パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

アルゴ ★★★★

2012年10月31日 | アクション映画ーア行

1979年に発生し、18年間機密扱いにされていたイランアメリカ大使館人質事件の真相を映画化。CIAは、人質を映画クルーに仕立てて出国させようとするが……。監督・主演は、「ザ・タウン」のベン・アフレック。共演は、「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキン、「アーティスト」のジョン・グッドマン。

あらすじ:1979年11月4日、イランの過激派がアメリカ大使館を占拠する。混乱の中6人が脱出しカナダ大使の私邸に逃げ込むが、残った52人の大使館員は人質となる。イラン側は、癌の治療のために渡米した前国王パーレビの引き渡しを要求する。大使館員の写真つき名簿は襲撃前にシュレッダーにかけていたが、名簿が復元されれば脱出者がばれ、捕まれば処刑される。
国務省はCIAに応援を要請し、人質奪還のプロ、トニー・メンデス(ベン・アフレック)が呼ばれる。トニーは、6人をニセ映画のロケハンに来たカナダの映画クルーに仕立て上げて出国させるという作戦を閃く。トニーの知人で特殊メイクの第一人者、ジョン・チェンバース(ジョン・グッドマン)は協力を快諾する。チームに参加した大物プロデューサーのレスター(アラン・アーキン)は、自宅で山積みになっているボツ脚本から、イランでの撮影に相応しいSFアドベンチャー『アルゴ』を選び出す。事務所を立ち上げ、大々的な記者発表を開き、本物さながらのプロジェクトが始まる。
一方、イランでは200人以上の民兵が空港を監視していた。1980年1月25日、プロデューサー補に扮したトニーはイランへと向かい、文化・イスラム指導省で撮影許可を申請した後、カナダ大使邸に入る。6人は計画に反発するが、それぞれの役柄を暗記する。翌日、ロケハンを許可した指導省が、バザールで担当者と面会するよう要求してくる。トニーは怖気づく大使館員を説得して連れ出し、何とか乗り切る。
しかし翌日、トニーの上司オドネル(ブライアン・クランストン)から緊急電話で、計画の中止が告げられる。軍による人質奪還作戦が決定したのだ。航空券は取り消され、ハリウッドの事務所は閉鎖される。トニーは6人に黙ったままホテルに帰る。翌朝、トニーは電話で、6人を出国させると上司に宣言する。しかし作戦の復活には、カーター大統領の承認が必要だった。一方、大使館名簿の復元もあと数分に迫っていた……。

<感想>俳優ベン・アフレックが監督した、手に汗握るスリリングな演出で映画化した社会派サスペンス。ジョージ・クルーニーが本作のプロデューサーとして関わるなど、モテモテ状態が続くアフレックだが、元々「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(97)のオスカー受賞脚本家の片割れだけに、益々侮れなくなってきている。
1979年、イランではイスラム革命が成功し、国王だったパーレビは国外へ逃亡し、アメリカが受け入れた。これに起こったイランの若者たちはパーレビを引き渡しを要求し、テヘランのアメリカ大使館を占拠、大使館員たちを拘束した。
しかし、この時6人の職員たちが密かに脱出。カナダ大使公邸に身を寄せた。アメリカは彼らの国外脱出の手段を画策するが、なかなか良いアイデアが浮かばない。イラン側が大使館員全員の身元を確認すれば彼らの脱出のチャンスはなくなる。
昔のシュレッターは、粉々に粉砕するのではなく、トコロテン流しのように押し出すだけなので、イランの子供たち総動員して、まるでジグゾウパズルのように組み立てて行くシーンもある。

その時、CIAの人員救出のプロ、トニー・メンデスはとんでもないプランを提案した。彼らを架空の宇宙SF活劇映画のスタッフと偽り、ロケハンに来たふりをさせて帰国させようというのだ。
そのため、ハリウッドの業界人の協力を得て、偽SF映画「アルゴ」制作スタジオのでっちあげが始まった。驚いたことに、これは実話がベースだというのだ。作戦に協力したのは「猿の惑星」のスペシャル・メイクアップで有名なジョン・チェンバース。本職のプロデューサーを巻き込んで、偽の事務所を開設、制作発表までやらかすのだ。
このニセモノ具合が実に絶妙で面白い。当時は「スター・ウォーズ」によるスペースオペラ・ブームの真っただ中で、怪しげなパチモノ・スターウォーズが我が国も含め、あちこちで作られていたから、こんな企画があっても不自然には見えない。

しかし、イラン側が問い合わせた時に実在すればいいわけで、このシーンでも事務所近くに来ているのに、二人が電話に出られない状態の緊迫感が最高。それにマスコミが本気にして注目されても困る。だからどうせポシャるだろうと思われるような、ダメさ加減にも気を配らなければならないのだ。
このあたりが、当時のSFブームを思い起こすと笑える部分なのだ。実際に起きた事件に基づいているけれど、コメディチックなハリウッドの部分と、シリアスなドラマの部分のバランスが上手く撮られていて、ストーリーにサプライズがあるのでメリハリが効いていい。
ハリウッドのいい加減さを知り尽くしているベテラン・プロデューサーを、完全に爺さんになったアラン・アーキンが飄々と演じているのもいい。それにスペシャル・メイクアップで有名なジョン・チェンバースには、ジョン・ググッドマンなど、キャスティングが最高。
ハリウッドの雰囲気にかぎらず、ファッションやヘアスタイルなど、当時の様子の再現は見事ですね。もちろんクライマックスの空港でのシーンには、ハラハラの脱出劇で、成功した話であっても充分に盛り上げてくれる。劇中でアフレックが演じたCIAの元スパイ、トニー・メンデス本人が空港のシーンでカメオ出演しているというのだ。トニーの妻や息子たちの他、妹一家までもが参加したという。
監督と主演を兼ねたベン・アフレック。メンデスの演技はリアリティを感じさせて秀悦であり、もしかすると、“イーストウッド”の後継者になれるかもしれないですよね。今後が楽しみです。
この79年のイラン革命では、一般のアメリカ人もほうぼうで拘束され、痺れを切らした実業家ロス・ペローが、退役軍人を雇って自前で救出した話が、「鷲の翼に乗って」としてTVM化されている。
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終の信託 ★★★★

2012年10月30日 | た行の映画
「Shall We ダンス?」の周防正行監督、草刈民代、役所広司の3人が再び顔を合わせた愛と生命を巡るドラマ。強い絆で結ばれた患者から最期を託された女医の決断が、やがて殺人罪を問う刑事事件に発展する。原作は現役弁護士でもある朔立木の同名小説。「桜田門外ノ変」の大沢たかお、「バトルシップ」の浅野忠信が共演。

あらすじ:折井綾乃(草刈民代)は、患者からの評判も良い呼吸器内科のエリート医師。しかし、長く不倫関係にあった同僚の医師・高井(浅野忠信)から別れを告げられ、失意のあまり自殺未遂騒動を引き起こしてしまう。そんな彼女の心の傷を癒したのは、重度の喘息で入退院を繰り返していた患者、江木秦三(役所広司)の優しさだった。
互いの心の内を語り合い、医師と患者の関係を越えた深い絆で結ばれてゆく綾乃と江木。やがて、病状の悪化によって自分の死期が迫っていることを自覚した江木は綾乃に懇願する。“信頼できるのは先生だけだ。最期のときは早く楽にしてほしい”と……。
2か月後、江木が心肺停止状態に陥り、綾乃は決断を迫られる。約束通り治療を中止するのか、命ある限り延命の努力を続けるのか……。“愛”と“医療”の狭間に揺れる綾乃は、ついに重大な決断を下す。
3年後、その決断が刑事事件に発展。綾乃を殺人罪で厳しく追及する検察官の塚原(大沢たかお)。綾乃も強い意志を持って塚原に向き合うが……。(作品資料より)

<感想>それでもボクはやってない」で映画賞を総なめした2007年。妻であるバレリーナ、草刈民代のラスト・ダンスを追ったバレエ映画「ダンシング・チャップリン」を挟んで、5年ぶりの劇映画が完成した。患者から「最期の時は、長引かせないでほしい」と最期を託された女医が殺人の罪で告訴される。
この映画は、死をめぐる善意が巻き起こした悲劇である。極限まで無駄なものがそぎ落とされた周防映画の一つの到達点ともいうべき秀作です。冒頭で、折井綾乃が検察庁の待合室で予定時間を超えて待たされている間に、回想で彼女と患者の江木秦三の関係と彼の死までが描かれ、それは担当医綾乃と喘息患者江木の固い絆が育まれた長きに渡る時間と、その女医と検察官の息詰まる攻防を鮮烈に対比させながら、ラストの遠ざかる女医の姿をもって見る者に判断を問いかける。
観客は否応なく綾乃の視点に立たされ、検察官、塚原の強い口調の言葉に圧迫感を感じるはめになる。見ていて患者と女医との信頼関係で、患者が最も心を許せる相手である医者に最期を託し、その意志に添おうとした医者が殺人罪を科せられる。まるで「人殺し」とあなたは「殺人」を犯したと決めつける台詞の責めぎ合いに、何と悪魔的手法に満ちた映画だろうと感じた。

