パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

翔んで埼玉★★★★

2019年02月28日 | アクション映画ータ行

『パタリロ!』の作者・魔夜峰央による埼玉県が徹底的に蔑まされ虐げられた架空の世界を舞台にした伝説のギャグ漫画を、「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督が主演の二階堂ふみとGACKTをはじめ豪華キャストを迎えて実写映画化したエンタテインメント・パロディ・コメディ。共演は伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、京本政樹。

あらすじ:埼玉県民は東京都民からひどい差別を受けており、東京へ入るのにも通行手形が必要で、手形がなければ即強制送還という屈辱の日々を送っていた。東京の超名門校・白鵬堂学院でも、都知事の息子で生徒会長の壇ノ浦百美によって埼玉県人は容赦ない迫害にあっていた。そんなある日、アメリカからの帰国子女・麻実麗が転校してくる。容姿端麗で洗練された立ち居振る舞いの彼だったが、実は隠れ埼玉県人で、埼玉解放戦線のメンバーだった。しかし、そんな麗にいつしか心惹かれてしまった百美は、正体がバレて追われる身となった麗と行動を共にしていくのだったが…。

<感想>空前絶後のディスり合戦開幕!過激なセリフが飛び交う、埼玉叩きが魅力のギャグマンガ「翔んで埼玉」が、発表から30年余年を経てついに実写映画化した。都会と地方の間で引き裂かれる埼玉版「ロミオとジュリエット」に、映画オリジナルで愛と革命のエピソードがたっぷりと加わったギャグアクション大作となっていた。

原作は未読ですが麗しき高校生二人に、二階堂ふみに男役をさせ、40代にもなるGACKTさまには高校生役といっても宝塚ふうの美しさ。

そして伝説の埼玉県人には京本政樹、謎めいた執事役の伊勢谷友介と、その他にも豪華なメインキャストも話題になっている。

埼玉県は現代でもたいへんな田舎で、県知事は県民から年貢を取り立て、東京へ行くには通行手形が必要なのだ。運よく手形が手に入っても都内で勝手な行動は許されず、高級百貨店に行こうものなら「埼玉狩り」に遭う、という破天荒な設定なのであります。

東京都知事の息子壇ノ浦百美が、學校の外にある埼玉県民の家の人間が病気になって病院へ行きたいと言うのを、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせて置け」「埼玉なんて言っているだけで口が埼玉になる」などと、過激な埼玉ディすりが売りの物語。

原作者・魔夜峰央は所沢に住んでいたわけで、所沢は埼玉県ですが、西武線沿線には、漫画家が多く住んでいて、作者と編集長とが近くに住んでいたそうです。原稿回収が楽だというのが理由で、何もないネギ畑のド真ん中に4年も在住していた。見張られている感じで、早くそこから逃げ出したかったそうで、そんな鬱憤が基になって、地元埼玉をおちょくるギャグマンガが出来上がった。

冒頭にバレエシーンがあり、作者の魔夜峰央が登場していた。

埼玉県民をディするギャグが展開していき、間に“現代”のブラザートム家族(娘の結納に行く途中)が、車のカーラジオから聞こえる埼玉ディスリの面白話を、家族が埼玉県人なので娘は東京都民と結婚させたい。その話を埼玉県人を小ばかにしたパートを包み込むようにする、二重構造のドラマ仕立てにすることでいい味を出していた。

隠れ埼玉県人をあぶり出すために、草加せんべいを使って江戸時代の“踏み絵”をさせるナンセンスなギャグの数々に、思わず笑いが吹き出してしまう。とにかく埼玉、千葉、群馬、茨城をディスりまくる姿に大笑いしました。

二階堂ふみとGACKTさまのキスシーン、それに驚いたのが伊勢谷友介とGACKTさまのキスシーンにはびっくり。

もう始めから自虐的なギャグの連鎖で話が転がってゆく感じでしたが、中盤から百美と麻美の脱出劇に地方対地方、地方対東京という対立の構図が加わっていき、それが物語の原動力になっていました。

埼玉と千葉の抗争シーンでは、河川敷を利用して、地元で有名な俳優さんとか、知名度がある人物の顔が描いている旗を揚げては、対決するという。本作の根底にあるものは、今の日本人の心の中にも潜む地方出身者に対しての差別意識。いつでもどこでも、優越感や劣等感や差別意識は生まれて来るものですから。それに、東京都知事が埼玉県人から年貢に通行手形の金を取り立てていたのを、群馬の山奥に金塊としてプールしていたことを知る、東京都知事の息子壇ノ浦百美。自分でその金塊のある場所へと旅に出る。見つかるんですよ、それが。ギャグコントは、お腹を抱えて笑えるし、みんな演技が巧いので、後は劇場でご覧ください。

そういったものが根底に入っているから、ギャグ映画ですけどものすごく“人間的な映画”だという気がしました。だからなのか、この映画はどの地方の方が観ても、我がことのように共感して観られるのではないかと思いますね。

2019年劇場鑑賞作品・・・29  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アリータ:バトル・エンジェル★★★★

2019年02月26日 | アクション映画ーア行

木城ゆきとの伝説的コミック『銃夢』をハリウッドで実写映画化したSFスペクタクル・アクション大作。長年『銃夢』の映画化を熱望してきた「タイタニック」「アバター」のジェームズ・キャメロンが自ら脚本と製作を務め、監督には「シン・シティ」「プラネット・テラー」のロバート・ロドリゲスが当たる。クズ鉄の中から拾われた記憶をなくしたサイボーグの少女が、人としての感情に目覚めていくさまと、“最強兵器”という自らの宿命に立ち向かっていく中で繰り広げる壮絶なバトルの行方を、最新の映像技術を駆使した迫力のアクション満載に描き出す。主演は「メイズ・ランナー:最期の迷宮」のローサ・サラザール、共演にキーアン・ジョンソン、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ。

あらすじ:世界が富裕層が暮らす天空都市“ザレム”と、そこから排出された廃棄物が堆積する荒廃したクズ鉄町“アイアンシティ”に二分された未来都市。アイアンシティに暮らすサイバー医師のイドは、クズ鉄の山の中からサイボーグの少女を発見し、拾い上げる。頭部だけになっていた彼女は300年前のサイボーグで、長い休眠状態のために一切の記憶を失っていた。イドはそんな彼女に新たな機械の身体を与えると、“アリータ”と名付けて娘のように大切に育てていく。やがて町へ飛び出したアリータは、ザレムに行くことを夢みる青年ヒューゴと出会い、少しずつ心を通わせていくのだったが…。

<感想>ジェームズ・キャメロンが日本のコミック「銃夢」に惚れ込んで、ロバート・ロドリゲスに監督を託して悲願の映画化である。映画化権を取得したのはなんと25年前だと言う。当時脚本まで書いていたと言うのだから凄いにつきる。でも、そんな作品が、満を持して2019年に公開されることは、きっと必然的だったのでしょうね。

最先端のCGと壮大なセットで細部まで緻密に作り上げられた圧倒的な世界観。空中都市と下界に分断された未来で、記憶喪失のサイボーグの少女が、自らの運命に立ち向かう。

人間以上に人間らしい、“作り物”を超えたハイパーリアルなヒロインは、髪の毛や皮膚の質感にまで徹底的に研さんを重ねられて作り上げられた。キャメロンが特にこだわったアリータの目や少女の無邪気さと戦士の力強さを宿す表情は、見る者を釘付けにする。

主演は「メイズ・ランナー」シリーズのローサ・サラザール。マッドなサイボーグ戦士たちとの壮絶バトル。パフォーマンス・キャプチャーを駆使した新感覚のアクションシーン、さらには細かい武器のギミックやアリータが参戦する競技「モーターボール」など、本作の見せ場の1つが、巨大なスタジアムで行われるバトルロイヤルゲーム「モーターボール」。

サイボーグ少女のアリータと、彼女の命を狙う敵の息もつかせぬ大乱闘が繰り広げられる。目視できないほどのスピーディかつド派手なアクションと、360度カメラが回転する驚異の映像は異次元レベルですからね。

随所に登場する原作完全再現シーン、全てに驚かされ続け、テンションをぶち上げられ、もうお腹いっぱいの大満足なのです。だが、それだけでは終わらなかった。原作から引き継いだメッセージは、古くなるどころか、科学もロボット技術も大いなる進化を遂げていた。「未来」にいる我々にこそ刺さるリアリティーを持って「人間とは何か?」「生きるとは何か?」の問いを突き付ける。

