パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

アマンダと僕★★★

2019年08月06日 | アクション映画ーア行

ある日突然、無差別テロで大切な姉を失い、遺された7歳の姪を引き取ることになった青年の戸惑いと、一緒に暮らしていく中で次第に芽生えていく確かな絆を描いたヒューマン・ドラマ。主演は「ヒポクラテス」のヴァンサン・ラコストと本作がスクリーン・デビューのイゾール・ミュルトリエ。共演にステイシー・マーティン。監督は長編3作目のミカエル・アース。

あらすじ:パリで便利屋として働く青年ダヴィッドは、パリにやって来た美女レナと恋に落ち、幸せな日々を送っていた。しかしある日、仲の良かった姉が無差別テロに巻き込まれ、亡くなってしまう。悲しみに暮れるダヴィッドだったが、一人遺された7歳の姪アマンダを引き取る必要に迫られる。子どもを世話する責任の重さに戸惑いを隠せないダヴィッド。一方アマンダは、あまりにも大きな喪失を前に、幼いながらも懸命に向き合おうとしていく。そんなアマンダの悲しみに寄り添ってあげたいと思いながらも、どう接していいか分からないダヴィッドだったが…。

<感想>ふたりなら、きっと乗り越えられる――我々と同じ人々の痛みがひたすら切ない。主人公ダヴィッドの涙と共に、彼の勇気に感動する。生きるうえでいちばん大切なことは何かを、この映画は教えてくれる。親を亡くした子どもと、その保護者になった人物との触れ合いを題材にした映画には、佳作が多いと思うのですが、母親に死なれて喪失を抱えた子どもと、子育てに不安を抱えた独身の男が、血の繋がりと絆なのか、距離を縮めながら互いに成長していく物語は、心の琴線に触れるヒューマンドラマの王道を行っていると思います。

夏の日差しが溢れるパリで、仲の良い姉、美しい恋人と穏やかな時間を過ごす青年ダヴィッドの姿が冒頭に映し出されるのですが、突如、急スピードで走る2台のバイクが不穏な様子を見せる。そして、突然の悲劇(テロによる銃撃)で姉を失い、遺された一人娘アマンダを引き取ることになった叔父さんのダヴィッドの今後を描いている。

青年ダヴィッドは、パリにやってきた美しい女性レナと出会い、恋に落ちる。彼女はピアニストで演奏家であり、若いカップルはすぐに愛し合うようになる。穏やかで幸せな生活を送っていたが、突然の悲劇で姉が亡くなり、ダヴィッドは悲しみに暮れる。彼は、身寄りがなくひとりぼっちになってしまった姪アマンダの世話を任される。若いダヴィッドには親代わりになるのは荷が重く、アマンダは母親の死を理解できずにいた。しかし、消えない悲しみを抱えながらも二人の間に少しづつ絆が芽生えはじめる。

姉の死後、姪のアマンダ(イゾール・ミュルトリエ)をどうするか友人に問われたとき、「子育てなんて心の準備ができていないし、頼る人もいない」と泣き出すダヴィッド。父親候補としては、かなり頼りないのだ。そんな彼に、アマンダは2つのことを気づかせる。ひとつは、彼女がダヴィッドを必要としていること。もうひとつは、アマンダをいちばん愛している人間こそが彼女の保護者になるべきだということです。

実は恋人のレナもそのテロによる銃撃戦で、腕と足にケガをして入院している。だから、ダヴィッドは彼女と結婚をしてアマンダを育てようなんて軽々しくは言えない。彼女は今回の事件で心に大きくダメージを受けており、田舎に帰ることを望むのだった。

そうこうするうちに、アマンダの後見人を決める日が迫って来る。アマンダの叔母もいるのだが、性格が厳しくてアマンダを預けても、一晩でアマンダが嫌だと不満を言うのだ。その他にも離婚をしたアマンダの父親がいるのだが、何処にいるのか知らないし、ダヴィッドの母親も行方しれずで、まさか孤児院へ入れるわけにもいかず、結局はダヴィッドが引き取ることになってしまう。

独身の24歳の男が、急に7歳の姪っ子の父親になって、生活をしてゆくことは難しいことでもあり、経済的にも困難である。それでも、アマンダの一番いい環境が自分が育てることなのだから。

ラストに行方不明だった母親の居場所がわかり、訪ねてゆく二人。ダヴィッドが生まれてすぐに家を出て行った母親。現在は再婚をして子供もいるようだ。だから、アマンダを引き取ることはできない。でも、束の間の孫とお婆ちゃんと息子との再会に、これからの希望が見えてきたようだった。

2019年劇場鑑賞作品・・・115  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アルキメデスの大戦★★★★

2019年08月03日 | アクション映画ーア行

三田紀房の同名人気コミックスを「ALWAYS 三丁目の夕日」「永遠の0」の山崎貴監督が実写映画化したサスペンス・エンタテインメント。巨大戦艦“大和”の建造計画の是非を巡り、海軍内部が二分する中、数学によって計画を阻止しようと奔走する天才数学者の奮闘を描く。主演は「あゝ、荒野」「溺れるナイフ」の菅田将暉。共演に舘ひろし、浜辺美波、柄本佑、笑福亭鶴瓶、田中泯。

あらすじ:1933年。欧米との対立を深め、軍拡路線を進める日本では、海軍省が秘密裏に世界最大の戦艦の建造を計画していた。その一方で、海軍少将・山本五十六をはじめとする“今後の海戦は航空機が主流になる”と主張する“航空主兵主義”派も存在し、“大艦巨砲主義”の推進派と激しく対立していた。そこで、山本は独自に建造費を見積もり、計画の欺瞞を指摘して建造を阻止しようと目論む。そのために彼が目を付けたのが、100年に一人の天才と言われる元帝国大学の数学者・櫂直。しかしこの男、筋金入りの軍隊嫌いで、おまけに超のつく変わり者だったのだが…。

<感想>これは、数学で戦争を止めようとした男の物語。戦艦大和VS天才数学者である櫂直の菅田将暉。冒頭にていきなりVFXを駆使した映像で、巨大戦艦“大和”の断末魔を5分余りにわたってスペクタクルに再現し、荒業級のこの構成にはかなり驚きました。

櫂は、数学者ならではの視点で、世界最大の戦艦大和の建造を巡り、巨額の国費を投じる建造費の見積額に矛盾を発見し、その事実を露見させようと奔走していく。「戦艦大和が抱える問題は、今の日本という国を考えるという点につながる」というコメントを残している山崎監督に、その意図を尋ねてみると「コンコルド症候群」(既に失敗が明確な事案について、過去の投資を惜しみ、無益な費用を費やし続けること)を引き合いに出した。

“大和”は死んでも“日本”は死なず、って言うことなのか。とは言え、数字で戦艦の建造を阻止すべく孤軍奮闘する数学者の行動を、ここまで面白く描きながら、最後に、詭弁に近い平山忠道造船中将の田中泯の言葉で、うっちゃりを喰らわすとは、思わず「えっ」と、数字は嘘をつかないのが口癖の、菅田将暉の演技は絶好調だし、娯楽映画としては上出来だと思った。

「数学で戦争を止めようとする男」が主人公ゆえに、難解な数式が数多く登場する。しかし、実際の数式や数値自体は、この映画にとっては、さほど重要ではないようだ。

数式が導く数値によって生まれる、登場人物の“感情”の起伏が重要なのだから。以前から感じていたことだが、主人公櫂直の菅田将暉のセリフは、入って来るのだから。それは頭の中に入って来たものが、胸の辺りまで下りて来る感じなのだ。

彼の言葉には、独特の強調するポイントがある。そのコントロールが、数式や数値を超えた感情を引き出しているのだと思う。櫂の凄さのひとつは、計算のスピードが尋常じゃないほど早いという点なんですね。発想力は真似できないけど、数式を解くという点に関して言えば、ひとつひとつゆっくりとやれば理解できる――そこに気づけた瞬間、1回楽になったんです。自分も数学が好きだっただけに、絶対に負けたくないなと、菅田将暉が応える。観ている私も数学が大好きなので、好きなものは徹夜や食事をしなくても頑張れるのだと。

に恋をしている造船業の浜辺美波の力を借りて、大坂の造船業社長の鶴瓶に会いに行き、理由を話して設計図を見せてもらう。それに、船にかかる鉄の量と価格で計算をして、戦艦の概算を算出してしまうとは驚きである。

戦艦長門に乗り込み、艦長の小日向さんの話を聞きながら、この船の設計図を盗もうとするもダメであり、とうてい設計図を見せてもらえることもなく、自分の目で巻き尺で測って測量をして、戦艦大和の設計図を作成させるとは、見上げた根性と才能である。

何となく右翼、なんとなくクリスタルの語感で、かと思っていた山崎貴監督の好ましい転向とも見える体制批判。VFXの質はハリウッドに劣らず遜色なしだと。

現代のウケを狙ってか左翼性だけを引き算したような優れた知性が、敗戦の必至を見抜き、戦艦大和建造を阻止しようとする原作漫画の設定がまず面白い。”戦艦大和”の艦長・山本五十六には、舘ひろしが扮しており貫禄充分であった。

ですが、それよりも本作の偉業は、それらが成し得なかった大和が横転し海面に叩きつけられる描写とか、46センチ砲が自重でしなだれていく力学シミュレートの徹底や、加えて日本軍の砲撃で海没した米軍機に乗っていたパイロットが、パラシュートで海に落ちたところへ、米軍の水上機が駆け寄り、パイロットを救出していく貴重な目撃証言など、こうした部分の再現だけでもこの映画を鑑賞した価値があると思います。

その道理が大波に飲まれたことは、それら文芸過去作品では、体験からの再話だが、本作ラストが監督自身の今後の山越えの人生行路なら、予見としては怖いと感じたのだが。

それにしても菅田将暉にとっては、描かれている時代や軍という組織は、今の彼にとって決して身近でリアルなものではなかったと思うのですが、だからこそやってみたいという想いがあったのではないですかね。

正直、戦艦大和って、もうファンタジーの部類に入るんですよね。ですが、1933年から1945年までの話なんですが、どんな史実も人間が造ったものなのに、時間が経つと、その人間が造ったものであるという事実すら風化してしまう。

だから菅田将暉が、「この作品で世の中に何かを伝えたい、残したい」と言う想いが、彼の声がひしひしと伝わって来るのだ。

ド迫力の戦闘シーンに圧倒される130分、絶対に沈まないと言われ続けていた“戦艦大和”の優秀美を特とご覧あれ!

