■今年のコロナ禍での台湾フェアが成功裏に終了しましたが、その中の目玉イベントであった台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)、唐鳳(オードリー・タン)氏と山本一太知事とのオンライン対談や県内高校生18名+大学生2名とのトークセッションが7月8日(木)午後6時~7時半に予定通り開催され、山本一太知事と若者ら20名が県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN(ネツゲン)」に集合し、熱いトークが交わされました。イベントの様子は県公式ユーチューブチャンネル「tsulunos(ツルノス)」でライブ配信され、現在でも視聴できます。
↑オンライン対談する山本知事(手前)と唐氏↑
**********上毛新聞2021年07月09日11:00
接種の加速にデジタル活用 知事と台湾担当相対談
デジタル技術でマスク不足を解消した立役者として知られる台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相と山本一太群馬県知事のオンライン対談が8日、県庁で開かれ、新型コロナウイルス対策などを巡って意見を交わした。
唐氏は台湾のワクチン接種予約システムを説明し、「接種の加速はデジタル技術で支援できる」と強調。山本知事がコロナ下で過密の少ない地方都市の再評価が進む現状を指摘すると、「オンライン会議の普及で地方都市は世界とつながり、国際舞台に発信できるようになった」と応じた。(西山健太郎)
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このイベントでは、タン大臣と一太知事との対談が50分間、そして、各高校を通じて申し込みがあった50名の高校生から抽選で決まった18名と大学生で応募のあった2名の合計20名の若者らとのトークセッションが40分間おこなわれました。
この動画は以下のYouTubeで見られますが、当会ではこの度、動画の音声から、やりとりの内容について、文字であらわすための作業を続けてきました。
https://www.youtube.com/watch?v=4U63BxS2d-g
7月18日までに作業の半分程度を終えましたが、ひょっとしたら群馬県で既に同様な作業を既に済ませているかもしれないと思い、同19日午前、県庁6階を訪れて秘書課に問いあわせた所、10階の地域外交課で同様な作業を進めていることが確認できましたが、まだ作業完了していないということで、当会の作業の進捗と同程度であることがわかりました。
音声データを聴いてみると分かるとおり、同時通訳の声がタン大臣の肉声にオーバーラップしているため、英語の音声がハッキリと聞き取れません。そのため、タン大臣の肉声がわかる英語の音声データの提供も、県に求めたところ、地域外交課の話として、秘書課と通じで分かったことは、タン大臣の事務所との約束で、群馬県として、YouTubeに、同様に英語バージョンの動画もアップすることになっていて、これも編集作業を経てから実施する予定だと言うことです。ただしその時期は未確定とのことでした。
■そのため、タン大臣の発言部分は同時通訳の音声データをもとに描き起こしてありますが、全体的に発言の趣旨はお分かりいただけると思います。それでは以下に、7月8日のオンライン対話の一部始終を文章で掲載しますので、ご確認ください。
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司会:只今より台湾、オードリー・タン大臣と群馬県山本一太知事とのオンライン対談を開催いたします。私は群馬県台湾総会ウタサトと申します。宜しくお願い致します。
場内:(拍手)
司会:はじめに、本日こちらの会場には多くの方が出席しているため、群馬県側は全員マスクを着用しておりますが、ご理解いただければ幸いです。それでは、県台湾総会を代表しタン大臣に謝意を申し上げたいと思います。(中国語挨拶)
簡単にさきほどの内容をちょっと日本語で説明させていただきます。タン大臣、お忙しい中にもかかわらず、私たちの要望に応えていただき、群馬県、そして群馬県の若者の皆さんのために、このような機会を与えてくださり、誠にありがとうございます。限られた1時間半ですが、おそらく参加者にとって大事なひと時になることでしょう。そして、今回の対話を通じて、新しい発想が芽生えてくるかもしれません。大いに期待したい、という内容でした。はい。
場内:(拍手)
司会:それでは、山本一太群馬県知事に進行をお願いしたいと思います。山本知事よろしくお願い致します。
知事:はい。えー、オードリー・タン大臣。初めまして。群馬県知事山本一太です。群馬県は、私のもとで昨年、新しい総合計画、群馬県の未来図である新しい総合計画をまとめました。その中で、群馬県の20年後の姿を描いたビジョンというものを発信いたしました。そのビジョンを一言で言うと、こういう文言で表現されています。「群馬県が20年後に目指す姿は、群馬県民すべての県民が、年齢、性別、宗教、国籍そして障害の有無等にかかわらず、誰一人取り残されることなく、それぞれが思い描く人生を生き、幸福を実感できる、自律分散型の社会」ということです。こういう理念を県で掲げた知事として、私が今世界で一番お話をしたい、いろいろと、お聞きをしたい、その一人がオードリー・タン大臣ということで、今日はですね。こうして大臣と対談をする機会をいただけたことを大変嬉しく思っておりますし、また、今や台湾のデジタル政策を牽引する世界的な注目を集めるオードリー・タン大臣と、こうしてお目にかかれる、いろんなお話ができる、ということを大変光栄に存じております。まず冒頭ですね、せっかくなのでタン大臣に、群馬県の簡単なご紹介をさせていただきたいというふうに思っています。私が知事を務めるこの群馬県は、いわゆる東京中心とする首都圏というところに位置しております。東京からは、新幹線で1時間弱の距離にありますが、東京に近いんですけれども、非常に雄大な自然に囲まれたとっても素晴らしいところです。とくに有名なのは温泉で、私のふるさとでもある草津温泉、伊香保温泉、水上温泉、四万温泉という4つの温泉郷があって、観光地としても大変賑わっている日本一の温泉県と言ってもいいと思います。さらに、農業も畜産業もとても盛んで、たとえばキャベツは全国一の生産量を誇っています。ものづくり産業も非常に盛んな場所です。同時に今ですね、日本政府も、そして、地方の政府もそうなんですけども、二週間後に控えた東京オリンピック、パラリンピックに向けて、とにかく新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための、この拡大を防ぐための様々な対策を講じています。残念ながら、なかなか今、東京の状況が厳しくて、今日政府が正式に、東京に4回目の緊急事態宣言を適用するという流れにはなっていますけれども、群馬県もこの中で様々な新型コロナ対策を講じてまいりました。幸いなことに、現時点で言うと、群馬県は、首都圏の中でも、ずば抜けて感染者数が少ない。感染率を低く抑えられております。ただ、東京の影響を受けやすいということもありますし、首都圏全体がですね、感染者リバウンドの状況に見舞われているので、なかなか油断はできないと、緊張感をもってですね、日々、知事として、県政を運営しているというところです。今日は大臣に最初にお聞きしたいことがあります。台湾がこの、COVID-19,新型コロナ対策において、やはり世界で最も成功した国家のひとつであるという、この事実は疑う余地がないという意味では思っています。タン大臣が打ち出したさまざまな斬新な政策、たとえばシビック、あのう、なんていうか、市民の力を活用したシビック・テクノロジー等々を駆使したマスク配布のですね、マップの開発とか、或いはデジタルを使ったさまざまな、なんていうか、発信のアイデアとか、私自身も大変勉強させていただいておりますし、日本を含む世界が台湾の実績から学ぶべきことは非常に多いというふうに思っています。このことを前提にですね。ご質問をしたいと思うんですけれども、その中でもですね、この5月、台湾で、ですね、感染の再拡大が発生をしました。これは、再拡大といっても、日本とかヨーロッパから比べればかなり低いレベルでありますけれども、5日間で1万人ぐらいの感染者が出たという状況になっています。タン大臣もですね、ずっとこう台湾のメディアをフォローしているんですけれども、たとえば、この間、確かですね、ワクチン接種の予約システムを作られたということもうかがってますし、これが台湾の国民の皆さんのカードとか、あるいは、その、保険証のカードとか、だけでも申し込むので申し込むのではなくて、もうちょっとスマホに弱い方々や弱者にも配慮してですね、もう、コンビニでも予約ができるようにしたと。こういう情報もいろいろと入ってきています。で、こういう状況の中、台湾で初めてコロナが始まってから本格的な再拡大があるという新しい状況の中で、タン大臣が、台湾政府がこれから、この状況にどうやって対応していくのか。勿論台湾はですね、タン大臣の、実は、この対談のまえに、書籍も何冊か読ましていただきましたし、大臣が各県の知事と行った対談とか、或いはIBMジャパンで基調講演されたのは全部昨日聞いてまいりましたので、勿論、台湾はですね、タン大臣を中心に進化を続ける民主主義、オープンガバメントを通してですね、この逆境を当然乗り越えてゆくというふうに確信をしておりますが、この新しい状況を、タン大臣がどう捉えておられるのか。そしてこの台湾が、おそらくCOVID-19が発生してから初めて直面したこの状況をですね、どんな戦略で乗り越えていこうとしておられるのか、さらには、大臣がですね、デジタル担当大臣としてずっと大事にしてこられた、いわゆる、その、政府と国民、政府と市民との信頼関係ですね。これは勿論、確固たるものがあると思いますが、今、蔡英文総統のワクチン、政策を巡って、台湾の国内でもいろんな意見や批判がでてきているということで、ある意味、この国民と市民、政府と市民、政府と国民とのこの信頼関係が試されているという、タイミングでもあるのかなと、いうふうに思っていますけども、そこら辺のことについて、タン大臣の考えをまず、群馬県知事として今県内の県民コロナ感染者を抑えて県民の命と健康を守るために、全力を尽くしている知事として、まずそこから、大臣のお考えをうかがえれば幸いでございます。
