市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【繰り返される悲劇】東京高専の学生自死事件で機構本部が設置した第三者調査委の真相究明能力は?

2021-08-13 23:40:00 | 群馬高専アカハラ問題
■「高専生の自殺」については、当会としても地元の群馬高専で2年間に3名の自殺者が出た事件をきっかけに、高専組織の体質にどのような問題があるのか詳しく調査追及してきました。その後、隣県の長野高専からも同様の事例が寄せられ、県境を跨いで検証を続けております。こうした悲劇が繰り返されている原因としては、独法高専機構という文科省傘下のピラミッド役人組織が、恐ろしく国民の監視とガバナンスの届きにくいシステムになっていること、文科省天下り校長や悪徳教職員の隠蔽揉み消し癖のせいで各種ハラスメントやいじめが恒常化しやすい土壌ができていること、などが挙げられます。これが、これまでの当会の活動を振り返っての概ねの結論です。

 事実、高校・大学生に比べ、国立高等専門学校生の自殺率が約2倍になることは、国会でも取り上げられ問題視されています。原因分析として、コロナ感染拡大の影響で大学在学中に就職先が決まらずに卒業し、孤立感を深める実態があるとされていますが、そもそも高専機構の組織的な問題にメスを入れないと根本的な解決はおぼつかないと思います。

 こうした中で、高専機構本部が、8月12日に「『東京工業高等専門学校の自死事案に係る第三者調査委員会』の設置について」と題するお知らせをリリースしました。さっそく見てみましょう。



**********高専機構HP 2021年8月12日10:00
URL ⇒
https://www.kosen-k.go.jp/news/detail.html?itemid=8659&dispmid=1240&TabModule1107=0
               お知らせ
「東京工業高等専門学校の自死事案に係る第三者調査委員会」の設置について

                              2021/08/12

令和3年8月8日(日)国立高等専門学校機構本部事務局に「東京工業高等専門学校の自死事案に係る第三者調査委員会」を設置し、1回目の委員会が開催されました。

委員会は4名の外部委員で構成され、東京工業高等専門学校の学生が令和2年10月5日に亡くなられたことに関する事実関係や背景を明らかにし、学校として必要な改善に関する提言を行うことを 目的としており、令和4年3月末を目処に報告書がまとめられる予定です。
**********

■この痛ましい自死事件に関する情報をネット検索してみると、経緯や背景等を報じた記事が見つかりました。なんと、学生会長を務めていた有能な学生を死に至るまで追い詰めた原因は、東京高専の教職員によるパワハラ行為であると断じています。当会がこれまで、群馬高専と長野高専で多発した学生の自死事件の原因を究明すべく、再三にわたり学校そして元締めの高専機構に対して情報開示請求を行い、学生を死に至らしめる組織的病巣の真相解明を問題視し、改善を求めてきたのに、そのお膝元の東京高専で再び悲劇が繰り返されたのでした。

 当該記事は次のURLでご覧ください。
○2021年5月12日:いじめ探偵がパワハラ教員を告発。東京高専の生徒を自殺に追い込んだ悪魔の所業
https://www.mag2.com/p/news/496577

 ちなみに、この記事を執筆した「探偵」のかたは、2016年5月、大島商船高等専門学校(大島商船)の学生が校舎から飛び降りて自殺した事件についても粘り強い取材をしています。
○2019年2月26日:探偵が暴露。あまりにも酷い大島商船高専いじめ自殺事件の実態
https://www.mag2.com/p/news/387988
○2019年5月27日;いじめ探偵がNHKスペシャル出演で受けた、脅迫や嫌がらせの数々
https://www.mag2.com/p/news/399432
○2019年8月12日:高専いじめ事件の怪。厚顔無恥な校長の放った「無礼千万」発言
https://www.mag2.com/p/news/409418
○2020年4月17日:現役探偵が糾弾。いじめ自殺事件の加害者を守る商船高専の実態
https://www.mag2.com/p/news/448856

 大島商船の自殺事件では、その後、2018年に福田校長が記者会見で「いじめは否定できないと思った」として、いじめを認める発言をしています。また、この事件でも第三者調査委員会が立ち上がり、事件の調査を進めましたが、当時、大島商船では、もう1つのいじめ自殺未遂事件に関する第三者委員会が立ち上がっていました。

 これは当時、いじめ自殺をした生徒と同室だった学生へのいじめ事件を調査するために設置され、同学生の友人らが同様に校内や寮内で嫌がらせを受けているという事と同時に、教員らによるパワハラ行為があったとされるものに対しての第三者委員会でした。船員養成を目的とする大島商船の特殊性も遠因かもしれませんが、高専という文科省キャリアの天下り組織という特殊性が、主原因だと言えるでしょう。

