パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

2016年洋画部門ベスト10ランキング選出

2016年12月31日 | 年別の映画ランキングベスト10
今年も後、数時間でお終いですね。
今年は皆様にとっていかがな年でありましたでしょうか。私は持病で入院、退院を繰り返しながらも、何とか12月まで無事過ごしてまいりました。そんな体であっても、どんなことがあっても大好きな映画を観に行くのは、億劫にはなりませんね。

2016年劇場鑑賞作品から、16年はアクション映画好きの私にとっては、選びきれないほどたくさんの名作品に恵まれました。その中でもこれはと思うアクション映画を選出してみました。それでも、順位を付けるとなると迷ってしまいます。私が★★★★★を付けた作品の中から選んで見たいと思います。
第1位ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

第2位ザ・ウォーク3D

第3位ハドソン川の奇跡

第4位ルーム

第5位ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー  

第6位レヴェナント・:蘇えりし者 

第7位オデッセイ3D 

第8位シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

第9位ジャングル・ブック3D

第10位ウォークラフト

いずれにしても、ベスト10に選んだ作品は、高い水準の映画であり順位など付けられないと思いながらも、考え挙句のすえに選んでみました。
そして、本当に惜しいと言える作品には、次点として5つ挙げて観ました。


次点白鯨との闘い3D 

次点手紙が憶えている

次点エンド・オブ・キングダム

次点ボーダーライン

次点ドラゴン・ブレイド


今年はたくさんのTBを頂戴して、本当にありがとうございました。
2017年も、皆様にとって良い年でありますように。そして、たくさんの良い映画が観れますように。2017年も、たくさんのTBをお待ち申し上げております。どうぞよろしくお願いいたします。
2016年劇場鑑賞作品ベスト10・・・286映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
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土竜の唄 香港狂騒曲★★★・5

2016年12月30日 | アクション映画ーマ行

高橋のぼるの人気コミックを、生田斗真主演、三池崇史監督、宮藤官九郎脚本のタッグで実写映画化した『土竜(モグラ)の唄 潜入捜査官 REIJI』の続編。今回は原作の「チャイニーズマフィア編」を基に、チャイニーズマフィアの撲滅、最終ターゲットの護衛を命じられた潜入捜査官に、次々と危機が降り掛かるさまが描かれる。仲里依紗、堤真一、岩城滉一ら前作キャストが続投するほか、瑛太、本田翼、古田新太、菜々緒らが新たに登場し、ドラマを盛り上げる。
あらすじ:犯罪組織・数寄矢会に潜り込んだ潜入捜査官モグラの、元ダメ巡査菊川玲二(生田斗真)は、クレイジーパピヨンこと日浦組組長・日浦匡也(堤真一)に気に入られて兄弟の契りを交わし、思いがけず日浦組若頭に就任。そのころ、容姿・頭脳・人望もピカイチの警官・兜真矢(瑛太)が警視庁組織犯罪対策部課長に就任し、玲二の逮捕に動き始める。一方玲二は、最終ターゲットの数寄矢会会長・轟周宝(岩城滉一)からチャイニーズマフィア仙骨竜の撲滅と、轟と娘のボディーガードを任され……。

<感想>侠気(おとこぎ)全開、“バッチ来~い”な第2弾が3年ぶりに公開。スケベでおバカな落ちこぼれ巡査が、日本最大のヤクザ組織を潜入捜査!・・。高橋のぼるの人気コミックを三池崇史監督、宮藤官九郎脚本、生田斗真主演で実写化。ヒット記録した娯楽大作の第2弾であります。
舞台を香港に移し、瑛太に本田翼、古田新太、菜々緒ら新キャストを加えて、麻薬や武器密売ではなく、人身売買という、よりエネルギッシュに狂騒を繰り広げて行く。中でもエリート警察官の瑛太が、数寄矢会とつながる菊川玲二を危険視するのだ。

今回の玲二は、数寄矢会会長の娘、じゃじゃ馬な迦蓮の警護を任されて、彼女に振り回され、終いにはチャイニーズマフィアの仙骨竜に迦蓮をさらわれてしまう。玲二とパピヨンは仙骨竜と迦蓮を追って香港へと日浦の自家用機で飛ぶのだ。

とにかく、生田斗真演じる菊川玲二は、スーパーヒーローではないが、気合と根性で奇跡を起こすのが玲二の魅力でもあります。玲二はおバカだけど憎めないのが最高。
内に秘めた正義感がかっこいいし、義理と人情をすごく大事にしていて、最後は気合で乗り切るんだからね。

根性決めれば怖くないって、そういう意味でも古風な男でもあるんです。本命以外の女の子に気移りしそうな時、踏みとどまろうと葛藤する彼も可愛いし、頑張れって応援したくなります。

強烈な悪女キャラで中国の女ヒットマン、フーフォンを演じている菜々緒が、鞭も使えば虎に乗ってアクションもするし、衣装はスケスケと盛りだくさんで、想像以上に強烈な役でしたね。

菊川玲二が菜々緒と対峙する場面では、これは本当にヤバイと思ったのだが、玲二も負けじと奮闘して、トイレのバキュウムスッポンで口を吸い上げる笑えるシーンもあります。

そして、パピヨンは、昔の兄貴分であるモモンガ、古田新太が演じていて、モモンガと一騎打ちをするも、引き分けってことに。パピヨンの鋼鉄の両足も凄いけれど、モモンガの鋼鉄の義手も最高です。

玲二は彼を敵視する警視庁のエリートの兜こと瑛太が扮している彼と、対峙することになるわけ。もちろん、上地雄輔の黒ヒョウ柄のイレズミをして、パピヨンと玲二の助っ人をするのもいい。

今の自分への誇りを胸に闘う二人を見て、やっぱりパピヨンの男気・侠気に痺れるけれど、男と女、警察とヤクザの間でボロボロになりながら、己の正義を貫く玲二もまたかっこいいのだ。
前作以上にカッコ悪い主人公・菊川玲二に扮した生田斗真の全裸も含めて、笑いどころが満載です。それでも、やっぱりこれは、警察・ヤクザ入り乱れて命懸けて闘うヤツらの、血と汗が輝くかっこいい物語になっていた。
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戦場のメロディ ★★★・5

2016年12月30日 | アクション映画ーサ行
朝鮮戦争時に、戦地や軍の病院などへの慰問を行っていた実在の児童合唱団から着想を得たドラマ。激戦が繰り広げられていた1952年を舞台に、児童合唱団を結成し、指導に励む青年少尉と子供たちの絆が描かれる。監督は『永遠の片想い』などのイ・ハン。人気ボーイズグループZE:Aのメンバーでもある『弁護人』などのシワンが主演を務め、その脇を『ビューティー・インサイド』などのコ・アソンや『ワンドゥギ』などのパク・スヨンらが固める。4か月にも及ぶ特訓を経た子役たちによる美しいハーモニーが、より感動を盛り上げる。
あらすじ:朝鮮戦争が激化していた1952年。戦友と家族も亡くして深い悲しみに沈むハン・サンヨル少尉(シワン)に、最前線から釜山への転属が決まる。釜山に着くや、彼は戦争で親を失った子供たちの面倒を見る任務に就く。音楽が得意なサンヨルは、チンピラに利用されて悪事を働いていた彼らに歌を教えて児童合唱団を結成。練習を重ねるうちに、子供たちの歌声にリズムとハーモニーが生まれ、笑顔を浮かべるようになる。やがて戦地への慰問公演を行うことが決まるが、そこは命の保証などない最前線だった。

<感想>戦争で両親を亡くして、兄妹で孤児院に入りそこで同じ境遇の子供たちと暮らせるのは、まだ幸せな方だと思う。中には、兄妹とまたは一人っきりで、路上生活で暮らし、毎日の食べる物も無い状況の子供たちが大勢いるのです。大人が始めた戦争で、一番の被害者は子供たちであり、大人たちは勝手であり自分たちの食べることしか考えないのだ。

この映画の中では、本当に幸せな子供たちが、一人のハン・サンヨル少尉という青年によって、子供たちがいかに戦争にも負けないで明るく生活できるかということで、合唱団を作ることになるわけ。
孤児院の中でもオンチの子供もいるわけで、選ばれた子供たちだけで作られた合唱団。そこへ入れば、寝る場所と毎日の食事が保証されるわけで、自分で食料を調達するわけでもなく、お金を稼ぐ必要もない。

