市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

消防本部が観光スポット!?…バス会社とコラボしたツアー企画の背景についての公開質問とその回答

2021-07-13 23:14:00 | オンブズマン活動
■群馬県の渋川地区広域市町村圏振興整備組合は、群馬県渋川市、北群馬郡吉岡町及び榛東村の1市1町1村が設立している一部事務組合で、主な業務は常備消防事務、ごみ処理施設、し尿処理施設、火葬場・斎場、夜間急患診療所、職業訓練センター、臨海学校、運動場などの設置及び管理事務に携わっています。このうち、常備消防事務は渋川広域消防本部が担当しています。


地元バス会社の新聞折込チラシ
 最近、地元のバス会社のHPや新聞折込チラシを見た複数の市民の皆さんから、渋川消防本部が有料の観光ツアーコースに組み入れられていることに違和感を感じるとして、「行政機関として、特定の一部企業との癒着があるとすれば好ましくないのではないか」との指摘が寄せられました。なぜなら、行政機関としては住民からの信頼が何よりも重要だからです。

 そこで当会は、7月5日付で、地元バス会社と渋川広域消防本部あてに公開質問状を提出しました。その結果、7月12日付で消防本部から回答がありました。


↑渋川広域消防本部(渋川市渋川1815-51)。管内面積288.86km2、職員定数163名、消防署1カ所、分署4カ所。主力機械(2019年4月1日現在)は、救助工作車(救助II型)×1、水槽付消防ポンプ自動車(水I-B型)×3、小型水槽付消防ポンプ自動車(CD-I型)×1(※水850L積載)、梯子付消防ポンプ自動車(24m級)×2、化学消防ポンプ自動車(化学II型)×3(うちA-1級ポンプ搭載×1)、指揮車(支援IV型)×1(※ドローン積載)、災害対応多目的支援車(支援II型)×1、資機材搬送車×1、人員搬送車×1、高規格救急自動車×7、連絡車×9(うち火災調査車1、雪害対策用車1)↑
※渋川広域消防本部組織図 ZIP ⇒ alhgd.zip

 渋川地区広域市町村圏振興整備組合は、定数17人(内訳:渋川市11人、吉岡町3人、榛東村3人の)の組合議会と、執行機関では管理者が渋川市長、副管理者が吉岡町長、榛東村長及び渋川市副市長のうち管理者が指名した者、会計管理者が渋川市の会計管理者、そして監査委員2人で構成されています。

 ちなみに、渋川地区広域市町村圏域は、群馬県のほぼ中央に位置し、北緯36度30分、東経139度付近を軸として、半径12kmの円内にほぼ包含され、中心部を北から南に利根川が貫流し、さらに西側から吾妻川が流れ込み、中心の渋川市でV字状に合流し、圏域内を三分割しています。また、JR東日本の上越線、吾妻線が両河川沿いに走っていて、関越自動車道が南北に縦貫し、3ケ所のインターチェンジが設置されているほか、東西に国道353号線、南北に国道17号線が縦貫し、交通の要所ともいえる場所を構成しています。



■当会が渋川広域消防本部と地元バス会社に送った公開質問書はそれぞれ次のとおりです

*****7/5渋川広域消防本部あて公開質問書*****ZIP ⇒ 20210705alhj.zip
                           令和3年7月5日
〒377-0008 群馬県渋川市渋川1815-51
渋川地区広域市町村圏振興整備組合
渋川広域消防本部消防長 殿

           〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
           市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
           TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
              090-5302-8312(代表・小川)
           FAX: 027-224-6624

           公開質問書
  一部観光企業らとコラボしたバスツアー企画について

拝啓 御庁益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。活動の対象は行政の他、事案によって、公益的な事業を営む第3セクターや企業・団体に及ぶことがあります。
 さて、この度、地元バス会社HPを拝見したところ、「しぶかわ魅力再発見!バスツアー」と銘打って、「再発見1 渋川広域消防本部に潜入!~おもちゃと人形自動車博物館と氷の彫刻アイスワールド~」と題する企画を拝見しました。7月31日(土)・8月8日(日)・8月20日(金)に先着20名を対象に大人3,900円、小学生2,000円の旅行代金(交通費・食事代・入場料・旅行保険料)との内容が記されています。
 このことについて、公務多忙のところ誠に恐縮ですが、以下の質問があります。

【質問1】
 地元バス会社HPの広告(別紙参照)として、貴渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。貴渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、貴渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【質問3】
 ツアー客が貴消防本部を訪れた際、案内をする職員はどの部署から何名が選任されるのでしょうか?それとも、ツアーの催行会社の添乗員によって案内させるのでしょうか?あるいは自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【質問4】
 この企画は、貴消防本部からツアー催行会社や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それともツアー催行会社や他の一部観光企業側から貴消防本部に持ち掛けられたのでしょうか?

【質問5】
 貴消防本部として、これまでに、消防本部見学をツアーコースに含める形で実施したことはありますか?今回が初めてですか?

【質問6】
 このツアー参加者を貴消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【質問7】
 貴消防本部として、ツアー催行会社の提案ないし申入れを承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴消防本部側はどなたが、どのような理由や根拠に基づいて承諾の決裁をなさいましたか?

 なお、貴ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年7月16日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                               以上

=====別紙=====

https://kan-etsu.net/publics/index/162/detail=1/b_id=1985/r_id=71/
**********

*****7/5地元バス会社あて公開質問書*****ZIP ⇒
                          令和3年7月5日
〒377-0007 群馬県渋川市石原303-1
関越交通株式会社
観光部(渋川営業所内) 御中

           〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
           市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
           TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
              090-5302-8312(代表・小川)
           FAX: 027-224-6624

           公開質問書
  渋川広域消防本部とコラボしたバスツアー企画について

拝啓 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。活動の対象は行政の他、事案によって、公益的な事業を営む第3セクターや企業・団体に及ぶことがあります。
 さて、この度、貴社HPを拝見したところ、「しぶかわ魅力再発見!バスツアー」と銘打って、「再発見1 渋川広域消防本部に潜入!~おもちゃと人形自動車博物館と氷の彫刻アイスワールド~」と題する企画を拝見しました。7月31日(土)・8月8日(日)・8月20日(金)に先着20名を対象に大人3,900円、小学生2,000円の旅行代金(交通費・食事代・入場料・旅行保険料)との内容が記されています。
 このことについて、業務多忙のところ誠に恐縮ですが、以下の質問があります。

【質問1】
 貴社HPの広告(別紙参照)として、渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【質問3】
 ツアー客が消防本部を訪れた際、貴社の職員が案内するのでしょうか?それとも、消防本部の職員が案内するのでしょうか?あるいは共同で案内するのでしょうか?または、自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【質問4】
 この企画は、貴社から消防本部や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それとも消防本部側から貴社に持ち掛けられたのでしょうか?

【質問5】
 これまでに、こうした形で消防本部見学をツアーコースに含めた事例はございますか?

【質問6】
 このツアー参加者を消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【質問7】
 貴社として、自ら提案ないし申入れをし、一部観光企業や消防本部が承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴社はどなたが、どのような理由や背景に基づいて(たとえばコロナ禍による旅行・観光への影響を打破するためとか、参加者の防災意識の向上の一助とするため、など)、この企画実行の決定をされましたか?

 なお、貴ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年7月16日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
以上

=====別紙=====

https://kan-etsu.net/publics/index/162/detail=1/b_id=1985/r_id=71/
**********

■回答期限を7月16日(金)としておりましたところ、7月12日に渋川広域消防本部から普通郵便で回答書が当会事務局あてに郵送されてきました。

*****7/12渋川広域消防本部からの回答*****ZIP ⇒ 20210713ah.zip

                      渋広消総第40号
                      令和3年7月12日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様

                   渋 川 広 域 消 防 本 部
                   消防長 石 坂 勝 義
                         (公印省略)

   公開質問書の回答について(回答)

 拝復、貴団体におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 また、平素から消防行政につきまして、ご理解ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、この度、公開質問書によりいただいたご質問について、下記のとおり回答させていただきます。
 つきましては、本バスツアーは、新型コロナウイルスの影響が不安視させるなか、長期化するウィズコロナ期において、観光産業が生き残っていくための1つの方法として渋川市と渋川伊香保温泉観光協会が連携して行っている「マイクロツーリズム推進モニターバスツアー」事業であることをご理解いただければ幸いです。

                 記

1 【質問1】の回答について
 (1)スライドにて、消防本部・消防署の組織の紹介及び仕事内容の説明。
 (2)消防車両の見学にて、資機材の説明では、どんな時に使うか説明し、火災予防及び事故防止の消防広報を実施する。
 (3)防火水槽・消火栓は見学、説明を行い緊急時使用するものであり、防火水槽消火栓のそばに車を止めないお願いなどの消防広報を実施する。

2 【質問2】の回答について
  現時点では、1のとおり実施予定ですが、時間に余裕があれば、日頃行っている訓練を展示する場合もあります。

3 【質問3】の回答について
  消防署所属の職員1~2名にて、案内及び説明を実施する予定です。

4 【質問4】の回答について
  観光業者から依頼されたものですが、依頼時に渋川市と渋川伊香保温泉観光協会の事業であることの説明を受けております。

5 【質問5】の回答について
  消防本部として実施したことはありません。

6 【質問6】の回答について
  金品等の授受はありません。

7 【質問7】の回答について
  本バスツアーの趣旨を理解したうえで、広く住民へ火災予防広報の啓発活動等を行うことができる場として承諾しました。

               〒3777-0088 渋川市渋川1815-15
               渋川広域消防本部 総務課
               担当:企画消防係長 石田正外
               TEL 0279-25-4191 Fax 0279-20-1203
**********

■これでは質疑応答のポイントがよくわかりませんので、質問と回答を対比させて並べてみました。

**********
【質問1】
 地元バス会社HPの広告(別紙参照)として、貴渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラボするかたちで掲載されています。貴渋川広域消防本部では災害出動などがないかぎり、見学が予定されているようですが、貴渋川広域消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?

【回答1】
(1)スライドにて、消防本部・消防署の組織の紹介及び仕事内容の説明。
(2)消防車両の見学にて、資機材の説明では、どんな時に使うか説明し、火災予防及び事故防止の消防広報を実施する。
(3)防火水槽・消火栓は見学、説明を行い緊急時使用するものであり、防火水槽消火栓のそばに車を止めないお願いなどの消防広報を実施する。


【質問2】
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イベント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?

【回答2】
 現時点では、1のとおり実施予定ですが、時間に余裕があれば、日頃行っている訓練を展示する場合もあります。


【質問3】
 ツアー客が貴消防本部を訪れた際、案内をする職員はどの部署から何名が選任されるのでしょうか?それとも、ツアーの催行会社の添乗員によって案内させるのでしょうか?あるいは自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?

【回答3】
 消防署所属の職員1~2名にて、案内及び説明を実施する予定です。


【質問4】
 この企画は、貴消防本部からツアー催行会社や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それともツアー催行会社や他の一部観光企業側から貴消防本部に持ち掛けられたのでしょうか?

【回答4】
 観光業者から依頼されたものですが、依頼時に渋川市と渋川伊香保温泉観光協会の事業であることの説明を受けております。


【質問5】
 貴消防本部として、これまでに、消防本部見学をツアーコースに含める形で実施したことはありますか?今回が初めてですか?

【回答5】
 消防本部として実施したことはありません。


【質問6】
 このツアー参加者を貴消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など、対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?

【回答6】
 金品等の授受はありません。


【質問7】
 貴消防本部として、ツアー催行会社の提案ないし申入れを承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴消防本部側はどなたが、どのような理由や根拠に基づいて承諾の決裁をなさいましたか?

【回答7】
 本バスツアーの趣旨を理解したうえで、広く住民へ火災予防広報の啓発活動等を行うことができる場として承諾しました。

**********

■ところで地元バス会社あてに出した公開質問書の回答期限の7月16日(金)も間もなく迫っています。それまで待機したいと思います。

【7月17日追記】
 地元バス会社から7月16日午後にFAXで回答が当会事務局に送信されました。原本は郵送で送れらることになります。内容について、渋川広域消防本部からの回答と整合性がとれておりますが、コロナ禍でのソーシャル・ワークの重要性の観点から、マイクロツーリズムの対象として消防本部のほかにも、今後、警察、浄水場や、一般ごみ処理施設などもツアーコースに組み込むことが検討されてしかるべきかと、感じた次第です。
 なお、当会の質問書に対して、無視を決め込む企業・法人があるなかで、きちんと当会に対して誠実に回答していただいた地元バス会社の対応を率直に評価し感謝いたします。

*****FAX送付状*****ZIP ⇒ 20210716zfax.zip
21-07-15;15:38 ;関越交通(株)渋川営業所   :0279-24-5116  #1/4

     FAX送信のご案内
宛先:会社名:市民オンブズマン群馬
   部署名:
   担当者:小川
   郵 便:
   住 所:
   電 話:027-224-8567  FAX:027-224-6624  携帯:
発信:会社名:関越交通株式会社
   部署名:観光部
   発信者:若木 亮
   URL:http://www.kan-etsu.net
   Mail : wakakir@kan-etsu.net
   郵 便:〒377-0007
   住 所:群馬県渋川市石原字田中303-l
   電 話:0279-20-l900  FAX:0279-24-5116  携帯:
枚数:この用紙の他に3枚あります。
発信日時:令和3年7月15日
□至急 ■要連絡 ■要確認 □要回答 □報告 □お知らせ □重要
件名 公開質問害に対する回答について

平素は大変お世話になります。
7月5日付け貴団体からの公開質問書について添付のとおりご回答申し上げます。本通は、本日郵送いたしますが、明日の配送に間に合うかわかりませんので取り急ぎFAXにて送信いたします。
ご査収の程よろしくお願い申し上げます。

*****回答*****ZIP ⇒ 20210716zfax.zip
                      2021年7月15日
市民オンプズマン群馬
代表 小川 賢  殿

                 関越交通株式会社 観光部
                 渋川市石原字田中303-1
                 TEL 0279-20-1900
                 担当 副部長 若木 亮

        公開質問書に対する回答について

 標記について、2021年7月5日付け貴団体からの公開質問書について下記の通りご回答申し上げます。
               記

質問1
 貴社HPの広告(別紙参照)として、渋川広域消防本部がツアーコースに組み込まれており、一部観光企業とコラポするかたちで掲載されています。渋川広域消防本部では 災害出動がないかぎり、見学が予定されているようですが、渋川消防本部の施設内での見学とは具体的にどのような内容を想定していますか?
 同答
 渋川広域消防本部・消防署の組織紹介、仕事内容の説明、消防車両・資機材の説明です。


質問2
 当日は、一般住民を対象にした消防啓蒙イペント(たとえば出初式の類や、梯子乗りなど古式消防演技、渋消式火災防御戦術デモンストレーションなど)が予定として組み込まれていますか?
 回答
 時間が取れれば、日頃行っている訓練を見学できる予定です。


質問3
 ツアー客が消防本部を訪れた際、貴社の職員が案内するのでしょうか?それとも消防本部の職貝が案内するのでしょうか?あるいは共同で案内するのでしょうか?または自由見学として、誰も案内者は付かないのでしょうか?
 回答
 庁舎内の案内は、渋川広域消防本部の職員が行います。弊社職員はお客様の安全確保のため随行致します。


質問4
 この企画は、賀社から消防本部や他の一部観光企業に持ち掛けたのでしょうか?それとも消防本部側から貴社に持ち掛けられたのでしょうか?
 回答
 当該ツアーは渋川市マイクロツーリズム推巡モニクーパスツアー催行業務として一般社団法人渋川伊香保観光協会から業務委託を受け、弊社が旅行企画、旅行業務(募集、受付、手配等)を実施し、市内バス事業者3社にて運行するものです。
 よって募集型企画旅行商品として、弊社から持ち掛けた企画となります。


質問5
 これまでに、こうした形で消防本部見学をツアーコースに含めた事例はございますか?
 回答
 今回が初めてです。


質問6
 このツアー参加者を消防本部が受け入れることについて、費用補填や謝礼など対価として何らかの金品等の授受を伴いますか?
 回答
 見学に対する費用補填および謝礼の授受はございません。


質問7
 貴社として、自ら提案ないし申入れをし、一部観光企業や消防本部が承諾した結果、このような企画が実現したのかどうかは定かではありませんが、貴社はどなたが、どのような理由や背景に基づいて(たとえばコロナ禍による旅行・観光への影響を打破するためとか、参加者の防災意識向上の一助とするため、など)この企画実行の決定をされましたか?
 回答
 新型コロナウィルスの影響が不安視されるなか、観光産業が生き残る方法の一つとして提唱されている「マイクロツーリズム」の構築に向け、市内および広域町村の観光資源の再発見と磨き上げを行い「渋川市版マイクロツーリズム」の構策と観光産業の活性化を図ることが目的となっております。
 渋川広域梢防本部は、地域の消防、救急の要として日々地域住民の安心安全の為従事されております。一方で昨今の異常気象等により地域住民の防災意識は高まっていると考え、親子で消防を身近に感じてもらうこと、また、防災意識向上のきっかけとなれば との思いで弊社観光部職員が企画提案いたしました。
 当該企画について、渋川市広域消防本部へご相談したところ、災害等で緊急時には見学は中止となることを条件にお引き受け頂いたことから、見学施設として決定致しました。

