市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

広報あんなかのノー転記ぶりと、安中土木事務所のイー加減ぶり

2009-05-19 20:16:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

■広報あんなか09年5月号の7ページ目に、「安中都市計画区域マスタープランの変更(案)の縦覧を行います」という記事が掲載されました。内容は次のとおりです。

**********
「安中都市計画 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」(都市計画区域マスタープラン)の変更について、公聴会などでいただいた皆さんの意見を反映して策定した都市計画案の縦覧を行います。
○対象となる都市計画案
都市計画区域マスタープランの変更
※別途、安中都市計画区域と松井田都市計画区域の統合手続を進めていますので、それに伴って都市計画区域マスタープランも一つになります。
○都市計画案の縦覧▼5月15日(金)~29日(金)(土・日を除く)午前8時30分~午後5時まで
縦覧場所▼群馬県都市計画課・群馬県安中土木事務所・安中市都市整備課
○意見書の提出について
都市計画案について意見のある人は、住所・氏名・意見を明記した意見書を群馬県知事あて提出できます(5月29日(金)必着)
意見書提出期間▼5月15日(金)~29日(金)
意見書提出先▼郵送または各縦覧会場への提出
宛先:〒271-8570前橋市大手町1-1-1県庁都市計画課
問合せ▼群馬県都市計画課(直通)(電話027-226-3654)
安中市都市整備課計画開発係(電話382-1111)
**********

■縦覧期間は5月15日(金)午前8時30分からとなっており、これを見た住民が、さっそく、初日の15日(金)の朝一番に、縦覧場所として記載されていた安中土木事務所を訪れました。

 「すいません。安中市の広報に都市計画区域マスタープランの変更案の縦覧をここでやっているというので来ました」というと、担当職員の石坂氏が出てきましたが、驚いたことに、「まだ書類が送られてきていないので、ちょっと待ってほしい。ホームページでもダウンロードできる。PDFで20ページくらいの分量」などといわれ、待たされること10分。それでもまだ書類で出てこないため、ちょうど県庁に急いで行く用事もあり、せっかく朝一番に土木事務所に足を運んだ住民はがっかりして、そのまま安中土木事務所を出ました。

■そのあとに訪れた県庁の都市計画課でも、縦覧ができることがわかっていましたが、住民は別件で忙殺されてしまい、結局、その日は縦覧ができませんでした。その後、その住民は、安中土木事務所の担当職員が言った「ホームページ上でもダウンロードできる」という言葉を思い出して、帰宅してから自分でダウンロードしましたが、一連の出来事を振り返って、次の問題を指摘しています。

1)安中市が配布した「広報あんなか09年5月号」の記載が極めて不親切。ホームページからでもダウンロード可能となれば、初めから役所に行く必要などなかった。

2)群馬県の出先機関である安中土木事務所は、縦覧場所に指定されているのだから、当然、ハードコピーを何部か用意しておき、来訪者に直ぐに渡せる体制を取れるはずだったが、それを怠っていた。また、ホームページからダウンロードできるのであれば、ほんの1分もあれば、プリントアウトできたのに、なぜ10分以上かかっても、用意できなかったのか。怠慢としか言いようがない。

■県も市も、「どうせ縦覧なんかしても、誰も閲覧に来るやつはいない」と思っていたに違いありません。これが、群馬県の自治体の事務事業の実態であると思うと、まことに嘆かわしく、税金支払義務を果たしている住民にとって、役所のサービスの品質低下による応分の給与削減を責任者に課してもらいたいという気持ちをいっそう強くした次第です。

【ひらく会事務局】

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祝14周年・・タゴ事件の発覚から今日まで、そして明日から

2009-05-18 19:21:00 | 土地開発公社51億円横領事件

■14年前の平成7年(1995年)のきょう、安中市都市計画課が兼務する安中市土地開発公社内で、巨額詐欺横領事件の端緒となる、群馬銀行からの帳簿外の借入金の存在が発覚しました。

 当初はよもや、横領総額が51億円以上になるとは、タゴとその近しい骨董商の友人しか思っておらず、「1億円くらい穴を開けてしまったので、自分の財産を売って埋め合わせする」などという詐欺師のタゴの言葉を真に受けていた安中市の幹部らも、その後の群銀との帳簿の突き合わせなどをしたりするうちに、10億円、20億円というふうに、あれよあれよと膨らむ横領金額に恐れおののいたのでした。

■彼らが震える声で、まず最初にやったことといえば、市役所の職員らに緘口令をひき、事件の情報をごく限られた一部の職員の間で占有し、必死で、情報のリークを防ごうとすることでした。そして、警察に被害届を出す前に、いかにして、この大事件を矮小化できるかに腐心し、地元から遠く離れた東京の弁護士をわざわざ呼んで、作戦を練ったのでした。

 14年前のきょうから、タゴが懲戒免職となる5月31日まで、市役所内では、証拠隠滅の目的で、必死で書類のチェックを行い、都合の悪い書類を仕分けてやばいのは処分したのでした。また、タゴにいろいろしてもらっていた職員や政治家らは、必死でタゴを説得し、この事件の責任をすべて取ってもらう代わりに、ただひとり、みんなの罪を背負って塀の向こうに行ってもらうタゴへの恩義として、タゴ一族への協力を約したのでした。

■そして、歳月は移ろい、14年という月日が経過した今日になっても、その言葉どおり、タゴおよびタゴ一族への恩義はきちんと守られているのです。既に仮出所したとはいえ、平成8年4月8日に14年の実刑判決(未決勾留200日付き)を受けてから、今年の9月21日(推測)に、晴れて刑期を全うする予定のタゴに対して、恩義を感じている人たちが、安中市には、あまりにもたくさんいらっしゃいます。


