パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

唐山大地震 ★★★

2015年04月13日 | た行の映画
40万人以上の死傷者を出した1976年の中国・唐山大地震を舞台に、心に傷を負った少女と罪悪感を背負い生きる母親の32年間を描く感動ドラマ。『女帝[エンペラー]』『戦場のレクイエム』などの中国のヒットメーカー、フォン・シャオガン監督が、迫力のディザスター描写と涙を誘うストーリーを紡いでゆく。出演は、チャン・ツィイーの後継者ともいわれる『雲南の花嫁』のチャン・チンチューと、ほかのフォン・シャオガン監督作品にも出演しているシュイ・ファン。母と娘それぞれの思いが切なく、家族のつながりに感動が押し寄せる。
あらすじ:1976年7月28日の深夜、マグニチュード7.8の大地震が中国の唐山市を襲う。翌朝、幼い双子の姉弟が瓦礫の下で発見される。だが、状況の悪さからどちらか一人しか救えない状況で、母親(シュイ・ファン)は断腸の思いで息子ダー(チェン)を選ぶ。しかし奇跡的に娘ドン(チャン・チンチュー)は命を取り留めており、彼女は軍人夫婦の養女として立派に成長し育っていた。そんな中、彼女の養母が病死し、さらには自身の妊娠が発覚する。

<感想>中国で起こった20世紀最大の地震を題材に、被災した家族の32年間の軌跡をたどる物語。これは、唐山市の要請で始まったという1976年の未曾有の大地震被害を記録する為の映画です。
それを2008年までの32年間を「ソフィーの選択」で始まるある家族の物語りに託し、台湾、中国、香港の映画人が協力して、中国映画史上最大のヒットを記録した大エンタテインメントになっている。
実は2011年3月26日公開予定だったのだが、東北地方大地震に、大津波と福島の原発事故と、過去に例がないほどの未曾有の大災害に遭い、この映画の内容が同じ中国の大震災の物語りでかなりショッキングな場面があり、公開が延期されていたものです。

冒頭でのぶきみなトンボの群れが舞い、特撮ファンをうならせるような大地震が、画面いっぱいに展開するのだ。大災害後の人間の変転を描くのには、我が国の「赤い運命」と同じく大河ドラマの常套だけれども、建物の下敷きになった姉と弟の、いずれの生命を救うべきか、母親に選択を迫るところはあざとすぎて、むしろ、片腕切断の弟が中国でいかにして金持ち成り得たかを知りたいと思った。
しかし、復興はときに物語を必要とし、そして物語はときに災厄を必要とする。大仰な演劇に用いたふれこみとおりの“泣かせる”演出にヘキエキしてしまうのは、地元東北に住んでいる被災者だからだろうか。
皮肉を言っているのではないが、震災によって離散した家族の、30年余りにおよぶ大河ドラマを2時間に収めるにはどうにも無理があるというもの。端々に粗雑さが目立ってしまう。
当時海外支援を拒否した文革末期共産党の政府対応の是非には、少しでもいいからふれて欲しかったところだが、中国メジャーの作品ゆえ望むべくもないことなのかと。
それよりも、2004年のスマトラ島沖地震による大津波で被災したあるヨーロッパ人家族を巡る奇跡の物語インポッシブル」(2012)の、ナオミ・ワッツの母親の有り方、母性愛の素晴らしさ、自分の命まで投げ出して我が子を救うという感激の映画をもう一度見たいと思いました。
映画は歴史の記録としての役割をどう果たすか?・・・原発事故の加わった日本は、30年後の震災記録映画をどう描くのだろうか?・・・大きな課題を改めて認識しました。
2015年劇場鑑賞作品・・・74映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング