの目を見ただけで発狂し、それは人間が太刀打ちできる相手ではなかったのだ。闇夜の中で不気味な音と怪光を発しながら、逃げ惑う一家を超人的な力で追い詰めていく。
もう、悲鳴のような声と不鮮明な画像から始まって、突如、高い所からカメラが落下してレンズにヒビが入る。何やら、以前見た「スカイラインー征服―」とか「UFO侵略」に似ているような。それでも父親をのぞく母親と、娘と長男にカメラを映している自閉症の息子は、山林のなかを逃げ惑い一軒の山小屋へ辿り着きます。
そこの住人は猟師のようで、猟銃で出迎え中へ入れてくれる。だが、そこも安全ではなかった。夜になると現れる閃光とともに、奇怪な鳴き声と姿は見えないが、人間を襲って喰ってしまうのか。トンネルの中の車の人たちの姿は無かった。
そのエイリアンには、猟銃で撃ってもどうってことない死なないのだ。しかし、森の小屋の男は、エイリアンをⅠ匹退治したと言ってたのだが、夜の森の中を逃げ惑う家族たち、兄が猟銃を撃つと空へと吸い込まれるように消える。母親もそうだ。姉とカメラを持っている自閉症の息子ラリーが、夜の森を徘徊してやっと町の見える高台まで辿り着く。
そして山道を降りて道路へと出ると、パトカーが来て助かったと思ったら、そこへまたもやエイリアンが襲ってきて警官が消えてしまう。そして、姉もカメラを持ったラリーも宇宙船らしき上空へと吸い込まれていく。宇宙船らしき映像が暗くてよく見えないが、カメラだけ排出ダッシュボードから地面目がけて落ちる映像で終わる。
これは、米国空軍にあるカメラの映像だというが、どうも胡散臭い感じがしないでもない。有名な実話だというが、エンドロールには実際にアブダクションを経験した人々のインタビューも含まれている。そして、驚くことには、父親が裸で発見されたのだ。ブラウン山の怪光はあらゆる政府機関が調査してきたが、いまだ謎のままである。
確かに、世界中でUFOが目撃されている。ですから、地球上に降りてきたエイリアンの恐怖というか、人間では太刀打ちできない威力というか、映画の創造力だけでは解明できない何かが恐怖を感じる。ですが、物足りなさが残ってイマイチです。
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トカレフ ★★

2014年10月24日 | DVD作品ーた行
『ゴーストライダー』シリーズなどのニコラス・ケイジ主演によるアクションサスペンス。愛する娘を殺された元ギャングの男が、その犯人を探し出すと同時に事件に関わったロシアマフィアに復讐(ふくしゅう)を果たしていく。メガホンを取るのは、『恋するリストランテ』などの脚本を担当してきたパコ・カベサス。ポールの妻役に「G.I.ジョー」のレイチェル・ニコルズ。『リーサル・ウェポン』シリーズなどのダニー・グローヴァー、ギャングのボス役に『ファーゴ』などのピーター・ストーメアら、実力派が脇を固める。娘を失った主人公の悲しみを体現するニコラスの力演に加え、体を張った見せ場の数々も必見。
あらすじ:元ギャングであった過去を精算し、妻ヴァネッサ(レイチェル・ニコルズ)と娘ケイトリン(オーブリー・ピープルズ)と平穏な日々を過ごしていたポール(ニコラス・ケイジ)。だが、何者かによって拳銃トカレフから放たれた銃弾によりケイトリンが命を落としてしまう。激しい怒りと深い悲しみを抱えることになったポールは復讐(ふくしゅう)を決意、かつての仲間たちを集めて犯人探しに奔走する。やがて、ロシアマフィアの関与が明らかになり、ポールたちは真っ向から勝負を挑む。しかし、娘の死には思わぬ真実が隠されていた。

<感想>久しぶりのニコラス・ケイジ主演作品。楽しみにしてたのですが、これは地方では上映されなかった。で、内容は最近流行りの、娘が何者かに誘拐され、ロシア製のトカレフで殺害された。父親であるニコちゃんは、昔は強盗などして人殺しまでしていたギャングの仲間だった。
現在は足を洗って堅気の実業家となっているのだが、愛する一人娘が殺され、娘を殺害した拳銃がロシア製のトカレフということで、犯人を捜すために元仲間のダニーとケインを集めて再び暴力の世界へと身を投じるのだった。

刑事のダニー・グローヴァーは、俺たち警察に任せておけと言うのだが、怒り心頭のニコちゃんが自分の手で犯人を見つけると意気込む。

しかし、見るからに老け込んでしまったニコちゃんの姿。顔は美容整形しているし、頭はズラで身体こそ鍛えているかと思えば、シャワーシーンもあるので、ブヨブヨの上半身の後姿が映る。犯人を追いかけるドタドタした走りには、悲しいかな昔の颯爽としたアクション俳優だったニコちゃんではありません。

まぁ、それでも物語の展開は、もちろんロシアマフィアのところへ殴り込みをかけ、一網打尽にショットガンで殺し合い。怒ったロシアマフィアの親分は、今までそんなことが無かったのに、何故今頃になってと腑に落ちないのだ。

ロシアマフィアたちも黙ってはいない。大勢で友達のケインの店にやって来る。捕まったケインは、吊るされ拷問を受け殺されてしまう。その時に、ニコちゃんの娘が襲われてトカレフで殺されたと白状したことで、昔の事件、ロシアマフィアの仲間の兄貴分が射殺されて、それが実はニコちゃんが撃ったらしいのだ。そのことがバレて復讐とばかりにロシアマフィアたちが、最期にはニコちゃんたちを襲ってくるわけ。

ニコちゃんも、ケインが殺され、もう一人のダニーに連絡するも女と寝ていて、もしかしてこいつはヤツラとグルなのかと、殴る蹴るナイフで刺すといった具合でとうとう殺してしまう。
その前に、娘が殺された事件は、なんらロシアマフィアとは関係が無かったことが判明し、最初っから一緒に留守番をしていた娘の男友達2人をよく調べもしないでおいたこと。これが、こんな大事になるとは「身から出たサビ」ってことなの。

ニコが、ロシアマフィアたちに殺される前に、自分で娘の友達マイケルを問いただすと、両親が出かけた後に、2階の寝室へ入って拳銃(トカレフ)を見つけ、庭で遊んで、間違って娘を撃ってしまったと言うのだ。何でそんな大事なことを黙っておいたのか?・・・警察も男友達を尋問しなかったのか?・・・よくよく考えれば、ロシアマフィアの所まで喧嘩をしに行かなくても良かったのに。

この結末には、驚きよりも「ニコちゃん、あんたが一番悪いんじゃん」。起きるべくして起こったことで、自業自得とでもいうか、「家に拳銃置いておくなよ」アメリカの家には、必ずをいってくらいに拳銃を所持しているというからね。
こういうアクション映画は、最後には主人公が必ず勝つという幕引きですが、こういうのも有りですよね。
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グレート・ビューティー/追憶のローマ★★★.5

2014年10月23日 | か行の映画
『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』などのパオロ・ソレンティーノが、ローマを舞台に60代の作家の派手な生活と心の喪失を描くヒューマン・ドラマ。優雅な生活を満喫してきた主人公が、忘れられない女性が亡くなったことをきっかけに、ローマの街をさまよいながら人生について考える様子をつづる。主演は、『ゴモラ』『眠れる美女』などのトニ・セルヴィッロ。2013年から2014年にかけて賞レースを駆け巡り、第71回ゴールデン・グローブ賞では外国語映画賞を受賞した。
あらすじ:作家兼ジャーナリストのジェップ・ガンバルデッラ(トニ・セルヴィッロ)は、65歳ではあるが若さに満ちあふれ、発想力豊かで、派手な生活を楽しむ一方、セレブの集いに言いようのないむなしさ感じていた。ある日、ジェップのもとに初恋の女性が死んだという知らせが届く。ジェップは喪失感を抱えながら、どこか暗い雰囲気が漂うローマの街をふらふらと歩く。

<感想>今年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞に輝いた作品。毎日のように開かれるセレブとのパーティーに、虚しさを覚える初老のジャーナリストジェップが主人公で近年稀なゴージャスで豊潤な人生訓だった。
冒頭で、日本人のローマ観光客の薄っぺらな描写があったので、いかさま臭い映画だと思って観ていたが、なんとその観光客の一人のデブおじさんが、心筋梗塞かなんかで急に倒れて死んだらしいのだ。そのうち、フェリーニの「甘い生活」を射程にいれていることが分かり、興味がわいてくる。
主人公がダンディな初老の元作家で、今は有名人のインタビューをとって暮らしているのだが、毎夜のごとくパーティー三昧で時間をつぶしているところは、「甘い生活」のマストロヤンニの現代版のようだ。60歳を越せば感情移入ができるのだろうが、若い観客の反応はどうだろうか?・・・。