↑きょうも元気な、タゴの親族が経営する運送会社↑

 仰げば尊し、タゴの恩・・・。タゴのおかげで、立派な家を建てることができた人、妾を持てた人、骨董品をコレクションに加えられた人、土地ころがしの情報を教えてもらった人、公有地をただでわけてもらった人、こうした人たちが相当数いらっしゃったとしても、安中市の人口からすれば僅かなものです。タゴのおかげを受けた市職員らの多くは、14年前のあの世にも恐ろしい事件発覚に怯えたことは既に忘却のかなた。14年経過して、次々に満額の退職金をもらって市役所を円満退職できたうえに、市の関連施設での再雇用の恩恵にもあずかるなど、結果的には順風満帆の人生となりました。

■しかし、タゴの残した負の遺産である群馬銀行との巨額和解金は、土地開発公社の歴代の役員や職員はもとより、タゴから恩恵を受けた方々は誰一人として責任をとらず、タゴを通じて獲得した利得を返還しようともせず、全て、巨額の和解金は、結局、直接、間接、安中市民の懐を痛めることにより、捻出されてきました。

 昨年12月25日で、10年間の和解金支払が終わり、民法により、10年の時効到来により、安中市は債務保証人として、安中市土地開発公社が群馬銀行に対して今後10年間和解金を毎年2000万円支払い続けることを約束しました。この一連の過程で、市議会の議決は得ておらず、市民への説明も、全部群銀との手続きが完了したあとの事後報告でした。

■一方、タゴと一緒に公社の経営に携わった岡田市長は、事件発覚後11年目で、首尾よく首長の椅子を射止めました。群銀への和解金支払継続手続きは、就任後からさっそく熱心に進めてきたのに、おなじく市長に当選後、まもなく就任した安中市土地開発公社の理事長としては、いちどもタゴに支払の督促をせず、いよいよ今月5月31日で10年間を迎えるタゴに対する損害賠償請求権の期限切れを目前にしても、債権保全のための再提訴をする気配はまったくありません。

 14年前の5月31日に懲戒免職を言い渡されて市役所を去ったタゴと、公社の同じ釜の飯を食った岡田市長としては、とうてい、タゴを再提訴するなどという無慈悲(?)なことはできないのでしょうか。

■なぜなら、タゴ一族に対して、岡田市長もそれなりの恩義と貸しがあるからです。公社の監事を務めたころ、決算書から前年の繰越金500万円が忽然と消えても、平然とハンコをついた岡田市長ですから、そのことをタゴは恩義と感じているのか、それとも貸しと思っているのかは本人に聞かないと分かりませんが、少なくとも、岡田市長がタゴとの関係を語ることは、タゴの出所後はともかく、これまではまったくありませんでした。

 話はかわり、昨年8月3日に、首都高5号線で、タゴの親族が経営する運送会社の保有するアポロマークをつけた大型タンクローリーが横転事故を起こし、首都高を2ヶ月あまり止める事故が起きました。それまで、タゴの親族が経営する運送会社のことは、世間では誰も知りませんでしたが、この事故により、この会社が、14年間で50台以上の車両を保有する規模に成長していたことが世間に知られることになりました。


↑タゴ一族運送会社の成長に大きく関与したといわれる大物政治家と関係の深い元請運送会社本社↑

■さらに、首都高が、昨年10月に、事故を起こしたタンクローリーを運行していた、この群馬のローカルな運送会社に対して総額45億円もの損害賠償を検討していると発表したとき、人々は、このちっぽけな運送会社が巨額の賠償金であっけなく散ってしまうに違いないと思いました。

 ところが、タゴ一族のよりどころでありシンボルともいえるこの運送会社は、あれだけの大事故のあとも、何事もなかったかのように、きょうも平然と業務を続けています。アポロマークを付けたタンクローリー6台も、LPガスを効率よく運搬する出光系の赤尾商事扱いのバルク車も、同じく赤尾のLPガスシリンダを運ぶトラックも、みな元気よく走り回っています。

■タゴ事件が発覚して14年目のきょうも地元の道路を走っていると、この運送会社の主力であるタンクローリーが隣の車線から元気に追い越していきました。ふと見ると、タンクローリーの尻に名札が付いています。ふと何気なくその名札に目をやると「あれ、どこかで見覚えのある名前だな」と思い、「だけどもう一度確認してみなくては」と、アクセルを踏んで追いついてみると、やはり間違い有りません。地元に在住する方と同じ名前が、その運送会社の名前の下に書いてあります。


↑元気に道路を疾走するタゴ親族運送会社所有のローリー↑

 この方は、広報あんなか平成18年6月号の「岡田市長初登庁」と題する表紙http://www.city.annaka.gunma.jp/kouhou/pdf/pdf1806/P1.pdf にも、颯爽と市役所の玄関を入る岡田市長を、しっかりと支えるように位置しておられます。これは偶然なのでしょうか。

■岡田市長が、群馬銀行との和解金支払継続を極めて重要視する一方で、安中市土地開発公社理事長として、タゴをはじめタゴ一族に対する債権保全については、ほとんと無頓着なのはいったいどうしてでしょうか。まず、タゴやタゴ一族から、取れるものは徹底的に取り、次に、ご自身を含め、タゴ事件の関係者らから、タゴから得たさまざまな利得を安中市に還元させるように努めることが、群銀への和解金よりずっと重要なのではないでしょうか。

 くしくも、あと2週間後に迫った、タゴへの損害賠償請求権を勝ち取った裁判から10年が経過する節目の日を前に、安中市民としては、タゴ事件発覚14周年記念日のきょうも、岡田市長がいつタゴの再提訴に踏み切るのか、注意深く見守るしかありません。

■一方、タゴの世話になった方々にとっては、あと4ヵ月後に迫ったタゴ出所日を迎えて、晴れて名実共に塀から外に出ることになるタゴの存在と、間もなく直面することになるわけで、タゴとの新たな付き合い方をそろそろ考えておくべき時期に入っていると言えるでしょう。

