パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

LUCY/ルーシー ★★★★

2014年08月30日 | アクション映画ーラ行
「レオン」「ニキータ」のリュック・ベッソン監督がスカーレット・ヨハンソンを主演に迎えて贈るヒロイン・アクション。新種ドラッグの影響で脳機能が驚異的に覚醒し、超人的な能力を発揮し始めたヒロインの暴走の行方を描く。共演はモーガン・フリーマン、チェ・ミンシク。
 訪れた台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまったごく平凡な女性ルーシー。体内に
<感想>強くて賢くてカッコイイ女が大好きなリュック・ベッソン監督が新ヒロインに選んだのは、世界一セクシーな女、スカーレット・ヨハンソンであった。人間の脳はリミッターが掛けられていて、10%程度しか機能していないと言われているが、もし100%覚醒したらどうなるのか?・・・という壮大なサイエンス&アクション仕立てのエンターテインメント作がこれ。

ちょっと頭の弱そうな女の子ルーシーが、ある日突然謎の物質を摂取したことで、目つきから、話し方から容姿までどんどんと変わっていく様子に目が釘付け状態になる。次第に人間らしさも失い、最後は神のごとき存在に大変身してしまうのだから。

覚醒率10%=一般的な脳:ルーシーはカバンをホテルに届けるだけでいいという奇妙なバイトを頼まれる。案の定、鞄の中身は非合法のドラッグ。ルーシーは、マフィアによって腹の中に新種の麻薬が入った袋を埋め込まれ、運び屋として利用されてしまう。
ところが、仲間に腹を蹴られて袋が破れ、謎の物質が体内にあふれ出し、彼女の脳に異変が生じてしまう。通常の人間は脳の潜在能力の10%しか活用できないが、ルーシーの脳はそれを遥かに越えて覚醒を始めたのだ。

覚醒率20%=パソコンを使ってわずか1時間であらゆる外国語を習得し、さらには、脳科学者に関する知識を吸収する、超天才に大変身。
覚醒率30%=自分の脳のコントロールが可能になる。髪の色や長さを自在に変え、敵の目を欺く。マフィアの追手を易々とかわし、脳科学の権威ノーマン博士とコンタクトを取るべくパリへと向かう。その間にも、脳の覚醒は留まるところを知らず、いつしか自分でも制御できなくなっていくルーシーだったが…。ルーシーは、自分の体が1日しか持たないことも悟る。
覚醒率40%=空中を飛び交う電波などが見える。見えないものが見える様々な物が操れるのだ。一度も車を運転したことがないのに、天才的なドライブ技術を披露する。さらには、人間の目には見えない電波や電磁波まで肉眼でキャッチし、マフィアや警察の情報を楽々傍受するのだ。
覚醒率50%=感情が消えていくルーシーはどうなるのか?・・・個人としての感情や記憶はどんどんと失われていく。もはや人間を超越した存在に。脳が覚醒した状態がいかなるものかをノーマン博士に伝えようという使命感だけで生きている。

そして、覚醒率100%=自分を制御できずに完全に覚醒したルーシーは、あるモノ(コンピューター)と融合してしまう。これが人類の未来の姿なのか?
人間の脳は謎に包まれていると思う。脳の仕組みや人間の大脳はどのように発達したのかなど、脳科学は謎の多い分野であります。ルーシーは胎児が骨格を作る際に必要とするCPH4を大量に摂取し、脳が覚醒を始めるわけ。修行僧でも辿り着けない悟りの境地に一瞬で到達してしまう。しかし、マザー・コンピューターのような、身体は黒い液状となりPCの中に吸い込まれて、人間としては生きていけないのだ。
映像も地球の出来るまでとか、人類史、宇宙、神、未来へと飛躍して「2001年宇宙の旅」の領域に。ほんの一瞬ですが、溯る映像が美しかったです。

ちょっと前のジョニー・デップの映画「トランセンデンス」で、科学者の頭脳が、最新鋭のコンピュータにインストールされるという、斬新で奇抜なストーリーでしたが、本作でも同じような設定と展開で新鮮味に欠けてました。その時も、AI研究の先駆者であるジョセフには、モーガン・フリーマンが扮してましたね。
登場人物は、普通の女の子ルーシー(本当の名前は違う)台北滞在中に、荷物を運ぶバイトを頼まれる。マフィアの争いに巻き込まれ、誤ってルーシー自身がドラッグを摂取するハメになるとは。その後、脳が覚醒し、態度や顔つきまでが変わっていく。
そして、連絡したのが、脳科学者のノーマン博士。モーガン・フリーマンが演じている。突然見も知らぬルーシーから電話が掛かって来たことに戸惑うが、100%脳が覚醒したルーシーが、危険な存在になることを予測し、受け入れ態勢を整える。

パリの刑事のデル・リオには、アムール・ワケドが。この俳優さんは「砂漠でサーモン・フィッシング」で、シャイフというイエメンの大富豪の役をした人。ルーシーから警告を受けフランスに持ち込まれそうになる新型ドラッグを空港内で阻止する。神がかり的なルーシーに魅了され、行動を共にする。

そして、ルーシーを追うマフィアのボスに、「オールド・ボーイ」や「悪魔は見た」など、韓国の怪優チェ・ミンシクが扮している。人間の腹の中に新型ドラッグを隠し、ヨーロッパ各地で売りさばこうと企んでいる。金儲けのためなら、人間が何人死んでもかまわないという冷血漢である。
「アイアンマン2」からマーベル映画3作品連続でブラック・ウィドウを演じ、アクションはすっかりお手のものとなり、演技力との合わせ技で、韓国系マフィアたちとの格闘シーンを平然と演じている。
手近なものを武器として巧みに使い、マフィアの手下を次々と倒して行くルーシー。銃の構え方も様になっているし、見えそうで見えないTシャツアクションもお色気全開でよかった。それに、カーチェイスも凄かったね。本作品での主人公がスカーレット・ヨハンソンにピッタリな役で良かったです。今年の夏にはママになるそうでおめでとうございます。
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チェインド ★★★

2014年08月29日 | DVD作品ーた行
鬼才デヴィッド・リンチの娘として知られ、『ボクシング・ヘレナ』『サベイランス』と衝撃作を生み出してきたジェニファー・リンチ監督によるサスペンススリラー。9年にわたって連続猟奇殺人鬼に監禁飼育され、想像を絶する日々を過ごしてきた青年の数奇な運命を描く。非道の限りを尽くす監禁飼育男には、『フルメタル・ジャケット』の狂気をたたえた演技で鮮烈な印象を残したヴィンセント・ドノフリオ。観る者の予想を超えた驚がくのラストに息をのむ。
あらすじ:母親とタクシーに乗った少年ティム(エヴァン・バード)は連続殺人鬼である運転手ボブ(ヴィンセント・ドノフリオ)に母親を目の前で殺され、彼の自宅に連れ去られてしまう。その後、鎖につながれラビットと名付けられたティムは監禁生活を強いられる。9年に及ぶ悪夢のような毎日を過ごし青年になったティム(エイモン・ファーレン)は、何とかして脱出しようとするが……。

<感想>全編悪夢、ホラーと言いたいほど過激な映画だった。その始まりから怯えさせられる見事な映像展開に、最期まで魅せられ目が離せません。アメリカやカナダの田舎では、こんなことも起こり得るのだ、と観ていたら、ラストで一種のどんでん返しがあり、あれよあれよと、それが言いたかったのか?・・・。
と言う気になった。
久方ぶりのアメリカ、父と息子の終わらない確執を描く作品でもあったように思われました。女はみな娼婦だと思えばいい、簡単だという父親から受け継ぐ因果。ある種のフェミニズム映画とも言えますね。
私はごく普通に、単純に考えて暴行と殺人の研究といった主題の映画だと受け止めていたのだったのだが。タクシーに乗って目の前で母親が乱暴され、自分が生きるためにはこの男に従うしかない。食べ物は、彼が残したものだけ。

ティムは「ラビット」と名付けられ、足首に鎖で繋がれて地獄のような生活。
彼は、頻繁に女を連れ帰ってレイプし、殺して地下に埋める。その拉致されて殺された女たちの新聞記事を、スクラッブックにして作成したり、挙句には女の死体処理まで手伝わされるのだ。
それにしても、ベテラン俳優ヴィンセント・ドノフリオの存在感には感心しました。拉致、暴行、殺人の研究という主題と正対して欲しかったと思いましたね。