一見して患者と医者との人間愛溢れるラブストリーにも見えるのだが、患者の最期を看取るということは、看護にあたる家族の心の葛藤、酷く苦しむ患者に早く楽にしてあげたいと思う願いは、「尊厳死」を望む家族に対しての医療行為が適切かどうか、それが問いただせられる内容かというと、そうでもない。
患者が救急で運ばれてから、蘇生による医療で意識不明のままの状態で入院。家族はあまり見舞いには来なかった。それで、綾乃が元気なころの江木との約束を思い出し、延命治療の管を外すことを家族に承諾させる。これがまた見ていて壮絶なシーンで、人間は意識がなく植物状態になっても、生きるという力が湧き、ガァ~という叫び声ともとれる呼吸をして暴れるシーンを見て、気管に通している管を外すのはその命綱ともいえる管なので、いくらお願いされたからといってもそうすることはいかがなものかと思った。確かに入院が長引くと医療費もかさみますが、そういってもまだ生きている人間をこうまでして死なせるのは、やはり医者の個人的見解だともとれる。

周防正行監督と主人公に奥さまである草刈民代さん、この映画を鑑賞して、亡くなった伊丹十三監督と奥さまの宮本信子さんの「お葬式」の映画を思い出します。劇中に夫の浮気相手がやってきて、林の中で関係を持つシーンなど、葬式という厳粛な暗くなる題材をユーモアを交えて撮った秀作です。本作もそれと似ているような、劇中に主人公の同僚との恋愛事情を描き、病院内での草刈民代さんのベットシーンまで見せつける。

朔立木の「命の終わりを決める時」に収録された同名小説をもとに、構成は原作と同じで台詞までがほぼそのままである。舞台調の長台詞を違和感なく聞かせ、かつ人物の背景、枝葉の描写を映画は削いでいるだけに、俳優さんたちの演技や、存在感を引きだして人物像に奥行きを与える演出力が無ければ成り立たなかったでしょう。
もしこの映画が「安楽死」というものの是非を問うというテーマであるとするならば、劇中の終わりに裁判のシーンを描く必要があったはず。尊厳死の法制が囁かれている現状ではなおさらである。しかし、この映画が検察権力というものの理不尽さを訴えているのだとすれば、見ている側としては少しほっとするに違いない。
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星の旅人たち ★★★★

2012年10月29日 | は行の映画

あらすじ:カリフォルニア州の眼科医トム・エイヴリー(マーティン・シーン)のもとに、ある時、一人息子ダニエル(エミリオ・エステヴェス)の訃報が届く。“世界を見たい”と旅立ったスペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の途中で、不慮の死を遂げたのだ。父子の関係は、決して良好なものではなかった。ダニエルは何を想い、巡礼の旅に出たのか……。
一人息子の遺灰をリュックに収めたトムは、ダニエルが志半ばで倒れた旅を継ぐことを決意。しかし、800 キロに及ぶ長旅は、60 歳を超える老体にとって容易なものではなかった。旅の途上、トムが最初に出会ったのは、減量のため巡礼の旅に出た人懐こいオランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)。
成り行きから2人は旅の同伴者となるが、トムが息子の遺灰を撒いていることを知り、ヨストは衝撃を受ける。次に宿泊所で出会ったのは、カナダ人女性のサラ(デボラ・カーラ・アンガー)。ヘビースモーカーで厭世的な彼女は、トムに対しても理不尽な怒りを表す。イラーチェへと向かう草むらで出会ったアイルランド人のジャック(ジェームズ・ネスビット)は、スランプに陥った旅行ライター。
トムが息子の遺灰とともに旅していることをヨストから聞いた彼が、それをサラに話すと、サラも自分自身の過去をトムに打ち明ける。かつて夫からDVの被害を受けていたこと、離婚して赤ん坊だった娘を手放したこと……。その日、ランチでワインを飲んだトムは、他の3人に悪態をついた挙句、昏倒して警察の厄介になってしまう。
その窮地を救ったのは、3人の仲間たちだった。保釈金を肩代わりしてくれたジャックに、トムは自分の旅の目的と息子ダニエルのことを話し始める。こうして4 人が家族のような親密な絆で結ばれた矢先、トムのリュックが少年に盗まれてしまう。遺灰を失い、旅の目的を見失ったトムは、巡礼を続けることができるのか…?(作品資料より)

<感想>サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅ではフランス映画の「サン・ジャックへの道」を思い出す。兄妹3人の仲が悪く疎遠で、母親が心配して自分が死んだことにして、遺言状に3人の子供たちを巡礼の旅に立たせる。旅をする途中で喧嘩をしながらも、最後には兄妹仲良く目的地の教会に辿り着く。
本作では、父親と一人息子とが疎遠だったが、突然訃報が届き息子の遺体を引き取りに行く父親。そこで息子の意志を継いで、息子の遺灰と共に二人で巡礼の旅に出る。この映画の監督は、主人公トムを演じたマーティン・シーンの息子エミリオ・エステヴェス。彼は劇中の中で息子役ダニエルも演じている。ところどころに、ゴーストとなってダニエルの姿が現れ、父親と目線が合い微笑む姿も見られます。
フランス側からサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅は、決して楽な旅ではない。日本の四国八十八カ所巡りとは大違いだ。道のりは険しく、800キロの旅は徒歩だと2・3カ月はかかる。歩きながら、息子の遺灰を置くシーンには、つい胸が締め付けられる。途中天候に恵まれるとは限らなく、次の宿まで着くのが遅くなり野宿をすることも。

この作品の中では、実際に60歳を超えているマーティン・シーンが、リュックを背負い歩く姿が映し出されるが、撮影は車で3週間という期間で行われたと言う。旅の同行者は、肥満体のヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンに、ヘビースモーカーのデボラ・カーラ・アンガーと、旅行ライターのジェームズ・ネスビット。
3人の同行者との絡みは、自然に友情と絆なが生まれ人間的で好きです。でも、トムが旅をする途中で、酒に酔って3人に絡み警察に捕まってしまう場面や、疲れて一休みするのに橋の欄干にリュックを解く時、リュックが川に落ちてしまい流されるシーンでは、本人が老体にもかかわらず自ら川に入ってシーンを撮ったという。この川でリュックが流され、自分も泳ぎながら流される過酷なシーンには、こんな過酷展開なんて無くてもと思った。

もちろん粗末な宿ばかりではない、豪華なホテルに泊まることもある。警察に捕まりみんなが心配して保釈金を出してくれたお礼といって、トムが大盤振る舞いだ。ところが、みんな個別に泊まったのはいいが、結局トムの部屋に酒を持ち寄って酒盛りが始まる。
だがいいことばかりではない。最後の近くでジプシーの少年に大事なリュックを持ち逃げされるシーン。これも土地柄で、ジプシーに盗られたら戻ってこない。諦めろとみんなに言われる。息子の遺灰もない。これでは旅を続けるの意味もなく無理というもの。カリフォルニアに帰ると言い出すトム。
だが、映画はいい方向へと展開する。リュックを盗んだジプシーの少年の父親が、謝りに来て自宅のパーティに招待してくれた。次の日は、街の堺までリュックを持って見送ってくれ、世の中そんなに悪い人ばかりではない。この時ジプシーの父親が、教会に着いたらその後に、スペイン最西端の海へ息子さんの遺灰を撒くといいと教えてくれる。そこは荒々しい波が押し寄せて、穏やかで美しい海ではなかったが、心が洗われた気がした。
3人の同行者も、本当は教会で別れるのに最後まで付いて来てくれた。巡礼の目的は違えど、過酷な旅の道ずれは最高の友達なのだ。肥満体のヨリックが来年の牛追い祭りに参加すると言ってたので、トムもきっと来年はスペインへやってくるに違いない。とても清々しい気分にさせてくれ、巡礼の旅の風景も奇麗で、途中の宿泊所とか教会など撮影されて、自分もこの巡礼に参加した気分を味わう。
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新しい靴を買わなくちゃ ★★

2012年10月28日 | あ行の映画
脚本家・監督の北川悦吏子が原作を担当し、くらもちふさこの作画で漫画化された同名コミックを、北川自身のメガホンで実写映画化。全編フランスロケを敢行し、パリで出会った男女の偶然から始まる3日間の恋を描く。妹のスズメに付き添ってパリ旅行にやってきたカメラマンのセンだったが、パリに着くなりスズメは単独行動をしたいと言ってどこかに行ってしまう。
置き去りにされたセンは宿泊先のホテルもわからず困り果てた上に、落としたパスポートを踏みつけられ、破かれてしまう。パスポートを踏んでしまったのは、パリでフリーペーパー編集者として働く日本人女性アオイだった。アオイは、パスポートを踏んだ拍子に靴のヒールが折れてしまい……。主演はパリ在住の女優・中山美穂。共演に向井理、桐谷美玲。岩井俊二がプロデュースを担当。(作品資料より)

<感想>TVの「ロング・バケーション」で好評だった北川悦吏子脚本兼監督の作品。プロデュースに岩井俊二、音楽に坂本龍一のピアノ演奏、モーツアルトのメヌエットが要所、要所に入って極上のラブストーリーに仕上がっています。難を言えば主人公のアオイ役の中山美穂が、相手役の若い年下の向井理さんと恋人関係を描いているので、年齢的に違和感を感じました。もうちょっと若い女優さんでも良かったのでは。
お話の中にも、コメディのような、年代の差を現わす台詞のやりとりがあるのですが、パリに住んでいるし、フランス語も堪能なので彼女に抜擢されたのかもしれません。でも、あまりにも年の差が厳しく感じ、昔の若いころの美穂ちゃんならきっと最高だったでしょうに。酔っ払ったミポリンの姿も、年齢的にキツイかも。