大臣:知事ありがとうございます。よろしいですか。聞こえますか、この機会をいただき、ありがとうございます。意見交換の機会をいただきました。まず、皆さまに対して、日本の人々、日本政府の、第2回目のワクチン、アストラゼネカのワクチンを寄付していただきありがとうございます。この2回分のワクチンの寄付がなければ、私は、個人的にも2回目の接種を受けることができませんでした。2回目の接種を受けましたので、ほんとにまた、あちこち行けることが出来ました。本当にありがとうございます。日本からのワクチン、そして米国、そして寄付をいただきましたわけなんですが、アストラゼネカとモデルナのワクチンの出荷が、また我々のところにきているのですけれども、1週間に100万回の接種が行われております。つまりは、我々のアクチン接種のスケジュールが加速しております。それが可能になっているのは、直近に第1波、これがほんとうに台湾において最初の第1波ですね。今、足元、今日なんですが、18人の感染者です。さほど高い率ではありません。でも1か月前のそのピークを覚えていますので、ほんとうにまだ記憶に新しいわけです。ですので、記録的な数でワクチンの接種を受けております。1回目の接種の時は、4月半ばだったのですけど、友人ですとか家族に「ワクチンを受けてください」と説得しなければいけませんでした。ほんとに私の言葉を聞きはしませんでした。まあ、台湾は本当に、市中感染がなかったわけですので、ワクチンを受けるなんてちょっと変わっているなと思われていたわけです。でも、こうやって2回受けて、海外にも、台北市内ですね。でもその、まあ3か月ですけど、台湾人の生活に非常に大きな変化がありました。ワクチンの接種が加速するには、我々の戦略の上で重要なのは、これはデジタルテクノロジーで支援ができることだと思います。これを世界中で見たわけですけれども、ひとびと違う、ワクチンの種類ですが、好まれる種類として、台湾では、モデルナが、アストラゼネカよりもいいと言う人もいます。でもアストラゼネカのほうがモデルナよりいいと言う人もいるわけです。デジタルテクノロジーにおいて非常に幅広い調査、アンケートをしました。本当に今日が正式なキックオフだったんですけれども、台湾の人全員に対するアンケートですね。まず、50歳以上のかたが、リスクの高い人たちなのでワクチンを受けるわけです。ですがただいまで、50歳以上のひと。もしくはまあ、基礎疾患でリスクがある人々、このふたつのグループの人たちに対してアンケートを取りました。どちらがいいですか、モデルナですか、アストラゼネカですか、それとも、どちらでもいいですか、ときくわけです。それで何百万の回答がくるわけで、それは携帯電話の番号があって、で、どこの県でワクチンを接種したいのかと、いうことで答えが入ってくるわけです。そして、日本からの寄附を頂いてその数週間、その在庫が分かるわけですね。例えば、アストラゼネカを受けたいという人に対してそれを摂取できるわけです。例えば160万のワクチンの数があると、ぴったりそれを出荷して、そして、アストラゼネカが欲しいと言った人たちに対して、それをきちんと出荷できるわけです。ですので、この人たちが接種に来るんだな、ということでムダにならないわけです。そして、急にキャンセルが有ったり、急にやめたりということがないわけです。本当に接種を受けたいという人が来るのできちんと接種ができる。この需要のアンケートを取ることによって、実際にワクチンのどの種類がほしいのかということは、このアンケートがとれて我々のワクチンの接種回数を加速することが今後できると思います。
知事:ありがとうございます。やはり、これは台湾の制度もそうだと思いますが、特にオードリー・タン大臣がですね、台湾のデジタル化というものをかなり加速させたということがあるのですが、例えばVガバメントとかですね、ジョインとか、いわゆるその、国民の声を直接吸い上げる仕組み、それから政府の方から直接数多くの国民に届ける。そういうその、デジタルの仕組みを作っていくというところがあらためて台湾の強みであり、タン大臣のですね、やっぱり、すごいところだな、ということを感じました。なかなかまだ群馬県はデジタル後進県だったものですから、私になってから一生懸命デジタル化を加速しているんですが、やはりタン大臣がいつもおっしゃっているように、インターネット、デジタルというものは、間接民主主義の弱点を補うと。つまり大勢の人たちが、タン大臣がよく「傾聴」とおっしゃってますけど、意見にしっかりと耳を傾けるためのツールとして非常に有効だという話をですね、ご著書のなかで読んだんですが、群馬県としても少し、タン大臣がずってやっているように、こうしたデータ分析ができる仕組みを、シッカリ我々もつくっていこうと、今の話をうかがいながら思いました。あの、そこで台湾の政策については、お聞きしたいことも山ほどあるのですけれども、時間も限られていますので、ちょっと次のトピックにいかせていただきます。あのう、タン大臣、私は群馬県知事になる前に、24年間、与党自民党の国会議員を務めておりました。で、第2次安倍政権では、内閣の特命担当大臣を経験して、その時には、ITとか科学技術の、実は担当もやっておりました。で、あのう、国会議員の仕事はですね、これも今、タン大臣が、日本で言う閣僚としてご活躍をしているので、よくお分かりと思うんですけども、国会議員の仕事は、やはり一言で言うと、ルールメーカーともいうべきものであり、法律を作る、制度を作る、これはものすごく大事なことだとうふうに思っていす。で、20何年間か国会議員を経験して群馬県知事になったわけなんですけれども、まあ、知事はですね、あの、大臣ご存知のように「ガバナー」ということで、まあ、議院内閣制ではなくて、県政というものは大統領制に近いので、知事は知事として、国会議員のときは、ルールメーカーのひとりだという意識だけども、知事はいわば現場のプレーヤーの代表という感覚があってですね、まあ、同じ地域で頑張っている私もここで生まれたんですが、県民の代表をして仕事ができるという醍醐味みとか、やりがいもですね、大変感じているところなんですね。その中でタン大臣、あらためて思うことはですね、いかなる状況であろうとも国であろうと地方であろうと、一番大事なことは教育だということなんです。で、実はあのう、群馬県でもですね、さまざまな教育イノベーションを進めています。タン大臣がですね、やはりイノベーションの基礎というのは、これは耐容の精神と、インクルージョンであると。すなわち、誰も取り残さずに、やっぱり、しっかり皆に参加してもらうということだとおっしゃっているんですが、群馬県もそういう精神のもとで今、一生懸命教育イノベーションを進めています。そこで実は、群馬県はですね、これからの時代に育てたい人材ということで、こういうコンセプトを建てました。「始動人」というのですが、これやっぱり、日本の台湾の共通のところで、漢字を見ればすぐにタン大臣に分かっていただけると思うんですけども、「始めて動く人」と書きます。これ、始動人というのはどういうものかと言いますとね、戦後日本が、いわゆるその戦後の成長時代にですね、大量消費、大量生産の時代があったわけなんですけれども、この時代はやはり皆と同じ方向を向いて狂騒する人にスポットが当たっていたと思うんです。例えば、いい大学に入るとか、或いは大きな企業に入るとか、こういうところの競争で秀でた人たちにスポットライトが当たっていたと思うんですが、やなり群馬県が考えているのはですね、今、これだけ変化の激しい時代、明確な答えがない、人の価値観もものすごく多様化している中で言うと、そういう皆が同じ方向を目指していく中での競争ではなくて、自分の頭で生き抜く力、例えば今迄、人が目指していなかった領域を目指して歩き出す力、そういう勇気を持っている人、これを始動人というふうに呼んで、こういう人が生まれやすい環境を作りたいと、そのためにはタン大臣と全く同じ感覚なんですけど、寛容性、そして多様性を受けられる、やっぱり、教育が大事だと思っているんですが、あのう、まずタン大臣にこの考え方についてどう思われるのかということと、タン大臣がご覧になってですね、このデジタルイノベーションの時代に求められる人材の姿、いわゆるこれから若者、子ども達も若者達もそうなんですが身につけておくべき素養と言うものはどんなものがあるとお考えになっているでしょうか?
大臣:ありがとうございます。私も強くイニシアチブをとることを信じております。カナダのシンガーソングライターのレオナルド・コーエンですけども、どんなものにも、ヒビがあると。そのヒビから光が入って来るんですね。ですので、ヒビというものが悪いのではなくてヒビに感謝するわけですね。これをチャンスと見るわけです。そして、イニシアチブをとって新しいアイデアを、これを採り入れるわけです。また、同時にダイバーシティ(多様性)というものが、もし、人々が誰の立場もとること、学ぶことが、一番よいと思います。どちら側に立つではなくて、違う立場の人たちを同時にみる、理解することですね。価値は今、多元的です。たとえば、経済的な発展も、それも重要だと言う人もいるでしょう。でも、地球全体をまた環境を非常に気にする人がいます。また、社会的な平等性、ということが、40年前よりも、非常にやっぱり重要性を帯びてきています。ですので、このような多様な見方があるので、そして、イノベーションを誰も取り残さない、どの価値も取り残さないということが重要です。人を取り残すのではなくて、たとえばアイデアを推進する、例えば循環景気で、例えば、古いジーンズからファッショナブルな衣類を作る。これは経済的にも環境的にもいいわけですね。そして、それをまた仕事にする人にとって、世界的平等性が維持されるわけです。これが、こっちかあっちかではなくて、我々は常に、すべての(SDGsの目標である)17の価値というものを、持続可能性に取り込むということが大事だというふうに思っております。
知事:ありがとうございます。あのう、タン大臣が多様性というキーワードをおっしゃったんですけども、群馬県はですね、私が知事になっていくつかのベクトル、新しい機軸を打ち出しておりますけれども、その中に、えー、多文化共生・競争、ともに作るというコンセプトがあります。たとえば今、群馬県にはですね、ここで住んでいろんな場所で働いておられる外国籍のかたがたが大体3%くらいいるんですけども、こうした方々のことを私は外国籍の住民ではなくて、「外国人県民」と呼んでいるんですね。そして群馬県を発展させていくためには、いつも大臣がおっしゃっているとおり、やっぱり、多様な価値観を持った人々が集まることが大事だと。我々は、この外国籍の県民の皆様も仲間として協力をして、群馬県を発展させていくべきだというふうに思っていまして、群馬県はですね、この多文化共生・競争というコンセプトを、とくに外国人の方が群馬県にというか、全国に増えてきている時代の中では、初めて47都道府県に先駆けて、これを推進する条例も作りました。やはり大臣がいつもおっしゃっているように、同じ、なんていうか、考えを持った人たちが行政の中に来たら結局同じものしか生まれないので、いろんな、世の中には人がいると。大臣が常に「傾聴」というお言葉を使いますけれども、自分と違う意見の人にも耳を傾けて、やっぱり世の中にはこういう普遍的な価値があるとか、こういう見方もあるんだということを考えながら、やっぱり、進んでいくことが、タン大臣のおっしゃるインクルージョン、すべての人たちに参加をしてもらって、政治をつくっていくということにですね、繋がるんじゃないかということを、今あらためて、感じました。大臣、これも何度もいろんなところでお聞きされているんですけれども、この多文化共生というコンセプトを、なかなか、保守的な、群馬県で、進めていくというのは、なかなか大変なことで、このコンセプトをまとめる時も、なかなか最初は理解していただけない方もいたので、知事が県内中、すっと行脚しながら、ワークショップみたいなものをやりながら、何とかこの計画を県議会にも認めてもらったのですが、大臣から見て多文化共生の社会をつくるためのカギって、いろいろあると思うんですけれども、一番大事なことを一言で言うとなんでしょう?