**********

【7月17日追記】
 関越交通から当会事務局あてに郵送で送られてきた回答書↓
ZIP ⇒ 20210715z.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「渋川広域消防本部に係る会計処理等不祥事の事実関係解明の経緯」
■渋川広域消防本部を巡っては、以前から問題が指摘されており、3年前の2018年12月20日にも事実関係を確かめようと渋川市長に情報開示請求をしたことがあります。このときは、内部通報が発端でした。
 それによれば、同本部の中間管理職以上の本部職員の不正及び隠蔽疑念、職員間での摩擦やパワハラ、徹底的な虐めや不当な異動、それらが起因する精神疾患や依願退職などの実態でした。
 そこで当会は、渋川広域消防本部にかかる次の情報を開示請求しました。
1 過去3年間(平成28年1月から現在まで)渋消式火災防ぎょ戦術勉強会において公務にも関らず会費等の収支書、領収書や金銭の流れのわかる通帳等が一切無い事が事実かどうかが分かる情報
2 この事についての監査担当者の氏名とその所属部署。
3 過去3年間の渋消式火災防御戦術に関する講演活動及び東日本大震災援助隊以降の講演活動の、旅費及び宿泊費等の領収書や資料等の情報とそれらの監査情報。
4 過去3年間の渋川広域消防の編著、監修した書籍販売に関する収支等の情報。
5 過去3年間のパワハラ、セクハラ、モラハラに関する職員からの報告事例と、消防本部の対応がわかる情報
6 平成30年12月4日に報道された渋川広域消防署西分署所属の職員の飲酒運転による書類送検の発表について、なぜ発表までに2ヶ月遅延したのか、また、飲酒運転にも拘らず停職3か月の懲戒処分について、その処分の重みの妥当性の理由がわかる情報。
7 組合職員による飲食店での代金踏み倒し事件の事実関係が分かる情報。

 このほか、「渋川広域消防の報道機関・ブロガーとの内容説明裁判の内容と結果」、「中間管理職のパワハラ、暴言、会議中の怒声の実態」、「前消防長時代からの内部告発に対する数回にわたる隠蔽と放置」なども問題視されましたが、これらは情報開示請求になじまないため、請求から除外しました。
 その結果、2019年1月22日部分開示されましたが、開示されたのは一部の文書のみで、内容を解析し真相を解明するまでには至らず、当会としてその後の追及を断念した経緯があります。
 当時、開示された資料は下記のとおりです。
○講師派遣申請記録 ZIP ⇒ l.zip
l.zip
l.zip
l.zip
○渋消式火災防ぎょ戦術出版契約書と出版本の表紙・目次 ZIP ⇒ ahpo_.zip
○酒気帯び運転処分通知書 ZIP ⇒ cm.zip
 渋川広域消防本部が編み出した「渋消式火災防ぎょ戦術」が全国の消防関係者の間で話題となり、各地の勉強会や講演会に引っ張りだこだった様子がうかがえます。内部通報はこうした派遣に伴う依頼元からの出張経費や謝礼の負担がきちんと経理上に反映されていないとの指摘でしたが、残念ながら当時、深く真相を究明するに至りませんでした。
(市民オンブズマン群馬)
**********消防訓練・勉強会2015年12月14日
渋消式火災防ぎょ戦術勉強会[群馬県]

 去る平成27年12月12日(土)~13日(日)の2日間にわたり、群馬県消防学校において渋消式火災防ぎょ戦術勉強会が実施された。
 この勉強会は群馬県・渋川広域消防本部が主催するもので、同本部が研究の末に生み出した渋消式火災防ぎょ戦術を学ぶという、全国でも珍しい消火技術に焦点をあてた数少ない勉強会である。
 消防専門誌での紹介やガイドブックが発刊されたことで、いわゆる「渋消式」は全国から注目される存在となっている。そうした中、同本部では全国の消防本部からの問い合わせに対し、個別受託研修を行って対応している。そして、同時に消防職員個人からの問い合わせや、自己研鑽の場を求める声も多い。これに応える形で、同じ志の者が集結して共に学ぶ場として「渋消式火災防ぎょ戦術勉強会」を年1回開催している。
 3回目となる今回は、北は青森南は沖縄まで全国70消防本部から132名の消防職員が参加。従来は同本部施設で実施されていたが、参加者が増加したことから今回は群馬県消防学校を舞台に実施されることとなった。

★唯一無二の渋消式★
 この勉強会は、単純に火災防ぎょ戦術という手技を学ぶのではなく、消防力の整備指針や、それに基づく一般住宅火災の対応全般について、同本部が研究した内容などを集まった消防職員と一緒に学ぼうというのが基本スタンス。つまり、消防の基幹活動といえる火災防ぎょに関して多角的に学べるのが特徴であり、国内でもあまり行われていない取り組みといえる。
 もちろん、手技としての渋消式火災防ぎょ戦術についても注目度が高い。
 渋川広域消防式火災防ぎょ戦術(略称・渋消式)と名付けられたこの新戦術は、わずか13~14名という限られたマンパワーで、いかにして素早く筒先配備を行うかという点を大きなテーマとしている。
 呼称40㎜のホースをベースとして耐火造建物に対して積極的な内部進入を行い迅速に火点を叩く「ヨンマル戦術」など、近年注目される火災防ぎょ戦術は「筒先側の動き」を中心に考えられているものが一般的なのに対し、いわゆる渋消式はその前段階、「指令から筒先配備までの間についての動きを最適化する」という発想で考えられている。さらに、既存の方法論や技術文献などを鵜呑みにすることなく、置かれた環境、車両、装備、人員、体制といったものを踏まえ、トライアル・アンド・エラーを繰り返し、その結果として生まれた戦術であるため、手技の一つひとつに至るまで「なぜそれが最適と判断したのか」という点が容易に理解できるのもポイントだ。

実技訓練は3グループに別れ、それぞれのブースで技術を体験する。訓練に先立って行われる説明を、記録をとりながら聞き入る参加者たち。

後部に吸管を収納した、いわゆるリア吸管仕様の車両。ロックを解除し吸管を担ぎ上げる。

吸管収納を容易にするひと工夫。吸管にビニールテープでマーキングを施し、ロック部分に収まる位置を明示している。

オールシャッター式の車両で、車体中央のポンプ室部分に吸管が収納されているセンター吸管仕様における伸長要領体験。
★目からウロコの連続!★
 勉強会は1日目の座学において消防力の整備指針、消防水利の基準などのおさらいが行われる。消防人にとって「いまさら聞けない」といえる基礎知識の部分だが、だからこそ奥も深く、改めて読み解いていくと多くの発見がある。
 消防力の整備指針における署所の設置基準数は「隣棟間隔が1~5mの火災では出動~放水開始が6.5分を超えると隣棟への延焼率が急に高くなる」というデータに基づく。そこから逆算していくと、出動から現地到着までを4.5分以内、放水準備から放水開始までを2分に抑えるというのが理想値になる。また、最先着隊による2口以上の放水が高い消火効果を得ているというデータもある。
 ならば、どうすればこの理想値に近づくことが出来るのかという発想で、渋消式の研究は始まっている。
 こうした経緯や考え方を知るということも、参加者にとっては大きな収穫なのだ。
 「渋川と自分の所属が守るエリアでは、地域環境も消防体制も異なる。この戦術をそのまま自分の本部に取り入れることは難しい。だが、全ての要素について、考え方について参考に出来る部分がある」
 失敗談といった経験も包み隠さず語られるのがこの勉強会。だからこそ、知識や手技そのものだけでなく、着目点や改善のためのアプローチ方法など、広い範囲にわたって発見が出来るのである。

勉強会では初披露となった前だしの実演展示。ヨリを解除しながら迅速に、そして華麗に吸管を延ばす。

吸管伸長要領の体験。単純な動作に思えても、簡単にはいかない。
★ひたすら延ばす★
 救助系や救急系の勉強会であれば、想定訓練を軸とした実技訓練がつきものだ。一方の渋消式火災防ぎょ戦術勉強会では、火点に向かっての放水といった想定訓練は行われず、ホースバッグによるホース延長や、吸管伸長といった部分を中心に行われる。
 渋消式のテーマは「6.5分以内の2口設定」の実現だ。そのためのキモになるのが、迅速な吸管伸長やホース延長なのである。したがって、勉強会2日目の実技訓練においても、これら技術を集中して学ぶのである。
 参加者は3グループに別れ、それぞれのブースで時間の限りこれら技術を体験する。
★「ナイス延長!」★
訓練に集中すると、どうしても声が出なくなる。確認呼称をしやすい雰囲気作りとして、運営側の渋川広域消防本部スタッフは大きな声かけで場の雰囲気を盛り上げる。いつしか参加者同士が互いに声援を掛け合い、実施時にはしっかりと確認呼称の声が出せる。ちなみに、渋川広域消防本部では指導者にあえて若手を充てている。教えることで自ら学ぶ機会を与えているのだ。

 渋消式は常に進化を続けている。したがって、勉強会の度に新要素に触れることができる。第3回の勉強会では、吸管伸長に「センター吸管車両における前出し」という要素が加わった。渋消式ではこれまで、車両中央のポンプ室に吸管を収納した車両において、吸管を車両後方へ伸長する方法が研究されていた。そして、次のステップとして、車両前方へ、1名で迅速に伸長する方法が編み出され、今回の勉強会で紹介された。
 止まるところを知らぬ渋消式。ゆえに、何度参加しても新しい発見があるということなのだ。
 ほかにも、渋川広域消防本部では日常の業務や現場活動を改善する大小さまざまなスゴ技を多く生み出している。こうした細部について説明を受けるだけでも、非常に勉強になるのだ。
 勉強会の最後には、参加者たちの中から選抜された隊員により、ホースバッグによる2線4口延長と一斉放水が行われ、充実した2日間を締めくくった。
 渋川広域消防本部では全国の消防職員と共に学ぶ中で、さらに学びを深め、今後も「渋消式」を育てていくことにしている。

勉強会の最後は、参加者たちの中から選抜された隊員によりホースバッグによる2線4口延長が行われた。

一斉放水。実火災ではこの筒先で火点を包囲する。
**********

コメント (1)
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富岡市桑原地区の出前講座で地元が県に突き付けた産廃場設置許可の説明責任と県の無責任答弁!(質疑編)

2021-07-11 21:55:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■七夕の日の2021年7月7日、筆者の地元岩野谷地区に隣接する富岡市桑原地区の桑原公会堂で午後7時から開始された群馬県による出前講座「産業廃棄物対策について」で、1時間にわたる説明が終わりました。いよいよ、地元住民から群馬県に対する質問と、県側の回答の時間を迎えることになりました。引き続き、住民と行政とのやりとりをご報告します。


桑原公会堂の前にある諏訪大明神の鳥居



桑原公会堂。建設は明治初期であると思われる。昭和30年頃まで田舎歌舞伎の舞台として利用されていた。また、昭和40年頃まで獅子舞台としても利用されていた。本来の利活用目的は地域住民の会議、諸事業の打合せ場所である。子供の遊び場としても活用されており、かつては滑り台等の遊具もあった。出典:http://marugoto-kuwahara.com/kuwahara/

**********
司会:はい、どうも、どうも、ありがとうございました。どうしますか?2、3分トイレタイムをとりますか?どうでしょうか?大丈夫ですかね?

場内:大丈夫です。

司会:トイレに行かれる方はどうぞ。それで、この後、30分ということで、30分程度ということで質疑応答の時間を頂いておりますので、なるべく多くの方に、ご意見とか質問をしていただきたいので、ひとり2、3分程度で、手短にひとつお願いしたいと思うんですけれども、県のかたにお尋ねしたいこととか、質問があるかた、挙手していただきたく、私のほうで指名させていただきますのでよろしくお願いします。どうぞ。じゃあAさん。

住民A:えーと、ですね。今ご説明いただいた資料の中で、ですね。生活環境保全という言葉が何度か出てたんですけれども、この地域に、桑原において、ですね、生活環境保全会という組織をやっております。これはですね、農水省の方で、資料もらっていますが、多面的機能支払交付金という、ことに基づいてやっているのですが、これは、ご存知ですか?県。

畠中次長:あのう、すいません、知りませんでした。申し訳ありません。

住民A:これは、ですね。この多面的機能支払交付金というものに基づいて、桑原の生活環境保全会を3年強、今やっておりまして、実は今年のですね、2月のですね、2日の日に県の方から表彰をいただきました。まあ、表彰云々ではないのですが、この許可証をみますと、ですね、えー、その翌日の2月3日になっているんですね。で、まあ、えー、処分場自体はこの地域ではちょっとないのかもしれないんですが、生活環境保全という見地から見ると、搬入搬出のトラック等はですね。環境に非常に害を与えるかなあと、いうことを思っていまして。まあ、我々表彰を受けた翌日に許可が出たと。ちょっとまあ、遺憾というか、ですね、どうお考えですか?
※群馬県美土里保全協議会HP 「多面的機能支払優良活動」
URL ⇒ https://www.nouti-mizu-gnm.jp/info/hyousyou/

畠中次長:あのう、すいません。その2月2日に、県表彰を受けられたことは、まずおめでとうございます。で…。

司会:県庁の正殿の間というのですか、正殿の間に、私と彼とで二人で行って、あの、知事表彰をもらって、そこに額が掛けてあるんですが、あの、なんかあれ、群馬県の県産の杉でつくったという額なんです。それで、もらってきたら、次の日に県知事がこのサンパイの許可を出したので、「何だよ、こりゃあ」という話なんですけども。


群馬県知事から桑原生活環境保全会あてに令和3年2月2日に交付された表彰状。文面は
「右は多面的機能支払交付金における
共同活動に積極的に取り組み
農村が有する資源の良好な保全と
その質的向上を図ることを通じて
地域の振興に寄与されました
その功績は極めて顕著で他の
模範でありますのでここに表彰します」


住民A:参ったなあ、という話です。

畠中次長:すいません。帰りによく、ちょっと、表彰状のほう、見させていただきたいなと思います。で、あのう、実はこれ、2月の3日付で、あの、うちのほうの部署、許可を出したわけなんですけども、あのう、この日に、表彰と絡めてという意味ではないっていうことだけ、理解をいただけたらと思います。

住民A:偶然だと思いますけれども、住民としては、ですね、よくやっていると、環境についてよくやっていると、ほめてもらった翌日に、ですね。環境を害する許可が出たというのがちょっと、どうかなと。

県側:・・・。

司会:それであのう、この会の名称を、ですね、通常ならば、あのう、桑原環境保全会だと思うんですよ。そこをあえて私のほうでちょっと命名したんですけれども、桑原生活環境保全会。生活環境という言葉、生活環境保全という言葉を使っているんですよ。これはもう前からこの地域はサンパイの、サンパイ銀座と言われていて、アスベストとか中間処理だとか、ガチャガチャできているので、この会、生活環境保全会をもって、すぐサンパイの業者がもし来たら、それに乗り換えて、なんというんですか、協議に向かって地域をまとめていこうと思って、わざわざ生活環境保全会という名前まで入れているんですよ。その辺を県のかたがたが「この地域はもう特別だ」ということをちょっと認識頂ければありがたいと思います。他にどなたかご質問のかた。

住民B:はい。

司会:どうぞ。

住民B:先程の説明で、これは3ページですか。20種類なんですが、この中に、ですね、まずひとつはアスベスト、水銀類、えー、それから13号廃棄物、これらがどこに該当するのでしょうか?入ってないんでしょうか?入っているんでしょうか?また、もうひとつは、医療廃棄物というのは、入っているんでしょうか?いないんでしょうか?

富田係長:えーと、まずですね、あのう、アスベストの関係の廃棄物については、あのう、ま、石綿、廃石綿というものについてはですね、あのう、特別管理廃棄物という形になりますので、えーと、品目的には、これとは別の形、まあ、これは今、普通の産業廃棄物の20種類を示させていただいていますので、アスベスト関係のもので、今言ったように、廃石綿等と言ったものについては、特別管理廃棄物という形になります。これ、ちょっと、これとは枠が別になるということになります。もう一つ、あのう、石綿含有、まあ、例えばスレート板であるとか、そういったもの、アスベストが練り込んであるようなものというのは、えー、分別上、特別管理廃棄物に該当しないんですけれども、それについてはこの品目の中でその性状とか性質が、どれにあたるかということで、分類される形になります。えーと、スレート板とかそういったものについては、あのう、えー、ま、がれき類とかですね、ガラスくず、コンクリートくずという分類になったりとか、あとは、Pタイルと言われているようなプラスチックタイルにアスベストが入っているようなものについては、廃プラスチック類というような形で分類される形になります。

住民B:あのう、別紙の配布された資料ですね。ここには、入っていないということですか?まず、アスベスト。



富田係長:えーと、許可の品目で、えー、あのう、その、廃棄物の種類というところで枠に書かせていただいている通りで、ですね、えー、この品目の中で、先ほど言った石綿含有産業廃棄物とか、水銀使用製品産業廃棄物、こういったものが含まれる場合には、えー、括弧書きでそういうのも含むという形での記載になります。記載がないので、ここでは、無い。

住民B:ここの、大谷のこの処分場は、アスベストや水銀類を含むのは、入っていないという解釈なんですか?私はこれは入っているという解釈をするんですけど。この文面からいうと。

県側:……。

住民B:含まれる場合は、その旨を含むという、この解釈は、入っている……、じゃあ含まれていないのですね?それはそれで、そういう回答であれば、それでいいんですが。

県側:……。

司会:よろしいですか?