 タゴ事件発覚後、14周年の節目を迎えるきょうのこの日について、この事件を追及し続けてきた当会はもとより、タンクローリーの名札の人も、タゴ一族も、タゴの世話になった市役所の職員やOB、業者、そして政治家のみなさんも含めて、タゴ事件にさまざまな観点から係わったたくさんの人たちにとって、感慨深い一日であったことでしょう。

 きょうという日もあと4時間あまり。あらためて、きょうという日の意義をゆっくりと噛みしめたいと思います。

【ひらく会情報部】

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捜査の端緒に期待して、群馬県の不正経理問題を県警に告発

2009-05-18 04:58:00 | 県内の税金無駄使い実態
■当会の事務局長が代表を務める市民オンブズマン群馬では、昨年10月に会計検査院の指摘をきっかけに発覚した不正経理処理問題について、発覚が報道された直後から、群馬県の役所の対応振りを注意深く見守るとともに、その実態を確認するため、情報公開請求により関連情報の収集に努めてきました。

 ニュースで最初に報道されてから既に7ヶ月が経過しており、群馬県の役所内では、不正経理問題にかかわった職員らへの処分も終わり、関係者らは、本件がもう過去のものとして考えているに違いありません。

 しかし、13年前の1996年に県民を呆れさせたカラ出張問題の体質を、いまだに群馬県が引きずっていることが明確になりました。相変わらず不正経理によるウラ金づくりにせっせと励んでいたことが証明されました。今回の会計検査院の調査で、合計13の県の農林関係、県土整備関係などの部署で、「期またぎ」「差し替え」「預け」と呼ばれる手口で不正経理が行なわれていたのです。このことは、全国的に、裏金づくりのテクニックが共通している事を示しています。

■1996年に発覚した群馬県のカラ出張問題では職員の処分は行なわれていませんでした。上は知事から、下は一般職員まで、組織ぐるみで不正経理をやっており、「みんなで渡れば怖くない」として、犯罪に手を染めているという意識が希薄になっているのが原因でした。

 そこで、今度こそ、再発防止を徹底させて、不正経理問題の根幹である虚偽(ウソの)公文書の作成・行使がいかに重大な犯罪であるかを、群馬県行政の組織ぐるみで身にしみて痛感させる必要があると考えて、これまでにまとめた資料をもとに、5月8日(金)午後、群馬県警察本部に告発状を次の内容で提出しました。
**********
平成21年5月15日
告 発 状 
群馬県警察本部 捜査二課 御中
  告発人 住所 群馬県前橋市文京町1-15-10
      氏名 市民オンブズマン群馬
      代表 小川 賢  印
  被告発人
      住所 群馬県前橋市大手町1-1-1
      職業 地方公務員
      氏名 本件に関与した次の部署に所属する職員ら
          ・太田土木事務所
          ・前橋土木事務所
          ・農村整備課(旧土地改良課)
          ・中部農業事務所
          ・技術支援課(旧地域農業支援課)
          ・沼田土木事務所ほか
1 告発の趣
 被告発人らの以下の所為は、刑法156条(虚偽公文書作成)及び刑法158条(虚偽公文書行使)に該当すると考えますので、被告発人らを厳罰に処することを求め告発します。
2 告発事実
 平成20年10月22日の上毛新聞朝刊の記事によると、次の事実が判明しています。
<不適切な経理処理 旅費1000件、差し替え25件 県議会特別委 説明不十分と紛糾>
 国の補助事業費をめぐって、会計検査院が県に二千万円近い不適切な経理処理を指摘した問題で、その内訳が補助対象外の研修などに使った旅費約千件、物品購入で発注と納入の年度が異なる「年度またぎ」約三百件、発注品目と納品に相違がある「差し替え」二十五件だったことが二十一日、分かった。
 同日の県議会決算特別委員会で県会計局が明らかにした。差し替え二十五件のうち、太田土木事務所では、〇二年度にファクス用紙を発注したものの、実際には災害時の職員の食料購入用にプリペイドカード約三万円分が納入されていたことも判明した。
 差し替えなどに関する県側の説明が不十分として同委員会は紛糾し、健康福祉分野などを審査するはずだった二十二日に持ち越しとなった。副知事、総務部長と問題が指摘された農政、県土整備、環境森林の三部の部長に出席を要請し、詳しい答弁を求める。

 これ以外にも、本件に関するマスコミ報道がなされています。(添付証拠書類参照)
 そのため、告発人が情報開示で入手して資料を確認したところ、間違いなく「差し替え」と称する虚偽文書の作成および行使の事実が確認できました。
 さらに、こうした虚偽文書作成による不正経理の発覚により、群馬県が内部調査をしたところ、沼田土木事務所で、「預け」と称する虚偽文書を使った不正経理が発覚しました。平成20年11月14日付の讀賣新聞朝刊の記事によると、次の事実が判明しています。
<土木事務所で「預け」 県内部調査で判明>
 県が会計検査院から国の補助金に絡んだ不正経理を指摘されていた問題で、県の内部調査の結果、土木事務所で事務用品などの消耗品を業者に架空発注する「預け」と呼ばれる悪質な手口があったことが13日、新たに判明した。県は14日の県議会決算特別委員会に調査結果を報告する。
 県幹部によると、業者側には、公共工事の事務費のうち、使い切れなかった計約300万円が預けられたという。5~6年前に始まり、出し入れは2007年度まで続けられた模様だ。職員による公文書偽造の疑いがあり、私的流用の有無と関係者の処分が今後の焦点となる。
 大沢知事は先月27日、茂原璋男副知事と会計局などに内部調査を指示。2007年度分を中心に、取引先の業者とやり取りした伝票をチェックするなど、過去に会計処理の実態を調べてきた。これまで県は「預けはなかった」としていたが、今回不正が見つかった土木事務所は、検査院が検査に入らなかった事務所だった。

 この件についても、告発人が情報開示で入手して資料を確認したところ、間違いなく「預け」と称する虚偽文書の作成および行使の事実が確認できました。
 被告発人らの前記行為は、刑法156条(虚偽公文書作成)及び刑法158条(虚偽公文書行使)に該当すると思われますので、被告発人らの厳重な処罰を求めるため、ここに告発いたします。
3 添付書類
証拠書類:マスコミ報道記事(写し) 各1通
当該会計書類       各1式
**********

■県警本部の1階受付で、「告発の相談にきました」と用件を受付に言うと、最初、相談係の担当官がやってきました。最近、フリコメ詐欺事件の多発で、こうした部署が設けられたようです。相談室に案内されて、さっそく告発状をかばんから取り出して見せたところ、告発状の冒頭に「捜査二課御中」と書いてあったのを見て、「やはり2階の捜査二課の担当を連れて来る」と言って、バトンタッチ。前にも選挙がらみで告発状受理をお願いした顔見知りの担当官が降りてきました。さっそく、今回の告発の目的である「不正経理の再発防止には、刑事罰を適用して、きついお灸をすえることが最善策」という持論を展開して、告発状受理を迫りました。

 しかし、再三にわたる説明に対して、県警では「個人的には理解を示すものの、県のような大きな組織の捜査には、人員と時間など、それなりの準備が必要。ウソの書類を作成した関係職員らに対して刑事罰を厳正に下すには、あまりにも人員数が足りない」として、「即答はできないので、とりあえず告発状の写しを頂いて、課内で、引き続き検討してみたい」というコメントにとどまり、残念ながら正式受理には至りませんでした。これで、群馬県ではみな安心して、ほとぼりが冷めたころ、またぞろ禁断の誘惑に駆られることでしょう。

■また、今回の不正経理に関して、昨年10月末に記者会見に応じた茂原副知事が「個人的な流用はまったくなく全て職務で使用した。」「知識が充分でなく処理が不適切だった。」と発言したことから、この発言の根拠を示す情報の公開を県知事に求めたところ、「不存在」の通知が来ました。

 もしこれらの情報が不存在となると、県の幹部が「根拠もなく」そうした発表を県民やマスコミに公言したことになり、県民や報道陣に対して無用な混乱を与えた可能性も生じます。そこで、こちらの方は、異議申立をしたところ、知事から「理由説明」が来たので、反論のために「意見書」を提出しました。現在、審査会で審議中と見られます。どんな結果になるのか、だいたい予想はつきますが、不正経理問題の根絶を真剣に考えてもらいたいものです。

 なお、今回、会計検査院が指摘した不正経理問題で、不正経理の手口があらためて明らかになりました。それは出入り業者との癒着関係です。出入り業者の協力なくしては、領収書のつじつま合わせができないからです。今回、「差し替え」と呼ばれる虚偽公文書作成によるウラ金づくりでは、各部署と特定の業者の相関がみられます。
・太田土木事務所 → 「株式会社 六本木商店」(前橋市昭和町):FAX用紙と偽り、プリペイドカード購入(H14)。
・前橋土木事務所 → 「有限会社 大島商事」(前橋市日吉町):リチウム電池と偽り、所長の名札制作(H14)。
・農村整備課 → 「㈱細野事務機」(前橋市元総社町)ボールペンと称して、シャチハタを購入(H15)。
・中部農業事務所 → 「株式会社 六本木商店」(前橋市昭和町)シュレッダーと称して、一部にネームランドを購入(H16)
・技術支援課 → 「株式会社 オオタヤ」(前橋市問屋町)MOディクスと称して、デスクライトを購入。(H17)
・前橋土木事務所 → 「有限会社 大島商事」(前橋市日吉町)タックメモと称して各員のネーム印を購入。(H17)

 また、会計検査院の指摘を受けて、群馬県が独自に平成19年度と、会計検査院の検査にもれた部署を調べたところ、沼田土木事務所で、「預け」と呼ばれる裏金操作によるプール金が見つかりました。
・平成19年度 → 預け金506,419円「株式会社 ナカムラ」(沼田市土原町)
・平成15年度 → 預け金289,275円
・平成14年度以前 → 預け金3,120,493円
・平成14年度末~平成19年度までの納品状況 → 総額3,409,768円(主な購入部品:トナー、付箋紙、電卓、ファイルボックス、クリアーブック、両面テープ、テプラテープ、リサイクルペーパー、色鉛筆、ワンタッチストッカー、ドッチファイルほか

 発生原因は、平成10~13年度にかけて、大きな災害復旧事業があり、河川課から第11款災害復旧費の「工事雑費」の需用費が多額に予算配布されたが、その予算配布に対して、実執行額が満たなかったため、預け金として執行したことが、聞き取り調査で判明したとされています。

■沼田土木事務所での聞き取り調査は、平成20年10月12日と13日にかけて、安中土木事務所から異動で着任直後の牧野所長を先頭に、当時の関係者に聞き取りを行なっています。その結果をみると、いかに役所の職員が、ウソの書類作りにマヒしているかがよくわかります。なお、○「した」、×「していない」、△「うすうす知っていた」を示します。

平成10年:A(確認者 10/13牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「H17年の事務費問題があり、それ以前は全てしっかりやっていると思っていた」

平成10年:B(確認者 10/13平石)
預けの存在の認識 △
預けをした    △
預けを使った   △
上司(部下)と相談の有無 △
コメント「災害等の予算が年度末近くに大きく配布されることがあります。年度内で消費することができず、購入した物品を必要なときまで業者に預かってもらうことがありました」

平成10年:経理担当(主事)千明康寛(確認者 10/13平石)
預けの存在の認識 ○
預けをした    ×
預けを使った   ○
上司(部下)と相談の有無 △
コメント「平成8~10年度の経理物品担当。前任者より預け金の引継ぎを受けました。金額てきにはそれほど大きくなかったと思います。消耗品の予算も少ない時代でしたので、現物を本課にもらいにいくほどでした。新しい預けを作ったという覚えはありません」

平成11年:C(確認者 10/12牧野)
預けの存在の認識 ?
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「事務費の内容までは把握していなかった。相談されたかもしれないが、昔のことなので現在は覚えがない」

平成11年:経理担当(係長代理)星野実(確認者 10/12狩野)
預けの存在の認識 ○
預けをした    △
預けを使った   ○
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「災害等の予算が年度末近くに大きく配布されることがありますと、年度内で消費することができず、購入した物品を必要なときまで業者に預かってもらうことがありました。災害の場合、買う物にも制限があり、ロール感光紙等を購入しましたが、事務所にストックしておく場所もありませんし、感光の恐れもありますので、必要なときまで業者に預かってもらうようにしました」

平成13年:D(確認者 10/12牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×

平成13年:補佐兼課長 平石謙一(確認者 10/12狩野)
預けの存在の認識 △
預けをした    △
預けを使った   △
上司(部下)と相談の有無 △
コメント「預け金があることは、担当から報告を受けたことはありませんが、うすうすは承知していました。年度末に大きな予算の配布を受けますと年度内で完全に消費することができず、購入した物品を預かってもらっていると担当から報告を受けたことがあります」

平成14年:次長 栗原民治(確認者 10/12牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「H14~16災害あまりなし。消耗品買ったが旧庁舎で倉庫が少なく、鎌田事務所にストックしたことは知っている」

平成15年:E(確認者 10/13牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「H14水上で災害あり。H15~16災害少なかった」

平成17年:総務GL(次長) 田口伸也(確認者 10/12平石)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「全く知りませんでした」

平成17年:経理担当(主任)登坂登志明(確認者 10/12平石)
預けの存在の認識 ○
預けをした    ×
預けを使った   ○
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「前任者より図面焼き機のロール感光紙やインクトナーを業者に預けてあると引継ぎを受け、その物品を必要な時、納入してもらいました。新しい預けを発生させたことはありません」

平成18年:所長 小阿瀬義孝(確認者 10/13牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「まさかあるとは思っていなかった。きちんとされていると思っていた」

平成18年:総務GL(次長)狩野裕幸(確認者 10/13平石)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「全く知りませんでした」

平成19年:所長 長井澄夫(確認者 10/12牧野)
預けの存在の認識 ×
預けをした    ×
預けを使った   ×
上司(部下)と相談の有無 ×
コメント「H20.11になって初めて知った」

平成19年:総務GL(次長)長尾景茂(確認者 10/13平石)
預けの存在の認識 ○
預けをした    ×
預けを使った   ○
上司(部下)と相談の有無 ○
上司の指示内容「担当より前任者より預け金があるがどうしたらよいかと相談を受け、所長とも相談し、テーブルやいす等を購入し、預け金を0にしました」

平成19年:経理担当(係長)品川玲子(確認者 10/13平石)
預けの存在の認識 ○
預けをした    ×
預けを使った   ○
上司(部下)と相談の有無 ○
上司の指示内容「前任者より預け金の存在を知らされ、こんなものは早くきれいにしなければと、上司と相談しテーブルやいす等を納入させ、平成20年2月26日に預け金を0円にしました」

■以上の調査で判明したことは、役所内でウソの書類を作成しても、外部からは全くわからず、内部監査制度が機能しておらず、オンブズマンのような外部監査組織の目も届きようがないため、全て見逃されており。組織の上から下まで、ウソの書類(虚偽の公文書)作成・行使が刑事上、重大な罰になることを身にしみて役所内の誰もが感じていないことです。警察によるしっかりとした取締りが必要ですが、期待はできません。なぜなら、警察内部でも、報奨金などによる裏金づくりがさかんに行なわれていたからです。今回は、会計検査院や群馬県会計局による調査結果が既に出ているので、捜査の手間はかかりません。ぜひ送検手続を取ってもらいたいと思いますが、きっと前橋地検で、嫌疑不十分で不起訴になるでしょうから、職員は安心していられることになるでしょう。

 また、県警での告発後、県庁の記者クラブに情報提供をしておきましたが、翌日報道したマスコミは皆無でした。役所内のこうした違法行為はニュース性に乏しいとみなされているのが実情のようです。やはり警察に一肌ぬいでもらう必要があります。

【ひらく会事務局】


≪参考資料≫

■会計検査院は、今回、国の補助事業を巡って群馬県に最初に指摘したのは農政部に対してでした。開示された内部資料には次のように記載されています。

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◆第5局特別検査課会計実地検査における指摘事項について <農政部H20.5.9>
1 実地検査の主旨
 国庫補助事業の事務費の経理処理状況について実地検査する。
2 指摘事項
(1) 需用費の支払いについて
① 発注物品と納入物品の異なるもの
年度:具体的事例(※)
H16:シュレッダー3万円超で、請求書はシュレッダー2万8千円と消耗品(ネームランドテープ)に別けている。<請求書に記載のない物品が納品書に載っている。>※該当所属で経緯を確認中。
② 物品納品の年度またぎ
実際には年度をまたいで新年度に納品されているのにもかかわらず、年度内納品として事務処理。 → 各受検所属で事例あり
(2) 職員に対する旅費の支払いについて
明らかに補助事業との関連が認められない用務、直接関連性がない用務に補助の旅費を支給。(国に対する要望活動、研修会、セミナー、シンポジウム等)
3 受検後の対応
国庫補助事業の事務費については、補助簿を作成するなどして県単独事業との区分経理を行うとともに、適正な事務処理に努めるよう部内に通知を出す予定である。
※受検対象事業:環境森林部、農政部、県土整備部で農林水産省、国土交通省から交付を受けた国庫補助事務費
受検対象所属:環境森林部:本庁各課及び前橋・高崎・太田の各環境森林事務所
       農 政 部:本庁各課及び中部・西部・東部の各農業事務所
       県土整備部:本庁各課及び前橋・高崎・太田の各土木事務所
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■その後、会計検査院の受験対象となった部署で調査が行なわれた結果、最終的に平成20年10月17日、次の報告がまとめられました。