だから、中でも兄妹の2人に焦点を当てて、その兄弟は戦争で腕を失った悪いチンピラに働かされて、寝る場所と食事を与えられているのだ。働くといっても、万引き、スリ、引ったくり、盗みなどまともに稼いでいるわけでもない。それに、子供たちが盗んできたものを搾取して、いくら片腕が戦争で失ったとはいえ、悪どい商売をしている男がいる。戦争によって手足を失い心も荒んだ男の物語も間に入っている。

ハン・サンヨル少尉は、森の中でそのかぎ爪の男に引き取られて暮らしている子供たちの中から、兄妹の2人を合唱団にと引き取る。その時も、稼ぎ頭の兄を手放すのに躊躇して、兄に孤児院から石油を盗むように指図をしていた。
たまたま、孤児院へ様子を見に来ては、兄妹に言葉をかけ、サンヨル少尉にも早く返してくれと言うのだ。

その合唱団の歌声が見事にリズムと和音が決まっていて、素晴らしい音色にハモッっており、聞いてて上手いと思った。それで、お偉いさん方に合唱を披露して、最前線で活躍している兵士たちを元気づけようではないかと、過酷な戦場へと慰問公演に行かされる。

絶対に大丈夫というわけでもなく、そこは戦場であり、死と隣り合わせの最前線なのだ。兄妹も一緒に参加して行くのだが、そこで兄の方が敵の襲撃の弾に当たり、死んでしまうのだ。妹がそれまで歌を歌わなかったのは、自分が兵士の前で歌って、父親が目の前で射殺されてしまう。だから絶対に歌は歌わないと心に決めていたのだが、兄の葬式に妹が歌を披露する場面では、自然に涙が零れてしまう。
この作品は、実在の児童合唱団をモデルにしているそうで、選ばれた子供たちだけは、戦争の中でも寝る場所と毎日の食料には事欠かなかったということである。そう思うと、日本でもそうであったように、戦争孤児たちが、寝る場所、食べる物もなく、路上生活を強いられて、本当に気の毒で見ていられなかった。

そんな過酷な戦争孤児の映画の中でも、美しい若い女優のコ・アソンが、映画の中でひと際咲く一輪の花として良かった。さすがに、戦時中でもあり、ハン・サンヨル少尉との恋愛ものとは、いかなかったのが残念であります。
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手紙は憶えている ★★★★・5

2016年12月28日 | アクション映画ータ行
「スウィート ヒアアフター」「白い沈黙」のアトム・エゴヤン監督が「人生はビギナーズ」のクリストファー・プラマーを主演に迎え、アウシュヴィッツを生き延びた老人の復讐の旅路を描いたサスペンス・ドラマ。70年前にナチスに家族を殺された主人公が、認知症による記憶障害に苦しみながらも、友人から託された手紙を頼りに復讐へと向かう壮絶な旅の顛末をサスペンスフルに綴る。共演はマーティン・ランドー。
あらすじ:90歳のゼヴ(クリストファー・プラマー)は、妻を亡くしたことさえ忘れるほど物忘れが進んでいた。ある日、彼に友人マックス(マーティン・ランドー)が1通の手紙を託し、家族を殺したドイツ人兵士への復讐(ふくしゅう)を依頼する。自分と同じくアウシュビッツ収容所の生き残りで体が不自由な友人のために、ゼヴは単身でリベンジを果たそうとするが……。

<感想>これが脚本家デビューだというベンジャミン・オーガストの紡いだ独創的な物語が、名匠アトム・エゴヤン監督の手により映画化された。それは、ホロコーストを題材にした作品は多いのだが、ナチスの蛮行や当時のアウシュビッツの惨状、ヒトラーの人物像、生き延びた者のサバイバル、戦後の裁判や当事者の発言から真実に迫るものなど、その手法は多岐にわたりもう出屈くしていると思われるのだが。
ですが、本作に見られるホロコーストはまったく違う視点で示されていた。しかも舞台が現代に絞って描き切っているのも凄い。70年前に家族をナチスに殺された90歳の主人公ゼヴを演じるのは、同年代のクリストファー・プラマーなのだ。

ユダヤ人のゼヴは既に高齢者施設にいて、初期の認知症を発症している。眠りから覚める度に記憶は失われ、死んだ妻を探す。そんな危い主人公が、車椅子の友人マックスの助けを借りながら、かつて家族を殺したナチスの兵士に復讐しに行くという物語。

身分を偽り逃げはせている敵の候補は4人いて、拳銃を手にいれ順に会いに行くのだが、度々自分がなぜ今ここにいるのかが分からなくなる。その都度、洋服のポケットを探って手紙に気づき、要件を思い出す。拳銃を入手したり、うっかり期限切れのパスポートでカナダへ渡ろうとしたり、ゼヴの旅はクリアしなければならないことが山ほどあるが、老人ゆえに無害という印象が、意外にもつまづかずに彼を核心へと向かわせていく。

リベンジ候補に会い、違ったらリストから名前を消していく方式だ。非常に重いテーマなのだが、何故かロードムービーのような趣もあり、「お爺ちゃん、大丈夫なの?頑張って」と応援したくなるのだ。泣けるのは、宿敵候補も超高齢なところで、他界しているケースや、同じ収容所だったことが判明して一緒に涙を流すケースもある。

また現代の反ユダヤに出会いヒヤリとする場面も、物凄い勘違いで自慢のナチ・コレクションをゼヴに披露する警官を演じるのは、ハンクことディーン・ノリスだ。これまた絶品のハマリ役であった。実際生き残っている戦犯は世界各地に潜んでおり、それを追求し続ける組織もあるそうだ。2016年、ある94歳の戦犯の罪が立証され禁固5年の刑を言い渡されたとも聞く。

この映画はまさに現在進行形のもので、復讐するものにとっては今が終末の時なのだ。法の裁きは寿命との兼ね合いを思うと、間に合わなさそうに思える。そんなスリリングな状況の中で、ピアノがあると昔覚えた曲を演奏するというような、時には焦点の合う体と意識が、それ故に、この映画のラストには鳥肌が立つような悲劇が待っていた。

久しぶりに脚本力を感じる映画だった。認知症の老人を手紙で誘導して、復讐へと向かわせるというアイデアが、ゾクゾクとさせる。しかもターゲットがナチスの残党というのが次のゾクゾク感であります。容疑者が4人いて、誰が本物の標的かの謎。それより彼らのもとに無事にたどり着けるかのハラハラ感も。その道中の趣向も含めて、串団子方式の構成の巧さ痺れた。
ゼヴは目的を達成し、悲哀に満ちたエンドロールが流れることを予測していたのに、それが最後の5分がとんでもないことに。86歳のクリストファー・プラマーの演技もお見事であり、こんな心臓に悪い展開になるとはまったくもって予想外。驚愕な結末に悲観にくれてしまった。
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聖杯たちの騎士 ★★★

2016年12月27日 | アクション映画ーサ行
寡作ながらも世界が注目する巨匠、テレンス・マリック監督による人間ドラマ。成功を手にしたものの心にむなしさを抱える脚本家が、6人の女性たちとの出会いを通じ、自らの過去と向き合うさまを描く。自分の進むべき道を求めてさまよう主人公をクリスチャン・ベイルが演じるほか、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら豪華キャストが集結。マリック監督とは4度目のタッグとなる撮影監督エマニュエル・ルベツキによる詩的な映像にも注目。
あらすじ:気鋭の脚本家として注目を浴びるリック(クリスチャン・ベイル)は、ハリウッド映画の脚本執筆を引き受けたことから華やかな生活に溺れ、自分を見失っていく。その一方で、心の奥底にあるむなしさを払拭(ふっしょく)できず、自分が進むべき道を求めてさまよう日々を送っていた。そんな彼が、巡り合った6人の女性たちに導かれるように、自らの過去と向き合い始める。

