田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

シモーヌ フランスに最も愛された政治家(Simone, le voyage du siecle)

2023年08月14日 08時00分02秒 | 日記

Cinéma. En route pour

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 「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のオリビエ・ダアン監督が、女性初の欧州議会議長となったフランスの政治家シモーヌ・ベイユの人生を映画化。

1974年、パリ。カトリック人口が多数を占め、男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ベイユは圧倒的な反対意見をはねのけて中絶法の可決を実現させる。1979年には女性として初めて欧州議会議長に選出され、理事たちの猛反対にあいながらも「女性の権利委員会」を設置。女性のみならず、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など、弱者の人権のために闘い続けた。その不屈の意志は、かつて16歳で家族とともにアウシュビッツ収容所に送られたという過去の体験の中で培われたものだった。

「パリ、嘘つきな恋」のエルザ・ジルベルスタインが40代以降のシモーヌ、「スザンヌ、16歳」のレベッカ・マルデールが10〜30代のシモーヌをそれぞれ演じた。(映画.comより)

 

 

<2023年7月30日 劇場鑑賞>

 この映画を見ている間、だいぶ前に見た「ビリーブ未来への大逆転」のルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)を想起しました。彼女は後にアメリカ合衆国最高裁判事になった人なので、少し違うかもしれませんが、その類まれな聡明さと、「女だ、女だ」と言われ続けても屈しなかった強い意志が共通していると感じました。

 冒頭、フランス国会で「中絶法」を通す彼女が映るのですが、そこで述べられたセリフが印象的でした。彼女は、レイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「 喜んで中絶する女性はいません。 中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です 」と述べ、圧倒的反対意見をはねのけ、中絶法を勝ち取ったのです。口をきわめて彼女を罵るおじさん議員たち。そりゃ、あんたたち妊娠しないもんねぇ。たとえ女に産まれていても、いいお家柄の人は襲われないもんねぇ。わかりもしないことをわかったように口きくもんじゃないよ。と、冒頭から引き込まれました。「あれ?もう議員?議員になるために戦った軌跡は?」とは思いましたけどね(笑)。

 年老いた彼女が回想する形で展開されてゆく物語。若い頃、議員になったころなど、いろんな時代がランダムに出て来るので、ややわかりづらかったのは確かです。明らかに女優さんが違う若い頃はまだしも、同じ女優さんでの軌跡は、はっきり言って混乱しました。しかし、調べると、ルース・ベイダー・ギンズバーグとやや年が近い。RBGは1933年生まれ。シモーヌは1927年生まれ。RBGの方が少し若いけれど、同じ時代に生きていたのですね。理解のある夫に巡り合っているのも同じ。ただ、こことても悲しかったのですが、ユダヤ人であることは同じだったとしても、シモーヌは強制収容所の経験があった、ということ。母・姉と共に入れられ、病弱な母をかばいながら懸命に収容所を生き抜く描写は、辛すぎて目をそらしそうでした。事実、鮮明には覚えていないような気がします。ダメですね、私。

 映画自体は駆け足なので、フランスの近代史に詳しくない私にはよく把握できていないかもしれません。しかし、彼女の信念の強さ、その聡明さにはただただ感嘆するばかりでした。政治の世界って、正義だけでは通らないだろうに、バランス感覚にも優れていたのでしょうね。すごい女性だと思いました。

 そうそう、久しぶりにエルザ・ジルベルスタインを見れて感激。「ミナ」とか「モディリアーニ真実の愛」とか、昔見ました。懐かしいな~。あの映画でモディリアーニを知ったのでした。「ミナ」でのロマーヌ・ボーランジェのセリフ「でも私ったら、こんな髪よ」が強烈に記憶に残っています。フランス女性ってすごいなぁと感心したのでした。

 

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