■5月19日に開催された市民オンブズマン群馬の5月定例会で、桐生市在住会員から、市内居住制限が職員服務規則に明記されている桐生市に対して、市外居住許可申請書の「事由」と「居住年月日」にかかる情報に関して、同市の情報公開条例に基づいて今年2月に開示請求を行ったところ、黒塗りの文書が2月23日に開示されたため、行政不服審査法に基づく審査請求を3月15日に行っているという報告がありました。その後、この審査請求も棄却されたので、当会会員は改めて桐生市監査委員に対して、9月19日付で住民監査請求を提出しました。その結果が、11月9日に桐生市監査委員から却下通知が届いたので、当会会員は期限日の12月7日に前橋地裁に訴状を提出しました。なお、この問題に関する関連情報は次のブログ記事をご覧下さい。
○2018年5月19日:市内居住制限を服務規則に明記する桐生市が市外居住許可申請の事由・居住年月日を不開示とするヘンな対応↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2644.html
○2018年11月15日:職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市に監査請求をしたところ却下通知が到来!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2818.html
当会会員が、12月7日に前橋地方裁判所に提出した訴状は次のとおりです。
*****訴状*****
事件番号 平成30年(行ウ)第 号 市民税等市外流出防止住民訴訟事件
訴 状
平成30年12月7日
前橋地方裁判所民事部 御中
〒376-0052 群馬県桐生市天神町3-14-36(送達先)
原 告 長 澤 健 二
電話 0277-46-7334
〒376-8501 群馬県桐生市織姫町1番1号
被 告 桐 生 市
代表者市長 亀山豊文
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
張用印紙額 金13,000円
第1 請求の趣旨
1 被告は、総務部長および人事課長(以下「対象職員ら」という。)に対して、許可基準も定めず市外居住職員からの申請を認めたことにより、平成30年度に292人の市外居住職員の通勤手当分として支払った計20,838,360円及び本来、桐生市に納入されるはずの市民税分がほかの自治体に流出した計51,753,960円の合計72,592,320円、及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みに至るまで年5分の割合による金額の賠償の命令をせよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告は桐生市の住民であり納税者である。
(2)被告は、桐生市長であり、対象職員らを管理・監督する者である。
(3)対象職員らは、桐生市職務服務規則の運用に関して裁量権を有する者である。
2 住民監査請求の前置
(1)平成30年9月19日、原告は桐生市監査委員に、地方自治法第242条第1項により、本来、桐生市職員は市内に居住しなければならないのに、実際には、平成30年3月現在で、292人もの職員を市外に居住させており、許可基準を制定してないため、市外居住許可申請書を提出さえすれば、野放図に市外居住を認めているのが現状であることから、通勤手当分計20,838,360円、市民税分51,753,960円、合計72,592,320円が不当に支出され、桐生市に在住する住民らが支払った血税が、その分、市民サービスに充当されず流失させてしまったこと(以下、「本件損害」という。)について措置請求(甲第1号証)を行った。
(2)平成30年11月9日、桐生市監査委員は原告に対して住民監査請求に関して要件審査を行った結果、却下を決定した旨の回答をよこした(甲第2号証)。
(3)しかしながら、原告は監査結果に対して不服である。
3 請求の内容
桐生市職員服務規則第16条に次の定めがある。
「職員は、別に定めがある場合をのぞき、庁舎又はその付近に火災その他非常事態が発生したときは、速やかに登庁して上司の指揮を受けなければならない。ただし急迫の場合は、直ちに臨機の処置を講ずるものとする。
2 職員は、非常災害の場合においては、別に定めるところに従い勤務しなければならない。」
また、同第25条に次の定めがある。
「職員は、市内に居住しなければならない。ただし、市外居住許可申請書を提出して許可をうけたときは、この限りではない。」
ところが現状は上記の定めに反しており、職員292人が市内に非居住になっており、通勤手当分計20,838,360円、市民税分51,753,960円、合計72,592,320円が不当に支出されている。(甲第1号証の1~3)
上記が、市長による財務会計上の行為の怠る事実と、その違法・不当理由、そして市が被る損害額である。
以下、本件請求の概要を記す。
(1)市は市民より税金を徴収して、市民の生命、財産を守る義務がある。この税金は市外居住の職員のためのものではない。市の職員になるために、採用試験があり、合格したものだけが、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重しかつ擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、市民全体の奉仕者として誠実かつ公平に職務を執行することを固く誓います。」としたためた宣誓書に署名捺印し、職員服務規則を守って職員になれるのである。
