■教育機関としての信頼が失墜したまま、その回復に努めようともしなかったことで出願状況が悪化していた群馬高専。その状況に鑑み、同校の舵を握る山崎校長が選んだのは、頑なに問題から目を逸らしたまま、なんと入試制度の方を大甘に改悪して書類上の数字だけ回復させるという極めて短絡的な手段でした。当会では、この非常に問題の多い入試制度大改悪について、内部でどのような手続きが行われていたのか確認するため、3月11日に次の内容の情報開示請求を提出していました。
↑群馬高専の事務部長室。↑
*****3/11群馬高専宛開示請求*****
(1)2016年10月に貴校が「校報」の人事情報を非公開としたことについて、その決定の経緯や命令者の役職・氏名に関わる一切の文書(校内会議の議事要旨・議事録・開催日程、または指示文書や記録等が想定される)。
(2)2019年度入学者選抜より、その前年度以前に比べて入試実施要項を多項目にわたり大幅に変更したことに関して、その変更の経緯・理由や検討・決定過程に関わる一切の文書。
(3)貴校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)・勤務記録データのすべて。
**********
あわせて本件の経緯は以下のリンク先記事をご覧ください。
○2019年2月4日:平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2878.html
○2019年3月19日:新年度を間近に控えた群馬高専(+長野高専)…現況やいかに?↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2907.html
なお、開示請求を見てもお分かりいただけるとおり、ついでに「校報」人事情報非公開の経緯や西尾前校長の勤務状況等についても情報を入手しておくことにしました。
■そのまま開示通知を待っていると、4月12日付で開示決定通知書と不開示決定通知書が送付されてきました。開示決定通知書の方を見ると、入試制度改変についてはズラズラと議事録等のリストが印刷されており、一応は最低限の情報が開示されることがわかりました。しかし西尾校長の当時の勤務録については、出勤状況がわかるだけで、具体的にどこに行ってどのような公務を行っていたのかを示す文書がありません。
さらに一方で、不開示決定通知書を見ると、「校報」人事情報非公開処分については、「命令が口頭で行われた」という理由で、証拠となる文書が作成されていないことが判明しました。絶対に証拠を残さない、いかにも官僚然としたやり口です。西尾前校長が群馬高専を離れてからすでに2年以上になりますが、いまだに在任当時の彼の抜け目の無さに唖然とさせられる発見は尽きません。
それでは初めに開示決定通知書を見てみましょう。
*****4/12群馬高専開示通知(抜粋)*****ZIP ⇒ 20190419ljm.zip
1 開示等する法人文書名称
(1)2019年度入学者選抜より、その前年度以前に比べて入試実施要項を多項目にわたり大幅に変更したことに関して、その変更の経緯・理由や検討・決定過程に関わる一切の文書
開示する文書:以下の会議の議事概要(要旨)のうち不開示情報を除いたもの
1-1運営委員会(平成30年5月2日開催)
1-2運営委員会(平成30年6月6日開催)
1-3運営委員会(平成30年7月4日開催)
1-4教務委員会(平成29年12月22日開催)
1-5教務委員会(平成30年1月25日開催)
1-6教務委員会(平成30年4月23日開催)
1-7教務委員会(平成30年5月14日(臨時)開催)
1-8教務委員会(平成30年5月28日開催)
1-9教務委員会(平成30年6月25日開催)
(2)本校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)・勤務記録データのすべて。
開示する文書:以下の文書のうち不開示情報を除いたもの
2-1出勤簿(平成26年)
2-2出勤簿(平成27年)
2-3出勤簿(平成28年)
2-4出勤簿(平成29年)
2-5休暇簿(年次有給休暇用)
2-6休暇簿(年次有給休暇用)
(病気体暇・特別休暇用)(平成28年)
(病気体暇・特別休暇用)(平成29年)
1 不開示とした部分とその理由
(1) 1-1運営委員会(平成30年5月2日開催)
不開示部分1:個人の特定につながる情報
理 由:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
1-2 運営委員会
不開示部分1:個人の特定につながる情報
理 由:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
不開示部分2:事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがある情報
理 由:事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがあり、法第5条第四号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
【当会注:以下、議事録の部分不開示箇所とその事由については全部上記と同一のため省略。全文は併載のPDFデータにてご確認ください】
(2) 2-1~2-4出勤簿(平成26年~29年)
不開示部分1:個人の権利利益を害するおそれがある情報
理 由:個人に関する情報であって、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
2-5~2-6休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成28年~29年)
不開示部分1:個人の権利利益を害するおそれがある情報
理 由:個人に関する情報であって、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
**********
■次に、不開示決定通知書を見てみましょう。
*****4/12群馬高専不開示通知(抜粋)*****ZIP ⇒ 20190419ljm.zip
1 不開示決定した法人文書の名称
(1) 2016年10月に群馬工業高等専門学校(以下「本校」という。) が「校報」の人事情報を非公開としたことについて、その決定の経緯や命令者の役職・氏名に関わる一切の文書(校内会議の議事要旨・議事録・開催日程、または指示文書や記録等が想定される。)
不存在
(2)本校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)。勤務記録データのすべて。
出勤簿(平成25年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成25年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成26年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成27年)
2 不開示とした理由
(1)「校報」の人事情報を非公開としたことについては、口頭で決定したことであり、文書を作成していないため。
(2)法人文書の保管期限が過ぎており廃棄を行っているため不存在。
**********
■今なお尾を引く西尾前校長の当時の悪質な隠蔽ぶりには相変わらず呆れさせられましたが、とはいえ主目的は山崎校長下で行われた入試大改変の実態を明らかにすることですので、そのまま開示を待ちました。すると、平成も残り1週間を切った4月26日に開示文書が郵送されてきました。
まず、開示された西尾前校長の出勤簿等を以下に掲載します。なお、最重要の入試方式変更に係る議事録については、後述の理由から少し下の方にまとめて掲載しています。
2-1~4 平成26-29年西尾前校長出勤簿 ZIP ⇒ 201904262142629no.zip
2-5~6 平成28, 29年西尾前校長休暇簿 ZIP ⇒ 201904262562829x.zip
■開示されてきた群馬高専の議事録を精査すると、本件に関して開催されたはずのいくつかの会議に関する議事録について、開示通知に記載がなく、開示文書にも含まれていないことが判明しました。これでは肝心な箇所が抜け落ちてしまっており、経緯をしっかりとチェックすることができません。更に、会議が進む過程や具体的に誰が関与しているのかということなど謎が多かったことから、当会では5月9日に群馬高専を令和初訪問し、本件に関して以下の質問リストを群馬高専職員に手渡しました。
*****5/9質問リスト*****
質 問 事 項
2019年5月8日
市民オンブズマン群馬
群馬高専から先日4月27日に郵送された開示資料等に関連して次の質問があります。
【質問1】
開示資料1-7「H30年度第3回臨時教務委員会議事要旨」の3枚目で、「4月11日運営委員会、4月18日教員会議」の記述があります。この2つの会議について議事録等資料の開示がなされていないのはなぜでしょうか?隠蔽しているのでなければ、速やかに追加開示して送っていただけませんでしょうか?
【質問2】
「入学者選抜基準新旧対照表」が開示資料にいくつか入っています。これら対照表の左側の案の箇所はともかく右側の「現行」の部分は実際に施行されていたものですので、ここまで黒塗りにするのはさすがにやりすぎなのではありませんか?
【質問3】
平成30年1月26日教務会議の時点で「帰国子女入試」「推薦基準」「定員」の3点までしか議題となっていなかったのに、次の4月23日にいきなり「併願」及び「第三志望制」までもが何の前触れもなく組み込まれています。この話は一体全体どこから出てきたものなのでしょうか?この3か月の間に本当に会議は一度も開かれていないのでしょうか?
【質問4】
そもそも、定員変更措置自体、誰が言い始めたことなのでしょうか?