まぁ、最近は年の離れた恋愛も流行ということもあり、物語もパリで結婚して夫の浮気で離婚、その後妊娠に気づいて男の子を出産。その息子が病弱で5歳で亡くなったお話など、そういう展開も含めるとかなり年齢的に年の差があってもいいのかなぁ、なんて妥協せざるをえないですよね。
もちろん若い世代の方達には、パリの名所、エフェル塔や、凱旋門、コンコルド広場に、ノートルダム寺院、セーヌ川遊覧船観光など、パリを満喫できる映画なので、見ているだけでも観光した気分になれます。
もう一つの話が、向井理くんがパリに来たきっかけが妹の守り役、付き添いってことでやって来たのですが、妹のスズメ(鈴愛)は、パリで絵の勉強をしている恋人に会いに来た。そして結婚してくれと彼に迫るのだが、彼氏はまだ学生だし、経済的にも無理だし、パリで一緒に住みたいというスズメの強引なプロポーズを断る。

そう言った展開が、大人の恋物語と交互に描かれ、メインのラブロマンスが雲隠れするシーンには戸惑いをおぼえてしまった。ドラマのタイトルにある「新しい靴を買わなくちゃ」の物語を優先的にしてはいるものの、二人の恋物語というより、年上の美穂ちゃんが、パリに住んでいて日本人の男性が目の前に現れ、懐かしさと日本に帰りたいという願望が見え見え。しかし、浮気症の夫と離婚はしても必死にパリで頑張っている彼女は、実際に本人もそうだと思わせるような感じが見え隠れする。最近、映画の出演が増えているし、日本にも頻繁に帰って来ているようなので、この映画の中のヒロインと何だか被って見えるのは考え過ぎかしら。

もちろん二人のラブシーンってほどじゃないけど、彼女のアパートで床に布団に包まり、抱き合って寝るシーンも清潔感が溢れて、向井理ファンを怒らせたりはしない。それに別れのラストシーンで、抱き合うシーンもベタベタすることなく、キスを交わすことも無く爽やかです。
年下でも気が利くのが、日本へ帰ってから彼女に送るベージュ色のヒールが最高。こういう何気ないプレゼントって女って嬉しいし、新しい靴を履いてパリでもう少し頑張ってみようという気になる。
何だか、北川悦吏子の昔の作品とあまり変わり映えしないストーリーに、懐かしさを感じつつも、物足りなさをぬぐいきれない。何かもう一工夫というか、ひとひねり味付けが欲しかった。
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アイアン・スカイ ★★★★

2012年10月26日 | アクション映画ーア行
月面に逃れていたナチス・ドイツの残党による地球侵略という荒唐無稽なアイデアを映像化したSFコメディ。出演は「青い棘」のユリア・ディーツェ、「ヒトラー 最期の12日間」のゲッツ・オットー。製作費のうち約1億円を一般のファンからのカンパで集め、予告編再生回数が4カ月で1000万回を記録するなど話題を呼んだ。

あらすじ:2018年。アポロ17号以来となる有人月面着陸プロジェクトによって月に送り込まれた黒人ファッションモデルのジェームズ・ワシントン(クリストファー・カービー)は、第二次世界大戦の敗戦からこの地に逃れてきたナチス・ドイツの残党たちによって拉致されてしまう。
新総統コーツフライシュ(ウド・キア)のもと、地球帰還を目指していたナチスは、ワシントンが持っていたスマートフォンに衝撃を受け、地球潜入作戦を計画。彼らの技術を超越するスマホの演算能力があれば、最終兵器“神々の黄昏”号を完成させることができるのだ。
かくして、ワシントンを案内役に、野心家の将校クラウス・アドラー(ゲッツ・オットー)、彼のフィアンセで美貌の地球学者レナーテ・リヒター(ユリア・ディーツェ)が円盤に乗って月を出発。だが、米国との同盟によって総統の座を奪う野心を抱いたクラウスは、ニューヨークに降り立つと、大統領直属の広報官ヴィヴィアン・ワグナー(ペータ・サージェント)を誘拐し、大統領との面会を要求。
クラウスのカリスマ性とレナーテの理想主義が大衆の心を掴むと確信したヴィヴィアンにより、2人はたちまち大統領の敏腕パブリシストとして辣腕を振るうようになる……。数ヵ月後、ホームレスとなったワシントンに再会したレナーテは、彼の説得によってナチズムの危険性とクラウスの野望に気付く。
その頃、クラウスの裏切りを知ったコーツフライシュ総統は、宇宙艦隊を引き連れて地球攻撃に向かっていた。大統領(ステファニー・ポール)によってアメリカ宇宙軍指揮官に任命されたヴィヴィアンは、密かに建造していた宇宙戦艦ジョージ・W・ブッシュ号をナチス艦隊に向けて発進させる。
果たして宇宙の覇権を握るのは、クラウスか、コーツフライシュか、米国か?そしてほんのり恋模様のレナーテとワシントンは、動き出した“神々の黄昏”号を破壊して世界を救うことができるのか……?(作品資料より)

<感想>アブないSF戦争コメディ映画。ナチス帝国は永遠不滅です!・・・月の裏側にはナチスドイツの秘密基地があり、地球への逆襲の機会を狙っている。という都市伝説級のトンデモSF映画なんですから。
ミリタリー&制服フェチに絶大なる人気を誇るナチもの。「ヒトラーは生きていた」などの都市伝説信者もワクワクする内容です。月に移住したナチが作る宇宙船がとてもレトロで感涙!ハリウッド製のSF戦争映画と思いきや、実はフィンランド生まれの社会風刺たっぷりなコメディ作品なのだ。

とにかく、ナチスが月で基地を作っているんだが、美術想像力が結局今ふうのCG映画の範囲を出ていないのが不満なのだ。月の基地を上から見ると鍵十字型で、つまりヒトラーってもっと凄い奴だったんじゃないか、という飛んでもオタ共の妄想を満足させているおもしろ映画。
しかしである、馬鹿映画の体をしつつも高度な政治批判映画になっているところ。大国アメリカのおバカ政治をあげつらうのも見所の一つで、選挙を控えた米国大統領が月面ナチスとの戦争を利用して支持率アップを図るなど、ブッシュ政権以降の米国社会を強烈に皮肉っているのだ。

女大統領は、反オバマの副大統領候補サラ・ペイリンがモデルで、対策会議で大暴れするところも笑うポイントだが、アメリカの政治状況が分からないと笑えないのだ。やっぱ大統領と言うと、一般的にまだオバマじゃないですかね。
アフリカ系黒人を月に送って、そいつが白人にされちゃうとこなんか、人種差別のバカバカしさを笑うとこなんだが、黒人を白人に変身させる肝心のシーンが無いので、頭の悪い人には分からない。つまり、本作はお馬鹿映画の体をしつつも高度な政治批判映画になっているのである。
ビジュアルの壮大さはもちろん、こういう映画にネットだけで一般人から、約一億円ものカンパがあったということが、私には信じられない。その甲斐があって、ナチスの誇る宇宙飛行船ヒンデンブルグ号と、アメリカの宇宙戦艦ブッシュ号が激突する戦闘シーンの迫力たるや、興奮してしまった。
それに英語の映画ということが大きいかも。映画というものはネタがヤバければヤバイほど当る可能性が高い。残酷描写抜きでそれをやるのは、本作のような国家や政治をネタに特化したものになるわけだ。きっと、ヒトラーがフィーチャーされなかった理由もあるだろうし、もっと面白かった部分はカットされたのだろう。
この作品の監督ティモ・ヴオレンソラは、フィンランドのサウナに入っている時に、本作を思いついたと言うが、最初の構想はおそらく映画には到底できない爆笑の内容であったと思う。
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貞子3D /2D ★★

2012年10月26日 | DVD作品ーさ行
1998年劇場公開時、瞬く間に大ヒットし、J・ホラーブームを巻き起こした『リング』。テレビ画面から這い出してくる“貞子”のおぞましい姿に日本中が震撼、その後『リング2』『リング0 バースデイ』と続編も大ヒットし、ホラー映画の代名詞的シリーズとなった。そして2012年、その最恐キャラクター“貞子”が、「リング」シリーズ生みの親、原作・鈴木光司による全く新しいオリジナルストーリーで、何と3D映画で甦る。主演は、いまや若手女優のトップを走る石原さとみ。監督は、『ハンサム★スーツ』『高校デビュー』など話題作を次々に手掛ける俊英・英勉。
あらすじ:鮎川茜が教師を勤める女子高で、動画サイトに投稿された、自殺を生中継した映像が噂となる。しかも、その生中継を偶然見ていた人も死んでしまったという。茜の教え子・典子が不可解な死を遂げ、さらに時を同じくして、各地でも同じような不審死が相次ぐ。警察は一様に自殺と断定するが、みな共通して死の直前にある動画を見ていたのだった……。(作品資料より)

<感想>「リング」シリーズの呪いの元凶、貞子が復活。劇場で3Dで公開されたが、評判がよろしくないので観に行かなかった。そしてレンタル開始だ。家のTVで見るので3D映像ではないが、恐怖体験できるのならと思って借りて来たのに、全然怖いというシーンが見当たらない。
内容は、インターネットを媒介にして、獲物を求める貞子が怨念をまん延させる設定なのだが、スマホから街頭ビジョン、宣伝カー、モニター画面というものが身の周りに溢れた現代の状況がしっかり反映されていて、至るところから貞子が飛び出してくる。
これって3D効果を意識しての派手な見せ場なんでしょうが、新星貞子って?・・・化け物モンスターになった貞子がワラワラ出てくるし、お決まりの白い手がグワッシと、・・・トホホの映像にガッカリしました。