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◆会計検査院第5局特別検査課による会計検査について <H20.10.17環境森林部,農政部,黒土整備部>
1 概要
 ・審査対象年度:平成14年度~18年度
 ・検査対象:農林水産省、国土交通省補助金のうち、事務費(賃金、旅費、需用費)
       農林水産省、国土交通省から群馬県へ.の委託事業
`・受検対象部局:環境森林部、農政部、県土整備部の県庁機関、地域機関
 ・実地検査日:4月21日(月)~25日(金)
2 検査結果及び不適正とされた金額
 ①検査結果
  節:不当とざれた内容
 旅 費:補助対象外の用務に祐助事務費を支給(研修、国への要望活動、県単事業等)
 需用費:差し替え:発注品目と納品に相違(書類上とは違うものを実際には購入)
     年度またぎ:書類上の検収目と.実際の納品日に差異があり、それが年度を超えて行われている
 ②不適正とされた金額(事業費べース)単位:円
 賃金/旅費/需用費(差し替え/年度またぎ/計)/合計
 環境森林部/0/ 499,981/ 0/ 736,820/  736,820/ 1,236,801
 農 政 部/0/3,486,918/189,166/ 5,827,371/ 6,016,537/ 9,503,455
 県土整備部/0/3,146,516/ 35,532/ 5,816,626/ 5,852,158/ 8,998,674
 合   計/0/7,133,415/224,698/12,380,817/12,605,515/19,738,930
※19,738,930円のうち、国庫金相当額は9,919,053円
3 今後の事務の流れ(未確定)
・不適正額のうち、国庫金相当額については交付決定取り消しに基づく返還を行うことになる見込み。                
・委託事業については、本県分も含めた全国的な検査結果に基づき、会牡検査院が農林水産省及び国土交通省に適正執行を申し入れ(国車舎返還はない予定)。
4 今後の補助事務費執行方針
①会計規則等の遵守の徹底(検査員による納品確認の徹底)
②使途基準に則った事務費執行の徹底
③補助簿等による区分経理の実施の徹底
④計画的な事務費執行(平準化、年度末発注は必要最低限、早期の精算事務)
⑤事務費繰越の検討(工事費が繰越になっている場合、事務費も繰越)
⑥未執行事務費は必要があれば工事費へ流用し、執行残を出す(事務費の使い切りをしない)

◆第5局特別検査課会計実地検査における不適正事項の具体例 <環境森林部、農政部、県土整備部>
1 旅費:補助対象外の用務に補助事務費を支給
・研修:土砂災害防止研修、砂防地すべり講習会、災害復旧実務講習会
・国への要望活動:概算要望、同ヒアリング、治水事業促進大会、期成同盟会、下水道整備促進全国大会
・県単事業等:経営事項審査、県内一斉審査
2 需用費
①差し替え
所 属/年度/具体的事例
太田土木/H14/・再生FAX用紙等を発注していたが、実際にはセブンカード(セブンイレブンで使えるプリペイドカード)を購入 10,000円×3枚十手数等1,752円=31,752円
前橋土木/H14/・リチウム電池を発注していたが、実際には役務費で支出すべき「歴代所長 名札書き」を依頼 1,470円
農村整備課(旧土地改良課)/H15/・ボールペンを発注していたが、実際には「シャチハタ」を購入していた (3,197円)
中部農業事務所/H16/・シュレッダー3万円超で、請求書はシュレッダー2万8千円と消耗品(ネームランドテーフ’)に別けている。
技術支援課(旧地域農業支援課)/H17/・MOディスクを発注していたが、実際には「デスクライト」を購入していた (4,179円)
前橋土木/H17/・ タックメモを発注していたが、実際には「ネーム印」を購入 2,310円
②年度またぎ
・物品納品の年度またぎ
 実際には年度をまたいで新年度に納品されているのに、年度内納品として事務処理→各受検所属で事例あり
 例1 県書類:3/1発注→3/20納品         
    売上帳:         4/10納品
 例2 県書類:         4/1発注÷4/20納品
    売上帳:   3/20納品
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酒気帯び運転事故の内田弁護士の懲戒処分で、日弁連から審査開始通知

2009-05-18 04:09:00 | 不良弁護士問題
■平成20年10月5日(日)午後、安中市野殿の県道前橋安中富岡線で、酒気帯び運転中、対向車線の乗用車と衝突し、女性にケガを負わせて、自動車運転過失傷害などの疑いで現行犯逮捕された群馬弁護士会所属で日弁連元副会長の内田弁護士は、平成21年4月21日付で群馬弁護士会から業務停止4ヶ月の懲戒処分を受けていましたが、4月28日付で、日本弁護士連合会あてに、審査請求を出していたことがわかり、日弁連から5月7日付で事案番号:平成21年(審)第11号として審査開始通知が当会に到来したことは、報告済みです。

 そこで、さっそく当会からも、5月12日に、業務停止4ヶ月ではなく、弁護士会から除名するよう、異議申出書を日弁連に郵送していましたところ、5月15日に次の審査開始通知が送られてきました。

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平成21年5月14日
異議申出人 小川賢 殿
   日本弁護士連合会 会長 宮崎 誠
審 査 開 始 通 知 書
 貴殿申出の異議について,懲戒委員会に審査を求めたので通知します。
  本件事案番号: 平成21年懲(異)第8号
  審査開始日 : 平成21年5月13日
  対象弁護士 : 内田武
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 今回も意見陳述の機会が得られれば、ぜひ、弁護士会での飲酒運転撲滅の重要性を主張したいと考えています。

