田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ミラクル・ツインズ(the power of two)

2012年12月22日 23時53分38秒 | 日記

肺の難病「嚢胞性線維症」をもって生まれてきた日系アメリカ人の双子の姉妹、アナベルとイサベルの軌跡を追ったドキュメンタリー。監督は、2度のアカデミー賞ノミネートの経歴を持つマーク・スモロウィッツ。1972年、アナベルとイサベルは、ドイツ人の父、日本人の母のもと、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに生まれる。だが生後3日にして、遺伝性難病(嚢胞性線維症=CF)と判明、幼少期、思春期を通し、生きるために胸を叩くなどの苦しいセラピーを日課とし、入退院、呼吸困難、肺の感染症を繰り返しながらお互いを支えて大人になった。スタンフォード大学卒業後、アナベルは、スタンフォード大学病院で遺伝カウンセラーとして、イサベルは同病院でソーシャルワーカーとして勤務する。しかし、ついに肺の機能が低下、二人を救ったのは臓器移植による新しい肺だった。それは呼吸する力(=生きる力)を二人に与え、不可能だった登山や水泳などのスポーツを可能にする。やがて自分たちの病気のこと、そして臓器移植の必要性を多くの人に伝えるため自ら支援活動を開始、人々に勇気と希望を与えていくのだった……。(goo映画より)


 この病気の90%は白人に起きるのだそうです。私たちに縁が薄い所以ですね。
ともかくつらい毎日、「前向きになれる映画を見よう」と、これを選んではるばる行って来たのですが、冒頭主人公たちが日系の女性だったので驚きました。小さい頃からろくに学校へも通えずに入院生活を送る彼女たちに、最初は同情を禁じ得ませんでした。
しかし、いつも一緒(もちろん病気も一緒)の双子ちゃんは、どんなときも二人一緒で、しかも双方聡明。そのため、入院生活やその時々の処置・お薬、そういったもの一切をイラスト入りの綺麗なメモにまとめ上げ、出版されるまでにもなります。

優しく前向きな母や支えてくれた仲間たち、みんな前向きで明るいのです。
死んでいった患者仲間のことは忘れないけれど、この映画の主人公たちはギリギリになった時は幸運にも脳死からの移植を受けることができ、二人とも元気になります。

アメリカではドナーの家族と交流することも認められていて、臓器をもらった家族さんにも積極的に会いに行きます。日本と死生観が違うので、単純な比較はできないのですが、アメリカではドナーの家族は大変尊敬されていて、その家族を称えるパレードがあるほどです。(実際のパレードの映像も流れます)

ちょっと日本では考えられないと思うのですが、それだけ臓器移植が多く行われているということですね。

ともかく、彼女たちはあちこちからの講演依頼が引きも切らず、また本人たちも「移植者の運動会」や様々な交流イベントに積極的に顔を出し、移植推進をアピールしているのです。

もちろん、死人が出るのを待って移植してもらうのですから、葛藤がないわけではありません。でも、ある人が言います。「彼らは移植が原因で死んだのではない。死んだから移植したのだ」と。

一見前向きで明るい彼女たちですが、いったん講演のための旅行カバンをあけると、そこには山のような薬が・・・。なんだか胸が詰まります。

「胸一杯に空気を吸う」そんな当たり前のことができることに感謝。そう言う、彼女たちの言葉には重みがあります。

しかし、あまりに元気で前向きな姿を多く映しているので、伝えたいメッセージはわかるのですが、深刻さが少し薄れてしまっているような気もします。もちろん、頭ではわかっていますし、映画自体を短くまとめてあるせいもあって駆け足になってしまっているところもあると思うのですが。

移植における日米の価値観の違いを描くくだりは、さもありなんと納得することばかりでした。日本からは河野洋平さんの息子さんが出られてました。そういえば、お父さんにご自分の肝臓の一部を提供された、と聞いたなぁと思い出しました。
こればっかりは昔からの宗教観もありますし、一朝一夕には変わらないでしょうね。

彼女たちが日本に長く滞在し、移植者の運動会に参加したり香川大学で講演したりした・・・ということは本当に知りませんでした。もっと大きくメデイアが取り上げてもよかったんじゃないかと思いますね。

コメント
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