会社勤めの頃、通勤・帰宅での電車の乗り換え場(駅)であったこともあり、夜の主戦場は新宿だった。
新宿駅東口、歌舞伎町から、新宿3丁目界隈が最も頻繁にさ迷い飲み歩いた。
そんなとき気紛れに、あるときは酔ったついでに、あるときは女の子を誘って、ふらりと新宿末広亭に入って、寄席を楽しんだりした。
しかし、最近は寄席からすっかり足が遠のいてしまった。
見る(聴く)とすれば、近くのパルテノン多摩(東京都多摩市)で、年に2回行われている中央大学落語研究会(落研)の学生たちの落語ぐらいである(これが上手いのである)。
今年になって、そのパルテノン多摩で女性落語家の公演が5月2日に行われるというのを当該情報誌で知った。
女性の落語家が珍しいので、それにあやかった公演かと見くびっていたら、3月ごろになると、テレビ「笑点」大喜利の最古参メンバーである林家木久扇が4月いっぱいで卒業するにあたり、その後継者候補の一番手に人気女性落語家が、とSNS等で話題になった。
その女性落語家というのが、パルテノン多摩にやってくる蝶花楼桃花だった。
1年前に笑点のメンバーとなった春風亭 一之輔を見るまでもなく、笑点レギュラーとなったらチケットが買えないくらい人気になるなと思い、急いでチケットを購入しに行った。ギリギリに席を確保でき、そんな笑点新メンバーの噂もあってか、すぐに3月で席は完売となった。
蝶花楼桃花は、春風亭小朝の弟子である。
春風亭ぽっぽとして前座を開始し、二ツ目の時代は春風亭ぴっかり☆を名乗る。なお、名前の末尾に☆マークが入っているが、これは読みはなく、寄席文字にないため定席のめくりには表記されない。
2022年の真打昇進とともに、高座名を蝶花楼桃花とし、女性落語家として人気上昇し、現在に至っている。
それにしても、蝶花楼桃花の「蝶花楼」という亭号は珍しい。
2019年に七代目蝶花楼馬楽が死去して以来、3年ぶりの亭号復活ということである。
笑点の大喜利メンバーであった林家木久扇は、師匠である林家彦六の真似をよくやっていた。その林家木久扇および三遊亭好楽の師匠でもある、一門の祖である林家彦六は八代目林家正蔵を名乗る前に五代目蝶花楼馬楽を名乗っていた。
蝶花楼、なにやら華(艶)がある名である。それに、桃花が付く。
やはり、蝶花楼という亭号は、女性落語家がよく似合う。
*パルテノン多摩独演会「蝶花楼桃花」 2024年5月2日(木)
蝶花楼桃花が舞台下手から登場し、壇上で座って客席に向かって一礼すると、そこに花が咲いたように急に舞台が明るくなった。
まず、「まくら」は、自己紹介のようなものである。
落語家は階級制度であるとして、見習い、前座、二つ目、真打と昇っていく階級を紹介。その先はないかと思うと、ご臨終にいたると笑いをとる。
つぎに、全国の落語家さんは約1000人、そのうち女性の落語家さんは30名~40名ととっても少ない、と女性落語家の稀少性をあげてみる。
そして、私は落語家になりたての頃は、当時大河ドラマ「篤姫」をやっていて、その主演女優、宮崎あおいが人気で、私は「ポストあおい」と言われていた、と。そのオチは、彼女にファンからの手紙を渡す役割(俳優ではなく)だったこと、という(詳細に話すと長くなるので略)。
演目1は、師匠・春風亭小朝のために書き下ろされた新作落語「こうもり」である。
「鶴の恩返し」をモチーフにした作品で、「こうもりの恩返し」である。これが、単なる人情噺ではないところが、おやっと新しさを思わせた。
日本の仏教と西洋のキリスト教の対比をあちこちにオチとして提示するのである。
であるから、このコウモリの出身がルーマニアになっている。つまり、吸血鬼の里ということである。ここから、聖書の「悔い(食い)改めよ」とか、キリストがこの中に裏切り者がいる、それは3つのコップ、葡萄酒、水、湯のどれかを飲む、と言う。それは、「湯だ」(ユダ)……等々、多少の教養も必要(できれば)な落語となっている。
余興として、「南京玉すだれ」芸を演じる。
長さ30~ 40センチの竹製のすだれ(簾)を、釣り竿、東京タワーなどいろいろな形に変化させるものである。
休憩を挟んで――
演目2は、「徂徠豆腐(そらいどうふ)」である。
これは、街の豆腐屋と落ちぶれた浪人の恩返し、人情噺である。
蝶花楼桃花、彼女は声がいいので、聴いていて心地いい。
落語界へ、彼女が新しい道を開いてくれるであろう。
*
この日、「桃花」にちなんで、パルテノン多摩の近くにある中華料理「桃里」で夕食をした。あいにく、桃の花の季節は過ぎているが。
新宿駅東口、歌舞伎町から、新宿3丁目界隈が最も頻繁にさ迷い飲み歩いた。
