市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!・・・渋川市の対応「ここが変だよ、その20」

2015-12-05 21:20:00 | スラグ不法投棄問題
■“極悪”大同・佐藤連合に対する群馬県警による9.11強制捜査後、毎週のように大同スラグ問題に関するマスコミによる新聞報道はヒートアップしています。
 ちなみに、強制捜査の端緒となった9月7日に群馬県が県警に提出したとされる廃棄物処理法容疑に基づく告発状ですが、環境森林部廃棄物・リサイクル課にその内容について尋ねたことがあります。
 ところが公開条例には「警察等司直に提出した書類は情報開示の対象にならない」という但し書きがあるためかどうか、案の定、告発内容については公表してもらえませんでした。
 このあたりが今も気になるところではありますが、いずれにしても、鉄鋼スラグによる環境汚染に対する強制捜査というのは異例の事で有り、有害な廃棄物を「建設資材」として販売した実態解明がどこまですすめられるのか、注目されます。
 こうした最中、慌ただしい師走に突入した昨日12月4日、毎日新聞に渋川市のスラグ対応に関する記事が報じられました。↓
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20151204ddlk10040371000c.html

**********2015年12月4日毎日新聞群馬
「スラグ産廃と特定できない」渋川市
 大同特殊鋼渋川工場から出た鉄鋼スラグを巡って渋川市は3日、「現状ではスラグは産業廃棄物と特定できない」として、環境基準を超えるフッ素、六価クロムが確認された件についてのみ処理する方針を示した。市議会の一般質問で「違法な産業廃棄物であれば環境基準にかかわらず、すべて処理するべきではないか」と問われ、市側は「産廃か否か、まだ司法の判断も示されておらず、国、県との連絡会議での合意に基づいて処理する」と答弁した。
 大同特殊鋼は、スラグに有害物質が含まれていることを認識しながら「建設資材」と称して出荷した産業廃棄物処理法違反の疑いで9月11日、県警の強制捜査を受けている。
 渋川市内では市発注の公共工事72カ所で大同のスラグ使用が判明。このうち49カ所で環境基準を超える有害物質が検出された。市は11月13日、国、県との3者による連絡会議で、環境基準を超えているケースについて処理し、大同に費用負担を求めることを確認。小中学校に限り、環境基準を超えていなくても、むき出しとなっているスラグは撤去する方針だ。年内にも具体的な処理対象や時期を明らかにするという。【高橋勉】
**********

■今回もまた、この報道記事内容のポイントを整理して考察してみましょう。

①渋川市議会で「違法な産廃は処理すべき」との一般質問を受けての報道であること

②市側は「産廃か否か判断されていない」との立場であること

③市側は、連絡会議で環境基準を超えているケースについて処理することを確認した、との報道であること。


 続いて各ポイントの考察です。

◆ポイント①渋川市議会で「違法な産廃は処理すべき」との一般質問を受けての報道であること、について

 12月3日、渋川市議会の一般質問でスラグ問題を追及している角田議員が「違法な産業廃棄物であれば環境基準にかかわらず、すべて処理するべきではないか」と鋭く問うたことが報道されています。

 廃棄物処理法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と、不法投棄を禁止しています。また法第3条では「事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と事業者の責務を規定しています。

 この趣旨に照らせば、大同特殊鋼と佐藤建設工業が建設資材に偽装し、無秩序にばら撒いた廃棄物を適正に「処理するべき」だと主張する角田議員の質問は、シンプルかつ適切な質問であると評価できます。

 当会では、渋川市がどんなヒジョーシキで独自な主張を繰り広げても、「事業者の自らの責任で適正に処理」させるため微力ながら活動を続けてまいります。具体的には環境省の通達(末尾資料参照)にある通り、群馬県に躊躇なく原状回復の措置命令を出していただくよう主張し続けます。

◆ポイント②市側は「産廃か否か判断されていない」との立場であること、について

 驚くべきことに、渋川市側は「産廃か否か、まだ司法の判断も示されておらず、国、県との連絡会議での合意に基づいて処理する」と議会で答弁したことが報道されています。当会もこの記事を目にしたとき、あまりにも酷い住民軽視のヒジョーシキさ加減に腰が抜けそうになりました。

 具体的にいうと渋川市では、「現状ではスラグは産業廃棄物と特定できない」として、環境基準を超えるフッ素、六価クロムが確認された件についてのみ処理する方針なのだそうです。

 今回の報道が物語る2番目のこのトンデモないポイントは、渋川市が“スラグは産業廃棄物ではない”と未だに大同特殊鋼様のご機嫌取りをしていることです。大同様の高額納税者の立場を利用した“撤退”の脅しの恐怖でと、スラグに含まれた有毒要素によって思考回路がねじ曲がっているのです。