 今回、8月8日に高専機構本部のお膝元で立ち上げられ第三者調査委員会は、はたして適切な調査機能を発揮するでしょうか?これまで機構本部を相手取り、情報隠蔽体質を改善すべく訴訟を重ねてきた当会としては、高専機構の体質を痛感させられているだけに、期待度は低いのが本音です。

 実際、冒頭の高専機構HPの「お知らせ」を見ても、「機構本部事務局に第三者委員会を設置し、1回目の委員会が開催されました」として僅か7行しか記載がありません。今後、来年3月末までに行われる第三者委員会による調査の過程や結果が、はたしてどれほど公開されるのか、極めて不透明です。

■ところで、この「第三者調査委員会」という名称は、不祥事件が起きるたびによく耳にします。一般的には企業の不祥事件で時限的に設置されることが多く、第三者調査委員会の目的について「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」によると、「第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。」と記されています。

 さらに「第2.第三者委員会の独立性、中立性第三者委員会は、依頼の形式にかかわらず、企業等から独立した立場で、企業等のステークホルダーのために、中立・公正で客観的な調査を行う。」という規定があります。

 第三者委員会の構成員は、弁護士が就くことがほとんどで、地元の弁護士会に相談すると担当弁護士先生を紹介してくれます。

 企業の不祥事件の場合、設置される第三者委員会は、真相究明、責任明確化、再発防止の為の調査をするわけですが、費用を出すのは顧客である企業である上に、弁護士先生のバイブルと目される弁護士職務基本規程第21条(正当な利益の実現)として「弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。」との定めがあります。

 そもそも、ほとんどの弁護士先生の性(さが)として、「顧客の利益を最優先する」という行動規範が先に立ち、どうしても「社会全体としてこうあるべき」とか「社会正義としては絶対に許されない」という考え方が脇に置かれがちであるのは、行政訴訟をしてみるとすぐわかります。なぜなら、行政の違法不当な権限の行使を糾弾しようとすると、行政側は「クロをシロにしてください」とばかりに顧問弁護士と称する弁護士先生に声を掛け、弁護士先生も、「顧客の不祥事の揉み消し」が「顧客の為に働く目的だ」として、ホイホイ請負うからです。

 その対価として我々の血税が支払われ、裁判所の裁判官らも「行政を敗訴させると、出世に悪影響を及ぼす」として、住民側に対して、社会正義とは真逆の歪んだ判決を下すのがもっぱらです。

■無論、現在の裁判制度では、犯罪者にも弁護士が付けられるわけで、「弁護士には依頼者のために働くことが求められている」という弁護士職務基本規程の考え方は、社会のニーズに応じたものであることは確かです。

 問題は、第三者委員会の業務に携わる弁護士先生が、ややもすると、報酬を支払ってくれる依頼者のために忖度するなどして働いてしまうことです。今回、機構本部は企業の場合と異なり、費用は公金、つまり我々の血税で賄われるわけですが、財布のひもを握っているのは高専機構ですから、どうしても、高専機構に忖度するなどして、第三者として公平、公正な判断が歪められはしないか、ということです。

 今後、当会として、この第三者調査委員会の動静に注目したいと思いますが、機構本部が詳しくこの第三者調査委員会の調査業務の過程を都度HPで発表することは期待薄です。したがって、皆様からの情報提供を期待する次第です。ぜひ、このブログのメッセージBOX、あるいは拍手コメントに情報をお寄せください。情報源の秘密は厳守いたします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報「一般の高校・大学生に比べて自殺率2倍の高専生」
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第204回国会 参議院 文教科学委員会 第3号 令和3年3月16日
会議録テキストのURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316

000・会議録情報 令和三年三月十六日(火曜日) 午前十時開会

097・佐々木さやか
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いいたします。
 そして、そうした様々な対策を是非高等専門学校生にも行っていただきたいというふうに思っています。
 先ほど御紹介いただいた子供たちの自殺者数の数の中には、高等専門学校生は入っていないというふうに聞いております。この高専、国立高専の自殺者数やその推移について教えていただけますでしょうか。
発言のURLhttps://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/97

098・伯井美徳
○政府参考人(伯井美徳君) お答えいたします。
 独立行政法人国立高等専門学校機構によりますと、令和二年度の国立高等専門学校の自殺者数は十三人であります。国立高等専門学校の学生に占める割合の〇・〇二五%となっております。
 自殺者数の傾向といたしましては、平成二十七年度、二十八年度の十四人から減少傾向にありましたが、令和二年度は増加に転じ、二月末現在で十三人となっております。
発言のURLhttps://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/98