繰り返し使われる隠しカメラ的アングルからの、画面が幾つかあって、これが実際以上に室内をがらんと見せているのが、妙な雰囲気を出していて面白い。終盤に、アンジーという名の若い女性が現れることで、突然スリリングに盛り上がるのだが、それが決着した後の展開に唖然となる。
虐待の連鎖が物語のキモだったのだろうけど、伏線不足なのかどうも唐突すぎるのが否めない。

こういう幼い時に拉致されて、がんじがらめにされ、自分の命を守るために犯人に従うという反応は人間にはあるようですね。日本でも小学生が拉致された事件がありましたね。その子供もされるがままで反抗することなく、犯人の男は自分好みの女性に育てたいなどと言っていたそうです。
この事件の場合は、犯人の兄弟の確執が原因と思われ、拉致されていた子供も成長して、犯人のやっていることが当たり前なのだと思うようになっていったのですね。
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シンプル・シモン ★★★.5

2014年08月28日 | さ行の映画
第84回アカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表に選出されたラブコメディー。他者とのコミュニケーションがうまく取れないアスペルガー症候群の青年が、自分のせいで恋人に振られた兄に新たなパートナーを見つけようと奮闘する姿を追い掛ける。メガホンを取るのは、本作で長編映画デビューを飾った新鋭アンドレアス・エーマン。主演は、ステラン・スカルスガルドの息子ビル・スカルスガルド。ハートウオーミングなストーリーもさることながら、北欧ならではのかわいらしいファッションやインテリアも見もの。
あらすじ:気に触ることがあると、ロケットに見立てたドラム缶にこもって、宇宙へと飛び立つ想像にふけるシモンは、物理とSFが好きな18歳のアスペルガー症候群のシモン(ビル・スカルスガルド)。そんなシモンを理解する兄のサム(マルティン・ヴァルストロム)は、恋人フリーダ(ソフィ・ハミルトン)と暮らす新居に彼を迎え入れて共同生活を送ることに。しかし、遠慮せずに自分の生活ペースを事細かく守ろうとするシモンに嫌気が差したフリーダが出ていってしまう。落ち込むサムの姿に心を痛めたシモンは、彼にぴったりでパーフェクトな恋人を探し出そうとする。

<感想>シモンが抱える「アスペルガー症候群」という発達障害は、特定の興味や動作、収監、儀式に執着するのが特徴。彼の場合は、秒単位で行動し、食べる者は丸い形にこだわるなど自分のルール通りでないと不安になる。
劇中で、両親がパニックに陥り、宇宙船の形をしたドラム缶の中に引きこもる息子に向かって、さらにパニックを悪化させる大声を上げる描写がある。家族だけでやっていこうとすると、立ちいかなくなるのは常識で、シモンの依存する存在が兄しかいないのも気になりました。

これまで物語の主人公として描かれることが殆どなかった、アスペルガー症候群の人物を主人公に据えてという記述があった。なるほど、本作の主人公シモンは、「アスペルガー症候群です」というバッジを胸につけ、毎日通勤している。本人が自分の特性を理解して、それを第三者にカミングアウトしている姿をきちんと描写している点で、従来の映画に欠けていた視点と言えると思う。

この作品ではシモンが特製を抱えるがゆえに、日常で抱える困り果てる迷惑感が実に不器用に描かれているからである。本作には、シモン同様に発達障害を持つ同僚が出て来るが、彼らは雑音が遮断できず、その音が頭の中で反響し、ときにはひどい頭痛を起こすなど平常ではいられないはず。だから、彼らは雑音を遮断するヘッドホンが欠かせないのだ。
シモンは人に触られるのも苦手で、アスペルガー症候群には感覚過敏という特製があるが、これが過ぎると洋服の糸の縫い目も気になり、シャワーの水滴が針の刺す痛みに感じる人もいるというのだ。

物語は、シモンのパニックにお手上げ状態になった両親を見かねて、兄がシモンを引き取ることから始まる。しかし、シモンと同居することとなると、兄の恋人は頭で理解しようと思っても、気持ちでシモンを受け入れられない。身体が触れそうになると、露骨に避ける彼のジェスチャーに傷つき、分刻みのスケジュールで行動する規則正しさにも付いていけないのだ。
しかしだ、シモンの兄のフォローに追われるサムたちの視点ではなく、出来る限りシモンの視点からの語りに徹しようとしているのが、この映画のミソ。
他人に巻き込まれことこそが人を変えるのだと、つくづく思わされるチャーミングな御伽話のようでもある。

「変化が嫌い」なはずのシモンを、強力に巻き込んでいくヒロイン。イェニファーが凄く魅力的で、気軽に触れてはその度に突き飛ばされ、散々な目にあう彼女だが、そこで人格を否定したり怒ったり責めたりせず、常に笑い飛ばす姿がとても素敵です。同性から見ても理想の女性像かもしれませんね。
画面の色彩がとても可愛らしくて、常に目にも鮮やかな赤の服をまとい、儚げなスウェーデンの陽の光の中で、その色がヴィヴィッドに映えている。小物や文房具にも赤の色があふれ、北欧デザインが好きな人にとっても必見な映画かと思います。

シモンの赤に対して、自然体の兄は緑色の空間に住み、キャラクターの性格ごとに色分けされているのも目に楽しいですよね。ただし、主人公の造形を「アスペルガー症候群」的な設定にしているのだなぁと推測できる作品は、これまでにもあると思うし、そこで展開される「アスペルガー=天才最強説」に、何度か違和感を持ったことがある。
例えば、アスペルガーの特徴と言われる「人の感情が理解できない」「他人とコミュニケーションが取れない」「ある分野に於いて天才的な能力を発揮する」が組み合わさったのが、遠くの音が聞き分けられる聴覚過敏の人物として描かれていたのが、生田斗真が演じた「脳男」であり、ミア・ワシコウスカが演じた「イノセント・ガーデン」がそれだ。
それでも、スウェーデン映画らしい几帳面な整序の感覚に貫かれたコメディである。つまり、曖昧さや迷いは最初から想定されていないように見受けられる。この一種の病的な感覚は、作品の魅力ともなりアスペルガー症候群とスウェーデン的透明感が実にうまく結びついている映画とも言える。
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朽ちた手押し車 ★★★★

2014年08月27日 | か行の映画
認知症の父親と末期患者の母親を抱えた一家の苦悩を通し、高齢化社会や認知症、尊厳死などの問題を描いた社会派ドラマ。きれいごとでは済まされない介護の現実に迫る重い内容から、1984年に製作されるも劇場未公開となっていた幻の傑作が30年を経てよみがえる。
あらすじ:昭和59年(1984年)、新潟県。元漁師の安田源吾(三國連太郎)は、老人特有の認知症で毎晩はいかいを繰り返していた。さらに妻のトミ(初井言榮)に、余命半年という重病が発覚する。不治の病で死を待つばかりの老母の「殺してくれ」という訴えに悩まされる息子夫婦たち。するとある日、長男の忠雄(田村高廣)が、医者(下條アトム)に対して安楽死の提案をし……。
<感想>三國連太郎の出演作のなかで唯一未公開だった、認知症の老父と死期を迎える老母を抱える家族の苦悩を描いたドラマである。現代の日本を予見するかのような高齢化社会と、尊厳死の問題を扱い、過酷な状況の下での家族の繋がりと、愛情の先にある希望を描いている。気になっていた映画で、先週で終了とのこと、急いで観賞に漕ぎつけました。

新潟の漁村で、かつては漁師だった老人が認知症を患っている。彼は夜毎に海岸を徘徊して、小便を垂れ流し、過剰な食欲を抑えることができない。長年連れ添った妻もまた、不治の病の犠牲となり、毎日を激痛のうちに過ごしている。
長男はそんな母親を見かねて、医師に安楽死を依頼するが、にべもなく拒絶されてしまう。
妻は絶望のあまり夫を刺殺して心中を試みるが失敗してしまうのだ。やがて、彼女が死に、親戚縁者によって野辺送りが行われる。老人は妻の死を理解できず、家に置き去りにされるのだが、彼は衝動的に外へと飛び出し、葬式の行列のところまで駆け出して、「こんなところにいたら死んでしまうよ」と、妻の棺に向かって話かける。