県側:……。

住民B:それは無いんですね?

畠中次長:ちょっとこれ持ち帰らせてください。

住民B:はい、もう一つ。

畠中次長:はい。

住民B:先程言った医療廃棄物は13号廃棄物という理解になるのですか?それとも、医療廃棄物は入っていないと。ここには。

畠中次長:医療廃棄物って、いうと、あのう、特別管理産業廃棄物でよく使うときになりまして、えーと、この、廃棄物のこの分類で言うと、あのう、医療廃棄…この20種類の中に、医療廃棄物。あのう、勿論その医療系のものが出てくることもあるんですけれども、例えば病院から出てくるプラスチック類であれば、それは勿論医療廃棄物なんですけども、それは廃プラスチックという形になります。ですから、一般的に感染性廃棄物を想定しているような医療廃棄物というのは、特別管理産業廃棄物になります。

住民B:では、これには入っていないと?

県側:はい。

住民B:それと、先ほど言った13号廃棄物というのは、この中身は何なんですか?

富田:えーと、13号廃棄物というのは、ですね。産業廃棄物、まあ、ここにある種類で、えーと、私が今回お持ちした資料の⑳のところがこの処理したものという感じで書かせていただいていますが、これが要するに処理するために処理した廃棄物。これが13号廃棄物、俗に言われるものになります。この13号廃棄物というのは、その産業廃棄物を処理するために何らかの手を加えて出てきて…生じたもの。これが、えー、分類上ですね、今言った、この上に掲げているいろんなプラスチックとかゴムとか金属とか、そういったものにこう分類できないような性状になるものもあるんですね。そうしたものを総じて、処理するために処理したもの、ということで13号廃棄物という説明になります。ですから、あのう、例えば、えーと、端的に言うと、例えば、廃プラスチックとか、そういうものを処理するために、すごい高温で処理をして、普通であれば燃え殻、ま、焼却灰になるんですが、更にそれをもっと高い温度で焼却灰が溶けて、固まるようなぐらい、ま、スラグのようなものにして、えー、した状態のもの、まあ、そのスラグというのは性状的に、この品目の中にどれかに分類できるかというと、ちょっと、どれも分類できないような状況…性状になりますので、そういったものを、あえてどういうものに分類するか、ということで、法律上の規制として、まあ、処理するために処理して出てきたものということで、こういう形になっています。それを総じて13号廃棄物という形になっています。

住民B:その形としては…。

司会:Bさん、ちょっといいですか?あとで、13号廃棄物、よく調べさせてもらって。他にどなたか?

住民C:はい。

司会:どうぞ。

住民C:えーと住民のCです。よろしくお願いします、どうも。えーと、設置許可証に書いてある質問なので、この場の質問で合っているかどうかはわからないんですけど、搬入・搬入経路で、その上の前の道路が使用…搬入ルートになっているんですよね。で、高崎、安中方面にも、三方面、道があるんですけど、なぜここが主要な道路になるのか?高崎方面から来る車が、わざわざ遠回りしてこっちから来るのか、というのがちょっと気になったんですけど。


富田次長:すいません、あのう、これについては、ちょっと冒頭説明させていただいた通りで、個別の、ちょっと、事業者の計画になりますので、この場で県の方でなぜかということを答えることは、ちょっと差し控えさせていただきます。

当会:でも許可したんでしょう?

司会:ちょっとよろしいですか?要するに、あのう、運搬する業者の問題だと思うんですよ。業者のほうで、県の条例とか廃棄物の清掃法によっては、その運搬ルートまでは決められるものなのですか?それは条例にあるのですか?法律なり条例なり、運搬ルート。トラックの運搬ルート。そこまで決めてあるのかどうか。それとも運転手まかせで、どこでも通っていいよと、そういう話ですか?我々は、この黒塗りで、最初に、あの、今回の安中の場合、桑原の我々のこの地域の中の道路が、二重の黒塗りになっていて、安中にも、野附にも伸びていない、奥平の方にも伸びていないので、これを非常に心配しているんですよ。これはだから、入ってきたものが、桑原にまた戻ってくるのではないかと、そういう心配をしているんですよ。だから、その辺が運転手まかせで、どこでも、野附へ下りられる、例えば大谷へ下りる、野殿を通るとか、そういうことでもいいんですかね?理解で?そこをちょっと端的にお願したいのですけれども。

富田次長:えーと、まずあのう、車両の通行に関して、えーと、廃棄物処理法では、ですね、えー、ここを通らなければいけないと、まあ、公道を通る部分に関して、えー、その公道を通ることに関する規制はありません。あのう、どこを通るのかというのは、確かに地元に対しての車両が通ることで大きな影響になりますので、そういった部分については、えー、まあ、事業者と地元のほうとの、えー、協議とかですね、話し合いの中で、あるいは、あのう、そうですね、えー、意見を踏まえた中で、事業者はどのように対応するのかと…。

司会:わかりました。結構です。じゃあ、とりあえず運転手任せということですね?そういう解釈でよろしいわけですね?

県側:……。

住民C:ちょっと。いや、私はね、これは、事前協議であるとか、この、2月3日の県知事が許可した、これが条件で許可されていると、こういうふうに私は理解しています。そういう条件で。でなければ、この資料は、添付されている資料、これは何なんですか?これ、わざわざ、ここだけ?今、こちらで質問があったように、ここだけ黒塗りにしてあるのはおかしいですよね?ここ以外には、通らないということでしょう?ここ往復するんでしょう?この黒塗りが。これ一番、ここが一番だと思いますよ。我々の生活環境保全という観点からしてですね。申請書に添付されているんですから。運転手であるとか、業者さんが選択するということなら、これは付けないでしょう。公道なんですから、全部。ここはね、大変、疑問ですね。そこをハッキリさせていただかないとね。これはもう基本的に大きな地域の問題ですね。これはもう皆さん一番懸念していること。これみて、大体の人はびっくりしているんですよ。ここだけなんで黒塗りなのかと。以上。

司会:じゃあ、どなたか違う質問のあるかた。

住民D:はい。

司会:どうぞ。Dさん。

住民D:すいません、一番初歩的な質問で申し訳ないです。あのう、2月3日に県知事が許可したということなんですが、私が得ている情報ですと、安中市長は反対していると。で、大谷地区の住民のかたも反対している、ということなんですね。それでも、その、あのう、許可申請の資料が揃ったということなんですかね?それと、隣接しているこの桑原地区。まあ、隣接する区になるわけでしょう。ここに全然話がなくて、これが進んじゃったとすると、すごい地元としては、あのう、不満と言いますか、疑問に思っていることなんですけど。その辺はどうなんでしょうか?

司会:あのう、富田係長さん、そのへんでちょっと補足させてもらいますが、この安中の大谷の話って15年前から始まっているんですよね。それで、環境アセスメントを桑原でやっているのをご存知ですよね?資料に、事前協議とか申請書に載っかっているので。それで、環境アセスメントを桑原でやっている。それで、ですよ、事前協議が始まってから15年間、この桑原地区については、富岡市民ですよ。富岡市民、桑原地区については、一切業者さんからの説明がないんですよ。だからそこが一番我々は、区長としても、住民としても、腹がたっているところなんです、ハッキリ言って。これでこのまま、15年間蚊帳の外に置かれているんですよ、我々は。それで、このまま知事が許可出した、建設が進んでしまう。ダンプがボンボン通る。それでもまだ蚊帳の外に置かれるかという。これは今日の説明会を聞いても、ですね、ちょっと、何としても私は、これ腑に落ちないんですけれども、要するに廃棄物の処理法では、ですよ、要するに、なんだ、周辺地域との適正な、何というんですか、書いてありましたよね。えーと、周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものである。これが廃掃法ですよ。で、県が基準、決めている、この産業廃棄物の情報、ああ、産業廃棄物の維持管理等に関する基準、これの第1章の総則の頭に、ですね、県はまださらに踏み込んで、「地域理解の促進及び廃棄物の適正処理の処理を図り、周辺地域の生活環境の保全等に適正な配慮を図ることを目的とする」。ここまで地域理解の促進とまで、県は踏み込んでいるわけですよ。それなのに、15年間説明もないわけで、地域理解もヘチマもないではないですか。その辺を私は、本当に腹が立って、もう、煮えくりかえっている所なんですけれども、富田係長さん、何で桑原の住民に15年間、業者からの説明がなくて、ここまで来てしまったのか、端的にお答えいただきるとありがたいのですけれども。条例にのっとって、で結構ですけども。

場内:そうだ。お願いします。

県側:……。

司会:だから、ご存じだったんですかね?桑原に今まで説明がないっていうのを。もしかすると、知事も、環境の担当課も、知らなかったのではないかと思うんです。ここまで来ちゃっている。一切ないんですよ。もう区長は、歴代の区長からも、何年も。それで、環境アセスメントをやっているんですよ。ハッキリ言って、10年くらい前に、裏で、俺んちの裏でやっているんですよ。やってて、1週間くらい若い氏が来て、なんか機械を持ってきて測定していたので、俺が「おまえら何をやっているの?」と言ったら、「環境調査をやっています」と言うから、俺は県かなにかから言われてやっていると思っていた。それだって、区長に内緒ですよ。住民に内緒で環境調査をやっているんですよ。それが現実ですよ。私はウソを言っていないですけども。それできて、県知事が許可をしちゃった。桑原の住民は、要するにだから、桑原の住民は、この、なんだ、今回の件について、関係地域の住民ではないというふうに見方をされているんですよね、県からは。で、私がさらに言えば、関係地域でないのであれば、富岡市に業者が何回も足を運んだり、ですよ、富岡市長からの意見書なんか要らないわけですよ。富岡市長からの意見書は2回出ていますよね?県に。それは関係…市民が関係しているから、富岡市長が関係のことで、一番最初の事前協議の段階で、高崎市と富岡市と安中市と出ていると思うんですよ。で、環境アセスメントに限って言わせてもらえば、環境アセスメントをやっているのは、さすがに岩井の方では、あのう、安中の川のほうで影響調査をやっているけれども、安中の大谷の地域の中では環境調査をやっていないじゃないですか?現場が、その産廃場をつくる場所だけと、あと桑原だけですよ。それにもかかわらず事前に説明がないということはどういうことなんですかね?そこをちょっと、今、富田さんのお考えで、納得できるように話してもらえるとありがたいんですけども。

富田次長:……。

畠中次長:…………まあ、あのう、……事前協議の中ではあのう、あれですね。富岡市長さんの方から意見をいただくような形をとったんですね。

司会:それは知っていますよ、私も。

畠中次長:で、許可申請では、あのう、まあ、告示縦覧をするという形で、あとはまあ、利害関係者から、あのう、意見をいただくという手続きは、とったんですね。法律に基づく手続きは…。

司会:それは私も知っています。それで私も意見書も出していますよ。

畠中次長:はい。

司会:ただ、業者の、その、何ですか、事前協議のフロー等にも書いてあるような、業者の説明というのが全くないんですよ。ないまま、ここまで来てしまっている段階ということなんですよ。というか、県のその事前協議のフロー等か、あ、これだ。ここにですね。あの、前の事前協議のフロー等で、大谷のが始まった場合に、関係地域の、ですよ、ここに「関係地域(施設の境界から300m以内の地域の全部または一部を包含する地域)」。これは、ですね、桑原の土地台帳からして、安中の現場のゴミの処分場のほうから20mですよ。20mで桑原なんですよ。ここに、「地域の全部または一部を包含する地域」というのは、桑原は該当すると思うんですよ。該当すれば、当然、業者の、事前、その、こっちに来て、桑原に来て説明会をやるのが当たり前だと思うんですけどね。だから、これはあれですか?「300m以内の地域」というのは、そこに住んでいる住民のことを言っているんですか?住民のことを言っているのであれば、ここに住民が、住んでいる住民が居なければ実施しないんだと、そこまで突っ込んで書いてくれてもいいのではないですか?だから、私はときに、当時の意見書の中にこれを書いて出しましたよ。

畠中次長:…その点について、いいですか?

司会:はい、どうぞ。

畠中次長:それで、実はあのう、県からは許可を出すにあたって、えーと、事業者に対しては、あのう、当然、誠実に対応するように指導は行っておりまして、えー、また、あのう、あれですね、この、今回まあ桑原区の皆様から、あのう、こういった求めがあるということは事業者のほうに、あのう、伝えることも出来まして、それに基づいて、あのう、対応するよう、あのう、まあ、今回、ま、桑原区ということなんですけれども、こういった話が出てきた時には、あのう、許可も出たあとだけれども、対応するようにという、そういう指導というのは行っているところです。

司会:ああ、なるほど。

畠中次長:はい。

司会:さっきの説明会の中にも、なんか事前協議が終わった後の説明会できるときいたので少しは安心したところはあるんですけど。

畠中次長:それは口頭ではなくて文字で。文字だよね…確か。

富田係長:はい。

司会:あのう、地域の区長として、本当に、その辺を、県の方に、真摯にお願いしたいと思うんです。蚊帳の外に置かれて、トラックが通るようなザマだけ、ちょっと避けたいと思っているんですよ。宜しくお願いいたします。他にどなたか居ますか?

住民E:あのう、すいません。ちょっと、言葉がよく分かんないんですけど、14ページの、許可の性質というところで、「都道府県知事に裁量権はない」とありますよね?で、実際に許可証を見る限り、山本一太さんの、知事の、ハンコが押してあり、名前があって、群馬県の公印が押されていますよね?これちょっと矛盾しているような気がするんですけれど。

富田係長:はい、あのう、まあ、県知事の裁量権というところで、例えば、県の基準は全部満たしているけれども、県として判断をして、えー、基準は満たしているけれども、この計画については、県の裁量で許可しないと、いうのが、まあ、県の裁量権というところで、説明させていただきました。

住民E:県には裁量権がないと?

富田係長:ですので県知事については、この廃棄物の処理施設の設置許可については法律に定める基準、それを適合していれば、ですね、えー、県が、あのう、「いや、これは許可しない」という判断ができない。まあ、そういう性質のものだと、いう説明に。

住民E:「裁量権がない」と書いてあって、なんで知事の名前が書いてあるんですか?

富田係長:あ、あのう、許可については県知事が出すのですけれども、それは基準に適合していると、いうことに確認された段階では、県知事で許可が出すんですね。

住民E:言葉としては「裁量権がない」と書いてありますよね?14ページにね?

富田係長:はい、あのう、審査をして基準に適合しているのを確認した…確認が出来れば許可する形になります。

住民E:知事は変わったかたですよね?(場内:苦笑)知事が裁量権を、すぐ、あのう、判断しちゃって、許可したんですか?

司会:これはあのね、俺が言うのもおかしいけども、知事は「✕だ、おまえのところ、これはペケだよ」ということが勝手にできないということです。基準が通っていれば、○でハンコをつくしかないと、そういう話だと思うんです。

住民E:ああ、わかりました。

住民F:それは最終的にというか、基本は、環境大臣が、時の環境大臣が最終許可権限を持っているという意味にもとれるんですけど。

富田係長:ではないです。許可権限は・・

住民F:環境大臣が県知事に…なんていうんですかね、そこに…(場内:委託?)委託している。専門用語。

畠中次長:法律で言うと、あのう、許可は都道府県知事が出すという法律があるということです。

場内:無責任だね(失笑)。

住民F:最終判断はどこで下っているんですか?

富田係長:あのう、許可に関しては、最終判断は群馬県というふうになります。ですから、県…まあ。

畠中次長:許可の基準に合致しているかどうかというのは県が責任をもって判断をしていると。

住民F:それはわかります。

畠中次長:はい。

住民F:で、知事には裁量権はないですよね?

畠中次長:その基準を満たしているんだけど…

住民F:基準を満たしていれば、要するに○だよという話になるわけじゃないですか?

畠中次長:そうですね。それ以外の判断ができないということになります。

住民F:表現だよね、裁量権というのは、紛らわしいね。

司会:じゃあ、すいません。せっかくおいでいただいたので、議員さんのほうから、

住民G:ひとついいですか?