大臣:はい、一番重要なことは、楽しいということですね。これはあまり、いわゆる公共サービスではあまり強調されないのですが、この社会イノベーションの別の柱、ファスト、フェア、ファン。早く、公平で、楽しいという事ですね。われわれ公共部門で働くと、効率性、平等、非常に重要ですね。しかし、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに活発な議論、会話をするということ。無限のイマジネーション、クリエイティビティ、アート、芸術、デザイン。これらがまあ、足りないみたいです。ほんとうに、パブリック・ヒヤリングとかしてみると、そういうものが足りないように思います。ですので、過去4、5年の私の考え方は、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに心が軽くなるような楽しさ、というものが公共サービスに紹介することです。ですので、私のイメージは、日本人のラップのかたがたがリミックス(注;複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の一つ)をしてくれますね。まあ、ヒップホップで、リミックスをしてくれますよね、日本の方も。そして台湾の人たちもそういったリミックスをしてくれます。ですので、ただ単に、そのことの魅力だけでは無くて、それがどのくらい、それがアクセスしやすいのか。例えば、何かに集中するという意味では、例えば台湾では総統杯ハッカソン(注:hack(ハック)+marathon(マラソン)からの造語で、ソフトウエア開発者が、一定期間集中的にプログラムの開発やサービスの考案などの共同作業を行い、その技能やアイデアを競う催しのこと)というイベントがあるので、そういったことに、楽しさをもって参加すると、普通ではないような、何か楽しいことが起こるのではないかなと期待が高まり、そして、これを話題に乗せる。そして社会的にこれが改善につながるわけです。たとえばジョイントフォームでは、これは、アピールがあったわけですね。台湾のタイムゾーンはGMT(グリニッジ標準時)プラス9。それを「日本と一緒の時間帯にしろ」というようなアピールがあったわけです。ですので、それでも、その反対する反動として、今の時間ゾーンでいいんだと。これはちょっとふざけているようなんですけれども、でもほんとに皆が意見をオープン言うことの証左だと思うんです。この2つの、訴えの言い続けた人たちを同じ部屋に入れて、そして競争を促したんですね。そして両方が、人権として、デジタル民主主義というものを世界に拡げようと、そちらの方が国際な舞台では重要だろうと。そのタイムゾーンを変えるだけでなく、勿論それはニュースになるんですけれども、もしかしたら悪い意味かもしれませんね。それでも、そんなことになっても、それぞれ2日しか持たないわけです。ですので、両者は「台湾をより世界政治に上げよう」と、もともとのアイデアではなくて、その、タイムゾーンを変えるというだけではないわけですね。ですので、このように楽しくやっているんですよと。まあ、競争が魅力、非常に違う立場でも共通の視点が、これが適用され競争できるわけです。
知事:ありがとうございます。私の問いは多文化共生・競争を進めていくうえで、えー、カギとなるものは何かということに関してですね、タン大臣が「楽しいことだ」と。これはとても日本語でいうと目から鱗でした。やっぱり人間は楽しいとみんなが参加しやすい。楽しい事にならないと共鳴を覚えないということなんだろうなと思います。そこで、今の大臣のこの「楽しい」という言葉から、ちょっと次の質問に移っていきたいと思います。やはり、タン大臣が世界的に注目された理由のひとつはですね、やっぱりデジタル時代のコミュニケーション能力ということだと思うんです。とくに、そのパンデミックのような危機的な状況に置かれた時には、行政としては、やはりあのう、市民とか国民とのリスクコミュニケーションというものがすごく大事になってくるわけですよね。で、例えばデジタルは、これは大臣には釈迦に説法ですけれども、インターネットにも光と影があって、大臣が著書でお書きになっているように、デジタル民主主義にも、いいところばかりでなくて課題もあるということだと思うんですけれども、例えば群馬県はですねインターネット上の誹謗中傷で被害を受けた方々を、支援をするという条例を47都道府県ではじめて実は、先般、制定をさせていただきました。で、インターネットの情報というのは、勿論玉石混交で、人を傷つけるような、ものもあるということで、普通の為政者だったら何を考えるかと言うと、そういうことを取り締まっていこうと、むしろ、そういうなんて言うのでしょうか、発信がないように、罰則を強めていこうみたいな発想をするところ、ですね、やっぱりタン大臣が、おっしゃった、ほんとの名言だと思うんですけれども、あのう、「Humor Over Rumor」というね。つまりデマに対抗するのはユーモアであると。で、こういう形でやっぱりデジタルから、いわゆるデジタルを使っている方へのメッセージ、使うのに、ユーモアを使っていると、あのう、私も、ハッキリ覚えていないですが、たしか、日本の柴犬のチャイとかチャンとかいうイヌを使ってですね、たしかなんか、手を洗おうという運動だったかマスクだったか、あれ見たらみんなやっぱりすごく嬉しくて、なんか面白いねと言って友達とシェアすると思うんですよね。で、大臣に聞きたいのはそういうあのう、エピソードは、タン大臣、沢山あるのですけれども、政策のなかで。デジタル自体のコミュニケーション、どうやったら、まあ、あのう我々が目指す、台湾はこれを実現しているわけなんですが、行政と市民、国民の間の、信頼関係を作るための情報発信ができるんでしょうか?
大臣:そして、信頼を得るためには、信頼をすることです。ですので、公務員に対しまして、人々を…国民を信じなさいと、もしかして信じ返さないかもしれないですけれども、まず我々の方で国民を信じることです。どのような資質をみせるかということなのか、我々は透明性、透明にするわけです。あのう、たとえばロビーイストですとか、ジャーナリストとの、私のミーティングは全て記録して、それが議事録、そのビデオをすべてオンラインに公開します。ですので、私のYouTubeチャンネルをフォローしていると、実際に私の生活、私の仕事を、リアルタイムで見られるわけです。そしてジャーナリストが質問をすると、ジャーナリストのほうで、人々のそういった知識に貢献しているので、コンテキスト、文脈からそれをとりださないわけでう。すでに出版したテキストがあるわけなので。ロビーイストは私が信頼しているということを見るわけです。もしか、カメラとかテーブレコーダーを指して、これが皆様の将来世代の時計ですと、いうわけです。見ているわけですよと。ですので、未来の世代のためのことしか我々は議論するわけですね。短期的なことではなくて長期的なことを議論するわけです。ですので、その、競争ということがこれに繋がるわけです。また同時に、こうやって見せることによって、我々の世界がどのように影響があるのか、それを前向きに捉えてくれると思います。それが非常に劇的な透明性ということを私は主張しているわけです。その持続的な成長に対して、ロビーイストがその反対の議論したものがありません。全部、公開されてしまうので、彼らにとってもそれはまずいわけですね。ですので、このようなことが、ほんとに、公開する、透明性ということが非常に重要です。ですので、対話というものが促進されて、そして、その根底に信頼があるわけです。また、二人ですから、公開されないような議論だとこの二人にしか信頼関係が無いわけですけれども、こういった形ですと、みんなに信頼が醸成されるわけです。
知事:ありがとうございます。今、大臣の方から行政の市民、まあ、あのう、政府と国民と言ってもいいと思うんですけども、その信頼関係を作るための最初のカギは、まずこちらから、行政が国民や市民を、県民と言う方があるかもしれませんが、信用しなければいけないという話があったのと、あるいはすべてのやりとりは、やはりオープンにする。まさにオープンガバメントで、これを公開することによって信頼関係の基礎が築けるということですね。あらためて気付かされた感じがします。で、大臣、もう一つ、少しまた別の話題のほうに行きたいと思うんですが、大臣が、あのう、将来世代ということをよくこう、今もおっしゃっているんですけれども、今日はですね、私と大臣とのこの対談のあとにですね、群馬県の若者、高校生、大学生とかですね、タン大臣といろいろ意見交換していただけるということで、大変ありがたいと思っているのですが、実は、私はですね、このタン大臣が発明したのか、もともと台湾にそういう制度があったのか分かりませんが、私は台湾の制度で、ぜひ群馬県に取り入れたいというものがあります。それは大臣がいろいろな講演でもおっしゃっているんですが、「リバースメンター」という制度です。これはつまり、普通はだいたい人生経験のある大人がですね、子どもにメンターをする。つまり家庭教師ではないですが、いろいろ教えたり導いたりすると。このリバースメンターというのは逆で、むしろ若い人たちが、年配の人たちにアドバイスをする。これを指導するという考え方ですよね。で、大臣の著書を拝見してすごく面白いなと思ったのは、これからのデジタルフォーメーションのカギは、いわゆるデジタルネイティブが握っていると。つまりデジタルをものすごく自然に使いこなせる若い世代が主役になるんだということが書いてあるんですね。タン大臣、私は63歳で、年よりもなんか子どもっぽく見えると言われるのですが、63歳なんですね。で、私が今の実は、政府からリクルートしてきた、えー、若い副知事は、タン大臣と同じくらいの世代で、勿論ITとかAIとか、最先端のことにとっても詳しい人なのですが、タン大臣とか、私が、あのう、経済産業省から引き抜いたというか、お願いして来てもらったオルガ副知事の世代。この人たちを、タン大臣はですね、デジタルネイティブではないと。どっちかというとデジタル移民だというふうにおっしゃっていて、実はデジタルネイティブはきょう来られている高校生、大学生だと思うんですけれども、ほんとうに15,16歳くらいから下の人たちなんだと。で、この人たちはデジタル先住民であると。この言葉、すごく面白いと思ってですね、タン大臣自身の、あのう、まあ、立法院というか、まあ、日本の国会にあたる大臣をやっておられる時にも、あのう、いわゆるリバースメンターをやっておられたということで、私も若いアドバイザーがいるんですが、あの、大臣がおっしゃっているように、例えば高校生のリバースメンターを知事が持って、今、高校生のなかで流行っているアプリとか、まあ、そのいわゆる高校生ならではのクリエイティビティみたいなものを学ぶ制度ですね。日本で初めて、ちょっと、採用しようと思うんですけれども、いかがでしょうか?この考えについてどう思うのかということと、このリバースメンター制度がいかに台湾の政治に活力を与えているところについて、少しご説明をいただけると有難いです。