三國連太郎がこの老人を演じた時には61歳であったそうで、彼は役つくりのために歯という歯を抜き、毎日2時間かけてみずからメイキャップをしたというのだ。この映画の2年後には、吉田喜重の「人間の約束」(86)に出演していることを考えると、この時期の三國さんが老いと痴呆という主題に、いかに憑りつかれていたかが理解できる。
映画史上のミッシングトリップって感じでしょうか。内容が余りにも暗すぎると言う理由から、上映の引受先が決まらず、そのまま30年に渡ってお蔵入りとなっていた作品。
製作時に上映されていれば、確かに暗くて重苦しい映画でしかなかったであろうが、主演の三國さんも、初井さんに、息子の田村さんまでもが、今は亡き人となっては、もうこんな芝居をする役者たちがいないことに粛然とせざるを得ない。特殊メイクの域に達した三國さんの怪老人姿は明らかにやり過ぎのような感じもしたが、食欲が肥大化した痴呆老人をこの人が演じれば、ここまで鬼気迫るものになるのも当然のことだと納得できる。

それは三國連太郎の演技が凄いのは当然のことだが、その老妻役の初井言榮さんの入魂の演技にも拍手をしたい。三國さんの演技は、尊厳死のテーマが霞むほどの強烈さを放ち、初井さんが負けじと挑む果物ナイフで、長年連れ添った三國さんを刺そうとする下りは、本作屈指の歪んだラブシーンのようにも見えました。
脚本も演出も、カメラも、俳優陣の演技も、全て楷書に書かれたように正確で、ガッチリとした作品です。それが逆に新鮮にも取れました。ロケ地も効果的でしたね。なにしろ近年の日本の映画は、ひらがなやカタカナ文体の作品がほとんどで、台詞すら聞き取れないこともあるが、この作品にはそういった曖昧なシーンは一切ない。
そして、まさに今日的なテーマでもあります。老いることの無念さと、家族の困惑をしっかりと見つめ、安楽死にまで触れているのには驚きました。まだまだ若いと自負している人たち、老いは自然といつの間にか忍び寄ってくる。自分が気付かないだけなのだ。
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喰女−クイメ− ★★★.5

2014年08月26日 | アクション映画ーカ行
『一命』の三池崇史監督と市川海老蔵が再びタッグを組み、有名な歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」を題材に描く衝撃作。柴咲コウがヒロインを演じ、虚構と現実の世界が交錯しながらもつれ合う男女の愛と狂気を浮き彫りにする。『悪の教典』などの伊藤英明や『ミロクローゼ』などのマイコ、『永遠の0』などの中西美帆らが共演。身の毛もよだつような戦慄(せんりつ)の物語に背筋が凍る。
あらすじ:舞台「真四谷怪談」の看板女優である後藤美雪(柴咲コウ)の推薦により、彼女と付き合っている長谷川浩介(市川海老蔵)が相手役に選ばれる。二人はお岩と伊右衛門にふんすることになり、鈴木順(伊藤英明)と朝比奈莉緒(中西美帆)らの共演も決定する。こうして舞台の稽古がスタートするのだが。

<感想>この作品を観て男が女に感じる根源的な怖さが、すべて描かれているといっていいでしょう。男の嘘をすぐに見破る勘の鋭さ、嘘だと知りながらも顔では笑って見せる二面性、そして男が絶対に体験できない妊娠と出産、・・・。
オカルト的な恐怖とは異なる、リアルな怖さに女の情念というか、怨念のようなものが、男に虐げられ、裏切られた女の逆襲劇のような感じもしました。
劇中劇というアイデアが功を奏している。同棲中である人気女優の美雪と遊び癖のある男優の浩介が、舞台の「真四谷怪談」で共演することになり、稽古が進むにつれて、二人がどこまでが役作りなのか、本音なのか定かではない虚構と、現実が入り交じった迷宮の世界へとハマっていく。

浩介のトラブルメーカーぶりは、世間の注目を常に集める海老蔵自身のキャラクターをどこか彷彿とさせ、歌舞伎でも演目の一つである「四谷怪談」の伊右衛門の役どころなんて、海老蔵の十八番であり演技というよりも素で演じているように見えました。

また「バトル・ロワイヤル」以来ともいえる強烈なキャラクターである、美雪とお岩を演じた柴咲コウが、嬉々として熱演している姿も見ものです。それは、役者として完全に存在感をしっかりと放っていて海老蔵を喰っていましたね。
それに、浮気相手のお嬢様、梅の乳母役の根岸季衣さんの怖い顔、お歯黒しているので余計に怖かった。もう一人、生臭坊主の役がハマっている伊藤英明の、怪演が光るサイコロジカルな恐怖譚、あの真面目な役ばかり演じていた伊藤英明さん。そういえば「悪の教典」では悪党を演じていた。今回も楽しんでいるように感じられたので、いいとしましょう。

観客はいわば三重構造の劇中劇を楽しむことになります。楽屋口に置いてある「着到板」も怖さを引き立てる小道具として有効に使えていると思う。仕事を口実に梅役の若い女優と火遊びに興じる浩介、食事の用意をして貞淑な妻を装う美雪。ベビーカーを押すカップルを見ながら「子供がいると幸せかな」と何気の無い会話でお互いの腹を探り合う二人。一緒に暮らす男女の虚実なやりとりが、後半の血みどろなシーンをいっそう引き立てます。

女性の執念深さって、同性からみても凄いなって思いますね。そういった感情は江戸時代も現代も、きっと変わらないものなんでしょう。
浩介が浮気をしている女優の朝比奈莉緒との、ベッドの中で会話する「伊右衛門ってどうすれば幸せになれたのかな」と、それに対して浩介は「伊右衛門は幸せになんかなれないよ」なんて、恐怖シーン以外での男女の対愛のないやりとりが妙に印象に残ります。

インパクトのあるシーンでは、美雪がお腹の子供を風呂場で一人で堕ろすシーン。浩介が帰って来てベッドに寝ている美雪を起こす。すると下半身が血で真っ赤に染まって、顔が半分崩れてお岩のような顔。そして「私がいたらぬばかりで申しわけないことでございます」の台詞が、舞台のお岩とシンクロしているのだ。

それから、美雪の首を絞め殺す浩介。黒いビニールシートが張りめぐされ、白いベットには真っ赤な血が、それに水槽の真っ赤な金魚。舞台稽古では、梅が白い着物で何かを喰っている。それがへその緒が付いた嬰児で、観るとお岩が食っているではないか。この恐怖はなんとしたことか。
それに、浩介が撮影所へ車で入ろうとすると、フロントガラスに鉄板が飛んできて浩介の首をちょん切ってしまう。その首が、楽屋で美雪の足もとに転がっているという三池流のスプラッターは、過激で血の気が引きそうになりますから。
それにしても、この映画の中でのリハーサルが行われている舞台稽古のシーンでの、大胆なセットと回転舞台の使い方の鮮やかさは見事でしたね。三池監督作品にしては、珍しいほど説明を俳したシックな造りの妄想譚です。舞台稽古にお岩と美雪の混濁した、愛の狂気と化していく境目の曖昧さは何とも魅力的でした。
結局一番怖いのは人間である、もしくは人間の心である。というのは、ホラーやサイコスリラーの定番というか、そこに着地すれば、とりあえずは収まりがいい感じになるという結論であるから。
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イントゥ・ザ・ストーム ★★★

2014年08月25日 | アクション映画ーア行
史上最も規模が大きい竜巻に襲われた人々の死闘を描くディザスターパニック。ジャンボジェット機も簡単に飲み込む直径3,200メートル、秒速135メートルもの巨大竜巻が襲来するさまを、臨場感あふれる映像で映し出す。メガホンを取るのは、『タイタニック』『アバター』などに携り、ジェームズ・キャメロン監督からの信頼も厚い『ファイナル・デッドブリッジ』などのスティーヴン・クォーレ。出演は『ホビット』シリーズなどのリチャード・アーミティッジら。
あらすじ:直径3,200メートル、秒速135メートルというこれまでにない規模の巨大竜巻がシルバータウンの街に襲来する。炎に包まれた巨大竜巻が猛威を振るい、ジャンボジェット機すら飲み込む威力を前に、住民たちはシェルターに避難。一方で、竜巻を追跡する観測者ストームチェイサーや、最愛の人を守り生き残るため危機的状況を打破しようと模索する人々もいて……。

<感想>実在する巨大竜巻に飲み込まれそうな感じに圧倒されました。現実に日本でも竜巻の被害が起こっている昨今、最近はゲリラ豪雨による土砂災害が日本のあちこちで起こり、被災された方々の冥福を祈ります。3年前に東北地方を襲った大地震による大津波で亡くなった方々など、今回も大雨の後に地盤が緩み山が崩れて土砂災害に遭われた人たち。まだまだ、これから台風とかの自然災害もあるので万事惰りなく準備のほど、せめて命だけでも助かるように祈るばかりです。