<感想>タイトルにある“聖杯”とは中世ヨーロッパの伝説で、聖杯さがしを国王から命じられた騎士が、紆余曲折の末に聖杯を手に入れ、王国の再興を果たすというものである。本作では、クリスチャン・ベイルが現代の騎士となり、聖杯=理想の女を探すことになる。原題は「ナイト・オブ・カップス」と女性を意味するカップが複数になっている。つまり、たくさんの女をゲットした女たらしとも言えよう。この映画の中では、聖杯=女と二つの意味を持たせている。簡単に言えばテレンス・マリック監督の自叙伝みたいなもの。

タロットカードにちなんで作中に出てくる8つのワード。「月」「吊るされた男」「隠者」「審判」「塔」「女教皇」「死」「自由」それぞれに、女優が入れ替わっており、

最初の「月」ではデラ(イモージェン・ブーツ)が派手目な化粧で、パーティで出会うセレブたちは、リックに助言を与える刺激的な存在。奔放な女性デラは、「違う生き方があるはず」とリックに提言し、ポールダンサーのカレン(テリー・パーマー)は、「周りに闇が見える」と告げて、束の間の逢瀬を楽しむ。

すれ違いの生活が続き、離婚するはめになる献身的な女医で妻のナンシー(ケイト・ブランシェット)とは、リックにとって安らぎと喜びを共有できる理想の女。

だが、多忙な日々に追われるナンシーと、刺激的な世界に溺れていくリックの心は、いつしか妻との生活がすれ違っていく。

モデルのヘレン(フリーダ・ピント)や、そして運命の黒いドレスを身にまとう人妻エリザベス(ナタリー・ポートマン)と激しい恋に落ちたリックだが、2人は互いに運命の人だと確信し合い、リックはエリザベスに結婚を申し込むのだが、・・・。彼女は妊娠をしたけれど、夫の子供かもしれないといい別れてしまう。

享楽的な日々の中で自身を見失った脚本家と美しい女たちとの出会いを描いている。女たちとの出会いと別れと共に、父親との葛藤、仲の良かった弟の自殺、もう一人の弟は心を病んでいる。名門ハーバード大学を卒業し将来を嘱望されながらも、映画界の華やかさに惹かれて脚本家となった経緯など、これはテレンス・マリック監督の実体験が盛り込まれているといっていいでしょう。

主人公がしばしば水に飛び込み、死と再生の儀式を行い、新しい世界を見ようとする。この映画では聖杯は真珠であるとされているが、それは、他者の目に宿る光がその真珠なのだろう。

特に良かったのが、撮影監督のエマニュエル・ルベツキが撮る海辺のシーンの映像が心に残るのだが、リックがナタリー・ポートマンの足の指を舐めるシーンがとてもエロくて、主人公の心象風景にシンクロするとおぼしき光景を捉えた、ルベツキの壮大な映像を快楽として受ける成熟したセンスは持ち合わせていない。

従来ならば前衛映画や、実験映画と言われたような作品だと思う。豪邸にプールサイドでの乱痴気騒ぎ、美しい誘惑的なプレイメイトたち。次々と女たちがあらわれ、そして束の間のセックス・フレンドたち。そのような快楽的な生活の中でも主人公は、何故私はここにいるのか?・・・という問いに戸惑っている。ちなみに男優もたくさん出てきているが、何故かアントニオ・バンデラスだけはカッコよかった。

映像は確かに美しいが、売れっ子脚本家の目に映るハリウッドは、荒涼たる荒地なのだ。「甘い生活」の現代版と類似しているが、どうも好きになれない。

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バイオハザード:ザ・ファイナル ★★★★

2016年12月26日 | アクション映画ーハ行
カプコンの人気ゲームを映画化したミラ・ジョボビッチ主演による人気アクション「バイオハザード」シリーズの最終作。人類の大半がアンデッドと化した世界で、人類最後の希望となったアリスは、悪夢のような現実の全ての始まりの場所、ラクーンシティのハイブへ戻ることになる。しかし、そこでは全ての元凶である巨大企業アンブレラ社が、アリスとの最終決戦に向けて全勢力を結集させていた。
ジョボビッチ扮するヒロインのアリスほか、ゲーム版の人気キャラクターでもあるクレア・レッドフィールドを演じたアリ・ラーターが、4作目以来に同役でカムバック。また、日本の人気タレントのローラが、アリスと共闘する女戦士コバルト役でハリウッドデビューを果たした。監督はジョボビッチの夫で、シリーズ3、4作目をのぞいてメガホンをとってきたポール・W・S・アンダーソン。

<感想>ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の大ヒット・シリーズ、第6作目にして最終章となるSFアクション大作である。もうこれで終わりなのかと思い近くの東宝へと、しかし満員御礼であえなく車で行きました。そこも、混んでいました。アンブレア社による人類滅亡のタイムリミットまで、あと“48時間”。アリスはアンブレア社の旧研究施設にして感染の始まりであったハイブに舞い戻る。そこには、Tウィルスに感染したあらゆる生物を葬る抗Tウィルス剤があるのだ。世界を救うため、傷だらけになりながらアリスは、最後の戦いに挑む。

南アフリカ・ロケによる荒涼とした空気感の中で、アリスと共に戦う仲間たちの壮絶な最期が、スピード感あふれるアクションなど、過去作とは異なるハードな描写の連続シーンが見られる。敵戦力の分析を交えながらアリスの戦いぶりを追う。

ザ・ファイナルでは、シリーズ史上最強にして最恐の痛みの伝わるアクションの連続です。第4・5作で顕著だったスローモーションやポージングに頼らず、冒頭から、空からアリスに襲い掛かる翼竜のような姿のクリーチャーが。走る装甲車上のバトルを筆頭に、格闘、滑降、動きのあるシーンが矢継ぎ早に連なるのだ。

装甲車の後ろのワイヤーに両手を結ばれるアリスは、すぐ後ろから来るアンデッド群に襲われるかと思うとヒヤヒヤする。しかし、ワイヤーを利用して、宙刷りになりながら拳銃をぶっ放すアリスが凄い思った。ですが、アリスが失神したり倒れたりと、無敵なアリスではないのでスリリングな見せ場が続きます。

犯罪の巣窟と呼ばれるヨハネスブルグの高層マンション、ポンテタワーや、ケープタウンの犯罪多発地区ニャンガでのロケを敢行。殺伐としたムードが伝わり、ディストビアの雰囲気満点のスケール感での映像に呆気にとられる。セットなのか、廃墟と化したタワービルの屋上からガソリンを撒き散らして火をつけて、下にいるアンデッド群れを焼いてしまう。

しかし、アンデッドは地上を埋め尽くすほどの数で、ケルベロス(犬)の数十頭の群れをなして、ハイブへの道を阻もうとする。水の中へ入るも、水の中にもクリーチャーがいて、陸へ上がるとケルベロスが襲い掛かって来るのだ。

そして、ハイブへの潜入ミッションでは、過酷なシーンが満載で、第1作では登場しなかったトラップが多数ある。通気口の途中には地下に通じる落とし穴があり、大型の換気扇が止まっているので、みんなで中へ入ろうとすると突然動き出し、その大型の扇風機に挟まれ切断されてしまう。それに、ファンが逆風になり猛烈な風で吸引し侵入者の肉体を切断する。さらには、両側から迫る壁が人間の身体を押しつぶすのだ。

それにあの第1作で震え上がらせた切断レーザーの廊下が再登場するし、迫りくるレーザーをかわし損なった人間は、全身が細切れにされ、金属もスパッと切断。今回は、アリスの右手の指がスパッと切断された。痛そうだね。
今回は、アリスの朋友であるクレアも参戦して、そのクレアの恋人ドクが、実は裏切り者だったということで、どうりで行く先々で待ち伏せをくらうので変だと思った。

そして、女戦士コバルトの役で、ご愛敬で日本からローラが参戦し、あっという間にアンデッドに食われてしまった。

アンブレア社の幹部であるウェスカーは、やはり裏切り者でハイブの警備を自ら指揮するのだが、死んだはずのクローン・アイザックス博士が生き返り、アリス捕獲に向かって暴走してくる。だが、アンブレア社の中にも、オリジナルのアイザックス博士がいて、クローンのウェスカーを殺すし、だが残念、クローンのアイザックスに殺されてしまうのだ。
そこへ老人のアイリスが車いすで出て来て、アリスの失われた過去の記憶や自らのクローンの存在など、常にアイデンティティを問われてきたアリス。出生の秘密に思いがけない感動があります。老婆の姿のミラジョボもイケる。

