パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ヘイトフル・エイト★★★★★

2016年02月29日 | アクション映画ーハ行
クエンティン・タランティーノが放つ、ウエスタン仕立てのミステリー。男女8人が閉じ込められた、雪嵐の山小屋で起きた殺人事件の意外な真相を映し出す。ベテランのサミュエル・L・ジャクソンをはじめ、『デス・プルーフ in グラインドハウス』などのカート・ラッセル、『ミセス・パーカー/ジャズエイジの華』などのジェニファー・ジェイソン・リーらが顔をそろえる。彼らが織り成すストーリー展開はもちろん、タランティーノ監督が仕掛ける謎と伏線が張り巡らされた物語にくぎ付け。

<感想>クエンティン・タランティーノの8本目となる監督作には、タイトルにも数字の8を入れ込んだこだわりの渾身作であります。性格最悪、ウソ上等、欲得尽くめの“8人の嫌われ者”が、密室となった雪山ロッジで、仁義なき生死の駆け引きを繰り広げる異色の西部劇のような、実際は犯人探しの密室ミステリーになっていた。

第一章は「レッドロックの駅馬車」ワイオミングの雪深い山中を、レッドロックの街に向けて走る駅馬車に助けを求めてきた男ウォーレンが、サミュエル・L・ジャクソンであり、3人の賞金首の死体を運んでいる途中、寒さで馬を失ったというのだ。駅馬車に乗っていたのは同じく賞金稼ぎのルース(カート・ラッセル)で、極悪犯のディジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)を護送するために駅馬車を借り切っていた彼は、ウォーレンの同乗を渋るのだが、・・・。

第二章「ロクデナシ野郎」さらに駅馬車が進むと、今度は悪名高い略奪団の一員でありマニックス(ウォルトン・ゴギンズ)と遭遇。ディジーの賞金1万ドルの横取りを狙っているのではと疑うルースは置き去りにしようとするが、マニックスは自分こそがレッドロックの新任保安官だと主張。半信半疑ながらも馬車に乗せ、吹雪を避けるために「ミニーの紳士服飾店」に向かう。

第三章「ミニーの紳士服飾店」女主人が取り仕切る山中のロッジ「ミニーの紳士服飾店」に到着した一行。出迎えたのはミニーではなく、見知らぬメキシコ人のボブ(デミアン・ビチル)だった。ロッジの先客は自称死刑執行人のオズワルド(ティム・ロス)や黒人嫌いで有名な南軍の元将軍シミザーズ(ブルース・ダーン)ら、ひと癖もふた癖もある連中たち。吹雪が収まるまでの数日間、総勢8人はロッジで過ごすことに。

第四章「ディジーには秘密がある」ルースはディジーの賞金を奪われないように全員の銃を取りあげて回り、黒人のウォーレンは南北戦争で同胞を虐殺した元将軍シミザーズに怒りを燃やすなど、一触即発の緊張が漂うロッジ。そんな中で何者かが珈琲のポットに毒を入れ、コーヒーを飲んだ者たち、ルースと駅馬車の御者の2人が血反吐を吐いて息絶える。それを見てほくそえむディジーだが。

第五章「4人の乗客」時間は少々遡り、ミニーが切り盛りするロッジに駅馬車が到着し、4人の乗客たちが休憩することに。「紳士服飾店」と銘打ちながら服飾類は一切置いてはいないが、ミニーは十八番の絶品コーヒーで客たちを歓待するのだ。外の極寒も忘れる陽気なおもてないしのはずだったが、突如として銃声が響き店内は一気に地獄絵図と化す。

最終章「黒い男白い地獄」再び時間は戻って、毒殺された男たちの死体が転がるロッジ。消去法で違うと判断した自称保安官のクリスを味方に付けて、ウォーレンは拳銃を手に犯人探しに躍起となる。果たしてコーヒーに毒を盛った犯人=ディジーとグルなのは生存者の中の誰なのか?・・・。さらには、思いがけず9人目まで登場して、血で血を洗う凄惨なサバイバル・バトルに突入するのである。

さて、明確な6つのチャプターに章立てされている本作。168分という長尺にリズムを付ける上でも有効に機能しているのだ。いかにもな肝っ玉母さんなミニーが切り盛りしているロッジには、本来いるべきミニーと夫が不在。しかも常連のウォーレンすら知らない男のボブが留守番役とは何だか不自然だと、疑い始めるウォーレン。それに、ミニーが命よりも大事にしているロッジのドアは、カギが壊され板とクギで打ち付けないと閉められない。ウォーレンたちが来る前に、どんな事態が起きていたのか?・・・。
そして絶品コーヒーがじまんのロッジなのに、置かれていたコーヒーは吹き出すほど激マズのしろもの。それにシチューは中々いける味だが、コーヒーも淹れられないボブには作れないのでは。ウォーレンに扮するサミュエル・L・ジャクソンが、この密室での謎解きをするのだが、9人目の人物が床下から彼の股間目がけて銃を発射し、ウォーレンが重症を負う後半からが俄然面白くなってくるのだ。

だが、よくよく見れば、後半では過去作品の密室劇の「レザボア・ドッグス」的でもあるし、「イングロリアス・バスターズ」を彷彿させてるし。誰と誰がどう繋がるという心理戦やいろんなキーアイテムが象徴的に出てきたりする。
黒人ガンマンや銃撃戦は「ジャンゴ」それにお得意の時系列を入れ替えるのは「パルプ・フィクション」とか、重要人物たちが簡単に死んでいくから、その緊張感もすごくて、もう、観ているだけでゾッとしてくる。

一瞬で殺されたり状況が一変するていうのが、タランティーノらしさと言うか、観客はそこにリアルを感じるのだと思う。つまりは有りネタ満載であり、良く言えば集大成の必殺技の連続投球といった方がいいでしょうね。
大画面を埋め尽くすのは、タランティーノ映画の常連が多いので嬉しいです。だから、クセのありすぎる強烈キャラクターがズラリと8人。サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、そして、本作でアカデミー賞候補となったジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンス、ティム・ロス、ブルース・ダン等の超豪華な怪優陣が結集しているのだ。

さらには登場人物が8人ではなくて、「マジック・マイク」のチャニング・テイタムが突然と現れて、それであっけなく死んでしまう。どんな役だったのかというと、結構大事な役割だったのにね、ウォーレンの股間をブッ飛ばしても頭を撃たれて死んでしまうとは。
さすがにタランティーノ映画、役者が出たいから成立するのだろう。3時間弱と長いのだが、飽きずに観れる一触即発の緊張感が持続する、裏切りのアンサンブルを得とご覧あれ。
それに、音楽がいい、誰もが聞き惚れる巨匠のエンニオ・モリコーネなのだ。
そして、クライマックスでは二転三転して、敵が味方になったり、仲間だと思っていたら裏切ったりするんですから。始めはお互いに憎みあっているのに、いろいろあって協力する。それぞれの行動を見て判断して動くのだから、だからこそ恩を返すというか、仁義を通すとか、まるで時代劇に出てくる価値観と同じじゃないかと思えてくる。
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イット・フォローズ ★★★

2016年02月28日 | アクション映画ーア行
低予算のインディーズ作品ながら、斬新な設定と確かな演出力で映画ファンのみならず批評家からも高い評価を受け、全米でサプライズ・ヒットとなった青春ホラー。主演は「ザ・ゲスト」のマイカ・モンロー。監督は、これが長編2作目の新鋭、デヴィッド・ロバート・ミッチェル。
あらすじ:ある日、女の子が叫び声を上げながら、肌着姿のまま自宅から飛び出していく。何者かに追いかけられているかのようにビーチの方に逃げていった彼女は数時間後に死体となって発見された。

女子大生のジェイはある晩、恋人のヒューと映画デートに行く。ヒューは映画の途中でキョロキョロしながらジェイを連れて劇場を飛び出す。車の中でヒューと愛を交わしたジェイは、気が付くと車椅子に体を縛られていた。

ヒューはそこでどこまでも付いて来る”それ”について語るのだった。”それ”は人の形をし、永遠に付いて来る。誰かとセックスをすることで他人に移すこともできる。そう、ヒューがジェイと寝たのは呪いを移すことが目的だったのだ。その日からジェイは”それ”に追いかけられる悪夢のような日々に襲われることになる。

