パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

浅田家!★★★・8

2020年10月14日 | アクション映画ーア行

         

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也と妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。本作で中野監督の下には、二宮をはじめ、黒木華菅田将暉、風吹、平田、妻夫木ら日本アカデミー賞の受賞経験がある実力派キャストが結集。さらに渡辺真紀子北村有起哉池谷のぶえ駿河太郎篠原ゆき子ら中野組常連とも言える俳優陣も顔をそろえた。

あらすじ:4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。浅田家の次男・政志は、父の影響で幼い頃から写真に興味を持ち、やがて写真専門学校に進学。卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを再現した写真で学校長賞を受賞する。卒業後しばらくはくすぶっていたものの、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催し、写真集も出版され、権威ある賞も受賞する。プロの写真家として歩み始めた政志は、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになる。しかし、2011年3月11日、東日本大震災が発生。かつて撮影した東北に住む家族のことが心配になった政志は被災地に足を運ぶが、そこで家や家族を失った人々の姿を目の当たりにする。

<感想>一家全員でさまざまな職業や場面になりきるユニークな家族写真が大きな話題を呼び、写真界の芥川賞と呼ばれる木村伊兵衛写真賞を受賞し、ついには映画化までされることになった写真集『浅田家』。成りきりコスプレの撮影が一番大変だったという浅田一家の面々。

父、母、兄、そして写真家本人の4人家族が、ラーメン屋や消防士や極道など様々なシーンに扮するシリーズ、『浅田家』。すべて、地元の三重県でいろいろな方の協力を得ながら撮影した写真は、「演出」の見事さ以上に、家族のかかわりがもたらす「記念写真」の力にあらためて驚かされる。

その中でも「あまちゃん」ふうのコスプレを撮影した日が、寒くて一番辛かったという妻夫木さん。最初の「消防士」はすごくいいクオリティーで撮れたそうで、その後の「選挙」からが大変だったそうです。

1日で最大5カットの撮りで、遊園地での「疲れたヒーロー」だけは別の日に撮ったそうです。遊園地と、ライブハウスにラーメン屋は現存していなかった。

平田さんが父親のお父さんに似せようと苦労したらしい。見た目も骨格も全然違うので、でも本当にみなさんよく似てらっしゃると思いましたね。ラストでの父親が危篤という知らせを受けて、故郷へ帰る政志。だが、それは嘘で、父親が家族全員が揃うにはこれしかないと、葬式のシーンを撮影するシーンには、驚きました。

監督は、写真撮影を通じて絶対に家族になれるというのが、監督の狙いだったようだ。真似をするってことは楽しいもので、すべてが本当に面白い。

母親役の風吹ジュンさんは、極道の妻、看護婦、など、そこにどれだけ寄せていけるだろうかと苦労したそうです。本物の母親は、プロの看護婦だったのでね。

中野監督作品は、家族がそろって囲む食卓のシーンが印象的だ。本作でも、主夫である父・章(平田)が作る皿うどんやたこ焼き、政志が好きな辛いカレーなどが登場し、家族の時間をあたたかく彩る。

「家族って決まりはない、それぞれの価値観や形があって。家族の定義はないんだけど、象徴という意味では『食卓を囲む人たち』だと思っています。だからこの映画では、食卓を一緒に囲むシーンが多い。“食べる”というのは“生きる”ことの基本だから、食事をともにするのは、とても尊い行為だなと思っています。今回、実際の浅田家の大皿から取り分けるという食べ方を取り入れて、食卓シーンを作りましたと言う監督の思いが伝わってきます。

後半では、劇中で政志は、何度も涙を流す。二宮がそれぞれ異なる思いを宿らせているからこそ、全てが違う涙に見え、そして全てが本物の感情として観客を揺さぶってくる。

ある日、東日本大震災という未曾有の天災が発生する。東日本大震災での、泥の中から出て来る遺族たちの写真。それを丁寧に何度も水で洗って、乾かす仕事には本当に観ていて頭が下がりました。そして、遺族の写真の中から、家族の方たちが見つけて嬉しそうに、思い出しながら涙を流すシーン、観ている方も涙、涙でした。

その中でも、始めに地元で写真を水で丁寧に洗って乾かしている青年を見つける。彼は、菅田将暉君で、始めは誰だか判らないような地元の青年ふうで、自分のオーラを隠して演じてましたね。さすがに演技の巧い菅田将暉くん、主人公の二宮さんを立てており、地元青年の役にハマっていましたよ。

震災に遭う前に、政志が出会った病気と戦う子どもを持つ佐伯家の写真を撮り、ファインダー越しに政志が涙するシーン。被災地の掲示板で知り合いの家族の安否を確認するシーンでは、政志は涙までは流していませんが、目を潤ませて、とても感情が伝わってきましたね。『たった1枚の写真に救われる』という話をたくさん聞きましたが、やっぱり人間は、生きる歴史の土台がないとふらふらしてしまう気がしていて。1枚でも『自分がこうやって生きてきた』という証があるだけで、人間は今を生きられる。

近年、いろんな自然災害が毎年のように起きているし、困難な時代が来ることは分かっているからこそ、今、そういう困難に立ち向かう力になる映画が必要だなと思いました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・58  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

 


糸★★★・5

2020年10月09日 | アクション映画ーア行

        

 

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉、小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく、瀬々敬久監督作品。漣役の菅田、葵役の小松のほか、斎藤工、榮倉奈々、山本美月、倍賞美津子、成田凌、二階堂ふみ、高杉真宙らが顔をそろえる。

 

 

あらすじ:平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育ち、13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、葵は母親に連れられて北海道を去ってしまう。8年後、21歳になった漣は、友人の結婚式のため訪れた東京で葵との再会を果たす。しかし、漣は北海道でチーズ職人、葵は東京、沖縄へと自分の世界を広げ、2人は別の人生を歩み始めていた。さらに10年の時が流れた平成最後の年、2人は運命の糸によってふたたびめぐり会うこととなる。

 

 

<感想>中島みゆきの名曲「糸」の台詞が所々に織り込まれており、曲に乗せて描かれるふたりの男女の切ない生き方、そしてその周囲の人々の物語。一本の赤い糸のように、男と女が平成という時代を織り込み、厚みのある一枚の布となった幾重もの糸の物語。それは、好きで愛し合っていても中々結ばれない男女のドラマがあり、そして物語の喜怒哀楽に心を動かされてしまう。

 

 

さすがに主役の2人菅田将暉の演技力と、小松菜奈の魅力がぴったりとハマっており、それは見事に1本の糸で繋がっており、中々この主人公2人が結ばれないもどかしさとか、きっと最後には巡り合って結ばれるのだと信じて疑わなかった。

手を替え品を替えての物語の運びに工夫が凝らされており観る者を飽きさせない。主人公は二人だが、小松菜奈の方が、いわば冒頭での虐待も含め受難の連続で、斎藤工に一方的に去られて後、シンガポールでは仕事仲間の山本美月に裏切られ逃げ出されたあと、母親の死にも遭う受難。

菅田将暉の歩む過程は、北海道でのチーズ作りで真っすぐだ。それでも愛妻の死に見舞われ、それでも娘をもうけて一つのヤマ場を成している。

 

 

それがラストで、とんとん拍子に2人が出会い、結婚をするまでの長い道のりを、スクリーンで描かれてゆく脚本に涙が止まらなかった。しかしながら、この作品は『弥生、三月 君が愛した30年』と類似している点が多々あり、評価の上では前に上映された『弥生、三月 君が愛した30年』の方が良かったと思う。

ですが、俳優たちが適材適所で素晴らしく、誰もが魅力的な人物像を彫り上げていた。子供食堂の倍賞美津子が豊かな包容力で、主人公2人をさりげなく繋ぐ役割を果たしていた。全編、山あり谷ありの切実な人生模様を作り上げていた。

 

 

主人公の漣は北海道でチーズ工場で働きながら、そこの娘 榮倉奈々と結ばれ子供が授かり、幸せな結婚生活に恵まれる。

 

 

一方の葵は、13歳の時に出会った漣と恋をして、彼の絶対に君と結ばれると誓いあったのに、葵は養父の虐待を逃れて一度は漣と駆け落ちをするも、まだ幼い2人は警察に保護されて別れ別れになってしまう。

 

 

その後、葵は実業家の斎藤工に救われ、世界中を飛び回って沖縄に住むことになるが、斎藤工の事業が失敗して葵はまた一人になってしまう。そして21歳になった葵と漣は、友達の結婚式で久しぶりに出会い、お互いに別々の人との幸せを掴んでいた。

 

 

ところが、漣はまだ心の中に葵のことをあきらめてはいなかった。娘を授かったのに妻が癌で亡くなり、チーズ作りをしながらきっと心の中では葵のことを思い出していたに違いない。だから葵の方も、漣との繋がりを求めて斎藤工のところから逃げ出して、北海道へと戻っていく。

 

 

17年後の2人の再会では、きっと漣と葵が結ばれるのだと確信を持って観ていたが、さすがに涙が零れて仕方がなかった。もちろん最大なのは東日本大震災でしょうかね、上手く物語に織り込んであると思いました。人生ってこんなにも巧く行くわけないと思うのですが、映画の中だもの、この2人には幸せになって欲しいと願うばかりですね。

 

 

そうそう、私の大好きな成田凌くんが、友人で出演していましたね。彼の作品はTVで良く観ています。

 

 

 

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・57  アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

 


エジソンズ・ゲーム★★★・5

2020年07月24日 | アクション映画ーア行

               

発明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチがトーマス・エジソン、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・シャノンがライバルのカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスを演じ、共演にも「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドら豪華キャストがそろった。

