パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ★★★★★

2016年04月30日 | アクション映画ーサ行
マーベルコミックスの人気キャラクターを実写映画化した『キャプテン・アメリカ』のシリーズ第3弾。アベンジャーズのメンバー同士でもあるキャプテン・アメリカとアイアンマンの対立を、あるテロ事件と絡めて活写していく。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に引き続き、監督はアンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ。キャストにはロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソンら、一連のシリーズでおなじみの面々が結集する。ハイパワーを繰り出して激突する2大ヒーローの姿に圧倒される。

<感想>アベンジャーズ分裂の危機を描いている本作。世界を救う一方で莫大な人的&物的損害を引き起こすことから、世論の反発が起こり、ヒーローたちは国連の管理下に置かれることになる。アベンジャーズ内ではこれに賛成、反対する立場の違いから対立が生じたのだ。
ヒーロー同士の内戦ということで、正義VS正義という戦いが描かれるわけで、これまでのアメコミ映画を振り返っても、アメコミのヒーローは正義への疑念から、シリーズのあるタイミングで善悪が分裂して、自分自身と戦う場面が多いように見えるんですね。
アメコミのヒーローっていうのは、権威の後ろ盾がない、あくまでも自発的な正義なんです。自分に関係のないところまでいって正義を押し付けるというのは、今日のアメリカ的な覇権主義の問題にも繋がっていると感じます。

ヒーローとヒーローの対決自体は、マーベルに限らずアメコミの世界では割りと起きているというのだ。だが、だいたいは敵の罠にはめられてというような何らかの理由があって、その理由が解決すれば仲直りができるというのがこれまでのパターンだった。
ですが、今回はキャプテン・アメリカもアイアンマンもそれぞれの理屈が通っていて、どちらが正しいかは観ている観客が判断するしかない。

そして、禁断の戦いが幕を開けるのだが、戦う自由を貫くチームキャプテン・アメリカには、かつてのステーブの親友のウィンター・ソルジャー、ファルコン、ホークアイ、スカーレット・ウィッチ、アントマンの6人。小さなアントマンが、アイアンマンの体の中へ入り機械を壊すし、大きな巨人アントマンになったのはいいけれど、動きが鈍くてスパイダーマンに蜘蛛の糸でやられるとはね。

それに立ち向う戦う責任う全うするアイアンマンチームには、トニーの古くからの友人であるウォーマシン、ブラック・ウィドウ、ヴィジョン、ブラックパンサー、スパイダーマンの6人。トニーが仲間と戦うのに傷つけないで捕獲するようにと、スパイダーマンの蜘蛛の糸に目を付ける。トム・ホランドが演じる若いスパイダーマンの活躍も、蜘蛛の糸を操り見事でした。

正義同士の対決の中で、「正義そのものが危険なのだ」正義の中で葛藤が生まれるというシチュエーションが印象に残っています。
そこへ、ナイジェリアでの任務でビルが崩壊。よかれと思って攻撃したスカーレット・ウィッチの炎の爆弾が、市民を危険にさらしたことでアベンジャーズは非難をあびることになる。許可なしでの出動は禁じられ、彼らは国連の管理下に置かれることに。
だが、ウィーンでテロ事件が発生し、ウィンター・ソルジャーことバッキーが容疑者として指名手配される。国連の指令を受け、アイアンマンらはバッキーの捜索を開始する。一方、スティーブは、親友の無実を信じバッキーを窮地から救いだそうと、ファルコンと一緒に出動するキャップ。そこに、ブラックパンサーが現れる。

国連からのミッションを成功させたいトニーたちと、信じた仲間を守り抜こうとするスティーブ。両者のゴールが正反対の位置にある以上、もはや戦いは避けられない。かつては団結して世界の平和を守ってきたヒーローたちを二分する、壮絶な戦いが始まる。
これは本当に観てて辛かった。どちっちもどっちで、応援のしようがない。この戦いはスクリーンで観てもらうとして、両方のヒーローたちの腕試しとでもいうか、決着がつかない。そして、トニーの親友である“ローディ”が大怪我を負ってしまう。
アイアンマンのチームにいるブラックパンサーは、父親がテロリストに殺され、その犯人がバッキーだというのだが、その復讐のためにトニーたちに合流する。

だが、バッキーが悪の秘密結社のヒドラに洗脳され、暗殺者として死から甦りキャプテン・アメリカが「~ウィンター・ソルジャー」のラストで溺れそうになったキャップを救った後に、姿を消す。ところが、ウィーンでテロ事件でバッキーが犯人とされ、指名手配される。
ウィンター・ソルジャーを捕えるための軍事作戦を指揮する特殊部隊の副司令官として、テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」シリーズSHERLOCK シャーロック忌まわしき花嫁のマーティン・フリーマンが扮している。
それに、元ソコヴィアの暗殺部隊の一員であるヘルムート・ジモにダニエル・ビリュールが扮していて、今回の正義のヒーローの対決を計画した悪いやつ。だが、祖国の戦いで家族を失い、アベンジャーズへの復讐を決意したのだが、とても自分一人では適わないヒーローたち。それで、身分を偽ってウィンター・ソルジャーに接近して、元ナチスの医者を殺してヒドラの呪文を手に入れ、バッキーの耳元で呪文を唱えて、ウィンター・ソルジャーを暗殺者とさせ、ウィーンのテロの首謀者にさせた。

ブラック・ウィドウが友人たちの戦いを観て、何かあると感じ本当のことを知り、キャプとバッキーを逃がしてやる。それに起こったアイアンマンが追い掛けるも、後で自分の両親を殺したのがバッキーだったと分かり、バッキーをこてんぱんにしてしまう。
しかし、真実を知るとアイアンマンも納得して、元のアベンジャーズのメンバーに戻るというわけ。壮大なバトルシーンも見られますが、喧嘩しないで正義の味方であるアベンジャーズのみなんさんが仲良くチームを組んでいる方がいいですよね。

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クーパー家の晩餐会★★★

2016年04月29日 | アクション映画ーカ行
クーパー家の人々が年に一度顔を揃えるクリスマス・ディナーを舞台に、それぞれに問題を抱えながらもそれをひた隠して晩餐会を楽しくやり過ごそうとする中で巻き起こる騒動を、ダイアン・キートン、ジョン・グッドマン、アラン・アーキン、マリサ・トメイはじめ豪華オールスターキャストで描いた群像コメディ。監督は「I am Sam アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン。
あらすじ:クリスマス・イブ。クーパー家では、この日に一族が一堂に会し晩餐会を開くのが毎年の恒例行事。今年も各地から続々と集まってきた家族を温かく迎える夫婦のシャーロット(ダイアン・キートン)とサム(ジョン・グッドマン)。しかし40年連れ添った2人は離婚を決意し、シャーロットはこれが最後の晩餐会と覚悟を決めていた。そのシャーロットの父バッキー(アラン・アーキン)は、若いウェイトレスのルビー(アマンダ・セイフライド)に夢中で、彼女の働くダイナーに5年も通い詰めていた。一方、シャーロットとはケンカばかりの妹エマ(マリサ・トメイ)。姉へのプレゼントを探していて出来心から万引きで捕まってしまう。そんな中、独身の娘エレノア(オリビア・ワイルド)は、空港で出会った軍人の青年ジョー(ジェイク・レイシー)に一日だけ恋人のフリをしてもらうことを思いつくが…。

<感想>クリスマスに観たかった映画でした。アメリカでは、年に一度のクリスマスに4世代11人の家族全員が揃うクーパー家。楽しみにしている家族もあるが、憂鬱で行きたくないと思う家族もいる。しかし、集まったみんなが見せる満面の笑みの下には、それぞれの秘密が隠されていたのですね。
日本では、夏のお盆と冬の正月のどちらかに実家に帰る風習があるようですが、何処の国でもそういった催事で集まる習慣があるわけで、結婚式とか葬式は別として、家族が揃うことってあまりなくなりつつあります。

このアメリカのクーパー家でも、クリスマスの晩餐会に家族が顔を合わせるということにも、みんなが喜んで集まるというわけではないのだ。ジョン・グッドマンとダイアン・キートン夫妻を中心に、芸達者が顔を揃えたコメディなので、大いに期待したのだけれど、演出にテンポがなくて時には退屈に思えてくるのだ。

本の構成も繰り返しが多くて、娘のオリヴィア・ワイルド扮するエレノアが、偽の婚約者のジェイク・レイシーを家に連れてくるくだりなどは、説明が多すぎるのだ。彼女は劇作家の仕事もうまくいかず、しかも既婚者の医者と不倫中。完璧な母親に気に入ってもらおうと、空港で知り合った軍人のジョーを急遽一夜だけの恋人に仕立てようとする。
ちょいと強引すぎるくらいにアプローチして、自分のタイプではない軍人のジョーと嚙み合わない会話を続けるうちに、思わぬ自分の本性をジョーに指摘され戸惑ってしまう。
それでも、老人ホームから帰って来た祖母が、急に様態が急変して病院へと、そこで不倫相手の医師と遭遇し慌てるエレノアの戸惑い。いつまでも続ける場合じゃないことを知りつつも、次第にジョーに惹かれていくエレノア。この二人の恋の行方は、家族の前でキスをして万々歳になるのだ。
それに、最近離婚したばかりの長男のハンクを演じるエド・ヘルムズは、3人の子供に手を焼く毎日。さらにリストラされて現在無職の有様。クリスマスプレゼントも買えない状況を誰にも言えない。そんな息子を観て、父親のサムがお金を用立てるのだが、妻が離婚を言いだして困ってしまう。長年連れ添った夫婦なのに、夫にはどこが不満なのか理解できないのだ。

