当会が、群馬県が整備を進める高崎渋川バイパスに岡田工務店が不法投棄した“鉛ヒ素入りスラグ”を指摘してから何か月経過したでしょうか?やっと毎日新聞が取り上げ、8月10日にはテレビ各社が後追いで大々的に報道するに及びました。(株)佐藤建設工業が群馬県中にばら撒いた大同スラグを含めスラグというものは有毒なものが多く大変危険です。NHKの報道ぶりを見ていきましょう。
**********NHK NEWS WEB 2019年8月10日 13時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190810/k10012030961000.html
東邦亜鉛 有害金属くずを転売 庭や公園などで使用 群馬
群馬県安中市にある亜鉛の製錬所から出た、国の環境基準を超える鉛やヒ素が含まれた金属製のくずが転売されて、住宅の庭などの砂利として使われていたことが分かり、製錬所を運営している会社は、住民などに謝罪するとともに、回収や撤去を進めることにしています。
この製錬所を運営しているのは、東証1部上場の東京の金属メーカー「東邦亜鉛」です。
会社側の説明によりますと、東邦亜鉛は、群馬県安中市にある亜鉛の製錬所から出た「スラグ」と呼ばれる金属製のくずを、道路の舗装の材料として使う条件で複数の土建業者に販売していましたが、
この中には、土壌汚染対策法で定められた環境基準の最大で約100倍の鉛や、数倍程度のヒ素が含まれていたということです。
会社が内部調査を行ったところ、このうち、
別の建設会社に転売された「スラグ」が県内の住宅の庭や公園の駐車場など、少なくとも数十か所に砂利として使われていたことが分かったということで、
会社は、ホームページで住民などに謝罪するとともに、約70億円かけて回収や撤去を進めることにしています。
東邦亜鉛総務部は「地域の皆様の不安を解消することを最優先に対応し、
信頼回復に真摯(しんし)に努めていきたい」とコメントしています。
**********
■NHKの報道では、東邦亜鉛の「地域の皆様の不安を解消することを最優先に対応し、信頼回復に真摯(しんし)に努めていきたい」というコメントを紹介し、円満な解決に向かうかのような印象を与える報道となっています。
しかし東邦亜鉛という会社は過去にカドミウム汚染を安中市の工場周辺にまき散らし、安中公害(鉱害とも言う)の加害企業として、地元に多大な損害を与え、いまだに安中製錬所周辺の北野殿地区、岩井地区の畑地土壌はカドミウムや亜鉛、鉛などの重金属汚染の被害を受けたままとなっています。
筆者の住む北野殿地区では、井戸水が重金属汚染で飲めなくなり、水道水を使うしかありません。しかし行政は、井戸水を使っている住民はいないから、直ちに東邦亜鉛安中製錬所から排出される重金属による生活環境面での影響はない、という見方をします。
東邦亜鉛は、1937年当時、日本亜鉛精錬という社名でしたが、地元進出に際して住民には「兵隊さんの命を守るヘルメット用の高度鋼(こうどこう)を作る会社だ」とウソをついて安心させましたが、いざ工場が稼働すると直ちに看板を掛けかえました。戦時中の1941年に東邦亜鉛という現在の社名に変更しました。こうした騙し討ちに、地元では今でも東邦亜鉛安中製錬所のことを年配者は「こうどこう」と呼んでいます。
■安中製錬所から排出される重金属を含む降下ばいじんと排水の影響で、周辺や下流の水田が土壌汚染されたため、1970年12月に制定された「農用地の土壌汚染防止等に関する法律」に基づいて、群馬県が対象地域を指定し、1972年から4カ年にわたって土壌改良事業(対象地面積約130ヘクタール)が被害地で行われました。
その際、東邦亜鉛が全体費用の約5%に当たる約6億1000万円を負担し、残りの約25%が県の負担(一部は国負担)となりました。本来、全額を加害企業が負担するはずですが、東邦亜鉛の政治力がここでも発揮されたことがわかります。
同社の政治力はその後の裁判でもいかんなく発揮されました。東邦亜鉛が東電とグルになり、地元住民に内緒で変電所を増設し、送電鉄塔を建設し、電解工場を新設しようとしたことなど、あまりにも横暴な東邦亜鉛に対して、地元で反対運動が巻き起こり、養蚕被害や汚染米に苦しめられていた地元農民らは1972年に提訴しましたが、政治力に弱い裁判所の理不尽な仕打ちを受けながらも、不屈の精神で公害闘争を戦い抜きました。こうした経緯はWikipediaの「安中公害訴訟」を参照ください。
※参考「安中公害訴訟」URL ⇒
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%B8%AD%E5%85%AC%E5%AE%B3%E8%A8%B4%E8%A8%9F
そして、1986年に東邦亜鉛が責任を認め、付近農民らに4億5000万円を賠償する形で和解が成立し、公害防止協定も締結され、1986年9月22日、東邦亜鉛が住民らに4億5000万円を支払うことで、和解が成立しました。同日、「安中製錬所の公害防止に関する協定書」が成立し、協定に含まれていた住民らによる立ち入り調査は、1987年4月26日に第1回が行われました。