「自分」を探し求める物語にも要注目。過去の記憶がないアリータは、自分のアイデンティティを求めてさまよっていた。やがて明かされる衝撃的な事実……なんと彼女は、300年前の没落戦争“ザ・フォール”でザレムに戦いを挑んだ最先端の最強兵器だったのだ。自分が分からず苦悩するアリータの姿に共感し、宿命を受け入れて立ち上がる姿に奮い立たされること必至ですぞ。

そして、芯にあるのが普遍的な「愛」であることが見えた時に、本当の心を掴まれるのだ。娘を失ったサイバー医師イドのクリストフ・ワルツと、アリータのローサ・サラザールとの親子愛、亡き娘のために作った“ドール・ボディ”をアリータに与え、彼女を本当の娘のように見守る。

彼との疑似親子的な関係も見どころの一つと言える。それに、別れた妻のジェニファー・コネリーも医師なので、アリータに愛情を見出すのも良かった。

アイアンシティで暮らす友人のヒューゴの、キーアン・ジョンソンへ抱いた初めての恋ごころ。彼は憧れの空中都市のザレム行きを夢見ている若者。

それに、アリータの命を狙う強敵のベクター。下界=アイアンシティを統治し、殺し合いの競技モーターボールを支配する卑劣なベクターには、マハーシャラ・アリが。アリータを破壊して心臓を奪おうと、グリュッシュカら刺客を次々と送り込むのだ。兵士や巨大ロボットなど。

そして、愛からの嫉妬とエゴ、アリータとともにこの世界を体験するうちに、鮮やかに感情を映し出す彼女の大きな瞳に、すっかりと魅了されてしまった。シリーズ化の計画もあるので、続編に超ご期待のほど。

2019年劇場鑑賞作品・・・28  アクション・アドベンチャーランキング

 

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十二人の死にたい子どもたち★★

2019年02月26日 | アクション映画ーサ行

人気作家・冲方丁の同名ベストセラーを「トリック」「SPEC」の堤幸彦監督が杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈ら人気若手俳優陣の豪華共演で映画化したミステリー・サスペンス。安楽死を求めて廃病院に集まった10代の男女12人が、目の前に横たわる13人目の死体を発見して、謎と疑心暗鬼で混乱していくさまとその顛末を描き出す。

あらすじ:それぞれに事情を抱え、廃病院の一室に集まった12人の未成年たち。彼らの目的は集団安楽死をすること。ところが12人だけのはずのその部屋には、すでに死体となった13人目がいた。彼は何者で、なぜここにいるのか。そして一体誰が殺したのか。互いに議論を重ねる中で、次第にそれぞれの死にたい理由が明らかになっていくとともに、疑心暗鬼を募らせていく12人だったが…。

<感想>前作の「人魚の眠る家」で、親から子供への愛と死生観を描き切った堤幸彦監督が、今度は真逆の視点で「子供たち」から見た「死」に挑んだ。冲方丁の同名小説の映画化であります。

物語は、自殺サイトに応募をして集まった見ず知らずの12人の少年少女が主人公であります。自分たちが死ぬはずの場所であった「13人目」の「死」を目の前にして疑惑が生まれ、小さな選択によって生じたズレがズレを生み、思惑が絡まりあってゆく。

その13人目の死体というのがミソであって、12人の中の一人が自分の姉弟を一緒に車いすに乗せて連れてきたのだった。すでに睡眠薬で眠らせており、車いすからベットに寝かせたのは、この自殺サイトの主催者である男であります。お一人様、高い金額を支払っての自殺行為を行うのだから、その分の代金も頂かないとね。

自殺サイトに申し込んで、金を支払い、言われた場所へ時間どうりに来る人達。彼らは、みんな悩みを抱えており、自分では死ねない臆病もの。だから、言われた場所に来て、睡眠薬を飲んでベッドで眠る。その間に練炭火鉢に火を付けて一酸化中毒死という、集団自殺の出来上がりというわけだ。

しかし、彼らは本当に死にたいと望んでいなかったわけで、集まった人らの主張は、軽い性病(ヘルペス)から重い大病(白血病)、傷や疲労感、人望、恨み、中にははっきりとしない人もいて、みんな同じように悩みを抱えていた自殺志願者たちであります。

十分にお互いの死にたいと思った動機を話し合い、自分も同じ理由だったのかとか、それなら何も死ななくても、なんて思ったりして。だから、最後には結局は死ぬのを止めるのだった。みんなとはいかなかったけれど、つまり、殺しがあって、12人+車いすの人で13人が全員無事に帰れたわけではないのだ。

だから、彼らが死を望む理由も痛ましいのだけれども、その事実を主張する彼らの叫びが何よりも痛いと思った。生きることから解放されたい、でも一人にはなりたくない。そんな悲しい矛盾に向かっていき、リアルに体現した若手俳優陣の演技バトルがとにかくすさまじいのだった。

特に杉咲花、新田真剣佑、北村匠海たちの主演級のキャストがピースとなって、全員でぶつかりあって生まれる緊迫感が、画面からひしひしと伝わってきていて、長いセリフのシーンを、長回し一発で撮ったという監督の巧さの拍手したい。

生きることも、死ぬことも、自分の選択だと言わんばかりの自分勝手な言い草です。じゃ、生まれてこなければよかったのに。と思っているのでは。しかし、生きるということはいいことばかりじゃない、辛い試練もあるのだ。だからただ、「生き抜いて欲しい」という思いが、こんなにも強く観る者に訴えかけるのだ。親としての感想ですから。

大人を排除した子供だけの戦いの先に、子供だけじゃなく全世代それぞれへメッセージが突き刺さるはずです。もちろんサスペンス・エンターテインメントとしての言葉での駆け引きや、原作の緻密なトリックをほぼ完全に実写化した映像に驚かされること間違いなしですから。

ですが、こういっちゃなんだけど、原作を読みたいとは思わないですね。1月に鑑賞した映画だったが、中々レビューすることもなく過ぎ去っていく日々。まぁ、ケチをつけるわけではないが、橋本環奈ちゃんが雑な扱いでもったいなかったですね。このような作品は、TV映画でも良かったのではないかと感じました。

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TAXi ダイヤモンド・ミッション★★★

2019年02月23日 | アクション映画ータ行

リュック・ベッソンが製作・脚本を手掛ける大ヒット・カー・アクション「TAXi」シリーズの第5弾。新たに主演を務めるのは本国フランスでは監督としても活躍し本作でも監督を兼任するフランク・ガスタンビドゥとフランスの人気コメディアン、マリク・ベンタラ。

あらすじ:パリ警察からマルセイユ警察に左遷されたスピード狂の問題児マロ。そこではフェラーリなどの高級車で宝石を盗むイタリアン・マフィアが我が物顔でのさばっていた。

地元のオンボロ・パトカーではとうてい太刀打ちできず、マロは時速300km超えの伝説のタクシー“プジョー407”を手に入れ対抗することに。そして、ダニエルの甥で、少々間抜けながら街を熟知するタクシードライバー、エディを相棒に、イタリアの強盗団に立ち向かっていくマロだったが…。

<感想>10年ぶりの新作「TAXi」シリーズの第5弾。下ネタありのお下劣コメディ映画、人気カーアクションの「TAXi」。主人公コンビの片方に以前のダニエルの甥を引っ張り出すことで、かろうじて本線を維持していた。

その間抜けなタクシー運転手エディ(マリク・ベンタルハ)が、叔父とは真逆のダメ男であり、旧4作におけるエミリアンの役割を担うのが面白い。

とはいえ、ギャグはベタベタで、奇人変人揃いのキャラを活かし切れていないのは相変わらずです。あの伝説のプジョー改造タクシーも登場しますからね。

ボタン一つで変形するカスタムタクシーがフランス・マルセイユの洒落た街を爆走する姿に燃え、ランボルギーニを乗りこなす凶悪強盗団との対決にハラハラ。新コンビが織り成すトボケた掛け合いには、まるで漫才コンビかと笑わされますからね。

そして、個性的な面々による体を張ったギャグに爆笑、アクションの仕掛けや、いささか下品なギャグまで含めてベッソン流です。舞台をマルセイユにしたところが効果的で、ですが、どういうわけかあのお馴染みのベルナール・ファルシーが名物ジベール署長から市長になっているという、謎のキャリアアップで生き生きと演じているのも笑わせる。