で、この映画は、何年か前にアメリカで起こったカトリーナという巨大竜巻、台風災害のことを思い出します。劇場で観る竜巻のハンパない臨場感と体感型ディザスタームービーですね。POVスタイルのため、竜巻ハンターのビデオカメラや高校生たちがスマホで撮った動画映像が、迫りくる竜巻の迫力をリアルに伝える映像には恐怖ものでした。

有名なキャストは出ていないのに、監督の巧みな演出によって、観ている側も竜巻ハンターになったかのようなドキドキ感が楽しめます。とにかく、竜巻ハンターチームは、ドキュメンタリーを撮ることを目的に集まった専門チーム。竜巻の内部映像はスクープ価値があるため、危険を冒してまで竜巻に近づこうとする。装甲車タイタスと気象情報収集車に分乗してピートと、カメラマンのルーカスにジェイコブ、ダリル、それに気象学者のアリソンの5人が竜巻に立ち向かうのだ。
直系3200mに達するメガストームは、まさに巨大怪獣のような不気味さ。F5は最大スケールで、家を跡形もなく吹き飛ばし、車も吹っ飛んでしまうほど。本作では竜巻が複数合体して、想像を絶するメガストームが登場する。
それに、竜巻ハンターだけでなく地元の高校で教頭を務めるシングルファザーのゲイリー、卒業式を迎えた高3の長男ドニーと、反抗期の弟トレイの家族も作品の中の重要な部分を占めている。

そして、こんなディザイスタームービーなのに、おバカな二人の男が、金儲けのために超スクープ映像をゲットしようと、巨大竜巻の中へと挑んでいく。こいつら、竜巻に巻き込まれて死んでしまうのかと思ったのに、どういうわけか最後に木に引っ掛かって二人とも助かったのが変ですよね。笑えなかった。

高校の卒業式にも関わらず、長男ドニーは好意を寄せる女子高生ケイトリンの課題レポートの取材を手伝うため、環境汚染されている廃棄工場へと向かうも、空模様が怪しくなっているのに気付かないなんて。二人とも、工場の中で汚染されている場所などを撮影している時に、暴風雨と共に巨大竜巻に巻き込まれて、工場の地下コンクリ―トの中へ閉じ込められてしまう。その時、彼女が足首に怪我をしてしまう。大雨による水が二人を襲い危うく水に埋もれてしまうところを、父親がドニーからの留守電をキャッチして、一緒に竜巻ハンターの装甲車と気象情報車の2台で助けに向かうのだが、・・・。

途中で鉄塔が倒れて道を塞ぎ、竜巻がタンクローリーを横転させてガソリンが漏れ、鉄塔の火花が引火して炎の竜巻が空高く舞い上がる凄まじさにびっくりですから。それに、飛行機も竜巻で舞い上がるシーンもあります。

それに、父親の乗った車が横転するも、装甲車で引き揚げてもらい、廃棄工場跡地へと。ところが、工場の跡地は竜巻で跡形もなくなっており、どうにか助けを呼ぶドニーの声で居場所を確認。父親が初めに彼女を助けるも、ドニーが鉄骨に足が挟まれて動けない。何とか水の中へ潜ってドニーを助け、人工呼吸をし、蘇生させる。

その後が、またもや大変なことに。複数の竜巻が合体してモンスターのように襲ってくる。みんなは、地下水道構の中へ避難するも、マンホールの蓋が風で飛び、地下水道構の中にも暴風雨が押し寄せてくる。ピーターが装甲車で蓋の代わりになって暴風雨を塞ぐも、巨大竜巻に装甲車ごと空高く巻き込まれてしまう。ピーターが見た竜巻の目の中心部から、空に太陽の見える。その後はまたもや竜巻の暴風圏の中へと、気の毒でした。

高校の卒業式は、始めは順調に事が運び良かったのですが、ゲリラ豪雨と共に竜巻が押し寄せて来て、学校の地下室に防災用のシェルターとかないのか、生徒たちはロッカーのある廊下に座っているだけ。だから暴風が来て竜巻が来るのに、ここでは危険だといい、スクールバスに乗り避難するのだが、この生徒たちは大丈夫だったのだろうか。
最後は、主人公一家が災害を乗り越えて、家族の絆を確かめ合うシーンが。25年後の未来へと、息子がビデオを撮っていたのだが、この巨大竜巻を撮影したのを今後の対策にしたらと思う。25年後もいいけれど、毎日の生活の方が大事なのでは、今を大切に生きようではないか。「災害は忘れた頃にやって来る」
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キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー★★★

2014年08月23日 | DVD作品ーか行
『マトリックス』シリーズや『47RONIN』などのキアヌ・リーヴスが映画監督に初挑戦し、出演も果たしたアクション。世界中に中継される闇格闘技に出場した太極拳の使い手が、試合を取り仕切る組織の陰謀に対峙(たいじ)する。『マトリックス』でキアヌのスタントも務めていたタイガー・チェンが主演を務め、『少林サッカー』などのカレン・モク、『10人の泥棒たち』などのサイモン・ヤムら、香港の実力派スターが共演。アクロバティックな格闘シーンに加え、三谷幸喜監督作品などに携った種田陽平が手掛けた美術も見もの。

あらすじ:取り壊しの危機が迫っている師匠の寺を守るために、格闘技大会に出場しては勝利を重ね、賞金を獲得している太極拳の達人タイガー(タイガー・チェン)。そのすさまじい戦いぶりをテレビで目にしたドナカ(キアヌ・リーヴス)は、ペイ・パー・ビューで全世界に中継している自身主催の闇格闘技にタイガーを参加させる。屈強な肉体を誇り、圧倒的破壊力を秘めた技を繰り出してくるファイターたちを、次々と倒していくタイガー。だが、彼はドナカたちの組織の考えや行動に疑問を抱くようになる。

<感想>キアヌ・リーヴスが初監督に挑戦し、出演も果たしたアクション映画なのだが、DVDスルー告知されるも、6月28日に全国5館で1週間限定で公開されたというしろもの。
「マトリックス」シリーズでスタントを務めたダイガー・チェンを主役に。ユエン・ウービンを武道指導に迎えた米中合作の武術アクション映画である。
もちろん、見せ場はタイガー・チェンが主役であり、太極拳を駆使して次々と強敵たちをぶちのめしていく展開には圧巻でもあります。

壊れかけ寸前で取り壊しを命じられる自分の師匠の霊空寺。その寺の再建のために金を稼がなければならず、人殺しのようなドナカの主催するPPVで、世界中継される闇の格闘技大会に参加しては、次から次へと倒していく王道ストーリー。
「ザ・レイド」のシラット使いイコ・ウワイスや「ダニー・ザ・ドッグ」のテコンドー有段者シルヴィオ・シマックら強敵との戦いが見どころ。カレン・モクが久々に活躍し、サイモン・ヤムも出演。ジブリの最新作「思い出のマーニー」も手掛けた種田陽平が美術監督を担当しているのも興味深い。

最初に主人公がオフィスのような空間で闘う、タンク・ファイトという場面では、キューブリックみたいな感じで、鏡の形にもこだわりまくり、中盤で出て来る別の格闘技場では、八角形に、十二角形、円形など、色々な空間で闘う。
キアヌが演じている悪役のドナカは、大きな警備会社の社長でビルを持ち、邸宅も日本風で、日本人の血が少し入っているイメージ。キアヌ自身も太極拳をトレーニングしての、技を発揮するラストシーンで、タイガーとの闘いも見せ場の一つですね。
老師との指導の中で、タイガーが気による圧力で吹っ飛ばされるシーンには、こういう気の勝負は日本の武術にはないので大変興味深かったです。この気の太極拳を学び入れての、キアヌとの勝負にはあっぱれというしかない。

それでも、殆どタイガーがメインなので、突っ込みどころ満載なのだが、氷川きよし似のタイガー・チェンの強いのなんの凄いに尽きますですから。
キアヌの熱いカンフー魂でラスボスとなり、タイガーとの対決に迫力感もあります。マスターの“ユエン・ウービン”のアクション監督の指導も熱く、見せかけだけじゃないちゃんとしたアクションを見せているのもいい。
どういうわけか、ラストシーンで、PM2.5で霞んだ北京の街並みが映し出され、北京の空気感もリアルに描かれている。

撮影中のキアヌは、毎日同じ物を着て現場に来て、仕事も一生懸命やるから、いつも泥だらけ。アシスタントの男の子が、「監督は靴もボロいし、ジーンズも毎日同じだし、かわいそうだった」と言ってました。中国の子供たちはみんなブランド物のパンツを履いてて、身ぎれいだし、キアヌが誰よりも汚かった。
キアヌって、結構年いっているのに、「47RONIN」でも見事なフットワークだったし、自分の監督作品でも、格闘技のシーンではキレキレの技を披露して、かなり気合がはいってましたね。
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ホットロード ★★★.5

