パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ジョーカー★★★★

2019年10月17日 | アクション映画ーサ行

いわゆるアメコミが原作の作品としては史上初となるヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞の快挙を果たした衝撃のサスペンス・ドラマ。DCコミックスのバットマンに登場する最強最悪の悪役“ジョーカー”に焦点を当て、コメディアンを夢みる心優しい男アーサー・フレックが、いかにして社会から切り捨てられ、狂気の怪物へと変貌を遂げていったのか、その哀しくも恐ろしい心の軌跡を重厚な筆致で描き出す。主演は本作の演技が各方面から絶賛された「ザ・マスター」「her/世界でひとつの彼女」のホアキン・フェニックス。共演にロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ。監督は「ハングオーバー」シリーズのトッド・フィリップス。

あらすじ:大都会の片隅で、体の弱い母と2人でつつましく暮らしている心優しいアーサー・フレック。コメディアンとしての成功を夢みながら、ピエロのメイクで大道芸人をして日銭を稼ぐ彼だったが、行政の支援を打ち切られたり、メンタルの病が原因でたびたびトラブルを招いてしまうなど、どん底の生活から抜け出せずに辛い日々を送っていた。そんな中、同じアパートに住むシングルマザーのソフィーに心惹かれていくアーサーだったが…。

<感想>笑い声と共に、悪のカリスマがやって来る。第76回ヴェネチア国際映画祭で堂々の金獅子賞受賞。最大級の評価を受けた要因は、作品としての完成度のほかに、アーサー役を担ったフェニックスの演技も挙げられるだろう。苦悩や問題を抱えた内面だけでなく、彼が20キロの減量に成功し、痩せさらばえた肉体などを徹底的に表現したその姿は、鬼気迫るものがあった。

映画オリジナルの解釈で、悲しい宿命を背負ったとあるピエロが、ジョーカーへと変貌していく過程を描き出していた。極限の役作りをしたホアキン・フェニックスが、世の中に虐げられていた道化が、絶対的な悪となるまでを圧巻の演技で体現していた。

映画版での歴代ジョーカーでは、「バットマン」でのジャック・ニコルソン、「ダークナイト」でのヒース・レジャー。特にヒースのは最高だった。入魂の役づくりでジョーカーのこの上なく不気味で生々しい佇まいや、喋り方体得して、史上まれに見る悪役映画を遺してこの世を去った。

治安の悪化と腐敗が進むゴッサム・シティの片隅の汚いアパートで、病身の母親と暮らしている低所得者のアーサー。2人の楽しみは人気コメディアン、マーレイのTVショーを見ること。母親からは、「どんなときも笑顔で人々を楽しませなさい」と言う母の言葉を胸にして、アーサーもコメディアンとして大成することを夢見ているが、生活は苦しく不運続き。

母親は、かつて町の大富豪で市長選への出馬が噂されているトーマス・ウェインの下で家政婦として働いていた。母親は、その縁を頼って資金援助を求める手紙を送る続けるが、返事が来ることはなかった。母親が言うには、「貴方はトーマスの子供よ」と言うのだ。

それを信じて、トーマスの屋敷に行くアーサーは、門の前で屋敷の主人トーマスに、母親の妄想癖があることと、精神状態がおかしいと言われて、アーサーが自分の息子だとは絶対に言わない。それに、アーサーが子供のころに母親からの虐待を受け、食事も食べさせられなくて、母親が子供の虐待で捕まり精神病院へ入っていたこと。自分は母親の養子で実の子ではないことと、児童施設へ入ったことなども聞かされる。

アーサーは今までに母親からの虐待などを、覚えてないのか、思い出したくもないのか知らないが、ピエロの扮装をしてサンドイッチマンをして働き、食事もあまり食べずに、母親の食事を買って食べさせているのだ。どう見てもアーサーは、親孝行な息子だと見えるのだが。

アーサーの精神状態も、子供のころから虐められて卑屈な性格になり、いつも笑った顔してにやけているのだ。だから、他人には、バカにしているようにしか見えない。性格的に問題もあり、情緒不安定のせいか、いつも落ち着かない。でも、ピエロの恰好をしてダンスを踊る姿は、とても楽しそうに見えた。

弱者を切り捨てる市政憤慨するアーサー、自分の精神の病で通っているカウンセラーの施設が、市の予算削減で閉鎖されるなど、ピエロの仕事でも、病院で子供にピエロの扮装をして、手品を見せたり踊ったりして人気があったのに、友達から自衛のためだとピストルを貰い、その病院でポケットに入れていたピストルが飛び出してしまい、子供たちが怯えてしまい、仕事もクビになってしまう。

それに、帰りの地下鉄でも、スーツ姿の会社員たちに、ピエロのメイクを笑わられてしまうアーサー。ついに、怒りが爆発してキレてしまい、その若い男たちをピストルで撃ち殺してしまうのだった。

そんな時に、同じアパートのシングルマザーのソフィーに心を惹かれ仲良くなる。彼女は彼にとって唯一の心を許せる存在となったのに。

その殺人事件のニュースは、狂気のピエロが現れたとゴッサム・シティを駆け巡る。しかし、現状に不満を抱く一般市民たちは、突然現れたこの怪人は、体制や富裕層に挑むシンボルとして高い支持を集めてしまう。

すると、町中にピエロの仮面をかぶった群衆が現れて、デモ活動を繰り広げて盛り上がるのだった。アーサーは自分の想像しないところで、ピエロ顔のアーサーが英雄となっていたことを知る。喜んでいいのやら、よく考えれば分るのにね。だが、警察の捜査網は着実に、アーサーが犯人であることに、迫りつつあった。

それで、アーサーは追い詰められ、再びピエロの姿となってある行動を起こすのだ。警察官も拳銃で撃ち殺すし、そんなアーサーに、TV局から電話でマーレイのショーに出演しないかと誘われる。嬉しいよね、念願のTV出演だもの。TVに出たはいいが、アーサーは、とんでもないことを口走り、そこでも怒りを爆発させてマーレイをピストルで撃ち殺してしまう。

母親が心臓発作で救急車で運ばれて入院し、そこには、愛する恋人ソフィーが母親の傍に付いていたのに、罪もない彼女さえ怒りの矛先を向けるし、母親にも、幼いころの虐待を思い出したのか、クビを絞めて殺してしまう。

バットマンの幼いころの姿として、トーマス・ウェイン夫妻と息子の姿も描かれ、両親がアーサーに銃殺されるところが描かれる。茫然として、両親の亡骸の前に立っている子供の頃のバットマンの姿があった。トーマス・ウェインが辿る悲惨な末路も原作にリンクする。ちなみに、本作では、幼いころのブルースも登場し、アーサーのジョーカーとの接点も描いていた。

そして、役づくりの鬼として知られる名優ロバート・デ・ニーロの共演も忘れられない。アーサーが憧れるテレビ司会者、マーレイ・フランクリンに扮し、さすがに偉大な存在感でアピールしていた。

この映画は、ホアキン・フェニックスの演技を見るための映画だといっても過言ではない。肩の骨が浮き出るほどに痛々しく痩せて、暗い瞳には小さな光も見いだせないようにすら見える、この映画の彼のすべてをじっと見守りたい。限りなく繊細で卓越した彼の表現方法と、存在の仕方をこの目でしっかりと見届けようではないか。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・154  アクション・アドベンチャーランキング

 

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真実 ★★★・5

2019年10月15日 | アクション映画ーサ行

前作「万引き家族」がカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた是枝裕和監督が、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、日仏合作で撮り上げた家族ドラマ。国民的大女優とその娘が、母の自伝本出版をきっかけに、改めて自分たちの過去と向き合っていく愛憎の行方を繊細かつ軽妙な筆致で綴る。共演はジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ。

あらすじ:フランスの国民的大女優ファビエンヌが、『真実』という名の自伝本を出版することに。海外で脚本家として活躍している娘のリュミールは、人気テレビ俳優の夫ハンクと娘のシャルロットを伴い、パリ郊外のファビエンヌの屋敷を訪ねる。お祝いの名目でやって来たリュミールだったが、気がかりなのは本の中身。事前に原稿チェックができなかった彼女は、さっそく出来上がったばかりの『真実』に目を通す。翌朝、リュミールが苛立ち紛れに内容のデタラメぶりを非難すると、“真実なんて退屈なだけ”と平然と言い放つファビエンヌだったが…。

<感想>「ママ、あなたの人生 嘘だらけね」国民的大女優が発表した自伝本。そこに綴られなかった母と娘の物語とは――。カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた是枝裕和監督が、フランスの大女優であるカトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、そして、娘役にはジュリエット・ビノシュと、素晴らしく豪華なキャスティングであり、これはすぐに観に行かねばと思った。あいにくと、恐るべき大型台風19号が上陸し、千葉、東京、長野、そして私が住んでいる仙台も甚大な被害にあった。12,13日と交通機関が全面ストップ状態で、映画館も休館になったのだ。

14日にやっと鑑賞したのだが、映画館は何処も満員状態。字幕で鑑賞でしたが、大御所のカトリーヌ・ドヌーヴの圧巻の演技と、控えめなジュリエット・ビノシュの娘の演技に見とれてしまった。それに、マノン役のマノン・クラベルに見惚れてしまったくらい魅力的でした。

母親が書いた自伝の「真実」の内容は、娘のことも詳しく描かれていたようで、娘は一番の被害者のようでしたね。結婚相手のTV俳優の役のイーサン・ホークのことを、「あなたたち上手くいっているの」なんて冷たくいうし、早朝に2人が抱き合って裸で寝ている寝室に、ノックのなしに平気で入って来る母。庭でイーサンが娘のシャーロットと楽しく遊んでいるのをみて、羨ましくもあり眉をひそめるのも、自分は夫と上手くいかなかったので。娘には幸せな家庭を作って欲しいと思ったようですね。