<感想>アイデア勝負の安上がりなB級ホラーで、誰も知っている役者さんがいないという。それでも、主人公のジェイのマイカ・モンローは「ザ・ゲスト」に出ていたというのだが、他の妹とか女性はブスばかりで綺麗な女優さんが出ていない。それに、男性もイケメンで筋肉マンがいないのも残念。
確かに監督さんがホラー映画大好きだということで、画面とサウンドから滲み出てくるいかにもなホラー映画。実在する幽霊のような亡霊かが見えるという症状が、セックスで転移するという、いかにも強引なフィクション設定。

だから、主人公の家はもちろん、学校にも出て来るし、(それ)が下着姿のものもあり、後は全裸ですから。ですが、キャメラワークと演出が見事に連動していて、不穏な時空を描きだしているのはよかった。

セックスをして感染し、移された患者のみが(それ)が見える設定で、その視点ショットのみが変幻自在な怪物の姿を映しだすので、集団の中での主人公の孤立感の恐怖が伝わってくるのだ。
今に何かが起こると身構えて見ていると、「得体の知れない何かがひたすら追って来る」という、一向に(それ)が出てこなくて怖くならない。まぁ、頻繁に出て来ても面白みがなくなるからして。

むしろ舞台となっているデトロイトの廃墟ビルの寒々とした光景の方が怖く感じた。だから、その家並みに(それ)が憑りついているようにも思えました。

プールで友人たちと身構えて(それ)が出てくるのを待っていると、やっとこさ出てきた。待つ間に、プールサイドにて電気製品で感電死させようと、スタンド、カセットデッキ、ドライヤー、アイロンなどが置いてあるも、出てきた(それ)がプールに入るや、投げつけるのだが、主人公がプールから出る間一髪もハラハラする。

怖いのは人間なのだから、設定や仕掛けに凝るよりも、肝心なのは登場人物の謎と魅力だろうに。だから、(それ)を誰かとセックスをして移すことによって厄払いができるというストーリーゆえに、近くにいる友人と手っ取り早く関係を持つことになる。

病院のベットで友達とセックスをする主人公にヤキモチを焼き、俺ともセックスして移してくれとばかりに迫ってくる男の子。驚くなかれ、友だちの彼が母親とセックスをして感染させているのが映し出されたのにびっくり。
だから、ティーン特有の思春期の性交渉に付随する憧れとか性病とか、危険や恐怖とか、好奇心のメタファーを深読みしてしまうので、ポイントが高くなり★が一つ増しです。

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ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります ★★★.5

2016年02月27日 | アクション映画ーナ行
モーガン・フリーマンとダイアン・キートンというオスカー俳優2人の初共演で贈るハートフル・ドラマ。原作はジル・シメントの全米ベストセラー『眺めのいい部屋売ります』。ニューヨークを舞台に、階段がきつくなってきたために古いアパートの5階にある我が家を手放す決断をした夫婦が、愛着のある住み慣れた我が家の売却と新居探しを巡って織り成す悲喜こもごもの人間模様を綴る。監督は「ウィンブルドン」「ファイヤーウォール」のリチャード・ロンクレイン。
あらすじ:ブルックリンが一望できる眺めのいい部屋に暮らして40年になる仲睦まじい夫婦、アレックスとルース。2人にとってその部屋はまさに理想の我が家だったが、エレベーターがないのが唯一の欠点だった。足腰の弱ってきたアレックスにとって、我が家のある5階まで階段を上るのは容易なことではなくなってきた。そんな夫を心配したルースは彼を説得し、エレベーターのある住居への買い替えを決めたのだった。こうして明日には、いよいよ購入希望者のための内覧会が開かれようとしていたのだったが…。

<感想>モーガン・フリーマンもダイアン・キートンも大好きな役者さんで、オスカー俳優2人の初共演が魅力で観賞しました。連れ添って40年の夫婦の寄り添い方が見事で、周りの人間群像も個性的で、一度は住んでみたい憧れのニューヨークのブルックリン街の古い感じも味があり、都会に住むシニアにはお薦めですよね。

夫婦役のお二人さんの自然な演技がさすがに素晴らしかった。エレベーターのない最上階アパートゆえに住み替えを迫られる2人の疾風怒涛の数日を描いている。ですが、ブルックリン橋の見える部屋は羨ましい限りの絶景であり、部屋の内覧会をすると、希望者が殺到するのが良く分かりますね。

40年も住んでいる内にマンションの値段が高騰して、じゃ部屋を売って住み替えようと。自分たちの終の棲家を探そうと、あたふたする老夫婦に、彼らを取り巻く都会人の人情物語には、東京も何処か似たところがありディテールが具体的で身につまされます。

希望者に入札をさせるブローカーの手腕と訪れる面々が面白く描かれている。中には、ずうずうしくも夫婦の寝室のベッドで横になる女には呆れました。

その主筋には、ブルックリンでのテロ事件のテレビ中継が映し出され、事件が解決しないと売出し中の部屋の値段が下がるということもあり、間に入る不動産屋の姪っ子シンシア・ニクソンの、自分一人の才覚でニューヨークを生きているという鋭敏な言動が素晴らしかった。

それに、年老いた愛犬のヘルニアの手術の経過という、2つのサブストーリーが絡むのが絶妙で良かったです。

始めはお二人さん、これから住む住居を見学に行くのですが、絶対に譲れない条件がいくつもあって、その内にお互いが妥協をしていき、やっぱり現在のアパートが一番であり、住んで見ればまぁまぁここも悪くは無いと落ち着くのよね。

長く住んでいると、隣の芝生が良く見えがちだということもあって、自分の家の価値になかなか気づかないということです。もちろん、不動産屋の他者との競争もあっての決断なのだが。焦って判断を誤ることもあるからして、子供のいない熟年夫婦が絶景の部屋を手放して、格下の家に求めるものが、二人の未来に求めるものと同じように重なって見えてくるのだ。

原作は読んでいませんが、原作ではユダヤ人夫婦から黒人男性&白人女性に設定を変えたらしいが、それが若き日のエピソードで生きていて、やはり結末は途中で読めて来るのですが、それを演出が巧妙にかわして見せているのもいい。最後の決断では本当にそれで良かったと安心しましたね。

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SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁 ★★★★

2016年02月26日 | アクション映画ーサ行
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのベネディクト・カンバーバッチ出演のテレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」シリーズの特別編。21世紀に活躍する名探偵シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンのコンビがヴィクトリア朝の1895年へと戻り、難事件解決に挑む姿を描写する。『ホビット』シリーズなどのマーティン・フリーマンが今作でも相棒役を務める。無敵の探偵と助手が紡ぐストーリーに注目。
あらすじ:1895年、冬のロンドン——— トーマス・リコレッティは、古いウエディング・ドレスをまとった妻の姿を見て驚きを隠せなかった。なぜなら彼の妻は、数時間前に自ら命を絶ったばかりだったのだ……。リコレッティ夫人の幽霊は、癒されることのない復讐への執念とともに路地を徘徊する。霧に覆われたライムハウスから荒廃した教会の跡地に至るまで、ホームズとワトソン、そして彼らの友人たちは、冥界からやってきた敵を相手に頭脳戦を繰り広げる。そしてついに明かされる〝忌まわしき花嫁〟の驚くべき真実とは……!ヴィクトリア時代のロンドンで、冥界からの敵にホームズとワトソンはどう挑むのか?謎解きも冒険も特別編ならではの面白さ!そして、いつの時代でも変わらぬふたりの友情も見逃せない!

<感想>TVシリーズを毎回楽しみに観ていました。古いジェレミー・ブレット(イギリス人俳優)が演じていた「シャーロック・ホームズ」シリーズもかかさずに観ていましたね。だから、今作の「忌まわしき花嫁」はスペシャル版として製作されたものです。原作の舞台である19世紀のヴィクトリア朝時代で活躍する、タイムスリップのようなところが「特別編」ならではの見所と言えましょう。

現代版でのパーマをかけた青年とは違い、原作に近いオールドバックのシャーロック。もちろんトレードマークの鹿撃ち帽子とコート姿で紳士的に登場。ジョンも口髭をたくわえ貫録ある出で立ちになっていた。

それに、TVシリーズでの二人の呼び名シャーロックとジョンなのだが、ここではホームズとワトソンが初めてベーカー街で出会うシーンとか、ホームズの兄マイクロフトが、なんとおデブちゃんで椅子から立ち上がれない様子で指示をだします。それに、設定で重要な点が1895年であり、宿敵のモリアーティ教授が、あのホームズと滝での戦いで滝壺に落ちて死んだことになっている。

3年後にホームズが生きて戻ったのが1894年。劇中でもモリアーティは死んだことになっているが、何故だかシャーロックの前に姿を現すのだ。それも現代の姿のモリアーティでね。
さらに、後半ではシリーズとリンクした驚愕の展開もある。つまりホームズはコカイン中毒で過剰摂取で、朦朧としながら夢うつつという状態で現代に甦るという展開。プライベートジェット機内のシャーロックに、ジョンやメアリーが心配そうな顔をしている。兄の細身のマイクロフトも弟の麻薬の過剰摂取に心を痛めている様子が伺われる。

そこで、シャーロックは、またまたヴィクトリア時代にトリップして事件を解決するのです。舞台となるのは原作の設定と同じ1895年のイギリスです。花嫁姿の女性がバルコニーから銃を乱射し、その女性は自ら命を絶ったように思われていましたが、数日後その女性が夫の前に現れ、夫を撃ち殺すという難解事件を解決していくというもの。不可解すぎるこの事件をレストラード警部からシャーロックとワトソンは任されることになります。

ある日、夫に「死」を意味するオレンジの種が送られてきます。いわゆる脅迫文のこと。このことを相談を受けたシャーロックとジョン・ワトソンが事件を解決すべく19世紀のロンドンで奮闘するのでした。夫が幽霊に怯えているというので、シャーロックに守って欲しいという妻の依頼。豪華な邸宅の温室で、ワトソンと二人で徹夜して幽霊退治にと、邸宅のガラスが割れる音で、2人は屋敷の中へと入りこむ。

部屋は真っ暗で、叫び声と共に夫が倒れて死んでいる。「妻はだから守ってって頼んだでしょうが」と厳しい言葉。そして、死んだはずの彼女が夫の前に現れるのと不可解な現象も。まさに死人がこの世に蘇ったかのような状況でした。

ワトソンは、花嫁は双子ではと言い張るが、ホームズは違う双子のあるはずがない。トリックがあるのだ。と、そして死んだ花嫁の墓を掘り起すも、棺の中には花嫁一人、で、その棺の下にもう一人の花嫁姿をした女が隠してあるはずだ。と言いながらまたもや墓を掘るホームズ。
イギリスと言えば幽霊が出るという有名な話があるので、このような事件があっても不思議ではないのかもしれませんね。もちろんこの事件は幽霊ではありません。リコレッティ夫人は身代わりを使って生きていたのですから。つまり夫に復讐をするために仕組んだトリックだったのです。
その事件のことは全てシャーロックが、麻薬を過剰摂取していての頭の中での話ですから、なんか取り留めなくて釈然としません。しかしながら、TV版よりもスクリーンで観るシャーロックはやっぱりかっこいいですからね。
注意:本編の初めと終了後にメイキング映像があります。

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独裁者と小さな孫 ★★★

2016年02月25日 | アクション映画ータ行
ベネチア国際映画祭やシカゴ国際映画祭など、各国の映画祭で称賛された人間ドラマ。とある国の独裁者として君臨するもクーデターによって追われる身となった老いた男が、幼い孫を連れて逃亡した果てにたどる運命を描く。メガホンを取るのは、『キシュ島の物語』『カンダハール』などで知られるモフセン・マフマルバフ。ユーモアとスリルをちりばめながら平和を深く見つめた物語もさることながら、主人公の孫にふんしたダチ・オルウェラシュヴィリの愛くるしい姿にも注目。
あらすじ:年老いた独裁者(ミシャ・ゴミアシュヴィリ)による支配が続いていた国で、大規模なクーデターが勃発。幼い孫(ダチ・オルウェラシュヴィリ)と一緒に逃亡した独裁者だったが、政権維持を理由に無実の人々を手に掛けてきたことから激しく憎まれており、変装することを余儀なくされる。孫にも自分が誰であるかを決して口に出さぬよう厳しく注意し、追手などを警戒しながら海を目指す。さまざまな人間と出来事に出会う中、彼らは思いも寄らぬ光景を見ることになる。

<感想>イラン出身で2005年以来ヨーロッパに亡命しているモフセン・マフマルバフ監督の作品。冒頭でのヨハン・シュトラウスの曲が流れ、孫と二人で観ている街の夜景に惹きこまれてしまう。さすがに独裁者、夜景の灯りを電力会社にでも電話をしたのだろう。孫に自分の威厳と力を誇示するかのように、街の灯りを消したり点けたりと、自分勝手などこかの将軍様のようだ。
で、舞台は独裁政権下にある架空の国のこと。独裁者である大統領とその家族は、圧政によって国民から搾取した税金で贅沢三昧な暮らしを送っていた。彼は政権維持のために、多くの罪なき国民を投獄し、処刑してきた冷酷で無慈悲な男だった。
投獄され拷問を受けた男が家へ戻るシーンでは、村へ帰ると妻は別の男と結婚をして子供まで産み、それを見て自害をする男の姿に

ある晩クーデターが起こり、大統領以外の家族は国外へ避難するが、幼い孫は大統領と一緒に残ってしまう。この孫なのだが、爺様の大統領の血を引き継いでいるのか、大好きなバレエの女子マリアを連れて行くと言ってきかない頑固もの。

しかし、軍までが反旗をひるがえし始めたために、大統領も脱出を決意して海に向かおうとするのだ。それが、観ていてとても寒そうに映っている。贅沢な暮らしをしてきたのに、二人でダンボールに入って寝るシーンが印象的でした。

貧しい床屋から、ボロボロの服を奪って羊飼いを装ったり、炭坑夫の子供からギターを奪って旅芸人のふりをしたり、死体から赤いスカーフを奪い孫には、女の子にさせ見せかけたりしながら、時には案山子のふりをして何とか逃げ切ろうとする。
クーデターを起こした反政府側も、無関係な結婚したての花嫁を襲い、新婦に乱暴をする連中であったりする。だから、独裁者の有無にかかわらず民族や宗教の違いでの殺し合いが果てしなく続く、復讐の連鎖という過酷な現状になっていく。

旅芸人に扮して船のある海を目指し、国外に逃れようとする…。逃避行の中で大統領は、自らの圧政がもたらした悲惨な国内の状況を目にして、失われていた人間性を取り戻して行く。だから、孫の無邪気な質問にも答えを返すようになる。
だが、ようやく海辺に辿り着いた時に、砂浜に砂の城を作る大統領。その砂の城も波にさらわれ崩れ去ってしまう。ロードムービー的な展開で、ハプニングとサスペンスが上手く仕掛けられている。

だが、民衆から正体を暴かれてしまう。なんと、大統領には懸賞金100万ドルが懸けられていたのだ。首を刎ねて処刑しようとか、生きたまま連れていって懸賞金を貰おうとか、いや、こんなヤツはみんなで石で殴り殺してしまおう。なんて物騒なことになり、その中には、「復讐の連鎖を断ち切るしかない」と言う男が、孫は助けてやろうなんて言う人もいる。
そんな人間の浅ましさをえぐりながら、独裁、復讐、負の連鎖の本質に近づいていく。海辺で踊る孫の姿に、なんとなく救われた気がした。
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X-ミッション ★★★★

2016年02月23日 | アクション映画ーア行
キャスリン・ビグロー監督作『ハートブルー』に着想を得た、アスリートによる犯罪集団への潜入捜査を敢行するFBI捜査官の活躍を描くクライムアクション。元アスリートの捜査官がミッションを遂行する一方、命知らずの犯罪者との間に信頼と友情が生まれるさまを活写する。『カルロス』などのエドガー・ラミレスや『スパイ・レジェンド』などのルーク・ブレイシーのほか、サーフィンやスノーボード界などの有名アスリートがスタントとして出演。CGを使用しない生身のアクションの迫力に興奮。
あらすじ:以前アスリートだったFBI捜査官ジョニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)は、エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディ(エドガー・ラミレス)が中心となっているアスリート犯罪集団への潜入捜査を開始する。彼らには、卓越した能力を使って、犯罪行為を繰り返している疑いが掛かっていた。しかし、ユタは彼らと危険な行動を共にするうち、ボーディに対し信頼と友情を抱くようになり……。