【質問5】
「教務執行部」とは、教務委員会とはまた別のまとまりなのでしょうか?どのような位置づけにあるのでしょうか?そして、具体的にどのような編成なのでしょうか(構成員の役職および人数)?とくに、教育改革担当の校長補佐は教務執行部ないし教務委員会のメンバーであるのでしょうか?
【質問6】
西尾前校長の、単純な出勤記録でなく、具体的な業務内容(出張先や面会相手等)を記録した文書はないのでしょうか?貴学が予定管理に使っているサイボウズに当時のデータが残っているはずです。速やかにプリントアウトして追加開示していただけませんか?
(←当会注:入試改変の件とは関係ないが、あわせて質問に加えた)
【質問7】
本年4月からの新しい事務部長及び総務課長の氏名についてご教示願えませんか?
以上
**********
応対した新任の尾内総務課長と以前から在籍している村田課長補佐に質問リストを手渡し、調査のうえ10日以内にFAXで回答するよう依頼したところ、2人からは承諾をいただけました。
↑面談場所の応接室。↑
↑たまたま構内では排水設備工事中。↑
↑中庭に設置されている創立T25周年金シンボルと1987年同窓会銘板。↑
↑キャンパス内。↑
■すると、5月16日に以下の内容の返答があり、指摘した文書について開示内容に漏れがあったことを群馬高専側は率直に認めました。
*****5/16群馬高専からの回答*****
令和元年5月8日 質問事項に関する回答
【質問1】
A. ご質問いただきました内容を確認したところ、平成31年4月12日付け群総総第74-1号で開示決定を行いました法人文書のほかに本件請求文書に該当するものとして、以下に掲げる文書を保有していることが確認できましたので、これを追加して特定し、改めて開示決定いたします。
・運営委員会(平成30年4月11開催)
・教員会議(平成30年4月18日開催)
なお、追加で開示する資料(「入学試験制度改革の基本方針」)は、開示資料1-6「平成30年度第2回教務委員会議事要旨」の8枚目及び開示資料1-7「H30年度第3回臨時教務委員会議事要旨」の3枚目に記載の「入学試験制度改革の基本方針」と同じ内容です。
【質問2】
A. 具体の選抜基準は非公開としていることから不開示とさせていただきました。(情報公開法第5条第4号ハ「...試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」)
【質問3】
A. 4月11日開催の運営委員会において審議されていたことが確認出来ましたので、質問1の回答のとおり、追加開示いたします。本議題が突然出てきたように見えてしまい、誤解を招いてしまったこと、お詫び申し上げます。
【質問4】
A. 本校では、安定した入学者数を確保するための検討を継続的に行っており、その検討過程での発案です。
【質問5】
A. 教務執行部とは、教務主事、副主事、主事補のことであり、学内で通称として使用しているものです。会議等の事前打ち合せや、教務関係業務の検討を行っています。なお、規程等で明記されたものではありません。
また、校長補佐(教育改革担当)は、教務執行部及び教務委員会のメンバーではありません。
【質問6】
A. 出張については、法人文書としては、旅行命令簿や旅行報告書が該当するかと考えます。
必要であれば改めて、文書開示請求をしてください。
また、スケジュールの管理について、当時は予定をメモ書きで把握していたため、法人文書としては存在しません。
【質問7】
A. 事務部長は、亀原正美、総務課長は尾内仁志です。(すでに部長は亀原と回答済みです。総務課長は対応し、名刺をお渡しいたしました。)
**********
そこで当会では追加の開示手数料300円を振込み、迅速に不足資料を郵送するよう群馬高専に要請しました。
またここで、副産物として、群馬高専の隠蔽姿勢の強力な手足であり軸であり歯車となっていた猿田前事務部長と櫻井前総務課長(2018年度末に同時に定年退職)の後任が、それぞれ亀原正美事務部長、尾内仁志総務課長であることが判明しました。
↑面談者の名刺。↑
■しかしそこから更に時間がかかり、追加の不足資料がようやく開示されたのは回答から20日以降も経った6月10日付でのことでした。本来とっくの昔に受け取れていたはずの資料を、自分たちのミスで送っていなかったにも関わらず、誠意のカケラもない態度です。開示請求を出したのがまだ冬の残渣の残る春の初めだったのに、そこから全ての資料が出そろうまでに春が終わって初夏に突入してしまいました。
さて、入試方式変更に係る群馬高専の議事録を時系列順に並べたものは以下のとおりです。時系列順に並べ直していることから、通し番号とは順番が前後していることをご承知ください。なお、※印のついているものは前述のとおり6月10日に不足資料として追加開示されたものです。
【入試制度変更に関する校内会議の議事録】
1-4:17/12/22教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 14171222ctv.zip
1-5:18/01/25教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 15180125ctv.zip
※18/04/11運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 18041112cctv610j.zip
※18/04/18教員会議議事概要 ZIP ⇒ 180418cctv610j.zip
1-6:18/04/23教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 16180423ctv.zip
1-1:18/05/02運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 11180502cctv.zip
1-7:18/05/14教務委員会(臨時)議事概要 ZIP ⇒ 17180514cctv.zip
1-8:18/05/28教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 18180528cctv.zip
1-2:18/06/06運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 12180606cctv.zip
1-9:18/06/25教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 19180625cctv.zip
1-3:18/07/04運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 13180704cctv.zip
■では、実際に議事録を読みながら、経緯について分析してみましょう。それぞれの会議の内容やその間で起こったイベントを書き足すと、おおむね以下のような概略が見えてきます。
●17/12/22教務委員会⇒入試制度変更が初めて議題に挙がった会議。群馬県教委から志望者数減少を指摘され、「入試相談会の開催時期が少し遅かった可能性がある」という極めて苦しい理由付けをしているのが印象的。しかし、この時点では帰国子女枠の導入が決定しているのみで、推薦の基準と定員は小さく検討事項として示され、その他の事項はまだ影も形もない。
●18/01/25教務委員会⇒委員の1人から「学生の学力が低下している状況で推薦基準を緩めると、なおさら学力の低下を招くことになり、推薦基準を緩めることはやめるべき(P13)」との反対意見が出ている。推薦基準ひとつの改変ですら根強い反対論があったことをうかがわせる。この時点でもまだ、帰国子女と推薦に関する事項しか話には出ていない。また、末尾に次回は2月21日開催である旨記載があるにも関わらず、当該会議の議事録がない(⇒この件については後述)。
【この間の2月2日、一般入試出願者数が139名と過去最低を記録し、群馬高専に激震が走った(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2555.html)】
【18年4月をもって、教務主事が鶴見氏から碓氷氏に交代している】
●18/04/11運営委員会⇒ここで初めて、教務主事から第三志望制も含んだ「入学試験制度改革の5つの基本方針」が幹部に示され、承認される。しかし不思議なのは、いきなりこの基本方針なるものが湧いて出てきたように見えることである。会議資料を見ると、本県のみならず他県の受験日程ともにらめっこして何とか受験生を掠め取ろうと策を巡らせている様子が見て取れる。
●18/04/18教員会議⇒この日、入試改革の方針が教員80名の前で報告される。しかし、入試改革自体への是非や意見が問われることはなく、「入学試験制度の改革の基本方針については早急に対応する必要があることから,教務委員会において取りまとめていく」と一方的に報告しただけであることがうかがえる。つまり、入試改革を既成事実としてしまった上で、更に、現場の教職員らに意見を聞いて入試改革案を練り上げるどころか、「これから教務委員会が勝手に入試改革をでっちあげますよ」と一方的に告知したのである。その宣言通り、教員会議で入試改革に触れられたのは後にも先にもこの一度だけで、唖然とさせられる。