2019年劇場鑑賞作品・・・113  アクション・アドベンチャーランキング

 

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いちごの唄★★・5

2019年07月20日 | アクション映画ーア行

人気脚本家の岡田惠和がTV「ひよっこ」の出演者でもあった峯田和伸のバンド“銀杏BOYZ”の楽曲をモチーフに紡いだ同名連作短編集を、「ひよっこ」の古舘佑太郎と「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「きみの鳥はうたえる」の石橋静河主演で映画化した青春ラブストーリー。監督は岡田脚本のドラマ「泣くな、はらちゃん」「ど根性ガエル」を手掛けた菅原伸太郎。本作が劇場映画デビューとなる。

あらすじ:不器用ながらも心優しい青年コウタ。中学生のとき、唯一の親友だった伸二と、クラスメイトの千日を“天の川の女神”と崇め、2人で遠くから眺めて満足していた。しかし伸二は、その千日を交通事故から守り亡くなってしまう。10年後、伸二の命日である七夕に、コウタは千日と偶然の再会を果たす。2人は1年に1度だけ、伸二の命日に同じ場所で毎年会おうと約束する。次第に千日への恋心が募っていくコウタだったが…。

<感想>全力で恋した時間は、永遠なんだ。同作は「ひよっこ」の脚本・岡田氏、出演の峯田のコンビが、「銀杏BOYZ」の名曲「漂流教室」「ぽあだむ」などをイメージソースに、純真無垢な青年コウタ(古舘)が中学時代、密かに「女神」と崇めていた初恋の相手、千日(石橋)と10年後に再会し、恋心を抱く姿を描ている。

宮本信子が演じるのは、コウタ(古舘)の亡き親友・伸二が住んでいた孤児院の園長役。「とても静かな映画で、少し心が痛くなるような、でも最後には爽やかな気持ちになれる作品」と本作の感想を述べつつ、自身の役どころについては「長い間ひとりでこの場所(孤児院)を守ってきた人」と説明している。「その厳しさ、優しさの両方を表現できたら良いなと考えて、とてもとても大切に、セリフを言わせて頂きました」と振り返っている。

コウタが想いを寄せるあーちゃんの中学生時代の姿に扮する清原は「大人のあーちゃんに繋ぐパズルピースを丁寧に集めなくちゃ、と模索していた日々を思い出します」「コウタとあーちゃんの切ない歩幅と、この作品の甘酸っぱい香りを胸いっぱいに感じて頂けたらいいなと想います」とアピールしている。

千日が中学三年生の時、自分のせいで同級生が死んでしまったと思っていること。十年経った今でも、そこからまだ立ち直れずにいること。

千日とコウタは10年ぶりに再会し、それから1年に一回しか会わない。七夕の日を心待ちにするコウタの描写こそあるものの、千日がどのような日々を過ごしていたのかは一切描かれていないのだ。更に言えば、コウタと再会するまでの10年間を彼女はどうやって生きてきたのだろうか?・・・。観客の想像力を掻き立てるのだ。

その時に必ずいくラーメン屋は、客が入っていない寂れた店。コウタが、店主に来年の七夕まで営業していて下さいとお願いする。

一年の一度の逢瀬だけで過ぎてゆく時間は結構長く、その1年の間に彼女に何があったのかは描かれていないので、想像するしかない。そして、ある七夕の夜、コウタに千日が自分の気持ちを吐いてしまうシーン。

ですが、映画の中で描かれている主人公のコウタが、余りにも子供じみていて純真なのに面食らってしまう。だから、一緒に出て来る弟とその恋人の方が、ずっと大人に感じてしまった。コウタという男の勝手な女性像の崇拝が、気味悪かった。

だから、千日が「私は女神じゃない」と否定するので、それでいくらか留飲が下がったと思う。いつまでも子供ぽい男子と、実年齢以上に大人に見える千日の組み合わせとしては絶妙です。優しさの押し売りになっていないのも、心地良かったですね。

コウタは千日を笑顔にする一方で、彼女の古傷にさわる存在でもある。コウタが千日の苦しみを、受け取って救ってくれるのじゃないかと思っていたのですが、コウタは救ってはくれなかったのだ。優しくも残酷なコウタの回顧から動き始めた千日の感情は、思いがけない人の元へと導いていく。

映画の終盤で、幼いころに伸二と生活をしていた養護施設の園長を訪ねる。そこで、長い間彼女の心の中でぐるぐると絡まって、どうしようもなくなっていた哀しみを受け取ってくれたのは園長先生だったのですね。そこで千日は、やっと胸のつかえたものが取れた感覚になりました。

一方、コウタのアパートの隣室に住んでいるパンク好きのお姉さん・アケミ役の岸井さん。アケミは彼(コウタ)の人生に勝手に入り込んで、勝手に通り過ぎていきます。事情があって、アケミはコウタの名前を一度も呼ばないけれど、名前をちゃんと知らなくても、人は出会って別れることができるんだなぁと、現代の女性の方が上をいってますね。

コウタとあーちゃんとの切ない恋心を描いている本作を通じて、青春に年齢は関係ないと思いましたが、10代の時に感じる、嬉しさや、苦しさ、ドキドキする感情は、大人になると楽しめなくなるものだと想っていたけど、この作品を見て、大人だからこそ大切にできる青春があるんだなと知りました。

また、和久井と光石がコウタの両親を演じている。映画「3月のライオン」で主人公の幼少期を演じた大西利空が中学生時代のコウタ、小林喜日が伸二、泉澤祐希がシゲとして参加。

「カメラを止めるな!」で話題を呼んだしゅはまはるみがコウタの職場の先輩・涼子役に、「まく子」(3月15日)の主演に抜てきされた山崎光が子ども時代のシゲを体現していて、渡辺道子、ポール・マグサリン、吉村界人も共演していました。

2019年劇場鑑賞作品・・・107  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アメリカン・アニマルズ★★★

2019年07月13日 | アクション映画ーア行

退屈な日常を送るごく普通の大学生4人が、刺激を求めて実行した実在の強盗事件を完全映画化した異色の実録犯罪ドラマ。刺激がほしいというだけの安易な理由と、犯罪映画を参考に練り上げた杜撰な強盗計画の顛末を、すでに刑期を終え出所した本人たちのインタビューを織り交ぜた異色のスタイルで描き出していく。主演は「X-MEN:アポカリプス」のエヴァン・ピーターズと「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」のバリー・キオガン、共演にブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン。監督はドキュメンタリー畑出身で本作が長編劇映画デビューとなるバート・レイトン。

あらすじ:大学生のウォーレンとスペンサーは、中流階級の家庭に生まれたごく普通の大学生。何不自由ない生活を送りながらも、平凡な日常に苛立ちと焦りを募らせていた。そんな時2人が目を付けたのが、大学図書館に所蔵されているジェームズ・オーデュボンの画集『アメリカの鳥類』という、10億円以上の価値がある貴重な本。それを盗み出せれば、人生が特別なものになるに違いないと思い立った彼らは、協力者として秀才のエリックと青年実業家のチャズをリクルートすると、さっそく綿密な計画を練り始めるのだったが…。

<感想>普通の大学生が起こした普通じゃない強盗事件。芸術と犯罪の抜き差しならぬ関係とは、「犯罪は芸術を模倣する」芸術と犯罪がのっぴきならない関係にあることは、間違いあるまい。最初に登場する画家志望の大学生スペンサーは、人生を変える体験をしたいと熱望していた。「絵が上手いだけではダメだ。芸術家には悲劇が必要だ。ゴッホは自殺し、モネは失明した」。そんな彼に、メフィストフェレスの如く現れた大学生のウォーレンが、大学の図書館に保管されている時価12億円の画集を強奪することを持ち掛ける。

ジョン・ジェームズ・オーデュポンの「アメリカの鳥類」初版だが、鍵付きのガラスのショーケースの中に陳列されており、そばには中年の女性司書が張り付いているのだ。

盗み出すのは至難の業だったが、ウォーレンの頭には決行しかなかった。スペンサーは躊躇するも、「画家であり犯罪者」になれるチャンスを簡単に捨てる決心がつかないのだ。結局は、あと2人の大学生を集め、4人で犯罪を決行するのだが、犯罪に関しては全くの素人だし、そもそも裕福な家庭のお坊ちゃんでしかない連中だから、大それたことを成功させるだけの根性がないのだ。

1人が「レザボア・ドッグス」を真似てコードネームを付けようとすると、もう1人が、「あれはタランティーノの駄作だ」と呟くのが面白い。犯罪が進行してもベースは限りなく青春ドジ物語であり、全員7年の刑を食らってジ・エンドということになってしまう。