そして祖父のバッキーを演じているアラン・アーキンは、若いウェイトレスのルビー(アマンダ・セイフライド)に恋をしているのだ。年の差なんてと言っていられないのに、友だち関係でもいいと毎日通いづめる。

問題のシャーロットの妹のエマ(マリサ・トメイ)。彼女は幼いころから完璧な姉シャーロットにコンプレックスを抱いており、姉へのプレゼントをケチって、ついブローチを万引して逮捕されてしまう。連行する警官(アンソニー・マッキー)に何とか見逃してくれるよう懇願するが聞き入れてもらえない。警察へ連行される中、警官と話をしている内にブローチを返して謝り許してもらおうとするも、初めはダメだと言いながらも許して帰してくれた優しい警官。
それぞれがいろんな秘密を抱えたまま晩餐会は始まる。
ここで自分の秘密を隠し通そうとするやりとりが、面白くないとまでは言いませんが、本質的な気まずさに欠けるのだ。どこかに計算違いがありはしないかと、疑ってしまうくらい残念な結果になっている。

小出し登場するクーパー家の面々が、一つ屋根の下に集合しても、まったく親族には見えないのだ。設定や小道具意外に彼らを繋ぐ糸や、グルーヴが感じられないのだ。熟年の両親がなぜに些細なことで離婚に走ろうとするのか、一時のノリで引っ込みがつかなくなったにしては演出に勢いが足りない。

またその解決の方法も、予定調和に向かって敷かれたレールの上を歩いているようで、手抜き感が否めませんね。クリスマスを舞台にした群像劇という、点でも特に新鮮味はなく、雰囲気描写もコメディとしてもあまり笑いが生まれてこないのが寂しいですね。でも、エンディングでの、家族そろって楽器を鳴らし、歌を歌う家族っていいなぁ~って、羨ましくもなります。

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リップヴァンウィンクルの花嫁 ★★★★

2016年04月28日 | アクション映画ーラ行
「Love Letter」「花とアリス」の岩井俊二監督が「小さいおうち」「母と暮せば」の黒木華を主演に迎え、一人の若い女性の心の彷徨と成長を見つめたドラマ。現代の日本を舞台に、ふとしたことから“普通の人生”を踏み外してしまった世間知らずのヒロインが、周囲に流されるまま様々な出会いと経験を重ねながら、過酷な現実社会をしなやかに生き抜いていく姿を、瑞々しい透明感あふれる映像で綴っていく。共演は「そこのみにて光輝く」の綾野剛、「KOTOKO」のCocco。
あらすじ:2016年の東京。派遣教員として働く平凡な女性、皆川七海。ある日、SNSで鶴岡鉄也という男性と知り合い、そのままトントン拍子で結婚へと至る。結婚式に呼べる友人・親族が少ない七海は、代理出席の手配を“なんでも屋”の安室に依頼する。しかし新婚早々、夫の浮気疑惑が持ち上がると、反対に義母から七海が浮気を疑われ、家を追い出されてしまう。行き場もなく途方に暮れた七海は安室に助けを求め、彼が斡旋する怪しげなバイトを請け負うようになる。やがて、豪邸で住み込みのメイドとして働き始めた七海は、謎めいたメイド仲間、里中真白と意気投合、互いに心を通わせていくのだったが…。

<感想>人並みに生きてきたひとりの女性が経験する転落と再生の物語なんだと、簡単には片付けられない何かがある。主人公の七海を責めるわけではないが、今時の女性で、ネットの世界に身を投じてフワフワと流されているようでもあるし、でもちょっと残酷でどうしようもなく切なかったりして、取る行動がいちいち大胆とも言えるのだ。私にはSNSで結婚相手を見つけることなんて、考えられないのでね。
仕事の中学校の代用教員にしても、声が小さくてボソボソと話す声に、生徒がマイクを使って授業をしてくれと頼むのだが、七海に対して、少し虐めがあるような生徒たち。この辺で七海という女性の内気な性格には、教員という仕事は向いていないのだ。仕事もクビになりどうしようか悩んでいる矢先に、SNSで知り合った男と結婚話が持ち上がるのだ。
早速、マザコン夫の鉄也の浮気を知り、安室に相談してホテルで探偵のような男と出会う。ここからして、七海の浅はかさが仇となり、転落していくのが見え見えでした。浮気相手の女の男だという、その男から脅されセックスを強要される。そこでトイレで安室に相談するも、すぐに助けにいくというのだ。

七海は世間知らずというか、男性を信用してしまうところがダメですね。この親切な「なんでも屋」の安室は、実は結婚の壊し屋もやっていて、夫の姑から依頼されてこの結婚を壊してくれと頼まれたのだ。ホテルの部屋には、監視カメラに盗聴器が仕掛けられていることも気づかない七海。まんまと騙されて、夫には今すぐ荷物をまとめて出て行けと言われ、行く当てもなく自分が今、何処にいるのかも分からず、世界から取り残されたかのような孤独にさいなまれる。七海が独り路頭に迷いホテルに泊まるも、お金がないのでそのホテルでメイドで働く。
そこに、安室が出て来て、七海の現状をしり仕事を紹介してくれるのだが、それが豪邸のメイド。100万円報酬だというが、何かきなくさい感じがする。
しかし、世間知らずの七海には、住み込みで100万円なんて話に疑いも無くOKする。まぁ、世の中捨てたもんじゃない。そこの住人がアダルト女優の真白で、2人は共通するところもあり仲良く暮らすことになる。それが長く続くわけもないのに。

真白が末期がんだということが解り、この豪邸も真白がアダルト映画の仕事で家賃を支払っているということも知り、寝室の水槽にはクラゲ、タコ、エイ、サソリや毒貝という、猛毒のある生き物を飼っている。そのことも真白の最期に関係があると観客にも理解できるから。
主人公の七海を演じているのが黒木華で、彼女がSNSを介して様々な人間関係を体験するのですが、中心となるのは、綾野剛演じる「なんでも屋」の安室や、奔放な女性でアダルト女優を演じているCoccoの真白との出会い。自分で生きようとする女ではない七海は、現実の理不尽さに翻弄されながらも、荒波を泳いでいく。

中でも、ウェディングドレスが象徴的に使われているのが印象的でした。七海が前半、自分の結婚式にウェディングドレスを着て臨むシーンは、彼女はやや緊張感がありそうな“しつらえ”もので、七海のおかれている息苦しい状況が出ているシーンでは、結婚式なので華やかには見えるんですが、何故だか不幸に見える。
一方、別のシチュエーションで、真白とウェディングドレスを選び、写真を撮り、笑いながら楽しそうに身に着けている七海は、幸せそうに満ち満ちていて、この両者のコントラスが印象的でひときわ心に残っています。しかしながら、男っぽい真白がウェディングドレスを死に装束に選んだことは、やはり本当の結婚をしたかったのでは、真白の女ごころが見えて哀しくなる。
音楽がピアノ演奏でメンデルスゾーンの「歌の翼に」とか「G線上のアリア」が流れていると、何とも言えない気分になります。

ラストの真白の遺骨を母親のリリーさんの家に届けに行くシーン。娘とは縁を切ったのだから、骨は受け取らないというのに、安室がずかずかと上がり込み仏壇の前に遺骨を置く。そして、母親が焼酎の一升瓶を持って来て、2人に飲めと強要する。みんなで焼酎をあおって、泣きながら人が悲しみのどん底に突き落とされるシーンなのだ。
特に真白役のCoccoさんの印象は、普段の素のままで自然に演技していて上手かった。彼女はシンガーソングライターでもあるので、カラオケで「何もなかったように」を歌うシーンがあるのですが、真白になりきったように酔っぱらって歌うのも自然でいい。

それからの七海は、自分の住む部屋を見つけて、窓辺に赤い金魚と黒い金魚を並べて飾り、安室から貰った家具を並べた部屋では、3つの椅子が印象的に映し出され、これから七海が自分の力で目標を立てて生きていくという感じが良かったですね。

注:「リップ・ヴァン・ウィンクル」とは、19世紀に発表されたアメリカの小説であり、その主人公の名前。森の奥に誘われて酒盛りを始めた主人公が眠り込み、目が覚めたら20年たって世界はすっかり変わっていたという物語。この映画では20年は経たないが、しかし最後に主人公がガラッと変わる。それまで眠り込みまどろみの中にいた主人公が、最後になって目覚める物語と言ったらいいか。3時間の長丁場。そのほとんどがまどろみの中である。
ちなみに真白のネットのハンドルネームが、リックヴァンウィンクルだった。
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花とアリス ★★★.5

