パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

誘拐の掟 ★★★★

2015年05月31日 | アクション映画ーヤ行
『96時間』シリーズなどでアクション俳優としての地位を確立した名優リーアム・ニーソンが主演を務め、ローレンス・ブロックの傑作ミステリーを映画化したサスペンス。引退した敏腕刑事が、猟奇殺人犯と激しい頭脳戦を繰り広げる姿を活写する。『ザ・ゲスト』などのダン・スティーヴンスや、ラッパーのアストロことブライアン・ブラッドリーらが共演。邪悪な猟奇殺人鬼に挑む主人公のパワーに圧倒される。監督は「ルックアウト/見張り」のスコット・フランク。
あらすじ:1999年、ニューヨーク。かつて酒に溺れ、刑事を辞めた冴えない私立探偵マット・スカダー(リーアム・ニーソン)。ある日、ドラッグ・ディーラーの男から、“妻を誘拐して惨殺した犯人を突き止め、捕まえて欲しい”との依頼が舞い込む。やがて犯人は2人組で、警察に通報できない麻薬関係者の身内ばかりを狙い、猟奇的な凶行を繰り返していることが明らかとなってくる。そんな中、新たな誘拐事件が発生する。被害者は別のディーラーの14歳になる娘ルシア。同一犯の仕業と確信し交渉役を引き受けると、残忍で狡猾な犯人を相手にギリギリの駆け引きを展開し、徐々に追い詰めていくスカダーだったが…。

strong><感想>62歳のリーアムが、またもや猟奇殺人犯をシバくハードボイルドのアクション映画に出演しているのだ。原作はローレンス・ブロックの傑作ミステリー小説「獣たちの墓」。人気シリーズで17作も描かれているらしい。
今作では、アルコール依存症のリハビリを続けている元刑事の私立探偵が、免許をもっていないからもぐりの私立探偵なんだけど、心に傷を負い、一度はアルコール依存症で人生のどん底に落ちながらも、今では立ち直ろうとして、断酒会へとせっせと通いづめているのだ。リーアムが演じると男の哀愁漂うキャラクターが際立って見えるのだ。

そんなスカダーが戦う今回の敵は、超異常な誘拐犯で、女性を誘拐しては身代金をせしめるだけでなく、自分たちの倒錯的な欲望を満たすために人質を残虐な方法で殺害し、その死体をバラバラにしては送り返すか、墓場や川などに小さくした肉片にしてビニール袋に包んで捨てるという。
快楽のためには手段を選ばない。異常な欲望のために、誘拐を繰り返しているのがこの男たち。抵抗されないよう、ターゲットにするのは若い女性か少女のみ。しかも、警察に通報できない弱みを持つ麻薬ディーラーの近親者を狙う卑劣さだ。
綿密でズル賢いのも、この男たちの特徴。雄弁で頭がいいリーダー格と無口な実行犯という、サイコキラーとしては珍しい2人組みなのにも注目。街を徘徊していても怪しまれない修理業者のバン(反抗のたびに車体の色やロゴを塗り替える)を装って獲物を物色する。
そして、誘拐した後は、残忍な手口で背筋も凍る拷問器具を使い、拘束して声を上げられないようにしたうえで、苦痛にゆがむ顔を撮影しながら楽しむのだ。身代金の要求はするが、生きて帰すつもりなど元々ないという凶悪さ。惨殺したあとは、バラバラにして処分する異常ぶりだ。

犯行の異常性と緻密さを感じさせる描写の積み重ねが、不穏な空気を見る物に与えていく構成は、「羊たちの沈黙」や最近ではヒュー・ジャックマンの「プリズナーズ」など、猟奇サスペンスのエッセンスを受け継ぐものであります。
グロテスクなシーンは、画面上では、殆ど映らないが、その冷酷さは伝わってきますから。通常の誘拐のルールが通用しない相手というのもやっかいだし。
犯人は麻薬ディラーなど、後ろ暗いところがあって、警察に通報できない連中の家族をターゲットにしているのだ。しかも、用意周到な準備をして目標を尾行して、相手の行動パターンを知った上で、特に白昼どうどうと犯行に及ぶんだから、手におえないよ、こつらは。
そんな、殺すこと自体が目的の誘拐犯を相手に、どう交渉すれば、人質を生きたまま奪還できるのだろうか。
最初に、妻を誘拐されたケニー(ダン・スティーヴンス)が、身代金を犯人に支払ったのに、妻は惨殺されて殺されていた。そのこともあり、ケニー本人も、麻薬の売人で、その売人繋がりで次のターゲットとなるのが、ロシア系麻薬ディーラーの娘ルシア。

このルシア役を演じているのが、本作が映画デビューとなるダニエル・ローズ・ラッセル。獲物を物色する誘拐犯たちの車の前を、赤いダッフル・コート姿で横切る美しいスローモーションのシーンが見逃せない。

初めに掴んだ情報で、墓の管理人というデブの男を狙うも、尾行してあるビルの屋上へと、そこには誘拐され殺された女の写真があり、こいつが犯人なのかと思ったのだが、リーアムの目の前で投身自殺をされてしまう。

そこで、リーアムが元刑事の勘で見つけたのが、麻薬取締捜査官の2人組みである。この悪徳捜査官の2人は、証拠を見つけないと捕まえられないので、相手の隙を狙って尾行する。そのリーアムの相棒となるのが、図書館や施設で寝泊まりする皮肉屋の黒人少年“TJ”だ。

ホームレスの少年と心を通わせ、やがてコンビとして事件解決へと挑んでいく姿も見逃せませんね。

犯人のアジトへと、黒人少年が2人組みのバンに乗り込み突き止めるお手柄である。しかし、そのアジトでは、女を拷問したり、その後に切り刻んだりする道具が地下室にあるのを見ると、背筋が凍りつきますから。

して、リーアムとケニーことダン・スティーヴンスが、そのアジトに侵入していきます。その後は、どうしたかというと、そこは観てのお楽しみということで、もう一つのテーマは「贖罪」でもあるのです。スカダーは、かつて冒頭で起こした事件で、通りがかりの少女を拳銃の流れ弾で死亡させてしまうという記憶に、今も苦しめられているし、他の登場人物にも、それぞれ自らの罪や過ちと向き合わなければならない瞬間がやって来るわけなんです。単に異常犯罪者と探偵の駆け引きを描いたサイコ・サスペンスというだけでなく、人間ドラマの深みも加えたことが、この映画の魅力といってもいいでしょう。
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君が生きた証 ★★

2015年05月29日 | か行の映画
『ファーゴ』などで独特の存在感を放つ名優ウィリアム・H・メイシーの初監督作。銃乱射事件で死んだ息子の遺(のこ)した楽曲を自らが歌っていこうとする父親と、その曲に心打たれたミュージシャン志望の青年が、音楽を通じて再生していくさまを描く。主演のビリー・クラダップは、彼とバンドを組む青年役のアントン・イェルチンと一緒に、実際に歌とギター演奏を披露。そのほか『スプリング・ブレイカーズ』などのセレーナ・ゴメス、メイシー監督の妻フェリシティ・ハフマンらが脇を固める。
あらすじ:銃乱射事件で息子がこの世を去りすさんだ生活を送るサム(ビリー・クラダップ)は、別れた妻から息子が遺(のこ)した自作曲のデモCDを渡される。その曲を聴き息子のことを何も知らなかったことに気付いたサムは、遺品のギターを手に息子の曲を場末のライブバーで演奏する。その演奏に魅了された青年のクエンティン(アントン・イェルチン)はサムを説得し、年の離れた2人でバンドを結成するが……。

<感想>この映画の中では、息子が亡くなるのが早くて、あの銃乱射事件の被害者だとばかり思ってました。最愛の息子を亡くして、仕事も辞めて湖に浮かべるヨットで、その日暮らしをしている父親が映し出され、仕事といってもペンキ職人もどきで、酒浸りの毎日ですから。
その父親が、別れた妻が亡き息子の遺品整理をして持って来たギターと自作曲のデモCD、父親も音楽才能があったのだろう、息子の楽譜をギターを弾きながら歌うのだ。それは、亡くなる前に息子が歌っている姿が映されているので、その歌を父親が歌って、世の中に知らしめるのはいいことだと思う。

ですが、前半の部分で息子の死が、あの世間を騒がした銃乱射事件の超本人だとは考えても見なかったことで、息子の墓参りに行く父親が、墓石に落書きされている「人殺し」の、その文字で、そのことを初めっから知っていれば、きっと観る角度が違って嫌悪感を抱いてしまったかもしれません。両親が二人揃っていても、一人息子の心の悩みまでは知らなかったわけで、日本でもこういう子供たちがいることを忘れてはならない。躾け、教育、モラルは親の責任ですから。育った環境でも、そのような子供が出来るということもある。