だいたい、主演の石原さとみは演技は上手いのだが、こんな恐怖映画に出る女優にしては演技のしようがなかったのだろう。貞子に狙われる茜は、生徒想いのごく普通の教師だが、科学では証明できない特殊な力を隠し持っている人物なのだ。主人公がおびえたり悩んだり、感情のお芝居がメインの前半と、彼女が自分の意思で動き出すアクション・シーンの多い後半では、茜の超能力が発揮される絶叫シーン、彼女の悲鳴が轟くとモンンスターに変身した貞子が消えて、無数の蛾になって飛び去る。
この貞子モンスターは、蜘蛛女みたいに腕一本で人を投げ飛ばしたり、首を絞めて吊るし上げるなど、ヒロインを追い掛ける。見ていて笑いが込み上げるのはいかがなものかと。

それに刑事がハゲのお笑い系の田山涼成さんなんだもの、恐怖映画に似合わないミスキャスト。襲われて首を切られて死亡なんて、もっと中年刑事でも他に俳優さんいるでしょうが。ヒロインの恋人孝則役に瀬戸康史が、石原さんより年下のような美青年だ。それに公開自殺した柏田清司に、山本裕典が、イケメンなのだが私好みじゃないのでダメ。

しかし、40年以上も前に貞子が突き落とされて死んだ古井戸の底には、生きたまま投げ込まれた少女たちの遺体がたくさん転がっていたのが、貞子モンスターとなって湧き出てくるシーンなんか、もう作りものかCGとバレバレの映像に失笑で引いてしまった。
ラストの貞子モンスターに覆いかぶされ、真っ黒く長い髪の毛の下に茜がいるので、孝則がスマホを石で壊す。この黒い髪の毛、ナイロンかビニールのように見え安上がりだなぁと、しかしエンドロールの最後にもあの白い手が、出てくるお粗末映像にまたもや引いてしまった。
そう言えば「ラビットホラー3D」もたいしたことなかった。今流行りの3D映画、高いお金払って見るまでもない、初めっから2Dで上映すればいいものを。貞子の存在感がだいなしで、こんなモンスターになるとは思ってもみなかったぞ。
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ヴァンパイア   ★★★

2012年10月25日 | は行の映画
「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」の岩井俊二監督が、カナダを舞台に全編英語で撮影した異色のバンパイア映画。岩井監督が自ら執筆した同名小説を原作に、病身の母親と暮らす高校教師のサイモンが、あるウェブサイトに集まる死を求める少女たちとの間で織り成す純愛劇を描く。主人公のサイモン役に「トランス・アメリカ」のケビン・セガーズ。共演にアデレイド・クレメンス、クリスティン・クルック、ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、アマンダ・プラマーら。日本からは岩井監督作品には欠かせない蒼井優が留学生ミナ役で参加。ありきたりの吸血鬼ものとは一線を画す、詩的な物語に引き込まれる。

あらすじ:高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は、アルツハイマーの母親(アマンダ・プラマー)と一緒に暮らしている。ある日、彼はウェブサイト上で、一緒に自殺してくれる仲間を探している人々が集まる自殺サイトを見ていた。サイモンは、そのサイトで血をくれる人を探していた。そんな彼は、自殺を志願する人々から“ブラッドスティーラー”や“ヴァンパイア”と呼ばれていて……。(作品資料より)
<感想>岩井俊二監督、地元宮城県生まれの“岩井美学”と呼ばれる独自の映像スタイルで知られている監督。長編劇映画は「花とアリス」以来8年ぶりなんですね。「花とアリス」もとても素敵な映像で、作品としても好きです。今回は「ヴァンパイア」、血を求める高校教師が、WEBサイトに集まる“死にたい少女たち”に寄り添うなかで、本当の愛に目覚めて行くラブストーリーです。
舞台はカナダ、セリフは全編英語と、岩井さんは、監督・脚本・制作・撮影・音楽・編集のひとり6役で、心血を注ぎこんだ渾身の作品になってます。
ドラキュラ伯爵しかり、かつての吸血鬼は自分の目と鼻で獲物を探したが、現代のヴァンパイアはもっとハイテク。標的はインターネットでサクっと物色する、ハンドルネームはプルート。“死にたがりの人”から血を頂くので、彼らの恐怖の対象にならないのも現代的ですね。

サイモンは血を飲む他はいたって普通の人間と同じ。コウモリになって空を飛ぶとか催眠術のたぐいも使えません。逆に、吸血鬼の弱点である太陽の光や十字架なんかも平気なので、吸血鬼なのか、それとも“ヴァンパイア”を名乗る単なる殺人鬼なのか、本当の正体が語られることもなく物語は展開していきます。
サイモンの母親はアルツハイマー型認知症で、いくつもの白い風船を身に着けている。これは徘徊しないよう、サイモンが開発した拘束具なんですが、あまりに独創的すぎて、警察には虐待を疑われてしまう。だが、母親を思ってのことだ。母親は血を飲まないし、息子の犯行も知らない。
セクシー美女を誘惑して首筋にガブリ、なんてもう古いですね。サイモンは狙うのは死を望む女性だけ。致死量の血を抜くことで、彼女たちは苦しまず眠るように死んでしまう、彼に感謝さえしながら。また、犯行時は他人との接触をなるべく避け、遺体は誰も来ない自宅の大型冷凍庫に隠蔽。サイモンは完璧主義なのだ。

血を渇望するサイモンだが、別に血を飲むことで生命力がみなぎるわけでもなく、返って胃がむかつくことも。自分でも何故血を欲するのか分らず、孤独を深めて行く。そんな彼を丸ごと受け入れたのが“レディバード”、彼女は救いの女神なのだろうか?。
ブラム・ストーカー原作、F・W・ムルナウ監督の吸血鬼映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」を鑑賞する吸血鬼ファンのパーティに参加したサイモンは、そこで別のヴァンパイアが女性を狩る現場に遭遇します。複数のヴァンパイアが存在し、縄張り争いも。ヴァンパイア同士の力比べが刹那的に描かれる。
出血多量で病院に運びこまれた教え子の留学生、ミナを助けるため、看護師に頼まれサイモンは輸血をしてやることに。ヴァンパイアが、血を吸うどころか、血を抜かれるという皮肉。しかしそれは嫌みではなく、サイモンが人間らしい愛に目覚める1ステップとしてセンチメンタルに描かれている。人間にヴァンパイアが輸血するのは、「トワイライト」シリーズでもあるので、そんなに珍しくもありません。

ここまで書いてなんですが、実に映像が寒々しく、俳優たちの演技も暗すぎる。そういう種類の話だとはいえ、死をおもちゃにしている気配が感じるのもいただけない。淡い木漏れ日あふれる森の中で、ヒルに噛まれたブロンド美女の白い腿に唇をつけ、その血を吸い上げる青年のうっとりとした顔。人間の血を飲んで快楽を感じ、そのためには殺人さえ正当化する異常性癖の男を、詩的なモチーフに転化してしまうイワイズムはさすがと感心したが、一般観客には理解しがたい部類の作品といっていいでしょう。
確かに岩井俊二監督の心血が注がれた作品には違いないが、撮影自体には誰か他の人でも良かったのでは、と感じた。
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エクスペンダブルズ2 ★★★★

2012年10月23日 | アクション映画ーア行
シルヴェスター・スタローンを筆頭に、アクション・スターが一堂に会した超大作の続編。墜落機からのデータボックス回収を引き受けた傭兵(ようへい)部隊エクスペンダブルズが、それを機に旧ソ連軍の埋蔵プルトニウムをめぐる壮絶な戦いに巻き込まれる。前作に続いての出演となるジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレンらに加え、『最後のブルース・リー/ドラゴンへの道』のチャック・ノリス、『その男 ヴァン・ダム』のジャン=クロード・ヴァン・ダムも参戦。戦車が市街地を砲撃しながら激走するなど、前作を上回る迫力の見せ場が次から次へと現れる。
あらすじ:自らを消耗品と名乗る最強無敵の傭兵軍団エクスペンダブルズ。リーダーで軍用銃のエキスパート、バーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)。元SAS(英国特殊部隊)隊員でナイフの専門家、リー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)。マーシャル・アーツの達人、イン・ヤン(ジェット・リー)。大型銃器のスペシャリスト、ヘイル・シーザー(テリー・クルーズ)。
爆破のプロフェッショナル、ツール・ロード(ランディ・クートゥア)。狙撃と空手の名手ガンナー・ヤンセン(ドルフ・ラングレン)。そして元SASR(オーストラリア特殊空挺連隊)隊員の若き天才スナイパー、ビリー・ティモンズ(リアム・ヘムズワース)。

彼らの今回の仕事は、バルカン半島アルバニア領の山脈に墜落した輸送機に積まれていたデータボックスの回収。ボックス内の機密データは旧ソ連軍が埋蔵した大量のプルトニウムの埋蔵場所を示すもので、もしそのプルトニウムが軍事独裁国家などに渡れば、世界が破滅への道をたどることは間違いない。
データボックスが格納された金庫は120秒ごとに変化するアクセスコードに守られており、誤ったコードを入力すると爆発する仕掛けになっている。CIAのチャーチ(ブルース・ウィリス)はその暗証番号解読のため、マギー(ユー・ナン)という女性エージェントを派遣、エクスペンダブルズに同行させる。彼らはGPSをたどってデータボックスを発見、マギーが鮮やかにコードを解除するが、そのときヴィラン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)とその右腕へクター(スコット・アドキンス)率いる謎の軍団がエクスペンダブルズを包囲、見張りにあたっていたビリーを人質にしてボックスの引き渡しを要求する。
バーニーはビリーの命を優先し、仲間に武器を捨てさせ、ヴィランにボックスを渡すように命じた。だがヴィランはボックスを受け取るや、バーニーたちの目の前でビリーを殺害し去って行く。ヴィランは機密データを利用して大量のプルトニウムを掘り出し、それを某国のクライアントに売り渡そうとしていた。
彼はすでにその準備のため一国の軍隊にも匹敵する軍団を組織し、アルバニアのある村を占拠、村の男たちを強制的にプルトニウムの埋蔵現場で働かせていた。ヴィランたちが潜む村を突き止めたエクスペンダブルズは、村に残された女性たちの助けを借り、ヴィランとその部隊の殲滅作戦を開始。
やがて、その闘いにネパールでバーニーに命を救われたトレンチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)やチャーチ、さらに伝説のコマンド、ブッカー(チャック・ノリス)らも援軍として参戦、バルカンの大地を熱く焦がす激しいバトルが始まろうとしていた……。(作品資料より)
<感想>自らをエクスペンダブルズ(消耗品軍団)と名乗る傭兵部隊を率いる男の中の男。今回は、CIAの依頼でバルカン半島に墜落した中国の輸送機の捜索に出動するが、・・・。スタローンって、なんか凄く繊細で、細やかな心遣いができる、自分から押し売りしていないところが凄くいいんですよね。「ロッキー」の時より好感度がいいと思います。ある理由から、女性だらけの村に迷い込んでしまった消耗品軍団。ナイーブな親父にとってはある意味、本作最大の正念場なのかも。