人工知能のレッドクイーンが、抗Tウイルス剤の在りかを教えるなど、今回はアリスに協力をする。演じるエヴァ・アンダーソンは、監督とミラジョボの愛娘なのだ。可愛いらしくてセリフが多いのに頑張っているのが良かった。

結局は、アリスだけが助かったようで、感染した生物すべてを抹殺するために、外へ出て抗Tウイルス剤を風に乗らせて撒いて終わりというが、まだまだアンデッドやクリーチャーが残っているので、アリスの戦いは終わらないということになるのですね。もう、お腹いっぱいにアンデッドの集団を観たし、もうゾンビ映画はたくさんかなぁと思いましたね。
バイオハザードV:リトリビューション」(2012)
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする★★★

2016年12月25日 | アクション映画ーハ行
七月隆文の同名ベストセラー小説を、「ストロボ・エッジ」の福士蒼汰&「バクマン。」の小松菜奈共演で実写映画化したファンタジックラブストーリー。「僕等がいた」「アオハライド」など数々の青春ラブストーリーを手がけてきた三木孝浩監督と脚本家の吉田智子が再タッグを組み、京都の風光明媚な景色を背景に20歳の男女の甘く切ない純愛を描く。
あらすじ:美大生の高寿は、通学電車の中で見かけた女性・愛美に一目ぼれする。勇気を出して声を掛け、会う約束を取りつけようとする高寿だったが、愛美はなぜか泣き出してしまう。意気投合した高寿と愛美は付き合うことになり、幸せな日々を過ごしはじめるが、そんなある日、高寿は愛美から信じられないような秘密を明かされる。

<感想>原作は読んでませんが、泣けるファンタジーと感動が融合したラブストーリーなので良かったです。主人公の高寿の福士蒼汰も良かったですが、ダントツで小松菜奈さんが、相手の愛美にぴたっとハマっていて、演技が上手いので素直に泣けて入りこめました。

主人公の前に、愛美という完璧な存在の女性が現れて、付き合えることになり、手を繋ぎ名前を呼び合い、仲良くなって行く度に何故か涙を見せる愛美。でも彼女には何か隠していることがある。と思いながら進んでいくと、想像もできなかった意外な事実が明らかになっていくというストーリー。

普通だったらケータイの番号とかメアドを交換しあったりとかするのに、彼女はケータイを持っていない。だから2人で会っているいる時に、帰り際に次のデートの約束をする。会えない時は、いつもの電車に乗ると、電車の中で出会えるのだ。ここで、疑問が湧いて来るのだが、愛美はどこへ帰っていくのだろうとか、そんなことは考えないように。

愛美が言うには、高寿が5歳の時に池に落ちて溺れかかったことがあり、助けてくれた女の人が実は、その目の前にいる愛美だという、何だかキツネにつつまれたような不思議な感じがしてならなかった。

タイムトラベルものといえば、それまでなんですが、5年周期で巡ってくる2人の関係が実はあるんですが、高寿は覚えていなくて、後でよくよく考えてみれば思い出すことがあったということに。高寿が10歳の時にも、愛美が30歳でタコ焼き屋で一緒に、足をバタつかせている愛美がいるのだ。
不思議な体験をして、実は愛美も5歳の時に火事に遭い、35歳の高寿に助けられたということがあるなんてね。違う世界で生きている2人が、出会うのは5年の周期で、それも遡って。だから、愛美と年齢が同じになるのは20歳の一か月間だけという、残酷な青春物語なのだ。

だから、2人が20歳で初めて出会ったと思っていたことが、実は巡り巡って5年後の25歳の時にも、愛美が15歳で出会っていたのに。でも、高寿が30歳では、愛美は10歳で35歳になると、愛美は5歳なのか。その反対も言えることで、まるでブラピの映画の「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のようだ。
それが、20歳の青春時代に初めて会ったかのように、一目惚れをしてしまった高寿なんだけど、30日間だけは一緒にいれるという時間の問題に悩んでしまう。切ないよね、30日間だけなんて、結婚はできないのよね。

高寿が気弱な性格なので、愛美に好きだと言い出せない。それを高寿の親友の東出昌大が、バーベキューをしている仲間たちのところで、愛美を高寿の恋人だと紹介してくれる積極的な友達を演じています。少しの出番ですが、東出くんの好感度もアップ。

そして、京都が舞台ということで、鴨川の飛び石を2人でぴょんぴょんと飛び跳ねるシーンとか、朱色の千本鳥居がある伏見稲荷大社も出て来る。
高寿の部屋で、愛美がビーフシチューを作ってくれるのだが、チョコレートを入れるというアイディアも。実は彼の実家へ2人で20歳の30日間の間に行って、母親がビーフシチューを夕飯で出してくれた時に、母親が「隠し味にチョコレートを入れると美味しくできるよ」と、愛美に教えてくれたからなのだ。
それが、鍵のかかっている秘密の箱の中に、両親と一緒に撮った写真が入っていたとは。これも後で分かることなので、高寿だけが忘れてしまっていたことで、愛美はすでに何度も20歳を行ったり来たりしているということなのね。
この作品は、病気や死別じゃなくて、“時の奇跡”で泣かせる物語だということ。
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華麗なるリベンジ ★★★★

2016年12月23日 | アクション映画ーカ行
無実の罪で収監された熱血検事が、獄中で出会ったイケメン詐欺師と手を組み、自分を罠に嵌めた巨大権力への復讐に乗り出すクライム・サスペンス。主演は「国際市場で逢いましょう」「ベテラン」のファン・ジョンミンと「義兄弟 SECRET REUNION」「群盗」のカン・ドンウォン。監督は、これが長編デビューのイ・イルヒョン。
あらすじ:叩き上げの熱血検事ピョン・ジェウク。正義感が暴走し、手荒い取り調べをしてしまうこともしばしば。そんな中、リゾート開発の反対運動を巡る事件で取り調べ中の容疑者が謎の急死を遂げ、ジェウクは身に覚えのない罪で懲役15年の実刑を言い渡されてしまう。背後に何らかの巨大な力が働いていると確信したジェウクは、自分を嵌めた黒幕たちへの復讐を誓い、過酷な獄中生活を送っていく。

するとそこへ、前科9犯のイケメン詐欺師ハン・チウォンが入所してくる。彼が事件のカギを握っていることに気づいたジェウクは、復讐に協力してくれるならここから出してやると取引を持ちかける。チウォンはその提案を受け入れ、無事に出所するや、刑務所の中から指示を出すジェウクに従って行動を開始するのだったが…。

<感想>昨今韓国映画に多い政財界の腐敗堕落をたたく犯罪ドラマであり、今回の背景は司法界であります。冤罪で投獄された検事が、同房の若い詐欺師と組んで図る復讐劇を、本作でデビューする脚本・監督のイ・イルヒョンは、かなり荒っぽいタッチで面白く見せている。
これはとても面白かったです。痛快無比のコンゲームでもあり、ユニークな裁判対決ものでもあり、ヒネリの効いたバディものでもある。

「ベテラン」のヒット作を連発する演技派のファン・ジョンミン「国際市場で逢いましょう」が、主人公の検事を演じており、検事としての知識を駆使して刑務所内でうまく立ち回る描写は、まるで名作の「ショーシャンクの空に」のようにも見えた。自らの事件をチウォンと共に探るうちに、巨大な権力の闇に足を踏み入れたジェウクは、どのようにしてリベンジをし、潔白を証明するのか?

