かりそめの旅

うるわしき 春をとどめるすべもなし 思えばかりそめの 旅と知るらむ――雲は流れ、季節は変わる。旅は過ぎゆく人生の一こま。

3.11に聴くシャンソン

2013-03-12 01:01:01 | 歌/音楽
 東日本大震災から2年がたった。
 震災と津波の被害は、経験のない大きなものだった。震災直後の復興支援への熱意と日本人の勤勉さから、復興は時間がかかったとしても着実に目に見えるものになるだろうと思った。しかし現実は、思ったものよりはるかに遅い。いまだ、荒廃した風景が映し出される。原発の影響で故郷に帰れない人が大勢いる。
 2年前の震災直後、文化人やタレントやスポーツ選手等の支援、寄付の静かだが熱い声が広がった。韓国の俳優・タレントをはじめとする外国人の寄付・義捐金も広範な波になって広がり、今は領土問題で諍いが絶えない中国や台湾の人からも寄付が寄せられ、日本人として感謝の念に堪えなかった。自分も何かをしなければと思った。
 「見せましょう、野球の底力を」と、東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋基宏が、復興支援のために行われた慈善試合にて力強く宣言し、その年の流行語大賞の候補としてノミネートされた。
 震災を契機に、文学者のドナルド・キーンさんは鬼怒鳴門(キーンドナルド)と日本人になった。
 一般市民による脱原発の国会前のデモも起きた。

 震災の復興もままならないなか、無力を痛感するまま2年が過ぎた。

 そんな3月11日、多摩市のパルテノン多摩で「午後のシャンソン」発表会コンサートが行われ、知人のシャンソン歌手の日野美子さんがゲスト出演されたので聴きに行った。
 主催者の小原晴美さんはじめ、会の人たちによるシャンソンが次々と会場に響く。僕の好きな歌「桜んぼの実る頃」、「サンジャンの私の恋人」、「ドミノ」など、久しぶりに聴く歌だ。
 最後に、日野さんが登場した。
 3.11への思いを語った後、「ある古い歌の伝説」を皮切りに、「人生は美しい」、「地下鉄の切符切り」、「アコーディオン弾き」、「愛の賛歌」と続き、最後は日野さんの持ち歌「星に祈ろう」で幕を閉じた。
 日野さんの熱の入った歌を聴くのも久しぶりだ。(写真)

 外へ出ると、日は暮れようとしていた。
 こうして、3回目の3.11は過ぎていった。
コメント (1)
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