市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

新年早々立て続けに発生した天災と人災・・・羽田空港で起きたおよそ有り得ない衝突事故

2024-01-07 13:01:36 | 国内外からのトピックス
衝突炎上した海保機の残骸。

■元旦恒例のニューイヤー駅伝もトヨタ自動車の圧勝に終わり、穏やかな午後のひと時をゆったりと過ごしていたところ、午後4時10分ごろ、能登半島で深さ16キロを震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、志賀町で震度7の非常に激しい揺れを観測し、深夜になっても延々と燃える輪島市内の光景が報じられ初夢を見る間もなくテレビにかじりついていました。

 翌1月2日、かねてより一度は生で見たかった箱根駅伝の観戦のため、高崎から湘南新宿ラインで新宿に行き、小田急ロマンスカーで11時に新宿を発ち、小田原で一時下車してから箱根湯本駅に向かい、そこから箱根登山鉄道に乗り換え、大平台駅で下車し、予約しておいたホテルでくつろいでいました。

 そして午後6時前に、何気なくテレビを点けたところ、能登半島地震の避難指示のテロップが大きく表示されていた画面に突然、炎上する飛行機が映し出されました。午後5時47分ごろ、羽田空港のC滑走路上で飛行機同士が衝突し、JAL機が前輪を失った状態で火だるまとなって、滑走路脇で止まり、最初はエンジン部分でチョロチョロ燃えていた炎が見る見るうちにJAL機全体を包む様子を呆然と見ていました。

■一連の災害と事故で、昨年11月から騒ぎが拡大していた自民党の裏金問題がマスコミ報道からすっかり影を潜めてしまいました。自民党にとってはまさに天祐、或いは神風ともいえる新年早々の大災害と大事故ですが、羽田空港がらみの航空機事故と言えば、1966年(昭和41年)に立て続けに発生した5件の航空事故のうち、2月4日の全日空のボーイング727-100型機の羽田沖墜落事故、3月4日のカナダ太平洋航空のDC8-43型機の羽田空港墜落事故、3月5日の英国海外航空(BOAC)のボーイング707-436型機が羽田離陸後、富士山付近の上空で乱気流による空中分解墜落事故、8月26日の日本航空のコンベア880-22M型機の羽田空港離陸直後に墜落炎上事故を思い出します。ちなみに、同年11月13日の全日空のYS11型機による松山沖墜落は大阪伊丹空港からのフライトでした。

 また、1982年(昭和57年)2月9日、日本航空350便のダグラスDC8-61型機が機長の心身症による逆噴射操作で羽田空港沖に墜落した事故も思い出されます。

■1月3日の報道を見てみましょう。

**********NHK News Web 2024年1月3日20:45
羽田空港事故 交信記録やり取り詳細 “18分の避難”機内で何が
 2日、東京の羽田空港で日本航空の旅客機が着陸した直後に海上保安庁の航空機と滑走路上で衝突して炎上し、海上保安官5人が死亡した事故で、国土交通省は管制官と双方の機体との当時のやり取りを公表しました。
 「やり取りの詳細は」
 「“18分の避難” 機内では何が」
 交信記録の詳細と、乗客の証言をまとめました。
 ※記事文末に管制官と双方の機体との詳細なやり取りを掲載しています。


 2日午後6時ごろ、日本航空516便が羽田空港の滑走路に着陸した直後に、出発しようとしていた海上保安庁の航空機と滑走路上で衝突して炎上し、海上保安官5人が死亡、1人が大けがをしました。
 また、日本航空によりますと、516便の乗客乗員で新たに1人がけがをしていたことがわかり、あわせて15人がけがや体調不良で医療機関を受診したことが確認されたということです。
 15人は全員、乗客だということです。
★交信記録の詳細は★