コロッセオを見下ろす丘に建つ、バルコニーつきペントハウスに住む独身貴族で、たった一冊書いた本の成功で著名人となり、財産もたっぷり手にしたような暮らしぶりだ。
しかし、二冊目の本は未だ書こうとはせず、セレブ階級とつるんで乱痴気パーティや、ゴージャスな食事会にサロンの会話を楽しんでいる。65歳の誕生日を迎えた熟年男だが、スレンダーな体つきと表情は、年相応の生活の垢を全く感じさせないのだ。

ファッションはすべて高級ブランド品で揃え、その着こなしがまたお見事というしかない。黄色や赤のジャケットをこれだけ品よく着こなせる男などそうはいない。かくもダンディな男を女たちは見逃すはずもなく、自由になる美女を何人も抱えて、お持ち帰りなんて当たり前。セックスライフも充実している羨ましい爺さん。しかし、一人の女にのめり込むこともなさそうで、何事にもクールそのものである。

仕事もせず、結婚もせず、人間関係も淡泊で、金銭欲も名誉欲もありそうには見えないジェップの生き方は、ギリシャ生まれの哲学者でローマ帝国時代にも大きく影響力を持ったエピクロスの唱える快楽主義を思わせる。
:エピクロスは快楽を二種類に分けている。一つは食欲や性欲のように欲しいものを手に入れられることで、得られる動的快楽。もう一つは、苦痛や不足がないという精神の充足感から得られる静的快楽ということ。
もちろんジェップがエピクロスの快楽主義を意識しているわけではないが、ローマ帝国の快楽主義というと、すぐに酒池肉林を思い浮かべてしまう。だから主人公のジェップの場合は、実に静かな快楽主義なので魅力を感じるのだ。
65歳の誕生日に、今までの独身生活を謳歌していた彼に立ちどませる瞬間がやってくる。そこに忍び込んでくる、若き日の甘酸っぱい恋の記憶。こういう俗っぽいエピソードを、映画のワサビとして効かせるところに、監督のしたたかさが感じられた。
中でも、野外劇場で壁に激突する全裸の女の前衛パフォーマンスに、豹柄の洋服を着たデブ中年女が、ナイフの的になる。これもパフォーマンスなのか。それに、イリュージョンのように、キリンを隠して見せるというマジッシャン。
迷宮のような元伯爵の宮殿の内装など、とうに没落したイタリア貴族と上流階級者たちは、フェリーニやヴィスコンティの映画で、最後の青い血をまっとうしたかに見えた。

何故、次回作を書かないのかと聞かれて、「大いなる美が見つからないから」と答えるジェップ。大いなる美などというものは観念上の幻想であって、そんなものはこの世に存在しないのだ。驚いたのが、老婆のシスターがそれを指摘する結末が面白いが、彼女は老いの醜さを露呈している。マザー・テレサでは決してないのだが、まるで奇跡を起こしたシスター、マザー・テレサのように見えた。大理石の階段を這いつくばって登る彼女は、神に向かって手を差し伸べてくれるよう願っているのだろうか。
若さはいつか過去のものとなり、生き続ければ老いと死が待ち受けている。だが、主人公のジェップは、「また小説を書く勇気が湧いてきた」などと胸をはるのだ。まこと、この男は現実的で理想的な快楽主義者であるようだ。
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近キョリ恋愛 ★★

2014年10月22日 | か行の映画
みきもと凜のベストセラー漫画を実写化し、『あしたのジョー 』などの山下智久が主人公を演じたラブストーリー。人並み外れた美しい容姿を誇るもののプライドも異常に高い男性教師と、彼のもとで英語を学ぶクールな天才女子高生が織り成す恋の行方を追い掛けていく。メガホンを取るのは、『君に届け』などの熊澤尚人。ヒロインを『渇き。』などの小松菜奈が快演し、その脇を水川あさみ、新井浩文ら実力派が固める。山下のツンデレぶりはもちろん、胸キュン全開な物語に心が奪われる。
あらすじ:苦手科目は英語のみで、それ以外はパーフェクトという天才でクールな女子高生・枢木ゆに(小松菜奈)。そんな彼女が通う学校に、あり得ないほどかっこよくてプライドの高い英語教師・櫻井ハルカ(山下智久)が赴任し、彼から特別補習を受けることになる。毒舌なハルカに振り回されながらも、今まで体験したことのない感情が沸き上がってくるゆに。それが恋だと知った彼女は、困惑しながらもハルカに思いを告白。やがて二人は、教師と生徒という関係にありながらも心の距離が縮まっていき……。

