パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

セインツ 約束の果て ★★★

2014年05月31日 | アクション映画ーサ行
1970年代のアメリカはテキサスを舞台に、強盗と妊娠した女性、彼女に恋焦がれる保安官の3人の愛と運命を壮大な自然と共に描くドラマ。一人で娘を育てる女性に、『ドラゴン・タトゥーの女』などのルーニー・マーラ、女性の身代わりとなり刑務所に送られた男性を『ジェシー・ジェームズの暗殺』などのケイシー・アフレック、保安官を『パンドラム』などのベン・フォスターが演じる。監督を務めるのは、本作が長編2作目となるデヴィッド・ロウリー。3人の男女の静かにかつ熱く交錯する思いの行方が胸を締め付ける。
あらすじ:ルース(ルーニー・マーラ)が妊娠し、一緒に窃盗などを繰り返してきたボブ(ケイシー・アフレック)とルースはこれを最後にしようと銀行を襲うも、ルースが拳銃で放った弾丸が保安官パトリック(ベン・フォスター)に当たってしまう。そこでボブは、ルースの身代わりとなり投降し刑務所へ。4年後、娘を育てるルースのもとに、ボブが脱獄したとの知らせが入る。そのころボブは危険を冒し、ルースのもとへ向かっていた。

<感想>ベン・アフレックの弟でもあるケイシー・アフレックのファンです。あのしゃがれ声が痺れます。今回は人間味溢れる小悪党を演じているのもいい。それにルーニー・マーラが、気丈で一途な妻役を悲哀たっぷりに演じているのだ。
その彼女を愛してしまう保安官に、ベン・フォスターといった名優たちが、現代版「俺たちに明日はない」のような、アメリカン・ニューシネマの匂いを放っている。
広大なテキサスの田舎町を舞台に、詩情豊かな映像で綴った、埃っぽくてロマンに満ちたクライムドラマになっている。

登場人物がみんな、芯に誠実な心を持っている。破滅的な愛は、すなわち命がけであり、たとえ着地点が予測不可能でも、それが美しく感動的に物語を織りなしていく。
ボブが脱獄をした後に、あの銃撃戦のあった農場へと向かいます。その廃墟のような農場の天井裏に住み着き、樹の下に埋めていた金を掘り当てて、妻とまだ見ぬ娘と3人で何処か遠くへ逃げようと計画していたようです。

「誓う愛」の物語、愛ゆえに男は脱獄し、死にもの狂いで2人の元へと向かう。しかし、保安官や彼に恨みを持つ殺し屋がボブを執拗に追跡していたのである。
女は子供を守る母親となる。時代も状況も、垂れこめる雲のような独特の撮影と相まって不思議な色を帯びて、寄る辺なき人々を包み込みます。柔かい自然光を生かした撮影が素晴らしいですね。

ルーニー・マーラを愛する男3人たちの想いが、交錯していく。説明抜きで物語がドンドンと進んでいくのが気持ちよく、一方では、登場人物が口ずさむ誌のようなセリフの美しさに陶酔させられる。ですが、主人公3人の他の人たちのことがあまり説明されていないのが難点です。ボブを追い掛ける殺し屋も、元保安官の隣人スケリットは、ボブとルースの育ての親のような存在なのかなぁ、と想像するだけ。
極めて独特な肌触りの映画であり、キース・キャラダインの登場に、いささか我を忘れかけて、頼れる隣人を寡黙に演じ切るキースの男気にも痺れます。それに、彼は唄も歌うんですね。彼の歌う主題歌も美しく深い余韻を残してくれて良かったです。
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ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中 ★

2014年05月30日 | アクション映画ーサ行
メンバーたちが体を張った過激なパフォーマンスを繰り広げ、一般人を笑わせたり憤慨させ、アメリカのみならず世界中で人気を博すシリーズの劇場版。メンバーのジョニー・ノックスヴィルふんする86歳の男が8歳の生意気な孫を連れ、アメリカを横断しながら大暴れする。監督は、『ジャッカス3D』なども手掛けてきたジェフ・トレメイン。孫の目の前で、はたまた孫と共に、スーパーで万引きをしたり美少女コンテストに出場したり、いたずらの限りを尽くす迷コンビの珍道中に衝撃を受けること請け合い。
あらすじ:アーヴィング(ジョニー・ノックスヴィル)は、86歳のエッチなじいさん。8歳の孫ビリーの父親を捜すために、二人はアメリカ横断の旅に出ることに。スーパーで万引き、結婚式のシャンパンタワーを崩壊、美少女コンテストで孫に下品なダンスをさせるなど、二人が過激で破天荒な行動で波乱を巻き起こす。

<感想>昨年10月のアメリカ公開時に興行収入1位を獲得したという、オバカで、破廉恥で、下ネタ満載のドッキリ、悪ふざけの作品です。主役のジャッカスを演じるジョニー・ノックスヴィルは、前にも「ジャッカス・ザ・ムービー」で演じていたノックスヴィルが、今度はフィクションを加えた内容。特殊メイクでヨボヨボのお爺ちゃんに変身、メイクを担当したのが「ダークマン」のメイクをやっていたトニー・ガードナー。
42歳の彼が、余りにも見事な老けメイクに、破天荒な老人がイタズラをしてドッキリをやる行為に、皆が騙され呆気に取られるシーンが続出ですから。

冒頭のシーンでは、爺ちゃんが病院の待合室で待っているところへ、医師が現れ妻の死を告げる。それを聞いていた隣の老夫人が、気の毒にと思って居ると何気に老人は立ち上がり、これでワシは自由になった。これから女とじゃんじゃん遊びハメを外せると大喜びだ。驚き呆れかえる待合室の人たちといった具合に、この爺ちゃんが素人さんたち相手に、常識をフライングしたイタズラを次々と仕掛ける、ドッキリ映画である。
物語は、ロードムービーで、娘が薬物中毒で刑務所に入り、その子供、孫を連れて父親のところへ送り届けるために、アメリカを車で横断するという。それに亡くなった奥さんの遺体を、車のトランクの中へ入れての珍道中だ。どうやら、葬儀の最中に娘が孫を連れて来て、葬儀がメチャクチャになり追い出されたらしい。

フィクションなのだが、その道中でやりまくる数々の悪戯やドッキリはすべてガチ、という塩梅だ。そうするとどうなるのかって、たちの悪い感じになっているので、こういう手合いの映画を好む人には受けるかもしれませんが、私にはどうも前に観た「ムービー43」と同じく引いてしまって笑えなかった。館内には客のまばらで、笑っている人はいないのだ。アメリカ人には受けるのだろうが、日本人好みではない。

内容も、もの凄くえげつなくて、下ネタ満載で、マーケットでパンにハムとかその場で食べ始めて証拠を失くせばいいとか、レストランでは食事の最中にオナラの連発、それに最後は中身が出てきたと壁に○○チをぶちまける始末。公共の施設で、小さい孫を連れて、こういった行いはどうかと思います。
エンドクレジットで、民間人の前でこういう無礼な態度は、いくらボケ老人だと偽っても許されません。監督さんとか謝ってましたが笑えませんから。
いくらか微笑ましい映像は、孫を使ったナンパとか、遊戯用の子供の乗り物がぶっ飛ぶ所、それに「リトル・ミス・サンシャイン」の真似なのか美少女コンテストに男の孫が参加して、化粧が上手いのか金髪カツラと、ピンクのドレスが似合っていてダンスを踊るシーンなどが良かった。

父親に引き渡すシーンも、ジーンときちゃったけれど、父親は児童手当が目的で引き取るのが見え見えで、その場所へ児童愛護協会の面々がいたのが良かった。でも、いくら人形でも婆ちゃんの遺体を、川に捨てるのはどうかと思う。
何だか、普通の人たちがみんなデブデブで、太った人ばかり出ているのが笑いを取るためなの、太っている人たちは騙しやすいからなのか。
孫を演じた少年は、「ザ・ファイター」でクリスチャン・ベールの少年時代を演じたジャクソン・ニコルくん、実に芸達者でふてぶてしく演じていて、主演のノックスヴィルを喰っていたように見えました。末恐ろしいガキです。
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光にふれる ★★★.5