このような複雑なテーマで、描き方が難しい題材に挑んだのが、俳優のウィリアム・H・メイシーの初監督作なのですね。このような題材をテーマに映画化するのは、よほどの覚悟がいることでしょう。
内容はもちろんだけれども、バンドを結成してライブをやるシーン、次第に成功してゆき、息子の曲をクエンティンにアレンジされて嬉しそうな顔の父親。お父さんは、息子の残した曲を世の中に知らしめて救われた感じがした。

生前、息子はもしかしたらバンドを組みたかったのかもしれない。だから、息子のようなクエンティンと、亡くなったジョシュを重ねあわせていた部分があるような気もする。
キーポイントとなるのがライブシーンのカット割りや編集も見事なもんですし、何よりも父親のビリー・クラダップのボーカルが、歌詞と相まって胸に突き刺さってくるのが素晴らしい。
主人公のサムを演じたのは、ビリー・クラダップで「マイ・ブラザー哀しみの銃弾」で、弟役で刑事を演じた彼。「あの頃ペニー・レインと」でも歌っていたとか。

サムの妻には、監督の妻、フェリシティ・ハフマンが。息子の恋人には、セレーナ・ゴメスという、そして、楽器屋の主人に、ローレンス・フイッシュバーンが、有名な俳優さんが出演して、これも監督の人徳によるものでしょう。

それに、サムの歌を聴いて惚れこんでしまい、一緒に歌いたいと強引にボートまで押しかけて来るクエンティンには、「ラスト・リベンジ」や「オッド・トーマス死神と奇妙な救世主」(14)で、死者が見える霊能力者という役を演じたアントン・イェルチン。彼の歌も上手いですから。

演出のツボも掴んでいますし、メイシー監督の腕の良さに感嘆しつつも、やっぱり感情移入できなかった私です。というか、亡くなった被害者の学生さんたちに対して、両親は自分の息子の罪の償いを一生背負っていかなければいけないことで、確かに歌の歌詞には、亡くなる前の息子の心情が込められていて解りますが、何も友人たちまで道連れにしなくてもと思いました。
最後に、父親のサムが自作した曲で歌うのは良かったです。
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イニシエーション・ラブ ★★★.5

2015年05月28日 | アクション映画ーア行
ベストセラーを記録した乾くるみの小説を実写化した、異色のラブストーリー。恋愛下手の大学生と歯科助手の出会いを描く「Side-A」、遠距離恋愛を経て彼らの関係が終わるさまを追う「Side-B」の2部構成でつづられる。監督は、『20世紀少年』シリーズなどの堤幸彦。主人公の男女を、『ライアーゲーム』シリーズなどの松田翔太と『もらとりあむタマ子』などの前田敦子が快演。ラスト5分でラブロマンスからミステリーに転じる作風に意表を突かれる。
あらすじ:バブル真っただ中の、1980年代後半の静岡。友人から合コンに誘われ、乗り気ではなかったが参加することにした大学生の鈴木(松田翔太)は、そこで歯科助手として働くマユ(前田敦子)と出会う。華やかな彼女にふさわしい男になろうと、髪型や服装に気を使って鈴木は自分を磨く。二人で過ごす毎日を送ってきた鈴木だったが、就職して東京本社への転勤が決まってしまう。週末に東京と静岡を往復する遠距離恋愛を続けるが、同じ職場の美弥子(木村文乃)と出会い、心がぐらつくようになる。

<感想>原作をよんでから観ました。やっぱラストが気になって、小説とは違うというので。それに、あの鈴木夕樹を演じた森田甘路さん、どうみてもメガネデブでマユとは釣り合わないと思った。けれどもその男を選んだマユによって、メガネをコンタクトにして、ヘアースタイルも変えて、ダイエットに励んでと。どこがどうしてあの素敵な松田翔太に替わるのかと「嘘だろうって」思っていました。この辺から疑心暗鬼で、絶対にオカシイと思ってしまった。

最後のラスト5分で、ミステリーに転じるということは、タッくんが二人いることなの?・・・松田翔太と、メガネデブのダサイ男の二人を天秤にかけていたのは、実は前田敦子演じるマユだったのか。

じゃ、妊娠もどっちの子供か判らないし、両方と寝ているしね。東京へ転勤した松田翔太は、毎週土曜日には静岡のマユのところへ車で帰っているし、その間にあのメガネブタが、彼女の部屋に通っていたのか。凄い女だね。
この映画を見ると、メガネブタが変身して痩せていい男になったタっくんが松田翔太になっているのだ。これで騙された人いるんじゃないの。そして静岡と東京を行ったり来たりして、最初のプレゼントはペンダントだったが、次の誕生日にはルビーの指輪をプレゼントしているし。だから指輪していたんだ。

この当時流行った寺尾聡の「ルビーの指輪」の曲懐かしく聴き、私は誕生石の指輪なんて男に貰ったことがないので、マユが男におねだりする上手な甘え方、ぶりっ子ちゃんのような、何も知らない初々しい女の子を演じている前田敦子ちゃんが上手いと思いましたね。
80年代のファッションで、花柄のワンピースや水着、髪をポニーテルに結んだリボンや小物も似合っていて素敵でした。

どうしても東京へ転勤してからは、洗練されている同僚の木村文乃さんに言い寄られて関係を持ち恋人になったという。女性からみると身勝手な男と感じるところもあります。感心に毎週土曜日には、静岡のマユの部屋へ通って、つい東京の女の名前を呼んでしまった。二股かけている男は、みなこんな経験あるでしょうに。マユから問いただされて逆ギレして、乱暴してしまうタッくん。

しかし、遠距離恋愛は難しいですよね。男の人ってみんなあんな感じで、魅力的な女性が目の前に現れたら、気持ちは揺れるだろうし、二股かけて東京の女と静岡のマユと比較してしまう。それに、たまに会う静岡のマユが妊娠をしたというのも、男って感情だけで自分の都合のいい方に考えるから、中絶してくれなんて勝手なこと言って。その後に、気まずくなって責任逃れのような、マユから遠ざかる男になっていくのが酷いですよね。女の方も図太いけれどね。
当時のファッションや歌がたくさん流れて、小椋佳の「揺れるまなざし」も良かったし、オフコースの「Yes-No」には思い出があるので胸がキュンとなり、最後の森川由加里の「SHOW ME」に至ってはテレビドラマを思い出しました。

ラストのクリスマスイブの日に、東京の恋人を振って、静岡の思い出のデート場所へと急ぐタクヤの松田翔太。全編通してイケメンの松田翔太を見られて良かったです。帰り際に女性客が、「やっぱ松田翔太ってかっこいいわ!惚れたぜ!」って言ってましたよ。私も、つっぱっている松田翔太より演技の幅が大きくなった気がしました。
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陽だまりハウスでマラソンを ★★★★

2015年05月27日 | は行の映画
妻と老人ホームに入居した元オリンピックのマラソン金メダリストの老人が、ベルリンマラソン完走に挑戦する人間ドラマ。高齢を言い訳にせず生きがいや目標を見いだそうとする主人公を、ドイツで人気の喜劇俳優ディーター・ハラーフォルデンがこの役のために9キロ減量し体当たりで演じた。『ラブ・アクチュアリー』などのハイケ・マカッシュらが共演。実際のベルリンマラソンで撮影されたクライマックスシーンは迫力満点。

あらすじ:元オリンピック金メダリストとして有名なランナー、パウル(ディーター・ハラーフォルデン)は、妻の病気を機に二人で老人ホームに入居する。70歳を過ぎても至って健康なパウルは、つまらないレクリエーションや規則に縛られるホームに嫌気が差し、再び走り始めることに。ベルリンマラソン完走を目標に頑張る彼の姿を見て、当初はあきれていた妻や入居者たちも応援するようになるが……。

<感想>先週ミニシアターで観賞したものです。老いてなお共同生活の人間関係に、気をもまなければならない現実を目のあたりにするのは辛いですよね。若かりし頃のプライドと、現在進行形の生と、精神的肉体的な衰えを同時に抱える負荷は重いが、どれも捨てることはできない。

それを貫き通そうとすれば、和を乱すことに繋がるという現象がリアルに描かれている。老人ホームでの生活で、まだまだ自分は若いと自負しているパウル。介護師たちに子ども扱いされて怒ってしまう。そのパウルが昔取った杵柄のマラソン出場を決意する姿に、果たして本当に大丈夫なのだろうかと心配。
しかし、走りを撮影するのにスローモーションを使うのは果たして正解なのだろうか。それによっての、視覚的体感的な効果は得られているのだろうか。
これは脚本の予定調和が撮影で増幅されているようだ。老人ホームで、主人公に対立する人たちが、最後はどうなるかが簡単に予測できてしまうからだ。