2014年08月21日 | アクション映画ーハ行
1980年代に若者の圧倒的な支持を集めた紡木たくによる少女コミックを、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」でブレイクした能年玲奈主演で実写映画化した青春ドラマ。原作者の紡木たくが脚本を監修し、母から愛されず行き場のない不安を抱える孤独な14歳の少女と、刹那的に生きる不良少年との切なくも激しい純愛を描く。ヒロイン能年の相手役には、三代目J Soul Brothersの登坂広臣が抜てきされ、『僕等がいた』シリーズなどの三木孝浩がメガホンを取る。
あらすじ:母から愛されず、自分が誰からも必要とされていないと心を痛める14歳の宮市和希(能年玲奈)は、学校で周囲と打ち解けられず孤独を抱えていた。そんなある日、不良の春山洋志(登坂広臣)と出会い、彼らの世界に自らのよりどころを見いだすようになる。少しずつ洋志に惹(ひ)かれていく和希だったが、Nightsのリーダーとなった洋志は反目し合うチームとの激しい争いにしのぎを削ることとなり……。

<感想>10代特有の純粋さや未熟さ、危ういさを綴った紡木たくの青春マンガを実写化。居場所を求めて不良の道へ足を踏み入れた主人公和希と、その恋人春山洋志の激しくも切ない純愛物語。
不器用な生き方は若者の共感を呼び、コミックス全4巻累計発行部数700万部を記録する大ヒットとなった。そして、連載終了から27年の時を経て、その名作が初の実写版映画としてよみがえったのである。主人公和希役には「あまちゃん」で一躍スターの仲間入りをした能年玲奈が、春山には本作が役者デビュー作となる、三代目J Soul Brothersの登坂広臣が自然な演技で好感がもてました。

湘南海岸にバイクに、反発しながら惹かれあう少年と少女、とくれば往年の暴走族青春映画そのままなのだが、違いは、かつてのそれが、既存の社会への反抗としてあったのに対して、こちらは家庭の問題へと縮小しているのは、ご時勢ゆえなのか。
まぁ、大人になった主人公の現在時からの回想ふうに始まるのだが、これが全く意味をもたないのだ。

話はドロドロで、特に主人公の母親は、はっきり言ってキチガイですから。夫は概に亡くなっているのだが、望まない結婚だったからというので、彼の写真は一切なしなんてことがあるのでしょうか。
それで、初恋の男とちゃっかり寄りを戻してホテル三昧って、そりゃないでしょに。娘は辛いよね、彼女を救い出すバイクの騎士のキャラが弱いのが難点ですかね。それでも、二人は一緒に住むことになり、朝から蟹を喰って当たるとは、この食中毒事件にはびっくりして、和希が薬を持ってきて晴山に口移しで飲ませるお初のキスシーンは良かった。

だが、そんな物語以前に気になったのは、能年玲奈と登坂広臣のアップの次は、決まって海や空のロングショットになるというワンパターン化した編集ぶりには呆れてしまった。
主軸である和希と春山のラブストーリーと並行して、丁寧に描かれるのが和希と母親である木村佳乃との衝突。本当は誰よりも互いのことを思い合っているのに、分かり合うことができない二人。そのギクシャク感と雪解けへの道もまた、胸を打つ要素となっています。

最後が、風邪で熱出しているのに、暴走族との抗争にヘッドとしていかなければならない。フラフラでバイクに乗り向かうも、警察の手入れで誰もいないのだ。途中で検問に引かかって慌ててバイクを回すと、目の前にトラックが追突した。5メートルも吹っ飛んだそうで大怪我を負い意識がない晴山。それでも、「あいつには俺しかいない」と、生きようとする若い力が死の世界から甦るのだ。

元ヘッドの[HK/変態仮面]に出ていた鈴木亮平演じるトオルが素敵でした。バスで妊婦さんに席を譲って、自分ももうすぐ父親になるという。暴走族とは、若い青春の1ページみたいな、粋がってカッコつけて、命を無駄にするなよな。しかし、最近はすっかり暴走族の姿が見えなくなったね。
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めぐり逢わせのお弁当 ★★★★

2014年08月20日 | ま行の映画
インドの大都会ムンバイでは、家庭でつくった“できたて”のお弁当をオフィスに届ける配達サービスが充実していて、1日20万個のお弁当箱がダッバーワーラーと呼ばれる配達人5千人によって家庭とオフィスを正確に往き来しているという。本作はそんなムンバイのお弁当事情を背景に、めったに起きない誤配が縁で繋がった一組の男女が、そのお弁当を介して互いの心の隙間を埋めていく姿を心温まるタッチで描いたハートフル・ドラマ。出演は「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」のイルファン・カーンとニムラト・カウル。監督は、これが長編デビューのリテーシュ・バトラ。
あらすじ:ムンバイに暮らす主婦のイラ。すっかり冷めてしまった夫の愛情を取り戻そうと、お弁当作りに精を出す。ところが、その丹精を込めた4段重ねのお弁当が、なぜか早期退職を控えた男やもめ、サージャンのもとに届いてしまう。その日、お弁当箱は、きれいに空っぽになって帰ってきた。それを見て喜ぶイラだったが、ほどなく夫が食べたのではないと気づく。そこで次のお弁当には、きれいに食べてくれた見知らぬ誰かへのお礼の手紙を忍ばせるイラだったが…。

<感想>この作品は、前に観た「マダム・イン・ニューヨーク」も良かったが、インドの保守的な生活に甘んじる主婦の姿と、激動するインド社会の軋みを背景にした秀作であります。まずこれはムンバイ出身のリテーシュ・バトラ監督の長編デビュー作品である。
インドが舞台のインド映画でありながら、グローバルな匂いがバリバリと漂ってくるのだ。ボリウッドものに定番のコミカルダンスや、キンキラキンのゴージャスな感じは全然ないが、劇中で91年のポリウッド映画「サージャン/愛しい人」の主題歌が流れるも、本編自体にはミュージカル要素はない。
物語のこれにはびっくりでした。インドでは妻の弁当を会社に届けるプロの配達人が職業として成立しているなんて。それを題材にした企画の勝利でもある。
あり得ない弁当の誤配達。そこで手紙の交流が始まる。

主演が「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」のイルファン・カーンとヒロインは、舞台女優のニムラト・カウル。インドの女優さんは本当に美しいのに感心。夫に不信感を抱きつつ、まだ見ぬ男の心触れ合いに揺れる主婦役が見事だった。夫に届いた弁当は、サージャンの住む近所の弁当屋の物。弁当の中身がカリフラワーのカレー味が多いとは、気の毒に。もし間違って届かなければ、夫は妻の手料理で浮気も止めたのではないかと思うのですが。

ムンバイならではの弁当配達システム。600万分の1という確率の誤配送に気付きながらも、二人は弁当箱に短い手紙を忍ばせ、密かな交流をするのだ。それはSNSや出会い系などのコミュニケーションとは一線を画し、誰にも言えない孤独感を共有するものだった。
彼女には、自殺をした弟がおり、天井のファンを見続ける昏睡状態の叔父が2階に住んでいる。その叔父を介護しているおばさんが声だけの登場なのだが、彼女の悩みの相談に乗り、存在感がたっぷりあり傑作でした。

彼の方も死んだ妻が好きだったテレビドラマなど、二人が交わす文通に出て来るエピソードの一つ一つが凄まじい。彼女のお弁当の美味しさに驚く会計係の、定年退職が迫るのに、いつ逢えるのかと観客の方がドキドキしてしまう。
それに、サージャンの後任として若い男、ナワーズッディーン・シッディーキーが演じているが、始めは邪険にしていた彼が、若い男の生い立ち(孤児)を聞き同情して、仕事を教えて彼の家にまで招かれ、結婚式にまで参列することになるとは。

そして、時間のかかる弁当箱文通相手の二人が、ついに顔合わせることになるシーンでは、男が朝から身支度をして洗面所で、アゴヒゲを剃り自分から祖父と同じ臭いがすることにショックを受け、あろうことか電車の中では若者に席まで譲られるてしまう。