司会:どうぞ。

住民G:あのう金田区長さんの話と重なってしまうんですが、周辺地域の生活環境とか、よくこの周辺地域という表現が出ているんですけど、それはどういう法律や条例でね、あの、規定されているのか、ちょっと、教えていただけます?その周辺地域の、どういうエリアかと、明確に知りたいんです。

場内:12ページかな。

富田係長:あのう、廃棄物処理法上では、周辺地域はここからここまでという規定はありません。で、えー、群馬県の事前協議規程の中では、あの、周辺地域住民とか、まあ、そういういろいろ言葉の定義をいただいている中で、えー、まあ、あの、合意書を取得する範囲とか、そういうのとリンクさせて、えー、施設の敷地境界から、ま、300mの範囲とかですね。

住民G:あ、それはさっき区長さんがおっしゃった300mの話なんですか?

富田係長:はい、そういう数字については事前協議規程のなかでそういう範囲を決めている部分がありますので、そちらのほうで、県の指導規程の中では範囲を区切っているという形になります。

住民G:というと、その300mのところに桑原地区がこう一部、こう、入っていて…

富田係長:入ります。

住民G:もう桑原地区は、全体はもう、周辺地域という解釈をしていいわけですか?

富田係長:周辺地域という扱いになります。。

司会:あれっ、富田さん、その解釈。今のお答え、間違いないですか?

富田係長:はい。

司会:そうすると、じゃあ、説明会がないのはおかしいのではないのか?

場内住民ら:それ重要だと思いますよ。そうだよ、おかしいよ。どういうことなんだよ。それがほんとに疑問なんですよ。

住民G:県は把握していなかったということですか?



富田係長:あのう、すいません。あの今、この場で当時説明が行われなかったということに関しては、私のほうからちょっと、あのう、回答は、直ぐ、適切な回答ができるという状況ではないので、えー、ご質問は分かるんですけども、ちょっとその回答は控えさせていただきたいと思います。

住民H:もう少ししっかりやってもらわないと困るじゃないですか?

司会:あのう、どなたか。あと、小川さん、どうですか?

当会:あ、いいですか。すいません。あのう、隣地区の小川といいますが、まずお聞きしたいことが2つ3つあるんですよ。えーとね。これ、まず事前協議を申請したのは、安中市の後閑にある不動産屋ね、ちっぽけな不動産屋の鬼形さんがやったんです。で、事前協議が終わりました、ね。無茶苦茶な事前協議が終わりました。で、本申請。つまり設置許可の手続きを申請したのも、環境資源という、その鬼形さんが代表者のものなんですよね。平成25年ごろだったかな、26年か。で、その後、平成30年になって、突然、市原市のジョウソウに切り替わったんですけれども、私はこのとき、名義が変わったのだから、最初から事前協議をすべきだというふうに、このジョウソウには言ったんです。で、大丈夫だなあと思って安心していたら、突然、金田さんに聞いて、ですね、2月3日に県が出したと、許可を出したと、こういう話なんですね。だから私はびっくりして、ですね、どんな経緯だったのかということで、皆さんにもお聞きしたら、途中でバトンタッチしてもいいんだと。「廃棄物処理法、これには書いてないから、それでもいいんだ」と、こうおっしゃいました。こんな無茶苦茶なことはね、考えられませんよ。つまり最初の汚い仕事を地元のお金もない業者にやらせておいて、で、本申請になって、で、カネがない、どうしようかと思ったら、千葉県にあるね、むこうではかなり大手みたいですけども、そいつに売り渡しているわけですよ、その権限をね。で、「それでOKだ」と。第4コーナーを回ってホームストレッチに入って、「ああ、もうくたびれたから」と。「まて、俺が代わりにやってやる」といってゴールインしちゃたわけでしょう。そのゴールを皆さん認めているわけですよ。こんなことが許されるんであれば、休眠中の、今、奥平地区とかね、あの大谷地区にもまだ2つ3つ、やけぼっくい、くすぶっているやつが今休眠中だけども、これが全部OKになる。それともうひとつ、あの場所の僅か30m隣りはね、高崎市の一般廃棄物最終処分場があるわけですよ。この間、高崎市の環境部に聞いたら「まだがれきなんかを入れてます」と。稼働中なんですよね。その目と鼻の先に、なんで、しかも、しかも、平成30年にバトンタッチを受けた、千葉県のよそ者業者が、乗り込んできて、それに対して許可が出るんですか?群馬県は平成25、6年頃ですね。1キロメートル、既存の処分場から、1キロメートルの離隔距離を取る、取らねばならんという、そういう規則を作っているではないですか。で、私はそれを聞いたら、ですね、それは以前の環境資源、群馬県安中市の後閑にある鬼形さんが、ね、まあ金儲けのために、はじめた環境資源というところ。それが申請、事前協議を出したときには、まだ平成25年前だから、ね?「その規則は適用されていない。だからいいんだ、いいんだ」ということで、あの半径1キロメートル以内にね、処分場がいくつあるんですか?まず、富岡市のやつは今、埋め終わっていますけども。

司会:20くらいありますよ。

当会:20くらいあるんですよ。奥平地区は特にひどい。だからこういうね、廃掃法に書いてないから何でもありと、こういう昔からの県の姿勢。これはね、もう言語道断ですね。皆さんは、県庁で、机に座ってね。ペーパーだけ見て、「ああ、手続き上書類が揃っているから、ああこれは(許可を)出せばいいんだ」と。まさに今、それしか言っていないけれども、実際にそのゴミの運搬、その汚水。大谷地区のね、今、水利組合のかたは「絶対にハンコを押さねえ」と、こう言っていますけども。で、安中市もね、反対していまして、この間、副市長なんかに、あと、総務部長に聞いたら、「もう業者とは会わん」と。だけど業者と会わないということになると、群馬県は今までどうしたかというとね、あそこに6月24日に、また、あと15年間、(埋め立て)延長許可を出したサイボウ環境という、これは一般廃棄物管理型の処分場で、あと15年間また延長しましたけれどもね。皆さんはね。あの、隣りの部署(一般廃棄物係)のかたですけれども。その(個別法の申請)時は、安中市は会わなかったんです。だけど群馬県はね。業者に、業者が「安中市が会ってくれないから何とかしてくれと。農振法の手続き、森林法の手続き、全然取り合ってくれないから」と言ったら、「ああ、それだけ協議をしようと思って、門前払いを食らったのであったら、努力認めるから」というんで、許可を出たんですよ。群馬県というのはそういうところなんです。皆さんの大先輩の林務局長、中島信義というやつがね、OBになってから、まず、そのサイボウ環境、この地上げ業務で、自分の子分らのね、県職員を誘導して、あそこに設置許可を出した。事前協議に、10年かかってますよ、ね。で、今回、その中島信義が、今度は産業廃棄物にするんだということで、最初、手引きをした。で、平成19年にサイボウ環境のやつはオープンしましたけれど、その2年くらい前に、この今回の環境資源の、この、関東エリアでね、最大級の、トンデモナイ計画を出したんですよ。すいません。で、それもだから、さっき言ったように15年くらいね、かかっているわけです。で、最後にもう一個確認しておきたい。今後ね、皆さんはこの設置許可を出した、ね。これ出さざるを得なかった。行政手続法で書類が整っているから、出さなければいけないんだと、こういう理屈ですけれども、おそらく、今後、さっき言ったように水利組合、あの排水を、あそこの新山(しんやま)の溜池に流すか、あるいは岩井川に延長放流するとか、いろいろまだ決まっていませんけれども、水利組合が「そんなサンパイの汚水なんかでコメなんか作りたくない。絶対だめだ」と、こうやって署名はしないように努力するでしょう。一方、業者は「県のお墨付きが出たんだ、おまえらもう反対してもダメなんだ」と。で、札びらとか、ま、いろいろなね、既にかなり切り崩されていますけれども。で、一体何年かかって、そういう経過の期限というのはあるんですか?10年かかってね、さっきも言ったようにサイボウ環境の場合は、平成10年に(設置)許可が下りて、19年に着工というか、完成したわけですよ。今回の場合、ね、2月の3日に許可が出て、これから個別法で、まあ、主に安中市の方ですけれども、もちろんこの搬入道路をね、きちんと確保しないうちに、皆さん許可出しちゃったわけだから。今、言ったように今後この地区の方も非常に生活環境の保全の観点から、不安な毎日を、ね、過ごさねばいかん。そうしたことを全部クリアして、サイボウ環境が…じゃなくて、ジョウソウがね、市原市のジョウソウが着工する、これに至るのに5年、10年かかっても、それはこの設置許可というのは、時間的な猶予は無制限にあるという、そういうお考えなんですよね?そういうことなんですね。廃掃法によると。ハッキリ言ってください。ハッキリ言えよ!

畠中次長:……法律上、あのう、許可が出ているというのが事実になります。

当会:ほら、ね。これからね、大変なことになるんですよ。もう(許可を)出しちゃったんだから、業者はそれを盾に札びらで地元民の関係者をね、悩ませるわけです。

司会:ということはあれですか、とりあえずこれから森林法だとか、水利組合とかハンコが必要でしょうけれども、それをもらえなけりゃあ、今後もまだ10年20年、延ばされるという、そういう話ですか?

当会:そうそう、だから無間地獄ですよ。

司会:それとあのう、今、千葉の…ですか?

当会:はいはい、どうぞやって下さい。もう私は意見を言いました。

司会:千葉の市川の城装という話が出ましたけれども。

当会:市原、市原市です。

司会:市原市か、市原市の城装。これ、ジョウソウのほうを調べたら、親会社のほうは9500万円ですよ、資本金。今度、安中の原市に新しい、カタカナでジョウソウを作った。それが資本金5600万(円)。で、なんか、借り入れが40億(円)。こういう新しい会社ですから当然納税の経験もいままでない会社ですよね。それで、ですよ。資本金が5600万円、借入が40億円、納税実績がない。それで、このサンパイの、大谷サンパイの処分場を運営していって、閉鎖した後までの責任がとれる経理的な基礎というのは、私なんか本当に疑問に思っているんですけども。その経理的基礎は、県があると思って、許可が出たんでしょうけれど、例えば、ですよ、サンパイの廃棄物処理法の施行規則の最後に、「最終処分場は閉鎖した時の届出書類を永久に保管する」と書いてあるんです。これ、「永久」という言葉を日本の法律で見たのは初めてなので、ビックリしているんですけども。「永久」に、閉鎖した時の届出書類を、「永久に保管する」と書いてあるんですね。届出台帳の調整等で、15条の8の5ですよ。ということは、ですよ。万一、閉鎖…こういう処分場が閉鎖して埋め立てが終わったあとに、ですね、被害が住民とかに、その、他の人に出た場合では、事業者が事業終了後も、責任を負って、永久に処理しなさいという意味ではないかと思うんですよ。「永久に書類を保管しろ」と書いてあるんですから。例えば、50年後に岩井の川が汚れちゃってどうしようもないので、その時に、安中の大谷に、サンパイが何が入っているんだという記録を残すために、「永久に」という言葉を多分使っているんだと思うんだけれども。止めたあとも、ですよ、この業者が、5600万の会社が止めたあとも、これ、こういう大きい社会的な責任が追及されるわけですよ。それなのに、ですよ、さっき私も言いましたけれども、事業を始めるにあたって、まあ、環境資源からジョウソウに名前を変わりましたけれども、事業を始めるに当たって地域住民に話も挨拶も出来ないような会社に、こんなに高い社会的責任が果たせるのか、本当に疑問に思っているんですよ。ねえ。知事が、山本知事が許可を出したのは、こういうことまで考えて、経理的基礎が十分あるのかないのか。これは、事業を運営していくだけの経理的基礎だけじゃダメと思うんですよ。補償まで含めての経理的基礎ですよ。それで、一番日本でサンパイで問題がでかいのは、瀬戸内海の香川県の豊島の例があるじゃないですか?これは、最後はもう、国と県が700億円を掛けてゴミを船で運んで、掘り出して解決しましたけど、それだって業者なんかは早々とトンずらですよね。我々は、ジョウソウという5600万円の会社がどこまで責任を持てるのか。地域に最初から、今回、まあね、説明会の話が出ていますけど。今のところ環境資源も含めて、全然住民に挨拶すら出来ない会社が、そんなでっかい責任を持てるのかい?という、補償ができるのか?という話ですよ。そこが一番心配なんですよ。で、通るトラックについてだって、ですよ、事業者は自前のトラックを持っていないですよ、処分場の業者は。持ってくるのは運搬業者が運んで来るんですよ。そこに、なんだ、地域住民に、余り迷惑ならないように要請するだけの言葉で、なんだ、その申請書類に出ているんだけど。トラックの運転手なんかはもう、あれじゃないですか。おそらくこれ、運び込まれるゴミは、私の考えでは、千葉とか東京とか、首都圏のゴミが8割9割だと思うんですよ。群馬県のゴミが100%というなら、まだ群馬県のためになるかと思って、桑原の住民だって、多少は頑張る…なんだ、その、妥協するところもあるけども、なんで、広域のために、群馬県の、富岡市の住民が、なんというのか、被害、まだ被害が出ているわけではないけれど、迷惑を被るんだ。千葉県の、なんだ、今の今度の知事は、今度新しく知事がなりましたけど、そのために、彼のために何で「富岡市のこの桑原地区の住民が我慢しなければならないのか」、そういう話ですよ。持ってくるゴミというのはだいたい首都圏じゃないですか?ジョウソウは今迄千葉県でやっているんですから。その辺は富岡市の市役所の方もしっかりと聞いてもらいたいと思うんですけど。私の考えでは8割9割、東京のゴミだと思うんですよ。どうですか?県の見通しとしてはどうなんですか?そのへんは?

富田係長:そうですね。これ、あくまで、ちょっとここで、そういうのを言うのは、憶測になってしまうので、あの、どうですかといわれても、ちょっとこれは、事業者の考えていることなので、ちょっとお答えは。

住民H:関連してね、この許可、許可証を出すについて、地域、どこから来るのは、だいたい、そこで特定するんではないんですか?しないんですか?全部フリー、もう日本全国どこでも、という前提ですか?

富田係長:そうです。はい。

住民H:あ、そういうものなんですか?

富田係長:地域の特定をする形で許可を出すというのは、ないです。

司会:極端に言えば、大阪、関西からのゴミが来ても不思議ではないと、そういう話ですか?

富田係長:そうです。現状でもあのう、ま、来るだけじゃなくて群馬県のゴミも、場合によって北海道へ行ったりとか、まあそういう状況と同じだということです。

司会:まだ、お時間のほう、大丈夫ですか?

県側:(頷く)

司会:なら、少しあれなら、あと1問、おひとり、二人。どうぞ、

住民I:えーと、まあ一般的になっちゃうかもしれないですけど、この許可された内容で、事業者が運営して事業者の責任の下にやっていくわけで、いいんですよね?

畠中次長:ちょっと補足させてもらいます。それはあくまで施設の設置の許可になります。そのほかに処分業を行うための処分業の許可というのも必要になりまして、その処分業の許可を取るためにはまず施設を造らないと、許可が出ないということになります。

住民I:要はですね、例えばこれ、計画、認可を出されるにあたって、こういう計画でやりますといって、出して、それに対して、許可を出すわけですよね、で、それを出した許可と、まだ実態が、仮に違った場合とか、合った場合というのは、基本的には全部事業者の責任のもとにやる、というご説明があったと思うんですけれども、県のほうは、あくまで行政指導のみ?

富田係長:いや、えーと、…業者の適正な処理という部分については、県は立入検査とか、ですね、まあ、そういった形で確認をするなりして、担保をとり、申請通りの運営をするように担保を取ります。で、ズレていることをやっているようであれば、まあ、一般的には行政指導で介入、改善、或いはそれでもダメであれば法的な改善命令とかですね。

住民I:まあ、細かい事ですけど、例えば8時から6時ですよと申請して、1日20台でやってて、それが例えば、朝の6時から夜は7時までやって、それを超えていたとなった場合は、それは県の指導で…

富田係長:まずはそうですね。あの、申請通りの運営をしなさい、という指導をします。

住民I:その指導が…に、ならない場合は。また…

富田係長:命令を…

住民I:取消しとか、そういうのがある?

富田係長:まあ、改善の命令を掛けたり、それでも従わなければ、許可の取消し、というところも、手続き的にはあります。

住民I:わかりました。

富田係長:はい。

住民I:すいません。

司会:あと、どなたか、最後の質問をさせてもらっていいですかね?どなたか?

住民J:ちょっといいですか?

司会:どうぞ。

住民J:1分だけ下さい。さっきの続きなんですけど、桑原地区は周辺地域に該当するということ、桑原地区の皆さんには、一切これは事前協議の時にお話ししなかったとか、何もしないうちに、もう知事が許可を出しちゃったということは、県の進め方が手続き上に、すごい、ほら、不適切な部分があったのではないのかなと、私は思っているんですけれど、そういう点について、どうお考えですか?あくまでも県の手続き上は、何も問題がなかったか、それとも、やはり、県はね、ちょっとこう対応上、手続きを進める上で、問題か、瑕疵があったというかそういう解釈になるのか、ちょっとその辺、聞かせてもらえますか?

