■長野県小諸市諸東房134-19にある「諸簡易郵便局」を舞台にした詐欺事件で、2015年4月に日本郵便から委託契約を解除されていた元局長が、1年7カ月後の2016年11月17日に詐欺容疑で長野県警に逮捕されるというニュースが報じられました。安中市で21年前の1995年5月に発覚した市土地開発公社元職員による51.125億円の巨額詐欺横領事件に比べると5分の1にも満たない犯行額ですが、類似点について分析してみました。
↑長野県小諸市内にある犯行現場となった諸簡易郵便局。↑
郵便局は全国に約24,000局あり、このうち約4,000局が簡易郵便局です。しかし、まだ簡易郵便局が不足しているらしく、日本郵便ではホームページで「あなたの『簡易郵便局』を開きませんか」として、簡易郵便局受託者を募集しています。↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/challenge/
ちなみに首都圏では、東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、山梨県では募集している地域はないとしています。
〇簡易郵便局受託者募集地域↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/area/
ご当地の安中市内にも、17の郵便局があります。
http://map.japanpost.jp/p/search/search.htm?&cond200=1&&&his=sa1&&type=ShopA&area1=10&area2=%B0%C2%C3%E6%BB%D4&slogflg=1&areaptn=1&selnm=%B0%C2%C3%E6%BB%D4
①安中岩井郵便局(群馬県安中市岩井五反田2471-1)
②安中原市郵便局(群馬県安中市原市1-14-23)
③安中後閑郵便局(群馬県安中市中後閑695-5)
④安中上野尻郵便局(群馬県安中市安中1-19-2)
⑤安中東横野郵便局(群馬県安中市鷺宮2357-8)
⑥安中郵便局(群馬県安中市安中3-24-7)
⑦磯部郵便局(群馬県安中市磯部1-14-16)
⑧横川郵便局(群馬県安中市松井田町横川404-8)
⑨郷原簡易郵便局(群馬県安中市郷原589-1)
⑩九十九簡易郵便局(群馬県安中市松井田町国衙90-1)
⑪細野郵便局(群馬県安中市松井田町新井377-1)
⑫秋間郵便局(群馬県安中市東上秋間1513-2)
⑬松井田下町郵便局(群馬県安中市松井田町松井田695)
⑭松井田郵便局(群馬県安中市松井田町新堀1374)
⑮西横野簡易郵便局(群馬県安中市松井田町人見1036-3)
⑯中野谷簡易郵便局(群馬県安中市中野谷甲2353)
⑰板鼻郵便局(群馬県安中市板鼻2-6-8)
このように安中市内にある17局のうち簡易郵便局の名称のあるのは郷原、九十九、西横野、中野谷の4局です。しかし、板鼻郵便局は当会の知る限り現局長は筆者の同級生であり、先代の局長は筆者の高校の校長をしており、世襲となっています。また局の所在も、筆者の同級生の自宅に隣接しており、いわゆる業務委託契約形式で日本郵便と契約を結んでいることが考えられます。
また筆者の元勤務先の知人のなかには、実家が山梨県の郵便局をやっており、30代のころ、実家の郵便局を継ぐと言って勤務先を突然退職した者もおります。
■さて、今回の約8億9000万円の詐欺事件が起きた「諸(もろ)簡易郵便局」は、日本郵政のHPによると、局コード:11846、住所:〒384-0043 長野県小諸市諸134-19、取扱業務:郵便・貯金・為替・振替・生命保険、開設:1963年3月1日、そして、2015年3月2日に「一時閉鎖」されたとあります。
なぜ「永久閉鎖」でないのか、分かりませんが、「簡易郵便局の窓口を一時閉鎖いたします。詳細は以下のとおりです。 お客さまにはご不便をおかけいたしますが、窓口閉鎖中は周辺の郵便局や社員の訪問等によるサービスをご利用いただきますようお願い申し上げます。」というメッセージがJPのHPに掲載されています。
それではこの事件を報じた記事を見てみましょう。
**********NHK NEWS WEB 2016年11月17日11時52分
8億9000万円詐取か 元簡易郵便局長を逮捕
長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、顧客から800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されました。日本郵便の調査では、元局長は顧客およそ180人から合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られ、警察が被害の実態解明を進めています。