<感想>教師と生徒の恋を描いた、200万部を超える少女コミックの実写化です。原作が少女漫画ですから、あまり過激な評価はしたくありません。
まずは、史上最強の“ツンデレ”ラブストリーという、この場合は、「デレデレよりも大事なのは「ツンツン」だろう。
漫画の原作は知らないが、連載の長さからいうと「ツン」に、相当の手間暇かけたのではないかと思う。映画では、それだけに時間はあけられないから、その分、工夫する必要がある。その点では、生徒の小松菜奈は、役柄から他人を寄せ付けない雰囲気が出ていたが、先生の山下智久の方は、それが欠けていたように見えた。なんだか、最初っから、彼女に気があるように見えるのがダメだよね。

教師と生徒の恋。こういう物語はたくさんあると思う。二人とも真剣なのに、そこはかとなくマヌケな感じがあって悪くはないのだが。今時の女子が歓びそうな“壁ドン“や、教壇の下での初キスなんて、こういうのは絶対にあり得ないから。それに、禁じられている教師と生徒の恋なんてもね。教師失格だし、バレたら懲戒免職だろうに。

それが、たまたま、元恋人だった水川あさみが教師としてやってきて、二人の間を邪魔をする。櫻井ハルカに向かって、「私たちやり直さない」なんて女の武器で誘惑してくるのだ。フラれた水川先生は、女子高生のゆにの後見人の先生に話してしまう。それが学校中に広まってしまう。

だから、応援したくなる爽やかな作りになっていて感じはいいのですが、ただ、様々な手札がバラバラに提示されていて、感動を呼ぶには至らないのだ。
お馴染みの「緑色の光線」ネタもちょい芸がなかった。どうせなら二人の前に出現したっていいのに、とか思いませんか?・・・。
それと、最近の日本の映画は、虐めがあって当たり前、という描写が主流で気に入りません。教師たちも感情の交流がほとんどなくて、何だかつくづくつまらない環境になっている。

しかしですよ、山下智久ファンなら、胸キュンキュンさせるミッションには、ある程度成功していると思いますね。ですから、改めて少女漫画の実写化は難しいのだと認識しました。
どういう分けか、山下智久くんの写真がなかったので、「あしたのジョー」の写真載せておきました。やっぱりイケメンですよね、カッコ良すぎるって!、香水の銘柄なんだったのかなぁ?・・・。
あしたのジョー
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泣く男 ★★★

2014年10月21日 | アクション映画ーナ行
『アジョシ』などのイ・ジョンボム監督が、『ブラザーフッド』などの韓国を代表するスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えた衝撃のアクションドラマ。クールな殺し屋が少女の命を奪ったことをきっかけに、次第に人間的な感情に目覚めていく悲痛な葛藤を本格的アクションと共に描き切る。『恋愛の温度』などのキム・ミニが、殺された少女の母親を熱演。孤独な主人公が贖罪(しょくざい)のために選んだ壮絶な死闘はもとより、彼の揺れ動く感情が胸を締め付ける。
あらすじ:悲しい過去を持つゴン(チャン・ドンゴン)は、中国系マフィアの殺し屋として暗躍していた。すご腕のプロとして名をはせた彼だったが、ある晩、任務遂行中に無関係の幼い少女ユミ(カン・ジウ)の命を奪うという大きなミスを犯す。彼は取り返しのつかないことをしたと行方をくらますが……。

<感想>チャン・ドンゴン主演の、超ハードボイルドサスペンスだと言うので観賞した。いや、あんまりにも「アジョシ」のイメージが頭にチラついていたので、一目観た時に違う人かと勘違いかなぁ、なんて思ってしまいました。

上が「アジョシ」のチャン・ドンゴンで、下の男が今回の彼です。
それくらい、顔の形相が変わり果てていたので、ヘアースタイルでこうも変わるのか、少し太ったのか中年のおっさんのような、そんな感じを受けました。本当にガッカリでした。