こんなチャチな犯罪を映画にしたところで、面白くなるわけがないのだが、すべては実話というところに目を付けた監督がいた。ドキュメンタリー映画で頭角を現し、本作が劇映画デビュー作となるバート・レイトンである。

大学の図書館に2人が侵入して、「アメリカの鳥類」の傍にいるデブのおばさんをスタンガンでシビラせて、縛り上げ、その後に鍵で開けるどころかガラスを割って、「アメリカの鳥類」の本を敷物に包み、それから奥の扉から逃走の予定だったのが、間違ってエレベーターで1階に行き、慌てて地下へ行くも、倉庫のようで出口が分からないのだあ。慌てて2人はまた1階へ行き、図書室なのでみんなが本を読んでいるところから2人は逃走する。

しかし、「アメリカの鳥類」の本が大きくて重くて、とても持ち運べないので諦めるのだ。モタモタしているうちに、2人は警備員に捕まってしまう。

その前に、わざわざ、オランダまで行き、図書館から盗んだ貴重な蔵書を売る売人と出会うのだが、どうも怪しい人物なのだ。

実刑を終えた本物の4人を画面に登場させ、犯罪の初めから結末までを証言させる。冒頭のテロップで、「これは実話に基づいたものではなく、実話そのもの」だと、念を押すのだが、さりとてドキュメンタリー映画ではなく、4人に扮した若手俳優が再現ドラマを演じるのだから、会話などは当然のごとくフィクションだろう。しかし、そう思われては映画の意図が揺らいでしまうから、しきりに本人や関係者を登場させて、ドキュメンタリーのリアル感を崩さない。

それにしてもだ、面白くない犯罪を面白くないままに描きながら、映画としては面白いものに仕上げていく。という意図と自信は中々のものである。

まず目を見張るのは、画集に描かれた等身大の鳥たちを犯罪の象徴のように捉えた映像や、FBIが踏み込んで来るシーンの幻想的な色彩と照明など、カラフルなフィルム・ノワールと形容したくなるほどスリリングであります。

「犯罪は芸術を模倣する」とはこのことか、「芸術も犯罪も簡単に模倣されるほど、ヤワなものではない」ことも確かであり、最後にテロップで語られる彼らの現在の生活や今後の目標ににも愕然とさせられる! 

スタイリッシュな映像と音楽で練り上げたクライム&青春映画だが、この映画の何を信じて何を信じないかは、観客それぞれが判断するしかなさそうですね。

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エリカ38★★・5

2019年07月08日 | アクション映画ーア行

2018年9月に他界した樹木希林が生前、プライベートでも親交の深い浅田美代子のためにと、自ら初の企画を手がけた作品。実在の詐欺事件をモチーフに、浅田美代子が45年ぶりとなる主演を務め、実年齢を20歳以上も詐称し、巨額の投資詐欺に手を染めた女性の半生を描き、その複雑な内面に迫っていく。共演は樹木希林のほか、平岳大、木内みどり。監督は「ブルー・バタフライ」「健さん」の日比遊一。

あらすじ:水商売をしながらネットワークビジネスを手がける渡部聡子は、喫茶店で偶然知り合った女性・伊藤の紹介で、国境を超えたビジネスを展開している平澤という男性と出会う。平澤が手がける途上国支援事業の資金集めを手伝うようになった聡子は、そうして集めたお金を自分のために使い始める。やがて佐々木という裕福な男性と知り合い、彼のお金で手に入れた豪邸に母親を呼び寄せる聡子だったが…。

<感想>女の本性ってなんですか?本作自体が、まるで一個の女系犯罪ものであることが凄い。2年前に実際に起きた詐欺事件がベースの、“何が彼女をそうさせたか”が、被害者ふう加害者という中途半端な主人公像が、浅田美代子の及び腰の演技でさらに曖昧になり、ただ人騒がせな女を表面的になぞっているだけ。何だかそんな感じがした。

今までが、「釣りバカ日誌」シリーズの可愛い奥さん、みち子さんのイメージが頭から離れない。そんな彼女が今回演じたのが、女性詐欺師の物語。しかも、実際に起きた女性詐欺事件がモチーフになっている。

主人公の家庭環境や高校時代のエピソードも、生い立ちもフィクションですしね、何故ああいうこと(詐欺)を起こす人間になってしまったのかが分からない。父親のせいで抱えてしまった男性への想いとか、不信感とか。

もちろん父親は悪人ですよ。だからといって聡子が、悪いことをしてしまったことは間違いないないのだけれど。何故にそこに至ったかは、描かれていました。それが、取ってつけたように薄っぺらに映っていた。樹木希林さんの、ごひいきの引き出しからだしたような企画作品。

尽きぬ人間の欲望、それは主人公の聡子や、彼女を巧く取り込み利用する平澤育男に限ったことではない。この映画を観る私たちにも、少なからず欲望はあるだろう。お金、地位、名声、物質的に豊な生活。このどれにも興味を持たない人間を探す方が、実際は難しいことだと思う。

そして、平成の世にしっかりと、私たちの生活に根付いた“SNS”の登場によって、隣の芝生どころか、世界中の芝生が覗けて、さらには自らを世界にアピール出来る時代を迎えた。そうなると、ハマってはならない低次の沼に浸り続けることになってしまう。

欲望をコントロールできず、理性や自分の正義に背いた行動に走り、結果犯罪者になってしまったのが、この映画の主人公聡子なのである。

だが、その後に平澤の裏切りを知り、彼との関係を絶ち、旅先のタイで恋に落ちるのである。純粋な若い男に出逢い、恋に落ち、我を忘れて夢中になってしまう。この男は、エリカのお金のために、利用しているだけかもしれないのに。

聞けば本作中でも一徹な演技者の遺言として、その姿を刻む樹木希林が根本のアイデアをだしたというのだから。男も女も、実はいつ悪人に転じてしまうかなんて分からない。そういう要素を人間って誰でも持っているものだから。私に限って絶対無いと、思っている人間がいつしか陥っているという、風な感じに描かれていた。

樹木希林の期待に充分応えて熱演したであろう、浅田美代子とともに夫の内田裕也的な世界に、あたしたちはこんな風なのよと、返したもの。

せめて浅田美代子をもう少し綺麗に撮って欲しかった。そして、浅田美代子自身も、もう少し38歳を意識した“張りのある演技”をして欲しかったですね。

一つのフレームの中に、二つの情報を映り込ませることで、表裏のメタファーとなるスタンダードサイズを基本とした画面構成。また、暗部でゆらめくローソクの炎や、スローモーションを用いることで、登場人物の内面を映像に反映させているように見えた。

意図された画作りは、浅田美代子が演じるエリカという人物の不透明さを際立たせているようだった。女は誰でもが「エリカ」になり得る。私も、貴方も2018年の9月に、ひらひらと手を振って旅立った役者、樹木希林が企画し、朋友・浅田美代子に贈ったのがこの「エリカ38」であります。

2019年劇場鑑賞作品・・・102  アクション・アドベンチャーランキング

 

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X-MEN ダーク・フェニックス★★★・8

2019年06月25日 | アクション映画ーア行

マーベルコミック原作の大ヒット作「X-MEN」シリーズの7作目で、原作コミックでも重要な作品として名高い「ダーク・フェニックス サーガ」を映画化。大ヒットテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目され、前作「X-MEN:アポカリプス」でジーン役に抜てきされたソフィー・ターナーが、今作でも再び同役を演じる。そのほか、プロフェッサーX役のジェームズ・マカボイ、マグニートー役のマイケル・ファスベンダー、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスら、おなじみの豪華キャストが出演。これまでの「X-MEN」シリーズや「デッドプール」「LOGAN ローガン」などで製作や脚本を務めてきたサイモン・キンバーグがメガホンをとり、長編映画監督デビューを果たした。

あらすじ:X-MENのリーダーであるプロフェッサーXの右腕として、メンバーからの信頼も厚い優等生のジーン・グレイだったが、ある宇宙ミッションでの事故をきっかけに、抑え込まれていたもうひとつの人格「ダーク・フェニックス」が解放されてしまう。ジーン自身にも制御不能なダーク・フェニックスは暴走をはじめ、地上の生命体が全滅しかねない、かつてない危機が訪れる。

<感想>さよなら、M-MEN。また会う日まで。00年公開の1作目を皮切りに、スピンオフ作「ウルヴァリン」「デッドプール」も含めると、計11作品が制作されてきた「X-MEN」の映画シリーズ。人気の面では「アベンジャーズ」に追い抜かれた感が否めないが、マーベル・ヒーロー映画のカラフルな楽しさを最初に教えてくれた点では、その功績は実に大きかったと思う。

でも、20世紀フォックス社がディズニーに買収されたことにより、現行のシリーズは、事実上の“閉店”が確定。本作は、20年続いた「X-MEN」のフィナーレを飾る「最終作」であります。

今作でのヒロインは、謎の熱放射を浴びたジーン・グレイであり、自らの身体に強大なパワーが宿っていることに気づくが、次第にその力を制御できなくなっていき、プロフェッサーXやミスティークなど、お馴染みのX-MENメンバーも勢揃いする本作では、ある種の「異端者」でもあるミュータントたちの悲しみに焦点を当てている点では、シリーズの総決算にふさわしいストーリーとなっている。

ジーン・グレイがダーク・フェニックスとなり、彼女が目覚めたシーンの暴走を止めようとしたミスティークが、ジーン・グレイに吹き飛ばされて、材木の下に落ちて背中から角材を貫き通して死亡する。