それに、相棒として人気スターのカン・ドンウォン「群盗」という凸凹コンビのタッグは、待望の顔合わせでもあり、特にイケメンのカン・ドンウォンは怪しさ満点のコミカルなキャラクターで新境地を開拓していた。「ブリースト悪魔を葬る者」とはうって変わって、のりのりの詐欺師を演じている。

カン・ドンウォンの中学英語で、帰国男子気取りでめっちゃ踊りまくり、突っ込まれて困ったときは、イケメンのハの字眉でキメてと、見せ場が多いカン・ドンウォン。冤罪で投獄されたファン・ジョンミンとの、塀の中と外に分かれて計画を進めるのだが、何となくバディ感が足りないのは悔やまれる。

特に裁判の場面での、大物政治家の証人の質問とか、上役の検事による悪事がバレての態度も、観ていて爽快でした。
全般的に、小気味よくスピーディな展開で、裏切りと企みと、陰謀の連続と華麗なるリベンジの行方を語り切って見せているのも良かった。

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胸騒ぎのシチリア★★★・5

2016年12月22日 | アクション映画ーマ行
1968年のフランス映画「太陽が知っている」をティルダ・スウィントン、レイフ・ファインズ、ダコタ・ジョンソン、マティアス・スーナールツの共演でリメイクしたミステリー。恋人とシチリアの孤島にバカンスやってきた人気歌手の前にかつての恋人が娘を連れて現われ、やがて愛憎渦巻く人間模様が思いも寄らぬ事件を引き起こすさま描く。監督はミラノ、愛に生きるのルカ・グァダニーノ。
あらすじ:声帯の手術を受けた世界的なロックスターのマリアンは、静養のため年下の恋人ポールを連れてシチリアのパンテッレリーア島へバカンスにやって来る。2人で静かに過ごそうとしていたマリアンだったが、元彼でカリスマ音楽プロデューサーのハリーがセクシーな娘ペンを伴い、強引に押しかけてくる。エネルギッシュに歌い踊り、ひたすら騒々しいハリーにすっかりペースを乱されるマリアン。そんなハリーの狙いはマリアンとの復縁だった。一方、どこか掴み所のないペンも、好奇心の赴くままにポールへと接近していくが…。

<感想>アラン・ドロンの「太陽が知っている」は観ていませんが、今回の主役はロック歌手のマリアン。演じているのがティルダ・スウィントンという、監督がルカ・グァダニーノであり、「ミラノ、愛に生きる」でもティルダを主役で使ってたのでお気に入りなのでしょう。まぁ年齢はいっても美しくて貫禄があるので、イタリアの風景にマッチしていて良かった。

しかし、恋人のポールを演じたマティアス・スーナールツの素性が描かれていないし、どこか影のある精神を病んでいる男という設定なので、珍しく抑えた演技でした。最近メキメキと作品に恵まれているマティアスのリリーのすべてフランス組曲」 ヴェルサイユの宮廷師」など、とてもいい演技をしています。
それに、元恋人のレイフ・ファインズが、これまた歳に似合わず煩いくらいにマリアンに付き纏い、復縁を迫る男を演じているも、これもちょっとキャスティングミスかと思いましたね。

声帯手術をしたマリアンは、口がきけない状態だし、一緒にいる若い恋人ポールも物静かな感じの男であり、だからなのか、正反対にバカ騒ぎをするのがレイフ・ファインズになっている。まるで若者に好きな女を寝取られたと言わんばかりにはしゃいで、隙があればマリアンと元のサヤに戻ろうなんて魂胆が見え隠れするのだ。

元彼が連れて来る若い娘に、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で悩ましい裸体を披露したダコタ・ジョンソン。17歳という設定だが、さすがにこういう役はお手ものになったらしく、ポールを惹きつけるように裸になるシーンもある。

それに、父親といっているハリーに対しても、何だか近親相姦の間柄のような危険な雰囲気を醸し出しているのもいい。

ところどころに、若き日にハリーとマリアンがロックの遠征でステージに立っている様子が出ているも、それはきっと“ザ・ローリング・ストーンズ”のコンサート風景だと思う。ハリーが、マリアンと復縁したくて強引に割り込んで来るのだが、マリアンはそれに対して拒否することもなく受け入れてしまうのも何だかなぁ~と。

結局はハリーが夜中に酔っぱらって、プールでポールに絡んで喧嘩になり、乱闘騒ぎになるも、ハリーをプールに沈めてしまうという。それが、大騒ぎとなり警察も来て、容疑者としてポールも疑われるも、ズサンな警察の捜査には呆れかえります。もしかして、ポールが殺人犯として逮捕されるなら、弁護士を付けてもと考えていたマリアン。

この島には移民が入り込んで不法滞在をしているという警察。もしかして、夜中にプールで酒を飲んでいるハリーが、移民とトラブルになり殺されてしまったというマリアンが言うのだ。警察もマリアンの大ファンであり、サイン欲しさにパトカーで追いかけて来て、ハラハラさせる場面もあるも、事件がうやむやになってしまうということに。
ロケ地が、世界遺産にも登録されているシチリアのパンテッレリーア島を舞台に、泥浴が楽しめる“ヴィーナスの鏡”と呼ばれる湖なども物語の中に含まれている。それに、強烈な太陽と、ザ・ローリング・ストーンズの音楽がふんだんに流れていて、嫉妬と快楽が交錯していく展開がスリリングで良かった。
そして、スタイルのいい、ティルダ・スウィントンが着ている、ディオールのリゾートファッションが美しいく映えており、ゴージャスなサスペンス映画になっている。

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私の少女時代-Our Times-★★★

2016年12月21日 | アクション映画ーワ行
本国台湾で2015年のナンバーワン・ヒットに輝いた青春ラブ・ストーリー。90年代の台湾を舞台に、アイドルに夢中の平凡な女子高生が、イケメン優等生と不良学生との間で思いがけず繰り広げる甘酸っぱい三角関係の行方を、ピュアかつノスタルジックに綴る。監督はこれまで数多くの人気TVドラマを手がけてきた女性プロデューサーで、これが初監督となるフランキー・チェン。
あらすじ:90年代の台湾。香港の人気スター、アンディ・ラウとの結婚を夢見る平凡な女子高生、リン・チェンシン(ヴィヴィアン・ソン)。学校でも学園の王子さま的存在のイケメン優等生・オウヤン(ダレン・ワン)に憧れを抱いていたが、彼女には手の届かない高嶺の花。しかも欧陽には才色兼備の学園のマドンナ敏敏(ミンミン)というお似合いの相手もいた。そんな中、“不幸の手紙”がきっかけで、学校一の不良・大宇(タイユィ)に目を付けられてしまう真心だったが…。

<感想>女学生を主人公にした台湾の青春映画。どうしてこうも初々しくて可愛らしいのだろう。何よりもコメディ感覚にあふれているので楽しい。少女時代はまだ異性を、セックスを知らない特別な時期とすれば、台湾の青春映画の少女たちは、その少女時代の真っただなかにいる。異性を知る前の、短く、儚い少女時代を揺れ動きながら生きている。

女学生の制服はたいて真っ白のブラウスであって、清潔感がある。よく自転車に乗るし、学校のプールや王城が秘密の遊び場になる。アイドルや同級生の美少年に憧れる。やがて大人になってゆく少女たちが、つかの間の思春期をかけがえのない時間として懸命に生きるのだ。主人公を演じるヴィヴィアン・ソンは美少女ではないが、隣の女の子らしい愛らしさがある。学校の中では目立たないその他大勢の一人。バサバサの髪でメガネをかけている。アンディ・ラウに憧れていて、まだ恋愛と憧れの区別がついていないのだ。

成績は悪いし、失敗ばかりしている。しかし、いたって気はいい子なのだ。「幸福の手紙」実際は不幸の手紙をもらい、それを嫌な教師や男子生徒に人気のある美少女に「不幸になれ」と回すあたりは、笑わせてくれる。すぐに犯人とバレるのだから。

この三枚目の女の子が、学校一の美少年と不良学生の間で心ゆれるようになっていく。日本の少女漫画によくみられる展開で、新鮮味はないが、女の子がふってわいた幸福にどうしていいか分からずに、おろおろ混乱する様子が愉快なのだ。恋心を知った彼女が、おしゃれをするようになり、日本の女性誌を参考に変身する。おかっぱの似合う可愛い女の子になってしまう、それは上野樹里に似ているではないか。

大人になった彼女が、高校時代を思い出すという回想形式をとっているが、その為に戯画化されているいるのが納得できるのだ。高校時代は90年代らしい。1987年の戒厳令は解除されているが、学校はまだ規則が厳しくて、生活指導教官が生徒の生活にうるさく介入するのだ。
本作は台湾、中国や香港などアジア中の女性から圧倒的に支持された。その理由が女の子が感じていること、言いたいことをたくさん代弁しているからだと言う。「女の子の大丈夫は、大丈夫じゃない。何でもないは、大ありなの」と、台湾でこの言葉を使うと、それって「私の少女時代」からでしょ。って笑ってもらえる。