●18/04/23教務委員会⇒この日、教務執行部がかなり具体的な改革素案を提示し、各委員が各学科へ持ち帰り検討し、5月14日の臨時会議で決められることになったようだ。
●18/05/02運営委員会⇒教務委員会で再度詳細を詰めていく旨の報告。
●18/05/14教務委員会(臨時)⇒各学科で検討された結果を持ち寄り、改革案がほぼ現在公表されている形に固まったようである。各学科からどのような意見が出たかについては、黒塗りされてしまっており窺い知ることができない。そもそも、「各学科で検討」というのがどのように行われたかすら判然としない。教員ひとりひとりの意見がしっかり反映される形で行われたのだろうか。
●18/05/28教務委員会⇒入試改革案が固まったので、ここからは既存のルールを正式に書き換えるプロセスに話が進んでいる。
●18/06/06運営委員会・18/06/25教務委員会⇒改革案があっさりパスし、最終的な評定の場に出されることが決定した。
●18/07/04運営委員会⇒この日、改正案が運営委員会の審議で可決され、正式に制定された。夏には受験生向けに募集要項を出したり説明会を開いたりしなければならないので、相当急いだらしいことが伺えるが、ろくに学内の意見も聞かず、事実上の一部の独断でここまでの変更をやってのけてよかったのか、疑問である。
■という訳で、群馬高専の入試改革案が当時内部でどのような時系列・経緯で制定されたのか、開示された文書によっておおまかな所は明らかになりました。しかし謎も山積みでした。例えば、18年の1月25日には、テーブルの上に載っていたのは、まだ帰国子女枠や推薦基準といった比較的影響の小さい事項ばかりで、それにすら慎重論が飛び交うような情勢だったにも関わらず、年度が明けてすぐの4月11日にはいきなり、第三志望や定員変更など、とっぴもない大改変の数々が「5つの基本方針」などと銘打って既成事実のように校長も座る運営会議のテーブルの上に出されているのです。あまりに何の脈絡もないので、まだ欠けている資料があるのではないかと思い、当会では6月21日に次の質問メールを群馬高専宛に送信しました。
*****6/21追加質問メール*****
独立行政法人国立高専専門学校機構
群馬工業高等専門学校
総務課長 尾内仁志様
総務課課長補佐 村田謙一様
毎々お世話になります。
先日はご多用のところ、追加で不足資料を送っていただき厚く御礼申し上げます。
ところで、表件に関して、依然としていくつか疑問点がございます。
お手数で恐縮ですが、貴校の見解をお聞かせくださるようお願いいたします。
(1)追加文書を足しても、2018年1月25日開催の教務委員会から同年4月11日の運営委員会まで、2か月半もの文書の空白があります。
この間に運営委員会や教務委員会は開催されなかったのでしょうか? それとも、開催はされたが、本件が一切議題として挙がらなかったのでしょうか?
(2)例えば、2018年1月25日開催の教務委員会議事概要の末尾には、『次回は2月21日開催』との記載がありますが、この2月21日の会議においても確かに入試変更は議題に挙がらなかったのでしょうか?
(3)開示された資料だけでは、依然として1月25日の教務委員会の後、4月11日に就任したばかりの碓氷教務主事がいきなり運営委員会で『5つの基本方針』を何の伏線もなく出したように見えますが、本当にこの間に一切この件に関する会議は開催されていないのでしょうか?
以上、当会に対して納得のいくご説明をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■すると、6月26日に総務課長直々に返信がありました。
*****6/26回答メール*****
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
お世話になっております。
ご照会いただきました(1)~(3)につきまして,以下のとおり回答申し上げます。
(1)この間に2月21日に教務委員会,2月7日及び3月7日に運営委員会を開催いたしておりますが,確認の結果,いずれの会議においても入試制度改革に関する上程はございませんでした。
(2)前述のとおり2月21日には予定どおり教務委員会が開催されましたが,確認の結果,入試制度改革に関する上程はございませんでした。
(3)(1)に記載以外の会議等においても確認の結果,この間に入試制度改革に関し上程のあった会議はございませんでした。
なお,「4月11日に就任したばかりの碓氷教務主事がいきなり運営委員会で『5つの基本方針』を何の伏線もなく出したように見えますが」とのご意見をいただきましたが,これにつきましては,年度末にかけて校長と新旧の教務主事との間において詳細な引継ぎなどが行われ,執行部の素案として「5つの基本方針」を4月11日の運営委員会に提案し,その結果,この方針を基に検討を行うことについて承認が得られたものでございます。これを受け,その後の教務委員会において具体的な改革案について協議が進められることになりました。
以上でございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
独立行政法人国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
総務課長 尾内 仁志
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町580
Tel:027-254-9004 Fax:027-254-9022
E-mail:onai@jim.gunma-ct.ac.jp
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■というわけで、にわかには信じがたいものの、入試改革に関する資料は、開示されたもので本当にすべてであるらしいことがわかりました。回答メールをちゃんと読むと、尾内氏の「説明」も、説明したようで説明していないことだらけです。「執行部の素案として『5つの基本方針』を提案し」などとありますが、そもそもなぜ、教務執行部は誰も頼んでいない「5つの基本方針」なる代物をいつの間に作ることになっているのでしょう? なぜそんな重要な方針を策定することになった会議がひとつも開かれていないばかりか、その経緯に関する資料すら一枚も無いのでしょう?
という訳で、推薦要件の変更ですら反対論が飛び交う情勢で、このような重要事項が校長と教務主事間の口約束で勝手に動き出していたという摩訶不思議な経緯が見えてきました。では、その背景にあったものが何なのか、考えてみましょう。ポイントは、上述のとおり、「18年4月をもって、教務主事が鶴見氏から碓氷氏に交代している」「年度末にかけて校長と新旧の教務主事との間において詳細な引継ぎなどが行われた」ことです。
新教務主事となった碓氷氏が、その役に就いてたった11日で「基本方針」を考えてきたということはまずないでしょうから、「基本方針」を勝手にでっち上げてしまった主犯は前教務主事の鶴見氏、ということになります。
■実は、この鶴見智氏についての評判は芳しくなく、当会のコメント欄にもたびたび当該人物に対する不満の声が寄せられています。
↑群馬高専の教務主事・校長補佐を務め、今年度から高専機構に「栄転」した鶴見智氏。同校「学校だより」より。校長の座を狙っているものとみられる。↑
ここで予備知識を説明すると、高専教授が高専校長になるためのルートで王道なのは、教授に昇格したのちに副校長(≒主事)を併任して実績を積み、来たるべき校長審査に備えることです。また、校長になる前の「校長予約席」として、高専機構本部に栄転になることもあります。しかしこのルートの弊害として、「政治力」や「ゴマすり」といった能力だけが磨かれてしまい、思慮や人格、研究者としての見識は二の次になってしまうという問題があります。「副校長」の問題点については以下の記事の(6)(7)もご覧ください。
○2018年6月24日:【出張!オンブズマン】校長自ら警察呼んで訪問OB叩き出し?更には連続自殺に独裁体制…続・長野高専の実情↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2678.html
そして、長らく群馬高専電子情報工学科の教員を務めた鶴見氏も例に漏れずこの「副校長」でした。2014年から群馬高専教務主事、そして2018年度は校長補佐(教育改革担当)を任ぜられて、さらに情報提供によれば、なんと今年度からは高専機構本部に栄転して、校長の座に王手をかけているようです。それを示すように、群馬高専のサーバーからは彼の教員ページといった痕跡が消し去られています。
参考:鶴見氏の経歴(2016年10月のログ)https://web.archive.org/web/20161030085811/https://www.gunma-ct.ac.jp/gakka/09-03-03.htm