あっと言う間の出来事で、誰にもジーンの暴走を止めることは出来なかった。チームの姉御であり、新シリーズを支えた青き英雄のフィナーレ、雨の葬式が悲しみを誘う。

ミスティーク=レイブンを演じるジェニファー・ローレンス、足技中心のアクロバティックな体術、青い鱗が波打つような独特な変身シーン、全身が青塗りの爬虫類めいた外見だからこそ得られる高まりのようなものがあった。変身能力で若さを保ちつつ、プロフェッサーX、ビースト、マグニートーとの間で、揺れ動く恋多きミュータントだった。

暴走したダーク・フェニックスによって滅ぼされた悲劇の星、ドゥバリ帝国には50億もの人々が一瞬で消滅した。謎の女ヴークのジェシカ・チャステインは、その生き残りで、元々はマーガレットなる裕福な家の女性であり、豪邸でパーティを開いているところへ、ドゥバリ帝国の宇宙人に殺害され、そのままアイデンティティを乗っ取られてしまう。

彼女は冷酷非情で、何を考えているのか分からない女で、恐るべき強敵である。後に戦闘用アーマーを身に着けてスターハンマーと名のり、ジーンに復讐しようとする。

チャールズ・エグゼビア=プロフェッサーXを演じるジェームズ・マカボイ。まだまだ人格面で不安定さが見え隠れしており、一貫してミュータントの平和共存を目指すものの、そのために親友エリックと志を違えて宿敵同士となった末、半身の自由を失う。今回の物語は、かつて幼いジーン・グレイに施したある精神操作が露見する。これで、ジーンはおろかレイヴン、ハンク・マッコイら旧友たちからの信頼を失なってしまう。

見どころは、人類になすすべ無し、大地が割れ、列車が宙に舞い、人々は木っ端微塵に。初めての宇宙大作戦から始まり、チームは宇宙で事故に見舞われたスペースシャトル・ディスカバリー号の救難に向かう。大統領からの命令で宇宙へヒトッ飛び、ミスティークの指示のもと、それぞれの能力を活かして連携を見せるX-MENたち。

ここでは時間の中を一人超スピードで駆け巡る、クイックシルバーの活躍が見られ、レスキュー作戦に向かう。

X-MENと決裂したジーンは、今や政府からも追われる身となってしまう。やむなくマグニートーの築いたミュータント・コミュニティを訪ねる。ジーンは招かざる客だったが、追ってきた米軍の部隊から彼女を匿ってやる。しかし、ジーンはそこでもテレキネシスでヘリを投げ飛ばし、平和なミュータント島に大混乱をもたらす。マグニートーはそれを見て、磁力操作で何とかこれを食い止め、憎いはずの人間たちを助けようとするのだ。米軍の部隊を残ったヘリに乗せて逃がしてやる。ここでは、ジーンとマグニートーがヘリを使った綱引きバトルを見せつける。

出て行けとマグニートーに追い出されるジーンは、ニューヨークにいる謎の女ヴークのジェシカ・チャステインのところへ。追いかけるX-MENたちと、レイブンがジーンに殺されたことを知り、怒りに燃えて殺すといい、NYへと向かう。NYのド真ん中で激突する両陣営を尻目に、ジーンは暗黒のパワーをますます増幅させる。

ミュータントたちが捕らえられた、護送列車の中でラストバトルが繰り広げられる。列車の中でそれぞれのミュータント・パワーが全開し、地に足がついた肉弾戦が展開。次々と襲い掛かるエイリアンの群れを、片づけて行くX-MENたちがかっこいい。

ナイトクローラーのテレポーテーション能力も、使いようには殺人スキルになることも分るし、サイクロップスも、これまでにない勢いでオプティック・ブラストを出しっぱなしだ。

そして、これまでは重金属を持ち上げては投げるという戦法だったが、緩急の利いた磁力操作のバラエティを見せてくれるのだ。

潜在能力はマーベルヒーロー中でも有数だったジーン・グレイが、宇宙空間での事故によって悪の道に“覚醒”したことで最強無敵のパワーを解放させてしまい、かつてない壮絶バトルになってしまう。観客は度肝を抜かれることになるだろう。その果てに到達する、長く語り継がれるであろう万感のラストご覧あれ。

2019年劇場鑑賞作品・・・94  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アラジン★★★★・5

2019年06月10日 | アクション映画ーア行

1992年の名作ディズニー・アニメを実写化したファンタジー・アドベンチャー大作。砂漠の王国を舞台に、貧しくも清らかな心を持つ青年と自由に憧れる王女の身分違いの恋の行方を、アニメ版でアカデミー賞歌曲賞に輝いた『ホール・ニュー・ワールド』をはじめとする名曲の数々とともに描き出す。出演は主人公アラジン役にメナ・マスード、王女ジャスミンにナオミ・スコット、そして“ランプの魔人”ジーニーにウィル・スミス。監督は「シャーロック・ホームズ」「コードネーム U.N.C.L.E.」のガイ・リッチー。

あらすじ:砂漠の王国アグラバーで相棒の猿アブーと自由気ままな毎日を送る青年アラジン。生活は貧しかったが、その心は“ダイヤモンドの原石”のように清らかだった。そんなアラジンはある日、市場で泥棒の疑いを掛けられていた若い女性を助ける。実は彼女は王宮をこっそり抜け出した王女ジャスミンだった。互いに惹かれ合う2人だったが、王位を狙う国務大臣ジャファーの魔の手がアラジンに迫る。やがてアラジンはジャファーから“魔法の洞窟”からランプを持ち出すよう命じられる。それは、手に入れた者に強大な力を与えてくれるという魔法のランプだったのだが…。

<感想>その願いは、心をつなぐ。そして――世界は輝きはじめる。1992年制作の27年前のディズニー・アニメーションを、キレのあるダイナミックな映像表現で知られる技巧派ガイ・リッチー監督が、冒頭から怒涛の勢いで繰り広げられるミュージカルシーンの数々、そしてアクションもロマンスもフルスロットルで魅せる実写版が最高です。

アラジン役には新星メナ・マスタードが活躍、ヒロインの王女ジャスミン役に抜てきされたのは、アクション大作「パワーレンジャー」(17)でキンバリー/ピンク・レンジャー役を演じた、シンガーソングライターでもあるナオミ・スコット。今度リプートされる「チャーリーズ・エンジェル」では、エンジェルの一人を演じるから今後の注目株ですよね。

アグラバー国の国務大臣ジャファーには、「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」で注目度上昇中のオランダ人俳優マーワン・ケンザリが演じていて、人の心を操ることが出来る杖を持ち、いつかは自らが国王となり、他国に攻め入ろうと企んでいる。

そして千年もの間、魔法のランプに閉じ込められていた魔人のジーニーには、ウィル・スミスが演じて、まさにハマリ役と言った演技で、主人公のアラジンよりも、見どころはやはりウィル・スミスの、ジーニーが繰り出す魔法の数々と歌に踊りであります。

アラジンとジーニーの初対面シーンで披露されるご機嫌なミュージカルナンバーに、グラミー賞受賞ラッパーでもあるスミスの個性をリミックスさせ、ヒップホップ調のアレンジが効いたアッパーな神曲として生まれ変わっていた。

始めはウィル・スミス自身が演じていると思っていたのに、全身が青い状態のジーニーはすべてCGであり、本当に驚きました。ウィル・スミスは、そのおかげで自由に、臨機応変にアドリブを試すこともできたと言っている。

もちろん、人間の姿に変身したジーニーはウィル・スミス本人が演じ、主人公アラジンとの胸が高鳴るアドベンチャー、思わず体が動き出すミュージカルシーンを披露。俳優だと思っている人たちには、ラッパーとしてデビューした経歴をもち、歌に演技に大活躍。まさにキャリア30年の集大成といえる役どころ。

アラジンが悪徳の国務大臣のジャファーから、砂のライオンの口の形をした“魔法の洞窟”からランプを持ち出すよう命じられる。そこでランプを見つけ、魔法の絨毯も見つける。

一緒にお供をする猿のアブーは、アラジンよりも手が速いスリの名人で、あっという間にランプを手にして、崩れ始める“魔法の洞窟”から魔法の絨毯で逃げ出すシーンもスリル満点でした。

それに冒頭では、お城を抜け出して街で、万引きと間違われる王女ジャスミンを助け出す出会いも、アラジンが迫りくる追手をかわす場面では、パラクールによる高速アクションの数々、もうスリル満点ですから。

彼女にもう一度会いたいと、お城へ行くのに、魔法のランプをコスリ付けて、魔人のジーニーが出て来るところとか、ジーニーにお城へ行く為に、王子様に変身させてもらうところ。それが、ここでもう2つの願いを使ってしまうというのだ。

しかし、王女のジャスミンと結婚するには、王子様でなければ結婚は出来ないという国の法律。そのことも、王女ジャスミンが父王に、自分が王様になりたいと願う、アニメ版とは違い自分で王国を治めたいと考える、とても現代的なプリンセス像なんですね。

魔法の絨毯で空を飛び回りながら、アラジンとジャスミン王女が「ホール・ニュー・ワールド」をデュエットする、ロマンチックなシーン。実写映画ならではのダイナミックな映像美。

魔人ジーニーが初登場する場面で歌い踊る「フレンド・ライク・ミー」から、アリ王子に変身したアラジンと、そのお付きの人たちによる盛大なるパレードなどは、目を見張るほどの美しさと煌びやかさでした。これはアニメ版とはまた違って良かったです。

それに、魔人ジーニーが恋をする王女ジャスミンの侍女ダリアに扮した、ナシム・ペドラドもジャスミン王女のよき理解者であり、自分も魔人ジーニーに恋をしていて、冒頭での人間になったジーニーと一緒に子供2人を連れて、船旅をするシーンがあります。

