世界各国の映画界で活躍する女性監督と女優が集結し、女性を主人公に描いた7本の短編で構成されるオムニバス映画。
女優タラジ・P・ヘンソンが監督を務め、ジェニファー・ハドソンがドラッグ依存と多重人格を克服しようと闘う女性を演じた「ペプシとキム」、「トワイライト 初恋」のキャサリン・ハードウィック監督がマーシャ・ゲイ・ハーデンとカーラ・デルビーニュの共演で、コロナ禍のロサンゼルスで出会った医師とホームレスの交流を描く「無限の思いやり」、アルゼンチンのルシア・プエンソ監督がエバ・ロンゴリアを主演に迎え、亡き妹が遺した幼い娘との人生を考えるキャリアウーマンを描いた「帰郷」、「きみはいい子」の呉美保監督が杏とタッグを組み、育児と仕事に翻弄されるシングルマザーの多忙な日常をつづった「私の一週間」、イタリアのルチア・ブルゲローニ監督&シルビア・カロッビオ監督によるアニメーション作品「アリア」などを収録。
ダイアン・ウォーレンが手がけ、ソフィア・カーソンが歌唱した主題歌「Applause」が第95回アカデミー賞で主題歌賞にノミネートされた。(映画.comより)
<2023年9月3日 劇場鑑賞>
うまい邦題ですね。7つの短編で構成された女性に関するストーリー集。本当によくできていました。少しわかりづらい話もありましたが、女性に関わるお話をうまくまとめ上げてあったと思います。時期がずれたとは言え、よくぞ田舎に降りて来てくれました。巡り合えたことに感謝です。
壮絶な過去を持つジェニファー・ハドソン演じる黒人女性が少しづつ立ち直って行く第一話。
コロナ禍、ホームレスに解放されたホテルで、そのホームレスを診察しているマーシャ・ゲイ・ハーデン演じる医師。そこには何重にも、何重にも服(多分下着も)を着込んだ若い女性のホームレスがいたのでした。これが第二話。
順風満帆のキャリアを誇るエヴァ・モンゴリア演じるキャリアウーマン。妹が亡くなったというので、忙しい中帰郷して見れば、妹には女の子がいました。問題アリな家族ゆえ、永らく連絡もとっていなかったのでした。急に引き取るなんて無理。でも、他に家族はない。これが第三話。
舞台は日本。二人の子供を育てるシングルマザーの杏は、目の回る忙しさの中、子供たちに声を荒げることもなく、いつも優しく前向きに頑張っていました。そこのところは、子供たちもちゃんと見ていました。そんな話が第四話。
ベテラン獣医として忙しい毎日を送るマルゲーリタ・ブイ演じる女性は、本業に熱心なあまり、娘との約束が二の次になってしまい、文句を言われることもしばしばです。今度こそはと思って職場を後にしようとしたところに持ち込まれた一匹の犬。直感的に診察を引き受けます(後から別の獣医が来ることも決まっていたのだが)。が、やがて持ち込んだ夫婦がどこかおかしいことに気が付きます。これが第五話。
舞台はムンバイ。ジャクリーン・フェルナンデス演じる美容外科医は成功を収め、彼女を頼る人は後を絶ちません。そんなある夜、女装した男性(とそれをやや冷やかす仲間たち)とリキシャで相乗りします。思わずさっさと降りてしまう彼女ですが、その後彼と巡り合う機会を得ます。これが第六話。
そして最後は美しいアニメーション。未来な背景で、それでも女性であることを自覚させられている小さな生き物は、自由に飛行する同じような小さな生き物に誘われ、部屋を飛び出します。これが第七話。この美しく幻想的なアニメーションで、映画は締めくくられます。さすがですね。
個人的には、ムンバイの話が少し抽象的でわかりづらかった(自分が凡人なだけなのですが)のと、日本バージョンの杏ママが、理想的過ぎるのとが少し引っかかりでした。私がヒネているだけなのでしょうが、杏ちゃんは本当に優しくて弱音を吐かず、お金の心配もあるだろうに(なかったのかもしれんけど)、子供に当たることもなく、ひたすら笑顔なんです。これはないかな、と思いました。ムンバイ・バージョンは抽象的ではありましたが、画が大変美しかったです。インド独特の華美さというか。
総じて、女性には(もちろん男性にも)是非見てもらいたい映画だと思いました。大画面でなくても、DVDでも。