 この事故について、国土交通省は3日夜、管制官と双方の機体が英語でやり取りしていた交信記録の和訳を公表しました。
★事故4分前:午後5時43分★
 それによりますと、事故の4分前の午後5時43分に、管制官は日本航空機に対し、C滑走路への進入を継続するよう指示しています。
 この際、管制官は「出発機があります」と伝え、およそ2分後には「着陸支障なし」とも伝えています。
★事故2分前:午後5時45分★
 さらに、事故の2分前の午後5時45分に、管制官は海上保安庁の航空機に対し、誘導路上の停止位置まで地上走行するよう指示しています。
 これに対し、海上保安庁の航空機は誘導路上の停止位置に向かうと復唱しています。
★事故発生:午後5時47分★
 このあと、事故が起きた午後5時47分まで管制官から海上保安庁の航空機に対し、滑走路への進入を許可する記録はありませんでした。
 一方、海上保安庁によりますと、海上保安庁の機長は、事故のあと「進入許可を受けたうえで滑走路に進入した」と報告しているということで、まったく食い違う認識を示しているということです。
 事故原因を調べている国の運輸安全委員会は調査官6人を現地に派遣し、海上保安庁の航空機からブラックボックスを回収するなどけさから本格的な調査を始めていて、今後、双方の機長らから話を聞くなどして当時の状況や事故の原因を調べることにしています。
★“避難の18分” その時、何が★
 日本航空は2日の事故について、羽田空港に着陸してから乗客乗員379人全員が機体の外に避難するまで18分間だったと明らかにしました。
 この18分間に何があったのか。乗客の証言をまとめました。
【着陸】


★“ドンドンドン 機体がバウンド”★
 「最初は普段通りの着陸かなと思ったが、そのあとドンドンドンと機体がバウンドした。外に出たらエンジンが燃えていたので、ただ事ではないなと思った。どんどん火の手がまわって、機体から離れたあとは機体がすべて燃えているような状況だった」(群馬県 50代男性)
★“腰が浮き上がるくらいの衝撃”★
 「ボンっというかなり大きい音がして、火が見えた。腰が浮き上がるくらいの衝撃だった。1分くらいして煙が入ってきて、呼吸が難しくなった感じがした。乗員が『大丈夫ですか、落ち着いて』と声をかけていて、乗客はみな落ち着いていたが、緊張感があった」(群馬県の50代男性)
★“ガシャーンという音 照明が暗く”★
 「着陸する時、普段のドーンという音ではなくガシャーンというような音がして、その後機内の照明が暗くなり、乗務員から『落ち着いて下さい』というような声かけがありました。それから脱出するまで数分ほどだったと思いますが、私がいた位置では煙が少し見える程度で乗客に大きな混乱はありませんでした」(前方の席 55歳男性)
【その後、機内は】
★“焦げ臭さ 一気に充満”★
「扉が開くまでの時間は感覚だと5分くらいだと思います。機内の温度はあつくはなかったが匂いは焦げ臭さが一気に充満したような感じだった」(埼玉県 30代男性)
★“小さい子ども 多く泣き声”★
「乗客はみんな混乱した様子で、特に小さい子どもが多く泣き声がして、親がなだめている様子でした。出火が続いて煙が機内に入ってくるので、みんな不安でした」(神奈川県 60代男性)
★“過呼吸のような状態”★
「CAの方から『落ち着いてください』という機内放送があり、ほとんどの人は、落ち着いていたが近くに座っていた女性は過呼吸のような状態になっていました」(埼玉県 59歳男性)
【避難】