逮捕されたのは、小諸市にあった諸簡易郵便局で去年まで局長を務めていた南澤まち子容疑者(67)です。警察の調べによりますと、南澤元局長は、おととし10月から去年2月にかけて、小諸市内の60代の男性に「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、3回にわたって800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
警察によりますと、調べに対し、南澤元局長は容疑を認めているということです。日本郵便の調査で南澤元局長は、顧客の高齢者などおよそ180人に対しうその投資話を持ちかけるなど、不正な取り引きを繰り返し、およそ10年間で合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られることが明らかになっています。警察は、金の使いみちを調べるとともに、被害の実態解明を進めています。
長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が逮捕されたことについて、日本郵便信越支社は「被害を受けられたお客さまに多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。再発防止に全力で取り組んで参ります」というコメントを出しました。
**********信濃毎日新聞(信毎Web)2016年11月17日
元簡易郵便局長 強制捜査へ 県警・小諸署 詐欺容疑
小諸市の諸(もろ)簡易郵便局の局長を務めていた60代の女が、利用者に架空の金融商品を勧めて総額約8億9千万円をだまし取ったとされる問題で、県警捜査2課と小諸署は近く、この元局長について詐欺の疑いで強制捜査に入る方針を固めたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。
問題は昨年2月、同市の小諸郵便局に利用者から問い合わせがあり発覚。日本郵便信越支社(長野市)によると、元局長は発覚の10年ほど前から小諸市を中心とする利用者約180人に「半年で1割の利子が付く」などと架空の金融商品を勧め、主に諸簡易郵便局内で金を受け取っていた。1991年8月から同郵便局長だった。
問題発覚後の昨年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
同支社は昨年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除している。
**********産経ニュース2016年11月17日10:50
元簡易郵便局長を逮捕 長野、顧客の現金詐取疑い
長野県警は17日、架空の金融商品を薦めて顧客から現金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、長野県小諸市の諸簡易郵便局の局長だった無職、南沢まち子容疑者(67)を逮捕した。
日本郵便信越支社(長野市)が昨年10月、南沢容疑者が約180人から計約8億9千万円を詐取していたと発表。県警が捜査していた。
平成26年10月~昨年2月、小諸市の60代男性に高利率の金融商品があるなどと嘘を言い、3回にわたり現金810万円をだまし取ったとしている。
信越支社によると、南沢容疑者は顧客に「金を預けてくれれば半年に1割の利子を付ける」などと言っていた。17年ごろから昨年2月まで、現金詐取を繰り返していたとされる。
*********日テレNews24 2016年11月17日 13:01
元簡易郵便局長の女が詐取 被害約9億円か
長野県小諸市にある簡易郵便局で、客の男性から現金810万円をだまし取ったとして、元局長の女が逮捕された。この簡易郵便局では、過去10年間で8億9000万円の詐欺被害があったとみられている。
詐欺の疑いで逮捕されたのは、小諸市の諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)。去年2月までの4か月間、市内に住む60代の男性に「数か月で1割の利息がつく預貯金ができる」などとうその話を持ち掛け、3回にわたって現金810万円をだまし取った疑いが持たれている。容疑を認めているという。
日本郵便信越支社によると、南沢容疑者は去年3月までの約10年間に約180人の客から総額8億9000万円をだましとったとみられている。警察が余罪を追及していく方針。
**********毎日新聞2016年11月17日 11時29分(最終更新 11月17日 11時29分)
詐欺容疑 元郵便局長を逮捕 長野、客の金計8.9億円