アラジンが国務大臣ジャファーに命じられて、新人ながら魔法のランプが眠る洞窟でのアクションや、怪物とのスピーディなチェイス、城へアリ王子に変身したのがバレてしまい、北極のようなところへ飛ばされて、氷山でのスペクタクルなど、目も耳も、スクリーンに釘付け状態。

その他にも、CGによる猿のアブーやオウムのイアーゴに、王女の愛犬じゃなくトラのラジャーといった動物のキャラクターも表情豊かなCGで動かしているのだ。

「アラジン」のアニメ版で声の出演をした、故ロビン・ウィリアムズのイメージがあるけれど、ウィル・スミスの魔人ジーニーが人間の姿になった場面でも、エモーショナルな演技で見せてくれて見事であり、歌やダンスなどでの身のこなしはさすがエンターテイナーだと感心しました。それにしても、ディズニーはアニメの実写版が多いですよね。もうすぐ「ライオン・キング」に、これからもたくさんの実写版が公開されるので楽しみです。

2019年劇場鑑賞作品・・・85  アクション・アドベンチャーランキング

 

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愛がなんだ ★★・5

2019年05月27日 | アクション映画ーア行

直木賞作家・角田光代の同名ベストセラーを「サッドティー」「パンとバスと2度目のハツコイ」の今泉力哉監督が映画化。どんなに邪険に扱われてもなお好きでいることをやめられないヒロインの滑稽ながらも切実で切ない一途な恋の行方と、そんな彼女を取り巻く人物たちのままならない恋愛模様を描いた群像ドラマ。主演は「おじいちゃん、死んじゃったって。」の岸井ゆきのと「チワワちゃん」の成田凌。共演に深川麻衣、若葉竜也、江口のりこ。

あらすじ:28歳のOLテルコは一目惚れした男マモルを愛しすぎるあまり、全てがマモル最優先の日常を送っていた。そのせいで仕事にも支障をきたし、会社もクビ寸前。それほど尽くしているのに、実はマモルにとってテルコは恋人ではなかった。そこのことを十分自覚しているテルコだったが、それでもマモルが大好きで、幸せだと思っていた。親友の葉子は、そんな都合のいい女で良しとするテルコの恋愛観に呆れるばかりだったが…。

<感想>全部が好き。でもなんでだろう、私は彼の恋人じゃない。一途すぎるアラサー女子の一方通行の恋を、彼女と関わる4人の男女の想いを絡めて描いている恋愛ドラマでした。

人を好きになる、ということはそれは素敵な体験ではあるが、自分をどんどん見失い、底なし沼にハマってしまう場合もある。恋愛映画の形を借りて、これまで再三「人が人を好きになる」甘酸っぱさと面倒くささの“シーソーゲーム”を考察してきた今泉力哉監督。

新作では、一目惚れしてしまったマモルに常軌を逸した愛情を捧げるテルコの暴走ぶりを描き出し、男女問わず観る者の感情を激しく揺さぶるのだ。

完全なる一方通行の恋、片思いを極めてゆくタフなヒロイン、テルコに岸井ゆきのが演じていて、「こういう女の人っているよね」なんて思ってしまった。デートもセックスもするが、付き合っているわけではないと言うマモル。もし妊娠でもしたらどういうふうに打ち明けるのだろう。きっと「俺の子供じゃない」ときっぱりと言われそうだ。酷い言葉で、「ウザイ、君とは恋人じゃないから」なんてキツイ言葉を浴びせられても、テルコは一途に電話を待っているのだ。

自分はテルコとはまったく違うタイプなので、相手のマモルが自分本位な行動でテルコを翻弄する男を演じた成田凌くん、自分のことを好きになっている女を利用するというか、都合のいい時だけ寝て、ご飯食べて、後は好きになってしまう女が出来るとポイと簡単に捨ててしまう男。始めっからこういう男とは付き合いませんし、好きにもなりませんね。

テルコもそれで諦めればいいのに、電話がくるとすぐに飛んでいくし、いいようにあしらわれているということに気が付いていないのだ。まじ可哀そうな女で、テルコみたいな女性でも好きになってくれる新しい男が現れるハズなのに、諦めきれずに一途に待っているなんてね。

すみれというライバルにムカついたときに、テルコがラップ調に唄うシーンが大好きです。負けるなテルコ、きっと自分に見合った男がきっと現れるはずだから。すみれも大人の女で、テルコの心情を知ってか知らずか、マモルがしつこく付き合おうとすると、やんわりと態度をひるがえす魅力的な大人の女。だからこそ、マモルもテルコも振り回されてしまうのが説得力ありですよね。

「愛なんて」明確な答えなんて出せないものですからね。

友人の自由奔放な葉子と、邪険な扱いをされながらも彼女に好意を寄せるカメラマン志望のナカハラくん。想いを寄せている葉子の言いなりになっている心の優しい青年であり、葉子の家に居候をしている。でも、自分の気持ちを葉子に伝えようとはしないのだが、写真展で葉子の素顔を撮った自然なポーズが素敵でした。それを見て、葉子の心が搔き乱されてゆく。ナカハラくんも、だからテルコの一途な恋の気持ちも充分に理解しているのだ。

それにマモルが恋に落ちるキーパーソン、年上の女性すみれを演じた江口のりこは、大人の女って感じで中々良かった。こういう人いる、って思わせるリアルな人物を出演陣が的確に体現しているのもいい。

片思いとは、誰でもが通る恋愛の感情を、濃密で瑞々しく、リアルで生々しくもありそれで痛々しい。“愛されてはいない“と、頭では分かっているのに感情が追い付かない一方通行の苦しさ。そんな人間のどうしようもなさを、突きつけられる恋愛映画です。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・79  アクション・アドベンチャーランキング

 

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居眠り磐音★★★★

2019年05月21日 | アクション映画ーア行

佐伯泰英の人気時代小説シリーズを「孤狼の血」「娼年」の松坂桃李主演で映画化。藩の抗争に巻き込まれ、全てを失い、江戸の長屋で浪人として生きる心優しき剣士が、江戸下町の人々と心を通わせていく人情模様と、大切な人を守るために再び剣を手に立ち上がる姿を描く。共演は木村文乃、芳根京子、谷原章介、中村梅雀、柄本明。監督は「超高速!参勤交代」「空飛ぶタイヤ」の本木克英。

あらすじ:故郷・豊後関前藩で将来を嘱望される藩士だった坂崎磐音は、ある悲劇的事件によって2人の幼なじみを失い、祝言を間近に控えた許嫁の奈緒とも別れざるをえなくなる。脱藩し、心に深い傷を抱えたまま、江戸で長屋暮らしを始めた磐音。長屋の大家・金兵衛の紹介で、両替屋・今津屋の用心棒として働くことに。その穏やかで誠実な人柄と、確かな剣の腕前で、次第に長屋の人々から信頼され、いつしか金兵衛の娘おこんからも好意を持たれるようになる。そんな中、田沼意次が発行した新貨幣を巡る陰謀に巻き込まれてしまう磐音だったが…。

<感想>この男、切ないほどに、強く、優しい。磐音は人情に厚く穏やかな性格で、人を包みこむように優しくほほ笑む普段の姿。しかし、悪と対峙するとその様相は一変し、別人のように鋭い眼差しで剣を構える鬼気迫る姿を見せており、本作の見どころである本格的な殺陣にも期待が高まるビジュアルとなっていた。欲を言えばだが、もう少し殺陣の練習をすれば、岡田准一のような素晴らしい武士の役も掴めるかも。

不条理な理由で故郷の友人2人を亡くし、挙句に許嫁の奈緒の兄である琴平を斬って死なせてしまった辛い過去がある。夫婦になる誓いを結んだのに、お家断絶のために江戸の吉原へ奉公に出る奈緒。

そして彼は、脱藩することを決意。すべてを失い、江戸へ出た磐音も長屋暮らしで、うなぎ屋で調理しとして下働きをし、また両替屋の用心棒を務める磐音が、刺客の毘沙門の統五郎らが難癖をつけに現れる。

今津屋を守るため刺客たちと戦い、そこで負った背中の傷をおこん(木村)が手当てするシーン。

磐音はひた隠しにしていた自身の“悲しい過去”について、ポツポツと打ち明け始める。彼女を心から信頼しているからだ。壮絶な出来事、そして故郷に残してきた許嫁・奈緒(芳根京子)の存在……。おこんは「それではあまりに奈緒様がおかわいそうです」と涙を流し、彼を思うからこそ、自身の気持ちを抑え陰ながら支えることを決意する。

そんな折、今津屋が南鐐二朱銀をめぐる騒動に巻き込まれ、磐音は用心棒として今津屋を守るために立ち向かうー。

奥田が演じた豊後関前藩・国家老の宍戸文六は、麻薬で捕まったピエール瀧の代役となって、琴平(柄本佑)が起こした事件を受け当人を討ち取るよう藩に命じる役どころ。劇中カットでは、磐音(松坂)の父・坂崎正睦(石丸)、藩の目付頭・東源之丞(和田聰宏)らに囲まれ、琴平を討ち取るように命じる場面を捉えた鋭い眼光が強烈なインパクトを放っている。そして、老中田沼には西村まさ彦が扮していた。

後半の新貨幣をめぐる陰謀は、何となく解るものの、少し急ぎ足のような展開で、老中・田沼意次の改革を進める今津屋と、それに反対する阿波屋の対立という構図であり、柄本明の阿波屋が雇った刺客が今津屋を狙い、それに磐音が立ち向かっていくという展開。

しかしながら、磐音の素晴らしい知恵が一枚上手だったということで、最後はあっけなく両替商「阿波屋」の主人・有楽斎の陰謀がすべてバレてしまい、磐音による裁きによって、有楽斎の凄まじい最後と迫真の演技でさすがの柄本明さん、お見事でした。