バーニーの懐刀、ジェイソン・ステイサム。元ASの傭兵で、ナイフの達人でステイサムがメンバーに入っているだけで生まれる心強さと現代感。おっさんしか出ていないから、ステイサムがメンバーじゃなかったらいつの映画か分らない。だが、ステイサムが今回も大活躍しているんだから、まぎれもない2012年の映画なんですね。
大型狙撃銃バレットM107を使いこなすビリー、ちなみに演じるリアム・ヘムズワースは「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースの実弟。

前作では殺そうとしたバーニーの横で、迷いのなさすぎる相棒ズラを披露するガンナー役のドルフ・ラングレン。1作目で消えかけたのに、「2」では出番が増えている。それが嫌味になっていない、元裏切り者で今は笑い者。これが叩き上げ男子のド根性を見せつける。
そしてベトナム系中国人傭兵のasイン・ヤンことジェット・リー。特技はクンフーなのだが、それよりも得意なのがホラ吹きって、仲間たちに「俺には家族がたくさんいる」と言うが、実際に家族を見た者はいない。今回消耗品軍団からあっさりフェイドアウトする。画面に出なくても「いつ出てくるんだろう」って、やっぱりジェエト・リーが大好きなんですね。
一匹狼の傭兵で地上最強の男、何処からともなく現れては、眉ひとつ動かさずに悪党だらけの死体の山をこさえてしまう。その存在はあまりにチャック・ノリスなため、エクスペンダブルズの世界では都市伝説のようになっている。
この人を語る時、小さいとかブサイクとかいろんな形容詞を使いますが、この作品では最強、無敵、絶対、と強烈なキャラクターでした。

そして前回では少ししか出番がなかったasチャーチこと、ブルース・ウィリス。今回もエクスペンダブルズに危険なミッションを強制依頼。彼の大活躍のシーンもあるのですが、「俺様」的な前に出しゃばることなく、みんなで仲良くという立ち位置で、男としての完成度は上がってますね。
それに、エクスペンダブルズのライバル会社を経営している「アイル・ビー・バック」一筋のアーノルド・シュワルツェネッガー。この人もあんまり出番が少ないと思っている方たち、それがびっくり箱なんです。そんなことになるとは、誰がかつて期待しただろうか。彼が何時、何処から出てくるのか分からない?・・・観客が気を抜いた時に登場するシュワちゃんに嬉しくなるのは、彼のファンゆえにですよね。
前作の出演依頼を断ったのにも関わらず、今回悪役のボスキャラとなるヴァン・ダム。クライマックスでスタローンに股割キックをプレゼントする時の表情は、本当に嬉しそうでした。

エクスペンダブルズのポスターを見ていて、なんで悪い奴らが善玉と一緒に並んでるのか?・・・悪役のヴァン・ダムがエクスペンダブルズに溶け込んでいるから、誰が敵だか分からない。一番悪そうな顔していると思うのはスタローンだし、ブルース、ジェット・リーあたりも悪そうな顔しているんですよ。
この映画の中でストーリー性とか、感動とか期待してはいけない。スタローンたちが、「男とはどういう生き物だったのか」と伝えたいんですね。だからこれくらいの集団が必要なのでしょう。そうじゃなかったら、これだけの集団を組む意味がないと思うんですよ。観ていてこれだけのメンツが揃えば、どの俳優を贔屓に観て楽しむというより、全体的にみんなを応援したくなりますね。
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SAFE/セイフ  ★★★★

2012年10月22日 | アクション映画ーサ行
特殊な能力を持つ少女を守るため、彼女を追うロシアン・マフィア、汚職警官グループ、チャイニーズ・マフィアを相手に壮絶なバトルを展開する元警官の格闘家の姿を描くアクション。監督・脚本は「タイタンズを忘れない」のボアズ・イェーキン。出演は「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサム、「スティーブン・キング 痩せゆく男」のロバート・ジョン・バーク。

あらすじ:ニューヨーク。元市警の特命刑事だったルーク・ライト(ジェイソン・ステイサム)は、今はマイナーな総合格闘技のファイターにまで落ちぶれていた。ある日、八百長試合で誤って相手をKOしてしまった彼は、その試合で大損害を被ったロシアン・マフィアに妻を惨殺されてしまう。
すべてを失いホームレスとなったルークは地下鉄のホームで飛び込み自殺をしようと立っていた時、一人のおびえた少女が、妻を殺したロシア人の一団に追われているのを目撃する。彼は追っ手を倒し、少女を救うが、今度はかつて彼を陥れたウルフ(ロバート・ジョン・バーク)率いる汚職警官グループやチャイニーズ・マフィアまでもが、少女を必死に追ってくる。
その中国人少女メイ(キャサリン・チェン)は、一度覚えた数字を絶対に忘れない天才だった。チャイニーズ・マフィアのボス、ハン(ジェームズ・ホン)は、彼女の才能を利用し、不正に儲けた金や重要証拠などの入った秘密金庫の暗証番号を覚えさせるため、彼女を部下であるチャン・クワン(レジー・リー)の養子にしてアメリカに移住させたのだった。(作品資料より)

<感想>アクション映画で鉄板級の面白さを誇るジェイソン・ステイサムだが、最近は少しづつ役の幅を広げてると思う。「トランスポーター」シリーズで一躍アクションスターの仲間入りして、「メカニック」では新人を育てるベテランの殺し屋、「ブリッツ」では仲間想いの酔いどれ刑事を演じるなど、超人的な役から人間臭いキャラクターへと深化しつつある孤高の男ステイサム。
今回は、冒頭での地下格闘技、さらに地下鉄の後ろへ飛び乗り、中国マフィアを相手にホテルでの大銃撃戦など、身体を張ったジェイソンが見られます。
ステイサム版の「レオン」か「アジョシ」と言ったドラマ展開も見逃せません。クールガイを演じることの多かった彼だが、自分のミスから妻を失った過去を持つ男役で、涙を流すシーンがかなり好印象です。それに、父親を感じさせる役に挑んだステイサム、俳優としての側面に注目したい。

もちろんアクションも手抜きなし。激しい鉄拳バトルや、銃撃戦、カーチェイスが息つく間もなく連続します。しかし、難を言えば今回のジェイソンは、拳銃で簡単に敵を殺してしまうシーンが多かった気がした。やはり、あの優れ技の何でも武器にする格闘技が見たかったです。
そして、汚職警官グループを率いて、中国マフィアの隠し金庫を襲撃するなど、そのシーンではさすがにルークの頭の回転がよく、腕のたつ汚職警官を金庫を開ける前に殺してしまう。その中でウルフ警官だけ生かして、カバンに3000万ドルを詰め込み逃走する。その前にロシアン・マフィアのボスのバカ息子を拉致して車のトランクに詰め込んであったのだ。

金庫のナンバーを少女から聞き出すジェイソンは、少女の命を守るという条件と引き換えに暗証番号を教えてもらっていたってこと。少女役はオーディションで選ばれた新星キャサリン・チェンで、見た目があまり可愛くないのがちょっとね。子役なのに、化粧しているし目つきがきつい印象がした。
この人のアクション映画を見ていると、つくづく正義の味方のような、男義のある人間臭さがある作品では安心して観ていられる。もちろん20日公開の「エクスペンダブルズ2」も楽しみですね。
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推理作家ポー 最期の5日間★★★★

2012年10月19日 | アクション映画ーサ行
「モルグ街の殺人」「黒猫」など数々の推理小説で著名な作家エドガー・アラン・ポーの最期の日々を大胆な発想で描いたサスペンス・スリラー。ポーの著作を模倣した連続殺人事件が起きたことで、事件解明のために彼自身が捜査に加わり殺人鬼を追い詰めていく。主人公ポーには『2012』のジョン・キューザック、共演には『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のルーク・エヴァンス、『ヒットマンズ・レクイエム』のブレンダン・グリーソンらが集結。『Vフォー・ヴェンデッタ』のジェームズ・マクティーグ監督による、作品の世界観を表現した映像にも注目。
あらすじ:1849年のボルチモア。ある殺人事件を担当することになった若手刑事エメット・フィールズ(ルーク・エヴァンス)は、事件が推理作家エドガー・アラン・ポー(ジョン・キューザック)の作品によく似ていることを察知。
貧乏で酒におぼれる生活を送るポーは容疑者とみなされるが、捜査が進められる中、彼の著作をまねるように連続殺人が発生。その後、自らのアリバイが証明されたポーは、事件解明のため捜査に加わるが……。(シネマトゥディより)