大臣:私もリバースメンターでした。ま、このオフィスを与えていらした大臣もリバースメンターでした。私が、そのリバースメンターからこういった仕事をしているわけなんですけれども、テクノ大臣だったんですも、常にしていたのが、彼女は、若い人と、私は若い人と捉えていなくて、サイバー空間で成熟した人間だとみている。でも、私自身もデジタル移民ですね。インターネットに、1993年に移民をしたわけです。でも、ここにいらっしゃる皆さんは、ほんとうの真のデジタルネイティブの皆さんです。ですので、リバースメンターがいわゆる上級官僚として働くときは、すべての可能性を示すことです。なるべくたくさんの、もっとクレージーなアイデアを示すということですね。というのも、上にいる人、私も40でだいぶ年を取りましたね。もう、若者ではありませんね。ですので、私のような年上の人間は、既にいいソルーション、いい答えをしているわけで、そういった訓練を受けたわけで経験もあります。でも、この経験こそが、本当にクレージーなことを考えることの阻害要因になるわけですね。本当に経験のない方が、いいアイデアが出る場合もあるわけです。ですので、若い人々は、信頼されるべきです。本当にクレージーで良いのだと。不可能なことを提案してもいいんだと。そして我々、年上の人間として、そして何かリソースが必要ならば、それを十分に、それの実現可能性というものを実験するリソースを与えることです。例えば、いわゆる、これは無理だ無理だ、というような役割をとるのではなく、我々としては、リソースを提供する人間でなければいけません。若い人々は、我々のサービスを調達して、アイデアは不可能だね、不可能に見えるね、でもこれと、これと、これがあれば、より可能性が高まるるのではないか。で、リソースをどのように提供するか考えてみようと。若い人はリソースがないわけですので、我々の方でリソースを提供して、そして、クレージーな考えを実現する、もしくは、失敗しても、そこから学びがあるわけですので。
知事:ありがとうございます。今日のタン大臣のお話をきいて、群馬県もですね、えー、知事のリバースメンター、つくろうかな、と本気で思っています。クレージーな考え方をもった高校生を周りに集めて、とてもできそうもないアイデアを言ってもらうと。できそうもないと言ってはいけないんだけど、大臣がおっしゃったように、やはり長い間国会議員を経験し、知事をやっていると、どうしても考え方が狭くなってきたり、なんというのでしょうか、柔軟な発想ができなくなってきていると思うので、今日せっかく大臣から良いご示唆もいただいたので、ちょっと、知事の高校生アドバイザー、メンターグループをつくることをですね、真剣に考えてみたいと思います。ありがとうございます。そこで、だんだん時間が無くなってきてしまいまして、もうタン大臣と話したいことは山ほどあるんですが、今日どうしてもお話ししたいことはですね、大臣、今回のコロナ禍、新型コロナが日本にもたらした変化のうちの一つにですね。いわゆる地方、田舎の価値の再定義というのがありました。コロナが起こる前は、やはりすべてこう、大都会、東京中心で、たとえば、その、経済もですね、人を一杯集めて、まあ、ある意味で言うと密ができると。その中から収益を生み出すみたいなビジネスモデルだったのが、例えば東京の満員電車。コロナ感染のリスク、すごく高まりますよね。そういう価値観じゃなくて、むしろ、例えば群馬県のような、東京に近くても、自然が豊かで、いわゆるあのう、こう、広いスペースが有る。こういうところが、実は新しいビジネスモデルの中心になるのではないかというふうに思っているんです。で、大臣が著書の中で例えば5Gのような、新しい、なんというんでしょうか、あのう、システムは、むしろ中央ではなくて地方から定着させるべきだと、いうふうにおっしゃっているんですが、ここで、大臣どう考えているのでしょうか?このコロナ禍がつくってきたものはですね、まあ、もうちょっと大げさに言うとGDP中心の経済成長みたいな考え方、まあもちろん、勿論、経済事情、大事なんですがでも、もうちょっと違った価値観を持ったビジネスモデル、生き方があってもいいのではないかと思っているんです。その中で地方の役割、チャンスというものが、あのう、大きくなっていると思うんですけれど、その辺は大臣、どういうふうにお考えでしょうか?
大臣:もちろんそう思います。台湾では、一緒に進歩というものが、人権だと。過去、コロナのせいで、このことがやはり、理解が出来ました。前は国際会議ですとか開くと、たとえば、空港の近くですか、タイペイですか、そういう大都市で国際会議を開こうと思うわけですね。でも、これがいわゆる、その、まあ、空港の遠いところは、その高速鉄道があるんですけれども、例えば、高速鉄道であればそんなに遠くないんですけれども、でも、例えば、国際会議にはそういった地方都市は開かれないわけです。でも、コロナの中ではこうやって、バーチャルで国際会議は当たり前になりましたよね。そして、どこにいようと、我々がいいブロードバンドの接続さえあれば、ほんとうに、はっきりとお互いの顔が見えますよね。そして例えば、ローカルの問題を、そのローカルの人々を、そして地域の人々を国際的にこれを提供することができるわけですね。高速鉄道、そして高速道路は、都市と都市を繋げるだけですけれども、インターネットは、都市を世界とつなげて、世界が皆さんのお隣さんになるわけです。まああのう、時差とか、眠る時間とか、それはちょっと関係しますけれども。でも、この地方都市が、はっきりと、まさに、はっきり言っていただきました。まあ、どのような問題があるのか、例えば持続的な成長のゴールがあるんだということを、ハッキリこれが発言できれば、今、我々の通訳ですとか、それで会議があって、それを世界中に発信できるわけです。そしてほんとうに、国際舞台に対しても、いろいろ発信できるわけです。これはコロナ後でも、これは続くと思います。本当にインフルエンザみたいになったとしても、こういった傾向が続くと思います。この国際的なつながりというものが続きます。そして、私が、いろいろ飛び回るようなことになっても、私がアイデアも、あと、皆様のアイデア、若い方々のアイデア、たとえば、みんなアイデアがこれが一緒のところにあるわけです。どれほど東京から時間がかかるか、ということは関係ありません。アイデアのおかげで近くなるわけです。このようなつながりで近くなるわけです。
知事:ありがとうございました。今の私の質問に対して大変いいご示唆を頂きました。あのう実は、今言った地域がですね、このコロナ禍で新たな価値を出現しつつあるという点で、群馬県はこの「快疎(かいそ)」という言葉をつくって、これも漢字そのものですが、快い疎、スペースがある、空間があるということで、何となく、こう、なんというのでしょうか、単に空間が広いというだけじゃなくて、そこに何か、その地域独自の魅力があって、人を引き付けるものをやって、その空間にいることによって、より精神的、まあ、肉体的にもより安定した状況になれるというようなところ、目指していることだけちょっとご紹介させていただきたいと思います。あの、大臣、この後もですね。実は群馬県の教育イノベーションについて、大臣が著書の中でもおっしゃっていたとおり、大学でどの科目を、たとえば、選んだらいいかと相談された時に、本当にやりたいことが見つかるまでは大学に行かなくていいんじゃないか、というお話をされていたことも、実はすごく共鳴してですね、その話もちょっと、きょうはうかがいたかったのですが、この後おそらく、若い人たちとのコミュニケーションの中でいろいろお話もされるというふうに思います。あと2分とかいうのが出ているんですのでが、最後に申し上げたいのですが、大臣は、いまも世界中で引っ張りだこで、あちこち飛び回っておられると思います。でも、大臣のインタビューとか著作をきくと、まあ、日台関係についても、非常に大切に思っていただいているということが分かるし、大臣のご両親のお話からもですね、やっぱり台湾と日本の強い絆みたいなものを感じます。あのう、お父様がクリティカルシンキングを教えられ、お母さんからクリエイティブシンキングを学ばれた。本当にすてきなご家庭だったんだなと思うんですけれども、あの、大臣がですね、日本にまた来られる時、お忙しいと思いますが、東京から近いですから、とにかく。少しでも群馬県に立ち寄っていただいて、是非ですね、群馬県のですね、温泉に入っていただきたいと思います。その時は私も大臣に同席させていただいて、まあ4つの温泉はそれぞれ特徴があって、効能も違いますし、あのう、群馬県のそのう、おいしい、なんというか、料理もですね、ぜひ堪能していただきたいので、ぜひあの、日本に来る機会があれば、群馬県に立ち寄っていただいて、ぜひ日本の温泉旅館に一泊をしていただくということを最後にお願いし、今日、大臣とこうしてお話ができたのは、群馬県の台湾総会の皆さんのおかげなので、たいへんありがとうございました。そのことも感謝申し上げて、大体時間になったのでしょうか?最後に、大臣、一言いただければと思います。
大臣:知事、ありがとうございます。本当に対話を楽しみました。勿論、本当に、また海外旅行ができますので、ワクチンのおかげです。ぜひ日本に訪れたいと思います。今年が終わる前に訪れたいと思います。また、スケジュールは、我々の外務省が決定するんですけれども、勿論、お招きありがとうごぞいます。今年1回以上は訪れたいと思います。
知事:ありがとうございました。大臣、私にとってはたいへんゴージャスな時間でした。大臣からいろいろなお考えをいただいご、そのご示唆をですね、これからも、新型コロナ対策とか、群馬県の、その、より進化する民主主義とか、こういうことにシッカリ活用させていただけると思います。重ねて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
場内:(拍手)
司会:ありがとうございました。お時間となりましたので、タン大臣と山本知事の対談を終了させていただきます。山本知事はここで退席となります。
知事:どうも大臣、ありがとうございました。失礼いたします。
司会:ありがとうございました。
場内:(拍手)
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■ここで50分が経過しました。上記のやりとりをご覧いただけばお分かりのとおり、一太知事は、タン大臣のオーラに当てられたためかどうかは分かりませんが、重要な確言を幾つか発しています。赤色で着色しておきましたので、参考にしてください。
なお、以上のやりとりの文字起こしの内容に何か不都合な箇所があれば、ぜひご指摘ください。
このあと、タン大臣と群馬県の若者の皆さんとのトークセッションに続きます。
【群馬県台湾総会書記からの報告・この項つづく】