2014年05月29日 | は行の映画
台湾出身の盲目のピアニスト、ホアン・ユィシアンの実話を基に描く感動作。全盲ながらも類いまれなピアノの才能を持つ青年と、ダンサーを志す女性の出会いを通して、お互いに夢に向かって奮闘する姿をみずみずしいタッチで描き出す。ホアン・ユィシアン自身が主演を務め、相手役を台湾の女優サンドリーナ・ピンナが好演。さまざまな困難を乗り越え、母の愛や友情に包まれて羽ばたく主人公の姿に勇気をもらう。
あらすじ:生まれたときから目が見えないユィシアン(ホアン・ユィシアン)は、台中で花農家を経営する両親と幼い妹と一緒に生活していた。ピアノの才能に恵まれた彼は台北の大学に進学が決まり、母親(リー・リエ)の運転する軽トラックで大学の寮に向かう。視覚障害者を初めて受け入れた大学では、ユィシアンの移動を日直のクラスメートが手助けすることが決まり……。

<感想>台中で静かな田舎の風景の中、両親が農作業をする傍らで、山道の奥を見つめる兄と小さな妹。「誰がやってくるか、どっちが先に当てるか競争しよう」と、ほどなくしてバイクの音がする。その音に、瞬時に誰のバイクか当てる兄と、負けたことを悔しがる妹がいた。
多分いつもこうして当てっこして遊んでいたのだろう。兄は目が不自由なこと、その分聴覚が優れていることで、更にはユィシアンの台北の音大に旅立つその日の、家族との別れの辛さまでもさりげなく伝える冒頭のシーン。

盲目の天才ピアニストの実話に基づく感動作との、ふれこみから簡単には感動しないと、身構えて観ていました。一気に画面に引き寄せられる。この映画は、チャン・ロンジーによる短編「光にふれる」に、感銘を受けたウォン・カーウァイがプロデューサーとして名乗りをあげ、短編をさらに深めて長篇として仕上げたもの。

その物語は、ユィシアンの大学生活を描く過程でも通して変わらず、不安や戸惑いに揺れながらも、周囲の人々とのかかわりによって徐々に自立していく姿を、細やかに、かつ自然に映し出していく。

柔かい画調が、作品世界の優しい感触をうまく盛り上げている。ピアノ演奏に才能を見せる、目の不自由な若者ユィシアン本人を主人公に、飲料水配達の仕事をしながらダンサーを志す、
サンドリーナ・ピンナと親しくなっていくプロセスが描かれていて、フランスの血を半分受け継いでいるというピンナの雰囲気も、この作品に都会的な気分をもたらしているようですね。
感動秘話というよりは、コミカルなシーンやオタク学生たちの胸が熱くなる友情もあり、可愛いらしいカレッジ青春ものとして楽しく観れました。

音楽の力、ホアン・ユィシアンの演奏に心揺さぶられ静かに涙が頬を伝うとは。
最後の音楽コンテストと、ダンスのオーディションが、もうちょっと盛り上がると、もっと良かったのに。

日本にも盲目の天才ピアニストで辻井伸行さんがいます。彼のアメリカでの賞には本当に努力が実って良かったと思いました。ホアン・ユィシアンとどこか似ているようですね。
辻井さんは映画の「神様のカルテ」の、作曲家としてもみずみずしい才能を発揮している音楽家でもあります。彼の演奏するどの曲も、清々しく、音色がいきいきとしたピアノ演奏には驚かされます。ときに優しく、ときに力強く、一歩引いた感じの演奏がいいですね。

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オー!ファーザー ★★★

2014年05月28日 | アクション映画ーア行
重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」などの人気作家・伊坂幸太郎の小説を基にしたサスペンスコメディー。父親を名乗る4人の男と暮らす男子高校生の風変わりな日常と、彼が巻き込まれた監禁事件のてん末を映し出していく。監督は『SHAKE HANDS』などの藤井道人。『偉大なる、しゅららぼん』などの岡田将生が主演を務め、その脇を佐野史郎や村上淳らが固める。父親たちの珍妙なやり取りだけでなく、家族のあり方を見つめた温かなテーマにも注目。
あらすじ:大学教師の悟(佐野史郎)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)、体育教師である勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)と父親を自称する男4人と同居する高校生の由紀夫(岡田将生)。何かと干渉してくる父親たちをわずらわしいと感じてしまう中、彼は何者かに監禁されてしまう。悟、鷹、勲、葵は、一致団結して由紀夫を救出しようとするが……。

<感想>井坂原作作品に出演するのが3本目だという岡田将生。1989年生まれだから25歳になるのに、何故か高校生役が似合う。いつまでもお坊ちゃんらしさが抜けないのか、今作品での岡田くんもなにげにオトナシイ主人公が、不登校の小宮山を訪ねて事件に巻き込まれ拉致されてしまう。

拉致された主人公の由紀夫には4人の父親がおり、彼らが子供時代に由紀夫の誘拐を心配して、当時の脱獄ドラマを真似て、電線を伝って脱出する訓練をするシーンもあり、これが本当に実行することになるとは。しかしですよ、何よりも魅力的なのは、4人の父親のキャラクターなんですね。一婦多夫なんて羨ましい限り!!よほど魅力的なお母さんなんでしょう。
井坂ミステリーの魅力は、バラバラに見える伏線がラストで見事に収束される痛快さにあると思う。今回も御多分に漏れず、由紀夫の周りで起こる様々な出来事の点と点が、最終的に線で結ばれ、驚きの結末に辿り着くわけ。
原作は読んでいませんが、母親は出張中とのことで最後まで出て来ません。その代わり4人の個性溢れる父親が一緒に住み、朝食、夕食を一緒に囲み1日に起きたことを全てお話すると言う和やかさ。夕食後はマージャンをして、殆ど由紀夫が勝というアットホームな毎日が描かれる。

由紀夫が初めて家に女の子を連れて来るという事件的なことも含めて、あれこれと4人の父親が品定めをし、母親が留守がちなので家の中は、元ホストの葵が主夫をこなしている。宿題だって大学教師の悟が教えてくれるし、スポーツは、体育教師である勲がキャッチボール、サッカーとかで遊んでくれる。

由紀夫の友人関係も親である4人が把握しており、柄本明さん演じる街の顔役である富田林が営むゲーセンで、ある男のカバンがすり替えられる現場を目撃する由紀夫。そのことに興味を持ち好奇心から犯人を追い掛ける由紀夫。怖いもの知らずの由紀夫、バスの中でトラブルメーカーの中学の同級生、鱒二と出会う。
テレビでは、地元の知事選挙が行われるために、立候補者が赤羽と、白石で紅白合戦と称される知事選が佳境にさしかかる中、あのカバンすり替え事件がこの選挙と関係があることが判明。

不登校の小宮山のマンションを訪ねる由紀夫が、そのまま拉致され家に帰らない。そのことから4人の父親が不信に思い動き出すのである。物語自体はさして痛快なアクションと、スリル満点なサスペンスなんてものはあまりなく、最後の方で拉致された由紀夫が、マンションでケータイに葵から連絡があり、つい「お父さん」と、今まで口にしたことのない救援信号を発するのだ。

つまり、小宮山くんのマンションの向かいにある部屋に、知事選挙の白石の愛人が住んでいて、小宮山の部屋にいた中年男女は、娘が不可解な心中事件を起こしたことで仇をとろうと、白石が来たところを殺し屋が射殺するということらしい。つまり巻き添えに遭ったということだ。

これが始まりで、4人が動きだし、一番頭のいい大学教師の悟がテレビのクイズ番組に出て、応援の3人の父親が手旗信号で「明日の朝、10時に窓を開けておけ」と、由紀夫に伝達する。
確かに、殺し屋が一人いて拳銃を持っており、1発だけ弾丸が撃ち込まれるが、由紀夫たち人質には怪我人は出なかった。ラストの救出作戦も、3人が「13日の金曜日」のジェイソンみたいなホッケーマスクを付けて、殴り込んでくると言う勇ましさ。子供時代に話していた電線を伝って下のワゴンカーへ降りるという。何ともユニークな4人の父親たちの連携プレイである。
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マンデラ 自由への長い道 ★★★.5