老いに直面した男は、後にあの彼女が待っているカフェで「水を飲むあなたを見ていた。君は若くて美しい。夢を見させてくれて感謝している」と悲しい手紙を送るのだ。待ち合わせのカフェでの彼女の画面に始まる三ショットの連鎖の残酷さ。その秀逸さに極上のメロドラマを見ているようでした。
最後に、彼女が娘を学校へ送り、自分は身支度をして駅へ向かうのだが、ブータンへ行きたいと夢見ていた二人の行く末がどうなることか、気になるところだが、これは観客の想像に任せるという終わり方であった。生活のワンシーンを鮮やかなドラマとして機能させる手腕が見事でした。

まるで巨匠監督の晩年の傑作のように、ツボを熟知したさりげない展開で攻めてくるのだ。「たとえ間違った電車に乗ったとしても、正しい場所に着く」という、哲学的名言が多くの心理を表しているようで、深く胸に染み入る作品でした。
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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト★★★

2014年08月19日 | は行の映画
超絶技巧で有名な伝説的バイオリニスト、ニコロ・パガニーニの破天荒な人生と、彼の人生を変えた2人の人物との出会いを描く伝記ドラマ。スキャンダルが絶えない異端児パガニーニを、欧米で圧倒的人気を誇る天才バイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットが演じる。監督は、『不滅の恋/ベートーヴェン』などのバーナード・ローズ。共演には『リンカーン』などのジャレッド・ハリス、『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』などのクリスチャン・マッケイらがそろう。
あらすじ:1830年のイタリア、並外れた才能を持ちながらも不遇の日々を送るバイオリニスト、パガニーニ(デイヴィッド・ギャレット)の前に突如現れたウルバーニ(ジャレッド・ハリス)は、彼を著名なバイオリニストにしてみせると約束。ウルバーニはさまざまな手段を用いて名門劇場での公演を成功に導き、パガニーニは一躍富と名声を手に入れる。成功後も放蕩(ほうとう)生活を送る彼のもとに、ロンドンデビューの話が舞い込む。

<感想>伝説のバイオリニスト、ニコロ・パガニーニのスキャンダルに彩られた生涯を描いている。音楽映画に必要なのは贅沢な感じであるが、豪華なオペラハウスなど、本作はその条件を満たしているといっていい。
ニコロ・パガニーニは19世紀のロックスターという設定で綴られる、酒と女と麻薬と敏腕ビジネスマネジャー、そして、一番大事なスパイスとなる純愛と並んだ、つまるところディヴィッド・ギャレットの壮大なるプロモーション映画でもあると思います。

彼を主役に持って来て、演奏そのものが華麗に見せているのが最高。この映画は、ディヴィッド・ギャレットのバイオリン演奏によるシーンが圧巻であり、彼がニコロ・パガニーニに、乗り移ったかのような演奏シーンは素晴らしく、この役はディヴィッド・ギャレットあっての映画だと言える。
ともあれ楽器を自分の肉体の一部のように扱えることの素晴らしさに目が眩む。画的には、新進国であった当時のアメリカと、爛熟したヨーロッパの対比が興味深かったです。

主要舞台の霧深いロンドンの街も、一服の絵になっていて、二時間あまりの上映を退屈させません。確かに、パガニーニとウルバーニとの関係が、現代のロックスターと悪賢いマネージャーとの関係に、なぞらえすぎているということもあろうが、ケン・ラッセルに献辞を捧げているだけに、タイムズ誌の生意気な女性記者に至るまで毒気があって魅力的だと感じた。

女性遍歴が最後の恋路を邪魔したように描かれているが、シャーロットとの恋は、娼婦を相手に遊ぶパガニーニには不釣り合いのようで、結局はウルバーニの邪魔が入り、二人の恋は実らなかった。パガニーニがシャーロットに贈った「アリア」は、美しい恋の歌で2人の心情を表しているようで物悲しい曲でもありました。
そのことで、パガニーニとウルバーニの間に亀裂が生じて彼をクビにしてしまうことで、パガニーニ自身の首を絞める結果となる。結局は天才ヴァイオリニストと言われても、営業はできない男。次第に財産も底をつき、アヘンや麻薬中毒で体を蝕み、若くして死に至ることに。

しかし、この映画は、違う点で観賞することも出来ます。冒頭からデイヴィッド・ギャレットによるヴァイオリンの演奏に耳をかたむけて、しばしの間堪能するのも良いかと思います。
その演奏テクニックには、まさにパガニーニが乗り移ったかのように技巧も巧く、弦が1本1本と切れていき最後の1本で演奏する凄まじさは言葉になりません。これは、もちろんのこと奏者デイヴィッド・ギャレット自身が、すごいということを証明していると思います。
そのキャスティングの妙がこの作品の唯一の見所であり、脚本のまずさなどはこの際忘れてしまってもよいと思っても、何故だか彼が悪魔的超絶技巧を体得しえたのか、そのところが描かれてなく飛ばされているのが腑に落ちなかった。
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エスケイプ・フロム・トゥモロー ★

2014年08月18日 | アクション映画ーア行
世界的に著名なアメリカのテーマパーク、ディズニーランドなどの敷地で無許可で撮影を敢行したという異色作。仕事をクビになったさえない中年男が家族と一緒に訪れたテーマパークで遭遇する、現実と妄想の入り交じるシュールな体験を活写。悪夢的な内容や、夢と魔法のファンタジックワールドを、グロテスクな光景として映した世界観が衝撃的。
あらすじ:会社に突然クビを言い渡された中年男のジム(ロイ・エイブラムソン)は、口うるさい妻とわがままな2人の子供と共に人気テーマパークにやって来た。夢と魔法の国で何度も現実から逃げたくなる衝動に駆られたジムに、妄想と現実が入り交じった奇妙な出来事が次々と襲い掛かってくる。

<感想>東京ディズニーランドへ行っている人たちには、殆どの乗り物やアトラクションを見たりしているので、そのものがズバリ白黒映像で映画化されているってことは、無許可で撮影しているようですし、ディズニー社がよく告訴しないと感心して観ておりました。
主人公のお父さんは、家族でフロリダのディズニーランドへ行く朝に、会社の社長からクビの電話を受け取る。朝が早いのでベランダで電話を聞いているところへ、長男のエリオットがガラス戸の鍵をしめてしまう。仕方がないので、ケータイ電話持ってるしで、まだ寝ている奥さんに電話して開けてもらう。

そして、奥さんには会社をクビになったことは言わないでディズニーランドへと行く。もう、この主人公のジムの妄想と幻覚の総てが物語となっているようです。
男って、もうどこの国の男もそうなのか?・・・とにかく若くて綺麗なフランス女2人に夢中になるジム。冒頭のビッグサンダー・マウンテン滑走シーンに、スペースマウンテンは乗ったことあるし、でも息子が酔ってしまい降りるとゲロ吐いて気の毒でした。
ママと娘は、無難にクマのプーさんの家や白雪姫の家もね、中へ入るカートの中でママにキスをするパパ。嫌がるママ、そうだよね。みんな観ているし。
これを撮影しているカメラマン、ブレてないし固定カメラで映しているの?

バズライヤーへ行きたいと息子が言う。長い行列で待ち時間が1時間とかだよね。ママと娘はテーカップに乗る。メリーゴーランドも。パパは2人のフランス美女に鼻の下長くして目が泳いでるし。ゴーカートに乗る息子とパパ。前に乗っているのは、あのフランス美女のお2人さんだ。ここでパパの妄想癖が始まる。そして、船に乗りトムソーヤの島へと。

ムチムチの中年のおばさんに誘われて、ホテルへ行きベッドインして、そのおばさんが「マレフィセント」に出て来る悪い魔女のような服装で登場。娘がまるでねむり姫のように、お花畑のベッドに寝ている。パパが見るこんな悪夢の幻想世界が映しだされる。どうも、物語はこのパパの妄想によるダーク・ファンタジーになっている。

本当は楽しい家族サービスの日なのに、何故かパパはその朝に会社をクビになり、そのことをママに言えないでいる。どうもやけっぱちになっている状態で、せっかく来た遊園地も楽しくないのだ。だからって、若い綺麗な女に目をうつろにして、まったくもうこんな男はダメ人間で、会社をクビになったのも分かる気がする。

娘のサラが迷子になり探して歩くパパ。転んでひざを擦りむいちゃったし、看護師さんに消毒してもらう。パパが看護師の胸の谷間を覗いているし。プールではビキニのフランス女2人に、目が釘付け状態のパパ。この2人の美女は、実は妖精だったのですね。