ダレン・ワンが、ヒロイン演じるヴィヴィアンのところへ、深夜駆けつけるシーンでは、特に若い男性の観客は覚えておいた方が将来役に立つかもしれない。
映画製作の中心である40代や50代の人々は、みんなよほど痛い目にあってきたのだろう。その意味では、本作は過去の台湾映画のよいところを集めた映画のようなところもある。
それに対して生徒たちが抗議をしてゆく場面では、台湾の民主化の過程で次々に起きた学生運動を思わせる熱気がある。この映画は、その舞台である「90年代」に捧げたところがある。民主化が進み、経済が成長し、社会に活力が溢れて若者が前向きだった。作った人たちの青春は、きっと90年代にあったのだろう。
だが、主人公たちの気持ちが観客には判っているのに、延々と繰り返し盛り上げるのはちとクドイし、長すぎると思った。アンディ・ラウが本人役で現れるラストは洒落ているよね。

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クリステン・スチュワート、ロストガール★★

2016年12月20日 | DVD作品ーか行
『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part1』をはじめ、『トワイライト』シリーズのベラ役で一躍スターダムにのし上がり、今や若手No.1女優となったクリステン・スチュワート。他の様々な作品に出演しつつも、どことなくお嬢様イメージの強かった彼女だが、だいぶ前にDVDが発売となった映画『ロストガール』では、何と10代のストリッパー役に果敢に挑戦している。
あらすじ:娘を亡くした中年男ダグ。彼は仕事で訪れたニューオリンズで、娘と同じ年頃のマロニーと出会う。10代ながら身寄りもなく、ストリップと売春で生計を立てているという彼女を、放っておけないダグは、「体の関係はナシ」という条件で金を払い、更生させようとするが、・・・。(作品資料より)

<感想>劇場未公開作品。「ブランケット&マクレーン」に続いて監督2作目となるジェイク・スコットは、巨匠リドリー・スコットの息子。本作では「トワイライト」シリーズの若手女優クリステン・スチュワートが主演に、「ザ・ソプラノズ」のジェームズ・ガンドルフィーニと、「ザ・ファイター」のメリッサ・レオというベテラン演技派が共演した感動のヒューマンドラマ。原題が「Welcome to the Rileys」ライリー家にようこそって、平凡なタイトル。だからなのか、邦題とパッケージを目立つようにしたのですね。
「トワイライト」シリーズで一躍トップスターに躍り出たクリステンでしたが、最近はあまりハリウッド映画では観ることができません。たまに未公開のDVDで発見するのですが、もっと活躍して欲しい女優さんです。
娘を交通事故で亡くし、それ以来妻は外出することを嫌い、一歩も外へ出ない。そんな奥さんに愛想をつかし、近場のレストランの女と浮気をしていて、仕事でニューオリンズへ一緒に行こうと誘う。家の中から出たがらない奥さんは、そんなことになっているとは気付いていない。だが、その浮気相手の女が急死する。

仕方なく仕事仲間と一緒にニューオリンズへと、そこでストリッパーのマロニーと出会う。クリステン・スチュワートが10代の娼婦役に、親の愛を知らずに育ち、売春で生計を立てているストリッパーという役を、影のある荒んだアバズレ女の表情を見せながら、ダンスも披露する。
そのマロニーを見て、亡くなった自分の娘に似ていることから、生活の面倒をみるようになるのだが、彼女にしてみればテイのいいパトロンと思っている。アパートを借りているのだが、部屋の中は汚いし、洗濯物も、キッチンの荒い物も、それに一番汚かったのがトイレ。やはり女性は、台所とトイレは奇麗にしないとね。
掃除用具を買い求め、太めの中年おじさんが、自らトイレ掃除をする姿には感心しました。そんなおじさんの姿を見ても素知らぬふりの彼女。普通の娘のように清潔にして、言葉使いも汚い言葉を使うなと叱るも、うるさい「あんたは父親じゃない」と、けんもほろろだ。
中々帰ってこない夫からの電話、暫くこっちにいると言う。さては女でも出来たのだろうと、やっと家から外へ出る決心をする妻。車の運転もあっちへぶつけ、こっちへぶつけと危ない。それでもやっと夫のいるニューオリンズまでやってきた。
妻のそんな勇気に驚く夫は、妻を迎えに行きマロニーを紹介するのだが、亡くなった娘みたいな女と一緒に住んでいるのを見て怒ってしまう。それでも、夫の話を聞き、自分も力になろうと決心する奥さん。
女は女の体の悩みとか、ダグに言えなかったことを相談するマロニー。洋服や下着を買いに行き食事をして、家族のように見えるのだが、・・・いつまでもそんな生活が続くわけもなく、またもや売春で警察に捕まるマロニー。その帰り道、「私は娘じゃないわ、今さら無理」と逃げる彼女。
仕方なく夫婦は帰ることに、お隣さんに彼女に渡してくれと、お金とスーツケースを預けて。それから2週間後に、彼女から電話が、「お金ありがとう、これからラスベガスへ行く」と言う。
夫婦が娘にしてあげた親切は、彼女に自分の意思で人生も変われるんだという、勇気と希望を持たせたのですね。これで立ち直って真面目に働けばいいのだが、どうでしょうね。クリステンのストリップシーンは見られませんが、それでもヤンキー姉ちゃんぶりを発揮しての演技には、「ハマっているんじゃない」と感じましたね。
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ペルシャ猫を誰も知らない★★★・5

2016年12月20日 | DVD作品ーな行、は行
『酔っぱらった馬の時間』などの作品で、クルド人が置かれている過酷な状況を描いてきたバフマン・ゴバディ監督。本作は、今までの作風とはガラリと趣を変え、大都市テヘランで音楽に生きる若者たちを描いたセミ・ドキュメンタリー風の作品。イランでは音楽や芸能は政府によって厳しく統制され、コンサートを開くにもCDを出すにも、検閲を受けなくてはならない。
主人公2人を狂言回しにテヘランの現在の音楽シーンを次々に見せてくれる本作だが、知れば知るほど、いかに自由がないか、とくに表現者にとって厳しい世界かを私たちは知る事になる。その姿は、イランで自由に映画が撮れないゴバディ監督の姿に重なる。実際、本作を最後に、監督はイランを後にしたという。
あらすじ:ネガル(ネガル・シャガギ)とボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)は、テヘランでバンドを組んでいた。だが、音楽の自由のないイランでインディー・ロックを続けることに限界を感じていた二人は、ロンドンで演奏したいと夢見るようになる。何よりも国外に出るためにはアシュカンのパスポート取得が先決で……。(作品資料より)

<感想>謎めいたタイトルだが、その真意を知れば誰しも作り手の切羽詰まった表現者としての苦悩を理解するに違いない。その作り手とはイランとイラク国境のクルド出身のバフマン・ゴバディ。「酔っ払った馬の時間」、「亀も空を飛ぶ」で知られる監督である。
舞台は現代のテヘラン。クルドを描き続けた監督が次に選んだのは、当局の目をかいくぐって音楽活動を続ける若者たちの群像ドラマ。演奏許可が下りないテヘランを離れて、ロンドンで公演することを夢見る二人組のロッカーが、便利屋と手を組んで違法なパスポートやビザを手に入れるために、バイクに乗って街を走り回る。

そこから見えてくるのは、自由であるべきはずの音楽活動を禁じる政府の理不尽な圧力であり、それに果敢に抵抗するミュージシャンたちの悲痛な叫びである。興味深いのは、彼らの不自由な活動を逆手にとった強烈な風刺の姿勢。彼らが訪ねるラッパーは歌う。「この国では金が第一、第二に神と、・・・」政府が目をひんむくような台詞が続くが、その風刺も結局は悲劇的な結末になる虚しさに怒りが込み上げてくる。
一応フィクション仕立てだが、実質「テヘラン音楽」の活動を抑圧された世界でこそ、人間の中の“ロック”が目を覚ます。イランのアンダーグラウンドに、こんな多様で豊かな音楽シーンが広がっているとは知らなかった。