また、杉野は琴平の義弟・河出慎之輔、佐々木は磐音の剣の師匠・佐々木玲圓、陣内は遊郭「三浦屋」主人・庄右衛門、谷原は両替商「今津屋」の主人・吉右衛門、梅雀は磐音が住む長屋の大家・金兵衛に扮している。ほか石丸謙二郎、財前直見、西村まさ彦、橋本じゅん、早乙女太一、中村ゆり、波岡一喜、川村ゆきえらの出演。

主題歌が、MISIAの「LOVED」であり「あなたを好きになれて良かった」「それぞれ今を生きてゆくよ」という歌詞が、磐音と奈緒による互いを思いながらも別れを決断した切ない恋模様とリンクしているバラード。

吉原で花魁になり、練り歩く菜緒の晴れ姿が後ろを向く時に、群衆の中に磐音がいるのを知ってか知らずか、エンドロールでなく、このシーンで「LOVED」が流れてくれれば良かったのに。吉原で生きる彼女の運命に涙が溢れてならない。それと、笑顔の裏に悲しい過去を隠す浪人・磐音の姿が、切なくも凛々しく包み込んでいた。

 

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アガサ・クリスティー ねじれた家★★★

2019年05月07日 | アクション映画ーア行

アガサ・クリスティーが自作の中でもっとも好きな作品の一つと語る同名ミステリーを「サラの鍵」「ダーク・プレイス」のジル・パケ=ブランネール監督が映画化。出演は「天才作家の妻 -40年目の真実-」のグレン・クローズの他、マックス・アイアンズ、テレンス・スタンプ、ジリアン・アンダーソン、クリスティナ・ヘンドリックス。

あらすじ:一代で巨万の富を築いた大富豪レオニデスが毒殺された。私立探偵のチャールズは、かつて恋人だったレオニデスの孫娘ソフィアから依頼を受け、事件解決にあたることに。大邸宅にやって来たチャールズは、さっそく家族たちへの聞き込みを開始する。しかしレオニデスの前妻の姉イーディスや若い後妻ブレンダをはじめ、誰もが一筋縄ではいかない個性の持ち主ばかり。しかもその全員に殺害の動機があるという状況の中、捜査が遅々として進まないチャールズだったが…。

<感想>華麗なる一族の大富豪が毒殺された。残されたのは“心のねじれた”家族と巨額の遺産。嘘をついているのは、誰?・・・原作は未読ですが、犯人をあれこれ想像しながら観ると、終盤まで飽きさせない展開で楽しめました。

アガサ・クリスティーの作品というと、名探偵エルキュール・ポアロやミス・マープルが登場するのが定番ですが、ここには2人は登場しません。

このミステリーで、事件を解決する若きチャールズ探偵。演じているのが「天才作家の妻/40年目の真実」で、作家の息子を演じてグレン・クローズとは、立て続けの共演となるマックス・アイアンズ。あの有名な父が俳優のジェレミー・アイアンズの息子です。このマックス・アイアンズの演じる探偵が情けなくてよかった。孫娘ソフィア(ステファニー・マティーニ)が、かつての恋人だった私立探偵チャールズ(マックス・アイアンズ)を訪ねて犯人捜しを依頼する、というのが始まり。

屋敷で大富豪の毒殺事件があり、容疑者はそこに暮らす一族郎党という、王道の“館もの”です。イケメンの私立探偵マックスが、一人一人の部屋を訪ね歩き、その動機を掘り下げていくわけ。

ハードボイルドでも、変人でも、ヒーローでもなく、単身アウェーに乗り込んで、老人から子供まであらゆる容疑者に翻弄されまくり、探偵という職業が本来持つ孤独の属性が、ロマンではなしに浮彫になるのだ。

レオニデスの大きな屋敷に住むのは、レオニデスの前妻の姉(グレン・クローズ)、と愛人がいるらしい若い後妻。破産寸前で女優の妻の映画を作る資金が欲しいレオニデスの長男。無能で事業に失敗した次男夫婦。長男の上の娘がソフィアで、息子は姉ソフィアが祖父を殺したと思っている。生意気少女の次女は大人たちの話を聞いて何でもノートに書きとめている・・・という中から見つかる意外な犯人像が浮かぶ。

一族は、巨額の遺産を巡って、疑惑と嫉妬、敵意と憎しみをぶつけ合っていた。そして、アリスタイドの遺言書が実は無効であることが発覚した。このことをきっかけに、チャールズには真相が見え始める。そう確信したチャールズだったが、彼の推理を覆す次の殺人が起こってしまうのであった。

マックスと、グレン・クローズは二度目の共演だが、やっぱりグレン・クローズは耐え忍ぶ妻役よりも、アクの強い方がよほど生き生きとしているのが、お似合いですね。

ここでもう少し推理やトリックを披露したいところですが、後ほどに。第二の殺人が起きて、予想外の犯人と、その動機が明らかになるあたりは、それをアクション場面に仕立て上げていて、演出にスピード感があり、謎が解ける痛快さが良かった。

大勢の登場人物のキャラが濃いので、彼らの個性が醸し出す不穏さがストーリーを支配してゆく。加えて、舞台となる富豪の邸宅の絵画や調度品も一代で富を築いた当主の背景を反映して、クリスティーの物語に特徴的な、上品な贅沢さとは趣を変えていた。

イギリスの古い邸宅と庭園のロケーションをドラマに生かした画つくりは、映画ならではの醍醐味ですね。犯人は中盤で予想できてしまうのだが、想定外の幕切れに驚愕します。

2019年劇場鑑賞作品・・・71  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アベンジャーズ/エンドゲーム★★★★★+★

2019年04月30日 | アクション映画ーア行

アイアンマンやキャプテン・アメリカをはじめとするマーベル・コミックが誇るスーパー・ヒーローたちによって結成された“アベンジャーズ”の活躍を描く空前のメガヒット・アクション超大作の第4弾にして完結編。出演はロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、ジョシュ・ブローリンらの続投組に加え、新たにキャプテン・マーベル役のブリー・ラーソンが初参戦。監督は引き続きアンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ。

あらすじ:6つのインフィニティ・ストーン全てを手に入れた最強最悪の敵サノスによってアベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命の半分が消し去られてしまう中、生き残ったヒーローたちによる命を懸けた史上最大の逆転への戦いを壮大なスケールで描き出す。

<感想>前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」ここでは、サノスが思いを遂げ、銀河の生命が一瞬にして半分になってしまった世界。MCU初のヴィランが勝つ映画でした。あれから1年、ついに「アベンジャーズ/エンドゲーム」の衝撃の幕が開く。もちろんヒーローたちも例外ではなく、アベンジャーズやガーディアンズ、オブ・ギャラクシーのメンバーも多くの仲間が消えてしまった。生き残ったヒーローたちはこの危機的状況にどう立ち向かうのか?・・・。

そして今回はヒーローたちがアベンジ(逆襲)するわけですが、サノスを倒すことが目的ではなく世界を元に戻すことが重要な戦いになるでしょうね。そうなると、過去に戻って歴史を変えるか、サノスからインフィニティ・ガントレットを奪ってもう一度、指パッチンかなんかして、世界を改変させるしか方法がないわけです。

しかし監督のルッソ兄弟はこっちの読みをはるかに超えてくるでしょうから、どう予想を裏切ってくれるかも楽しみです。

ここで気になるのがアベンジャ-ズの初期のメンバー6人が生き残っていること。これは偶然なのか?・・・6人のオリジナル・アベンジャーズに6つのインフィニティ・ストーン。各ストーンが一人一人を導く、という驚愕の展開もあるかもです。

前作の序盤ではサノスに殺されるという、まさかの展開でファンの涙を誘ったロキですが、彼は人をも欺く神、もしかすると死すら偽造かも。また敵に渡したストーンも本物とは限らないのでは。原作ではインフィニティ・ガントレットを巡る戦いで、ネビュラが重要な役割を果たすのです。

 

本作ではネビゥラがどうなるのかに注目したい。それでも「マイティ・ソー/バトルロイヤル」で大ファンになった女戦士ヴァルキリーと、「ドクター・ストレンジ」の兄弟子ウォンが、サノスによる死滅を逃れて生存していたことが判明。地味だが戦闘力は高い2人が、意外な活躍を見せるかもです。

そして、「キャプテン・マーベル」の役割とは、絶大な宇宙のパワーをその身に宿し、フューリーが最後の切り札としてとっていたキャプテン・マーベル。彼女なら単身でサノスを倒せる可能性は大だ。しかし戦いの目的がサノスを殺すことではなく、世界を取り戻すものだとしたら、彼女の最強のパワーはどう生かされるのか?