園内では猫インフルエンザが流行っているそうで、最後にパパがそのカゼに冒されて大変なことになるという。部屋のトイレで毛玉を吐くパパ。ビタミンC飲めば治ると信じているのだ。巨大な玉のエプコットの中へ。イマージネーションの中で生き続けるジム。電動椅子に乗ったデブの男に嫌われるし、足の親指ぶっつけてケガするし、最悪な1日だ。
途中で休憩の文字が画面に出て来る。わざとですよね、これは。

空の旅の“ソリアン“という3Dの映像の乗り物。私が乗ったのは、確かソリアンじゃなくて、火山の中へ入ったり、空中散歩のような乗り物だったような気がする。
何を言わんとしているのか、この映画の中で?・・・このダメ人間男の妄想と幻覚で終わってしまう展開なのか。私には理解できないし、主人公に同情もしない。でも、花火の映像が映って、これはカラーじゃないと美しく見れないでしょうに、残念ですね。あまり深く考えないで観ると楽しいでしょう。
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ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪★★★★★

2014年08月17日 | アクション映画ーラ行
王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』の、主人公ディー判事の若き日を描くアクションアドベンチャー。水軍の兵10万人を全滅させた怪事件と海の神・龍王の存在をめぐり、ディー判事が真相の究明に取り掛かる。監督は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズなどのツイ・ハーク。主演は『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black & White Episode 1』などのマーク・チャオ。ツイ・ハークらしい映像美や派手なアクションに魅了される。

あらすじ:西暦665年、唐朝の時代。第3代皇帝・高宗と皇后の則天武后が派遣した水軍艦隊が、正体不明の何かによって壊滅させられてしまい、海の神・龍王が原因だといううわさが広まる。ちょうどそのころ、ディー判事(マーク・チャオ)が洛陽に赴任。龍王にささげる生けにえにされる若く美しい花魁(おいらん)・イン(Angelababy)の誘拐事件に関わったディー判事は、水軍壊滅と龍王の因果関係と事件の真相を突き止めるべく行動を起こす。
<感想>カンフー映画と巨大怪獣映画を合体させたような奇跡の作品。といっても、タイトルからみると判らないと思うが、以前にアンディ・ラウ主演で「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」(10)の主人公ディーの若き日を描いた作品でもある。中国版シャーロック・ホームズのような、ディー・レンチュの活躍を描いたアクション・アドベンチャー。

監督は今回もツイ・ハークで、ヤング判事ディーを演じているのは、「モンガに散る」に主演したマーク・チャオ。謎の巨大怪獣に襲われるだけでなく、空飛ぶギロチンで武装した暗殺集団や半魚人など魅力的なキャラクターたちが登場するゴージャスな作りになっている。

そして、バケモノの生贄にされそうになる美しい花魁には、アンジェラベイビーが演じて、その恋人ユエンには韓国のキム・ポムが、ご両人とも美男美女で花魁との恋も化物になってしまうユエンを見抜いてしまう花魁との哀しい悲恋もの。アンジェラさんって、本当に美しい女優さんですね。

大理寺の司法長官ユーチには、中国のウィリアム・フォンが、何だか石井竜也に化粧しているところとか、衣装の派手さがそっくりでした。それに皇帝が病に伏して力を見せる皇后の則天武后には、前回の「王朝の陰謀~」でも扮してていたカリーナ・ラウがと、ベテランが脇を固めている。

ガイ・リッチー版のホームズを意識しての前作「王朝の陰謀~」だったが、そのテイストは今作では少し薄いのが残念。それでも、なんでも盛り込めるディー判事の連作で、好きなように彼らしい映画マジックを展開している。
前作同様に、時代考証などなきに等しいホラ話の世界ですが、ミステリー的面白みも人物の魅力も作り込まれ、途中まででも十分すぎるほど面白いのに、驚愕のクライマックスが待っているとは。

最後の海での決戦などでは昔の「白鯨」のクライマックスみたいでした。推理力や洞察力よりも身体能力と戦闘能力がものをいう展開となっていて、海に棲むモンスターが大暴れするのに、餌の魚に毒薬を仕込んで食べさせるのに必死ですから。

それに、敵は調停に恨みを持つ東島の一味で、呪いの虫“蠱”(ムカデのような虫)を繁殖させて朝廷の人々に、献上茶で飲ませて体内に入れるために、お茶屋の息子ユエンを拉致して、呪いの虫“蠱”を飲ませて半漁人に変貌させられるという、まさに人体実験。海の怪物もその呪いの虫“蠱”で変貌したと思われる。その解毒剤には、童貞のおしっこだというから笑ってしまう。

謎の孤島で大冒険、切り立った崖を登り引力重力完全無視のワイヤーアクションが炸裂のジャンル・クロスオーバー状態には眼を見張ります。そして、それがたまらなく面白いし楽しいのだから。奥行よりも飛び出しにこだわった画面構成にもこだわっているのに、2D上映なのが惜しまれます。
ここまで空想を広げて極彩色の活劇絵本に徹底し、最新技術を駆使されると感銘を受けますね。まさか、白い馬が海の中を泳いで走っていく映像に驚きを隠せません。昔の中国を描くこの監督には、しゃれた都会感覚があるようです。

これは3D映像で観たかったですね。ワイヤーアクションに、CGの凄さに口をあんぐりして、ツイ・ハークのずば抜けた画面作りセンスを思い知らされます。
惜しげもなく繰り広げられる映像アイデアに陶酔し、アクションと語りのスピード感が完全に一致するという至福の映画体感となっているのも良かったです。
2014年劇場鑑賞作品・・・268  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件
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パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間★★★

2014年08月16日 | アクション映画ーハ行
世界中に衝撃を与えたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件直後の人間模様を描く群像劇。大統領が搬送された病院の医師やシークレットサービス、銃撃の瞬間を偶然撮影した一般市民など、さまざまな形で事件に遭遇した人々の視点で真実に迫る。名優トム・ハンクスと『羊たちの沈黙』『マンマ・ミーア!』などに携ってきたゲイリー・ゴーツマンが製作を務める。キャストにはザック・エフロン、ビリー・ボブ・ソーントン、ジャッキー・ウィーヴァー、ポール・ジアマッティら実力派が集結。
あらすじ:1963年11月22日、テキサス州ダラスを訪れていたジョン・F・ケネディ大統領がパレード中に何者かに狙撃され、病院に搬送された。その様子を偶然撮影していた8ミリカメラ愛好家のエイブラハム・ザプルーダー(ポール・ジアマッティ)や、瞬時に国を託されたリンドン・ジョンソン副大統領、容疑者とされたリー・ハーベイ・オズワルドの家族など、暗殺事件は多くの人間の運命を激変させる。

<感想>タイトルの「パークランド」とは1963年11月22日、ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されたその日に、彼が運び込まれたパークランド・メモリアル病院を指している。と同時に、血も涙も気配も乾ききらないうちに、その2日後に今度は容疑者である、リー・ハーベイ・オズワルドが瀕死の状態で運び込まれた病院でもある。当然、処置にあたる医師や看護師の顔ぶれもかぶっている。

運命の不思議というべきか、この病院こそが大きな舞台となり、世紀の大事件の痛ましい当事者2人の最期を目撃した生き証人なのである。
ヴィンセント・ブリオシの原作本をもとに、それにさらに取材を加えて脚本を書き上げたのは、ジャーナリスト出身のピーター・ランデスマン監督。当然のことながら、映画はこの病院を中心に展開している。

事件発生直後に運び込まれた大統領の蘇生治療にあたる医師たちと看護師、最期を看取る神父、そしてシークレットサービスにFBI捜査官たち。さらには偶然事件を8ミリフィルムに収めたビジネスマン、オズワルドの母親や兄まで、おびただしい人物が登場し、事件の全貌に迫ります。

まさにドキュメンタリーの手法で、とらえた事件の再現ドラマなのだが、新人研修医のザック・エフロンや、看護師のマーシア・ゲイ・ハーデンの他、脇にはシークレット・サービスのビリー・ボブ・ソートン、8ミリフィルムに収めたビジネスマンのポール・ジアマッティといった芸達者が揃えて見応え十分である。

ケネディの死体がもたらす悲劇として、ドラマが構築されているのである。棺が専用機の壁を壊さないと客室に入らないという場面を生み、それがオズワルドの遺体の入った棺を担ぐ人もいないし、埋葬するのに誰も手をかさないのだ。

その二つの場面が交互に映りだされる。遺された夫人ヒラリーの立場の変化。エアフォースワンへの搭乗へのやりとりの中で、飛行機の中では次の大統領に引き継ぐ儀式が執り行われる。

