かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

パンデミック・コロナの時代② 世界を走らせたワクチン喧騒曲

2023-02-01 02:28:11 | 人生は記憶
 2020(令和2)年1月15日にわが国初の新型コロナウイルスの感染者が確認されて以来、コロナ感染者数は徐々に増えていった。
 コロナの感染者数は放物線のように拡大し、ピークの山を超すと下がり収束へ向かう。しかし、それで終わるということはなく、しばらくして再び感染の拡大が始まり山を超すと収束に向かうという、頂点の高さと領域の幅は違えど、”波”を繰り返してきた。
 つまり、私たちの心的感情から言うと、拡大の不安と収束の安堵の波の繰り返しが、現在に至っても続いている。
 そして、2023(令和5)年の1月現在、日本は第8波に到っている。

 <1> 2020年、新型コロナウイルス第1波~2波の対応と、その後

 この新型コロナウイルス(COVID-19)は、またたく間にパンデミック(世界大流行)となり全世界に拡大し、各国はその対応に追われ、一方先進各国はコロナワクチンの開発・作成を急いだ。
 新型コロナウイルス感染拡大への対応策として、欧米各国は社会規制への強化を打ち出した。欧州では、飲食店の店内営業禁止などを伴うロックダウン(都市封鎖)を実施し、違反者には厳しい罰則も科した。
 新型コロナウイルスの初動期には、欧米に比し感染者がさほど多くなかったわが国では、各個人に対する自粛要請、その後4月7日の緊急事態宣言(1回目)出言にとどまった。
 ※「パンデミック・コロナの時代① 2020(令和2)年に起こったこと」参照。

 2020年の4~5月のコロナの波(第1波)が静まったかのように見えた後、7月から再び感染者が徐々に増え8月をピークに第2波が到来した。
 ・7月22日、政府の観光支援策「Go Toトラベル」開始。
 外出自粛、緊急事態宣言などで委縮した経済に刺激を与えるという意図で出された政策だが、ブレーキをかけている状態でアクセルを踏んでいると、世間では不評だった。
 ・8月28日、安倍晋三首相が辞意を表明。
 ・9月16日、臨時国会にて、第99代内閣総理大臣に菅義偉が指名される。

 低い数字ながら続いていたコロナ感染者数が11月ごろから徐々に増え、12月から翌2021(令和3)年1月に第3波のピークを迎える。
 ・12月28日、「Go Toトラベル」を全国で一斉に停止。
 ・1月8日、2回目の緊急事態宣言。

 <2> 新型コロナウイルス、2020年の日本国内、世界の状況
 
 〇2020年の日本国内の感染者数、23万6055人、日本国内の死者数、3492人。(朝日新聞)
 〇2020年の新型コロナウイルスの世界の状況
 ・新型コロナウイルスの感染者が中国・武漢市で初めて確認されてから1年となる2020年12月8日で、世界の新規感染者は1日60万人程度の勢いで増えていて、累計で6700万人に。死者も150万人を超え、各国は未知のウイルスとの闘いに追われている。
 ・春に都市封鎖(ロックダウン)を強いられた欧州各国は感染拡大の「第2波」に襲われている。夏のバカンスを経て、9月下旬から感染が再拡大。7月末に335万人だった累計感染者は、11月には1800万人を超えた。
 英仏伊などは10月下旬から相次いで、全土や特定地域でロックダウンを再び導入。各地で規制強化に対する抗議デモも起きている。
 ・アメリカの新型コロナウイルスの新規の感染者が1日に20万人を超え、累計感染者は1500万人に迫り、死者は28万人以上と世界最悪の状況となっている。
 11月3日、アメリカ合衆国大統領選挙で、当初から感染抑制よりも経済活動の再開に躍起だった共和党のドナルド・トランプ大統領が敗れ、民主党候補のジョー・バイデンが大統領に当選した。トランプ前大統領は大統領選後も、ツイッターで「不正投票があった」と発信し続けている。
 (2020年12月の東京新聞での報道を要約)

