パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

Diner ダイナー★★★・5

2019年07月31日 | アクション映画ータ行

日本冒険小説協会大賞と大藪春彦賞をダブル受賞した平山夢明の代表作『ダイナー』を「さくらん」「ヘルタースケルター」の蜷川実花監督が映画化したサスペンス・アクション。元殺し屋の天才シェフが仕切る殺し屋専門のダイナーを舞台に、殺し合いが日常の恐るべき世界でウェイトレスとして働くハメになったヒロインの壮絶なサバイバルの行方を、華麗な極彩色のヴィジュアルで描き出す。主演は藤原竜也と玉城ティナ。共演に窪田正孝、真矢ミキ。また本郷奏多、斎藤工、小栗旬、土屋アンナはじめ豪華キャストがダイナーに集う個性的な殺し屋役で登場。

あらすじ:日給30万円の怪しいバイトに手を出し、組織に捕まりとあるダイナーで新人ウェイトレスとして働くことになった少女、オオバカナコ。しかしそこは、客の全員が殺し屋というあまりにも特殊なダイナーだった。そして、そこで王のように君臨するのが元殺し屋の天才シェフ、ボンベロだった。イカれた殺し屋たちが次々と現われ、殺し合いさえ日常茶飯事のこの狂気の世界で、はたしてオオバカナコは生き延びることができるのか?

<感想>美味しいメシを食うか?それとも死ぬか?・・・蜷川実花監督の作品というと画像が『さくらん』に似ているような、まるでお伽噺のような、めちゃくちゃ美味しそうなグルメがグロテスクであり、激しいアクションも多いし、赤色を基調にした目にも鮮やかな極彩色の映像美であります。ですが、殺し屋だけが来る専用のレストランが舞台っていう、ユニークな舞台設定を活かしきれていない感じがしてならない。

今回もそれに負けず劣らず、真っ赤な血しぶきなのか背景が真っ赤なのか、来ている全員の衣装の奇抜さもさることながら、今は亡き著名な演出家・蜷川幸雄である父親の秘蔵っ子を主演にして、まるで演劇を観劇をしているように、全員が大声を張り上げてセリフを熱演しているのだ。

タイトル前に玉城ティナ扮するオオバカな、子の可哀そうな身の上話語るシーンが長すぎるのだ。お金欲しさに携帯闇サイトのバイトに手を出したことで、その日のうちに拉致・拷問され、最後には山中に生き埋めされることになるなんて、誰が予想できただろう?・・・上から土を被されるや果たして生き延びることが出来るのだろうか。

「何が得意だ」の問いに必死で考え「私、料理が得意なんです!」と叫ぶ。それが功を表したのか、そこから救い出されボンベロの店でウエィトレスで働くことになるのだが、そこは、やってくる客はみんな超危険人物ばかりで「殺し屋専用の定食屋《ダイナー》」だったのだ。

玉城ティナの、ウェイトレスのコスチュームがとても可愛らしくて、50cmちょっとの細い腰のくびれ具合にひたすら感動した。しかし、これまで在籍していた8人のウェイトレスは、みんな客の気まぐれで潰されたという。つまりだ、カナ子はいつ客に消費されるかわからない使い捨ての9人目だということ。

名前はバカ子でも頭は回転が速い、オーナーが大切にしている1億5千万円相当の「ディーヴァ・ウォッカ」を店の何処かに隠して「私が死んだら二度と見つからないわよ!」と脅すのだ。仕方なくボンベロは、敵からカナ子を守ることを誓うのだった。で、本当に何処へ隠したのか気になるよね、最後に明かされるのだが、実は元の金庫の中へすぐに戻して置いたということ。

人間一生のうちに、こういう“絶景”を撮ってもらえる機会というのはそうはないと思う。SFXでちっちゃく加工された本郷奏多のキッドも、やけに可笑しかった。

これが殺し屋たる彼のいわば武器だというのだが。実話怪談でお馴染みの、平山夢明のフィクションがスタイリッシュに変身を遂げていた。

監督は自分の父親の写真をボスとして、食堂の壁に掛けたりして紛れ込ませ、何だか芸が細かいが、原作の偏執的な感じが薄らいでいて、そこは残念であります。

そのわりに良く分からない脚本の構成部分。本筋では、藤原竜也演じるボンベロの馬鹿に派手派手しいレストランでの物語。

そこに登場する役者の扮する衣裳が、レストランの内装にも負けない華やかさで、目を捉えるものの、厚塗りのイメージを押し並べているわりには、画面の躍動感が乏しい気がした。

中でもやはり主演の藤原竜也が目立つが、共演に窪田正孝のスキン、小栗旬のマテバの奇抜な化粧と衣裳 で直ぐにきえてしまう。それに土屋アンナのマリアはすぐに分かってしまった。

ですが、次期親分の奥田瑛二のコフィと、さすがの宝塚歌劇団の真矢ミキの水を得た魚のような芝居も良かった。黒い衣装でまるで女剣劇を観ているよう。ですが、最後のドンパチが、香港映画と比べると力道感には遠く及ばないのだ。

それに最後までカナコ役の玉城ティナの可愛らしさがうけて、まさか店を開くとは、そこに死んだと思われる藤原竜也が現れるのも王道の脚色である。

蜷川実花監督の秋に公開される『人間失格 太宰治と3人の女たち』(9月13日公開)、大好きな小栗旬が主人公なので期待したいですね。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・112  アクション・アドベンチャーランキング

 

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パラダイス・ネクスト★★・5

2019年07月30日 | アクション映画ーハ行

ジャ・ジャンクーやホウ・シャオシェン作品をはじめ数々の作品で映画音楽を手がけ、「雨にゆれる女」で商業長編映画監督デビューを果たした半野喜弘による長編監督第2作。妻夫木聡と豊川悦司を主演に迎え、全編台湾ロケで撮り上げたノワール・ムービー。共演に「黒衣の刺客」のニッキ―・シエ。

あらすじ:一年前、ある事件がきっかけで、日本から台湾に逃げてきたヤクザの島。台北で身を隠すように生きていた彼の前にある日、牧野というお調子者の男が馴れ馴れしく話しかけてきた。牧野は一年前の事件のことを知っていると、思わせぶりな態度で島を挑発する。やがて牧野が命を狙われていることを知った島は、牧野を連れて台北から花蓮へと向かう。すると2人はそこで、ある女性と瓜二つの台湾人女性シャオエンと出会い、驚愕するのだったが…。

<感想>異国の地、孤独な男たちの運命が交わるノワール・サスペンス。孤独な男たちの運命が、交錯していく様子を全編台湾ロケで描いたノワールサスペンスで、プロモーションビデオは半野監督自らが編集した。異国情緒溢れる台湾の風景を背景に、何かを求めるワケありの男ふたりの旅路、詩情溢れるシーンが切り取られており、本編への期待が高まる映像になっていた。

なんか、香港映画へのオマージュをこめた映像設計が特徴のようだった。主演二人の演技は濃厚であり、どちらかというと、牧野役の妻夫木聡は、「悪人」で演じたようなチンピラヤクザ風であり、ヘラヘラした演技で安っぽい人間を演じていた。

一方の島の役を演じた豊川悦司は、貫禄がある香港ヤクザふうで、入れ墨を背中に入れており、口数が少ない怖い兄ちゃんと言う風貌。殺された島の恋人と、後半で出て来るお嬢さんふうの女の二役をニッキ―・シエが演じていた。

それぞれの事情から台湾に逃れてきた男たち。帰る場所をもたない二人にとっては、そこは幻想の楽園でありこの世の果てでもあるのだろう。だんまりな男に、妙に軽いおしゃべりな男二人、何が始まるのだろうと思わせながら、始まったこの逃避行は、ストーリーは平板なものの、画面の温度や街の匂い、人々の熱気などが満ち溢れている。

台湾という土地柄なのか、解体した豚の生肉をトラックに積み込み、展開からして登場人物は強面ばかりだが、そんな中にあってトレードマークの屈託のない笑顔に、寄る辺ない虚ろさが滲む妻夫木聡の演技が際立っている。

罪から逃れられない二人には、楽園はあるのか、・・・と思うと、生きる哀しさも辛くなってくる。

このドラマにおける台湾のロケーションは、そのようなものとして機能するべきだが、どうしても観ている観客には画力が冴えないように見えてしまう。謎めいたヒロインの存在は曖昧であり、彼女を介した豊川悦司と妻夫木聡の関係性が読みとりづらいために、お互いの心情描写がうまく交差していないのだ。

ロマンと表現の距離感は難しいと思う。とはいえ、妻夫木聡の泣き顔はやはりテッパンでありますね。

音楽は坂本龍一であり、映像を活かしていて、台湾の民族の音楽を間に使っているし、ラストでは英語で歌を歌っているのも良かった。

風景では、花蓮の自然の力である台北の街の市場や、ちょっとした路地裏だとか、今の台北の顔ではなく、少し懐かしい台北の名残がある場所。それと、ラストの海辺をパラダイスとして見立て、しかし何故にクラブの女シャオエンを殺す必要があったのか、車の中の花に埋もれているシャオエンを、ボートに乗せて泣き顔の妻夫木聡が沖へと流れて行くところ。

そして、車の中にはもう一人男が死んでいて、車ごと焼いてしまう終幕。どこかの映画で見たことがあるなぁと思いながら、坂本龍一の音楽が流れて来るという。ちょっとかったるい物語で、眠くなってしまう。

2019年劇場鑑賞作品・・・111  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ハイ・ライフ★★

2019年07月29日 | アクション映画ーハ行

「パリ、18区、夜。」「ガーゴイル」のクレール・ドゥニ監督が自身初の英語作品で挑んだSFサスペンス。主演は「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソン。共演に「アクトレス 女たちの舞台」のジュリエット・ビノシュ、リメイク版「サスペリア」のミア・ゴス。