<感想>ミステリーの大家、エドガー・アラン・ポーを主人公にしたサスペンスドラマですが、ポーの人生と著作が交錯する発想がまず面白い。圧倒的なスピード感と5日間の限られた時間設定、ポーの複雑な性格も魅力的ですね。
内容は、不可解な言葉を残して、40歳でこの世を去ったポーの死の真相にまつわる謎がネタの、連続殺人がポーの小説の『モルグ街の殺人』を模した状況下で、母娘が殺害されたのだ。続いて『落とし穴と振り子』のトリックを模倣しているという設定で彼の小説そっくりの事件から始まり、それが仮面舞踏会のさ中の、恋人の誘拐事件へと進展し、ついには真犯人を突き止めるに至る。

面白いのは、想像力を駆使して小説を執筆するポーと、それをコピーしたかのような事件が次々と引き起こす模倣犯との頭脳戦だ。その事件の再現では、ポーの小説さながらの血で血を洗う残忍な描写が続くのも、そのダークな描写も気味悪くていいし、まるで「ソウ」シリーズのような天井から吊るした振り子のマサカリで、腹を切る残虐なシーンや、手足を切る殺人など、あまりの惨殺描写に腰が引けるかもです。
彼が素人探偵まがいに活躍するのも見どころの一つだし、オマケにプライベートな顔や、犯人の造形も意表をついているが、普通なら3本分のサスペンスを1本にまとめた発想が面白い。しかし、純然たるミステリーとして観ると掟破りかもしれない。
相当数の頭脳バトルを強いられるから、見ていてとても疲れる。

ポー役のジョン・キューザックは、頼りなさげな雰囲気もあるが、恋人を救おうとして必死に頭をひねる様子は、ベテランらしい演技ぶりで、恋人のエミリー役のアリス・イブも最近はやりの、木箱押し込められシーンの恐怖演技が上手い。
それに、タフな刑事フィールズを演じたルーク・エバンスの、活躍も見どころの一つですね。ポーを挑発する犯人が、恋人エミリーを誘拐し、居場所の手掛かりが欲しければ、事件について新聞記事に書けとポーを脅す。彼女を救いたいポーは、命令に従いながら、著作を知り尽くしているらしい犯人の正体を探りだす。
ポーの小説や詩がセリフなどに引用され、彼のファンならディテールも楽しめるはず。だが、せっかくのゴシックホラーも、時に現代風な平凡なホラーへと展開していくのはどうかと思った。
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ツナグ ★★★

2012年10月18日 | た行の映画
辻村深月の吉川英治文学新人賞受賞作を原作に「ROOKIES 卒業」の平川雄一朗監督が映画化。死者との再会を望む人々と、その仲介を司る“ツナグ”として、他人の人生に深く関わっていく一人の少年の葛藤と成長を描く。出演は「アントキノイノチ」の松坂桃李、「わが母の記」の樹木希林、「漫才ギャング」の佐藤隆太、「逆転裁判」の桐谷美玲。

あらすじ:たった一度だけ、死者との再会を叶えてくれる人がいるらしい―。半信半疑で依頼をしてくる人たちの前に現れたのは、ごく普通の男子高校生・歩美(松坂桃李)だった。彼は、すでに死んでしまった人との再会を仲介する使者“ツナグ”を祖母のアイ子(樹木希林)から引き継ぐ途中の見習いである。
横柄な態度で、癌で亡くなった母・ツル(八千草薫)に会うことを希望する中年男性・畠田(遠藤憲一)。喧嘩をしたまま自転車事故で死んでしまった親友・御園(大野いと)に聞きたいことがある女子高生・嵐(橋本愛)。プロポーズ直後に突然失踪した恋人・キラリ(桐谷美玲)の安否を確かめたいサラリーマン・土谷(佐藤隆太)。
歩美のもとには次々と依頼が舞い込んでくるが、歩美はその過程で様々な疑問を抱く。死者との再会を望むことは、生者の傲慢なのではないか。果たして会いたかった死者に会うことで、生きている人たちは救われるのか。やがてその疑問は、自身の両親の不可解な死の真相へも向けられていく……。(作品資料より)

<感想>若手注目株の松坂桃李が映画単独初出演を果たした、心温まるファンタジー・ドラマ。亡き人と生者の再会を仲介する使者=ツナグ。その役割を祖母から受け継ぐことになった高校生、歩美の成長を通して、人と人とのつながりや、絆の大切さを描いている。
現役のツナグには歩美の祖母アイ子役の樹木希林が、代々伝わるツナグの能力を孫の歩美に継がせるため、見習いとして手伝わせる。
ツナグの後継者、歩美を演じる松坂桃李。高校生で、子供の頃に両親が不可解な死を遂げ、その後は父方の祖母アイ子と暮らしている。
両親の死の真相を知りたがっている歩美に、祖母アイ子はツナグ側にもいくつかのルールがあることを教える。
再会の3つのルール:死者に会えるのは生涯一度、ひとりだけ。死者からは依頼できない。会えるのは月の夜の夜明けまで。

内容は、1番目の話の息子が母親が癌で亡くなり、そのことを母親に告知してなかったことを詫びるシーンでした。母親と会って、甘える息子の姿に、生きている時には頑固でそんなことしなかったのに。素直に母親の胸に抱かれて涙を流す息子。自分の息子と上手くいってないことを話すも、それも自然に答えが出てくる。

2番目では、女子高校生の親友に、演劇の主役をとられて嫉妬し、自転車通学の二人が、ある日道端の水道栓をひねって出し、朝には道の端が凍って滑り、前から来た車と衝突事故死。それで、親友の演劇の主役の座をゲットした嵐。しかし、心の中に自分が彼女を死に追いやったというわだかまりがある。その秘密を亡くなってしまった親友に会って謝りたいと依頼を頼む。しかし、そのことをはっきりと謝らないで終わってしまう。言葉に出さなければバレないと、自分がした行いを反省してない。でも、あの世に逝った親友は、そのことを知っており歩美に託すのである。
しかし、親友は「水道の栓は止めてあったよ」と言付けを残し、嵐は自分の心の汚さを恥じるシーン。死者は、生きている人間の心をお見通しなのだ。

3番目は、家出娘を助けて好きになり、結婚まで考えていた男。それが急に失踪してしまい、いつまでも彼女のことを忘れられないでいる男。彼女は郷里へ帰る途中で事故に遭い死んでしまった。本名を知らない男は、もちろんその事故のことも知らないし、いまでも何処かで生きていると思っている。だから、ツナグに依頼しても、当日に現れない男。見つけて説得する歩美。きっと生きているに違いない。自分はフラれたのだと思い込んでいる。だが、ツナグの力は凄かった。二人を合わせる為に、祖母が手鏡で死者を呼びだすシーンに、そのまさかが、・・・。
高級ホテルで“ツナグ”の儀式=再会を果たすのですが、その費用は全部先祖代々からツナグを取り仕切って来た、伯父の仲代達矢さんが支払っている。金持ちなんだろう。疑問としては、1日に一件だけで、それも満月の夜だけ。そうすると一カ月にそう何人も死者との再会は出来まい。
それを、歩美の父親が祖母から継いで、何も知らない母親が、高級ホテルで若い女と会っていた夫に嫉妬をして、ツナグの儀式を母親に話してしまう。絶対にツナグのことを、身内といえども話てはならないという決まりがあるのだ。それを話す事は、両親は二人で死の旅へという決まりなのだ。それを祖母から聞いて、止めないでツナグを引き継ぐことにした歩美。自分が結婚したら、どう奥さんになる人に説明するのだろうか。映画はそこまでは描いていない。

それに、高校生の歩美に、依頼者がこんな若ぞうに務まるのかとか、本当に死者と会わせてくれるのか?、・・・などと疑問が湧くに違いない。死者と生者との媒介役“ツナグ”とは、これまた本当にこのような方が存在するなら、なんて幸せなことでしょう。私にも22歳で亡くなった弟がおります。もう一度会って、弟と話をしてみたいですね。
こう言った方々がたくさんおられると思います。実際に存在するとは思いませんが、ツナグの儀式で、自分の家の庭で古い手鏡をかざして死者を呼びだすシーンには、荘厳な感じがしました。生きている人間がいくら会いたいといっても、死者の方が会いたくないと言えばそれは叶わないのですね。
それでも、亡くなった親族や恋人とか、やはり本当でなくても、もう一度会うことができるのならお願いしたいものです。
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さらば復讐の狼たちよ ★★★

2012年10月17日 | アクション映画ーサ行
1920年代の中国の地方都市を舞台に、冷徹な支配者に挑む義に厚い盗賊団のリーダーの姿を描くアクション大作。「鬼が来た!」のチアン・ウェンが監督・脚本・出演を担当。共演は、「シャンハイ」のチョウ・ユンファ、「運命の子」のグォ・ヨウ、「2046」のカリーナ・ラウ、「レッドクリフ」シリーズのフー・ジュン。
あらすじ:政治が腐敗し、軍閥が割拠していた1920年の中国。県知事・マー(グォ・ヨウ)は、妻(カリーナ・ラウ)と書記のタン(フォン・シャオガン)とともに、赴任先である地方都市・鵝城に向かっていた。実はマーは名うての詐欺師で、県知事の官位を買ったのだ。彼らが会食中に乗っていた馬列車が、指名手配中の“アバタのチャン”(チアン・ウェン)率いる7人の覆面ギャング集団に襲撃される。妻とともに捕えられたマーは書記になりすまし、鵝城の知事になれば金儲けができるとチャンを促す。
マーとチャンは妻や手下を引き連れて鵝城に向かうが、そこはすべてを金と暴力で牛耳る独裁者・ホアン(チョウ・ユンファ)によって支配されていた。チャンたちを県知事として街に迎え入れるが、人身売買や麻薬の密売などの悪事で金を稼いでいたホアンは、県知事の赴任を快く思っていなかった。(作品資料より)