つまりショットが脚本の説明でしかないのだ。表情重視の切り返しに、特にダメなのは、死んだ妻が夫の目の前に現れるシーンである。夫の肩ナメで撮っていること。しかもあの照明じゃ、単に俳優が後ろに立っているだけ。
マラソンも主観移動のスピードが全然合ってないし、トラックに入ってからは、正面の後退移動で撮影しているのには、虚構と教えているようなもの。
併走していた大勢のランナーが一瞬にして消え去り、主人公がただ一人、観客の拍手の松競技場へと戻ってくる感動のラストシーンは、明らかに嘘の映像なのだが、映画の構成なのだろうか仕方があるまい。
それにしても、監督の狙いが功を奏している。印象が爽やかで、スポーツを描いているからでもあるが、家族関係が情緒的にならず、個人主義的であるからだろう。主人公のパウルと、妻のマーゴの夫婦愛がとても素敵で、妻の死も愁嘆場とはならない。

ドイツ人的な理性と言っていいのかもしれないですね。「終活」という言葉を最近よくTVでも放送されているが、見事な「終活」映画になっていると思います。
日本では、そうはいかないと思うので。「年を取っても自分のことは自身が決めることだ」と、しかしいつまでそう思っていられるのか。認知症にでもなったら、自分ではその状態は把握できないから。身近にいる夫や子供たちの世話にならないように。きっとそうなったら、老人ホーム行きかもしれない。誰にも迷惑をかけないで一人で生きていくには限界があるもの。身近で切実な要素が詰まった、しみじみと感慨深い作品でした。
以前観た人生はマラソンだ!」でもそうでしたが、年老いてのマラソンレースに参加することは、絶対に自分で決めてはダメですから、かかりつけの医者と相談の上で、自分の心臓と相談して走ってください。
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デッド・シティ2055 ★★

2015年05月26日 | アクション映画ータ行
『ライジング・サン ~裏切りの代償~』『コードネーム:プリンス』などのブライアン・A・ミラー監督によるSFアクションスリラー。富裕層向けリゾート地で客たちのおぞましい欲望にさらされてきたアンドロイドが、そこからの脱出に挑む。『肉』などのアンバー・チルダーズ、『ミスト』などのトーマス・ジェーン、名優ブルース・ウィリスらが出演。逃走したアンドロイドの行く末に目がくぎ付け。
あらすじ:近未来。巨大企業を率いるジュリアン(ブルース・ウィリス)は、裕福な客に向けた新たなリゾート施設“VICE(ヴァイス)”をオープンさせる。そこでは、精巧な女性型レプリカントを相手に、殺人を含むあらゆる犯罪行為を合法的に楽しむことが出来た。
しかし、ヴァイスで味をしめた人間たちが現実社会に戻っても犯罪に手を染めるケースが後を絶たず、治安悪化が深刻な問題となっていた。

そんなある日、レプリカントのケリー(アンバー・チルダーズ)は、毎夜行われるメモリーの消去で不具合が生じ、おぞましい記憶が甦り恐怖に襲われる。自我に目覚めた彼女は、そのまま施設からの脱走を企てる。やがて彼女は、治安悪化の元凶であるヴァイスの閉鎖を目論む刑事ロイと巡り会うが…。

<感想>ブルース・ウィリスが出ているのなら観なくちゃということで、隣の街で観賞。邦題の「デッド・シティ 2055」といい感じのタイトルを付けたのだが、原題は「VICE」=「悪徳」という意味で、なるほど金儲けのための企業VICEの経営者が、人造人間の若い綺麗な女性を使ってクラブ経営。表向きはそうでも、そこでは、人々がレプリカント(人造人間)を相手に殺人や暴力、ドラッグ、レイプといった負の欲求を満たすことができた。

しかし、その影響でVICEの外の現実世界でも犯罪が横行し、事件を捜査する刑事ロイはVICEの閉鎖を訴えていたのだが。警察署長ら上層部は、そのVICEの恩恵を受けており、下っ端の刑事ロイにはどうすることもできない。

裏では客と売春をする女たち。生身の人間と寸分違わないように精巧に作られていて、しかし、拳銃で撃ち殺されたり、首を絞め殺されたり男に乱暴を受けると一応死んでしまう。その後で、男どもが回収して、その人造人間の記憶を削除して、傷跡も修復してまた店に出ているのだ。
それが、どういうわけか、この店で毎晩のように射殺されたり絞殺された従業員のケリーという女が、ある時に記憶の初期化に失敗して、フラッシュバックが起こり、どうやら自分が毎晩殺されるために作られた存在だと認識してしまう。思わず店から脱走をするのだが、・・・。すぐにジュリアンの手下どもが追いかけてくる。

そして、街中で若い女性が殺されるのを追っていた刑事のロイに、「ドライブ・ハード」(2014)「ミストのお父さん役だったトーマス・ジェーンが、ロン毛のパーマで若く見えて、大企業のブルース相手に立ち向かっていく姿を描いている。

最近は開き直って、ハゲなら負けちゃいないと豪語していたブルースも、今作ではすっかり爺さんで、派手なドンパチ・アクションは避けているようですね。人造人間の綺麗な可愛い子ちゃんをたくさん製造して、男の客を楽しませる遊技場を経営とは。それに、この舞台設定もどこか古臭くて、近未来的とは言えません。富裕層の男だけが楽しむ遊技場って、どこか不衛生ですよ。

この映画の前に「チャッピー」を観ただけに、SF映画とは言え、内容がつまらなくて、結局主人公は、悪を暴く刑事ロイのトーマス・ジェーンが主役ってことなの。でも、トーマス・ジェーンって、あまりかっこよくないし、ブルースより主役なのに華がないのが残念ですよね。

レプリカントの居住者ケリーには、アンバー・チルダーズが、カツラかと思ったら、ブロンドのサラサラヘアーで濃い化粧で、ボデコンのワンピを着てのスタイル抜群の女優さん。「肉」と「ザ・マスター」に出演していたそうです。最後には、“VICE”の施設へとロイと殴り込みをかける二人、最後はブルースもケリーに撃たれて死亡か?・・・いえ、にやりと不敵な笑い顔のジュリアンが、彼もレプリカント(人造人間)だったようです。
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レクイエム ―最後の銃弾― ★★★★

2015年05月25日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
麻薬捜査に命をかける3人の警官の裏切りや友情、壮絶な戦いを描き、2013年の香港で大ヒットを記録したサスペンスアクション。「コネクテッド」のベニー・チャンがメガホンをとり、主演には「奪命金」のラウ・チンワン、「ドラック・ウォー 毒戦」のルイス・クー、「ビースト・ストーカー 証人」「激戦」のニック・チョンが顔をそろえた。
子ども時代からの親友で、麻薬捜査官として活躍するマー、ソー、チャンの3人は、タイの大物麻薬王ブッダの逮捕目前まで迫る。しかし、事前に捜査情報が漏れていたことから思わぬ反撃を受け、ブッダの逮捕に失敗したばかりか、チャンを失ってしまう。それから5年後、香港の新興組織とブッダの組織との間で新たな抗争が起こり、5年前の捜査失敗の責任をとって左遷されていたマーと、逆に出世を果たして麻薬捜査班のトップになっていたソーの前に、死んだはずのチャンがブッダの組織の一員として姿を現す。

<感想>この映画は「男たちの挽歌」のような作品、そして東南アジアのみならず欧米にも影響を与えた作品となっているが名付けて「香港ノワール」は、香港映画界の得意のジャンルのひとつになっている。主人公の3人は幼馴染で、今は共に警察官となり、同じ麻薬捜査班で働いているティンのラウ・チンワンはその上司のエリートで、チャウのルイス・クーは胃袋がぶっ壊れそうな毎日を送る潜入捜査官。、ワイのニック・チョンは押し出しは弱いけれど気はいいヤツなのだ。

中でもルイス・クーは、「毒戦 ドラッグ・ウォーでは麻薬密売人だった密告者となり、今回は、香港の麻薬密売組織に潜入捜査官をしているが、妻が妊娠中で早く潜入捜査から解放されたいと願っている。一方、捜査班長であるティンは、麻薬組織の大物を捕えることに命を賭け、一番年下のワイは、それに従って行動する。そんな彼らをタイの大物麻薬王のブッダに近づくチャンスが来る。
香港からタイに飛び、タイ警察と協力をして麻薬取引と見せかけての組織の一網打尽を企てる。前半部分は、タイの森林地帯での銃撃戦の激しさに圧倒させられる。麻薬王を追って、香港警察の捜査官たちの意地を張り合う場面と、妻子のある仲間は救ってやる優しさにほろりとくる。

タイでの作戦がクライマックスになっているが、タイ警察の内部にブッダの仲間が潜入していて、チャウの身元がバレそうになる。それに、ブッダが放った傭兵が乗っているヘリからの一斉射撃で、警察が全滅していくのだ。
だから、3人に危機が次から次へと降りかかり、そこへブッダが来て追い詰められ、崖下にはワニがわんさかと棲息している場所で、一か八かの究極の選択が迫られる。
開幕からすでに険悪ムードが漂っていて、憎しみと裏切りのぶつけ合いがその後延々と続くものだから、「本当にこいつら親友だったのだろうか」そんな気分にさせられる。
熱い友情がちょっとした間違いから破綻して、やがて回復する物語が観たいのに、熱い友情のあった時代が、いっこうに描かれていないのがプロット的に惜しい。
冒頭での、市街地を舞台にしたアクションシーンには、ちょっぴり感心し、見た事のない香港を垣間見た気がした。
タイの銃撃戦、ヘリからの機関銃掃射、ブッダに追い詰められた3人、崖下へ落ちたらワニの餌になる危険な場所での追い込みの撮影。仲間の命を計りに賭けての選択では、ついに親友を拳銃で撃ち、ワニのいる崖下へと転落して行った親友のニック・チョン。このシーンはエグいしでまさか助かっているとは思っていなかったよ。

