ぶらぶら人生

心の呟き

「若冲と江戸絵画」展

2007-01-30 | 旅日記

 あれは何時のことだったかしら? と、ブログの目次を繰っていたら、昨年の7月15日の記事に、伊藤若冲の「薔薇に鸚鵡」という絵について書いていることが分かった。
 友人の車で、峠を越えて、山口から萩に行ったのは、13日のことだったようだ。
 山口県立萩美術館では、その折、「浮世絵に見る風雅と風俗」展が行われていて、その中の一点、「薔薇に鸚鵡」を観、伊藤若冲という画家に興味を持ったのだった。

 その後急に、若冲の絵が、画集やテレビを通して身近なものになってきた。
 今回の展覧会については、NHKの新日曜美術館で、昨年、知った。
 東京の国立博物館で開催中に放映されたのだから、かなり前のことだ。
 東京から京都での開催を経て、九州にやってきたのだ。
 その巡回のことは知っていたので、機会があれば、九州へ観に行きたいと思っていた。
 今回展示の若冲や江戸絵画は、すべて個人の収蔵品である。アメリカ人のジョー・プライス氏によって蒐集されたもの、プライスコレクションの展示である。
 新日曜美術館で展覧会の紹介があった折には、プライス夫妻も出演された。若き日に京都を訪れ、若冲の絵に出会い、さらに他の江戸絵画にも魅せられて、蒐集を続けられたようだ。
 アナウンサーの「一番の収穫は?」という質問に、ためらいもなく、「妻です」と答えられたのが、印象に残っている。
 夫人は京都出身の女性である。
 プライス氏は、卒業記念に買うはずだったスポーツカーをやめて、若冲の絵を買ったのだと、若き日のエピソードも語っておられた。それが日本絵画との出会いであり、慧眼発露のスタートでもあったようだ。

 しばらく若冲の絵画展のことを忘れていたが、誕生日祝に湯田温泉行きを思い立ったあとに、ふと若冲を思い出し、そろそろ九州国立博物館で開催される頃かもしれないと、パソコンで調べてみた。運よく、既に始まっていたので、太宰府まで足を伸ばすことにしたのだった。

 若冲の絵には、新鮮な感動がる。若冲については、最近、若い芸術家などからも関心の目が向けられ、その技法などに注目が集まっているようだ。
 「江戸の先端、今も先端」のキャッチフレーズは、言い得て妙である。
 見方によっては、毒の強い作品とも言える。丹念な描き方なのに、単なる写実ではない。<紫陽花双鶏図>のような雄渾な絵があるかと思うと、<鳥獣花木図屏風>のように、その独創性において未曾有の作品もある。小さな升目に色彩が施され、白い象を中心に数え切れないほどの動植物が描かれている。また<花鳥人物図屏風>や<黄檗山万福寺境内図>などのような、墨画ながら味わいのある作品もあった。

 展示は、Ⅰ 正統派絵画
       Ⅱ 京の画家
       Ⅲ エキセントリック (注、伊藤若冲・曾我蕭白・葛蛇玉の絵)
       Ⅳ 江戸の画家
       Ⅴ 江戸琳派
 のⅤ部門に分けて展示してあった。

 若冲以外でも、円山応挙、長沢芦雪、酒井抱一、鈴木其一(きいつ)、曾我蕭白、葛蛇玉など、足を留めさせられる秀作の数々があった。
 
 九州国立博物館が、他の国立博物館と趣をことにしている点は、4階の文化交流展示室にあるようだ。
 一通り、展示を見て回ったが、「若冲と江戸絵画」展に時間をかけたので、いささか疲れ気味、早くコーヒーでも飲みたい心境だった。大変大雑把に見て、ティーラウンジに急いだ。
 九州国立博物館は、出かけようと思えば、いつでも行ける場所だと分かった。また関心のある展覧会があるときには出かけることにしようと思う。

 太宰府天満宮にお参りし、太鼓橋の手前から左の道に入ると、九州国立博物館入り口にたどり着く。(写真)
 長いエスカレーターで上り、さらに長い連絡トンネルを動く歩道に乗ってゆけば、博物館にわけなく行き着ける。

 今年の1月23日は、よく遊んだ。無心に楽しみながら。
 その後は、二泊目の宿泊先<福岡リーセントホテル>へ。

コメント
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