あらすじ:太陽系を遥かに超えて宇宙へと突き進む宇宙船「7」には、モンテや幼なじみの少女ボイジーら9人の元死刑囚がクルーとして乗り込んでいた。彼らは極刑の免除と引き換えに、同乗する女性科学者ディブスが指揮する実験に参加することになったのだ。やがて、目標地であるブラックホールが少しずつ迫り……。漆黒の宇宙を漂う一隻の宇宙船。その中には一人の男モンテと、なぜか生まれて間もない赤ん坊の2人だけがいた――。かつて宇宙船にはモンテをはじめ9人の乗組員がいた。彼らはいずれも死刑や終身刑を言い渡された重犯罪人たちだった。彼らは科学者のディブス医師が行うある実験に参加するためこの宇宙船に乗っていたのだったが…。

<感想>究極の密室、目覚める欲望。宇宙船内に作られた人工の居住区と監獄、監獄とはいわば罪を犯した人々を集めて作られたコロニーのようなものですね。本作『ハイ・ライフ』は言葉を極力省き、抽象的でシンプルな映像で人の真理を模索するSFドラマとなっています。映画冒頭は青々とみずみずしい植物を覆う水滴、生々しいほどまでに艶めいて、息吹をあげる様が何とも官能的です。

反して暗闇ばかりが広がる宇宙空間の不気味さ、くすんだオレンジ色の囚人服に身を包んだキャラクターたち、アイボリー色の船内と審美的な造形が不穏さをますます募らせてゆきます。

そして監獄とは、都市国家が形成されて以来、人類の歴史の中に存在してきたものです。それは、都市国家の規則に従って生きることができない人々をその内部に設置された外部、つまり別の場所に追いやろうという考えから生まれました。牢獄や受刑者たちが集まるコロニー、処刑場、死刑制度などには、同じアイディアがその背後に存在します。そこは、都市国家の中で暮らす私たちの想像を超える場所なのです。

オンボロな宇宙船を修復しつつ、赤ん坊と共に何とか暮らす男が一人。他の乗組員は死んでおり、宇宙服を着させて船外に送り出すというオープニング。

その後細かいフラッシュバックを差し込みながらも赤ん坊との生活が映し出されていき、やっと過去の太陽系の外に出て3年という件になり、何があったのかをみせていく展開になったと思ったらここでも結構時間軸をいじったり差し込んだりと。

女性医師ディブスは人工生殖に固執し、自分が媒介となって囚人たちを妊娠させると言う“タブー”を破った行為、実験に挑み続けています。欲望も管理されて身も心も限界となり暴力に走り壊れてゆく囚人たち、究極の密室内での悲劇は地獄そのものです。

しかし反してロバート・パティンソン演じるモンテと、不本意ながら彼の娘として誕生したウィローの間に流れる空気は平穏でありふれた温かいもの。愛のない生殖から誕生した生命が愛によって育まれていく、混沌状態の物語はタブーを破る“愛”によって収束してゆきます。

パイロットであるナンセンはブラックホールに一人向かうことを志願します。しかし小型ロケットに乗り込んだのはナンセンではなくボイジー。ボイジーは彼女をシャベルで殴り殺しロケットに乗り込み、ホールの分子雲の間を通って進みますが、スパゲッティ化現象の効果で爆発してしまいます。

ミンクはディブスを襲い殺そうとしますが駆けつけたモンテにより殺され、自分は長くないことを悟ったディブスは子供が彼の子供であることを告げます。

モンテの唯一の話相手だったチャーニーも庭に自分自身を埋めて自死。一人残されたモンテは低温チャンバー内の乗組員たちの遺体を宇宙に処分します。

モンテはウィローと名付けた赤ちゃんと一緒に時を過ごしました。彼女が10代になると、彼らの舟に別の舟が近づいてきました。

そこには人間は見当たらず、犬たちのみ。いよいよブラックホールに近づき、モンテはウィローの説得により脱出ポッドに乗り込んでそこを通ることに決めました。ブラックホールに入ると、辺り一面黄金の光と線が広がります。モンテはウィローの手を強く握りました。

本作で描かれているブラックホールは、金色の光の粒が辺りに散らばり線が続いて、光さえも飲み込んでしまうとは思えないほど美しく神秘的です。

モンテとウィローが最後入っていく瞬間は、まるで生まれる前の胎児の頃の記憶を呼び戻すかのような究極のノスタルジー、安心感を感じさせる所が本作の魅力の一つでもあります。

生命の誕生というのは、世界の最大の神秘の一つですが、人間ひとり一人の血や鼓動も宇宙と呼応していて、やがては皆出発点である無へ帰してゆくのだから。最後ブラックホールの中で微笑み合う親子のように、人間は「ここが最果てだ」と思った瞬間に、初めてその奥へ旅立つことができるのかもしれません。

2019年劇場鑑賞作品・・・110  アクション・アドベンチャーランキング

 

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天気の子★★★・8

2019年07月27日 | アクション映画ータ行

大ヒット・アニメ「君の名は。」の新海誠監督が再び川村元気プロデューサーとタッグを組んで贈るファンタジー長編アニメーション。天候の調和が狂っていく時代を舞台に、不思議な能力を持つ少女と出会った家出少年が運命に翻弄されながら繰り広げる愛と冒険の物語を描く。声の出演は主人公の少年少女に醍醐虎汰朗、森七菜。小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、平泉成ら豪華キャストが脇を固める。

あらすじ:天候が不順で雨が降り続く夏の東京。離島の実家を家出した高校生の森嶋帆高は、なかなかバイト先を見つけられず、東京の厳しさに打ちのめされかけていた。そんなとき、小さな編集プロダクションを経営する須賀圭介に拾われ、住み込みで働くことに。さっそく事務所で働く女子大生の夏美とともに、怪しげなオカルト雑誌のための取材を任された帆高。やがて彼は、弟とふたりで暮らす明るい少女、天野陽菜と出会う。彼女にはある不思議な能力があった。なんと彼女は、祈るだけで雨空を青空に変えることができるのだった…。

<感想>これは―― 僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語。新海誠監督の作品とくれば観ない訳にはいかない。「君の名は。」の大ヒットに続き、今回も満員御礼の大盛況の映画館。しかし、期待していたものとは違っていて、ファンタジーではあるが、今一つ盛り上がりのない内容だった。

“愛にできることはまだあるかい”という曲が流れて、2人の男女が出会うのだが、明確に言えばこれは新海誠監督が「君の名は。」で伝わり切れなかったことを、もっと強くはっきりと伝えようと、「君の名は。」をも超える面白さと感動を、価値観を揺さぶる衝撃を、そして言葉にならなかったたくさんの違和感を言い当てて、誰かを救う愛の力を持っている、「愛にできることはまだある」と教えてくれるのだ。今作には何か、命がけの叫びのようなものがこもっていると感じた。

“愛”という男女の心の葛藤という、自分の命とか、自分の気持ちを全部使い切ってしまう、そういう少年と少女を物語の主人公にしている。こところ気候が変わって来て、夏はとても雨が多くなり水害も増えてきたし、心地よかった春や秋のような季節がどんどん短くなってきて、極端に寒い時期と極端に暑い時期が多くなってきて、明らかに気候変動が起きているわけですが、その気候変動の理由は、人によってはいろんな理由があると言う人もいれば、人間なんか一切関係なく、地質年代的に、あるいは太陽活動の影響なんだと言っている人もいるわけで、今の時代において、帆高と陽菜のような少年少女が真っ直ぐに生きて行って欲しいという想いがありますね。

いずれにせよ危ういバランスで天気と人間が共存している世界の中で、少年少女がどう生きていくかという、この映画はそういう話なんだと思った。

晴れ女の天野陽菜と出会い、ネットに投稿してアルバイトを始める森嶋帆高だが、彼は年齢を偽っていて本当は高校生で16歳の家出少年でした。晴れ女の天野陽菜も年齢詐称で実は森嶋帆高よりも年下ということになっていた。両親に死に別れて、生活してゆくために姉の天野陽菜が働かなければ食べていけないというのだ。

世界各地で異常現象の雨、豪雨つづきの転機により、毎日がうっとうしい日々が続く。そこで思いついたのが、一時的にお天気にさせるという晴れ女の天野陽菜の特技、能力をいかしたお天気商売を思いつくのだ。

天気をモチーフに重ねているわけで、単純にアニメーション映画らしく奇跡が起きるという映画にしている。その奇跡の在り方が非常に令和的な感じがしていて、それこそ80年代から自然と人間がどう生きていくのかというのは、アニメーションのテーマだったと思うんです。

ですが、この雨の天気を一時的にしろ、太陽を雲の間から見せてお天気にするというアルバイトは、意外なほどに順調に仕事が入るのだが、しかし、お天気を左右させるということは、天野陽菜の身体に何かしら影響を及ぼすものであり、つまり、だんだんと身体が消えてゆくというのだった。

折角、いいアイデアを思いついた帆高だったが、体が消えて無くなると言うことに対して、いつまでも天野陽菜に晴れ女としての仕事を続けさせるわけにはいかない。シオドキというべきな日数が明るみになってゆく。

異常気象によって水没した東京を、少年が疾走する本作の展開は、ある意味でさらに強引に引っ張ってゆく。そして、天空の世界へと連れて行かれる天野陽菜を追いかける森嶋帆高の姿が、何故にそんなに簡単に彼を、上空の積乱雲の上まで行けるのかが不思議だった。

そこはまるで天国のような世界観であり、つまりは天野陽菜が神の力とも言えるお天気を、自由自在に操ってしまったからではないのか。人間がなせる業ではないのだから。天野陽菜は人のために自分を犠牲にできる強い人。

だからなのか、帆高は天気を晴れにする陽菜の力、奇跡の代償が彼女の身体を蝕んでゆくということがあるとしたら、それは止めなければならない。何時までも続ける仕事ではないのだ。人間にとっては、結婚式とか、引っ越しとか、お爺さんの新盆には晴れて欲しい。