長野県警は17日、架空の金融商品を勧めて顧客から現金をだまし取ったとして、同県上田市上野、諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)を詐欺容疑で逮捕した。日本郵便信越支社(長野市)は昨年10月、南沢容疑者が2015年2月までの約10年間で、顧客約180人から計約8億9000万円をだまし取ったと発表し、県警に告発していた。容疑を認めている。
逮捕容疑は14年10月~15年2月、同県小諸市の同郵便局で、60代の男性客に「数カ月で10%の利息が付く商品がある」などとうそをつき、3回にわたって現金810万円をだまし取ったとしている。【ガン・クリスティーナ】
**********朝日新聞2016年11月17日11時09分
元郵便局長、顧客から詐取容疑 10年間で被害9億円か 小諸市
顧客から現金約800万円をだまし取ったとして、長野県警は17日、 同県小諸市にあった諸(もろ)簡易郵便局の元局長南沢まち子容疑者(67)=同県上田市上野=を詐欺の疑いで逮捕した。 容疑を認めているという。
日本郵便の調査で、被害者は約180人、 被害額は計約8億9千万円に上ることが明らかになっており、県警は全容解明を進める。
捜査2課などによると、南沢容疑者は2014年10月から15年2月にかけて、 小諸市内に住む60代の顧客男性に「預ければ数カ月で10%の利息がつく」とうその説明をし、 3回にわたって現金計810万円を受け取り、だまし取った疑いがある。
日本郵便信越支社が昨年10月に発表した調査結果によると、 南沢容疑者は10年以上前から昨年2月下旬まで同様の詐取行為を繰り返していたという。
**********
■ネットで調べるとこの事件は2015年3月発覚していたことが判ります。そして同7月には次のネット報道がなされていました。
**********まいじつ2015.10.25 07:30
まるで映画『紙の月』…8億9千万円詐欺の郵便局元局長女性がひた隠しにした生活
まるで映画『紙の月』のような犯罪だ。
「仕事中も化粧っ気がなく、郵便局近くの自宅への行き帰りの私服も地味で、普通の近所のオバチャン。とてもじゃないが、9億円近くも騙し取った悪人には見えませんでしたよ」
こう語るのは、簡易郵便局長という身分を使い、郵便局利用者から多額の金を騙し取った女性を知る人物。
日本郵便信越支社(長野市)は10月13日、今年4月まで小諸市の諸簡易郵便局に勤めていたこの女性、南澤まち子元局長(66)が、近隣地域の顧客約180人から総額約8億9000万円もの金を騙し取っていたと発表した。10年ほど前から郵便局を訪れた客相手に「半年で1割の利子が付く」などと高利回りの架空投資話を持ちかけ、現金を受け取っていたという。
今春、顧客が別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚。社内調査に「私的に使用するための現金欲しさで騙した」と認めたという。南沢元局長は1991年8月から郵便窓口の業務を受託。今年4月に日本郵便との契約を解除された。
「元局長は母親の後を継ぎ簡易郵便局を経営していました。自分の土地に郵便局があって給料の他に賃貸料ももらっているから給料2重取りみたいなものです。それが世襲でやってるから、金には困らないのはずなのですが…。客は親の代からの人が大半で、元局長を子供の頃から知る人ばかりだったため、この架空投資話を頭から信じ込んでいたようです。少なくても100万円、多い場合は7000万円もの投資に応じた客もいたとされ、中には通帳と印鑑を長年預けっぱなしにしていた人もいたそうです」(地元紙記者)
南澤元局長は現金を預かった際、日本郵便の「預り証」を発行していたが、それを保管していた客は半数にも満たないという。
「小諸市内で生まれ育った元局長は夫との2人暮らし。その夫が経営していた会社が10年ほど前に倒産し、投資話を始めたのはちょうどその頃。そのため借金を肩代わりしたのではという話も聞きます」(近隣住民)
信越支社の事情聴取にもカネの使い道を「借金の返済と車の購入」と答えている南澤元局長だが、別の近隣住民からは、こんな話も聞こえてくる。
「彼女の自宅に入るとブランドもののバッグや高級そうな洋服が掛かっていました。小諸で買い物をすると目立つので、わざわざ車で軽井沢や上田の繁華街へ出掛けて買い物をするのだと言っていました」
発覚する直前は、被害者への支払いで自転車操業のようだったというが、それでも実質6億円強は焦げ付いたまま。詐欺容疑で刑事告訴されれば、警察の捜査で「自宅からごっそり金品が出てくるのでは」と地元では囁かれているという。
11月の日本郵政グループ上場を前に、とんでもないオバチャンの悪事が発覚したものだ。
それにしても、どうしてみんなこんなにお金持ってるのだろう。今回の事件は騙す方が悪いのは当然としても騙される方も欲深いような…。