 正常な判断ができないのはビョーキなので、お気の毒としかいいようがありませんが、そこに暮らす市民にとっては、許しがたい大変困った問題なのです。群馬県公式HPをご覧ください。次の内容が公表されています。↓

http://www.pref.gunma.jp/houdou/e1700084.html
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【9月11日】大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について(廃棄物・リサイクル課)
《大同特殊鋼(株)渋川工場から排出された鉄鋼スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果について》
(7)ふっ素の土壌環境基準等が設定されて以降、大同特殊鋼(株)渋川工場から製鋼過程の副産物として排出された鉄鋼スラグは、土壌と接する方法で使用した場合、ふっ素による土壌汚染の可能性があり、また、平成14年4月から平成26年1月までの間、関係者の間で逆有償取引等が行われていたことなどから、当該スラグは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物と認定される。
詳しくはこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1723.html#readmore
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■いかがでしょうか?今やスラグまみれでトチ狂ってしまったのではないかと心配な渋川市職員の皆さま!群馬県は廃棄物と認定していますよ。まだ納得できませんか?

 それではもうひとつ、環境省の説明をご覧ください。第187回国会 経済産業委員会 第8号(平成26年11月12日)において塩川委員の質問に答えた(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)鎌形 浩史政府参考人の話です。

**********
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009818720141112008.htm
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かという点でございますけれども、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限を有する、この場合ですと群馬県において適切に判断するということになりますが、その判断の考え方について申し上げますれば、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。
 御指摘の土壌環境基準については、そのうち、物の性状の判断の要素ということになるということでございます。
**********
※当会注:詳しくはこちらを参照ください↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1712.html#readmore

■日本国の環境問題に対する最高機関である環境省が、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限は群馬県にある、と発言されています。その群馬県が「当該スラグは廃棄物と認定される」と公表しているのですから、廃棄物と確定したのです。

 にもかかわらず、「産廃か否か、まだ司法の判断も示されておらず」などとする渋川市は狂っています。司法が廃棄物かどうか決めるのではありません。群馬県が決めるのです。

 そして、既に群馬県が廃棄物と認定したのですから、どんなに大同特殊鋼や佐藤建設工業から脅されても、渋川市職員の皆さまには臆することなく、「スラグは廃棄物なんだぁ!」と声高に認めていただきたいのです。

 もう一度言わせていただきます。渋川市は間違っている!と。

 皆様も一緒に叫んでみませんか?

「ここが変だよ、渋川市!」

◆ポイント③市側は連絡会議で環境基準を超えているケースについて処理することを確認したとの報道であること、について

 渋川市は、未だにスラグが産業廃棄物ではない、と考えていることが分かりました。これを踏まえ、第3回鉄鋼スラグに関する連絡会議の方針を見ていきましょう。

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https://www.pref.gunma.jp/contents/000351736.pdf
鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)
[基本方針]
1.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を超過している施工箇所の対策
 ・管理者において将来にわたり管理できない施工箇所等については撤去を行う。
 ・前記以外の箇所については、県環境部局の助言を得ながら表面被覆等を行う。
2.鉄鋼スラグを含む材料が環境基準値を満足している施工箇所の対策
 ・これまでの調査の結果、直ちに撤去等が必要となるところはない。
 ・環境基準値を満足しているものの、スラグへの経口・接触リスクが高いと考えられる小・中学校等の箇所については、県環境部局の助言を得ながら必要に応じて鉄鋼スラグを含む材料が表面に出ている施工箇所の表面被覆等を行う。
3.鉄鋼スラグを含む材料を存置する場合の対応
 ・存置する工事の施工箇所については、県環境部局がリスト化し地下水の常時監視等を通じて、引き続き、環境への影響等について監視を行う。
 ・公共工事事業者としても、存置する施工箇所については、将来、修繕工事や占用工事等で該当箇所を掘削する場合は、県環境部局の助言を得ながら廃棄物処理法等の関係法令への適用状況を踏まえ適切に対応していく。
※ここでいう「鉄鋼スラグ」とは、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷されたもの。
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 詳しくはこちらを参照ください。↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1809.html
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■第3回鉄鋼スラグに関する連絡会議の方針をみると、「環境基準を超過」とか「環境基準値を満足」など醜い言葉が躍ります。これらは全て、スラグを産業廃棄物だと分かっていない(あるいは、分かろうとしたくない)渋川市が主張し、スラグマネーに汚染された国土交通省がこれ幸いと承認してしまった結果なのではないでしょうか?