畠中次長:あのう、まず、あのう…、意見として、まず地元の理解がまだ十分得られないんじゃないかという、これだけ皆さん参加している中で、ご意見をいただく中で、感じることが出来ました。そういった意味では、あのう、十分ではなかったな、というところはこれはもう否定できないと思っております。ただ、えー、言い訳じみたことになってしまうんですけれども、あのう、まず、許可については、その、もう、許可事務の手引きということで縛られておりまして、この許可申請書も実は平成20年代に…あのう、20何年だかに?

富田係長:25年。



畠中次長:25年に出されておりまして、本来であれば標準処理期間というのがある中で、えーと、事業者に対して、あのう、引き続き地元理解を得るように努力をしてください、という行政指導を、あのう、繰り返す中、平成(ママ。令和)3年に許可を出したという経緯がございます。それから事前協議についてもあくまでこれは行政指導という中で、やっている中で、えー、事業者があの、すいません、当時の記録を全部見ているかというと、見てないので、あまりいい加減のことを言ってしまうことも出来ないんですが、あのう、事前協議の手続きについては、あのう、制度上、あのう、きちんとやったという理解ではあります。ただ、あのう、結果的に地元の理解が得られていないという意味では、あのう、足らないものがまだあると、いうことで、そういった部分も見越しておりまして、えー、許可を出すに当たっては、先程も申し上げましたが、あのう、地元の理解を得るような、あのう、誠実に対応にするようにというような、あのう、指導を、あの、文字で行っておりますので、これは口頭で、消えちゃうようなやり方ではなくて、文字にしておりますので、そういった要望というのは、あのう、我々の方からも伝えることができますし、また、それに基づくその事業者さんの対応というのは、あのう、そこに勿論、我々関与することはできないんですが、事業者さんのほうにそういったことを促すこと、というのは可能だと、いうふうに考えておりますので、その辺ご理解いただけたら、と思っています。すいません、長くなります。

司会:あのう、最後に、これ、終わりにさせてもらいますけれども、まあ私もこんなこと思わず言いたくなるんですけれども、最高裁の判決で、環境アセスメントをやった地域は原告適格があるということも承知しています。環境アセスメントが、ですね、10年も前なんですよね。そのあと12年間にまた、その奥のほうにサンパイ場が3つも4つも出来てますんで、交通量も全然違ってきちゃったと思うんですよ。その辺が、環境アセスメントもやり直すことも、ちょっとご検討いただけるとありがたいんですけれども…。

県側:……。

住民K:連日、ものすごい音で、あのう、(ダンプが)通っております。通行は。だから、道路端の畑ですか。殆ど(騒音に)悩まされてますよ。

司会:それで、なんかねえ、業者の出てきた書類だと、ダンプが1日に20台というのが書いてあったんですけども、20台で、少ないなと思ったら、それで、県の条例を調べていったら、最大で20台だから。最大なんですよね。だから20台というのは、20台以上は通ってはいけないという、県の決まりがあるので、20台を持ってきたわけで。その辺も私はちょっと矛盾を感じているんですけれども。

住民K:それで万が一、カウントをオーバーしたらどうなるんですか?1日20台、往復40台になる。カウントしていて、それをオーバーしていた場合は、県の方はどういう対応をとるんですか?

富田係長:………まず……仮定の、話になります。

住民K:万が一の場合です。仮定ではないです。

富田係長:はい。先程も説明もさせていただいた通りで、県は、あの、申請通りの運営をするように指導をすると。そういう話をさせていただいた通りなので、それに基づいて、えー、確認出来れば、業者の指導をして改善を求めるということになります。

住民K:指導はかけるのですか?

富田係長:ですから、その後指導に従わないのであれば、別な命令をかけるなり、あとは…

住民K:稼働停止何か月という、そういうのはないのですか?

富田係長:あのう、最終的には施設の許可に対しては、停止命令とか、処分というのも法的に規定がされていますので、ま、その状況が違反している内容の状況とか、そういったものをきちっと調査をして、判断をしていく形です。

住民K:それが関するんですね?

富田係長:ま、ちょっと県から「してください」という話もできる話ではありませんが、こちらで、という、申請通りで事実の確認をすればそういう手続きで、対応することはあると思います。

当会:交通量でちょっと、いいですか?ほんの30秒くらいで。

司会:はい

当会:あのう、そこをね、今度つくる所は、容積が少ないからさらに穴をかっぽじって広くしてね、その残土を、どこかへ一時的に保管するということで、あの、安中の原市の、あのベントナイトのね、えー、跡地なんかというのが一時出ましたけど、今どこにそれをするのか分からないんです。ここにあるように覆土で、その土を用意しなければいけないんだけど、まず持ち込まれるそういったサンパイと、それから今言った残土、工事中のところも含めてね。もうトラックが右往左往すると。その中には小さいトラックだから野殿ほうとか、むこうのほうの大谷の細い道も使うかもしれない。それ止めてくれと意見書に書いたんだけれども、それは環境資源に出した意見書で、ジョウソウに、私は一個も書いていないんですよ。地元住民や他の人もそうだけど。だからジョウソウというのがね、平成30年にバトンタッチしてから地元に何もしていないわけですよ。平成28年にね、安中市商工会議所ということで「ちょっと集まれ」ということで「お前も来てくれ」ということで、顔を出したが、「今日あったことは、外に公言するな」と、こういう話だった。だけど、その時は、ジョウソウはまだ、ね、出てこなかったんです。平成30年からバトンタッチを受けた。そういういい加減な会社、一回も地元の私どもに面通ししない会社に、何で許可出せるんですか。呆れてものが言えない。裏で利権があるに違いない。私はいままでずっと見てきたんだ。こんなものは早く取り消してください!

住民L:今の話しは県は把握しているんですか?

県側:……。

当会:ひどいものだ。何でもありだ。で、皆さんのOBが、そうやって産廃業者とつるんでいるからね。ひどいもんだよ。

司会:じゃあ、そろそろ、あれですかね。これでお仕舞にさせてもらいますけども、まあ、県の方、遅くまで来ていただいて、こんなきつい言葉をかえって不愉快でしょうけど、我々脅威に感じていることだけ、ご理解いただきたいと思いますけれども。とにかく、桑原としては、最後までつんぼ桟敷におかれると、そういう、さっき言った原告適格も視野に入れて動かなければいけないので、その辺の、とにかくつんぼ桟敷にならないように、県にがっちりご指導していただきたいと思います。ではこれで終わりにさせていただきます。ご苦労さまです。どうもありがとうございます。

場内一同:ありがとうございました。

(午後8時54分終了)
**********

■こうして、約2時間に亘って活発な議論が交わされた群馬県廃棄物・リサイクル課による出前なんでも講座が終わりました。

 今回のイベントに参加してみて、当会としては、群馬県の環境行政が如何に事業者よりの施策を取り続けているかを、あらためて痛感させられました。

 群馬県では、本来、首都圏の水源県として、下流の都県に対して生活・自然環境の維持管理責任があるのに、下流の千葉県のサンパイ業者が計画している大規模産廃最終処分場の設置申請に際して、業者に対して、十分に地元住民への説明を義務付けないまま、業者の側に立って、どんどん手続きを進めてしまい、わずか3年足らずで設置許可を出してしまいました。あとは、地元住民が業者と交渉すればいい、とする無責任な対応は、群馬県の環境行政の本質を如実に示しています。

■こうした中、奇しくも同じ七夕の日に、当会が6月18日に環境大臣あてに提出した審査請求について、環境大臣の名義で、「審査員の指名について」と題する通知が郵送されてきました。
※2021年7月5日付環境大臣からの審理員の指名通知 ZIP ⇒ 20210705brwm.zip

 これ以上、地元のサンパイ銀座化させないためにも、このジョウソウのサンパイ最終処分場設置許可を群馬県に取り消させるよう、当会としてもこれまでの経験を最大限活かして、できる限りの対応をとって参りたいと思います。

【7/12追記】
 この日、地元桑原区長から群馬県に出前講座の感想票が送付されました。
**********
○「出前講座」感想票
<集会等の名称>
産業廃棄物対策について出前講座
<参加人員>
34人
<主催団体の名称>
富岡市桑原自治会
<代表者名>
金田一豊
<開催日時>
7月7日(水)19時00分~21時00分
<会場>
富岡市桑原公会堂
<テーマ>
産業廃棄物対策について
<講師所属・氏名>
廃棄物リサイクル課 富田係長
<講義についての感想>
時間をオーバーしてまで、熱心に講座をしていただき有難う御座いました。今後も地区住民一丸となり、引き続き良好なる農村環境保全、生活環境保全に取り組んでまいりたいと考えております。引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。お世話になりました。 区長 金田一豊
<「出前講座」をどのような方法で知りましたか。また、今後の要望はありますか。>
県ホームページ
今後の要望 教育問題で小中一貫校の講座があれば、是非にお願いしたいです。
<講座の広報効果等について>
□講座開催にあたり、どのような広報をされましたか
住民に回覧板で連絡しました。
□受講生の集まり具合、年齢層は想定どおりでしたか
女性の参加がなかった。若年層が思ったより少なかった
**********

【7/21追記】
 この日、当会は群馬県知事あてに次の公文書開示請求書を提出しました。内容は次のとおりです。
「令和3年7月7日19時から、廃棄物・リサイクル課が富岡市区桑原地区の桑原公会堂で実施した「産業廃棄物について」と題する出前なんでも講座において、県が桑原地区で事業者が説明会を一度も開催しないまま、事業者である㈱ジョウソウのサンパイ処分場の設置許可を出したことに関連し、「設置許可後も地元の意見や要望等に誠実に応じるように」という趣旨を文書で伝えたとする県担当者の説明があった。ついては、この事実がわかる一切の情報。」
 所定の14日以内に群馬県がすんなりと情報開示をしてくるかどうか、注目したいと思います。


【7/22緊急速報!】
 この日の夜、地元の大谷地区の住民から「およそ10日前に、大谷地区の区長が、ジョウソウのサンパイ場計画に関連して、計画地内に2、3箇所ある赤道(あかみち。いわゆる里道と呼ばれる官地)について、地元住民に説明もないまま払い下げに同意する旨の文書に署名押印をしてしまったらしい。現在、安中市に対して地元から情報開示請求をして、内容の事実確認をしようとしているが、市が開示を渋っているらしい」との未確認情報がありました。
 ジョウソウのサンパイ場計画については、平成30年に環境資源からジョウソウが事業計画を引き継いだ後、地元説明会は一度も開催されていません。また、地元の岩野谷区長会や安中市区長会でも、このサンパイ場計画については、環境への影響負荷が大きいため、区長会としても反対の立場をとってきていたはずです。なので、仮に大谷地区の区長が払い下げに同意する旨の文書を事業者に提出したのであれば、写しは当然安中市にも提出されるはずです。
 さっそく来週早々、当会からも安中市に情報開示請求をすることにします。


【8月6日追記】
 8月5日に郵送で群馬県廃棄物・リサイクル課から郵送で公文書開示決定通知書が届いたので、同6日に群馬県庁に赴き、開示資料を受領しました。
※開示決定通知書 ZIP ⇒ ewj.zip
*****2/3県から業者への通知*****ZIP ⇒ em.zip

                         廃リ第122-50号
                         令和3年2月3日
株式会社ジョウソウ
代表取締役 山岡 強 様

                     群馬県環境森林部
                     廃棄物・リサイクル課長 水澤 俊也

        産業廃棄物処理施設設置許可における留意事項について

 令和3年2月3日付けで設置を許可された産業廃棄物管理型最終処分場について、事業の実施に当たっては、引き続き、安中市をはじめとする関係自治体及び地元住民等(以下「安中市等」という。)との合意形成に努めるとともに、下記事項に留意するよう求めます。

                   記

1 安中市等から、事業の実施に関する説明を求められたときは、誠実にそれに対応すること。
2 安中市等から、生活環境の保全に関する協定の締結を求められたときは、誠実にそれに対応すること。
3 設置工事の着手に当たっては、 群馬県廃棄物処理施設等の事前協議等に関する規程第31条第1項の規定に基づき、事前に廃棄物処理施設等着工届出書を提出すること。
4 設置工事に伴う工事車両の通行について、周辺地域の生活環境に十分配慮すること。
5 導入する漏水検知システムの故障実績について、情報収集を継続するとともに、同システムの施工管理及び維持管理を徹底し、監視体制を維持すること。
6 事業者の責務として、周辺地域の生活環境に十分配慮し、群馬県廃棄物処理施設の構造及び維持管理等に関する基準について、誠実に履行・遵守すること。

                     担当:産業廃棄物係
                     TEL : 027-226-2861, 2862, 2863
                     FAX: 027-223-7292
**********
 なんという無責任な行政でしょう。これほどたくさんの留意事項があるのに、それをすべて安中市や地元住民に押し付け、住民からの意見書に対して、どのような対策を業者に採らせたのかどうかもうやむやのまま、設置許可のお墨付きを業者であるジョウソウに出してしまいました。
 そもそも、群馬県林務部(現在の環境森林部の前身)のトップだった中島信義が、サンパイ業者の手先となって推進した、いわゆるインサイダー事業であることも、今回の群馬県廃棄物・リサイクル課の性急な設置許可の交付の背景にあると当会では考えております。
 安中市がいかに地元住民に寄り添って、この官業癒着の亡国事業を食い止めてくれるのかが、今後の最大の焦点となってきます。

【ひらく会情報部・この項終わり】

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【コロナワクチン接種を巡る狂騒】台湾の国民党員すら密かに心待ちの日本政府2度目のワクチン支援

2021-07-06 23:53:00 | 新型コロナ問題

■台湾で武漢肺炎と称する新型コロナウイルスを完璧に抑えてきた台湾では、海外から到着した人などを除いた域内での新型コロナウイルスの感染確認が、5月10日までは累計で100人に満たなかったのに対し、それから6月7日までの1か月たらずで1万200人余りに急増しました。この間、5月15日には台北市と新北市の両市を対象に警戒レベル(第1級が最も緩く第4級が最も厳格)が第2級から第3級に引き上げられ、外出自粛や集会の制限など市民生活への影響を伴うさまざまな措置が導入されたことから、両市の新規感染者数は5月下旬のピーク時(5月26日台北市308人、5月22日新北市384人)から大幅に減少し、現在では平均で1日42人となり、ピークだった5月30日の9%になっています。ただし、コロナ対策を担う中央流行疫情指揮中心は「警戒を緩めることはできない」として、引き続き警戒レベル第3級を延長し、感染拡大防止に注力する方針を示しています。
 こうした中、日本政府は7月6日に2回目のワクチンを追加提供することを発表しました。

**********毎日新聞2021年7月6日12:38(最終更新同日12:38)
政府、台湾にワクチン113万回分追加供与 アストラゼネカ製

茂木敏充外相
 茂木敏充外相は6日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン約113万回分を8日に台湾へ空輸すると発表した。6月上旬に124万回分を送ったのに続く追加供与となる。茂木氏は「台湾の方々が困難に直面する中、わが国からのワクチン供与が感染拡大の防止に寄与することを期待している」と述べた。
 提供するのは前回同様、英アストラゼネカ製。日本で生産したものを無償提供するとみられる。茂木氏は、インド由来のデルタ株の感染が広がっているインドネシアに対しても、7月1日に約100万回分を届けたのに加え、追加供与を検討する意向を示した。(共同)

**********フォーカス台湾2021年7月6日17:33
日本からのワクチン追加提供 台湾から感謝の声相次ぐ

台湾(中華民国)と日本の国旗が描かれたマスクをつけて記者会見に臨む中央感染症指揮センターの陳指揮官=疾病管制署のYouTubeチャンネルから
(台北中央社)日本政府が台湾に対する新型コロナウイルスワクチン113万回分の追加供与を発表したのを受け、蔡英文(さいえいぶん)総統をはじめ、台湾の政府要人から感謝のコメントが相次いで発表されている。
 茂木敏充外相は6日午前の記者会見で、英アストラゼネカ製ワクチン113万回分を8日に台湾に空輸すると発表した。日本政府は先月4日にもワクチン約124万回分を台湾に届けており、提供数は2回合計で約237万回分に上る。
 蔡英文(さいえいぶん)総統は6日夕、インターネット上で談話を発表し、世界的にワクチンの供給が不安定となっている状況の中、日本や米国の力強い協力によって台湾のワクチン接種が進展していることに言及し、「台湾の人々は深く感謝している」と述べた。蔡総統はツイッターでもコメントを出し、「この『友情のワクチン』のお蔭で、より多くの台湾人がコロナ感染から守られることになります」と日本語で感謝した。
 台湾で新型コロナ対策を担う中央感染症指揮センターの陳時中(ちんじちゅう)指揮官は同日午後の記者会見で、日本政府からのワクチン追加提供に「非常に感謝する」と述べ、日本から提供される約237万回分は台湾の人口の1割超に相当すると言及した上で、「台湾の防疫において素晴らしい助けになる」と謝意を示した。台湾の人口は約2350万人。
 頼清徳(らいせいとく)副総統はフェイスブックで、「台日の真の友情」と喜びを示し、日本政府に感謝した。
 蘇貞昌行政院長(首相)は6日午前、フェイスブックで、「大変感謝している」と表明。「真の友人はいつも互いに最も必要な時に手を差し伸べる。長年来、台日はいつもこのように互いのことを気にかけてきた」とつづった。
(陳婕翎、江慧珺、頼于榛/編集:名切千絵)
**********