あらすじ:19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。

<感想>誰もが知る発明王トーマス・エジソンにも、脅威のライバルがいた。その名はジョージ・ウェスティングハウス。技術者でカリスマ実業家だった彼と、エジソンはアメリカ初の電力送電システムを巡って、直流か交流かという”電流戦争”を繰り広げていた。

実はこのバトルが今の電気の原点を決定づけたのだった。そんな歴史的事件を映画化したもの。主演のエジソンには、ベネディクト・カンバーバッチがハマリ役。非凡だが、勝つためなら手段を選ばないという偉人としての、イメージを覆いかくすような人物像を作り上げていた。

対するジョージ・ウェスティングハウスには、マイケル・シャノンが、ウェスティングハウスを重厚感たっぷりに熱演。カリスマ実業家の苦悩を重厚に表現し、エジソンの妨害工作にも動じることなく、パワフルに勢力図を広げていく様は見ものだ。

またエジソンの右腕である秘書のインサルには、トム・ホランドが。野心家の天才科学者テスラをニコラス・ホールトが演じている。監督はアルフォンソ・ゴメス=レホン。

物語の中盤からは、次第に堕ちていくエジソンとのコントラストがすさまじい。観ていると、ニコラス・ホールトの天衣無縫の天才を縦横無尽に体現しており、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では映画ファンを熱狂させたニコラス・ホルト。数々の独創的な発明を残したテスラは、現代もなお“技術革新のカリスマ”として尊敬を集めていると思う。

テスラは当初、エジソンの会社に加わるが、彼にコケにされたことを根に持ち離反。後にウェスティングハウスと手を組み、エジソンへの攻勢を強めていく。彼の活躍ぶりで、ソリッドな演技合戦を盛り上げていくのも良かった。己の才能を信じたものと、それに惚れ込んだ者たち。男たちがプライドと情熱を賭けた世紀の戦いの全貌とその行方を見届けずにはいられないですね。

天才発明家とカリスマ実業家による,エジソンとライバルたちが繰り広げた“ビジネスバトル”。現在の我々の生活を支える“電気”の供給方式をめぐって勃発した “電流戦争”である。

エジソンは「私の直流方式は安全で扱いやすい。交流は強力すぎて危険であり、感電死を招く」と主張。対するウェスティングハウスは「直流は大量の発電機が必要なので高コスト。私の交流方式は1基の発電機で遠方まで電気を送れるため低コスト」と主張した。

2人は真っ向から衝突し、「どちらの方式が多くシェアを占めるか」をめぐって激しく敵対。やがて相手を蹴落とすためのネガティブキャンペーンや、裏工作などが横行していく……。ここに、世紀の“電流戦争”が勃発したのである。直流と交流、どちらが優れているか……。彼らの戦いがあったからこそ、我々は家庭で電気を利用し、豊かな暮らしを送ることができている。

しかし莫大な資金が動く特許争奪戦。マスコミ操作や裏取引など、知られざる歴史の裏側を活写する。天才たちによる世界を変えた歴史の一幕。それがまさかアメリカの死刑制度の電気椅子を作ることになろうとは、この実験には、獣の焼けた死臭がするなど、評判がよくなかった。

本作でのベネディクト・カンバーバッチは、エジソンに扮しており、不屈の努力を続けた“歴史上の偉人”というイメージではなく、“狂気の発明家”という側面を強く打ち出している。勝つためには汚い手段もためらわず、大統領の依頼でさえ「気に入らない」と断るほど傲慢。「産業の父」とも称されたエジソンの“別の顔”や、人生の光と影をも体現してみせている。

それに、エジソンは人間の話声やピアノの演奏などを録音する、録音機の発明に力を注いだ。これは、あまり世間には評判が良くなくて、資金源もなくかなり金に困ったようだ。

その後に、無声映画ができ、ピアノ伴奏による弁士の朗読よりも、この録音機の方が断然素晴らしく、生前の父親の声や子供たちの声など、後の世の中には欠かせない物となった。最期に世界初の動画撮影装置・キネトグラフを発明したエジソン。世界初の映画用スタジオを設立しており、いわば映画の父とも呼べる存在でもある。本作の冒頭とラストには、水しぶきに煙るナイアガラの滝を撮影するエジソンが登場する。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・49  アクション・アドベンチャーランキング

 


ANNAアナ★★★★

2020年06月25日 | アクション映画ーア行

          

「ニキータ」「レオン」「LUCY ルーシー」など、戦うヒロインを主人公にした作品を数多く手がけてきたリュック・ベッソン監督がロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルスを主演に迎えてメガホンを取ったアクション。アナ役のルスのほか、オスカー女優のヘレン・ミレン、「ワイルド・スピード」シリーズのルーク・エバンス、「ダークナイト」のキリアン・マーフィらが脇を固める。

あらすじ:1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。

<感想>「ニキータ」のリュック・ベッソン監督が、“十八番”とも言えるジャンルで、新作「ANNA アナ」(6月5日公開)は、スーパーヒロインが戦い、躍動するアクションエンタテインメントである。だが、ベッソンの十八番であるがゆえに、自身の過去作品物語をごった煮したようなスパイスにエロスを一振り、終盤ではヤケクソ気味などんでん返しを尺が満ちるまでしつこく繰り返していて、マシュー・ボォーンあたりでは、まだまだ負けないわというベテランの気質を唸らせながらも、微妙にやぼったくなってしまっているのは否めない。

やりすぎなアクションシーンもまたベッソン印であり、ここまでくると殆どセルフパロディなのだが、だからつまらないというわけでもなく、二番煎じとはいえ清々しさを獲得したかのような楽しい娯楽映画になっていた。

しかしながら、実際に本編を鑑賞すれば、アクションファンには「ベッソンの良いところが全部出ている!」と恍惚の表情を浮かべるに違いないだろう。好きな要素、全部のせており、洗練されたルックスとアクションの“美”に、骨の髄まで痺れさせてくれる。

物語の舞台は1990年代のソ連。諜報機関KGBによって造り上げられた殺し屋アナが、国家に仇なす人物を次々と消し去っていく。しかし、アメリカのCIAによる巧妙な罠にはめられ、アナは驚がくの取引きを迫られる。それは、「KGBを監視する“二重スパイ”として活動しながら、長官を暗殺せよ」というものだった。

これまでベッソン監督は、繰り返し“戦うヒロイン”を、迫力たっぷりに描き出してきたが、女優の素質を見抜くその目はまさに一流であり、「レオン(1994)」ではナタリー・ポートマン(出演当時13歳!)、そして「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチを発掘しており、彼女たちはその後一躍スターダムを駆け上がっていった。

本作では、主演にロシア出身の超新星モデルを抜擢。主演は新星サッシャ・ルス、ロシアの妖精が豪快アクションを披露する。
16歳でランウェイデビューを果たした、ロシア出身のモデルであり、「ヴァレリアン千の惑星の救世主」では脇役で出演して、その存在感がベッソン監督の目に止まったというわけ。“妖精”と呼ぶにふさわしい美貌で、表はファッションモデル、裏は暗殺者という“2つの顔を持つ”アナ役を、魅力たっぷりに体現してくれる。

一方で、約1年間にわたりマーシャルアーツの特訓を積むなど、役作りでは長期間の準備に身を捧げており、その成果はスクリーンに如実に現れているので説くとご覧あれ。
サッシャ・ルスのハッとするほどの輝かしい美貌を見せたかと思えば、数秒後、血しぶきを浴びながら銃を構える。そのギャップが狂おしいのだ。

共演にはヘレン・ミレンら、独自の世界を切り開く演技派がそろい、ニューヒロインと得も言われぬ化学反応を引き起こしている。とかく、ヒロインによるアクションの質が非常に良い。アナがわずか5分で40人の男を屠ったり、割れた皿を武器に華麗に舞うさまなど、見どころ満載だ。

それにだ、なんといってもバイタリティなヘレン・ミレン伯母さん、「クィーン」などのアカデミー賞女優ヘレン・ミレンは、本作ではアナを鍛えるKGBの上司オルガ役に。タバコをスパスパと吸いながら、強烈なロシア語訛りの毒舌で無理難題をふっかけるなど、その立ち居振る舞いはまさに“パワハラ上司”である。しかし、悪戦苦闘しながらも食らいついてくるアナに対し、職務を越えた感情が芽生え始めてきて、当初は罵りまくっていたのに、段々とデレてくる過程がなんとも微笑ましい。

アナを好きになる男優たちに、ルーク・エバンス&キリアン・マーフィが好演 アナの魅力にメロメロになっている。「ワイルド・スピード」シリーズではミレンと親子役を演じているルーク・エバンスは、本作ではKGBエージェントのアレクセイ(肉体派)に扮する。アナをKGBにスカウトし、オルガとともに育成する一方で、二人は深い渓谷に身を投じるような恋に落ちていく。

さらに「ダンケルク」などのキリアン・マーフィが、アナに二重スパイの使命を課し、次第に恋愛感情も抱いていくCIAエージェントのレナード(頭脳派)に扮している。アナはKGBとCIAだけでなく、アレクセイとレナードの間でも揺れ動いていく。

それに、驚いたのが「T-34」のあの人も出演。しかもこんな役にと、脇役も必見ですよ。目を向けるべきは、メインキャストだけではない! 特筆すべきは、アナのかつての恋人役を担うアレクサンドル・ペトロフだ。ペトロフは映画ファンの間で話題を呼んだ「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」に主演していた俳優。そんな彼が、本作では「そうくるか?」という驚きの展開を見せている。