↑オンライン対談する山本知事(手前)と唐氏↑
**********上毛新聞2021年07月09日11:00
接種の加速にデジタル活用 知事と台湾担当相対談
デジタル技術でマスク不足を解消した立役者として知られる台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相と山本一太群馬県知事のオンライン対談が8日、県庁で開かれ、新型コロナウイルス対策などを巡って意見を交わした。
唐氏は台湾のワクチン接種予約システムを説明し、「接種の加速はデジタル技術で支援できる」と強調。山本知事がコロナ下で過密の少ない地方都市の再評価が進む現状を指摘すると、「オンライン会議の普及で地方都市は世界とつながり、国際舞台に発信できるようになった」と応じた。(西山健太郎)
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このイベントでは、タン大臣と一太知事との対談が50分間、そして、各高校を通じて申し込みがあった50名の高校生から抽選で決まった18名と大学生で応募のあった2名の合計20名の若者らとのトークセッションが40分間おこなわれました。
この動画は以下のYouTubeで見られますが、当会ではこの度、動画の音声から、やりとりの内容について、文字であらわすための作業を続けてきました。
https://www.youtube.com/watch?v=4U63BxS2d-g
7月18日までに作業の半分程度を終えましたが、ひょっとしたら群馬県で既に同様な作業を既に済ませているかもしれないと思い、同19日午前、県庁6階を訪れて秘書課に問いあわせた所、10階の地域外交課で同様な作業を進めていることが確認できましたが、まだ作業完了していないということで、当会の作業の進捗と同程度であることがわかりました。
音声データを聴いてみると分かるとおり、同時通訳の声がタン大臣の肉声にオーバーラップしているため、英語の音声がハッキリと聞き取れません。そのため、タン大臣の肉声がわかる英語の音声データの提供も、県に求めたところ、地域外交課の話として、秘書課と通じで分かったことは、タン大臣の事務所との約束で、群馬県として、YouTubeに、同様に英語バージョンの動画もアップすることになっていて、これも編集作業を経てから実施する予定だと言うことです。ただしその時期は未確定とのことでした。
■そのため、タン大臣の発言部分は同時通訳の音声データをもとに描き起こしてありますが、全体的に発言の趣旨はお分かりいただけると思います。それでは以下に、7月8日のオンライン対話の一部始終を文章で掲載しますので、ご確認ください。
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司会:只今より台湾、オードリー・タン大臣と群馬県山本一太知事とのオンライン対談を開催いたします。私は群馬県台湾総会ウタサトと申します。宜しくお願い致します。
場内:(拍手)
司会:はじめに、本日こちらの会場には多くの方が出席しているため、群馬県側は全員マスクを着用しておりますが、ご理解いただければ幸いです。それでは、県台湾総会を代表しタン大臣に謝意を申し上げたいと思います。(中国語挨拶)
簡単にさきほどの内容をちょっと日本語で説明させていただきます。タン大臣、お忙しい中にもかかわらず、私たちの要望に応えていただき、群馬県、そして群馬県の若者の皆さんのために、このような機会を与えてくださり、誠にありがとうございます。限られた1時間半ですが、おそらく参加者にとって大事なひと時になることでしょう。そして、今回の対話を通じて、新しい発想が芽生えてくるかもしれません。大いに期待したい、という内容でした。はい。
場内:(拍手)
司会:それでは、山本一太群馬県知事に進行をお願いしたいと思います。山本知事よろしくお願い致します。
知事:はい。えー、オードリー・タン大臣。初めまして。群馬県知事山本一太です。群馬県は、私のもとで昨年、新しい総合計画、群馬県の未来図である新しい総合計画をまとめました。その中で、群馬県の20年後の姿を描いたビジョンというものを発信いたしました。そのビジョンを一言で言うと、こういう文言で表現されています。「群馬県が20年後に目指す姿は、群馬県民すべての県民が、年齢、性別、宗教、国籍そして障害の有無等にかかわらず、誰一人取り残されることなく、それぞれが思い描く人生を生き、幸福を実感できる、自律分散型の社会」ということです。こういう理念を県で掲げた知事として、私が今世界で一番お話をしたい、いろいろと、お聞きをしたい、その一人がオードリー・タン大臣ということで、今日はですね。こうして大臣と対談をする機会をいただけたことを大変嬉しく思っておりますし、また、今や台湾のデジタル政策を牽引する世界的な注目を集めるオードリー・タン大臣と、こうしてお目にかかれる、いろんなお話ができる、ということを大変光栄に存じております。まず冒頭ですね、せっかくなのでタン大臣に、群馬県の簡単なご紹介をさせていただきたいというふうに思っています。私が知事を務めるこの群馬県は、いわゆる東京中心とする首都圏というところに位置しております。東京からは、新幹線で1時間弱の距離にありますが、東京に近いんですけれども、非常に雄大な自然に囲まれたとっても素晴らしいところです。とくに有名なのは温泉で、私のふるさとでもある草津温泉、伊香保温泉、水上温泉、四万温泉という4つの温泉郷があって、観光地としても大変賑わっている日本一の温泉県と言ってもいいと思います。さらに、農業も畜産業もとても盛んで、たとえばキャベツは全国一の生産量を誇っています。ものづくり産業も非常に盛んな場所です。同時に今ですね、日本政府も、そして、地方の政府もそうなんですけども、二週間後に控えた東京オリンピック、パラリンピックに向けて、とにかく新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための、この拡大を防ぐための様々な対策を講じています。残念ながら、なかなか今、東京の状況が厳しくて、今日政府が正式に、東京に4回目の緊急事態宣言を適用するという流れにはなっていますけれども、群馬県もこの中で様々な新型コロナ対策を講じてまいりました。幸いなことに、現時点で言うと、群馬県は、首都圏の中でも、ずば抜けて感染者数が少ない。感染率を低く抑えられております。ただ、東京の影響を受けやすいということもありますし、首都圏全体がですね、感染者リバウンドの状況に見舞われているので、なかなか油断はできないと、緊張感をもってですね、日々、知事として、県政を運営しているというところです。今日は大臣に最初にお聞きしたいことがあります。台湾がこの、COVID-19,新型コロナ対策において、やはり世界で最も成功した国家のひとつであるという、この事実は疑う余地がないという意味では思っています。タン大臣が打ち出したさまざまな斬新な政策、たとえばシビック、あのう、なんていうか、市民の力を活用したシビック・テクノロジー等々を駆使したマスク配布のですね、マップの開発とか、或いはデジタルを使ったさまざまな、なんていうか、発信のアイデアとか、私自身も大変勉強させていただいておりますし、日本を含む世界が台湾の実績から学ぶべきことは非常に多いというふうに思っています。このことを前提にですね。ご質問をしたいと思うんですけれども、その中でもですね、この5月、台湾で、ですね、感染の再拡大が発生をしました。これは、再拡大といっても、日本とかヨーロッパから比べればかなり低いレベルでありますけれども、5日間で1万人ぐらいの感染者が出たという状況になっています。タン大臣もですね、ずっとこう台湾のメディアをフォローしているんですけれども、たとえば、この間、確かですね、ワクチン接種の予約システムを作られたということもうかがってますし、これが台湾の国民の皆さんのカードとか、あるいは、その、保険証のカードとか、だけでも申し込むので申し込むのではなくて、もうちょっとスマホに弱い方々や弱者にも配慮してですね、もう、コンビニでも予約ができるようにしたと。こういう情報もいろいろと入ってきています。で、こういう状況の中、台湾で初めてコロナが始まってから本格的な再拡大があるという新しい状況の中で、タン大臣が、台湾政府がこれから、この状況にどうやって対応していくのか。勿論台湾はですね、タン大臣の、実は、この対談のまえに、書籍も何冊か読ましていただきましたし、大臣が各県の知事と行った対談とか、或いはIBMジャパンで基調講演されたのは全部昨日聞いてまいりましたので、勿論、台湾はですね、タン大臣を中心に進化を続ける民主主義、オープンガバメントを通してですね、この逆境を当然乗り越えてゆくというふうに確信をしておりますが、この新しい状況を、タン大臣がどう捉えておられるのか。そしてこの台湾が、おそらくCOVID-19が発生してから初めて直面したこの状況をですね、どんな戦略で乗り越えていこうとしておられるのか、さらには、大臣がですね、デジタル担当大臣としてずっと大事にしてこられた、いわゆる、その、政府と国民、政府と市民との信頼関係ですね。これは勿論、確固たるものがあると思いますが、今、蔡英文総統のワクチン、政策を巡って、台湾の国内でもいろんな意見や批判がでてきているということで、ある意味、この国民と市民、政府と市民、政府と国民とのこの信頼関係が試されているという、タイミングでもあるのかなと、いうふうに思っていますけども、そこら辺のことについて、タン大臣の考えをまず、群馬県知事として今県内の県民コロナ感染者を抑えて県民の命と健康を守るために、全力を尽くしている知事として、まずそこから、大臣のお考えをうかがえれば幸いでございます。