<感想>中国で歴代№1の興収入を記録したアクション・コメディだそうです。盗賊団7人と腐敗した権力者との、互いの頭脳と武力を駆使した丁々発しの攻防を、ド派手なアクションと、名作映画へのパロディ&ブラックユーモアを盛り込んで描いている。
最近チョウ・ユンファがガン・バイオレンス映画に出てないからファンとしては寂しく思っていた。だが、待ってましたのアクション映画に、しかも舞台は1920年代の中国。物語は、恐怖政治が支配する田舎町を舞台に、7人の義賊が仲間を殺した、極悪地主率いる殺人集団に闘いを挑む、というウエスタン風味溢れる復讐活劇だ。
と言っても、ユンファが演じるのは義賊のリーダーではなく悪役の地主。でも考えようによっては、ユンファが悪役を演じるということは、日本版「仁義なき戦い」のような難攻不落ムード溢れる強敵キャラが期待できるはず。それに義賊のリーダーを演じるのは、ドニー・イェン主演作の「三国志英傑伝 関羽」で曹操を演じたチアン・ウェン。
だから、ユンファVSチアンというイイ顔したオヤジ同士の闘いが楽しめるんですね。

独裁者役を意気揚々として演じて魅せたユンファ様、このカッコいい拳銃構えの他に、モーゼル水平ニ丁構えとか、死ぬほど燃えるシチュエーションはあるのに、何故か銃撃戦はやりません。こんな寸止めには堪えられませんね。
主演・監督のチアン・ウェンは大ヒットに気を良くして現在は続編の脚本執筆中だとか。なんにせよ、今の中国映画界の勢いを伝える1本であることに間違いはないです。
この作品の映画の舞台が良いですよね。1920年代の中国と言えば、大陸で馬賊が暴れ回っていた時代。この頃の中国を舞台にした韓国映画で「グッド・バッド・ウィアード」は、ウェスタン魂あふれる活劇でした。

この作品のタイトル「さらば復讐の狼たちよ」って直球極まりないタイトルに興奮しますよね。ちなみに英語のタイトルは「Let the Bullets Fly」直訳すると「弾丸よ、飛べ!」って粋なタイトルじゃないですか。
で、私的にはガッカリでした。何が「さらば復讐の狼たちよ」だよ。そんな燃える邦題が付いているから、ドシリアスで、ウェスタン風味あふれる暴力活劇だと思うでしょうよ。ユンファとチアン・ウェンがニヤニヤしながらウィットに富んだ会話なんて、ダラダラと喋っているコメディ映画じゃないか。
確かに復讐ものではありましたが、ことの発端はユンファ牛耳る町に、県知事に成りすましたチアン・ウェン率いる7人の義賊がやってくるわけ。そのことを快く思わないユンファの策略によって、義賊の若者が死に追いやられてしまう。
ここから始まるのが、まるで「オーシャンズ11」や「スティング」などと好評だった騙し合い。そんなわけで、チアンとユンファはお互いの腹を探り合いながらも、ニヤニヤと軽妙なトークを繰り広げるわけ。ユンファがチアンの影武者も演じて、コミカルな演技を披露。お互いに出し抜きたい、ウェンとユンファはドタバタの激戦を展開。
おいおい、アクション期待したのに、登場人物たちが延々と喋りまくって、まるでタランティーノ映画の暗黒面みたいな状態じゃないの。こんな映画になんで中国で大ヒットしたのか?・・・。

それは監督も務めたチアンが、劇中に様々な中国の政治事情を皮肉ったあ風刺ギャグを盛り込んだから。たとえば、映画の冒頭で馬に引かれた列車が転覆する場面で、これは中国語ではマルクス・レーニン主義を馬列主義といい、馬列車が転覆するのは馬列主義。つまり社会主義が転覆したというギャグになっているからという意味。
これって笑える、面白いかと言えば、私には理解できません。他にも様々な社会派ギャグネタを探すために中国では、リピーターが続出したそうですよ。だから、中国の政治事情に詳しい方とか、シリアスなユンファではなく「ゴット・ギャンブラー」でのおバカになっちゃった時のユンファの演技が好きな方にお薦めです。
チョウ・ユンファは、今年で57歳なんですが、まだまだアクション映画に出てもいいくらいに活力がみなぎっていて、切なる一ファンとしてのお願いです、ジョン・ウー監督の映画に出て貰いたいと願うばかりです。
2012年劇場鑑賞作品・・・105 
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ハンガーゲーム  ★★★

2012年10月15日 | アクション映画ーハ行
世界で5000万部以上の売り上げを記録したスーザン・コリンズの原作小説「ハンガー・ゲーム」を映画化し、全米で大ヒットを記録した本作。クール・ビューティーな主人公のカットニスを演じたのは、『ウィンターズ・ボーン』のジェニファー・ローレンス。『シービスケット』のゲイリー・ロスが監督を務めている。
スーザン・コリンズの小説を映画化し、全米で興行収入4億ドルを越える大ヒットを飛ばした話題作。ある独裁国家を舞台に、生き残りを賭けて戦う“ハンガー・ゲーム”に出場することになった10代の少年少女たちの姿を描く。主演は「ウィンターズ・ボーン」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたジェニファー・ローレンス。

あらすじ:巨大独裁国家パネム。最先端都市キャピトルと12の隷属地区で構成されるこの国では、国民を完全服従させるための見せしめ的イベントとして、毎年1回、ハンガー・ゲームが開催されていた。
その内容は、パネムの全12地区それぞれの12~18歳の若者の中から、男女1人ずつの合計24人をプレイヤーとして選出し、最後の1人になるまで戦わせるサバイバル・コンテスト。一部始終が全国に生中継され、パネムの全国民に課せられた義務で、キャピトルの裕福なエリート層にとっては極上の娯楽コンテンツだった。

第74回ハンガー・ゲームが開催されることとなり、プレイヤー抽選会が開催された第12地区。カットニス・エバディーン(ジェニファー・ローレンス)は、不運にもプレイヤーに選ばれた12歳の妹プリムローズ(ウィロー・シールズ)に代わってゲーム参加を自ら志願する。男子のプレイヤーに選ばれたのは、同級生ピータ・メラーク(ジョシュ・ハッチャーソン)だった。
キャピトルに到着すると、専属スタイリストのシナ(レニー・クラヴィッツ)と対面。ゲームを有利に進めるには、見栄えを良くして積極的にアピールし、スポンサーを獲得する必要があるのだ。続いてカットニスたちは、教育係ヘイミッチ(ウディ・ハレルソン)の指導の下、厳しいトレーニングに打ち込む。そこでサバイバル術や武器の使い方を学びつつ、お互いの力量を探り合う24人。
優勝候補は第2地区代表で冷酷非情なケイトー(アレクサンダー・ルドウィグ)。彼は、幼いころからハンガー・ゲームに勝つための特殊訓練を受けてきたプロフェッショナルだった。いよいよ訪れる開戦の日。24人は、カウントダウン終了と同時に、鬱蒼とした森に囲まれた草原のスタート地点から全力で駆け出す。家族のため、自分の未来を切り開くため、狩りで鍛えた弓矢の腕前を生かして戦うカットニスは、やがて想像を絶するクライマックスに身を投じてゆく……。

<感想>全米で社会現象化しているのが「ハンガー・ゲーム」のこの映画。選ばれた24人の少年少女が、最後の一人になるまで殺し合うという残虐なストーリー。そう、日本でも国会やマスコミを騒がせた「バトル・ロワイアル」を連想させる内容なのだ。
“バトロワ”との類似性も含めて話題となっているが、映画的にはハリウッド流のアクションらしく、派手にバージョンアップになっている。ゲームは、全国民向けに生中継されており、プレイヤーは視聴者に上手くアピールすれば、薬品などの追加アイテムをゲットできるというゲーム性の高い展開が待っている。
24人のティーンたちが、生きる意味もまだ知らない10代の少年少女が自分が生き残るために、他人を殺すという残酷さ。だが、ここで描かれる世界は、現代社会で大人たちが現実にやってきたことを、10代に置き換えたのすぎない。
全国にテレビ中継される「ハンガー・ゲーム」、全ての国民は見ることを義務づけられている。戦争の恐ろしさ、命の大切さを伝える厳粛な儀式でもあり、また下層階級にとってはガス抜きのための娯楽にもなっている。

というより、独裁国家であるパネム。その国の政府の拠点、キャピトルと呼ばれる富裕層で暮らす人々、他の州の貧困には関心がなく、年に一度のゲームを楽しみにしているバカども。大統領にはドナルド・サザーランドが扮して威厳のある風貌だ。
12州に分かれているが、各州からの物資でキャピタルの富裕層の生活は成り立っているのだ。この12州の人々は、政府に対して反感とか、侵攻するとかしないおとなしい人々。
ゲームのためにキャピタルに行くのに、ハイスピードの、未来列車に乗り、中では贅沢三昧。到着すれば、地区の係りがいてこれまた華やかな衣装や、贅沢三昧の食事が与えられ、ゲームで死ぬことへの恐怖感なんて吹っ飛んでしまう。
だが、この華やかなショウータイムは、富裕層の人々の娯楽だ。人が殺されていくのを眺めては、自分たちの賭け金がなくなるだけ。もっと残酷なのは、ゲームには殺しの特殊訓練を受け殺人に抵抗感を持たないプレイヤーもいる。だからそんな戦闘能力のあるプレイヤーの後ろには、少しでも生き延びたいという弱小のプレイヤーが群がっている。
特殊訓練を受けたケイトー率いる一味が、群れをなして中央に陣取る。そこには武器や食べ物、薬品などが揃っている。周りには地雷が。
最初は武器の奪い合いで半数があの世行きへ。主人公のカットニスが、ヘイミッチの助言により森の奥へと逃げ込むが、ゲームメイカーの仕掛けで、遠隔操作で森が炎上し可動エリアが縮小される。カットニスは、ライバル達と闘うハメに。それに恐ろしい化け物まで出してくるゲームメイカー。