(2)採用試験はたしかに、その時の居住地がどこであっても受ける資格が与えられるのかもしれないが、採用された際には市内に転入するのが上記(1)の趣旨からしても本来あるべき姿である。事実、市会議員、自衛隊の隊員、地域おこし協力隊等の場合は居住が制限されている。市の人事課は憲法の居住の自由をはき違えている。
(3)同第25条の市外居住許可申請書は、本来採用時に市内に居住する職員が、やむに已まれぬ理由が発生してどうしても市外に居住しなければならない場合に提出するものであるが、実態としては、採用時から市外居住を認めてしまっている。そもそも、許可とは特定の条件のもとに認めらものであり、許可基準もなく申請を認めている現状は明らかに不当である。
(4)原告は、2018年3月1日付で市外居住許可申請書を情報開示請求したところ、事由と居住年月日が黒く塗られている文書が交付された。なぜ、こうした重要な情報が不開示とされなければならないのか不服に思って、直ちに、異議申し立てを行った。その後、同5月に、市長から弁明書が送られてきたので、5月末日に反論書を提出したが、依然として不開示のままである。
しかるに、その一方で、2018年6月の市議会で総務部長が「新築、親の介護などを事由で申請すれば認めている。ただし、憲法の居住の自由により、すべて認めざるを得ない」とする答弁があった。
原告のような市民には情報開示をこばみ、市議会では要求されてもいないのに市側がこのような答弁をするとは、公務員としての自覚や認識をしたためた宣誓書の精神や趣旨に自ら反する行為そのものである。
(5)すなわち、同第2条に「全体の奉仕者としての職責自覚し、公共の利益のため勤務し、法令、条例、規則等及び上司の職務の職務上の命令に従い、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とあるが、上記(3)のとおり、市の幹部の心構えが不適正・不明確であると、市外在住職員の増加に歯止めがかからなくなり、ひいては、当該自治体への帰属意識、愛着、郷土愛が希薄となったり、阻害されたりしてしまう。結果的に、市そのものが機能しなくなる事態を招いてしまう。
以上のとおり、原告は、財政面で困難な状況下にある市の現状を憂いつつ、職員服務規則の厳格な運用を望む。
第3 証拠方法
甲第1号証の1 桐生市職員措置請求書
甲第1号証の2 事実証明書1「平成30年度住民税納付」
甲第1号証の3 事実証明書2「平成30年度特別徴収税額一覧表」
甲第1号証の4 事実証明書3「居住自治体別職員通勤手当実績(平成30年6月)」
甲第2号証 住民監査結果通知
第4 添付書類
訴状副本 1通
証拠説明書 各1通
甲号証写し 各1通
以上
***********
■この問題はこれからますます少子高齢化を迎え、人口減少に拍車がかかる日本社会のなかで行政の在り方を問う重要なテーマだと当会は認識しており、この裁判の行方を皆さんとともに注目していきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
○2018年5月19日:市内居住制限を服務規則に明記する桐生市が市外居住許可申請の事由・居住年月日を不開示とするヘンな対応↓
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○2018年11月15日:職員の市内居住制限が骨抜き状態の桐生市に監査請求をしたところ却下通知が到来!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2818.html
当会会員が、12月7日に前橋地方裁判所に提出した訴状は次のとおりです。
*****訴状*****
事件番号 平成30年(行ウ)第 号 市民税等市外流出防止住民訴訟事件
訴 状
平成30年12月7日
前橋地方裁判所民事部 御中
〒376-0052 群馬県桐生市天神町3-14-36(送達先)
原 告 長 澤 健 二
電話 0277-46-7334
〒376-8501 群馬県桐生市織姫町1番1号
被 告 桐 生 市
代表者市長 亀山豊文
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
張用印紙額 金13,000円
第1 請求の趣旨
1 被告は、総務部長および人事課長(以下「対象職員ら」という。)に対して、許可基準も定めず市外居住職員からの申請を認めたことにより、平成30年度に292人の市外居住職員の通勤手当分として支払った計20,838,360円及び本来、桐生市に納入されるはずの市民税分がほかの自治体に流出した計51,753,960円の合計72,592,320円、及びこれに対する平成30年3月31日から支払済みに至るまで年5分の割合による金額の賠償の命令をせよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告は桐生市の住民であり納税者である。
(2)被告は、桐生市長であり、対象職員らを管理・監督する者である。
(3)対象職員らは、桐生市職務服務規則の運用に関して裁量権を有する者である。
2 住民監査請求の前置