■これまでにも、「著作権違反など、研究者としてのモラルが疑わしい」「アカハラ・連続自殺の隠蔽に加担した可能性がある」というきな臭い報告がたびたび当会にも寄せられていましたが、これといった証拠がないこと、そして明らかな巨悪である西尾前校長・雑賀洋平教授両名の追跡と追及で手いっぱいのこともあり、遺憾ながら当会として彼に対する追及には手を出せていませんでした。アカハラ被害者の告発文書にも相談相手や上司のひとりとしてたびたび彼の名前が登場してはいますが、結局裏でアカハラ犯である雑賀氏の肩を持ったのか、それとも多少は被害者を救済すべく諫言したのか、文面から窺い知ることはできません。
しかし、「入試改革」が問題となるにあたって再度彼の影が見え隠れすることになりました。すなわち、「副校長」の持つ政治性と、鶴見氏が2か月程度という短期間のうちに、会議で決まった訳でもない「基本方針」の策定を水面下で勝手にでっち上げてきたことを併せて考えると、答えはひとつで、今回の「入試改革」は鶴見氏の校長昇進の為の実績作りが極めて大きな原動力になっていたということではないでしょうか。
つまり、群馬高専の入試制度は鶴見氏の昇進用のアピールの為にメチャクチャにいじくり回されて犠牲になった可能性が非常に高いものとみられます。そうでなければ、推薦要件変更にすら反対意見が出る中で、会議で要請されてもいないのに、2か月程度でいきなり鶴見氏が「5つの基本方針」をでっち上げてきた説明がつきません。
しかも、主事の任期があらかじめ決まっていることを考えると、話はなおさら悪質です。要するに、自分の思い付きでぶち上げた「基本方針」の行く末を、責任をもってしっかり見守ることができないと分かっているにも関わらず、主事の任期が切れる直前に「駆け込み」で出してきたわけです。「基本方針」を立ち上げたという成果さえ作れれば良いと考えたのか、基本方針に関する批判と言った面倒事も全部後任に押し付けてしまおうと考えたのか、いずれにせよ言語道断です。
そしてその後、この「基本方針」は、ろくに教員らに目を通されることも意見を聞かれることもなく既成事実化し、3か月も経たないままに正式に決定されてしまいました。
■しかしここで疑問になるのは、鶴見氏の人間性です。彼は自分が高々2か月程度の突貫工事で勝手にでっち上げてきた入試改革案が群馬高専に果たして何をもたらすのかをその目で見ることのないままに、高専機構に「栄転」してしまいました。彼が校長になったとしても、不文律で群馬高専校長になることはありませんから、この先、鶴見氏が群馬高専と関わることはもうないでしょう。
彼の「成果」が、受験生やその保護者、入試を担当する教職員を未来永劫振り回し続けることを考えれば、極めて無責任です。自分は誰にも知られないまま勝手にルールだけ作ってきて、その運用や帰結に関わりもしないままに、「成果」だけを手に群馬高専を捨てて機構に「栄転」することが無責任でなくてなんでしょうか。30年近くお世話になった群馬高専に対しての「愛校心」はないのでしょうか。校長になるための「踏み台」として使えれば何でもよいのでしょうか。
当会としては、そうした感想を抱かざるを得ませんし、また、そうした人物がゆくゆくはどこかの高専の校長となり、数千名の人生を左右していくという事実に、うすら寒いものを感じざるにはいられません。
■また、いくら鶴見氏が独断専行で入試改革の「基本方針」を誰の目にも触れさせないままでっち上げたとして、少なくとも山崎校長だけは事前にこれを把握していた(あるいは命じた)はずで、なぜこんな不透明な発端で「基本方針」にお墨付きを与えてしまったのか、疑問を感じざるを得ません。少なくとも、いかなる根拠もない「基本方針」がなぜ突如作られることになったのか、についての経緯がブラックボックスに包まれているのは、遺憾と評さざるを得ません。
以上が当会としての調査とその所感ですが、読者の皆様はいかがお感じになられたでしょうか。当会では、山崎校長が妥当かつ健全な学校運営を行っているのかどうかを確かめるため、引き続きこの件についても調査を続けていきたいと考えています。
【7/11追記】
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本記事掲載直後から、早速全国の高専関係者の方々より、メッセージ・メール等で多大な反響を頂いております。
その中で、高専内部の事情をよく知る関係者から、「鶴見氏の独断専行と言うよりも、密かに山崎氏の命を受けた鶴見氏が『入試改革基本方針』をでっち上げたのだと思います」との指摘がありました。実は、当会としても同様の理解をしています。これまた指摘の通り、「鶴見氏が主体的に『入試改革基本方針』をでっち上げたとしても、山崎氏が校長権限でNOと言えば途端に頓挫する」はずだからです。
ですから、群馬高専で長らく働いてきた現場に是非を問うこともしないまま、このような「密命」でコソコソ入試のあり方を変えてしまった山崎校長の責任は当然問われてしかるべきです。しかし一方で、「基本方針」の具体的な内容については鶴見氏の裁量に大きく依存していたのもまた事実ではないか、と当会では考えています。仮にこの基本方針が校長の腹案ならば、正々堂々校長案として会議の場に示し、トップダウンで遂行していたのではないか、と考えられるからです。
例えば鶴見氏が取ることのできた選択肢として、それまでに話が出ていた帰国子女枠や推薦要件のみを「改革案」としてもよかったでしょうし、任期終了間近なのですから急いで決めずに後任にじっくり考えさせるという手段も取れたでしょうし、教務会議や運営会議の場でしっかり他の教員たちの意見も踏まえつつ「基本方針」を練るよう山崎校長に意見具申してもよかったように思われますが、一連の経緯から彼がそうした様子を読み取ることは、残念ながらできません。少なくとも、「トップの勝手な思い付きに振り回されて、受験生の人生を左右する入試を安易にこねくり回すわけにはいかない」という、30年近く現場に携わってきた人間としての矜持と抵抗を感じ取ることはできません。
結局のところ、今回の「入試改革」は、受験生減少に焦りに焦った山崎校長と、ドラスティックな改革の提案者としての実績が欲しい鶴見氏の利害が見事に一致し、当人たちに黒いWin-Winの関係が成り立った帰結としてみることができるのではないか、と当会ではそう分析しています。入試改変が本当に受験生や学校のためになるのか、具体的にどれほどの改善が見込まれるのか、実際に受験生・中学教員や学生・現場教職員の意見やニーズはどうなのか、といったまともなエビデンスを一切参照しないままに、結論ありきの問答無用で杜撰な「改革」が推し進められたことが明らかな以上、二人は目先の私的な利益だけを考えて群馬高専史に残る最低の改悪を行った「共犯」の評価を免れることはできません。
よって、どちらが悪い、悪くないという話ではなく、「両名とも」しっかりと糾弾の対象とされてしかるべきです。そして、すでに一応はこれまで散々追及が行われ、仮にも群馬高専の責任者であり入試改革の帰結を背負う山崎校長の一方で、やりたい放題やった挙句、群馬高専を踏み台に高専機構に華々しく栄転した無責任な高専校長候補・鶴見氏については、集中的に焦点を当てていきたいと考えています。
ところで、「基本方針」が既成事実となった後に「各学科で持ち帰り検討」となっていることにも高専関係者から指摘があり、曰く、「『各学科で検討』とありますが、他高専の場合も執行部で予め決まった感じの事柄を、ガス抜きも兼ね『学科に持ち帰って検討した』という既成事実を作って、その後正式決定と言うことをよくしています。執行部の間で予め決まった感じになっているので、学科で何を言っても無駄なことが多々あります」とのことです。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑群馬高専の事務部長室。↑
*****3/11群馬高専宛開示請求*****
(1)2016年10月に貴校が「校報」の人事情報を非公開としたことについて、その決定の経緯や命令者の役職・氏名に関わる一切の文書(校内会議の議事要旨・議事録・開催日程、または指示文書や記録等が想定される)。
(2)2019年度入学者選抜より、その前年度以前に比べて入試実施要項を多項目にわたり大幅に変更したことに関して、その変更の経緯・理由や検討・決定過程に関わる一切の文書。
(3)貴校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)・勤務記録データのすべて。
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あわせて本件の経緯は以下のリンク先記事をご覧ください。
○2019年2月4日:平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2878.html
○2019年3月19日:新年度を間近に控えた群馬高専(+長野高専)…現況やいかに?↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2907.html
なお、開示請求を見てもお分かりいただけるとおり、ついでに「校報」人事情報非公開の経緯や西尾前校長の勤務状況等についても情報を入手しておくことにしました。