さらに、パリのモデル事務所でアナと絆を深めるモード役、レラ・アボヴァが印象深いですね。目が覚めるようなショートカットに、透き通るような瞳が見るものを魅了する。まるでレズビアンのような仲になってゆくのだ。
ベッソン監督作品では、暗殺、KGB、CIA… アクションファンの大好物がてんこ盛り。アナはKGBに所属しながら、CIAのスパイとしてKGBの動向を探る。昼はモデルとしてフラッシュを浴び、夜は暗殺者として闇にまぎれる。そしてKGB長官からもたらされる暗殺命令を忠実にこなしながら、その長官の暗殺をCIAから命じられる……。

アクションファンには溜まらないほどの要素がふんだんに盛り込まれているのもいい。肉弾戦の興奮、人間ドラマ、展開のスリルが有機的に連鎖し、陶酔の映画体験をもたらしてくれる。もう一つの特徴は、ストーリーテリングが直線的ではない、という点である。映画は1985年のモスクワからスタートするが、次のシークエンスでは1990年のパリへ。その後も時系列をシャッフルし、舞台と時代を目まぐるしく移動。伏線の展開と回収を交互に繰り返しながら物語は進んでいく。

アナはなぜ、KGBに身を置くのか? 彼女が求めるものは手に入るのか? 観客の予定調和をぶち壊し、信じていたものがひっくり返るサプライズが連続。さらに「TAXi」シリーズなどで見せるベッソン監督独特のユーモアがスパイスのように効いており面白い。
その結果、鑑賞中、心はアップダウンを繰り返し、一瞬たりとも飽きがこないのだ。1990年、ソ連の諜報機関KGBによってつくり上げられた殺し屋アナ。美しきファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を次々と消し去ること。一流の暗殺者となったアナだったが、アメリカのCIAの巧妙な罠にはめられ、捜査官レナードから驚愕の取引を迫られる。

アナを演じたサッシャ・ルスが、武装した男たちと戦うレストランでのシーンでは、アクションを彼女にレクチャーした、「ボーン・アイデンティティー」でマット・デイモンに、「96時間」シリーズではリーアム・ニーソンをファイターに仕立て上げたアラン・フィグラルツなのだ。本作のスタント&ファイト・コレオグラファーを務めているフィグラルツは、アナのターゲットとなる敵ボス役でレストランのシーンにも登場しており、“師弟同士”のバトルも見どころの一つとなっている。

アナ役のルスは、約1年間も役作りと体力作りに励んだそう。想像以上に熾烈を極めたシーンの連続に、スタントを使えばいいと提案されたこともあったが、「戦い方を知らなければ、アナにはなれない。だから全力を尽くした」と体当たりで挑戦。生半可ではない覚悟と入念な準備により、5分で40人を倒すリアルかつ壮絶なファイティングシーンを完遂した。

大勢の敵を撃ち倒していく見せ場では、悪漢が次々に倒れてゆき、強い女の姿を見せたり、自立する生き方に目覚めさせるテーマは現代的に思えるが、根本的に女性の若さや美貌に魅せられていく”オッサンたちの視線”があるのが描写の端々からわかるのもいい。

特にあり得ないほどの超絶なアクションシーンでは、強さで生きる女性に比べると、KGBもCIAも男性には物足りなさも感じる。ラストの対決シーンが面白くて、目が離せません。気になったのが、上の写真を見ると、「ソルト」のアンジーに似ているよね。断然アンジーの勝ちだけどね。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・44  アクション・アドベンチャーランキング

 


犬鳴村★★★

2020年04月17日 | アクション映画ーア行

「呪怨」シリーズなどで知られるホラー映画の名手・清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。主演は「ダンスウィズミー」の三吉彩花。主人公の奏役を三吉が演じ、坂東龍汰、大谷凛香、古川毅、奥菜恵、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子らが脇を固める。

あらすじ:臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。

<感想>コロナウィルス感染により映画館が開いているところが少ない。それに、観たい作品は全部依然に観てしまい、仕方なくこの映画を観ることに。物語は、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が題材です。ここは本当に実在するところで、旅行好きな私は、まだ行ってないところ。

足を踏み入れたら二度と生きて戻ることはできない!恐怖の都市伝説「犬鳴村」がまさかの映画化です。都市伝説にはマイノリティに対する後ろめいた気持ちが「噂」として立ち上がったものが多い。そこには社会から隠された何かやましい出来事、言ってはいけないタブーが潜んでいる。清水崇の最新作「犬鳴村」が一筋縄でまとめられないのは、まさにその点を鋭くえぐっているからである。

都市伝説はもはや素朴な怪談として楽しく消費する代物ではないのだ。そのモデルとなった場所は、「犬鳴トンネル」心霊スポットとしても知られている。「血筋と因果」というテーマで、実在する心霊スポットを舞台にするとは過激な企画ですよね。

映画は犬鳴村にまつわる都市伝説で、最も有名な「この先、日本国憲法は通じず」と書かれた看板を見つけるところから始まる。

犬鳴村に肝試しに行ったばかりに、不幸が立て続けに起こる森田家。父親(高嶋政伸)は「この家に入り込んだ汚れた血が原因だ」と謎の発言をする。血筋の話がまさか心霊スポットと繋がる発想がこうして生まれて、今までにない結びつきの映画となったわけ。

土地と血縁を巡る因果の物語とは、まさに横溝正史的な世界。戦前、戦中に怪しい施設が片田舎にあったとか、今では誰も知らない謎の集団の存在。過去におぞましいことが起こって、その責任を取ろうとしない誰かしらの思惑や風習、人間の悪しき部分が「この先、日本国憲法は通じず」の看板を生んだ。隠された歴史があるという設定ならば、舞台は九州の犬鳴峠に限られることはない。調べて行けば日本国中、どこにでも存在するものになるのだが。

犬鳴トンネルが心霊スポット化した最大の理由は、80年代に不良たちがリンチ殺人事件を起こした場所として新聞報道されたことが大きいという。その後ネットの時代になって、そこに行くと禁忌に触れる、行ったらいけない場所。現在はブロックの壁で封鎖されたトンネルしか残ってない。

犬鳴村村自体は実在していた。ダム建設により水の底に沈んでしまい、村の名前を刻んだ石碑がある。その村人たちの怨念か、しかし、実は村の山に棲んでいる山犬が原因で、村の女性たちがその山犬と交わり、人間と犬との子供が生まれるという不気味な物語。フィクションでありながら、何とも不気味でありミステリーなところもある。

「わんこがねぇやにふたしちゃろ」というわらべ唄、この歌の意味をどう思うのか?・・・クライマックスで歌に隠された本当の意味がわかる仕掛けになっていた。

ホラーせいが強いフィクション映画であり、過去に起こった忌まわしい出来事を見せている。ゾンビや幽霊、見える人には見える過去に生きていた人の霊などぞろぞろと出現する。今回もおぞましいことが写っているフィルムが劇中に出てくる。それは隠ぺいされた過去があり、その証拠としてフィルムが現存する。

見てはいけないという部分をどう見せるかが問題になっているが、それは劇場でご覧いただくとして、隠れた土地と因縁の鎖でつながれた一族の、呪われた運命の焦点を見せていく。

霊感ヒロインを取り巻く家族関係は、隅々まで厭な味付けが濃厚であり、淀んだ空気が漂う大豪邸。不気味なわらべ歌を口ずさみながら、小便を漏らして徘徊する少女。電波塔から自殺志願者が飛び降り、都市伝説を思わす無残な死。背後に忍びより、走る車の中へ駈け込んでくる幽霊たち。

高密度な心霊描写の連打に目を奪われるが、この物語には幾重にも積み重なる禁忌が仕込んであります。結構、観た後で嫌~な雰囲気が頭の奥にこびりついて、実際にこんなことが、昔にはあったのかと思わせるような雰囲気です。まるで吸血鬼のような牙が、最後にあのヒロイン三吉彩花の歯が、犬歯という牙が2本ニョキと生えてきて、笑みをもらす。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・35  アクション・アドベンチャーランキング

 

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一度死んでみた★★★

2020年04月09日 | アクション映画ーア行

             

大嫌いな父親に「死んでくれ!」と毒づく女子大生と本当に死んでしまった父親が巻き起こす騒動を、広瀬すず主演、堤真一、吉沢亮共演で描くドタバタコメディ。「犬と私の10の約束」「ジャッジ!」で知られる澤本嘉光のオリジナル脚本で、auの人気CM「三太郎」シリーズを手がけてきたCMディレクターの浜崎慎治が長編映画初監督。

あらすじ:大学4年の野畑七瀬は、製薬会社社長の父親・計(はかる)と2人暮らし。何かと口うるさく干渉してくる計が大嫌いな七瀬は、日々「一度死んでくれ!」と毒づいていたが、計は偶然開発された「一度死んで2日後に生き返る薬」を飲み、本当に「一度死んで」しまう。それは会社乗っ取り計画を耳にした計による、社内に潜んでいるであろうスパイ社員をあぶりだす秘策だった。おばけとなって姿を現した計、薄すぎる存在感から「ゴースト」と呼ばれている計の秘書・松岡、そして七瀬の3人は、会社乗っ取り計画阻止と計を無事生き返らせるミッションに挑むのだが……。

<感想>父親が2日間だけ死ぬ薬を飲んでしまったことによって、反抗期の娘・すずちゃんが巻き込まれていく騒動を描いている。デスメタルバンドのボーカル役でコメディ初挑戦の広瀬すずちゃん、今までにない真面目な役柄からコメディ路線への女王になるかもです。とにかく面白かった。映画館は鑑賞する人たちが少なくて、ガランとしたシアターの中で、チケット売り場では、すでに一つずつ席が消されている状態で、空いている席っていっても、観客はたったの2人でした。