**********
■上記の報道記事によれば、容疑者は、1991年8月から母親のあとを継ぎ同簡易郵便局を引き継ぎ、2015年4月に日本郵便との契約を解除されるまでにほぼ24年間、局長をしており、日本郵便から給料と土地の賃貸料が毎月支払われていたことになります。それだけで十分暮らして行けたはずでしょうが、なぜ詐欺に手を染めたのか、安中市のタゴ51億円事件と対比させながら検証してみます。
(1) 元局長は計約8億9千万円をだまし取っていた、と日本郵便信越支社(長野市)が、発表した。
(2) 信越支社は、すでに返済された分などを除く実質的被害は約6億円とみており、補償手続きを進めている。
(3) 信越支社の説明によると、南沢元局長は年ほど前から2015年2月下旬まで10年ほどの間、窓口に訪れた顧客に「100万円を出せば、半年で約1割の利子を支払える」などとうその説明をし、現金を受け取っていた。
(4) 現金と引き換えに、郵便貯金の手続きなどで使う「預かり証」を渡していた。
(5) 南沢元局長は調査に対して「最初は借金返済のためにだまし取った」「その顧客への支払額を調達するために別の顧客から同様の手口で現金をだまし取る行為を繰り返した末、金額が膨らんだ。」と説明している。
(6) 2015年春になって顧客が、別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚し、南沢元局長は4月に日本郵便との契約を解除された。
(7) 問題発覚後の2015年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
(8) これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
(9) 信越支社は2015年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除した。
タゴ事件との類似点は、「同一職場での長期配置」がまず挙げられます。タゴの場合も15年間も市土地開発公社に配置されていました。
続いて「発覚遅れで犯行額増大」です。監査機能が働かない、あるいは存在しないため、歯止めが利かずに犯行額が青天井で膨れ上がり、発覚した時には仰天するほどの金額になってしまいました。
さらに「正確に特定しきれていない被害額」が挙げられます。この理由はきちんとした帳簿や帳票類が存在しないことから、正確な犯行額は容疑者でされも判らないと思われます。今回の事件では約8億9000万円という犯行額だと伝えられていますが、おそらくもっと多額に違いありません。タゴ事件の場合も約51億125万円という警察の捜査結果が出ていますが、記録がなく、容疑者のおぼろげな記憶による供述をもとに適当に推測したことがうかがえます。当会ではさらに少なくとも数億円は犯行額が上乗せされるのではないかとみています。参考までに当会のチラシをご覧ください。
〇2006年安中市土地開発公社巨額詐欺横領事件(通称「タゴ51億事件」)↓
http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm
最後に「使途不明金が多額」であること。使途不明金がきちんと確認されないうちに、日本郵便では、弁護士を使って利用者にも半分は過失があるとして同社が確認した被害額の5割を補償するというふうに、被害者に持ちかけていたことは、理解に苦しみます。まず、事件発覚の時点ですぐに警察に告発し、捜査を開始して、使途不明金を可能な限り減らして、どの程度回収できるのかを確認すべきだったと思われます。
報道によれば、2015年4月に業務委託契約を解除されてからも、車を買い替えたり夫婦で遠出の旅行をしたりするなど、羽振りの良い生活が続いていたそうです。タゴ事件の場合でも、配偶者に1億円(警察の捜査結果では5000万円)、実母に300円(同140万円)、実弟の経営する運送会社に?億円(当会の推測では数億円)が流れていました。
■1995年に発覚した安中市の多胡51億円事件と言い、24億円を着服した長野市の長野県建設業厚生年金基金元事務局長の坂本事件といい、そして今回の小諸市の事件と言い、なぜか旧信越線沿線での着服事件が多いのが気になるところです。
この事件についての一般市民の感想としては、騙したほうは勿論悪いが、こんな荒唐無稽な儲け話に騙されたほうにも落ち度がある、などというコメントが意外に多くみられます。確かに一理ありますが、簡易郵便局長とは業務委託契約を交わす際に、日本郵政による条件の一つとして「社会的責任のある個人」であることが挙げられています。
したがって、今回のような詐欺横領犯的な体質をもつ人物を局長に任命した責任を抜きには、被害者に対して一律半分の補償で手打ちを持ち掛けるのは、「片手落ち」と言わざるを得ないでしょう。