いろんな事情はあれど、晴れの奇跡を起こすために、それが一人の人間の命を亡くしてしまうのでは、犠牲が伴うと簡単に片づけることはできないのだ。ラストでは、陽菜を助けに帆高が雲の上まで行くのですが、あまりにもファンタジーすぎて良きに計らえとでも言いたくなる。

それにしても、最近の地球上のお天気はあまりにも異常気象が多く、日本でも最近では、豪雨が沖縄、鹿児島と何日も続き、その後、関東地方、東北地方と梅雨の季節でもあるので、雨が多いのは致し方のないことだが、それが去年もそうだったが、豪雨による被害(河川の氾濫、崖崩れ、鉄砲水)などが多いのだ。映画のように、ある人が奇跡で雨を止めて天気にするということが出来るのなら、それはあってもいいのではないかと。

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マーウェン★★★★

2019年07月25日 | アクション映画ーマ行

暴漢に襲われ記憶障害の後遺症に苦しむ男性が、セラピーの一環として始めた第二次大戦下の架空の村のジオラマ作りを通して少しずつ回復していく姿を追ったジェフ・マルムバーグ監督による2010年の感動ドキュメンタリー「Marwencol」を、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ/一期一会」のロバート・ゼメキス監督が劇映画化したヒューマン・ドラマ。主人公の葛藤と再生の物語を、彼が作り出したミニチュアの村を最新技術で再現したファンタジックな映像を織り交ぜ描き出していく。主演は「フォックスキャッチャー」「ビューティフル・ボーイ」のスティーヴ・カレル、共演にレスリー・マン、ダイアン・クルーガー。

あらすじ:バーからの帰り道に5人の男たちの襲撃を受け、瀕死の重傷を負ったマーク・ホーガンキャンプ。一命は取り留めたものの、脳に障害が残り、記憶を失ってしまう。PTSDに苦しむ彼は、セラピーとして自宅の庭に第二次大戦下の架空の村を作り、“マーウェン”と名付けて、自分や周囲の人々を模したフィギュアを置いて写真を撮り始める。次第にマーウェン作りに没頭していくマーク。そこでは自分の分身であるホーギー大尉と様々な女性たちが、日夜ナチスの兵士たちと過酷な戦いを繰り広げていた。やがて、現実世界でも心身共に少しずつ回復していくマークだったが…。

<感想>実話をもとに描いたヒューマンドラマであるが、ロバート・ゼメキス監督の新たなる挑戦ともいえる実写と、パフォーマンス・キャプチャーの両方を取り入れたヒューマニズムと、壮大なる空想世界が融合する力作である。

5人の男から暴行され、脳に障害をおった実在の男性、マーク・ホーガンキャンプの物語である。マークは、たまに女性のハイヒールを身に着けるクロスドレッサーで、ヘイトクライム(増悪犯罪)の被害者になってしまったのだ。かといって、彼はゲイではない。そういう趣味の男に対しての偏見が、暴力沙汰を起こしたようだ。

昏睡状態から覚めた彼は、大人になってからの記憶が殆ど奪われ、退院後は襲撃のPTSDに悩まされるが、リハビリで始めたフィギュアの撮影で、彼の中の何かが動き出す。

その空想の世界“マーウェン”では、彼はホーギー大尉となり、女性の友人そっくりに作ったバービー人形軍団が、ナチス親衛隊と日々戦いを繰り広げ、彼を絶体絶命の窮地から救うのだ。それを撮影して、写真展を開くことを進める女性にダイアン・クルーガーが扮している。

演じているスティーヴ・カレルは、マークのドキュメンタリーを見てどのような形でも本作に関わりたいと申し出たというのだ。コメディもシリアスもこなすカメレオン俳優であるカレルだが、今回の役は実在しており、しかも尊敬に値する勇気ある人物だということで、責任を伴うと感じたようです。

お迎えに引っ越して来た女性ニコルに恋をして、彼女の人形も作り、ホーギー大尉の恋人のように車の隣に乗せている。それに、本当にニコルに恋をしてしまったマークは、結婚の告白をするのですが、指輪ではなく勲章を彼女に上げて「結婚してください」と申し込むのです。すぐに断られるマーク。

それに、ニコルの元恋人がいつも来ており、マークとニコルが仲良くしてお茶をしていると、意地悪をしてオモチャの人形や、庭の模型を壊してしまう。

それに、暴行した5人の男の加害者との裁判があり、その時も神経が麻痺して頭の中では、ナチとの戦場になり裁判が成り立たなくなるのだ。しかし、最後には、勇気をもって、薬を飲み暴力で自分のような人間が二度と出ないようにと、裁判官に向かって述べるシーンもありました。

やはりカレルは素晴らしい俳優であります。イノセントでアーティスティックな男が、スクリーンに現れ、ゼメキス監督の作るファンタジーの世界と交わりながら、希望を失わず葛藤する姿があった。思わず熱いものが込み上げてくる。

マークの闘いは、勿論自身の再生であるが、また同時にヘイトクライムに屈しないという偏見社会へ向けた戦いでもあります。

戦場はどこか遠くにあるのではなく、人形たちが息づくのは、マークの質素な自宅の庭なのだから。家のすぐ隣に自分で作った箱庭が戦場であり、主人公の家や酒場などが模型で作られてあるのが良かった。

6/1フィギュアが、人生に苦悩する多くの者たちのために、戦い続けているのだ。セクシーで強い美女たちが守ってくれると思うと、ちょっとくすぐったいような不思議な気持ちになるのだが、・・・。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・108  アクション・アドベンチャーランキング

 

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いちごの唄★★・5

2019年07月20日 | アクション映画ーア行

人気脚本家の岡田惠和がTV「ひよっこ」の出演者でもあった峯田和伸のバンド“銀杏BOYZ”の楽曲をモチーフに紡いだ同名連作短編集を、「ひよっこ」の古舘佑太郎と「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「きみの鳥はうたえる」の石橋静河主演で映画化した青春ラブストーリー。監督は岡田脚本のドラマ「泣くな、はらちゃん」「ど根性ガエル」を手掛けた菅原伸太郎。本作が劇場映画デビューとなる。

あらすじ:不器用ながらも心優しい青年コウタ。中学生のとき、唯一の親友だった伸二と、クラスメイトの千日を“天の川の女神”と崇め、2人で遠くから眺めて満足していた。しかし伸二は、その千日を交通事故から守り亡くなってしまう。10年後、伸二の命日である七夕に、コウタは千日と偶然の再会を果たす。2人は1年に1度だけ、伸二の命日に同じ場所で毎年会おうと約束する。次第に千日への恋心が募っていくコウタだったが…。

<感想>全力で恋した時間は、永遠なんだ。同作は「ひよっこ」の脚本・岡田氏、出演の峯田のコンビが、「銀杏BOYZ」の名曲「漂流教室」「ぽあだむ」などをイメージソースに、純真無垢な青年コウタ(古舘)が中学時代、密かに「女神」と崇めていた初恋の相手、千日(石橋)と10年後に再会し、恋心を抱く姿を描ている。

宮本信子が演じるのは、コウタ(古舘)の亡き親友・伸二が住んでいた孤児院の園長役。「とても静かな映画で、少し心が痛くなるような、でも最後には爽やかな気持ちになれる作品」と本作の感想を述べつつ、自身の役どころについては「長い間ひとりでこの場所(孤児院)を守ってきた人」と説明している。「その厳しさ、優しさの両方を表現できたら良いなと考えて、とてもとても大切に、セリフを言わせて頂きました」と振り返っている。

コウタが想いを寄せるあーちゃんの中学生時代の姿に扮する清原は「大人のあーちゃんに繋ぐパズルピースを丁寧に集めなくちゃ、と模索していた日々を思い出します」「コウタとあーちゃんの切ない歩幅と、この作品の甘酸っぱい香りを胸いっぱいに感じて頂けたらいいなと想います」とアピールしている。

千日が中学三年生の時、自分のせいで同級生が死んでしまったと思っていること。十年経った今でも、そこからまだ立ち直れずにいること。

千日とコウタは10年ぶりに再会し、それから1年に一回しか会わない。七夕の日を心待ちにするコウタの描写こそあるものの、千日がどのような日々を過ごしていたのかは一切描かれていないのだ。更に言えば、コウタと再会するまでの10年間を彼女はどうやって生きてきたのだろうか?・・・。観客の想像力を掻き立てるのだ。

その時に必ずいくラーメン屋は、客が入っていない寂れた店。コウタが、店主に来年の七夕まで営業していて下さいとお願いする。

一年の一度の逢瀬だけで過ぎてゆく時間は結構長く、その1年の間に彼女に何があったのかは描かれていないので、想像するしかない。そして、ある七夕の夜、コウタに千日が自分の気持ちを吐いてしまうシーン。

ですが、映画の中で描かれている主人公のコウタが、余りにも子供じみていて純真なのに面食らってしまう。だから、一緒に出て来る弟とその恋人の方が、ずっと大人に感じてしまった。コウタという男の勝手な女性像の崇拝が、気味悪かった。

だから、千日が「私は女神じゃない」と否定するので、それでいくらか留飲が下がったと思う。いつまでも子供ぽい男子と、実年齢以上に大人に見える千日の組み合わせとしては絶妙です。優しさの押し売りになっていないのも、心地良かったですね。

コウタは千日を笑顔にする一方で、彼女の古傷にさわる存在でもある。コウタが千日の苦しみを、受け取って救ってくれるのじゃないかと思っていたのですが、コウタは救ってはくれなかったのだ。優しくも残酷なコウタの回顧から動き始めた千日の感情は、思いがけない人の元へと導いていく。