それに、父親は死んだことになっていたし、40年間も務めていた秘書のリュックのことが、一行も描いていないと文句を言う娘。後で、その秘書のリュックが辞めることになるとは。そのことを、母にもっとリュックを大事にしなさいと、戻って来るようにと助言する娘。

本音を描いてないと突っ込む娘に、本というものは、「あからさまに日常のことを、本当に描かなくてもいいのよ」と、母親があっさりと逃げ切るところ。

ところが、自伝の中では、死んだはずの父親が、別れてしばらくになっているのに、元妻が自伝を書いたと言うので、自分のことも書いているはず、だから幾らか金を貰いたいと来たのだ。まるで無視をして、言葉もかけずに知らんふりをしている母。

さらに、劇中劇での母親が出演しているSF映画「母の記憶に」のことで、不治の病にかかった母親が、娘を見守るために宇宙船に乗って不老の身となり、歳を取っていく娘(ファビエンヌ)を見守る下り。母親はいつまでも歳を取らずに、娘は母よりも老いて母と会い続けると言う設定なのだ。

「真実」が映画の主題であるが、「母と娘」というのも大きな主題だったことに気づく。結局は老女優の母親ファビエンヌと、その娘リュミールの物語になっていた。だが、二人が仲のいいシーンもある。母が「ヒッチコックの映画に出ることになってたのよ」というファビエンヌの言葉に、娘と母が「サイコ」のあの名シーン、シャワーでのシーンを真似する大女優のお二人さん。

娘リュミールは長年の間、母を超える名女優とされた、今は亡きサラという女優を思慕していたのだ。後から聞かされる話で、母が卑劣な方法でサラの役を奪ったことを、今でも許していない娘。

それに並行して描かれるSF映画「母の記憶に」での、ファビエンヌの母親に扮する女優のマノンと、ファビエンヌの母と娘の物語でもある。女優マノンは、サラの再来と言われる新進の女優さん。この母娘関係は、サラとファビエンヌをめぐる隠れた主題でもあるのだ。母が忙しくて構ってくれなかった時に、いつもサラが優しく遊んでくれたことも、リュミールにとっては忘れられないのだった。

劇中映画の「母の記憶に」を撮影している間、ファビエンヌは、サラへの嫉妬と自負と負い目、それが、マノンへの意地悪として噴き出てしまう。とにかく、大女優ファビエンヌは、わがままで気位の高いのが玉にキズです。この絡み合ったそれぞれの物語を、とにかくも見事に集結に持っていく構成。

SF映画「母の記憶に」の、母と娘の和解のシーンは、お互いに最高の演技のシーンとなって、マノンはファビエンヌに礼を言いに来るのだ。マノンもまたサラの亡霊に悩まされていたのだった。

マノンが帰った後に、母と娘のリュミールも和解の時を迎える。父が子供の頃に作ってくれた段ボールの家、「オズの魔法使い」の舞台を再現している。リュミールが、いつも学校の行事にはパパだけで、ママは忙しくて来てくれなかったと言う。そのことに対して、実はこっそりと観に行っていたという母親。

それに、「ヴァンセンヌの森の魔女」の魔女役を引き受けたのは、リュミールがいつも寝る時に、サラにその絵本を読んでもらっていたことに嫉妬をして、魔女役を引き受けたことを告白する母だった。

ラスト近くでのこのシーン、母娘がしっかりと抱き合って、今までのわだかまりが消えてゆくシーン。すると母が言うのだ「どうしてマノンとはこのように出来なかったのか」と、いきなり取り直しをすると言い出すのだ。

それに、孫のシャルロットが祖母に言う言葉が「お婆ちゃんに宇宙船に乗って欲しいの。私が女優になったのを観て欲しいから」と。その孫の言葉に嬉しそうに微笑むヴァンセンヌ。娘が脚本家になり、孫が自分のDNAを引き継いで女優になってくれることを、嬉しくて微笑んだのですね。

 

だが、裏ではシャルロットが戻って来て、母のリュミールが「どうだった」と母の反応を聞く。娘のシャルロットが、「お婆ちゃん、とても喜んでいたわ」と。実は娘に頼んで、母親に喜んでもらおうと脚本したことなのだ。これって「真実」なのと、シャルロットが母のリュミールに聞く。嘘が本当になり、本当が嘘になる。でも、家族ですもの、嘘も真実も許してくれるはず。女優の物語を劇化すれば、これは当然の成り行きでしょうね。

 

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3人の信長★★・5

2019年10月13日 | アクション映画ーサ行

TAKAHIRO、市原隼人、岡田義徳が敵方に捕まった3人の織田信長を演じる時代劇エンタテインメント。共演に高嶋政宏、相島一之、前田公輝。監督は「HiGH&LOW THE MOVIE」シリーズの脚本を手がける渡辺啓。

あらすじ:金ヶ崎の戦いにより敗走中の信長が今川軍の残党に捕まってしまう。ところが捕らえられた信長は3人もいた。しかも3人とも本物を守ろうと、我こそは本物の信長だと猛アピールする始末。万が一影武者の首を討ち取るようなことがあれば、今川家はいい笑いものになってしまうと、一味を束ねる蒲原氏徳は、本物の信長を見定めようと、あの手この手で3人に迫っていくのだったが…。

<感想>命がけの嘘つき合戦はじまる。コメディでしたが、もう何も考えず見ることです。亡き今川義元の墓前に討ち取った信長の首を供えるのが、家臣たちの悲願。 しかし影武者の首と合わせて3つだなんて、末代までの恥となってしまう。3人ともに拷問シーンみたいなところも有るのですが、 されど「我こそが信長だ」と主張する3人は、背格好が似ているし、性格も噂通りのうつけ者。 いったい誰が本物で、誰が影武者なのか? 前代未聞の嘘つき合戦が始まります!

それにだ、信長に敗れた今川の元家臣たちは、誰もが本物の信長の顔を見たことが無い人ばかりで拉致があかないのだ。それに、捕らえられた信長の3人とも、いかにもな影武者たちばかりで、自分がホンモノと名乗る立派な武将ばかり。

家臣たちは信長の首を斬って、亡き主君の墓前に捧げなければならないのだから。家臣たちは、本物の信長が誰なのかを巡って悪戦苦闘を強いられる。

だが、本物の信長が誰だかわかったとしても、それが何だと思ってしまう。史実でも何でもないトンデモ設定ならば、トンデモもないカラクリや、トンデモない結末が観たいのに、実に無難なまとめ方をしていた。

実際には、本物の信長は、農民のような服装でその村に出入りしていたわけで、初めからもしかして、「あの農民のような人物がホンモノじゃない」というような伏線を見せていた。だが、3人の影武者に絞っており、服装も佇まいも絶対に俺が信長だと言い切るので、どうしようもなかった。

それに、一人だけ信長の顔を知っているという家来の中にいたのだが、そいつが中々現れずに、最後までこの3人の中にホンモノがいると決めつけていた。

俳優たちも、それなりに知っている俳優たちで、TAKAHIROくんを目立たせようとしていたが、特に市原隼人が良かった。3人の信長たちも本物を守るため「我こそが信長だ」と猛アピール。3人の信長と元今川軍の侍たちは、翻弄し、翻弄される謀略合戦を繰り広げる。

時代劇というよりもアクション映画のように、ギラギラ、ザラザラとした画質。イラストを使った時代背景のわかりやすい説明など、史実に「あったかもしれない」という自由な発想の物語と、すぐに本題に入るスピーディな展開。それに、3人のさりげなくモダンな衣裳と、キャスティングはもちろんのこと、時代劇に慣れていないという観客層を、楽しませたい意欲は感じられた。笑ったのが、信長は猫嫌い(アレルギー)で猫が近くにいるとくしゃみをするという情報を得る。しかし3人ともが猫アレルギーだといい、くしゃみをはじめる。

人里離れた廃村を舞台に限定しており、それは予算の関係があるのかもしれないが、その分脚本のハードルは確実に上がっていると思ったのに、そうでもなかった。この作戦が功を奏しているかといえば、正直微妙。そのアイデアがいささかショボイのだから。

3人の信長を捕らえた側の根拠は復讐なのだが、彼らが信長に負けたことでいかに悲惨な目に遭ったかが、感じられないので動機が弱すぎる。そもそも3人とも斬ってしまえばいいではないかと、思わせる時点で負けだろうに。

ラストで、本物の信長が家来を引き連れて、3人の影武者たちを助けに来る。ホンモノの信長の顔をしっかりと見据えて、高嶋政宏扮する“蒲原氏徳”は、どうにも歯がゆいばかり。情けない話でありますが、おまけの映像で、高嶋政宏が信長の影武者になるという映像もあった。髭を剃らなければだめだと言うのに、このままで影武者をやると頑張る高嶋政宏

 

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存在のない子供たち★★★★・5

2019年10月10日 | アクション映画ーサ行

女優としても活躍し、長編デビュー作「キャラメル」で高い評価を受けたナディーン・ラバキー監督が、祖国レバノンを舞台に、貧しい両親のもとに生まれた少年の過酷な境遇と不条理な運命を描いた衝撃の社会派ドラマ。キャストには主演のゼイン少年をはじめ、ほぼ役柄と似た境遇の素人が起用され、3年におよぶ綿密なリサーチから生まれたリアルかつ衝撃的な物語が描かれていく。