中でも容疑者とその家族にフォーカスした描写が秀逸で、母親を演じたジャッキー・ウィーバーの壊れ方は奇怪に迫って、事件の背景にいる人と社会が強烈に照射されているのだ。
ただ、難を言えば、不気味な暗殺事件を引き起こした米南部のダラスという街の空気感や、東西冷戦時代の切迫した時代の雰囲気がさほど感じられないことだろう。
2014年劇場鑑賞作品・・・267  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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宇宙兄弟#0(ナンバーゼロ)★★★

2014年08月15日 | アクション映画ーア行
原作、テレビアニメおよび実写映画でも語られなかったストーリーを、原作者・小山宙哉による書き下ろしの脚本で描く劇場版アニメ。宇宙飛行士を目指す南波兄弟と、彼らよりも先に兄弟で月に立つことを夢見たジェイ兄弟の出会いと別れを映し出す。監督は、テレビアニメ版も手掛けた渡辺歩。声優はレギュラーの平田広明とKENNのほか、ジェイ兄弟の声を有本欽隆と大塚明夫が担当する。南波兄弟に大きな影響をもたらした、ジェイ兄弟とのエピソードはファン必見。

あらすじ:宇宙飛行士ブライアン・ジェイが乗っている月面着陸ロケットCES-43のバックアップクルーに選出された南波日々人。しかし、ブライアンは想定外の事故によって帰らぬ人となり、さらにはNASAが有人ミッションの見直しを検討することに。一方、日々人の兄、六太は宇宙飛行士への夢を諦め、自動車会社に勤務する会社員になっていた。

<感想>実写版はアニメ版の兄弟のキャスティングが、小栗旬と岡田将生主演で実写映画化した夢と絆の感動ドラマ。幼い頃に宇宙飛行士になることを誓い合った対照的な2人の兄弟を主人公に、彼らが夢を実現させるまでの長き道のりと固い絆を描いていた。
今回は、まだ兄貴の六太は車の会社で仕事をしていて、宇宙飛行士になることはまだまだ先のことのようでした。それでも、毎日会社で、未来カーのようなガソリンでなく電気で動く車とか、ハンドルなしでゲーム器のように車を操作するようにとか、危険を察して自動的に停止する車を模索する青年でした。会社側では、まだまだ実用的な車が主流で、実践力のない社員は田舎の僻地へと左遷されてしまう。
子供の頃に、兄弟でペットボトルを飛ばして距離を競う大会に出るも、弟のペットボトルのロケットの尾翼が壊れて、兄は自分のペットボトルから取り出した尾翼を付けて直し、結果は弟が優勝してしまう。

2021年のNASA宇宙センター、宇宙飛行士として活躍する弟の日々人。ブライアンに気に入られ、彼のバックアップクルーに選出されるも、ブライアンは月から地球へオリオン号で帰還する途中で、パラシュートが開かず墜落し帰らぬ人となり、そのショックから立ち直れなくて故郷へ帰る日々人。

兄貴の方は、田舎の梅の名産地でのんびりと営業しているも、こんな田舎では新車の車を購入してくれる人はおらず、暇を持て余し営業がてらに農耕機のトラクターを直してやるのだ。
その家の爺様に気に入られて、その田舎で開かれるイベントでミラクルカーを出品し、優勝する。本社に戻るも自分のやるべきことはこれではないと、会社を辞めた時に、弟から送られてきたNASAからの宇宙飛行士選抜試験への受験でした。

弟の日々人が、ブライアンの家へ招待されて、その家に飼われていた犬のジェミニのお腹が大きいこと。生まれてきた子犬をアポロと名付けて、育てることになるエピソードがここにあったのですね。

それに、「勇気を持ってきた」という口癖も、兄弟が一緒に遊んで帰り道に、必ずといってくらいに、豆腐屋の車が通ってスピーカーから「容器を持って来てください」を、子供だから「勇気を持って来てください」と勘違いする。どこんじょう豆腐に、勇気のポーズには微笑ましくて元気を貰いました。
2014年劇場鑑賞作品・・・266  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


2012年実写版「
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STAND BY ME ドラえもん ★★★★.5

2014年08月14日 | アクション映画ーサ行
藤子・F・不二雄原作で国民的アニメであるドラえもんのシリーズ初となるCGアニメ。『friends もののけ島のナキ』などの八木竜一と『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどの山崎貴が共同でメガホンを取り、珠玉のストーリーもさることながら、ミニチュアで制作した背景にCGのキャラクターを重ねるなどこだわり抜いた画作りや演出も光る。
あらすじ:東京の郊外に暮らす運動オンチで勉強もできない少年、のび太。ある日、22世紀から子孫であるセワシがドラえもんと一緒にタイムマシンでのび太を訪れる。のび太が作った借金が原因で、セワシのいる代まで迷惑をこうむっていた。そのためセワシは、のび太のために世話係のネコ型ロボット・ドラえもんを連れてきたのだ。こうして、のび太はドラえもんと暮らすことになり……。

<感想>藤子・F・不二雄先生は偉大なり!、膨大な数の「ドラえもん」のエピソードの中から、「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が感動編を選りすぐり、のび太とドラえもんとの出会いから別れまでを綴った号泣ストーリーとして3Dアニメ化した作品です。私は、2Dにて観賞しました。確かに22世紀の未来なんかは3Dで観たいと思いましたが、2Dでも感動する場面は一緒ですからね。
ラスト近くのしずかちゃんのパパの名セリフが心に沁み渡る「のび太の結婚前夜」、のび太が独り立ちする「さようなら、ドラえもん」など人気エピソードの乱れうちに涙腺は崩壊寸前になります。改めて原作コミックを読み直したくなります。

確かに、思い出せば「どらえもん」はテレビで子供と一緒に観た作品で、忘れられない昭和40年代を思わせる土管のある空き地や、当時の子供たちが夢見ていた未来の社会などがCGで再現されているところなんかは、見どころの一つでしょう。いつも、ジャイアンに虐められて、取っ組み合いの喧嘩をしているところとか、口ばっかりのスネオ君や頭のいい容姿端麗なデキすぎ君など、あの当時は、将来しずかちゃんが結婚する相手は、デキスギくんだとばかり思っていました。
それが、この映画の中では、「未来は変えることができる」とばかりに、大学時代だと思うのですが、雪山登山に誘われたのび太が、風邪を引いていて断ってしまう。ところが、しずかちゃんが雪山で風吹に遭い遭難しそうになり、それをいつものドラえもんの「どこでもドア」で雪山へ行き遭難寸前のしずかちゃんを助けるのび太。しずかちゃんは、のび太の風邪がうつってしまい早く病院へ連れて行かないと死んでしまうことに。その時、気を失う前にしずかちゃんがのび太君に「この前の話、OKよ」と、それって、プロポーズの返事なの?
あり得ない状況を、ドラえもんの便利グッズで助けられ、無事しずかちゃんと仲良くなり結婚まで辿り着くという物語。

今回は、のび太がジャイ子ではなく、しずかちゃんと結婚したら、セワシは生まれなかったのでは?」という原作連載時からのタイムパラドクス問題があるが、ここでは、「未来は今よりもっと明るく変えることができる」という藤子先生からの前向きなメッセージとして受け止めたいと思いました。

やっぱり一番泣けたのは、「さようなら、ドラえもん」のエピソーどですかね。ドラえもんに依存するのび太くん。これではいけないと、鼻からスパゲッティーを食べろと、無理難題を吹っかけてきていたジャイアンとの勝負に挑む。勝ち目はないのに、何度やられても挑んでいくのび太君の姿に「頑張れと」応援してしまう。何時かはこの時が来ると思っていたのび太くんの、勇気ある行動に大人になったと実感。
今回の劇場版と原作本と、どこが違うのかというと、大きく異なるのはドラえもんに「成し遂げプログラム」がセットされている点である。のび太が幸せになると認識されてしまうと、48時間以内に22世紀に帰らなくてはならないのだ。のび太はドラえもんと自信の少年期に別れを告げることになる。
便利グッズ「頭にポンと付けて竹コプター、暗記パン、透明マント、着せ替えカメラ、ガッテングローブ、すり込み玉子等々」で人生は変わるのか?・・・。あの「とりよせバック」で算数を猛勉強したのに、テストは国語の読み取り漢字テストでした。しかし、算数のテストはバッチシだったのではないかしらね。
タイムマシンで自分のプロポーズをしずかちゃんが受け入れることを確認したのび太くん。ドラえもんには、「機械ばかりに頼ちゃダメ」どんなダメ人間でも必ず長所がある、など数々の教訓が込められていましたね。子供よりも、大人の方が感動しているみたいでした。
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