<感想>キアヌ・リーブス主演の『ハートブルー』をリメイクしたサスペンス・アクションものだと言うが、「ハート・ブルー」を見ていなくても最高にスリル満点でした。犯罪を繰り返すアスリート集団に潜入したFBI捜査官の活躍を、全編CGナシの驚異的なアクションの連続で魅せています。

冒頭でユタも友人2人でモトクロスを楽しんでいたのだが、友人がジャンプに失敗して崖から落ちて死んでしまう。かなりのダメージを受けて暫くは危険なことはしないと誓うも、だが、FBIの潜入捜査を依頼されて、つい自分にしか出来ない危険なミッションを全て熟すのは自分しかいないと引き受ける。

命知らずの男たちが世界四大陸11カ国を舞台に数々の極限なミッションに挑む姿を、CGなしの驚愕スタントで描き切るサスペンス・アクションであります。確かにスタントマンたちの名前がエンドロールにて書かれてましたが、途中のあれはCGでしょう多分。

主人公のユタが、ウィングスーツで自足230キロで谷間をダイブし空を飛び、モトクロスで地上を駆け抜け、素手で絶壁をよじ登って下る、スノーボードで雪山の登場に立ちそこから飛び降りる。まさに死の谷で、いつ雪崩が起きても不思議ではない。
そして、30メートル級の世界最大の大海原で大波にも乗るサーフィンにも驚いた。映画史上初となる世界トップアスリートたちが挑んだ壮絶なるアクションシーンが話題の潜入サスペンスアクションでもある。

謎の犯罪集団に潜入した若きFBI捜査官ユタが挑むスリルたっぷりの極限ミッションと、ド迫力のアクションを通して仲間たちの絆も描かれる。「ワイルド・スピード」ファンなら絶対に見逃せない。
しかしだ、物語の展開が途中ではどうでも良くなってくるのだ。というのも、こういう命がけのスポーツをしている人間たちは、連帯感と絆で結ばれていて、どうしても仲間が一人、また一人と事故で亡くなっていくのだ。

10年に一度の大波の到来に、集団のボスであるボーディに率いるスポーツ・チームの出現を察知したユタは、早速現地に向かう。が、大波に乗れはしたのだが転倒して海中深くへと沈んでしまったユタを助けたのがボーディ。彼のスポンサーでボスでもある男のクルーザーに寝ていたユタ。
そして、ウィングスーツと呼ばれる特殊なスーツを見にまとい、山頂からのダイブ。時速200キロを超えるスピードで空中を舞うユタ。初めてとは思えない度胸と飛びっぷりに認められて仲間たちと固い絆で結ばれていく。

だが、陸上では想い悩むこともあり、ボーディらと共にスリルを楽しむユタだが、彼の使命は犯罪の手掛かりを掴むことなのだ。いつしかFBI捜査官としての職務と、仲間たちとの絆のはざまで葛藤するようになるユタであった。

こういう映画では、いつ敵に正体がバレルか分からない、手に汗握るスリルとサスペンスが「潜入捜査」ものの醍醐味なのですが、主人公のユタがどうにもFBIの潜入捜査なんてどうでも良くなりかけ、FBIから電話でハッパをかけられてイヤイヤながら、彼らが次に襲撃する銀行とかを探り知らせるのだ。
スイスの山の頂上にある銀行が襲撃されることに。FBIが見張る中で、彼らの集団を追いながらも、捕まえて見るとユタに好意を寄せていた女だったりして、何か彼にはふんぎれないものがある。

それに、彼らが師事する亡くなったオノ・オザキと言う、環境保護活動家がモットーとする思想を元にした犯罪構成も、どこか怪しくなってくる。貧しい国の人たちに企業から奪った札びらを空から撒き、与えるのだが、彼らにはお金よりも薬品や食べ物、水、その他の働き口とかの方が良かったのではないかと思った。

最期が、独り残ったボーディとの対決が、あの南アメリカ大陸北部のギアナ高地にある世界最大級のエンジェルフォール。2人で素手でロッククライミングで絶壁を登って行く姿が圧巻でありました。

エンジェルフォール:ベネズエラの世界最大の落差 979 m / 3,212 ft [1](岩にぶつかることなく直下する距離は 807 m / 2,648 ft [1])を誇る滝として著名。(ウィキペディアより)
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ゾンビスクール!★★★

2016年02月22日 | アクション映画ーサ行
田舎の小学校を舞台に、凶暴なゾンビと化した子どもたちと教師たちの情け容赦ない全面戦争を、過激なブラック・ユーモアとハードなバイオレンス描写で描いた異色のゾンビ・コメディ。主演は「ロード・オブ・ザ・リング」「マニアック」のイライジャ・ウッド、共演にレイン・ウィルソン、アリソン・ピル。「ソウ」シリーズのリー・ワネルと「Glee」シリーズのイアン・ブレナンが脚本を手がけ、これがデビューのコンビ、ジョナサン・マイロット&キャリー・マーニオンが監督した。
あらすじ:小説家の夢破れニューヨークから故郷に舞い戻ったクリント。母校の小学校で臨時教員となるが、給食のチキンナゲットを食べた女子生徒が、なんとゾンビになってしまった。そして彼女に襲われた生徒たちが次々とゾンビ化し、集団で大人たちも襲い始めたのだった。クリントはじめわずかに生き残った教師たちは、自らの生存を懸け、獰猛なキッズゾンビたちに戦いを挑むのだったが…。

<感想>「給食のナゲットを食べたら生徒たちがゾンビになっちゃた」という前代未聞の設定で、ひと癖のある教師軍団とゾンビキッズが、文字どうり血で血を洗う抗争を繰り広げるゾンビコメディ、というか大人たちが慌てふためくコメディのようですね。
キャストには「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッドに、共演には海外ドラマでお馴染みのレイン・ウィルソン、アリソン・ピル、副校長にイアン・ブレナンなど豪華な顔ぶれがいいですね。
冒頭での養鶏場からはじまり、チキンナゲット加工工場が映され、その鶏肉の取扱いが不衛生で、まるで中国のマ○ク・ナゲット工場みたいな、そこで汚染されて作られたナゲットが、給食で油で揚げられて配られて、食べた子供たちが突然ゾンビになってしまう。

噛まれた子供たちもゾンビに感染して、しかし、大人の先生たちは感染しないのだ。それに、生徒の中でも大人の仲間入りをした女の子なども、噛まれても感染しない。感染した子供たちは凶暴化して教師たちを襲い始め、食い散らすのです。とてもグロイですから。

中でも、重症を負った男の子を医務室に連れて来たのはいいけれど、その生徒が凶暴化して襲ってくる。その男の子を体育の先生が消火器で頭を殴り潰すのですから、残酷極まりない。いくら何でもね、子供相手にもっと頭使って、体育館に集めて鍵かけるとか。
そして、同僚の先生たちもクセモノ揃いで、ゾンビキッズに立ち向かうのは、イライジャのクリントと、事あるごとにぶつかる筋肉バカの体育教師、オネエ系の美術教師、ゾンビを素手で解剖してしまうコミュ障な科学の教師など、先生として問題のありすぎなメンバーの脇キャラたちも楽しいですね。

生き延びた先生たちは、校内に立て籠もり脱出作戦を会議するも、喧嘩ばかりして、そこへ排気口を通って車の鍵のあるところまで行くクリント。一番背が低く痩せているからなのだ。それに、同級生だった女先生ルーシーも後を追って来る。
職員休憩所に辿り着くも、まるで映画「ソウ」の一場面のような、三輪車に乗った女の子がオルゴールの音とともにやって来る。気付かれたら終わりで、ハラハラしながら観ていました。
無事に車の鍵を取って、保健室にいる糖尿病の生徒の甘いお菓子も自販機でゲットし、急いで戻るも、今度はゾンビキッズたちが校内まで入って来て先生たちも危ないのだ。

それで、まるで「コマンドー」のように備品で武装。音楽室のシンバルとか体育倉庫のピッチングマシーンで、野球のボールを生徒目がけて飛ばすのだ。でも、どんなに凶暴になっても無邪気な子供たち。先生や父兄を襲うのも元気いっぱいで、生首をボール代わりに決飛ばし、腕、足を切って校庭の遊具にぶら下げて遊んだり、リアルな特殊メイクと日常描写が相まって、シュールでブラックな笑いが展開するのです。

