パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

七つの会議

2013-01-06 | book
池井戸潤の新刊『七つの会議』を読んだ。2012年11月刊行。池井戸といえば、『果つる底なき』『鉄の骨』『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』など、企業倫理を追求してやまない。

今回は、利潤追求のあまり、強度不足のボルト採用に手を染める企業戦士たち。その一方で、顧客を死なせ、出世競争にいやけがさす職員がいる。「客を大事にせん商売は滅びる」という父の言葉を重く受け止める村西のような重役もいる。人間模様と企業ともに暮らす家族も映し出す。

パワハラ会議によって左遷される営業課長の裏にある真実。
下請けの企業の現実。
27歳で会社に疑問を持ち、環境会議でドーナツの無人販売実現に奔走する女子職員。
営業セクションの秘密に課感づく経理マン。その役員会の果ては。
クレーム処理に追われるカスタマー室。そこで気づく折りたたみ椅子の秘密。企業の中で暗躍する室長。
出世競争にあけくれる幹部たち。隠蔽は企業を守ることか、保身か。
8つの話が、絡み合う。発端から徐々に解き明かされる秘密、保身に走る幹部の復讐の泥仕合、清貧を貫く戦士たち。それでも、企業は変わらないのか。

10年前と同じようにリコールを隠蔽しようとする幹部。親企業の結論も同じだった。その時、大きな爆弾が企業を襲う。
企業の体質とは何か。企業を守ることと顧客を守ることが相反するとき、企業の判断は、そこにいる職員の判断なのだ。
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