【岩野谷の水と緑を守る会】


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業務停止4ヶ月を除名処分に・・飲酒事故の日弁連元副会長への厳罰を求めて異議申出

2009-05-12 18:47:00 | 不良弁護士問題
■平成20年10月5日午後、安中市野殿の県道前橋安中富岡線で、近くのゴルフ場で毎月恒例のコンペを楽しみ、ついでにビールや焼酎をあおり、プレー後、酒気を帯びた状態で白のレクサスを運転していた日弁連元副会長で群馬弁護士会長の経験者でもある群馬県弁護士会を代表するひとりとも言える内田武弁護士が、対向車線の乗用車と衝突し、運転していた高崎市内の女性にケガを負わせたとして、自動車運転過失傷害などの疑いで現行犯逮捕されました。

 酔っ払い運転の根絶を目指す社会世論にあって、弁護士業界が、どの程度、酔っ払い運転で人身事故を起こした仲間に対して、毅然とした対応がとれるかどうか、注目されていましたが、群馬弁護士会は、平成21年4月21日付けで、業務停止4ヶ月の懲戒処分を決めました。

■世間では、酒気帯び運転をして捕まれば、所属先からクビにされても文句をいえませんが、弁護士会では、特権意識の為せる技なのかどうか、本来なら弁護士資格剥奪が当たり前であるところ、せめて所属弁護士会を除名するくらいの気概を見せるかと思いきや、たった4ヶ月の業務停止という結論に、呆れてしまいました。

 ところが、弁護士先生のジョーシキは、世間の非常識をはるかに凌駕するものでした。なんと、日弁連元副会長の内田センセイは、「業務停止4ヶ月は厳しすぎるから1ヶ月に短縮すべきだ」と、平成21年4月28日付で、群馬弁護士会の上部団体である日本弁護士連合会あてに審査請求を出したのです。

 法律の専門家で、社会的にも法令順守を率先垂範すべき弁護士先生が、自ら犯した違法行為の重大さを認識せずに、僅か1ヶ月間の業務停止が相当だと考えているのです。

■このまま看過しては、弁護士業界での飲酒運転撲滅には、あと100年はかかることになりかねませんので、当会では、熟慮の末に、本日朝、「業務停止4ヶ月では、弁護士会の処分が不当に軽いので、除名が処分相当である」旨の異議申出を、日弁連会長宛に簡易書留で郵送しました。

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〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関1-1-3
日本弁護士連合会 御中
(担当:審査部審査第二課)
電話番号 03-3580-9841 FAX番号 03-2580-2868
異 議 申 出 書
平成21年5月11日

  異議申立人 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
小川 賢 (××歳) 印
懲戒の請求をした弁護士の氏名及び所属弁護士会
      〒371-0026群馬県前橋市大手町三丁目4番15号 内田武法律事務所
群馬弁護士会所属 内田 武
電話027-233-2151

弁護士会から、懲戒の処分をした旨の通知を受けた年月日  平成21年4月23日

弁護士会からの異議申出ができる旨の教示の有無及びその内容  平成21年4月21日付け群馬弁護士会からの「弁護士の懲戒について(通知)」と題する書面で、「なお、弁護士法第64条の規定により、この処分が不当に軽いと思われるときは、この通知を受けた日の翌日から起算して、60日以内に日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます(ただし、送付に要した日数は参入しません)。」との教示有り。 

異議申出の年月日  平成21年5月11日

異議申出の趣旨  群馬弁護士会の懲戒処分の内容である「業務停止4月」は不当に軽すぎ、「除名処分」が相当である。

異議申出の理由

1.対象弁護士の弁明要旨および懲戒委員会の認定事実によると、ゴルフクラブの10月例杯に参加して、前半ハーフの途中でデルカップ1杯50cc(アルコール濃度29度)を飲み、終了時から昼食を挟んで、生ビール小375cc(アルコール濃度不祥だが約5.5度程度と推測できる)と酎ハイ1杯90cc(アルコール濃度25度の焼酎水割りというので、焼酎と水が半々と推測できる)を飲み、後半ハーフの途中で、さらにチューハイ250cc(アルコール濃度7度)を飲んでいる。合計すると、アルコール量として、50cc×0.29+372cc×0.055+90cc×0.25×0.5+250cc×0.07=63.875ccをおよそ4時間弱の間に摂取したことになる。このアルコール量が実際に正しいと仮定する場合、アルコール濃度12%のワインに換算すると532cc(ボトル約1本弱)に相当し、アルコール濃度5.5%のビールに換算すると1161cc(大瓶約2本)に相当する。これは、決して軽視し得ない摂取量ということができる。

2.懲戒通知には明記されていないが、対象弁護士は、食事中やプレー中に飲酒していることから、飲酒に対して習慣性があったものと推測される。従って、ゴルフクラブの10月例杯に限らず、それ以前にも飲酒をした状態で、車を運転して帰宅した可能性が高い。なお、同じく懲戒通知には明記されていないが、当日、対象弁護士と一緒にプレーした仲間に、もしも他の弁護士がいたとすれば、対象弁護士の飲酒を知りながら黙認したことになり、このことも重大な意味を含む可能性があることを指摘しておきたい。

3.対象弁護士は、後半ハーフのプレー終了後、「飲酒から既に4時間以上経過し、しかも途中1時間以上入浴してサウナで十分汗を流していたので、当然アルコールは抜けているものと思って運転を開始した(数値が出たことについては、富山の人権大会で三泊四日の出張、前日帰宅したばかりであり、その疲労が残っていたのかもしれない。)。飲酒運転にしても過失によるもので、故意もしくは故意に準じるような状態ではなかった」などと弁明しているが、笑止千万である。最後に飲酒をしたのは委員会の認定事実によれば、「後半のハーフ、14番をホールアウトしたところにある売店」とあることから、午後1時前後と見られる。したがって、人身事故と伴う交通事故の発生の約3時間前にも飲酒していたことになる。また、入浴やサウナによる発汗で、アルコール濃度が抜けるなどと、非常識で根拠の伴わない釈明をしており、飲酒による身体や精神面への影響について無知ないし軽視する傾向を露呈している。