大臣:知事ありがとうございます。よろしいですか。聞こえますか、この機会をいただき、ありがとうございます。意見交換の機会をいただきました。まず、皆さまに対して、日本の人々、日本政府の、第2回目のワクチン、アストラゼネカのワクチンを寄付していただきありがとうございます。この2回分のワクチンの寄付がなければ、私は、個人的にも2回目の接種を受けることができませんでした。2回目の接種を受けましたので、ほんとにまた、あちこち行けることが出来ました。本当にありがとうございます。日本からのワクチン、そして米国、そして寄付をいただきましたわけなんですが、アストラゼネカとモデルナのワクチンの出荷が、また我々のところにきているのですけれども、1週間に100万回の接種が行われております。つまりは、我々のアクチン接種のスケジュールが加速しております。それが可能になっているのは、直近に第1波、これがほんとうに台湾において最初の第1波ですね。今、足元、今日なんですが、18人の感染者です。さほど高い率ではありません。でも1か月前のそのピークを覚えていますので、ほんとうにまだ記憶に新しいわけです。ですので、記録的な数でワクチンの接種を受けております。1回目の接種の時は、4月半ばだったのですけど、友人ですとか家族に「ワクチンを受けてください」と説得しなければいけませんでした。ほんとに私の言葉を聞きはしませんでした。まあ、台湾は本当に、市中感染がなかったわけですので、ワクチンを受けるなんてちょっと変わっているなと思われていたわけです。でも、こうやって2回受けて、海外にも、台北市内ですね。でもその、まあ3か月ですけど、台湾人の生活に非常に大きな変化がありました。ワクチンの接種が加速するには、我々の戦略の上で重要なのは、これはデジタルテクノロジーで支援ができることだと思います。これを世界中で見たわけですけれども、ひとびと違う、ワクチンの種類ですが、好まれる種類として、台湾では、モデルナが、アストラゼネカよりもいいと言う人もいます。でもアストラゼネカのほうがモデルナよりいいと言う人もいるわけです。デジタルテクノロジーにおいて非常に幅広い調査、アンケートをしました。本当に今日が正式なキックオフだったんですけれども、台湾の人全員に対するアンケートですね。まず、50歳以上のかたが、リスクの高い人たちなのでワクチンを受けるわけです。ですがただいまで、50歳以上のひと。もしくはまあ、基礎疾患でリスクがある人々、このふたつのグループの人たちに対してアンケートを取りました。どちらがいいですか、モデルナですか、アストラゼネカですか、それとも、どちらでもいいですか、ときくわけです。それで何百万の回答がくるわけで、それは携帯電話の番号があって、で、どこの県でワクチンを接種したいのかと、いうことで答えが入ってくるわけです。そして、日本からの寄附を頂いてその数週間、その在庫が分かるわけですね。例えば、アストラゼネカを受けたいという人に対してそれを摂取できるわけです。例えば160万のワクチンの数があると、ぴったりそれを出荷して、そして、アストラゼネカが欲しいと言った人たちに対して、それをきちんと出荷できるわけです。ですので、この人たちが接種に来るんだな、ということでムダにならないわけです。そして、急にキャンセルが有ったり、急にやめたりということがないわけです。本当に接種を受けたいという人が来るのできちんと接種ができる。この需要のアンケートを取ることによって、実際にワクチンのどの種類がほしいのかということは、このアンケートがとれて我々のワクチンの接種回数を加速することが今後できると思います。
知事:ありがとうございます。やはり、これは台湾の制度もそうだと思いますが、特にオードリー・タン大臣がですね、台湾のデジタル化というものをかなり加速させたということがあるのですが、例えばVガバメントとかですね、ジョインとか、いわゆるその、国民の声を直接吸い上げる仕組み、それから政府の方から直接数多くの国民に届ける。そういうその、デジタルの仕組みを作っていくというところがあらためて台湾の強みであり、タン大臣のですね、やっぱり、すごいところだな、ということを感じました。なかなかまだ群馬県はデジタル後進県だったものですから、私になってから一生懸命デジタル化を加速しているんですが、やはりタン大臣がいつもおっしゃっているように、インターネット、デジタルというものは、間接民主主義の弱点を補うと。つまり大勢の人たちが、タン大臣がよく「傾聴」とおっしゃってますけど、意見にしっかりと耳を傾けるためのツールとして非常に有効だという話をですね、ご著書のなかで読んだんですが、群馬県としても少し、タン大臣がずってやっているように、こうしたデータ分析ができる仕組みを、シッカリ我々もつくっていこうと、今の話をうかがいながら思いました。あの、そこで台湾の政策については、お聞きしたいことも山ほどあるのですけれども、時間も限られていますので、ちょっと次のトピックにいかせていただきます。あのう、タン大臣、私は群馬県知事になる前に、24年間、与党自民党の国会議員を務めておりました。で、第2次安倍政権では、内閣の特命担当大臣を経験して、その時には、ITとか科学技術の、実は担当もやっておりました。で、あのう、国会議員の仕事はですね、これも今、タン大臣が、日本で言う閣僚としてご活躍をしているので、よくお分かりと思うんですけども、国会議員の仕事は、やはり一言で言うと、ルールメーカーともいうべきものであり、法律を作る、制度を作る、これはものすごく大事なことだとうふうに思っていす。で、20何年間か国会議員を経験して群馬県知事になったわけなんですけれども、まあ、知事はですね、あの、大臣ご存知のように「ガバナー」ということで、まあ、議院内閣制ではなくて、県政というものは大統領制に近いので、知事は知事として、国会議員のときは、ルールメーカーのひとりだという意識だけども、知事はいわば現場のプレーヤーの代表という感覚があってですね、まあ、同じ地域で頑張っている私もここで生まれたんですが、県民の代表をして仕事ができるという醍醐味みとか、やりがいもですね、大変感じているところなんですね。その中でタン大臣、あらためて思うことはですね、いかなる状況であろうとも国であろうと地方であろうと、一番大事なことは教育だということなんです。で、実はあのう、群馬県でもですね、さまざまな教育イノベーションを進めています。タン大臣がですね、やはりイノベーションの基礎というのは、これは耐容の精神と、インクルージョンであると。すなわち、誰も取り残さずに、やっぱり、しっかり皆に参加してもらうということだとおっしゃっているんですが、群馬県もそういう精神のもとで今、一生懸命教育イノベーションを進めています。そこで実は、群馬県はですね、これからの時代に育てたい人材ということで、こういうコンセプトを建てました。「始動人」というのですが、これやっぱり、日本の台湾の共通のところで、漢字を見ればすぐにタン大臣に分かっていただけると思うんですけども、「始めて動く人」と書きます。これ、始動人というのはどういうものかと言いますとね、戦後日本が、いわゆるその戦後の成長時代にですね、大量消費、大量生産の時代があったわけなんですけれども、この時代はやはり皆と同じ方向を向いて狂騒する人にスポットが当たっていたと思うんです。例えば、いい大学に入るとか、或いは大きな企業に入るとか、こういうところの競争で秀でた人たちにスポットライトが当たっていたと思うんですが、やなり群馬県が考えているのはですね、今、これだけ変化の激しい時代、明確な答えがない、人の価値観もものすごく多様化している中で言うと、そういう皆が同じ方向を目指していく中での競争ではなくて、自分の頭で生き抜く力、例えば今迄、人が目指していなかった領域を目指して歩き出す力、そういう勇気を持っている人、これを始動人というふうに呼んで、こういう人が生まれやすい環境を作りたいと、そのためにはタン大臣と全く同じ感覚なんですけど、寛容性、そして多様性を受けられる、やっぱり、教育が大事だと思っているんですが、あのう、まずタン大臣にこの考え方についてどう思われるのかということと、タン大臣がご覧になってですね、このデジタルイノベーションの時代に求められる人材の姿、いわゆるこれから若者、子ども達も若者達もそうなんですが身につけておくべき素養と言うものはどんなものがあるとお考えになっているでしょうか?
大臣:ありがとうございます。私も強くイニシアチブをとることを信じております。カナダのシンガーソングライターのレオナルド・コーエンですけども、どんなものにも、ヒビがあると。そのヒビから光が入って来るんですね。ですので、ヒビというものが悪いのではなくてヒビに感謝するわけですね。これをチャンスと見るわけです。そして、イニシアチブをとって新しいアイデアを、これを採り入れるわけです。また、同時にダイバーシティ(多様性)というものが、もし、人々が誰の立場もとること、学ぶことが、一番よいと思います。どちら側に立つではなくて、違う立場の人たちを同時にみる、理解することですね。価値は今、多元的です。たとえば、経済的な発展も、それも重要だと言う人もいるでしょう。でも、地球全体をまた環境を非常に気にする人がいます。また、社会的な平等性、ということが、40年前よりも、非常にやっぱり重要性を帯びてきています。ですので、このような多様な見方があるので、そして、イノベーションを誰も取り残さない、どの価値も取り残さないということが重要です。人を取り残すのではなくて、たとえばアイデアを推進する、例えば循環景気で、例えば、古いジーンズからファッショナブルな衣類を作る。これは経済的にも環境的にもいいわけですね。そして、それをまた仕事にする人にとって、世界的平等性が維持されるわけです。これが、こっちかあっちかではなくて、我々は常に、すべての(SDGsの目標である)17の価値というものを、持続可能性に取り込むということが大事だというふうに思っております。
知事:ありがとうございます。あのう、タン大臣が多様性というキーワードをおっしゃったんですけども、群馬県はですね、私が知事になっていくつかのベクトル、新しい機軸を打ち出しておりますけれども、その中に、えー、多文化共生・競争、ともに作るというコンセプトがあります。たとえば今、群馬県にはですね、ここで住んでいろんな場所で働いておられる外国籍のかたがたが大体3%くらいいるんですけども、こうした方々のことを私は外国籍の住民ではなくて、「外国人県民」と呼んでいるんですね。そして群馬県を発展させていくためには、いつも大臣がおっしゃっているとおり、やっぱり、多様な価値観を持った人々が集まることが大事だと。我々は、この外国籍の県民の皆様も仲間として協力をして、群馬県を発展させていくべきだというふうに思っていまして、群馬県はですね、この多文化共生・競争というコンセプトを、とくに外国人の方が群馬県にというか、全国に増えてきている時代の中では、初めて47都道府県に先駆けて、これを推進する条例も作りました。やはり大臣がいつもおっしゃっているように、同じ、なんていうか、考えを持った人たちが行政の中に来たら結局同じものしか生まれないので、いろんな、世の中には人がいると。大臣が常に「傾聴」というお言葉を使いますけれども、自分と違う意見の人にも耳を傾けて、やっぱり世の中にはこういう普遍的な価値があるとか、こういう見方もあるんだということを考えながら、やっぱり、進んでいくことが、タン大臣のおっしゃるインクルージョン、すべての人たちに参加をしてもらって、政治をつくっていくということにですね、繋がるんじゃないかということを、今あらためて、感じました。大臣、これも何度もいろんなところでお聞きされているんですけれども、この多文化共生というコンセプトを、なかなか、保守的な、群馬県で、進めていくというのは、なかなか大変なことで、このコンセプトをまとめる時も、なかなか最初は理解していただけない方もいたので、知事が県内中、すっと行脚しながら、ワークショップみたいなものをやりながら、何とかこの計画を県議会にも認めてもらったのですが、大臣から見て多文化共生の社会をつくるためのカギって、いろいろあると思うんですけれども、一番大事なことを一言で言うとなんでしょう?