しかも文化規制があるため基本的に非合法なのだから。だが、若者たちは隠れてビートルズ、ジョイ・ディヴィジョンやストロークス(ポスターやTシャツが登場する)などに親しみ、ロックバンドを組む。牛小屋でメタルを演奏する連中もいれば、「ここはジャングル、食うか喰われるか」とフロウをぶちかますラッパーもいる。
そして独特のブルースを絶唱するミルザーってバンドのおっさんシンガーのド迫力さ。
これは単なる反対制ミュージシャンの記録ではない。ゴバデイ監督自身がテヘランでの、映画作りで遭遇した自らの体験を基に、その苦しい胸のうちをミュージシャンに託して、1本の映画にまとめたいという本物のパンク魂、ここにあり!
公安の目を盗んでゲリラ的に無許可撮影を続けた監督は、本作を最後に亡命。むろんイランでは映画も未公開です。
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ホームカミング★★★

2016年12月20日 | DVD作品ーな行、は行
仕事一筋に生きてきた男が定年退職後、かつては理想の町と呼ばれながら現在は老人街と化した町に活気を取り戻そうと、町おこしに奮闘する人情喜劇。高齢化するニュータウンを舞台に、セカンドライフを送る人々への応援歌を、「金曜日の妻たちへ」「理想の生活」の飯島敏宏監督が涙と笑いで描き出す。主演は、バラエティー番組などで活躍し本作で映画初主演を果たす高田純次。そのほか高橋惠子、竜雷太、黒部進らベテラン共演陣が脇を固める。
あらすじ:仕事一筋に生きてきた鴇田(高田純次)は、定年後は妻と共に第二の人生を過ごそうと張り切っていた。しかし、かつては理想の町と呼ばれ有名テレビドラマの舞台にもなった町は、今や平均年齢68歳の老人街と化していた。町に活気を取り戻すべく、鴇田は地元で出会った同世代の仲間たちと町おこしのお祭りを実現させようと奮闘するが……。(作品資料より)

<感想>これって2010年に劇場公開された作品なんですね。WOWOWで見ました。何だか同世代の主人公の生き方に、感動してしまって、と言うのも現在住んでいる町内会も高齢化が進んで、町内会の会合に参加する人達の顔ぶれも平均年齢70歳過ぎの方々ばかり。
その子供たちはというと、子供時代を過ごした故郷から離れて転勤をして行き、現在はついの棲み家としてその土地に新しい家を購入してそちらへ住んでいるのが現状です。
この作品の主人公は、定年退職後初めて町内会の会合に出て現実を知ったわけで、自分たちの手で何とか活性化させなくてはと、立ち上がったのですね。
主人公が高田純次さんなので、いつものイメージでいい加減でお笑いタレントだと思って見ていたら、結構真面目に演じて物語も人情ドラマのようになっています。

町おこしのためお祭りをすることがメインなのですが、そこに行きつくまでに誘拐事件とか、地域での細かい出来事に振り回され最後まで引っ張られていきます。
物語の展開はまるでサスペンス劇場のような、そんな雰囲気もありますが、しかし一戸建てに住んでいる方々の近所のお話で、地域の自治会などに参加したことがある人にとっては何となく気が付くはずです。
他愛もない日常の出来事を描いていく物語は、いつも見慣れているテレビドラマのようでもあり、でも本筋は町おこしのお祭りで、日本の懐かしい昭和の時代が戻ったようなノスタルジックな印象を受け、心がほっこりと温かくなるような感じがした。

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五日物語-3つの王国と3人の女 ★★★★

2016年12月19日 | アクション映画ーア行
「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督が17世紀初頭に書かれた世界最初のおとぎ話『ペンタメローネ 五日物語』を映画化した大人のファンタジー・ドラマ。3つの王国を舞台に、自らの欲望に絡め取られた女たちが辿る恐ろしくも奇想天外な物語の顛末を、幻想的な映像美で描き出す。出演はサルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリー。
あらすじ:3つの国が君臨する世界。ロングトレリス国。不妊に悩む女王を心配した国王は“魔法使い”の助言に従い、自らの命と引き換えに海の怪物を仕留める。怪物の心臓を食した女王は、たった1日で男の子を出産するのだったが…。ストロングクリフ国。人目を避けて暮らす老婆の姉妹。好色な国王は偶然耳にした姉の歌声に心奪われ、若く美しい娘に違いないと思い込む。やがて不思議な力で若さと美貌を取り戻した姉は、王宮へと召されるが…。ハイヒルズ国。まだ見ぬ大人の世界に憧れを抱く王女。早く結婚したいと国王にせがむと、なんと醜い巨漢男に嫁ぐハメになってしまうのだったが…。

<感想>西洋のお伽噺がもつ怖さがたっぷりの物語です。大道芸人の見世物に始まり、イタリアに実在すると言われる、3つの古い王城へと不思議な事件が次々に展開していく。画家の出身だというマッテオ・ガローネ監督は、ロケ地の選択も怪物の造形も見事であり、3つの王国の物語が絡みあって展開され、残酷、背徳、恐怖、不条理、不思議、失笑、美醜といった、アレコレがぎっしりと詰め込まれた、まさに残酷絵図の仕上がりになっていた。

最初の話が、サルマ・ハエック扮する王妃が、不妊に悩み魔法使いの要れ知恵で、国王自らの命と引き換えに海の怪物を仕留めて、その怪物の心臓を調理場の処女の女に調理させて、王妃に食べさせれば妊娠するということなのだが。

王様は、王妃が子供を欲しがるので仕方なく海の中にいる怪物(真っ白いシーラカンスのような)を生け捕り、陸へ上がるとすぐに息絶えてしまう。王妃のサルマ・ハエックは、魔法使いの言葉を信じて妊娠するために、ガツガツと顔を血まみれにしてその怪物の心臓を食べるのだが、じつは調理の女は処女じゃなくて、腹ぼての妊娠していた女だったということ。
怪物の心臓を食べて1日で男の子を生み、喜ぶ王妃。しかし、調理場の女も男の子を生んでいた。それが王子とそっくりで、まるで双子のようで、大きくなると仲良く遊び、母の王妃が亡くなったら、王子はそのそっくりの召使の子供と一緒に国を治めようと誓う。母親の王妃は、王子とそっくりな召使の子供を見つけて、城の外へ旅に出るように命じる。だが、王子がその後を追いかけて、連れ戻そうとするも、召使の子供は崖の洞穴にいる怪物に襲われたりして、でも勇敢に戦って何とかそこから抜け出し、そこへ王子が助けに来てくれるという物語。

2番目が、皺だらけの老婆の姉妹が歌を歌っていると、その美声に聞きほれる王様。その王様には、ヴァンサン・カッセルが扮していて、どんな時代でも、どんな世界が舞台でも、破廉恥な役柄を完璧にこなすヴァンサン・カッセルのブレのなさに感服してしまった。

いつも愛人たちを侍らせては酒を飲んでいる。どんな女でも自分に従うというおバカな王様で、村の女の美声に惚れ込んで恋をする。

どうしても城へと、ベッドに連れ込もうとしたい王様は、あの手この手で通い詰めやっと闇夜に紛れて王様のベッドへと来るのだが、どうしても女の顔を見たくてローソクの明かりで照らすと、それが醜い老婆だったので、窓から森の中へと投げ落とすのだ。


落とされた老婆は、運よく木に引っ掛かり助かったのだが、そこへ魔法使いが現れて、老婆を若い美人に変身させてくれる。ある日森の中で、狩猟にでていた王様が、その美女を見つけて一目惚れをして、お城で結婚式をするので、老婆に招待状と素敵なドレスが届けられる。

城へ行ってみると、その美しい王女は、なんと自分の姉の婆さんではないか。驚いて自分も若い美人に生まれ変わりたいと願い、街の職人に宝石を上げるので自分の皺皺の婆を何とか若い肌に作り変えてくれと頼む。

それが、まるで血だらけで皮だけはがれた醜い女になっていたのだ。それに、お城の姉も、次第に化けの皮がはがれて皺皺の老婆に変わっていくという話。

3つ目が、王様と娘という国で、若い王女が結婚をしたいと願うも、王様は自分についていたノミを可愛がり、まるでペットのようにエサをあげて大きく育てて、ノミの寿命なのか死んでしまう。それで、そのノミの皮を剥いで壁に掛けて、その皮が何の皮なのか当てたら娘の婿として認めるというのだ。