それでも久々の映画館鑑賞だったので、本当だったら選ばない作品ですが他に観る者が無かったので仕方りませんね。とにかく、すずちゃんの大学生のデスメタルバンドの音響がけたたましくて、耳鳴りがしてうるさかった。それに、大学生になっても親に罵声を浴びせてる娘っているんだね。少々、親バカで娘を甘やかしていたためなのかも。母親が早くして病気で亡くなり、その看護や死に際にもこない父親に対しての恨みがあるのかもです。

でもラストでの、告別式ですずちゃんが歌うバラードは上手かったですよ。娘を監視する社員の吉沢亮くんも良かった。なにしろ配役が豪華すぎですからね。

死んだ父親が、天国への案内人のリリー・フランキーさんと、浮かんで見ているのに爆笑もの。何度も2人で出てくるので、本当はまだ生きているという実感がする。

とにかく、父親の会社で作っている若返りの薬で、「2日間だけ死んじゃう薬」を実験として飲んでしまった父親。会社を乗っ取ろうという社員の小澤のたくらみで、2日間だけ死ぬという「ジュリエット」という薬の開発をしている松田翔太君扮する藤井さん、本当は80歳なのに、何度もその薬をためしに試飲しては若返っていて、今では20代の姿になっていた。だから、社長は研究員の藤井さんを爺さんと呼んでいたのだ。なるほどとこれって伏線ですかね。

悪役の小澤が、敵会社へ合併をもくろみ、その若返りの薬「ロミオとジュリエット」を製品化して儲けて、自分が社長になるという陰謀を企んでいたわけ。だから、2日間だけ死んでしまう薬を飲んだ社長を、時間ギリギリで焼却してしまおうと葬式も出さずに焼き場へと急ぐわけ。

しかし、社員たちや娘がやはりお通夜とか告別式とかを、盛大にあげてやりたいと思うのだ。小澤は、そんなことをして時間を稼いだら元も子もなくなるので、葬式場とか葬儀屋に電話をして満員だということにする。

そのことを知った娘は、大きなホテルで自分のデスメタルバンドの披露といいながら、盛大に葬式を執り行うのだった。

時間ギリギリで間に合わなければどうするのだ、それは娘のお目付け役の吉沢亮君が、静電気バリバリの通電役で、社長にキスをして早く蘇らせようとするわけ。何故か棺桶に入った社長は、宇宙服を着ていた。焼き場での蘇りも笑えますよ。

こんな火葬場でのドタバタ騒ぎとか、娘が時間稼ぎをしたせいで父親は無事生還というメデタイ若返りの実験成果で、しかし、若返り薬を飲んで寿命を長くしても、命の選択は自分では出来ませんよ。ラストは、父娘が仲良くなり父親の会社で働くことになる娘のすずちゃん。

ホテルの支配人に妻夫木さんが演じていて、その他にも、リリー・フランキー、小澤征悦、嶋田久作、木村多江、松田翔太、嶋田久作が通う高級クラブのボーイ役で佐藤健、キャバクラ嬢の池田エライザ、志尊淳、古田新太、大友康平、竹中直人、妻夫木聡、その他にも柄本時生、前野朋哉、清水伸、西野七瀬、地獄ラーメン屋のでんでん、警備員に城田優、掃除のおばさんに原日出子、ワトソン製薬の用心棒に新日本プロレスの真壁刀義、本間朋晃、JAXA宇宙飛行士の野口聡一などの豪華版でした。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・33 アクション・アドベンチャーランキング

 

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AI崩壊★★★

2020年04月05日 | アクション映画ーア行

              

「22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠監督が自身のオリジナル脚本で、AIを題材に描いた近未来サスペンス。大沢たかおが主人公・桐生を演じるほか、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典、松嶋菜々子、三浦友和らが共演する。

あらすじ:2030年、天才科学者の桐生浩介が亡き妻のために開発した医療AI「のぞみ」は、年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴といった全国民の個人情報と健康を管理していた。いまや社会インフラとして欠かせない存在となった「のぞみ」だったが、ある時突然、暴走を開始。AIが生きる価値のない人間を選別して殺戮するという、恐るべき事態が巻き起こる。警察庁の天才捜査官・桜庭は、AIを暴走させたのは開発者である桐生と断定。身に覚えのない桐生は逃亡を開始する。桐生は「のぞみ」を管理するHOPE社の代表で、義弟でもある西村悟とひそかに連絡を取りながら、なんとか事態の収拾を目指すが……。

<感想>最近のスマホは爆発的に普及したので、2030年ぐらいまでに変わるものは何だろうというと、実際に「AI崩壊」に登場するシステムは、全て技術的に実現可能だというから驚いた。しかし”のぞみ”が人間の殺戮を始めた原因を巡る構成は、最終的に落としどころはどこだろうと考えたところ、この内容がベストだと思いました。

主人公の大沢たかおとは、穏やかな草食系優男から、強面肉体派の刑事や任侠、果ては最強の武人まで変幻自在に化けて見せる俳優大沢たかお。本作で彼が挑んだのは、これまでありそうでなかった某リーアム・ニーソンばりの「最強のパパ」的なヒーローなのだ。

桐生が亡き妻のために開発した医療AIが、突然制御不能に陥り、娘を密室に閉じ込めた挙句に、人々の命を奪い始めてしまう。開発者である桐生は、ウィルスを仕込んだテロリストとして疑いをかけられ、警察の目をかいくぐりながら真相の究明に走る__というわけで、天才プログラマーの頭脳戦サスペンス+(がっつりと銃撃戦あり)ド派手な逃亡劇アクション+娘のためなら不死身のパパという、属性盛りだくさんの超エンターテインメントに仕上がっているのだ。

主人公が追いつめられて逃亡する話が好きなんですがね、逃亡劇も規模感が問われるし、全国各地での地方ロケとかは実現不可能だと思ったらしく、近未来モノと逃亡モノを合わせてましたね。逃亡劇での巨大な船、海って生物にとっての母たるものと考え、人工知能の産みの母は人間なので、人間誕生の源でもある”海”は外せなかったという監督。国民の個人情報と健康状態を管理する”のぞみ”は、桐生の弟である西村(賀来)が管理運営をするHOPE社の代表取締役を務めている。

とにかく追いつめられるほどにタフガイとなり、悲壮感が色気に変わる大沢たかおの熱演が堪らない。スタントではなく自分でこなしたというから「キングダム」王騎に続いて本作では、50代にしてアクション俳優としての魅力を高めている彼と、邦画では珍しくオリジナル脚本のアクション現代劇が見事にマッチしていた。

今回の映画に出てくる自動運転の車とか、眼鏡に地図などを表示するシステム、24年に大阪の地下鉄に導入される顔認証の技術とかも進んでいたと思います。

リアリティを感じたのは、AIが判断する「生きる価値のある人間と、ない人間の選別」の描写が恐怖を感じました。人の命の価値を赤の他人やAIが計るってやはり怖いです。だからフィクションのドラマが作れたともいえる。

警視庁サイバー犯罪対策課を率いる桜庭(岩田)は、捜査AI”百目”を駆使して桐生を追い詰めるわけ。所轄の刑事、会田(三浦)と奥瀬(広瀬)は、足を使って桐生を追う。三浦友和と広瀬アリスの刑事コンビが、桐生たちとは真逆のアナログな人間の設定なのも面白かったです。なんか、二人を観ているホッとしてきて、昔の刑事ものを観ている感じになり、何とも言えない空気を作ってくれていましたね。

あの結末を見て観客一人一人が、自分はどんな未来を望むかな?と考えるところも良かったですね。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・31 アクション・アドベンチャーランキング

 

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嘘八百 京町ロワイヤル★★★

2020年03月05日 | アクション映画ーア行

幻のお宝をめぐり、中井貴一と佐々木蔵之介扮する古物商と陶芸家がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディのシリーズ第2作。古物商の則夫役を中井、陶芸家の佐輔役を佐々木がそれぞれ演じ、志野役で新たに広末涼子が参加。友近、森川葵ら前作からのキャスト陣に加え、加藤雅也、竜雷太、山田裕貴らも新キャストとして顔をそろえる。監督の武正晴、脚本の足立紳と「百円の恋」コンビが前作から続投。

あらすじ:大阪・堺で幻の利休の茶器をめぐって大勝負を仕掛けた古物商の則夫と陶芸家の佐輔が、ひょんなことから京都で再会を果たす。そこで出会った着物美人の志野にほだされた2人は、利休の茶の湯を継承し、天下一と称された武将茶人・古田織部の幻の茶器にまつわる人助けに乗り出すが……。

<感想>「あるかもしれない」と思わせる古田織部の幻の茶碗”はたかけ”を主役にしたことで、破綻しがちなコンゲームが自由かつ無理なく展開していく物語。その”はたかけ”に振り回される人々の人間模様も、鮮やかに浮き上がっていく。特筆すべきは、あの相変わらず冴えない人生を送っている、古物商の小池則夫と陶芸家の野田佐輔。古物商の則夫役を中井貴一、陶芸家の佐輔役を佐々木蔵之介がそれぞれ演じ、志野役で新たに広末涼子が参加している。

本作では、幻の茶器「はたかけ」を騙し取られたという女性・橘志野が則夫の店を訪ねてくる。 彼女のけなげな想いにほだされ、2人は助けに乗り出すことに…。 則夫は陶芸家の佐輔にその贋作を作らせるのだが、それがネットオークションに出品されていることを知り、橘志野を調査することになる。するとこれには、有名古美術店の主人加藤雅也による贋作ビジネスが絡んでいた。お宝コメディ第2弾。