物語は、冒頭のシーンでチャン・ドンゴンの暴れっぷりの凄いことといったらない。韓国人ビジネスマンもロシアンマフィアも、みんな皆殺しにするんですから。呆気に取られて観ていると、ドアの向こう側に誰かいる。で、バンバンと銃をぶっ放して、ドアを開けると少女が撃たれて立っていた。
それからですね、罪のない少女の命を奪ったことから贖罪を願う心優しい殺し屋になっていました。ですから、組織を裏切ってまで、少女の母親を守り抜こうとします。しかし、父親もなんであんな幼い娘をナイトクラブへ連れて行くのかなぁ、闇取引の仕事で行ったのに、幼い娘を連れて行くなんて。それに、母親だっていくら父親が連れて行くからと言っても、仕事なら家で待っていた方が良かったのに。
でも気に入らなかったのは、少女の母親を助けるために、育ててもらった組織を裏切ってまで、仲間を殺したりするんですから。その母親も、睡眠薬自殺を図って、そこへゴンが現れ死なれては困るとばかりに病院へと担ぎ込むわけ。

確かに、その母親が大事なファイルのデーターを持っているらしい。そのデーターを盗み、母親も殺せと命令される。ですが、絶対に母親の命だけは守りたいと、マンションでの銃撃戦の激しいことといったらない。韓国人ギャングを殺したと思ったら、反対側からの殺し屋の狙撃手が撃ってくるし、外へ出て車に乗っても追い掛けて来て車に向かって乱射して穴を開けるし、絶対に主人公は撃たれているはずなのに。

私が一番のお気に入りは、主人公が負傷して身動きが取れないところへ、殺し屋が近づいてきて、手榴弾のピンを見つけるも「そんな古い手は通用しないぜ」という。ですが、後ろの電子レンジの中には、スプレー缶とハサミが入っていた。それが爆発して、ハサミが殺し屋にぶっ刺さるシーンが最高にスカッとしました。
でもね、こういうアクション映画は、ジェイソン・ステイサムの作品で観ているし、彼のアクションは半端じゃないくらいにカッコイイよ。だからっていう分けじゃないが、最期に見せ場というか、母親に電話して「ドアの向こうに娘を殺した犯人がいる。入ってきたら、拳銃をぶっ放せ」と言う。そして、ドアが開き、母親は男を目がけて銃を乱射するのだ。
ゴンが、一人で廃墟の中で、自分が殺した人たちを泣きながら弔っているような、そんなシーンがありました。特に、幼い娘の写真のような、その前で泣きじゃくるゴン、タイトルの「泣く男」は、冷酷な殺し屋稼業を後悔しながらも、自分の生き様を見つめ泣いたのでしょうね。
監督は、『アジョシ』を大ヒットさせたイ・ジョンボム監督だけに、銃撃戦&格闘技戦の迫力は半端なく申し分ありません。主人公のゴンが、重火器で武装した殺し屋軍団とマンションで戦うシーンは、もはや戦争映画のような有様でした。もう少し内容が充実していたらよかったのに。
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グレース・オブ・モナコ公妃の切り札★★★★

2014年10月20日 | か行の映画
ニコール・キッドマンがハリウッド・スターからモナコ公妃となった伝説の美女グレース・ケリーを演じる伝記ドラマ。モナコ公妃としての生活に馴染めず苦悩を深めるグレース・ケリーの心の葛藤と、夫レーニエ公とフランス大統領シャルル・ド・ゴールとの政治的対立をめぐる国家の危機に際し、彼女がいかなる選択をしたか、その知られざる秘話を描く。共演はティム・ロス、パス・ベガ、フランク・ランジェラ。監督は「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」のオリヴィエ・ダアン。
あらすじ:1956年、人気絶頂の中、26歳という若さで突然ハリウッドから引退し、モナコ大公レーニエ3世の妻、モナコ公妃となる道を選んだグレース・ケリー。その“世紀の結婚”から6年。二子に恵まれながらも、彼女はいまだに宮中のしきたりに馴染めず、孤立感を募らせる息苦しい毎日を送っていた。
そんな時、ヒッチコック監督から次回作「マーニー」のヒロイン役を直々にオファーされ、心ゆれるグレース。ところが折しも、モナコが国家存亡の危機に直面してしまう。
おりしも、アルジェリア独立戦争で戦費が必要になったフランスが、無税のモナコに移転した仏企業から税金を徴収し、フランスのド・ゴール大統領がモナコに過酷な課税を強要し、一触即発の緊張状態に陥ってしまったのだ。