大臣:はい、一番重要なことは、楽しいということですね。これはあまり、いわゆる公共サービスではあまり強調されないのですが、この社会イノベーションの別の柱、ファスト、フェア、ファン。早く、公平で、楽しいという事ですね。われわれ公共部門で働くと、効率性、平等、非常に重要ですね。しかし、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに活発な議論、会話をするということ。無限のイマジネーション、クリエイティビティ、アート、芸術、デザイン。これらがまあ、足りないみたいです。ほんとうに、パブリック・ヒヤリングとかしてみると、そういうものが足りないように思います。ですので、過去4、5年の私の考え方は、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに心が軽くなるような楽しさ、というものが公共サービスに紹介することです。ですので、私のイメージは、日本人のラップのかたがたがリミックス(注;複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の一つ)をしてくれますね。まあ、ヒップホップで、リミックスをしてくれますよね、日本の方も。そして台湾の人たちもそういったリミックスをしてくれます。ですので、ただ単に、そのことの魅力だけでは無くて、それがどのくらい、それがアクセスしやすいのか。例えば、何かに集中するという意味では、例えば台湾では総統杯ハッカソン(注:hack(ハック)+marathon(マラソン)からの造語で、ソフトウエア開発者が、一定期間集中的にプログラムの開発やサービスの考案などの共同作業を行い、その技能やアイデアを競う催しのこと)というイベントがあるので、そういったことに、楽しさをもって参加すると、普通ではないような、何か楽しいことが起こるのではないかなと期待が高まり、そして、これを話題に乗せる。そして社会的にこれが改善につながるわけです。たとえばジョイントフォームでは、これは、アピールがあったわけですね。台湾のタイムゾーンはGMT(グリニッジ標準時)プラス9。それを「日本と一緒の時間帯にしろ」というようなアピールがあったわけです。ですので、それでも、その反対する反動として、今の時間ゾーンでいいんだと。これはちょっとふざけているようなんですけれども、でもほんとに皆が意見をオープン言うことの証左だと思うんです。この2つの、訴えの言い続けた人たちを同じ部屋に入れて、そして競争を促したんですね。そして両方が、人権として、デジタル民主主義というものを世界に拡げようと、そちらの方が国際な舞台では重要だろうと。そのタイムゾーンを変えるだけでなく、勿論それはニュースになるんですけれども、もしかしたら悪い意味かもしれませんね。それでも、そんなことになっても、それぞれ2日しか持たないわけです。ですので、両者は「台湾をより世界政治に上げよう」と、もともとのアイデアではなくて、その、タイムゾーンを変えるというだけではないわけですね。ですので、このように楽しくやっているんですよと。まあ、競争が魅力、非常に違う立場でも共通の視点が、これが適用され競争できるわけです。
知事:ありがとうございます。私の問いは多文化共生・競争を進めていくうえで、えー、カギとなるものは何かということに関してですね、タン大臣が「楽しいことだ」と。これはとても日本語でいうと目から鱗でした。やっぱり人間は楽しいとみんなが参加しやすい。楽しい事にならないと共鳴を覚えないということなんだろうなと思います。そこで、今の大臣のこの「楽しい」という言葉から、ちょっと次の質問に移っていきたいと思います。やはり、タン大臣が世界的に注目された理由のひとつはですね、やっぱりデジタル時代のコミュニケーション能力ということだと思うんです。とくに、そのパンデミックのような危機的な状況に置かれた時には、行政としては、やはりあのう、市民とか国民とのリスクコミュニケーションというものがすごく大事になってくるわけですよね。で、例えばデジタルは、これは大臣には釈迦に説法ですけれども、インターネットにも光と影があって、大臣が著書でお書きになっているように、デジタル民主主義にも、いいところばかりでなくて課題もあるということだと思うんですけれども、例えば群馬県はですねインターネット上の誹謗中傷で被害を受けた方々を、支援をするという条例を47都道府県ではじめて実は、先般、制定をさせていただきました。で、インターネットの情報というのは、勿論玉石混交で、人を傷つけるような、ものもあるということで、普通の為政者だったら何を考えるかと言うと、そういうことを取り締まっていこうと、むしろ、そういうなんて言うのでしょうか、発信がないように、罰則を強めていこうみたいな発想をするところ、ですね、やっぱりタン大臣が、おっしゃった、ほんとの名言だと思うんですけれども、あのう、「Humor Over Rumor」というね。つまりデマに対抗するのはユーモアであると。で、こういう形でやっぱりデジタルから、いわゆるデジタルを使っている方へのメッセージ、使うのに、ユーモアを使っていると、あのう、私も、ハッキリ覚えていないですが、たしか、日本の柴犬のチャイとかチャンとかいうイヌを使ってですね、たしかなんか、手を洗おうという運動だったかマスクだったか、あれ見たらみんなやっぱりすごく嬉しくて、なんか面白いねと言って友達とシェアすると思うんですよね。で、大臣に聞きたいのはそういうあのう、エピソードは、タン大臣、沢山あるのですけれども、政策のなかで。デジタル自体のコミュニケーション、どうやったら、まあ、あのう我々が目指す、台湾はこれを実現しているわけなんですが、行政と市民、国民の間の、信頼関係を作るための情報発信ができるんでしょうか?
大臣:そして、信頼を得るためには、信頼をすることです。ですので、公務員に対しまして、人々を…国民を信じなさいと、もしかして信じ返さないかもしれないですけれども、まず我々の方で国民を信じることです。どのような資質をみせるかということなのか、我々は透明性、透明にするわけです。あのう、たとえばロビーイストですとか、ジャーナリストとの、私のミーティングは全て記録して、それが議事録、そのビデオをすべてオンラインに公開します。ですので、私のYouTubeチャンネルをフォローしていると、実際に私の生活、私の仕事を、リアルタイムで見られるわけです。そしてジャーナリストが質問をすると、ジャーナリストのほうで、人々のそういった知識に貢献しているので、コンテキスト、文脈からそれをとりださないわけでう。すでに出版したテキストがあるわけなので。ロビーイストは私が信頼しているということを見るわけです。もしか、カメラとかテーブレコーダーを指して、これが皆様の将来世代の時計ですと、いうわけです。見ているわけですよと。ですので、未来の世代のためのことしか我々は議論するわけですね。短期的なことではなくて長期的なことを議論するわけです。ですので、その、競争ということがこれに繋がるわけです。また同時に、こうやって見せることによって、我々の世界がどのように影響があるのか、それを前向きに捉えてくれると思います。それが非常に劇的な透明性ということを私は主張しているわけです。その持続的な成長に対して、ロビーイストがその反対の議論したものがありません。全部、公開されてしまうので、彼らにとってもそれはまずいわけですね。ですので、このようなことが、ほんとに、公開する、透明性ということが非常に重要です。ですので、対話というものが促進されて、そして、その根底に信頼があるわけです。また、二人ですから、公開されないような議論だとこの二人にしか信頼関係が無いわけですけれども、こういった形ですと、みんなに信頼が醸成されるわけです。
知事:ありがとうございます。今、大臣の方から行政の市民、まあ、あのう、政府と国民と言ってもいいと思うんですけども、その信頼関係を作るための最初のカギは、まずこちらから、行政が国民や市民を、県民と言う方があるかもしれませんが、信用しなければいけないという話があったのと、あるいはすべてのやりとりは、やはりオープンにする。まさにオープンガバメントで、これを公開することによって信頼関係の基礎が築けるということですね。あらためて気付かされた感じがします。で、大臣、もう一つ、少しまた別の話題のほうに行きたいと思うんですが、大臣が、あのう、将来世代ということをよくこう、今もおっしゃっているんですけれども、今日はですね、私と大臣とのこの対談のあとにですね、群馬県の若者、高校生、大学生とかですね、タン大臣といろいろ意見交換していただけるということで、大変ありがたいと思っているのですが、実は、私はですね、このタン大臣が発明したのか、もともと台湾にそういう制度があったのか分かりませんが、私は台湾の制度で、ぜひ群馬県に取り入れたいというものがあります。それは大臣がいろいろな講演でもおっしゃっているんですが、「リバースメンター」という制度です。これはつまり、普通はだいたい人生経験のある大人がですね、子どもにメンターをする。つまり家庭教師ではないですが、いろいろ教えたり導いたりすると。このリバースメンターというのは逆で、むしろ若い人たちが、年配の人たちにアドバイスをする。これを指導するという考え方ですよね。で、大臣の著書を拝見してすごく面白いなと思ったのは、これからのデジタルフォーメーションのカギは、いわゆるデジタルネイティブが握っていると。つまりデジタルをものすごく自然に使いこなせる若い世代が主役になるんだということが書いてあるんですね。タン大臣、私は63歳で、年よりもなんか子どもっぽく見えると言われるのですが、63歳なんですね。で、私が今の実は、政府からリクルートしてきた、えー、若い副知事は、タン大臣と同じくらいの世代で、勿論ITとかAIとか、最先端のことにとっても詳しい人なのですが、タン大臣とか、私が、あのう、経済産業省から引き抜いたというか、お願いして来てもらったオルガ副知事の世代。この人たちを、タン大臣はですね、デジタルネイティブではないと。どっちかというとデジタル移民だというふうにおっしゃっていて、実はデジタルネイティブはきょう来られている高校生、大学生だと思うんですけれども、ほんとうに15,16歳くらいから下の人たちなんだと。で、この人たちはデジタル先住民であると。この言葉、すごく面白いと思ってですね、タン大臣自身の、あのう、まあ、立法院というか、まあ、日本の国会にあたる大臣をやっておられる時にも、あのう、いわゆるリバースメンターをやっておられたということで、私も若いアドバイザーがいるんですが、あの、大臣がおっしゃっているように、例えば高校生のリバースメンターを知事が持って、今、高校生のなかで流行っているアプリとか、まあ、そのいわゆる高校生ならではのクリエイティビティみたいなものを学ぶ制度ですね。日本で初めて、ちょっと、採用しようと思うんですけれども、いかがでしょうか?この考えについてどう思うのかということと、このリバースメンター制度がいかに台湾の政治に活力を与えているところについて、少しご説明をいただけると有難いです。