099・佐々木さやか
○佐々木さやか君 今、令和二年度の国立高専生の自殺者数が十三人というふうに教えていただきました。そして、自殺率については〇・〇二五%ですかね。
 これ、十三人という数字ですけれども、この自殺率で大学生、また高校生と比べますと、実に二倍以上になっております。令和二年度の大学生の自殺率は〇・〇一三%でございます。そして、高校生については〇・〇一%。これに比較して高専生は〇・〇二五%でございますので、先ほども申し上げたように二倍というような数字になっていると。
 これは一般の高校、大学に比べて多いのではないかと思うんですが、その原因についてはどのように分析しているんでしょうか。
発言のURLhttps://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/99

100・伯井美徳
○政府参考人(伯井美徳君) お答えいたします。
 自殺の多くは、多様かつ複合的な原因、背景を有しており、原因の特定は困難でございますが、友人などからの聞き取りや学生相談室への相談記録などから、将来への不安あるいは学業不振などが多いというふうになっております。(←当会注:組織的な問題なのに、個人の問題にわざと転嫁している)
 また、その背景には、高専独自の要因ということで、厳しい進級基準等による進級、卒業へのプレッシャー、あるいは高専の先生方、教員の生徒指導に対する経験等の不足、それから、一学科一クラスということで五年間同じクラスで学ぶ場合が多いという高専の学級編制など、高専独自の要因もあるのではないかというふうに分析されております。
発言のURL
https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/100

101・佐々木さやか
○佐々木さやか君 今、要因についても、もちろんこれというふうにはっきりすることはなかなか難しいかもしれませんけれども、やっぱり過去十年を見ましても、先ほど申し上げたような一般の大学、高校と比べて自殺率が二倍程度というものは、過去十年比べてもその傾向にあります。ですので、この一年、二年で急激にというわけでもありませんし、やっぱり何かしらこの原因があるんだろうと。今お聞きしましたら、例えば学業についてのプレッシャーですとか生徒指導が少し不十分なのではないかと、そういった原因があるというふうに分析しているわけですから、これは早急に対応する必要があるというふうに思います。
 最後に、大臣に伺いたいと思います。
 大臣は、各地の高等専門学校に精力的に足を運ばれていらっしゃって、実際に学生の皆さんともきっと多く接していらっしゃるのではないかなと思います。所信で述べられていらっしゃいますけれども、我が国の高専は産業界や諸外国から高い評価を受けており、我が国の産業界を支える大きな役割を果たしていると。この高専を応援していくというのは私も大賛成であります。この応援をするためには、やはり学生が主役でありますので、是非大臣にもこの学生を応援していただきたい。
 その悩んでいる学生が実は多いということが明らかになっているわけですので、是非大臣にもこの高専生の自殺の問題、対策についてお取組をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
発言のURLhttps://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/101

102・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 先生の質問通告をいただいて、改めてその高専だけを切り分けて今言ったような数字を検証しますと、本当に他の学校群より残念ながら自殺者の比率が多いということが明らかになりまして、そのことを大変重く受け止めています。
 全国の国立高等専門学校を所管する国立高等専門学校機構では、これまで、自殺防止のために学生の異変を速やかに察知し学生に寄り添った対応ができるよう、予防のための統一アンケートの作成、実施、学生支援担当教職員研修の実施などに取り組んできました。また、平成三十年度には文部科学省において予算を措置し、スクールカウンセラーの全校配置による相談体制の強化を図りました。これに加え、今年度から新たに国立高等専門学校機構本部にいじめ対策チームを設置するとともに、いじめ防止等対策ポリシーの全面改定、全教職員を対象としたいじめ防止等研修などを開始し、自殺防止に取り組んでいるところです。
 さらに、令和三年度予算案においては、各高等専門学校のニーズに応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員などの学生支援体制の更なる充実やコロナ禍における学生相談体制の充実に活用できる予算を計上しています。
 先生御指摘いただいたように、私、高専に対しては大変強い思いがあって、この学校の仕組みというものはもう日本の誇る教育システムだと思っております。日本の将来、物づくり企業等を支えていく大切な人材でありまして、唯一今回の質問を機に私自身感じたのは、高専に行っていただくと分かると思うんですけど、本来だったら普通の高校生の年代なのに、非常に自立性が高くて、大人として扱い過ぎてしまっているがゆえに、本当はまだ未熟なところもあるのになかなかそういうことにうまくマッチできていなかったんじゃないかという思いがございますので、普通の高等学校と同じように、あるいは普通の大学生、一年生や二年生をフォローするのと同じように、人的な配置をしながら、高専とも連携をして、学生たちに寄り添って悩みに応えてあげられるような、そういう体制を更に強化していきたい、そう思っております。
発言のURLhttps://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415104X00320210316/102
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コメント (2)
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