■そのまま開示通知を待っていると、4月12日付で開示決定通知書と不開示決定通知書が送付されてきました。開示決定通知書の方を見ると、入試制度改変についてはズラズラと議事録等のリストが印刷されており、一応は最低限の情報が開示されることがわかりました。しかし西尾校長の当時の勤務録については、出勤状況がわかるだけで、具体的にどこに行ってどのような公務を行っていたのかを示す文書がありません。
さらに一方で、不開示決定通知書を見ると、「校報」人事情報非公開処分については、「命令が口頭で行われた」という理由で、証拠となる文書が作成されていないことが判明しました。絶対に証拠を残さない、いかにも官僚然としたやり口です。西尾前校長が群馬高専を離れてからすでに2年以上になりますが、いまだに在任当時の彼の抜け目の無さに唖然とさせられる発見は尽きません。
それでは初めに開示決定通知書を見てみましょう。
*****4/12群馬高専開示通知(抜粋)*****ZIP ⇒ 20190419ljm.zip
1 開示等する法人文書名称
(1)2019年度入学者選抜より、その前年度以前に比べて入試実施要項を多項目にわたり大幅に変更したことに関して、その変更の経緯・理由や検討・決定過程に関わる一切の文書
開示する文書:以下の会議の議事概要(要旨)のうち不開示情報を除いたもの
1-1運営委員会(平成30年5月2日開催)
1-2運営委員会(平成30年6月6日開催)
1-3運営委員会(平成30年7月4日開催)
1-4教務委員会(平成29年12月22日開催)
1-5教務委員会(平成30年1月25日開催)
1-6教務委員会(平成30年4月23日開催)
1-7教務委員会(平成30年5月14日(臨時)開催)
1-8教務委員会(平成30年5月28日開催)
1-9教務委員会(平成30年6月25日開催)
(2)本校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)・勤務記録データのすべて。
開示する文書:以下の文書のうち不開示情報を除いたもの
2-1出勤簿(平成26年)
2-2出勤簿(平成27年)
2-3出勤簿(平成28年)
2-4出勤簿(平成29年)
2-5休暇簿(年次有給休暇用)
2-6休暇簿(年次有給休暇用)
(病気体暇・特別休暇用)(平成28年)
(病気体暇・特別休暇用)(平成29年)
1 不開示とした部分とその理由
(1) 1-1運営委員会(平成30年5月2日開催)
不開示部分1:個人の特定につながる情報
理 由:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
1-2 運営委員会
不開示部分1:個人の特定につながる情報
理 由:個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものであるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
不開示部分2:事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがある情報
理 由:事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがあり、法第5条第四号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
【当会注:以下、議事録の部分不開示箇所とその事由については全部上記と同一のため省略。全文は併載のPDFデータにてご確認ください】
(2) 2-1~2-4出勤簿(平成26年~29年)
不開示部分1:個人の権利利益を害するおそれがある情報
理 由:個人に関する情報であって、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
2-5~2-6休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成28年~29年)
不開示部分1:個人の権利利益を害するおそれがある情報
理 由:個人に関する情報であって、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるため、法第5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず、不開示とすることが相当。
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■次に、不開示決定通知書を見てみましょう。
*****4/12群馬高専不開示通知(抜粋)*****ZIP ⇒ 20190419ljm.zip
1 不開示決定した法人文書の名称
(1) 2016年10月に群馬工業高等専門学校(以下「本校」という。) が「校報」の人事情報を非公開としたことについて、その決定の経緯や命令者の役職・氏名に関わる一切の文書(校内会議の議事要旨・議事録・開催日程、または指示文書や記録等が想定される。)
不存在
(2)本校の西尾典眞前校長に関して、就任から退職までの予定表(スケジュール)。勤務記録データのすべて。
出勤簿(平成25年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成25年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成26年)
休暇簿(年次有給休暇用)(病気休暇・特別休暇用)(平成27年)
2 不開示とした理由
(1)「校報」の人事情報を非公開としたことについては、口頭で決定したことであり、文書を作成していないため。
(2)法人文書の保管期限が過ぎており廃棄を行っているため不存在。
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■今なお尾を引く西尾前校長の当時の悪質な隠蔽ぶりには相変わらず呆れさせられましたが、とはいえ主目的は山崎校長下で行われた入試大改変の実態を明らかにすることですので、そのまま開示を待ちました。すると、平成も残り1週間を切った4月26日に開示文書が郵送されてきました。
まず、開示された西尾前校長の出勤簿等を以下に掲載します。なお、最重要の入試方式変更に係る議事録については、後述の理由から少し下の方にまとめて掲載しています。
2-1~4 平成26-29年西尾前校長出勤簿 ZIP ⇒ 201904262142629no.zip
2-5~6 平成28, 29年西尾前校長休暇簿 ZIP ⇒ 201904262562829x.zip
■開示されてきた群馬高専の議事録を精査すると、本件に関して開催されたはずのいくつかの会議に関する議事録について、開示通知に記載がなく、開示文書にも含まれていないことが判明しました。これでは肝心な箇所が抜け落ちてしまっており、経緯をしっかりとチェックすることができません。更に、会議が進む過程や具体的に誰が関与しているのかということなど謎が多かったことから、当会では5月9日に群馬高専を令和初訪問し、本件に関して以下の質問リストを群馬高専職員に手渡しました。
*****5/9質問リスト*****
質 問 事 項
2019年5月8日
市民オンブズマン群馬
群馬高専から先日4月27日に郵送された開示資料等に関連して次の質問があります。
【質問1】
開示資料1-7「H30年度第3回臨時教務委員会議事要旨」の3枚目で、「4月11日運営委員会、4月18日教員会議」の記述があります。この2つの会議について議事録等資料の開示がなされていないのはなぜでしょうか?隠蔽しているのでなければ、速やかに追加開示して送っていただけませんでしょうか?
【質問2】
「入学者選抜基準新旧対照表」が開示資料にいくつか入っています。これら対照表の左側の案の箇所はともかく右側の「現行」の部分は実際に施行されていたものですので、ここまで黒塗りにするのはさすがにやりすぎなのではありませんか?
【質問3】
平成30年1月26日教務会議の時点で「帰国子女入試」「推薦基準」「定員」の3点までしか議題となっていなかったのに、次の4月23日にいきなり「併願」及び「第三志望制」までもが何の前触れもなく組み込まれています。この話は一体全体どこから出てきたものなのでしょうか?この3か月の間に本当に会議は一度も開かれていないのでしょうか?
【質問4】
そもそも、定員変更措置自体、誰が言い始めたことなのでしょうか?
【質問5】
「教務執行部」とは、教務委員会とはまた別のまとまりなのでしょうか?どのような位置づけにあるのでしょうか?そして、具体的にどのような編成なのでしょうか(構成員の役職および人数)?とくに、教育改革担当の校長補佐は教務執行部ないし教務委員会のメンバーであるのでしょうか?
【質問6】
西尾前校長の、単純な出勤記録でなく、具体的な業務内容(出張先や面会相手等)を記録した文書はないのでしょうか?貴学が予定管理に使っているサイボウズに当時のデータが残っているはずです。速やかにプリントアウトして追加開示していただけませんか?
(←当会注:入試改変の件とは関係ないが、あわせて質問に加えた)
【質問7】
本年4月からの新しい事務部長及び総務課長の氏名についてご教示願えませんか?
