■短期間だったツバル訪問もあっという間に過ぎてしまいました。ツバルを去る日、現地の関係者に頼み込んで、フォンガファレ島の直ぐ北にあるアマツク島にある船員訓練学校を訪問しました。校長先生と面談後、校長先生が自ら学校の施設を案内してくれました。
↑小さなアマツク島にあるツバル海事訓練学校(TMTI)。↑
ここでは、毎年60名の生徒を受け入れて、下級船員の養成を行っています。島嶼国家であるツバルは伝統的な海洋国家であり、船乗りは、漁師と並んで、最も身近な職業の一つです。
↑毎朝午前8時から、ヤシの木陰の広場で行われる行進訓練。↑
■現在、台湾の人材派遣会社を介して、カリブ海のクルーズ船のスチュワードやスチュワーデスとして大勢の卒業生が就職しているほか、機関員、甲板員、司厨員として外国船の船員としても活躍している卒業生がたくさんいます。彼らが海外からツバルに送金する金額は、漁業権収入、ツバル基金(日本をはじめ外国からの拠出金積立を原資とするファンド)運用益と並んで、ツバル国の貴重な収入源です。
こうした人材育成分野と、徹底したエコツアーを軸とした観光振興が、ツバル国の将来図を描く際に、不可欠な柱として認識できるのではないでしょうか。
そのためには、外国に依存している食料を、自給率を高めて、輸入量を少なくしたり、現在、石油を輸入して発電のための燃料を賄っているのを、太陽光や風力、波力など自然エネルギー利用で代替してゆくことが大切です。
台湾が行っている農業プロジェクトや、我が国が行った太陽光発電試験プラントはその一環ですが、今後この分野に軸を移した援助が行われてゆくと思われます。
しかし、インターネットの普及で、若者は世界の情報に敏感です。船員などの出稼ぎや海外の親戚を頼った移住で人口は今後減少することが予想されています。地球温暖化による海面上昇で「沈みゆく国」として注目されていることも、人口減少に拍車をかける可能性があります。
いずれ遠からず、トンガやサモアのように、海外在住者の方が本国居住者数を上回ることになるでしょう。既にハイレベルの人口密度のうえ、さらなる人口増加が続いていますが、限られた国土にとって適正な人口規模は、持続可能な環境維持には不可欠な条件です。
↑ツバルでよく見かける花のひとつ。↑
こうしたいろいろな課題を抱きながらも、世界で最も治安のよい国として自他ともに認めるツバルでの滞在は、改めて環境保護の大切さと難しさを認識させてくれました。
↑平和国家のツバルには、第二次大戦の名残がいくつかある。この写真は海岸に打ち捨てられた米軍の戦車。第二次戦中、日本軍がキリバスを占領したのに対して、ツバルではアメリカ軍が前線基地を建設し、そのときにマッカーサーが作った滑走路は現在のフナフチ国際空港として使用されている。このとき、掘り取った土砂の穴や窪地に、海水が浸み込み、温暖化の象徴として騒がれているのは、歴史の皮肉と言えよう。↑
別れの時、現地の人たちは暖かく空港まで見送りにしてくれました。離陸後、高度を上げる機内から見下ろすと、サンゴ礁の島々が眼下に次第に小さく見えました。太平洋に囲まれた小さな島々が、いかに地球環境の影響を受けやすいか、滞在中に見聞したことが脳裏をよぎり、余計に痛感させられました。この実感は、やはり実際にツバルを訪れてみないと、味わえないでしょう。現地を訪問してよかっと思いました。
↑さらばツバルよ。↑
ツバルが雲間に隠れたあと、機内にあったフィジーの新聞(ツバルには日刊紙はありません)を見ていると、3ページ目の国際ニュース欄に日本の衆院選の結果について、報じられていました。日本で起きた政治面での出来事が、これほど世界で注目されることは初めてでしょう。世界情勢に引き戻されました瞬間でした。
↑「日本で50年の統治崩壊」と報じるフィジーサン紙。↑
【この項終わり】
↑小さなアマツク島にあるツバル海事訓練学校(TMTI)。↑
ここでは、毎年60名の生徒を受け入れて、下級船員の養成を行っています。島嶼国家であるツバルは伝統的な海洋国家であり、船乗りは、漁師と並んで、最も身近な職業の一つです。
↑毎朝午前8時から、ヤシの木陰の広場で行われる行進訓練。↑
■現在、台湾の人材派遣会社を介して、カリブ海のクルーズ船のスチュワードやスチュワーデスとして大勢の卒業生が就職しているほか、機関員、甲板員、司厨員として外国船の船員としても活躍している卒業生がたくさんいます。彼らが海外からツバルに送金する金額は、漁業権収入、ツバル基金(日本をはじめ外国からの拠出金積立を原資とするファンド)運用益と並んで、ツバル国の貴重な収入源です。
こうした人材育成分野と、徹底したエコツアーを軸とした観光振興が、ツバル国の将来図を描く際に、不可欠な柱として認識できるのではないでしょうか。
そのためには、外国に依存している食料を、自給率を高めて、輸入量を少なくしたり、現在、石油を輸入して発電のための燃料を賄っているのを、太陽光や風力、波力など自然エネルギー利用で代替してゆくことが大切です。
台湾が行っている農業プロジェクトや、我が国が行った太陽光発電試験プラントはその一環ですが、今後この分野に軸を移した援助が行われてゆくと思われます。
しかし、インターネットの普及で、若者は世界の情報に敏感です。船員などの出稼ぎや海外の親戚を頼った移住で人口は今後減少することが予想されています。地球温暖化による海面上昇で「沈みゆく国」として注目されていることも、人口減少に拍車をかける可能性があります。
いずれ遠からず、トンガやサモアのように、海外在住者の方が本国居住者数を上回ることになるでしょう。既にハイレベルの人口密度のうえ、さらなる人口増加が続いていますが、限られた国土にとって適正な人口規模は、持続可能な環境維持には不可欠な条件です。
↑ツバルでよく見かける花のひとつ。↑
こうしたいろいろな課題を抱きながらも、世界で最も治安のよい国として自他ともに認めるツバルでの滞在は、改めて環境保護の大切さと難しさを認識させてくれました。
↑平和国家のツバルには、第二次大戦の名残がいくつかある。この写真は海岸に打ち捨てられた米軍の戦車。第二次戦中、日本軍がキリバスを占領したのに対して、ツバルではアメリカ軍が前線基地を建設し、そのときにマッカーサーが作った滑走路は現在のフナフチ国際空港として使用されている。このとき、掘り取った土砂の穴や窪地に、海水が浸み込み、温暖化の象徴として騒がれているのは、歴史の皮肉と言えよう。↑
別れの時、現地の人たちは暖かく空港まで見送りにしてくれました。離陸後、高度を上げる機内から見下ろすと、サンゴ礁の島々が眼下に次第に小さく見えました。太平洋に囲まれた小さな島々が、いかに地球環境の影響を受けやすいか、滞在中に見聞したことが脳裏をよぎり、余計に痛感させられました。この実感は、やはり実際にツバルを訪れてみないと、味わえないでしょう。現地を訪問してよかっと思いました。
↑さらばツバルよ。↑
ツバルが雲間に隠れたあと、機内にあったフィジーの新聞(ツバルには日刊紙はありません)を見ていると、3ページ目の国際ニュース欄に日本の衆院選の結果について、報じられていました。日本で起きた政治面での出来事が、これほど世界で注目されることは初めてでしょう。世界情勢に引き戻されました瞬間でした。
↑「日本で50年の統治崩壊」と報じるフィジーサン紙。↑
【この項終わり】