映画の終盤で、幼いころに伸二と生活をしていた養護施設の園長を訪ねる。そこで、長い間彼女の心の中でぐるぐると絡まって、どうしようもなくなっていた哀しみを受け取ってくれたのは園長先生だったのですね。そこで千日は、やっと胸のつかえたものが取れた感覚になりました。

一方、コウタのアパートの隣室に住んでいるパンク好きのお姉さん・アケミ役の岸井さん。アケミは彼(コウタ)の人生に勝手に入り込んで、勝手に通り過ぎていきます。事情があって、アケミはコウタの名前を一度も呼ばないけれど、名前をちゃんと知らなくても、人は出会って別れることができるんだなぁと、現代の女性の方が上をいってますね。

コウタとあーちゃんとの切ない恋心を描いている本作を通じて、青春に年齢は関係ないと思いましたが、10代の時に感じる、嬉しさや、苦しさ、ドキドキする感情は、大人になると楽しめなくなるものだと想っていたけど、この作品を見て、大人だからこそ大切にできる青春があるんだなと知りました。

また、和久井と光石がコウタの両親を演じている。映画「3月のライオン」で主人公の幼少期を演じた大西利空が中学生時代のコウタ、小林喜日が伸二、泉澤祐希がシゲとして参加。

「カメラを止めるな!」で話題を呼んだしゅはまはるみがコウタの職場の先輩・涼子役に、「まく子」(3月15日)の主演に抜てきされた山崎光が子ども時代のシゲを体現していて、渡辺道子、ポール・マグサリン、吉村界人も共演していました。

2019年劇場鑑賞作品・・・107  アクション・アドベンチャーランキング

 

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今日も嫌がらせ弁当★★★

2019年07月17日 | アクション映画ーカ行

反抗期を迎えた高校生の娘への仕返しとして、愛情溢れる“嫌がらせ弁当”を3年間作り続けたシングルマザーが綴った人気ブログを篠原涼子と芳根京子の共演で映画化したコメディ・ドラマ。監督は「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」「レオン」の塚本連平。

あらすじ:八丈島のシングルマザーかおりは、次女の双葉と2人暮らし。高校生になってからすっかり反抗期となり、話しかけても返事すらしてくれない娘に困り果てたかおりは、いまや母娘の唯一の繋がりとなっているお弁当でコミュニケーションを取ろうと思い立つ。さっそく仕事で忙しいにもかかわらず、娘の嫌がるキャラ弁づくりに奮闘するかおり。一方の双葉は、すっかりクラスの注目の的となった“嫌がらせ弁当”を迷惑がりながらも、一口も残さず食べ続けるのだったが…。

<感想>生意気でも、反抗期でも、あなたが娘でよかった。良く解りますよ、家でも娘が2人いるので、反抗期は娘2人共ではなくて、妹の双葉ちゃんだけなのね。姉ちゃんは、自活をして別に暮らしているから。

弁当作りには、本当に悩まされましたね。冬はいいのですが、梅雨時と夏ですね、傷みやすいおかずは入れられません。揚げ物も、毎日だと飽きて嫌だといいます。だから、キャラ弁なんて作ったことありませんね。

毎日同じような塩鮭焼き、卵焼き、ウィンナー(タコなんて作りません)ブロッコリーにミニトマト(夏はダメ)。で、夏はかんぴょう巻きとか、のりまき、梅干しのおにぎり、いなりずしなどです。最近では冷凍品で、とても便利な食品がありますよね。

この娘は幸せ者ですよ、母親に感謝しなさい。それに、キャラ弁だと教室の同級生に羨ましがられるね。こんな母親になりたかったです。今更ながら後悔しても遅いちゅうのに、苦笑。

この作品ではシングルマザーで、働かなければ食べていけない。それなのに、朝早く起きて、娘のためにキャラ弁作って、偉いったらない。

佐藤隆太扮するシングルファザーから、キャラ弁を毎日写真に撮り、載せているブログにコメントがきた。どうやったら、このようなキャラ弁が作れるのかと。息子に試行錯誤して作ったキャラ弁に、恥ずかしいとか、美味しくないとか、食べてくれなかったのだ。これには、返事に困ってしまった。かおりママのように、器用に海苔を切って、ご飯に張り付けて、おかずもたくさん作っているので。無理してキャラ弁作らなくてもいいのに。いつものオニギリに、鳥から揚げ、ウィンナーでいいのにね。

途中で、日頃の疲れから母親が倒れて病院へ入院することになる。これで、やっと娘たちも、母親のありがたみが分るのだ。

それに、自分が結婚をして、夫や子供の弁当を作る時に、あの時の母親のありがたみが手にとるように分るのだ。私もそうだったように、子供も大人になり、結婚をして子供を産み、育てて、弁当を作り、やっとこさ親の有難みが分るのだ。映画の中の母親は、重い病気でなくて良かった。

そして、娘の卒業式での弁当の立派なことといったら、クラス全員で食べれるようにと、たくさんのおかずに、黒い海苔で描いた卒業おめでとうの言葉に、溢れるほどの母親の愛を感じました。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・106  アクション・アドベンチャーランキング

 

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トイ・ストーリー4★★★・5

2019年07月17日 | アクション映画ータ行

世界初の長編フルCGアニメーションとして誕生し、人とおもちゃの心温まる絆をユニークかつ濃密なストーリーで描いたディズニー/ピクサーの人気ファミリー・アドベンチャーのシリーズ第4弾。新たな持ち主ボニーの部屋から逃げ出したおもちゃを追って外の世界へと飛び出したウッディらが、驚きと感動の冒険を繰り広げる。声の出演は引き続きトム・ハンクス。「インサイド・ヘッド」の脚本に参加したジョシュ・クーリーが監督を務める。

あらすじ:ある日、新たな持ち主の女の子ボニーを見守るウッディ、バズたちの前に、彼女が幼稚園の工作で作った手作りおもちゃのフォーキーが現れる。しかし、フォークやモールでできた自分をゴミだと思い込んだフォーキーは、部屋を抜け出して逃走。ボニーのお気に入りであるフォーキーを連れ戻すため、ウッディたちは新たな冒険へと踏み出し、やがて、一度も愛されたことのないおもちゃとの出会いや、かつての仲間ボーとの再会を経て、初めて目にする新しい世界へとたどり着く。

<感想>劇中の「おもちゃにとって、幸せとは何なのか」という問いを通じて、「私たちにとって、幸せとは何なのか」というテーマをも描出してきた本シリーズ。世界中を情動の渦で包み込むであろう「トイ・ストーリー4」が、ついに幕をあける。日本語吹替版での鑑賞です。完璧な吹き替えの元祖って、今やもう、唐沢寿明&所ジョージしかありえませんね。

1995年にシリーズ第1作が産声を上げた「トイ・ストーリー」。もしもおもちゃが生きていて、人間に見られないよう生活していたら……。想像をかきたてられるユニークすぎる設定はもちろん、おもちゃなのに人間味あふれるキャラクターが繰り広げる冒険は、世界中の子どもたちのみならず、大人たちをも夢中にさせてきた。前作から約9年の時を経て公開される最新作「トイ・ストーリー4」は、私たちシリーズファンの期待を軽々と超える“本当の結末”をつむいでいく。

今回は新たな持ち主ボニーを優しく見守るウッディや、その大親友であるバズらお馴染みの仲間たちに加えて、シリーズ初の“手作りおもちゃ”のフォーキーらが新たに登場します。ボニーの一番のお気にいりのフォーキーを守る役目に必死のウッディ。

逃げ出したフォーキーを探すウッディたちの大冒険、かつての仲間ボー・ピープとの再会、そして最後にウッディが選択する“驚きの決断”が描かれていく。

“手作りおもちゃ”のフォーキーは、天然なのに鋭いその発言に爆笑必死!ウッディたちの持ち主の女の子ボニーが、先割れスプーンを使って作った手作りおもちゃ。自分のことをゴミだと思っていて、目を離すとすぐにゴミ箱の中へ入りたがる困ったフォーキー。

この手作りおもちゃに振り回されて、ウッディは一度も愛されたことのないおもちゃ、ギャビー・ギャビーという可愛らしい人形と出会い、彼女が製造不良のため、お喋りができない。その彼女がウッディの背中にあるお喋りの機械を盗もうと計画をする。これはちょっとした事件ですね。でも、大親友のバズが助けに来てくれました。

ウッディたちはボニー一家とともに、キャンピングカーで旅行することに。道中は楽しく順調で……なんてわけもなく、またまた騒動が勃発する。フォーキーが自分をゴミだと思い込んで逃げ出してしまうんです。

ボニーのためにフォーキーを探す冒険に出たウッディは、アンティークショップに迷い込み、ギャビー・ギャビーという女の子の人形と不気味な腹話術人形たちと出会うのです。彼女たちは、ウッディが持つ“ある物”を狙って襲撃。一方でバズら仲間たちにもピンチが降りかかり、“まさか”の事態に巻き込まれていく……。

キャンピングカーから飛び出したウッディとフォーキーを追って、バズがたどり着いたのは、おもちゃにとって楽園のような移動遊園地。轟音を立てて稼働するメリーゴーランドなどが子どもたちを楽しませるなか、バズはひょんなことから従業員に拾われ、射的場の景品として磔(はりつけ)にされてしまう。そこには可愛らしい見た目の、射的の景品のぬいぐるみ。フワフワ、モフモフの可愛らしい見た目のあひるのダッキーとウサギのバニー。毒舌ぬいぐるみコンビがいて、バズと“乱闘”を繰り広げるわけ。

そして、カナダのスタントマン人形、デューク・カブーン(声はキアヌ・リーヴス!)が反則級の面白さ!結構活躍するも、臆病で度胸がないのに笑える。それよりも大事件だったのが、「トイ・ストーリー2」以来20年ぶりにシリーズに再登場したボー・ピープ。

