両神山・剣ケ峰(1723m)
☆憤慨する管理人
何とかその鎖場を抜けると「横岩」。その後常緑樹の根の張り出した直登を経て鳥居を潜ると両神神社となる。木立の中の小平地に建つ神社はトタンで作られた避難小屋に似た造りではあるが、本社前の石灯籠や休憩用のベンチとテーブル。そして今は閉鎖され廃道となってしまった旧白井差コースがここから分岐し、左へ下る。注意書きが指導標に付けられており、廃道に付き白井差へは下山できない旨が書かれていてロープが張られている。
ここで暫く佇んでいると山頂方面より犬を連れた初老の男性が下って来た。尋ねれば清滝小屋の管理人であった。色々と状況を伺うと、山頂付近のアカヤシオは遅れていてちらほら咲いている程度。そしてこの分岐から「のぞき岩」と呼ばれる岩棚までは行けるとの事で、その所要時間も片道5~6分と聞かされ、そこまで下ってみる事にする。
尚管理人によれば、白井差コース廃道の件は6年前の出来事とはいえ、未だに憤慨しており、通行禁止として張られたロープを外して行ってしまった。
☆二重登山道
管理人の許可という御墨付きを貰い、のぞき岩へと下り始めるが、廃道となってしまったためか踏み跡がやや分かり辛く、少々ルートファインディングが必要になってくる。案の定コースミスをし、白井差方面へ下ってしまったが、すぐにミスに気付き、戻ってのぞき岩へと出られた。絶壁ののぞき岩からは南側が開けていて、ほぼ180度の視界が得られ、奥地秩父の山並みが一望できる。
両神神社分岐まで戻り山頂方面へ向かうとすぐ隣には御獄神社。そしてこの辺りから先は稜線の緩やかなアップダウンになる模様である。暫く歩っていると、おかしな事に気付く。それは登山道が二重に付けられているのだ。登りと下りの一方通行というわけではなく、色々な状況から判断できるのは向かって左側の登山口は白井差側の地権者の土地分。そして右側の登山道が6年前の一件以来新たに付けられた登山道ではないか。
その証拠に左側の物は古くから踏まれた物と見え、歩き易く立派な物。それに対して稜線右側の物は、急遽間に合わせに付けられた様な感は否めず、踏み跡も浅く、木の枝に所々テープが巻き付けられている。概ね白井差地権者の道の方が歩き易く、日向大谷側は無理矢理付けられた感が強く歩き辛い。それもそのはず6年前まで最もポピュラーで歩行時間も短く、初級者向けの登山道として親しまれていたからだ。
比較的狭い稜線を挟んで両側を交互に歩いてみる。別に白井差側にバリケードが張られているわけでもないので気兼ねせずに歩ける。途中あと10日もすればアカヤシオのトンネルになるであろう箇所に差し掛かる。蕾だけを見て通過。
やがて稜線からやや大きく外れた新道(日向大谷側)を行く。前方からは中高年女性の団体が下ってくるのが見える。総勢10名程の団体であったが、女三人寄れば姦しいと言われるが、それ以上であったと記しておく。ここは数十メートルに渡って鎖が山側に付けられている箇所。谷側に待機し、その団体が行き過ぎるのをひたすら待つ。そこを過ぎるとつづら折れとなって険しい道へと変わる。
☆鋸の頂稜部
いよいよそれが近付いてきたのか「山頂→」のプレートが目に入ってきた。西上州並みの険しい傾斜であるが、「山頂0・1k」のプレートを目にすると前方にそれらしき頂が見えてきた。山頂部は少々険しい岩場となっていて数本の鎖が掛かっていた。
そして9時49分、標高1723mの両神山剣ケ峰登頂。そこには早朝駐車場で言葉を交わした初老の男性が一人佇んでいた。両神神社奥ノ院、展望板、山頂プレートが2枚。
岩場のため足元に注意しながら最上部に上がると司会はほぼ360度。しかしながら残念な事に朝方快晴だった天候がここにきて急に曇天へと変わってしまい、遠くの稜線には雲が掛かり、山座同定がやや困難だ。
それでも奥武蔵、奥秩父、佐久、西上州の山々。そして御荷鉾の稜線の背後にうっすらと妙義の稜線が霞んでいるのが見てとれる。近くは足元から北西へと連なる鋸の歯の様な東岳、西岳、八丁峠へと続く両神山の頂稜部。あまり一般的とは言えないがこの頂稜部を縦走するコースも勿論あるが、鎖場だらけの難コースで高所恐怖症の身には地獄の様なコースなので当分挑戦はできないであろう。
管理人の言ったとおり、ちらほら咲きのアカヤシオ。そして話し好きの初老の男性から延々と登山歴を聞かされ、展望を満喫するには至らなかったが、段々厚くなってゆく雲を気にしながら昼食を慌てて腹に詰め込んだ。