 このため、6月4日に124万回分のアストラゼネカ製の新型コロナワクチンが日本政府から提供され、6月15日に同ワクチン接種を受けた筆者の90歳の義母も、標準的な接種間隔とされる8週間後の8月中旬頃の接種日が決まったそうです。ちなみに、アストラゼネカ製ワクチンの場合、1回目の接種から最大45週間を経過した後に接種すると抗体反応はさらに強化されるという報告も最近発表されています。

■台湾では、日本や米国からのワクチン提供が決まると、さっそく円滑なワクチン予約を可能にするシステムを開発し、奇しくも日本が2回目のワクチン提供を決めた7月6日にシステムの発表をしました。昨年のコロナ感染防止のためのマスクの円滑な配布を可能にしたシステムを短期間で開発しており、今回もその手法が活かされたといえます。

**********朝日新聞デジタル2021年7月6日16:00
オードリー・タン氏開発のワクチン予約 「弱者」に配慮

6日、新型コロナウイルスの新たなワクチン予約システムについて説明する台湾のオードリー・タンIT担当相=台湾当局提供

台湾のオードリー・タンIT担当相が開発に関わった新型コロナワクチンの予約システムの登録画面。IDカードと健康保険カードの番号を入力して登録しておけば、接種の予約が可能になった時に当局から案内が届く仕組みという=台湾当局の公式サイトから
 台湾のオードリー・タンIT担当相は6日、ネットを使った新型コロナワクチン接種の予約システムを開発したと発表した。台湾のIDカードと健康保険カードのデータを使って登録するが、スマホなどの機器を使うのが苦手な「デジタル弱者」にも配慮して、コンビニなどからも予約ができるようにしたという。
 タン氏によると、住民はスマホなどで当局の専用サイトに接続し、IDカードと健康保険カードのデータを入力。当局から通知を受けた後、ネットやコンビニ、薬局で接種場所や時間を予約できる。スマホがない人は家族や友人の機器からでも登録できるという。
 新型コロナを抑え込んできた台湾では5月以降、国際線パイロットから広がったとみられる感染が拡大。約2カ月間で1万人超の域内感染者が出ている。
 蔡英文(ツァイインウェン)政権は日米からの提供分を合わせ、現時点で計約530万回分のワクチンを調達し、4日までに医療従事者や高齢者を中心に計約250万回を接種した。一方、電話やネットの受け付けシステムにアクセスが殺到し、予約が取りにくい状態が続いていた。
 当面はワクチンが足りないこともあり、金門島など離島に住む高齢者らを対象にシステムの運用を始める。政権は今回のシステムでまず接種の意向を持つ人数を把握し、段階的に接種対象者を広げて混乱を避けたい考えだ。
 タン氏は昨年の流行初期に、ネット上のマスク供給地図を民間IT技術者と開発。今年5月以降の流行でも、QRコードを使った感染者との接触履歴追跡システムや行政への補助金申請システムを作成している。(台北=石田耕一郎)
**********

■このような状況に、台湾でも親中の国民党関係者にも動揺が走っており、言行不一致の動きがみられるとの報道があります。

**********東洋経済オンライン2021年7月6日06:01配信
「日本のワクチンを受け取るのは物乞い」と批判しつつアストラゼネカ製を密かに打つ台湾最大野党の醜聞

 台湾では現在、新型コロナウイルスワクチンの接種が急がれている。2021年6月上旬、日本が台湾にイギリス・アストラゼネカ製ワクチンを供給することを決めた当時、台湾では厳格な接種順位を定めて進めていた。そのアストラゼネカ製ワクチンをめぐって、台湾の最大野党・中国国民党(国民党)の要人らが騒動を起こし、台湾内でも問題になっている。
 2021年6月23日、国民党の元議員で台北市長選にも出馬したことがある丁守中氏が、自身のSNSファンページで、アストラゼネカ製ワクチンを接種したことを明らかにした。5月26日に医療従事者ら第一種接種対象者の枠組みで接種したという。
■接種が優先される年齢でもないのに「特権接種」
 丁氏は医療従事者ではなく、1954年生まれであり、70歳以上の高齢者というわけでもない。日米の緊急支援に代表されるように、彼らが接種したのは、感染が急拡大しワクチン不足で社会がパニック状態にあった頃だ。そんな中、「元議員だから」「国民党の大物だから」「接種した病院と関係があったから」などの批判が出た。これらの事件は「特権接種」と呼ばれ物議を醸している。
 しかも丁氏は、接種告白の前になる2021年5月12日、「ツアーを組んで中国で中国製ワクチンを打ちに行こう」と呼びかけていた。それなのに、アストラゼネカ製ワクチンを優先接種していた。良識ある国民党議員ほど気まずく感じたに違いない。もっとも丁氏の接種が発覚する以前に、問題は起こっていたのだった。
 特権接種が最初にメディアで暴露されたのは、国民党の元議員である黄昭順氏だった。台湾南部の高雄を拠点に、議員活動27年。女性議員の在任歴としては、台湾の憲政史上最長を誇る。しかし2020年の選挙で落選後、党内の要職含め現在は第一線から退いている。
 黄氏は「薬剤師資格があることから、医療従事者枠で接種した」という。しかし、薬剤師として登録しているのは北部の台北市だが、政治家としての地元である南部・高雄市で接種していた。また高雄市が取りまとめた接種者リストに名前がなかったことから、「特権接種した」と世論の批判を浴びたのだった。
 次に暴露されたのは、中部雲林県前県長(知事)の張栄味氏だ。地元に強固な地盤を築き、2004年の総統選挙では、国民党総統副総統候補の連戦・宋楚瑜両氏の雲林県選挙対策本部長を務めるなど、「雲林王」と呼ばれるほど影響力があった。しかし2018年、在任中にごみ焼却施設にまつわる贈収賄事件で逮捕され、最高裁で有罪確定。5月31日に仮釈放されていたが、6月4日ごろ、ワクチン接種を終えていたとメディアに報じられたのだ。
 実は現県長は同氏の妹・張麗善氏である。説明を求められた張麗善氏は、「自分は感染対策指揮官として感染リスクの高いグループで、兄とはよく一緒に食事することもある。リスクが高いので接種した」と話している。保健所も同居家族と認識しているとの説明だったが、ネット民がただちにグーグルアースで両氏の家をチェック。少なくとも40メートル以上離れた「別居家族」であることを突き止め、世論の怒りを買った。
■中国製接種を呼びかけも金のため? 
 特権接種はまだ続く。次に暴露されたのは副総統も務めた国民党の超大物、連戦夫妻だった。連戦氏は1996年から2000年まで副総統を務め、国民党の名誉主席となっている大物中の大物。息子の連勝文氏は台北市長選に国民党公認候補として出馬するなど、党内で影響力を有している。
 一方で、連戦氏は対中窓口の大番頭でもあり、連勝文氏が頻繁に中国製ワクチンの輸入を呼びかけていたのは、一族の中国ビジネスと関係があると考えられる。もっとはっきり言えば、中国との貿易で一番利益を得るのは連戦氏ら関係者ということだろう。しかし、連勝文氏が中国製ワクチンの輸入解禁を呼びかけていた裏で、連戦氏夫妻と関係者がアストラゼネカ製ワクチンを接種していたことがメディアに暴露された。連戦氏は病気で治療中ということで、病院側が医療従事者と同等の対象者として扱ったという。
 しかし付き添いの妻だけでなく、ボランティアら「関係者」も一緒に接種したことが発覚。明らかに大物政治家らへの特権接種事件として、病院は台北市から30万元(約119万円)の罰金が科せられた。しかし、先述の丁氏はここの病院の経営陣に名を連ねて接種したことから、大規模な特権接種が行われていたのではないかと、現在、引き続き議員らが追及している。
 コロナ禍で、国会審議の中心が感染対策になる中、いつも蘇貞昌行政院長(首相)と台湾中央感染症指揮センター(台湾CDC)指揮官の陳時中・衛生福利部長(厚生相)を、独特なハスキーボイスで舌鋒鋭く追及する議員がいる。頼士葆氏だ。
 1998年から中国統一志向が強い政党「新党」から出馬して当選。のちに国民党に鞍替えし、議員生活15年以上のベテラン議員だ。議会では予算委員会に所属することから、感染対策におけるワクチン購入に、一段と声を張り上げ批判を展開。その姿は何度もメディアに映し出されていた。さすがにこんなにも強硬な議員が特権接種はしないだろう、ましてやアストラゼネカ製ワクチンを打つなんてもってのほかだろうと思われていたさなか、頼氏も接種していたことが明るみになった。多くの有権者があきれてしまったのは想像にたやすい。
■「ワクチン受け取りは物乞い」と批判しながらも…
 ちなみに日本人として忘れがたい元議員がいる。張顕耀氏だ。現在は「浪人」中だが、2018年に台北市長選で国民党の公認をめぐって先の丁氏と争った政治家だ。なぜ忘れがたいのか。それは、日本政府が台湾へアストラゼネカ製ワクチンを供給することを発表した際、「日本は本気で台湾を助けたいと思っているのなら、なぜファイザー・ビオンテック製あるいはモデルナ製を送らないのか。日本人がいらないと言ったアストラゼネカ製ワクチンを受け取るべきでない」とSNSで難色を示し、「台湾人はワクチンの物乞いに成り下がっている」との批判を展開してきたからだ。
 ところが、である。5月28日には、そのアストラゼネカ製ワクチンを接種していたとメディアに暴露された。ただちに当局が捜査を開始し、病院と張氏にそれぞれ30万元と1万5000元(約6万円)の罰金が科せられたのだった。
 相次ぐ国民党員の特権接種の発覚で、人々が国民党に持っていた腐敗のイメージが呼び覚まされてしまった感は否めない。ちなみに一部でこれら特権接種をした国民党議員らをマンガ『ドラゴンボール』のキャラクター「ギニュー特戦隊」にちなみ「AZ特戦隊」と揶揄し、皮肉にもアストラゼネカ製ワクチンの接種に及び腰になりつつあった高齢者へ、接種を促す最高のPR材料になっているという。
 新型コロナワクチンをめぐって露呈してしまったダークなイメージを払拭できるのか、国民党に残された時間はあまりない。
(高橋 正成 :ジャーナリスト)
**********

 ということで、台湾でも武漢肺炎(COVID-19)とワクチンを巡る狂騒の模様を注視していきたいと思います。

【7月8日追記】
**********フォーカス台湾2021年07月08日14:29
日本追加提供のワクチンが台湾に到着 113万回分

日本追加提供のワクチンが台湾に到着 113万回分
(桃園空港中央社)日本政府が台湾に無償提供する、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチン113万回分が8日午後2時19分ごろ、桃園国際空港に到着した。
 日本からは6月4日にも同じくアストラ製のワクチン約124万回分が届けられていた。茂木敏充外相が6日の記者会見でワクチンの追加供与を発表したのを受け、蔡英文(さいえいぶん)総統をはじめ、台湾の政府要人や各界から感謝の声が相次いでいる。
(呉睿騏/編集:羅友辰)

**********NHK News Web 2021年7月9日04:25
日本提供のワクチン 台湾に到着 追加の113万回分

 新型コロナウイルスのワクチンの調達が遅れている台湾に、日本政府が追加で提供したおよそ113万回分が届きました。
 一方、台湾当局は域内での感染状況が落ち着きを見せ始めているとして、行動制限を一部緩和することにしました。
 日本政府が追加で提供したアストラゼネカのワクチン、およそ113万回分は成田空港から航空機で運ばれ、8日午後、台湾の桃園国際空港に到着しました。
 日本から台湾に提供されたワクチンは6月の分と合わせて、およそ237万回分になります。
 ワクチンの調達が遅れている台湾にはアメリカも6月250万回分を提供し、自前で購入した分を含めると、700万回分を超えました。
 蔡英文総統は、少なくとも1回の接種を済ませる人の割合を7月中に人口の20%以上にすることを目指しています。
 一方、台湾当局は8日、域内で新たに18人の感染が確認されたと発表しました。
 これは5月中旬に感染が急拡大してから最も少ない人数です。
 当局はこれを受けて、4段階の上から2番目の警戒レベルをさらに2週間延長して7月26日まで維持するものの、禁止していた店内での飲食や映画館の営業を条件つきで認めるなど、13日から行動制限を一部緩和することにしました。
 蔡英文総統はツイッターに日本語で「この友情のワクチンのおかげで台湾は集団免疫の獲得に一歩大きく近づくことでしょう。先日日本で発生した土石流被害にも関心を寄せつつ、台日が一日も早く『疫病退散』を実現できるよう願っています」と投稿しました。
 台湾で最も高いビル「台北101」の壁面には日本への感謝のメッセージが点灯され、蔡総統はその動画もツイッターに添付しています。
 台湾外交部の欧江安報道官も「日本政府から台湾への温かい援助が続くことに、最も心のこもった謝意を表します」というコメントを発表しました。
**********

【群馬県台湾総会書記より】

コメント (2)
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長野高専の手数料不当徴収に太鼓判を押した総務省審査会のトンデモ答申…図らずも垣間見えた同校の内情

2021-07-01 23:01:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■石原時代の長野高専で発生した悪質な電子情報工学科セクハラ退職事件。学校側による対応の実態を明らかにすべく、当会では2020年6月に文書開示請求を同校に提出しました。すると同校は、多数件の該当があったとして、三千円を超える開示手数料を請求してきました。同校のハラスメントの実態を明らかにする情報がそれだけ出されるのだろうと信じ込んで開示手数料を振り込むと、なんとその内実は、請求意図にないただの一般的な公開情報がほとんどでした。すぐさま当会が、文書特定が誤ってなされていることを同校に伝え、決定補正と手数料返金を求めたところ、同校は変な理屈を並べ立てて頑なに拒否してきました。


長野高専の指示に従って11件分✕300円=3,300円の手数料を振り込んだのだが…。

 ささいな齟齬があったのを素直に認めて単純に対応すればそれで済むものを、何のためにここまでムキになって強情を張ってくるのか、もはや理解不能です。高専組織の異常なプライドの高さのせいで本来無用な労力を割かされることに心底ウンザリしつつ、当会では同年8月に決定補正・返金を求める審査請求書を高専機構に提出していました。高専機構側は、いつもの銀座弁護士のアドバイスのもと眉唾物の理屈を並べ立ててきた末に、ようやく受理しました。

○2020年6月11日:【出張!オンブズマン】総務課長コロナ規則破り隠蔽の長野高専に2回目の公開質問&各種文書開示請求提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3174.html
○2020年8月7日:【出張!オンブズマン】長野高専J科セクハラ退職問題&石原名誉教授授与強行問題で同校から届いた開示文書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3187.html

■その後、11月19日になって、高専機構本部から、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に諮問した旨の11月17日付け通知書が送られてきました。これといって難しい争点もないシンプルな問題にも関わらず、審査請求書を3か月も店晒しにした末、ようやく諮問にかけたようです。

*****高機総第92号諮問通知書*****ZIP ⇒ j.zip
様式16号

                            高機総第92号
                            令和2年11月17日

         情報公開・個人情報保護審査会への諮問通知書

 市民オンブズマン群馬
  代表  小川 賢 様

                      独立行政法人国立高等専門学校機構

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条の規定に基づく開示決定等に対する次の審査請求について,同法第19条第1項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に諮問したので,同法同条第2項の規定により通知します。

                   記

1.審査請求に係る保有個人情報の名称等
(1)平成30年(2018年)9月1日以降,現在に至るまでの間に,長野高専が,内部関係者(教職員,学生を含む)或いは外部の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)に対して,学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)

2.審査請求に係る開示決定等
(開示決定等の種類)
■開示決定
■一部開示決定
(該当不開示条項)第5条第一号及び第四号
□不開示決定
(該当不開示条項)

(1)開示決定等の日付,文書番号
 令和2年7月13日
 長野高専庶第18号

(2)開示決定等をした者
 独立行政法人国立高等専門学校機構

(3)開示決定等の概要
 令和2年6月10日付けの開示請求に対し,
 1 学生便覧 本科(令和2年度)
  について,全部開示
 2 学生便覧 専攻科(令和2年度)
  について,全部開示
 3 学生支援委員会 令和2年度
  について,全部開示
 4 コンプライアンスに関する文書 令和元年度
  について,部分開示
 5 学生便覧 本科 (2019年度)
  について,全部開示
 6 学生便覧 専攻科 (2019年度)
  について,全部開示
 7 学生支援委員会 平成31年度
  について,全部開示
 8 コンプライアンスに関する文書 平成30年度
  について,部分開示
 9 長野工業高等専門学校における学生の懲戒に係るガイドライン
  について,部分開示