2016年04月27日 | DVD作品ーな行、は行
親友同士の女の子2人が、記憶喪失になった一人の青年をめぐって繰り広げる奇妙な三角関係を描いた青春ラブ・コメディ。監督は、「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」の岩井俊二。もともとインターネットで配信された同名の短編ドラマを映画化。主演は「Returner」の鈴木杏と「リリイ・シュシュのすべて」の蒼井優。クライマックスのバレエシーンを含め、劇中幾度か訪れる映画的奇跡の瞬間に心震える。
あらすじ:おてんば娘アリスと、一見おとなしい少女ハナ。中学卒業を控えた2人は同じバレエ教室に通う親友。ハナは高校生の宮本に秘かな想いを寄せていた。宮本を尾行し隠れて写真を撮りまくるハナ。やがて彼女とアリスは宮本と同じ高校へ進学し、ハナは宮本と同じ落研に入部する。“寿限無”の完全制覇に余念がない宮本は、ある日いつものように歩きながら落語の本を読んでいると、シャッターに頭をぶつけ転倒してしまう。後をつけていたハナは慌てて駆け寄るが、宮本が記憶喪失らしいと知ると、とっさに恋人のフリをしてしまう。一方、アリスは街でタレント事務所にスカウトされるのだが…。

<感想>だいぶ前の作品ですが、今回「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観るにあたり見直してみました。しかし、何度見ても文句なしに美しい映像、特に桜の花弁がヒラヒラと舞い落ちるシーンで、ハナとアリスがはしゃぎながら学校へ通うシーンは大好きです。それに、浜辺で波と戯れながらトランプをするシーンとか、冬の道路の端々にある霜や吐く息の白さなど、それぞれに映像から温度を感じさせるのが素晴らしいと思います。それに音楽も良かった。

ハナの鈴木杏さんの年頃の女の子という、憧れの宮本先輩を遠くから片思いで見つめるのではなく、自分から真っ直ぐに突き進んで行く。落語研究会での「寿限無」のセリフを覚えるのに必死でシャッターに激突した宮本先輩を見つけ、思わず自分が恋人だと嘘をついてしまう。挙句に元彼女はアリスだとも嘘をついてしまう。
本人の宮本先輩は、草食系男子で自分が本当に記憶喪失になってしまって、ハナとアリスのことを覚えていない。だからって、普通彼女らの言うなりになることはないのに。高校生という青春の真っただ中、自分に彼女が二人もできたことを素直に喜び、付き合う宮本先輩っていい人すぎる。
アリスの家庭事情もあるのだが、母親よりも女として好きな男と遊びたい、と思っている母(相田翔子)に翻弄されながらも、自分の青春を謳歌してバレエ教室に通い、モデル事務所にスカウトされたのを自分から生かしたいと思っているアリス。
その彼女が、オーデションに何回も落ちて、最後のシーンで大沢たかおの前で踊るバレエのシーンは、まるで時間が止まったかのように、とても美しく奇麗で本当に蒼井優ちゃんが踊ってるのかと、つい目を凝らして見てしまった。

ハナとアリスが、バレエ教室で踊る姿を写真に収めたのも、何枚も奇麗に撮れていて、文化祭での落語研究会で口座に上がる前のハナが、泣きながら宮本先輩に嘘をついたことを謝るハナのドアップの顔の鈴木杏ちゃん、この映像の撮り方も好きです。もちろん鈴木杏ちゃんの演技も文句のつけようがありませんね。
ハナもアリスも、ナチュラルな演技が素晴らしくって、特にアリスの蒼井優ちゃんがね。本当は親友ハナの好きな相手が、自分を好きになってくれたのが嬉しくて、親友の恋にちょっぴり嫉妬してちょっかいだして・・・っていう微妙な心境をとてもうまく表現してます。蒼井優ちゃんが大好きな私としては、「ハチミツとクローバー」の映画と同じくらい良かった。
それに、こんなに脇役の俳優さんたちが大勢出ているなんて、出番がほんのちょっとなのに、アリスの母親の恋人役の阿部寛に、写真家の大沢たかお、モデルの叶美香さん、とか凄いんですから、岩井俊二監督の力ですよね。

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ズートピア ★★★.5

2016年04月26日 | アクション映画ーサ行
あらゆる動物が住む高度な文明社会を舞台にした、ディズニーによるアニメーション。大きさの違いや、肉食・草食にかかわらず、動物たちが共に暮らすズートピアで、ウサギの新米警官とキツネの詐欺師が隠された衝撃的な事件に迫る。製作総指揮をジョン・ラセターが務め、監督を『塔の上のラプンツェル』などのバイロン・ハワードと『シュガー・ラッシュ』などのリッチ・ムーアが共同で担当。製作陣がイマジネーションと新たな解釈で誕生させたという、動物が生活する世界のビジュアルに期待が高まる。
あらすじ:ハイテクな文明を誇るズートピアには、さまざまな動物が共存している。そんな平和な楽園で、ウサギの新米警官ジュディは夢を信じる一方、キツネの詐欺師ニックは夢を忘れてしまっていた。そんな彼らが、共にズートピアに隠された事件を追うことになり……。

<感想>物語の舞台は、動物たちが人間のように暮らす楽園“ズートピア”。夢を信じるウサギの警官ジュディが、夢を忘れたキツネの詐欺師ニックとコンビを組み、ズートピアで起きた連続失踪事件の謎に迫っていく。

ズートピアのここがスゴイ!・・・とにかく色彩が美しく、動物たちも毛並はもちろん繊細に描かれていて、獰猛なライオン、カバ、チーターとか怖くはないです。それに、登場する動物キャラクターがとにかく可愛いのだ。それはもちろんのことで、最大のポイントは動物たちの生態や性格が各キャラに反映されていることなんですね。実際の動物と比較してみると面白いかも。じゃぁ、早速ゴールデンウィークには動物園に行かないとね。

そして、ズートピアはまるで人間社会。物語の前半のズートピアの描写も楽しいが、真の見どころはなんといっても後半の展開にあります。謎解きの要素や、人間社会の問題に通じるような奥深い内容も加わり、子供だけでなく大人にも楽しめるようになっている。

ズートピア初のウサギの警察官になる夢を叶えたジュディ。さっそく事件を捜査と思いきや、小さく非力な彼女に与えられた仕事は駐車違反の取り締まりという平凡なものだった。そんな時に、ひょんな出会いからジュディは街の表も裏も知り尽くすキツネの詐欺師ニックと共に、ズートピアで密かにうごめく陰謀を暴こうとするわけ。
小さいウサギでも夢を諦めないジュディと、キツネらしく生きるニック。2人を通して描かれるのは、「周りにどう決めつけられても、なりたい自分を目指そう」というテーマであり、勇気をくれるメッセージにもなっています。

登場する動物たちは全部で64種類。ウサギ、キツネ、ライオン、サイ、ナマケモノ、水牛、チーター、ヒツジ、カバ、などなど、本編に登場する動物たちは全部で64種類なんです。ただし、同じ種類でも男と女、大人と子供、太ったものと痩せているものなど、様々な個性が存在するので、映画全体の総キャラクターの数は、なんと80万体にもなったとか!

だから、動物の種類に合わせて自動車も様々なタイプが登場するが、それらの主要なもののデザインを担当したのが、自動車デザイナーとして世界的に有名なJ.メーズ。アウディやフォードの新マスタングなどをデザインした“レトロフューチャー”デザインで知られる人なんですからね。

ジュディが警官になって、ズートピアの警察署の受付担当、クロウハウザーには、地上最速のチーターなのに、丸々と太っていて、顔もふっくら。甘いお菓子に目がないのだ。

それに、警察署長ボゴの部屋を訪ねるシーンでは、部屋に飾られているカレンダーの絵柄は、『ベイマックス』のサンフランソウキョウだったり。

ジュディがズートピアに向かうシーンで登場するツンドラ・タウン。雪のエリアだけにあの映画が大人気って?・・・『アナと雪の女王』のエルサ&アナ姉妹の服を着たゾウがいたり……。過去作からの出演もいっぱいなんです!。

そして、免許センター職員には、ナマケモノのフラッシュが、それぞれ動物の特徴が細部まで描かれた愛らしいキャラクターたちが登場します。
詐欺師仲間のフィニックをベビーカーに入れて、悪事を働く様子のキツネのニック。その正面からはカバがやってくるが、そのベビーカーの駕籠にはあの世界的人気者のぬいぐるみが入っていたって、これは絶対に見逃さないで。

しかしである、ズートピアには種類への偏見というか差別があり、夢を諦めた動物たちもたくさんいるのだ。そんな街で起きたある事件がきっかけで、ジュディも夢を見失いそうになるのだが、・・・。かわうそが失踪したのだ。

市長も警察副所長のひつじも、動物を差別しており、幻覚作用の花、青いチューリップの花の球根を煎じて飲ませれば、夜には街の人たちに、おおかみの遠吠えのような恐怖感を襲わせるのだ。ジュディとニックが協力して、悪事を見つけて“ズートピア”を住みよい街にしようと奔走するのわけ。

でも、物語はまさに人間の世界と同じようで、誰しもが経験のある憧れていたものへのギャップや失望、挫折が動物たちを通して表現され、先入観で生きている私たちへのアンチテーゼにもなっているようだ。

最後の舞台でガゼル役の歌姫が歌うのは「トライ・エヴリシング」、そしてガゼルのダンスやポーズなどは、歌姫のシャキーラの髪形とかすべて本人を反映したものだそうです。その歌姫の脇で踊るダンサーには、トラがムキムキの筋肉を見せるように踊る姿に、まるでチャイニングみたいに見えましたよ。
本作のメッセージは、どんな時にも「夢を見ること、そしてあきらめない心」というディズニー精神がきっちりと描かれているのがいいですね。だって、キツネのニックが警官になっているんですもの。信じられませんね。
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アイアムアヒーロー ★★★★