2014年05月27日 | アクション映画ーマ行
2013年12月5日に逝去した元南アフリカ大統領、ネルソン・マンデラの「自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝」を実写化した伝記ドラマ。人種隔離政策アパルトヘイトに挑む闘士から大統領となった彼が歩んだ波瀾(はらん)万丈の人生を、重厚なタッチで映し出していく。メガホンを取るのは、『ブーリン家の姉妹』などのジャスティン・チャドウィック。『パシフィック・リム』などのイドリス・エルバが、マンデラを熱演。実際にマンデラと親交の深かったU2のボノが作品のために書き下ろした主題歌も聴きもの。
あらすじ:人種隔離政策アパルトヘイトによって、白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されていた、南アフリカ共和国。弁護士として働いていたネルソン・マンデラ(イドリス・エルバ)は、そんな差別や偏見が当然のように存在している状況に疑問と怒りを感じられずにはいられなかった。その思いを強くするあまり、彼は反アパルトヘイトを訴えた政治活動に身を投じていくが、それと同時に当局から目を付けられるように。活動は熱を帯び、ついには国家反逆罪で逮捕され、終身刑という重い判決を下されてしまう。

<感想>人種差別撤廃にその人生を捧げ、ノーベル平和賞を受賞した第8代南アフリカ共和国大統領、ネルソン・マンデラ。彼の壮絶な全人生を描いた伝記映画であります。若い頃から反アパルトヘイトの活動家だったプロデューサーのアナント・シン。映画製作を通じて人種差別撤廃を訴えてきた彼は、ネルソン・マンデラについての映画を作る事は、長い間の夢だったそうです。
マンデラ本人も、彼の活動を知っていて、マンデラが獄中にいる時から、文通が始まったとのこと。実際にマンデラと逢ったのは、1990年、釈放されてから2週間後のこと。とてもユーモアのある方で、映画を作りたいと言うと、「私の人生を描いた映画なんて誰が観たいのかな?」なんて言いながらも快く引き受けてくれたそうです。
自伝が発刊されてから約20年、映画化にこれほどまで時間がかかった理由は、子供時代から大統領就任前の波乱に満ちた人生を、2時間余りの映画の中に収めるための脚本作りに膨大な時間を費やしたためだと言うのだ。
記憶にあるのは「インビクタス/負けざる者たち」(09)や「マンデラの名もなき看守」(07)といった人生の一部にフォーカスした作品。あるいはドキュメンタリーなど、これまでマンデラを描いた作品は数多くあります。

しかし、この映画は、彼の全人生を描いているのだ。子供時代をどういう村で過ごしたのか、最初の結婚生活の破綻により何を学んだのか。そういったことはすべて、世界中の人に知られ「ネルソン・マンデラ」になるまでに必要な要素だったからだ。とりわけ、二番目の妻ウィニーとの熱烈なラブストーリーを物語の軸に据えていること。
貧しい村に育ったマンデラは、成人して弁護士になった。だが、人種隔離政策アパルトヘイトによって白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されている状況に疑問と怒りを感じ、マンデラは反アパルトヘイト運動に身を投じていくが、ついには当局から過激な活動に目をつけられ、国家反逆罪で逮捕、終身刑という判決を下される。
その後、27年間の収監の途中で先妻との間にできた息子の死、解放されたネルソン・マンデラは、人種差別運動のアイコンとなり、第8代南アフリカ共和国大統領に就任するのである。
この作品のユニークさは、世界的英雄となったマンデラのプライベートな部分にまで踏み込みこんでいることである。聖人のイメージが強い彼だが、実は人間っぽい部分もあり、女性関係では生涯に3度の結婚も経験。

とりわけ、18歳年下で二番目の妻ウィニーとのラブストーリーは、とてもパワフルでエモ-ショナルだと感じました。この二人の真実の愛は、同時に悲劇でもあったのですね。激しい恋に落ちて結婚した二人ですが、2人の娘を持ち、4年目でマンデラは収監されてしまう。
その後、20年以上も二人は一緒に暮らしていないわけで、自由な身になりウィニーに再会したマンデラは、映画の中の台詞にもありますが「愛していた彼女はいなくなってしまった」ことに気付くのですね。ウィニーが彼を愛するあまりに、彼を釈放さえたいがために、女闘志家として目覚めて民衆を率いる力を供えてしまったこと。長女もそうでしたね。それに、男がいるということも。

ウィニーがあまりにも変わってしまったのかもしれないし、マンデラが会えない間に、彼の頭の中で彼女のイメージを膨らまし過ぎたのかもしれませんね。いずれにしても、自由を得るという最大の勝利の瞬間に、人生で最も大切なものを彼は失ってしまったのですね。これ以上の悲劇があるでしょうか。
しかしながら、27年間という長い歳月で、憎しみを捨て思慮を深めていったマンデラに対して、外の世界で迫害され、夫を救い出すために武力闘争へと傾いていった妻のウィニー。すべては夫への愛ゆえなのに、二人の溝がどんどん広がってしまう運命の皮肉が、あまりにも切ないですね。
彼が最終的に辿り着いた結論は、闘うのではなく「許す」ことを学ぶ姿勢だったのです。敵の立場や心境も理解しようと努めること。それなくしては、あらゆる人種が共存できる平和な世界が実現することはあり得ないと思うようになったことです。
どんな人に対しても分け隔てなく同じように敬意をもって接すること、それが海外の要人でも、ホテルのドアマンでも。彼をネルソン・マンデラとしてたらしめている資質ですが、これも27年間の時を経て形成されたと思うと皮肉ですが、・・・。享年95歳、世界の平和の象徴であり英雄であるネルソン・マンデラ氏に合掌。

インビクタス/負けざる者たち」(09)

マンデラの名もなき看守」(07)

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トランジット ★★★★

2014年05月27日 | DVD作品ーた行
史上最強のタッグが放つノンストップ・アクション。手に汗を握るクライムアクション・スリラーがTSUTAYA限定でレンタル開始。2011年、アメリカ。監督はアントニオ・ネグレ。
制作は、「ダイ・ハード」「マトリックス」の大ヒットシリーズを生んできた、ジョエル・シルバー。家族を救って男になれ、元詐欺師、決死の大爆走!「TSUTAYA」 PBの最新作で劇場未公開作品。アクション・スリラー映画となっていたが、予測不可能なノンストップ・スリラー、これはお得なDVDレンタルでした。
だいぶ前にレンタルしたのですが、今回「大脱出」で刑務所の所長を演じたジム・カヴィーゼル、「シン・レッド・ライン」、「アンノウン」「パッション」にも出ていた彼が、主演を務める体当たりのアクション劇です。
物語は、ジム・カヴィーゼル演じる仮釈放中の男ネイトは、妻と二人の息子とファミリーカーでキャンプ地へ向かっていた。だが、途中で現金輸送車の強奪事件に巻き込まれる。4人組の犯人グループに追いまわされる羽目になってしまう。
と、紹介すると極悪な男たちが、善良なファミリーを追いまわすだけのシンプルな展開を想像するかもしれない。だが、お話はそう簡単には進まないのである。不動産詐欺で捕まり、仮釈放中の男が家族と絆を取り戻すためにキャンプ地に向かっていた。
だが、現金輸送車を強奪した犯人たちが、現金と拳銃を持っているため検問に見つかる。それで、その犯人の中の女が、家族のファミリーカーの屋根の上に荷物を積んでいるのを見つけ、その中に強奪した現金400万ドル(4億)を積みこむ。
検問を難なく通り過ぎ、犯人たちは現金の入ったカバンを取り戻そうと、家族の車を追い掛け始めるのだが、まさか車の上にそんなものが乗っているとは気づかず、カーチェイスが始まり家族の車だけが、警察のスピード違反で捕まり夫が逮捕される。家族はモーテルに泊まるも悪党に襲われ、奥さんがトイレに立て篭もり警察へ通報。それで夫は釈放されるのだが、一難去ってまたもや一難。