香港へ帰ってからの展開も濃密で、片腕になったニック・チョンのために、弾倉を交換するラウ・チンワンの男気には泣かせる。それに、香港アパート群特有の狭さと高さ、密集度を活かした序盤の銃撃戦も出ている。改めてベニー・チャンの腕の良さに感嘆しました。
まさしく最後の銃弾を撃つクライマックス、5年後の香港で、友情と裏切りが交差する果てに、主人公たちが傭兵を率いるブッダとの復讐戦となる、15分に渡る銃撃戦の死闘。まさに「男たちの挽歌」である。そこで、主人公たち3人が、子供の頃から口ずさんでいた歌を口笛で聞かせる、友情の絆を確かめる緊張感の走るシーンでは、ヒロイックな香港ノワールへと。
映画が終わった途端にギャラクシー特別協賛というロゴが出るのだ。マカオに出来たカジノやホテルの巨大施設でこのシーンが撮影されたからだろう。
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チャッピー ★★★★

2015年05月24日 | アクション映画ータ行
『第9地区』『エリジウム』の鬼才ニール・ブロムカンプが手掛けたSFアクション。人工知能を搭載したロボットのチャッピーが自身を誘拐したストリートギャングたちと奇妙な絆を育みながら、壮絶な戦いに巻き込まれていく。『第9地区』にも出演したシャールト・コプリー、『X-MEN』シリーズなどのヒュー・ジャックマン、『愛は霧のかなたに』などのシガーニー・ウィーヴァーなど、実力派や個性派が出演。純粋無垢(むく)なチャッピーの愛らしい姿やリアルな造形に加え、すさまじいアクションの数々も見もの。
<感想>今回の舞台は未来と呼ぶにはあまりに近い2016年のヨハネスブルク。本作も「第9地区」同様、ブロムカンプが育った環境や経験を生かした作品だからだろう、天才工学者が生み出した成長型AIを搭載した元ロボット警官、チャッピーと人間たちの絆をよりリアルな現実社会として描かれている。

間とロボットが疑似家族となるハート・ウォーミングな物語から、弾丸やミサイルが飛び交う豪快なアクションの連続へと一気に展開し、予想もしないラストへと傾れ込んでいきます。
非情に型破りなジャンル映画でありながら、信じられないくらい現実なのである。生みの親、ディオンが演じるデヴ・パテル。彼も、プロムカンプの現実社会とSF世界を一体化させるその手腕に唸らされる。
ロボット警官を生産する大企業が存在する近未来なのだが、同時にスラム地域の廃墟には、日本の漫画やアニメの感化を受けているらしいストーリート・ギャングの兄ちゃんたちが住んでいる。

まず、興味深いのは、人工知能を与えられることになるロボットのチャッピーが、いかにも旧式の機械人間のようにデザインされていることだ。このやぼったいロボットは、ディズニーの「ベイマックス」のような洗練された遊び友達の人工知能とは正反対に、シャール・コプリーが声を演じるヨハネスブルクなまりの英語で喋っている。巨大ロボットでチャッピーを押さえようとする、珍しく悪役のヒュー・ジャックマン扮する、ヴィンセント・ムーアが開発したムース。これは「ロボコップ」に対するオマージュとなっている気がしますね。

兵器企業テトラバール社のCEOシガニー・ウィーヴァー、ミシェルに学習機能の付いたAIの採用を却下されたディオンは、無断で廃棄寸前のロボット警官を持ち出すのだが、強盗団のニンジャという男にロボットごと拉致されてしまう。ディオンに扮しているのは「スラムドッグ$ミリオネア」(08)で一躍有名になったヨーランディ・ビッサーが演じている。
麻薬密売で稼いでいるストリート・ギャングのカップルの、ニンジャ&ヨーランディ。裏社会の大物に借金を作り、金策に奔走。現金輸送車を襲うために、ディオンからロボット警官を奪う。廃墟で彼らに脅されAIをインストールしたロボットを起動。チャッピーと命名されたのはいいが、赤子のように無垢で純真なロボットは見る物すべてに興味を抱く。そこで、TVアニメや音楽にのめり込むチャッピー。強盗団の仲間の女、ヨーランディは、そんなチャッピーに母性を強く刺激されてしまう。

最初は銃に対して怯えていたが、ニンジャはチャッピーに仕事を手伝わせるために、ギャングらしい振る舞いや、銃の撃ち方を教える。厳しい特訓により斜めに寝かせて撃つことを覚える。いけてるギャング同士の挨拶は、もちろんグー・タッチで。ところが、ニンジャはチャッピーを鍛えるために街中に置き去りにしてしまう。そこで、ロボット警官に恨みを持つ不良たちにボコボコにされ、片腕をもぎ取られてしまう。
それが、チャッピーはテトラバール社へ帰るどころか、強盗団のいる廃墟へと、帰る居場所は忘れていないのだ。自分のボディのバッテリー寿命が残り5日分しかないと知り、“創造主”であるディオンに反抗する。それに付け込んだニンジャは、「新しいボディを買うためには金が必要」とチャッピーを口説き、高級車の強奪をさせる。始めは、高級車をボコボコに壊してしまう。

しかし、ノリノリで高級車を盗んでいくチャッピーに、犯罪をするなとディオンには注意されるのだが、新しいボディが欲しくて現金輸送車を襲ってしまう。殺された人間は、チャッピーは別の場所へ行くことだと信じているようだ。それは天国のことか?
チャッピーが犯罪をしていることを知ったヴィンセントは、自ら開発した遠隔操作ロボット、“ムース“をチャッピー破壊のために出動させる。ミサイルなど協力な銃火器を装備した”ムース“に真っ向から立ち向かう。強盗団の母、ヨーランディがムースに襲われる、助けようとして自分が盾となり庇うのだ。そのヨーランディが撃たれて死に、悲しむチャッピー。
それに、強盗団のボスのアジトでは闘犬が行われていて、野良犬がたくさんいて、外で野垂れ死んでいた犬を可愛そうにと眺めるシーンには感心した。ロボットにも心が宿っているってこと。
そして、クライマックスのラストに感無量した。人間のエゴによってし烈な状況に翻弄されるチャッピー。その姿を追い続ける観客の心の中で、徐々に機械と人間とを分かつ境界が曖昧になっていく。チャッピーの頭脳の進化により、息絶える創造主のディオンの頭脳(意識)をロボット警官にインストールして、ディオンの復活と、母なるヨーランディもテトラバール社で、未来型ロボットに再生される。
知覚と意識がいかなるものにも宿るのだという考え方。特に未来に置いてはである。そして、今のような生物学的姿をした人間が、自分たちと異なる、知覚を持った存在に対してどう反応し、どう対処するのかというのにも興味がわきます。
最後には、何を持って人間となすのか、命となすのかという究極の問いにまで考えさせられる。まさか、こんなにも高尚で崇高な映画だとは思いもよらなかった。
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Zアイランド ★★★.5

2015年05月23日 | アクション映画ーサ行
芸能生活30周年を迎えた哀川翔を主演に迎え、『サンブンノイチ』などの品川ヒロシが監督を務めたアクション。組同士の抗争に敗れた主人公が10年の歳月を経て、とある島でかつてのライバルたちと再び対峙(たいじ)し、想定外のバトルを展開する姿を活写する。哀川演じる元組長の弟分を鶴見辰吾が演じ、その元妻を鈴木砂羽が好演。本気度満点のアクションはもとより、笑いに涙に家族ドラマ満載の内容に圧倒される。
あらすじ:ある雨の晩、宗形組組長の博也(哀川翔)は、武史(鶴見辰吾)や信也(RED RICE)らと共に高級クラブに繰り出していた。そこを対立する竹下組組員に襲われ、博也は足に深い傷を負い、武史は服役することに。10年後、武史が出所したときにはすでに宗形組は解散しており、博也は運送業を営みつつ武史の娘日向(山本舞香)の世話をしていた。

<感想>日本映画における極めて本数の少ない、和風ゾンビ・スプラッターものの映画というべき、ものにしては成功作といっていいでしょう。これほど生き残り人間サイドのキャラの多才さと描き込みがあり、規模が大きいものも他にないと思う。
ゾンビと細胞レベルの感染が、等身大レベルで展開するのだが、これを描くには作り手の映画的体力が試されるようだ。ヤクザだから麻薬の売買で島へ来て、その赤い薬がウイルス感染と一緒になって、ゾンビになった男が次の人間を襲って、襲われた人間が感染してゾンビになるという。しかし、芸人さんたち、島人に扮したエキストラのゾンビたち、体力ありまくりですから。