主人公の骨董コンビ。中井貴一と佐々木蔵之介の垢抜けない、やぼったい感じが邦画の喜劇に似合い、親近感がわく。1作目の成功を受けてか、広末涼子を筆頭に新顔の俳優陣も多彩に。主役2人と広末の恋のさや当てで娯楽色が増していた。居酒屋「土竜」に集う贋作師3人組(坂田利夫、木下ほうか、宇野祥平)が今回もいい味を添えて熟練の芸を見せている。

今作では最初から贋作感がいっぱい。広末涼子の和服が似合う美人に騙される男二人。一転して、広末涼子がクラブのホステスを演じているところでは、真っ赤なドレス姿が凄く似合ってました。まぁ、男を騙すのには美人の和服姿も詐欺師っぽい演技の一つだと言われれば、その通りに決まっている。

普通なら手間暇がかかるだけで儲からない依頼は受けないが、はんなりとした京美人となれば話は別。そろいもそろって、美女に弱い骨董コンビが、またまた一発逆転を賭けて悪徳古美術商に挑みます。成功しないのは、人を騙すのが上手いとは思えない国民性によるものか。コンゲームものの要諦は、客を騙すことにあるが、この映画では騙し切れていない。何よりもアイテムが、庶民には馴染みの薄い幻の茶器では、興味がもてないのだ。

危なげない娯楽作品ではあるが、ただし見終わってみると、謎の女にするあまり広末の橘志野なる正体が最後には不明になっていた。国家ぐるみの悪だくみがあれでは、暴かれないままなのではないかと。腑に落ちない点も多々あるが、少なくともTVの生中継だけは本物だったとすべきで、今作では、TV局や国の機関まで巻き込む、大掛かりな勝負にでるのもよかったです。そんな中で、出番は少なかったものの古物商の小池則夫と陶芸家の野田佐輔をだますのには 野田佐輔の息子がメイクアップ・アーティストになっていたところに、映画愛を感じることができます。


2020年劇場公開、鑑賞作品・・・20アクション・アドベンチャーランキング

 

 

 

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1917 命をかけた伝令★★★★・5

2020年02月25日 | アクション映画ーア行

「007 スペクター」「アメリカン・ビューティ」などで知られるオスカー監督である名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマ。若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクの2人が、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく姿を、全編ワンカット撮影で描いた。

あらすじ:1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続き、消耗戦を繰り返していた。そんな中、若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。戦場を駆け抜ける2人の英国兵をジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ=チャップマンという若手俳優が演じ、その周囲をベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングらイギリスを代表する実力派が固めた。撮影は、「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組んだ名手ロジャー・ディーキンス。第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む10部門でノミネートされ撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞した。

<感想>本作は、第1次世界大戦下に参加した2人の若きイギリス兵の“ある1日”を描いた作品。イギリス兵のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)が、進軍する仲間と兄弟が所属する1600人の友軍兵士たちに、将軍から明朝までに「作戦中止命令」の重要な伝令をする任務を与えられる。そのまま前線で進んで戦えば、敵軍のワナにかかり、大勢の仲間が死ぬことになる。

主人公にマッケイとチャップマンは無名の俳優だが、監督は「観客には2人の目を通して新たな体験をしてほしいから、無名俳優を起用したというのだ。マッケイがスタントを使わずに自ら激流に飛び込む姿や、地雷や狙撃兵が待ち受ける地獄の戦場を突きっきり、任務を完遂するために砂の塊が容赦なく舞う戦場を駆け抜ける身体を張ったアクションに挑む場面もあり、臨場感たっぷり。

果てしなく続く塹壕、打ち捨てられたドイツ軍の陣地、廃墟と化した町など、唖然とする壮大なるスケールで再現された戦場をカメラは突き進む。

観る者に究極の没入感を与えるべく生み出された映像は、どこかシューティングゲームを連想させ、テンポよくステージが変わっていく構成もゲーム的である。まずは未曽有の映像アトラクションとして楽しむべきだろう。

また、メインキャラクターにはあえてほぼ無名の役者を起用したが、コリン・ファース、マッケンジー大佐には、ベネディクト・カンバーバッチが、ブレイクの兄には、マーク・ストロングが、アンドリュー・スコット、リチャード・マッデンといった有名俳優がカメオ出演を果たしていることも今作の魅力。

「007 スペクター」「007 スカイフォール」で活躍したプロダクション・デザインのデニス・ガスナー率いる美術チームが史実に忠実な塹壕や廃墟を作り上げ、照明チームがディーキンス監修のもと夜間シーンの撮影に試行錯誤する様子なども映し出され、すべてのクルーがリアルタイムで物語を描くことを徹底的に追求していたことがわかる。撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞

重要な任務を命令された二人の兵士は、伝令が間に合わなければ、1600人の味方全員が命を落とすのだ。その中には、ブレイクの兄も含まれていた。一刻の猶予もないなかで、二人の兵士は危険に満ちたドイツ軍の占領地に分け入っていくのだった。これって、あと1日でも早くに任務を受けていたらば、という思いで悔しく思いましたね。日本だったら、早馬に乗ってとか、それでも飛脚のように、眠らずにひたすら走って伝えることでしょう。

それも、全編ワンカットという手法が話題の本作。3人目の登場人物として前代未聞のカメラワークを要求された撮影監督ロジャー・ティーキンズは、爆撃の中で走るシーンは、とにかくクレイジーだったとか、そのシーンを振り返って観ても臨場感たっぷりで興奮覚めやらずですね。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・16  アクション・アドベンチャーランキング

 

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男はつらいよ お帰り 寅さん★★★★

2020年02月05日 | アクション映画ーア行

山田洋次監督による国民的人情喜劇「男はつらいよ」シリーズの50周年記念作品。1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、97年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」以来、22年ぶりに製作された。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らに加え、シリーズの看板俳優であり、96年に亡くなった渥美清も出演。さらに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子と「男はつらいよ」でおなじみのキャストが顔をそろえる。

あらすじ:柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた。その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男の妻の7回忌の法事で集まった人たちが昔話に花を咲かせていた。サラリーマンから小説家に転進した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミの姿があった。イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリーが経営する喫茶店だった。

<感想>渥美清主演の伝説的人情喜劇シリーズ『男はつらいよ』の映画シリーズ開始50周年記念作にして、第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)から約22年ぶりとなる第50作です。シリーズの生みの親である山田洋次が自身の監督作通算88作目となる本作でもメガホンを執り、新規に撮影された部分と4Kリマスターされた過去の厳選されたシーンを融合、寅さんの甥の満男と初恋の人イズミの再会がこれまでの登場人物の“今”と共に綴られていきます。吉岡秀隆、倍賞千恵子、前田吟らオリジナルのレギュラー陣に加えて23年ぶりの女優復帰となる後藤久美子、往年のマドンナ役の浅丘ルリ子らが出演、主題歌をサザンオールスターズのリーダー桑田佳祐が歌っています。

物語は、今は小説家として働いている満男の物語で進行していきます。結婚して妻が6年前に亡くなり、中学3年生になる一人娘のユリ(桜田ひより)と暮らしています。出版社に向かった満男は、担当編集者の高野節子(池脇千鶴)から著書のサイン会開催を提案されますが、恥ずかしいからという理由で断りました。

後日、満男の亡き妻の七回忌が柴又の実家で営まれ、満男の母で寅さんの妹のさくら(倍賞千恵子)、満男の父・博(前田吟)、ユリ、妻の父・窪田(小林稔侍)らが集い、先代からその座を受け継いだ御前様(笹野高史)を迎え入れて法要が始まりました。

その後に、やっぱりサイン会に行くことにした満男は、何だか寅さんに似ているような感じがしました。優柔不断で、直ぐに決断できないところなんてそっくりです。

そのサイン会で、あの初恋の人泉と再会することになるからです。泉は今やヨーロッパで結婚してイズミ・ブルーナと名乗り、国連難民高等弁務官事務所の職員として働いているのです。丁度日本に来ており、満男のサイン会で巡り合うわけなんですね。

久しぶりに再会を果たした満男は、イズミを寅さんのかつての想い人だったリリー(浅丘ルリ子)の経営する神保町のジャズ喫茶に連れて行きました。イズミには既に二人の子がおり、満男も娘がいることまでは話しましたが、妻に先立たれたということまでは話せませんでした。リリーと再会を喜び合ったイズミは、どうして寅さんと結婚しなかったのかとリリーに問いかけてみました。リリーはかつて、さくらを通じて間接的にプロポーズを受けたことを明かしましたが、それを聞いた満男はいつも肝心な時に自分から逃げ出す寅さんの悪い癖を思い出しました。

満男はイズミを両親の住む柴又の実家の2階に泊まることをすすめると、両親のさくらと博は喜んで迎え入れ、次の日には、満男が神奈川の介護施設で暮らす泉の父・一男(橋爪功)に会いに行くという彼女を車で送ることになります。

満男の家では高野がユリに英語を教えつつ帰りを待っており、編集長から依頼されている書き下ろし小説の話をしてきました。高野さんも、本当は満男が好きなようですね。帰った後で、寅さんは自らの恋愛をはぐらかす満男に「思っているだけで言葉で言わないと何もしないと同じだ」という言葉を思い出すのでした。

満男の娘ユリもまた、お隣の朱美の息子・浩介(中澤準)に好意を持っているようです。仏壇のメロン事件で、さくらが、昔、叔父さん夫婦やみんなでメロンを切って食べていると、そこへ寅さんが帰って来て自分のメロンが無いことで、喧嘩になった思い出を振り返るのです。

しかし、満男は明日にもヨーロッパに戻る泉と離れる寂しさを、寅さんに聞いて欲しくてたまりませんでした。おじさんが生きていたらなぁと。いつも優柔不断で物事をハッキリと決められない性格の満男。