(1)平成30年9月19日、原告は桐生市監査委員に、地方自治法第242条第1項により、本来、桐生市職員は市内に居住しなければならないのに、実際には、平成30年3月現在で、292人もの職員を市外に居住させており、許可基準を制定してないため、市外居住許可申請書を提出さえすれば、野放図に市外居住を認めているのが現状であることから、通勤手当分計20,838,360円、市民税分51,753,960円、合計72,592,320円が不当に支出され、桐生市に在住する住民らが支払った血税が、その分、市民サービスに充当されず流失させてしまったこと(以下、「本件損害」という。)について措置請求(甲第1号証)を行った。
(2)平成30年11月9日、桐生市監査委員は原告に対して住民監査請求に関して要件審査を行った結果、却下を決定した旨の回答をよこした(甲第2号証)。
(3)しかしながら、原告は監査結果に対して不服である。
3 請求の内容
桐生市職員服務規則第16条に次の定めがある。
「職員は、別に定めがある場合をのぞき、庁舎又はその付近に火災その他非常事態が発生したときは、速やかに登庁して上司の指揮を受けなければならない。ただし急迫の場合は、直ちに臨機の処置を講ずるものとする。
2 職員は、非常災害の場合においては、別に定めるところに従い勤務しなければならない。」
また、同第25条に次の定めがある。
「職員は、市内に居住しなければならない。ただし、市外居住許可申請書を提出して許可をうけたときは、この限りではない。」
ところが現状は上記の定めに反しており、職員292人が市内に非居住になっており、通勤手当分計20,838,360円、市民税分51,753,960円、合計72,592,320円が不当に支出されている。(甲第1号証の1~3)
上記が、市長による財務会計上の行為の怠る事実と、その違法・不当理由、そして市が被る損害額である。
以下、本件請求の概要を記す。
(1)市は市民より税金を徴収して、市民の生命、財産を守る義務がある。この税金は市外居住の職員のためのものではない。市の職員になるために、採用試験があり、合格したものだけが、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重しかつ擁護することを固く誓います。私は、地方自治の本旨を体するとともに公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、市民全体の奉仕者として誠実かつ公平に職務を執行することを固く誓います。」としたためた宣誓書に署名捺印し、職員服務規則を守って職員になれるのである。
(2)採用試験はたしかに、その時の居住地がどこであっても受ける資格が与えられるのかもしれないが、採用された際には市内に転入するのが上記(1)の趣旨からしても本来あるべき姿である。事実、市会議員、自衛隊の隊員、地域おこし協力隊等の場合は居住が制限されている。市の人事課は憲法の居住の自由をはき違えている。
(3)同第25条の市外居住許可申請書は、本来採用時に市内に居住する職員が、やむに已まれぬ理由が発生してどうしても市外に居住しなければならない場合に提出するものであるが、実態としては、採用時から市外居住を認めてしまっている。そもそも、許可とは特定の条件のもとに認めらものであり、許可基準もなく申請を認めている現状は明らかに不当である。
(4)原告は、2018年3月1日付で市外居住許可申請書を情報開示請求したところ、事由と居住年月日が黒く塗られている文書が交付された。なぜ、こうした重要な情報が不開示とされなければならないのか不服に思って、直ちに、異議申し立てを行った。その後、同5月に、市長から弁明書が送られてきたので、5月末日に反論書を提出したが、依然として不開示のままである。
しかるに、その一方で、2018年6月の市議会で総務部長が「新築、親の介護などを事由で申請すれば認めている。ただし、憲法の居住の自由により、すべて認めざるを得ない」とする答弁があった。
原告のような市民には情報開示をこばみ、市議会では要求されてもいないのに市側がこのような答弁をするとは、公務員としての自覚や認識をしたためた宣誓書の精神や趣旨に自ら反する行為そのものである。
(5)すなわち、同第2条に「全体の奉仕者としての職責自覚し、公共の利益のため勤務し、法令、条例、規則等及び上司の職務の職務上の命令に従い、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない。」とあるが、上記(3)のとおり、市の幹部の心構えが不適正・不明確であると、市外在住職員の増加に歯止めがかからなくなり、ひいては、当該自治体への帰属意識、愛着、郷土愛が希薄となったり、阻害されたりしてしまう。結果的に、市そのものが機能しなくなる事態を招いてしまう。
以上のとおり、原告は、財政面で困難な状況下にある市の現状を憂いつつ、職員服務規則の厳格な運用を望む。
第3 証拠方法
甲第1号証の1 桐生市職員措置請求書
甲第1号証の2 事実証明書1「平成30年度住民税納付」
甲第1号証の3 事実証明書2「平成30年度特別徴収税額一覧表」
甲第1号証の4 事実証明書3「居住自治体別職員通勤手当実績(平成30年6月)」
甲第2号証 住民監査結果通知
第4 添付書類
訴状副本 1通
証拠説明書 各1通
甲号証写し 各1通
以上
***********
■この問題はこれからますます少子高齢化を迎え、人口減少に拍車がかかる日本社会のなかで行政の在り方を問う重要なテーマだと当会は認識しており、この裁判の行方を皆さんとともに注目していきたいと思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】