主人公の恋の相手になる女性整備工に、サブリナ・ウアザニが扮していて、美人でかっこいいったらなかった。笑えるところでは、マロが彼女の言葉に従い一つのボタンを押すと“プジョー407”が爆走し始め、その勢いのまま崖から飛び降るとプジョー407に翼が生え、敵が待ち受ける船に向かってダイブしていく。

インパネのタッチパネル化などの今風のバージョンアップを期待したのだが、タブレットを付けた程度でガッカリしました。ですが、新主人公の片方マロ、フランク・ガスタンビドゥは良かったです。

 

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雪の華★★★・5

2019年02月22日 | アクション映画ーヤ行

中島美嘉の名曲をモチーフに「ホットロード」の登坂広臣と「3D彼女 リアルガール」「ニセコイ」の中条あやみ主演で贈るラブ・ストーリー。東京とフィンランドを舞台に、病気で余命1年と宣告されたヒロインが、運命的に出会った男性に1ヵ月間だけ恋人になってもらう切ない恋の行方をフィンランドの美しい風景とともに描き出す。共演に高岡早紀、浜野謙太、田辺誠一。監督は「orange-オレンジ-」「羊と鋼の森」の橋本光二郎。

あらすじ:幼い頃から病気がちだった美雪は、ついに余命1年を宣告されてしまう。全てを諦めてしまっていた彼女だったが、ひったくり被害に遭ったときに、偶然助けてくれた男性に心惹かれる。半年後、その男性と偶然の再会を果たす。彼は悠輔という名で、男手ひとつで兄弟を育てながらガラス工芸家を目指していた。しかし彼が働くカフェが経営危機に陥ってしまい、それを知った美雪は勇気を振り絞り、“100万円を援助する代わりに1ヵ月だけ恋人になってほしい”と申し出る。こうして余命のことを一切告げずに、期限付きながらも悠輔との恋人関係に喜びを感じる美雪だったが…。

<感想>雄大な北欧フィンランドの大自然、心奪われる雪景色、切なくも美しい“一生一度”の恋――世代を超えて愛される中島美嘉の名曲をモチーフにしたラブストーリー「雪の華」が、2月1日から全国公開を迎える。余命1年と告げられた女性が、運命を変えた男性に持ち掛ける「100万円で1カ月の間、恋人になってほしい」という“契約”。限られた時間の中で募る感情と、打ち明けられない真実……。“命”という重いテーマに向き合いつつ、不器用な2人の思いが“運命の恋”へと変わるドラマを切なく、しっとりと描いた本作は、大人の観客に、また恋人たちへと訴えかける。

物語の始まり、ヒロインの美雪が目の前の男性、悠輔に100万円を手渡す場面に私は驚きましたね。1ヵ月の時間を誰かと共有する夢に、美雪は今あるお金を賭けたのだ。残された時間に恋人を募集して、その男に報酬として100万円を上げるという。美雪が金目当ての悪い男に引っかからなくて良かった。そういうことはあり得ないけれど。

実は、引ったくり事故に遭い、偶然に犯人を捕まえてくれた悠輔と美雪、余命宣告を受けた美雪に「声を出せよ」と温かく励ましてくれ、それが生きる力となる。お礼を言いに彼の店を訪問した時に、店が上手くいっていなくて、100万円あれば何とかこれからも維持していけるということを、耳にする美雪。その店の名前は「VOICE」と言うのだった。だから、声を出せよって言ったのか。

お金に困っている彼、その彼から生きる励ましの言葉を言われて、彼に100万円上げて、恋人としての疑似体験をしようとする美雪。彼が男らしくて善き人だったから、だんだんと付き合って行く内に美雪は好きになり、残りの人生を悔いのない生活にしたいと思い、彼をフィンランドへと連れてゆく。

運命の奇跡の“赤いオーロラ“を見るために、彼と一緒に見れたら死んでもいいと。世界的バイオリニストの葉加瀬太郎が奏でる「雪の華」のメロディが、一層に映像を盛り上げてくれ、二人の恋の行方を見守るように響いて心地がよかったです。最初に二人で行ったフィンランドでは、オーロラが見れなかった。がっかりする美雪の顔。

ぎこちなく寄り添っていた悠輔と美雪の、心の距離が重なった瞬間の、ラストの光景は息を飲む美しさになっていました。劇中で描かれる大自然や雪景色、オーロラはもとより、デザイン性が際立つ北欧家具が彩るホテル、荘厳な雰囲気漂う教会、木のぬくもりが感じられるレストランでのキャンドルディナーなど、日常を忘れ、プレミアムなひと時に心を浸すことができる作品です。

特筆すべきは、フィンランドの「夏」と「冬」、2つの顔を見ることができる点。わざわざ時期をずらして2度も大型ロケを行い、心奪われるシーンを作り出していたこと。

そして、東京編でも人気カフェでロケを行ったほか、屋上のテラス席でランチ、水上バスでのデート、さらにこだわりの小物が数々と登場。ガラス職人である悠輔が美雪に渡す手作りの青いガラス作品には、美しさと作家性が同居しており、画面の隅々まで心を満たしてくれること間違いなしです。

独りでフィンランドへと行く美雪。そのことを知り、後を追いかけるように悠輔は、身一つでフィンランドへと。そこで美雪を見つけて、舞い落ちる初雪のなか、身体を寄せ合い、“愛すること”の本当の意味を知る美雪。中島美嘉の「雪の華」のシックな雰囲気のメロディが、後々までも耳に残り切なくも温かい気持ちにさせてくれます。

これは本当にずるい演出効果ですよね。この二人が最後には絶対に結ばれることを暗示するように、物語を運んで行き、最後にはお互いに恋をしてしまうなんて。きっと美雪は1年以上長生きしますね。

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ヴィクトリア女王 最期の秘密★★

2019年02月19日 | アクション映画ーア行

「ヘンダーソン夫人の贈り物」「あなたを抱きしめる日まで」のジュディ・デンチとスティーヴン・フリアーズ監督が再びタッグを組み、英国のヴィクトリア女王とその従者のインド人青年の友情を描いた伝記ドラマ。気難しい晩年のヴィクトリア女王が唯一心を開いたインド人青年との身分や文化を超えた知られざる絆の物語を、それを問題視する周囲との軋轢とともに描き出す。共演はアリ・ファザール、マイケル・ガンボン、エディ・イザード、アディール・アクタル。

あらすじ:1887年、英領インド。アグラに住む若者アブドゥルは、ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役目を仰せつかり、英国へと向かう。一方、18歳で即位してから、長年女王の座に君臨してきたヴィクトリアだったが、最愛の夫も信頼のおける側近ももはやおらず、孤独な日々を送っていた。そんな時、物怖じすることなく本音で語りかけてくるアブドゥルと出会い、興味を抱いたヴィクトリアは、祝典期間のあいだ彼を自らの従僕に起用するのだったが…。

<感想>英国ヴィクトリア女王と、19世紀末は植民地だったインドの若者の友情が、階級と文化的なギャップを超えて描かれていた。昨今の日本では天皇明仁陛下の生前退位の報道がTVにて見られるが、本作で描かれるヴィクトリア女王もそうだが、特別な階級に生まれても職務に縛られて不自由ばかりだった。おまけに、政治家や王室職員による権力ゲームにも巻き込まれてしまう。

晩年の女王を描いたこの映画では、ジュディ・デンチが継続して女王を演じたことを含め、しつらえが手堅いと思った。彼女のイギリスの女王の役柄を演技した作品は数々あれど、何時観てもハマリ役だと思う。

喜劇になっているが、インド人の彼を「心の師」のようにして慕う女王陛下の、人の上に立つ者としての孤独と悲壮感が伝わって来る。

ジュディ・デンチ演じる女王がほとんどキャラクター化しているのと、相手の青年がターバン姿でこれまたキャラクター的な出で立ちなので、恋愛なのか友情なのか、それとも利害関係なのか、そのどれでもある関係ゆえの喜劇と悲劇が、ひどく滑稽に見えてくる。実際にそういうものだろうからだ。

前作では従僕との間に相互に流れた情愛は、今作では優しくされることが嬉しい老女王の顔が、微笑んでいたのが人間として良かったのだろう。夫君に続いて従僕に先立たれた寂しさに、加齢もあっただろうが、そこに見事に取り入ったインド人のハンサムな青年の、従僕としての描き方も面白い。