はい、もうB級感極まりなく展開の破綻も憎めませんから。もっと掘り下げていたら傑作だったのかも。ゾンビになってはしゃいでいる子供たちはノリノリで、楽しい現場だったのではないかしら。
さすがに先生たちは、拳銃や機関銃で子供たちを殺すところはないので、安心して観ていられます。しかし、最期が、アメリカ全土に子供のゾンビ化が感染して、逃げ回る大人のボンクラぶりには呆れてしまう。
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友だちのパパが好き ★★.5

2016年02月21日 | アクション映画ータ行
CMディレクター、劇作家、映画監督と、各方面で活躍している『ミツコ感覚』の山内ケンジが放つドラマ。友人の父親を本気で愛してしまった女性の純粋な思いが、さまざまな者たちを巻き込んで思わぬ騒動に発展していく。数々の作品に出演してきた吹越満、『金星』などの岸井ゆきの、『メタルカ-METALCA-』などの安藤輪子、『天空の蜂』などの石橋けいらが顔をそろえる。彼らが織り成すストーリー展開や、世代の差を突き破るヒロインの奮闘ぶりも見もの。
あらすじ:ある日、マヤ(安藤輪子)は親友である妙子(岸井ゆきの)に、彼女の父親・恭介(吹越満)が好きだと打ち明ける。それを聞いてあきれ果てる妙子と笑う母親のミドリ(石橋けい)だが、当の本人である恭介は悪い気がしない。だが、それを機にマヤは公然と恭介に対して激しいアプローチをかける。次第に彼女の強い思いと猪突猛進な姿は、恭介とミドリ、彼の愛人を筆頭にさまざまな者たちの関係を変化させていくように。やがて、思いも寄らない恋愛模様が繰り広げられるが……。

<感想>タイトルからして、友だちのパパに恋する暴走娘のみならず、親も子も、どっちの世代もこの時代では、生きてゆくのは何ともはや大変なのだ。なんてのほほんと描かれているこの映画。一見シュールだが、その実妙にリアルな市井の群像劇でもあります。
不倫に愛人の妊娠、妻のびょき、震災と離婚、むすめの同棲に介護問題などなど、・・・。じっくりと考えたら相当ヘヴィな修羅場の数々が描かれているのだ。
抜き差しならない状況を、ギリギリの笑いですり抜ける山内ケンジ監督の技量になるほどと思った。

妙子の父親は、妙子の友人であるマヤの積極的なアプローチに満更でもなく、ということが早々と示される。この設定で、関係性をシュールと感じるのか「変態」という発想は何とも意外に感じてしまった。

妙子自体は、友だちのマヤが、あなたのパパが好きという告白に「気持ち悪い」とハッキリいいつつも、友だちの恋愛感情自体は否定しない妙子。その友だちのマヤは、離婚する父親には不倫相手がいて、その上妊娠していることも知ってもひるまず、交際せんと手段を選ばず突っ走るマヤなのだ。

何度も笑わされたのだが、その可笑しさはオマケであって、そうなのかなぁと、ジワジワと驚かされるような、予想以上にかなり深いことへのヤバイ感がした。
吹越満扮するパパに迫る、街角で待ち伏せする安藤輪子の暴走ぶりもさることながら、周囲の人物像の相関関係が面白く描かれてかなり面白かった。
とりわけ安藤の告白に呆れた岸井ゆきのの家庭。つまり母親と吹越の父親が囲む食卓で、離婚を巡るやりとりや、母親と娘がスーパーで父親の愛人ハズキと出会うくだりなどが、大いに笑えるのだ。

それに、離婚が決まっている夫婦なのに、ずるずると同居を解消せず状況って変ですから。ですが、監督の語る「若い女性と中年男のロミ&ジェリ」の意味が明かされるラストに愕然して、ちょっと戦慄が走った。
新しい映画だと思います。それに独創的で、オリジナルな映画になっている。
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完全なるチェックメイト★★★

2016年02月20日 | アクション映画ーカ行
「ラスト サムライ」の名匠エドワード・ズウィックがトビー・マグワイアを主演に迎え、伝説の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの半生を映画化した伝記ドラマ。アメリカとソ連が冷戦下にあった1972年。15歳の時にチェスの最年少グランドマスターになった経歴を持つボビー・フィッシャーは、その突飛すぎる思考と予測不能な行動のせいで変人として知られていた。アイスランドで開催される世界王者決定戦に出場することになったフィッシャーは、チェス最強国ソ連が誇る王者ボリス・スパスキーと対局。両国の威信をかけた「世紀の対決」として世界中が勝負の行方を見守る中、一局目で完敗したフィッシャーは極限状態に追い込まれながらも、驚くべき戦略でスパスキーに立ち向かう。

共演に「17歳の肖像」のピーター・サースガード、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のリーブ・シュレイバー。「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」「イースタン・プロミス」のスティーブン・ナイトが脚本を手がけた。

<感想>将棋のことなら日本人なら殆どの人たちが解るはずなのだが、チェスとなると、二の足を踏むかもしれない。ですが、ここではそんなこと心配ご無用であります。チェスのルールをまったく知らなくても十分に楽しめるチェスの映画になっているのだ。

といってもここに登場するのは、1972年に世界チャンピオンに輝いたアメリカの15歳のボビー・フィッシャーという天才のこと。ニューヨークはブルックリンに突如現れたその天才の人物像が描かれるわけなのだが、その突飛な言動と奇行はやがては本人をも追い込み、奈落の底に突き落とすのであります。

32歳にして各地を放浪する隠遁生活に入り、その後も日本にも来ており、アイスランドで生涯を終えるのだが、ここで詳細に描かれているのは1972年にアイスランドのレイキャビクで行われた世界タイトルマッチ。24年間もの間チャンピオンの座を守り続けたソ連の強豪ボリス・スパスキーに挑戦したのは29歳のボビーだった。米ソの戦いはまさに政治がらみの、チェス版第三次世界大戦の模様を帯びてくるのであります。


20世紀最高の大勝負を映画でどう描くのかに興味がありつつも、第6局の勝負手を観客の脳裏のチェス盤に驚きと共に刻むという、チェス自体の伏線の難しさから99%は失敗するであろう映画の意外な手は使われてはいない。だから、セコンドのリアクションに頼るのみ。
正直言って世界王者決定戦とはいえ、所詮は盤上の頭脳戦であり、どう料理してもスポーツ競技のような派手な動きを再現するのは難しいのでは、と思っていたら、これがめっぽう面白かった。
いや、そこにチェス盤はあるし、選手もいる。ですが、時が刻々とと迫り、お互いの人間性丸出しといっていい、心理戦の駆け引きが展開するのである。

全世界が注目する中で、テレビ中継された24局の戦い、第一局に負けたボビーは、第二局をボイコットする。さらには、場所を代えての戦いと異例の出来事が次々と続くのであります。つまり、ボビーは神経質になり、客席の咳払いやひそひそ声などなどが、気になり、そしてホテルの部屋には、盗聴器や監視カメラなどが仕掛けてあるのではと、神経質に過敏になってもはや手が付けられない。

だから、ボビーの奇行もチェスの駆け引きとして読むスパスキーを描くことで、東西両陣営のグランドマスターの神経戦としての古典的作劇に徹しているのだ。二人のキャラクターが巧く演出されていて、クライマックスはアクション映画のように盛り上がる。だから2人の演技は見事であり、ですが、ボビーとスパイスキーの対極を世紀の一戦としておきながら肝心の対戦は、ほぼ何も映ってないといっていい。チェスが題材なのにチェスの試合を映すことを放棄したとしか思えません。
だから作り手が何を描きたいのかまるでぼんやりとしたもので、この人物をフィクションで描くことの困難だけがひたすらうかがえるようだ。

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あの頃エッフェル塔の下で★★★

2016年02月19日 | アクション映画ーア行
『クリスマス・ストーリー』などのフランスの巨匠、アルノー・デプレシャンが監督と脚本を務めた人間ドラマ。長年海外生活をしてきた主人公がパリへ戻る途中、ひょんなことから若かりし日の思い出に浸る様子を丁寧に映す。新人のカンタン・ドルメールが青春時代、『ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して』などでデプレシャン監督と組んできたマチュー・アマルリックが現在の主人公を好演。かつて運命の恋に落ちた男女の青春の輝きに心奪われる。
あらすじ:外交官で人類学者のポール(マチュー・アマルリック)は長期に渡る海外生活に終止符を打ち、祖国フランスに帰ることに。だが、入国の際にパスポートに不備があることが判明し、彼は空港で足止めを食らう。次の日、自分と同姓同名のパスポートを持つ男性に、共産圏のスパイ容疑が掛かっていることを知り……。