あらすじ:ベイルートのスラム街に暮らすおよそ12歳の少年ゼイン。両親が出生届を出さなかったため、正確な誕生日も年齢も知らず、書類上は存在すらしていないという境遇に置かれていた。貧しい両親はそんなゼインを学校に通わせる気などさらさらなく、大家族を養うために一日中厳しい労働を強いていた。辛い毎日を送るゼインにとって、かわいい妹の存在が唯一の心の支えだった。ところがある日、その妹が大人の男と無理やり結婚させられてしまう。怒りと無力感に苛まれ、絶望したゼインは家を飛び出し、街を彷徨う。やがて赤ん坊を抱えたエチオピア人難民のラヒルと出会い、子守をすることを条件に彼女の家に住まわせてもらうゼインだったが…。

<感想>両親を告訴する。僕を産んだ罪で。「存在のない」ってどういうこと、出生届をだしていない無国籍の難民のこと。難民であふれるレバノンやシリアでは相当数の「存在のない子供」がいるらしい。この映画の舞台は中東の貧民窟。少年が刑務所に収監中の12歳ぐらいの少年が、弁護士を代理人として裁判を起こす。僕を生んだ罪で両親を訴えたいと。両親と兄弟姉妹と暮らすこの少年は、學校へも行けず一日中働かされている。

その内、少年は家を出て行き、エチオピア系移民のバラックへ行き着く。そこでよちよち歩きの乳幼児の世話を任されることになる。ゼインを救ってくれたエチオピア移民のシングルマザーもまた、身分証がなく底辺の生活をしていた。親を捨てた子供が、今度は子供の保護者となった。救いようのない親に生まれながらも、ゼインは人種の違う小さな赤ん坊を必死に守る。それは、近くにいる悪い大人の男たちが、赤ん坊を狙って拉致して、売りさばこうとするからだ。

その母親も身分証がないために、街へ出て働くことができない。直ぐに移民局に捕まってしまう。強制送還させられるのだ。赤ん坊はどうなるのか、暫くは児童相談所みたいなところで一時預かりになるのだろう。その方が、食べ物と寝るところがあるからいい。

 

移民、児童婚、不法労働など、さまざまな社会問題が描かれるのだが、貧困ゆえに戸籍を持てず、身分が証明されないから、教育も受けられず貧困から抜けられないスパイラル。しかし、両親は働きにもいかないし、1日中汚い狭い部屋に寝ているのだ。

この映画は、自分ごとのようにそれらの問題を肌で感じさせる強い力があった。なぜならば、ナディーン・ラバキー監督が演じた弁護士役以外は、すべて物語と似た境遇の実際の難民であるということも驚きだ。怒りや絶望に満ちた眼差しは演技ではなく、本物なのだから。救いようのない親に産まれながらも、ゼインは必死に生きようとする。

少年が乳幼児の世話をしながら絶対的な飢餓という極限状態の中で、必死に生きる姿を捉えた映像には言葉もない。資金がないため出生届けを出されずに、戸籍を持たない子供たち。朝から晩まで路上で働かされ、ゴミ溜めのような部屋で両親と大勢の兄弟と暮らす。食べるものもないのに、子供ばかり増えるのだ。生活のため、11歳の妹は強制結婚をさせられる。

つまり、妹が初潮を迎えて女として大人になったと言う証拠があり、それで、両親は大家に娘を金で売り飛ばすということだ。売られた娘は、売春宿や臓器移植のために利用される。両親は、哀しみもせずに生きるために子供を売り飛ばすのだ。

ゼインはまだ大人ではない、遊園地の観覧車に乗って、夕日を見た大人びた横顔。もう片方の横顔の表情に想いを寄せる。少年は学校へも行ってないのに、12歳で自分の未来のため、残して来た兄弟のために両親を訴えるのだ。少年の素直さを大切にしなくては。この世界から希望は消えてしまう。ゼインの訴えに裁判長が下す判決は、・・・。

ただこれはドキュメンタリーではなく、劇映画だという形をとっている点に、いささかの違和感を覚えるのは私だけではないだろう。つまり、そこにある現実を忠実にそのまま記録するというドキュメンタリーと、その現実に手を加えて記録するセミドキュメンタリーやドラマの違いといったらいいのか。

平和な日本には、なじみの薄いものが多い。それでも他人事とは思えないのが、「育児放棄」や「幼児虐待」で罪のない子供が死んでしまう。そのニュースが後を絶たない日本の現実と、呼応するドラマでもあるからだろう。

 

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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢★★★・5

2019年10月08日 | アクション映画ーサ行

スウェーデンに実在する男子シンクロナイズドスイミング・チームをモデルに描き、本国フランスで大ヒットしたヒューマン・ドラマ。それぞれに中年の危機を迎えた8人の負け組おじさんたちが、シンクロナイズドスイミングで世界を目指すことで自信を取り戻していく姿を描く。主演はマチュー・アマルリック、共演にギヨーム・カネ、ブノワ・ポールヴールド、ジャン=ユーグ・アングラード。監督は俳優としても活躍するジル・ルルーシュ。本作が初の単独監督作となる。

あらすじ:2年前からうつ病を患い、会社を退職して引きこもり生活となり、家族からも冷たい視線を浴びるベルトラン。子供たちに軽蔑され、義姉家族からも嫌味を言われる日々をどうにかしたいと思っていたある日。地元の公営プールで“男子シンクロナイズドスイミング”のメンバー募集を目にした彼は、思い切ってチームに参加することに。久々にやる気を取り戻したベルトランだったが、メンバーは妻と母親に捨てられ不満だらけのロランや、奥手で内気なプールの従業員ティエリー(フィリップ・カトリーヌ)ら、ミュージシャンになる夢が捨てきれないシモンをはじめ、いずれも悩み多き中年の負け犬オヤジばかりだった。それでも元シンクロ選手のコーチ、デルフィーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)とアマンダ(レーラ・ベクティ)のモラハラすれすれの指導の下、練習に励むベルトランたちだったが…。

<感想>原題は、「シンクロ・ダンディーズ」とかっこいいんです。シンクロチームのメンバーとして集まった8人の中年男性が、再び人生の輝きを取り戻す姿を描く。監督は俳優としても活躍する「ナルコ」のジル・ルルーシュ。出演者が有名な俳優ぞろいですから、「セザンヌと過ごした時間」のギヨーム・カネ、「ニキータ」のジャン=ユーグ・アングラード、「チャップリンの贈り物」ブノワ・ポールヴールド、「バルバラセーヌの黒いバラ」のマチュー・アマルリック等。

観て見ぬふりをしようと努力はしたが、何時の間にか紛れもなく中年のオジサンになっていたマチュー・アマルリックと、ジャン=ユーグ・アングラード。すっかりお腹の出たオヤジ体型。あのナイーブなインテリ青年だったアマルリックが、その悲哀こそドラマのテーマでもあるし、一方ではそれがコメディとして機能しているのだから、さすがです。

主人公演じるアマルリックは、無職で鬱病もち、他の登場人物たちも家庭や仕事場に居場所がなく、美しいとはいえない体型のおじさんばかりだ。そんな彼らが、何故かシンクロチームに夢中になる悲喜劇に、ついにこの私もじんわりと感動してしまった。

さまざまなトラブルに見舞われながらも、元シンクロ選手のコーチ、デルフィーヌとアマンダのモラハラすれすれの指導の下、無謀にもノルウェーで行われる世界選手権への出場を目指すことになるわけ。

最初のトレーニングの光景はひどいものでした。オリンピックの女子チームの振り付け師であるコーチデルフィーヌは頭を抱えますが、3週間後にはこの調子なら目標に到達できる、と語るまでになります。

働けない夫のベルトランに対して、理解ある妻の存在は救いの神ですね。厳しい練習の後は、サウナで一服。ゆるんだ体が愛おしいですよね。

出演者たちは週1・2回のペースで行われた7週間のトレーニングに耐えて、映画の撮影に臨みました。困難な水中から足を出すシーンはスタントマンが演じていますが、主要なシーンは彼ら自身が演じています。トレーニングの際のエピソードは皆が面白おかしく、共演者の才能と努力を讃えるエピソードを語っています。こうして生まれたキャストの連帯感は、映画の中で描き出されていて楽しい。

全員がそれぞれ特技を持っていました。素晴らしいダンサーであるティエリーのフィリップには、恋愛経験ゼロのピュアおじさんで、優雅さがありいつも温厚でチームのマスコット存在。そして、誰よりも居残りトレーニングをしていたロランのギヨームは、怒りの沸点が低いビチ切れおじさん。妻に捨てられ、実母との関係も険悪状態だが、もの凄い努力家であります。

マルキュスのブノワは、現実と向き合えないおじさん。会社経営に失敗するも過去の栄光が忘れられない。でも、怠けているように見えて、実はこっそりとトレーニングをしていました。最も水着が似合っていたのは、ジャン・ユーグですね。トレーラー暮らしで一人娘がいるし、ミュージシャンを目指す夢追いおじさんのシモン。

撮影の舞台裏で一番水着の似合う男、ジャン=ユーグ・アングラードが、熊のように毛深いフィリップ・カトリーヌの背中の毛を、剃ってあげていたと語るマチュー・アマルリック。想像するに、さぞ美しい光景だったのでしょう。

その肉体美を眺めるだけで笑える作品ですが、決してギャグを連発する映画ではありません。実年齢も体型も、どこから見てもオジサンなのが面白い。シチュエーションはコーチにしごかれながら世界選手権を目指すのだが、特訓しても彼らの胴回りは引き締まらなかったのが、映画の残念さをも疑う。

おじさんたち、そしてその周囲の人物もそれぞれ悩みを抱えて生きています。その哀愁漂う姿は、演技派俳優たちが演じる事で見る者の共感を呼び、彼らの活躍が感動と奮起を与えてくれる映画になっていた。フランス映画ならではのポップな色使いも大いに一役買っているのもいい。