ウッディと心を寄せ合う存在だった磁器製の美しい羊飼い人形。アンティークショップで埃をかぶって飾られる2年間を過ごした後、自分の意思で外の世界へ飛び出したのだ。

フォーキーを探して、アンティークショップに飾られているボー・ピープを見つけたウッディは、心が躍るくらい嬉しくて、彼女と今後一緒に暮らすことを決断することに。これには驚きでした。ウッディが恋をしていたボー・ピープと、これからは、サーカスの車に乗って一緒に世界中を旅することに決めたのですからね。

注目すべきは、それらを描写する深みのある映像美ですね。技術の格段の進歩により、「トイ・ストーリー」の世界観を保ちつつも、これまで以上に豊かな映像表現が可能に。プロローグでの迫力ある豪雨、美しくもダークなアンティークショップ、約30000点のライトが点滅するノスタルジックな移動遊園地の情景など、美しい映像に満たされ、物語の感動をさらに盛り上げてくれる。

オモチャにとって一番に大切なことは、いつも子供たちのそばにいること。でも、この映画の中のオモチャは、人間のように心があるので、だから人生を変える出逢いや、見たことのない新しい世界など、いつも持ち主の子供の傍にいることよりも、“ウッディ“が自分の思い通りの人生を生きる決断をすることを、選ぶことだったのですね。小さな子供には、オモチャの“ウッディ“の選択なんて理解できるわけもなく、大人のための物語だったようです。最後のオチに、ボニーが幼稚園で、フォーキーのために手作りナイフの人形を、作ってくれたことですかね。

2019年劇場鑑賞作品・・・105  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アメリカン・アニマルズ★★★

2019年07月13日 | アクション映画ーア行

退屈な日常を送るごく普通の大学生4人が、刺激を求めて実行した実在の強盗事件を完全映画化した異色の実録犯罪ドラマ。刺激がほしいというだけの安易な理由と、犯罪映画を参考に練り上げた杜撰な強盗計画の顛末を、すでに刑期を終え出所した本人たちのインタビューを織り交ぜた異色のスタイルで描き出していく。主演は「X-MEN:アポカリプス」のエヴァン・ピーターズと「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のバリー・キオガン、共演にブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン。監督はドキュメンタリー畑出身で本作が長編劇映画デビューとなるバート・レイトン。

あらすじ:大学生のウォーレンとスペンサーは、中流階級の家庭に生まれたごく普通の大学生。何不自由ない生活を送りながらも、平凡な日常に苛立ちと焦りを募らせていた。そんな時2人が目を付けたのが、大学図書館に所蔵されているジェームズ・オーデュボンの画集『アメリカの鳥類』という、10億円以上の価値がある貴重な本。それを盗み出せれば、人生が特別なものになるに違いないと思い立った彼らは、協力者として秀才のエリックと青年実業家のチャズをリクルートすると、さっそく綿密な計画を練り始めるのだったが…。

<感想>普通の大学生が起こした普通じゃない強盗事件。芸術と犯罪の抜き差しならぬ関係とは、「犯罪は芸術を模倣する」芸術と犯罪がのっぴきならない関係にあることは、間違いあるまい。最初に登場する画家志望の大学生スペンサーは、人生を変える体験をしたいと熱望していた。「絵が上手いだけではダメだ。芸術家には悲劇が必要だ。ゴッホは自殺し、モネは失明した」。そんな彼に、メフィストフェレスの如く現れた大学生のウォーレンが、大学の図書館に保管されている時価12億円の画集を強奪することを持ち掛ける。

ジョン・ジェームズ・オーデュポンの「アメリカの鳥類」初版だが、鍵付きのガラスのショーケースの中に陳列されており、そばには中年の女性司書が張り付いているのだ。

盗み出すのは至難の業だったが、ウォーレンの頭には決行しかなかった。スペンサーは躊躇するも、「画家であり犯罪者」になれるチャンスを簡単に捨てる決心がつかないのだ。結局は、あと2人の大学生を集め、4人で犯罪を決行するのだが、犯罪に関しては全くの素人だし、そもそも裕福な家庭のお坊ちゃんでしかない連中だから、大それたことを成功させるだけの根性がないのだ。

1人が「レザボア・ドッグス」を真似てコードネームを付けようとすると、もう1人が、「あれはタランティーノの駄作だ」と呟くのが面白い。犯罪が進行してもベースは限りなく青春ドジ物語であり、全員7年の刑を食らってジ・エンドということになってしまう。

こんなチャチな犯罪を映画にしたところで、面白くなるわけがないのだが、すべては実話というところに目を付けた監督がいた。ドキュメンタリー映画で頭角を現し、本作が劇映画デビュー作となるバート・レイトンである。

大学の図書館に2人が侵入して、「アメリカの鳥類」の傍にいるデブのおばさんをスタンガンでシビラせて、縛り上げ、その後に鍵で開けるどころかガラスを割って、「アメリカの鳥類」の本を敷物に包み、それから奥の扉から逃走の予定だったのが、間違ってエレベーターで1階に行き、慌てて地下へ行くも、倉庫のようで出口が分からないのだあ。慌てて2人はまた1階へ行き、図書室なのでみんなが本を読んでいるところから2人は逃走する。

しかし、「アメリカの鳥類」の本が大きくて重くて、とても持ち運べないので諦めるのだ。モタモタしているうちに、2人は警備員に捕まってしまう。

その前に、わざわざ、オランダまで行き、図書館から盗んだ貴重な蔵書を売る売人と出会うのだが、どうも怪しい人物なのだ。

実刑を終えた本物の4人を画面に登場させ、犯罪の初めから結末までを証言させる。冒頭のテロップで、「これは実話に基づいたものではなく、実話そのもの」だと、念を押すのだが、さりとてドキュメンタリー映画ではなく、4人に扮した若手俳優が再現ドラマを演じるのだから、会話などは当然のごとくフィクションだろう。しかし、そう思われては映画の意図が揺らいでしまうから、しきりに本人や関係者を登場させて、ドキュメンタリーのリアル感を崩さない。

それにしてもだ、面白くない犯罪を面白くないままに描きながら、映画としては面白いものに仕上げていく。という意図と自信は中々のものである。

まず目を見張るのは、画集に描かれた等身大の鳥たちを犯罪の象徴のように捉えた映像や、FBIが踏み込んで来るシーンの幻想的な色彩と照明など、カラフルなフィルム・ノワールと形容したくなるほどスリリングであります。

「犯罪は芸術を模倣する」とはこのことか、「芸術も犯罪も簡単に模倣されるほど、ヤワなものではない」ことも確かであり、最後にテロップで語られる彼らの現在の生活や今後の目標ににも愕然とさせられる! 

スタイリッシュな映像と音楽で練り上げたクライム&青春映画だが、この映画の何を信じて何を信じないかは、観客それぞれが判断するしかなさそうですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・104  アクション・アドベンチャーランキング

 

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パパは奮闘中!★★★

2019年07月13日 | アクション映画ーハ行

ある日突然、母親が理由も告げずに家を去り、残された父親と2人の子どもたちが、それぞれに葛藤を抱えながらも懸命に生きていく姿をリアルな筆致で描いたヒューマン・ドラマ。主演は「真夜中のピアニスト」「タイピスト!」のロマン・デュリス。監督は長編2作目のギヨーム・セネズ。

あらすじ:妻のローラと幼い2人の子どもたちと幸せに暮らしていたはずのオリヴィエ。ところがローラはある日突然、家を出て行ってしまった。残業続きの忙しい日々を送っていたオリヴィエだったが、それに加えて慣れない育児も一人でこなさなければならなくなり、家庭も仕事もトラブルの連続に。おまけに妻の失踪の理由がまるで分からず、精神的にも追い詰められていくオリヴィエだったが…。

<感想>ロマン・デュリスが、突然、妻に出て行かれて息子のエリオットと娘のローズの、子育てパパになりシングルファザーになるという大奮闘記。本作の監督ギョーム・セネズが離婚を経験し、仕事と子育てに向き合うようになった実体験から生まれた本作だそうです。

それに、会社では労働組合の役員になり、会社でも次々に解雇されていく社員たちの声を聴きながらの、職場の上司と対立しますが全く意見が通りません。こんな時に妻が突然家出というショックなことになってしまう。それも、妻は育児ノイローゼになり、夜も眠れない日々が続き、夫のオリヴィエに相談しようも、夜遅く帰る夫には悩みも打ちかけられなかった。それで、家出って、それも全然知らせも無く、父親が子供2人を抱えて、仕事にも精を出すということになるわけ。

これって、どこの国にもある夫婦の悩みなのだろうが、この映画の中のオリヴィエは自分の妹に相談したり、子供の世話を頼んだりして何とか暮らしている。

警察に相談するも、妻の家出という話には取り合ってもらえません。そういうのって、夫婦関係のことだからです。

仕方なく、パパはしばらくの間、2人の子育てをしながら働くしかありませんね。それに、今まで子育てをしたことがないらしく、子どもがお気に入りのシャツの事を話しても、何の事なのか分からず、寝かしつけるのも一苦労で苛立ちを隠せません。

子供たちに、夕飯に何を作って食べさせていいのやらさっぱり分かりません。それで、適当にあるもの、シルアルしかないので、それを食べさせて寝かせます。酷いパパですよね。

朝になっても、起きるのが遅いから朝食もシリアルですませて、學校へ送り届けるのにも時間がかかり、自分の職場に遅刻してしまうわけ。彼の仕事は、オンライン販売の倉庫で働いているのですが、労働組合もあり、会社側も厳しくてリストラしたり、それに、人がいないのに、労働力は2倍の忙しさです。

オリヴィエは長年一緒に働いてきた仲間を守ろうとしますが、自身の無力さを痛感する状況が続きます。だから、家へ帰っても、子供の世話どころか自分の疲れた体と、従業員たちの悩みとか、毎日が苦労のつづきです。

数日後、妻のローラから手紙が届きますが、勝手に出て行った妻に逆切れしたオリヴィエは、妻からの手紙を子供たちの前で破き、子どもたちとの間にも亀裂が入ります。

妻の失踪にショックを受けている子どもたちに、これまで家族の事を考えていなかったオリヴィエは、ベビーシッターを雇う余裕もないし、周囲の人間の協力を得ながら、仕事と子育てを両立させようとしますが、自分が子どもたちの事を何も知らなかったと実感します。果たして家族崩壊になるのではないでしょうかね?