哀川翔に鶴見辰吾という立役者を中心に、アホなおまわりの窪塚洋介、決まっていたヤクザの木村祐一、バーのママさんに鈴木砂羽、RED RICEといった人気ミュージシャンと、いずれも濃い味の俳優陣が、マジにゾンビ相手に奮闘するのが面白いのだ。

おまけに風間俊介のやりたがりエロ医者による、楽屋おち的のゾンビ解説など、どうみても警官の制服が似合わない茶髪の窪塚と、ゾンビの存在を本気にしない漁師の般若とのやりとりには、「ドッキリか」と茶化されて、110番への電話など、抜かりなく笑いも仕込んでいることなど、よく細部にわたって工夫している。

ゾンビたちがわらわらと現れるのには、怖いというより面白いのだ。ホラー映画そのものが全然怖くなくて、ホラーというよりもコメディとして捉えているところもあり、同時多発するアクシデントの躍動感と、興奮にいやはや驚いた。
警察にゾンビが現れたことを電話で通報するシーンにしても、実際どうやってこの極限状況を説明するのかを考えたら、「一度死んだやつが生き返って」とか言われても、嘘つき悪戯電話だと思われてしまう。最後に「ゾンビが現れた!」と言っても、そんなこと誰も信じるはずもない。リアルにやればやるほど不可思議なおかしさが込み上げてくるのだ。

ゾンビに立ち向かう哀川翔アニキたちが、日本刀、ショットガンなど様々な武器を駆使して迫力満点の殺陣や、バイク&カーチェイスを披露している。そして、刑務所帰りの鶴見辰吾演じる父親と娘・日向との親子愛や、ヤクザ同士の男の友情に胸が熱くなります。

ヤクザにゾンビに女子高生、泣きに笑いにカーチェイスと、一見無秩序に何でもかんでも詰め込んで、その実しっかりと計算された隙のなさが何とも憎いですね。
そして、ゾンビだけでも速い方も遅い方も、共存させねば気が済まない品川監督の、映画への貪欲さに脱帽です。

驚いたのが、山本舞香ちゃんと水野絵梨奈ちゃんの格闘技です。カンフーやら回し蹴りに、男を相手に派手な立ち回りする女子高生VS島の若者たちの格闘には唖然とした。それと、哀川翔VS鶴見辰吾のまるでガキの喧嘩にも。

何と言ってもゾンビの仕草とかメイクには、やたらと動きの速いゾンビ発症1号の、宮川大輔の突如ゾンビ化と、主人公の前に現れる、作業着姿のおばちゃんゾンビのメイクにもびっくりした。ヤクザ役の野生爆弾・川島&千鳥・大悟のエロネタには大笑い間違いなしですから。
ゾンビメイクの徹底ぶりには、シシド・カフカのナース姿のゾンビに、篠原ゆき子の美形のゾンビメイクに容赦なしですから。二人がトラックの下から一気に飛び出してくるシーンには、思いっきりがよくていい。

また、芸人らしからぬ剣さばきを見せるキム兄と、哀川翔アニキとの壮絶なる一騎打ちにハラハラしました。
ゾンビたちが大きな音に反応するので、船にスピーカー付けている漁師の般若が、船を操縦して海からゾンビたちをおびき寄せるラストシーン。泳いで溺れて終わりかなと思ってたのに、島にまた這い上がってくるというラストには、ハリウッドのゾンビと同じような気がした。
またタイトルに入っているアイランドという語句で分かったのだが、ゾンビ映画に於いて、島というロケーションも重要なポイントになっている。その他にも、勢いがあって結構楽しめた。
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メイズ・ランナー ★★★★

2015年05月22日 | アクション映画ーマ行
アメリカのベストセラー小説を基に、謎の巨大迷路に放り込まれた若者たちが決死の脱出劇に挑むサスペンス大作の第1弾。さまざまな死のトラップが仕掛けられ、どんどん変化していく巨大な迷路(メイズ)を、知力・体力を駆使して駆け抜ける若者たちの運命、そして迷路に隠された秘密が描かれる。キャストには、『インターンシップ』のディラン・オブライエン、『17歳のエンディングノート』などのカヤ・スコデラーリオらがそろう。
あらすじ:そびえ立つ壁や毎晩変化する構造を持つ謎の巨大迷路に月に1度、自分の名前以外何も覚えていないランナーが送り込まれてくる。やがて団結し始めた彼らは迷路の仕組みを調査し脱出法を見いだそうとするが、迷路の扉が閉まる夜までに帰還しないと命の保証はない。生き残りを懸け巨大迷路に隠された謎を解き明かそうとするランナーたちの運命は……。

<感想>目覚めるとそこは巨大な壁に囲まれた空間だった。上昇するリフトの中で目覚めたトーマス、主人公のトーマスにはディラン・オブライエンが扮していて勇気のある活躍ぶりに感心しました。高い壁と迷路に囲まれた広場「グレード」には、毎月一回、生活物資とともに記憶を失った新入りが送り込まれてくるという。一切の記憶はなく、壁の外には迷路が続き、夜になると狂暴な怪物が徘徊する。怪物は出てこないけれど、「ハンガー・ゲームに似ているような、あちらも巨大な壁の中に住民が住んでいる。

一体誰が、何の為に、そんな過酷な状況に追い込まれた若者たちが繰り広げる極限のサバイバルムービーなのだ。実際に高さ4.8メートル強の巨大な壁のセットを実際に建設して撮影。作られたセットは視覚効果で約6倍に引き伸ばして驚異のビジアルを生み出した。それに、可動式の壁を組み替えることで複雑な構造を、蔦など装飾を変化させることで迷路を建造するという前代未聞のセットと、大自然を舞台にしたロケーション。
そして、最新のVFXで見事に映像化されている。視覚効果出身の監督ならではの迷路内外の斬新なビジュアルには、驚嘆するしかない。原作は全3部作のスケールで描かれ、今作はその第1部となる。

閉鎖された場所で展開する若者たちの対立や、友情ドラマ、張りめぐらされた謎を解明しながら進むゲーム感覚の物語。迷路内に潜む死のトラップをかわしながら走り回るサバイバル・アクション。あらゆる要素が絶妙にミックスされて、最後までアドレナリン上昇しっぱなしのエンタメ大作になっている。こういうの大好きだから、面白かったです。
手あらい歓迎を受けながらも「グレード」の掟を憶えていくトーマス。そんな時に、探索部隊のランナーとともに迷路に出たリーダーが怪物の毒牙に刺されてしまう。トーマスは助けるべく壁の中へと入っていく。本当に勇気のある行動には驚かされる。リーダーの体を蔦の葉に絡めて結び壁に吊るす。それでも、蜘蛛型の怪物は壁を這うというか、蜘蛛の糸みたいなべたべたした粘りのある液体を出して、壁を伝ってくるのだ。

最後にリフトで来たテレサという女が、手に2本の青い注射液を持っていた。その注射をリーダーに打つと、元気になるのだ。トーマスも自暴自棄になり、自分も餌食になろうとするも、その注射で元気になる。
グレードを囲む壁には、日の出とともに開き、日没に閉まる扉がある。その先にダンジョンには仕掛けがあり、夜間に壁の内部にいる者は命を落とす。迷路を構成する内壁は毎夜、轟音を響かせて移動している。ランナーたちは、日々迷路へ入り調査結果を手製の模型に反映して移動パターンの分析を試みるのだが。
決死の行動で夜の迷路からの生還を果たすトーマス。しかし、保守派のギャリーが文句を言う。さらには謎の解明のために手掛かりもあった。そして、突如動き始めたリフトから女の姿が、気絶していた彼女、テレサはうわごとでトーマスの名前をつぶやく。

壊滅寸前のグレードの村、迷路へ行くのか残るのかが、運命の決断に。トーマスの登場により壊されていくグレードの法則。広場へと侵入してきた怪物により集落は壊滅状態になってしまう。この怪物は“グリーバーズ“と呼び、「スターシップ・トゥルーパーズ」に出てきた蜘蛛型の化物に似ていた。腹には筒状の探知機のようなものが。それを手に、壁の中を進んでいくトーマスたち。

若者たちは、外に打って出ようとするトーマスたちと、居残るという保守派のギャリー。グレード内で暮らし続けることこそ安全だと信じる少年。だから、グレード内に危険を持ちこむトーマスを敵対視する。演じているのは、「ナルニア国物語第3章」と「リトル・ランボーズ」に出ていたウィル・ポールターが、