【ひらく会情報部】
↑長野県小諸市内にある犯行現場となった諸簡易郵便局。↑
郵便局は全国に約24,000局あり、このうち約4,000局が簡易郵便局です。しかし、まだ簡易郵便局が不足しているらしく、日本郵便ではホームページで「あなたの『簡易郵便局』を開きませんか」として、簡易郵便局受託者を募集しています。↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/challenge/
ちなみに首都圏では、東京都、神奈川県、埼玉県、群馬県、山梨県では募集している地域はないとしています。
〇簡易郵便局受託者募集地域↓
http://www.post.japanpost.jp/owner/area/
ご当地の安中市内にも、17の郵便局があります。
http://map.japanpost.jp/p/search/search.htm?&cond200=1&&&his=sa1&&type=ShopA&area1=10&area2=%B0%C2%C3%E6%BB%D4&slogflg=1&areaptn=1&selnm=%B0%C2%C3%E6%BB%D4
①安中岩井郵便局(群馬県安中市岩井五反田2471-1)
②安中原市郵便局(群馬県安中市原市1-14-23)
③安中後閑郵便局(群馬県安中市中後閑695-5)
④安中上野尻郵便局(群馬県安中市安中1-19-2)
⑤安中東横野郵便局(群馬県安中市鷺宮2357-8)
⑥安中郵便局(群馬県安中市安中3-24-7)
⑦磯部郵便局(群馬県安中市磯部1-14-16)
⑧横川郵便局(群馬県安中市松井田町横川404-8)
⑨郷原簡易郵便局(群馬県安中市郷原589-1)
⑩九十九簡易郵便局(群馬県安中市松井田町国衙90-1)
⑪細野郵便局(群馬県安中市松井田町新井377-1)
⑫秋間郵便局(群馬県安中市東上秋間1513-2)
⑬松井田下町郵便局(群馬県安中市松井田町松井田695)
⑭松井田郵便局(群馬県安中市松井田町新堀1374)
⑮西横野簡易郵便局(群馬県安中市松井田町人見1036-3)
⑯中野谷簡易郵便局(群馬県安中市中野谷甲2353)
⑰板鼻郵便局(群馬県安中市板鼻2-6-8)
このように安中市内にある17局のうち簡易郵便局の名称のあるのは郷原、九十九、西横野、中野谷の4局です。しかし、板鼻郵便局は当会の知る限り現局長は筆者の同級生であり、先代の局長は筆者の高校の校長をしており、世襲となっています。また局の所在も、筆者の同級生の自宅に隣接しており、いわゆる業務委託契約形式で日本郵便と契約を結んでいることが考えられます。
また筆者の元勤務先の知人のなかには、実家が山梨県の郵便局をやっており、30代のころ、実家の郵便局を継ぐと言って勤務先を突然退職した者もおります。
■さて、今回の約8億9000万円の詐欺事件が起きた「諸(もろ)簡易郵便局」は、日本郵政のHPによると、局コード:11846、住所:〒384-0043 長野県小諸市諸134-19、取扱業務:郵便・貯金・為替・振替・生命保険、開設:1963年3月1日、そして、2015年3月2日に「一時閉鎖」されたとあります。
なぜ「永久閉鎖」でないのか、分かりませんが、「簡易郵便局の窓口を一時閉鎖いたします。詳細は以下のとおりです。 お客さまにはご不便をおかけいたしますが、窓口閉鎖中は周辺の郵便局や社員の訪問等によるサービスをご利用いただきますようお願い申し上げます。」というメッセージがJPのHPに掲載されています。
それではこの事件を報じた記事を見てみましょう。
**********NHK NEWS WEB 2016年11月17日11時52分
8億9000万円詐取か 元簡易郵便局長を逮捕
長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、顧客から800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いで逮捕されました。日本郵便の調査では、元局長は顧客およそ180人から合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られ、警察が被害の実態解明を進めています。
逮捕されたのは、小諸市にあった諸簡易郵便局で去年まで局長を務めていた南澤まち子容疑者(67)です。警察の調べによりますと、南澤元局長は、おととし10月から去年2月にかけて、小諸市内の60代の男性に「高い利率の商品がある」とうその話をもちかけて、3回にわたって800万円余りをだまし取ったとして、詐欺の疑いが持たれています。
警察によりますと、調べに対し、南澤元局長は容疑を認めているということです。日本郵便の調査で南澤元局長は、顧客の高齢者などおよそ180人に対しうその投資話を持ちかけるなど、不正な取り引きを繰り返し、およそ10年間で合わせて8億9000万円をだまし取っていたと見られることが明らかになっています。警察は、金の使いみちを調べるとともに、被害の実態解明を進めています。