別れ際に満男は、泉の負担になると思って妻の死を明かさなかったことを打ち明け、泉は「満男さんのそういう所が好き」とキスをしてきました。思いがけない泉の心を知り、満男は内心嬉しくてたまりません。

帰宅した満男は、娘のユリから「この3日間、パパは遠い所に行ってた気がしたから」と言われた。満男は編集員の高野さんに依頼されていた、書き下ろし小説を書くと連絡し、タイトルを「お帰り 寅さん」と決めたのです。小説の中では、寅さんはものすごく美人な奥さんと結婚をして幸せそのものでした。満男は寅さんから「困った事があったら風に向かって俺の名前を呼べ。どこからでも飛んで来るから」と言われたことを思い出して、懐かしくおじさんの思い出に浸るのでした。

満男くんの回想シーンでは、たくさんの亡くなった人たちが出て来て、とても懐かしくもあり、涙が出て来るシーンもありました。満男くんには、寅さんが一番の尊敬する人であり、相談ごとをする人でもあったようですね。寅さんの大ファンであり、また喜劇人としての渥美清さんの演技と、存在感には改めて懐かしく感じ入りました。まだ寅さんが生きていたらと、そう思いつつ、とてもいい作品に仕上がってました。

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・9  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アイリッシュマン★★★・5

2020年02月02日 | アクション映画ーア行

「タクシードライバー」「レイジング・ブル」など数々の名作を生み出してきた巨匠マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、「カジノ」以来22年ぶり9度目のタッグを組み、第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生を、ひとりの殺し屋の目を通して描いた力作。脚本は「シンドラーのリスト」「ギャング・オブ・ニューヨーク」のスティーブン・ザイリアン。Netflixで2019年11月27日から配信。日本では第32回東京国際映画祭のクロージング作品としても上映。

あらすじ:伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えた実在の殺し屋で、1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファをはじめ、多くの殺人事件に関与したとされるフランク・“アイリッシュマン”・シーランをデ・ニーロが演じるほか、ジミー・ホッファ役のアル・パチーノ、ラッセル・バッファリーノ役のジョー・ペシと、ハリウッドのレジェンド級俳優が豪華共演する。

<感想>巨匠マーティン・スコセッシが新境地を拓いたマフィアものの秀作である。主人公は“アイリッシュマン”のフランクを演じているロバート・デ・ニーロが、老人ホームでの回想劇から始まる。本当だったら、警察に捕まって死刑宣告ならび、永久に刑務所暮らしだろうに、今まで何人を殺して来ただろうか。数え切れないくらい、気に入らなければ、特にイタリアンマフィアであるはハーベイ・カイテルが影のボスであり、その子分がラッセルというジョー・ペシが演じている。

とにかく、昔の話なのでみんなCG加工で若いです。精肉(牛肉の塊)を運ぶトラックの運転手として働いているフランクが、肉塊を横流しながら生計を立てていた。それが、ある時、トラックに積んである肉の塊が盗まれるという事件が発生する。会社から訴えられるフランクは、有能な弁護士ビル(レイ・ロマノ)を雇い、彼の手腕により無罪になります。

弁護士とレストランで祝杯をあげようと入った店で、イタリアンマフィアのボス、ラッセル・ファブリーノ(ジョー・ペシ)を紹介されます。ラッセルとは、前に彼の乗っていた車のエンジン・トラブルで、フランクが巧く修理をしてやるわけ。まさか、レストランでその男、ラッセルに気に入られとはね。フランクはラッセルの組織との関係が密になります。

殺しの場面があるかと思うと、教会で赤ん坊の洗礼の場面もある。暗殺の次には、教会での娘の結婚式があるのだ。実話であり、マフィアの殺し屋の人生を描いているのだ。世界一豊かな国として繁栄を誇った戦後のアメリカには、こんな日常的に暴力、殺人が行われていたのかと驚く。

クリーニング店に出資しているウィスパーズからライバル店を潰してくれと頼まれ、(殺し屋)実行します。後日、フランクは組織から呼ばれ、そのライバル店は組織と仲の良いユダヤ系マフィアが、投資をしていることを知らされて、フランクはケジメのためウィスパーズを殺めます。まるで殺し屋稼業ですよね。

それからフランクの元に組織の汚れ仕事が増えていくわけで、淡々と仕事をこなす彼は、ラッセルから全米トラック運転手組合のボスであるジミー・ホッファ(アル・パチーノ)を紹介されるのです。そして、フランクはジミーの依頼をこなし、認められ、ジミーの右腕として働くこととなります。

ジミー役のアル・パチーノは、始終ドスの利いた声を張り上げ貫禄充分の演技です。フランクのデ・ニーロは、よきパパであり、と同時に殺し屋。この男の中では、暴力と日常生活が同居している。それはアメリカ社会の裏表のあらわれになっているようだ。マフィアの一員となったフランクは、大物ボスの指示で次々と殺人を繰り返す。いきなり拳銃で殺すのだ。その拳銃は川に捨てる。川底に無数の拳銃が沈んでいた。

その後、イタリアンマフィアの念願であるアイルランド系の大統領が、誕生するのですが、しかし、それはマフィアとの縁のある人物ではなく、ジョン・F・ケネディでした。それで自動的に、弟ロバート・ケネディが司法長官に任命され、FBIを使っての捜査や盗聴を行い、ジミーを攻撃し始めるのです。

ジミー(アル・パチーノ)は、陪審員の買収などあの手この手を使って捜査をかわすのですが、その時、ケネディ大統領がダラスで狙撃されるのです。そうそう、こんな時代でしたね。

ケネディ大統領の死後、ジミーは組合年金の不正運用で詐欺罪となり、逮捕されるのです。ジミーが刑務所に入っている間、部下のフィッツ(ゲイリー・バサラバ)に年金の運用を任せますが、裏切られてしまいます。

そこでジミーはユダヤ人のドーフマンに命じて、フィッツのマフィアへの融資を止めます。怒ったラッセルは、フランクにドーフマンへの威嚇射撃を命じます。またもや、殺し屋フランクの出番ですね。なんか、ラッセルのいいように扱われている気がするのですがね。

また、別の組織のボスのトニー・プロ(スティーブン・グレアム)が恐喝により投獄され、トニーは、ジミーに年金を取り返してほしいと頼みますが、ジミーは断り、喧嘩になってしまう。

それから数年経ち、ニクソン大統領の特赦によりジミーは刑務所から出所。フィッツは全米トラック運転手組合のボスとなり、トニーと親しくしていました。ジミーは、再び全米トラック運転手組合のボスとなるために、トニーと会いますが、再び喧嘩をしてしまいます。ジミーは自分勝手であり、フランクにも融通を利かすようにと耳打ちして、絶対に返り咲きたいジミーは、組合がマフィアと関係を持っていることを公表したりして、マフィアへの融資を止めたりするのです。

そのことで怒ったラッセルは、フランクにジミーに忠告することを命じます。その時、ラッセルは、フランクに世界に3人しか持っていない指輪を渡すのです。組織と友人であるジミーとの板挟みになったフランクは、ジミーに渋々忠告します。しかし、ジミーはこの組合は俺のものだと言って聞き入れません。

結局は、ラッセルの命令でジミーを殺すようにと言われる。迷いながらも、自分は“アイリッシュマン”だと自覚して、ジミーを殺害するのですね。その後、フランクとラッセルは共に逮捕され、時は経ち、刑務所生活の中でラッセルもフランクも老人になってました。

人間の最後ということを痛感せざるを得ないですね。老人ホームで、牧師に懺悔をして自分の半生を悔やみ、祈るのです。若い時は、妻や娘たちと仲良く食事を囲んでいる風景を目にしましたが、孤独となった老人のフランクを誰も訪ねる人はいません。

ロバート・デ・ニーロ演じる、ホッファの右腕を務めていたフランク・シーランが、ライターのチャールズ・ブラントに自分の過去を語るシーンから始まります。それによって書かれたノンフィクション『I Heard You Paint House』(1999)が本作の原作となっています。

 

2020年劇場公開、鑑賞作品・・・7  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アナと雪の女王2★★★★

2019年12月09日 | アクション映画ーア行

世界中で社会現象を巻き起こし、日本でも歴代3位となる興行収入255億円を記録した大ヒットディズニーアニメ「アナと雪の女王」の続編。前作に続きエルサとアナの声をイディナ・メンゼルとクリステン・ベル、日本語吹き替え版では松たか子と神田沙也加がそれぞれ務め、監督も前作のクリス・バックとジェニファー・リーが続投。

<感想>世界中でブームとなり、新たな記録を次々と打ち立てた「アナと雪の女王」が5年ぶりに帰って来た。劇場版以外にも、スピンオフや短編、ゲームに舞台版も作られるなど、いまだ熱狂が冷めやらぬ中で、本作はエピソード・ゼロ的な物語を含む姉妹の謎が紐解かれる。

その続編となる本作では、監督コンビや歌曲を手掛けるロバート&クリスティン・アンダーソン・ロペス夫妻が続投。第一作から3年後を舞台とした物語の軸となるのは、不思議な声に導かれたエルサとアナの旅である。

冒険の中で、触れたものを凍らせるエルサの力の秘密や、姉妹の知らざる過去が明かされる。姉妹は仲間のクリストフとスヴェン、そしてオラフと共に、エルサの魔法の力を解くべく、未知なる冒険の旅に出る。

何故にエルサにだけ、雪と氷を自由に操る魔力が与えられたのか。その答えを求め、踏み込んだ世界で姉妹を待つ者とは?・・・エルサが歌い上げる「イントゥ・ジ・アンノウン」は、ネットでも話題沸騰中だ。