<感想>偽のパスポートを巡るトラブルを機に、人類学者の脳裏に家族や若き日の旅、初恋といった思い出が色鮮やかによみがえり、人生を追走していくドラマである。主人公ポールの幼少時代と高校時代、それに大学時代の思い出を回想するシーンが多いですね。だから、マチュー・アマルリックが出演するのは、初めの空港と終わりの部分だけです。
20年前に遡り、普通ならもっと時間がかかるであろうに、2時間足らずで描いているのだが、殆どがドイツの高校生時代のエステルとの恋愛模様と、男友達との交流などが描かれているのだ。
学校の社会科見学での美術館へ行ったのに、友達に頼まれてソ連へと、緊迫のスパイ事件から、都市と田舎に引き裂かれる恋愛事情と、ジャンルまで越境するのだ。

お互いに好きなのに恋人のエステルを再登場させる時の美。女優を魅せる技という演出に驚く。裸やセックスが、実にいやらしくなく普通にご飯を食べたり、洗濯をしたりするような感覚で映っているのもいい。

青春時代の恋愛では、どうしてあんなことになったのだろうと思うのが普通だが、監督はそのことを良く捉えているようだ。青春を生きる者の生意気さとか、憧れや読んだ小説とか、聴いたレコード、ダンスに暴力沙汰などなど。すべてが懐かしく感情移入できるのは、監督が自らの記憶が作品に投影されているからだろう。

タイトルの「あの頃エッフェル塔の下で」の場面では、パリの大学に通うポールとパリから離れた田舎町に残るエステル。お互いに募る想いを毎日手紙に書き綴っていたが、異国の地にいたポールは、ある日エステルから思いがけない電話を受け取ることに。そして、エステルへの変わらぬ思いに気がついたポールは、数十年ぶりに手紙を読み返し、ある真実に気がつくのだった……。
大学時代に下宿をしたエッフェル塔の近くの屋根裏部屋での生活が映し出され、エステルも訪ねて来てくれ、それでも結婚までは成就しなかった二人の甘く切ない恋物語。

新人の俳優さんたちの若き日のポールを演じたカンタン・ドルメールとエステルを演じたルー・ロワ=ルコリネを始めとし、登場する役者たちが瑞々しくて、現在の主人公マチュー・アマルリックと、その人類学教師が印象的に映る。
エピローグの強烈な押話は、取り返しのつかない時間を失った哀しさと痛みに溢れ、誰もが一度は経験したであろう“一生一度の恋“。時を経て思い出すあの頃のことを、思い出すたびにこころの奥がチクリと痛くなる熱い思い出を。
恋のエチュードを越えているようで素晴らしいと思う。
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温泉の旅、冬の松島 一の坊へ

2016年02月18日 | ほっこりゆったり温泉倶楽部
2月の初めに、ヤフートラベルの「ふるさと割引クーポン」を利用して、普通だったら1泊御一人様33、500円のところを2人で半額の37,000円で泊まれる格安宿泊でした。



「ふるさと割引クーポン」が使える日と宿が空いている日がその日しかなかったので、娘と2人で久しぶりの旅行です。

仙台駅から2時出発の送迎バスで、到着が3時ころでしたね。

さすがにお高いだけあって、サービスのウエルカムシャンペンで乾杯!

その他にも珈琲や紅茶、緑茶、ほうじ茶、冷蔵庫の中には蔵王の水ペットボトルにポカリスェットが、サービスで2本づつ入ってました。

まずはお風呂へ入らなくちゃと、展望風呂へ


それから、ラウンジの喫茶室で無料の珈琲、紅茶にジュースなどを飲みながら夕食の時間までそこでゆっくりしました。

夕食は、レストラン「ととや」にて和食の創作料理を頂きました。





その後に、サウナや岩盤浴がある別のお風呂へと。

次の朝は、朝日が昇る時間に風呂へ行ったのですが、雲に隠れて太陽が見えなかったのが残念でしたね。

朝食は、バイキングでたくさんの料理が並んでましたね。


朝食の後にお土産屋に寄ってみると、玄関ホールにはたくさんのガラスで作ったお雛様や兜などが飾られていましたよ。



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クリムゾン・ピーク ★★★★

2016年02月17日 | アクション映画ーカ行
「パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ監督が「アリス・イン・ワンダーランド」「ジェーン・エア」のミア・ワシコウスカを主演に迎え、古びた大きな屋敷を舞台に怖ろしくも美しい幽霊譚を描いたゴシック・ホラー。共演はジェシカ・チャステイン、トム・ヒドルストン。
あらすじ:20世紀初頭。富豪の父カーター・カッシングと2人でニューヨークに暮らす作家の卵、イーディス(ミア・ワシコウスカ)。。母は彼女が少女の時に他界するも、幽霊となって彼女の前に現われ、“クリムゾン・ピークに気をつけなさい”と謎めいた警告を残すのだった。ある日、彼女はカーターのもとにやって来た準男爵の称号を持つ英国紳士トーマス・シャープ(トム・ヒドルストン)と出会い、心惹かれていく。そんな折、不可解な死でカーターがこの世を去り、イーディスは莫大な遺産を相続することに。悲しみに暮れる彼女はトーマスと結婚し、英国にある彼の広大な屋敷へとやって来る。そこにはトーマスの姉ルシールも住んでいて、ミステリアスな彼女の態度に戸惑いを隠せないイーディスだったが…。
  注意:ネタバレで書いております。

<感想>恐怖と愛のドラマをイマジネーションに富んだ映像を配して、これはゴシック・ミステリーでもあり、幽霊屋敷でもあります。ゴシック小説からアイデアを得たというギレルモ・デル・トロ監督。「嵐が丘」と似ているような、ロマンスがあり、これにお伽噺と怪奇小説の要素を組み込んだアトラクション、「体感型お化け屋敷」ムービーなのだ。

初めから、母親がコレラで亡くなりその母親の亡霊が出て来て、娘のイーディスに忠告するのだが、娘は世間知らずというのか、あまり男になれていなくて、言い寄られた男トーマス・シャープに一目惚れしてしまう。娘イーディスのことを心配する父親は、トーマスに金を与えて追っ払おうとするが、翌朝に洗面所で何者かに頭を強打されて死んでしまう。

確かにゴシックは古びたジャンルではあるけれど、露骨なバイオレンスやエロチックな要素を加えてアップデートしたというから、なるほど姉と弟の禁断の近親相姦もありで、それがドラマの舞台となる幽霊屋敷で行われる。

その幽霊屋敷は、半ば廃墟と化しているし、今にも崩れそうな屋敷の周りには、何一つ物が置かれておらず、外界から完全にシャットダウンされているのだ。

屋敷のエントランスの中央は、屋根が損壊しておりそこから降り注ぐ枯れ葉や風、そして雪が、屋敷の中央に積もっていく様は、それだけで廃墟マニアには堪らない光景である。さらには、旧式なエレベーターと、2階へ上がる階段に廊下の壁には蛾なのか蝶々なのか分からない蠢く虫が飛んでいるのだ。

それに、広々とした地下室の大きな樽のような入れ物が何個もあり、壁は血のような粘土が沁みているショットもまた魅力的です。途中でこれはドラキュラが出てくるのかと怪しんだが、この種の映画好きには堪らないほどゾクゾクする。それだけならまだしも、姉のルシールが弟と近親相姦の中であり、屋敷再建のため、これからの自分たちの生活のために、弟に金持ちの娘と結婚させて殺して、全財産を奪うという計画を立てて、今まで4人の女と婚姻をして殺してきたのだ。

だから、イーディスもその金目当ての一人で、早くに屋敷に着くなり毒入りお茶を飲まされ、身体がだるくなり目まいがするようになる。それでも、夫のトーマスを愛しているお嬢様は、姉のことを疑ってもいないし、ロンドンへ連れていくトーマスとのホテルでの愛のHもルンルンで、姉の意地悪などどこ吹く風なのだ。

姉がロンドンでの弟とHしたことを知ると、怒り狂いだし虐めが酷くなるのに、この辺で気が付くのが普通なのに。夫と姉の近親相姦を見てしまい、ショックと絶望に屋敷を出ようとするも、姉は嫁の全財産を寄こせと迫ってくる。姉役のジェシカ・チャステインの狂気迫る悪魔のような演技も凄い。