妻が車の上にある荷物を調べると、そこには大金400万ドルの札束があり、妻はまた夫が悪事を働いたと勘違いをして、夫と現金を残して車で立ち去ってしまう。
それからが、この男は沼の中を思いカバンを引きずって、ワニが生息している危険地帯。大きな朽ち果てた木の穴にカバンを隠し、自分だけ道路へ出るも、犯人の車が妻たちの車に追い付き現金を出せと脅迫。
夫と共に置いてきたというと、後戻りして夫を見つけるも、現金と引き換えに家族を渡すというが、行ってみると木の穴にはすでに現金はなく、その沼に住み込んでいる男が持ち去ったのだ。
それからが悪党どもから、家族を守るために男が俄然張り切るのだが、意外と弱いのだ。悪党にナタで手の指を切られ、鎖でぶんぶん振り回すも、反対に鎖を悪人に取られて首を絞められるしまつ。
沼の小屋に行くも、その住人も悪党たちの襲撃で撃たれて死亡。その小屋に立て篭もった奥さんの方が、悪党に向かってライフルを発砲したり、札束に油をかけて燃やしたりと勇敢に見えた。息子二人も応戦。悪党と銃撃戦の凄さには半端ない。もうこれって劇場で公開してもいいくらいスリリングで見応えある。
犯人グループの間でも仲間割れがあったりして、夫婦の関係にも暗い過去があったり、状況を把握していない警察が途中で乱入して来たりするので、先の展開がまったくもって読めず、予想外のアクション・シーンが、ほぼノンストップで待ちうけているのだ。
最後の最後まで目が離せないハラハラ、ドキドキ感が最高です。ラストの悪人と言うと、仲間の女が脚を骨折しているので邪魔になったのか後ろを向かせて銃で撃つ。そして、夫が小屋の前で闘うのだが、悪党の運も尽きたのか、床に転がった際に後頭部を床から出ていたクギで打つというあっけない最後だった。
奥さんのマリエルには「テキサス・チェンソービギニング」のディオラ・ベアード、マレック役に「トロン・レガシー」のジェームズ・ブレインが熱演しております。
最先端のCGをふんだんに使ったハリウッド超大作アクションももちろんいいけれど、やっぱりたまには、タフでソリッドなB級スリラー映画の良作も見たいですよね。という気分の時こそ是非ご覧ください。期待外れだという思う貴方に、絶対に損はさせませんから。
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unknown/アンノウン

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グランドピアノ 狙われた黒鍵 ★★★

2014年05月26日 | アクション映画ーア行
『ロード・オブ・ザ・リング』などのイライジャ・ウッドを主演に迎え、コンサートの舞台で孤軍奮闘する天才ピアニストの姿を描くサスペンスドラマ。約5年ぶりに戻ってきたステージ恐怖症のピアニストが、謎の狙撃手に難曲をミスなしで完奏するよう脅迫されながらも必死で相手に食らいつく姿を活写する。声だけで主人公を操る男を、『推理作家ポー 最期の5日間』などのジョン・キューザックが好演。観客が注視する中、水面下で展開する緊迫感あふれる駆け引きに熱狂する。
あらすじ:世界屈指の若き天才ピアニストのトム(イライジャ・ウッド)は、およそ5年ぶりの復帰公演のためシカゴ空港に降り立つ。彼は人気女優の妻エマ(ケリー・ビシェ)に励まされながら、今は亡き恩師の追悼コンサートへの参加を決めたものの、すぐに後悔し始める。トムは観客で満席のホールを前に尻込みするが、勇気を奮い立たせてステージへと上がり……。

<感想>イライジャ・ウッド主演によるサスペンスドラマである。天才ピアニストの演奏会に、射殺の脅迫が絡むサスペンスドラマと言うので、期待したのだが、出演当日どころか、コンサート間際にシカゴに飛行機で着いたという天才ピアニストのイライジャが、オヘア空港から迎えに来たリムジンの中で、慌ただしく舞台用の衣装に着替えをするというところからしてシラケムードでした。もうこれで、お話に乗れなくなってしまうのだ。
5年ぶりの大舞台という設定なのに、それに、狙撃者の脅迫なるものも、もっときっちりと描いて緊張感を盛り上げて欲しかったと思います。

それに、ベーゼンドルファー社の通常にはない鍵盤のあるグランドピアノ、恩師が所有していた特別のピアノが舞台に搬送されて置いてある。そのピアノを弾く奏者は、亡くなった恩師と可愛がられていた弟子のトムの二人だけというのだ。スナイパーからのメッセージが、楽譜に赤く記されているのを目にする。
恩師のパトリック・ゴーダルーが作曲した「ラ・シンケッテ」、演奏不可能とされる難曲を、演奏をやめると殺されるという、それに一度でも間違って弾いたなら殺すという、殺し屋の赤いレーザーポインターが自分のピアノを弾く手に赤くマークされる。
謎とスリル「どうだと言わんばかりの、かつてないアイデアだろう」という製作側の興奮と鼻息が伝わってくる91分間。そこに音楽への敬意や歓びはあまりな、感じが残念なところだったりしました。

当然、膨大なお金に絡む犯罪ですが、いや別にこんなリスクの高い方法を取らずともと、身も蓋もないことをついつい思って見てしまった。つまり、その難曲の最後の方の章節を間違えることなく弾くと、グランドピアノに仕掛けられている隠し金庫の鍵が開くという。今は亡き恩師の残した莫大なる財産が隠されているということ。それを悪党たちが狙撃者を雇い、トムにしか弾けない難曲を間違いなく弾きこなせと脅迫する。止めれば綺麗な女優の奥さんを殺すと言うのだ。

映画の中では、キューザックが演じるスナイパーがイヤホンでトムに指示を出すため、姿を見せないスナイパーの声がジョン・キューザックということが分かる。
しかしですよ、有り得ないことにピアノ奏者のトムが、何度もオーケストラの演奏中に席を抜け出したり、ピアノを演奏しながらイヤホンマイク越しで犯人に罵声を浴びせるし、スマホをいじるわで、友達にメールでスナイパーに狙われていることを知らせるも、殺し屋の仲間が劇場の警備員として入っており、その友達はあっさりと殺されてしまった。

それに、ピアノを弾きながら目を観客席に向けて、スナイパーを探したりするトム。観客もピアノ奏者のトムが席を立っていなくなるのを不審がるのだ。
最後の方になってスナイパーのジョン・キューザックが姿を現して、イライジャと揉みあいになり舞台の上から二人とも落下してしまう。問題のグランドピアノの上に落ちたキューザックは即死で、イライジャは足の骨折で助かったのだ。
運送屋がピアノをトラックの荷台に積み、イライジャが問題の最後の章節を引き始めると、ピアノの中にある秘密の金庫の鍵が開く。下へかがんで覗いてみるイライジャの顔でラストです。リアリズムで考えたらツッコミどころだらけで、というよりも、どうみてもオカシなお話なのだが、ファンタジー性が微妙に加味されているようです。何となくヒッチコック的な世界だと思えば楽しめるかも。
実際にカメラワークやギミックにも、ヒッチコック的ケレン味が目白押しでしたから。それでも全編に及び、好きなピアノ演奏がバックで流れるのが良かったです。
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青天の霹靂 ★★★★.5

2014年05月25日 | さ行の映画
作家や俳優としても活躍する人気お笑い芸人の劇団ひとりが書き下ろした小説を、自らメガホンを取って実写化したヒューマンドラマ。40年前にタイムスリップした売れないマジシャンが、同じマジシャンであった若き日の父とコンビを組み、自身の出生をはじめとする家族の秘密を知る。『探偵はBARにいる』シリーズなどの大泉洋が不思議な体験をする主人公を快演し、その両親にふんする劇団ひとり、『GO』などの柴咲コウが物語を盛り上げる。涙と笑いに満ちた物語に加え、4か月の練習を経て臨んだ大泉洋のマジックシーンにも目を見張る。
あらすじ:場末のマジックバーで働く、さえないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)。ある日、彼は10年以上も関係を絶っていた父親・正太郎(劇団ひとり)がホームレスになった果てに死んだのを知る。父が住んでいたダンボールハウスを訪れ、惨めな日々を生きる自分との姿を重ね合わせて涙する晴夫。すると、突如として青空を割って光る稲妻が彼を直撃する。目を覚ますや、40年前にタイムスリップしたことにがくぜんとする晴夫。さまよった果てに足を踏み入れた浅草ホールで、マジシャンだった父と助手を務める母(柴咲コウ)と出会い……。

<感想>タレント・俳優、小説家「陰日向に咲く」など幅広く活躍する劇団ひとりが、原作、脚本、監督、出演などひとり4役での初監督作です。自身の2作目の著作を基に、生まれる前の時代にタイムスリップしたマジシャンが、「生きる理由」を見出す姿を描いている。主人公晴夫には大泉洋が、雷門ホールの支配人役に風間杜夫が、母親の悦子には柴咲コウを迎えて、劇団ひとりは父親という設定で、心にしみいる笑いと涙の人間ドラマに仕上げています。