4.「飲酒運転」は「酒酔い運転」とか「酒気帯び運転」などとも呼ばれるが、そもそもこれらを仕切る限界値というものは存在しない。測定の目安として、都合上、呼気1リットルあたりのアルコール量が示されているが、本来「どんなに少量でもアルコールを摂取したらハンドルは握らない」あるいは「ハンドルを握るならアルコールは一切、口にしない」という心がけが大切な基本である。したがって、「酒酔い運転」とか「酒気帯び運転」などと都合上、言い分けられることがあっても、これらは等しく酒を飲んでの運転、「飲酒運転」に間違いない。道路交通法では「何日とも酒気を帯びて車両等を運転してはならない」(第65条第1項)と定めているのである。ドライバーの心がけひとつで防げる「飲酒運転」は、絶対あってはならない。このことは学校や地域、親などから教わって、子どもたちでも知っている。

5.飲酒運転による事故は平成12年をピークに減少を続けている。警察庁の発表によると、平成12年に飲酒運転による事故は全国で2万6280件だったが、20年には6219件と4分の1以下になっている。また、飲酒運転による死亡事故は平成12年に1276件だったが、20年には305件と大幅に減少している。

6.この背景にあると思われるのが、平成14年と19年の二度にわたる飲酒運転の罰則強化といえる。平成14年以前は酒酔い運転は「二年以下の懲役、又は十万円以下の罰金だったが、14年6月の道路交通法の改正で「三年以下の懲役、又は五十万円以下の罰金」となった。そして、19年には「五年以下の懲役、又は百万円以下の罰金」となり、厳罰化の方向が顕著である。

7.さらに。平成19年の改正では、車両の提供者に対して、運転手と同様の罰則が適用され、運転手に酒類を提供した者と、同乗した者に「三年以下の懲役、又は五十万円以下の罰金」が新たに加えられたことが注目される。

8.また、今年の6月からは飲酒運転を含む悪質・危険な運転者に対する免許取消後の欠格期間が最長5年から10年に延長される予定である。飲酒運転が確実に減少する中でのこうした厳罰化は、「飲酒運転撲滅」への社会全体の機運の高まりと多くの人の願いを反映したものといえる。

9.内閣府が平成18年10月に行なった特別世論調査でも、厳罰化を求める声が目立っている。

■交通安全に関する特別世論調査「飲酒運転について」(複数回答)※平成18年10月調査
・飲酒運転を行なった運転者に対する罰則や行政処分を強化すべき   72.8%
・交通事故現場から逃走した場合の罰則や行政処分を強化すべき    67.2%
・飲酒運転の車に同乗した者に対する罰則を強化すべき        44.1%
・運転者に酒を提供した者に対する罰則を強化すべき         43.0%
・今のままでよい(罰則等の強化は行なわなくてよい)         8.5%
・その他                              0・6%
・わからない                            0.5%
   総数(N=1,704人、M.T.=236.7%)
   出所:「交通安全に関する特別世論調査」の概要(内閣府)

10.法律のプロであり、社会的にも道徳的にも手本となるべき弁護士が、このような社会の規範を無視して、酒気を帯びながら自家用車を運転した上に、対向車と衝突事故を起こし、さらに後続車や隣接地に駐車中の車両数台およびガードレール等の物的破損のみならず、人身事故まで発生させたにもかかわらず、除名処分にすることさえできず、わずか4ヶ月の業務停止処分しか出せなかった弁護士会の対応は誠に遺憾である。妙な前例にとらわれたり、弁護士という特権意識を共有する仲間意識などがその背景にあったりするとすれば、弁護士会の対応や判断はさらに失当であるということができる。前例にとらわれず、率先して、除名処分を含む厳しい処分を課すことが、飲酒運転で人身事故を起こしてしまった所属弁護士を擁する弁護士会として、きちんと一般の人々に対して襟を正せることを示す意味で、重要なことである。

11.にもかかわらず、日弁連を含む弁護士会に功績があっただの、社会的制裁を既に受けているなどと斟酌して、業務停止4ヶ月という不当に軽い処分を下したことは、弁護士に対する一般の人々や社会からの信頼を自ら棄損する行為である。

12.繰り返すが、民間の一般の人々の場合、酒気帯び運転を起因とする自動車運転過失傷害は、即刻クビにされても仕方のない処分であり、それが常識となっている。また、公務員の場合も、懲戒免職は不可避であり、現にそうした処分が常識となっている。この度の弁護士会による業務停止4ヶ月というのは、今後も、このような甘い処分が前例となり、とりわけ対象弁護士のようなアルコールの誘惑に弱い弁護士に対して抑制力となり得ないために、再発を招きかねない危険な判断処分といえる。

13.まして、日弁連の要職まで務めて功績があったとされる弁護士だからこそ、今回の飲酒運転事故の報道に接した社会は驚き、呆れ、厳格な処分が弁護士会から下されるのを期待されていたに違いないのである。マスコミでの報道や、インターネット上での話題が、通常以上に取り上げられたことも、社会の常識によりそのようになされたものだということができる。過去の実績ではなく、日本の法曹界の要職を務めた者であるからこそ、余計に弁護士および弁護士会への信頼を裏切るような行為をしでかした者に対して、厳しく措置することが、弁護士および弁護士会に対する信頼回復と維持に不可欠なのではないか。

以上
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■日弁連には、飲酒運転撲滅と再発防止の徹底に向けて、この絶好のチャンスに、画期的な決断を期待したいものです。

【岩野谷の水と緑を守る会】
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