この映画は実在するスウェーデンの、男子シンクロナイズド・スイミングチームの活躍にインスパイアされたフランス映画です。

 

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SHADOW/影武者★★★★

2019年10月06日 | アクション映画ーサ行

「HERO」「LOVERS」のチャン・イーモウ監督が、影武者を主人公に描く武侠アクション。強国に領土を奪われ、屈辱に甘んじる小国を舞台に、気弱な王とその意向に反して敵国最強の戦士に決闘を申し出た武将とその影武者、それぞれの思惑が複雑に交錯する中で迎える戦いの行方を、華麗なアクションと映像美で描き出す。主演は一人二役に挑んだ「戦場のレクイエム」のダン・チャオ。共演にスン・リー、チェン・カイ。

あらすじ:時は戦国時代。強大な軍事力を誇る炎国に領土を奪われ20年が経つ沛(ペイ)国。若くして玉座を継いだ王は炎国との休戦同盟によるかりそめの平和を維持することに汲々とし、人々は屈辱的な日々に甘んじていた。そんな中、領土奪還を目指す頭脳明晰で武芸の達人でもある重臣・都督(トトク)が王の命にそむいて炎国最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に対決を申し込む。しかし実際に戦いに臨もうとしていたのは、都督の影武者だった。本物の都督が刀傷がもとで病になったことを隠すため1年前から表に出ていたのだった。決戦に向け、都督とともに傘を武器にした技を磨く影武者。そして、そんな2人を複雑な思いで見つめる都督の妻・小艾(シャオアイ)だったが…。

<感想>影で終わるのか?・・・「人魚姫」のダン・チャオが主演を務める、国王と影武者の二役に挑んだ「三国志」のエピソード「荊州争奪戦」を大胆にアレンジして描いた武侠アクション。頭脳明晰で武芸の達人でもある重臣・都督の妻役を私生活でも夫婦であるスン・リーが演じている。

冒頭からの張めぐらされた緊張感がすこぶる心地がいいのだ。高揚感を刺激するのは、マー・コンウィン美術監督による、美しい世界観なのだ。

水墨画のようなグレーを基調とした世界で、白と黒の対比、主人と影武者、光と影、明と暗、陽と陰など、様々なメタファーでもある映像が際立つのであります。モノトーンのスクリーンに、生々しい真っ赤な血の色、そして、影武者の身体に生気が戻る瞬間が印象的でした。

もうひとつ、本作の特徴は「主人公が影武者である」という点であります。沛国の重臣・都督(ととく)を守るため、8歳で拾われてきた“影武者”。彼は身代わりの運命を呪い、“自由”という光を求めていた。ある時、本物の都督は影武者に、20年前に奪われた領土を奪還するべく、敵国の将軍を討つよう命じる。「勝てば、おまえは自由の身だ」。常に暗闇の底を歩んできた影武者の、生涯をかけた戦いが始まった。

特徴としては、傘を使ったバトルのなかでも、傘地が無数の鋭い刃で作られた“沛(ペイ)の傘”のガジェット感が最高でした。破壊的な矛を操る敵将軍と相対した主人公は、おもむろに沛の傘を構え、じりじりと間合いを詰めていく。呼吸が止まる。あたりを静寂が包み込む。

主人公はこれを、傘地に滑らせることでいなし、返す刀で反撃する。攻守が一体となった流れるような立ち回りを見ると、「傘ってここまで戦えるのか」と口があんぐり開いてしまう。

貝殻のように連結した沛の傘に乗り、コマのように回転しながら窮地を脱するという(いい意味で)狂った場面もある。何の前触れもなく唐突に展開されるため、唖然とさせられ、「こんなシーン、何してるときに思いついたんだよ」とツッコミたくなる。

 

それに、最も斬新な傘のシーンでは、敵国に潜入した少数精鋭の兵士たちが、雨のように降り注ぐ弓矢の攻撃を受けながら、傘の武器に乗って坂道を一気に駆け下りる。数々のユニークなシーンに、心くすぐられること請け合いです。これは、過去のアクション映画でも登場したことのないガジェットであり、発想が本当に素晴らしいですよね。

それにしても、スン・リーの優雅な舞は、時間を止める魔力を持つ効果があるようだ。監督のチャン・イーモウは徹底的にやる性格であり、土砂降りの雨は、ついに降り止まず、墨絵の背景はあくまでも黒と白を重ねて、一切の色彩のほころびを封じ、陽と陰の太極図は、ぐるぐると舞うような武術の傘の形の武具となって、苛烈な美の波動を貫いていた。

ここまで突き抜けた美学で統一されると、観ている側としては息苦しくもなるが、それを最後まで貫き通すから舞台が一種、抽象化されて、人間の感情、影武者をめぐる愛と禁欲の葛藤が、言葉となって遡るシェイクスピア劇となっているのだ。

ラストで、“影武者”が敵と戦い勝利するところ。沛国の重臣・都督(ととく)は、これでお前は自由の身だというのだが、そこで影武者が都督(ととく)を襲い殺してしまう。そして、自分が沛国の重臣・都督の座に座るということになるわけ。都督の妻ともいい仲なので、これまた結構な物語であります。

しかし、チャン・イーモウが撮る武侠映画は、総じて美意識が高いが、今作品は群を抜いていたと感じた。映像の光と影、濃淡の微妙に濁らせたカラーグラディエション、全編カットで完璧な構図が素晴らしく、殆ど水墨画である。

画面に映し出される陽と陰の二項対立を中心としたそのミニマムな物語、展開は、CGで水増しされた大量の兵士が入り乱れるような、大仰な戦記ものとは違って、対峙する人間関係を真摯に捉えていて、剛柔併せもったアクションによって昇華していて、最後まで息が抜けないのも良かった。

 

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サマー・オブ・84★★★・5

2019年10月05日 | アクション映画ーサ行

長編デビュー作となる前作「ターボキッド」で世界的に注目されたカナダの3人組監督ユニット“RKSS”が80年代オマージュ満載で贈るジュブナイル・サスペンス・スリラー。

あらすじ:1984年のアメリカの郊外住宅地を舞台に、近隣で発生した連続殺人事件の犯人探しに夢中になる少年たちの危険な冒険をノスタルジックな筆致で描く。1984年、夏。オレゴン州イプスウィッチ。猟奇的犯罪の記事収集が趣味の15歳の少年デイビー。近くの町で同年代の子どもたちばかりが狙われる連続殺人事件が発生し、彼はひょんなことから向いの家に住む警官のマッキーが犯人だと思い込む。さっそく親友のイーツ、ウッディ、ファラディとともに独自の捜査に乗り出すデイビーだったが…。

<感想>連続殺人鬼も誰かの隣人だ。80年代のジュヴナイル映画みたいな、15歳の少年4人組が、ヒッチ・コック作品「裏窓」のジミー・ステュアートたちみたいに、不謹慎な野次馬根性で、謎解きと冒険に乗り出す。

4人組の少年たちは、無名の俳優さんたちのようで、安い資金で制作できる映画になっていたが、これが結構面白くて、怖くかった。郷愁を深め合いながらRKSSという、ユニットで、事件が好きな男女3人の監督たちが、ホラー映画を演出していた。

冒頭で、主人公のデイビー少年役のグレアム・ヴァーシェルが「ポルターガイスト」を見た影響で「うちの土地は、先住民の墓場なんだ」と言い、エイリアン、幽霊、猟奇事件などの記事を収集し、望遠鏡で犯罪者だと疑った、隣人宅を異常なほど見続けるのだ。彼の友人たちも妙にリアリティがあり、物語の押し方には納得がいく。

主人公が新聞配達のバイトをしているデイビーは、隣人の警察官マッキーに「ちょっと、ゴミを埋める穴を掘るのを手伝ってくれ」と頼まれる。そのことで、何かが変だと、そう気づいたデイビーが、世間が騒いでいる子供を狙った連続殺人の犯人は、マッキーではないかと疑う。

その疑いを仲良し友達3人に打ち明けるも聞き入れないのだ。家の父親にも相談するが、全否定されてしまう。警察官という特権で、まさかそんな殺人犯だとは思っていないのだ。

それでも、友達3人はマウンテンバイクを乗り回し、マッキー連続殺人鬼説を証明するために、様々な大作戦を決行する。彼の家の裏庭を掘り返したり、深夜のジョギングなど怪しい行動も逐一チェックする。

そして、マッキーが怪しいと感じるようになるが、でもどうしたらいいのか分からない。大人たちは、お前たちのやっていることは犯罪だ。マッキーは警察官の仕事をしている。何てことをするのだ」とかんかんに叱られる。

追い打ちをかけるようにTVでは、連続殺人鬼犯人逮捕のニュースが流れて来るし。1980年代が舞台で、シンセサイザーが響きまくる音楽はいかにもだが、これみよがしに同年代へのオマージュを押し出してこないのが、何だか新鮮さを感じた。

 

確かに少年たちはが活躍するし、BMXを駆るし、玩具のトランシーバーを駆使するが、ジュヴナイル的な雰囲気が極めて薄く、まっとうなスリラーというべき仕上がりになっているのも良かった。

ラストが、主人公のデイビーが掘り返した穴に、警察官のマッキーにその穴に埋められそうになる。父親が気が付いて、助けに来てくれたからいいのもを、もし気づいていなかったらば、デイビーは生き埋めになって殺されてしまうことになるのだ。

「うわーっ」と恐ろしい事件の収束には、それを経て成長するどころか、精神的に死んでしまう主人公の姿など、爽快感がまったくないラストにも悪くないと思った。

 