これを拒めば軍隊もない小国モナコはフランス領にされてしまう。政治で頭がいっぱいのレーニエ大公に、グレースは女優復帰の話を持ちかけると、自己責任においてと認められたものの、この極秘情報は宮殿から漏れてしまう。
それに、グレースの相談役であるタッカー神父は宮中にフランスのスパイがいると睨む。グレースへの風当たりが強まる中、ド・ゴール大統領はさらにモナコ企業へも課税し、フランスに収めるよう要求するのである。
レーニエ大公は欧州諸国代表に軍事支援を募るサミットを開くのだが、その最中にド・ゴール大統領暗殺未遂事件が勃発し、失敗に終わってしまう。大国フランスを相手にやがて万策尽きるレーニエ。そんな夫を支え、愛する家族と国家を守るため、グレースはある覚悟を胸に行動を開始する。

<感想>ハリウッドの人気女優から、一国の王妃に転身した希有な人生が今も語り継がれているグレース・ケリー。そんな彼女は慣れない王室でどんな生活を送ったのか?・・・。
レーニエ三世は経済基盤としてモータースポーツを推進。それにより世界3代レースの一つであるF1モナコグランプリ、ラリー・モンテカルロなど世界大会が盛んに行われている。
タックス・ヘイヴンで所得税、相続税がないモナコ。それゆえ海運業オナシスなどの大富豪や実業家が次々に移住し、セレブが集まる国となった。世界的歌姫のマリア・カラスも一時期滞在していた。

誰もが羨むシンデレラのグレース・ケリー、実は大変な苦労の連続で、王室の生活にも馴染めないばかりか、社交の場でも浮いた存在となっていたグレース。
やや政略結婚的な匂いを漂わせているが、実際にはレーニエ大公がグレースを気に入り、グレースもレーニエに夢中になったという方が真実に近い。55年のクリスマスにレーニエ大公がプロポーズ。56年1月に二人は婚約を発表し、グレースは「白鳥」に続く最後の出演作となった「上流社会」の撮影に、レーニエ大公から贈られた婚約指輪をはめて出演したそうです。同年の4月18日、モナコ大公宮殿で盛大なウェディングが行われ、グレースはハリウッドを去り、公妃として残りの人生をモナコに捧げたのです。

グレース・ケリーの映画では「裏窓」(1955)、「泥棒成金」が好きですね。
多忙な夫ともすれ違い、離婚の二文字がちらつき始めたころ、モナコにおおいなる危機が降りかかる。夫のレーニエ公からは公式の場では美しいだけの人形でいることを望まれ叱責されるグレース。

そんな時に相談役であるタッカー神父のところへ行き、アドバイスを貰うのだが、それまで妻として、公妃としてのアイデンティティを喪失していたグレースに神父が言う言葉「人生最高の役を演じるために、モナコに来たはずだ」と、その言葉に後押しされて、公妃としての修業を外交儀礼専門の伯爵のもとで、公用語や作法を学びイチからやり直すことを決意する。

誰にも文句を言わせない完璧な公妃となり、愛する家族とモナコを守るために一世一代の大芝居に挑むグレース。そして、それは世界の要人を招いたチャリティー晩餐会を主催。その席で、国の命運を握る切り札として、彼女はド・ゴール大統領らを前にスピーチを披露して、ついに花開くのです。
モナコに直接的な圧力をかけるフランスのみならず、アメリカ、ヨーロッパ諸国を巻き込んだ政治の駆け引き。そういった外側からの脅威に加え、王室内にもスパイの影が、・・・。

第一側近のマッジ。女優あがりのグレースを公妃として認めておらず、彼女に対して冷たい態度を取るのだ。だが、そうではなかった。大公の姉が、モナコを統一したいと企んでいたのだ。これには大公も驚きを隠せなく、それでも追放ということになる。
それに、何処の国の王室でも確執というものがあるのだ。映画の中で彼女は脚本を手にもって一人でリハーサルをするシーンが出て来るのだが、まだハリウッドに未練があったのだろうか、彼女は内心大きな不安を抱えていたのですね。
グレース・ケリーを演じるニコール・キッドマンが、本当に綺麗なので観ていて安心しました。
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まほろ駅前狂騒曲 ★★★★