時を超えて出会った息子と若き日の両親と言うと、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出します。それにタイムスリップした40年前と言えば昭和48年代ですよね。まるで「ALWAYS三丁目の夕日」のような1973年の浅草の活気を、長野県上田市に再現したリアリティには本当に驚いた。

物語は、かつては自分を「特別な存在」だと思っていた晴夫だったが、今では四畳半の古いアパート住まい。TVで人気上昇中の後輩の活躍を眺めながら、場末のバーでしがないマジックを披露する毎日で、平凡に生きることさえ難しい現実を痛感する。

昭和48年に飛ばされた晴夫は、母親と知らずに悦子という若い女と舞台に上がり、謎のインド人ペペとして、まだ当時は知られていなかったスプーン曲げを披露する。さらに、チンこと正太郎(晴夫の父親)とコンビを組むことで人気を博し、人生で初めて満たされた日々を味わう。

マジシャン役の大泉洋さん、ノースタントでマジックの練習に明け暮れ、冒頭から観客の目を釘付けにするシーンでは、拍手喝采です。それと、父親の劇団ひとりと一緒に舞台でロープ芸を披露するシーンでは、大泉が結んだロープを難なく解くも、父親の劇団ひとりの首にロープを巻き、それを紐解くのが首にしっかりと巻き付き苦しくて取れない。それが観客に受けて大笑いを取るシーンもある。それから、トランプの芸や、鳩を出す芸、ワインを何本も出す芸、最後に泣かせるのが、白い紙の薔薇の花が宙に浮き、本物の赤い薔薇に変えるシーンには、涙が出てしょうがなかった。

自分の出生の秘密が解き明かされ、今まで母親は自分を捨てて家を出て行ったと聞かされていたのに、まさか自分の命と引き換えに、晴夫を産んだことが分かり、これも実に胸につまされて泣けます。

だが、現実離れした設定の今作に優れたヒューマンドラマとしての、リアリティとユーモアを与えているのは、間違いなく主人公役を演じた大泉洋の、運命に翻弄されればされるほど輝く、演技を超えた存在感だと思います。
かつて、「水曜どうでしょう」で、サイコロの目に自らの旅路を翻弄されて、自らの運命をパスポートと共にがっちりと握られ、愚痴とボヤキしか出ないシチュエーションに置かれながら、他でもないその飾りっけなさに、やられっぷりで、観る者を魅了してきた大泉洋の存在感が厚いです。

「探偵はBARにいる」でのクールなマイトガイ感じや、「清州会議」での豊臣秀吉の怪演など、表現のレンジを格段に広げてきた彼だが、40年前の世界への「タイムスリップ=旅」に否応なく連れ出された晴夫の運命に、かくも深く感情移入させ得る役者は、やはり大泉洋しかいないと思った。
俳優である大泉洋と人間の大泉洋が、最大限に体現されているという点では、これまでの彼の主演映画の中では一番のハマリ役だと確信しました。それに、劇団ひとりの才能が開花した作品でもあると言っていいでしょう。
2014年劇場鑑賞作品・・・115 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
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ガンズ・アンド・ストレンジャー★★

2014年05月24日 | DVD作品ーか行
『ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録』などのスコット・アドキンスが主演を務めたアクションドラマ。メキシコのとある町にやって来た流れ者の男を待ち受ける、予測不能の激しい戦いの日々を活写する。『ブロークン・アロー』などの個性派俳優クリスチャン・スレイターが主人公を追う警官を好演。スタントマンとしても場数を踏んできたスコットが、次々と繰り出すシャープなアクションに目がくぎ付け。
あらすじ:追われる身の青年(スコット・アドキンス)は、大金の詰まったカバンを手に国境を越え、メキシコの小さな町エル・フロンテーラへと流れ着く。だが、町の住人たちはアウトサイダーには徹底的に冷たく、孤立した男を次から次へともめ事が襲う。やがてギャングみたいな保安官や酒場の女主人らを巻き込み、事態は思いがけない方向に進んでいく。

<感想>新世代アクションスターのスコット・アドキンス主演のクライム・アクションです。これって未公開作品じゃなくて、2月19日公開されていたんですね。何だかメル・ギブソンの「キック・オーバー」と似たような、無法地帯メキシコのお話。
大金を抱えたアウトローが、アメリカから逃げ込み、ホッとしたと思ったら、そこはボッタクリと超暴力の街だった。水を求めて金を払うから水を飲みたいと言うが、全然相手にされない。

おまけに大金の札束が入った黒いバックは、すぐに盗まれて必死に追い掛けるシーンが多々ある。ギャングの組織の女らしいフラガという男勝りな女で、その後も合計4回も盗まれるのだ。ギャングたちは、顔を日焼け止めクリームなのか、白く塗りたくり目の周りをパンダみたいに黒く塗っている。
その大金は、麻薬の売買での金で、アドキンスが刑事でメキシコに入る国境近くで、暴漢に襲われ銃撃戦となりアドキンスだけが助かり、大金の入ったカバンを持って「アカプルコ」へ行こうと、メキシコの小さな街でバスを待つ。
ということで、音響と映像でハッタリは利かせているが、ストーリー展開がもたついているのでスカッとしないのが残念。

まるで90年代のような映画で、ガイ・リッチーもどきに、キャラが登場するたびにストップモーションになり、役名が出て来る。雰囲気やキャラはちょい昔の「デスペラード」の二番煎じで、一切斬新さがないのがある意味で凄いと思った。
それにしても、主人公が憧れの“アカプルコ”行のバスが1日1本のみという、制約がたいして機能していないし、いくらでも抜け道のある間抜けな設定で驚かされた。
主人公スコット・アドキンスの、この腹筋を見よ、とでも言うかのような作品です。アクションシーンもハデじゃないし、確かに彼の鍛え抜かれた分厚い腹筋には惚れ惚れします。熱いし、眠いしで、いねむりをするとバックを盗まれるという繰り返し、居眠りしているシーンで回想劇が見られます。
街の老保安官も悪徳保安官で、ギャングの仲間らしくあてにはならない。街のみんなのギャングから金もらっているので、よそ者には冷たいのだ。

古びれた街のバーの女主人アナ、イヴェット・イエイツのこれでもかという、ガードルで締め上げたロケットおっぱい。彼女のこってりとした演技もいいじゃないですか。撃たれて出血するアドキンスが、「何か縛るものはないか」と言うと、ワンピースの下から次次と下着を外して、縛ってやる彼女。しっかりとラブシーンもあり、監督の持ち味なのか、独特のクドサも気になりました。
それにしても近頃のクリスチャン・スレイターときたら、B級アクション専門俳優になったようですね。怪優路線で復活を目指しているのに、悪徳刑事という役では、これは無駄使いですよ。

スコット・アドキンスが出ている作品
ユニバーサル・ソルジャー 殺戮の黙示録
エクスペンダブルズ2
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母なる復讐 ★★★

2014年05月22日 | DVD作品ーな行、は行
韓国で未成年者が起こした、実際の性犯罪事件をベースにしたサスペンスドラマ。愛する娘をレイプしたにもかかわらず、少年法に守られる加害者たちに復讐(ふくしゅう)を果たそうとする母親の姿を追い掛けていく。『黒い家』などのユソン、『サニー 永遠の仲間たち』などのナム・ボラ、人気K-POPグループU-KISSのメンバーだったドンホらが出演する。ショッキングな展開や描写もさることながら、母娘の愛と絆をめぐるドラマも観る者の胸を打つ。
あらすじ:夫と離婚し、娘のウナ(ナム・ボラ)と一緒に新たな生活をスタートを切ろうと考えていたユリム(ユソン)。二人で力を合わせて生きようとする中、ウナは転入した高校で出会ったチョハン(ドンホ)という男子生徒に心惹(ひ)かれる。チョハンに学校の屋上に呼び出されてテンションが上がるウナだったが、そこで待ち受けていた彼と不良グル−プに犯される。事件を知ったユリムは彼らを訴えるが、チョハンは証拠不十分で釈放、ほかの仲間たちは保護観察処分になってしまう。

<感想>この作品は実際にあった未成年の性犯罪事件を描いています。2004年に4人の男子校生徒が、女子中学生を強姦した「密陽女子中学生集団性暴行事件」が発覚したのをきっかけに、韓国で未成年者による集団レイプが多発していることがいっせいに明るみになった。学校側や地元警察がその事実を長らく隠ぺいしていたというのだ。
加害者側の心情を配慮して、フィクションとはいえ、余りにも女性の立場がいかに低いか、それに未成年であるという法律に守られて、平気で女子の身体をレイプする行為を泣き寝入りしろとは、理不尽なことです。
実際、日本でも現状は同じで、未成年者が殺人やレイプ犯罪をしようと、法律に守られていて、精神病や情緒不安定者とか適当な事柄を並べ立て、犯人はのうのうと少年院で何年か過ごして社会復帰をします。