母親が消えた事で、子供たちの中ではその存在感が増していく事は間違いありません。そうなった時、父親はどうするのか?父親は、子供たちにとってどんな存在であるべきか?と、本作は問いかけて来ます。

精神的に余裕が無くなり、心配して訪ねてきた妹のベティにも、悪態をついてしまいます。自分が子供の頃に父親から厳しくされて育ってきたパパ。だから、自分が子供たちを叱るときに、そのことを想いだし、自分が同じ父親になっていると気付くのですね。でも、いくら寂しいからって浮気はダメでしょう!

この作品は、人間ドラマの部分を強調する為、あらかじめ用意していた台本を重視せず、その場で俳優達が出てきた言葉を採用する、アドリブ重視の演出と行っていたそう。

2019年劇場鑑賞作品・・・103  アクション・アドベンチャーランキング

 

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エリカ38★★・5

2019年07月08日 | アクション映画ーア行

2018年9月に他界した樹木希林が生前、プライベートでも親交の深い浅田美代子のためにと、自ら初の企画を手がけた作品。実在の詐欺事件をモチーフに、浅田美代子が45年ぶりとなる主演を務め、実年齢を20歳以上も詐称し、巨額の投資詐欺に手を染めた女性の半生を描き、その複雑な内面に迫っていく。共演は樹木希林のほか、平岳大、木内みどり。監督は「ブルー・バタフライ」「健さん」の日比遊一。

あらすじ:水商売をしながらネットワークビジネスを手がける渡部聡子は、喫茶店で偶然知り合った女性・伊藤の紹介で、国境を超えたビジネスを展開している平澤という男性と出会う。平澤が手がける途上国支援事業の資金集めを手伝うようになった聡子は、そうして集めたお金を自分のために使い始める。やがて佐々木という裕福な男性と知り合い、彼のお金で手に入れた豪邸に母親を呼び寄せる聡子だったが…。

<感想>女の本性ってなんですか?本作自体が、まるで一個の女系犯罪ものであることが凄い。2年前に実際に起きた詐欺事件がベースの、“何が彼女をそうさせたか”が、被害者ふう加害者という中途半端な主人公像が、浅田美代子の及び腰の演技でさらに曖昧になり、ただ人騒がせな女を表面的になぞっているだけ。何だかそんな感じがした。

今までが、「釣りバカ日誌」シリーズの可愛い奥さん、みち子さんのイメージが頭から離れない。そんな彼女が今回演じたのが、女性詐欺師の物語。しかも、実際に起きた女性詐欺事件がモチーフになっている。

主人公の家庭環境や高校時代のエピソードも、生い立ちもフィクションですしね、何故ああいうこと(詐欺)を起こす人間になってしまったのかが分からない。父親のせいで抱えてしまった男性への想いとか、不信感とか。

もちろん父親は悪人ですよ。だからといって聡子が、悪いことをしてしまったことは間違いないないのだけれど。何故にそこに至ったかは、描かれていました。それが、取ってつけたように薄っぺらに映っていた。樹木希林さんの、ごひいきの引き出しからだしたような企画作品。

尽きぬ人間の欲望、それは主人公の聡子や、彼女を巧く取り込み利用する平澤育男に限ったことではない。この映画を観る私たちにも、少なからず欲望はあるだろう。お金、地位、名声、物質的に豊な生活。このどれにも興味を持たない人間を探す方が、実際は難しいことだと思う。

そして、平成の世にしっかりと、私たちの生活に根付いた“SNS”の登場によって、隣の芝生どころか、世界中の芝生が覗けて、さらには自らを世界にアピール出来る時代を迎えた。そうなると、ハマってはならない低次の沼に浸り続けることになってしまう。

欲望をコントロールできず、理性や自分の正義に背いた行動に走り、結果犯罪者になってしまったのが、この映画の主人公聡子なのである。

だが、その後に平澤の裏切りを知り、彼との関係を絶ち、旅先のタイで恋に落ちるのである。純粋な若い男に出逢い、恋に落ち、我を忘れて夢中になってしまう。この男は、エリカのお金のために、利用しているだけかもしれないのに。

聞けば本作中でも一徹な演技者の遺言として、その姿を刻む樹木希林が根本のアイデアをだしたというのだから。男も女も、実はいつ悪人に転じてしまうかなんて分からない。そういう要素を人間って誰でも持っているものだから。私に限って絶対無いと、思っている人間がいつしか陥っているという、風な感じに描かれていた。

樹木希林の期待に充分応えて熱演したであろう、浅田美代子とともに夫の内田裕也的な世界に、あたしたちはこんな風なのよと、返したもの。

せめて浅田美代子をもう少し綺麗に撮って欲しかった。そして、浅田美代子自身も、もう少し38歳を意識した“張りのある演技”をして欲しかったですね。

一つのフレームの中に、二つの情報を映り込ませることで、表裏のメタファーとなるスタンダードサイズを基本とした画面構成。また、暗部でゆらめくローソクの炎や、スローモーションを用いることで、登場人物の内面を映像に反映させているように見えた。

意図された画作りは、浅田美代子が演じるエリカという人物の不透明さを際立たせているようだった。女は誰でもが「エリカ」になり得る。私も、貴方も2018年の9月に、ひらひらと手を振って旅立った役者、樹木希林が企画し、朋友・浅田美代子に贈ったのがこの「エリカ38」であります。

2019年劇場鑑賞作品・・・102  アクション・アドベンチャーランキング

 

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凪待ち ★★★・5

2019年07月05日 | アクション映画ーナ行

「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が「ギャラクシー街道」「クソ野郎と美しき世界」の香取慎吾を主演に迎えて贈るヒューマン・サスペンス。再起を誓ったろくでなし男が、不条理な運命に翻弄されながら周囲の人々と織りなす愛と暴力の人間模様を切なくも力強い筆致で描き出す。共演に恒松祐里、西田尚美、リリー・フランキー。

あらすじ:ギャンブル依存症で、定職にも就かず無為な毎日を送る木野本郁男。恋人でシングルマザーの亜弓とその娘で高校生の美波のためにもとギャンブルから足を洗い、亜弓の故郷・石巻に移り住み人生をやり直す決意をする。実家では末期がんに侵されながらも漁師を続ける亜弓の父・勝美がひとりで暮らしていて、ご近所の小野寺が何かと世話を焼いていた。そんな中、郁男は印刷会社で働き出し、再起に向けた新生活がスタートする。ところがある日、亜弓と衝突した美波が夜になっても戻らず、心配でパニックになった亜弓に八つ当たりされた郁男は、彼女を車から降ろし、置き去りにしてしまう。その後、亜弓は何者かに殺され、遺体となって発見される。責任を感じ、次第に自暴自棄となっていく郁男だったが…。

<感想>誰が殺したのか?なぜ殺したのか?・・・香取慎吾ファンで鑑賞しました。でも解せませんね。主人公の郁男が、ギャンブル依存であらゆる金を次ぎこんでしまう男、しかも、寡黙でキレると凶暴。魅力あるかなあ、この男は、今ならばDV、パワハラで訴えられて、奥さんに“出て行け”と言われてもしょうがない男の話です。

何故にあんなに娘や爺さんに、嫁の友達にも愛されてるかが、意味不明なのでイマイチ引き込まれない内容でした。確かに今までがアイドルだった香取慎吾が、新たに生き直して前向きに選んだ作品、もっとも大きな再生に重ねた映画なのかもしれません。

あえて東日本大震災の爪痕の残る石巻を舞台に設定し、主人公は恋人の故郷である見知らぬ土地で、漁師の義父と亜弓の連れ子の高校生の美波と4人で家族になろうとするのだが、・・・。ところが、印刷業へ就職したものの、そこで知り合ったギャンブル仲間と友達になり、新天地へ行っても彼の遊びであるギャンブルは止められなかったのだ。

確かに、愛した女・亜弓は乱暴されて殺されたのだが、娘は元父親が地元にいるので、そこへ行って学校へ通いたいと言う。義父は癌を患い、幾ばくも無いのだから。どうして、自分から義父の漁師の仕事を引き継ぐと、言い出さなかったのかが分からない。漁師の仕事は朝早くて体も大変だし、そんなに金を稼ぐわけでもないのだ。

冒頭から、抜け殻のような香取慎吾を見せられて、後ろ姿が哀れでしょうがない。でも、みんな辛くても生きているのだから。簡単にギャンブルで金儲けをしようという根性が嫌だった。それも、ヤクザの金貸し(のみや)から金を借りて、膨大な利子が付いてくるのに。あっと言う間に300万円の借金ができてしまった。袋叩きに会い、金を工面する方法もなく、飲み屋で暴れて椅子、テーブルなどを壊し、その支払いも亡き妻の友人である氷やのリリー・フランキーが立て替えてくれる。

若い男が働きのせずにギャンブル通いをしては、情けないたらない。「ぼくはどうしようもないろくでなしです」と言う郁男。立派な体があるじゃないか、やり直しは利くはずだ。他にも、郁男が働いている印刷工場の仲間にもそういうやからがいる。何もかもが波にさらわれてしまい、生きる術がないと嘆く人たち。でも自分だけじゃない、周りを見てごらんよ、足を引きずりながらも仕事をしている人だっている。