女王のお気にいりとなった青年は、インドから妻と息子たちを迎えるよう女王に指示されて、家族で宮殿に住まわせてもらうのだ。なんと幸運な男なのだろう。

しかし、女王が生きている間だけで、老女王が崩御すると、息子の皇太子が、けんもほろろにインド人の青年を追い出してしまう。厄介払いでもするようにだ。本当だったら、もっと前にインド人青年は、イギリスから母国インドへと帰還するべきだったのに。女王が機嫌よく彼を手放さないのをいいことにして、ずるずるとイギリスに住んでいること自体が変である。

ですが、彼と一緒に来たインド人の扱いは酷くて放りっぱなしであり、言葉も分からず食事も口にあわないしで、病気になりイギリスで亡くなってしまう。とにかく、二人に振り回される英王室と息子の王子、といった図式になっていたが、監督スティーヴン・フリアーズの通俗の混ぜ込み方が巧いと感じた。

かつては、欧州貴族にとって、愛人やソウルメイト的な親友を作ることは一つの文化的風習であったようだが、本作で描かれている女王とインド人青年との関係も、それに属するものとして捉えることが出来ると思う。

ソールズベリー首相には、マイケル・ガンボンが扮していて、女王には「あなたの言うことはいつも退屈」などと言われてしまう。

ちなみに、2月に入って「女王陛下のお気に入り」と「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」など、英国女王とその周辺の人物を題材にした映画が、相次いで公開されますので、楽しみですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・24  アクション・アドベンチャーランキング

 

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アクアマン★★★★

2019年02月18日 | アクション映画ーア行

「ジャスティス・リーグ」で初登場したジェイソン・モモア扮するDCコミックス原作スーパー・ヒーロー“アクアマン”初の単独主演作となるアクション・アドベンチャー超大作。海底帝国アトランティスの女王と人間の血を引くアクアマンが、地上征服を目論むアトランティスの野望を阻止すべく海中を舞台に繰り広げる壮絶な戦いの行方を、圧倒的なスケールと映像美で描き出す。共演はアンバー・ハード、ウィレム・デフォー、パトリック・ウィルソン、ニコール・キッドマン。監督は「ソウ」「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン。

あらすじ:海底には知られざる巨大な帝国アトランティスがあった。ある日、アトランティス王国の女王アトランナと灯台守が出会い、やがて2人の間に、海の生物すべてと意思疎通できるアクアマンが誕生する。2つの世界をひとつにまとめる使命を託され、たくましく成長したアクアマン。そんな彼の前に、海底国ゼベルの王女メラが現われ、アクアマンの異父弟でありアトランティス王国の若き王オームが、海を汚し続ける人類に怒り地上征服に乗り出したと告げる。オームの暴走を止めてほしいというメラに懇願され、渋々ながらも過酷な戦いに身を投じていくアクアマンだったが…。

<感想>スーパーマンやワンダーウーマンを擁する連作ものであり、DCエクステンデット・ユニバースから派生したアクションもの。映画初でお披露目となった海の生物を操る能力を持つアクアマンが、海底王国アトランティスの侵略から人類を守るべく立ち上がる海中バトルエンタテインメント。

冒頭では、人間の父親と海底アトランティス帝国の女王の間に生まれた、アクアマンことアーサーの幼少期が描かれ、海の中を時速160キロで縦横無尽に泳ぎ、イルカと戯れ、能力を覚醒させ人間の子供として成長する姿が描かれる。

水族館で「こいつ魚と話している」と友人にからかわれた少年が、水槽の中のサメを操る場面からスタート。そして大人になったアクアマンが、すべての海洋生物と意思疎通ができる能力を駆使し、海底に広がる未知の世界アトランティス帝国で大バトルを繰り広げる。圧倒的な怪力を誇るアクアマンの獅子奮迅の戦いぶりや、巨大モンスターが入り乱れる大バトルがダイナミックに描かれていた。

ある日のこと、海底の王オームが海洋の各国を手中に収め、さらには海洋を汚す人間への怒りに燃えて陸にも攻め入るとの知らせが入る。オーム王には、パトリック・ウィルソンが扮し、父違いのアーサーの弟である。

そんな衝撃の事実を知らされたアーサーは、海洋から来たプリンセス、メラと共に、陸と海を股にかけて奔走する。アンバー・ハード扮するヒロインのメラにも驚かされます。彼女は魔術師のように水を操る強力な力を持ち、その行動はアクアマンも「ぶっ飛んでる」と驚がくするほど大胆不敵であり、知略にも長け、主人公を差し置いて物語をパワフルに駆動させていく。もはや、女性は守られるべきか弱い存在ではない。アンバー・ハードにとって、メラはこれ以上ないハマリ役。

それに、アトランティスの王に仕えていた賢者のパルコには、ウィレム・デフォーが演じて、陸地で育ったアーサーに接触を続け、海洋の王の教育を施す。だが、海底の世界ではオームに仕えている。

アクアマンとその弟・オームが、海中の覇者を決める決闘に臨む様子が映し出され、激しい怒りに燃え、無敵の矛で強襲するオームに対し、アクアマンも真っ向からぶつかる。渾身の力がこもった矛は真一文字に海中を切り裂き、2人はその切っ先をすれすれで回避しては、また致命的な一撃を放っていく。

さらには、未知のテクノロジーを備えるアトランティス帝国による地上への侵略が始まり、アクアマンが伝説の槍“トライデント”を武器に戦いに身を投じていく様子を映し出している。この槍“トライデント”は、アトランティス帝国の女王の間に生まれた、アクアマンことアーサーが、母親を探して海底に入るとそこには懐かしき母上がいて、海の底にある金色に輝く槍“トライデント”は、ポセイドンの矛から作り上げた史上最強の三者の矛である。これを手にした者は、七つの海の王となれるのだ。

アーサー貴方しか抜けないと言い、誰にも抜けない槍をアーサーが軽々と抜いてしまうのだ。この黄金の槍“トライデント”に敵う者はいない。

主演のジェイソン・モモアは、TVシリーズの「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られる注目株。ロン毛に髭、マッチョなボディと見かけは濃い男だが、個性もワイルドだが、一方ではお茶目な可愛らしさも表現できる。

メラを演じるヒロイン、アンバー・ハードとの掛け合いでは、ジョークを取り混ぜてアクアマンの陽性のキャラをアピール。曲がったことが嫌いな男らしい正義感もきっちりと体現していた。

この映画は海の「スター・ウォーズ」だと、ワン監督が言っているが、いかにも本作は冒険活劇のワクワク感や、キャラの成長が軸となっている。このポジティブな雰囲気は、DCエクステンドット・ユニバースのファンには意外かもしれない。というのも、これまでのDC作品は、ダークなテイストが売りだったから。本作はDCの転換のポイントになる可能性大になると思う。

2019年劇場鑑賞作品・・・23  アクション・アドベンチャーランキング

 

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家へ帰ろう★★★・8

2019年02月15日 | アクション映画ーア行

ホロコーストを生き延び、ポーランドから逃れてきたアルゼンチンで戦後を生きたユダヤ人の老人が、人生の最後にかつて自分を救ってくれた親友に感謝を伝えるため、たった一人で母国へと向かう中で様々な出会いを重ねていく波乱の旅を、主人公を苦しめ続ける過酷なホロコーストの記憶とともに描いた感動のロード・ムービー。主演は「タンゴ」のミゲル・アンヘル・ソラ、共演にアンヘラ・モリーナ。監督は本作が長編2作目のパブロ・ソラルス。

あらすじ:アルゼンチン、ブエノスアイレス。子どもたちや孫に囲まれ、家族全員の集合写真に収まる88歳のユダヤ人の仕立屋アブラハム。翌日、彼は老人施設に入ることになっていた。しかしその夜、家族の誰にも告げずに家を出ていく。向かう先は、ホロコーストの忌まわしい記憶から彼が決してその名を口にしようとしない母国ポーランド。アブラハムは、第2次大戦中にユダヤ人である彼を匿ってくれた命の恩人である親友に、最後に仕立てたスーツを届けに行こうとしていたのだった。

しかし飛行機でマドリッドに降り立った彼は、そこから列車でポーランドに行くためには、あのドイツを通らなければならないと知る。頑固一徹の彼にとって、ホロコーストを生き延びたユダヤ人の自分が、たとえ一瞬でもドイツの地を踏むなどということは、決して受け入れられることではなかった。いきなり難題に直面し、駅ですっかり途方に暮れるアブラハムだったが…。