大臣:私もリバースメンターでした。ま、このオフィスを与えていらした大臣もリバースメンターでした。私が、そのリバースメンターからこういった仕事をしているわけなんですけれども、テクノ大臣だったんですも、常にしていたのが、彼女は、若い人と、私は若い人と捉えていなくて、サイバー空間で成熟した人間だとみている。でも、私自身もデジタル移民ですね。インターネットに、1993年に移民をしたわけです。でも、ここにいらっしゃる皆さんは、ほんとうの真のデジタルネイティブの皆さんです。ですので、リバースメンターがいわゆる上級官僚として働くときは、すべての可能性を示すことです。なるべくたくさんの、もっとクレージーなアイデアを示すということですね。というのも、上にいる人、私も40でだいぶ年を取りましたね。もう、若者ではありませんね。ですので、私のような年上の人間は、既にいいソルーション、いい答えをしているわけで、そういった訓練を受けたわけで経験もあります。でも、この経験こそが、本当にクレージーなことを考えることの阻害要因になるわけですね。本当に経験のない方が、いいアイデアが出る場合もあるわけです。ですので、若い人々は、信頼されるべきです。本当にクレージーで良いのだと。不可能なことを提案してもいいんだと。そして我々、年上の人間として、そして何かリソースが必要ならば、それを十分に、それの実現可能性というものを実験するリソースを与えることです。例えば、いわゆる、これは無理だ無理だ、というような役割をとるのではなく、我々としては、リソースを提供する人間でなければいけません。若い人々は、我々のサービスを調達して、アイデアは不可能だね、不可能に見えるね、でもこれと、これと、これがあれば、より可能性が高まるるのではないか。で、リソースをどのように提供するか考えてみようと。若い人はリソースがないわけですので、我々の方でリソースを提供して、そして、クレージーな考えを実現する、もしくは、失敗しても、そこから学びがあるわけですので。
知事:ありがとうございます。今日のタン大臣のお話をきいて、群馬県もですね、えー、知事のリバースメンター、つくろうかな、と本気で思っています。クレージーな考え方をもった高校生を周りに集めて、とてもできそうもないアイデアを言ってもらうと。できそうもないと言ってはいけないんだけど、大臣がおっしゃったように、やはり長い間国会議員を経験し、知事をやっていると、どうしても考え方が狭くなってきたり、なんというのでしょうか、柔軟な発想ができなくなってきていると思うので、今日せっかく大臣から良いご示唆もいただいたので、ちょっと、知事の高校生アドバイザー、メンターグループをつくることをですね、真剣に考えてみたいと思います。ありがとうございます。そこで、だんだん時間が無くなってきてしまいまして、もうタン大臣と話したいことは山ほどあるんですが、今日どうしてもお話ししたいことはですね、大臣、今回のコロナ禍、新型コロナが日本にもたらした変化のうちの一つにですね。いわゆる地方、田舎の価値の再定義というのがありました。コロナが起こる前は、やはりすべてこう、大都会、東京中心で、たとえば、その、経済もですね、人を一杯集めて、まあ、ある意味で言うと密ができると。その中から収益を生み出すみたいなビジネスモデルだったのが、例えば東京の満員電車。コロナ感染のリスク、すごく高まりますよね。そういう価値観じゃなくて、むしろ、例えば群馬県のような、東京に近くても、自然が豊かで、いわゆるあのう、こう、広いスペースが有る。こういうところが、実は新しいビジネスモデルの中心になるのではないかというふうに思っているんです。で、大臣が著書の中で例えば5Gのような、新しい、なんというんでしょうか、あのう、システムは、むしろ中央ではなくて地方から定着させるべきだと、いうふうにおっしゃっているんですが、ここで、大臣どう考えているのでしょうか?このコロナ禍がつくってきたものはですね、まあ、もうちょっと大げさに言うとGDP中心の経済成長みたいな考え方、まあもちろん、勿論、経済事情、大事なんですがでも、もうちょっと違った価値観を持ったビジネスモデル、生き方があってもいいのではないかと思っているんです。その中で地方の役割、チャンスというものが、あのう、大きくなっていると思うんですけれど、その辺は大臣、どういうふうにお考えでしょうか?
大臣:もちろんそう思います。台湾では、一緒に進歩というものが、人権だと。過去、コロナのせいで、このことがやはり、理解が出来ました。前は国際会議ですとか開くと、たとえば、空港の近くですか、タイペイですか、そういう大都市で国際会議を開こうと思うわけですね。でも、これがいわゆる、その、まあ、空港の遠いところは、その高速鉄道があるんですけれども、例えば、高速鉄道であればそんなに遠くないんですけれども、でも、例えば、国際会議にはそういった地方都市は開かれないわけです。でも、コロナの中ではこうやって、バーチャルで国際会議は当たり前になりましたよね。そして、どこにいようと、我々がいいブロードバンドの接続さえあれば、ほんとうに、はっきりとお互いの顔が見えますよね。そして例えば、ローカルの問題を、そのローカルの人々を、そして地域の人々を国際的にこれを提供することができるわけですね。高速鉄道、そして高速道路は、都市と都市を繋げるだけですけれども、インターネットは、都市を世界とつなげて、世界が皆さんのお隣さんになるわけです。まああのう、時差とか、眠る時間とか、それはちょっと関係しますけれども。でも、この地方都市が、はっきりと、まさに、はっきり言っていただきました。まあ、どのような問題があるのか、例えば持続的な成長のゴールがあるんだということを、ハッキリこれが発言できれば、今、我々の通訳ですとか、それで会議があって、それを世界中に発信できるわけです。そしてほんとうに、国際舞台に対しても、いろいろ発信できるわけです。これはコロナ後でも、これは続くと思います。本当にインフルエンザみたいになったとしても、こういった傾向が続くと思います。この国際的なつながりというものが続きます。そして、私が、いろいろ飛び回るようなことになっても、私がアイデアも、あと、皆様のアイデア、若い方々のアイデア、たとえば、みんなアイデアがこれが一緒のところにあるわけです。どれほど東京から時間がかかるか、ということは関係ありません。アイデアのおかげで近くなるわけです。このようなつながりで近くなるわけです。
知事:ありがとうございました。今の私の質問に対して大変いいご示唆を頂きました。あのう実は、今言った地域がですね、このコロナ禍で新たな価値を出現しつつあるという点で、群馬県はこの「快疎(かいそ)」という言葉をつくって、これも漢字そのものですが、快い疎、スペースがある、空間があるということで、何となく、こう、なんというのでしょうか、単に空間が広いというだけじゃなくて、そこに何か、その地域独自の魅力があって、人を引き付けるものをやって、その空間にいることによって、より精神的、まあ、肉体的にもより安定した状況になれるというようなところ、目指していることだけちょっとご紹介させていただきたいと思います。あの、大臣、この後もですね。実は群馬県の教育イノベーションについて、大臣が著書の中でもおっしゃっていたとおり、大学でどの科目を、たとえば、選んだらいいかと相談された時に、本当にやりたいことが見つかるまでは大学に行かなくていいんじゃないか、というお話をされていたことも、実はすごく共鳴してですね、その話もちょっと、きょうはうかがいたかったのですが、この後おそらく、若い人たちとのコミュニケーションの中でいろいろお話もされるというふうに思います。あと2分とかいうのが出ているんですのでが、最後に申し上げたいのですが、大臣は、いまも世界中で引っ張りだこで、あちこち飛び回っておられると思います。でも、大臣のインタビューとか著作をきくと、まあ、日台関係についても、非常に大切に思っていただいているということが分かるし、大臣のご両親のお話からもですね、やっぱり台湾と日本の強い絆みたいなものを感じます。あのう、お父様がクリティカルシンキングを教えられ、お母さんからクリエイティブシンキングを学ばれた。本当にすてきなご家庭だったんだなと思うんですけれども、あの、大臣がですね、日本にまた来られる時、お忙しいと思いますが、東京から近いですから、とにかく。少しでも群馬県に立ち寄っていただいて、是非ですね、群馬県のですね、温泉に入っていただきたいと思います。その時は私も大臣に同席させていただいて、まあ4つの温泉はそれぞれ特徴があって、効能も違いますし、あのう、群馬県のそのう、おいしい、なんというか、料理もですね、ぜひ堪能していただきたいので、ぜひあの、日本に来る機会があれば、群馬県に立ち寄っていただいて、ぜひ日本の温泉旅館に一泊をしていただくということを最後にお願いし、今日、大臣とこうしてお話ができたのは、群馬県の台湾総会の皆さんのおかげなので、たいへんありがとうございました。そのことも感謝申し上げて、大体時間になったのでしょうか?最後に、大臣、一言いただければと思います。
大臣:知事、ありがとうございます。本当に対話を楽しみました。勿論、本当に、また海外旅行ができますので、ワクチンのおかげです。ぜひ日本に訪れたいと思います。今年が終わる前に訪れたいと思います。また、スケジュールは、我々の外務省が決定するんですけれども、勿論、お招きありがとうごぞいます。今年1回以上は訪れたいと思います。
知事:ありがとうございました。大臣、私にとってはたいへんゴージャスな時間でした。大臣からいろいろなお考えをいただいご、そのご示唆をですね、これからも、新型コロナ対策とか、群馬県の、その、より進化する民主主義とか、こういうことにシッカリ活用させていただけると思います。重ねて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
場内:(拍手)
司会:ありがとうございました。お時間となりましたので、タン大臣と山本知事の対談を終了させていただきます。山本知事はここで退席となります。
知事:どうも大臣、ありがとうございました。失礼いたします。
司会:ありがとうございました。
場内:(拍手)
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■ここで50分が経過しました。上記のやりとりをご覧いただけばお分かりのとおり、一太知事は、タン大臣のオーラに当てられたためかどうかは分かりませんが、重要な確言を幾つか発しています。赤色で着色しておきましたので、参考にしてください。
なお、以上のやりとりの文字起こしの内容に何か不都合な箇所があれば、ぜひご指摘ください。
このあと、タン大臣と群馬県の若者の皆さんとのトークセッションに続きます。
【群馬県台湾総会書記からの報告・この項つづく】