以上
**********
応対した新任の尾内総務課長と以前から在籍している村田課長補佐に質問リストを手渡し、調査のうえ10日以内にFAXで回答するよう依頼したところ、2人からは承諾をいただけました。
↑面談場所の応接室。↑
↑たまたま構内では排水設備工事中。↑
↑中庭に設置されている創立T25周年金シンボルと1987年同窓会銘板。↑
↑キャンパス内。↑
■すると、5月16日に以下の内容の返答があり、指摘した文書について開示内容に漏れがあったことを群馬高専側は率直に認めました。
*****5/16群馬高専からの回答*****
令和元年5月8日 質問事項に関する回答
【質問1】
A. ご質問いただきました内容を確認したところ、平成31年4月12日付け群総総第74-1号で開示決定を行いました法人文書のほかに本件請求文書に該当するものとして、以下に掲げる文書を保有していることが確認できましたので、これを追加して特定し、改めて開示決定いたします。
・運営委員会(平成30年4月11開催)
・教員会議(平成30年4月18日開催)
なお、追加で開示する資料(「入学試験制度改革の基本方針」)は、開示資料1-6「平成30年度第2回教務委員会議事要旨」の8枚目及び開示資料1-7「H30年度第3回臨時教務委員会議事要旨」の3枚目に記載の「入学試験制度改革の基本方針」と同じ内容です。
【質問2】
A. 具体の選抜基準は非公開としていることから不開示とさせていただきました。(情報公開法第5条第4号ハ「...試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」)
【質問3】
A. 4月11日開催の運営委員会において審議されていたことが確認出来ましたので、質問1の回答のとおり、追加開示いたします。本議題が突然出てきたように見えてしまい、誤解を招いてしまったこと、お詫び申し上げます。
【質問4】
A. 本校では、安定した入学者数を確保するための検討を継続的に行っており、その検討過程での発案です。
【質問5】
A. 教務執行部とは、教務主事、副主事、主事補のことであり、学内で通称として使用しているものです。会議等の事前打ち合せや、教務関係業務の検討を行っています。なお、規程等で明記されたものではありません。
また、校長補佐(教育改革担当)は、教務執行部及び教務委員会のメンバーではありません。
【質問6】
A. 出張については、法人文書としては、旅行命令簿や旅行報告書が該当するかと考えます。
必要であれば改めて、文書開示請求をしてください。
また、スケジュールの管理について、当時は予定をメモ書きで把握していたため、法人文書としては存在しません。
【質問7】
A. 事務部長は、亀原正美、総務課長は尾内仁志です。(すでに部長は亀原と回答済みです。総務課長は対応し、名刺をお渡しいたしました。)
**********
そこで当会では追加の開示手数料300円を振込み、迅速に不足資料を郵送するよう群馬高専に要請しました。
またここで、副産物として、群馬高専の隠蔽姿勢の強力な手足であり軸であり歯車となっていた猿田前事務部長と櫻井前総務課長(2018年度末に同時に定年退職)の後任が、それぞれ亀原正美事務部長、尾内仁志総務課長であることが判明しました。
↑面談者の名刺。↑
■しかしそこから更に時間がかかり、追加の不足資料がようやく開示されたのは回答から20日以降も経った6月10日付でのことでした。本来とっくの昔に受け取れていたはずの資料を、自分たちのミスで送っていなかったにも関わらず、誠意のカケラもない態度です。開示請求を出したのがまだ冬の残渣の残る春の初めだったのに、そこから全ての資料が出そろうまでに春が終わって初夏に突入してしまいました。
さて、入試方式変更に係る群馬高専の議事録を時系列順に並べたものは以下のとおりです。時系列順に並べ直していることから、通し番号とは順番が前後していることをご承知ください。なお、※印のついているものは前述のとおり6月10日に不足資料として追加開示されたものです。
【入試制度変更に関する校内会議の議事録】
1-4:17/12/22教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 14171222ctv.zip
1-5:18/01/25教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 15180125ctv.zip
※18/04/11運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 18041112cctv610j.zip
※18/04/18教員会議議事概要 ZIP ⇒ 180418cctv610j.zip
1-6:18/04/23教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 16180423ctv.zip
1-1:18/05/02運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 11180502cctv.zip
1-7:18/05/14教務委員会(臨時)議事概要 ZIP ⇒ 17180514cctv.zip
1-8:18/05/28教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 18180528cctv.zip
1-2:18/06/06運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 12180606cctv.zip
1-9:18/06/25教務委員会議事概要 ZIP ⇒ 19180625cctv.zip
1-3:18/07/04運営委員会議事概要 ZIP ⇒ 13180704cctv.zip
■では、実際に議事録を読みながら、経緯について分析してみましょう。それぞれの会議の内容やその間で起こったイベントを書き足すと、おおむね以下のような概略が見えてきます。
●17/12/22教務委員会⇒入試制度変更が初めて議題に挙がった会議。群馬県教委から志望者数減少を指摘され、「入試相談会の開催時期が少し遅かった可能性がある」という極めて苦しい理由付けをしているのが印象的。しかし、この時点では帰国子女枠の導入が決定しているのみで、推薦の基準と定員は小さく検討事項として示され、その他の事項はまだ影も形もない。
●18/01/25教務委員会⇒委員の1人から「学生の学力が低下している状況で推薦基準を緩めると、なおさら学力の低下を招くことになり、推薦基準を緩めることはやめるべき(P13)」との反対意見が出ている。推薦基準ひとつの改変ですら根強い反対論があったことをうかがわせる。この時点でもまだ、帰国子女と推薦に関する事項しか話には出ていない。また、末尾に次回は2月21日開催である旨記載があるにも関わらず、当該会議の議事録がない(⇒この件については後述)。
【この間の2月2日、一般入試出願者数が139名と過去最低を記録し、群馬高専に激震が走った(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2555.html)】
【18年4月をもって、教務主事が鶴見氏から碓氷氏に交代している】
●18/04/11運営委員会⇒ここで初めて、教務主事から第三志望制も含んだ「入学試験制度改革の5つの基本方針」が幹部に示され、承認される。しかし不思議なのは、いきなりこの基本方針なるものが湧いて出てきたように見えることである。会議資料を見ると、本県のみならず他県の受験日程ともにらめっこして何とか受験生を掠め取ろうと策を巡らせている様子が見て取れる。
●18/04/18教員会議⇒この日、入試改革の方針が教員80名の前で報告される。しかし、入試改革自体への是非や意見が問われることはなく、「入学試験制度の改革の基本方針については早急に対応する必要があることから,教務委員会において取りまとめていく」と一方的に報告しただけであることがうかがえる。つまり、入試改革を既成事実としてしまった上で、更に、現場の教職員らに意見を聞いて入試改革案を練り上げるどころか、「これから教務委員会が勝手に入試改革をでっちあげますよ」と一方的に告知したのである。その宣言通り、教員会議で入試改革に触れられたのは後にも先にもこの一度だけで、唖然とさせられる。
●18/04/23教務委員会⇒この日、教務執行部がかなり具体的な改革素案を提示し、各委員が各学科へ持ち帰り検討し、5月14日の臨時会議で決められることになったようだ。
●18/05/02運営委員会⇒教務委員会で再度詳細を詰めていく旨の報告。
●18/05/14教務委員会(臨時)⇒各学科で検討された結果を持ち寄り、改革案がほぼ現在公表されている形に固まったようである。各学科からどのような意見が出たかについては、黒塗りされてしまっており窺い知ることができない。そもそも、「各学科で検討」というのがどのように行われたかすら判然としない。教員ひとりひとりの意見がしっかり反映される形で行われたのだろうか。
●18/05/28教務委員会⇒入試改革案が固まったので、ここからは既存のルールを正式に書き換えるプロセスに話が進んでいる。
●18/06/06運営委員会・18/06/25教務委員会⇒改革案があっさりパスし、最終的な評定の場に出されることが決定した。
●18/07/04運営委員会⇒この日、改正案が運営委員会の審議で可決され、正式に制定された。夏には受験生向けに募集要項を出したり説明会を開いたりしなければならないので、相当急いだらしいことが伺えるが、ろくに学内の意見も聞かず、事実上の一部の独断でここまでの変更をやってのけてよかったのか、疑問である。
■という訳で、群馬高専の入試改革案が当時内部でどのような時系列・経緯で制定されたのか、開示された文書によっておおまかな所は明らかになりました。しかし謎も山積みでした。例えば、18年の1月25日には、テーブルの上に載っていたのは、まだ帰国子女枠や推薦基準といった比較的影響の小さい事項ばかりで、それにすら慎重論が飛び交うような情勢だったにも関わらず、年度が明けてすぐの4月11日にはいきなり、第三志望や定員変更など、とっぴもない大改変の数々が「5つの基本方針」などと銘打って既成事実のように校長も座る運営会議のテーブルの上に出されているのです。あまりに何の脈絡もないので、まだ欠けている資料があるのではないかと思い、当会では6月21日に次の質問メールを群馬高専宛に送信しました。
*****6/21追加質問メール*****
独立行政法人国立高専専門学校機構
群馬工業高等専門学校
総務課長 尾内仁志様
総務課課長補佐 村田謙一様
毎々お世話になります。
先日はご多用のところ、追加で不足資料を送っていただき厚く御礼申し上げます。
ところで、表件に関して、依然としていくつか疑問点がございます。
お手数で恐縮ですが、貴校の見解をお聞かせくださるようお願いいたします。
(1)追加文書を足しても、2018年1月25日開催の教務委員会から同年4月11日の運営委員会まで、2か月半もの文書の空白があります。
この間に運営委員会や教務委員会は開催されなかったのでしょうか? それとも、開催はされたが、本件が一切議題として挙がらなかったのでしょうか?