3.審査請求
(1)審査請求日
 令和2年8月7日
(2)審査請求人
 市民オンブズマン群馬
 代表  小川  賢
(3)審査請求の趣旨
  審査請求人は,本件決定中対象文書1ないし9について開示請求権を行使していないため,かかる箇所についての決定の補正と,本決定のための手数料として高専機構に支払った3300円中2700円の返金を求めます。

4.諮問日・諮問番号
 令和2年11月16日
 令和2年(独情)諮問第50号

                    担当窓口
                     独立行政法人国立高等専門学校機構
                     (担当課名)本部事務局総務課総務係
                     (住所)東京都八王子市東浅川町701-2
                     (TEL)042-662-3120
                     (FAX)042-662-3131
**********


■高専機構からの諮問通知から間を置かない同月25日、今度は総務省審査会の方から、審査請求人当会が追加意見書を提出できる旨の同月24日付け通知が送られてきました。また、高専機構側の理由説明書(反論文)も同封されてきました。

●総務省審査会の通知&高専機構側理由説明書 ZIP ⇒ r.zip

*****総務省審査会の通知*****
                         情個審第3456号
                         令和2年11月24日

市民オンブズマン群馬 小川 賢  様

                情報公開・個人情報保護審査会

   理由説明書の写しの送付及び意見書又は資料の提出について(通知)

 下記1の諮問事件について,別添のとおり,当審査会に諮問庁から提出された理由説明書の写しを送付します。
 また,あなたは,下記1の諮問事件について,情報公開・個人情報保護審査会設置法第11条の規定に基づき,当審査会に対し,意見書又は資料を提出することができますが,当審査会において,下記2のとおり提出期限を定めましたので,通知します。

                    記

1 諮問事件
  諮問番号:令和2年(独情)諮問第50号
  事件名:特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)

2 意見書又は資料の提出期限等
 ① 提出期限
   令和2年12月15日(火)
 ② 提出方法
   任意の様式により作成した書面を,持参するか,郵送又はファクシミリで情報公開・個人情報保護審査会事務局に提出してください。

 また,提出された意見書又は資料は,情報公開・個人情報保護審査会設置法第13条第1項の規定による送付をし,又は同条第2項の規定による閲覧をさせることがあり得ますので,その適否についてのあなたのお考えを,別紙「提出する意見書又は資料の取扱いについて」に記入し,意見書又は資料に添付してください。
 なお,別紙において,諮問庁に対し,送付をし,又は閲覧をさせることにつき「差支えがない」旨の回答のあった意見書又は資料については,調査審議の効率化,争点の明確化等の観点から,特段の事情のない限り,諮問庁に対し,その写しを送付することとしますので,御了承願います。


             総務省 情報公開・個人情報保護審査会事務局
               〒100-0014
                東京都千代田区永田町1-11-39
                  永田町合同庁舎4階
                  電 話03-5501-1739
                  ファクシミリ03-3502-7350
**********


*****高専機構の理由説明書*****
                          令和2年(独情)諮問第50号

               理由説明書

1 開示請求のあった法人文書の名称
 ① 平成30年(2018年)9月1日以降、現在に至るまでの間に、長野高専が、内部関係者(教職員、学生を含む)或いは外部の関係者(卒業生、同窓会、保護者を含む)に対して、学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)

2 開示決定についての考え方とその理由
 審査請求人は,審査請求書において、「本件決定中対象文書1ないし9について開示請求権を行使していないため、かかる箇所についての決定の補正と、本決定のための手数料として高専機構に支払った3300円中2700円の返金を求めます」とする。しかし、情報公開・個人情報保護審査会の過去の答申等を参照したところ、『審査会で審理する事項は,基本的には行政機関情報公開法の不開示情報に照らして開示決定等が適法になされたか』とされており、手数料返還の当否等は、審査会が答申すべき対象ではないとの見解が示されている。そのため、今回の審査請求は情報公開・個人情報保護審査会の諮問の対象ではないと解する。
 また、今回の争点となっている文書は、上記①にかかる開示決定の文書であるが、審査請求人からの開示請求のあった法人文書の名称では、「学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)」とあることから、一般的な概念としての学内のハラスメント行為及び個別事案としてのハラスメント行為も含め、学内で発信及び周知しているものとして、1~9の文書を特定し開示決定を行った。
 この開示決定の前提として、文書を特定する過程においても、「学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)」とあることから、特段の補正を必要とせず、文書の特定が可能であった。
 以上のことから、審査請求人の開示請求に係る文書の特定は適正に実施されたと解する。
 さらに、審査請求人は、上記の1~9の特定した文書については、開示請求権を行使していないとし、開示請求手数料の発生は誤認であるとも主張する。
 しかしながら、開示請求は、基本的には開示請求者の自由意思に基づいて任意に行われるものであるから、制度を利用する者としない者との公平性の観点から、制度の利用者の負担に帰すものとして手数料が設けられており、その目的としては、制度の運営に必要な費用を回収することにある。そのため、開示請求権を行使し、その文書の件数が特定された段階で、件数に応じた手数料が発生するものと解する。
 従って、上記①にかかる文書としては、9件と特定されたことから、開示請求手数料9件分の納付は適正であり、審査請求人へ返金されるべきものではない。
 以上のことから、審査請求人の請求は失当であると考える。
**********


■このように高専機構側の反論は、「審査会の答申対象ではない」なとどする従前の主張を軸に、無茶苦茶を並べ立てているだけです。

 「解する」「失当」といった語句を使う法律家然な書きぶりからして、どこの弁護士事務所が執筆した作文かは明白です。それにしても、当会が「開示請求権を行使していない」と再三主張しているにも関わらず、「開示請求権を行使し」などと無説明で認定してくる有様には、高専機構が頼りにすがる弁護士先生の日本語能力を疑わざるをえません。

さて、審査請求人当会の再反論となる意見書の提出期限が2020年12月15日と定められたため、当会ではこの期限に間に合うように意見書と添付資料を作成し、総務省審査会に提出することにしました。

■提出期限当日となる12月15日、当会担当者が永田町の総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局に赴き、添付資料付き意見書を提出するはこびになりました。同審査会事務局が入っている永田町合同庁舎ビルには、これまでも国家機関の情報不開示に関する審査請求(旧・異議申立)に意見書提出のためしばしば訪れています。



 地下鉄永田町駅を降り、少し歩いて、最高裁・国会図書館・自民党本部が地図上で作る三角形の真ん中に位置する同庁舎ビルに入りました。







 そして、庁舎1階の警備室前で担当職員に意見書一式を手渡して、提出を終えました。




永田町から地下鉄南北線で1駅目の四ツ谷でJR中央線快速に乗り換え東京駅経由で高崎に戻る。

 特に特筆すべき出来事は起こりませんでしたが、建物を出るとやはり師走の寒さを感じます。当会が審査請求書を高専機構に提出したのは夏真っ盛りでしたが、審議開始前の意見照会手続きがやっとようやく完了したのが12月も半ばです。高専機構の執拗な手続遅滞ぶりをあらためて体で実感しました。

■当会が12月15日に総務省審査会に提出した意見書の内容は以下のとおりです。
(添付資料1~6については掲載ファイルをダウンロードしてご確認ください)

*****12/15意見書(再反論)*****ZIP ⇒ 20201215ryyt16.zip

              意見書
                    令和2年12月15日
総務省 情報公開・個人情報保護審査会事務局 御中

                審査請求人:
                 郵便番号  371-0801
                 住  所  群馬県前橋市文京町一丁目15-10
                 氏  名  市民オンブズマン群馬
                         代表 小川 賢
                 連 絡 先  TEL:027-224-8567
                         事務局長 鈴木 庸

 下記1項の諮問事件につき,諮問庁の理由説明書に対する審査請求人の反論および追加意見を,下記3項の通り審査会に提出する。

1 諮問事件
  諮問番号:令和2年(独情)諮問第50号
  事件名:特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)

2 本理由書提出に至る経緯
 審査請求人が諮問庁に対し令和2年8月7日付けで本件審査請求を行うに至った基本的な経緯は,同審査請求書4項に記載のとおりである。その後,諮問庁は同年11月16日付けで審査会に本件諮問を行った。審査請求人は,審査会から同月24日付けで追加意見の照会を受けたことから,本理由説明書及び添付資料を提出する。

3 審査請求人の反論および追加意見
(1)本件に先立つ事実関係について(文言の解釈に関し相互に確たる了解があったこと)

 審査請求人は,平成27年6月26日にも諮問庁(高専機構)に対して法人文書開示請求を行ったことがあり,その際,本件審査請求の元となる開示請求とまったく同様,「学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書」について請求していた。それに対し諮問庁は同年7月23日,「ハラスメント行為が寄せられた申立や相談などがあったという事実の有無を示すこととなる」として存否応答拒否とした(添付資料1)。
  諮問庁において,ハラスメント対応のガイドラインやコンプライアンス規定等が普遍的に設けられており,これら情報が上記応答拒否事由に該当するものでないことは明らかであることに鑑みれば,この時点で「学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書」が特定校における個別具体のハラスメント行為に関する情報であると諮問庁が解釈したこと,また当該記載についてその解釈がなされるという相互了解がこの時点で成立していたことは明らかである。
  また当時,上記存否応答拒否処分について審査請求人が異議申立を行い,諮問庁が審査会に諮問した経緯があり(平成27年(独情)諮問第57号),その際諮問庁は理由説明書においても明らかに「学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書」を特定校における個別具体のハラスメント行為に関する情報であると解釈した主張を行っていた。なお,審査会は上記存否応答拒否処分を違法であるとする答申を行っている(平成27年度(独情)答申第73号)。この事実は,かつて上記のような相互了解が成立していた事実をさらに固めるものである。
  加えて,以後,本件審査請求対象となる開示決定がなされるまで,諮問庁においてかかる文言の解釈を一般的な概念としてのハラスメント行為に関するものまで拡張したということを,審査請求人において認知するに足るような通知や広報その他情報提供がなされたことはない。

(2)請求想定外文書につき開示請求権が行使されていないことについて
  上記経緯からして,「学内のハラスメント行為に関して発信した一切の文書」を特定校における個別具体のハラスメント行為に関する情報であると諮問庁が解釈するという相互了解がかつて成立していたことは明らかであった。その了解をもとに,審査請求人は本件審査請求書4項(1)ないし(2)のとおり,法人文書開示請求を行った。
  本年7月10日に諮問庁より電子メールにて開示請求手数料の振込指示がなされたが,文書件数のみ示されており,開示対象となる文書の概要については一切知らされないものであった(添付資料2)。また,当該開示請求からかかる手数料振込指示に至るまで,請求の意図や解釈について諮問庁から審査請求人に確認がなされたという事実関係はない(なお,審査請求人は諮問庁に対したびたび法人文書開示請求を行っているところ,必要な際には請求の解釈や開示内容について電子メールや電話による調整がおこなわれている。)。本件審査請求書4項(3)のとおり,審査請求人は,すべて請求意図に副った文書であると信じ,この振込指示に従って7月14日に手数料全額を諮問庁の口座に振り込んだ(添付資料3)。
  このように,請求意図や解釈を確認しないまま手数料を徴収し,開示決定を出した諮問庁のかかる対応においては,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」)第23条に定める「保有する法人文書の特定に資する情報の提供」が十分になされていなかったことが明らかである。
  また,法第5条は,「独立行政法人等は,開示請求があったときは,(中略),開示請求者に対し,当該法人文書を開示しなければならない。」と定めているところ,ここにいう「開示請求があったとき」とは,どのような文書を開示してほしいかという開示請求者による意思表示行為がなされることを指すと解され,そしてそれに対応する「当該開示文書」とは,開示請求者が当該請求において目的とした文書であると解されるのは当然である。
  ここに照らせば,本件審査請求書にいう請求想定外文書について審査請求人が開示請求権を行使していないことは明らかである。公文書の開示請求においては,開示請求権の行使対象や開示請求権を行使したか否かについては,開示請求人の意思や認識によるのであって,それらを一切除外したまま開示実施機関が独自に規定してよいものではない。
  まして,本件においては,諮問庁から審査請求人に対して開示請求内容に関する確認連絡が取れないなどやむを得ない状況にあったわけではなく,そうした確認連絡を行わなかった点につき,開示請求対象文書の特定においていささかの懈怠があったことを否定することはできない。

(3)諮問庁が意図的に不当な開示決定及び手数料徴収を行っていること
  本件審査請求書4項(4)のとおり,審査請求人は,本年7月16日に開示決定通知書を受領するに至ってはじめて,諮問庁が開示請求意図に沿わない文書についてまで開示 対象として特定していることを認知した。そして本件審査請求書4項(5)のとおり,審査請求人は,電子メールで諮問庁に対し,本件開示決定の補正と手数料の一部払戻しを申し立てた(添付資料4)。ところが,諮問庁は本件理由説明書と同様の主張で,自己裁量による決定補正を拒否した(添付資料5)。
  こうして,審査請求人は「請求していないものにまで処分がされ,付随して手数料が徴収されている」という状況を申し立て,諮問庁はこの問題を認識したはずにも関わらず当該申し立てを拒否した。この時点で,認識の齟齬や手違いによるやむを得ない瑕疵とはいえなくなり,諮問庁は意図的に開示請求にない文書を開示決定しており,あわせて手数料も不当に徴収していることになった。こうして当事者間での交渉では事態を解決できなくなったことから,審査請求人はやむを得ず,審査請求を行うに至ったものである。
  なお,開示実施方法等申出にあたって,審査請求人は本件審査請求書にいう請求想定外文書について開示及び送付を一切拒否しており(添付資料6),それに応じて諮問庁はかかる文書の開示及び送付を行っていないから,その意味でも権利の行使事実はない。

(4)理由説明書における諮問庁の主張について
  諮問庁は理由説明書において,手数料返還の当否等は審査会の答申すべき対象ではない旨主張する。しかし「過去の答申等を参照したところ」と説明しておきながら,理由説明書においてその根拠の提示はなく,そのような答申についても審査請求人の調べる限りでは見つけることができなかった。したがって,諮問庁の上記説明の根拠は薄弱である。
  また仮に,手数料返還の当否が単体として答申対象事項にならないにしても,そもそも本件は「請求にないものに決定がなされている」という根本的な手続上の問題であり,それゆえ当然,審査請求人は本件開示決定の補正を求めているわけである。
  そして本件開示決定が補正されれば,当然それに附随して,手数料を徴収した意味もまた失われるわけであるから,結果として手数料が払戻しされるべきとなることに変わりはない。
  さらに諮問庁は,審査請求人の「本件審査請求書にいう請求想定外文書について,開示請求権をそもそも行使していない」という主張への反論として,「開示請求権を行使し,その文書の件数が特定された段階で,件数に応じた手数料が発生するものと解する」と説明する。しかしこれは,開示請求権を行使したという前提そのものが不当であるとの指摘がなされているのに,なおも開示請求権を行使したという前提を無条件に採用しているものであり,何の説明や反論にもなっていないことは明らかである。
  公文書の開示請求制度とは,諮問庁自ら理由説明書で言及するとおり,「開示請求者の自由意思に基づいて任意に行われるもの」であり,よって請求を受けた機関が請求者の意思を十分に尊重しなければならないことは明らかである。上述のとおり,開示請求の対象文書とは,開示請求者が当該請求において目的とした文書を指すのであって,開示請求者本人が「これは請求していない」と申し立てているにも関わらず,開示実施機関が勝手かつ一方的に「あなたはこれを請求しました」と認定してよい性質のものではない。

4 結言
  以上より,本件開示決定は,審査請求人の請求しない文書まで対象範囲としたものであって,開示請求者の意思に基づいて文書を開示するという法の趣旨にそぐわないことは明らかであり,ただちに補正されるべきである。また,それに附随して徴収の正当性が失われた手数料についても,払戻しがなされるべきである。

                                  以 上
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■その後、総務省審査会での本件審議状況を随時チェックしていたところ、年度が明けた2021年4月9日にようやく第5部会で初審議にかけられていたことがわかりました。次いで5月14日、5月31日にも審議にかけられたようです。

●参考:情報公開・個人情報保護審査会第5部会開催記録(R3.4.9)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000745100.pdf
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        情報公開・個人情報保護審査会第5部会
               開催記録
1 日時 令和3年4月9日(金)13:30~16:00
2 場所 情報公開・個人情報保護審査会第1会議室
3 出席者 藤谷俊之部会長,泉本小夜子委員,磯部哲委員
4 議事の項目等
【中略】
(3)事件名:令和2年(独情)諮問第50号「特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)」
諮問庁:独立行政法人国立高等専門学校機構
調査審議の内容:上記新規諮問事件につき調査審議