<感想>ホロコーストを生き延び、アルゼンチンのブエノスアイレスに住むユダヤ人のお爺ちゃんが遙かポーランドまで70年ぶりに約束を果たしに旅をするロードムービー映画。

物語はいかにもさりげなく幕を開ける。・・・頑固老人のロードムービーの珍道中というふうになっていた。実際それは間違っていない。

映画事態は良質なロードムービーでありますが、どうしても世界中で第二次世界大戦中のホロコーストを題材にした作品が、今でもこれだけ多く作り続けられているのかが良く解ります。

それは記憶されるべき題材ではあるが、なぜにナチスによるロマの虐殺や、あるいはチェンチェン人やアルメニア人の強制移住とか、虐殺をテーマにした作品はあまり見かけない。

しかし、ここ数年で様々なナチスものが公開されているが、この映画は異色な一本であると思う。老人がホロコーストの経験者であり、旅の目的がかつての恩人に会いに行くことである意外は。第二次世界大戦の末期、ユダヤ人の彼を匿って救ってくれた命の恩人である幼馴染みピオトレックに、別れ際に約束していた、彼が仕立てたスーツを手渡すために。

演じるミゲル・アンヘル・ソラのややシニカルで不屈な眼差しが、行き当たりばったりとも言える旅でもあるが、現在60歳くらいなのに80代を演じる彼のそれはそれで面白い。監督が「彼は役者としてちょっと気難しい部分もある」という発言も納得のリアリティ。

空港へ着いたのはいいが、マドリッドから陸路の列車でポーランドへ行くには、あの忌まわしきナチス党が闊歩していたドイツ国内を通るしかないのだ。だからドイツ国内の駅で列車を乗り換えなければならない。そこへ偶然通りかかったイングリッドという女性に助けられて、ですが、彼女がドイツ人と聞いた途端に毛嫌いする。だが、つまり彼女が頭がいいので機転を利かして列車に乗ることが出来たという訳。旅先で出会った女性たちを味方につけて、目的を成し遂げる一徹さが全篇に満ちているロードムービーでありました。

その行状を老人のわがままと片づけることなかれ。頑固さが生む周囲との温度さと、その可笑しさは物語のご馳走であり、併せてユダヤ人問題の風化に警鐘を鳴らす役目もあると思いました。

全編にわたって皮肉とユーモアのさじ加減が絶妙であり、ミゲル・A・ソラに、アンヘラ・モリーナの共演は味わい深かったと思いましたね。

疲労がたまり倒れて搬入された病院の看護婦とは、ドライブデートみたいな雰囲気で車に乗せてもらうし。不自由な足も結局は切断をも余儀なくされる状態だった。クライマックスの描き方に感動のツボを押されて、ついほろりとしました。

2019年劇場鑑賞作品・・・22  アクション・アドベンチャーランキング

 

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愛唄 -約束のナクヒト★★・5

2019年02月14日 | アクション映画ーア行

キセキ ーあの日のソビトー」の製作チームが再びGReeeeNの楽曲をモチーフに贈る青春ストーリー。主演は横浜流星、清原果耶、飯島寛騎。監督は「映画 ひみつのアッコちゃん」「海月姫」の川村泰祐。

あらすじ:平凡で無気力な毎日を送り、恋を知らないまま大人になったトオル。ある日突然、人生のカウントダウンを告げられ自暴自棄になるも、元バンドマンの旧友・龍也との再会と、偶然出会った一編の詩によって生きる意欲が芽生え、恋する勇気を手にする。やがてトオルはその詩を手掛けた少女・凪とめぐり会うが、ある事情から今は詩を綴ることをやめていた。そんな凪には、誰も知らないある秘密があったのだが…。

<感想>GReeeeNが構築した世界観を体現したのは、今熱い注目を浴びる若手実力派の3人。「虹色デイズ」の横浜流星、「3月のライオン」の清原果耶、「仮面ライダーエグゼイド」の飯島寛騎が、まっすぐな演技でキャラクターに真実味を与えた。さらに飯島は、キーポイントとなる歌唱シーンをリアルにするため、2カ月間ギターの猛特訓と歌唱練習に明け暮れたという。彼らの本気が、見る者の心を強く揺さぶります。

同じGReeeeNでも「キセキ」は手堅い斎藤ひろしの脚本と、菅田くん、松坂さんの好演で良かったですが、今回のは脚本にこのバンド名が記され、役者もちょっと地味になり、それと安易な難病映画になっていた。

難病ものは昔からあったが、最近は余命ものが目に付くようで、本作も一方が余命三か月の若者がいて、他方には難病で何年も病院暮らしをしている少女がいた。そして、彼と彼女を結び付けるアイテムとしては、少女がかつて書いた詩があるという。

その詩に絡んで俳優業に一度は挫折をした経験を持つ、かつての天才子役が登場すれば、脇役のエピソードも膨らむという仕掛けになっていた。

それにだ、女子高生の制服を調達して、ヒロインと学校に侵入したり、夜明けを見に行く場面も、彼女の願望とそれを実現させるために手立てを考える経緯を飛ばしているのだ。

主人公の妄執に見えてしまうところと、後半は重症患者を外へ連れ出して、寿命を縮めさせるおなじみのパターンを繰り返すのだ。病も命も感動のために奉仕させられているようだった。

だから、無茶な設定、しかしそれがいいとしても、ダブル難病ものって。天才詩人の病人の美少女が、詩に飽きてしまい今は数式に凝っているというのが実におかしいのだ。

もう一人の病人が、突然の死期宣告でヘンになっちゃうのを、彼女が救うとか。というか、お互いに救い合うのだ。それにしても、友人が病人に対して全く同情せず、死期のタイマーを勝手にスマホに設定するのも何だかなぁ~と思った。

もちろんこれは彼なりのエールであって、挫折したバンドマンの再生に、病人詩人の新作が力を与えるという作りになっている。

それと、飛行機雲が巧く使われていたが、CGでしょうね、多分、惜しいな。

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私は、マリア・カラス★★★

2019年02月14日 | アクション映画ーワ行

世紀の歌姫マリア・カラスの実像に迫るドキュメンタリー。これが長編デビューとなるトム・ヴォルフ監督が、3年の歳月をかけて世界中から集めた未完の自叙伝を含む未公開の資料や映像、音源をもとに、マリア・カラス自身の言葉で語られる知られざる素顔を明らかにしていく。「永遠のマリア・カラス」でカラスを演じたファニー・アルダンが朗読を担当。

あらすじ:20世紀最高のソプラノと称えられる、歌唱力、演技力、美貌を備えた不世出のオペラ歌手マリア・カラス(1923~1977:ギリシャ系アメリカ人)。 封印されてきた未完の自叙伝とプライベートな手紙、秘蔵映像・音源を基に、世紀の歌姫の真実に迫る音楽ドキュメンタリー。

<感想>1970年米国テレビ番組での本人のインタビューを狂言廻しのようにして、自叙伝からの言葉で綴ってゆくマリアの過去を、多くのプライヴェート映像で紡いでいきます。冒頭のインタビューでも語るとおり、映画は個人マリアと歌手カラスを巧みに魅せていきます。

高度なベル・カント唱法、エキゾティックな美貌と圧倒的なカリスマ性で、世界中の観衆を虜にしたマリア・カラス。とにかく、カラスの歌声の素晴らしいことといったら、魅了されますから。

始めはオーディションに行くも、お世辞にも美しいとはいえない太った女性歌手のマリアに、審査員の態度は冷ややかだった。けれど実業家のティッタ・メネギーニは、「歌姫」を歌うマリアにとてつもない才能を見出していたのですね。

やがて二人は結婚。夫となったメネギーニは年の離れた無名の歌手のピグマリオンとして、マネージャーとして、マリアを完璧にコントロールするのです。

母になることさえも許さずに。有名になりたいマリアも減量に取り組み、歌のために全てを犠牲にして、メネギーニに従ったわけ。こうして立った歌手の頂点。満面の笑みを浮かべて聴衆の喝采を受けるマリアは、誇りと自信に満ちて輝くばかりに美しい。

しかしその一方では、仕事の量を減らす必要を感じているマリア。対して夫は妻の精神的に不安定な様子に気づくこともなく、相いも変わらずマネージャーとして辣腕を発揮。夫婦の間に微妙なずれが生まれ初めていたのですね。