2016年04月25日 | アクション映画ーア行
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」などの花沢健吾の人気コミックを実写化したパニックホラー。突如として広まった原因不明の感染によって大パニックが引き起こされる状況で、決死のサバイバルに挑む者たちの姿を映す。メガホンを取るのは、『GANTZ』シリーズなどの佐藤信介。『青天の霹靂』などの大泉洋、『女子ーズ』などの有村架純、『モテキ』などの長澤まさみら実力派が出演。スリルと恐怖が次々と押し寄せる展開はもちろん、鮮烈なビジュアルも見もの。
あらすじ:漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄(大泉洋)。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。出会った女子高生・早狩比呂美(有村架純)と逃げるが、彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれて半分ZQN半分人間という状態に。比呂美を連れてショッピングモールに逃げ込んだ英雄は、そこで藪(長澤まさみ)という勝気な看護師と顔を合わせる。

<感想>日本のコミックの表現は、作家たちの発想がすごく自由であり、本当に世界に誇れる文化だと思う。それを映画化する時、どのようなバランスでメジャー作品として成立させるかという問題があるのだ。しかし、この映画には驚いた。原作の自由な表現をどこまで自由に純度高く映像化できるのか、ただそれだけを追求した映画になっていたと思う。

それは海外ドラマの「ウォーキング・デッド」のようで、ゾンビパンデミック映画でありながらも、主人公がダメダメな売れないマンガ家の男であり、演じているのがコメディセンスのある大泉洋ちゃん。上空を飛ぶ軍用機、逃げ惑う群衆、激突する車など、まさにパニック映画的な事態が次々と発生する。

初めはただ世の中の変化に驚き、そして趣味でやっていたクレー射撃、何の取り柄もない英雄が、射撃の腕だけは超一流だったという。これが役にたつとは、日本は銃規制が厳しいので、一般人は拳銃は持っていないし、素手で戦うにはゾンビにやられてしまう。バットやナイフ、包丁に金槌と斧、これなんかもZQNの勢いの力が勝っているのでダメですから。ただ、逃げるしかない。それも高いところに。富士山目がけて逃げるしかない。
普通だったら、政府が自衛隊や警察を配置してZQN退治をするんでしょうが、そんな所が微塵にも描かれていなくて、つまりは自分の身は自分で守るってことになる。
それに、ゾンビメイクも白塗りではなく、血走った眼に白眼、顔に浮き出た血管、それに腐乱したゾンビとか、スプラッター描写が凄いのだ。

ゾンビといえばモールはかかせない場所なんですかね、そこへ主人公と女子高生の有村架純ちゃんを背負って、自分が守ってあげるといいながら行くも、そこにはボス的な男が威張っており、「銃を渡せ」とボーガンで狙っているんですよ。しぶしぶ従うしかなく、銃も渡してしまい少し感染した架純ちゃんを、そいつらが感染者だと大騒ぎしてボーガンで額を撃つんですよ。まったく酷いもんです。看護師の長澤まさみが介抱してくれて、架純ちゃん助かったのが良かった。

そして、そのボスが言うには、屋上にいる感染していない人間が多いので、地下の食糧倉庫へ行き、食料を取ってこようと計画するも、下にはたくさんのZQNがいて、彼らを屋上で女たちが鍋やフライパンとか音が出る者を叩き鳴らして惹き付ける作戦。
しかし、地下へ行くもやはりZQNの勢いには適わず噛まれてしまうものが続出。主人公の銃を持っていた男も餌食になり、ZQNに腕を噛まれた大泉洋が、モールの店の戦利品のロレックスを腕にたくさんはめまくり、噛まれた腕が平気だったという笑い話もある。

始めは人間に向かって銃刀法を言い訳に引き金を引くことが出来なかった英雄。しかし、今はそんなこと躊躇している場合ではないのだ。すかさず銃を拾った主人公のヒロー大泉洋がぶっ放す散弾銃の連発を、口をあんぐりしながらただただ無事を祈って観ていました。
いや~凄かったです。100発くらいの連射なのか、実に見事な射撃でZQNの頭を狙って決めまくりでした。

そうそう、別格の陸上選手高跳び男ZQNが、屋上へ飛ぶんだということは初めっから解ってましたが、まさか地下まで来ているとは、大泉洋が少し手こずりながらも頭をブッ飛ばす瞬間は最高でした。

最後が、まだたくさんのZQNたちもいるのでしょうが、ボスの車を奪い長澤まさみの運転で、有村架純ちゃん、英雄の大泉洋の3人が助かって富士山へと向かって終りなんですよ。これでは中途半端な終わり方ですよね。
この映画の血しぶき増量やZQNのメイクの気味悪さとか、グロイ描写(腹から腸が飛び出る)が苦手な人にはダメでしょうが、私は結構ゾンビものって好きなので楽しめました。ちなみに脳みそはプリンを使用とのこと。
シッチェス国際映画祭、ポルトガル国際映画祭、SXSWミッドナイターズ部門で観客賞を受賞したという、観客を沸すことのできるゾンビ映画ということなのでしょう。
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フィフス・ウェイヴ ★★.5

2016年04月24日 | アクション映画ーハ行
リック・ヤンシーのヒット小説を実写化したSFミステリー。知的生命体の襲撃で荒廃した地球で、一人の少女が離れ離れになった弟を捜し出そうとする。監督は、『アリス・クリードの失踪』などのJ・ブレイクソン。『キック・アス』シリーズなどのクロエ・グレース・モレッツがヒロインにふんし、『ジュラシック・ワールド』などのニック・ロビンソン、『完全なるチェックメイト』などのリーヴ・シュレイバーが共演。地球侵略の描写に加え、人間の内側に侵入した知的生命体たちとの心理戦にも手に汗握る。
あらすじ:人知を超えた知能を誇る生命体アザーズが、地球を4度にわたって攻撃し世界人口の99パーセントが死滅。そんな荒廃した世界で、女子高生キャシー(クロエ・グレース・モレッツ)は離れ離れになった弟の行方を追っていた。アザーズが人間の内部に侵入できるために他人を一切信用できないという状況下で、彼女は一人の男性と出くわす。彼をアザーズではないかと疑いながらも惹(ひ)かれるキャシー。弟が連れ去られた可能性のある基地に二人で向かうが、アザーズによる第5の攻撃が始まろうとしていた。

<感想>WAVE1:暗黒、始まりは巨大な飛行物体の襲来。しばらくは動きを見せなかったが、突如電磁バルスを放出。停電に見舞われ、フライト中の飛行機が操縦不能になり墜落し、車が制御不能で激突するなど、全ての電子機器を使用できなくする。

WAVE2:天災、そして、文明の利器が使えなくなり混乱する社会。次にアザーズは大地震を発生させて、大津波を引き起こす。湾岸の都市や島はあっという間に飲み込まれ、大勢の死傷者が出る。
WAVE3:感染、アザーズによって毒性の強められたウイルスが、撮りを媒介して世界中に蔓延する。人類の99%が死に追いやられてしまう。その大勢の犠牲者の中には、主人公の母親や親友もいた。

WAVE4:寄生、主人公キャシーを含めた少数の生存者は共同生活を開始。そこで彼らは救済にきた陸軍から“アザーズ”は人間に寄生するため外見での判別は不可能だと知らされる。身近な人物が“アザーズ”かもしれないという疑心に駆られた人々は、パニック状態に。

WAVE5:フィフス・ウェイブ──ある日突然世界の終わりが始まった。
平穏だった日常が地球を狙う“見えない”知的生命体によって、もろくも崩れ去る。生き残った子供たちは陸軍による“アザーズ”掃討作戦に参加。

不運にも弟サムと生き別れた主人公キャシーは、過酷な旅の果てに“アザーズ”が目論む陰謀の真実に辿り着く。
あれよと言う間に地球最後の日が近づき、母親がウイルスに感染して亡くなり、父親は子供たちと離れ離れにされて、一か所に集められ、陸軍大佐のヴォーシュの命令で殺されてしまう。
本作はヤングアダルト小説を原作としたSFアクション映画だ。一人で、林の中を逃げ惑う女子高生キャシーに扮するクロエ・グレース・モレッツが映し出される。相変わらず可愛くて美人だし、これぞと思う時にアクションを起こして戦う女戦士になるのだ。

だが、空からの奇襲攻撃で足を撃たれたキャシー、彼女を助けるのは、アザーズのエヴァン・ウォーカーで、彼女に一目惚れして、人間の愛という、家族を守ることも学び、キャシーのために、陸軍の基地を爆破して、窮地を救ってくれるのだ。
その他に、キャシーが好意を抱くアメフト部の青年ベン、ヴォーシュに騙されて陸軍に入り、リーダーとして活躍するも、途中でアザーズの寄生者と人間は同じだと気づき、キャシーと弟のサム、リンガーという女戦士と、その他少数ながら陸軍から出て生き残るためにアザーズと戦う。

陸軍大佐のヴォーシュに「完全なるチェックメイト」リーヴ・シュライバーが、生き残った陸軍を再編し、アザーズに対抗するために子供たちを親と引き離し、特訓を行いアザーズと戦わせるのだが、その人間に寄生したアザーズとは、首にチップを埋め込まれ、アザーズが寄生したと思われる人間が緑色に光る。それは、大佐のヴォーシュがすでにアザーズであり、人間どもを戦わせて殺し合いをさせ、地球を奪おうと計画していたのだ。