この映画に登場する人たちは、「あの時、ああしていれば」と、後悔を抱えた者ばかり。美しい波という名前の少女は、そんな男たちの心に“凪”を与えて導く存在なのだ。

だから、香取慎吾に対して義父が船を売って300万円の金を作り、借金返済にしろと優しい言葉をかける。俺はどうせ癌で、後幾ら生きるかしらないからと。その金を持って借金を返すのだが、悪いことに50万円ばかり残ってしまう。よせばいいのに、その金をまたもやギャンブルに賭けるのだ。

それが運よく当たり券で、300万円を儲けてしまうのだが、相手はヤクザでその当たり券を口の中へ押し込んで飲んでしまう。これが「のみや」というものだと馬鹿にされてしまう。怒った郁男がヤクザ相手に喧嘩をする。勝てるはずもなく、怪我をして帰って来る。

だが、義父がヤクザの親分の知り合いで、そのことを聞き、子分に当たり券の300万円を払ってやるようにと命令する。それに、義父が言うには、亡き娘が結婚届けを書いていたことも、2人の結婚を承諾して欲しいと義父に頼んだと言うのだ。

やっと気づいた郁男が、義父の船を買い戻して、自分も漁師をやると宣言して、最後は仲良く船に乗り、新しい船出に出発するという。どうして、もっと早くに気づかなかったのだろうか、人間ってどん底まで落ちないとダメなのかな。

これまで観たことのない厳しいやさぐれ男の役どころに、香取慎吾という俳優の新境地を観たという終幕は美しい。

2019年劇場鑑賞作品・・・101  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ホットギミック ガールミーツボーイ ★★

2019年07月05日 | アクション映画ーハ行

「5つ数えれば君の夢」「溺れるナイフ」の山戸結希監督が相原実貴の人気少女コミックスを、主演に乃木坂46の堀未央奈を迎えて実写映画化したガールズ青春ストーリー。自分に自信が持てず周囲に流されやすい女子高生のヒロインが、タイプの違う3人の男子との初恋に揺れ動きながら成長していくさまを瑞々しいタッチで描く。共演は清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗。

あらすじ:女子高生の成田初は、両親と兄・凌、妹・茜と都内のマンションで暮らしていた。ある日、妊娠したかもしれないという茜のために購入した妊娠検査薬を、同じマンションに住む幼なじみの亮輝に見つかり、秘密にしてやる代わりに奴隷になれと脅迫されてしまう。以来、亮輝の無茶な命令に振り回されていく初。そんな中、小学校の時に突然転校してしまった幼なじみの梓が、人気モデルとなってマンションに戻ってきた。亮輝から自分を守ってくれる梓に心惹かれ、付き合い始める初だったが…。梓にはある目的があり、さらに兄・凌の秘密をも知ってしまう。

<感想>原作は、累計発行部数450万部を突破した相原実貴氏の同名コミック。“片思いが成就すること”に主眼を置き、それまでの少女漫画というカテゴリーを大きく飛び越え、男女の繊細な駆け引きを活写している。

漫画は未読ですが、主人公・成田初(なりた・はつみ)に乃木坂46の堀未央奈が扮していて、同じ社宅に住む幼馴染みの橘亮輝(たちばな・りょうき)には、清水尋也君が演じており、おさな馴染みの小田切梓(おだぎり・あずさ)には板垣瑞生くんが、兄の凌(しのぐ)にはベテランの間宮祥太朗が演じていて、彼は影のある兄貴として頼りになる存在でもある。

高校生の初が、本物の恋を求めて三種三様の王道の恋愛を展開し、若い読者には少し背伸びをした内容も話題を呼んだ模様。2000年から「Betsucomi」(小学館刊)で始まった連載は、05年に終了したものの、女の子が本質的にドキドキするような恋愛が細部にまで描かれていたことから、現在でも“恋愛漫画の金字塔的な作品”という呼び声が高いということです。

つまり男女4人は、それぞれが物憂げに違う方向を見つめており、「3つの初恋。1つの答え。」というコピーと相まって、すれ違う初と3人の男性の関係性を象徴していると思います。主人公初の身体は純潔なのだろうが、その心は乱れたヒロイン不安定さの源はそこにあると思う。奥手な長女の初よりも、男関係のある妹の茜に頼まれて買った妊娠検査薬が、同じマンションに住んでいる同級生の橘亮輝に見つかってしまうところが、何だかはっきりしなくて、イライラしてしまいました。

橘亮輝(清水)に共感できないのは、初のことをモノ扱いしてしまうところ。それって、思春期によくある“好きと嫌いが表裏一体”っていうことだし、ケンカしているわけでもないのに険悪になったりとか。こじらせ過ぎているところはあるんですけどね。でも、きっと好きなのに素直に言えないのだ。

注目する点では、「溺れるナイフ」の山戸結希監督らしく、朝、昼、夕それぞれの時刻の東京の街と、初ら登場人物4人を組み合わせ、時の流れと人の心情が等しく移りゆくものであることを表現しているのが良かった。

サブタイトルは「ボーイ・ミーツ・ガール」を反転させたもので、王道の恋愛映画ではなく新しい恋愛青春映画を届けたい、という山戸監督の思いが反映していた。「自分自身の主体性を奪われる恋ではなくて、自分自身の主体性を知るための恋が、もしもこの世にあるのなら、そのようなものをこそ、今新しく生まれる青春映画に映し出してみたいという念願があったそうです。

他にないものをみせようという作り手の熱と、野心に圧倒されましたね。実際、それを実現していることにも、執拗なインサートカットや音楽の貼り付けが的確な効果かどうかは、明瞭ではないが、映像表現が新鮮でいい。

自然がいっぱいの風土と、若い主人公たちの無自覚な欲望と苛立ちを、痛みと共に映し出していて、無機質なコンクリートの世界観や、その上で閉鎖的で限りなくミニマムな空間での初恋の絡み合いなど、観ているだけで息苦しい。

何度も出て来る高層マンションの外階段でのおしゃべりは、宙ぶらりんの主人公たちの、宙ブラリンの関係の場所としては意味があるのだろうが、現代っ子の結論を出さないと前に進めないという感じを見せられてもつまらない。

それは無機質な印象を与える建築物を映し出し、彼女または彼たちの住まいとすることで、心象風景を生み出しているのが巧い。彼らは、自身の内面が空っぽであることに、ある種のコンプレックスを抱いているようだが、視覚的にもそのように見えるのは、ロケーションを観ていても良く分かる。

主人公の初を演じた堀未央奈は、「劇中でもいろんな人の心の叫びが映し出されています。自分の叫びを言えなくて、毎日苦しんでいる方に『もっと思いをぶつけていい』と伝えられる映画になればいいですね。私はそういう女の子の背中を押したくて一生懸命に初ちゃんを演じたので」と心情を吐露してくれました。高校生って純真なのね、片思いとか失恋とか、思い通りにならない恋もあるけれど、若いんだからそれを糧にして前向きに進んで行って欲しいです。

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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム★★★・5

2019年07月03日 | アクション映画ーサ行

トム・ホランドがスパイダーマンを演じたアクション・アドベンチャー「スパイダーマン:ホームカミング」に続くシリーズ第2弾。「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後の世界を舞台に、アイアンマンを師と仰ぎ、真のヒーローを目指して奮闘する高校生ピーター・パーカーが、ニック・フューリーの下で新たな脅威に立ち向かうさまを描く。共演はサミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、マリサ・トメイ。また異次元から現われ、ピーターと共闘する謎多き男ミステリオ役でジェイク・ギレンホールがMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品初参戦。監督は引き続きジョン・ワッツ。

あらすじ:あまりにも大きな代償を伴う壮絶な戦いが過ぎ去り、その大きすぎる喪失感に苦しみながらも、“スパイダーマン”としてニューヨーク市民を守るために活躍を続けてきたピーター。心身共に疲れ果てた彼は、ネッドやMJら学校の仲間たちとヨーロッパ旅行を計画する。しかし楽しいバカンスを満喫しようとした矢先、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリーにつかまってしまう。新たな脅威が迫っていて、どうしてもスパイダーマンの力が必要だというのだった。そんな中、“エレメンタルズ”という自然の力を操る複数の敵がヨーロッパ各地に出没し、猛威を振るい始める。ニックはピーターに異次元から来たというミステリオを引き合わせ、2人は共闘して敵に立ち向かっていくのだったが…。

<感想>スパイダーマンが帰って来る。ホームタウンのニューヨークを離れ、ヨーロッパに。物語は「アベンジャーズ/エンドゲーム」のその後。彼らはスクールトリップでベネチア、プラハなど、ヨーロッパの代表的な都市を回る。15歳だった前作からあまり変わらないピーターは、まだまだ友たちと遊びたい無邪気なハイスクール・キッズだが、ニックにリクルートされ、ミステリオと組んでヨーロッパを攻撃する新たな敵と戦うように言われる。原作ではミステリオは悪役だが、本作のなかでは善玉なのだ。

夏休みに友人たちとヨーロッパ旅行に出かけたスパイダーマンこと高校生のピーター・パーカー(ホランド)の前に、かつてアベンジャーズを率いていたニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れる。それに、トニー・スタークから預かって来た黒縁のメガネを渡す。それは父親と慕っていたスタークの分身のようなもので、AIナビゲートで数えきれない機能を備えている。イーディスは、命令すれば何でもやってしまう優れものだ。

フューリーからの依頼を受けたピーターは異次元から来た男ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)と協力し、伊ベネチア、独ベルリン、英ロンドンを襲う、自然の力を操るクリーチャーに立ち向かっていく。実はミステリオは、ピーターがアイアンマンから貰った黒縁のメガネを狙っていたのだ。

今回の最強の敵は、ザ・エレメンタルズと呼ばれる、火、水、風(空気)、土の4つのクリーチャーたち。ピーターたちが、呑気にベネチアの観光を楽しんでいるときに突如街を襲うのが、水のクリーチャーなのである。