その後、1991年4月14日に旧公害防止協定を解消し、期限を3年とする新協定が東邦亜鉛と地元住民による安中緑の大地を守る会との間で締結されました。この協定は、同じ内容のまま1994年、1997年、2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年とそれぞれ3年を期限として延長されて、現在に至っています。今年も4月6日(土)に第28回目の工場視察会が開かれました。
〇2019年4月12日:東邦亜鉛安中製錬所で4月6日に開催された第28回工場視察会で分かってきた「K砕」の正体の傾向と対策↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2931.html
この日の東邦亜鉛の対応ぶりや、スラグ問題発覚当時、当会が持ち込んだスラグの分析について「なぜこのスラグが当社排出のスラグというのか?その証拠を示せ」と、頑なに分析を拒んだ同社の当会に対する対応や姿勢は、公害の加害企業として名を馳せた1970年代から1980年代当時と比べても、少しも色褪せていません。土壌汚染、大気・水質汚染のかた ちをとった安中公害の和解の合意から33年を経てもなお、未だに和解の合意を履行し終えていない状況を行政に押し付けて平然としている様子を見るにつけ、決して信頼回復に努めようとしない同社の本質的な対応ぶりをみせています。
■当会ではこの問題は、このままでは済まず、今後も第2、第3の報道がなされるような気がしています。その報道を“期待”しながら待つとして、この公害企業による県民への生活環境保全に対する重大事件にも関わらず、相変わらず不作為を貫くダンマリの群馬県廃棄物リサイクル課の姿勢を徹底的に追及していく所存です。
岡田工務店がまき散らした”鉛ヒ素入りスラグ“は一般住宅に被害が多数出ているとともに、群馬県が進める高崎渋川バイパスなどの道路工事などに盛り土や路盤材に混入され投棄されている特徴があり、佐藤建設工業がばら撒いた大同スラグと同様の不法投棄事件であると言えます。大同スラグについても、その適正処理つまり撤去片づけは手が付けられていません。これからの対策となっています。
当会では大同スラグ・東邦亜鉛スラグの双方の撤去片づけを進めるべく、群馬県に廃棄物処理法に基づく対策を求めてまいります。まずは“鉛ヒ素入りスラグ”の廃棄物認定を群馬県にもとめ、廃棄物処理法に基づいて、フッ素・六価クロム入りの“大同スラグ”とともに鉛・ヒ素入りの”東邦スラグ”を撤去し片付けるよう措置命令の発出を強く求めてまいります。
当会は微力ながら全力で“きれいな群馬ちゃん“を取り戻すため活動を続けてまいります。
【ひらく会・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
**********NHK NEWS WEB 2019年8月10日 13時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190810/k10012030961000.html
東邦亜鉛 有害金属くずを転売 庭や公園などで使用 群馬
群馬県安中市にある亜鉛の製錬所から出た、国の環境基準を超える鉛やヒ素が含まれた金属製のくずが転売されて、住宅の庭などの砂利として使われていたことが分かり、製錬所を運営している会社は、住民などに謝罪するとともに、回収や撤去を進めることにしています。
この製錬所を運営しているのは、東証1部上場の東京の金属メーカー「東邦亜鉛」です。
会社側の説明によりますと、東邦亜鉛は、群馬県安中市にある亜鉛の製錬所から出た「スラグ」と呼ばれる金属製のくずを、道路の舗装の材料として使う条件で複数の土建業者に販売していましたが、
この中には、土壌汚染対策法で定められた環境基準の最大で約100倍の鉛や、数倍程度のヒ素が含まれていたということです。
会社が内部調査を行ったところ、このうち、
別の建設会社に転売された「スラグ」が県内の住宅の庭や公園の駐車場など、少なくとも数十か所に砂利として使われていたことが分かったということで、
会社は、ホームページで住民などに謝罪するとともに、約70億円かけて回収や撤去を進めることにしています。
東邦亜鉛総務部は「地域の皆様の不安を解消することを最優先に対応し、
信頼回復に真摯(しんし)に努めていきたい」とコメントしています。
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■NHKの報道では、東邦亜鉛の「地域の皆様の不安を解消することを最優先に対応し、信頼回復に真摯(しんし)に努めていきたい」というコメントを紹介し、円満な解決に向かうかのような印象を与える報道となっています。
しかし東邦亜鉛という会社は過去にカドミウム汚染を安中市の工場周辺にまき散らし、安中公害(鉱害とも言う)の加害企業として、地元に多大な損害を与え、いまだに安中製錬所周辺の北野殿地区、岩井地区の畑地土壌はカドミウムや亜鉛、鉛などの重金属汚染の被害を受けたままとなっています。
筆者の住む北野殿地区では、井戸水が重金属汚染で飲めなくなり、水道水を使うしかありません。しかし行政は、井戸水を使っている住民はいないから、直ちに東邦亜鉛安中製錬所から排出される重金属による生活環境面での影響はない、という見方をします。