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新聞記者★★★・5

2019年09月16日 | アクション映画ーサ行

“権力の監視役”としてのマスメディアの力が急速に弱まっている現代の日本で孤軍奮闘する現役新聞記者による同名ベストセラーを原案に、官邸とメディアの深い闇をリアルかつ赤裸々な筆致で描き出した衝撃の社会派ポリティカル・サスペンス。主演は「サニー 永遠の仲間たち」「怪しい彼女」のシム・ウンギョンと「不能犯」「孤狼の血」の松坂桃李。共演に本田翼、北村有起哉、田中哲司。監督は「デイアンドナイト」「青の帰り道」の藤井道人。

あらすじ:日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育った東都新聞社会部の若手記者・吉岡エリカは、記者会見でただ一人鋭い質問を繰り返し、官邸への遠慮が蔓延する記者クラブの中で厄介者扱いされるばかりか、社内でも異端視されていた。そんなある日、社会部に大学新設計画に関する極秘情報が記された匿名FAXが届き、吉岡は上司の陣野から調査を任される。やがて内閣府の神崎という人物が浮上してくるが、その矢先、当の神崎が自殺してしまう。神崎の死に疑問を抱いた吉岡は、やがて同じようにかつての上司であった神崎の死に疑問を持つ内閣情報調査室(内調)の若手エリート、杉原拓海と巡り会うのだったが…。

<感想>先に「記憶にございません!」をレビューしてしまった。政財界のことを、風刺劇のように面白く描いている三谷監督に、おおいに感心してしまった。政治を娯楽作品みたいに、喜劇仕立てに描くのはいいことです。「新聞記者」は、だいぶ前に鑑賞した映画だったが、どうしても書けずに日にちが過ぎ去っていく。難しい作品だっただけに、うやむやにしておくわけにはいかなかったのだ。

新聞記者の女性吉岡エリカと官僚の杉原拓海が、政府役人の自殺をきっかけに政権の恐るべき計画を暴くというもので、古めかしい社会派映画を一歩も出ないのだ。映画は、首相ご執心の「医療系大学の新設」の不正を内部告発するFAXが送られてくるところから始まる。続いて「文科相子息不正入学問題」で、引責辞任をした事の真相を知る元局長と女性議員との“不適切な関係”が暴露されたり、政権よりのジャーナリストのレイプ疑惑がもみ消されたりと、内部告発に走った役人が追い詰められて自殺したり。現実に似た事象が緊迫したタッチで展開されていくのだ。

描かれる事柄はフィクションでも、内調こと「内閣情報調査室の機能が過大に描かれていても、異常な緊迫感や切迫した空気はリアルに伝わって来たことは間違いない。

記者の吉岡エリカを演じるシム・ウンギョンも、内閣情報調査室員の松坂桃李も悪くはないが、まぁ普通程度のサスペンスはある。ですが、細部がそれを壊してゆく。

例えば内閣情報調査室員の広いオフィスがなぜか暗くて、あれでは「悪の組織」になってしまっている。劇場用パンフレットには「大胆でスタイリッシュな空間設計」とあったが、それがダメで普通に描いていればいいのに回避しているのだ。

松坂桃李が自殺をした先輩の隠蔽していた文書を入手して、真相が明らかになるという。安易な筋運びとあいまって、虚構の力が軽く見積もられているのである。

この映画の原案となった小説「新聞記者」は読んでいませんが、東京新聞記者望月衣塑子によるノンフィクション。「モリ・カケ」と呼ばれる騒動が明るみに出て、加計学園問題のことではないかと。獣医学部認可に関して安倍晋三首相の意向が強く働いたことを示す文部科学省の内部文書を描いていることだ。

だが、これはあくまで“フィクション”である。だから観る者は、描かれている登場人物のモデルを必然的に頭に思い浮かべてしまうのだ。ただし細かいところはフィクションであり、映画としての演出が加えられている。その意味で実在の人物を、TVモニターとはいえ登場させるのが得策だったかどうかは疑問である。

中でも松坂桃李の上司を演じた田中哲司が、なかなかの存在感でした。著名なジャーナリストを父に持ち、母は韓国人、アメリカで生まれ育ったという女性記者を演じたシム・ウンギョンは、難しい役に果敢に挑み、芯の強さを感じさせていて熱演でした。

観ていて期待外れのような感じがしてならない。松坂桃李は、主演のシム・ウンギョンに比べてキャラが弱すぎるからだ。逆に言えば、それだけウンギョンの演技が素晴らしかった。何と言うか、あのラストの走りっぷりなんかは、絵になり過ぎている。顔は可愛いのに、必死になって追い求めて、燃えている。本当だったら、彼女の役だって、日本人女優が演じるべきなのに誰もいなかったのだろう。

それに惜しかったのが、「新大学で生化学兵器研究」という一面トップのスクープ記事がボツになったこと。そう現在この国は、行政機構もマスコミも、深く病んでいるのだから。その原因が政治の現状にあるのは言うまでもないこと。この映画の中では、首相も官房長官も一人の政治家も登場させずに、その影響力の大きさを不気味に暗示させている。今の日本社会を覆う、闇の怖さを思い知らされた。

 

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さらば愛しきアウトロー★★★・5

2019年09月02日 | アクション映画ーサ行

ハリウッド屈指の美男俳優として人気を集め、「明日に向って撃て!」や「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」など長年にわたり活躍してきた名優ロバート・レッドフォードが俳優引退作と公言している最後の主演作。1980年代初頭からアメリカ各地で銀行強盗を繰り広げ、それによる逮捕と脱獄を繰り返した実在の人物フォレスト・タッカーを描いた。

あらすじ:強盗といいながらも、発砲もしなければ暴力も振るわないという紳士的で風変わりな犯行スタイルを貫いた主人公タッカーをレッドフォードが演じ、タッカーを追う刑事ジョン・ハント役を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のケイシー・アフレックが担当。そのほか、シシー・スペイセク、トム・ウェイツ、ダニー・グローバーらが共演。監督は「A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー」のデビッド・ロウリー。

<感想>ハリウッドの伝説 ロバート・レッドフォード 俳優引退作!ポケットに銃を、唇に微笑みを、人生に愛を。「明日に向って撃て!」や「スティング」など数々の名作に出演し、60年近くに及ぶ役者人生を歩んできた名優ロバート・レッドフォードの主演最新作にして俳優引退作である。となると、鳴り物入りの監督兼主演作品になるのではと興味津々だったのだが、いざ蓋を開けてみれば、これが意外とコンパクトな仕上がりでいささか拍子抜けしたくらい。

ハリウッドスターというキャリアの最後の最後の役に、伝説の銀行強盗を選ぶのだから、これはもう常識を超えている。いやこのセンスの良さこそが、レッドフォ-ドという俳優の持ち味なのだと納得しました。

それで、彼の演じる高齢の銀行強盗なのだが、これが相当な変わり者。銀行を訪れては、ポケットに忍ばせた拳銃をチラリと見せ、微笑みながら札束をせしめてドrンと消えるのだから。当の銀行行員も、捜査にあたる刑事も打つ手がないのだ。そんな強盗が1980年代初頭のアメリカに実在したとは信じがたいが、レッドフォードはこの強盗を、ユーモアを込めて実に優雅にしゃれっ気たっぷりに演じているのだ。

そう、この引退映画のレッドフォードは、これまでになくリラックスしてカメラの前に立っているようで、気の合った仲間と映画作りを楽しんでいる風情なのだ。共演者も、旅先で知り合うトム・ウェイツとダニー・グローバーの二人を強盗仲間にして、それにロマンスのお相手・未亡人ジュエルにシシー・スペイセクが。タッカーを追う刑事ジョン・ハント役には、ケイシー・アフレックと、これまたセンスのいいキャスティング。脚本・監督は、レッドフォード主宰のサンダンス映画祭で頭角を現したデビッド・ロウリー。

もちろんレッドフォードの引退作品なので、彼の見せ場は盛りだくさん用意してあるのだが、中でもスペーシクの牧場で披露する乗馬シーンでは、そのオーラに圧倒されましたよ。

フォレスト・タッカーは実在した脱獄の名人で、83歳で亡くなる前の年、2003年にニュー・ヨーカー誌でフィーチャーされた時は、脱出王のフーディーニに勝るとも劣らないほどの人気者になっていました。映画の中に出て来る脱獄シーンのモンタージュを見れば分る通り、タッカーの脱獄には職人芸のような魅力があるため、犯罪関連のドキュメンタリーを専門に放送しているチャンネルでも、脱獄がテーマの番組ではよくタッカーが引き合いに出されています。

まずこれが実話ということで、最初は“ニューヨーカー”でフォレスト・タッカーの話を読んで、彼は17回逮捕されたが、アルカトラズも含めて17回脱獄している。きっと彼は逃げ切ることに興奮しているのだろうと思ったそうです。そこに興味をもち、生命の輝きと冒険心に溢れているとね。しかも、彼は銃を持っていても、一度も誰かを撃ったことがなかった。銃に弾を込めていなかったらしい。

ロバート・レッドフォードの最後のコメントでは:共演者では、刑事のケイシー・アフレックが実力を証明して、恋人のシシーは、長年見事な演技を見せている。相棒のダニー・グローバーの芸達者ぶりには感心した。それにトム・ウェイツは以前からファンでね、共演できるなんて神の恵みだよ。自分自身の心は30歳のつもりでも、体は80歳と言う現実を受け入れなきゃね。まぁ、21歳の時から演じてきたから、もう充分だろう。

ちなみに「さらば愛しきアウトロー」は、原題が「The Old Man &the Gun」=老人と銃で、アーネスト・ヘミングウェーの「老人と海」をもじったものだ、と知っているとこの作品をさらに深く味わえると思います。