しかし、ギリシャの大富豪オナシスに恋をしてしまったことから、彼との恋愛をめぐる一連のスキャンダルで、彼女は心身ともに疲弊してゆきます。ですが、彼女は結婚をしていて、実業家のティッタ・メネギーニと言う夫がいて、マリアの興行のすべてを握ってました。その夫とは離婚(宗教)できないのに、オナシスとの恋にうつつをぬかすマリアは、いつまでも恋をする乙女のようでもありました。

オナシスと出会い、すっかりと顔つきも変わり、歌一筋の人生から羽ばたき、目の前に広がる美しい世界で、穏やかな眼差しで楽し気に歌う姿は、幸せそのもの。

世界一高価な女性として、マリアを自分のコレクションに加えるべく、所有する豪華ヨットのクリスティーナ号のクルージングに招待したのです。

しかしながら、彼女のオペラ公演「蝶々夫人」「ノルマ」「トスカ」等、プッチーニのオペラ「トスカ」のクライマックスで、ヒロインが歌い上げる「歌に生き、恋に生き」は、マリアの得意のアリアだったから、と言うことももちろんであります。悲劇のヒロインばかりを演じたディーヴァの、ありのままの姿と美しい歌声が、アーカイブ映像の中で甦ります。

秘蔵の蔵出し映像も満載で、それを編集の画面でみせたところに、この監督の映画スタイルが匂いますね。やはり彼女は偉大なるアーティストとばかりに、その歌声をたっぷりと聴かせてくれる。人間記録を背景にして、音楽映画で貫いたそこが良かったですね。

この映画は2018年の12月に鑑賞したものです。

2019年劇場鑑賞作品・・・20  アクション・アドベンチャーランキング

 

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メアリーの総て★★★・7

2019年02月11日 | アクション映画ーマ行

「マレフィセント」「ネオン・デーモン」のエル・ファニングがわずか18歳で『フランケンシュタイン』を書き上げた女流作家メアリー・シェリーを演じる伝記映画。19世紀のイギリスで、なぜ若い女性が恐ろしい“怪物”の物語を書くことが出来たのか、その傑作誕生に秘められた彼女の波乱の人生を、差別や偏見に立ち向かった一人の女性の物語として描き出す。共演はダグラス・ブース、ベル・パウリー、トム・スターリッジ。監督は「少女は自転車にのって」の女性監督ハイファ・アル=マンスール。

あらすじ:19世紀、イギリス。高名な思想家で小説家のウィリアム・ゴドウィンを父に持ち、自身も小説家を夢見るメアリー。父の再婚相手の連れ子クレアとは本当の姉妹のように仲良かったが、継母とは折り合いが悪く、見かねた父によって友人の家へと預けられる。メアリーはそこで、異端の天才詩人と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合った2人は、たちまち激しい恋に落ちるのだったが…。

<感想>ここでいう「メアリー」とは、19世紀の英国の作家メアリー・シェリーのこと。著名な詩人の妻と言うよりも、あの怪奇小説の古典「フランケンシュタイン」の生みの親と言った方が通りがいいのかもしれない。

それに、作品は少女の成長物語でもあるし、家族の影から外の世界へと踏み出してゆく女の子の物語でもあると思う。彼女の父親は偉大な作家で、彼女の母親はフェミニズムの先駆者。メアリーはそんな偉大な両親の陰に隠れて生きていて、怪奇小説が好きな村の鼻つまみ者として、父親でさえ怪奇小説なんて馬鹿らしいと言われていた。そんな女の子が、いまや誰もが知っている「フランケンシュタイン」を生み出すまでの物語となっていた。

この小説の誕生秘話については文学史上だけでなく、映画でも取り上げられた、ケン・ラッセル監督の「ゴシック」(1986)である。それと同様にここでも「フランケンシュタイン」が生まれるきっかけとなったスイス・ジュネーブの詩人であるバイロンの別荘での出来事が詳細につづられていくが、その一方で映画はメアリーが小説を書くに至った、波乱万丈の人生を丁寧に描いて行っている。

自分が産まれるまさにその瞬間に、文学的な才能豊かな母親が死んだという罪悪感や、妻子のある詩人シェリーと駆け落ちで奪い、その妻を自殺に追い込んだという自責の念、さらには自分の娘の病死や、バイロンの愛人となった義理の妹との奇妙な友情と生活。妹はバイロンの子供を妊娠しているが、バイロンは結婚をするとは言わないし、子供を認知すると言うのだ。そして、妹が出産の後死亡。

主人公のメアリーは、自由な精神を持っているしパワフルで感受性が豊かで、常にアンテナを張り巡らせて、あらゆることを必死にキャッチしようとしている。作家になるために生まれてきたような人だと思う。細部にわたるまで物事をこと細やかに見ようとする好奇心旺盛で、観察力が鋭い、特別な女の子だ。その過酷な人生経験をすべてぶっつけるように書かれたのが「フランケンシュタイン」だったのだ。

逆に言えば、「フランケンシュタイン」という小説の中には、自由への憧れや因習からの解放を目指す女性作家の悩みや苦しみなど、内面の葛藤が込められており、単なる怪奇小説の域を超えていると思います。

きっかけとなったのは、人間を死者から甦らせるという奇術を観た時から発想を得て、幼子を病死させた苦しみを小説に蘇らせようと描き、それが人造人間「フランケンシュタイン」である。

いうなれば、女性解放ののろしは現代人、それもまだまだ男女差別の激しい国や、地域の人々に大いなる刺激となったはずで、この映画の監督にサウジアラビア出身の若手ハイファ・アル=マンスールという女性監督が起用されたのも偶然ではあるまい。

200年前の女性作家と現代の女性監督が心を通わせるのも、時空を超えたこの小説世界だからこそであったと思います。

しかし19世紀初頭が舞台のこの作品に、新鮮な空気を吹き込んだのは、ズバリ21世紀を生きる女優エル・ファニングに違いない。文学的な才能あふれる信念と情熱の少女、これほどメアリーにぴったりなハマリ役のエル・ファニングの存在感に驚くばかりであった。

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天才作家の妻 -40年目の真実-★★★・5

2019年02月09日 | アクション映画ータ行

「ガープの世界」「アルバート氏の人生」のグレン・クローズが、長年尽くしてきた夫のノーベル文学賞受賞に複雑な感情を抱く妻を巧演して高い評価を受けた愛憎ドラマ。世界的な作家の妻が夫の晴れ舞台を目の前にして激しく揺れ動くさまと、次第に明らかになる妻の夫に対する激しい葛藤の軌跡をミステリアスかつ繊細な筆致で描き出す。共演にジョナサン・プライス、クリスチャン・スレイター。またグレン・クローズ扮する主人公の若き日を実の娘でもあるアニー・スタークが演じて話題に。監督はスウェーデン出身のビョルン・ルンゲ。

あらすじ:現代文学の巨匠ジョゼフ(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン(グレン・クローズ)のもとに、ノーベル文学賞受賞の吉報が届く。ふたりは息子を伴い授賞式が行われるストックホルムを訪れるが、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者ナサニエル(クリスチャン・スレーター)から夫婦の“秘密”について問われたジョーンは動揺を隠せない。

実は若い頃から豊かな文才に恵まれていたジョーンだったが、あることがきっかけで作家になる夢を諦めた過去があった。そしてジョゼフとの結婚後、ジョーンは彼の“影”として、世界的な作家の成功を支えてきたのだ。 ずっと心の奥底に押しとどめていたジョゼフへの不満や怒りがジョーンの中でわき起こり、長年共に歩んできた夫婦の関係は崩壊へと向かう。そして授賞式当日、彼女はこれまで通り慎ましく完璧な“天才作家の妻”を装うのか。それとも本当の人生を取り戻すために、衝撃的な“真実”を世に知らしめるのか……。

<感想>ノーベル賞の栄光に隠された【愛と嘘】。人生の晩年に差し掛かった夫婦の危機を見つめる心理サスペンスである。夫がノーベル文学賞を獲ったとなると、この上なくめでたいはずなのに。だが、妻が夫のゴーストライターだったら、あなたならどうする?。

名前だけの作家としての夫の小説がノーベル文学賞に選ばれたのだ。もちろん妻も嬉しいはずなのだが、内心は複雑、微妙な感じでもある。だって、自分が苦労をして書き上げた小説なんだから。もちろん、著作者の名前は夫である。