そんなとき気紛れに、あるときは酔ったついでに、あるときは女の子を誘って、ふらりと新宿末広亭に入って、寄席を楽しんだりした。
しかし、最近は寄席からすっかり足が遠のいてしまった。
見る(聴く)とすれば、近くのパルテノン多摩(東京都多摩市)で、年に2回行われている中央大学落語研究会(落研)の学生たちの落語ぐらいである(これが上手いのである)。
今年になって、そのパルテノン多摩で女性落語家の公演が5月2日に行われるというのを当該情報誌で知った。
女性の落語家が珍しいので、それにあやかった公演かと見くびっていたら、3月ごろになると、テレビ「笑点」大喜利の最古参メンバーである林家木久扇が4月いっぱいで卒業するにあたり、その後継者候補の一番手に人気女性落語家が、とSNS等で話題になった。
その女性落語家というのが、パルテノン多摩にやってくる蝶花楼桃花だった。
1年前に笑点のメンバーとなった春風亭 一之輔を見るまでもなく、笑点レギュラーとなったらチケットが買えないくらい人気になるなと思い、急いでチケットを購入しに行った。ギリギリに席を確保でき、そんな笑点新メンバーの噂もあってか、すぐに3月で席は完売となった。
蝶花楼桃花は、春風亭小朝の弟子である。
春風亭ぽっぽとして前座を開始し、二ツ目の時代は春風亭ぴっかり☆を名乗る。なお、名前の末尾に☆マークが入っているが、これは読みはなく、寄席文字にないため定席のめくりには表記されない。
2022年の真打昇進とともに、高座名を蝶花楼桃花とし、女性落語家として人気上昇し、現在に至っている。
それにしても、蝶花楼桃花の「蝶花楼」という亭号は珍しい。
2019年に七代目蝶花楼馬楽が死去して以来、3年ぶりの亭号復活ということである。
笑点の大喜利メンバーであった林家木久扇は、師匠である林家彦六の真似をよくやっていた。その林家木久扇および三遊亭好楽の師匠でもある、一門の祖である林家彦六は八代目林家正蔵を名乗る前に五代目蝶花楼馬楽を名乗っていた。
蝶花楼、なにやら華(艶)がある名である。それに、桃花が付く。
やはり、蝶花楼という亭号は、女性落語家がよく似合う。
*パルテノン多摩独演会「蝶花楼桃花」 2024年5月2日(木)
蝶花楼桃花が舞台下手から登場し、壇上で座って客席に向かって一礼すると、そこに花が咲いたように急に舞台が明るくなった。
まず、「まくら」は、自己紹介のようなものである。
落語家は階級制度であるとして、見習い、前座、二つ目、真打と昇っていく階級を紹介。その先はないかと思うと、ご臨終にいたると笑いをとる。
つぎに、全国の落語家さんは約1000人、そのうち女性の落語家さんは30名~40名ととっても少ない、と女性落語家の稀少性をあげてみる。
そして、私は落語家になりたての頃は、当時大河ドラマ「篤姫」をやっていて、その主演女優、宮崎あおいが人気で、私は「ポストあおい」と言われていた、と。そのオチは、彼女にファンからの手紙を渡す役割(俳優ではなく)だったこと、という(詳細に話すと長くなるので略)。
演目1は、師匠・春風亭小朝のために書き下ろされた新作落語「こうもり」である。
「鶴の恩返し」をモチーフにした作品で、「こうもりの恩返し」である。これが、単なる人情噺ではないところが、おやっと新しさを思わせた。
日本の仏教と西洋のキリスト教の対比をあちこちにオチとして提示するのである。
であるから、このコウモリの出身がルーマニアになっている。つまり、吸血鬼の里ということである。ここから、聖書の「悔い(食い)改めよ」とか、キリストがこの中に裏切り者がいる、それは3つのコップ、葡萄酒、水、湯のどれかを飲む、と言う。それは、「湯だ」(ユダ)……等々、多少の教養も必要(できれば)な落語となっている。
余興として、「南京玉すだれ」芸を演じる。
長さ30~ 40センチの竹製のすだれ(簾)を、釣り竿、東京タワーなどいろいろな形に変化させるものである。
休憩を挟んで――
演目2は、「徂徠豆腐(そらいどうふ)」である。
これは、街の豆腐屋と落ちぶれた浪人の恩返し、人情噺である。
蝶花楼桃花、彼女は声がいいので、聴いていて心地いい。
落語界へ、彼女が新しい道を開いてくれるであろう。
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この日、「桃花」にちなんで、パルテノン多摩の近くにある中華料理「桃里」で夕食をした。あいにく、桃の花の季節は過ぎているが。
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