現在82歳のレッドフォードは本作をもって俳優業から引退を宣言。一度は撤回をほのめかす発言もしたが、本作が最後の出演作となる可能性は高そうです。ただし監督業は今後も続けていくことを明言している。

 

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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム★★★・5

2019年07月03日 | アクション映画ーサ行

トム・ホランドがスパイダーマンを演じたアクション・アドベンチャー「スパイダーマン:ホームカミング」に続くシリーズ第2弾。「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後の世界を舞台に、アイアンマンを師と仰ぎ、真のヒーローを目指して奮闘する高校生ピーター・パーカーが、ニック・フューリーの下で新たな脅威に立ち向かうさまを描く。共演はサミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、マリサ・トメイ。また異次元から現われ、ピーターと共闘する謎多き男ミステリオ役でジェイク・ギレンホールがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品初参戦。監督は引き続きジョン・ワッツ。

あらすじ:あまりにも大きな代償を伴う壮絶な戦いが過ぎ去り、その大きすぎる喪失感に苦しみながらも、“スパイダーマン”としてニューヨーク市民を守るために活躍を続けてきたピーター。心身共に疲れ果てた彼は、ネッドやMJら学校の仲間たちとヨーロッパ旅行を計画する。しかし楽しいバカンスを満喫しようとした矢先、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーにつかまってしまう。新たな脅威が迫っていて、どうしてもスパイダーマンの力が必要だというのだった。そんな中、“エレメンタルズ”という自然の力を操る複数の敵がヨーロッパ各地に出没し、猛威を振るい始める。ニックはピーターに異次元から来たというミステリオを引き合わせ、2人は共闘して敵に立ち向かっていくのだったが…。

<感想>スパイダーマンが帰って来る。ホームタウンのニューヨークを離れ、ヨーロッパに。物語は「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後。彼らはスクールトリップでベネチア、プラハなど、ヨーロッパの代表的な都市を回る。15歳だった前作からあまり変わらないピーターは、まだまだ友たちと遊びたい無邪気なハイスクール・キッズだが、ニックにリクルートされ、ミステリオと組んでヨーロッパを攻撃する新たな敵と戦うように言われる。原作ではミステリオは悪役だが、本作のなかでは善玉なのだ。

夏休みに友人たちとヨーロッパ旅行に出かけたスパイダーマンこと高校生のピーター・パーカー(ホランド)の前に、かつてアベンジャーズを率いていたニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れる。それに、トニー・スタークから預かって来た黒縁のメガネを渡す。それは父親と慕っていたスタークの分身のようなもので、AIナビゲートで数えきれない機能を備えている。イーディスは、命令すれば何でもやってしまう優れものだ。

フューリーからの依頼を受けたピーターは異次元から来た男ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)と協力し、伊ベネチア、独ベルリン、英ロンドンを襲う、自然の力を操るクリーチャーに立ち向かっていく。実はミステリオは、ピーターがアイアンマンから貰った黒縁のメガネを狙っていたのだ。

今回の最強の敵は、ザ・エレメンタルズと呼ばれる、火、水、風(空気)、土の4つのクリーチャーたち。ピーターたちが、呑気にベネチアの観光を楽しんでいるときに突如街を襲うのが、水のクリーチャーなのである。

撮影現場に足を踏み入れるや目に入ったのは、ベネチアのランドマークのひとつであるリアルト橋のセット。橋の上には土産もの屋が立ち並び、途中でブルーバックに変わっていなければ、本物と見紛うほど細部まで凝っている。

前作から続投するジョン・ワッツ監督のかけ声とともにカメラが回ると、モーターによってタンクの水に波が沸き起こり、橋のたもとにいたピーターや親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)、MJ(ゼンデイヤ)らが、見えない敵を見上げながら叫び声をあげて逃げ出す。クリーチャーはすべてCGで作られるため、かなりスペクタキュラーなシーンになっていた。

一方、エレメンタル・クリーチャーズとの壮絶な戦いとパラレルに進行する、ピーターとMJの接近も気になる。ヒーロー活動は小休止して、意中のMJへの告白を計画。スパイダースーツは置いていくつもりだったのに、メイ叔母さんに持たされてしまう。高層ビルのないヨーロッパの街で彼は活躍できるのだろうか。MJに告白すべく念入りなプランを立てたピーターは、そのことで頭がいっぱい。フューリーの要請などそっちのけだ。つい、MJと仲良くしている男にヤキモチを焼き、メガネを使ってしまい、大変なことになってしまう。

一方、彼の親友でヒーロー活動をサポートするネッドは、旅行を通じて学園の美女ベティ(アンガーリー・ライス)とイイ仲になってしまう。

やがてエレメンタルズによって、ネッドやMJらも脅威にさらされる。ピーターは新しいスパイダースーツに着替えて、彼らの命を守るために全力で立ち向かうが、まったく予期しない事態が彼を最大の危機へと導くのだった。

通常の赤いスーツでは目立ちすぎると思ったフューリーが、開発させた黒いステルス・スーツ。ブラック・ウィドウと同じものを使っている。寄生エイリアンが憑依して生まれた「スパイダーマン3」のブラック・スーツとは異なる。

今回のヴィランは、“エレメンタル・クリーチャーズ”といい、もの凄くエキサイティングなのだ。水の都であるベネチアでは、水を使った怪物が襲って来る。

スーパーヒーローとしては華奢な体つきだが、極めてパワフル。マグワイヤ版では暴走する列車を止めるし、ホランド版ではフェリーの船体が裂けるのを糸と怪力で食い止めるのだ。これは直後にアイアンマンの助けも借りたのだが。スタミナがあり、肉体の回復力も高いのだ。しなやかでタフな体、華麗なスィングも、糸と俊敏性があればこそ。研ぎ澄まされた五感+スパイダーセンス。第六感的な能力も備え、宇宙船の襲来に腕の産毛が逆立つ形で反応を示す。

プラハの街では、黒のステルス・スーツで活躍する。巨大な炎のエレメンタルを相手に、このスーツで立ち向かう。

そして、岩と砂の大地メキシコ郊外に、サンドマンが出現。強力な掃除機で吸い込むといった強敵である。ラストではエレメンタルが合体するってことになるわけ。

だが、騙しのミステリオがヒーローとして抜擢されるが、ミステリオの存在そのものが、彼お得意の“騙し”だと確信せざるを得ない。原作のビジュアルを忠実に再現し、球体型のマスクも着けている。果たして彼の正体が、予想通りに“嘘”であるか、それともそうした心理を逆手にとった“騙しの騙し”であるかは、映画を観てのお楽しみということに。

“師匠”として、そして“保護者”として、トニーがピーターに教え、託した“ヒーローの生きざま”が、彼の死後ピーターにどう受け継がれていくのか? 本作でピーターは、どのような“成長”を遂げるのか? 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」――その言葉の本当の意味を、我々は目の当たりにすることになる!

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ザ・ファブル★★★★

2019年06月26日 | アクション映画ーサ行

「SP」「図書館戦争」の岡田准一が、一般人として普通の生活を送るという過酷なミッションに挑む伝説の殺し屋を演じる痛快アクション・コメディ。南勝久の大人気コミックスを原作に、誰も殺してはならないというボスの指令を忠実に守ろうとする主人公に、次々と試練が襲いかかるさまを、迫力のアクションとともにコミカルに描く。共演は木村文乃、山本美月、佐藤二朗、安田顕、佐藤浩市。監督は「ガチ星」「めんたいぴりり」の江口カン。

あらすじ:どんな相手でも6秒以内に殺してしまう伝説の殺し屋“ファブル(寓話)”。ある日、彼の育ての親でもあるボスに呼び出され、一年間の休養を命じられる。しかも、その間は決して人を殺してはならないとクギを刺される。ボスには絶対服従のファブルは佐藤アキラという偽名を使い、相棒のヨウコと兄妹のフリをして、大阪の街で一般人として暮らし始める。不慣れなことばかりで戸惑いつつも、真面目に普通の生活を学び、一般社会に溶け込もうと奮闘するアキラ。バイト先の女子社員ミサキや社長の田高田とも親しくなり、少しずつ普通の生活が板についてきたアキラだったが…。

<感想>あなたの隣のちょっとヘンな人は、休業中の殺し屋かもしれない。“伝説の殺し屋”が挑む究極のミッション!1年間一般人として暮らすことを命じられた彼は、殺人厳禁と言う新たな掟(破るとボスに殺される)に従って、「プロの普通」を目指すのだが、・・・。

「どんな相手でも6秒以内に殺す」をモットーに、伝説の殺し屋と言うと、デンゼル・ワシントンの「イコライザー」を真似した感じであり、拳銃の撃ち方は、キアヌの「ジョン・ウィック」のようでもあり、プロフェショナルな殺戮を繰り返して来た凄腕の殺し屋のアキラ。それを演じているのが時代劇での殺陣技が続いていた俳優の岡田准一。

そんな、実写化するには物理的にも肉体的にも、相当ハードルが高いことが予想される、南勝久の大人気コミックのトリッキーな設定を、ガチンコハードなアクションの造形と、肩の力を抜いたユーモアの合わせ技で痛快エンターテインメントに仕立て上げてしまったのが、この「ザ・ファブル」である。

邦画の現代劇でここまでアクションを全面に押し出し、血が湧き肉躍るような動的な興奮を呼び覚ます作品は、近年まったくもってなかったと思う。だが、それが格闘家のプロである主演の岡田准一の、肉体のリアリティなくしては実現不可能だったに違いない。しかも彼はアクション制作にも参加して、シーンを理解しながら自分たち役者が動く、リズミカルな導線を自らガンガン引いていくという活躍なのだ。