撮影現場に足を踏み入れるや目に入ったのは、ベネチアのランドマークのひとつであるリアルト橋のセット。橋の上には土産もの屋が立ち並び、途中でブルーバックに変わっていなければ、本物と見紛うほど細部まで凝っている。

前作から続投するジョン・ワッツ監督のかけ声とともにカメラが回ると、モーターによってタンクの水に波が沸き起こり、橋のたもとにいたピーターや親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)、MJ(ゼンデイヤ)らが、見えない敵を見上げながら叫び声をあげて逃げ出す。クリーチャーはすべてCGで作られるため、かなりスペクタキュラーなシーンになっていた。

一方、エレメンタル・クリーチャーズとの壮絶な戦いとパラレルに進行する、ピーターとMJの接近も気になる。ヒーロー活動は小休止して、意中のMJへの告白を計画。スパイダースーツは置いていくつもりだったのに、メイ叔母さんに持たされてしまう。高層ビルのないヨーロッパの街で彼は活躍できるのだろうか。MJに告白すべく念入りなプランを立てたピーターは、そのことで頭がいっぱい。フューリーの要請などそっちのけだ。つい、MJと仲良くしている男にヤキモチを焼き、メガネを使ってしまい、大変なことになってしまう。

一方、彼の親友でヒーロー活動をサポートするネッドは、旅行を通じて学園の美女ベティ(アンガーリー・ライス)とイイ仲になってしまう。

やがてエレメンタルズによって、ネッドやMJらも脅威にさらされる。ピーターは新しいスパイダースーツに着替えて、彼らの命を守るために全力で立ち向かうが、まったく予期しない事態が彼を最大の危機へと導くのだった。

通常の赤いスーツでは目立ちすぎると思ったフューリーが、開発させた黒いステルス・スーツ。ブラック・ウィドウと同じものを使っている。寄生エイリアンが憑依して生まれた「スパイダーマン3」のブラック・スーツとは異なる。

今回のヴィランは、“エレメンタル・クリーチャーズ”といい、もの凄くエキサイティングなのだ。水の都であるベネチアでは、水を使った怪物が襲って来る。

スーパーヒーローとしては華奢な体つきだが、極めてパワフル。マグワイヤ版では暴走する列車を止めるし、ホランド版ではフェリーの船体が裂けるのを糸と怪力で食い止めるのだ。これは直後にアイアンマンの助けも借りたのだが。スタミナがあり、肉体の回復力も高いのだ。しなやかでタフな体、華麗なスィングも、糸と俊敏性があればこそ。研ぎ澄まされた五感+スパイダーセンス。第六感的な能力も備え、宇宙船の襲来に腕の産毛が逆立つ形で反応を示す。

プラハの街では、黒のステルス・スーツで活躍する。巨大な炎のエレメンタルを相手に、このスーツで立ち向かう。

そして、岩と砂の大地メキシコ郊外に、サンドマンが出現。強力な掃除機で吸い込むといった強敵である。ラストではエレメンタルが合体するってことになるわけ。

だが、騙しのミステリオがヒーローとして抜擢されるが、ミステリオの存在そのものが、彼お得意の“騙し”だと確信せざるを得ない。原作のビジュアルを忠実に再現し、球体型のマスクも着けている。果たして彼の正体が、予想通りに“嘘”であるか、それともそうした心理を逆手にとった“騙しの騙し”であるかは、映画を観てのお楽しみということに。

“師匠”として、そして“保護者”として、トニーがピーターに教え、託した“ヒーローの生きざま”が、彼の死後ピーターにどう受け継がれていくのか? 本作でピーターは、どのような“成長”を遂げるのか? 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」――その言葉の本当の意味を、我々は目の当たりにすることになる!

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旅のおわり世界のはじまり★★★

2019年07月03日 | アクション映画ータ行

「岸辺の旅」「散歩する侵略者」の黒沢清監督が「もらとりあむタマ子」「イニシエーション・ラブ」の前田敦子を主演に迎え、ウズベキスタンで撮り上げた日本・ウズベキスタン合作映画。テレビ番組のロケでウズベキスタンを訪れたレポーターのヒロインが、異国の地で孤独に苛まれ、迷子になりながら繰り広げる心の旅路を、ウズベキスタンの美しい風景とともに綴る。共演は加瀬亮、染谷将太、柄本時生。

あらすじ:ウズベキスタンの湖に棲むという幻の怪魚を求めて番組クルーとやって来たテレビリポーターの葉子。本当は歌を歌いたいと思いながらも、レポーターの仕事をこなしていく葉子だったが、なかなか思い通りにロケは進まず、スタッフは苛立ちを募らせていく。そんな中、ふらりと一人で街に出た彼女は、いつしか美しい劇場へと迷い込んでしまうのだったが…。

<感想>私の心は迷子になった。ドキュメンタリーみたいな撮影をしていながら、それを映画が撮っている。本当のクルーと一緒に旅をしたことが、そのまま映し出されていて、前田敦子にしか成し得ない何かが映っていた。バラエティ番組撮影のため、超小編成のクルーと共にウズベキスタンを訪れたリポーターの葉子。

本作での前田敦子が素敵なのは、主人公が自分の「初めて」に出逢う瞬間が記録されているからだと思う。戸惑いも危険も、それが初めてである限り、感動を呼ぶのだということ。

葉子が街中に放り出された時、その差異が作品の中で一体化するのか不安だったという前田敦子。小さなバスに乗り、市場へと行くも、身振り手振りでやり通す葉子の図太さに感心した。市場で果物と水を買うも、お金のレートを知っているのか、適当に払っているようにみえた。

ところが、そのシーンでも、自分で勝手に考えてやってみるということが出来ず、監督の意図に全部引っ張られて撮影、だが、それが自然体で良かったと思う。始終、不愛想であるが監督に不愛想でいて欲しいと言われ、ドキュメンタリー的なシークエンスが主軸にあるとはいえ、映っているのは前田敦子の素ではないと語る。まぁ、こういう場面では不愛想でもいいと思うので。

そして、彼女がハンディカメラを持って、一人で街の中を散策するシーンもある。そこでは、街の中で迷ってしまい、警察が立っていて、カメラを撮ってはいけない場所で、見つかってしまい警官に追いかけられるシーンもある。

汚い遊園地でのグルグルと回る回転遊戯に一人で乗るシーンでは、本当に大丈夫なの?と思うくらいに激しい回転の仕方であり、現地人の係の人が、前田敦子を見て、背が低いし痩せているしで、まるで10歳くらいの子供だと認識して、「こんな遊戯に子供を乗せるんじゃない、脳が危険だ、破裂したら少女は死ぬ」と言って注意をするところもある。プロデューサーに染谷くんが扮していて、現地の人に「大人の女優ですから大丈夫です」と笑いながら言う。彼女も歯を食いしばって乗ってましたね。

それに、アイダール湖で魚を獲るシーンも、胸まで水につかって魚を獲るのだが中々獲れないのだ。現地の人が言うのは、湖のボートには女性が乗ってはダメだという決まりがあると言っていたのに。魚を獲るまでロケを止めない。

すると葉子が、山羊が囲われていて可哀そうだから、山に放してあげるのを撮影してみてはと提案する。それはいいと、山羊の持ち主へ金を払い、トラックに乗せて山へと行き、草原の草むらに山羊を放してやるという撮影をする。

ここでは、その山羊の飼い主が車で来て、山羊を野放しにしたら捕まえて帰るというのだ。そこで染谷プロデューサーが、金を払えば自由にさせてもいいのだろうと交渉する。この辺は、何でも金、金、金ですね。

そうそう、ウズベキスタンの地元の食事プロフを葉子が披露するシーンでは、米が生で硬くて食べられないし、野菜も肉も味付けが合わないのかマズイと言う。それを我慢して口に入れて食べ、「美味しい」とレポートする女優の意地の見せ方。

後で、食堂のおばさんが、その食事を柔らかく煮込んで持ってきて、それはプロデューサーたちが食べたのだ。カメラマンには加瀬さんが扮してた。

一番素敵だったのが、かつてシベリアに抑留された日本人捕虜たちが、太平洋戦争終了後、ウズベキスタンに送られて、「ナヴォイ劇場」の建築と劇場内部の装飾に携わり、苦労の末に見事に終わらせたというお話。

それを、葉子が放浪の果てに、道に迷いこみ「ナヴォイ劇場」に辿り着くという話になり、その劇場で、歌手を夢見た葉子がオーケストラの演奏で、「愛の賛歌」を歌い上げるシーンもある。オペラ歌手が歌う劇場なので、前田敦子が声を張り上げて歌っても、シャンソンの「愛の賛歌」は、軽々しく歌ってはダメだと思う。だが、監督が選んだ曲だから、頑張って前田敦子が歌ってくれた。このシーンは葉子が歌手志望ということで、一瞬の間夢を見たという設定だったというのだから。

しかし、結構本気で練習をしたというから、それは前田敦子の声量で歌い上げるというものでした。東京にいる恋人が消防隊で、TVで東京湾の火災に出ているので心配する葉子。携帯電話をしても繋がらないし、安否を気遣う葉子。

最後にもう一度山の上で、恋人を想いながら歌う「愛の賛歌」は良かったですね。もちろん、葉子が放牧をした山羊もいましたね。

いったいこの旅はどこに辿り着こうとしているのか、スクリーンから目が離せなかった。前田敦子が山の斜面を駆け上がり、草原を疾走し、凶暴な遊園地の機械に振り回され、疲れ果てて大の字に横たわる。遠く離れた恋人を想って涙し、そして愛の歌を歌う。これまで観てきたスクリーンのどの表情とも違う、彼女の顔がそこにあった。成熟でもなく、集大成でもなく、経験を積み重ねて新たな映画へ向けての旅のはじまりでもあったのだ。

 

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