■14年前の平成7年(1995年)のきょう、安中市都市計画課が兼務する安中市土地開発公社内で、巨額詐欺横領事件の端緒となる、群馬銀行からの帳簿外の借入金の存在が発覚しました。
当初はよもや、横領総額が51億円以上になるとは、タゴとその近しい骨董商の友人しか思っておらず、「1億円くらい穴を開けてしまったので、自分の財産を売って埋め合わせする」などという詐欺師のタゴの言葉を真に受けていた安中市の幹部らも、その後の群銀との帳簿の突き合わせなどをしたりするうちに、10億円、20億円というふうに、あれよあれよと膨らむ横領金額に恐れおののいたのでした。
■彼らが震える声で、まず最初にやったことといえば、市役所の職員らに緘口令をひき、事件の情報をごく限られた一部の職員の間で占有し、必死で、情報のリークを防ごうとすることでした。そして、警察に被害届を出す前に、いかにして、この大事件を矮小化できるかに腐心し、地元から遠く離れた東京の弁護士をわざわざ呼んで、作戦を練ったのでした。
14年前のきょうから、タゴが懲戒免職となる5月31日まで、市役所内では、証拠隠滅の目的で、必死で書類のチェックを行い、都合の悪い書類を仕分けてやばいのは処分したのでした。また、タゴにいろいろしてもらっていた職員や政治家らは、必死でタゴを説得し、この事件の責任をすべて取ってもらう代わりに、ただひとり、みんなの罪を背負って塀の向こうに行ってもらうタゴへの恩義として、タゴ一族への協力を約したのでした。
■そして、歳月は移ろい、14年という月日が経過した今日になっても、その言葉どおり、タゴおよびタゴ一族への恩義はきちんと守られているのです。既に仮出所したとはいえ、平成8年4月8日に14年の実刑判決(未決勾留200日付き)を受けてから、今年の9月21日(推測)に、晴れて刑期を全うする予定のタゴに対して、恩義を感じている人たちが、安中市には、あまりにもたくさんいらっしゃいます。
↑きょうも元気な、タゴの親族が経営する運送会社↑
仰げば尊し、タゴの恩・・・。タゴのおかげで、立派な家を建てることができた人、妾を持てた人、骨董品をコレクションに加えられた人、土地ころがしの情報を教えてもらった人、公有地をただでわけてもらった人、こうした人たちが相当数いらっしゃったとしても、安中市の人口からすれば僅かなものです。タゴのおかげを受けた市職員らの多くは、14年前のあの世にも恐ろしい事件発覚に怯えたことは既に忘却のかなた。14年経過して、次々に満額の退職金をもらって市役所を円満退職できたうえに、市の関連施設での再雇用の恩恵にもあずかるなど、結果的には順風満帆の人生となりました。
■しかし、タゴの残した負の遺産である群馬銀行との巨額和解金は、土地開発公社の歴代の役員や職員はもとより、タゴから恩恵を受けた方々は誰一人として責任をとらず、タゴを通じて獲得した利得を返還しようともせず、全て、巨額の和解金は、結局、直接、間接、安中市民の懐を痛めることにより、捻出されてきました。
昨年12月25日で、10年間の和解金支払が終わり、民法により、10年の時効到来により、安中市は債務保証人として、安中市土地開発公社が群馬銀行に対して今後10年間和解金を毎年2000万円支払い続けることを約束しました。この一連の過程で、市議会の議決は得ておらず、市民への説明も、全部群銀との手続きが完了したあとの事後報告でした。
■一方、タゴと一緒に公社の経営に携わった岡田市長は、事件発覚後11年目で、首尾よく首長の椅子を射止めました。群銀への和解金支払継続手続きは、就任後からさっそく熱心に進めてきたのに、おなじく市長に当選後、まもなく就任した安中市土地開発公社の理事長としては、いちどもタゴに支払の督促をせず、いよいよ今月5月31日で10年間を迎えるタゴに対する損害賠償請求権の期限切れを目前にしても、債権保全のための再提訴をする気配はまったくありません。
14年前の5月31日に懲戒免職を言い渡されて市役所を去ったタゴと、公社の同じ釜の飯を食った岡田市長としては、とうてい、タゴを再提訴するなどという無慈悲(?)なことはできないのでしょうか。