第一波、第二波の大地震と大津波の襲来には驚いたが、よくあるエイリアン生命体の地球侵略もので、硬派なサバイバル・アクションかと思った。初めはワクワクさせられ人類がどうなるのか盛り上がるも、その期待感を最後まで繋いで欲しかった気もした。しかし、映画全体の雰囲気では、ハードなSF作品というよりは、クロエちゃんの青春ドラマのように思えました。
ハードな戦いの一方で、三角関係的な、高校の憧れのアメフト青年ベン(ニック・ロビンソン)を好きなのに、助けてくれて傷の手当までしてくれた男エヴァン(アレックス・ロー)とのロマンス(キスまでしちゃって)もありながら、それほど悲惨な状況を見せる分けでもなく、これは、クロエちゃんのアイドル映画でしょうね。
脇役に、眼の周りを黒塗りしたゴス姉ちゃん、「イット・フォローズ」の主演で注目されたマイカ・モンローのリンガーがイケていた。アザーズの母船はどうしたの?・・・とか、全部やっつけたわけではないので、これから彼女たちはどうするのかという最後のあやふやな終わり方にも不満があります。とにかく、頑張るしかないでしょう。

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レヴェナント:蘇えりし者★★★★

2016年04月22日 | アクション映画ーラ行
レオナルド・ディカプリオと、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督がタッグを組んだ話題作。狩猟中に瀕死(ひんし)の重傷を負ったハンターが、自分を荒野に置き去りにした仲間に復讐(ふくしゅう)するため壮絶なサバイバルを繰り広げるさまを描く。主人公の宿敵には、『インセプション』でディカプリオと共演しているトム・ハーディ。オスカー常連のカメラマン、エマニュエル・ルベツキが自然光のみで撮り上げた臨場感あふれる映像にも注目。

あらすじ:アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。

<感想>2月に発表された第88回アカデミー賞3冠(主演男優賞、監督賞、撮影賞)に輝いた作品であります。レオナルド・ディカプリオが西部開拓期の伝説的な人物ヒュー・グラスに扮して、5度目のノミネートにして、悲願のアカデミー賞主演男優賞を初受賞した。なにはともあれ本当におめでとう。

“レヴェナント”とは黄泉国から戻った者という意味である。19世紀前半のアメリカ西部、ディカプリオが演じるのは、狩猟者たちも一団の道案内を務めるハンターのヒュー・グラスという男。

旅の途中で獰猛な灰色グマに襲われ、大ケガを負った彼は、トム・ハーディ扮する仲間の男の裏切りに遭い、最愛の息子を殺されたあげくに、極寒の地に置き去りにされてしまう。グラスは、瀕死の状態で未開拓地に置き去りにされながらも息を吹き返した男の、300キロに及ぶ復讐の旅を描いています。実話だというから驚く。
トム・ハーディが悪役に扮していて、最後のディカプリオとのくんずほぐれつの取っ組み合いの戦いが凄まじかった。斧に包丁のようなナイフで戦う。これが男の勝負だし、だが、復讐に燃えた心も対岸に見えるネイティヴ・アメリカンの姿を見つけて、フィッツジェラルドを引き渡すのだ。

冒頭のネイティヴ・アメリカンの襲撃シーンでは、森の中をカメラがダイナミックに動き回る超絶技巧の長回しショットが観られる。そして、主人公が灰色熊に襲われるシーンでは、背後から猛突進してきた熊が、巨体を覆い被せて爪を振りかざし、グラスが虫の息になるまでいたぶる様を驚異的な1カットで映像化して見せる迫力だ。始めはヘラジカを狙って森の中を彷徨いあるく主人公。冬で冬眠するはずの親熊と小熊の家族が、森で食べ物を探していたのだろう。そこへ、主人公が出くわすのだ。

とてもCGとは思えない熊のリアルさのみならず、主人公の喉を裂く容赦のない残虐さで、獣の獰猛さを表現している演出も圧巻である。
怨念の燃えたぎる復讐のストーリーを、ただのアクション・スリラーとしてではなく、スピリチュアルな“魂の探究”の旅路として描いているのだ。
CG全盛の時代にあって、殆どのシーンをロケで行い、しかも極寒の大自然の中、自然光のみで映し出された誌的な映像美、それにワイルドな自然の猛威など。そして、そんな過酷な現場にめげず、主人公の執念を体現したディカプリオのド根性の俳優魂で演じきった彼に相応しいアカデミー主演男優賞であった。

もう極寒の森の中へ置き去りにされた男が、灰色熊に襲われ瀕死の重傷を負いながらも、墓場として掘られた穴から這い出てくる人間の生きたいという本能が見られ、そのまま地面を這いつくばって前進する男、川で水を飲み、枯れ木の芽を探して食べ、獣の骨の隙間にある残り身を食べ飢えをしのぐのだ。

人間の生存本能への絶望的な肯定を描いた生身のドラマであり、途中では亡くなった妻や息子が出てくる幻覚、回想シーン、そして、馬に乗り追いかけられて崖から落下して気を失うも、極寒の中で寒さをしのぐために、死んだ馬の内臓を取り除き、その馬の腹の中へと裸で入る主人公。その他にも、氷つく川に投げ込まれて流され、泳ぎついたところで火を焚き身体を温める強靭な男。

苦しみ、哀しみ、憎しみ、息子への愛に復讐を誓った父親の野獣のような凄まじい生命力と精神力。157分という上映時間もあっと言う間に感じてしまった。くすんだブルーの氷の世界の美しさ、極寒の森の中を撮影したという素晴らしい墨絵のような映像美に見せられつつ、坂本龍一の音楽が控えめで落ち着いてていいのだ。風が吹く木々の音に、雪解けの川の流れる音、主人公の荒い呼吸の音で映画が終わるところも感慨深かった。

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アンビリーバブル★★

2016年04月21日 | DVD作品ーあ行
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のホアキン・フェニックスが主演する近未来ラブサスペンス。原因不明の突然死や異常気象が発生する2011年を舞台に、離婚を控えた別居中の夫婦が不可解な危険にさらされる。
あらすじ:教師のジョンと国際的に有名なアイススケート選手のエレナ。ある日、ジョンは離婚するためにエレナのいるニューヨークへと向かった。しかし、エレナの周辺で不可解な出来事が起こり、彼女の身に危険が迫っていた…。近未来を舞台に、不可解な危険に晒される男女を描いたラブ・サスペンス。主演ホアキン・フェニックス、クレア・デインズ、ショーン・ペン、ハリウッド・トップスター競演!、「デア・ウェンディ」のトマス・ヴィンターベアが監督。近未来を舞台に不可解な緊張が交錯する近未来サスペンス!。。。
<感想>近未来の地球では様々な異常現象が起こっていた。人類の未来を脅かす恐るべき陰謀を描く、見応え満点のSFサスペンス!・・・何てDVDに書いてあったし出演も、ホアキンにクレア、おまけにショーン・ペンとくれば見なくてはと思いレンタルしてきました。

出だしからホアンキンが、2021年「これは僕が死ぬ前の7日間の話です」なんてメッセージみたいな台詞?、興味津々(笑)・・・教師のジョン(ホアンキン・フェニックス)と国際的に有名なアイススケート選手エレナ(クレア・デインズ)の結婚生活は、エレナの知名度のせいですれ違い夫婦。
ジョンは離婚するためにエレナのいるニューヨークへと向かうのですが、しかし、到着したジョンは空港内に倒れている男の死体?、エレナの周りで不可解な出来事が起こっていることに気づくジョン。

普通ならエスカレーターの下に転がっている男の死体を警察とか救急車を手配するとかするものなのに、みんな平気で死体をまたいで通り過ぎます。
理由は心臓麻痺か突然死だから別にかまわないと言う。早くエレナに会って離婚届にサインをもらい直ぐにカナダに行かなくては。
しかし、そう簡単にはいきません、エレナは有名なプロ・フィギア・スケーターで、家族とか親戚、興行主など数十人を養わなければならず、エレナの自由はないのですね。そして、エレナは何か危険を察して、ジョンにこの場所から連れ出して欲いと頼むのです。
もうエレナとの愛は存在しないと思っていたのに、二人の愛は再び燃え上がり、ジョンはエレナを危険から救おうとするのですが…。ニューヨークの街を二人で手に手をとり逃げ惑う、何故か異様な雰囲気のニューヨークの地下街でも、死体がごろごろと心臓麻痺?。。。。異常である。
エレナが、クレア・デインズ本人ではないと思いますが、プレミア・スケートショーで華麗なクレアのトリプルアクセルみたいな三回転半のジャンプとイナバウワァーこそしませんが、ピンクのドレスでクルクル滑るアイススケートショーが見られます。
ヴェツィと言うおばさんの計らいで列車のチケットを貰って二人は逃げるわけなのですが、泊まったホテルで二人の愛が再現(ベットシーン)何か必要ないと思うけど?、必死に逃げているのに。
7月なのにTVでは、「今夜は、異常現象で凍りつく寒さになると警告が流れている」なんて放送しているのに二人は夢中です。コップの水がピシピシと凍っていくのが何かの暗示?。。。要するに氷河期に入るって事。