映画ではスーパーマンもびっくりの圧倒的な強さだったので、「彼女さえいてくれれば、サノスなんてへっちゃら」だと言いたくもなるが、それだと3時間もの上映は必要ないだろうに。

だが、「インフィニティ・ウォー」には登場せず、「アントマン&ワスプ」で超ミクロ世界=量子世界にいたため、消滅を免れたアントマン。ミシェール・ファイファーが演じるジャネットが、“量子世界の中にはタイム・ボルテックス(時間の渦)がある”と警告しており、その名前からしてここを使えばタイム・トラベルが出来るのでは?このタイム・ボルテックスを通って時間を遡り、サノスがインフィニティ・ストーンを手に入れる前の時代に行けば、彼の野望を阻止できるのではないかと。

そして、生き残ったヒーローたちが、揃いの白いスーツを着て、何処かへ向かおうとしているシーンでは、トニー・スタークの姿があることから、彼が宇宙漂流から生還しことが分かるのだが、なんとキャプテン・マーベルが宇宙の果てまで行き連れて帰ったというのだ。

彼らが来ている白いスーツが「アントマン&ワスプ」のゴーストのスーツに似ていることから、ヒーローたちは元気を取り戻したトニー・スタークが、制作したタイム・ボルテックスの渦巻く量子世界に向かい、タイムタラベルを決行することになる。ここで、アントマンが試しに何度もタイムタラベルを繰り返すのが面白かった。

これは日本に向けてのサービスと思われるシーンが、ホークアイことバートンが黒いフードを被り、刀を使って真田広之のヤクザと戦っているのが見れる。でも、家族を殺されるという設定もあったので、ブラック・ウィドウが犠牲になることで、ホークアイが家族と再会できることになる。

そして、キャプテン・アメリカが「アベンジャーズ」1作目のコスチュームで、NYの戦いで街を襲ったエイリアン部族チタウリとのアクションが再現される。時空を超えて「エンドゲーム」とリンクをするNYの戦い。そもそも生き残ったアベンジャーズの主な顔ぶれが、“NYの戦い”のメンバーだったことを考えるとNYの戦いが大きな意味を持つのだろう。

かつてのヒーロー映画では、世界の危機を救うのはいつだってイケメンの白人ヒーローだった。でもMCUに登場するヒーローたちは、いろんな意味においてもずっと個性的なのだ。

様々な境遇を持つキャラクターたちが、時にはお互いの意見をぶつけ合いながら、相手を尊ぶことを学んで成長していく。白人も黒人も、大きな人も、小さな人も、アライグマも、木の枝も、見た目の違いは一切関係ないのだ。そんな「多様性」の精神こそは、MCUの物語世界のもっとも核となるメッセージであります。これからのMCUの作品に期待したい。

2019年劇場鑑賞作品・・・68  アクション・アドベンチャーランキング

 

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あなたはまだ帰ってこない ★★・5

2019年04月28日 | アクション映画ーア行

マルグリット・デュラスの自伝的小説『苦悩』を「海の上のピアニスト」「ザ・ダンサー」のメラニー・ティエリー主演で映画化した戦時下ドラマ。ナチス占領下のパリを舞台に、ゲシュタポに連行された夫の奪還のために、いつしか身も心もぼろぼろになっていくマルグリットの苦悩と愛の葛藤を描く。共演はブノワ・マジメル、バンジャマン・ビオレ。監督は日本での劇場公開は本作が初となるエマニュエル・フィンケル。

あらすじ:1944年6月、ナチス占領下のパリ。作家になったばかりの30歳のマルグリット・デュラスは、夫のロベールとともにレジスタンスの一員として活動していた。ところがある日、ロベールがゲシュタポに捕まり、どこかへ連れ去られてしまう。夫の情報を得ようと、パリのナチス本部に日参するマルグリット。やがてそんな彼女にゲシュタポの手先となって働く刑事ラビエが近づいてくる。ロベールの情報をエサに彼女との逢瀬を迫るラビエ。マルグリットの愛人でレジスタンスの同志ディオニスは、ラビエを警戒しながらも情報を引き出すチャンスととらえ、2人の逢瀬を許すのだったが…。

<感想>わたしは待つ。それがわたしの愛の姿――。第二次世界大戦時、ナチス占領下ノパリを舞台に、ゲシュタボに逮捕された夫の帰還を待ち続ける女の愛と苦悩を描く。主演のマルグリット役を演じたのは「ザ・ダンサー」のメラニー・ティエリー。マルグリット・デュラスは映画「愛人/ラマン」の原作者としても知られているが、彼女には先鋭的な映像作家という、もう一つの顔があった。

監督としては「インディア・ソング」など十数本の作品を発表している。原作者のマルグリットの映画化すると、どうしてもこの女性のカラーに染まってしまう。占領下のレジスタンスをしていた女が、逮捕された夫の情報を聞き出すため、ゲシュタボの手先の男と逢瀬を重ねる物語となっているためか、何とも艶めかしいデュラス的になっていた。

何しろ、主人公のマルグリットをフレームの中に収めつつ、彼女の意識の流れのようなモノローグを重ねる映像と音声の構図もデュラス的なのだ。

ゲシュタボの手先ラビエにブノワ・マジメルが扮している。いつの間にかすっかりと貫禄がつき、時の流れを感じると共に、別人になったかのような容貌の変化をみせている。それでも、役柄を魅力的に見せる俳優としてはいい。

男たちの目線が女として美しいマルグリットに群がるのだが、貞操を守りつつも、一人だけレジスタンスの同志ディオニスとは、密通を重ねて寝ているのだ。

やがて戦争も終結し、パリは解放され、戦時捕虜の帰還が始まるのだが、マルグリットの夫、ロベールは帰ってこないのだ。情報によると、ロベールは赤痢を患い死と戦っているというのだ。無事に帰って来るのを心待ちにするマルグリットの元に、フラフラになりながら、友人たちと一緒に戻って来た。

その後、夫のロベールは病気で死ぬかと思っていたが、その後の療養がよかったのか、元気になり海へみんなと行くようになるのだ。だが、かくも長き不在により、夫を愛していた苦悩に、マルグリットの夫を愛せなくなってしまっている苦悩。陰影をもって絡み合わせた演出が優雅でした。

 

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僕たちのラストステージ★★★・8

2019年04月27日 | アクション映画ーア行

「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガンと「シカゴ」のジョン・C・ライリーが、伝説のお笑いコンビ“ローレル&ハーディ”の晩年を演じる伝記ドラマ。すでに過去の人となっていた2人が、英国で新人芸人並みの過酷なホール巡業を行っていた史実を基に、衝突を繰り返しながらも強い絆で結ばれた2人の友情の軌跡をユーモラスかつ哀愁あふれる筆致で綴る。監督は「フィルス」のジョン・S・ベアード。

あらすじ:1953年。スタン・ローレルとオリバー・ハーディは、“ローレル&ハーディ”としてハリウッドで一時代を築いた伝説のお笑いコンビ。しかしすっかり落ち目となり、2人は再起を期してイギリスでホール・ツアーを敢行することに。ところが用意されたホテルは2流で、小さなホールにもかかわらず客席はガラガラ。かつての栄光には程遠い試練が続く。それでもめげずにイギリス中を巡っていくスタンとオリバー。次第に観客も増え始め、ロンドンでの公演が決まったのを機に、アメリカに残してきたお互いの妻を呼び寄せる。少しずつ明るい兆しが見え始めたかに思われたローレル&ハーディだったが…。

<感想>アメリカのやせのスタン・ローレルと、でぶのオリヴァー・ハーディのコメディアンの2人組は、1927年から1950年まで、多くの長短編のサイレント映画に出演し、日本では極楽コンビとして親しまれ、トーキーの時代に入ってもなお歌って踊り、1950年代まで人気を保ったという。

ですが、失礼ながらこのコンビの名前は知らなかった。チャップリンの時代なんですね、彼と一緒に仕事をしたことがあると言うから、凄い人たちなんだと思いましたね。

お笑いコメディの王道というべきもので、日本ではドリフのコントや、コント55号の欽ちゃんたち、その後のお笑いコンビたちが、彼らのネタを繰り返し真似をして笑わせていたようにも思えました。とにかく、シンプルでありコメディの基本に乗っ取り、殆どが思った通りの流れにしかならない優等生コンビの2人でした。

客席がまばらな小さな劇場での舞台でも、家の2つのドアから交互に2人が、出たり入ったりするだけで、そのタイミングのずれでとめどなく笑わせる2人の定番のギャグの楽しさに笑い、感動する。あたかも一世紀前の時代にタイムスリップしたみたいな気分にとらわれた。

そして、痩せのローレルが舞台のネタの脚本をすべて書き、興行スタッフたちとの交渉などもすべて行っていることが分かる。一方のデブのハーディは、競馬が好きで、ロンドンの地下鉄ストランド駅から出て来ると、スポーツ新聞を買って目を通し、自分の買った馬券が外れたのを知りののしるといった具合。

ローレル&ハーディにそっくりの雰囲気を持ったスティーヴ・クーガンとジョン・C/ライリーがハリウッドのスタジオに登場し、6分間1カットで喜劇的な芝居をするオープニングには感動しました。

舞台はイギリスに移り、すでに過去の人となりかけた2人の感情を追っていくので、興味深く、新鮮でもあった。おまけに駅が舞台のコントも登場するし、そこで旅を絡められるのではないかという想いが頭をよぎる。

ですが、それは主演2人が織りなす絶妙なコンビぶりを眺めているうちに、途中からホテルの中へと、フロントでベルを取り合うシーンには、本当にニヤリとさせられた。

それから妻たちを、ニューヨークからロンドンに呼んでの、アイルランド公演の大成功の模様が描かれ観ていてほっとした。その妻たちを、タイプの違うシャーリー・ヘンダーソンとニナ・アリアンダが、闘志むき出しに珍コンビを競演するのも良かった。

しかしながら、デブのハーディが心臓発作を起こし、舞台に出るのは無理だということになるも、ローレルは他の誰ともコンビを組みたくないと言い張る。だから、ハーディをアメリカへ帰して公演は中止ということになるのだが。