2014年10月19日 | アクション映画ーマ行
三浦しをんのベストセラー小説を実写化した『まほろ駅前』シリーズ第2弾。多田と行天の便利屋コンビが、前身が新興宗教団体という怪しげな組織を調査するうちに思わぬ事態に遭遇していく。監督に大森立嗣、主演には『ディア・ドクター』などの瑛太に『舟を編む』などの松田龍平と前作のメンバーが再結集。『戦争と一人の女』などの永瀬正敏が、主人公コンビの前に立ちはだかる人物として共演。人情味あふれる物語に加え、実力派俳優たちのアンサンブルも見もの。

あらすじ:まほろ市で便利屋を営む多田啓介(瑛太)のところへ、中学時代の同級生・行天春彦(松田龍平)が転がり込んで3年目。行天と凪子(本上まなみ)の娘はる(岩崎未来)を預かって四苦八苦する中、まほろ市の裏組織の人間である星(高良健吾)から、駅前で毎日のようにビラ配りをする怪しい団体「家庭と健康食品協会」の調査を依頼される。やがて、その協会は以前新興宗教団体だったことがわかり、代表の小林(永瀬正敏)が行天の過去を知る人物だと判明する。さらに調べを進める多田たちだが、思わぬ形でバスジャック事件に巻き込まれていく。

<感想>まほろという架空の街の駅前で、便利屋を営業しているバツイチ二人の物語。主人公の多田と行天は中々上手な生き方が出来ない二人なので、オンとオフでいうとオフな感じがする、そんなところに観ていて共感するんですよね。

キャッチコピーの「俺たち、パパになってもいいですか?」「バツイチ二人。その愛を、命がけで守れ!」と教える通り、一人の女の子を預かった二人の有様を縦軸に、宗教団体の暗躍に、裏組織ヤクザの策謀とか、呑気なバスジャックなどの脇筋が絡まってくるプロットには、子供を亡くしたバツイチの多田と、子供から逃げるバツイチの行天とが、血は繋がっていても関係の切れた子と、血は繋がらなくても絆の強い子、新興宗教に関わったかつての子供二人、といった子供をめぐる構造が憎いくらいにいいですよね。

監督は前作に続き大森立嗣で、間引き運転の中止を求めてバスジャックを決行したハゲ爺さんに、監督の父親である麿赤兒さんと、弁当屋に弟の大森南朋さんがちょい役で親子共演しているのも見どころです。

そして、一番の見所には、バスジャックにあった人たちに、新興宗教団体の代表の永瀬正敏が。彼とは行天が幼い頃に、親が新興宗教の信者だったために、子供として嫌が上にも宗教団体の仕事をしなければ生きていけなかった悔しさとか。それに、バスの中でもみ合っている内に永瀬が、ナイフで行天に切りつけて、あの小指切り落とすことになるとは。この二人の宗教団体のエピソードだけでも映画が出来ちゃうでしょうに。いわく付きの行天の小指は、くっつくのでしょうか。

それにあろうことか、宗教団体にいた少年に誤って拳銃で撃たれてしまう行天とか、あんなに子供が嫌いだと言っていたのに、娘のはるを守るために必死になる行天の姿に、いつものほほんとしている行天が実に逞しく映ってました。バスの中で拳銃を撃ってしまう少年は、行天と同じく母親が新興宗教の信者で、学校で虐めの対象になっているのに、仕方なく宗教団体の仕事をするユラ役は、前作でもユラ役で演じていた横山幸汰くんでした。

もう一人、ヤクザの若きボスの星を演じた高良健吾さん、前作にも同じ役で出ていたんですね。こんな端役でもったいないと感じましたね。もう一人、チョイ役で老刑事の岸部一徳さんが出ていますよ。

女性陣には、行天の元奥さんに本上まなみが、真木よう子演じる柏木亜沙子のキャラは、「番外地」のドラマ版から引き継ぐという微妙な関係になっています。

今回は、ワケありの子守や、新興宗教団体とヤクザの絡みの調査など、面倒な依頼を引き受けた便利屋コンビの活躍と友情、二人が抱える親子の問題など、深刻になる物語なのに何故か笑えるシーンが盛りだくさんで描いています。
そして、番外編のテレビドラマに登場した脇役も多数顔を見せて、人間模様がより賑やかになっていることです。
まほろ駅前多田便利軒」(2011)
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誰よりも狙われた男 ★★★★