岡田准一のアクションセンスは、ここまでスピーディに動ける俳優は観たことがない、と絶賛したくなるほどの、人殺しを禁じられた「殺し屋」という役の中で魅せているのだ。

劇中で、まさに水を得た魚のごとくの大活躍を見せるシーン。驚いたのが、岡田が演じるプロの殺し屋「ファブル」が、机を挟んで座る組織の人間(光石と安田)を、机を飛び越え瞬殺するその俊敏さ(これは、ファブルの妄想シーン)。

そして、ゴミ処理場でのアクションは、まるで映画の中で誰かが言ってた「ジャッキー・チェンか」みたいな風体でもあった。それくらいキレキレの技量と銃撃戦とか、敵が大勢いてもどうってことない。ファブルは黒の目出し帽を被っているので、当然顔を隠しているので、例えばファブルが壁と壁の間をスルスル登っていくシーンも、スタントマンなしで、自分でやっているのだ。

例えば、大人数の敵が入り乱れて戦うシーンを、殺し屋役の福士蒼汰君と、上下になって闘うようなシーンで、いかにプロ対プロの闘いに見えるか、拳銃の構え方や見ずに撃つ動作など、芝居部分でも「ファブル」のキャラクター感を足しながら、ハンディカムで追いかけながらリアルに撮る映像美に痺れました。

そうなんです、アクション映画として究極な質と実績のフォーカスが絞られた作品なのだが、そこにはオフビートな笑い(実は猫舌)や、お笑い芸人、ジャッカル富岡のつまらないギャグを見て大笑いをする場面とか、温かなヒューマニズムが当たり前に同居しているのが本作の魅力だと思う。

女優さんでは、清水ミサキに扮したちょっと水商売には向いていない山本美月が、借金とりの刑務所帰りの小島に脅されるところとか。

他にも、刑務所帰りの小島に扮した柳楽優弥の、完全なるやさぐれヤクザにハマっていたのも、そして同じ組の福士蒼汰が扮していたフードに、向井理が扮していた砂川。砂川が組を乗っ取る計画を知り、世話になっている安田顕の海老原に教える。つまり、福士蒼汰も向井理も殺し屋みたいなもの。

「来る」で演じた胡散臭いフリーライター役の、岡田くんのやさぐれっぷりも良かったが、彼の芝居の引き出しの多さを改めて実感する機会が続いた映画にもなる。「ザ・ファブル」の続編が観たいですよね。

2019年劇場鑑賞作品・・・95  アクション・アドベンチャーランキング

 

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スノー・ロワイヤル★★★★

2019年06月11日 | アクション映画ーサ行

殺された息子の復讐に立ち上がった男の大暴走が評判を呼び、世界的に話題となった2014年のノルウェー映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」を、監督のハンス・ペテル・モランド自らハリウッドで英語リメイクしたバイオレンス・アクション。息子を殺された真面目な除雪作業員が、ギャングを相手に繰り広げる壮絶な復讐劇を、ブラックなユーモアを織り交ぜつつ過激に描き出す。主演は「96時間」「トレイン・ミッション」のリーアム・ニーソン。共演にトム・ベイトマン、エミー・ロッサム、ローラ・ダーン。

あらすじ:雪深いコロラド州キーホー。人々のために黙々と除雪作業に励む真面目な男ネルズ・コックスマン。その働きが認められ模範市民賞を受賞するが、そんな彼のもとに息子が薬物の過剰摂取で亡くなったとの知らせが届く。しかし、その死に疑問を抱いた彼は独自に捜査を進め、地元の麻薬王バイキング率いるギャング組織が関わっていることを突き止めると、すぐさま復讐へと乗り出す。やがてその復讐は、バイキングと敵対するホワイトブル率いるネイティブ・アメリカンの組織や警察をも巻き込んだ大混乱へと発展していくのだったが…。

<感想>模範市民賞受賞直後にキレる男。壮絶であり無謀な、そして全くかみ合わない戦いが始まる。キレる親爺に「96時間」のリーアム・ニーソンが主演を務め、「パルプ・フィクション」のプロデューサーとタッグを組んだ復讐アクション。監督はノルウェーのハンス・ペテル・モランドであり、自身の作品「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」をハリウッドセルフ・リメークしたもの。

だが、ハリウッド的な味付けを一切することなく、復讐の連鎖や拡散、先住民と先住民面をする移民の対立といったテーマを、こちらでもガツンと打ち出している。ただし主人公がリーアム・ニーソンであるために、はなから無奴なオヤジにしか見えないと言う欠点が生じてしまっている気がした。

真面目な除雪作業員が息子を殺され復讐に立ち上がるが、その行動が思わぬ波紋を呼び、マフィアや警察を巻き込んだ四つ巴の戦いへと発展してゆく。

リーアム・ニーソン主演の復讐劇の固定観念を覆い隠す意欲作であります。復讐劇でありながら、ダークなユーモアも漂う本作。警察なんて当てにすらしない。犯罪小説で殺しを学んだと言う主人公なのだが、こんなにも簡単に人殺しが出来るのかと思うほどで、ギャングの子分3人を素手で殴り殺し、銃身と台座をノコギリで短くしたライフル銃で射殺して、死体を金網でぐるぐる巻きにし、す巻きにして滝に落とし流してしまうのだ。

日本公開のタイトル名は、「バトル・ロワイヤル」のもじりだろうか、その名のとおり、父親による息子の敵討ちが、やがては二つの犯罪組織総がかりでの、盛大なる殺し合いへと発展するのだ。ちょっと黒澤明監督の「用心棒」みたいな事態でもある。だから警察もまさか犯人が、模範市民賞受賞の真面目な男ネルズ・コックスマンとは思ってもいない。

驚いたのが息子役には、リーアムの本当の息子マイケル・ニーソンが扮していて、リーアムが直々に企画の段階で監督やプロデューサーにお願いしたというのだから、実の息子と共演できて嬉しそうだった様子も伺える。

登場人物はクセモノばかりで、海外では「タランティーノが「96時間」を撮ったらこうなる」とも評価されたと言う。

寒々とした雪景色の中でリーアムが運転する除雪車が迫力満点でした。息子を麻薬ギャングに殺されたリーアムの復讐物語だが、最終のターゲットとなるトム・ベイトマンがこれ以上嫌なキャラクターはないという人物を演じて話を盛り上げていた。

いつも陽気な先住民族のギャング団もトム・ジャクソン以下、作品に味を添えているのも良かった。婦人警官役のエミー・ロッサムなど描きたりないが、スタイリッシュな娯楽作品になっていると思う。

しかし、アゲアゲのアクションではなく、少しずつずれている感じのオフビートな可笑しさもある。ギャングの親分トム・ベイトマンの、利発な男の子を中心に、「お前如きがこの息子を持つのはもったいない」と言いたくなるそのダメ父親と、息子を失った父親二人とが集結する終盤の図式も、女たちの賢明さ(妻たちは去っていく)もよかった。

 

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サンセット★★★

2019年05月26日 | アクション映画ーサ行

デビュー作「サウルの息子」でアカデミー外国語映画賞を獲得したハンガリーの俊英ネメシュ・ラースロー監督による注目のデビュー2作目。第一次世界大戦前夜のオーストリア=ハンガリー帝国を舞台に、高級帽子店に職を求めた一人の女性が辿る数奇な運命を、謎を秘めたストイックな筆致で描き出していく。主演は「サウルの息子」にも出演していたヤカブ・ユーリ。

あらすじ:1913年、オーストリア=ハンガリー帝国。ブダペストにある高級帽子店にやってきた若い女性イリスは、ここで働くのが夢だったと語る。しかしオーナーは迷惑顔。そこは、彼女が2歳の時に亡くなった両親が遺した店だったのだ。やがて、失踪している兄の消息を追い始めるイリス。一方、華やかな帽子店に隠された大きな闇も次第に浮かび上がってくるのだったが…。

<感想>世の中にこんなにも似ている人がいるもんだと、イリス・レイターを演じたユーリ・ヤカブがエマ・ワトソンにそっくりだったものでね。演技は、もちろんエマ・ワトソンの方が巧いに決まっている。それによくよく見れば、エマの方が美人でした。

映画の冒頭で「ベールを上げましょう」という言葉が画面の外から聞こえてくる。帽子の下からイリスの顔が見えるのだ。この映画はまさにベールに隠された闇の世界を少しずつ見せる。イリスはレイター帽子店に就職しようとトリエステからブタペストまでやってきた。

そこは死んだ両親が作った店であり、今は使用人であったブリッルという男が経営をしていた。ブリッルは彼女を追い返そうとするが、イリスは兄の消息を聞いて、街の中を探し始める。兄について何かを知っている人、兄が殺したという伯爵夫人や、婦人に襲い掛かるオーストリア人の男。

ボートに乗ったイリスを襲う男など次々に謎の人物が現れては消える。帽子店は創立30周年記念で、ウィーンからオーストラリア皇太子と妃殿下が店にやってくるが、どうも帽子店はウィーンの王室に女を提供しているらしい。

一方で兄は、帽子店に火をつける暴動を率いているようだ。手持ちカメラは、彷徨うイリスを執拗に追いかけるのだ。長回しに見える彼女の周囲は、ボケたり鮮明に見えたりと、まるで幻想のようである。

観客は混沌とした都会の現実の中から、イリスが置かれている状況や、両親と兄と彼女に起きた過去を想像しながら観ることをうながされる。

ラースロー監督の「サウルの息子」は、観たことは観たのだが、何だかユダヤ人迫害のようなそんな内容だった。イリスが兄のことを調べて行くうちに、兄がまだ生きていると感じた。