それに同じく「リトル・ランボーズ」に出ていたトーマス・ブロディ=サングスターが、可愛い顔立ちが全然変わってない。
そして、迷路の探索を続けるランナーの一人で、ルールを破っても脱出を試みるトーマスに目をかけ、ランナーへと招き入れる。リーダーのアルビーの危機をトーマスと共に救い、迷路の謎の一端に触れる勇気ある若者ミンホに、キー・ホン・リーが、グレードに送り込まれた最初の女性テレサには、「トワイライト・サーガ」シリーズのクリステン・スチュワートにちょい似ているナカヤ・スコデラリオが、どうやら彼女はトーマスとこのプロジェクトに関わりがあるようだ。それに、ぽっちゃりとした顔立ちのチャックが、トーマスを励ましてくれ癒し系になっている。

夜になると時間ごとにその姿を変える迷路。単に迷うだけでなく、移動する巨大な壁に圧殺される危険も。鋭い鉄の刃がスライドしてくるゾーンなど危険なトラップが満載なのだ。だから観ているこっちも冷や汗もの。
いつまでも壁の真ん中のグレードにいるわけにはいかない。殺される危険も顧みずに突き進むトーマスたち。始めは12人だったのが、途中で怪物“グリーバーズ“に襲われて命を落としてしまう者も。

トーマスの消された記憶には、時おりフラッシュバックする実験室の風景が、そして「WICKED(ウィキッド)」という言葉は何を意味するのか。トーマスたちが、迷路を突き進むと、ドアの向こうには、この迷路を作り彼らを拉致した存在へと繋がるのだ。そこへ到達した彼らのところへ、あの保守派の反対していたギャリーが来ていたのに驚いた。そして、拳銃でトーマスたちを撃とうとするのだ。あのぽっちゃり顔のチャックが、ギャリーに投げ槍を、そして、拳銃で撃たれてしまうチャック。
ラストに明かされる彼らのこれからのことを。それに迷路を克服して突き進んだ若者には、生き延びる権利が与えられるようである。この衝撃なラストは、劇場でご覧ください。そして、第2章の予告もあるので、帰らないでね。
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ポイントブランク 標的にされた男★★★

2015年05月21日 | DVD作品ーな行、は行
『7番房の奇跡』などのリュ・スンリョンと『怪しい彼女』などのイ・ジヌクが共演を果たし、『この愛のために撃て』を韓国でリメイク。殺人事件の容疑者となってしまった元傭兵(ようへい)と妻を誘拐された医師が、激しい追撃をかわす姿を描く。女性刑事を『依頼人』のキム・ソンリョンが演じ、医師の妻を『後宮の秘密』などのチョ・ヨジョンが好演。敵味方入り乱れる攻防や、生身の痛みが伝わる過激なアクションに興奮。
あらすじ:ある晩、ミョンジンビル付近の道路で交通事故が起き、同ビルで起きた殺人事件の容疑者ヨフン(リュ・スンリョン)がテジュン(イ・ジヌク)の勤務する病院に運ばれてくる。ヨフンの治療を終え、テジュンはいったん自宅に戻るが、身重の妻ヒジュ(チョ・ヨジョン)が何者かに拉致されてしまう。さらわれた妻を取り戻すには、病院からヨフンを連れ出すしかなく……。
<感想>前に観賞した、フレッド・カバイエ監督のフレンチノワールこの愛のために撃て」(2010)のリメイク版。監督は学園ホラー映画「ブラッディ・ミッション」のチャンで、殺人事件の容疑者に仕立て上げられた元傭兵と、誘拐された妻を助けようとする医師、2人を追う刑事や正体不明の犯罪組織が入り乱れ、駆け引きを繰り広げるノンストップ・サスペンスアクション。

主演は「王になった男」のリュ・スンリョン、高倉健と寺尾聡を混ぜたような元傭兵のリュ・スンリョン。そして堺雅人似の医者イ・ジヌクがそれぞれ弟と妻の安否で、共に闘うことになる。警察と敵の両方から追われるヒッチコック的プロットが抜群なのだが、短いショットでつるべ打ちされるアクション描写で、観客は中々物語に追い付いていけないのだ。
中盤での意外な人物の死により、最も悪いやつが露見してからは、俳優の演技合戦で堪能させているのもいい。病院や閉鎖された遊園地、ショッピングモールなど、空間活用も工夫されていて良かった。

ですが、巻き込まれ型事件の謎を解き明かす語りは少々弱く、特に医者と妊娠中の妻が絡んでくると、急にベタつくのだが、追われる元傭兵と、追う刑事のキャラクターが物語を越え始めると、エンジンがかかってくるのだ。
決して饒舌ではない元傭兵が、がむしゃらに暴走して、大型車で警察署に突っ込むのは、とうてい賢いやり方とは思えないが、何だかもう、そうするしかないという得体のしれない説得力はあります。
共演に「怪しい彼女」イ・ジヌク。それにしてもユ・ジュンサンが、初の悪役キャラを容赦なく、クライマックスの殴り込みバトルなど、超人的な殺人スキルを駆使して追撃をかわす、痛くて過激なアクションが、いかにも韓国らしくスリル満点なのが最高。芸域広すぎには感心しきりでした。サスペンス・アクション好きには堪りませんね。
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パーフェクト・プラン ★★★

2015年05月20日 | アクション映画ーハ行
「127時間」のジェームズ・フランコと「あの頃ペニー・レインと」のケイト・ハドソンが、移住したロンドンで麻薬を巡る危険な組織の抗争に巻き込まれていくアメリカ人夫婦を演じるクライム・サスペンス。共演は「フィクサー」のトム・ウィルキンソンと「最強のふたり」のオマール・シー。監督は、これが長編2作目のデンマーク人監督ヘンリク・ルーベン・ゲンツ。

あらすじ:ロンドン郊外。アメリカからロンドンに移住し、自分たちのささやかな夢を叶えるため、つましい生活を送る真面目な夫婦トムとアナ。しかし、経済的に追い詰められ、ついには退去勧告の通知が届く。期限は、たった2週間。そんな時、階下の住人が急死し、それを偶然発見したトムが、天井裏から3500万円の大金を見つけてしまう。捜査にやって来た刑事にも金のことは気づかれず、2人はこの3500万円をいただいてしまおうと考えるのだったが…。

<感想>だいぶ前に観賞したのに、投稿せず現在に至る。でも、主人公のお二人さんが大好きなので、面白おかしく拝見しました。平凡な移民カップルが主人公のアクション・サスペンスもの。お金に困って住んでいる家を追い出されることに。その生活苦の夫婦にワケありの大金が転がってくるところから、マフィアに麻薬の売人、刑事を含めた四つ巴の攻防戦が繰り広げられる。

2児のママのケイト・ハドソンが、お隣の子守をしているところ。てっきり自分の子供かと思ってしまった。この映画の中では、不妊治療をしている妻という設定だった。
このお金を持って逃げようと夫婦は計画するのだが、そんなに上手くは事が運ばないのだ。それで面白くなりそうなのに、ならないのは狙いが見えすぎるせいなのかもしれませんね。
時空が躍動しないのは、作り手が真面目すぎるせいなのか。空間の上下軸を活用したプランが、事件のゆるくせわしい展開と噛み合ってないことだろう。

素人夫婦のあぶく銭略奪計画は、最初から穴だらけで、案の定泥沼にハマって当然なのだが、魔がさして犯罪意識も薄いままに、怪しい金に手を出してしまうリアリティは半端ない。金額も多すぎず少なすぎずで、ゆえに、いかんせん地味なのだ。
ジェームズとケイトもちょうど所帯じみていて、演出が真面目過ぎるのか、略奪に至るまでは海外移住や金銭難など、もっともらしい伏線があるわりに、雑なラストを楽しめるかどうかにかかる。
それに、祖母から相続した古屋敷、それも資金難で改築が止まっているのだが、それがどのように活用されるかに、ばらばらの要素が集約されている。その伏線にもう、物語の展開のオチが見えて来てしまうのが惜しいところ。

マフィアに追い詰められたジェームズ・フランコが、古屋敷へと彼らをいざなう。それは、彼がいろんな仕掛けをしていたから。敵を陥れるための床板、落ちた悪人は、下の杭に身体を八つ裂きにされて身悶える。そして、拳銃の代わりに釘打ち機で応戦するジェームズ。
決してよく練られた脚本ではなく、いろんなところに穴があるにもかかわらず、いかにもB級路線映画として、ぬけぬけと意表をつく展開になっているのだ。演出で終わりまで見せ切ってしまうところもいい。何よりも最後に、赤ちゃんが出来たと夫に報告する妻の笑顔がよかった。

小味なサスペンス映画の逸品といっていいと思います。刑事役の爺さんはトム・ウィルキンソン人がよさそうな胡散臭いオマール・シーの両刀がマフィアに最適に見えた。達者な役者さんたちが集められているのに感心しました。
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ファイヤー・ストーム ★★★★

2015年05月19日 | DVD作品ーな行、は行
『インファナル・アフェア』シリーズなどのアンディ・ラウ主演によるポリスアクション。凶悪な強盗団を追う香港警察のエリート捜査官の姿を、強盗団のメンバーとなった幼なじみとの再会を絡めながら活写していく。メガホンを取るのは、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』などの脚本を手掛けてきたアラン・ユエン。『控制/コントロール』などのヤオ・チェン、『ドラッグ・ウォー 毒戦』などのラム・カートンらが共演する。白昼の市街地で繰り広げられるガンファイトもさることながら、濃密な男たちのドラマも魅力。