それに、母親の幽霊も出るし、その他にも真っ赤な幽霊が出て来るし、赤ん坊の泣き声もするしで、睡眠不足である。この幽霊たちも、イーディスに自分たちの不幸な死を分かってくれと訴えているのに、怖い、怖いと目を背けてばかり。それに、夫のトーマスは、幽霊屋敷の庭で掘削機械を使い赤い粘土を掘り起こしに夢中になっているのだ。でも、まだイーディスを愛しているようで、最期には味方をしてくれて良かった。

誠実な医者のアランもイーディスが好きなのに、出遅れてしまい、それでも気にかかりイギリスまでやって来てくれた。主人公ミア・ワシコウスカの十八番が光る繊細で薄幸な女が良く似合うし、雰囲気を醸し出す演技も中々上手い。ラストの姉のジェシカ・チャステインと闘うシーンでは、2階から落ちて足を骨折し気を失い、毒を盛られて血を吐きながらもシャベルでジェシカの頭を殴る勇気はどこから出たのかと、助けに来てくれた医者のアランもトーマスに刺されて瀕死の重傷なのに、最期は2人で生きて帰ることが出来たとは信じられません。
「イノセント・ガーデン」や「マップ・トゥ・ザ・スターズ」などの異色作に相次いで出演してきたミア・ワシコウスカが、ホラー映画に初挑戦し、「インターステラー」のジェシカ・チャステインと「マイティ・ソー」のロキ役で人気を得たトム・ヒドルストンが、秘密を隠し持つ妖艶な姉弟を演じている。そんな豪華な俳優3人それぞれのキャラクターを際立たせる優美なコスチュームも見ものですね。

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ミリオンダラー・アーム★★★

2016年02月16日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
野球未開の地・インドから初のメジャーリーガーを発掘したエージェントの奇想天外な実話を基にしたスポーツドラマ。キャリアのどん底にあったスポーツエージェントがインドのクリケット選手をスカウトすることを思い付き、さまざまなトラブルに遭いながらも、前代未聞の挑戦に挑む様子を描く。メガホンを取るのは『ラースと、その彼女』などのクレイグ・ギレスピー。『スラムドッグ$ミリオネア』などのA・R・ラフマーンが音楽を担当する。主演は、テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」などのジョン・ハム。二転三転する展開と、爽快なサクセスストーリーに驚きと感動が押し寄せる。
あらすじ:スポーツエージェントのJB・バーンスタイン(ジョン・ハム)はメジャーリーグの時代の流れについていけず、選手との契約も終了。そこでバーンスタインはインドのクリケット選手から逸材を発掘しようと、いちかばちかの賭けに出る。そして、地元のテレビ局と「ミリオンダラー・アーム」という番組を企画し、コンペティションに集まった数千人の中から2人の青年をアメリカに招くが……。

<感想>これって2008年の実話がモデルだそうです。ということは、メジャーリーグにインド人野球選手が入団したのはそれ以降のこと。最近なんですね。そういえば近年ではしばしばインドが話題に上るが、その大半は経済と映画関係で、スポーツの話なんて聞いたこともない。
このドラマのモデルで、大切な金の成る木との契約を横取りされ、財政不安を抱えたスポーツエージェントのJB・バーンスタインがインドへ行き、メジャーリーグで使える豪速球選手を発掘しようと思いつくわけ。
演じるジョン・ハムはテレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」の主役でゴールデングローブ賞などを受賞した注目の人気俳優で、今回が映画初主演。それよりも気になるのが、まるでバートラン・カスターを彷彿とさせるタイプで、がっしりと逞しく、派手な美女をとっかえひっかえのチャラ男なのだ。お金があって傲慢なアメリカンである。そんな容姿の俳優の演じる男が、インドとの出会いでどう変化していくのかがミソ。脚本には人間味あふれる「扉とたたく人」(07)を撮った俳優出身で脚本家でもあるトム・マッカーシーをを得たクレイグ・ギレスピー監督。ライアン・ゴズリングが人形と恋におちる「ラースと、その彼女」で注目された監督であり、豊かな人情味と爽やかさが味わえるドラマを生み出した。

ムンバイの市街をセットではなく実写で生かした出だしから始まって、ロサンジェルスとインドの都市を交互に描写する内容に引き込まれてゆく。ユーモアたっぷりで、ディズニーはインドを軸とする異文化接触テーマを上手く映画に取りこみつつあるようですね。
それに、いきなり歌って踊るインド映画ではない、ハリウッド・テイストのインド映画であるのも見逃せません。
JB・バーンスタインは、クリケット王国のインドで野球なんて、と笑わば笑えよ、ボールを投げて打つのは同じゃないかと、考えたのですね。インドの人口は12億。彼らが野球に目覚めてグッズが売れたらどうなる?・・・。
そこでメジャー球団のアジア系オーナーを説得して、彼を後ろ盾にしムンバイに飛び、テレビで懸賞金10万ドルの“ミリオンダラー・アーム”というコンテスト形式のリアリティ・ショー番組を作って豪速球を投げる選手を発掘しようと、いうのであります。
英語が話せて野球が好きというお調子者のアミトをアシスタントに、いつも居眠りばかりだが選手の実力を見抜く力は抜群の、元スカウトマンである、レイ(アラン・アーキン)を協力者として、灼熱の土埃が舞うインドの各地を巡ります。

一生働いても得られない金の賞金だけに、応募者の数は限りなく多く、しかし使える者はほとんどいないという無残な結果に。現実は厳しい、それでも各地の予選を勝ち抜いた20人がムンバイの決勝大会で競いあい、独特の片足投法を見せたサウスポーのリンク・シン(スラージ・シャルマ)が優勝した。

130キロ台の快速球を投げて2位になったディネシュ・パテルと共に、賞金とメジャー球団の入団テストへの挑戦権を獲得して、ロサンゼルスへと向かったのだ。
後半では、慣れない外国へ来たインドの若者2人のカルチャーショックであり、彼らを自宅へ住まわせて知ることになるアメリカ男の異文化との出会いから生まれる驚きでしょう。
大家族の中で様々な習慣に縛られる、というよりも護られ依存して暮らしてきたインド人の、無垢な若者2人には、ビジネス優先のアメリカ人とは違う穏やかな時の流れがあり、人間関係があるのだ。
だから、そのことに気づかないJBには、まったく野球を知らない2人を半年で入団テストを受けられるまでにしなければならない焦りがあり、それが若者2人を苦しめていることに気づかないのだ。

そのことに気づいたのは、JBの裏庭の離れを借りている医学生のブレンダ(レイク・ベル)なのだ。優しい彼女は、2人の痛みを見ぬいて何くれとなく気配りをする。それに触れることで、女としての彼女のことなど眼中になかったJBの気持ちも変わっていくという。
そして、こんな仕組みになっているのかという入団テスト風景は興味をそそります。多くのメディアを集め、スカウトの数は24人。JBの知名度、レイの存在、しかし、何も知らないインド人の2人は困惑と不安で萎縮して本領を発揮できないのだ。
実話ベースだけに結末はわかっているとはいえ、出てくる人間はクセが弱くて、押し寄せる問題も小さ目で、なんともしがたいのだ。いっそのこと、インドに野球リーグを作るフィクションに変更した方がミリオン感は出たのじゃないかと思った。いくらメジャーリーグでも先が読めてしまう試合は退屈なように、メジャーの映画でも先の読めてしまう作品は退屈なものだ。
ですが、エンドロールが流れ始めると、二人の本物のインド人大リーガーが、画面に出てくるのを見て、★を一つ増やしました。

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消えた声が、その名を呼ぶ ★★★★

2016年02月15日 | アクション映画ーカ行

愛より強く」「そして、私たちは愛に帰る」「ソウル・キッチンのトルコ系ドイツ人監督ファティ・アキンが、トルコのアルメニア人大虐殺をモチーフに、虐殺を生き延びた男が、生き別れた2人の娘を捜して繰り広げる壮大な旅の行方を描いたドラマ。主演は「預言者」「ある過去の行方」のタハール・ラヒム。
あらすじ:1915年オスマン・トルコの南東部の街マルディン。アルメニア人鍛冶職人のナザレットは、妻と双子の娘ルシネ、アルシネと幸せに暮らしていた。そんなある日、憲兵がいきなり押しかけ、ナザレットは妻子と引き離され強制連行されてしまう。灼熱の砂漠で、同じように連行された男たちとともに奴隷のように働かされるナザレット。そしてある朝、ナザレットたちは処刑を宣告され、次々とナイフによって首を掻き切られる。数時間後、ナザレットは意識を取り戻す。彼の処刑を命じられた男が首を浅く切ったために致命傷にはならず、声を失ったものの奇跡的に一命を取りとめたのだ。この時から、家族の消息を求めるナザレットの遥かなる旅路が始まるのだったが…。