イリスが両親の死後、移住したトリエステは、イタリアの街だが、当時はオーストリア=ハンガリー帝国の領土。その街はユダヤ人が多かった。イリスも彼女が務めた帽子店「シュワルツ」もユダヤ名のだった。

帽子店に働く女性のお針子たちは、住み込みで働いており、ブリッルが客の好みに合わせて売春をしているように見えた。女の子たちも、選ばれていくのを喜んでいるようにも見えたのだが、その辺がよく解らない。創立30周年記念パーティでは、暴漢たちに店が襲撃に遭うという恐ろしいことが起きる。

さらにドイツ語を話すオーストラリア人に、奴隷のように扱われるハンガリー人の問題も見える。20世紀初頭の中央ヨーロッパの抱える矛盾が映画全体を覆うようであった。ラストに、イリスが従軍看護婦となって戦地へ行っている様子が映し出された。

 

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ザ・プレイス 運命の交差点★★★

2019年05月08日 | アクション映画ーサ行

アメリカのTVドラマ「The Booth ~欲望を喰う男」を「おとなの事情」のパオロ・ジェノヴェーゼ監督が、ヴァレリオ・マスタンドレア、マルコ・ジャリーニ、アルバ・ロルヴァケルらイタリアを代表するキャスト陣の共演でリメイクした不条理ドラマ。ローマのカフェを舞台に、そこに居座り続ける謎の男が、訪れる相談者たちの不可能と思える願いを聞き入れ、それを叶える条件として途方もない課題を与えるさまと、次第に交差していく相談者それぞれの運命の行方をミステリアスな筆致で描き出す。

あらすじ:ローマにあるカフェ“ザ・プレイス”。そこに分厚い手帳を手にした謎の男が居座り続けていた。男のもとには、入れ代わり立ち代わり9人の訪問者がやって来る。男はどんな願いでも叶えることができるという。ただし、そのためには男が与える課題を遂行しなければならなかった。ところがその課題は、息子を癌の病気から救いたいと願う父親には見ず知らずの少女を殺せ、アルツハイマーの夫を助けたいという老婦人には人が集まる場所に爆弾を仕掛けろ、視力を取り戻したいという盲目の男には女を犯せ、といったあまりにも支離滅裂で非情な無理難題ばかりだったのだが…。

<感想>欲望の代償は、他人の運命。舞台はあるカフェ(ザ・プレイス)の店内のみである。しかも主人公は座席から一歩も動かないのだ。どうしてわざわざ映画でこんな無謀な試みをするのか?・・・TVドラマでもいいだろうに。

しかし、よくよく観れば、この状況って、何かに似ていないか?・・・。それは映画館の座席と観客である。上映中の観客は基本的に限られた空間に留まり、席を立たないからだ。

それぞれの声をセリフにすれば会話劇だって成り立つと思うのだが。問題は主人公の男を演じる居心地の悪さなのだ。正体不明の男の抱く嫌悪感は、無名の傍観者でいることによって、高みからスクリーンを見物している、自分自身へのそれと同じなのだから。

現代演劇の良くできた戯曲かと思ったのだが、米国のテレビドラマが原作ということで驚いてしまった。相談者に課題を与えて、望みを叶えてやる主人公の男は、いったい何者なのか。どうして相談者たちは、カフェに座っているこの男に相談をしに来るのか。

この男の説明がないので、いろいろと余白を想像で埋めることができる。カフェに限定されている空間を描くために、スタジオセットかと思うほど考える限りのアングルやフレームサイズ、人物の動線を駆使していて、映像を演出する側の挑戦が感じられた。

生きている限り、人間は何らかの欲望や願望から逃れられないと思っている。けれども、それが叶えられるとなると、そのために強盗をするだろうか?・・・。

人が集まる場所に爆弾を仕掛けるだろうか。もちろん、謎の主人公が次々とやって来る相談者に課すこれらの課題は、殺人やレイプ、爆弾テロなどの犯罪行為ばかりではなく、すべては伏線である。まるで悪魔の囁きのようにもとれる。

カフェの店員である女、アンジェラは名前の如く天使を象徴しているのだろう。だから、主人公の男が相談者に無茶な課題を与えるのは、実際に言われた通りにすれば地獄へ落ちるということなのか。天使がいつもその男を見守っているので、その課題を与える男は悪魔ではなさそうだ。

ワン・シチュエイションで紡ぐこの会話劇は、人生の哲学書の趣があると思った。誰もが楽しめるとは言えないのが難点なのだが、伏線の読み解きに没頭する至福をたっぷりと堪能できるのであります。

2019年劇場鑑賞作品・・・72  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ザ・フォーリナー/復讐者★★★★

2019年05月04日 | アクション映画ーサ行

ジャッキー・チェンが「007/カジノ・ロワイヤル」のマーティン・キャンベル監督とタッグを組んで贈るクライム・アクション。スティーヴン・レザーの『チャイナマン』を原作に、過去を封印して生きてきた男が、最愛の娘がテロの犠牲となったことで冷酷な戦闘マシンとなり、犯人を追い詰めていく壮絶な復讐劇を描く。共演はピアース・ブロスナン。

あらすじ:ロンドンで中華レストランを経営し、高校生の娘と2人だけの穏やかな日々を送るクァン。だがある日、その大切な愛娘が無差別テロの犠牲となってしまう。犯人への復讐を誓うクァンは、やがてテロを実行した北アイルランドの過激派組織と繋がりのある大物政治家リーアム・ヘネシーにたどり着く。犯人の名を明かすよう迫るが、リーアムは平然としらを切りとおす。失うもののないクァンは、そんなリーアムに対し、彼のオフィスに小型爆弾を仕掛け、自らの固い意志を過激な行動で示す。クァンはかつてアメリカの特殊部隊に所属していた一流の工作員だったのだ。クァンはこれまで封印してきた戦闘スキルを駆使し、実行犯を突き止めるべくリーアムを追い詰めるとともに、テロ組織へと迫っていくのだったが…。

<感想>60歳を越えたジャッキー・チェン。年齢不詳のアクションも変わらずで安心しました。久しぶりのジャッキーに燃えましたね。さすがに60歳を超えたジャッキーは、体もぶよぶよのご老体ですが、アクションのキレは相変わらずで、超人と言わざるを得ないアクションスタントぶりで、もうこれだけでも充分ですからね。観ていて気持ちがいいほど頑張っていましたね。

いくら老いを前提にした役柄が近年増えていたとはいえ、ここまでしょぼくれていて、平凡な初老男に成り切っているジャッキーには驚かされた。

冒頭での爆破シーンがあり、娘をテロの爆破事故で亡くす、悲しいシーンについ涙で熱くなりました。これは絶対に娘の仇をとって復讐の鬼になると思った。彼が只者ではないことが明らかになっていく過程が最高にいい。

人間関係が相当に複雑になっているが、「007」シリーズを手掛けた監督だけに、狭い部屋でのアクションや爆弾テロの場面に手が込んでいて迫力満点。

怒らせてはいけない人を、怒らせてしまったのだ。普段は英ロンドンでレストランを経営するクァン。慎ましく平穏な生活を送るなか、高校生のひとり娘が無差別テロで命を奪われてしまうのだ。復しゅうの炎に焼かれ、激しく、しかし静かに身を焦がしていくクァン。犯人を探すうち、北アイルランド副首相のリーアム・ヘネシー(ピアース・ブロスナン)にたどり着く。

とは言え、話の重心はむしろこのピアース・ブロスナン側にあって、本格スパイスリラーを思わせる結構複雑な物語になっていた。ですが、ピアース・ブロスナンの若い女とのベッドシーンも旺盛で、中々元気な叔父様ですから。

夫が浮気をすれば、妻も甥っ子のイケメンのショーンと不倫関係になっているとは。ショーンのロリー・フレック・バーンズ君、彼も特殊部隊あがりの優れもので、森の中でジャッキーと戦うのが面白かった。

 

ターゲットの北アイルランド副首相のヘネシーは、官僚時代に抱えた“ある問題”におびやかされていた。クァンの犯人を追うあくなき執念が、かつてアメリカの特殊部隊に身を置いていたことを浮き彫りにする。次第に明らかになる2人の過去。敵か、味方か、孤独な男たちの戦いは、想像もしない結末へと向かっていく。

ジャッキーが狭い部屋の民家で暴れまわる様子は、いつもの自分の作品のアクションだ。カンフーに飛び蹴り、自由に動き回る身のこなし方、一人で何人もの敵と戦う姿はいつもと同じでした。

ジャッキーが徐々に復讐の鬼と化すありさまが、見どころですね。アイルランドへと行き、ヘネシーの屋敷の中へ潜入し、屋敷の森の中へと逃げ込むジャキーは、まるで屈強な戦士。ブービートラップを用いたゲリラ戦を仕掛けたり、ワイヤーで罠を仕掛けて、敵の足を奪う。すかさず拳銃をぶっ放し、森の中を走り抜ける。枯れ葉で身の隠し処にするなんて、日本の忍者顔負けでしたね。

ジャッキーが、コツコツと爆弾を作る姿には、ショックを受けるが新鮮でもある。トイレに仕掛ける爆弾は、火炎瓶のような瓶が3本にマッチを付けて、火を付けるだけで物凄い威力があるのだ。

ただし、IRA敵組織内のゴタゴタが非常に多く描かれており、スクリーンを追うのがしんどくなる。ジャッキーの使い方も布陣も悪くないのに、いくらでもハードボイルドなタッチに出来そうなのに、明朗な雰囲気がどことなく漂うのは、ジャッキーの身体が生理的に持つ、個性が生かされていないのも惜しい出来でした。

2019年劇場鑑賞作品・・・70  アクション・アドベンチャーランキング

 

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