この作品での娘も少し頭が弱いのか純情なのか、好きになった男子生徒に心をすっかり許してしまい、安心して付いて行き、チョハンの手引きで不良生徒に暴行されて、スマホで動画撮影され、事件発覚後も「ネットに動画をアップされたくなかったら来い」と、男どもに呼び出されるはめになるとは。哀れ娘は不良どもの餌食になってしまう。まさにリアルの呪いの動画のようであります。

娘は自分の将来を儚んで自殺してしまう。一人娘をなぶりものにされた上、おぞましい動画の存在を知ったウナの母親は、そのことを警察、学校に訴えるのだが、犯人の両親は自分の息子の犯したことを金で解決しようとする。いかにも自分本位な態度にあきれます。警察も未成年の犯罪は、親同士が話し合いで穏便に進めるよう促す頼りなさ。

母親は、ケータイの動画を見て、この怒りを行動に移して、法が裁かぬのなら私が裁くとばかりに、一人づつ成敗していくわけ。“母は強し“と言うけれど、凄いこの母親の行動は、褒められないけれども立派でした。

一人の刑事が気が付いて追ってくる。母親が、最後の一人真面目そうなチョハンを、包丁で刺し殺すところへやってきた刑事が、母親を拳銃で撃つという結末。
娘を持つ母親として、何だかどうしようもない苛立ちと、もしかして自分も母親として、同じ行動を取るかもしれない衝動にかられました。
原題は“DON'T CRY MOMMY”で、冷蔵庫の中にウナの残したケーキにあった言葉です。娘は自分のうかつなミスで、身体を汚してしまったことを後悔しているが、そのことを母親に知られまいとしていたことにあるのですね。
しかし、邦題は「母なる証明」なので、そのまんまという、いかにも日本人が付けたストレートなタイトルでした。
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父の秘密 ★★★

2014年05月22日 | DVD作品ーた行
メキシコの俊英マイケル・フランコが監督と脚本を担当し、第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にてグランプリとなった珠玉の物語。新たに引っ越した場所で淡々と日々を送っていたものの、突如娘が行方が不明になり、ある決断を下す父親の姿を描く。『あの日、欲望の大地で』のテッサ・イアが娘を演じ、父親をメキシコのテレビを中心に活躍するエルマン・メンドーサが好演。静かながらも情感あふれるストーリーが心の奥深くに染み込んでいく。
あらすじ:妻を亡くして失意の底にいるロベルト(エルマン・メンドーサ)と娘のアレハンドラ(テッサ・イア)は、メキシコシティへと移り住む。二人は見知らぬ土地で再スタートを切ろうとするものの、なかなか喪失感から逃れられずにいた。アレハンドラは転校先の学校で友達もでき、少しずつ明るさを取り戻していくが、ある日、盗撮された性行為をインターネットで流され……。

<感想>復讐という言葉には、何か得体の知れない誘惑的なイメージがある。メキシコの新鋭監督マイケル・フランコの第二作「父の秘密」はそんな復讐のドラマである。
この作品も未成年の虐めや性犯罪にあたる映画だと思うのですが、こちらは、韓国版と違って母親が交通事故で亡くなり、父親と娘が引っ越しをして新しい生活をするという設定。
そこで娘は転校生ということもあり、始めは仲良く友達と上手くいっていたように思われたのに、ヒロインが虐めに遭う。その虐めの信じがたいほどの陰湿さといい、ラストの暴力といい、さながらドキュメンタリーででもあるかのようだ。

ある日のこと、男友達の別荘へ遊びに行き、そこでマリファナやお酒を飲んで、その勢いでトイレで男のホセくんとセックスをしてしまいました。それが、その一部始終を彼氏がケータイの動画に映していたんですね。そのことは、彼女も知っていたようです。
ところが、そのホセとの性行為の動画がネットに流されて、学校中に広まってしまい、彼女はみんなの虐めの対象にされてしまう。ヤリマンとか売春婦とかいろいろ言われ、挙句に女友達の家でスケスケの洋服を着せられて、髪の毛を切られ、誕生日の日には、学校の教室でまずいケーキを強引に口の中へ入れられてしまう。やられたらやり返せばいいのに、と単純に解決する事態でもない。父親に相談して学校を変えるか、叔母さんの家へでも移るかしないとダメですよ、これは。しかし、彼女は激しく泣き叫んだり、怒りに震えることもない。

そして、行かなければいいのに、学校の行事の旅行へも行ってしまう。これは絶対にみんなの虐めの好都合の場所だし、部屋のトイレに閉じ込められて、デブの男や他の男にもレイプされて虐められる。
酷いのは、夜になり海へ行き、焚火の前で酒を飲みマリフナを吸い、男どもが彼女におしっこをかけて、身体が臭いから海で洗えとばかりに海へ飛び込ませる。いっこうに海から上がってこないアレハンドラをそのままにして、翌朝やっと先生や警察、父親に電話するという痛ましい事故になる。

しかし、彼女は泳ぎが上手いし絶対に溺れて死んではいないと思ってました。案の定生きていて、バスで元いた家へ一人で行き、そのまま海へ行くのです。そこで彼女の行方は消えてしまいます。ですが、学校や警察の態度が未成年だし、酒やマリファナを吸って海へ飛び込んだのでは、娘さんの方にも落ち度があると相手にしてくれません。

これでは、父親の怒りは収まりませんよね。韓国版の「母親なる証明」ではないですが、父親が娘の一部始終を知り、その無念さを知り、仇を討ってやるとばかりに、一番の首謀者らしき男の子を拉致して、ボートに乗せて両手足を縛った男の子を海の中へ捨ててしまいます。
父親の復讐さえも静かに実行され、連鎖する暴力そのものに乱暴に向き合わされます。そのシーンが、一切台詞もないし、音楽もなく淡々と進むので、父親の心情をこれで表しているかのようでした。長回しのラストシーンは、何の答えも残してくれません。不穏な空気に満ちてその演出の極めてクールなタッチが際立っていると思います。
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闇金ウシジマくん Part2 ★★★

2014年05月21日 | アクション映画ーヤ行
真鍋昌平のコミックをテレビドラマ化、闇金融の業者を演じた山田孝之が強烈なインパクトを与えた群像劇の劇場版第2弾。原作のエピソード「ヤンキーくん」編と「ホストくん」編を脚色し、カウカウファイナンスを中心にヤンキーや暴走族、ライバルの女闇金、ホスト、情報屋などが金をめぐる争いや駆け引きを展開する。山田ややべきょうすけらのレギュラー陣に加え、綾野剛、菅田将暉、光石研、柳楽優弥など豪華なキャストがひと癖もふた癖もあるキャラクターを熱演。激しい演技合戦に引き込まれる。
あらすじ:10日で5割というバカ高い金利で金を貸すカウカウファイナンスの社長ウシジマ(山田孝之)。ヤンキーのマサル(菅田将暉)の母親はパチンコにはまっており、ウシジマに借金をしていた。ある日、マサルは暴走族のヘッド、愛沢(中尾明慶)のバイクを盗み、慰謝料として200万円をウシジマに借りるように脅される。しかしウシジマはマサルを気に入り、闇金で働かせることにして……。

<感想>テレビドラマも見ていないし、映画版Part1はDVDで鑑賞。今回も山田孝之がカリスマ闇金経営者を演じてクールです。どんな状況に陥っても表情を変えない山田孝之のウシジマくんの演技が小気味よくて、1作目に続く山口監督の采配も完璧ですから。
結構面白かった。気になったのは、お昼ご飯とか食事のシーンで、実に質素でかつ丼とか、カップラーメン、最後にはホストをしていた麗がホルモン屋で働いている店へ、綾野剛と食べているシーンだった。ヤクザの光石研は豪勢な食事していたのにね。