内助の功は確かに愛情であり、主題もずばり「愛と献身」。タイトルは原題のほうが良かったと思います。出版界や文壇が男性社会だった過去も描いた物語から見えるのは、女性はややもすると結婚で才能や機会を、自ら諦めてしまいかねないということ。

夫婦のかたちや、社会のなかの女性像を描いているから人間ドラマでもある。夫婦関係と個人の両立の難しさ、女性の社会参がの今昔の隔たりが産む虚無など。難問ばかりで「現在」の映画として見ごたえがあります。

文学の世界に限らず権威は虚構であるようだ。1901年から始まったノーベル文学賞だが、最初の10年は知らない書き手ばかりだったそうです。それが、いつからか著名人が受賞するようになり、多額の賞金を支払う後ろ盾があらわれ、誰もがほしい賞になっていった。

本作ではアメリカ人の小説家の受賞が決まり、妻や息子を連れてストックホルムへ行き、想像どうりの授賞式が行われるのだが、不穏な影がつきまとうのだ。1947年のグレン・クローズが演じた本作のヒロインから事態は、今でもほとんど変わってない。

劇中でクローズが幾度となく見せる、怒りと悲しみを、理性でくるんだような複雑な表情がすべてを物語っているのだ。どの瞬間も見事であり、今年の賞レースノミネートも決まっている。無責任で我儘で、依存心の強い夫を演じるジョナサン・プライスもなかなかの演技者である。

これは特殊な夫婦のケースではなく、すべての女性、そして妻という存在についての映画だからだと思う。若き日の妻の役を演じているのは、クローズの実の娘のアニー・スターク。親子共演とは素晴らしきものです。

だが、記者のクリスチャン•スレーターが出てくることで、一気に現実味を帯びてくる事態には、まさか長年の夫婦の秘密を嗅ぎつけるのではないかと?。

達者な俳優の共演ドラマの安定感に申し分はなく、祝福の声をかけられる度に、見せる妻のグレン・クローズの複雑微妙な表情が主題を象徴しているようだった。そして、妻の決断は無論、単に過去の否定ではないのだ。

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七つの会議★★★★

2019年02月07日 | アクション映画ーナ行

人気作家・池井戸潤のベストセラー企業小説を主演の野村萬斎はじめ香川照之、及川光博、片岡愛之助、北大路欣也ら実力派キャストの豪華共演で映画化したエンタテインメント・ミステリー。中堅メーカーを舞台に、ひとつのパワハラ騒動を巡る不可解な人事が発端となり、会社の暗部が徐々に浮かび上がっていくさまをスリリングに描く。監督は同じ池井戸潤原作のヒット・ドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」などを手掛けた福澤克雄。

あらすじ:都内にある中堅メーカーの東京建電。定例の営業会議では営業部長・北川の激しい檄が飛び、厳しい叱責にみなが震え上がる中、のんきにイビキをかいている万年係長のぐうたら社員・八角民夫。そんな彼が年下のエリート課長・坂戸をパワハラで社内委員会に訴えた。すると委員会が下した裁定は意外にも左遷という厳しいものだった。北川の信頼も厚いエースへの思いがけない処分に、社員たちの間に動揺が広がる。そんな中、新課長に着任した原島は、一連の不可解な人事の裏に何があったのか、その真相を探り始めるのだったが。

<感想>企業という巨大な組織の中でいち社員ができることは限られている。社員として働いている以上は、ノルマを課せられ常に厳しい状況の中で働いているのだ。その中で会社の不正に対して上司に直訴をするということは、もしかしてクビ宣告を覚悟の上で告発をせねばならないのだ。

大企業の立て社会の組織に背くと、自分がいくら正しいからと言っても悔しい思いをせねばならないのだ。この物語の中で、係長というポストにいる八角と言う社員は、会議のときはいつも寝ている札付きのぐうたら社員。彼が組織の中で、誰に何を言われようとも飄々としていられるのは、腹に何かを握っているのか、さては最後の切り札として口を封じているのか定かではない。

主人公兼任で八角という狂言回しを演じているのが、野村萬斎。歌舞伎仕立ての大仰な表情や口調が、周囲の空気を乱しまるで独りパロディのようであった。

しかし、そんな彼が引き金となって、芋ずる式に会社の、そして親会社の悪事や隠蔽が暴露するというのだが、この下りもまんまパロディである。

それに営業と経理部の子供じみた確執や、ドーナツの無人販売騒ぎと、ドーナツ泥棒騒ぎも、観ていて粗捜しをしているようでみっともない恥ずかしさだ。

欠陥品とリコールについての内部告発騒ぎも、結局は上層部ではすでに承知のことで、リコールをすれば損害賠償金が2000億円という、大損害を会社がかぶることになるために、隠蔽をしようということになるのだ。会社の屋上でヒソヒソと会議する。

一番上の長たるものが、一番ずるがしこいときてるから始末が悪い。底辺の営業マンは、あくせくとノルマのために靴底をすり減らして働き、結局ノルマを達成するための悪だくみということになる。

問題のトーメイテック社へ発注するも、会社と会社が癒着をして合法のもとに、材料を安い材料に変えて、大量生産をして儲けるのだ。たかがネジ一本のことだと言うが、それが大事故に繋がることにもなるわけで、そのことを上層部は誰もが知っていても口をつぐむのだ。

だから、企業という巨大な組織の中で一社員ができることは限られている。それでも不正に対して告発をしようとする、立派な社員がいることを忘れてはならない。そのために家庭を壊し、己の信念を曲げずに闘うという男がいることを忘れてはならない。

「この世から不正はなくならない」という諦念は、日本の企業体質の伝統であるが、この諦念を良しとしない鈍感なる不屈の精神の在り方を、野村萬斎が池井戸節をもって体現していた。

原作は読んでいませんが、スピード感あるエッセンスを凝縮させた展開に拍手を、そして社会性とエンタテインメイント性のバランスが絶妙でした。

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メリー・ポピンズ リターンズ★★★・5

2019年02月06日 | アクション映画ーマ行

ディズニー製作の1964年の名作ミュージカル「メリー・ポピンズ」の55年ぶりとなる続編。前作から25年後の大恐慌時代のロンドンを舞台に、3人の子どもの父親となったバンクス家の長男マイケルの前に、再びあの美しい魔法使い“メリー・ポピンズ”が現われ、子育てと借金問題に苦しむバンクス家の窮地を救うさまを、実写とアニメを融合した映像と華麗なミュージカル・ナンバーとともに描き出す。主演はエミリー・ブラント、共演にリン=マヌエル・ミランダ、メリル・ストリープ、ジュリー・ウォルターズ、コリン・ファース、ベン・ウィショー、エミリー・モーティマー、ディック・ヴァン・ダイク。監督は「シカゴ」「イントゥ・ザ・ウッズ」のロブ・マーシャル。

あらすじ:不況の嵐が吹き荒れる陰鬱なロンドン。かつてわんぱくな少年だったバンクス家の長男マイケルは、今では3人の子どもを育てる父親となっていた。しかし妻を亡くしたばかりで悲しみに暮れる日々。しかも折からの大恐慌で生活は火の車。追い打ちを掛けるように借金返済の期限が迫り、大切な我が家を失う危機に陥ってしまう。そんな時、魔法使いのメリー・ポピンズが風に乗って舞い降りる。昔と変わらぬ姿に驚きを隠せないマイケルと姉のジェーンに対し、涼しい顔で子どもたちの世話をしにきたと宣言するメリー・ポピンズだったが…。

<感想>1964年に公開された「メリー・ポピンズ」は、ミュージカル映画史に燦然と輝く永遠の名作となっている。劇中に登場した数々の名曲「チム・チム・チムリー」とか、ディズニーの夢と魔法がいっぱい詰まっていて、今の時代に観てもまったく古びていない。観ている間に自分も一緒に歌い出したくなっちゃうのだから。究極のハッピー映画なのである。

本作は、そんなメリーポピンズのその後の物語を描いた「実は55年ぶりの続編映画なのです。舞台は前作の物語から20年後のロンドン。今ではすっかり大人になったマイケルの危機を救うために、魔法使いのメリー・ポピンズが再び空から舞い降りてきたというわけ。

メリー・ポピンズと言うとパラソル片手に舞い降りて来るイメージがありますが、今回は末っ子の男の子が手放した凧を掴んで降りて来るんです。これも、前回のラストが凧あげというシーンだったからで、繋がっているってこと。