ただし正直言うと、前作の「レット・イット・ゴー」程、キャッチーで人気出そうな曲ではなかったなと思います。

物語は、まだエルサとアナの姉妹が子どもだった頃、健在の両親の愛情を受けながら平穏な日々を過ごしていたある日の夜、父アグナルが語ってくれた過去の話から始まります。

昔々、ノースルドラ族という精霊の力を使いこなす種族がいて、「火、水、風、土」この4つの力を駆使することで、森の中でも独自の文化を持ちながら暮らしていました。アグナルがまだ少年だった頃、アレンデール王国はアグナルの父(エルサとアナの祖父)が統治していて、このノースルドラ族と友好を築き、その証としてダムを建造するのです。

しかし、その両者の融和を祝ってみんなが集まって楽しんでいた晩。問題が起きました。突如、ノースルドラ族が襲いかかり、あたりは騒然。アグナル少年だけが誰かに助けてもらい、なんとか国に逃げかえり、国王になったのでした。あの森は霧に覆われ、人を寄せ付けなくなったのだとか。アグナルの妻にして、母イドゥナの子守歌で眠りにつくエルサとアナ。

 

それから幾年も経ち、困難を乗り越え、氷結した姉妹愛を復活させて、見事に女王としてアレンデール王国をまとめていたエルサは、不思議な声を聞きます。それは自分にしか聞こえない歌声のようなもの。

そして、アナにプロポーズしようと必死になるクリストフ、クリストフの良き友人であるトナカイのスヴェン、動く雪だるまオラフ。みんなと一緒に他愛もなく遊ぶ間にも歌声は聞こえてくるのでした。

そんな中で、アレンデール王国の街に異変が発生います。街からは火が消え、水が無くなり、強風が吹き荒れ、大地がうねり、住人たちは高台となる山へ避難せざるを得ないことになるのです。

そして、エルサはこの謎の歌声の正体を、突き止めなくてはいけないという使命感を抱き、アナ、クリストフ、スヴェン、オラフとともに旅に出るのでした。

4本の目印の石が建っているところは、かつてノースルドラ族がいたと父に聞かされた、森にたどりついたみんなは、森の中へ霧に誘われるように入ると、戻れなくなり、そこへ、ノースルドラ族とアレンデール王国の警備隊に囲まれてしまう。なんと両者はあの一件以来、ずっとこの森から出られず、対立し続けていたようですね。

火の精霊(カエル)と風(木の葉)の精霊とが仲良くなるエルサは、いがみあう人間両者に事情を説明し、両親が水難事故で帰らぬ人となった難破船を発見。そこで自分たちが知らない両親の秘密を知ります。昔、少年だった父を助けたのはノースルドラ族の母だったのです。つまり、自分たちは睨み合う両陣営をつなぐ子どもでもありました。

エルサはさらなる秘密を求めて、ダーク・シーの向こうにある全ての過去を知ることのできる場所へ一人で向かいます。そのためには荒れ狂う海を乗り越えなくてはいけません。一方、アナは危険だからとエルサに氷の力で追いやられてしまい、オラフと一緒に土の精霊アースジャイアントが蠢く洞穴に迷い込んでしまいます。

エルサの前に、馬の形をした水の精霊が現れ、その馬を乗りこなすことで大波を突破して、海を駆け抜けることに成功したエルサは、ついに自分が能力を授かった意味を知ります。そして、アナもまた自分の祖父が無防備なノースルドラ族の長を先に攻撃し、騒乱を引き起こした原因だと知り、だから、森を阻害するあのダムを破壊しようと決断するのです。

前作で自分の能力への劣等感を克服して、かつ統治者としての責任にも目覚めたエルサ。続編となる本作では、そんな彼女の能力に焦点をあてて「なぜエルサは能力を手にしたのか」という疑問に答える物語になっています。

結論から言えばエルサは第5の精霊であり、人と精霊を繋ぐ架け橋を担う存在として、アレンデール王国の女王の座をアナに譲り、自らはその架け橋としての役目を全うすることになるのですね。実はエルサ達の母はノーサンドアの住民だったのです。

その戦いの原動力となるのは、前作同様“姉妹の愛”危険に挑むエルサと「何があっても一緒よ」と、姉を支えようとするアナの言葉に感無量でした。

魔法の森の仲間として、クリクリとした瞳がキュートなトカゲのような生き物で、エルサの手に収まるほど小さい生き物のサラマンダーの“火の妖精“に、”風の妖精”の枯れ葉たち。そして“土の精霊”のアースジャイアントという、大きな岩の精霊たち。このアースジャイアントたちが、岩をダムに落として壊すことになるのです。そのことで、小さなダムの下の街アレンデール王国が、ダムの放水により水の下になるのを、なんとエルサが、氷の柱を建てて水の流れを防ぐのですね。

氷の世界が中心だった前作から一転して、本作で描かれるのは広大な森や草原など冒険の世界ですね。前作で見られなかった王国以外の世界が、美しい映像で映し出されるほか、エルサが闘うダイナミックなシーンにも注目です。吹き替え版で観たので、エルサの松たか子さんの歌声が響き渡り素敵でした。それと、アナの神田沙也加さんの歌声も透きとおっていてとても良かった。

それに、今回は、アナにプロポーズをするクリストフの心情も上手く伝えられていて良かったし、オラフが途中でバラバラになって消えてしまうところや、最後には元に戻ってみんなと歌うところとか、とにかく心温まる内容でした。

 

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エンド・オブ・ステイツ★★★★

2019年11月30日 | アクション映画ーア行

 「エンド・オブ・ホワイトハウス」「エンド・オブ・キングダム」に続くジェラルド・バトラー主演のアクション・シリーズ第3弾。献身的に大統領を警護するシークレット・サービスとしての立場から一転、大統領暗殺未遂の容疑で追われる身となってしまった主人公マイク・バニングの運命を迫力のアクション満載に描く。共演はモーガン・フリーマン、ジェイダ・ピンケット=スミス、ダニー・ヒューストン、ニック・ノルティ。監督は「ブラッド・スローン」のリック・ローマン・ウォー。

あらすじ:これまでシークレット・サービスとして数々の危機に立ち向かい、アメリカ合衆国大統領と世界を救ってきた英雄マイク・バニング。ついに大統領にまで上り詰めたトランブルの信頼も厚い彼だったが、もはや酷使してきた肉体は限界寸前で、引退を真剣に考え始めていた。そんなある日、休暇中の大統領が湖で釣りを楽しんでいるところへ大量のドローンが飛来し、爆撃を開始する。間一髪のところでドローン攻撃から大統領を守ったマイクだったが、意識を失いそのまま病院へ運ばれる。しかし意識を取り戻した彼は、大統領暗殺未遂容疑でFBIに拘束されてしまう。いまやあらゆる証拠がマイクを犯人と示していた。やがて隙を突いて逃走したマイクは、自らの疑惑を晴らし、巨大な陰謀に立ち向かうべく、ある男に協力を求めるのだったが…。

<感想>このシリーズ、「毎回テロリストのそんなバカな?」という作戦で、アメリカ政府が冒頭から壊滅状態に陥るのだが、この最新作でも御多分にもれず冒頭の、マイク・バニングを罠にかけるべく、大量のドローン爆弾が湖上を舞う異様な光景から始まり、ラストの大病院での大乱闘騒ぎまで、息つく暇もない、まさにクライマックスの連続である。

今作では、何度もその危機を救ってきた主人公マイクが、罠にはまって、テロの容疑者となり脱走、政府、テロリストの双方から追われることになる。アクション映画ではよくあるパターン、ほとんど「落語」だと思って観ると細部の仕掛けを楽しめること間違いない。

もともと老け顔のジェラルド・バトラーは、ますますオッサン化してきた。女性客にはまったくウケないだろうが、そこがいいんじゃないの。でも、嫁だけ若いのが理解不能。

第3作でも、相変わらず市街戦では派手にドンパチの連続、微妙にB級の味わいを残しているのが通好み。時系列もシリーズ通りに一貫して、オッサン化したバニングは、シークレット・サービス長官職を打診されるも、身体もメンタルもボロボロで薬漬け状態。なのに、現役も続けたいしでウジウジ。

強力な支援者だったアラン・トランブル=モーガン・フリーマンは「エンド・オブ・ホワイトハウス」では下院議長、「エンド・オブ・キングダム」では副大統領、から順調に出世をして、ついには大統領に就任。

ストーリーは例によって国家転覆を狙うテロとの戦い。ホワイトハウスのマスコミにむかついて休日は無防備な湖で釣りをしたいと、ワガママを言う大統領を無数のドローン兵器が急襲する。あっと言う間に全滅で、おかしくない現場で唯一生き残った大統領とバニングだったが、気が付けばテロ首謀の容疑者としてFBIに拘束され、マスコミのさらし者。

放置しときゃ完全犯罪だったものを、なぜかテロ集団が電磁波兵器まで使って救出、例によって無能な実行犯たちをドツいて脱出、追われる立場となるバトラー、必死の逃亡劇となる。

男の戦いは生き延びることよりも、勝ち負けをつけたがるスポーツ感、ゲーム感がどうしてもつきまとう。最後の決戦で向き合うヒーローとヴィランは、戦争ごっこに熱中する男二人。本作でも力まかせにスクラムを組むような骨太の展開で、男たちを十分に楽しませてくれる。

美しかったのは、日本映画には頻出するのに外国映画では、なかなか見ない建物の屋上を最後の死闘の舞台に選んでいることだ。ヘリポートで炎上するヘリは、ゲーム神への供え物なのかもしれない。

今回は、マイクのファミリーも凄い。ベトナム戦争で人生を狂わせ、失踪した父親クレイ(ニック・ノルティ)の、この父にしてこの子あり的な、あきらめの悪い、血がたぎるような戦術は痛快であった。特に、森の中の小屋で隠遁生活している父親が、森の中に素晴らしいワナの爆弾を仕掛けて、なんと予想を裏切るマッドボンバーぶり。