それに、今回はレギラー陣に加えて綾野剛と菅田将暉って、この間観た「そこのみにて光輝く」で一緒だったし、ヤクザの光石研さんは菅田将暉とは「共喰い」で親子だったしね、そして最近の柳楽優弥はというと、変態ストーカー役で藤枝彩香を付け回して、彩香はもちろんウシジマから借金するも初めは5万円しか貸してもらえず、ゲーセンで知り合ったホストの麗に入れあげて、始めは真面目にカフェでウェイトレスだったのに、中学生という設定で学校には行っていない。
そして、ホストの麗を好きになり、麗の売り上げのためにウシジマからは借金もできなく、ポルノのAV女優となる。だけど、AVのギャラって450万円も貰えるのか、・・・その金で麗の出世のために高額な酒をじゃんじゃん入れる馬鹿娘。450万円あったら、ウシジマに借金返しても十分おつりあるし、一応中学だけは出ないとね。彩香の両親もダメな親だし、家には住みずらいのだ。

麗の部屋で彼を待っていても、麗は他に金持ちの婆あとマンションにいるし、その婆あも最後には麗を見捨てるのだから、世の中人を頼りにするとロクなことは無い。部屋へ帰った麗のところへ、彩香を追ってきたストーカーの柳楽優弥が乱入して、麗はボコボコにされ、結局彩香は、その後は風俗のソープ嬢で働き、ウシジマへの借金を返し続けるという。

もの凄く観ていてゾクゾクと嫌悪感を表していたのは、ライバルの女闇金の高橋メアリージュンである。狂暴な性格の茜は、ホームレスを低賃金(日当3000円)で雇う悪どい商売をしている。昼飯に賞味期限のレトルトご飯にレトルトカレーを配布して、その昼飯代やら送迎車の費用とかなんやからインネン付けて日給から差し引いている。

マサル役の菅田将暉は、いつもチンケなバカ者役どころばかり。今回も借金を返せないので、カウカウ・ファイナンス(ウシジマ金融)で見習いとして働くも、最初は真面目にやっていたのに、チンピラの愛沢(中尾明慶)へのバイク代金を支払えず、借金で八方ふさがりの愛沢をそそのかして、ウシジマ金融の金と命を狙おうと画策する。しかし、愛沢もバカバカしい奴で、頭が悪いからね、そんなに簡単にウシジマから金を強奪できると思ってたの。
愛沢の最後は、高橋メアリージュンによる成敗で、生命保険をかけられて道路でトラックに轢かれて、半身不随となり一生身体障害者の医療費を横取りされる運命になるとは。

印象的な5円玉のシーン、普通なら拾うよね。最後の、3人が帰るところで、やべきょうすけが地面に落ちている5円玉を拾うと、すかさずマサルが発砲した拳銃の銃弾が頭をかすめていく。もち、マサルはウシジマのバットのフルスィングを受けて死んだの?・・・エンディングの後も帰らず見てね。
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オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主★★★.5

2014年05月20日 | DVD作品ーあ行
ベストセラー作家、ディーン・クーンツの小説「オッド・トーマスの霊感」を基に『G.I.ジョー』シリーズなどのスティーヴン・ソマーズが映画化したアクション。霊感を持つ青年オッド・トーマスと、町に惨劇を呼び込む悪霊ボダッハとのし烈な戦いをダイナミックに描く。主演は、『スター・トレック』シリーズなどのアントン・イェルチン。『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォーが、主人公と協力し合う警察署長を演じる。悪霊や超常現象などの映像を『アバター』などのVFXチームBUFが手掛けるとあり、迫力あるビジュアルに期待。
あらすじ:オッド・トーマス(アントン・イェルチン)はダイナーに勤務する20歳のコックである一方、実は霊能力の持ち主。女の子の霊に導かれて殺人犯を捜し出すなど、死者が見えると放ってはおけない。ぞれをしっているのは、恋人のストーミー(アディスン・ティムリン)と、頼れる警察署長ワイアット(ウィレム・デフォー)だけ。
そんなある日、バイト先のダイナーでボダッハという気持ち悪い悪霊を大量に見つける。ボダッハは流血の惨劇の死を嗅ぎ付けて集まってくるのだ。街に迫る危険を察知した彼は、やがて怪しいキノコ男を発見。
後をつけ彼の部屋に侵入すると、そこは霊界への入り口となっており、カレンダー帳からは8月15日の日付が破り取られていた。
すぐに警察所長に知らせたオッドだが、彼とストーミーの身にも危険が降りかかってくる。そして運命の日、8月15日がやってきた。果たしてオッドは町の危機を救うことができるのか……。

<感想>この映画は公開されたのですね。未公開だとばかり思ってました。1週間限定で上映だったそうで、でも地方では上映されず残念、大画面で観たかった。
主人公が、霊能力以外はいたって普通の青年であるオッド。戦闘力など皆無だが、人々を守るためにテロリストに占拠されたボダッハ(悪霊)の、巣窟と化したショッピングモールに単身突入するところから、わが身の危険をかえりみず敵に立ち向かう勇敢さこそ、オッドの一番の武器なんですね。
ソマーズ監督と組んだのは、『アバター』のVFXチーム“BUF”。『ハムナプトラ』のミイラを彷彿させる、ボダッハがショッピングモールに大量出現するシーンは、悪霊が天井や壁にワラワラと出て来て圧巻ですぞ。でも、普通の人間には見えてないのが惜しい。これが見えていたら、怖いですからね。

オッドを演じたアントン・イェルチン、「スター・トレック」では頼りないチェコフ操縦士役だったが、この映画の中でのアントンは喧嘩も強く女にもモテモテなんです。しかし、最愛の彼女を守ることは出来なかったのが残念でなりません。
肝心のボダッハは、流血の起こりそうなところに浮遊するのですが、透明ラップのような悪鬼で、死相のある人間に群がっている。その男の頭がキノコみたいな、ちょっと変わった男。
その男を尾行して大事件の真相を探るのですが、その大事件がどこで起きるのかが分からない。それに、ボダッハが見えていることが知られれば、オッドは殺されてしまうために、見えないふりをしなければいけない。

どうにかならないの、オッド一人で立ち向かうには相手が悪魔だから最強。拳銃なんかで倒す相手ではありませんから。ですが、そんなオッドを慰めてくれるのが愛すべき恋人ストーミーの存在なんです。彼女にはボダッハが見えませんが、それでもオッドの言っていることを信じている。
恋人とのラブストーリーを絡めながら、タイムリミットが迫る中、未来に起きるであろう犯罪を推理していく面白さがいいです。それに、オッドをサポートする警察署長役の、ウィレム・デフォーの存在感も良かった。何しろボダッハが見えないのだから、彼の言うことを信じるしかない。

ドキドキハラハラさせる展開が矢継ぎ早に訪れ、霊能力をもつ主人公のオッドが、偶然遭遇した事件の解決に挑む。一見コメディのノリかと思いきや、怒濤のSFアクションが展開! 特に最新のVFX技術で表現された悪霊たちの迫力に驚きました。残念だったのは、ラストのクライマックスでの、ボダッハとの戦いでは、無駄に撃ちまくる銃撃戦で、弾丸が恋人を撃ち抜き犠牲となってしまうことですかね。銃ではボダッハは倒せないのに。むやみに銃を撃ちたがる、人間に対する警告なのかもしれません。
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ディス・イズ・ジ・エンド ★★★

2014年05月20日 | DVD作品ーた行
セス・ローゲンが監督デビューを果たした世紀末SFコメディ。世界の終りにわがままセレブが大暴走!
あらすじ:LAに住む人気俳優セス・ローゲンは、旧友のジェイ・バルシェルと久しぶりの再会を果たし、ジェームズ・フランコの新築披露パーティに参加する。フランコ自身が設計に携わったという大豪邸には、いつもの俳優仲間ジョナ・ヒル、クレイグ・ロビンソン、ダニー・マクブライドらに加え、大物歌手のリアーナや「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソンをはじめ、音楽、映画、ファッション業界などからセレブリティがキラ星のごとく顔を揃え、パーティは最高潮。
ところが突然、かつてない大地震がLAを襲い、大豪邸は火の海に!
かろうじて生き残ったセス、フランコ、ジェイ、ヒル、グレイグ、そしてダニーの6人は、限られた食料と水を頼りに、なんとか生き延びるため作戦会議を開く。だが、ひとつだけ残されたスナック菓子“ミルキーウェイ"の取り合いをきっかけに、仲間意識が完全に崩壊。
さらに彼らが子どものように揉めている間に、得体の知れない地球外生命体がLAをひたひたと侵略し始めていた…。
<感想>こんなに有名なスターが出ているのに未公開なんてありえないです。タイトルに「俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」と付いてたので、これは聖書に書かれた「最後の審判」の光景ではないか?・・・次々と地底に吸い込まれる俳優たち。
神は罪深いハリウッド人類に厳しかったのだ。という設定の基に、生き残った男たちも、あるいは狂い、ある者は悪の道へと転落していくのだ。果たして生き残ることができるのは誰なのか?・・・。