2014年10月18日 | アクション映画ータ行
スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「コントロール」のアントン・コービン監督が映画化。2014年2月に急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作となった。ホフマンがバッハマンを演じるほか、共演にも「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムス、「グランド・ブダペスト・ホテル」のウィレム・デフォー、「ラッシュ プライドと友情」のダニエル・ブリュールら実力派キャストが集結。
<感想>オスカー俳優の故フィリップ・シーモア・ホフマンが主演した、極上のサスペンス映画。そんな彼が最期に主演した本作では、組織との軋轢にも屈せず己の信念のためなら、非情に徹するスパイチームを率いる孤高の男を人間臭く哀愁たっぷりに始終抑えた演技に徹しているのだ。

太い指にタバコをはさみ、巨体をかがめてせわしなく鼻息を立てながらスマホをいじり、コーヒーカップを両手で抱え込むように啜る姿に、そこ儚いペーソスと、時としてホフマンの表情とたたずまいによって伝えられる。それに、気になったのが、寒々とした自室でピアノを弾く姿に、私生活の唯一の描写が覗けるのが嬉しい。

ドイツのハンブルグは、9.11テロの実行犯たちが根城にしていたとも言われ、現代世界の政治地図の上で象徴的な意味を持つ街でもある。その街を舞台に、ドイツの対策チームを率いるバッハマンは、港に密入国した青年に目を付ける。イスラム過激派として国際指名手配されているイッサは、人権団体の女性弁護士アナベルを仲介してイギリス人銀行家ブルーと接触。ブルーが経営する銀行に、とある秘密口座が存在しているという。
ドイツ諜報界やCIAがイッサ逮捕に向けて動きだすなか、バッハマンはイッサをわざと泳がせることで、テロへの資金援助に関わる大物を狙うが……。
イッサがイスラム系のテロリストと接触することを恐れた憲法擁護庁の支局長であるモアは、即刻逮捕に乗り出す。それを止めるためバッハマンはCIAに協力を仰ぐのだ。

しかし、バッハマンがイッサの遺産を利用してマークしていたのは、イスラム系の慈善事業家であるアブドゥラ博士をおびき寄せること。そして、テロリストへの資金提供先を探し出すことに成功するも、任務遂行まであとわずかというところで、事態は急変する。何故にホフマンがタクシーの運転手になり、アブドゥラ博士を乗せて何処へ行こうとしたのか。最後が苦労してやっと捕まえた獲物をCIAに横取りされてしまうとは、口惜しいに違いない。

現代の物語らしく、諜報機関が追うのはイスラム系のテロリストだ。流行を追うというより、ジョン・ル・カレ自身この問題が、かつての冷戦に匹敵するような危機的要素を含んでいると感じているのだろうと思われる。
とはいえ、敵はテロ組織だけではない。CIAをはじめ、巧みなライバルを向こうにしての獲物の争奪戦に加えて、人権団体やら銀行家やらの、複雑な利害が絡んで、事態は嫌が上にも紛糾を重ねるのである。

“9.11”以降の宗教や経済をめぐる問題を背景としたテロ対策を軸に、CIAの介入やドイツ諜報部ないの主導権争いが複雑に絡み合う現代の諜報戦を忠実に描いた、これまでにないスパイものとは一線を画す、スリリングな作品となっています。
「ラスト・ターゲット」のアントン・コービン監督が、「裏切りのサーカス」などで知られるジョン・ル・カレの原作小説をスタイリッシュな映像と、伏線が無数に重なる繊細なストーリーで見事に映像化している。
また、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンを始め、チェチェンから密入国したイッサにはグレゴリー・ドブリギンが、イッサ・カルポフは原作者と交流を持つトルコ人。彼は米軍からテロリストと疑われていた人物で、物語に一層の真実味を与えています。

イッサを庇う移民弁護士アナベルにはレイチェル・マクアダムスが、それに、イッサの亡き父の遺産を管理している銀行家のトミーにはウィレム・デフォーという顔ぶれ。
そして、ベルリン本部から来ているモーにはライナー・ボックが、距離を置いて見ているアメリカCIAのサリバンには、ショートカットのロビン・ライトもいる。本作の見所はあくまでも彼らの演技のアンサンブルといえよう。決してホフマンの一人舞台ではないのである。
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