★“落ち着くように” “立たないで”★
 「機内では『キャー』という叫び声が聞こえ、客室乗務員が『落ち着くように』とか『立たないでください』などと案内していた。煙が充満してきたので口と鼻を押さえて身を低くして避難するように言われ、出口から案内されて避難した。その後家族に無事を伝えた」(22歳 男子大学生)
★“低い姿勢で 子どもの口を押さえて”★
 「家族だけは守りたいと思い、子どもだけは煙に当たらないようにと、低い姿勢にさせて、妻には子どもの口を押さえてもらっていました。開くことができた前の扉から脱出用の滑り台で避難するまでには、10分から15分くらいはかかったように感じました。今は家族が無事でよかったと思っています」(埼玉県 33歳男性)
【交信記録(管制官と当該機とのやりとりのみ抽出)】
★午後5時43分2秒★
日本航空機:「東京タワー、JAL516スポット18番です」
管制官:「JAL516、東京タワーこんばんは。滑走路34Rに進入を継続してください。風320度7ノット。出発機があります」
★午後5時43分12秒★
日本航空機:「JAL516滑走路34Rに進入を継続します」
★午後5時44分56秒★
管制官:「JAL516滑走路34R着陸支障なし。風310度8ノット」
★午後5時45分1秒★
日本航空機:「滑走路34R着陸支障なしJAL516」
★午後5時45分11秒★
海保機:「タワー、JA722AC誘導路上です」
管制官:「JA722A、東京タワーこんばんは。1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」
★午後5時45分19秒★
海保機:「滑走路停止位置C5に向かいます。1番目。ありがとう」
 このあと、事故が起きた午後5時47分ごろまで、管制官から海上保安庁の航空機に対する滑走路への進入許可の記録はありませんでした
**********

日本航空516便のエアバスA350-941型機。機体番号:JA13XJ。日本航空として13機目のA350-900型機で、2021年11月18日に運用開始。今回の事故はエアバスA350の初の機体全損事故。価格3.11億ドル

海上保安庁の「MA770みずなぎ1号」のデ・ハビランド・カナダDHC-8-Q300型機。機体番号:JA722A(羽田航空基地所属)。羽田航空基地16時45分発予定で新潟航空基地17時55分着予定。本機は、元日に発生した令和6年能登半島地震の対応のため2回飛行、事故時は被災地向けの物資を中継場所となる新潟航空基地へ搬送予定。また、本機は2011年3月11日の東日本大震災による津波で仙台空港にて被災後、2012年3月29日に修復され唯一復帰した機体。価格約1700万ドル

■報道でも取りざたされていますが、なぜ管制官から海保機に対し、滑走路への進入を許可する記録が存在しないのに、海保機が滑走路に侵入し40秒間も離陸せずに留まっていたのか、という疑問です。

 そうした中、ネットに管制塔と日航機(JAL516)および海保機(JA722A)との交信記録が掲載されました。


*****JA722AとJAL516に関する交信記録*****
               発生年月日 令和6年1月2日
TIME(JST)            STATION              CONTENTS
17:43:02                JAL516                 Tokyo TOWER JAL516 spot 18
                              Tokyo Tower         JAL516 Tokyo TOWER good evening RUNWAY 34R continue approach wind 320/7, we have departure.
17:43:12                 JAL516                JAL516 continue approach 34R
17:43:26                 DAL276               Tokyo TOWER DAL276 with you on C, proceeding to holding point 34R.
                               Tokyo TOWER    DAL276 Tokyo TOWER good evening, taxi to holding point C1.
                               DAL276             Holding point C1, DAL276.
17:44:56                 Tokyo TOWER    JAL516 RUNWAY 34R cleared to land wind 310/8.
17:45:01                 JAL516                Cleared to land RUNWAY 34R JAL516.
17:45:11                 JA722A                TOWER JA722A C.
                               Tokyo TOWER    JA722A Tokyo TOWER good evening, No.1, taxi to holding point C5.
17:45:19                 JA722A               Taxi to holding point C5 JA722A No.1, Thank you.
17:45:40                 JAL179               Tokyo TOWER JAL179 taxi to holding point C1.
                               Tokyo TOWER    JAL179 Tokyo TOWER good evening, No.3, taxi to holding point C1.
                               JAL179               Taxi to holding point C1, we are ready JAL179.
17:45:56                 JAL166               Tokyo TOWER JAL166 spot 21.
                               Tokyo TOWER    JAL166 Tokyo TOWER good evening, No.2, RUNWAY 34R continue approach wind 320/8, we have departure, reduce speed to 160 knots.
17:46:06                JAL166                Reduce 160 knots RUNWAY 34R continue approach, JAL166 good evening.
17:47:23                 Tokyo TOWER    JAL166, reduce minimum approach speed.
                               JAL166               JAL166.
17:47:27                                            3秒無言