長野県小諸市にあった簡易郵便局の元局長が逮捕されたことについて、日本郵便信越支社は「被害を受けられたお客さまに多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。再発防止に全力で取り組んで参ります」というコメントを出しました。
**********信濃毎日新聞(信毎Web)2016年11月17日
元簡易郵便局長 強制捜査へ 県警・小諸署 詐欺容疑
小諸市の諸(もろ)簡易郵便局の局長を務めていた60代の女が、利用者に架空の金融商品を勧めて総額約8億9千万円をだまし取ったとされる問題で、県警捜査2課と小諸署は近く、この元局長について詐欺の疑いで強制捜査に入る方針を固めたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。
問題は昨年2月、同市の小諸郵便局に利用者から問い合わせがあり発覚。日本郵便信越支社(長野市)によると、元局長は発覚の10年ほど前から小諸市を中心とする利用者約180人に「半年で1割の利子が付く」などと架空の金融商品を勧め、主に諸簡易郵便局内で金を受け取っていた。1991年8月から同郵便局長だった。
問題発覚後の昨年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
同支社は昨年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除している。
**********産経ニュース2016年11月17日10:50
元簡易郵便局長を逮捕 長野、顧客の現金詐取疑い
長野県警は17日、架空の金融商品を薦めて顧客から現金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、長野県小諸市の諸簡易郵便局の局長だった無職、南沢まち子容疑者(67)を逮捕した。
日本郵便信越支社(長野市)が昨年10月、南沢容疑者が約180人から計約8億9千万円を詐取していたと発表。県警が捜査していた。
平成26年10月~昨年2月、小諸市の60代男性に高利率の金融商品があるなどと嘘を言い、3回にわたり現金810万円をだまし取ったとしている。
信越支社によると、南沢容疑者は顧客に「金を預けてくれれば半年に1割の利子を付ける」などと言っていた。17年ごろから昨年2月まで、現金詐取を繰り返していたとされる。
*********日テレNews24 2016年11月17日 13:01
元簡易郵便局長の女が詐取 被害約9億円か
長野県小諸市にある簡易郵便局で、客の男性から現金810万円をだまし取ったとして、元局長の女が逮捕された。この簡易郵便局では、過去10年間で8億9000万円の詐欺被害があったとみられている。
詐欺の疑いで逮捕されたのは、小諸市の諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)。去年2月までの4か月間、市内に住む60代の男性に「数か月で1割の利息がつく預貯金ができる」などとうその話を持ち掛け、3回にわたって現金810万円をだまし取った疑いが持たれている。容疑を認めているという。
日本郵便信越支社によると、南沢容疑者は去年3月までの約10年間に約180人の客から総額8億9000万円をだましとったとみられている。警察が余罪を追及していく方針。
**********毎日新聞2016年11月17日 11時29分(最終更新 11月17日 11時29分)
詐欺容疑 元郵便局長を逮捕 長野、客の金計8.9億円
長野県警は17日、架空の金融商品を勧めて顧客から現金をだまし取ったとして、同県上田市上野、諸簡易郵便局の元局長、南沢まち子容疑者(67)を詐欺容疑で逮捕した。日本郵便信越支社(長野市)は昨年10月、南沢容疑者が2015年2月までの約10年間で、顧客約180人から計約8億9000万円をだまし取ったと発表し、県警に告発していた。容疑を認めている。
逮捕容疑は14年10月~15年2月、同県小諸市の同郵便局で、60代の男性客に「数カ月で10%の利息が付く商品がある」などとうそをつき、3回にわたって現金810万円をだまし取ったとしている。【ガン・クリスティーナ】
**********朝日新聞2016年11月17日11時09分
元郵便局長、顧客から詐取容疑 10年間で被害9億円か 小諸市
顧客から現金約800万円をだまし取ったとして、長野県警は17日、 同県小諸市にあった諸(もろ)簡易郵便局の元局長南沢まち子容疑者(67)=同県上田市上野=を詐欺の疑いで逮捕した。 容疑を認めているという。