しかし、ウガンダでは人間が中に浮くという!。無重力なの?。。。そして、期待のショーン・ペンの出番は、ほんの少し飛行機の中で携帯電話で、「これから、カナダのカルガリーに向かうところだ」とか、最後の方で「ウガンダで人間が中に浮いているよ」なんてね。もう少し二人の仲に入ってほしいと思いましたね。
問題なのがホテルでいちゃいちゃしていた二人が朝起きて見たものは、一面の銀世界、ほらいわんこちゃないよ!。エレナは心臓に欠陥があり、使い物にならないと興行主たちは代わりのクローンのエレナを3人も調教していた。エレナはお払い箱だったのですね。二人はホテルの外へ出て歩き出します。
そしてとうとうエレナが心臓発作で倒れ、ジョンも力尽きて凍え死ぬのです。本当のタイトルは、IT‘S ALL ABOUT LOVE=それは全て愛について。そしてエンドロールは、ウガンダの人間浮遊?これは一体何だったのでしょうか?。。。近未来、異常現象、謎の心臓病とウガンダの人間浮遊!ほんとにアンビリーバブルだ。
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Mr.タスク ★★

2016年04月20日 | DVD作品ーま行、や行、ら行
「クラークス」「レッド・ステイト」のケヴィン・スミス監督が、人間をセイウチに改造することを夢見る謎の老人に捕まった男の恐怖を描く異色のホラー・コメディ。主演は「ダイ・ハード4.0」「スペル」のジャスティン・ロングと「キル・ビル」「ジャンゴ 繋がれざる者」のマイケル・パークス。共演にハーレイ・ジョエル・オスメント、ジェネシス・ロドリゲス。また、大物俳優が役名そのままの名義でサプライズ出演し、実の娘との初共演も果たしたことも話題に。

あらすじ:相棒のテディと共にポッドキャストを運営するウォレスは、ネタ取材のためにカナダを訪れるが空振りに終わる。落胆するウォレスだったが、偶然にも面白そうなネタが見つかり、元船乗りだという老人のもとへ取材に出向く。そしてハワード・ハウと名乗る老人に手厚くもてなされ、セイウチに助けられたという彼の冒険譚を聞き始める。そのさなか激しい眠気に襲われ、意識を失うウォレス。次に目覚めると彼は車椅子に縛りつけられ、片足を失っていた。やがてウォレスの異変を察した恋人のアリーとテディは、警察に紹介された奇妙な探偵ギー・ラポワンテと共にウォレスの行方を追うが…。 

<感想>いや~デブったジョエル・オスメント君とノンクレジットの“大スター”というジョニー・デップ見たさにレンタルしてきた。正直言って面白いかというと、笑えない残酷サイコ・ホラー映画であります。
ブラックコメディとして観ていたら洒落にならないくらいエグいし、どういう気持ちで観るべきか分からなくなってくるのだ。しかし、宣伝に名前が出ていない大物俳優が出ていることを知り、最後まで観ないと損だと思った。

で、その彼はジョニー・デップであり、いきなり重要な探偵ギー・ラポワンテの役で登場し、変なフランス語なまりの演技を披露し始めて、無事ブラックコメディに戻ってくる感じ。

別に意外でも何でもないことを、もったいつけて中々見せなかったりする演出が謎ですからね。それに、バネッサ譲りの小悪魔っぽさがたまらん16歳のジョニーの娘も出ているってよ。
主人公がジャスティン・ロングなんですけど、変態爺に、切って寄せる、セイウチ化整形手術と、その後の調教飼育はかなりグロイです。

チラッと見せる程度ですが、それをやらかすジジイの狂いっぷりもなかなかですし、セイウチに成りきり極めた男を、快活に演じているジャスティン・ロングも最高にいい。

ラックコメディでいきたいのか、どっちつかずの印象だ。両方いきたいのだろうが、何だか咬み合わさってないのが惜しい。つまり「ムカデ人間」のような。そうそう、体格が変わっても面影が残っているオスメント君がいい感じでした。

この映画も、この世におぞましい変身譚もまさしく「悪趣味映画」の一つと言えるのではないか。ケヴィン・スミス監督の特異な感覚は非凡だと思う。
ラストで明かされる変態ジジイのことは、何とか理解できても、セイウチに変身させられた主人公の醜悪で哀しげな顔は忘れらそうもない。どうみても、脳が人間だし、体も心臓も人間なんだから、元の人間に戻してあげてやることは出来ないものかと、考えてしまった。

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インサイダーズ 内部者たち★★★

2016年04月19日 | アクション映画ーア行
2015年に「友へ チング」の記録を塗り替え、R指定(青少年観覧不可)作品の韓国歴代No.1ヒット作となったイ・ビョンホン主演のサスペンス・アクション。陰謀渦巻く韓国政財界を舞台に、政界を揺るがす裏金事件を巡って欲望に取り憑かれた3人の男たちの思惑が交錯し、激しい駆け引きが展開されていくさまをスリリングに描く。共演はチョ・スンウ、ペク・ユンシク。監督は「スパイな奴ら」のウ・ミンホ。
あらすじ:財閥と政治家が癒着する巨大な腐敗権力を巡り<策士・検事・チンピラ>3人の男たちが仕掛ける命をかけた騙し合い。二転三転する勝者――あなたもきっと爽快に騙される! かたや自分たちの自由にできる世の中を求め、かたや政治家として金と後ろ盾を必要とする。財閥と政治家の癒着は巨大な腐敗権力を作り上げていた。

<感想>久しぶりに観るイ・ビョンホン主演のハードボイルドでサスペンスふるな映画。ウェブ漫画の原作であり、財閥企業ミライ自動車の会長のキム・ホンパは、与党の大統領候補チャン・ピルに扮したイ・ギョンヨンに、金を流し政界への影響力を決定的にしようと企んでいた。

黒幕として、その仲立ちをしていた大手新聞、祖国日報主幹のイ・ガンヒを演じるペク・ユンシクは、巨大権力を陰で操る策士家であり、汚れ仕事を任せていたゴロツキのアン・サングを演じているのが、イ・ビョンホンである。彼に雇われ悪事を代行するチンピラのサングは、財閥が大統領に渡した裏金ファイルを入手し、利用しようとして失敗してしまう。
一方、裏金事件を捜査中の若手検事、チョ・スンウ扮するウ・ジャンフンは、チンピラに成り下がったイ・ビョンホンに近づく。という筋立てで、 なるほどなかなか見ごたえのある社会派ドラマである。

大手新聞社祖国日報主幹のイ・ガンヒ以外の悪役が薄っぺらでつまらないのだ。ですが、込み入ったストーリーを運ぶだけで手いっぱいになるのではとの不安を感じたが、アクションシーンにも人物のちょっとした動きにも、美術装置にも工夫が見られのが中々面白かった。

ロン毛のイ・ビヨンホンが黒い皮手袋を外して義手を見せつける。この幕開けから一気に最後まで持って行かれる130分。リンチのシーンはいつもの韓国版拷問であり、金槌に斧、鉄パイプと、若き検事の取り調べ拷問では、ノコギリで手を切られたイ・ビヨンホンが悶絶するシーンが観られる。

そんなイ・ビヨンホンが、屋上ハウスや鍋ラーメンなど、お馴染みの韓国文化もたくさん出てくる。鍋からインスタントラーメンをイ・ビョンホンが、がつがつ食べているシーンでは、私はあまり食べないインスタントラーメンでも美味しそうに見えてくるから面白いですね。
そして、韓国財閥と政治家の癒着を見せる裸の女をハベらせての乱痴気宴会には唖然とするも、キビキビとしたタッチは快調であり、ハリウッド・アクション映画の持っていたアナーキーな反体制的エネルギーを懐かしく思い出させる。

ですが、イ・ビョンホン演じるアン・サングは、ガンヒに明らかに利用されているだけなのに、なぜそこまでサングがガンヒと兄弟の絆を持ち信じているのがわからなかった。国外へ逃がした彼女まで殺されているし。

悪人どもの描き方はいつもの韓国映画と同じだが、どこまでもワルをえげつなく描く韓流固有のタッチだし、組織の犬、巨悪の犬として生きてきた検事とチンピラがふせぎ、敵同様にしたたかな作戦を立てる構図と展開は、もの凄く面白く爽快であります。

特に最後のどんでん返しというか、イ・ビョンホンが記者会見を開いたところで終わりかと思いきや、そこからの本当の逆転劇というか見どころでは、腕力で方をつけるのではなく「言葉の力」での対決の様相が良かった。

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スポットライト 世紀のスクープ★★★.5

2016年04月18日 | アクション映画ーサ行
カトリック教会が長年隠蔽してきた児童虐待スキャンダルを暴き出し、ピュリツァー賞に輝いた調査報道チームを巡る感動の実話を基に、巨大な権力に立ち向かっていった新聞記者たちのジャーナリズム魂と不屈の執念を描いた実録サスペンス。出演はマーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュライバー、ジョン・スラッテリー。監督は「扉をたたく人」「靴職人と魔法のミシン」のトム・マッカーシー。
<感想>今年のアカデミー賞でみごと作品賞と脚本賞の2冠に輝いたということで観賞。観賞してみて、「スポットライト」は主要人物すべてが主役といっていい群像劇であるも、その中で誰が一番かというとやはり主役はマイケル・キートンだと思う。