①JAL516(当該機:到着機1番目)
②JA722A(海上保安庁機:出発機1番目)
③JAL166(到着機2番目)
④DAL276(出発機2番目)
⑤JAL179(出発機3番目)
**********

 上記の交信記録を見ると、管制塔は海保機に対して「No.1, taxi to holding point C5.」と伝えており、滑走路の中に侵入せよとは言っていません。報道では、「No.1」という表現が、災害救援に従事していた海保機の機長に優先権を与えたかのように受け止められたのではないか、とする解説もありますが、羽田空港を基地として何度もフライト経験のある機長として、そのようなことは有り得ません。

 管制官は海保機に対して、待機順1番機として、「C5」の待機位置(Holding Point)まで地上滑走(Taxi)するように指示しています。

 一方、管制官は待機順2番機として、デルタ航空(DAL)デトロイト行き276便のエアバスA330-200型機には、「C1」の待機点(Holding Point)への地上滑走を指示しています。

 さらに、管制官は待機順3番機として、日本航空(JAL)山形空港行き179便のエンブラエルERJ-190型機にも、「C1」の待機点(Holding Point)への地上滑走を指示しています。

 海保機の大きさは、全長25.68m、全幅27.43m、全高7.49mです。一方、JAL179便の大きさは、全長36.24m、全幅28.72m、全高10.28mです。翼の幅で言えば、ほぼ同じサイズです。

 また待機順2番機のDAL276便の大きさは、全長58.82m、全幅60.30m、全高17.39mです。これは、同じくエアバスの中型機で、今回全損事故に遭ったJAL516便の大きさ、全長66.8m、全幅64.75m、全高17.5mとほぼ同じサイズです。

■こうしてみると、海保機はなぜC5の待機点を指示されたのか、という疑問がわきます。ほぼ同じサイズの待機順3番機のJAL179便山形行きの待機点が、待機順2番機のデルタ航空のエアバス中型機と同じくC1の待機点であるだけに、なにか特別待遇をされていたのではないか、という憶測が生じます。

 羽田空港のC滑走路の待機点(Holding Point)を一律にC1としていれば、今回の事故は決して発生しないはずです。

 途上国の空港でも、離陸の順番を待つ場合には、待機点を一つにして、先頭の待機順1番機のあとに、ぞろぞろ続いて進行し、順番に管制塔の指示をまって離陸許可を得たうえで、離陸をしており、羽田空港における待機点を変える今回のような運用は極めて疑問です。

 一刻も早く、こうしたバラバラな運用を統一化すべきであり、2度と同じ過ちを繰り返してはなりません。

 今回の事故は、管制官も海上保安庁も国交省の管轄であり、さらに言えば、日本航空ですら、日本政府との関係はこれまでも強く、航空関連団体への高級官僚の天下りは今でも水面下で脈々と続いていることから、どの程度、情報が捻じ曲げられずに国民に知らされるかどうか、注目して参りたいと思います。

■ちなみに、土壌環境が専門の大学教授が、「羽田空港をはじめ全国の空港の土壌汚染を調査したい」と国交省に申し入れたところ、国交省から「そんなことをしたら、2度と研究ができないようにしてやる」と脅かされたそうです。航空燃料にはいまだに鉛を添加したものが使用されており、それが燃焼ガスとして空港内や周辺に降り積もり、環境基準を大幅に超える土壌汚染が深刻ですが、誰もこの問題を取り上げないのは、そうした背景があるからです。

 それだけに、あわや全員即死という大惨事が奇跡的に回避された今回の事件の徹底した原因究明こそが、再発防止の最善策であることは言うまでもありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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