たくさんの婿候補が来るも、誰も当てることが出来ない。そこへ来た汚い怪物のような男が、ノミの皮だと当ててしまう。王様は、約束だからと、娘をその怪物に嫁入りさせてしまう。なんてバカで横暴な父親なんだろう。その怪物から逃亡を試みる王女の話も面白かった。

たぶんかなり脚色されているのだろうが、お伽噺のフォーマットはやっぱり引きが強い。いずれも怪奇でホラー性が充分だけれども、女性としてはイマイチ気味が悪いし、そこまでして嫁に行かなくても。
観終わってみると、希望を託されているのは、みんな若者たちだったということで、怪物の造形を含めた美術、お城の周辺でのロケーションに魅力を感じつつ、撮影がクローネンバーグ作品で知られるピーター・サシツキーである。
VFX全開のヴィジュアルがこれでもかと繰り出される大作が、ファンタジーの主流となっている現在だからこその映画。

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ドント・ブリーズ ★★★★

2016年12月17日 | アクション映画ータ行
リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督が再びサム・ライミ製作の下で撮り上げた戦慄のサスペンス・スリラー。盲目の老人の家に盗みに入った若者3人が、相手の思わぬ反撃に遭い、逃げ道を塞がれた真っ暗闇の家の中で想像を絶する恐怖に見舞われるさまを緊張感あふれる筆致で描き出す。出演は若者3人に「死霊のはらわた」のジェーン・レヴィ、「プリズナーズ」のディラン・ミネット、「イット・フォローズ」のダニエル・ゾヴァット。彼らを恐怖のどん底に突き落とす盲目の老人に「アバター」のスティーヴン・ラング。
注意:全部ネタバレで書いてます。結末を知りたくない方には、ご了承下さい。

<感想>この映画は、観る者の価値観をゆさぶる作品であります。この映画がホラー・サスペンス・スリラーの境界にまたがるような、快作となっているのは、良い感じの節度と思慮深さがあったからだろう。とても思慮深い、恐怖の88分でした。いったい、正しいのは誰なのか?・・・。
舞台はデトロイトであり、空き家だらけの街並みに一軒だけ残る小さな家。かつて、交通事故で娘を亡くし、その賠償金を貯め込んでいるという噂の家に、コソ泥まがいの空き巣を繰り返してきた主人公の若者3人が忍び込む。

物語の中心が、この人生に行き詰った3人の若者、ロッキー(ジェーン・レヴィ)にその恋人アレックス(ディラン・ミネット)、そしてマニー(ダニエル・ゾヴァット)である。この3人、リーダーはマニーのように見えるのだけれど、実際はロッキーを中心に成り立っているよう。何故なら、彼らが盲目の老人(ダニエル・ゾヴァット)の家に忍び込むきっかけを作ったのがロッキーだから。彼女の両親は、生活能力がなくて、妹の世話をすべてロッキーに任せっきりだから。ロッキーはこの荒廃として街デトロイトを、そして両親から離れて妹と新たな人生を歩み始めるために、資金が必要だったから。

この3人の関係性は非常に興味深い。例えば老人の家に侵入する時に、率先して動くのがロッキーで、よじ登って天窓をこじ破り、スルリと身を家の中へと入り込む。そして、玄関のドアを開けて2人を入れる。いくら、アレックスが「やめろ」と言っても彼女は進んでやってしまう。
こうして、彼らは出口の見えない闇に足を踏み入れていくのだ。ここで重要なのが、彼らの生死を決めるのは老人ではなく、ロッキーだということ。もちろん老人は彼らにとって危険な人物であり、命がけで何かの秘密を守ろうとしている。
けれども、前に進むか否かを決めるのはロッキーであるから。彼らは絶妙なバランスで成り立っているに見えるのだが、観ている観客としては、男2人が泥棒として頑張らなくてはと思っていた。

物語の前半では、確かに彼らは強盗で悪人、老人は被害者で正しい人間に見える。だが、まともに働かないでいる3人は、強盗という犯罪を犯しているわけであり、盲目の老人の家には賠償金が金庫にあるという情報を元に大金をゲットして「人生の一発逆転だぜ!」と目論んでいたのだ。
しかし、彼らのそんな甘い考えが、軍隊帰りの老人の屈強な肉体と超絶な聴覚、そしてサイコパスな罠の数々が、無情にたたき潰していくわけ。それに獰猛な番犬が、狂犬病みたいで怖かった。この設定だけでも、ゴアな描写がいくらか思いつけそうなのだが、拍手したいのは、アルバレス監督が優先したのが何よりもリアリティだったと言うこと。

ようは老人がどのくらいモンスターに設定するかという点であり、そのさじ加減はかなりヘビーであった。ホラー映画の定石として、得体のしれない凶悪な人気キャラが生まれれば、それは次回作でも商売の可能性に繋げるからである。
しかし、男のマニーが拳銃を持っており、それを老人に向けるのだが、感が鋭い老人は反対にその拳銃をもぎ取り、マニーを撃ち殺してしまう。それを見た2人は驚き、逃げるのだが、ただ逃げては損だとばかりに、女のロッキーが金庫を見つけて札束をリュックに詰め込み、それに恋人のアレックスがロッキーが危険なのを察知すると、老人の目を自分に向けるという連携プレイ。
地下室を見つけてそこへ逃げ込むロッキーだが、そこで発見したのが、老人が交通事故で娘を死なせた容疑者の女で、親が示談金を払って罪を逃れたらしい女の子。死んだ自分の娘と同じくらいの女の子を誘拐拉致して地下室へ閉じ込めていたわけ。

それだけで済めばいいものが、じつは変態爺で、その女の子に自分の精液を冷蔵庫の中に保管しており、女の子をレイプして妊娠させたくないと、自分の精液をその女の子に注入して妊娠させたというわけ。これには、観客もびっくらこくし、ドン引きですよ。盲目の老人の家に強盗に入って、なけなしの金を盗むなんて最低なやつらだと思っていたのに。
このラストの締めくりが、どうなるのかとかたずを呑んで見守る中、ロッキーが女の子を助けようと、地下室から外へ出る扉をこじ開けると、そこには老人が待っていて、拳銃で撃ってくるではないか。そして、その拳銃の弾に当たって死んだのが、その誘拐されて監禁され、妊娠をしていた女の子。だから、老人はそのお腹の子供が自分の子供で、生き甲斐に育てようと思っていたわけで。誤って撃ち殺してしまった女の子の代替えにと、ロッキーをはがいじめにして、その女の子の身代わりに老人の子供を妊娠させようと、必死になって冷蔵庫から自分の精液を出し注入しようとする。もちろん、銃で殺された監禁娘は、地下室の床板を開けて、そこへ埋めてしまうのだ。

飛んだエロ変態爺の結末はと、そう、アレックスがまだ生きていて、ロッキーを助けに来るのね、でも老人を襲うも自分が老人にヤラレテしまい殺されてしまう。その間に、ロッキーが逃げるんだけど、見つかって連れ戻されるも、盲目の老人の弱点を使って、ロッキーが金を持って、何とか逃げ出すのであります。

空港にいる助かったロッキーと妹が映し出され、TVでは盲目の老人の家に2人組の強盗が入り、老人が拳銃で殺したということが報道されて、老人は病院で健康な体に戻ったということで終わるのだが、絶対にこの老人は、ロッキーを探して仕返しをすると思うよ。
ラストで、盲目の老人がまさか女子を監禁して妊娠させていたことに、観客は決して老人に対して同情はしない。助かったロッキーにしても、盲目の老人の家から、賠償金100万ドルを盗み、その金で妹と2人でロスで新しい暮らしをするのも、何だかなぁ~。それでいいのかいと、観ていて吐き気がするほど嫌ぁ~な感じが残ってしょうがなかった。
映像にしても、小さな一軒家の中で、夜中であり、行われるアクションにもかかわらず、色彩や構図は美しく、音響も絶妙なる緊張感で惹きつけるホラー・サスペンスもの。まるでスマホで自撮りをしているようなローファイ映像であり、パニック感を煽る安易な風潮とは一線を画していると感じた。
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