【後略】
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●参考:情報公開・個人情報保護審査会第5部会開催記録(R3.5.14)↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000750188.pdf
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        情報公開・個人情報保護審査会第5部会
               開催記録
1 日時 令和3年5月14日(金)13:30~17:30
2 場所 情報公開・個人情報保護審査会第1会議室
3 出席者 藤谷俊之部会長,泉本小夜子委員,磯部哲委員
4 議事の項目等
【中略】
(12)事件名:令和2年(独情)諮問第50号「特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)」
諮問庁:独立行政法人国立高等専門学校機構
調査審議の内容:上記諮問事件につき審議

【後略】
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●参考:情報公開・個人情報保護審査会第5部会開催記録(R3.5.31)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000753655.pdf
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        情報公開・個人情報保護審査会第5部会
               開催記録
1 日時 令和3年5月31日(月)13:10~17:00
2 場所 情報公開・個人情報保護審査会第1会議室
3 出席者 藤谷俊之部会長,泉本小夜子委員,磯部哲委員
4 議事の項目等
【中略】
(5)事件名:令和2年(独情)諮問第50号「特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)」
諮問庁:独立行政法人国立高等専門学校機構
調査審議の内容:上記諮問事件につき審議

【後略】
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■わざわざ3回も審議期日を設けてくれるとは、もしかするとずいぶん充実した調査と議論がなされているのではないか……と期待が持ち上がりはじめていた矢先、6月8日になって、総務省審査会からの特定記録郵便が当会事務局に届けられてきました。

 開けてみると、当会からの審査請求に対する同審査会の6月7日付け答申(令和3年度(独情)答申第3号)が入っていました。ところがその内容は、「高専機構側の対応に一切問題なし」として全肯定し、当会の主張をすべて退けるものでした。

●令和3年度(独情)答申第3号 ZIP ⇒ 0306083.zip

 審査請求書提出から10か月、審議に3回もかけた末に総務省審査会が寄こしてきた不合理なトンデモ答申の内容をさっそく見てみましょう。

*****送り状(当会宛て)*****
              (公印省略)
                             情個審第1205号
                             令和3年6月7日
市民オンブズマン群馬(代表 小川 賢 様) 御中
                       情報公開・個人情報保護審査会

           答申書の写しの送付について

 下記の事件については,令和3年6月7日に答申をしたので,情報公開・個人情報保護審査会設置法第16条の規定に基づき,答申書の写しを送付します。

                記

諮問番号:令和2年(独情)諮問第50号
事 件 名:特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)
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*****送り状(高専機構宛)*****
                  (公印省略)
                               情個審第1204号
                               令和3年6月7日
国立高等専門学校機構御中
                         情報公開・個人情報保護審査会

              答申書の交付について

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づく下記の諮問について,別添のとおり,答申書を交付します(令和3年度(独情)答申第3号)。

                  記

諮問番号:令和2年(独情) 諮問第50号
事 件 名:特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)
**********


*****答申書 (令和3年度(独情)答申第3号)*****
諮問庁:国立高等専門学校機構
諮問日:令和2年11月16日(令和2年(独情)諮問第50号)
答申日:令和3年6月7日(令和3年度(独情)答申第3号)
事件名:特定日以降,特定高等専門学校が関係者に対して学内のハラスメント行為に関し発信した文書の一部開示決定に関する件(文書の特定)

                 答 申 書

第1 審査会の結論
   別紙の1に掲げる文書(以下「本件請求文書」という。)の開示請求につき,別紙の2に掲げる文書1ないし文書9(以下,併せて「本件対象文書」という。)を特定し,一部開示した決定については,本件対象文書を特定したことは,妥当である。

第2 審査請求人の主張の要旨
 1 審査請求の趣旨
   独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,令和2年7月13日付け特定高専庶第18号により,独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「機構」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,文書1ないし文書9について開示請求権を行使していないため,かかる箇所についての決定の補正と,本件決定の ための手数料として機構に支払った3,300円中2,700円の返金を求める。

 2 審査請求の理由
   審査請求人が主張する審査請求の理由は,審査請求書及び意見書の記載によると,おおむね以下のとおりである。
 (1)審査請求書
   【当会注:当会による審査請求書(冒頭リンク・2020年8月7日付け記事中に掲載)の内容の丸写しであり割愛。確認されたい方は、各自で上掲ファイルをダウンロードの上お願いします】

 (2)意見書(資料は省略)
    審査請求人の反論および追加意見
   【当会注:当会による2020年12月15日付け意見書(上掲)の内容の丸写しであり割愛。確認されたい方は、各自で上掲ファイルをダウンロードの上お願いします】

第3 諮問庁の説明の要旨
 1 開示請求のあった法人文書の名称
   別紙の1のとおり。
 2 開示決定についての考え方とその理由
   【当会注:高専機構による理由説明書(上掲)の内容の丸写しであり割愛。確認されたい方は、各自で上掲ファイルをダウンロードの上お願いします】

第4 調査審議の経過
   当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
   ① 令和2年11月16日 諮問の受理
   ② 同日       諮問庁から理由説明書を収受
   ③ 同年12月15日   審査請求人から意見書及び資料を収受
   ④ 令和3年4月9日   審議
   ⑤ 同年5月14日    審議
   ⑥ 同月31日      審議

第5 審査会の判断の理由
 1 本件開示請求について
   本件開示請求は,本件請求文書を含む複数の文書の開示を求めるものであり,処分庁は,本件請求文書につき,本件対象文書を特定し,一部開示とする決定(原処分)を行った。
   これに対し,審査請求人は,本件対象文書についての決定の補正と,本件決定のための手数料として機構に支払った金額の返金を求める旨主張する。これは詰まるところ,文書の特定について不服を申し立てていると解されるが,諮問庁は原処分を妥当であるとしていることから,以下,本件対象文書の特定の妥当性について検討する。

 2 本件対象文書の特定の妥当性について
 (1)当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,本件対象文書の特定の経緯等について改めて確認させたところ,諮問庁は,おおむね以下のとおり説明する。
   ア 審査請求人は,審査請求人が意図しない一般的な概念の文書が特定された旨主張するが,審査請求人から開示請求のあった法人文書の名称は,「学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)」であったため,一般的な概念としての学内のハラスメント行為及び個別事案としてのハラスメント行為の両面から,学内で発信及び周知している全ての文書を探索した結果,学生に向けた文書及び教職員に向けた文書1ないし文書9が存在しており,これらを特定した。文書1ないし文書9には,審査請求人が想定していた個別事案の文書は存在していないが,開示請求書にも個別事案に限定するとの記載はなかったため,このような発信・周知文書を特定した。
   なお,この開示決定の前提として「学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)」とあるため,特段の補正を必要とせず,文書の特定が可能であった。
   イ さらに,本件審査請求を受けて,改めて外に開示請求内容に該当する文書がないか,書庫,キャビネット,パソコンの共有フォルダ,メールサーバー等を探索したが,その存在は確認されなかった。
 (2)以下,検討する。
   ア 当審査会において,本件開示請求書を確認したところ,その文言から,一般的な概念としての学内のハラスメント行為及び個別事案としてのハラスメント行為の両面から文書を特定したとする諮問庁の上記(1)アの説明は首肯できる。
   イ そこで,本件対象文書の特定について検討すると,諮問書に添付された本件対象文書を確認したところ,いずれの文書も,開示請求の対象とされた平成30年(2018年)9月1日以降から開示請求時点(令和2年6月10日)までの間の特定高専が学内のハラスメント行為に関し発信した文書であると認められることから,本件請求文書に該当すると認められ,その外に該当する文書を確認できなかったとする諮問庁の上記(1)イの説明を覆すに足りる特段の事情は認められない。
     なお,本件対象文書の中には,審査請求人が主張するとおり,個別事案に関するものは含まれていないところ,他方,本件対象文書に係る開示請求の外の開示請求の対象として,個別案件に係るものとみられる文書が特定されていることから,そのことにつき,当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ,当該案件は,特定高専ウェブサイト内のお問い合わせフォーム(メール目安箱)にメールにより意見のあったものであるところ,そのメールの発信者氏名及び差出人アドレスが未記入であったため,該当する学科の会議において口頭でハラスメントに関する注意喚起を実施し対応を終了したものであり,該当学科の会議の議事録には本件について注意喚起した旨の記録がないため,本件に係る文書は存在せず,当該メールに対して,特定高専として学内外に発信した文書等も存在しないとのことである。
     したがって,機構において,本件対象文書の外に本件請求文書に該当する文書を保有しているとは認めることはできない。

 3 審査請求人のその他の主張について
   審査請求人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

 4 本件一部開示決定の妥当性について
   以上のことから,本件請求文書の開示請求につき,本件対象文書を特定し,一部開示した決定については,機構において,本件対象文書の外に開示請求の対象として特定すべき文書を保有しているとは認められないので,本件対象文書を特定したことは,妥当であると判断した。

(第5部会)
  委員 藤谷俊之,委員 泉本小夜子,委員 磯部 哲

=====別紙=====
別紙
 1 本件請求文書
   「平成30年(2018年)9月1日以降,現在に至るまでの間に,貴学(特定高専)が,内部関係者(教職員,学生を含む)或いは外部の関係者(卒業生,同窓会,保護者を含む)に対して,学内のハラスメント行為に関し発信した一切の文書(電子メールを含む)。」

 2 本件対象文書
   文書1 学生便覧 本科(令和2年度)
   文書2 学生便覧 専攻科(令和2年度)
   文書3 学生支援委員会 令和2年度
   文書4 コンプライアンスに関する文書 令和元年度
   文書5 学生便覧 本科(2019年度)
   文書6 学生便覧 専攻科(2019年度)
   文書7 学生支援委員会 平成31年度
   文書8 コンプライアンスに関する文書 平成30年度
   文書9 特定工業高等専門学校における学生の懲戒に係るガイドライン
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■今回の審査請求において、当会が指摘していたのは、大きく以下の問題点です。

① 従前からいきなり開示請求の文言解釈を変えられたうえ、解釈が正しいか確認もせず手数料を徴収されている。
② 当の開示請求者が『解釈が間違っている』と再三にわたり伝えているにも関わらず、齟齬があったことを認めようとしない。
③ 当の開示請求者の意思を完全に無視し、勝手に『開示請求権を行使した』ことにして、決定補正にも手数料返金にも応じようとしない。

 ところが総務省審査会は、のっけから「開示請求の文言がそのように解釈できるか否か」というところにいきなり焦点をすり替え、審査請求人である当会が特に気にしてもいない論点を勝手に検討し始め、さして争われてもいないところに「諮問庁(高専機構)の説明は首肯できる」などと判断を下して結論につなげています。勝手に問題点をすり替えたあげく、当会が問題視してもいない点についてワラ人形を突っつき出す今回の答申の論理構成は、理解に苦しむと評するほかありません。


■このように、今回のトンデモ答申自体には呆れてものも言えませんが、総務省審査会はなぜか斜め上の方向への審議調査にやたらリソースを割いており、三回も審議期日を要した一因にもなっているようです。とくに注目すべきは、この副産物として、長野高専がハラスメント事案に対処した詳しい経緯が思わぬ形で明らかになったことです。

 というのも、当会の元々の開示請求に対して、長野高専は「一般的な概念としてのハラスメント事案」にかかる文書を9件、「実際に発生した個別のハラスメント事案」を2件(教員の業務計画書・メール目安箱への通報)、特定して開示決定していました(冒頭リンク・2020年8月7日付け記事中に掲載)。

 今回の審査請求は、前者を対象に含めてきたことの取消補正を求めるものであり、後者2件を特定・開示したこと自体はなんら問題にしていません。ところが、ご丁寧にも総務省審査会は、後者をめぐっても長野高専に問い合わせ、文書(メール目安箱への通報)にかかるハラスメント事案の対応経緯をある程度明らかにしてくれています。

 すなわち、昨年8月に全面黒塗りで開示されてきた「メール目安箱への通報」に関する大まかな対応経緯は、以下のとおりのようです。

・長野高専ウェブサイト内のお問い合わせフォーム(メール目安箱)に寄せられたもの。
・ただし、メールの発信者氏名及び差出人アドレスが未記入であった。
そのため、該当する学科の会議において口頭でハラスメントに関する注意喚起を実施し対応を終了した。該当学科の会議の議事録には本件について注意喚起した旨の記録はない。

 普通は、匿名告発であっても、ハラスメントの被害者や被害集団、日時や態様について大まかにでも把握できるのであれば、まずは考えられる関係者に聞き取りを行うなど、事実関係調査に動くものであると考えられます。

 それにも関わらず、いきなり記録も残さない学科会議での口頭注意のみで対応を済ませているとなると、長野高専のハラスメント対応姿勢が極めて異常であるか、もしくは元々のメール告発自体が調査のしようもないほど極めてアバウトなものであったか、ということになります。

 換言すると、後者の場合であれば、このメール通報は、例の電子情報工学科セクハラ退職事件に関するものである可能性は低いことになります。なぜなら、どう通報しても被害者が明らかである以上、初手で聞き取り調査をして事実確認するしか手はないはずだからです。

■あわせて気になることがあります。今回の答申では、元の情報開示請求に対し「個別案件にかかる文書も特定されている」として、総務省審査会事務局職員が高専機構(長野高専)に確認している経緯が読み取れます。ところが、念頭にあるのが明らかに「メール目安箱への通報」だけで、「特定教員の業務計画書」については一切触れられていません。

 当会ではこれまで、この「業務計画書」を、「個別のハラスメント事案」に関するものではないかとみてきました。なぜなら、教員の業務計画書とメール目安箱への通報の2件は、「学内のハラスメント行為について関係者から学校に寄せられた申立や相談などに関わる一切の文書」という枠で同じく開示決定されてきた文書だからです。

 ところが、今回の答申のこのような書きぶりから、これも「一般的な概念としてのハラスメント事案」に関する文書に分類されるものではないかという可能性が浮上してきました。例えば、長野高専のハラスメント対策・対応に関係する何かしらの役目が回ってきた長野高専教員が、ハラスメント対策への抱負や意見を業務計画書に書き綴り、これを「学校への申し立てなど」とみなした可能性が指摘されます。

 もし、以上の推察がある程度的を射たものだとすると、昨年8月に開示された文書のうちで「個別のハラスメント事案に関するもの」とみられていたものの中に、悪質極まる長野高専電子情報工学科セクハラ退職事件に関する情報は含まれていない可能性が高くなってきます。

■ここであらためて、この件に関する経緯を簡単に振り返ってみましょう。

 長野高専電子情報工学科の女性教員が、同僚の男性准教授からストーカー紛いの執拗なセクハラを受け続けた挙句、必死に助けを求めた石原校長(当時)には相手にもされず、最終的に精神を壊して休職状態に陥り、2019年度末の退職へと追い込まれたという「長野高専電子情報工学科セクハラ退職事件」。

 教育者適格など皆無にも関わらず、文科省から性懲りもなく続々と送り込まれてくる天下り高専校長により幾度となく繰り返される悲劇に憤る当会では、その経緯及び学校側の対応や事実関係把握の状況を検証するため、内部文書の開示を請求することにしました。

 その際、具体的に事案を特定して請求すると、「事件の有無や詳細を明らかにすることになる」などとして開示拒否される可能性が高いとみられたため、ある程度期間を限定したうえで「学内のハラスメント事案について作成した一切の文書」として開示請求を行いました。その過程で、この解釈の齟齬をめぐりトラブルが発生し、審査請求と今回の答申に繋がっているというわけです。

 というわけで、「長野高専電子情報工学科セクハラ退職事件」に関する文書が作られていないとすれば、退職沙汰にまでなった悪質事案にも関わらず、同校として一切の文書を作っていないということになります。つまり、事実関係の確認や調査をすることはおろか、記録すら意図的に一切残さないようにしているということになります。

 そうなると、長野高専の体質として、悪質なハラスメント事案を「無かったこと」にして揉み消してしまうような事態が横行していることが強く懸念されます。

■以上のとおり、今回の総務省審査会答申は、滅茶苦茶な論点のすり替えによって、長野高専による不当な開示手数料徴収を全面肯定する呆れたものでした。

 ところが、そうした論点のすり替えが行き過ぎたのか、斜め上の方向に行った調査審議の思わぬ副産物として、同校のハラスメント事案対応をめぐる腐敗した内情も垣間見える結果となりました。

 悪質と隠蔽を極める長野高専電子情報工学科セクハラ退職事件について、当会では引き続き実態解明と調査追及に努めてまいる所存です。ただし、同校が当該事案にかかる記録を残していない可能性が高まったことから、当会では事情を知る関係者からの情報提供やご意見をより一層強く求めております。

【7/3追記】
■今回の総務省審査会答申を踏襲する形で、審査請求を棄却した旨の6月30日付け裁決書も高専機構から送達されてきましたので、ここに報告します。

●R3.6.30付裁決書(高機総第45号) ZIP ⇒ r.zip

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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