■なぜなら、タゴ一族に対して、岡田市長もそれなりの恩義と貸しがあるからです。公社の監事を務めたころ、決算書から前年の繰越金500万円が忽然と消えても、平然とハンコをついた岡田市長ですから、そのことをタゴは恩義と感じているのか、それとも貸しと思っているのかは本人に聞かないと分かりませんが、少なくとも、岡田市長がタゴとの関係を語ることは、タゴの出所後はともかく、これまではまったくありませんでした。
話はかわり、昨年8月3日に、首都高5号線で、タゴの親族が経営する運送会社の保有するアポロマークをつけた大型タンクローリーが横転事故を起こし、首都高を2ヶ月あまり止める事故が起きました。それまで、タゴの親族が経営する運送会社のことは、世間では誰も知りませんでしたが、この事故により、この会社が、14年間で50台以上の車両を保有する規模に成長していたことが世間に知られることになりました。
↑タゴ一族運送会社の成長に大きく関与したといわれる大物政治家と関係の深い元請運送会社本社↑
■さらに、首都高が、昨年10月に、事故を起こしたタンクローリーを運行していた、この群馬のローカルな運送会社に対して総額45億円もの損害賠償を検討していると発表したとき、人々は、このちっぽけな運送会社が巨額の賠償金であっけなく散ってしまうに違いないと思いました。
ところが、タゴ一族のよりどころでありシンボルともいえるこの運送会社は、あれだけの大事故のあとも、何事もなかったかのように、きょうも平然と業務を続けています。アポロマークを付けたタンクローリー6台も、LPガスを効率よく運搬する出光系の赤尾商事扱いのバルク車も、同じく赤尾のLPガスシリンダを運ぶトラックも、みな元気よく走り回っています。
■タゴ事件が発覚して14年目のきょうも地元の道路を走っていると、この運送会社の主力であるタンクローリーが隣の車線から元気に追い越していきました。ふと見ると、タンクローリーの尻に名札が付いています。ふと何気なくその名札に目をやると「あれ、どこかで見覚えのある名前だな」と思い、「だけどもう一度確認してみなくては」と、アクセルを踏んで追いついてみると、やはり間違い有りません。地元に在住する方と同じ名前が、その運送会社の名前の下に書いてあります。
↑元気に道路を疾走するタゴ親族運送会社所有のローリー↑
この方は、広報あんなか平成18年6月号の「岡田市長初登庁」と題する表紙
http://www.city.annaka.gunma.jp/kouhou/pdf/pdf1806/P1.pdf にも、颯爽と市役所の玄関を入る岡田市長を、しっかりと支えるように位置しておられます。これは偶然なのでしょうか。
■岡田市長が、群馬銀行との和解金支払継続を極めて重要視する一方で、安中市土地開発公社理事長として、タゴをはじめタゴ一族に対する債権保全については、ほとんと無頓着なのはいったいどうしてでしょうか。まず、タゴやタゴ一族から、取れるものは徹底的に取り、次に、ご自身を含め、タゴ事件の関係者らから、タゴから得たさまざまな利得を安中市に還元させるように努めることが、群銀への和解金よりずっと重要なのではないでしょうか。
くしくも、あと2週間後に迫った、タゴへの損害賠償請求権を勝ち取った裁判から10年が経過する節目の日を前に、安中市民としては、タゴ事件発覚14周年記念日のきょうも、岡田市長がいつタゴの再提訴に踏み切るのか、注意深く見守るしかありません。
■一方、タゴの世話になった方々にとっては、あと4ヵ月後に迫ったタゴ出所日を迎えて、晴れて名実共に塀から外に出ることになるタゴの存在と、間もなく直面することになるわけで、タゴとの新たな付き合い方をそろそろ考えておくべき時期に入っていると言えるでしょう。
タゴ事件発覚後、14周年の節目を迎えるきょうのこの日について、この事件を追及し続けてきた当会はもとより、タンクローリーの名札の人も、タゴ一族も、タゴの世話になった市役所の職員やOB、業者、そして政治家のみなさんも含めて、タゴ事件にさまざまな観点から係わったたくさんの人たちにとって、感慨深い一日であったことでしょう。
きょうという日もあと4時間あまり。あらためて、きょうという日の意義をゆっくりと噛みしめたいと思います。
【ひらく会情報部】