80年代であれば、この手の主役をやっていたはずのニック・ノルティ、その役どころと登場シーンにニヤリとほくそ笑む私がいた。ぜひともスピンアウトで、ハードなジジイアクションを演じて欲しいですね。エンディングで裸になったら、まだまだ現役マッチョでさらに驚いた。エンドロールが終わるまで、ぜひ席を立たずに堪能されたし。

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オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁★★・5

2019年11月27日 | アクション映画ーア行

標高8,848メートルを誇る世界最高峰のエベレストを舞台にした、日中合作のスペクタクル。救助隊が墜落した飛行機からの機密文書回収に挑む。監督と脚本をユー・フェイ、製作を『フェイス/オフ』などのテレンス・チャンが務める。『孤狼の血』などの役所広司、『ゴールデン・スパイ』などのチャン・ジンチューのほか、リン・ボーホン、ヴィクター・ウェブスターらが出演する。

あらすじ:ヒマラヤ一帯の平和を守るために、周辺国がヒマラヤ公約を締結する会議を開くことが決定した。しかし、ヒマラヤ地区の平和を揺るがしかねない内容が記された機密文書を載せた飛行機がエベレスト南部に墜落してしまう。ヒマラヤで活動する救助隊のWingsに、機密文書回収のために動いているというインド軍の特別捜査官からガイドの依頼が舞い込む。不審なものを感じながらも引き受けた隊長のジアン・ユエシュン(役所広司)は、隊員のシャオタイズー(チャン・ジンチュー)、ヘリパイロットのハン(リン・ボーホン)とエベレストの頂に向かう。

<感想>役所広司が救助隊の男気あふれるリーダー役を演じ、雪原でのタイマン勝負から氷柱につかまってのアクションまで、スタントに頼らず自分で挑戦したと言うから凄い。救助隊での仕事と思いきや、デスゾーンに墜落した飛行機の中から、重要機密文書を回収せよとの仕事に、初めは断っていたが、会社が赤字続きで金になるからと引き受けたはいいが、それが一緒に登山をする2人のインド軍の特別捜査官という男2人が怪しいときてる。

しかし、背に腹は変えられぬと金になる仕事とあらば引き受けてしまった以上やるしかないのだ。エベレスト登山といえば、途中で死人が大勢出るという冬山。ベテランの登山者でも、山の天気には苦労の連続で、隊長でさえ山の天気を見て下山を選ぶ時もあるのだ。女のシャオタイズーが一番先に狙われて、雪の谷へ突き落とされてしまうが、途中で気を失っただけで立ち直る。

そこへ救助のヘリが来るも、悪党がヘリを機関銃で撃ち、ヘリが墜落してしまう。それにパイロットのハンは、助かったものの悪党の拳銃で撃たれ重傷を負ってしまう。その悪党をうまく谷へ落として2人が助かるものの、シャオタイズーが、デスゾーンまで男子顔負けのロッククライミングで氷の壁を上り、デスゾーンの墜落飛行機まで登るのに感心した。

だが、そこにも残った悪党の一人が来て、拳銃を使ってシャオタイズーの持っている重要機密書類を渡せと詰め寄る。その書類を発煙灯で燃やしてしまうシャオタイズーの勇ましさに拍手。もう一つは、そこからがまたもや格闘がある。悪党とシャオタイズーに、生き残ってた隊長の役所の3人が、生きるか死ぬかのシーンには、悪党のしぶとさに呆れかえり、頭のいいシャオタイズーが背中のパラシュートを開くシーンにも感動した。だが、そこで役所隊長と悪党の2人が、手を放してエベレストの餌食となる。

ですが、武器商人である悪党の2人連れが、銃を片手に一人ずつ隊員を殺していくのには、隊長も怒り心頭。しかし、吹雪に視界がダメで、前に進めない時もある。デスゾーンが近くになると邪魔者の隊員たちは、始末してしまうというのだ。吹雪いている中での格闘や、ナイフやピッケルでの格闘では、隊長が腹を刺されるし、手に汗にぎる登山テクニックの数々は迫力満点ですから。

カトマンズで平和のために、ヒマラヤ国際会議にまつわる怪文書取得の陰謀。開催までにその重要書類が必要だというが、それがあると戦争が勃発しかねないことを知り、シャオタイズーが燃やしてしまうシーンも良かった。

ですが、作劇も収まりが悪く、語りの浅い過去の出来事や、記憶に趣を置いたりして、危険な任務中の死が簡単すぎて呆気なかったりなどと、醍醐味に至らない徒労感が大きいのだ。

余りにも登場人物が死んでいくために、応援したくなるどころか、観ていて心の置き場がなくなり、投げやりな気分になってしまっていた。

さまざまな頂上を征服しようとする、人間の本能的欲望が交錯している。それが、この映画の在り方とも言えるのだが、しかしそれゆえに、余計に世界観が小さく見えてしまった。

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おいしい家族★★★

2019年11月22日 | アクション映画ーア行

<若手映画作家育成プロジェクト2015>で短編「父の結婚」を手がけたふくだももこ監督が、同作を長編化したヒューマン・コメディ。母の三回忌に帰省したヒロインが、母の姿をした父に戸惑いながらも、新しい家族のかたちを少しずつ受け入れていく姿をやさしい筆致でユーモラスに綴る。主演はTV「ひよっこ」の松本穂香。共演に浜野謙太と「父の結婚」に続いての出演となる板尾創路。

あらすじ:夫とは別居中で、仕事もうまくいかず都会での生活に疲れ気味の橙花。母の三回忌に故郷の離島に戻ってきたそんな彼女を実家で待っていたのは、亡き母の服を着た父・青治の姿だった。橙花の動揺をまるで気にする様子もない青治は、追い打ちを掛けるように結婚するつもりだと報告、新しい家族としてお調子者の居候・和生とその連れ子の女子高生・ダリアを紹介する。まるで状況が理解できずパニックになる橙花とは対照的に、周囲の人々は意外にも青治の言動をすんなりと受け入れていた。それでも、どうしても父の決断を認めることができず、反発を強める橙花だったが…。

<感想>実家に帰ると、父が母になっていました。作品で描かれるのは、性別や国や血縁や年齢など、あらゆる差別や、区別を軽々と飛び越え、誰もが好きな人とともに、“居る”ことができるユートピア的な世界と、新しい家族のかたちを描いている。

舞台は離れ島で、仕事も夫婦関係も上手くいかず、都会に疲れた長女の橙花が、母親の三回忌に故郷の島へ帰郷すると、そこには父親が亡き母親の洋服を着ていた。父親は母親になりたい、そして居候・和生という男と結婚して家族になるというのだ。頭を抱える橙花に対して、平然と接する弟夫婦。この弟も妻をスリランカ人の女性と結婚するというのだった。それに、妻のお腹も大きいし出産間近である。

実家に帰ってのんびりしようと決めていた娘は、迷いながらも日々食卓を囲み、互いに知り合い、徐々に新しい家族の形を見つけていくのだった。

その日々の食卓には、必ずといっていいくらいおはぎが出て来る。つまり亡き母親が良く作っていたおはぎだ。つぶあんだから、東北ではぼたもちともいう。おはぎは、こしあんで作るのでね。

それに、実に不思議な感じのする父親の女装姿に、あまり違和感を感じられなかった。別に女言葉を使うわけでもなく、自然に母親観たいに一家の大黒柱敵存在になっていた。職業は、高等学校の教頭先生だったかな。真面目に学校へ行ってるし、學校でも先生方も、生徒たちも女装姿の教頭先生にたいして、からかうなんてことはしないのだ。

まるで作品は、監督の生まれ変わりのようだと思った。持ち前の茶目っ気たっぷりと、どことない刹那さ。監督自身が何処までも優しく、自立した視線と人との愛着が深いからこそ、描かれる登場人物たちは当たり前のように、個々の選択を受け入れ、肯定、共に生きようと出来るのだろう。

「誰かを傷つけなければ、好きなように生きたらええ」という監督の言葉が、映画の中に息吹くのだ。作り手の想いや志しには、100%同意する。だが、善人しかいない離れ島で、都会に疲れた女が、彼女にとっては、「普通ではない」大家族に反発しながらも、食卓を囲み、多様な愛にふれて、たった数日で意識が変わる理想主義的な展開が、逆に息苦しかったように見えた。

それに、亡き妻の洋服を着て化粧までして、母親になろうとする父に対する幻滅と、嫌悪感が見えるのは当たり前の事で、その後で父親がどのように説明し、納得のいく形で見られるのかと思って期待したが、ダメだった。

奇異な設定は、腑に落ちてこそ意味があるが、そのままほったらかしになっているのだ。つまりは、父親は一緒に住んでいれば、愛さえあればどんな形であれ、それでいいのだ。その内に家族となっていくからということなのか。

それにだ、何となく父親と結婚した和夫には、女子高生のダリアという連れっ子がいる。その子供とも姉として仲良くしなければならない。このままこの家に住むのにはだ。それと、父親と和夫の関係は、どうみても夫婦には見えない。生活をする上での建て前として、結婚という形を取ったのかもしれない。父親の青治役の板尾創路さん、この役者さんはどんな役でもこなして上手いので、観ていて違和感がなかったです。

それでも、父親は鏡台の前で化粧をして、花嫁衣裳を着て、和夫と結婚式を上げるというケジメをつけるのだ。これだったら、これからも家族として上手く暮らして行けそうに見えた。

 

2019年劇場鑑賞作品・・・172  アクション・アドベンチャーランキング

 

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