田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ランガスタラム(Rangasthalam)

2023年08月22日 18時08分53秒 | 日記

Prime Video:Rangasthalam

RRR』のラーム・チャラン主演! 映画『ランガスタラム』レビュー──ランガスタラムはこの世の縮図にほかならない! | GQ JAPAN

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<INTRODUCTION>

『マガディーラ 勇者転生』『RRR』の主演で人気沸騰中のラーム・チャランが自ら最高傑作のひとつと述べ、大スクリーンでの鑑賞をファンが待望・渇求する名作『ランガスタラム』。監督のスクマールは、寡作ながらじっくりと練り込んだ脚本によって知られる個性派で、現在最も注目を浴びる映画人のひとり。物語の舞台は、インド南東部の田園地帯に広がる「ランガスタラム村」。「プレジデント」を名乗る金貸しの村長に牛耳られ貧しさから逃れられない村人たちを救おうと、独り立ち上がる思慮深い兄クマール、そしてそれを支えるやんちゃで短気な弟チッティ。叛逆と復讐のドラマは、チッティが毒蛇を追うことから始まり、彼と周りの人々の運命は変転する。スター俳優一家に生まれたラーム・チャランが、スターオーラを捨てて村人役を好演し、インドの代表的な映画賞であるフィルムフェア賞や南インド国際映画賞などの主演俳優賞を軒並み獲得した。劇場ではロングランヒットとなり、公開年のテルグ語映画興収ではダントツの1位に輝き、2010年代テルグ語映画のベストの一つに数えられることになった。

<STORY>

1980年代半ばのアーンドラ・プラデーシュ州中部、ゴーダーヴァリ川沿岸の⽥園地帯、ランガスタラム村。チッティ・バーブ(ラーム・チャラン)は、モーターを使って⽥畑に⽔を送り込むことを⽣業にする労働者。難聴で、他⼈の声がよく聞き取れない障碍を持っているが、さほど気にせずに毎⽇を楽しく暮らしている。彼は近所に住むラーマラクシュミ(サマンタ)に惚れて、調⼦はずれな求愛をする。⼀⽅、村は「プレジデント」を⾃称する⾦貸し兼地主のブーパティ(ジャガパティ・バーブ)によって⽜⽿られている。チッティ・バーブの兄で中東ドバイで働いているクマール・バーブ(アーディ・ピニシェッティ)は、プレジデントが好き放題にする故郷の村の有様を帰省した際に⾒て⼼を痛め、州会議員ダクシナ・ムールティ(プラカーシュ・ラージ)の⼒添えで、村⻑選挙に⽴候補して政治家として村の⽣活を改善していこうと思い⽴つ。

 

 

<2023年8月15日 JAIHO鑑賞>

 この映画、確か都会でしか上映されていなかったけれど、それでも7月半ばに始まったばかりだったのに、すぐに上映が終わってしまった作品。前評判があんなに高い映画だったのに、と愕然としたのを覚えています。そして8月に入ってすぐの配信開始。少し前の作品だから、最初からこの予定だったのかもとか思いながら、JAIHOとすぐに1ヶ月契約し、鑑賞することに。

 174分と、かなり長い映画でしたが、見ごたえのある作品でした。ラストでは「そ、そこがオチ?」と茫然自失でした。日本にいると、根深いカースト差別を実感することはできないのですが、頭で理解できないほどの根深さ・陰湿さをこうも見せつけられると、戦慄を禁じ得ません。今までも、いろんなインド映画を見て、ある程度分かっているつもりだったのですが。

 力のあるカースト高位の人物が、無教養な村人たちを騙して暴利をむさぼる・・・話は単純に見えます。実際、彼は汚い手口でどんどん村人たちを追い詰めているのです。そこで、我らがラーム・チャランと彼の教養高い兄クマールは、村を立て直そうと村長選挙に立候補します(兄)。もちろん、プレジデントと呼ばれる支配者に立てつくことなど、恐ろしくて想像もできない村人もいますし、権力者の妨害にも遭います。選挙運動は困難を極めるわけですが、クマールはへこたれません。チャラン弟も加勢します。が、権力者は資金も人脈もあり、人の命をなんとも思わない奴らです。クマールにも命の危険が。並行してチャラン弟の恋物語と兄クマールの相思相愛の彼女も描かれます。まだ学生の彼女とは、クマールもこっそり会っているようですが。

 

<ここからネタバレ>

 実際、どんなに弟や仲間がついていても、クマールは狙われ続け、結果的に殺されてしまいます。兄クマールは死に際に犯人の名前を言ったようなのですが、聴覚障害のあるチャラン弟には聞き取れませんでした。映画の冒頭で、兄を応援していた州会議員が暴走してきた車にはねられる場面がすでに描かれています。幸い、議員は意識は戻らないものの一命はとりとめました。ここまで来て、プレジデントに逆らった議員と村長候補が刺客に狙われたのだなぁとわかります。チャラン弟は誠心誠意議員を看病します。そして、3年後くらい(?)に意識を取り戻した議員。チャラン弟に感謝の言葉を述べます。

 ここで、村はどうなっているかと言うと、兄クマールが殺され火葬を終えた時点で、村人たちは自らの代表を満場一致で決め、プレジデントは逃亡してしまいました。今は、その新村長が村を治めているわけです。

 しかし、この後が本当に恐ろしい。結論から言うと、すべての黒幕はこの議員だったのです。理由は・・・自分より下位カーストだったクマールと自分の娘が付き合っていることが許せなかったのです。そう、あの大学生は議員の娘だったのです。議員は、多分プレジデントとも組んでたのでしょうね。クマールを焚きつけ、善人顔で応援し、執拗に彼を狙い、さも政治的理由で殺されたように見せかけ、殺したのでした。理由はたった一つ。下位カースト出身だったことが許せなかっただけです。そして「それは当然」と思っていること。こんな回りくどいことをしてでも、殺してしまいたいほど憎かったということ。この物語のオチはそこか、と戦慄を覚えました。怖すぎる。174分見て来て、それが結果だなんて。心底恐ろしいと思いました。そして、実は真実を知っていたチャラン弟。彼は、議員の意識がちゃんと戻るのを待って、復讐を果たしたのでした。ここは、意識が戻らなかったらどうするつもりだったのだろう、とちょっと思いました。

<ネタバレ終わり>

 

 かなり覚悟のいる映画だと心得て鑑賞してください。

コメント
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