(2)例えば、2018年1月25日開催の教務委員会議事概要の末尾には、『次回は2月21日開催』との記載がありますが、この2月21日の会議においても確かに入試変更は議題に挙がらなかったのでしょうか?
(3)開示された資料だけでは、依然として1月25日の教務委員会の後、4月11日に就任したばかりの碓氷教務主事がいきなり運営委員会で『5つの基本方針』を何の伏線もなく出したように見えますが、本当にこの間に一切この件に関する会議は開催されていないのでしょうか?
以上、当会に対して納得のいくご説明をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
市民オンブズマン群馬
代表 小川賢
**********
■すると、6月26日に総務課長直々に返信がありました。
*****6/26回答メール*****
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
お世話になっております。
ご照会いただきました(1)~(3)につきまして,以下のとおり回答申し上げます。
(1)この間に2月21日に教務委員会,2月7日及び3月7日に運営委員会を開催いたしておりますが,確認の結果,いずれの会議においても入試制度改革に関する上程はございませんでした。
(2)前述のとおり2月21日には予定どおり教務委員会が開催されましたが,確認の結果,入試制度改革に関する上程はございませんでした。
(3)(1)に記載以外の会議等においても確認の結果,この間に入試制度改革に関し上程のあった会議はございませんでした。
なお,「4月11日に就任したばかりの碓氷教務主事がいきなり運営委員会で『5つの基本方針』を何の伏線もなく出したように見えますが」とのご意見をいただきましたが,これにつきましては,年度末にかけて校長と新旧の教務主事との間において詳細な引継ぎなどが行われ,執行部の素案として「5つの基本方針」を4月11日の運営委員会に提案し,その結果,この方針を基に検討を行うことについて承認が得られたものでございます。これを受け,その後の教務委員会において具体的な改革案について協議が進められることになりました。
以上でございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
独立行政法人国立高等専門学校機構
群馬工業高等専門学校
総務課長 尾内 仁志
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町580
Tel:027-254-9004 Fax:027-254-9022
E-mail:onai@jim.gunma-ct.ac.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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■というわけで、にわかには信じがたいものの、入試改革に関する資料は、開示されたもので本当にすべてであるらしいことがわかりました。回答メールをちゃんと読むと、尾内氏の「説明」も、説明したようで説明していないことだらけです。「執行部の素案として『5つの基本方針』を提案し」などとありますが、そもそもなぜ、教務執行部は誰も頼んでいない「5つの基本方針」なる代物をいつの間に作ることになっているのでしょう? なぜそんな重要な方針を策定することになった会議がひとつも開かれていないばかりか、その経緯に関する資料すら一枚も無いのでしょう?
という訳で、推薦要件の変更ですら反対論が飛び交う情勢で、このような重要事項が校長と教務主事間の口約束で勝手に動き出していたという摩訶不思議な経緯が見えてきました。では、その背景にあったものが何なのか、考えてみましょう。ポイントは、上述のとおり、「18年4月をもって、教務主事が鶴見氏から碓氷氏に交代している」「年度末にかけて校長と新旧の教務主事との間において詳細な引継ぎなどが行われた」ことです。
新教務主事となった碓氷氏が、その役に就いてたった11日で「基本方針」を考えてきたということはまずないでしょうから、「基本方針」を勝手にでっち上げてしまった主犯は前教務主事の鶴見氏、ということになります。
■実は、この鶴見智氏についての評判は芳しくなく、当会のコメント欄にもたびたび当該人物に対する不満の声が寄せられています。
↑群馬高専の教務主事・校長補佐を務め、今年度から高専機構に「栄転」した鶴見智氏。同校「学校だより」より。校長の座を狙っているものとみられる。↑
ここで予備知識を説明すると、高専教授が高専校長になるためのルートで王道なのは、教授に昇格したのちに副校長(≒主事)を併任して実績を積み、来たるべき校長審査に備えることです。また、校長になる前の「校長予約席」として、高専機構本部に栄転になることもあります。しかしこのルートの弊害として、「政治力」や「ゴマすり」といった能力だけが磨かれてしまい、思慮や人格、研究者としての見識は二の次になってしまうという問題があります。「副校長」の問題点については以下の記事の(6)(7)もご覧ください。
○2018年6月24日:【出張!オンブズマン】校長自ら警察呼んで訪問OB叩き出し?更には連続自殺に独裁体制…続・長野高専の実情↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2678.html
そして、長らく群馬高専電子情報工学科の教員を務めた鶴見氏も例に漏れずこの「副校長」でした。2014年から群馬高専教務主事、そして2018年度は校長補佐(教育改革担当)を任ぜられて、さらに情報提供によれば、なんと今年度からは高専機構本部に栄転して、校長の座に王手をかけているようです。それを示すように、群馬高専のサーバーからは彼の教員ページといった痕跡が消し去られています。
参考:鶴見氏の経歴(2016年10月のログ)https://web.archive.org/web/20161030085811/https://www.gunma-ct.ac.jp/gakka/09-03-03.htm
■これまでにも、「著作権違反など、研究者としてのモラルが疑わしい」「アカハラ・連続自殺の隠蔽に加担した可能性がある」というきな臭い報告がたびたび当会にも寄せられていましたが、これといった証拠がないこと、そして明らかな巨悪である西尾前校長・雑賀洋平教授両名の追跡と追及で手いっぱいのこともあり、遺憾ながら当会として彼に対する追及には手を出せていませんでした。アカハラ被害者の告発文書にも相談相手や上司のひとりとしてたびたび彼の名前が登場してはいますが、結局裏でアカハラ犯である雑賀氏の肩を持ったのか、それとも多少は被害者を救済すべく諫言したのか、文面から窺い知ることはできません。
しかし、「入試改革」が問題となるにあたって再度彼の影が見え隠れすることになりました。すなわち、「副校長」の持つ政治性と、鶴見氏が2か月程度という短期間のうちに、会議で決まった訳でもない「基本方針」の策定を水面下で勝手にでっち上げてきたことを併せて考えると、答えはひとつで、今回の「入試改革」は鶴見氏の校長昇進の為の実績作りが極めて大きな原動力になっていたということではないでしょうか。
つまり、群馬高専の入試制度は鶴見氏の昇進用のアピールの為にメチャクチャにいじくり回されて犠牲になった可能性が非常に高いものとみられます。そうでなければ、推薦要件変更にすら反対意見が出る中で、会議で要請されてもいないのに、2か月程度でいきなり鶴見氏が「5つの基本方針」をでっち上げてきた説明がつきません。