 ですから、表題も「鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)」とあるとおり、(案)が付けれたのではないのでしょうか?

 国、群馬県、渋川市という自治体の高給取りの幹部職員らが、雁首揃えて1年半余りかけ3回も会議をしたのに、出された方針が、(案)付なのは、有害スラグ汚染でトチ狂いヒジョーシキで独自の行政判断を下したがる渋川市が暴走し、国土交通省が後押し、本来きちんと指導監督権限を行使すべき群馬県が困って何も言わない状況が生み出した結果なのではないでしょうか?

 いずれにしましても、被害を蒙るのは体の弱いお年寄りや化学物質の影響を受けやすい子ども達たちです。この期に至れば、もう連絡会議を重ねる必要もないわけで、群馬県による、原状回復の措置命令を躊躇なく出していただくよう心よりお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料
「環境省から各都道府県サンパイ所管部署長あて通知」

**********
https://www.google.com/url?q=https://www.env.go.jp/hourei/add/k040.pdf&sa=U&ved=0CBoQFjAIOApqFQoTCJ3Pj8iflMkCFSPapgodv3gNSQ&client=internal-uds-cse&usg=AFQjCNHn8XQ6PWIG5LSQflPDNx5098ua_g
                    産発第1303299号
                    平成25年3月29日
各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長 殿
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長
         行政処分の指針について(通知)
第8 措置命令(法第19条の5)
1 趣旨
(1) 都道府県知事は、処理基準又は保管基準(以下「処理基準等」という。)に適合しない産業廃棄物の処理が行われた場合において、生活環境の保全上の支障を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、必要な限度においてその支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるように命ずることができることから、これらの者による不適正な処分を把握した場合には、速やかに命令を行い、生活環境の保全上の支障の発生を防止し、又は除去されたいこと。なお、この場合において、処理基準等に違反する状態が継続している(不法投棄の場合であれば、廃棄物が投棄されたままの状態が継続している。)以上、いつでも必要に応じ命令を発出することができること。
(2) 法第19条の5は、「命ずることができる」と規定されているところ、同条は生活環境の保全を図るため都道府県知事に与えられた権限を定める趣旨であるから、不適正処理された産業廃棄物の種類、数量、それによる生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性など客観的事情から都道府県知事による命令の発出が必要であるにも関わらず、合理的な根拠がなく権限の行使を怠っている場合には、違法とされる余地があること。
2 要件
(1) 生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるとき
①「生活環境」とは、環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する「生活環境」と同義であり、社会通念に従って一般的に理解される生活環境に加え、人の生活に密接な関係のある財産又は人の生活に密接な関係のある動植物若しくはその生育環境を含むものであること。また、「生活環境の保全」には当然に人の健康の保護も含まれること。
②「おそれ」とは「危険」と同意義で、実害としての支障の生ずる可能性ないし蓋然性のある状態をいうこと。しかし、高度の蓋然性や切迫性までは要求されておらず、通常人をして支障の生ずるおそれがあると思わせるに相当な状態をもって足りること。
このように「生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがある」とは、人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じ、又は通常人をしてそのおそれがあると思わせるに相当な状態が生ずることをいい、例えば、安定型産業廃棄物が道路、鉄道など公共用の区域や他人の所有地に飛散、流出するおそれがある場合、最終処分場以外の場所に埋め立てられた場合なども当然に対象となること
      ----中略-----
3 内容
(1) 命令は「必要な限度において」とされており、支障の程度及び状況に応じ、その支障を除去し又は発生を防止するために必要であり、かつ経済的にも技術的にも最も合理的な手段を選択して措置を講ずるように命じなくてはならないこと。具体的には、例えば、最終処分場において、浸出液により公共の水域を汚染するおそれが生じている場合には、遮蔽工事や浸出液処理施設の維持管理によって支障の発生を防止できるときは、まずその措置を講ずるように命ずるべきであって、これらの方法によっては支障の発生を防止できないときに初めて、処分された廃棄物の撤去を命ずるべきであること

当会注:“極悪”佐藤建設工業は有害スラグを成分が異なるのに天然盛り土材と偽装して不法投棄していました。盛り土材に混入されているので接する直下の土壌にフッ素が流失し土壌を汚染してしまいます。上記3内容(1)にあるように広域に施工された毒入り盛り土を全部いったん撤去して遮蔽工事することは対象が広すぎ不可能なのではないでしょうか、ましてや浸出液処理施設を造りの維持管理によって支障の発生を防止することなども不可能です、であれば撤去しかないのではないでしょうか?つまりこれらの方法では支障の発生を防止できないと考えられ、廃棄物の撤去を命ずるべきと結論づけられると考えます。


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