 <3> コロナワクチンへの開発と対応急いだEU各国 
 
 新型コロナウイルスの感染対策に追われていた各国であるが、先進各国(もちろん日本も)は感染防止の鍵とされるワクチン開発を急ピッチで進めていた。
 なかでも開発が進んでいたのは、米ファイザー社、米モデルナ社、英アストロゼネカ社だった。中国でも独自に開発が進んでいた。
 開発をリードした米英以外の国も、ワクチンの供給確保に敏感に動いていたし、日本政府も先にあげた米英の製薬会社とワクチンの供給の交渉を進めていた。
 菅首相は9月の就任会見で、「来年前半までに全国民に行き渡るワクチンを確保する」と表明するも、日本国内でのワクチン開発がどこまで進んでいて、いつ頃作成できるなどの具体的なニュースは聞かれなかった。

 2020年12月、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチンに世界の注目が集まった。以下はその時のニュースである。
 ・イギリスが米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルス用ワクチンをいち早く承認したことを受け、欧州連合(EU)諸国がワクチン準備を急いでいる。
 イギリスに負けじと早期導入を誓う国や、副作用への不安などから躊躇する人への説得を試みる国、EU一体での調達計画に抵抗する国など、ワクチンを巡る思惑が交錯している。(2020年12月6日東京新聞)
 新型コロナウイルス感染対策の最大の鍵と目されたコロナワクチンが、争奪戦の様相を呈して、世界で大きく動き出したのであった。

 <4> 日本におけるコロナワクチンの動向記録
 
 ・2021(令和3)年1月、新型コロナウイルス第3波到来。
 ・1月8日、2回目の緊急事態宣言、出言。

 2020年12月、イギリスでファイザー社の新型コロナワクチンが緊急承認されたのを期に、世界各国で同社製のワクチン接種が急速に進む。特に欧(EU)米の先進国が先行し、多くの国はいつ供給が回ってくるか不透明な、需要が供給に追いつかない状況であった。
 一刻も早い供給を求めていた日本政府に対して、ファイザー社から、日本への供給開始は2021年4月ごろになるとの見通しが伝わる。そこで菅首相は、従来の厚生労働省ルートではなくファイザー社との直接交渉を探る。
 交渉の結果、4月の供給開始が2月12日に前倒しされたが、十分な供給量までには至らなかった。
 翌2021年1月20日の正式契約では、半年前合意での6月末まで約1億2千万回分(6千万人分)ではなく、年内に約1億4400回分(約7200万人分)と変更された。
 その後も政府は高齢者分などを確保するために、ワクチン供給の前倒しの交渉を続ける。

 ・2021年2月17日、日本における、医療従事者向けワクチン接種開始。
 ・4月12日、高齢者向けのワクチン接種を開始。
 ・4月16日、菅首相、ワシントンにてバイデン大統領との日米首脳会談。翌17日、ファイザー社のブーラ最高経営責任者(CEO)と、ワクチン前倒し供給を直談判。
 ・5月7日、菅首相「1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に希望するすべての高齢者に2回の接種を終わらせるよう自治体をサポートする」と表明。
 ・5月14日、ファイザー社との追加供給の正式契約締結を発表。
 (写真は、遅れて報道された菅首相のファイザー社CEOとの直談判に関する、2021年5月20日の朝日新聞1面記事)
 このあと、日本では遅れていたワクチン接種開始を取り戻すかのように、急ピッチで接種を進め、他の先進国とそん色ないワクチン接種率となる。

 新型コロナの第3波までは従来株ウイルスであったが、2021年春の第4波ではアルファ株、同夏の第5波では重症化率が高いデルタ株が流行。

 ・7月12日、4回目の緊急事態宣言、言出。
 ・7月23日、1年延期となった東京五輪、無観客にて開催。
 ・8月、新型コロナウイルス第5波到来。デルタ株が主流となる。
 ・9月3日、菅首相が退陣を表明。
 ・9月30日、緊急事態宣言、すべてで解除。

 ・10月4日、岸田文雄、第100代総理大臣に就任。
 ・2022(令和4)年1月~、新型コロナウイルス第6波到来。新規感染者数、死者数も急増する。
 ウイルスはオミクロン株が主流となる。
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