日本郵便の調査で、被害者は約180人、 被害額は計約8億9千万円に上ることが明らかになっており、県警は全容解明を進める。
捜査2課などによると、南沢容疑者は2014年10月から15年2月にかけて、 小諸市内に住む60代の顧客男性に「預ければ数カ月で10%の利息がつく」とうその説明をし、 3回にわたって現金計810万円を受け取り、だまし取った疑いがある。
日本郵便信越支社が昨年10月に発表した調査結果によると、 南沢容疑者は10年以上前から昨年2月下旬まで同様の詐取行為を繰り返していたという。
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■ネットで調べるとこの事件は2015年3月発覚していたことが判ります。そして同7月には次のネット報道がなされていました。
**********まいじつ2015.10.25 07:30
まるで映画『紙の月』…8億9千万円詐欺の郵便局元局長女性がひた隠しにした生活
まるで映画『紙の月』のような犯罪だ。
「仕事中も化粧っ気がなく、郵便局近くの自宅への行き帰りの私服も地味で、普通の近所のオバチャン。とてもじゃないが、9億円近くも騙し取った悪人には見えませんでしたよ」
こう語るのは、簡易郵便局長という身分を使い、郵便局利用者から多額の金を騙し取った女性を知る人物。
日本郵便信越支社(長野市)は10月13日、今年4月まで小諸市の諸簡易郵便局に勤めていたこの女性、南澤まち子元局長(66)が、近隣地域の顧客約180人から総額約8億9000万円もの金を騙し取っていたと発表した。10年ほど前から郵便局を訪れた客相手に「半年で1割の利子が付く」などと高利回りの架空投資話を持ちかけ、現金を受け取っていたという。
今春、顧客が別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚。社内調査に「私的に使用するための現金欲しさで騙した」と認めたという。南沢元局長は1991年8月から郵便窓口の業務を受託。今年4月に日本郵便との契約を解除された。
「元局長は母親の後を継ぎ簡易郵便局を経営していました。自分の土地に郵便局があって給料の他に賃貸料ももらっているから給料2重取りみたいなものです。それが世襲でやってるから、金には困らないのはずなのですが…。客は親の代からの人が大半で、元局長を子供の頃から知る人ばかりだったため、この架空投資話を頭から信じ込んでいたようです。少なくても100万円、多い場合は7000万円もの投資に応じた客もいたとされ、中には通帳と印鑑を長年預けっぱなしにしていた人もいたそうです」(地元紙記者)
南澤元局長は現金を預かった際、日本郵便の「預り証」を発行していたが、それを保管していた客は半数にも満たないという。
「小諸市内で生まれ育った元局長は夫との2人暮らし。その夫が経営していた会社が10年ほど前に倒産し、投資話を始めたのはちょうどその頃。そのため借金を肩代わりしたのではという話も聞きます」(近隣住民)
信越支社の事情聴取にもカネの使い道を「借金の返済と車の購入」と答えている南澤元局長だが、別の近隣住民からは、こんな話も聞こえてくる。
「彼女の自宅に入るとブランドもののバッグや高級そうな洋服が掛かっていました。小諸で買い物をすると目立つので、わざわざ車で軽井沢や上田の繁華街へ出掛けて買い物をするのだと言っていました」
発覚する直前は、被害者への支払いで自転車操業のようだったというが、それでも実質6億円強は焦げ付いたまま。詐欺容疑で刑事告訴されれば、警察の捜査で「自宅からごっそり金品が出てくるのでは」と地元では囁かれているという。
11月の日本郵政グループ上場を前に、とんでもないオバチャンの悪事が発覚したものだ。
それにしても、どうしてみんなこんなにお金持ってるのだろう。今回の事件は騙す方が悪いのは当然としても騙される方も欲深いような…。
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■上記の報道記事によれば、容疑者は、1991年8月から母親のあとを継ぎ同簡易郵便局を引き継ぎ、2015年4月に日本郵便との契約を解除されるまでにほぼ24年間、局長をしており、日本郵便から給料と土地の賃貸料が毎月支払われていたことになります。それだけで十分暮らして行けたはずでしょうが、なぜ詐欺に手を染めたのか、安中市のタゴ51億円事件と対比させながら検証してみます。
(1) 元局長は計約8億9千万円をだまし取っていた、と日本郵便信越支社(長野市)が、発表した。
(2) 信越支社は、すでに返済された分などを除く実質的被害は約6億円とみており、補償手続きを進めている。
