一般的に、人は虫歯になりやすい人と歯周病になりやすい人に分かれます。
もちろん、両方になりにくい強い人もいます。
そして残念なことに両方になりやすい人もいますが、さすがにそれは少数派です。
それを虫歯体質と歯周病体質という観点からみると、生まれつきの体質であると感じます。
先天的な生まれつきの体質ではありますが、虫歯も歯周病も生活習慣病ですので、後天的に生活習慣を見直すことによってかなり予防できるものです。
前回、ざっと虫歯や歯周病にならないために気をつけることを書きました。
この歯はどれくらいもちますか? - 小幡歯科医院歯科話 (goo.ne.jp)
「甘いもの」「歯ぎしり、食いしばり」「タバコ」「タンパク質不足」「運動」などの習慣を適正にすることが病気を防ぐうえで大切だと書きました。
今回は、この両者を意識した予防について書きます。
虫歯について一番気をつけるべきは、砂糖(や異性化糖)の入った甘いものを控えることです。これがきちんとできていると、ほとんどの人は虫歯になることを防ぐことができます。
歯磨きをしっかりすることよりも大切なくらいです。
そして、虫歯にも歯ぎしり、食いしばりや栄養不足もかかわってきますが、その原因のほとんどは「甘いもの」と言っていいでしょう。
一方、歯周病については歯磨きがとても重要になります。プラークコントロール(歯磨きと同義語)が歯周病予防の基本となります。
そして、歯周病には歯ぎしり、食いしばりや栄養不足(特にタンパク質不足)も大きく関わってきます。虫歯と違って、これらも意識して改善していく必要があります。
また、タバコも歯周病を悪化させる要因です。虫歯に対してはタバコは原因とならないのでいいのですが、歯周病予防には禁煙を強くお勧めします。
最後の「運動」についてですが、これは筋肉不足になると糖代謝が悪くなることを示しています。
糖質は身体の中でブドウ糖に分解され、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されます。
筋肉が不足するとグリコーゲンの貯蔵庫も不足することになり、糖代謝が悪化します。正しく代謝されずに余ったブドウ糖は身体の中で悪さをします。
歯ぐきが糖化する - 小幡歯科医院歯科話 (goo.ne.jp)
糖尿病の人が歯周病になりやすい理由の一つがこの「歯ぐきの糖化」です。糖化した歯ぐきは常に炎症を抱え、歯ぐきのみならず顎の骨にも炎症が波及する原因となります。
このようにみると虫歯の予防は簡単で、歯周病の予防の方が難しくたくさんのことを考えなければなりません。
ただ、虫歯予防に肝心の「甘いものを控える」ということが、多くの人にとって難しいことであることも臨床の現場ではよく実感しています。
小幡歯科医院