この凧が問題の鍵を解くヒントですね。銀行の株券が屋根裏部屋のどこかにあると、必死になって探すも見つからない。借金の返済期限が迫って来るし、家を追い出される家族たちはどうなることやら。

さすがに50年以上経っているから俳優は変わっている。新たな、エリー・ポピンズ役には、ホラーの「クワイエット・プレイス」(18)のエミリー・ブラントが。余りにも有名な役だけにプレッシャーもあったと思いますが、彼女なりにしっかりとメリー像を作り上げていた。ミュージカルは初めてなのに、ダンスと歌も上手いし、役柄にハマっていましたね。

そして、新キャラの街灯点灯夫のジャックには、リン=マヌエル・ミランダが良かったです。その他にも、コリン・ファースに出番は少ないけれど、メルリ・ストリープの歌とキレッキレなダンスもお見逃しなく。

でもマイケルの姉ジェーン、家政婦のエレン、隣の家に住む提督など、演じる役者は違っていても同じキャラクターが出て来るから、前作を知っているとさらに楽しめるようになっていました。

それに前作とは違う役だけれど、ディック・ヴァン・ダイクが特別出演(マイケルの叔父さん役)というファンには嬉しいプレゼントもありますから。父親のマイケルにはベン・ウィショーが扮していました。

監督はミュージカル映画の「シカゴ」や「イントゥ・ザ・ウッズ」のロブ・マーシャルで、本作では振り付けも担当していて、ジャックが仲間たちと街灯を点灯する群舞など、ダイナミックな見せ場はさすがでした。

メリーが子供たちをお風呂へ入れるところで、バスタブから海へと行ったり、絵画の世界へ飛び込んで動物たちと遊んだり、すべてが逆さまの家に入ったりと、豊かなイマジネーションの世界がいっぱい。子供だけじゃなく大人も童心に返って楽しめます。

音楽は、「ヘアースプレー」(07)のマーク・シェイマンが作曲を手掛けた劇中のミュージカルナンバーは、すべて本作のために書き下ろされた新曲。

でも、それらの曲のところどころには、64年版「メリー・ポピンズ」のメロディが織り込まれているから、新しいストーリーを堪能しつつ、旧作の素敵な思いでもフラッシュバック的に甦ってくる。だから懐かしいディズニーと最先端のディズニーを同時に楽しめる、2倍おいしい映画なのですね。

2019年劇場鑑賞作品・・・16  アクション・アドベンチャーランキング

 

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ミスター・ガラス★★★・5

2019年02月02日 | アクション映画ーマ行

鬼才・M・ナイト・シャマラン監督が「アンブレイカブル」「スプリット」の続編として描く衝撃のサスペンス・スリラー。“スーパーヒーロー”は実在するのか、という問題を研究する精神科医のもとに“特殊な能力を持つ”と自称する3人の男が集められたことから巻き起こる予測不能の物語がスリリングに展開していく。主演はブルース・ウィリス、ジェームズ・マカヴォイ、サミュエル・L・ジャクソン。共演にアニヤ・テイラー=ジョイ、サラ・ポールソン。

あらすじ:フィラデルフィアのとある施設に自分をスーパーヒーローだと信じる男たちが集められ、精神科医のステイプルによってその真偽を確かめる研究が行われようとしていた。集められたのは不死身の肉体と悪を感知する能力を持つデヴィッド・ダン、凶暴で超人的な“ビースト”を含む24もの人格を持つ多重人格者ケヴィン・ウェンデル・クラム、非凡なIQと生涯で94回骨折した壊れやすい肉体を持つミスター・ガラスという3人。ステイプルは彼らが精神を患い、あらぬ妄想に取りつかれているのだ、ということを証明しようと試みるのだったが…。

<感想>シャマランの最新作、前作の「スプリット」と怪作「アンブレイカブル」の、その後をまとめて描く奇想天外なサーガの完結編である。ホラーとスリラーのテクニックを自在に操り、観客を惑わしながらも「実は○○でした」と思わぬジャンルに誘導する達人なのだ。

一見怖いシャマラン映画だが、どこでギャグがぶっ込まれるのか分からない。明らかにやりすぎなシチュエーションや、突拍子もないセリフなど常に油断大敵であります。

シャマランはハリウッドで活動せず、ほとんど監督作の舞台を自宅がある米フィラデルフィア近くに設定する。地元への強いこだわりも個性を生む要因の一つ。本作でも3人が集められたのは、米フィラデルフィアにある研究施設です。

「アンブレイカブル」ではミスター・ガラスのシーンで、鏡やガラスの映り込みを巧みに使ったシャマラン。脚本だけでなく、映像演出にも凝りまくるのが彼の特徴なんです。鏡を駆使した演出は本作でも踏襲。不穏なムードを掻き立てるのだ。

それに「シックス・センス」の大成功から、最期に衝撃のどんでん返しというのが、シャマランのお約束と思われがちですが、ここでもどんでん返しを重ね意表を突く裏技を繰り出すこともあります。

物語は過去2作から生まれた3人の“超人”が一つの精神病院に集められる。すべては彼らの妄想だと証明しようとする精神科医ステイブル(サラ・ポールソン)によって“禁断の研究”が始まる。彼女は何を考えているのかさっぱりわからず。極めて不気味です。

果たして勝つのは精神科医ステイブルの理論か、それとも人智を超えた3人のパワーなのか?・・・。寒々とした色調とおかしなカメラアングルが、緊張を否応なく増すなかで、予想の斜め上下をいく物語となっていた。これぞシャマランと言うしかない。

主演は「アンブレイカブル」で運命の宿敵を演じたブルース・ウィリス&サミュエル・L・ジャクソンと、「スプリット」で24の人格をもつケヴィンを怪演したジェームズ・マカヴォイ。

ブルース・ウィリスのデヴィッド・ダンは、パワーを正義のために使うと決意。自身が遭遇した列車事故などがミスター・ガラスの計略だったと見抜き、彼を警察に突き出した。その後、何故か彼らと共に拘留される身に。能力は傷を負ってもすぐに治るなど人間離れした治癒能力と怪力をもち、また触れた相手の悪事を察知する能力も備えている。死んでもしなないスーパーヒーローの誕生物語だった。

 

サミュエル・L・ジャクソンのミスター・ガラスは、極端に身体が弱く、ガラスのように壊れやすいという理由で“ミスター・ガラス”を自称。アメコミに造詣が深く、自分と対立するような力をもつヒーローの存在を妄信している。能力は、ひ弱すぎる身体と引き換えに人並み外れた知能を得たと信じており、IQも非常に高い。手の込んだ陰謀や策略を得意とする。

 

ジェームズ・マカヴォイのケヴィンは悲惨な環境に生まれ育ち、23人の人格を宿すようになった。24番目が“ビースト”という凶暴な人格が覚醒したことで、人類に害をなす恐るべき存在となる。能力は、ビーストが覚醒することで、人格だけでなく体格も変化する。ショットガンの弾も通さない恐るべき肉体をもつモンスターと化すのだ。部屋の壁を這いずり回り、天井にもまるで蜘蛛人間みたいに自由自在に動くモンスターと言っていい。

また「スプリット」で、ケヴィンに監禁された美少女ケイシーのアニヤ・テイラー=ジョイの登場も明らかに。シャマランならではの一筋縄ではいかないサスペンスの全貌に、過去の作品を手掛かりに迫る。

完結編の「ミスター・ガラス」では最小限のヒーローとヴィランの対立の構成。シャマラン的な大風呂敷は控え目だが、それでも胸に迫るものがある。

「アンブレイカブル」ではブルース・ウィリス扮する“壊れない男”と、サミュエル・L・ジャクソン扮する“壊れやすい男”が、それぞれヒーローとヴィランとして設定されていた。ですが、今回の設定はそんなに単純ではないのだ。「スプリット」に登場した24人格者の超人的な人格ビーストの参入により、ある意味三つ巴の戦いにも発展する。もはや善悪の判断を超えた領域にドラマは踏み込んでいく。

誰が真の勝者なのかは観てのお楽しみだが、そこは意外性の王シャマラン。例によってバカらしくもあるのだ。ですが、この世界にキチンとオチを付けるばかりか、必死に行動する弱者の奔走でも夢中にさせるのだ。

アメコミを視野に入れつつも、その王道パターンとは異なる結末のヒネクレぶりも潔いのであります。

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