病院でのハーディは、今までの息の合った相棒ローレルの気持ちを良く知っているので、最後の力を振り絞りながら、最後の舞台に立つのだった。

このシーンは観ていて、何時倒れるのかとハラハラしていたが、最後までやり遂げるハーディのプロ根性に涙せずにはいられない。

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イット・カムズ・アット・ナイト★★

2019年03月27日 | アクション映画ーア行

長編デビュー作「Krisha」が高い評価を受けた新鋭トレイ・エドワード・シュルツ監督による注目のデビュー2作目となる衝撃の心理スリラー。謎の感染症の脅威から逃れるため、人里離れた場所で隔離生活を送る2組の家族の運命を緊張感溢れる筆致で描き出す。主演は製作総指揮も務める「ザ・ギフト」「ラビング 愛という名前のふたり」のジョエル・エドガートン。共演にクリストファー・アボット、カーメン・イジョゴ、ライリー・キーオ。

あらすじ:とある森の奥深くでは、ポールと妻のサラ、17歳の息子トラヴィスが未知の感染症に怯えながら暮らしていた。もはや人類は絶滅の寸前と思われ、ポールにとっては、そうした世界の脅威から家族を守ることだけが全てだった。やがて、そんな彼らのもとに、もう一組の家族が合流する。最初は警戒するポールだったが、ウィルと名乗る男の頼みを聞き入れ、“夜は入り口の赤いドアを常にロックする”というルールを必ず守ることを条件に、彼とその妻キム、幼子のアンドリューを受け入れる。こうして始まった2家族の共同生活は、互いに徐々に打ち解けていき、いつしか軌道に乗り始めたかに思われたが…。

<感想>森の中の一軒家でひっそりと暮らす一家を襲う正体不明の“それ”の恐怖を描いているサスペンス映画。“それ”とは謎のウィルス感染のことであり、荒廃した地球全体に感染者が蔓延しており、つまりゾンビ映画とは違って、人間がその感染により全滅してしまうという恐ろしい脅威でもあります。

ホラー映画とも思われそうですが、どちらかというとサバイバル・スリラーの雰囲気が漂っている。設定からすると誰もが連想するであろう「クワイエット・プレイス」の作品の世界が、どれほど入念に作り込まれていたか、本作を観るとよく解ります。

あちらと比べると舞台装置も設定も、ものすごく抽象的にさえ見えてくるのだが、もちろんそれは欠点ではない。

しかし、この作品で描かれる真のウィルスは主人公一家の屋敷に入り込んで来る家族のことでもある。彼らの存在が不安や、疑心暗鬼、恐怖を生み出しており、取り返しのつかない悲劇と破滅を招き寄せるのだから。

特筆すべきは、監督が光を丁寧に扱いつつ、人物の心理を粘り強く描写しようとしていることだろう。カンヌ映画祭の批評家週間に出品されたという前作もあるから、その作品を観たいですよね。

得体の知れない何かが追ってくる恐怖を低予算で描いた「イット・フォローズ」の制作陣によるスリラーであり、その続編といっていいくらいの感触が似ている。私小説的な人間関係がドラマのポイントで、自分の家族が生き延びようとさせるため、銃を構えて他人を寄せ付けまいとする一家の主であるジョエル・エドガートンには、共感よりも哀れさを感じた。

死体が重なり合うブリューゲルの絵が家の壁に掛けられており、外敵から防ぐ扉が血の色に塗られているところなど、随所に新人監督らしい意欲が見られました。

夜中になると一家の長男が懐中電灯を持ち徘徊して歩く姿は、もはや爺さんがウィルス感染をして亡くなり、その死体を森の中で燃やしている夫婦の姿が映し出される。その爺さんの部屋に、夜な夜な息子が入り込んでいるし、突然やって来た家族の幼い息子も、その爺さんの部屋で寝たりしている。

つまりは、爺さんのウィルス菌が部屋やベッドの敷物に残っており、それで感染してしまったのか、夜な夜な森へ徘徊する長男と幼い息子の2人が、森の中で感染したと思われる。

だから、突然やってきた夫婦もすでにウィルスに感染しており、セックスをしている映像でも妻が口の中から黒い液体を出しているのが見える。

最後はその家族を追い出してしまうのだが、すでに息子がウィルスに感染しており、この家族も感染していると思われる。

私にしてみれば、そういう暗喩的なタッチを繰り返し出すことよりも、ストレートに感染者や暴徒などを相手に戦うタイプの映画の方が好みです。ですが、結構な緊張感に飲み込まれて、最後まで観てしまうのは確かですね。

これと一緒に「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストリー」も鑑賞したのですが、ヒロインのルーニー・マーラーが、自動車事故で亡くなったケイシー・アフレックの遺体に白いシーツを被せて立ち去った瞬間、シーツが突然立ち上がり、開けられた穴から目を覗かせて動き出し、ゴーストは妻と一緒に住んだ家に戻って行く。音楽も素晴らしいですが、途中でまるで予想もしない想像力の飛躍があって、思いがけない境地にまで連れて行かれる。同じ場所から離れられずに数百年も佇み続ける切なさに、幽霊のような感じもするが、あまり怖くなくファンタジー映画のようでした。

 

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ウトヤ島、7月22日★★

2019年03月23日 | アクション映画ーア行

2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起きた戦慄の無差別乱射テロ事件を映画化した実録サスペンス・ドラマ。たった一人の極右の青年によって69人の若者が犠牲になった悪夢の惨劇を、標的となったサマーキャンプに参加していた一人の少女の視点から、ワンカットによる臨場感あふれる映像で描き出す。監督は「おやすみなさいを言いたくて」「ヒトラーに屈しなかった国王」のエリック・ポッペ。

あらすじ:2011年7月22日、ウトヤ島でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプが行われていた。そこでは政治に関心のある数百人の若者たちが思い思いに国の未来について語り合っていた。そんな中、首都オスロの政府庁舎前で爆破テロ事件が発生したとのニュースが飛び込んでくる。妹と一緒に参加していた少女カヤも、不安を感じながらもオスロから40キロ離れたウトヤ島とは関係ない出来事と考えていた。ところが突然、銃声が鳴り響き、人々がパニックに陥る。カヤも何が起こったのかわからないまま、仲間たちと森へ逃げ込む。やがて鳴り止まない銃声に恐怖を覚えながらも、離ればなれとなった妹を必死で捜し始めるカヤだったが…。

<感想>冒頭では、ノルウェーの首都オスロの政府庁舎前で車に仕掛けられていた爆弾が爆発するところから始まった。世間が混乱する中、オスロから40キロ離れたウトヤ島で、今度は無差別銃乱射事件が起こり、同地でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加してた10~20代の若者たちが犠牲になったのである。犯人は32歳のノルウェー人のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクという男だそうで、映像の中には一切出てきません。

テロ行為発生から終息までに実際にかかった時間は72分間だそうで、その72分間ワンカットで、逃げ惑う一人の女性にキャメラをぴたりと、寄り添いながら映像化したという、大胆な手法で挑んだ本作。ですが、以前に「カメラを止めるな!」という映画が大盛況で有名になりましたよね。

それと同じではありませんよ、ゾンビ映画ではなく本当にあった現実の銃乱射事件なんですから。物語は、ウトヤ島で若い男女がサマーキャンプで集まり楽しんでいるところへ、突然銃声が聞こえてきて、始めは何が起きているのか分かりませんでした。

ところが、みんなが銃声の後に驚き、始めはバーみたいな小屋にいたのですが、それから森の中へと逃げていく男女がたくさんいる。誰が、どういうわけで銃を乱射しているのかが把握できないままに、ただただ逃げるだけ。

それもどこへ逃げたら命が助かるのかがよく解らないのですから。ただただ、森の中を彷徨って走るだけです。テロのヤツラは全然映っていません、逃げ惑う若者たちだけが、とにかく悲鳴を上げて走る、走る。聞こえるのは銃声の発砲音だけ。ものすごい臨場感、限定されたアングルなので状況が良く見えない。それが怖さを増幅させるわけ。

しかし、そこで銃で撃たれた被害者の若い女の子が、倒れているのを見つける主人公の女性。肩から背中を撃たれ、傷跡が生々しくて出血がひどく動けない。主人公のカヤが、自分のブラウスを脱ぎ背中の傷跡に当てて、血止めをするのだが、彼女の声が聞こえなくなり静かになる。意識がなくなったらしい。このままでは死を待つのみ。誰も助けにこない島。

オスロから40kmも離れたウトヤ島なので、警察に電話をして救援を要請するしかないのに、電話も中々通じず、始めは主人公のカヤが、母親と楽しく会話をしていたのに。誰かが警察へ電話をしたらしいのだが、一向に救援部隊はこない。その内に、その襲撃をしている奴らがキャンプ場まで来ている。

発砲音が響き渡り、逃げ惑いながら悲鳴をあげる人々の声とか、逃げ惑う若者たちの中にも、負傷をしている者もいる。森の中へ隠れていた人たちが、海の方へと走り出す。カヤたちもそれぞれに海へと走るのだが、海岸ではテロに見つかってしまうし、岸壁の下を歩き隙間を見つけてはそこに隠れる人もいる。

そこに、崖の上にテロの犯人らしき人物が銃を持ち、発砲しながら崖下を見下ろしている。その姿が警察官の制服を着ているのだ。

監督は、モキュメンタリーではなくアクロバット的手法で、テロ体験の恐怖に主観性をまとわせようとするのだが、その果てしなく持続するワンカットを眺めている観客は、いつしかゲームの中にでもいるような錯覚を覚えるのだ。

しかし、犯人の姿は映さずに、銃撃戦パニックに陥った若者の姿にフォーカスすることで、突然犯罪に遭遇した人間の圧倒的な恐怖感や、絶望感を観客に体験させることには成功したようですね。

テロ事件の動機は、移民政策への反対思想。言うことを聞かないと、こんな目に遭うぞという脅し。むろん映画はそれに対して抗議をしているのだが、逆宣伝の危惧も感じる。ある意味フィクションの極地でもあります。

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