東邦亜鉛は、1937年当時、日本亜鉛精錬という社名でしたが、地元進出に際して住民には「兵隊さんの命を守るヘルメット用の高度鋼(こうどこう)を作る会社だ」とウソをついて安心させましたが、いざ工場が稼働すると直ちに看板を掛けかえました。戦時中の1941年に東邦亜鉛という現在の社名に変更しました。こうした騙し討ちに、地元では今でも東邦亜鉛安中製錬所のことを年配者は「こうどこう」と呼んでいます。
■安中製錬所から排出される重金属を含む降下ばいじんと排水の影響で、周辺や下流の水田が土壌汚染されたため、1970年12月に制定された「農用地の土壌汚染防止等に関する法律」に基づいて、群馬県が対象地域を指定し、1972年から4カ年にわたって土壌改良事業(対象地面積約130ヘクタール)が被害地で行われました。
その際、東邦亜鉛が全体費用の約5%に当たる約6億1000万円を負担し、残りの約25%が県の負担(一部は国負担)となりました。本来、全額を加害企業が負担するはずですが、東邦亜鉛の政治力がここでも発揮されたことがわかります。
同社の政治力はその後の裁判でもいかんなく発揮されました。東邦亜鉛が東電とグルになり、地元住民に内緒で変電所を増設し、送電鉄塔を建設し、電解工場を新設しようとしたことなど、あまりにも横暴な東邦亜鉛に対して、地元で反対運動が巻き起こり、養蚕被害や汚染米に苦しめられていた地元農民らは1972年に提訴しましたが、政治力に弱い裁判所の理不尽な仕打ちを受けながらも、不屈の精神で公害闘争を戦い抜きました。こうした経緯はWikipediaの「安中公害訴訟」を参照ください。
※参考「安中公害訴訟」URL ⇒
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E4%B8%AD%E5%85%AC%E5%AE%B3%E8%A8%B4%E8%A8%9F
そして、1986年に東邦亜鉛が責任を認め、付近農民らに4億5000万円を賠償する形で和解が成立し、公害防止協定も締結され、1986年9月22日、東邦亜鉛が住民らに4億5000万円を支払うことで、和解が成立しました。同日、「安中製錬所の公害防止に関する協定書」が成立し、協定に含まれていた住民らによる立ち入り調査は、1987年4月26日に第1回が行われました。
その後、1991年4月14日に旧公害防止協定を解消し、期限を3年とする新協定が東邦亜鉛と地元住民による安中緑の大地を守る会との間で締結されました。この協定は、同じ内容のまま1994年、1997年、2000年、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年、2018年とそれぞれ3年を期限として延長されて、現在に至っています。今年も4月6日(土)に第28回目の工場視察会が開かれました。
〇2019年4月12日:東邦亜鉛安中製錬所で4月6日に開催された第28回工場視察会で分かってきた「K砕」の正体の傾向と対策↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2931.html
この日の東邦亜鉛の対応ぶりや、スラグ問題発覚当時、当会が持ち込んだスラグの分析について「なぜこのスラグが当社排出のスラグというのか?その証拠を示せ」と、頑なに分析を拒んだ同社の当会に対する対応や姿勢は、公害の加害企業として名を馳せた1970年代から1980年代当時と比べても、少しも色褪せていません。土壌汚染、大気・水質汚染のかた ちをとった安中公害の和解の合意から33年を経てもなお、未だに和解の合意を履行し終えていない状況を行政に押し付けて平然としている様子を見るにつけ、決して信頼回復に努めようとしない同社の本質的な対応ぶりをみせています。
■当会ではこの問題は、このままでは済まず、今後も第2、第3の報道がなされるような気がしています。その報道を“期待”しながら待つとして、この公害企業による県民への生活環境保全に対する重大事件にも関わらず、相変わらず不作為を貫くダンマリの群馬県廃棄物リサイクル課の姿勢を徹底的に追及していく所存です。
岡田工務店がまき散らした”鉛ヒ素入りスラグ“は一般住宅に被害が多数出ているとともに、群馬県が進める高崎渋川バイパスなどの道路工事などに盛り土や路盤材に混入され投棄されている特徴があり、佐藤建設工業がばら撒いた大同スラグと同様の不法投棄事件であると言えます。大同スラグについても、その適正処理つまり撤去片づけは手が付けられていません。これからの対策となっています。
当会では大同スラグ・東邦亜鉛スラグの双方の撤去片づけを進めるべく、群馬県に廃棄物処理法に基づく対策を求めてまいります。まずは“鉛ヒ素入りスラグ”の廃棄物認定を群馬県にもとめ、廃棄物処理法に基づいて、フッ素・六価クロム入りの“大同スラグ”とともに鉛・ヒ素入りの”東邦スラグ”を撤去し片付けるよう措置命令の発出を強く求めてまいります。
当会は微力ながら全力で“きれいな群馬ちゃん“を取り戻すため活動を続けてまいります。
【ひらく会・市民オンブズマン群馬事務局からの報告】