同じ地区のピーターが、特殊メイクで古木に化けたりして隠れる。が負傷していたのだ。カットニスがそれを見つけて、傷の手当てをして恋心が芽生えてキスをする。すると視聴者やスポンサーが大喜び。この恋人たちを生き残らせたいと、視聴者やスポンサーも協力する。
だが、やはりカットニスの弓矢の威力が凄い。中央にあるリンゴの袋をめがけて弓矢を射る。するとりんごが袋からバラバラと落ちて、地面を落下しながら回りの地雷を爆発させる。それに、木の上に登り避難するも、木の下で待ち構えるケイトーたち。すると、蜂の巣を見つけて下へ落とすという活躍ぶり。
それに森の中に詳しいカットニスが、ピーターが摘んできた毒の野イチゴを見分けて捨てる。だが、悪女ケイトーがそれを食べて変死だ。

政府も二人の恋路を邪魔すると、民衆の怒りをかい暴動でも起きたら大変だと考え、今回はこの二人を勝利者と決める。
スーザン・コリンズの原作小説が3部作だったことから、映画版も3部構成でシリーズ化される。果たして、2,3とカットニスが出場するのか?、・・・。しかし、このゲームの勝利者であるのだから、ルールに勝利者は「巨万の富が与えられる」となると、次回はヘイミッチのように12地区の教育係りとして出演するのか、それにしても殺人ゲームには違いない。最後のシリーズでは、ジャンヌ・ダルクのように、国の政府の拠点、キャピトルめがけて12州の若者たちを引率して戦って欲しいものだ。
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あの日 あの時 愛の記憶 ★★★

2012年10月13日 | あ行の映画
実在する1組の男女の数奇な体験をベースにしたラブストーリー。ナチスの強制収容所で運命的な出会いを果たし、共に脱走を図るものの、生き別れてしまった男と女が奇跡のような巡り合わせで再会する姿を映し出していく。メガホンを取ったのは、テレビ映画などを手掛けてきたアンナ・ジャスティス監督。共にドイツ出身のダグマー・マンツェルとアリス・ドワイヤーが、30年も封印してきた愛に翻弄されるヒロインを熱演。波瀾万丈な展開もさることながら、凄惨な収容所内の描写も観る者の胸を打つ。

あらすじ:1976年、ニューヨーク。夫と娘と幸せに暮らすハンナ(ダグマー・マンツェル)は、テレビから聞き覚えのある声が流れていることに気付く。画面に目をやると、トマシュ(レヒ・マツキェヴィッチュ)がインタビューを受けている姿が映っていた。1944年、ポーランド。アウシュビッツ強制収容所へ送られたハンナ(アリス・ドワイヤー)は、そこで出会った政治犯トマシュ(マテウス・ダミエッキ)と恋に落ちる。所内の様子を捉えた写真ネガをレジスタンス仲間に渡す任務を遂行していたトマシュは、ハンナを連れて脱走を敢行し……。(シネマトゥデイ)

<感想>この映画の原題は「記憶」、まさにそのとうりなのだが、「あの日 あの時 愛の記憶」という邦題がうまいと思った。時代に翻弄され、運命に引き裂かれ、また思いがけない形で結ばれる男女の物語なのだ。
ともすればラブストリーととられがちだが、そこには30年以上前の、第二次世界大戦時の、ユダヤ人のハンナとポーランド人のトマッシュが、ナチスの強制収容所で出会う。二人は収容所の過酷な状況下で密かに愛し合い、命を懸けて脱走した仲だった。このシーンでは、絶対にこんなこと有り得ないと思いつつ見いってしまった。
二人は森の中へと追手をまいて、トマシュの故郷へなんとか逃れたものの、幸せは長くは続かなかった。トマシュはハンナを母親のもとへ預け、レジスタンスの兄の元へと行く。だが、ユダヤ人嫌悪感を隠そうとしないトマシュの母親は、ハンナが洋服ダンスの中に隠れていることをドイツ兵に告げようとするが、ハンナは間一髪のところで助かる。
自分の大事な息子の花嫁に、ユダヤ人の女なんか認めないという強い信念と反感。ここにいるのは無理だと思ったハンナは、トマシュの兄嫁の家へと。ハンナは、収容所を逃げ出す時に、妊娠をしていたのを夫になるトマッシュに隠していた。その妊娠に気づいた母親は、ユダヤ人の嫁に子供なんてとんでもないと拒否する。

兄嫁は優しくハンナを迎え、ポーランド語も覚えながらトマシュを待ち続けた。ところが、トマシュの兄だけが戻り、そこへソ連軍が進軍してきて、兄夫婦は連行されてしまう。仕方なくハンナは、ベルリンへと。この時のハンナは、お腹が大きくなっていたわけではなく、もしかして流産したのでは?・・・その後NYで夫と娘がいるのだが。
そして一足遅くトマシュが戻って来たのだが、母親が「ハンナは病気で死んだ」と聞かされる。二人の再会は絶望的と思われたが、運命は二人を見捨てなかったのだ。

なんとこれは実話なんだそうだ。ニューヨークで主婦として暮らすハンナが、テレビで見たのは戦時中の体験談を語るトマシュ。もう死んでしまっていると思っていたのに、動揺するハンナ。トマシュの方は電話で調べてきたハンナの声で、これまた驚きを隠せない。
ホロコーストを生き延びた一組の男女の愛の物語。と単純に考えるとつまらなくなるが、ナチスのユダヤ人迫害をまざまざと見せつけられ、この二人は本当に幸運としか言いようがない。それに、ポーランドの上流階級だったトマシュの家は、ドイツ軍に略奪され、その後ソ連軍がやってきて息子夫婦を連れて行くという、トマシュの老母親の怒りも、悲しみも分かる。
ポーランドという国の、悲劇的というか、皮肉な歴史も、あらためて思い知らされ、戦争が終わり平和になり、アメリカに住むハンナとポーランドのトマシュが、30年以上過ぎて再会する幸せそうな二人を見て、老いてはいるがこんなにも愛が強く感じたことはなかった。
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エージェント・マロリー ★★

2012年10月12日 | アクション映画ーア行
女格闘家が銀幕に殴り込み、私を怒らせると死ぬよ!
クールでタフでセクシーな格闘ヒロインの誕生である。全米女子格闘界のスターであるジーナ・カラーノが、ハリウッドで主演デビューを飾ったのが本作。

男たちを相手にリアルアクションに挑んでいるのだ。民間軍事企業の経営者、ケネスに雇われている敏腕女性工作員マロリーは、バルセロナで監禁されていた東洋人ジャーナリストを見事に奪回。

続いてアイルランドへ飛ぶが、一連の依頼は巧妙に仕込まれた罠だったのだ。ここで、マイケル・ファスベンダーと偽夫婦役はなかなかのお似合いだと思ったのだが、彼はマロリーの知らない任務を秘めていた。そして、米国へ帰還したマロリーは大反撃に打って出る。

スペインでの人質救出作戦は、マロリーが冷静な判断と抜群の身体能力を発揮して無事解決。その噂を聞きつけたMI6から新しい仕事のオファーが届く。
休暇をとるはずだったマロリーだが、元恋人のケネスに頼まれてやむを得ずダブリンへ。そこには何故か先日救出したはずの人質の死体があった。ダブリンで殺人犯にされ、刺客に命を狙われる、マロリー万事きゅうす。
辛うじて修羅場を脱したマロリーは、罠を仕掛けた張本人を探す。元海兵隊員の父親の家に身を隠したマロニーと、意外な黒幕たちとの死闘が始まったのである。
冒頭の逃亡シーンから、観客は一挙に引き込まれるだろう。

自分より格段に体格が大きく、銃を持った相手を、腕ひしぎ十字固めで打ち負かす。まるでダンスの振り付けのように、よどみなく素早いアクション、予想もつかない展開。「ボーン・アルティメイタム」を彷彿とさせる、屋根から屋根へ飛び移るアクションも、特撮やワイヤーを使わない。
相手に当てないスタントを習得した彼女が魅せるのは、細かいカット割りでごまかす必要のない本物の格闘なのだ。ラストでのユアン・マクレガーも、重々しいジャンピング・パンチを食らって即座にKOなんて弱いのだ。
映画は本当にソダバーグによるジーナのファン映画と化しており、どのシーンもジーナがいかに強く美しいかだけを丹念に、というか息を飲むバトルを舐めまわすように撮られているのだ。

主人公カラーノ、これが映画初出演ながら、マイケル・ダグラス、ユアン・マクレガー、マイケル・ファスベンダーら贅沢な共演者が、引き立て役を演じていることからも、彼女のアクションスターとしての期待度の高さが伺える。
彼女のムエタイをベースにした打撃技が、目を見張る総合格闘技が一番の見所です。173センチの身長に均整のとれたボディが魅力的ですね。
本作をステップに「ワイルド・スピード」第6弾(2013年5月米公開)への出演も決定、これからの活躍に期待したい。
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