あらすじ:香港警察特捜班のロイ刑事(アンディ・ラウ)は、規律を重んじる有能な捜査官。彼は捜査チームと共に、凶悪強盗団のボス、ツァオ(フー・ジュン)を逮捕しようとするのだが、銃撃戦の末、交通事故に巻き込まれて取り逃がしてしまう。事故を起こしたのは、ロイの古くからの友人幼馴染で刑務所から出てきたばかりのトー(ラム・カートン)。
ロイはトーを疑うが、彼は事故だったと主張する。しかし、トーの恋人ビン(ヤオ・チェン)は更生を誓った彼がまだ犯罪から足を洗ってないのではないかと疑っていた。
まさに、トーとツァオの強盗団のメンバーだったのだ。ロイたちは強盗団を捜査するが、ボスのツァオは警察をあざ笑うかのように証拠を見せない。しかもロイが捜査に送り込んだ情報やのトン(フィリップ・キョン)とその娘が、強盗団の犠牲になってしまう。ロイは怒りのあまりにツァオを逮捕するため遂に一線を越えてしまう。

一方、トーは彼女、ビンの妊娠を知り足を洗おうと決意するのだが、ロイに情報を流す替わりに逃がしてくれと取引を持ちかける。その情報とは、強盗団のもう一人のボス、パコ(レイ・ロイ)がある事件を起こすというものだ。強盗団を一網打尽にするためにロイは、トーの情報を受け入れる。遂に運命の日はやってきた。警察VS強盗団、銃弾が飛び交う白昼の大銃撃戦の中、男たちの想いもよらぬ方向へと転がり始める。

<感想>劇場鑑賞を見損なってしまった。とにかく53歳になるアンディ・ラウのもの凄いアクションの数々に驚いた。むろんスタントマンを使っての映像なのだろうが、銃撃戦もさることながら、爆風に吹き飛ばされるし、車の運転の凄さ、死んでもおかしくない有様にただただ呆然自失である。タイトルに「風暴」と付けるのも頷けます。

強盗団のアジトへ潜入するも、相手の強盗団の武装の凄さに驚いた。ショットガンなんてのは当たり前で、爆弾に手榴弾と警察部隊を退かせてしまい、手も足もでなく逃走してしまうのだ。

この時に、アンディとカートンの取っ組み合いのシーンで、二人がビルの窓から下へと抱き合いながら落ちていくシーンも凄い。いくら映画とはいえ、あの洗濯干場のところへ二人が絡まって網が落ちるシーン。まるでジャッキーの映画を見ている気分になる。命あってのこと、いやはや、下へ落ちたアンディが段ボールがあったとはいえ、かなりの衝撃だと思う。

そして、強盗団の仲間になっていた幼馴染のトン、その娘の聾唖者が強盗団によって殺されてしまうシーンも残酷だ。それに、一般の人間もその場に居合わせたばかりに、銃撃戦の巻き添えになり死んでしまうし、ラストの警察と強盗団の銃撃戦では、バスを強奪した強盗団がバスの乗客を皆殺しにしてしまい、そのバスを爆破、それに近辺の車にも爆弾を仕掛けて爆破、その余波でガス管に引火してセントラルの街が、地割れに陥没、火事、それに巻き込まれた人間たちの気の毒なことといったら、巻き添えで死んでいく人たちに唖然とした。

後半で明かされる、アンディ刑事が強盗団のボス、ツァオにトン親子の惨殺の罪をなすりつけるための偽装工作を、子分が車の監視カメラで見てしまう。そのことで、アンディを若者が脅して金を揺するも、持病の喘息のお蔭で死亡。それに、その若造がそのことをトーにも電話で話ていたので、ラストのトーに脅されるアンディの苦悩。

しかし、神は見捨てなかった、トーがアンディの車で逃亡しようと走っていくも、寸でのところで横から来たトラックに撥ねられて死んでしまうという展開も、出来すぎているような感じがしてならない。
それでも、最後まで見応え十分で、ここまでアクションしなくてもというくらいに、銃撃戦と車の破壊が凄かったです。
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駆込み女と駆出し男 ★★★★

2015年05月18日 | アクション映画ーカ行
劇作家・井上ひさしが晩年に11年をかけて執筆した時代小説「東慶寺花だより」を映画化。江戸時代に幕府公認の縁切寺であった東慶寺を舞台に、離縁を求めて寺に駆け込んでくる女たちの聞き取り調査を行う御用宿の居候が、さまざまなトラブルに巻き込まれながら訳あり女たちの再出発を手助けしていくさまを描く。『クライマーズ・ハイ』、『わが母の記』などの原田眞人監督がメガホンを取り、主演は大泉洋。寺に駆け込む女たちを、『SPEC』シリーズなどの戸田恵梨香、実力派の満島ひかりらが演じる。

あらすじ:江戸時代、幕府公認の縁切寺として名高い尼寺の東慶寺には、複雑な事情を抱えた女たちが離縁を求め駆け込んできた。女たちの聞き取り調査を行う御用宿・柏屋に居候する戯作者志望の医者見習い・信次郎(大泉洋)は、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも男女のもめ事を解決に向けて導き、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていくが……。

<感想>原作の時代小説「東慶寺花だより」を読んでから観賞しました。江戸末期の天保の改革という極端な締め付け制作が実施されていた時代。ささやかな娯楽を取り上げられた庶民の鬱屈もたまっていることを、アバンタイトルで一気に伝えている。説明シーンにありがちなまどろっこしさは一切ない。気付いたら、主役の一人であるお吟の物語へと招き入れられている。この導入部だけでもこの映画はただものではないことが分かる。

現代とは違い、江戸時代の離婚は男性側から申し立てるもので、女性の側から求めることはできなかった。だが、そんな女性たちの救済措置として全国で2カ所のみ(鎌倉の東慶寺、群馬の満徳寺)、江戸幕府公認の「縁切寺」が存在した。離婚を望む女性がそこへ駆け込めば、御用宿の離縁調停人の聞き取り調査を経て、夫との示談がまとまらなければ寺入りに。俗世と隔離されて2年を過ごせば、晴れて離婚が成立するというシステムがあった。(資料より)

中でも、主役のお吟には満島ひかりが、眉を剃りお歯黒でもそれは美しい。そして、もう一人主役となるのが、語り部と戯作者志望の医者見習いの信次郎を演じている大泉洋である。この役者さんのいつもTVで見ている通りの、口八丁手八丁に立ち回り、軽妙なるハイテンションな仕草のこなし方で見せる熱演には感心しました。

それに、脇役といえど、御用宿・三代目柏屋源兵衛、離縁調停人を演じた樹木希林さんの年期の入った演技の巧さと存在感にいつもながらに感服しました。

その他にも、じょごの戸田恵梨香、堀切屋の主人の堤真一、東慶寺を仕切る法秀尼を演じているのは誰なのか?、・・・元宝塚の陽月華の妖艶さもいいですよね。実は彼女は秘密の部屋で、・・・隠れキリシタンだったということも。

とにかく登場人物たちの多くが立て板に水のごとくもの凄い勢いでしゃべりまくるのだ。主な舞台は離婚を望む女たちが唯一自ら離婚できる場所、鎌倉にある駆け込み寺の東慶寺。そこへ駈け込んでくるお吟をはじめとして、幾人もの女の哀しい物語が交錯しながら語られるのだ。堀切屋の主人とお吟の関係には、小説と違うので、どうしてお吟が東慶寺へ来たのかという理由に涙が零れます。

江戸時代に生きる女たちの姿が、強く美しく生き生きとして描かれているのがいい。駆け込み寺に行くのも、女にはとても勇気が必要だったと思うし、お金もいるのだ。特に印象的だったのが、浮気と仕事をしない夫を持つ刀鍛冶のじょご。始めは心に傷を負い、頑な心を閉ざしていたのが、物語が進むにつれて女性としての輝きを取り戻していくところ。彼女の女としての芯の強さを感じ、とても素敵でした。演じている戸田恵梨香の時代劇初めてだというのが信じられないくらいに、じょごの話す方言も上手でアクセントとなっている。

とにかく笑いがそこかしこに散りばめられており、医者見習いの信次郎が、東慶寺に診察に行くと、男を2年間見ていない女たちが物珍しさに覗き見をする場面と、「女性の顔を見てはならない、触ってもダメ」と言う、触診、視診不可での女性診察シーンには大いに笑わせてもらった。