<感想>1915年オスマン・トルコによる理不尽な、アルメニア人大虐殺政策のために、砂漠の中で死刑を宣告される。だが、処刑人が罪もないナザレットを殺すことに躊躇し、首を浅く切ったために彼は声を失ったものの、かろうじて生き延びた。そこからが大変な道程の始まりで、砂漠を彷徨い辿り着いた収容所では、家族が死んだことを知らされる。

やがて戦争は終わり、トルコ人は街から去っていくが、ナザレットの生きる希望は失われていた。そんな彼に思いがけない知らせがもたらされる。娘たちが生きているというのだ。
軌跡をたどるナザレットはレバノンからキューバへと。しかし、娘たちはミネアポリスに向かったと聞かされる。ナザレットは盗んだ金と稼いだ金を手にフロリダへ。娘たちと会える日は訪れるのだろうか。
声を失いながらも愛する娘たちへの想いを胸に、命がけの旅を続けるナザレット。過酷な状況の中で様々な顔を見せる主人公には、ジャック・オディアール監督の「預言者」、「ある過去の行方で脚光を浴びたフランス人俳優である、タハール・ラヒムが、台詞に頼ることのない表現が観る者を惹きつけている。

オスマン帝国没落の渦中で起きたアルメニア人への処刑という事実は、恥ずかしくも全然知らないことでした。だから、トルコの砂漠での喉を切り裂かれる虐殺描写の緊迫感は圧巻でした。そこで声を失う代わりに生き延びた主人公の娘探しが後半の主題となります。

主人公は残酷で野蛮な光景から、レバノンを経て遥かキューバに渡り、さらにアメリカ大陸を北上するのだ。問題は主人公が狂っているのか、理性的に対応しているのか,周りの環境描写との摺り合わせが明確ではないのだ。

それでも、主人公を救うヒューマンなトルコ人も登場し、微妙な物語構成になっていた。それに、主人公が騒乱で行方不明中の娘たちを思い、チャップリンの映画「キッド」を見て涙する場面やキューバからラムの密輸船でアメリカに渡るルートなどが説明的な段取りカットが連続して、娘探しの手掛かりが映画の都合のいいように描かれており、ちょっと疑念に思ったのだが、国境を越えた時代考証なども丁寧だったので良しとしましょう。

彼の声は失われ、表情も喜怒哀楽が前面に出るタイプではないので、それぞれの場所と状況に応じて主人公のいでたちや、顔つきも変わっていく演技がまるで、サイレント映画のようで上手いのだ。
それでも決して終わりが見えないその旅路に、娘を見つけ出す希望を得てからの、静かな迫力と求心力たるや尋常ではない。彼の存在がダイナミックなロケーションの移動とか、ドラマの変還を力強く1本の映画に繋いでいるのも感心しました。

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ひつじ村の兄弟 ★★★.5

2016年02月14日 | アクション映画ーハ行
2015年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリに輝いたアイスランド発の異色ドラマ。40年間も不仲の老兄弟が、大切な羊たちに訪れた絶体絶命の窮地を前に思わぬ行動に出るさまを、雄大かつ過酷な大自然をバックにユーモアとペーソスを織り交ぜ力強いタッチで描き出す。監督は、これが日本初紹介のグリームル・ハゥコーナルソン。

<感想>アイスランド、酪農大国の力強く雄大な自然を舞台に、過酷な状況下におかれた人間の意地と覚悟、かけがえのない羊との絆がおかしくも切なく綴られている。北欧ならではのドライなユーモアとヒューマニズムを見事に融合させたのは、アイスランド期待の新鋭グリームル・ハゥコーナルソン監督。長編2作目にして、2015年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリに輝いた映画であります。

キディーとグミーの老人兄弟、独身であり偏屈で頑固者だが、羊を何よりも愛し、品評会では毎年弟のグミーと優勝を争っているのだが、その品評会で優勝した自慢の羊が疫病に侵されてしまう。
弟のグミーは国内随一の優良種の羊の世話に明け暮れていて、酪農家仲間との関係は良好なものの、兄のキディーとは絶縁状態でまったく口をきいていない。兄のキディーとの連絡には、手紙を書き兄の愛犬に加えさせて届ける。羊をまとめるだけでなく、伝書犬としても活躍するワンコには感心しました。家はすぐお隣同士なのに、お互いに独身で羊の世話に明け暮れているが、兄の方は偏屈親父で酒ばかり飲んで、羊が疫病に感染していることもまったく知らなかったのだ。

弟のグミーが品評会の後に、兄貴の優勝した羊を調べたところ、背中と頭がぶよぶよしているのに気づいて、獣医の女性に調べるように頼む。そうすると、まさか、本当に伝染病(スクレイピー)に感染しているのだ。この村の人たちは、殆どが羊を飼って生活している。だから、飼っている羊を全頭殺処分してブルドーザーで穴を掘り埋めるということになってしまう。
村の人たちの中には、羊を殺処分してしまい、2年間も羊を飼育出来ないと分かると、村を出てゆく家族もいるのだ。日本でも鶏インフルエンザで、何万羽の鶏が殺処分になり、その後も牛も口蹄疫という疫病で、殺処分ということで、酪農家、養鶏場で生計を立てている人たちには、過酷な作品となっていることでしょう。

羊を愛する兄弟に訪れた人生最大の危機。窮地に追い込まれた二人の選択は?・・・。グミーは自分が言いだしっぺなのだが、言われたとうりに自分の飼っている羊を拳銃で殺処分してしまう。ところが、隣の兄貴キディーは、弟が品評会で優勝しなかったから、嫌がらせでそんなことを言ったといいながら、喧嘩を仕掛けてくるのだ。困った兄貴は、自分の飼っている羊を殺処分することも拒み続けるも、村役場の人たちがやって来て羊をトラックに積んで連れて行ってしまう。それから、その羊の小屋の消毒もしなければならないのに、弟はすでに消毒を澄ませてしまっていた。仕方なく弟が羊小屋を掃除して消毒してやる。
困った兄貴で自暴自棄になり、酒を飲んで雪の降る外で寝転んでいるのだ。そのままにしておけば、凍死してしまうと、弟が自分の家へ連れて来て温かい風呂へ入れてやる。

しかし、弟は疫病に感染していない自分の羊6頭を、地下室に閉じ込めて血統の延命のために奔走するわけ。そのことが村の人たちにバレてしまい、兄貴の家に匿ってもらうも、それでもダメで、山の上まで羊たちを避難させようと試みるのだ。

その行程では、雪が降る寒い地方であり、夕方近くで吹雪が凄いのに、兄弟が珍しく力を合わせて、その羊たちを何とか匿おうと山の上まで追い立てて、山の上には火山があり温かいというのだ。自分たちはバギーカーで先導する。しかし、途中で余りにも酷いブリザードになり前が見えない位に吹雪で、これでは凍え死んでしまう。暗くなり羊の姿も見えなくなり、何処へ行ったのだろうか、羊6頭中には妊娠している羊もいる。そうこうしている内に2人は遭難してしまう。

それに、弟のグミーが吹雪で寒さに倒れ込んでしまう。兄貴は、シャベルで雪穴を掘り、そこへ弟を潜り込ませて、濡れた服を脱がせて自分も裸になり、抱き合って弟の身体を摩りながら、兄弟仲良く生きることに邁進する。そこで映画は終わってしまうのですが、喧嘩をして絶縁状態の兄弟でも、何かを成し遂げるには力を合わせてしなければならず、きっと兄弟は生きており羊もきっと固まっていて助かっているのではと、勝手に解釈しました。
ですが、どうにも疎遠であるという距離感が、些細な、ユーモラスな描写から少しづつ伝わって来て、性格は異なるもやはり兄弟、似ているところもあり血の濃さがクライマックスに向けて切なく迫って来て良かった。
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