1976年、ボストンのカトリック教会の神父が子供に対する性的虐待で警察に拘留されるが、その後事件はうやむやになってしまう。時は経ち、2001年に地元新聞社グローブに新しい編集局長が就任して、その彼が一つのテーマに時間をかけて取材し記事にする《スポットライト》のチームに、25年前の神父の事件を調べるように指示する。あの時の神父は、その後も性的虐待を繰り返していた。

新任の局長はマイアミから来たユダヤ系で、ボストンではよそ者である。しかし、スポットライトのチームの面々はみな地元ボストン出身者。グローブ紙を始め、ボストンのマスコミがこの事件を大きく扱わなかった背景には、カトリック教会に触れたくない、波風を立てたくないという意識があった。よそ者の局長バロンに対しては、早速圧力めいたもの言いをする人物も現れる。

だが、ジャーナリストとして使命に燃える《スポットライト》のチームの面々が事件を調査していく内に、性的虐待をした神父がボストンだけでも70人はいるということが分かる。カトリック教会は問題を起こした神父を一時的に職務停止して、この問題を隠蔽していたのだ。
カトリックの神父による子供への性的虐待の要因は、その一因としてカトリック教では神父が結婚できないこと。同じキリスト教でもプロテスタントの牧師は結婚して家庭を築くのが普通であり、問題解決のためには個々の神父を罰するだけでなく、こうした面での改革が必要なのかもしれない。

多数の神父による驚くべき性犯罪の事実と、被害者たちの苦しみが明らかになるにつれ、《スポットライト》のチームの面々にも動揺が現れる。これまでのようには教会に行けなくなると思い、信仰と現実の間で悩む女性記者のサーシャ。神父の犯罪をできるだけ早く世に伝えたいと思う熱血記者のマイク。神父の犯罪を追及するだけでは問題は解決しないのだ。それを隠蔽した教会も追求しなければとリーダーのロビー。映画の後半ではマイクとロビーの対比とそれぞれの記者の思いが中心になっていきます。

この映画では、神父や教会に対して単純に悪として追求するだけでは終わっていない。謹慎中の神父を訪ねるサーシャは、加害者の神父も少年時代には被害者だったことを知り、自分が子供のころに教会に行っていたが、被害者にならなかったのは運が良かっただけと思い知る。
そして、ロビーが過去に自分が担当していた欄で神父による性的虐待の記事を載せたにもかかわらず、それ以上追及せずに放置しておいたことを思い出します。その記事を見つけたサーシャが、ロビーに報告するシーンでは、ロビーが「それで」とそっけない返事をするのに、一見重要そうに見えないこのシーンが、後で深い意味を持ってくるのです。

ロビーは友人の弁護士から「編集局長は手柄を立てたいだけで、出世して何処かへ行ってしまうけれど、お前は行くところがないのだ。だから、記事を抑えろ」と言われるリアルなシーンがある。ですが、記者たちは特ダネというものに対する渇望、大きなスクープを派手にやりたいというのと、社会欄で告発したいという正義感みたいな感情もある。

隠れていた不正を自分が表にださないと埋もれてしまう、情報が集まりだんだんと全貌が明らかになってくる面白さもある。現場感、特ダネに向かって何かをやるという満足感、それに使命感もある。ボストン出身の記者たちにとっては、この事件は決して他人事ではないのだ。自分が被害者になったかもしれないのに、こういうことが起こっていたことに気づかなかったことを。それを見過ごしてしまったことを。

それでも、神父が子供に性的虐待をするシーンなどは見せてはいない。描かないことで、観客に信仰とどう向き合えばいいのか、今でも繰り返されている性的虐待を。それに、神父だけではない。孤児院や学校などで、小児性愛好者の性的虐待も、権力を笠に着て子供たちを虐待している悪も、現在でもなくならないことを。
しかし、《スポットライト》の記者たちは正義感だけに突き動かされていると言う感じがあります。休みの日でも会社に出て来て仕事しているし、夜中まで夜回りして、絶対に家庭崩壊していると思うのに、記者たちの家庭が出てこないのも不満でした。

配役が適材適所であり、新任の編集局長マーティ・バロンに「完全なるチェックメイト」のリーヴ・シュレイバーが扮して、特集記事欄《スポットライト》を担当するリーダーのウォルターには、マイケル・キートンが、その他3人には、マイクにマーク・ラファロ、サーシャにはレイチェル・マクアダムス、マットにブライアン・ダーシー・ジェームズと変人弁護士のガラベディアン役で笑いを誘うスタンリー・トゥッチはじめ、脇役も充実していて良かった。
ラストで、彼らの働きの成果として、記事の反響の声で編集部の電話が鳴りやまないことが、最高に素敵でした。

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嘘つきは恋の始まり★★.5

2016年04月17日 | DVD作品ーあ行
恋に嘘は付き物!?幸せになるヒントがいっぱい!・・・ウィノナ・ライダー×ウェス・ベントリー 極上ロマンティックコメディ!
幸せになるために必要な嘘もある!?
 「オータム・イン・ニューヨーク」「ブラック・スワン」のウィノナ・ライダーと「アメリカン・ビューティ」「ジョナ・ヘックス」のウェス・ベントリーが魅せる、嘘を巡って繰り広げられる奔放な美女と引きこもり男子のロマンスコメディストーリー!
あらすじ:薬品会社で働くシャーロット(ウィノナ・ライダー)は、自由奔放でちょっぴり破天荒な女性。一方、インターネットで遺書の代筆サービスをして生計をたてているエヴァン(ウェス・ベントリー)は、部屋に引きこもり依頼人の最期の言葉を書き連ねる、暗い毎日を送っている。
そんな二人が出会ったのは、シャーロットの兄・マットの葬儀。実はエヴァンはマットの遺書を代筆していたのだ。その事実を隠し、シャーロットに「作家」だとウソをついてしまったエヴァン。風変わりなエヴァンに興味を持ったシャーロットはエヴァンをデートに誘い出す。しかし、エヴァンは次々とウソを重ねてしまう。果たして二人の恋の行方は…?(作品資料より)

<感想>劇場未公開の作品です。ウィノナ・ライダーというと「シザーハンズ」でキュートな魅力を見せ、ジョニー・デップとの熱愛で一躍有名となった女優さんというイメージが強いですね。でも最近では「ブラック・スワン」で、元花形バレリーナ役の鬼気迫る演技で再評価されましたけど。
しかし、彼女って何だか知らないけど目だけギョロッとして、痩せていて貧相に見えるのよね。お嬢様って役は似合わない。

相手のウェス・ベントリーは、アメリカン・ビューティ」で注目され「P2」、「ゴーストライダー」など話題作に出演している若手の俳優さん。
この作品では、どちらかというとネクラで引っ込み思案の男を演じているウェス・ベントリー。嘘に嘘を塗り固めて、いずれはバレてしまうのに、その時は今の恋もダメになってしまうなんてこと考えてなかったんでしょうね。
ロマンチック・コメディってなっているけれど、コメディっていう展開にはなってないし、笑えるシーンも無いと言っていいと思いますよ。しかし、ウィノナってすぐに脱ぐんですね(笑)

自殺志願者の顧客のアベルから電話がかかってくるのですが、少々うざったいエヴァン。でも友達がいない彼は、自分が今恋をしていることをアベルに相談します。
少しは心を開いていくエヴァンなんですが、デートといっても楽しそうにしてないエヴァン、仕事の方はそれなりに依頼があり、音楽家の遺書の仕事をスタジオでやりたいという。自分のCDを聞いてくれと無理やり押し付ける音楽家。

なんだか、シャーロットとの恋物語よりも、エヴァンとアベルの人間ドラマの方が展開として面白く、内に籠っていたエヴァンが自分の心を開いていく変化が印象的でした。たとえば、居直り強盗に財布を盗まれ怒り狂う彼が、大人しい男だったのに、実はという鬱積していた心を見せるところは、やっぱり我慢してたんじゃないの、なんて心の中を垣間見たようで嬉しくなった。
誰だって息詰まると、自殺願望になることはあると思う。そんな時に、電話ファックスを大声で騒いで崖から投げつけるシーン、それを爆破するシーンが重なり、スカッと爽やかな気持ちになる。男ならみんな怒りをぶつける場所があるということは救われる。
私なら、ストレス発散にはスィーツ食べ放題にショッピングかな(苦笑)

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ドクムシ ★

2016年04月16日 | アクション映画ータ行
合田蛍冬の同名コミックを村井良大、武田梨奈主演で映画化したバイオレンス・ホラー。監督は「クソすばらしいこの世界」「女の子よ死体と踊れ」の朝倉加葉子。
<感想>最後の1人になるまで殺し合う恐ろしいゲームを強いられ、狂気にかられていく7人の男女を描くホラーでもある。つまり「バトル・ロワイアル」のような、密室に7人が閉じ込められて、その7人はみな初めて逢う人たちばかり。有名な俳優は出ていません、私もたくさんの映画観ているけど、知っている俳優さんはいなかったです。