しかも、主事の任期があらかじめ決まっていることを考えると、話はなおさら悪質です。要するに、自分の思い付きでぶち上げた「基本方針」の行く末を、責任をもってしっかり見守ることができないと分かっているにも関わらず、主事の任期が切れる直前に「駆け込み」で出してきたわけです。「基本方針」を立ち上げたという成果さえ作れれば良いと考えたのか、基本方針に関する批判と言った面倒事も全部後任に押し付けてしまおうと考えたのか、いずれにせよ言語道断です。
そしてその後、この「基本方針」は、ろくに教員らに目を通されることも意見を聞かれることもなく既成事実化し、3か月も経たないままに正式に決定されてしまいました。
■しかしここで疑問になるのは、鶴見氏の人間性です。彼は自分が高々2か月程度の突貫工事で勝手にでっち上げてきた入試改革案が群馬高専に果たして何をもたらすのかをその目で見ることのないままに、高専機構に「栄転」してしまいました。彼が校長になったとしても、不文律で群馬高専校長になることはありませんから、この先、鶴見氏が群馬高専と関わることはもうないでしょう。
彼の「成果」が、受験生やその保護者、入試を担当する教職員を未来永劫振り回し続けることを考えれば、極めて無責任です。自分は誰にも知られないまま勝手にルールだけ作ってきて、その運用や帰結に関わりもしないままに、「成果」だけを手に群馬高専を捨てて機構に「栄転」することが無責任でなくてなんでしょうか。30年近くお世話になった群馬高専に対しての「愛校心」はないのでしょうか。校長になるための「踏み台」として使えれば何でもよいのでしょうか。
当会としては、そうした感想を抱かざるを得ませんし、また、そうした人物がゆくゆくはどこかの高専の校長となり、数千名の人生を左右していくという事実に、うすら寒いものを感じざるにはいられません。
■また、いくら鶴見氏が独断専行で入試改革の「基本方針」を誰の目にも触れさせないままでっち上げたとして、少なくとも山崎校長だけは事前にこれを把握していた(あるいは命じた)はずで、なぜこんな不透明な発端で「基本方針」にお墨付きを与えてしまったのか、疑問を感じざるを得ません。少なくとも、いかなる根拠もない「基本方針」がなぜ突如作られることになったのか、についての経緯がブラックボックスに包まれているのは、遺憾と評さざるを得ません。
以上が当会としての調査とその所感ですが、読者の皆様はいかがお感じになられたでしょうか。当会では、山崎校長が妥当かつ健全な学校運営を行っているのかどうかを確かめるため、引き続きこの件についても調査を続けていきたいと考えています。
【7/11追記】
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本記事掲載直後から、早速全国の高専関係者の方々より、メッセージ・メール等で多大な反響を頂いております。
その中で、高専内部の事情をよく知る関係者から、「鶴見氏の独断専行と言うよりも、密かに山崎氏の命を受けた鶴見氏が『入試改革基本方針』をでっち上げたのだと思います」との指摘がありました。実は、当会としても同様の理解をしています。これまた指摘の通り、「鶴見氏が主体的に『入試改革基本方針』をでっち上げたとしても、山崎氏が校長権限でNOと言えば途端に頓挫する」はずだからです。
ですから、群馬高専で長らく働いてきた現場に是非を問うこともしないまま、このような「密命」でコソコソ入試のあり方を変えてしまった山崎校長の責任は当然問われてしかるべきです。しかし一方で、「基本方針」の具体的な内容については鶴見氏の裁量に大きく依存していたのもまた事実ではないか、と当会では考えています。仮にこの基本方針が校長の腹案ならば、正々堂々校長案として会議の場に示し、トップダウンで遂行していたのではないか、と考えられるからです。
例えば鶴見氏が取ることのできた選択肢として、それまでに話が出ていた帰国子女枠や推薦要件のみを「改革案」としてもよかったでしょうし、任期終了間近なのですから急いで決めずに後任にじっくり考えさせるという手段も取れたでしょうし、教務会議や運営会議の場でしっかり他の教員たちの意見も踏まえつつ「基本方針」を練るよう山崎校長に意見具申してもよかったように思われますが、一連の経緯から彼がそうした様子を読み取ることは、残念ながらできません。少なくとも、「トップの勝手な思い付きに振り回されて、受験生の人生を左右する入試を安易にこねくり回すわけにはいかない」という、30年近く現場に携わってきた人間としての矜持と抵抗を感じ取ることはできません。
結局のところ、今回の「入試改革」は、受験生減少に焦りに焦った山崎校長と、ドラスティックな改革の提案者としての実績が欲しい鶴見氏の利害が見事に一致し、当人たちに黒いWin-Winの関係が成り立った帰結としてみることができるのではないか、と当会ではそう分析しています。入試改変が本当に受験生や学校のためになるのか、具体的にどれほどの改善が見込まれるのか、実際に受験生・中学教員や学生・現場教職員の意見やニーズはどうなのか、といったまともなエビデンスを一切参照しないままに、結論ありきの問答無用で杜撰な「改革」が推し進められたことが明らかな以上、二人は目先の私的な利益だけを考えて群馬高専史に残る最低の改悪を行った「共犯」の評価を免れることはできません。
よって、どちらが悪い、悪くないという話ではなく、「両名とも」しっかりと糾弾の対象とされてしかるべきです。そして、すでに一応はこれまで散々追及が行われ、仮にも群馬高専の責任者であり入試改革の帰結を背負う山崎校長の一方で、やりたい放題やった挙句、群馬高専を踏み台に高専機構に華々しく栄転した無責任な高専校長候補・鶴見氏については、集中的に焦点を当てていきたいと考えています。
ところで、「基本方針」が既成事実となった後に「各学科で持ち帰り検討」となっていることにも高専関係者から指摘があり、曰く、「『各学科で検討』とありますが、他高専の場合も執行部で予め決まった感じの事柄を、ガス抜きも兼ね『学科に持ち帰って検討した』という既成事実を作って、その後正式決定と言うことをよくしています。執行部の間で予め決まった感じになっているので、学科で何を言っても無駄なことが多々あります」とのことです。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
http://www.gunma-ct.ac.jp/gakko/pdf/dayori/dayori117.pdf
その役職名で検索すると高専機構のPDFがヒットして、重要なポストにあることが窺い知れます。
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/resources/letter/kouhou/gaiyou2019.pdf
これから追跡していくことができるのではないでしょうか。
鶴見氏の行き先に関する調査について、貴重なご示唆を賜り恐縮です。 当会が別途調査しましたところ、鶴見 智氏は現在、高専機構本部の八王子事務局棟1階南で、「学生総括参事」となっているようです。今後、本件に関して進展がございましたら、都度ご報告していく所存ですので、引き続き本件推移を見守っていただければ幸いです。
市民オンブズマン群馬事務局より
群馬高専できな臭い評判のある人物が学生指導支援の講演とは笑うにも笑えません。
群馬高専のことなどすっかり忘れて、「先生」扱いでノコノコと講演とはずいぶんと偉くなったものです。
鶴見氏がこの「講演」でどんなお笑い発言をするか、一挙手一投足に注目していただけると幸いです。
市民オンブズマン群馬事務局より