(3) 信越支社の説明によると、南沢元局長は年ほど前から2015年2月下旬まで10年ほどの間、窓口に訪れた顧客に「100万円を出せば、半年で約1割の利子を支払える」などとうその説明をし、現金を受け取っていた。
(4) 現金と引き換えに、郵便貯金の手続きなどで使う「預かり証」を渡していた。
(5) 南沢元局長は調査に対して「最初は借金返済のためにだまし取った」「その顧客への支払額を調達するために別の顧客から同様の手口で現金をだまし取る行為を繰り返した末、金額が膨らんだ。」と説明している。
(6) 2015年春になって顧客が、別の郵便局に問い合わせたのをきっかけに発覚し、南沢元局長は4月に日本郵便との契約を解除された。
(7) 問題発覚後の2015年7月、日本郵便の代理人弁護士は、利率が異常に高いなど「取引条件が極めて不自然」なため、利用者の側にも一部過失があるとして、同社が認定した被害額の5割を補償する条件で和解を利用者に提案した。
(8) これに対し、和解に応じた利用者がいた一方で、補償条件に応じなかった少なくとも32人が裁判や裁判外紛争解決手続き(ADR)を通じて賠償や返還を求めている。
(9) 信越支社は2015年3月に諸簡易郵便局を閉鎖し、同4月に元局長との委託契約を解除した。
タゴ事件との類似点は、「同一職場での長期配置」がまず挙げられます。タゴの場合も15年間も市土地開発公社に配置されていました。
続いて「発覚遅れで犯行額増大」です。監査機能が働かない、あるいは存在しないため、歯止めが利かずに犯行額が青天井で膨れ上がり、発覚した時には仰天するほどの金額になってしまいました。
さらに「正確に特定しきれていない被害額」が挙げられます。この理由はきちんとした帳簿や帳票類が存在しないことから、正確な犯行額は容疑者でされも判らないと思われます。今回の事件では約8億9000万円という犯行額だと伝えられていますが、おそらくもっと多額に違いありません。タゴ事件の場合も約51億125万円という警察の捜査結果が出ていますが、記録がなく、容疑者のおぼろげな記憶による供述をもとに適当に推測したことがうかがえます。当会ではさらに少なくとも数億円は犯行額が上乗せされるのではないかとみています。参考までに当会のチラシをご覧ください。
〇2006年安中市土地開発公社巨額詐欺横領事件(通称「タゴ51億事件」)↓
http://newmatsuida.web.fc2.com/madom.htm
最後に「使途不明金が多額」であること。使途不明金がきちんと確認されないうちに、日本郵便では、弁護士を使って利用者にも半分は過失があるとして同社が確認した被害額の5割を補償するというふうに、被害者に持ちかけていたことは、理解に苦しみます。まず、事件発覚の時点ですぐに警察に告発し、捜査を開始して、使途不明金を可能な限り減らして、どの程度回収できるのかを確認すべきだったと思われます。
報道によれば、2015年4月に業務委託契約を解除されてからも、車を買い替えたり夫婦で遠出の旅行をしたりするなど、羽振りの良い生活が続いていたそうです。タゴ事件の場合でも、配偶者に1億円(警察の捜査結果では5000万円)、実母に300円(同140万円)、実弟の経営する運送会社に?億円(当会の推測では数億円)が流れていました。
■1995年に発覚した安中市の多胡51億円事件と言い、24億円を着服した長野市の長野県建設業厚生年金基金元事務局長の坂本事件といい、そして今回の小諸市の事件と言い、なぜか旧信越線沿線での着服事件が多いのが気になるところです。
この事件についての一般市民の感想としては、騙したほうは勿論悪いが、こんな荒唐無稽な儲け話に騙されたほうにも落ち度がある、などというコメントが意外に多くみられます。確かに一理ありますが、簡易郵便局長とは業務委託契約を交わす際に、日本郵政による条件の一つとして「社会的責任のある個人」であることが挙げられています。
したがって、今回のような詐欺横領犯的な体質をもつ人物を局長に任命した責任を抜きには、被害者に対して一律半分の補償で手打ちを持ち掛けるのは、「片手落ち」と言わざるを得ないでしょう。
【ひらく会情報部】
不自然に同じ部署に何年もいる人
21年半前に発覚したタゴ51億円事件でも、元職員タゴは同一職場(安中市土地開発公社事務局)に15年間も配置されていました。不自然に長期間同じ部署に配置しておくことは、悪事の温床となります。もし、具体的なケースについてお気づきの場合、「拍手」ボタンをクリックして「コメント」欄でご連絡いただけますと匿名性が担保されます。
なお、来月12月25日には、タゴ事件による群銀との和解条項に基づく103年ローンのうち17回目の尻拭い金の返済2000万円が群馬銀行に対して支払われます。
この機会に、安中市に対して、同一職場に5年以上の長期配置をされている事例について、情報公開請求をしてみたいと考えております。
市政をひらく安中市民の会事務局より