【完・編集部登山隊員】
☆憤慨する管理人
何とかその鎖場を抜けると「横岩」。その後常緑樹の根の張り出した直登を経て鳥居を潜ると両神神社となる。木立の中の小平地に建つ神社はトタンで作られた避難小屋に似た造りではあるが、本社前の石灯籠や休憩用のベンチとテーブル。そして今は閉鎖され廃道となってしまった旧白井差コースがここから分岐し、左へ下る。注意書きが指導標に付けられており、廃道に付き白井差へは下山できない旨が書かれていてロープが張られている。
ここで暫く佇んでいると山頂方面より犬を連れた初老の男性が下って来た。尋ねれば清滝小屋の管理人であった。色々と状況を伺うと、山頂付近のアカヤシオは遅れていてちらほら咲いている程度。そしてこの分岐から「のぞき岩」と呼ばれる岩棚までは行けるとの事で、その所要時間も片道5~6分と聞かされ、そこまで下ってみる事にする。
尚管理人によれば、白井差コース廃道の件は6年前の出来事とはいえ、未だに憤慨しており、通行禁止として張られたロープを外して行ってしまった。
☆二重登山道
管理人の許可という御墨付きを貰い、のぞき岩へと下り始めるが、廃道となってしまったためか踏み跡がやや分かり辛く、少々ルートファインディングが必要になってくる。案の定コースミスをし、白井差方面へ下ってしまったが、すぐにミスに気付き、戻ってのぞき岩へと出られた。絶壁ののぞき岩からは南側が開けていて、ほぼ180度の視界が得られ、奥地秩父の山並みが一望できる。
両神神社分岐まで戻り山頂方面へ向かうとすぐ隣には御獄神社。そしてこの辺りから先は稜線の緩やかなアップダウンになる模様である。暫く歩っていると、おかしな事に気付く。それは登山道が二重に付けられているのだ。登りと下りの一方通行というわけではなく、色々な状況から判断できるのは向かって左側の登山口は白井差側の地権者の土地分。そして右側の登山道が6年前の一件以来新たに付けられた登山道ではないか。
その証拠に左側の物は古くから踏まれた物と見え、歩き易く立派な物。それに対して稜線右側の物は、急遽間に合わせに付けられた様な感は否めず、踏み跡も浅く、木の枝に所々テープが巻き付けられている。概ね白井差地権者の道の方が歩き易く、日向大谷側は無理矢理付けられた感が強く歩き辛い。それもそのはず6年前まで最もポピュラーで歩行時間も短く、初級者向けの登山道として親しまれていたからだ。
比較的狭い稜線を挟んで両側を交互に歩いてみる。別に白井差側にバリケードが張られているわけでもないので気兼ねせずに歩ける。途中あと10日もすればアカヤシオのトンネルになるであろう箇所に差し掛かる。蕾だけを見て通過。
やがて稜線からやや大きく外れた新道(日向大谷側)を行く。前方からは中高年女性の団体が下ってくるのが見える。総勢10名程の団体であったが、女三人寄れば姦しいと言われるが、それ以上であったと記しておく。ここは数十メートルに渡って鎖が山側に付けられている箇所。谷側に待機し、その団体が行き過ぎるのをひたすら待つ。そこを過ぎるとつづら折れとなって険しい道へと変わる。
☆鋸の頂稜部
いよいよそれが近付いてきたのか「山頂→」のプレートが目に入ってきた。西上州並みの険しい傾斜であるが、「山頂0・1k」のプレートを目にすると前方にそれらしき頂が見えてきた。山頂部は少々険しい岩場となっていて数本の鎖が掛かっていた。
そして9時49分、標高1723mの両神山剣ケ峰登頂。そこには早朝駐車場で言葉を交わした初老の男性が一人佇んでいた。両神神社奥ノ院、展望板、山頂プレートが2枚。
岩場のため足元に注意しながら最上部に上がると司会はほぼ360度。しかしながら残念な事に朝方快晴だった天候がここにきて急に曇天へと変わってしまい、遠くの稜線には雲が掛かり、山座同定がやや困難だ。
それでも奥武蔵、奥秩父、佐久、西上州の山々。そして御荷鉾の稜線の背後にうっすらと妙義の稜線が霞んでいるのが見てとれる。近くは足元から北西へと連なる鋸の歯の様な東岳、西岳、八丁峠へと続く両神山の頂稜部。あまり一般的とは言えないがこの頂稜部を縦走するコースも勿論あるが、鎖場だらけの難コースで高所恐怖症の身には地獄の様なコースなので当分挑戦はできないであろう。
管理人の言ったとおり、ちらほら咲きのアカヤシオ。そして話し好きの初老の男性から延々と登山歴を聞かされ、展望を満喫するには至らなかったが、段々厚くなってゆく雲を気にしながら昼食を慌てて腹に詰め込んだ。
【完・編集部登山隊員】