それに、駆け込み女が想像妊娠をしたらしい場面では、どうやら信次郎の子供を身籠ったというのだ。みんなの立ち会いによる診察の場面では、大慌ての信次郎の様子が面白おかしくて、観ていて笑いが込み上げてきますから。
東慶寺の中では、2年の間に、下働きの女は台所仕事にお針子と、そして剣術に弓矢、なぎなたの稽古と余念がない。もしかして、夫や男どもが女房たちを取り戻しに来た時に備えてと、本当に男が乱入して来た時には、女性たちの戦いぶりも見事ですから。
そして、皆が、機関銃のように喋るリズミカルな流れには感心しきりです。セリフのテンポの良さには、この映画の様々な箇所に影響を与えていると思う。
女性が自由になれなかったり、苦しんだり、自分の生き方を改めて見つめ、本当の幸せとは何かと、いつの時代にも夫婦の有り方は簡単ではない。現代に於いても、夫の虐待や言葉の暴力、モルハラなどに耐えている女性たちにとっては、泣き寝入りなんてしないでこの映画を見て、勇気を持ってもらいたいと思いましたね。
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ラン・オールナイト ★★★★

2015年05月17日 | アクション映画ーラ行
「アンノウン」「フライト・ゲーム」のジャウマ・コレット=セラ監督が、リーアム・ニーソンとの3度目のタッグで贈るクライム・アクション。息子を守るため、親友である組織のボスを敵に回すことになった殺し屋の壮絶な逃亡劇を描く。共演はジョエル・キナマン、エド・ハリス。

あらすじ:ニューヨークのブルックリン。親友でもあるマフィアのボス、ショーンに長年仕えてきた殺し屋ジミー。そんな父親を毛嫌いし、距離を置いて生きる一人息子のマイク。クリスマスの夜、彼は運悪く殺人現場を目撃してしまい、犯人から命を狙われてしまう。そんな息子の窮地をジミーが救う。
しかし彼が返り討ちにした相手はショーンの息子ダニーだった。それを知ったショーンは、ジミーに対し“お前もマイクも両方殺す”と宣言すると、配下のギャングばかりか、買収した警察官や凄腕の暗殺者までをも動員して、徹底したジミー親子狩りに乗り出す。街中が敵となる中、マイクを守りながら決死の逃亡を繰り広げるジミーだったが…。

<感想>今や怒れる親父アクション俳優と言える、リーアム・ニーソンの見応え十分、てんこ盛りアクションものです。今作でも最強のオヤジっぷりを発揮のリーアム。地下鉄駅校内の肉弾バトルから、NY市街でパトカーを追撃するという前代未聞のカーチェイスに、極めつけは団地一棟を舞台にした大爆破と、一秒たりとも目が離せませんから。

マフィアから愛する息子を守って、NYの街を駆け抜けるスリリングな逃避行をする、主人公ジミーに扮しているのだが、年老いた殺し屋という役どころ。これまで演じてきた「96時間」シリーズのストイックなプロフェッショナルぶりとはうって変って、過去を悔いながら酒に溺れるダメ親父を演じている。そんな人間臭いところも本作の魅力ですね。

また、殺人の濡れ衣を着せられて、共に逃亡する息子マイクには、リメイク版ロボコップで主演を演じたジョエル・キナマンが。そして、かつては盟友でありながらジミーと対峙するマフィアのボスには「アポロ13号」のエド・ハリスという、オスカーノミネートのキャリアを持つ名優の共演が、単なるアクションを超えて人間ドラマに厚みを加えている。その他には、ショーンの息子のダニーには「ゴーン・ガール」や「ザ・ホスト 美しき侵略者」に出ていたボイド・ホルブルックが、ジミーの伯父にニック・ノルティが、ジョン刑事にはヴィンセント・ドノフリオが。

自分の息子を救おうとして、ボスの息子ダニーを殺害してしまった父親のジミー。ところが、ダニー殺しの疑いをかけられ、警察に捕まったマイクをパトカーから助けだし、2人は裏社会の顔役であるショーンを敵に回したことで、誰一人味方のいないNYからの脱出を図るのだ。
街中は見渡すかぎり敵だらけのジミー、マフィアの魔の手は警察内部にも、殺人の濡れ衣を着せられたジミー親子は、警察に出頭することも不可能。さらには、ボスの命を受けた最凶の殺し屋プライスが彼らを始末しようと乗り込んでくるシーン。

マイクが殺しの現場に巻き込まれてるのを、目撃した少年が住んでいるアパート。そこは、多くの住民が生活する巨大なアパートで、証人としてその少年を見つけようとジミーとマイクが現れるのだが、ジミーたちを発見した暗殺者・プライスが彼らを始末しようと乗り込んでくるシーンで、住民たちの避難に紛れて、ジミーたちも逃走しようと試みるが、暗視ゴーグルをつけたプライスに追い詰められてしまう。ジミーはどうにか息子を逃がす時間をかせぐため、プライスを挑発し、ベランダの手すりを利用して下の階層まで移動するというまさかの別ルートでその場を回避することに。

それが、住民が台所のガスを付けたまま非難したために、引火してガス大爆発が起こる。その一室でのジミーと殺し屋との格闘技、殺し屋の顔面を焼け付いた鉄板に押し付けるジミー、顔半分に火傷を負いながらも執拗に負ってくる殺し屋。

そして、カーチェイスのシーンでは、実際に車の衝突事故を起こして撮影されていることがわかった。内容は96時間 レクイエム96時間/リベンジと被っているようにみえたが、こちらは、幾多の修羅場を共にくぐり抜けた仲のジミーとショーンという、年老いた男の物語。

友情がテーマでもあるが、父親と息子の関係を描いているのが実にいい。そこに、更に強烈なアクションが加わっていている。

貨物列車の構内での決闘シーンに、ジミーがショーンに勝と分かっていても、和解することなく決着が付いてしまうことに、織り成す男の友情と憎しみを感じる物語でもあります。

ラストの執拗に負ってくる殺し屋のプライス。今まで息子に迷惑をかけていた父親の最後の詫びとでも言うのか、リーアム爺さんの活躍で、湖畔の林の中で息子家族を守って自分は死ぬという最期に、めちゃくちゃかっこいいリーアム爺さんにグットきました。
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スガラムルディの魔女 ★★★

2015年05月16日 | DVD作品ーさ行
『気狂いピエロの決闘』などで熱狂的な支持を集めるスペインの鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督が放つ異色作。強盗計画を実行して逃亡中に魔女伝説の地として有名なスガラムルディに迷い込んだ強盗団が繰り広げる決死の脱出劇を描き、スペイン版アカデミー賞とも呼ばれるゴヤ賞を席巻した。『アイム・ソー・エキサイテッド!』などのウーゴ・シルバ、『灼熱の肌』などのマリオ・カサス、過去のイグレシア監督作品に出演経験のあるカルメン・マウラらが出演。
あらすじ:失業した揚げ句妻ともうまくいかなくなったホセ(ウーゴ・シルバ)率いる強盗団
は白昼堂々宝飾店を襲撃、ホセは息子らと共に偶然通りかかったタクシーに飛び乗り逃げる。パトカーの追跡をかわすうちに道に迷ってしまった一行は、魔女伝説が伝わるスガラムルディ村にたどり着く。人食い魔女たちの洗礼を受ける中、強盗団を追ってきた者たちも加わり魔女軍団と人間の壮絶バトルが始まり……。

<感想>昨年の11月22日に公開された、スペインの監督作品で1本目の「刺さった男」は、コロッセオでノデモクラシーとスペクタルの二千年の闘争を、一夜に凝縮した物語も抜群に面白かった。そして2本目が「スガラムルディの魔女」。地方では上映されずに残念だったが、早くもDVDレンタルできるとは嬉しい限りです。

ですが、バッドテイストの趣味が合わない人は、受け付けない映画だと思います。とにかく、冒頭はキリスト教国スペインの、マドリード市街。十字架を背負ったイエスに扮した男なのだが、全身ゴールドに塗りたくっており、グリーン色の兵士と、ミニーマウスとスポンジ・ボブが、銃と車で宝飾店を襲撃する。
迎えの車が逃走したために、タクシーを強奪して辿り着いたのが、バスク地方の魔女たちの村、スガラムルディ。

懐かしいB級映画を見ている気分を高め、無声時代からのSF映画を彷彿とさせ、クライマックスでは、まるで「進撃の巨人」に出てくるような巨人の人食いおばさんが、裸でグロテスクなことといったら。これは特撮シーンで、ここまでするかと驚くやら呆れるやら。
それにしても、ラテンの肉食系女性のグロテスクさは怖いですよね。彼女たちは群れをなして、強盗団を追いかけてきた刑事2人に、強盗団とタクシーの運転手に乗客という弱い男たち相手に襲いかかるのですから、悪夢ですぞこれは。

21世紀の映画であることを思い出させるのは、その巨人、人食い女の扱い。今や、男ってダメなの、と見切った女たちは魔女なのかもしれませんね。監督は男性で、魔女の一人妖艶なエバが監督の妻ですから。この黒タイツの女優さんです。
ラストでは、魔女たちの生贄にならずに脱出する男たちが描かれて、追いかけてくる魔女軍団との攻防戦も笑えますから。
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