もちろん監督のセス・ローゲンが、製作・監督・脚本・主演の一人四役をこなした意欲作です。彼は最後まで出演しているが、目立っていたのがジェームズ・フランコら主要キャラたち。それにM奴隷と化すチャニング・テイタムらカメオ出演陣まで、スターが本人役で登場するんですから。
「127時間」で使用したという設定のハンディ・カメラが登場したり、「ロード・オブ・ザ・リング」の台詞が引用されたりといった小ネタが満載で、映画ファンなら一層楽しめること請け合い。アパトー・ギャングの面々が本人役で登場するし、全編、力の抜けた宴会ギャグが炸裂します。
セスは二枚舌で、「マネーゲーム」のジョナ・ヒルは何を言っても嫌味な奴。中でも悪徳の限りを尽くすダニー・マクロイドは嫌われ者で最高。あまりのくだらなさに失笑しながらも、仲間内では比較的地味キャラのジェイ・バルシェル「魔法使いの弟子」に出ていたよ。彼に主人公役を与えているところなどは、セスの友情にもグッとさせられる。
ちなみに、特別出演のエマ・ワトソンは、「ハリ・ポタ」以降の映画では一番輝いて見えました。っていうけど、あまり出演作選んでないのね。
そして、台詞の半分がアドリブだというから、もしやこれが彼らの素の部分なのって。互いをけなし合う毒舌を吐くシーンで、映画界での6人の立ち位置が分かるきがします。
「恋するポルノ・グラフィティ」のグレイグ・ロビンソンが、少ない食料を独り占めして、料理して食うし、水も体に浴びたりして貴重なのに、ブランコが買い置きの水が確か地下室にあるというので、外から地下室へ行くのは誰にするかで揉めて、1人勇敢な奴が行くのだが外には悪魔らしきモンスターとゾンビがウヨウヨ、戻って来た。仕方がないので地下室への穴を掘ろうと、床のコンクリートを壊すわけ。どうにか壊れて穴が開いて、地下室にあった2本の貴重な水、皆で乾杯としていると、またもやグレイグがその水を頭から浴びまくるという。
チョコバーが1本だけ見つかると、男たちはいかに自分がそれを好きかを主張し出す。セレブなのにね。それに、「エクソシスト」のパロディなど爆笑必至のドタバタコメディに、実名俳優がプライドを捨ててオバカに徹した異色作であります。何故か悪魔に憑りつかれ、大暴れするジョナ・ヒル。ジェイ・バルチェルは「キリストの力が追い払う」と連呼するシーンでは、パクリもんです。
エクスタシーを服用して大騒ぎに。テンションMAXになって「スモーキング・ハイ」続編を撮影開始。
ラストはみんな死んでいく運命なのね、悪魔のような姿の巨大モンスターが現れし、ゾンビもたくさん現れてきて、ジェームズ・フランコが「俺がここを防ぐから」と犠牲になるも、すると天界から青い光が降りてきてブランコの身体が昇っていく。だが、口は災いの基だ。馬鹿を言ったので光が消えて地上に落下し、ゾンビの餌食となってしまう。
残ったセスとジェイ・バルシェルが手を握って二人で天国へ行こうと、ですが、青い光の筋はジェイだけを救い上げていくのです。セスに手を差し伸べて一緒に行こうとジェイが言うのですが、セスは「いいよ、お前だけ行け」と言うと、セスも自己犠牲の精神で、青い光線が降りてきて二人は天国へと旅立ちます。
天使の輪っかを付けたグレイグが現れて、「天国良いとこ一度は御出で!」って歌があるように、天上では白い服を着た人たちが踊り狂ってました。最後をこんな風に締め括るなんてセスらしい脚本です。
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ある過去の行方 ★★★

2014年05月19日 | あ行の映画
『別離』が第84回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したイラン出身の鬼才、アスガー・ファルハディが放つ人間ドラマ。お互いの子どもを連れて再婚しようと考える男女が、女性の娘のある告白を機にそれぞれが抱えていた思いも寄らなかった秘密を知ることになる。『アーティスト』などのベレニス・ベジョと『パリ、ただよう花』などのタハール・ラヒムが、主人公のカップルを熱演。全編にあふれる不穏なムードとサスペンスフルな語り口や、それによって浮かび上がる人間の深層心理の闇に圧倒される。
あらすじ:4年前に別れた妻マリー(ベレニス・ベジョ)と離婚手続きを行うため、イランから彼女のいるパリへと飛んだアーマド(アリ・モサファ)。かつて妻子と日々を過ごした家を訪れると、マリーと長女のリュシー(ポリーヌ・ビュルレ)が子連れの男サミール(タハール・ラヒム)と一緒に暮らしていた。マリーとサミールが再婚する予定だと聞かされるものの、彼らの間に漂う異様な空気を感じ取るアーマド。そんな中、マリーと確執のあるリュシーから衝撃の告白をされる。

<感想>まず、これには心底驚かされました。離婚する夫婦の人間ドラマだと思って見ていると、幾重にも張り巡らされた蜘蛛の巣のように、ミステリー・サスペンスへと移行する。
マリーは、過去の失敗を断ち切り、新しい恋人とやり直そうとするが、彼のサミールの置かれた状況が、それを容易に許さない。つまり、奥さんが店で洗剤を呑んで自殺未遂をして、植物人間となる。その原因が、実は夫のサミールがマリーと浮気をしていることに腹を立てての自殺だというのだ。

一方、アマードはマリーが妊娠していることを知り、彼女の願いを叶えるために温厚に事を進めるつもりが、予期せぬ事態に巻き込まれていく。自分の子供ではないが、長女のリュシーが母親と喧嘩をしているのだ。だが、アーマドの誠実さが娘の心を開き、全てを話してくれた。
つまり、娘のリュシーが母親の再婚を良く思ってないらしく、サミールの奥さんに、メールで浮気をバラしてしまったというのだ。そのことで母親とは喧嘩をしており、奥さんの自殺の原因を作ったのがマリーだと信じている。

その謎解きが「別離」ほどテーマやドラマに馴染んでいないため、ややあざとく違和感を覚えた。余裕のないヒロインのマリーも、女性の身勝手でヒステリックな面ばかりが強調されているようで、サミールの妻の自殺未遂事件も、彼女の鬱病が原因だと言い切るし、中々肯定しづらいキャラクターになっている気がしました。

両親の離婚となると、子供たちの置かれる立場ですよね。家の中は、いつも喧嘩状態でいこごちが悪い。行ったり来たりと、定まらない居場所。子供にとっては親の身勝手で、一番、幸せな子供時代が不幸の連続に陥ってしまうのだ。
ファルハディの脚本が巧妙で、ゆったりとした展開からやがて痛ましいミステリーをめぐる密度の濃いドラマへと物語りが進みます。加えて演出の鮮やかさ、大人たちの愛憎劇こもごもの深層心理など。子供たちのその年齢なりの心理を、心の奥底に分け入るように写し取っている。

子供を含めた全キャストの演技が完璧です。状況に直面した感情の揺れが、登場人物の怒鳴り声と共に台詞の喧騒にはうんざり。主人公が誰かも判らないなんて。
入り組んだ人間関係、そしてささやかな幸福を求めながらも、そこへ辿り着けない人々のありようは、前作の「彼女が消えた浜辺」や「別離」と共通しているようですね。ですが、本作では、過去という見えない足枷が登場人物たちを縛りつけ、その現在と未来に影響を与えていくのです。

ラストでいくらか救われた感じがしました。マリーに「子供を産むのを認めないと言い切る」これは、妻に対してのせめてもの罪滅ぼしでしょうか。サミールが奥さんの病院へ行き、奥さんの使っていた香水を自分の首に付けて、眠っている妻に囁きます。「もし、この匂いが気に入ったら、手を強く握ってくれと」奥さんが、画面からは、サミールの親指を握っているように見えました。
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