それが、中にいる新聞記者の一人ユキトシが、これは“蠱毒(コドク)”という、「虫を閉じ込めさせて共食いをさせ、最後に生き残った最強の1匹を呪術に使う」というデスゲームであり、何者かがこのゲームを仕掛けているのだ。
でも、何故にこんなことをさせるのか。一応その廃墟の学校を調べ始めるが、水はトイレが出るのでいいとして、食料は全然ないのだ。つまりは、人間を一人ずつ殺して4階にあるビニールシートが敷いてある部屋には、出刃包丁が鎖に繋がれてあり、コンロに鍋が置いてあった。それに電光掲示板が時間を刻んでいる。つまり7日間の時間である。ただ要所要所に監視カメラが設置されていて行動が監視されているらしい。
一人はこの状況を知っていた新聞記者のユキトシ、ヤクザのような大きな身体でマッチョなトシオ、それに大学生のレイジ、デブでオタクのタイチ、キャバ嬢のあけみ、大学生のユミ、小学生のような子供のミチカの7人である。

誰から殺されるのかと気になるところだが、大学生のユミは、レズであり、実は学校で先輩を殺していた。トイレで自分の身体が臭いといい、真剣にゴシゴシと洗っているのだ。一番強そうなトシオが大学生のユミをレイプして男としての満足感を味わい、その時にキャーと悲鳴を上げるユミの声にみんなが驚いて集まるのだが、そのユミが自分のパンツでトシオの首を締め上げて殺してしまう。その死体は一応4階の特別室へ。

次の被害者が大学生のユミで、自分が学校で先輩を殺し、トシオを殺したことを悔やんで4階の踊り場から飛び降り自殺をしたということになっている。これで2人目だ。5、6日目は何もなく終わってしまう。
アケミがレイジをトイレで誘惑して2人は関係を持ってしまう。あけみが言うには、「家に弟が一人でいるので、心配だからどうしても私は生きて帰らなければいけない」といい懇願するのだ。それを見ていたデブのタイチが、幼児のミチカの後をついて怪しい気配。

それにだ、みんなは、水だけを飲んで7日間過ごすって、我慢できるのだろうか。特にオタクでデブのタイチが一番腹をすかせてヤバイのだ。だから、3階の特別室で出刃包丁を握りしめ、死体を切り刻み血しぶきが飛び散り煮て食うという。タイチが誰から殺そうかと狙っている。鍋の中にはお湯がグラグラと煮だっているし。タイチがあけみを襲って切りつけるも自分の腹を出刃包丁で切ってしまい、腸が飛び出して死んでしまう。自暴自棄になるあけみ。みんなが特別室へ集まり、タイチのしていることを見ているのだ。
ということで、腹が減れば人間を喰うということは必然であります。一人、また一人と死んでいき、鍋の中で茹でられて勝利者の口の中に入るというゲロゲロなシーンは見せません。つまりは想像して下さいということです。

このゲームのことをユキトシが云々言ってましたが、キリストの7つの大罪のことを言い、みんなは罪を犯しているから集められたのだと言う。7つの大罪とは怠惰・強欲・憤怒・色欲・暴食・嫉妬・傲慢です。原作ではこの部屋に集められた一人一人が殺人をしているのを詳しく描かれています。ですが、誰がどんな殺しをしたのかは、映画の中では明かされてません。
あけみが今度はユキトシを誘惑して「妹が病気で家に一人でいるの。だからどうしても生きて帰りたい」と嘘をつくのだ。それをレイジが聞いていて、俺も言われたと言うと、ユキトシがレイジを掴みトイレの便器に顔を付けて乱暴する。頭にきたレイジがユキトシを押さえつけて、今度はユキトシをトイレの便器にパーカーの紐で結わえつける。

とうとう7日目が来た。フラフラとあけみがトイレに出ていく。レイジとミチカが二人きりになると、この中にスパイがいると言うのだ。アケミが帰って来て、3人が生き残ることはない。3人が殺し合い誰かが一人助かるのだと。ミチカのことをあけみは知っており、子供なんかじゃない、子供のフリをしている大人の女だとバラスのだ。
実はミチカはレイジの事が好きで、ユミがレイジを殺そうとしているのを見て、好きな男を殺すユミを4階の踊り場から落として殺してしまったのだ。ミチカが花の髪飾りから毒針を出して、自分の首に刺し「こんなバケモン気持ち悪いよね」と言いながら死ぬ。

トイレの便器に紐で結わえられていたユキトシが、紐をほどいて4階の特別室へと。そこへ、あけみとレイジが行き、3人で殺し合うのであります。あけみが肉切り包丁を振り上げてユキトシに襲い掛かるも、床の血のりで滑って転びユキトシに包丁で腹を切られてしまうのだ。
もうユキトシとレイジの2人しか残っていない。2人が取っ組み合いをして殺し合うシーンも、7日間も何も食べてない2人がよくこんだけの力が残っているもんだと、不思議な感じですよ。ユキトシがレイジに最後の言葉を「やっと見せてくれたね。ドクムシの顔を。嬉しいね美しい蠱毒の完成だ」
結局は、運の良さでレイジがユキトシに勝って、鍋の中の人間の肉を食べ生き延びるんですが、7日間過ぎても一向に誰も助けにくる気配がない。それから1カ月くらい経ってやっと、外から救助隊が来た時には、レイジも生きているのが不思議なくらいでした。
その廃墟の学校は、東北大震災で一時避難する場所として廃墟の学校の教室を作ったわけで、7人の被災者を寝かせて置いたところ、どういうわけか鉄の扉、シャッターが閉まってしまい、やっと気が付き助けに来たわけ。だから、中でサバイバルのデス・ゲームをやっているとは思ってもいないわけで、生き残ったレイジは病院へ運ばれるも、極限の恐怖と人間を食べたという恐ろしい行為に怯え苦しむ毎日。最後は、生き残っても精神病になってしまう。という終わり方には、不満があります。原作と違う終わり方なので、私には原作の終り方の方がスキですね。エロ、グロな内容でも興味のある方は原作を読んでください。
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キャロル ★★★★

2016年04月15日 | アクション映画ーカ行
『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』などで知られる女流ミステリー作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表した小説を「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が映画化。エレガントな大人の女性に心奪われた若いヒロインの切なくも美しい禁断の恋の行方を、50年代のニューヨークを鮮やかに再現した衣装・美術と素晴らしい映像美で描き出す。主演は「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラと「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェット。

あらすじ:1952年、クリスマス目前の活気あふれるニューヨーク。高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをしているテレーズ。フォトグラファーという夢を持ち、恋人のリチャードからは結婚を迫られるなど、一見充実しているかに思えて、どこか満たされない日々を送っていた。そんなある日、ゴージャスな毛皮のコートを着た女性キャロルが、娘のクリスマスプレゼントを探しに彼女の売り場へやって来る。その美しく優雅な佇まいに一瞬で目を奪われ、強い憧れを抱くテレーズ。後日、ふとした成り行きからキャロルにランチに誘われ、彼女が夫ハージとの愛のない結婚生活に苦しんできたこと、そしてついに離婚を決意したことを知るが…。

<感想>50年代、ニューヨークの社交界、その煌びやかな世界には、一方では暗黙の了解があり、自由奔放な生き方は許されない保守的な空気に満ちていた。上流階級のキャロルと出会ったテレーズは、彼女の美しさに憧れを覚えるが、やがてキャロルの自分に対する感情に気づき、憧れが愛に変わっていくのだ。

パトリシア・ハイスミスの著書の中で、珍しく唯一クライム・ドラマではない作品になっている。つまり、2人が恋に落ちる瞬間をクライム・ドラマのような分析力で描いているのに、とても惹かれた。

キャサリン・ヘプバーンと、オードリー・ヘップバーンのお二人に、良く似た女優2人は、埃っぽい幹線道路に車を走らせて、因習から逃走する。それは「男の付属物」として生きることしか女には許されなかった時代に、自分の欲求するものを得ようとする旅に出る。
ですが、極めてまっとうなラブロマンスにしてセックス云々を問わずに、マイノリティーの生きづらさを描いたドラマでもあるのだ。

人妻のキャロルのタバコを挟んだ指、お互いの肩に添える手など。レズビアンにとって性的にも重要な手と指がひたすら艶めかしく映し出される。二人のベッドインの映像も美しく、禁断の恋というモラルを逸した行動が、キャロルの夫であるハージの差し金である探偵によりバレてしまう。それは、キャロルにとっては、娘の親権を貰えないばかりか、娘と逢うことさえはばかれるのだ。

全体的にラグジュアリーで、そこはかとなくサスペンスフルになっている。ラブストーリーというのは障害があることでいっそうの効果をあげるからであり、現代において2人の恋人が一緒にはなれないと言う環境は非常に稀である。

だが、昔はモラルの問題や社会性を織り込むことで、そういう時代性や背景などが、映画として非常に面白く見えるのではないかと思う。

メロドラマといえばその通りなのだが、そのソープオペラ的響きとは裏腹に、本作はこの上なく格調高く、限りなく繊細に、彼女たちの言葉にできない感情や、表現してはならない気持ちを、その視線や仕草を追うことですくいとって見せる。
これは女性同士に限らず、どんなカップルにも共通する物語であり、現代にも通じるあらゆる障害に阻まれたラブストーリーと言える。ですが、本作ではその対象が女性であるだけに、セットやコスチュームも含めてその映像美がいっそう強調されていて、眼を奪われます。
対照的な持ち味が光る二人の、演技派女優のコラボレーションとともに、胸を突く、トッド・ヘインズ監督の最高傑作でもあります。

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